JP7470552B2 - 架橋フッ素ゴム組成物、これを用いた配線材及びその製造方法、並びにシラン架橋用触媒組成物 - Google Patents
架橋フッ素ゴム組成物、これを用いた配線材及びその製造方法、並びにシラン架橋用触媒組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7470552B2 JP7470552B2 JP2020058155A JP2020058155A JP7470552B2 JP 7470552 B2 JP7470552 B2 JP 7470552B2 JP 2020058155 A JP2020058155 A JP 2020058155A JP 2020058155 A JP2020058155 A JP 2020058155A JP 7470552 B2 JP7470552 B2 JP 7470552B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- parts
- base polymer
- fluororubber composition
- wiring material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Organic Insulating Materials (AREA)
- Insulated Conductors (AREA)
- Processes Specially Adapted For Manufacturing Cables (AREA)
Description
本発明は、上記の問題点を解決し、優れた機械特性を維持しながらも長期耐熱性と低温柔軟性とを兼ね備えた配線材及びその製造方法を提供することを課題とする。加えて、上記配線材の被覆層を形成しうる、架橋フッ素ゴム組成物及びシラン架橋用触媒組成物を提供することを課題とする。
〔1〕
下記架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理した、架橋フッ素ゴム組成物。
[架橋性フッ素ゴム組成物]
テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴム15~50質量%とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂50~85質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部とを含有する架橋性フッ素ゴム組成物。
〔2〕
前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースポリマー100質量部に対して、前記ベースポリマーにグラフト化反応したシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを含有する、〔1〕に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔3〕
前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースポリマー100質量部に対して、臭素系難燃剤5~40質量部と、三酸化アンチモン5~40質量部とを含有する〔1〕又は〔2〕に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔4〕
前記ベースポリマー100質量部に対する、前記無機フィラーの含有量が8~60質量部である〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔5〕
〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を導体の外周面に有する配線材。
〔6〕
下記工程(E)、工程(F)及び工程(G)を有する配線材の製造方法。
工程(E):テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴム15~50質量%とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂50~85質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部とを溶融混練する工程
工程(F):前記工程(E)で得られた溶融混練物を導体の外周面に被覆して被覆層前駆体を形成する工程
工程(G):前記工程(F)で得られた被覆層前駆体を、電子線を照射して架橋反応処理する工程
〔7〕
前記工程(E)で、前記ベースポリマー100質量部に対して、臭素系難燃剤5~40質量部と、三酸化アンチモン5~40質量部とを混合する、〔6〕に記載の配線材の製造方法。
〔8〕
下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する配線材の製造方法であって、
工程(A):テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴムフッ素ゴム15~50質量%とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂50~85質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部と、有機過酸化物0.003~0.5質量部と、前記ベースポリマーにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(B):前記工程(A)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(C):前記工程(C)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させて配線材を得る工程
前記工程(A)が、下記工程(A1)~工程(A3)を有し、
工程(A1):前記ベースポリマーの一部と、前記無機フィラーと、前記シランカップリング剤とを、前記有機過酸化物の存在下で前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記ベースポリマーと前記シランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
工程(A2):前記シラノール縮合触媒とキャリアポリマーとして前記ベースポリマーの残部とを混合する工程
工程(A3):前記工程(A1)で得られた溶融混合物と前記工程(A2)で得られた混合物とを混合する工程
前記工程(A1)及び前記工程(A2)の少なくとも一方で、前記ヒンダードフェノール系老化防止剤と前記2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを混合する、
配線材の製造方法。
〔9〕
前記ヒンダードフェノール系老化防止剤と前記2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを、合計量の95質量%以上の割合を前記工程(A2)において混合し、残部を前記工程(A1)において混合する、〔8〕に記載の配線材の製造方法。
〔10〕
前記ベースポリマーの残部が、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂と前記テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴムの両方を含有する〔8〕又は〔9〕に記載の配線材の製造方法。
〔11〕
前記工程(A1)及び前記工程(A2)の少なくとも一方で、前記ベースポリマー100質量部に対して、臭素系難燃剤5~40質量部と、三酸化アンチモン5~40質量部とを混合する、〔8〕~〔10〕のいずれか1項に記載の配線材の製造方法。
〔12〕
前記ベースポリマー100質量部に対する、前記無機フィラーの配合量が8~60質量部である〔8〕~〔11〕のいずれか1項に記載の配線材の製造方法。
〔13〕
〔6〕~〔12〕のいずれか1項に記載の製造方法で製造されてなる配線材。
〔14〕
シラノール縮合可能な反応部位を有するシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフトポリマーの架橋反応処理に用いるシラン架橋用触媒組成物であって、
テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴムとエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂とを含有するキャリアポリマーと、シラノール縮合触媒とを含有する、シラン架橋用触媒組成物。
[架橋フッ素ゴム組成物]
本発明の架橋フッ素ゴム組成物は、架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理した架橋物である。
本発明の架橋フッ素ゴム組成物は、少なくともベースポリマーが直接又は架橋剤等を介して架橋した架橋構造を有しており、長期耐熱性と低温柔軟性と機械特性とを高い水準でバランスよく発揮する。架橋構造は、架橋性フッ素ゴム組成物を架橋させる架橋反応(架橋法)の種類によって異なり、明確かつ一概に規定できるものではない。
本発明において、シラン架橋法とは、化学架橋法の1つであり、有機過酸化物の存在下で不飽和基を有するシランカップリング剤を重合体にシラングラフト化反応させてシラングラフトポリマーを得た後に、所望により成形し、次いで、好ましくはシラノール縮合触媒の存在下で、シラングラフトポリマーと水分とを接触させることにより、シランカップリング剤をシラノール縮合反応させる方法をいう。有機過酸化物架橋法とは、シラン架橋法とは別の化学架橋法であり、熱を加えることにより有機過酸化物等を分解させて生じるラジカルによって重合体同士を直接架橋反応させる方法をいう。
以下、架橋性フッ素ゴム組成物の成分を説明する。
本発明に用いる架橋性フッ素ゴム組成物は、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴム15~50質量%とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂50~85質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部とを含有し、適用する架橋法に応じて必須の又は好適な後述する成分を更に含有してもよい組成物である。
この架橋性フッ素ゴム組成物は、後述する架橋反応処理により、少なくともベースポリマーが架橋しうる組成物であればよく、適用する架橋反応の種類等により、上記成分に加えて更に架橋剤、架橋助剤、架橋触媒、架橋促進剤等を適宜含有することが好ましい。
本発明において、電子線架橋法、又はシラン架橋法に好適に適用可能な架橋性フッ素ゴム組成物を、それぞれ、電子線架橋性フッ素ゴム組成物、又はシラン架橋性フッ素ゴム組成物ということがある。
電子線架橋性フッ素ゴム組成物は、上述のベースポリマー、無機フィラー、ヒンダードフェノール系老化防止剤、及び2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩に加えて、架橋助剤及び/又は有機過酸化物を含有することが好ましい。さらに、シランカップリング剤を含有していてもよい。
シラン架橋性フッ素ゴム組成物は、上述のベースポリマー、無機フィラー、ヒンダードフェノール系老化防止剤、及び2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩に加えて、ベースポリマーにグラフト化反応したシランカップリング剤、及びシラノール縮合触媒を含有することが好ましい。シラン架橋性フッ素ゴム組成物において、シランカップリング剤は、少なくとも一部がベースポリマーにグラフト化していればよく、グラフト化していないシランカップリング剤が含まれていてもよい。
シラン架橋性フッ素ゴム組成物の好ましい態様の一例は、ベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部と、ベースポリマーにグラフト化反応したシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを含有するシラン架橋性フッ素ゴム組成物である。
架橋性フッ素ゴム組成物は、さらに難燃剤を含んでいてもよい。
以下に、本発明に用いる各成分について説明する。
ベースポリマーは、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴム(FEPM)(以下、フッ素ゴムということがある)とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂とを含有する。
テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴムは、テトラフルオロエチレンとプロピレンとの共重合体のゴムであって、架橋反応しうるものであれば、特に限定されない。第3の共重合成分として、テトラフルオロエチレン及びプロピレンと重合可能な、種々の重合性成分を共重合させたフッ素ゴムも含まれる。このようなフッ素ゴムとしては、架橋反応可能な部位を主鎖中又はその末端に有するゴムが好ましく挙げられる。例えば、シラン架橋法に用いる場合、シランカップリング剤のグラフト化反応可能な部位と有機過酸化物の存在下でグラフト化反応可能な部位を有するものが好ましい。電子線架橋法に用いる場合、電子線の照射により、架橋反応可能な部位を有するものが好ましい。このような架橋反応可能な部位及びグラフト化反応可能な部位としては、特に制限されないが、例えば、炭素鎖中の不飽和結合部位、水素原子を有する炭素原子が挙げられる。テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴムは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、架橋反応しうるものであれば、特に限定されず、エチレンと酢酸ビニルとを共重合して得られる共重合体の樹脂等が挙げられる。フッ素ゴムと同様に、シラン架橋法に用いる場合には、有機過酸化物の存在下でグラフト化反応可能な部位を、電子線架橋に用いる場合には、ラジカルの存在下で架橋反応可能な部位を有するものが好ましい。エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、酢酸ビニル含有量が異なる2種以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を上記組成物が含有する場合、酢酸ビニル含有量は、これら2種以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の合計質量中に占める、酢酸ビニル含有量の合計量の割合をいう。個々のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の酢酸ビニル含有量は、上記合計質量中の含有量を満たすものであればよいが、17~35質量%の範囲にあることが好ましい。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂における酢酸ビニル含有量は、JIS K 7192に準拠して求めることができる。
ベースポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記フッ素ゴム及びエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂以外の他のゴム及び/又は樹脂を含有してもよい。例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合ゴムが挙げられる。
ベースポリマー100質量%中のフッ素ゴムの含有率は、15~50質量%であり、35~50質量%が好ましく、40~50質量%がより好ましい。
ベースポリマー100質量%中のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の含有率は、50~85質量%であり、45~70質量%が好ましく、50~65質量%がより好ましい。
フッ素ゴムの含有率とベースポリマーの含有率とがそれぞれ上記範囲内にあると、長期耐熱性及び低温柔軟性を兼ね備えた架橋フッ素ゴム組成物とできる。加えて、これらの含有率が上記範囲にあることは、配線材に通常要求される機械特性を維持しつつ、上記特性を有する配線材とする観点からも好ましい。
ベースポリマーが、フッ素ゴム及びエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂に加えて、他のゴム又は樹脂を含有する場合には、各成分の含有量の合計が100質量%となるように、適宜調整される。
架橋性フッ素ゴム組成物は、老化防止剤として、ヒンダードフェノール系老化防止剤及び2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩を含有する。これらの老化防止剤は、協働して長期使用においての架橋フッ素ゴム組成物の劣化を抑制して長期耐熱性を高める働きを有する。
ヒンダードフェノール系老化防止剤としては、ヒンダードフェノール構造を有する老化防止剤であれば特に限定されない。例えば、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス1010、BASF社製)、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(商品名:イルガノックス1076、BASF社製)等が挙げられる。
2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩は、特に限定されず、2-メルカプトベンゾイミダゾール化合物の金属塩で老化防止剤として使用できるものを包含する。
ヒンダードフェノール系老化防止剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、1.0~4.0質量部であり、1.5~3.0質量部であることがより好ましい。
2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、1.0~8.0質量部であることが好ましく、2.0~6.0質量部であることがより好ましい。
ヒンダードフェノール系老化防止剤1.5~3.0質量部と2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩2.0~6.0質量部とを含有することがより好ましい。
無機フィラーとしては、配線材に通常用いられる無機フィラーを特に制限なく用いることができる(ただし、三酸化アンチモンを除く)。無機フィラーは、その表面に、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位と水素結合若しくは共有結合等、又は分子間結合により、化学結合しうる部位を有するものが好ましい。この無機フィラーにおける、シランカップリング剤の反応部位と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水もしくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸基若しくは結晶水を有する化合物のような金属水和物、更には、窒化ほう素、シリカ(乾式シリカ、湿式シリカ)、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、シリコーン化合物、石英、タルク、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛が挙げられる。無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、シリカ、炭酸カルシウム、及びクレーからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。無機フィラーは、通常の表面処理剤で表面処理されたものを用いることもできる。
無機フィラーは、粒子であることが好ましく、その平均粒径は適宜に設定し得る。
無機フィラーの含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、5~150質量部であり、8~60質量部が好ましい。無機フィラーの含有量が上記範囲内であれば、機械特性を維持しつつ、長期耐熱性及び低温柔軟性を付与できる。
架橋性フッ素ゴム組成物は、さらに、適宜に以下の成分を含むことができる。
架橋性フッ素ゴム組成物を電子線架橋法により架橋させる場合、架橋性フッ素ゴム組成物は架橋助剤を含有してもよい。架橋助剤としては、電子線架橋法に通常用いられるものを特に制限されることなく用いることができる。
架橋助剤としては、通常、多官能性化合物が挙げられ、例えば、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の(メタ)アタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等のアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物が挙げられる。トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。
架橋助剤の、架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量は、適宜に設定され、例えば、ベースポリマー100質量部に対して3~15質量部に設定することができる。
シランカップリング剤としては、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下で、ベースポリマーのグラフト化反応可能な部位にグラフト化反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)と、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解して生成する部位を含む、例えばシリルエステル基等)とを有するものであれば、特に限定されない。このようなシランカップリング剤としては、通常のシラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤としては、不飽和基を有するシランカップリング剤が挙げられ、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン、(メタ)アクリロキシシラン等が挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。シランカップリング剤は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シランカップリング剤は、そのままの形態で用いてもよいし、溶剤で希釈した形態で用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、機械特性を維持しつつ、長期耐熱性及び低温柔軟性を両立できる点で、ベースポリマー100質量部に対して、2.0質量部を越え15.0質量部以下が好ましく、3~12質量部がより好ましく、4~12質量部がさらに好ましい。上記範囲は、外観品質の点からも好ましい。
架橋性フッ素ゴム組成物をシラン架橋法により架橋させる場合、架橋性フッ素ゴム組成物は有機過酸化物を含有する。
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、有機過酸化物架橋法ではベースポリマー同士の架橋反応、又はシラン架橋法では、シランカップリング剤のベースポリマーへのラジカル反応によるグラフト化反応(シランカップリング剤のグラフト化反応可能な部位とベースポリマーのグラフト化反応可能な部位との共有結合形成反応であって、(ラジカル)付加反応ともいう。)を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、上記機能を有し、ラジカル重合又は通常のシラン架橋法に用いられるものを特に制限されずに用いることができる。例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド(DCP)、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン又は2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3が好ましい。有機過酸化物は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
有機過酸化物の分解温度は、80~195℃が好ましく、125~180℃が特に好ましい。本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
本発明においては、いずれの架橋法においても、ベースポリマー100質量部に対して、0.003~0.5質量部が好ましく、0.005~0.5質量部がより好ましく、0.005~0.2質量部が更に好ましい。
シラン架橋法において、有機過酸化物の含有量を上記範囲内にすることにより、適切な範囲で架橋反応又はグラフト化反応を行うことができ、長期耐熱性を架橋フッ素ゴム組成物に付与できる。更にゲル状のブツ(凝集塊)の発生を抑えることができる。
架橋性フッ素ゴム組成物をシラン架橋法により架橋させる場合、シラン架橋性フッ素ゴム組成物はシラノール縮合触媒を含有することが好ましい。
シラノール縮合触媒は、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位を水分の存在下で縮合反応(促進)させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、ベースポリマー同士が架橋される。
このようなシラノール縮合触媒としては、特に制限されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。有機スズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物が挙げられる。シラノール縮合触媒は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
架橋性フッ素ゴム組成物は、電線、電気ケーブル、電気コード等において、通常、使用される各種の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。このような添加剤として、例えば、滑剤、金属不活性剤、又は、充填剤(難燃(助)剤を含む。)等が挙げられる。
難燃(助)剤としては、臭素系難燃剤及び/又は三酸化アンチモンが好ましい。
臭素系難燃剤は、架橋フッ素ゴム組成物に難燃性を付与する。
臭素系難燃剤としては、特に限定されず、通常の臭素系難燃剤を使用することができる。例えば、臭素化エチレンビスフタルイミド化合物、ビス臭素化フェニルテレフタルアミド化合物、臭素化ビスフェノール化合物、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)等の有機系臭素含有難燃剤を使用することができる。
臭素系難燃剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、5~40質量部が好ましく、10~35質量部がより好ましい。
三酸化アンチモンは、難燃剤及び難燃助剤としての作用を有する。三酸化アンチモンを用いると架橋フッ素ゴム組成物の難燃性をさらに向上させることができる。
三酸化アンチモンは、通常用いられるものであれば特に制限されない。三酸化アンチモンは、適宜に合成してもよく、市販品を使用してもよい。
三酸化アンチモンの含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、5~40質量部が好ましく、2~25質量部がより好ましい。
長期耐熱性、低温柔軟性及び優れた機械特性に加えて、UL規格に規定される、垂直難燃性試験VW-1に合格する高い難燃性を付与する観点からは、臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとを併用し、ベースポリマー100質量部に対して、臭素系難燃剤を5~40質量部、及び三酸化アンチモンを5~40質量部含有させることが好ましい。
架橋フッ素ゴム組成物が、電子線架橋法により得られた架橋物である場合、架橋フッ素ゴム組成物は、ベースポリマーの架橋物と、無機フィラーと、ヒンダードフェノール系老化防止剤と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを少なくとも含有する。架橋フッ素ゴム組成物は、その他の任意の成分、例えば、シランカップリング剤等を併用した場合には、シランカップリング剤を介したベースポリマーの架橋物を含有する。
架橋フッ素ゴム組成物が、シラン架橋法により得られた架橋物である場合、架橋フッ素ゴム組成物は、ベースポリマーがシラノール縮合(シロキサン結合)を介して縮合したシラン架橋ポリマーと、ヒンダードフェノール系老化防止剤と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを少なくとも含有する。このシラン架橋ポリマーの一形態は、シラン架橋ポリマーと無機フィラーを含む。無機フィラーは、シラン架橋ポリマーのシランカップリング剤と結合していてもよい。このシラン架橋ポリマーは、複数のベースポリマーがシランカップリング剤により無機フィラーに結合又は吸着して、これらの無機フィラー及びシランカップリング剤を介して結合(架橋)した架橋ベースポリマーと、上記架橋性ポリマーのシランカップリング剤の反応部位が加水分解して互いにシラノール縮合反応することにより、シランカップリング剤を介して架橋した架橋ベースポリマーとを少なくとも含む。また、シラン架橋ポリマーは、これらの無機フィラー及びシランカップリング剤を介した結合(架橋)と、シランカップリング剤を介した架橋とが混在していてもよい。さらに、シランカップリング剤と未反応のベースポリマー成分及び/又は架橋していないシラン架橋性ポリマーを含んでいてもよい。
フッ素ゴムとエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂とを特定量で含有するベースポリマーとしたことにより、フッ素ゴムとエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂との相溶性が高まっている。このベースポリマーに対して、無機フィラー、ヒンダードフェノール系老化防止剤、及び2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩を、それぞれ特定量で併用したことにより、これらの成分が均一に分散し、かつ、このような架橋性フッ素ゴム組成物を架橋処理したことによりベースポリマー間が均一に架橋されている。その結果、低温で硬化しやすいフッ素ゴムを含有していても低温柔軟性を付与することが可能となり、一方で、175℃程度の高温で使用しうる優れた長期耐熱性を付与できる。さらに、配線材に通常要求される機械特性を維持できる。
加えて、フッ素ゴムの含有量を低減させても所望の長期耐熱性及び低温柔軟性を達成することができるため、安価に製造することが可能である。
架橋フッ素ゴム組成物の製造方法は、上記各成分を混合して架橋性フッ素ゴム組成物とし、架橋反応処理する工程を有する製造方法が好ましい。
架橋性フッ素ゴム組成物は、通常、上記成分を混合して調製することができる。
架橋性フッ素ゴム組成物は、上記各成分を一度に(溶融)混合して調製することができる。溶融混合する場合の条件は、特に限定されないが、後述する工程(A1)の条件を採用できる。架橋性フッ素ゴム組成物は、後述する配線材の製造方法における工程(E)又は(A)により調製することが好ましい。上記各成分の溶融混合により、又は工程(A)により調製したシラン架橋性フッ素ゴム組成物は、後述するように、シランカップリング剤がベースポリマーにグラフト化反応したシラン架橋性ポリマーを含有し、更には有機過酸化物の分解物を含有していてもよい。
各成分の混合順は、特に制限されないが、無機フィラーとシランカップリング剤とを予め混合することが、シランカップリング剤の揮発を抑制できる点で、好ましい。
このように、架橋フッ素ゴム組成物の製造方法は、導体の外周面に被覆層を形成する工程を含まない以外は、後述する配線材の製造方法と同じである。
本発明の配線材は、導体の外周面に本発明の架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材である。この被覆層を備えた配線材は、機械特性を維持しつつ、長期耐熱性及び低温柔軟性を備えている。本発明の配線材の好ましい態様は、皮むき加工性にも優れる。
配線材としては、電気・電子機器の内部配線若しくは外部配線に使用される電線、ケーブル、コード、光ファイバー心線又は光ファイバーコードが挙げられ、電線又はケーブルが好ましい。本発明の配線材は、中でも、特に低温柔軟性が求められる配線材(例えば寒冷地で使用されるケーブル類、冷凍機で使用されるケーブル類)として、好ましく用いることができる。
配線材は、導体の外周面に架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を少なくとも1層有していればよく、それ以外の構成は配線材の通常の構成と同様とすることができる。例えば、導体の外周面に少なくとも1層の被覆層を有する電線とすることができ、あるいは、このような電線又はこれらを複数束ねた束の外周面に被覆層としてシースを形成したケーブルとすることができる。
用いる導体としては、通常のものを用いることができ、単線でも撚線でもよく、また裸線でも錫メッキ若しくはエナメル被覆したものでもよい。導体を形成する金属材料としては軟銅、銅合金、アルミニウム等が挙げられる。
架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層は、導体の外周面に直接設けられていてもよく、又は他の部材又は層を介して間接的に設けられていてもよい。
架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層の厚さ(肉厚)は、通常の配線材と同様である。導体の周りに形成される被覆層の肉厚は特に限定しないが、通常、0.15~5mm程度である。
シラン架橋用触媒組成物は、シラノール縮合可能な反応部位を有するシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフトポリマーの架橋反応に用いるシラン架橋用触媒組成物であり、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴムとエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂とを含有するキャリアポリマーと、シラノール縮合触媒とを含有する。
シラン架橋用触媒組成物は、後述する架橋フッ素ゴム配線材の製造方法の工程(A2)において調製される触媒マスターバッチに相当し、下記工程(A2)により製造することができる。シラン架橋用触媒組成物の好ましい態様は、触媒マスターバッチの好ましい態様と同様である。
シラン架橋用触媒組成物は、ヒンダードフェノール系老化防止剤及び2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩を含有していることが好ましい。
シラン架橋用触媒組成物は、上記架橋フッ素ゴム組成物の製造に用いることができる。シラン架橋用触媒組成物は、後述する配線材の製造方法にも用いることができる。
本発明の配線材の製造方法は、上記各成分を混合して架橋性フッ素ゴム組成物とし、この架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して、架橋反応処理する工程を有することが好ましい。
以下に、配線材の製造方法の好ましい形態を説明する。
各成分の混合は、上述の、架橋性フッ素ゴム組成物の製造法における混合と同様に、後述する工程(A1)の条件を採用して行うことができる。
導体の外周面を被覆する方法は、架橋性フッ素ゴム組成物で導体を被覆できる方法であればよく、適宜の成形方法が適用される。例えば、成形方法としては、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた射出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。本発明においては、導体と架橋性フッ素ゴム組成物とを共押出する押出成形が好ましい。
押出成形は、汎用の押出成形機を用いて、行うことができる。押出成形温度は、ベースポリマーの種類、押出速度(引取り速度)の諸条件に応じて適宜に設定され、例えば、好ましくは150~190℃に設定することが好ましい。
工程(E):テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴム15~50質量%とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂50~85質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部とを溶融混練して、架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(F):工程(E)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(G):工程(F)で得られた被覆層前駆体を、電子線を照射して架橋反応処理する工程
難燃剤を配合する場合には、工程(E)で難燃剤を混合することが好ましく、工程(E)で、ベースポリマー100質量部に対して、臭素系難燃剤5~40質量部と、三酸化アンチモン5~40質量部とを混合することがより好ましい。
下記工程(A)、工程(B)、及び工程(C)を有する配線材の製造方法であって、
工程(A):テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴムフッ素ゴム15~50質量%とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂50~85質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部と、有機過酸化物0.003~0.5質量部と、ベースポリマーにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位を有するシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(C):工程(C)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させて配線材を得る工程
工程(A)が、下記工程(A1)~工程(A3)を有し、
工程(A1):ベースポリマーの一部と、無機フィラーと、シランカップリング剤とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、ベースポリマーとシランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
工程(A2):シラノール縮合触媒とキャリアポリマーとしてベースポリマーの残部とを混合する工程
工程(A3):工程(A1)で得られた溶融混合物と工程(A2)で得られた混合物とを混合する工程
工程(A1)及び工程(A2)の少なくとも一方で、ヒンダードフェノール系老化防止剤と2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを混合する、
配線材の製造方法。
工程(A)において有機過酸化物の配合量を上記含有量の範囲にすると、上記理由に加えて、ベースポリマーにシランカップリング剤を効果的にグラフト化反応させることができ、未反応のシランカップリング剤同士の縮合反応及び未反応のシランカップリング剤の揮発を抑制できる。また、ベースポリマー同士の架橋反応を抑制することもできる。その結果、上述のように、架橋フッ素ゴム組成物に高い長期耐熱性を付与しながらも、ブツの発生を抑えることができる。
工程(A1-1):無機フィラー及びシランカップリング剤を混合する工程
工程(A1-2):工程(A1-1)で得られた混合物とベースポリマーの全部又は一部とを有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、ベースポリマーとシランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
また、「ベースポリマーの残部」とは、ベースポリマーのうち工程(A1)で使用する一部を除いた残りのベースポリマーであって、具体的には、ベースポリマーそのものの残部、ベースポリマーを構成する成分の残部、ベースポリマーを構成する残りの成分をいう。
工程(A)におけるベースポリマーの配合量100質量部は、工程(A1)及び工程(A2)で混合されるベースポリマーの合計量である。
ベースポリマーは、工程(A1)において、好ましくは80~99質量%、より好ましくは85~95質量%が配合され、工程(A2)において、好ましくは1~20質量%、より好ましくは5~15質量%が配合される。この際、工程(A1)で配合されるベースポリマーには、フッ素ゴムが少なくとも10質量%(工程(A1)及び(A2)で混合されるベースポリマーの合計量に対する値)含まれるように配合することが好ましい。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混練装置としては、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。ベースポリマー成分の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーが好ましい。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、ベースポリマーの溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(A1)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、80~250℃、より好ましくは100~240℃で行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
キャリアポリマーとしての上記ベースポリマーの残部とシラノール縮合触媒との混合割合は、特に限定されないが、好ましくはシラン架橋性フッ素ゴム組成物中の上記含有量を満たすように、設定される。
混合方法は、特に制限されないが、工程(A1)の溶融混合と基本的に同様であり、少なくともベースポリマーが溶融する温度で混合する。混合温度は、ベースポリマーに応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80~250℃、より好ましくは100~240℃である。その他の条件、例えば混合(混練)時間は適宜設定することができる。
工程(A3)においては、シラノール縮合反応を避けるため、シランMBと触媒MBが混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。
この工程(B)は、シラン架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆できればよく、上述の、導体の外周面の被覆方法を特に制限されることなく適用できる。
2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩の全量を工程(A2)で混合することが好ましい。
この工程(C)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合は常温で進行する。したがって、工程(C)において、被覆層前駆体を水に積極的に接触させる必要はない。この架橋反応を促進させるために、被覆層前駆体と水分とを接触させることもできる。例えば、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水に接触させる方法を採用できる。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
なお、表1において、各例における配合に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
フッ素ゴム1:アフラス150P(商品名)、AGC旭硝子社製、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体ゴム
EVA1:UBE V221(商品名)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量20質量%、宇部丸善石油化学社製
EVA2:エバフレックスV5274(商品名)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量17質量%、三井・ダウポリケミカル社製
EVA3:エバフレックスEV360(商品名)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量25質量%、三井・ダウポリケミカル社製
EVA4:エバフレックスV421(商品名)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量28質量%、三井・ダウポリケミカル社製
EVA5:エバフレックスEV180(商品名)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量33質量%、三井・ダウポリケミカル社製
EVA6:エバフレックスV9000(商品名)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量41質量%、三井・ダウポリケミカル社製
EVA7:エバフレックスP1207(商品名)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量12質量%、三井・ダウポリケミカル社製
EVA8:UBE VF120T(商品名)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量20質量%、宇部丸善石油化学社製)
ポリエチレン1:スミカセンCU5003(商品名)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、住友化学社製
有機過酸化物1:パーヘキサ25B(商品名)、日本油脂社製、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、分解温度154℃
架橋助剤1:TAIC(商品名)、三菱ケミカル社製、トリアリルイソシアヌレート
シリカ1:クリスタライト5X(商品名)、龍森社製、シリカ
シリカ2:アエロジル200(商品名)、日本アエロジル社製、シリカ
焼成クレー1:サティトンSP-33(商品名)、エンゲルハード社製、焼成クレー
臭素系難燃剤1:サイテックス8010(商品名)、1,2-ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、アルベマール社製
三酸化アンチモン1:中国産三酸化アンチモンTwinkling star(商品名)、明和産業社製
ヒンダードフェノール系老化防止剤1:イルガノックス1010(商品名)、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、BASF社製
ヒンダードフェノール系老化防止剤2:イルガノックスMD1024(商品名)、1,2-ビス[3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、BASF社製
ヒンダードフェノール系老化防止剤3:イルガノックス1076(商品名)、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、BASF社製
2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1:ノクラックMBZ(商品名)、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-チオン・0.5亜鉛塩、大内新興化学工業社製
チオエーテル系老化防止剤1:アデカスタブAO412S(商品名)、2,2-ビス{[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル}プロパン-1,3-ジイル ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオナート]、アデカ社製
シランカップリング剤1:KBM-1003(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)
シラノール縮合触媒1:アデカスタブOT-1(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウリレート)
本実施例、本参考例及び本比較例においては、シラン架橋性フッ素ゴム組成物を調製し、これを導体の外周面上に押出成形した後にシラノール縮合反応させて形成した被覆層を有する配線材を製造した。
まず、表1の「シランMB」欄に示す各成分のうち無機フィラーとシランカップリング剤と有機過酸化物とを、表1に示す質量比で、東洋精機製10Lヘンシェルミキサーに投入し、室温(25℃)で10分混合して、粉体混合物を得た。次に、このようにして得られた粉体混合物と、表1の「シランMB」欄に示すベースポリマー及び老化防止剤、並びに難燃剤を配合する場合には難燃剤とを、表1に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、有機過酸化物の分解温度以上の温度、具体的には190℃において10分混練り後、材料排出温度200℃で排出し、シランMBを得た(工程(A1))。得られたシランMBは、ベースポリマーにシランカップリング剤がグラフト反応したシラン架橋性ポリマーを含有している。
次いで、シランMBと触媒MBとを密閉型のリボンブレンダーに投入し、室温(25℃)で5分間ドライブレンドしてドライブレンド物を得た。このとき、シランMBと触媒MBとの混合比は、表1に示す質量比である。
次いで、得られたドライブレンド物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=24、スクリュー直径30mmのスクリューを備えた押出機(圧縮部スクリュー温度170℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内でドライブレンド物を溶融混合しながら(工程(A3))(シラン架橋性フッ素ゴム組成物)、1/0.8TA導体の外側に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの被覆導体を得た(工程(B))。この被覆導体を温度40℃、湿度95%の雰囲気に1週間放置した(工程(C))。
このようにして、上記導体の外周面上に、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材(電線)をそれぞれ製造した。
この配線材は後述する<低温柔軟性試験>以外の評価試験に使用した。
この配線材は後述する<低温柔軟性試験>にのみ使用した。
まず、表1に示す、無機フィラーとシランカップリング剤とを、表1に示す質量比で、東洋精機製10Lヘンシェルミキサーに投入し、室温(25℃)で1時間混合して、粉体混合物を得た。次に、このようにして得られた粉体混合物と、表1に示す、ベースポリマー、架橋助剤、難燃剤、及び老化防止剤とを、表1に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、具体的には190℃において10分混練り後、材料排出温度200℃で排出し、電子線架橋性フッ素ゴム組成物を得た(工程(E))。
次いで、得られた電子線架橋性フッ素ゴム組成物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=24、スクリュー直径30mmのスクリューを備えた押出機(圧縮部スクリュー温度170℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内で上記電子線架橋性フッ素ゴム組成物を溶融混合しながら、1/0.8TA導体の外側に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの被覆導体を得た(工程(F))。
この被覆導体を電子線架橋設備に通し、加速電圧750keVで12Mradの電子線を照射して架橋反応処理して、配線材を得た(工程(G))。
この配線材は後述する<低温柔軟性試験>以外の評価試験に使用した。
この配線材は後述する<低温柔軟性試験>にのみ使用した。
比較例2については、低温柔軟性試験に不合格であったため、加熱老化試験を行わなかった。
比較例4については、配線材形状に成形できなかったため、押出外観試験以外の試験を行わなかった。
配線材の機械特性を引張試験により評価した。
各配線材から導体を抜き取って作製した管状片を用いて、室温(25℃)で、JIS C 3005に基づき、標線間距離20mm、引張速度200mm/分で引張試験を行い、引張強度(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。
引張強度は10MPa以上が合格である。また、引張伸びは、100%以上が合格である。
配線材の長期耐熱性について、下記方法により評価した。試験方法の詳細は後述するが、本試験では、180℃又は200℃で試験体を168時間保持した際の引張強度残率及び引張伸び残率を求めた。200℃で168時間保持した際の、引張強度残率及び引張伸び残率の両方が、後述する基準を満たしているとき、本加熱老化試験に合格とする。180℃又は200℃の各保持温度における試験において下記基準を満足することは、UL規格における、UL150℃及びUL175℃用の耐熱老化性試験にそれぞれ合格することに相当し、それぞれ150℃及び175℃での使用(配線材の温度が一時的に180℃、又は200℃程度まで上昇しうる使用)に耐える配線材であることを意味する。表中には、180℃で168時間保持した際の引張強度残率及び引張伸び残率を合わせて示した。以下に、評価方法を詳述する。
別途、各配線材から導体を抜き取って作製した管状片を180℃又は200℃の恒温槽中に168時間放置し、常温に取り出した後、16時間放置し、その後JIS C 3005に基づき、標線間距離20mm、引張速度200mm/分の条件で引張試験を行い、引張強度(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。
保持後の引張強さを保持前の引張強さで除して、引張強さの残率(%)を算出した。加えて、保持後の引張伸びを保持前の引張伸びで除して、引張伸びの残率(%)を算出した。得られた引張強度残率及び引張伸び残率を以下の基準で評価した。
-基準-
180℃168時間で保持した配線材:引張強度残率(%)80%以上及び引張伸び残率(%)75%以上
200℃168時間で保持した配線材:引張強度残率(%)70%以上及び引張伸び残率(%)50%以上
配線材の低温柔軟性について、JASO D 618に準じて評価を行った。
固定面と固定面に対して水平に配置した板を具備した装置を準備した。各配線材(400mm)を、曲げ半径が80mmとなるようにU字に曲げ、両端部を鉛直方向に配置して、上記装置の固定面の上面と板の下面にそれぞれ固定した。さらに、上記板の上面の、配線材の上端部側の固定位置から屈曲部に向けて70mmの位置にロードセルを設置した。ロードセルを100mm/分の速度で下降させ、配線材の曲げ半径が40mmになるまでの最大荷重(N)を測定した。測定は、-10℃の雰囲気中において行った。
最大荷重が50N以下のものを合格とした。
外観品質を押出外観試験により評価した。押出外観試験は、被覆導体を製造する際に、被覆導体の外観品質を観察して評価した。
被覆導体の外観にブツがなく配線材形状に成形できたものを「A」、ブツの発生を確認できたが外観品質に問題がない程度であり、配線材形状に成形できたものを「B」、著しく外観不良が発生して配線材形状に成形できなかったものを「C」とした。押出外観試験は、評価「B」以上が本試験の合格レベルである。
配線材を40℃の恒温槽に1週間投入し、常温に取り出し1日後に、配線材の表面を目視で観察した。
目視で配線材の表面に粉(組成物中の成分が表面に移行して結晶化したもの)が堆積しているのが確認できるものを「×」、目視では確認できないが顕微鏡で50倍に拡大して観察した際に配線材の表面に粉の吹き出しが確認できるものを「△」、表面に粉が吹き出していないものを「○」とした。「〇」であることが好ましい。
難燃性試験として、各絶縁配線材について準備した3検体(N=3)それぞれについて、UL1581 VW-1試験(垂直燃焼試験)を行った。本発明においては、3検体すべてが合格した場合を「A」で表記し、3検体のいずれかが不合格の場合を「B」で表記した。
ここで、VW-1試験は高度の難燃性が要求される用途の配線材に向けた試験である。このため、VW-1に不合格であったとしても、通常の配線材に要求される難燃性を有していないことを意味しない。
これに対し、本発明で規定する組成を満たす架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理して得られる架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材は、いずれの架橋方法を採用しても、優れた機械特性を維持しながらも、さらに長期耐熱性と低温柔軟性を兼ね備えている。このため、優れた機械強度を維持しつつ、少なくとも175℃程度の高温で使用しうる長期耐熱性を発現し、さらに-10℃での低温柔軟性を示す。これは上記組成物中で各成分が均一に分散及し、ベースポリマー間が架橋しているためと考えられる。
Claims (13)
- 下記架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理した、架橋フッ素ゴム組成物。
[架橋性フッ素ゴム組成物]
テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴム15~35質量%とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂65~85質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部とを含有する架橋性フッ素ゴム組成物。 - 前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースポリマー100質量部に対して、前記ベースポリマーにグラフト化反応したシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを含有する、請求項1に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
- 前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースポリマー100質量部に対して、臭素系難燃剤5~40質量部と、三酸化アンチモン5~40質量部とを含有する請求項1又は2に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
- 前記ベースポリマー100質量部に対する、前記無機フィラーの含有量が8~60質量部である請求項1~3のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を導体の外周面に有する配線材。
- 下記工程(E)、工程(F)及び工程(G)を有する配線材の製造方法。
工程(E):テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴム15~35質量%とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂65~85質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部とを溶融混練して、架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(F):前記工程(E)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を形成する工程
工程(G):前記工程(F)で得られた被覆層前駆体を、電子線を照射して架橋反応処理する工程 - 前記工程(E)で、前記ベースポリマー100質量部に対して、臭素系難燃剤5~40質量部と、三酸化アンチモン5~40質量部とを混合する、請求項6に記載の配線材の製造方法。
- 下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する配線材の製造方法であって、
工程(A):テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴムフッ素ゴム15~35質量%とエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂65~85質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5~150質量部と、ヒンダードフェノール系老化防止剤1.0~4.0質量部と、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1.0~12.0質量部と、有機過酸化物0.003~0.5質量部と、前記ベースポリマーにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(B):前記工程(A)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(C):前記工程(B)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させて配線材を得る工程
前記工程(A)が、下記工程(A1)~工程(A3)を有し、
工程(A1);前記ベースポリマーの一部と、前記無機フィラーと、前記シランカップリング剤とを、前記有機過酸化物の存在下で前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記ベースポリマーと前記シランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
工程(A2):前記シラノール縮合触媒とキャリアポリマーとして前記ベースポリマーの残部とを混合する工程
工程(A3):前記工程(A1)で得られた溶融混合物と前記工程(A2)で得られた混合物とを混合する工程
前記工程(A1)及び前記工程(A2)の少なくとも一方で、前記ヒンダードフェノール系老化防止剤と前記2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを混合する、
配線材の製造方法。 - 前記ヒンダードフェノール系老化防止剤と前記2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを、合計量の95質量%以上の割合を前記工程(A2)において混合し、残部を前記工程(A1)において混合する、請求項8に記載の配線材の製造方法。
- 前記ベースポリマーの残部が、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂と前記テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体フッ素ゴムの両方を含有する請求項8又は9に記載の配線材の製造方法。
- 前記工程(A1)及び前記工程(A2)の少なくとも一方で、前記ベースポリマー100質量部に対して、臭素系難燃剤5~40質量部と、三酸化アンチモン5~40質量部とを混合する、請求項8~10のいずれか1項に記載の配線材の製造方法。
- 前記ベースポリマー100質量部に対する、前記無機フィラーの配合量が8~60質量部である請求項8~11のいずれか1項に記載の配線材の製造方法。
- 請求項6~12のいずれか1項に記載の製造方法で製造されてなる配線材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2020058155A JP7470552B2 (ja) | 2020-03-27 | 2020-03-27 | 架橋フッ素ゴム組成物、これを用いた配線材及びその製造方法、並びにシラン架橋用触媒組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2020058155A JP7470552B2 (ja) | 2020-03-27 | 2020-03-27 | 架橋フッ素ゴム組成物、これを用いた配線材及びその製造方法、並びにシラン架橋用触媒組成物 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2021155590A JP2021155590A (ja) | 2021-10-07 |
| JP7470552B2 true JP7470552B2 (ja) | 2024-04-18 |
Family
ID=77917261
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2020058155A Active JP7470552B2 (ja) | 2020-03-27 | 2020-03-27 | 架橋フッ素ゴム組成物、これを用いた配線材及びその製造方法、並びにシラン架橋用触媒組成物 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7470552B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN116490554B (zh) * | 2021-11-22 | 2025-07-22 | 古河电气工业株式会社 | 树脂组合物、树脂被覆材、绝缘电线、汽车用线束和用于汽车用线束的绝缘电线的制造方法 |
| JP7732908B2 (ja) * | 2022-01-21 | 2025-09-02 | 古河電気工業株式会社 | 耐熱性シラン架橋樹脂成形体、シラン架橋性樹脂組成物及びそれらの製造方法、並びに配線材 |
| CN116218104B (zh) * | 2023-03-11 | 2024-06-04 | 浙江圆通新材料有限公司 | 一种耐plasma的半导体用石墨烯基氟橡胶密封圈的制备方法 |
| WO2024195048A1 (ja) * | 2023-03-22 | 2024-09-26 | 古河電気工業株式会社 | 耐熱性シラン架橋樹脂成形体、シラン架橋性樹脂組成物及びそれらの製造方法、並びに配線材 |
| CN116715920B (zh) * | 2023-08-10 | 2023-10-20 | 广东永鑫华新型材料有限公司 | 一种电器用高强度耐高温阻燃聚丙烯材料及其制备方法 |
Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006124614A (ja) | 2004-11-01 | 2006-05-18 | Kurabe Ind Co Ltd | ノンハロゲン難燃性組成物及び電線 |
| JP2009286903A (ja) | 2008-05-29 | 2009-12-10 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 難燃性樹脂組成物およびそれを被覆した電線 |
| JP2014038137A (ja) | 2012-08-10 | 2014-02-27 | Fuji Xerox Co Ltd | 電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ |
| WO2017138642A1 (ja) | 2016-02-12 | 2017-08-17 | 古河電気工業株式会社 | 耐熱性架橋フッ素ゴム成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、耐熱性製品 |
| JP2017171889A (ja) | 2016-03-22 | 2017-09-28 | 古河電気工業株式会社 | 難燃性架橋樹脂組成物及び配線材 |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| FR2442870B1 (fr) * | 1978-12-01 | 1986-05-23 | Gen Electric | Composes polyolefiniques ayant une stabilite au vieillissement thermique amelioree, conducteurs electriques isoles a l'aide de ces composes, et leurs procedes de production |
| JPS6116412A (ja) * | 1984-07-02 | 1986-01-24 | 日立電線株式会社 | 含ふつ素エラストマ被覆電線・ケ−ブル |
-
2020
- 2020-03-27 JP JP2020058155A patent/JP7470552B2/ja active Active
Patent Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006124614A (ja) | 2004-11-01 | 2006-05-18 | Kurabe Ind Co Ltd | ノンハロゲン難燃性組成物及び電線 |
| JP2009286903A (ja) | 2008-05-29 | 2009-12-10 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 難燃性樹脂組成物およびそれを被覆した電線 |
| JP2014038137A (ja) | 2012-08-10 | 2014-02-27 | Fuji Xerox Co Ltd | 電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ |
| WO2017138642A1 (ja) | 2016-02-12 | 2017-08-17 | 古河電気工業株式会社 | 耐熱性架橋フッ素ゴム成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、耐熱性製品 |
| JP2017171889A (ja) | 2016-03-22 | 2017-09-28 | 古河電気工業株式会社 | 難燃性架橋樹脂組成物及び配線材 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2021155590A (ja) | 2021-10-07 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP7470552B2 (ja) | 架橋フッ素ゴム組成物、これを用いた配線材及びその製造方法、並びにシラン架橋用触媒組成物 | |
| JP5640889B2 (ja) | 電線・ケーブル | |
| US11192984B2 (en) | Heat-resistant crosslinked fluorocarbon rubber formed body and method for producing the same, silane master batch, master batch mixture and formed body thereof, and heat-resistant product | |
| JP6523405B2 (ja) | 耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品 | |
| WO2017138641A1 (ja) | 耐熱性塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、耐熱性製品 | |
| JP6706854B2 (ja) | 耐熱性架橋樹脂成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性製品 | |
| JP6762341B2 (ja) | 耐熱性架橋フッ素ゴム成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物、並びに、耐熱性製品 | |
| JP7203783B2 (ja) | 耐熱性難燃架橋フッ素ゴム成形体及びその製造方法、並びに耐熱性製品 | |
| JPWO2018180690A1 (ja) | 耐熱性塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ及びマスターバッチ混合物、並びに、耐熱性製品 | |
| JP5995813B2 (ja) | 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品 | |
| JP6706855B2 (ja) | 耐熱性塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性製品 | |
| WO2020013187A1 (ja) | 耐熱性架橋フッ素ゴム成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性製品 | |
| JP2017141386A (ja) | 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、並びに、シランマスターバッチ及び耐熱性製品 | |
| CN104822744B (zh) | 使用了耐热性硅烷交联性树脂组合物的成型体的制造方法 | |
| JP6567589B2 (ja) | 塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、成形品 | |
| JP2017179236A (ja) | 耐熱性塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、耐熱性製品 | |
| JP6639937B2 (ja) | 耐熱性シラン架橋熱可塑性エラストマー成形体の製造方法、シランマスターバッチ、並びに、耐熱性製品 | |
| JP7426876B2 (ja) | 架橋フッ素ゴム組成物、並びに、これを用いた配線材及びその製造方法 | |
| JP6582012B2 (ja) | 耐熱性塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ及びマスターバッチ混合物、並びに、耐熱性製品 | |
| JP7214677B2 (ja) | 架橋フッ素ゴム組成物、並びに、これを用いた配線材及びその製造方法 | |
| JP7732908B2 (ja) | 耐熱性シラン架橋樹脂成形体、シラン架橋性樹脂組成物及びそれらの製造方法、並びに配線材 | |
| JP7203782B2 (ja) | 耐熱性架橋フッ素ゴム成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性製品 | |
| JP2024140153A (ja) | 架橋性樹脂組成物、耐熱性架橋物、耐熱性架橋樹脂成形体及び耐熱性架橋樹脂成形品、並びに、シラン架橋性樹脂組成物及び耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法 | |
| JP2019179627A (ja) | 配線材 | |
| JP2025152556A (ja) | 樹脂組成物、樹脂被覆材、絶縁電線、絶縁電線の製造方法、自動車用ワイヤーハーネス及び自動車用ワイヤーハーネスの製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20221024 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230714 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230725 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230922 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20231212 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20240109 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20240326 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20240408 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7470552 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |


