JP6638261B2 - 電線被覆材用フッ素樹脂組成物および電線 - Google Patents

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Description

本発明は、電線被覆材用フッ素樹脂組成物および電線に関する。
フッ素樹脂は、耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐候性、非粘着性、低摩擦性、低誘電特性等に優れ、ケミカルプラント耐食配管材料、農業用ビニールハウス材料、厨房器用離型コート材料、耐熱難燃電線用被覆材料等として、幅広い分野に用いられている。また、電線用被覆材料としても応用されている(たとえば、特許文献1等)。
特開2006−66329号公報
近年、電線被覆材料は、航空機、自動車等高温条件下で使用される電線にも応用されるようになってきている。このような用途には、今まで以上に、高温にさらされてもクラックが生じない、耐ストレスクラック特性が要求される。
しかしながら、特許文献1等に記載のフッ素樹脂組成物では、得られる電線の耐ストレスクラック特性が十分ではないという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、耐ストレスクラック特性に優れる電線を提供可能な電線被覆材用フッ素樹脂組成物、および前記電線被覆材用フッ素樹脂組成物から形成された被覆材を有する電線を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、酸化マグネシウム、および水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の添加剤、またはハイドロタルサイト類からなる添加剤を少量配合して得られるフッ素樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、溶融成形が可能であり、融点が250℃以上の含フッ素共重合体と、酸化マグネシウム、および水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の添加剤とを含み、前記添加剤の含有量が、前記含フッ素共重合体100質量部に対して、0.05〜1.0質量部である電線被覆材用フッ素樹脂組成物、または、
溶融成形が可能であり、融点が250℃以上の含フッ素共重合体と、ハイドロタルサイト類からなる添加剤とを含み、前記添加剤の含有量が、前記含フッ素共重合体100質量部に対して、0.1〜0.5質量部である電線被覆材用フッ素樹脂組成物、である。
本発明によれば、耐ストレスクラック特性に優れる電線を提供可能な電線被覆材用フッ素樹脂組成物、および前記電線被覆材用フッ素樹脂組成物から形成された被覆材を有する電線を提供することができる。
本発明は、以下の態様を有する。
<1>溶融成形が可能であり、融点が250℃以上の含フッ素共重合体と、酸化マグネシウム、および水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の添加剤とを含み、前記添加剤の含有量が、前記含フッ素共重合体100質量部に対して、0.05〜1.0質量部である電線被覆材用フッ素樹脂組成物。
<2>溶融成形が可能であり、融点が250℃以上の含フッ素共重合体と、ハイドロタルサイト類からなる添加剤とを含み、前記添加剤の含有量が、前記含フッ素共重合体100質量部に対して、0.1〜0.5質量部である電線被覆材用フッ素樹脂組成物。
<3>前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、およびエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂である、<1>または<2>に記載の電線被覆材用フッ素樹脂組成物。
<4>芯線と、前記芯線の表面を被覆している被覆材とを有する電線であって、前記被覆材が<1>〜<3>のいずれか一項に記載の電線被覆材用フッ素樹脂組成物から構成されている、電線。
<5>前記被覆材の厚みが、3mm以下である、<4>に記載の電線。
[電線被覆材用フッ素樹脂組成物]
本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物は、溶融成形が可能であり、融点が250℃以上の含フッ素共重合体と、酸化マグネシウム、および水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の添加剤とを含み、前記添加剤の含有量が、前記含フッ素共重合体100質量部に対して、0.05〜1.0質量部であること、または、
溶融成形が可能であり、融点が250℃以上の含フッ素共重合体と、ハイドロタルサイト類からなる添加剤とを含み、前記添加剤の含有量が、前記含フッ素共重合体100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であることを特徴とする。
なお、「溶融成形が可能である含フッ素共重合体」とは、溶融流動性を示す含フッ素共重合体である。具体的には、融点より20℃以上高い温度でのメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう)が、0.5g/10分以上である含フッ素共重合体を意味する。
以下、本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物について詳細に説明する。
<含フッ素共重合体>
溶融成形が可能であり、融点が250℃以上の含フッ素共重合体としては、本発明の効果を有する限り特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。これらのうち、得られる電線の耐屈曲性を向上できる観点から、テトラフルオロエチレンに基づく単位を有する共重合体が好ましく、成形体の耐熱性、摺動性、成形時に発生するHFガスを低減できる等の観点から、テトラフルオロエチレン/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAと記す。)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPと記す。)、およびエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEと記す。)からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂であることが好ましい。
PFAは、テトラフルオロエチレンに基づく単位とフルオロアルキルビニルエーテルに基づく単位とを有する。
フルオロアルキルビニルエーテルとしては、たとえば、下式(I)で表される化合物が挙げられる。
CF=CF−O−R ・・・(I)
式(I)中、Rは、炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。
このうち、フルオロアルキルビニルエーテルとしては、成形体の耐熱性を更に向上できる観点から、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。
PFAにおけるテトラフルオロエチレンに基づく単位とフルオロアルキルビニルエーテルに基づく単位とのモル比(テトラフルオロエチレンに基づく単位/フルオロアルキルビニルエーテルに基づく単位)は、92/8〜99/1が好ましい。
各単位の割合が上記範囲内にあれば、得られるPFAの融点が250℃以上となるため好ましい。また、耐熱性、流動性が良好となるため好ましい。
また、PFAは、100000〜900000の質量平均分子量を有するものが好ましい。また、PFAの融点は、295〜315℃が好ましく、300〜310℃がより好ましい。
尚、本明細書において、含フッ素共重合体の質量平均分子量は、溶融せん断動的粘弾性測定装置を用いて貯蔵弾性率G’の値から算出した値である。
FEPは、テトラフルオロエチレンに基づく単位およびヘキサフルオロプロピレンに基づく単位を有する。
FEPにおけるテトラフルオロエチレンに基づく単位とヘキサフルオロプロピレンに基づく単位とのモル比(テトラフルオロエチレンに基づく単位/ヘキサフルオロプロピレンに基づく単位)は、80/20〜99/1が好ましい。
各単位の割合が上記範囲内にあれば、得られるFEPの融点が250℃以上となるため好ましい。また、耐熱性、流動性が良好となるため好ましい。
また、FEPは、100000〜900000の質量平均分子量を有するものが好ましい。また、FEPの融点は、250〜270℃が好ましく、255〜265℃がより好ましい。
ETFEは、エチレンに基づく単位およびテトラフルオロエチレンに基づく単位を有する。
ETFEにおけるテトラフルオロエチレンに基づく単位とエチレンに基づく単位とのモル比(テトラフルオロエチレンに基づく単位/エチレンに基づく単位)は、45/65〜65/35が好ましい。
各単位の割合が上記範囲内にあれば、得られるETFEの融点が250℃以上となるため好ましい。また、流動性が良好となるため好ましい。
また、ETFEは、100000〜900000の質量平均分子量を有するものが好ましい。また、ETFEの融点は、250〜280℃が好ましく、255〜265℃がより好ましい。
前述の通り、含フッ素共重合体は、PFA、FEP、およびETFEからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂であることが好ましい。このうち、電線の成形性の観点から、ETFEであることがより好ましい。
前述のPFA、FEP、またはETFEは、各フッ素樹脂の本質的な性質を損なわない範囲で、他の単量体に基づく単位を有していてもよい。
PFAの場合は、テトラフルオロエチレンおよびフルオロ(アルキルビニルエーテル)以外の単量体に基づく単位を有していていもよい。
FEPの場合は、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレン以外の単量体に基づく単位を有していていもよい。
ETFEの場合は、エチレンおよびテトラフルオロエチレン以外の単量体に基づく単位を有していていもよい。
他の単量体としては、たとえば、ヘキサフルオロプロピレン(ただし、フッ素樹脂がFEPである場合を除く。)、フルオロアルキルビニルエーテル(好ましくは、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)。ただし、フッ素樹脂がPFAである場合を除く。)、フルオロアルキルエチレン(好ましくは、アルキル基の炭素数が1〜10のパーフルオロアルキルエチレン)、フルオロアルキルアリルエーテル(好ましくは、アルキル基の炭素数が1〜10のパーフルオロアルキルアリルエーテル)、下式(II)で表される化合物等が挙げられる。
CF=CF[OCFCF(CF)]OCF(CFX ・・・(II)
ただし、式(II)中、Xは、ハロゲン原子であり、nは、0〜5の整数であり、pは、0〜2の整数である。
他の単量体に基づく単位の割合は、PFA、FEP、またはETFEの全単位の合計(100モル%)に対して、50モル%以下が好ましく、0.01〜5モル%がより好ましい。
なお、本明細書において「単量体」とは、重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物を意味する。
含フッ素共重合体は、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基(以下、官能基(1)と記載する。)を有していてもよい。官能基(1)を有することによって、前記含フッ素共重合体を含む本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物を電線の被覆材として用いた場合、芯線との接着性を向上できるため好ましい。
ここで、カルボニル基含有基とは、構造中にカルボニル基(−C(=O)−)を含む基である。カルボニル基含有基としては、たとえば、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有してなる基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、酸無水物残基等が挙げられる。
官能基(1)は、含フッ素共重合体の主鎖末端および側鎖のいずれか一方または両方に存在する。ここで、「主鎖」とは、鎖式化合物の主要な炭素鎖を指し、本明細書においては、炭素数が最大となる幹部分のことを指す。
また、官能基(1)は、1種のみであってもよく、2種以上が含まれていてもよい。
<添加剤>
本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物は、前記含フッ素共重合体の他に、酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(以下、「添加剤A」ということもある)、またはハイドロタルサイト類からなる添加剤(以下、「添加剤B」ということもある)を含む。
含フッ素共重合体100質量部に対して、添加剤Aを0.05〜1.0質量部含む、または含フッ素共重合体100質量部に対して、添加剤Bを0.1〜0.5質量部含むことにより、得られる電線の耐ストレスクラック特性を向上することができる。
添加剤Aとしては、従来公知のものを使用することができる。このうち、酸化マグネシウムとしては、表面処理を施していないものが好ましい。
添加剤Aの配合量は、含フッ素共重合体100質量部に対して、0.05〜1.0質量部である。得られる電線の耐ストレスクラック特性をより向上させる観点から、0.2〜0.8質量部が好ましく、0.3〜0.5質量部がより好ましい。
添加剤Aの配合量が上記範囲内であれば、良好な耐ストレスクラック特性が得られるため好ましい。一方、フッ素樹脂組成物中の添加剤Aの配合量が多すぎると、成形中に発泡が生じ、最終製品に外観不良が起こるため好ましくない。
酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムは、併用してもよく、併用しなくてもよく、耐ストレスクラック特性がさらに優れる点からは、併用しないことが好ましく、酸化マグネシウムを単独で用いることがより好ましい。
添加剤Bは、環境に対する高い安全性を有する。
添加剤Bとしては、本発明の効果を有する限り特に制限されない。
本発明に用いるハイドロタルサイト類は、天然物、または合成物のいずれであってもよい。
具体的には例えば、以下の式(III)〜(V)で表されるものが挙げられる。
MgZnAl(OH)12CO・wHO ・・・(III)
(式(III)中、wは正の実数を表す。)
MgAl(OH)2x+3y−2CO・wHO ・・・(IV)
(式(IV)中、xは1〜10、yは1〜10、wは正の実数を表す。)
MgAl(OH)2x+3y−2CO ・・・(V)
(式(V)中、xは1〜10、yは1〜10を表す。)
ハイドロタルサイト類として、より具体的には、例えばMg4.3Al(OH)12.6CO、Mg1−xAl3.83x(ただし、0.2≦x<0.5である。)が挙げられる。
ハイドロタルサイト類の市販品としては、協和化学工業社製のKWシリーズ(KW−2000、KW−2100、KW−2200等、化学組成:Mg0.3Al0.71.15)、同社製のDHTシリーズ(DHT−4A(登録商標)、DHT−4A−2、DHT−4C等、化学組成:Mg4.3Al(OH)12.6CO・mHO)、境化学工業社製のSTABIACE(登録商標) HTシリーズが挙げられる。
ハイドロタルサイト類は、0.05〜20μmの粒子径を有するものが好ましく、0.1〜15μmの粒子径を有するものがより好ましい。ハイドロタルサイト類の粒子径が上記範囲内であれば、電線の耐ストレスクラックの効果が得られるため好ましい。また、ハイドロタルサイト類の粒子径は、レーザー式粒度分布測定装置を用いてイソプロピルアルコール中で超音波により分散させた条件で測定した値である。
添加剤Bの配合量は、含フッ素共重合体100質量部に対して0.1〜0.5質量部であり、得られる電線の耐ストレスクラック特性を向上させる観点から、0.2〜0.5質量部が好ましく、0.3〜0.5質量部が特に好ましい。
添加剤Bの配合量が上記範囲内であれば、良好な耐ストレスクラック特性が得られるため好ましい。一方、フッ素樹脂組成物中の添加剤Bの配合量が多すぎると、成形中に発泡が生じ、最終製品に外観不良が起こるため好ましくない。
添加剤Aおよび添加剤Bは、併用してもよく、併用しなくてもよく、耐ストレスクラック特性がさらに優れる点からは、併用しないことが好ましい。
<その他の成分>
本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物は、電線の被覆材に所望される種々の特性を発現させるためのその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、たとえば繊維状フィラー類(ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、アラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ステンレス鋼マイクロファイバー等)、粉末状フィラー類(タルク、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、炭酸カルシウム、シリカアルミナ、アルミナ、二酸化チタン等)、カーボンブラック(黒色顔料)、酸化鉄(赤色顔料)、アルミコバルト酸化物(青色顔料)、銅フタロシアニン(青色顔料、緑色顔料)、ペリレン(赤顔料)、バナジン酸ビスマス(黄顔料)等が挙げられる。その他の成分の含有量は、付与する特性に応じて適宜選択できる。
<MFR>
本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物のMFRは、含フッ素共重合体の融点(含フッ素共重合体が融点の異なる複数のフッ素樹脂を含む場合は、それらの融点のうち最も高い融点)よりも20℃以上高い温度での値である。
電線被覆材用フッ素樹脂組成物のMFRは、所定の測定条件下における内径2.1mm、長さ8mmのオリフィスからの押出速度、すなわち前記オリフィスから10分間で流出する電線被覆材用フッ素樹脂組成物の質量(g/10分)として求められる。含フッ素共重合体のMFRも同様である。
MFRの測定方法はASTMで定められており、たとえば以下のようにフッ素樹脂の種類により測定温度と荷重が規定されている。電線被覆材用フッ素樹脂組成物のMFRの測定条件は、典型的には、含有する含フッ素共重合体に対応した測定条件が採用される。
PFA:ASTM D3307、測定温度372℃、荷重49N。
FEP:ASTM D2116、測定温度372℃、荷重49N。
ETFE:ASTM D3159、測定温度297℃、荷重49N。
電線被覆材用フッ素樹脂組成物のMFRは、含フッ素共重合体のMFR、電線被覆材用フッ素樹脂組成物を製造する際の混練条件(混練物の平均吐出量等)等によって調整できる。
<電線被覆材用フッ素樹脂組成物の製造方法>
本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物の製造方法は、溶融成形可能な含フッ素共重合体と、添加剤A、または添加剤Bとを溶融混練することにより製造することができる。溶融混練の方法としては、例えば、スクリューを備えた装置を用いる方法が挙げられる。
スクリューを備えた装置としては、吐出量およびスクリュー回転数を調整可能な装置を用いる。スクリューを備えた装置としては、二軸押出機、単軸押出機、ニーダー、ミキサー等が挙げられる。これらのうち、生産性の点から、二軸押出機が好ましく、溶融成形可能な含フッ素共重合体と添加剤とを効率的に溶融混練できる点から、L/Dが20以上の二軸押出機がより好ましく、L/Dが25〜100の二軸押出機がさらに好ましい。
溶融混練の際の温度は、溶融成形可能な含フッ素共重合体の種類によって適宜設定される。FEP、またはETFEを用いる場合、260〜380℃が好ましく、270〜370℃がより好ましく、280〜350℃がさらに好ましい。PFAを用いる場合は、300〜420℃が好ましく、310〜400℃がより好ましく、320〜360℃がさらに好ましい。
スクリューの先端側から吐出された混練物は、通常、装置の先端に設けられたダイからストランド状に押し出された後、ペレタイザで切断されてペレット状の電線被覆材用フッ素樹脂組成物とされる。
<電線>
本発明の電線は、芯線と、前記芯線の表面を被覆している被覆材とを有し、前記被覆材が本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物から構成されていることを特徴とする。
芯線(導体)としては、本発明の効果を有する限り特に限定されず、たとえば、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金、スズメッキ、銀メッキ、ニッケルメッキ等の各種メッキ線、より線、超電導体、半導体素子リード用メッキ線などが挙げられる。
本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物からなる被覆材の厚さは、3mm以下が好ましく、0.005〜2.5mmがより好ましく、0.010〜1.5mmがさらに好ましい。被覆材の厚さが上記範囲内であれば、電線の取扱い性に優れ、電気絶縁性、耐屈曲性がさらに優れるため好ましい。
<電線の製造方法>
本発明の電線は、芯線の表面を、本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物により被覆することにより製造できる。
電線被覆材用フッ素樹脂組成物による芯線の被覆は、押出成形法等の公知の成形方法により行うことができる。たとえば、押出機を用いて、芯線上に、溶融させた電線被覆材用フッ素樹脂組成物を被覆させるように押し出す成形方法(電線押出成形)が挙げられる。
以上説明した本発明の電線にあっては、本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物からなる被覆材を備えているため、耐ストレスクラック特性に優れている。
(作用効果)
本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物は、溶融成形が可能であり、融点が250℃以上の含フッ素共重合体に、添加剤A、または添加剤Bを少量配合することにより、耐ストレスクラック特性に優れる電線を提供できる。
したがって、本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物は、高い耐熱性が要求される電線(航空機用電線、高電圧電線、通信電線、電気ヒータ電線等)における被覆材の用途に好適に用いることができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されない。
(電線被覆材用フッ素樹脂組成物の製造方法)
(実施例、例および比較例)
含フッ素共重合体100質量部に対し表に示す添加剤をドライブレンドにて均一に混合し、その後、2軸押出機(テクノベル社製KZW15TW-45MG)に配合材料を投入し、樹脂吐出量2.0kg/hr、スクリュー回転数200rpm、設定樹脂温度300℃で溶融混練して電線被覆材用フッ素樹脂樹脂組成物のペレットを得た。
使用した含フッ素共重合体は以下のとおりである。
・ETFE:エチレンに基づく単位/テトラフルオロエチレンに基づく単位/CH=CH(CFFに基づく単位=54/46/1.4(モル%)(融点:260℃)
・PFA:テトラフルオロエチレンに基づく単位/CF=CFO(CFFに基づく単位=98/2(モル%)(融点:300℃)
使用した添加剤は以下のとおりである。
(添加剤A)
・酸化マグネシウム(商品名:キョーワマグ(登録商標)150、協和化学工業社製)
・水酸化カルシウム(商品名:カルビット(登録商標)、近江化学工業社製)
(添加剤B)
・ハイドロタルサイト1:(商品名:DHT-4A(登録商標)、協和化学工業社製)
・ハイドロタルサイト2:(商品名:アルカマイザー(登録商標)、協和化学工業社製)
(添加剤C)
・マイカ(商品名:MK-200、コープケミカル社製)
・シリカ(商品名:アエロジル(登録商標)OX−1、エボニック社製)
これらの含フッ素共重合体および添加剤A、BまたはCを、表1〜2に記載の割合で混合して、実施例、例および比較例の電線被覆材用フッ素樹脂組成物を得た。得られた電線被覆材用フッ素樹脂組成物の耐ストレスクラック特性を、以下の方法に沿って評価した。結果を表1〜2に示す。
(耐ストレスクラック特性の評価)
押出機(アイ・ケー・ジー社製、MS30-25)、スクリュー(IKG社製、フルフライト、L/D=24、φ30mm)、電線ダイスクロスヘッド(ユニテック社製、最大導体径3mm、最大ダイス穴径20mm)、電線引き取り機(聖製作所社製)、巻き取り機(聖製作所社製)を用いて、実施例、例または比較例で得られた混練物と芯線(安田工業社製、スズめっき銅練り線、直径:1.8mm、構成:37/0.26mm(1層:右撚7本、2層:左撚12本、3層:右撚18本))から、被覆材の厚さ0.5mm、電線径φ2.8mmの電線を製造した。上記電線を5℃刻みの所定温度で96時間アニール処理し、その後室温で一晩安置した。次いで、電線を電線自体に8巻き以上巻き付け(自己径巻きつけ)、電線サンプルを作製した。
電線サンプルをギヤオーブンで200℃、1時間熱処理し、クラックの有無を確認した。サンプル数は5個とした。
5個すべての電線サンプルにクラックが発生する最低アニール温度(T1)と、5個すべての電線サンプルにクラックが発生しない最高アニール温度(T2)から、下記式に基づいて、ストレスクラック温度(Tb)を算出した。
Tb=T1−ΔT(S/100−1/2)
上記式において、
Tb:ストレスクラック温度
T1:全成形体試料にクラックが発生する最低アニール温度
ΔT:アニール温度の間隔(5℃)
S:全成形体試料にクラックが発生しない最高アニール温度(T2)から全成形体試料にクラックが発生する最低アニール温度(T1)までの各温度におけるクラックの発生確率(50%発生の時は、0.5)の総和。
ストレスクラック温度とは、上記の実験で求めた、電線サンプルの50%が割れるアニール温度である。ストレスクラック温度が高いほど、耐ストレスクラック特性が高いことを意味する。
Figure 0006638261
Figure 0006638261
表1、2の結果より、溶融成形が可能であり、融点が250℃以上の含フッ素共重合体100質量部に対して、添加剤Aを0.05〜1.0質量部配合した電線被覆材用フッ素樹脂組成物、あるいは前記含フッ素共重合体100質量部に対して、添加剤Bを0.1〜0.5質量部配合した電線被覆材用フッ素樹脂組成物では、いずれもストレスクラック温度が高く、耐ストレスクラック特性に優れることが分かった。
一方、添加剤Aまたは添加剤Bを含まない比較例1の電線被覆材用フッ素樹脂組成物では、本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物よりもストレスクラック温度が低く、耐ストレスクラック特性に劣ることが分かった。含フッ素共重合体に対して添加剤Bの配合量が多すぎる比較例2〜5の電線被覆材用フッ素樹脂組成物では、成形中に発泡が生じ、電線を形成することができなかった。添加剤Aおよび添加剤Bの代わりに添加剤C(マイカ、シリカ)を配合した例6、7の電線被覆材用フッ素樹脂組成物では、本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物よりもストレスクラック温度が低く、耐ストレスクラック特性に劣ることが分かった。含フッ素共重合体に対して添加剤Aの配合量が多すぎる比較例8の電線被覆材用フッ素樹脂組成物では、本発明の電線被覆材用フッ素樹脂組成物よりもストレスクラック温度が低く、耐ストレスクラック特性に劣ることが分かった。
以上の結果より、本発明を適用した電線被覆材用フッ素樹脂組成物は、耐ストレスクラック特性に優れることが確認できた。

Claims (4)

  1. 溶融成形が可能であり、融点が250〜280℃のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体と、酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の添加剤とを含み、
    前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体がエチレンおよびテトラフルオロエチレン以外の単量体に基づく単位を含み、
    前記エチレンおよびテトラフルオロエチレン以外の単量体に基づく単位の割合が前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の全単位の合計に対して0.01〜5モル%であり、
    前記添加剤の含有量が、前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体100質量部に対して、0.2〜1.0質量部である電線被覆材用フッ素樹脂組成物。
  2. 溶融成形が可能であり、融点が250℃〜280℃のエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体と、ハイドロタルサイト類からなる添加剤とを含み、
    前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体がエチレンおよびテトラフルオロエチレン以外の単量体に基づく単位を含み、
    前記エチレンおよびテトラフルオロエチレン以外の単量体に基づく単位の割合が前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体の全単位の合計に対して0.01〜5モル%であり、
    前記添加剤の含有量が、前記エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体100質量部に対して、0.2〜0.5質量部である電線被覆材用フッ素樹脂組成物。
  3. 芯線と、前記芯線の表面を被覆している被覆材とを有する電線であって、前記被覆材が請求項1または2に記載の電線被覆材用フッ素樹脂組成物から構成されている、電線。
  4. 前記被覆材の厚みが、3mm以下である、請求項に記載の電線。
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