JP3555628B2 - 含ふっ素エラストマー成形物の製造方法、およびそれを用いた絶縁電線の製造方法、絶縁チューブの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、耐熱性および柔軟性にすぐれた新規な含ふっ素エラストマー成形物の製造方法に関し、より詳細には、絶縁電線、および絶縁チューブの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば自動車のエンジンルーム内等の電気配線に使用される絶縁電線には、高度な耐熱性と柔軟性が要求される。
すなわちエンジンルーム内は高温になるため、絶縁電線は、絶縁被覆が高温で劣化する等して絶縁破壊を起こすおそれがないように、高度な耐熱性を有する必要がある。また、近年の電子制御システムの高性能化にともなって、エンジンルーム内の配線量は年々増加する傾向にあるため、限られたスペース内での配線の引回しが容易となるように、上記絶縁電線は、柔軟性にすぐれることも要求される。
【0003】
そこで、上記の要求を満たす、耐熱性にすぐれかつ柔軟性にもすぐれた絶縁電線が種々検討された結果、含ふっ素エラストマー、とくにふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体を加硫させた絶縁被覆を有する絶縁電線が、近年、盛んに用いられている。
上記3元系の含ふっ素エラストマーからなる絶縁被覆を有する絶縁電線は、200℃程度の高温の雰囲下で連続使用が可能であるという優れた耐熱性を有する上、柔軟性にもすぐれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし近時、エンジンの高出力化にともなってエンジンルーム内の温度がさらに高温化しつつあるため、上記従来の含ふっ素エラストマーからなる絶縁被覆を有する絶縁電線では、その要求に十分に対応しきれなくなってきているのが現状である。
【0005】
上記の問題は、電線の接続部等を被覆して絶縁するための絶縁チューブについても同様である。
なお、含ふっ素エラストマーよりも耐熱性にすぐれた絶縁被覆を形成しうる材料としては、四ふっ化エチレン樹脂(PTFE)や四ふっ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のふっ素樹脂が知られているが、これらのふっ素樹脂からなる絶縁被覆を有する絶縁電線は、先のものに比べて柔軟性が不十分であり、配線の引回しが容易でないため、とくにエンジンルーム内等の限られたスペースでの局所配線に適さないという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、耐熱性にすぐれるとともに柔軟性にもすぐれた絶縁電線や絶縁チューブを形成しうる、新規な含ふっ素エラストマー成形物の製造方法と、それを用いた、耐熱性にすぐれるとともに柔軟性にもすぐれるため、自動車のエンジンルーム内等において好適に使用される絶縁電線および絶縁チューブの製造方法とを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】
上記課題を解決するため、発明者らはまず、前記3元系の含ふっ素エラストマーに、熱溶融性のふっ素樹脂を配合することを検討した。この技術は、ふっ化ビニリデン−三ふっ化塩化エチレン共重合ゴム、ふっ化ビニリデン−六ふっ化プロピレン共重合ゴム等の2元系の含ふっ素エラストマーの改質方法として一般的な技術であるが、今般、発明者らが検討したところ、上記3元系の含ふっ素エラストマーにおいても有効であり、含ふっ素エラストマーの柔軟性を維持しつつ、その耐熱性を向上できることが明らかとなった。しかし、かかる改質処理を施した含ふっ素エラストマーであっても、その加硫方法によっては、耐熱性向上の効果が十分に得られない場合が生じることが判明した。
【0008】
そこで発明者らはつぎに、上記3元系の含ふっ素エラストマーの加硫方法について、さらに検討した。その結果、たとえば放射線(電子線)架橋やパーオキサイド加硫、アミン加硫等の加硫方法では、熱溶融性のふっ素樹脂の配合による耐熱性向上効果が十分に得られず、多価アルコール系加硫剤を用いた、いわゆるポリオール加硫によってのみ、含ふっ素エラストマーの加硫後の耐熱性を著しく向上できることを見出し、この発明を完成するに至った。
【0009】
すなわちこの発明の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法は、ふっ化ビニリデン、四ふっ化エチレンおよび六ふっ化プロピレンの3種を主な繰り返し単位とする含ふっ素エラストマー100重量部に、熱溶融性ふっ素樹脂を5〜30重量部の割合で配合して、当該熱溶融性ふっ素樹脂の融点未満で混合するとともに、多価アルコール系加硫剤を室温ないし100℃で混合したのちポリオール加硫させることを特徴とするものである。
またこの発明の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法は、ふっ化ビニリデン、四ふっ化エチレンおよび六ふっ化プロピレンの3種を主な繰り返し単位とする含ふっ素エラストマーと、エチレンと四ふっ化エチレンとを主な繰り返し単位とする熱溶融性ふっ素樹脂とを、熱溶融性ふっ素樹脂の融点より高い温度にて、重量比で95/5〜70/30の割合で溶融、混合するとともに、多価アルコール系加硫剤を室温ないし100℃で混合したのちポリオール加硫させることを特徴とするものである。
またこの発明の絶縁電線の製造方法は、導体表面に、上記この発明の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法によって絶縁被覆を形成することを特徴とするものであり、この発明の絶縁チューブの製造方法は、上記この発明の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法における加硫前の含ふっ素エラストマー組成物をチューブ状に形成したのちポリオール加硫させることを特徴とするものである。
【0010】
まず、この発明の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法について説明する。
主要成分たる含ふっ素エラストマーとしては、前記のように、ふっ化ビニリデン、六ふっ化プロピレンおよび四ふっ化エチレンの3種を主な繰り返し単位とするものが使用される。
かかる含ふっ素エラストマーの代表例としては、前述した、ふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体があげられるが、上記3種の繰り返し単位に、さらに適当な第4の繰り返し単位を加えた4元系の含ふっ素エラストマーも使用可能である。
【0011】
上記含ふっ素エラストマーの物性値は、とくに限定されないが、耐熱性等の観点から、エラストマー中のふっ素含量は、67〜71重量%であるのが好ましく、67〜69重量%であるのがさらに好ましい。また押し出し加工性の点からは、その流動性の尺度である(分子量の尺度でもある)ムーニー粘度が、30〜120ML1+4 (100℃)であるのが好ましく、50〜90ML1+4 (100℃)であるのがさらに好ましい。
【0012】
上記含ふっ素エラストマーに配合される熱溶融性ふっ素樹脂としては、従来公知の種々の熱溶融性ふっ素樹脂がいずれも使用可能である。具体的には、これに限定されないがたとえば、エチレン−四ふっ化エチレン共重合体(ETFE)や、この共重合体にさらにふっ化オレフィン等の適当な繰り返し単位を加えた多元系の共重合体等の、エチレンと四ふっ化エチレンとを主な繰り返し単位とする共重合体が最も好適に使用される他、四ふっ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリふっ化ビニリデン(PVdF)、ふっ化ビニリデン−ふっ化オレフィン共重合体(ふっ化ビニリデン−六ふっ化プロピレン共重合体等)等を使用することもできる。
これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
【0013】
かかる熱溶融性ふっ素樹脂を含ふっ素エラストマーに配合する方法としては、下記の2方法のうちの一方が採用される。
(1) 粉末状の熱溶融性ふっ素樹脂を、含ふっ素エラストマーとともに、熱溶融性ふっ素樹脂の融点未満の温度条件下で、オープンロールミキサー、バンバリーミキサー、加圧ニーダ等の既知の混合装置を用いて機械的に混合する。
(2) 含ふっ素エラストマーと熱溶融性ふっ素樹脂とを、熱溶融性ふっ素樹脂の融点より高い温度にて、上記オープンロールミキサー等の既知の混合装置を用いて溶融、混合する。
【0014】
このうち前者の、(1)の方法における、熱溶融性ふっ素樹脂の粉末の配合量は、含ふっ素エラストマー100重量部に対して、5〜30重量部の範囲に限定される。熱溶融性ふっ素樹脂の粉末の配合量が上記範囲未満では、耐熱性向上の効果が得られず、逆に上記範囲を超えた場合には、加硫初期の機械的特性、耐熱性、柔軟性および加硫前の組成物の成形加工性(押し出し性等)が悪化する。なお、熱溶融性ふっ素樹脂の粉末の配合量は、上記範囲内でもとくに10〜30重量部であるのが好ましい。
【0015】
上記熱溶融性ふっ素樹脂の粉末の粒径は、とくに限定されないが、10〜100μm程度が好ましく、10〜50μm程度がさらに好ましい。粒径が上記範囲を外れた場合には、熱溶融性ふっ素樹脂の粉末が、含ふっ素エラストマーに均一に分散されず、耐熱性向上の効果が十分に得られなくなるおそれがある他、柔軟性や、加硫前の組成物の成形加工性が悪化するおそれもある。
【0016】
前者の(1)の場合、両者の混合時には、後述する多価アルコール系加硫剤、加硫促進剤、受酸剤等の各種添加剤を同時に混合でき、その混合温度は、前述した熱溶融性ふっ素樹脂の融点未満の範囲内でも、加硫反応の開始と進行を防止するために、室温ないし100℃に限定され、その中でも室温ないし50℃程度が好ましい。
【0017】
一方、(2)の方法においては、熱溶融性ふっ素樹脂として、エチレンと四ふっ化エチレンとを主な繰り返し単位とするものを用いるとともに、含ふっ素エラストマーと熱溶融性ふっ素樹脂を、重量比で95/5〜70/30の割合で配合する必要がある。両者の配合割合が、上記範囲よりも含ふっ素エラストマーの多い側に外れた場合には、耐熱性向上の効果が得られない。また逆に両者の配合割合が、上記範囲よりも熱溶融性ふっ素樹脂の多い側に外れた場合には、加硫初期の機械的特性、耐熱性、柔軟性および加硫前の組成物の成形加工性が悪化する。なお、両者の配合割合は、上記範囲内でもとくに、90/10〜70/30であるのがさらに好ましい。
【0018】
両者の混合温度は、前記のように熱溶融性ふっ素樹脂の融点より高い温度であればよく、その範囲はとくに限定されないが、熱溶融性ふっ素樹脂の融点より10〜30℃程度高い温度であるのが好ましく、20℃程度高い温度であるのがさらに好ましい。
この場合、後述する多価アルコール系加硫剤、加硫促進剤、受酸剤等の各種添加剤は、加硫反応の開始と進行を防止するために、両者を溶融混練して一体化した後の混合物に対して、次工程で、室温ないし100℃で混合する必要があり、より好ましくは室温ないし50℃程度で混合するのがよい。
【0019】
含ふっ素エラストマーを加硫させるための加硫剤としては、前記のように多価アルコール系加硫剤が使用される。これ以外の加硫剤を用いた加硫方法では、十分な耐熱性が得られない。
かかる多価アルコール系加硫剤としては、ポリオール加硫用として従来公知の、種々の多価アルコール系加硫剤が、いずれも使用可能である。具体例としては、これに限定されないが、たとえば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフロロプロパン〔ビスフェノールAF〕、レゾルシン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ハイドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン〔ビスフェノールB、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフロロジクロロプロパン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3′,5,5′−テトラクロロビスフェノールA、3,3′,5,5′−テトラブロモビスフェノールA等があげられる。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
【0020】
中でも、加硫後の耐熱性を考慮すると、分子中にふっ素原子を有する多価アルコール、とくにビスフェノールAFが好適に使用される。
上記多価アルコール系加硫剤の配合量は、熱溶融性ふっ素樹脂を粉末で配合する系(前記(1)の系)では、含ふっ素エラストマー100重量部に対して0.1〜10重量部であるのが好ましく、0.5〜5重量部であるのがさらに好ましい。また、含ふっ素エラストマーと熱溶融性ふっ素樹脂とを溶融、混合する系(前記(2)の系)では、両者の混合物100重量部に対して0.1〜10重量部であるのが好ましく、0.5〜5重量部であるのがさらに好ましい。
【0021】
上記多価アルコール系加硫剤の加硫を促進するための加硫促進剤や、あるいは加硫時に生じる酸性物質の受容体としての受酸剤等を配合してもよい。
加硫促進剤としては、種々のホスホニウム塩または4級アンモニウム塩が使用され、中でも4級アンモニウム塩、とくに、一般式(1) :
【0022】
【化1】
【0023】
〔式中Rは炭素数1〜24のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す〕
で表される1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン誘導体のハロゲン化物が好適に使用される。かかる4級アンモニウム塩の具体例としては、これに限定されないが、たとえば下記式(1−1) :
【0024】
【化2】
【0025】
で表される8−メチル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムアイオダイド(MDUI)があげられる。
加硫促進剤の配合量は、含ふっ素エラストマー100重量部に対して0.01〜1重量部であるのが好ましく、0.1〜1重量部であるのがさらに好ましい。受酸剤としては、酸化マグネシウム、酸化鉛、水酸化カルシウム、亜鉛華と二塩基性亜りん酸鉛の組み合わせ等があげられる。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
【0026】
受酸剤の配合量は、含ふっ素エラストマー100重量部に対して1〜20重量部であるのが好ましく、5〜10重量部であるのがさらに好ましい。
さらに上記各種添加剤に加えて、充填剤、可塑剤、加工助剤等の従来公知の種々の添加剤を、適宜の割合で配合することができる。
この発明の含ふっ素エラストマー成形物は、含ふっ素エラストマーに、熱溶融性ふっ素樹脂と上記の各成分とを配合した含ふっ素エラストマー組成物を、所定の形状に成形した後、所定時間、加熱、加圧してポリオール加硫させることで製造される。
【0027】
ポリオール加硫の条件はとくに限定されないが、170〜200℃、2〜5kg/cm2の加熱、加圧条件下で、5〜20分程度が好ましい。
つぎに、この発明の絶縁電線の製造方法について説明する。
この発明の絶縁電線の製造方法は、導体の表面に、上記この発明の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法によって絶縁被覆を形成するものである。
【0028】
導体としては、銅、軟銅、銀、ニッケルめっき軟銅、すずめっき軟銅等の従来公知の導体材料からなるものが、いずれも使用可能である。
絶縁電線を製造するにはまず、押出成形等の既知の成形加工方法によって、導体の表面に、この発明の含ふっ素エラストマー成形物の原料である、含ふっ素エラストマーに、熱溶融性ふっ素樹脂と上記の各成分とを配合した含ふっ素エラストマー組成物を被覆する。
【0029】
この際の成形加工温度はとくに限定されないが、含ふっ素エラストマー組成物の加硫反応の開始と進行を防止するために、150℃以下であるのが好ましい。
つぎに、上記のようにして導体の表面に被覆された含ふっ素エラストマー組成物を、たとえば加硫釜等を用いて、170〜200℃、2〜5kg/cm2程度の加熱、加圧条件下で、5〜20分程度加硫させると、この発明の含ふっ素エラストマー成形物からなる絶縁被覆が形成されて、絶縁電線が製造される。
【0030】
絶縁被覆の厚みはとくに限定されず、絶縁電線の規格等に合わせた厚みにすればよい。
つぎに、この発明の絶縁チューブの製造方法について説明する。
この発明の絶縁チューブの製造方法は、前記含ふっ素エラストマー成形物の原料である含ふっ素エラストマーに、熱溶融性ふっ素樹脂と上記の各成分とを配合した加硫前の含ふっ素エラストマー組成物をチューブ状に形成したのちポリオール加硫させるものである。絶縁チューブとしては、単に電線等に被せるチューブと、被せた後、加熱すると熱収縮して電線の周囲にフィットする熱収縮性チューブとがあるが、この発明の構成は、この何れにも適用することができる。
【0031】
このうち前者の、単に電線等に被せる絶縁チューブを製造するには、前述した押出成形等の既知の成形加工方法によって、含ふっ素エラストマー組成物を所定の径を有するチューブ状に成形した後、やはり前述した加硫釜等を用いて加硫させればよい。
また後者の、熱収縮性の絶縁チューブを製造するには、まず前述した押出成形等の既知の成形加工方法によって、含ふっ素エラストマー組成物を、熱収縮後の径を有するチューブ状に成形した後、加硫する。つぎにこのチューブを、熱溶融性ふっ素樹脂の融点以上、融点+20℃以下程度の温度範囲内で加熱しつつ、その内部に圧縮空気を送り込む等してチューブを所定の径に膨らませた後、速やかに水冷する等すればよい。
【0032】
【実施例】
以下にこの発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
《含ふっ素エラストマー成形物》
実施例1
含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、ダイキン工業(株)製〕100重量部に対して、熱溶融性ふっ素樹脂である四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体(FEP)の粉末〔融点245℃、平均粒径20μm、ダイキン工業(株)製〕10重量部と、下記の各成分とを配合し、オープンロールミキサーを用いて室温ないし50℃で混合して、含ふっ素エラストマー組成物を作製した。
【0033】
つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg/mm2 、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmのシート状に成形するとともにポリオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
実施例2,3、比較例1
FEPの粉末の配合量を20重量部(実施例2)、30重量部(実施例3)および50重量部(比較例1)としたこと以外は実施例1と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施例1と同条件(ただし比較例1は加圧時間20分)で成形し、ポリオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例2
FEPの粉末を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施例1と同条件で成形し、ポリオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
実施例4
FEPの粉末に代えて、四ふっ化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の粉末〔融点309℃、平均粒径25μm、ダイキン工業(株)製〕20重量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施例1と同条件で成形し、ポリオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
実施例5
FEPの粉末に代えて、エチレン−四ふっ化エチレン−ふっ化オレフィン共重合体(ETFE系共重合体)の粉末〔融点224℃、平均粒径35μm、ダイキン工業(株)製〕30重量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施例1と同条件で成形し、ポリオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例3
含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、ダイキン工業(株)製〕100重量部に対して、熱溶融性ふっ素樹脂であるFEPの粉末20重量部と、下記の各成分とを配合し、オープンロールミキサーを用いて50℃で混合して含ふっ素エラストマー組成物を作製した。
【0034】
つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg/mm2 、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmのシート状に成形した後、加速電圧2MeVの電子線を照射(照射線量100kGy)して電子線架橋して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例4
FEPの粉末を配合しなかったこと以外は比較例3と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、比較例3と同条件で成形し、電子線架橋して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例5
含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、ダイキン工業(株)製〕100重量部に対して、熱溶融性ふっ素樹脂であるPFAの粉末20重量部と、下記の各成分とを配合し、オープンロールミキサーを用いて50℃で混合して含ふっ素エラストマー組成物を作製した。
【0035】
つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg/mm2 、加圧時間20分の条件で、厚み1.0mmのシート状に成形するとともにパーオキサイド加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例6
PFAの粉末を配合しなかったこと以外は比較例5と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、比較例5と同条件(ただし加圧時間10分)で成形し、パーオキサイド加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
【0036】
上記各実施例、比較例で得られたシート状の含ふっ素エラストマー成形物について、以下の各試験を行い、その特性を評価した。
初期物理特性試験I
上記シート状の含ふっ素エラストマー成形物を打ち抜いて、JIS K 6301「加硫ゴム物理試験方法」の第3項「引張試験」に規定されたダンベル状の試験片(3号形)を作製し、上記「引張試験」に所載の試験方法に則って、各試験片の引張強さ〔kg/mm2 〕および破断伸び〔%〕を測定した。さらに柔軟性評価のため、上記試験片の、2%伸び時の引張応力を測定し、それを50倍してセカントモジュラス〔kg/mm2 〕とした。
熱老化後物理特性試験I
上記初期物理特性試験Iにて作製したのと同じ試験片を、287℃のギヤオーブン中で、168時間熱老化させた後、上記と同様にして、各試験片の引張強さ〔kg/mm2 〕および破断伸び〔%〕を測定した。
【0037】
以上の結果を表1に示す。なお表中の比較例2′は、比較例2において、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を製造する際の加圧時間を20分としたものの測定結果である。
【0038】
【表1】
【0039】
表1の、同じポリオール加硫型の含ふっ素エラストマー成形物である実施例1〜5、比較例1,2,2′を比較すると、熱溶融性ふっ素樹脂であるFEPの粉末を配合しなかった比較例2,2′は、上記FEPの粉末を配合した実施例1〜3に比べて熱老化後の引張強さの低下が大きく、耐熱性が不十分であることがわかった。
【0040】
またFEPの粉末を30重量部を超えて配合した比較例1は、FEPの粉末の配合量が5〜30重量部の範囲内である上記実施例1〜3に比べて、初期の引張強さや破断伸びが著しく小さいことから、強度ならびに柔軟性に問題のあることがわかった。このため、熱老化試験を断念した。
これに対し、FEPの粉末を5〜30重量部の範囲で配合した実施例1〜3はいずれも、比較例1に比べて初期の引張強さや破断伸びが大きく、またセカントモジュラスは比較例2,2′並みに小さいことから、強度ならびに柔軟性にすぐれていることがわかった。また上記実施例1〜3はいずれも、比較例2,2′に比べて熱老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が小さいことから、耐熱性にもすぐれていることがわかった。
【0041】
また、FEPの粉末に代えてPFAの粉末を上記の範囲で配合した実施例4、およびETFE系共重合体の粉末を上記の範囲で配合した実施例5も、同様に強度ならびに柔軟性にすぐれるとともに、耐熱性にすぐれていることがわかった。中でもETFE系共重合体の粉末を上記の範囲で配合した実施例5は、熱老化後の引張強さの低下が小さいことから、とくに耐熱性にすぐれていることがわかった。
【0042】
また上記各実施例、比較例と、電子線架橋型の含ふっ素エラストマー成形物である比較例3,4とを比較すると、FEPの粉末を配合した比較例3は、熱老化後の引張強さの低下が大きく、またFEPの粉末を配合しなかった比較例4は、熱老化後の破断伸びの低下が大きいことから、いずれも耐熱性が不十分であることがわかった。
【0043】
さらに、パーオキサイド加硫型の含ふっ素エラストマー成形物である比較例5,6はいずれも、熱老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が著しく、測定できなかった。このことから上記両比較例はいずれも、耐熱性に問題のあることがわかった。
実施例6
含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、ダイキン工業(株)製〕と、熱溶融性ふっ素樹脂である前記ETFE系共重合体〔融点224℃、メルトフローレート30(297℃)、ダイキン工業(株)製〕とを、重量比で90/10の割合で配合し、オープンロールミキサーを用いて244℃で溶融、混合した後、この混合物100重量部に対して下記の各成分を配合し、オープンロールミキサーを用いて室温ないし100℃で混合して含ふっ素エラストマー組成物を作製した。
【0044】
つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg/mm2、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmのシート状に成形するとともにポリオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
実施例7、比較例7,8
ふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体と、ETFE系共重合体との配合割合(重量比)を、80/20(実施例7)、60/40(比較例7)および40/60(比較例8)としたこと以外は実施例6と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施例6と同条件で成形し、ポリオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例9
ETFE系共重合体に代えてFEP〔融点245℃、メルトフローレート20(372℃)、ダイキン工業(株)製〕を使用し、ふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体と上記FEPとを、重量比で80/20の割合で配合し、オープンロールミキサーを用いて265℃で溶融混合したこと以外は実施例6と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施例6と同条件で成形し、ポリオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例10
ETFE系共重合体に代えて、四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン系共重合体(FEP系共重合体)〔融点268℃、メルトフローレート25(372℃)、ダイキン工業(株)製〕を使用し、ふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体と上記FEP系共重合体とを、重量比で70/30の割合で配合し、オープンロールミキサーを用いて288℃で溶融混合したこと以外は実施例6と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施例6と同条件で成形し、ポリオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例11
含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量68重量%、ムーニー粘度90ML1+4(100℃)、ダイキン工業(株)製〕と、熱溶融性ふっ素樹脂であるFEP〔融点245℃、メルトフローレート20(372℃)、ダイキン工業(株)製〕とを、重量比で80/20の割合で配合し、オープンロールミキサーを用いて270℃で溶融、混合した後、この混合物100重量部に対して架橋剤であるトリアリルイソシアヌレート2重量部を配合し、オープンロールミキサーを用いて室温で混合して含ふっ素エラストマー組成物を作製した。
【0045】
つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg/mm2、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmのシート状に成形した後、加速電圧2MeVの電子線を照射(照射線量100kGy)して電子線架橋し、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例12
含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量68重量%、ムーニー粘度90ML1+4(100℃)、ダイキン工業(株)製〕と、熱溶融性ふっ素樹脂であるETFE系共重合体〔融点224℃、メルトフローレート30(297℃)、ダイキン工業(株)製〕とを、重量比で70/30の割合で配合し、オープンロールミキサーを用いて240℃で溶融、混合した後、この混合物100重量部に対して下記の各成分を配合し、オープンロールミキサーを用いて室温で混合して含ふっ素エラストマー組成物を作製した。
【0046】
つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg/mm2、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmのシート状に成形するとともにパーオキサイド加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。
比較例13
熱溶融性ふっ素樹脂であるETFE系共重合体〔融点224℃、メルトフローレート30(297℃)、ダイキン工業(株)製〕100重量部と、架橋剤であるトリアリルイソシアヌレート2重量部とを、280℃に設定した二軸混合装置(30mmφ、L/D=21)を用いて溶融、混合して含ふっ素樹脂組成物を作製した。
【0047】
つぎに上記含ふっ素樹脂組成物を、熱プレス成形機を使用して、設定温度260℃、設定圧力20kg/mm2 、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmのシート状に成形した後、加速電圧2MeVの電子線を照射(照射線量100kGy)して電子線架橋し、シート状の含ふっ素樹脂成形物を得た。
上記各実施例、比較例で得られた含ふっ素エラストマー成形物、含ふっ素樹脂成形物について、前記の各試験Iを行い、その特性を評価した。
【0048】
以上の結果を、前記比較例2の結果と併せて表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2の、同じポリオール加硫型の含ふっ素エラストマー成形物である実施例6,7、比較例2,7,8を比較すると、ふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体とETFE系共重合体との配合割合(重量比)が70/30よりETFE系共重合体が多い側に外れた比較例7,8は、両者の配合割合が95/5〜70/30の範囲内である実施例6,7に比べて、初期の破断伸びが小さく、またセカントモジュラスが大きいことから、強度ならびに柔軟性が不十分であることがわかった。また上記比較例7は、熱老化後の破断伸びの低下が大きいことから耐熱性が低いことがわかった。さらに比較例8は、熱老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が著しく、測定できなかった。このことから上記比較例8は耐熱性に問題のあることもわかった。
【0051】
これに対し、上記実施例6,7はいずれも、比較例7,8に比べて初期の破断伸びが大きく、またセカントモジュラスが小さいことから、強度ならびに柔軟性にすぐれていることがわかった。また上記実施例6,7はいずれも、比較例2,7,8に比べて熱老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が小さいことから、耐熱性にもすぐれていることがわかった。
【0052】
また、ETFE系共重合体に代えてFEPを上記の割合で配合した比較例9、およびFEP系共重合体を上記の割合で配合した比較例10は、同様に強度ならびに柔軟性にすぐれるものの、耐熱性が僅かに低いことがわかった。
また上記各実施例、比較例と、電子線架橋型の含ふっ素エラストマー成形物である比較例11、およびパーオキサイド加硫型の含ふっ素エラストマー成形物である比較例12を比較すると、比較例11は、熱老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が大きく、耐熱性が不十分であることがわかった。また比較例12は、熱老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が著しく、測定できなかった。このことから上記比較例12は耐熱性に問題のあることもわかった。
【0053】
さらに比較例13の含ふっ素樹脂成形物は、初期の引張強さおよび破断伸びが大きいが、熱老化後に引張試験ができないほど物性が低下していることがわかった。
《絶縁電線》
実施例8
前記実施例2の含ふっ素エラストマー組成物を、単軸押出成形機(30mmφ、L/D=24)を用いて、外径0.81mmφの錫めっき軟銅導体上に、押し出し温度140℃の条件で押し出し被覆した後、170℃の加硫釜(圧力5kg/cm2)内で20分間加硫して、厚み0.5mmの絶縁被覆を有する絶縁電線を製造した。
実施例9
実施例7の含ふっ素エラストマー組成物を使用したこと以外は実施例8と同様にして、絶縁電線を製造した。
比較例14
比較例2の含ふっ素エラストマー組成物を使用したことと、押し出し温度を120℃としたこと以外は実施例8と同様にして、絶縁電線を製造した。
【0054】
上記各実施例、比較例の絶縁電線について、以下の各試験を行い、その特性を評価した。
初期物理特性試験II
各実施例、比較例の絶縁電線から、絶縁被覆を剥離して、長さ100mmの試験片を作製した。そしてこの試験片を用いて、前記JIS K 6301「加硫ゴム物理試験方法」の第3項「引張試験」に所載の試験方法に準じて、各試験片の引張強さ〔kg/mm2 〕および破断伸び〔%〕を測定した。
熱老化後物理特性試験II
上記初期物理特性試験Iにて作製したのと同じ試験片を、287℃のギヤオーブン中で、168時間熱老化させた後、上記と同様にして、各試験片の引張強さ〔kg/mm2 〕および破断伸び〔%〕を測定した。
【0055】
以上の結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
表3より、実施例8,9の絶縁電線の絶縁被覆は、比較例14の絶縁被覆に比べて、初期引張強さおよび破断伸びにすぐれることから、強度ならびに柔軟性にすぐれていることがわかった。また上記両実施例の絶縁被覆は、比較例14に比べて熱老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が小さいことから、耐熱性にもすぐれていることがわかった。
《絶縁チューブ》
実施例10
前記実施例5の含ふっ素エラストマー組成物を、単軸押出成形機(30mmφ、L/D=24)を用いて、押し出し温度140℃の条件でチューブ状に押し出し成形した後、170℃の加硫釜(圧力5kg/cm2)内で20分間加硫して、内径4.0mmφ、厚み0.5mmの絶縁チューブを製造した。
【0058】
この絶縁チューブの、初期ならびに熱老化後の引張強さ〔kg/mm2 〕および破断伸び〔%〕を、前記各試験IIにより測定したところ、表4に示す結果が得られた。
【0059】
【表4】
【0060】
実施例11
実施例8の含ふっ素エラストマー組成物を使用したこと以外は実施例10と同様にして、内径4.0mmφ、厚み0.5mmの絶縁チューブを製造した。
つぎにこの絶縁チューブの一端を閉じ、他端に圧縮空気の配管を接続した状態で、240℃に設定した恒温槽に浸漬した。そして配管から圧縮空気を送り込んで、絶縁チューブを、その内径が8.0mmφになるまで膨らませた後、ただちに恒温槽から取り出して水冷して、絶縁チューブに熱収縮性を付与した。
【0061】
この絶縁チューブを、外径5.0mmφのアルミニウムパイプに被せた状態で、240℃に設定した恒温槽に1分間浸漬したのち取り出したところ、アルミニウムパイプの表面にフィットした状態で熱収縮しているのが確認された。
また上記絶縁チューブを、240℃に設定した恒温槽に1分間浸漬して、内径4.0mmまで熱収縮させた後、この絶縁チューブの、初期ならびに熱老化後の引張強さ〔kg/mm2 〕および破断伸び〔%〕を、前記各試験IIにより測定したところ、表5に示す結果が得られた。
【0062】
【表5】
【0063】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれば、耐熱性にすぐれるとともに柔軟性にもすぐれた、新規な含ふっ素エラストマー成形物が得られる。またこの発明によれば、耐熱性にすぐれるとともに柔軟性にもすぐれ、自動車のエンジンルーム内等において好適に使用できる絶縁電線、絶縁チューブが得られる。
Claims (6)
- ふっ化ビニリデン、四ふっ化エチレンおよび六ふっ化プロピレンの3種を主な繰り返し単位とする含ふっ素エラストマー100重量部に、熱溶融性ふっ素樹脂を5〜30重量部の割合で配合して、当該熱溶融性ふっ素樹脂の融点未満で混合するとともに、多価アルコール系加硫剤を室温ないし100℃で混合したのちポリオール加硫させることを特徴とする含ふっ素エラストマー成形物の製造方法。
- 熱溶融性ふっ素樹脂が、エチレンと四ふっ化エチレンとを主な繰り返し単位とするものである請求項1記載の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法。
- ふっ化ビニリデン、四ふっ化エチレンおよび六ふっ化プロピレンの3種を主な繰り返し単位とする含ふっ素エラストマーと、エチレンと四ふっ化エチレンとを主な繰り返し単位とする熱溶融性ふっ素樹脂とを、熱溶融性ふっ素樹脂の融点より高い温度にて、重量比で95/5〜70/30の割合で溶融、混合するとともに、多価アルコール系加硫剤を室温ないし100℃で混合したのちポリオール加硫させることを特徴とする含ふっ素エラストマー成形物の製造方法。
- 熱溶融性ふっ素樹脂が、エチレンと四ふっ化エチレンとを主な繰り返し単位とするものである請求項3記載の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法。
- 導体表面に、請求項1〜4のいずれかに記載の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法によって絶縁被覆を形成することを特徴とする絶縁電線の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の含ふっ素エラストマー成形物の製造方法における加硫前の含ふっ素エラストマー組成物をチューブ状に形成したのちポリオール加硫させることを特徴とする絶縁チューブの製造方法。
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