JP7203782B2 - 耐熱性架橋フッ素ゴム成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性製品 - Google Patents

耐熱性架橋フッ素ゴム成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性製品 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性架橋フッ素ゴム成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性製品に関する。
電気・電子機器分野や産業分野に使用される、絶縁電線、ケーブル、コード、光ファイバー心線又は光ファイバーコード(光ファイバーケーブル)の配線材には、通常、難燃性、耐熱性、機械特性(例えば引張特性)等が要求される。
機械特性及び耐熱性は、配線材の安全性、信頼性の点で、重要な特性である。例えば、電子レンジ又はガスレンジ、更には自動車等の車両の耐熱部等に使用される配線材には、その安全性や信頼性の点で、例えば200℃程度の高温環境下においても被覆層(絶縁層)が溶融はもちろん軟化もしないほどの高い耐熱性が求められる。このような高い耐熱性が求められる被覆層を形成する材料として、フッ素ゴム、架橋フッ素ゴムが着目されている。例えば、特許文献1及び2には、フッ素ゴムを含有するベースゴムをシランカップリング剤でシラン架橋させて得られる耐熱性架橋フッ素ゴム成形体が記載されている。
国際公開第2017/138642号 特開2020-007476号公報
特許文献1及び2に記載の技術により成形体の耐熱性を改善することができ、例えば特許文献1の耐熱性架橋フッ素ゴム成形体は200℃の高温環境下においても軟化も溶融もしない高い耐熱性を示す。
しかし、近年の電気・電子機器等の高性能化及び小型化の急速な進展により、耐熱性に対する要求レベルは増々高くなっている。例えば、250℃以上の高温環境下に長期間配設(使用)されても、軟化溶融を防止しながらも、機械特性等の特性が劣化しない、より高度の耐熱性が求められている。
本発明は、優れた機械特性を維持しながらも、更に高度の耐熱性を発現する耐熱性架橋フッ素ゴム成形体、及びその製造方法を提供することを、課題とする。また、本発明は、上記優れた特性を示す耐熱性架橋フッ素ゴム成形体を含む耐熱性製品を提供することを、課題とする。
本発明者らは、フッ素ゴムを用いたシラン架橋法において、無機フィラーの存在下におけるシランカップリング剤のグラフト化反応時に、フッ素ゴムに対して、エチレン-テトラフルオロエチレン樹脂を併用したうえで、更にエチレン-酢酸ビニル共重合体等のエチレン共重合体樹脂を共存させ、かつフッ素ゴム及び各樹脂を特定の配合割合に設定することにより、優れた機械特性を維持しながらも耐熱性の更なる改善が可能となり、例えば250℃の高温環境下においても軟化溶融だけでなく機械特性の低下をも防止できる耐熱性架橋フッ素ゴム成形体を製造できることを見出した。
本発明者らはこの知見に基づき更に研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
<1>下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する耐熱性架橋フッ素ゴム成形体の製造方法であって、
工程(A):フッ素ゴムと、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂と、エ
チレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のエチレン共重合
体樹脂とを含有するベースゴム100質量部に対して、有機過酸化物0
.003~0.5質量部と、無機フィラー0.5~400質量部と、前
記ベースゴムにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位及び前記無機
フィラーと化学結合しうる、シラノール縮合可能な反応部位を有するシ
ランカップリング剤2~15質量部と、シラノール縮合触媒とを混合し
て混合物を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
工程(C):工程(B)で得られた成形体と水とを接触させて耐熱性架橋フッ素ゴム
成形体を得る工程
前記工程(A)を行うに際して、下記工程(A-1)でベースゴムの一部を用いる場合、前記工程(A)は下記工程(A-1)~工程(A-3)を有し、下記工程(A-1)でベースゴムの全部を用いる場合、前記工程(A)は下記工程(A-1)及び工程(A-3)を有する、耐熱性架橋フッ素ゴム成形体の製造方法。
工程(A-1):前記ベースゴムの全部又は一部として、前記フッ素ゴム30~85
質量%、前記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂3~
40質量%及び前記エチレン共重合体樹脂5~18質量%に対して
、前記質量比の、前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤
を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記ベ
ースゴムと前記シランカップリング剤とをグラフト化反応させる工

工程(A-2):前記ベースゴムの残部とシラノール縮合触媒とを混合する工程
工程(A-3):工程(A-1)で得られた溶融混合物と、シラノール縮合触媒又は
工程(A-2)で得られた混合物とを混合する工程
<2>前記フッ素ゴムがテトラフルオロエチレン-プロピレンゴムを含む、<1>に記載の製造方法。
<3>前記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂の融点が230℃以下である、<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>前記有機過酸化物の含有量が0.005~0.5質量部である、<1>~<3>のいずれか1項に記載の製造方法。
<5>前記シランカップリング剤の含有量が3質量部以上である、<1>~<4>のいずれか1項に記載の製造方法。
<6>前記シランカップリング剤の含有量が4質量部以上である、<1>~<5>のいずれか1項に記載の製造方法。
<7>前記シランカップリング剤がビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである、<1>~<6>のいずれか1項に記載の製造方法。
<8>前記無機フィラーが、シリカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛若しくは焼成クレー又はこれらの組み合わせを含む、<1>~<7>のいずれか1項に記載の製造方法。
<9>前記工程(A-1)における溶融混合が密閉型のミキサーを用いて行われる、<1>~<8>のいずれか1項に記載の製造方法。
<10>上記<1>~<9>のいずれか1項に記載の製造方法により製造された耐熱性架橋フッ素ゴム成形体。
<11>上記<1>~<10>に記載の耐熱性架橋フッ素ゴム成形体を含む耐熱性製品。
<12>前記耐熱性架橋フッ素ゴム成形体からなる被覆層を導体の外周面に有する<11>に記載の耐熱性製品。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、優れた機械特性を維持しながらも、更に高度の耐熱性を発現する耐熱性架橋フッ素ゴム成形体、及びその製造方法を提供できる。また、本発明は、上記優れた特性を示す耐熱性架橋フッ素ゴム成形体を含む耐熱性製品を提供できる。
まず、本発明に用いる各成分について説明する。
<ベースゴム>
本発明に用いられるベースゴムは、フッ素ゴムと、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂と、エチレン共重合体樹脂とを必須成分として特定の含有率で含有する。このベースゴムを本発明で規定するシラン架橋法に適用することにより、耐熱性架橋フッ素ゴム成形体(本発明の成形体ということがある。)に優れた機械特性を付与できる。しかも、高度な耐熱性を発現して、高温環境下においても、本発明の成形体の軟化溶融を防止できるだけでなく、優れた機械特性を維持できる。
本発明において、高温環境の温度は、従来求められている耐熱性よりも高い温度であり、用途等に応じた要求レベルにより一義的ではない。例えば、250℃以上の温度が挙げられる。上限温度としては例えば300℃が実際的である。
高度な耐熱性を発現する本発明の成形体は、上記高温環境下において、軟化も溶融もせずに形状を維持できる。しかも、優れた機械特性を損なうことなく維持できる。機械特性を維持する程度は、例えば、後述する実施例における「耐熱老化試験」での合格レベルである。
また、本発明の成形体は、上記機械特性及び耐熱性に加えて、更に加工性にも優れる。
通常、配線材の被覆層材料としてフッ素ゴムを用いると、導体との密着性が強固になって、配線若しくは配設時に被覆層を除去(皮むき加工)しにくくなる。しかし、フッ素ゴムに対して上記両樹脂を特定の含有率で併用した材料で形成される本発明の成形体は、導体に対して適度な密着性を示し、皮むき加工しやすくなる。
- フッ素ゴム -
フッ素ゴムとしては、特に限定されるものではなく、従来、耐熱性ゴム成形体に使用されている通常のものを使用することができる。このようなフッ素ゴムとしては、シランカップリング剤のグラフト化反応部位と有機過酸化物の存在下でグラフト化反応可能な部位を主鎖中又はその末端に有するゴムが挙げられる。このようなグラフト化反応可能な部位としては、特に制限されないが、例えば、炭素鎖の不飽和結合部位、水素原子を有する炭素原子が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、主鎖又は側鎖にフッ素原子を含有する、単独重合体若しくは共重合体のゴムが挙げられ、通常、フッ素原子を含有する単量体(モノマー)を(共)重合することにより、得られる。
このようなフッ素ゴムとしては、特に限定されるものではないが、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン等のパーフルオロ炭化水素、及び、フッ化ビニリデン等の部分フッ素炭化水素等の含フッ素モノマー同士の共重合体ゴム、更にはこれらの含フッ素モノマーとエチレン及び/又はプロピレン等の炭化水素の共重合体ゴムが挙げられる。具体的には、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体ゴム(FEPM)、テトラフルオロエチレン-フッ化(例えばヘキサフルオロ)プロピレン共重合体ゴム、テトラフルオロエチレン-パーフルオロビニルエーテル共重合体ゴム(FFKM)、フッ化ビニリデンゴム(FKM、例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴム)等が挙げられる。更には、上述の含フッ素モノマーとクロロプレン及び/又はクロロスルホン化ポリエチレンとの共重合体ゴムも挙げられる。
これらのフッ素ゴムの中でも、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体ゴム、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴムが好ましく、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体ゴムがより好ましい。
フッ素ゴム中のフッ素原子含有量(フッ素ゴム全量に対するフッ素原子の質量割合)は、特に限定されないが、25質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。フッ素含有量の上限は、フッ素化する前の重合体が有する、フッ素原子で置換可能な水素原子のすべてをフッ素原子で置換した場合の質量割合となり、フッ素化する前の重合体の分子量、フッ素原子で置換可能な水素原子の数等により、一義的に決定できない。例えば、75質量%とすることができる。
本発明において、フッ素含有量は合成時の計算値、又は、炭酸カリウム加熱分解法によって求められる。炭酸カリウム加熱分解法としては、能代誠ら、日化、6、1236(1973)に記載の方法が挙げられる。
フッ素ゴムは、適宜に合成してもよく、市販品を使用してもよい。
例えば、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体ゴムとしては、アフラス(商品名、AGC社製)が挙げられる。テトラフルオロエチレン-パーフルオロビニルエーテル共重合体ゴムとしては、カルレッツ(商品名、デュポン社製)が挙げられる。フッ化ビニリデンゴムとしては、バイトン(商品名、デュポン社製)、ダイエル(商品名、ダイキン工業社製)、ダイニオン(商品名、3M社製)、テクノフロン(商品名、ソルベー社製)等が挙げられる。
- エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂-
ベースゴムは、フッ素ゴムに加えてエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂(ETFE樹脂ということがある。)を含有する。このETFE樹脂は、グラフト化反応可能な部位(水素原子を有する炭素原子)を主鎖中又はその末端に有しており、ベースゴムがETFE樹脂を含有していると、機械特性の改善に加えて、耐熱性を大きく向上させることができる。
エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂は、エチレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体の樹脂であれば、特に限定されず、通常、2元共重合体の樹脂であって、共重合比等は適宜に設定できる。
ETFE樹脂の融点は、特に制限されないが、グラフト化反応(後述する工程(A-1))を適切に行える点で、230℃以下が好ましい。工程(A-1)における、シランカップリング剤の揮発及び縮合反応を抑制できる点で、ETFE共重合体樹脂の融点は、200℃以下がより好ましく、180℃以下が更に好ましい。共重合体樹脂の融点はASTM D3159に基づき測定することができる。
- エチレン共重合体樹脂 -
ベースゴムは、フッ素ゴム及びETFE樹脂に加えてエチレン共重合体樹脂を含有している。エチレン共重合体樹脂としては、グラフト化反応可能な部位を主鎖中又はその末端に有する共重合体樹脂が好ましく挙げられ、ベースゴムがエチレン共重合体樹脂を含有していると、成形体の強度を高め、耐熱性を更に改善できる。また、ベースゴムの成形性が向上し、更には成形体の耐摩耗性等も改善できる。
エチレン共重合体樹脂としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸アルキル(好ましくは炭素数1~12)エステルが好ましく、例えば、エチレン-アクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン-アクリル酸ブチル共重合体樹脂が挙げられる。
エチレン共重合体樹脂における共重合比等は、特に制限されず、適宜に設定できる。
- ベースゴムにおける他の成分 -
本発明において、ベースゴムは、フッ素ゴム、ETFE樹脂及びエチレン共重合体樹脂に加えて、他の重合体(樹脂、エラストマー、ゴム)、オイル成分等を含有していてもよい。
他の重合体としては、特に制限されないが、上述のグラフト化反応可能な部位を主鎖中又はその末端に有する共重合体が好ましく挙げられ、配線材の被覆層等の各種成形体に使用される通常のものを使用することができる。例えばポリオレフィン樹脂、塩素含有樹脂(JIS K 7229-1995に規定する樹脂、例えば塩素化ポリエチレン又はクロロプレンゴム)、ETFE樹脂以外のフッ素樹脂が挙げられる。
ETFE樹脂以外のフッ素樹脂としては、主鎖又は側鎖にフッ素原子を含有する、単独重合体若しくは共重合体の樹脂が挙げられる。フッ素樹脂は、通常、フッ素原子を含有する単量体(モノマー)を(共)重合することにより、得られる。このようなフッ素樹脂としては、特に限定されるものではないが、上述の含フッ素モノマー同士の共重合体樹脂、更には上述の含フッ素モノマーと上述の炭化水素の共重合体の樹脂が挙げられる。具体的には、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルエーテル共重合体樹脂、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等が挙げられる。中でも、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、若しくはポリフッ化ビニリデン樹脂、又はこれらの組合せが好ましい。これらフッ素樹脂は、特に制限されないが、上記ETFE樹脂で規定する範囲の融点を有することが好ましい。
オイル成分は、特に限定されないが、有機油又は鉱物油が好ましく挙げられ、具体的には、パラフィンオイル、ナフテンオイル等が挙げられる。
- ゴム又は樹脂の酸変性 -
ベースゴムに用いるゴム及び樹脂は、それぞれ、不飽和カルボン酸で変性されていてもよい。例えば、エチレン共重合体樹脂として、不飽和カルボン酸変性樹脂を用いることができる。ベースゴムに用いるエチレン共重合体樹脂は、その一部が不飽和カルボン酸で変性されていてもよく、全部が不飽和カルボン酸で変性されていてもよい。
変性に用いる不飽和カルボン酸としては、樹脂等の酸変性に通常用いられる不飽和カルボン酸であれば特に制限されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)フマル酸が挙げられる。不飽和カルボン酸による変性量は、特に制限されず、適宜に設定できる。
ベースゴムが含有する各成分は、いずれも、1種でも2種以上でもよい。
- ベースゴム中の含有率 -
ベースゴムは、上記各成分の総含有率が100質量%となるように、各成分の含有率が好ましくは下記範囲内から適宜に決定される。
本発明に用いるベースゴム(本発明の成形体を形成するベースゴム)の組成(ゴム又は樹脂(成分)の種類と含有率)は、後述する工程(A-1)で用いるベースゴムの組成を包含する(満たす)限り、特に限定されず、適宜に設定される。例えば、本発明の成形体を形成するベースゴムの全部(ベースゴム全体)を工程(A-1)で混合する場合、ベースゴム全体の組成は工程(A-1)で用いるベースゴムの組成と同じ組成とされる。一方、ベースゴム全体のうちの一部を工程(A-1)で混合する場合、ベースゴム全体は、このベースゴムの一部と、キャリアゴムの組成(好ましくは、フッ素ゴム、ETFE樹脂等とそれらの含有率)との合計とされる。
このようにベースゴム全体の組成は製造方法又は製造条件等の変更により一義的に決定されない。
工程(A-1)でベースゴムの全部を混合する場合、各成分の含有率の一例として、後述するシランMB調製用ベースゴムの組成が挙げられる。
一方、工程(A-1)でベースゴム全体のうちの一部を混合する場合の、ベースゴム全体における各成分の含有率の一例を以下に示す。
ベースゴム全体中において、フッ素ゴムの含有率は40~90質量%であることが好ましく、ETFE樹脂の含有率は3~55質量%であることが好ましく、エチレン共重合体樹脂の含有率は5~18質量%であることが好ましい。上記3成分の含有率がいずれも上記範囲内にあると、本発明の成形体に優れた機械特性を付与しながらも高度な耐熱性を発現させることができる。
フッ素ゴムの、ベースゴム全体中の含有率は、耐熱性を維持しながら引張強さと引張伸びをバランスよく改善でき、更には優れた耐油性等を付与できる点で、50~85質量%であることがより好ましく、55~80質量%であることが更に好ましく、60~80質量%であることが特に好ましい。
ETFE樹脂の、ベースゴム全体中の含有率は、機械特性の改善効果が大きく、しかもより高度な耐熱性を実現できる点で、5~45質量%であることがより好ましく、10~30質量%であることが特に好ましい。
エチレン共重合体樹脂の、ベースゴム全体中の含有率は、引張強さ及び耐熱性をバランスよく向上させることができる点で、7~15質量%であることがより好ましく、10~15質量%であることが更に好ましい。
他の重合体の、ベースゴム全体中の含有率は、特に制限されず、適宜に決定される。
なお、上記各成分の含有率は、対応する成分が酸変性されている場合、上記各成分の含有率に酸変性物の含有率を加算する。
オイル成分の、ベースゴム全体中の含有率は、特に制限されないが、0~20質量%であることが好ましく、0~10質量%であることがより好ましい。オイルの含有率が上記範囲内にあると、オイル成分のブリード、更には架橋成形体の強度低下を抑制できる。
<有機過酸化物>
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、シランカップリング剤のベースゴム成分へのラジカル反応によるグラフト反応を生起させる働きをする。特にシランカップリング剤の反応部位が例えばエチレン性不飽和基を含む場合、エチレン性不飽和基とベースゴム成分とのラジカル反応(ベースゴム成分からの水素ラジカルの引き抜き反応を含む)によるグラフト反応を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば、特に制限はなく、従来のシラン架橋法に用いられるものを特に制限されずに用いることができる。このような有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド(DCP)、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン又は2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3が好ましい。
有機過酸化物の分解温度は、80~195℃が好ましく、125~180℃が特に好ましい。本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
有機過酸化物は、1種を用いても、2種以上を用いてもよい。
<無機フィラー>
本発明において、無機フィラーは、特に制限されないが、その表面に、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位と水素結合若しくは共有結合等、又は分子間結合により、化学結合しうる部位を有するものが好ましい。シランカップリング剤の反応部位と化学結合しうる部位としては、特に制限されないが、OH基(水酸基、含水若しくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラーとしては、具体的には、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク等の水酸基あるいは結晶水を有する化合物のような金属水和物が挙げられる。また、窒化ほう素、シリカ(結晶質シリカ、非晶質シリカ等)、カーボン、クレー(焼成クレー)、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛等が挙げられる。
無機フィラーは、シリカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛若しくは焼成クレー又はこれらの組み合わせが好ましく、少なくともシリカを含む組み合わせがより好ましい。
無機フィラーは、シランカップリング剤等で表面処理した表面処理無機フィラーを使用することができる。例えば、シランカップリング剤表面処理無機フィラーとして、キスマ5L、キスマ5P(いずれも商品名、水酸化マグネシウム、協和化学工業社製等)が挙げられる。シランカップリング剤による無機フィラーの表面処理量は、特に限定されないが、例えば、3質量%以下である。
無機フィラーは、1種を用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
無機フィラーが粉体である場合、無機フィラーの平均粒径は、特に制限されないが、0.2~10μmが好ましく、0.3~8μmがより好ましく、0.4~5μmが更に好ましく、0.4~3μmが特に好ましい。平均粒径が上記範囲内にあると、シランカップリング剤の保持効果が高く、耐熱性に優れたものとなる。また、シランカップリング剤との混合時に無機フィラーが2次凝集しにくく、外観に優れたものとなる。また、無機フィラーが2次凝集しにくくなり、外観に優れた成形体となる。平均粒径は、無機フィラーをアルコールや水で分散させて、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置等の光学式粒径測定器によって求められる。
<シランカップリング剤>
本発明に用いるシランカップリング剤は、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下でベースゴムにグラフト反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)と、無機フィラーの化学結合しうる部位と反応し、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解して生成する部位を含む。例えばシリルエステル基等)とを、少なくとも有するものであればよい。このようなシランカップリング剤として、従来、シラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。
上述の部位を有するシランカップリング剤としては、特に制限されず、従来、シラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられ、好ましくは下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤が挙げられる。
Figure 0007203782000001
一般式(1)中、Ra11はエチレン性不飽和基を含有する基、Rb11は脂肪族炭化水素基、水素原子又はY13である。Y11、Y12及びY13は加水分解しうる有機基である。Y11、Y12及びY13は互いに同じでも異なっていてもよい。
a11は、グラフト化反応部位であり、エチレン性不飽和基を含有する基が好ましい。エチレン性不飽和基を含有する基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキレン基、p-スチリル基を挙げることができる。中でもビニル基が好ましい。
b11は、脂肪族炭化水素基、水素原子又は後述のY13を示す。脂肪族炭化水素基としては、脂肪族不飽和炭化水素基を除く炭素数1~8の1価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。Rb11は、好ましくは後述のY13である。
11、Y12及びY13は、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解しうる有機基)を示す。例えば、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数6~10のアリールオキシ基、炭素数1~4のアシルオキシ基が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。加水分解しうる有機基としては、具体的には例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、アシルオキシ等を挙げることができる。この中でも、シランカップリング剤の反応性の点から、メトキシ又はエトキシが更に好ましい。
シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシランを挙げることができる。
上記シランカップリング剤の中でも、末端にビニル基とアルコキシ基を有するシランカップリング剤が更に好ましく、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、そのままで用いても溶媒等で希釈して用いてもよい。
<シラノール縮合触媒>
シラノール縮合触媒は、ベースゴムにグラフトされたシランカップリング剤を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、ベースゴム同士が架橋される。その結果、高度な耐熱性を本発明の成形体に付与できる。
本発明に用いられるシラノール縮合触媒としては、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。有機スズ化合物が好ましく、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテートが挙げられる。
シラノール縮合触媒は、1種を用いても、2種以上を用いてもよい。
シラノール縮合触媒は、単独で用いてもよいが、ゴム若しくは樹脂と併用して用いることが好ましい。併用する態様としては、シラノール縮合触媒とゴム若しくは樹脂とを別々に用いる態様、シラノール縮合触媒とゴム若しくは樹脂とを混合して用いる態様が挙げられる。このようなゴム又は樹脂(キャリアゴムともいう)としては、特に限定されないが、上記ベースゴムで説明した各成分が挙げられ、フッ素ゴム又はETFE樹脂が好ましい。別々に用いる態様において、押出時に、シランマスターバッチ(シランMBともいう)とシラノール縮合触媒を混合する際に、キャリアゴムを混合することが好ましい。一方、混合して用いる態様においては、後述する工程(A-2)でシラノール縮合触媒と混合され、得られた混合物を触媒マスターバッチという。
<添加剤>
耐熱性架橋フッ素ゴム成形体等は、電線、電気ケーブル、電気コード、シート、発泡体、チューブ、パイプにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。このような添加剤として、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、又は、充填剤(難燃(助)剤を含む。)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン酸化防止剤、フェノール酸化防止剤又は硫黄酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、ベースゴム100質量部に対して、好ましくは0.1~15.0質量部、更に好ましくは0.1~10質量部で加えることができる。
次に、本発明の耐熱性架橋フッ素ゴム成形体の製造方法(以下、本発明の製造方法ということがある。)を具体的に説明する。
本発明の製造方法は、下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する。
本発明において、混合するとは、均一な混合物を得ることをいう。
工程(A):フッ素ゴムと、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂と、エ
チレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のエチレン共重合
体樹脂とを含有するベースゴム100質量部に対して、有機過酸化物0
.003~0.5質量部と、無機フィラー0.5~400質量部と、ベ
ースゴムにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位及び無機フィラー
と化学結合しうる、シラノール縮合可能な反応部位を有するシランカッ
プリング剤2~15質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して混合物
を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
工程(C):工程(B)で得られた成形体と水とを接触させて耐熱性架橋フッ素ゴム
成形体を得る工程
本発明の製造方法は、単にベースゴムの配合量を特定の割合に設定するのではなく、上記工程(A)において、特定量の無機フィラーの存在下においてシランカップリング剤とベースゴムとをグラフト化反応させる際(下記工程(A-1))に、フッ素ゴム、エチレン-テトラフルオロエチレン樹脂及びエチレン共重合体樹脂を特定の配合割合で共存させる。
すなわち、上記工程(A)を行うに際して、下記工程(A-1)でベースゴムの一部を用いる場合、工程(A)として下記工程(A-1)~工程(A-3)を行う。一方、上記工程(A-1)でベースゴムの全部を用いる場合、工程(A)として下記工程(A-1)及び工程(A-3)を行う。
これにより、優れた機械特性を維持しながらも高度の耐熱性を発現する耐熱性架橋フッ素ゴム成形体を製造可能となる。
工程(A-1):前記ベースゴムの全部又は一部として、前記フッ素ゴム30~85
質量%、前記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂3~
40質量%及び前記エチレン共重合体樹脂5~18質量%に対して
、前記質量比の、前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤
を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記ベ
ースゴムと前記シランカップリング剤とをグラフト化反応させる工

工程(A-2):上記ベースゴムの残部とシラノール縮合触媒とを混合する工程
工程(A-3):工程(A-1)で得られた溶融混合物と、シラノール縮合触媒又は
工程(A-2)で得られた混合物とを混合する工程
工程(A)におけるベースゴムの組成は、上述の、ベースゴム中の含有率において説明した通りである。
本発明の製造方法においては、工程(A-1)において用いるベースゴム(シランMB調製用ベースゴム)の組成を設定する。
具体的には、工程(A-1)において、シランMB調製用ベースゴムとしてベースゴムの全部を混合する場合も一部を混合する場合も、下記組成に設定する。ベースゴムの全部を混合する場合、工程(A-1)に用いるベースゴム全部の組成は、工程(A)に用いるベースゴム全体の組成と同一となる。
ベースゴム全体中において、フッ素ゴムの混合量を30~85質量%、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂の混合量を3~40質量%、及びエチレン共重合体樹脂の混合量を5~18質量%とする。工程(A-1)で混合するシランMB調製用ベースゴムの組成を上記範囲に設定することにより、本発明の成形体に優れた機械特性を付与しながらも高度な耐熱性を発現させることができる。
ベースゴム全体中の、フッ素ゴムの混合量は、耐熱性を維持しながら引張強さと引張伸びをバランスよく改善でき、更には優れた耐油性等を付与できる点で、45~80質量%であることがより好ましく、50~80質量%であることが更に好ましく、60~70質量%であることが特に好ましい。
ベースゴム全体中の、ETFE樹脂の混合量は、特に機械特性(引張強さ)の改善効果が大きく、しかもより高度な耐熱性を実現できる点で、5~30質量%であることがより好ましく、7~20質量%であることが更に好ましい。
ベースゴム全体中の、エチレン共重合体樹脂の混合量は、引張強さ及び耐熱性をバランスよく向上させることができる点で、7~15質量%であることがより好ましく、10~15質量%であることが更に好ましい。
有機過酸化物の配合量は、ベースゴム100質量部に対して、0.003~0.5質量部である。これにより、適切な範囲でグラフト化反応を行うことができ、機械特性及び耐熱性を付与しながらも、ゲル状のブツ(凝集塊)の発生を抑えて外観に優れた成形体を製造できる。有機過酸化物の配合量は、0.005~0.5質量部がより好ましく、0.005~0.2質量部が更に好ましい。有機過酸化物の含有量を上記範囲内にすることにより、引張強さと引張伸びをバランスよく改善しながら耐熱性の改善も可能となり、更にはゲル状のブツ(凝集塊)の発生を抑えることもできる。
無機フィラーの配合量は、ベースゴム100質量部に対して、0.5~400質量部であり、30~280質量部が好ましく、40~150質量%がより好ましい。無機フィラーの配合量が上記範囲内にあると、耐熱性と機械特性とをバランスよく両立でき、更には外観を改善できる。
無機フィラーとしてシリカを含む場合、シリカの含有量は上記範囲内で設定されるが、機械特性と耐熱性とをより高い水準で両立できる点で、40~80質量部とすることが好ましく、40~60質量部とすることがより好ましい。
シランカップリング剤の配合量は、ベースゴム100質量部に対して、2~15質量部である。これにより、耐熱性と機械特性とをバランスよく両立でき、更には外観を改善できる。シランカップリング剤の配合量は、耐熱性と機械特性を更に改善できる点で、ベースゴム100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、上限としては、外観の点で、12質量部が好ましい。
工程(A)において、シラノール縮合触媒の配合量は、特に限定されないが、例えば、ベースゴム100質量部に対して、0.0001~0.5質量部が好ましく、0.001~0.2質量部がより好ましい。シラノール縮合触媒の配合量が上述の範囲内にあると、シランカップリング剤の縮合反応による架橋反応がほぼ均一に進みやすく、外観や耐熱性等の物性が向上し、更に生産性も向上する。
工程(A)において、上記成分の他に用いることができる他の重合体や上記添加物の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜に設定される。
本発明において、ベースゴム(全部又は一部)、有機過酸化物、無機フィラー及びシランカップリング剤を溶融混合するとは、溶融混合する際の混合順を特定するものではなく、どのような順で混合してもよいことを意味する。工程(A)及び工程(A-1)における混合順は特に限定されない。本発明においては、無機フィラーとシランカップリング剤とを予め混合することが好ましい。
すなわち、本発明の製造方法においては、工程(A-1)を、下記工程(a-1)及び(a-2)により、(溶融)混合することが好ましい。

工程(a-1):少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合して混合
物を調製する工程
工程(a-2):工程(a-1)で得られた混合物と、ベースゴムの全部又は一部と
を、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度に
おいて、溶融混合する工程
上記工程(A-1)及び工程(a-2)においては、「ベースゴムの全量(100質量部)が配合される態様」と、「ベースゴムの一部が配合される態様」とを含む。工程(A-1)及び工程(a-2)において、ベースゴムの一部が配合される場合、ベースゴムの残部は工程(A-2)で配合される。
本発明において、「ベースゴムの一部」とは、ベースゴムのうち工程(A-1)及び工程(a-2)で使用するベースゴムであって、上述のシランMB調製用ベースゴムと同義である。
また、「ベースゴムの残部」とは、ベースゴムのうち工程(A-1)及び工程(a-2)で使用する一部を除いた残りのベースゴム(上述のキャリアゴムに相当する。)であって、具体的には、ベースゴムそのものの残部、ベースゴムを構成する成分の残部、ベースゴムを構成する残りの成分をいう。
工程(A-1)及び工程(a-2)でベースゴムの一部を配合する場合、工程(A)におけるベースゴムの配合量100質量部は、工程(A-1)又は工程(a-2)と工程(A-2)とで混合されるベースゴムの合計量である。
ここで、工程(A-2)でベースゴムの残部が配合される場合、ベースゴム全体中の質量割合は、工程(A-1)又は工程(a-2)において、好ましくは80~99質量%、より好ましくは85~95質量%であり、工程(A-2)において、好ましくは1~20質量%、より好ましくは5~15質量%である。
本発明においては、シランカップリング剤は、上記のように、無機フィラーと前混合等されることが好ましい(工程(a-1))。前混合されたシランカップリング剤は、無機フィラーの表面を取り囲むように存在し、その一部又は全部が無機フィラーに吸着又は結合する。これにより、後の溶融混合の際にシランカップリング剤の揮発を低減できる。また、無機フィラーに吸着又は結合しないシランカップリング剤が縮合して溶融混合が困難になることも防止できる。更に、押出成形の際に所望の形状を得ることもできる。
無機フィラーとシランカップリング剤を前混合する方法としては、特に限定されないが、湿式処理、乾式処理等の混合方法が挙げられる。具体的には、好ましくは、有機過酸化物の分解温度未満の温度、好ましくは10~60℃、より好ましくは室温近傍(20~25℃)で無機フィラーとシランカップリング剤を、数分~数時間程度、乾式又は湿式により、混合する方法が挙げられ、無機フィラー、好ましくは乾燥させた無機フィラー中にシランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加えて混合する乾式処理がより好ましい。工程(a-1)においては、上記分解温度未満の温度が保持されている限り、ベースゴムを混合していてもよい。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(a-1)で得られた、無機フィラーとシランカップリング剤との混合物と、ベースゴムの全部又は一部と、適宜に工程(a-1)で混合されていない残余の成分とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度に加熱しながら、溶融混合する(工程(a-2))。このようにすると、ベースゴム成分同士の過剰な架橋反応を防止することができ、耐熱性及び外観に優れた架橋成形体が得られる。
工程(a-2)において、上記成分を溶融混合(溶融混錬、混練りともいう)する温度は、有機過酸化物の分解温度以上、好ましくは有機過酸化物の分解温度+(25~110)℃の温度である。この分解温度はベースゴム成分が溶融してから設定することが好ましい。上記混合温度であれば、上記成分が溶融し、有機過酸化物が分解、作用して必要なシラングラフト化反応が工程(a-2)において十分に進行する。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混練装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。ベースゴム成分の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーが好ましい。
有機過酸化物は、上記工程(a-2)の溶融混合時、すなわち、工程(a-1)で得られた混合物とベースゴムとを溶融混合する際に、存在していればよい。有機過酸化物は、例えば、工程(a-1)において混合されてもよく、工程(a-2)において混合されてもよい。
本発明において、工程(A-1)で上記各成分を一度に溶融混合する場合、溶融混合の条件は、特に限定されないが、工程(a-2)の条件を採用できる。この場合、溶融混合時にシランカップリング剤の一部又は全部が無機フィラーに吸着又は結合する。
本発明の製造方法において、シラノール縮合触媒は工程(A-2)又は工程(A-3)で混合されるが、工程(A-1)及び工程(a-2)においては、シラノール縮合触媒を実質的に混合せずに上述の各成分を混合することが好ましい。これにより、シランカップリング剤のシラノール縮合反応を抑えることができ、溶融混合しやすく、また押出成形の際に所望の形状を得ることができる。ここで、「実質的に混合せず」とは、シランカップリング剤のシラノール縮合反応による外観悪化等の問題が生じない程度(例えば、ベースゴム100質量部に対して0.01質量部以下)に存在していてもよいことを意味する。
本発明の製造方法において、他の重合体、添加剤、特に酸化防止剤や金属不活性剤は、いずれの工程で混合されてもよく、例えば、工程(A-1)又は工程(A-2)で混合されることができる。
このようにして、シランマスターバッチが調製される。このシランMBは、後述の工程(B)により成形可能な程度にシランカップリング剤がベースゴムにグラフトしたシラン架橋性ゴムを含有している。
本発明の製造方法において、工程(A-1)でベースゴムの一部を溶融混合する場合、ベースゴムの残部とシラノール縮合触媒とを溶融混合し、触媒マスターバッチ(触媒MBともいう)を調製する(工程(A-2))。
工程(A-2)においては、上述のように、ベースゴムの残部の成分としてフッ素ゴム及びETFE樹脂の少なくとも一方をキャリアゴムとして混合することが好ましい。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、ベースゴムの溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(A-1)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、80~250℃、より好ましくは100~240℃で行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
キャリアゴムとしての上記ベースゴムの残部とシラノール縮合触媒との混合割合は、特に限定されないが、好ましくは工程(A)における上記含有量を満たすように、設定される。
工程(A-2)において、無機フィラーを混合してもよい。この場合、無機フィラーの配合量は、特には限定されないが、キャリアゴム100質量部に対し、200質量部以下が好ましい。無機フィラーの配合量が多すぎるとシラノール縮合触媒が分散しにくく、架橋が進行しにくくなる場合がある。
本発明の製造方法において、次いで、工程(A-1)で得られた溶融混合物(シランMB)と、シラノール縮合触媒又は工程(A-2)で得られた混合物(触媒MB)とを混合する(工程(A-3))。好ましくはシランMBと触媒MBとを混合する。
工程(A-3)において、シラノール縮合触媒を混合する場合、シラノール縮合触媒単独で、又はシラノール縮合触媒と他の重合体との混合物として、混合することができる。
混合方法は、特に制限されないが、工程(A-1)の溶融混合と基本的に同様であり、少なくともベースゴムが溶融する温度で混合する。混合温度は、ベースゴムに応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80~250℃、より好ましくは100~240℃である。その他の条件、例えば混合(混練)時間は適宜設定することができる。
工程(A-3)においては、シラノール縮合反応を避けるため、シランMBとシラノール縮合触媒が混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。
工程(A-3)においては、シランMBとシラノール縮合触媒又は工程(A-2)で得られた混合物とを溶融混合する前に、ドライブレンドすることが好ましい。ドライブレンドの方法及び条件は、特に限定されず、例えば、工程(a-1)での乾式混合及びその条件が挙げられる。
こうして、シランMBとシラノール縮合触媒との(溶融)混合物として、シラン架橋性ゴムを含有するシラン架橋性フッ素ゴム組成物が調製される。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(A)で得られた混合物(シラン架橋性フッ素ゴム組成物)を成形して成形体を得る工程(B)を行う。工程(B)で得られる成形体は、シランカップリング剤がシラノール縮合反応をしていない未架橋成形体である。
この成形工程(B)は、シラン架橋性フッ素ゴム組成物を成形できればよく、本発明の耐熱性製品の形態に応じて、適宜に成形方法及び成形条件が選択される。成形方法は、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた押出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。押出成形は、本発明の耐熱性製品が配線材である場合に、生産性、更には導体と共押出できる点等で、好ましい。
工程(B)の成形は、工程(A-3)の混合と同時に又は連続して、行うことができる。すなわち、溶融成形の際、例えば押出成形の際に、又はその直前に、成形原料として工程(A-1)で得られた溶融混合物とシラノール縮合触媒又は工程(A-2)で得られた混合物を溶融混合する態様が挙げられる。例えば、工程(A-1)で得られた溶融混合物とシラノール縮合触媒等との混合物を被覆装置内で溶融混合し、次いで、導体等の外周面に押出被覆して、所望の形状に成形する一連の工程を採用できる。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(B)で得られた成形体と水とを接触させる工程(C)を行う。これにより、シランカップリング剤の反応部位が加水分解されてシラノールとなり、成形体中に存在するシラノール縮合触媒によりシラノールの水酸基同士が縮合して架橋反応が起こる。こうして、シランカップリング剤がシラノール縮合して架橋した耐熱性架橋フッ素ゴム成形体を得ることができる。
この工程(C)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合は常温で進行する。したがって、工程(C)において、成形体を水に積極的に接触させる必要はない。この架橋反応を促進させるために、成形体と水分とを接触させることもできる。例えば、高湿度雰囲気への暴露、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水に接触させる方法を採用できる。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
こうして、耐熱性架橋フッ素ゴム成形体が製造される。この成形体は、上述のシラン架橋性ゴムが、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位がシラノール縮合反応して架橋したシラン架橋フッ素ゴムを含有している。
本発明の製造方法は、後述する耐熱性製品の中でも、特に絶縁電線及び光ファイバーケーブル等の配線材の製造に好適に適用され、これらの被覆層(絶縁層、シース)を形成することができる。
本発明の製造方法により本発明の成形体で構成した被覆層(絶縁層)を作製して、配線材を製造する場合、例えば、シランMBとシラノール縮合触媒等とのドライブレンド物等の成形材料を押出機(押出被覆装置)内で溶融混合してシラン架橋性フッ素ゴム組成物を調製しながら、このシラン架橋性フッ素ゴム組成物を導体等の外周面に押し出(共押出成形)して、水と接触させる。シラン架橋性フッ素ゴム組成物の成形は、シラン架橋性フッ素ゴム組成物を用いること以外は通常の成形方法を特に制限されずに適用できる。
上記本発明の製造方法は、以下のように、表現できる。
下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有する耐熱性架橋フッ素ゴム成形体の製造方法であって、
工程(a):フッ素ゴムと、チレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂と、エチレ
ン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重
合体からなる群より選択される少なくとも1種のエチレン共重合体樹脂を
含有するベースゴムの全部又は一部として、フッ素ゴム30~85質量%
と、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂3~40質量%と、
エチレン共重合体樹脂5~18質量%に対して、ベースゴムの全部(10
0質量部)を基準として、有機過酸化物0.003~0.5質量部と、無
機フィラー0.5~400質量部と、ベースゴムにグラフト化反応しうる
グラフト化反応部位及び無機フィラーと化学結合しうる、シラノール縮合
可能な反応部位を有するシランカップリング剤2~15質量部とを有機過
酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合し、ベースゴムとシランカップリ
ング剤とをグラフト化反応させて、シランマスターバッチを調製する工程
工程(b):工程(a)で得られたシランバスターバッチと、シラノール縮合触媒と、
工程(a)でベースゴムの一部を溶融混合した場合は更にベースゴムの残
部とを混合した後に成形する工程
工程(c):工程(b)で得られた成形物と水分とを接触させて架橋させる工程

上記方法において、工程(a)及び工程(b)の混合工程は上記工程(A)に対応し、工程(b)の形成工程は上記工程(B)に対応し、工程(c)は上記工程(C)に対応する。
本発明において、優れた機械特性を維持しつつも高度な耐熱性を発現する耐熱性架橋フッ素ゴム成形体を得られる理由の詳細についてはまだ定かではないが、以下のように考えられる。
一般に、ベースゴム、特にフッ素ゴムに対して有機過酸化物を加えると急激にラジカルが発生し、ベースゴム同士の架橋反応や分解反応が生じやすくなる。これにより、得られる耐熱性架橋フッ素ゴム成形体には、ブツが発生し、物性が低下する。
しかし、本発明の製造方法においては、無機フィラーの存在下でシランカップリング剤とベースゴムとをグラフト化反応させる。そのため、シランカップリング剤の揮発やシラノール縮合反応の生起を抑制して、架橋反応や分解反応に対してグラフト化反応を優先的に生起させることができると考えられる。このとき、無機フィラーと弱い結合(水素結合による相互作用、イオン、部分電荷若しくは双極子間での相互作用、吸着による作用等)で結合又は吸着したシランカップリング剤は、無機フィラーから離脱してグラフト化反応し、次いでシラノール縮合反応して架橋構造を形成する。一方、強い結合(無機フィラー表面の水酸基等との化学結合等)で結合したシランカップリング剤は、無機フィラーと結合したままグラフト化反応する。このように、ベースゴムの分解反応、更には過度な架橋反応が抑制されながらグラフト化反応が生起する。その結果、ブツの発生や物性の低下を抑制でき、本発明の製造方法によるシラン架橋に起因する高い機械特性及び高い耐熱性を示す。
本発明においては、上述のシラン架橋による高い耐熱性を、機械特性を維持しながらも、更に補強して、より高度の耐熱性を実現できる。
本発明の製造方法では、シランMBの調製時工程(グラフト化反応時)に、ベースゴムの全部又は一部としてフッ素ゴムとETFE樹脂とエチレン共重合体樹脂とを特定の質量割合で用いる。このとき、上述のように、ベースゴム同士の過度な架橋反応は抑制されるが、フッ素ゴム及びエチレン共重合体樹脂は部分的(適度)に動的架橋されると考えられる。このような部分動的架橋構造の形成によりシラン架橋構造による機械特性(特に引張強さ)、耐熱性を補強できる。なお、本発明において、シラン架橋構造と動的架橋構造の比率は、特に限定されず、用途等に応じて、適宜に選択される。この比率は、例えば、シランカップリング剤の配合量、有機過酸化物の配合量、成形温度等によって、所定の値に設定できる。
一方、グラフト化反応時に特定割合でETFE樹脂が共存していると、ETFE樹脂が高い流動性を示して、フッ素ゴム等とよく相溶して、フッ素ゴム、エチレン共重合体樹脂、更には架橋構造物等とも複雑に絡み合って(延伸がかかりやすく)、無機フィラー等を巻き込んでの架橋性組成物が形成される。これを最終的に架橋反応させることにより、シラン架橋構造による高い機械特性を維持しながらも、シラン架橋構造による耐熱性を大幅に高めることができる。このようなフッ素ゴムに対するETFE樹脂の併用は、成形後に架橋反応を行う化学架橋法(有機過酸化物架橋法)では成形時にフッ素樹脂が速やかに架橋反応するため採用できず、シラン架橋法による本発明の製造方法により採用可能で上述の機械特性及び高度な耐熱性の両立を実現するものである。
本発明の製造方法は、耐熱性が要求される製品(半製品、部品、部材も含む。)、更には、機械特性が求められる製品、ゴム材料等の製品の構成部品又はその部材の製造に適用することができる。中でも、250℃以上の高温環境下に配設(使用)されうる製品の製造に好適に適用できる。したがって、本発明の耐熱性製品は、このような製品とされる。このとき、耐熱性製品は、耐熱性架橋フッ素ゴム成形体を含む製品でもよく、耐熱性架橋フッ素ゴム成形体のみからなる製品でもよい。
本発明の耐熱性製品として、例えば、耐熱性絶縁電線等の絶縁電線、ケーブル又は光ファイバーケーブルの被覆材料、ゴム代替電線・ケーブルの材料、その他、電子レンジ又はガスレンジ用耐熱部品、耐熱難燃電線部品、難燃耐熱シート、難燃耐熱フィルム等が挙げられる。また、電源プラグ、コネクター、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、パッキン、クッション材、防震材、電気・電子機器の内部配線及び外部配線に使用される配線材、特に電線や光ファイバーケーブルが挙げられる。中でも、250℃以上の高温環境下に配設(使用)されうる製品であることが好ましい。
本発明の耐熱性製品が配線材である場合、この配線材は、被覆層が本発明の耐熱性架橋フッ素ゴム成形体で構成されていること以外は、各種の電気・電子機器分野や産業分野に使用される通常のものと同じである。本発明の耐熱性難燃フッ素ゴム成形体で構成される被覆層は、導体の外周面に直接又は他の層を介して設けられるものであれば特に制限されず、配線材の種類、用途、要求特性等に応じて適宜に設定される。導体としては、通常のものを用いることができ、例えば、軟銅の単線又は撚り線(抗張力繊維を縦添え若しくは撚り合わせたもの)等を用いることができる。また、裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いることもできる。本発明の耐熱性架橋フッ素ゴム成形体で構成される被覆層の肉厚は、特に限定されないが、通常、0.15~10mm程度である。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
表1及び表2において、各例の配合量に関する数値は特に断らない限り質量基準である。
実施例及び比較例に用いた各化合物の詳細を以下に示す。
<ベースゴム>
- フッ素ゴム -
「アフラス400E」(商品名、AGC社製、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体ゴム、フッ素含有量(上記「炭酸カリウム加熱分解法」による値)57質量%)
- エチレン共重合体樹脂 -
「VF120T」(商品名、宇部興産社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体の樹脂)
「NUC6510」(商品名、NUC社製、エチレン-アクリル酸エチル共重合体)
「フサボンドC250」(商品名、デュポン社製、無水マレイン酸変性エチレン-酢酸ビニル共重合体)
- エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂 -
「LH-8000」(商品名、AGC社製、融点:180℃)
「EP620」(商品名、ダイキン工業社製、融点:210℃)
- 他の重合体 -
「RP4020」(商品名、ダイキン工業社製、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、融点:160℃)
<有機過酸化物>
「パーヘキサ25B」(商品名、日本油脂社製、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、分解温度154℃)
<無機フィラー>
「亜鉛華1号」(商品名、三井金属社製、酸化亜鉛)
「ソフトン1200」(商品名、備北粉化工業社製、炭酸カルシウム)
「アエロジル200」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ、非結晶性シリカ)
「クリスタライト5X」(商品名、龍森社製、結晶性シリカ)
「サティトンSP-33」(商品名、エンゲルハード社製、焼成クレー)
「MVタルク」(商品名、日本ミストロン株式会社製、タルク)
<シランカップリング剤>
「KBM-1003」(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)
「KBE-1003」(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリエトキシシラン)
<シラノール縮合触媒>
「アデカスタブOT-1」(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウレート)
<酸化防止剤>
「イルガノックス1010」(商品名、BASF社製、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ヒンダードフェノール酸化防止剤)
(実施例1~20及び比較例1~15)
実施例1~20及び比較例1~15において、シラン架橋性フッ素ゴム組成物を調製し、これを導体の外周面上に押出成形(押出被覆)した後にシラノール縮合反応させて形成した被覆層を有する絶縁電線を製造した。
各実施例及び比較例において、ベースゴムの一部をシランMBの調製に用い、残部を触媒MBの調製に用いた。
まず、表1及び表2の「シランMB」欄に示す各成分のうち無機フィラーとシランカップリング剤とを、表1及び表2に示す質量比で、東洋精機製10Lヘンシェルミキサーに投入し、室温(25℃)で1時間混合して、粉体混合物を得た(工程(a-1))。次いで、得られた粉体混合物と、表1及び表2の「シランMB」欄に示す残りの成分とを、表1及び表2に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、有機過酸化物の分解温度以上の温度、具体的には190℃において10分混練り後、材料排出温度200℃で排出し、シランMBを得た(工程(a-2))。
なお、実施例5及び比較例4においては、混練り温度を200~225℃に設定し、材料排出温度を225℃に設定した。
こうして得られたシランMBは、ベースゴムにシランカップリング剤がグラフト反応したシラン架橋性ゴムを含有している。
一方、表1及び表2の「触媒MB」欄に示す、キャリアゴムとシラノール縮合触媒と酸化防止剤とを、表1及び表2に示す質量比で、180~190℃でバンバリーミキサーにて溶融混合し、材料排出温度180~190℃で排出して、触媒MBを得た(工程(A-2))。なお、比較例15においては、混練り温度を200~225℃に設定し、材料排出温度を225℃に設定した。
次いで、シランMBと触媒MBを表1及び表2に示す質量比で密閉型のリボンブレンダーに投入し、室温(25℃)で5分間ドライブレンドしてドライブレンド物を得た。
次いで、得られたドライブレンド物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=24、スクリュー直径30mmのスクリューを備えた押出機(圧縮部スクリュー温度170℃、ヘッド温度200℃)に導入した。実施例5、比較例4及び15においてはヘッド温度を220℃に設定した。この押出機内でドライブレンド物を溶融混合しながら、1/0.8TA導体の外側に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの被覆導体を得た(工程(B))。
こうして得た被覆導体を温度40℃、湿度95%の雰囲気に1週間放置して、水と接触させた(工程(C))。
このようにして、上記導体の外周面上に、耐熱性架橋フッ素ゴム成形体で構成された被覆層を有する絶縁電線を製造した。
なお、比較例9は、有機過酸化物の含有量が多すぎるためブツが多量に発生して、押出成形できなかった。
各実施例及び比較例において、上記ドライブレンド物を押出機内で押出成形前に溶融混合する(工程(A-3))ことにより、シラン架橋性フッ素ゴム組成物が調製される。また、被覆層を構成する耐熱性架橋フッ素ゴム成形体は上述のシラン架橋フッ素ゴムを有している。
製造した各絶縁電線について、下記試験をし、その結果を表1及び表2に示した。
<引張試験>
各絶縁電線から導体を抜き取って作製した管状試験片をJIS C 3005に基づき、標線間20mm、及び引張速度200mm/分の条件で、引張強さ(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。
引張強さの評価は、14MPa以上であるものを極めて優れているもの「A」、11MPa以上14MPa未満であるものを優れているもの「B」、8.5MPa以上11MPa未満であるものを良好なもの「C」、8.5MPa未満であるものを不合格「D」とした。
引張伸びの評価は、200%以上であるものを極めて優れているもの「A」、150%以上200%未満であるものを優れているもの「B」、125%以上150%未満であるものを良好なもの「C」、125%未満であるものを不合格「D」とした。
<加熱老化試験>
本試験は、250℃程度の高温環境下における配設(使用)状態を想定した高耐熱性を評価する試験であり、上記引張試験で作製した管状試験片を加熱温度250℃で96時間保持して、行った。具体的には、保持後の管状試験片を用いて、JIS C 3005に基づき、標線間20mm、及び引張速度200mm/分の条件で、保持後の引張強さ(MPa)及び保持後の引張伸び(%)を測定した。
保持後の引張強さを保持前の引張強さ(上記引張試験で得られた引張強さ)で除して、引張強さの残率(%)を算出した。同様にして、引張伸びの残率(%)を算出した。
引張強さ残率及び引張伸び残率の評価は、それぞれ、90%以上であるものを極めて優れているもの「A」、85%以上90%未満であるものを優れているもの「B」、85%未満であるものを不合格「D」とした。
なお、比較例5の引張伸び残率は78%であった。
<電線加工性試験>
本発明の配線材の好ましい特性として、被覆層の皮むき容易性(電線加工性)を評価し。具体的には、作製した絶縁電線から被覆層を、ワイヤーストリッパーを用いて同様にして除去する際に、除去作業のしやすさを評価した。被覆層を容易に除去できたものを極めて優れているもの「A」、被覆層と導体の密着力がやや強いものの、被覆層を問題なく除去できたものを優れているもの「B」、被覆層と導体が強固に密着して被覆層を除去しにくかったもの、又は除去できなかったものを「D」とした。本発明は参考試験であり、評価「B」以上が好ましい。
Figure 0007203782000002
Figure 0007203782000003
表1及び表2に示す結果から明らかなように、本発明で規定する各工程を有する製造方法において、工程(A-1)で用いるベースゴムが本発明で規定する組成を満たしていないと、得られる架橋フッ素ゴム成形体を被覆層として有する絶縁電線は、引張試験又は加熱老化試験のいずれかが不合格であり、優れた機械特性と高度な耐熱性とを兼ね備えることができない(比較例1~15)。
なお、比較例3、4、6、8、10及び13の引張強さ残率は、上記評価基準では合格レベルに相当するが、そもそも引張試験での引張強さが不合格ベルであり、本発明で規定する高度な耐熱性を満たすものではない。同様に、比較例2、7及び12の引張伸び残率は、上記評価基準では合格レベルに相当するが、そもそも引張試験での引張伸びが不合格ベルであり、本発明で規定する高度な耐熱性を満たすものではない。
これに対して、本発明で規定する各工程を有する製造方法において、工程(A-1)で用いるベースゴムが本発明で規定する組成を満たしていると、得られる架橋フッ素ゴム成形体を被覆層として有する絶縁電線は、引張試験又は加熱老化試験のいずれも合格し、優れた機械特性と高度な耐熱性とを兼ね備えることができる(実施例1~20)。これらの絶縁電線は、例えば250℃の高温環境下に配設(使用)されても、製造後の優れた機械特性を十分に維持できることができ、従来では達成しえない高度な耐熱性を実現できることが分かる。本発明の耐熱性架橋フッ素ゴム成形体が上述の優れた作用効果を示すのは、上述のように、シランMBの調製に本発明で規定する組成を満たすベースゴムを用いることによるものと考えられる。

Claims (14)

  1. 下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する耐熱性架橋フッ素ゴム成形体の製造方法であって、

    工程(A):フッ素ゴム40~90質量%と、エチレン-テトラフルオロエチレン共
    重合体樹脂3~55質量%と、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチ
    レン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群より選択される
    少なくとも1種のエチレン共重合体樹脂5~18質量%とを含有するベ
    ースゴム100質量部に対して、有機過酸化物0.003~0.5質量
    部と、無機フィラー0.5~400質量部と、前記ベースゴムにグラフ
    ト化反応しうるグラフト化反応部位及び前記無機フィラーと化学結合し
    うる、シラノール縮合可能な反応部位を有するシランカップリング剤2
    ~15質量部と、シラノール縮合触媒とを混合して混合物を得る工程
    工程(B):工程(A)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
    工程(C):工程(B)で得られた成形体と水とを接触させて耐熱性架橋フッ素ゴム
    成形体を得る工程

    前記工程(A)を行うに際して前記工程(A)下記工程(A-1)~工程(A-3)を有する、耐熱性架橋フッ素ゴム成形体の製造方法。

    工程(A-1):前記ベースゴムの一部として、前記フッ素ゴム30~85質量%、
    前記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂3~40質量
    %及び前記エチレン共重合体樹脂5~18質量%に対して、前記質
    量比の、前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を前記有
    機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記ベースゴム
    と前記シランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
    工程(A-2):前記ベースゴムの残部とシラノール縮合触媒とを混合する工程
    工程(A-3):工程(A-1)で得られた溶融混合物と、工程(A-2)で得られ
    た混合物とを混合する工程
  2. 前記フッ素ゴムがテトラフルオロエチレン-プロピレンゴムを含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂の融点が230℃以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記耐熱性架橋フッ素ゴム成形体が、外径2.8mmで厚さ1mmの管状試験片において、250℃で96時間保持したときの引張伸びの、保持前の引張伸びに対する残率が85%以上となる高耐熱性を示す、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記工程(A-1)において、前記エチレン共重合体樹脂を全量混合する、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記有機過酸化物の含有量が0.005~0.5質量部である、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記シランカップリング剤の含有量が3質量部以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記シランカップリング剤の含有量が4質量部以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記シランカップリング剤がビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記無機フィラーが、シリカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛若しくは焼成クレー又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記工程(A-1)における溶融混合が密閉型のミキサーを用いて行われる、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の製造方法により製造された耐熱性架橋フッ素ゴム成形体。
  13. 請求項12に記載の耐熱性架橋フッ素ゴム成形体を含む耐熱性製品。
  14. 前記耐熱性架橋フッ素ゴム成形体からなる被覆層を導体の外周面に有する請求項13に記載の耐熱性製品。
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