JP2021155589A - 架橋フッ素ゴム組成物、並びに、これを用いた配線材及びその製造方法 - Google Patents

架橋フッ素ゴム組成物、並びに、これを用いた配線材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期耐熱性と高い絶縁性を兼ね備えた配線材及びその製造方法、さらにはこの配線材を形成しうる架橋フッ素ゴム組成物を提供する。【解決手段】テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部を含有する架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理した架橋フッ素ゴム組成物、この架橋フッ素ゴム組成物で形成した被覆層を有する配線材、及びその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、架橋フッ素ゴム組成物、並びに、これを用いた配線材及びその製造方法に関する。
電気・電子機器分野や産業分野、自動車に使用される絶縁電線、ケーブル、コード、光ファイバー心線又は光ファイバーコード(光ファイバーケーブル)等の配線材には、耐熱性、機械特性(例えば、引張特性)など種々の特性が要求されている。
また、これらの配線材は、用途等によっては、150℃程度の高温で長時間使用され、その過程で一時的に180℃程度にまで昇温されることがあり、格別の耐熱性(長期耐熱性)が要求される。
上記のような長時間の耐熱性が要求される用途には、架橋フッ素ゴム組成物を被覆層に用いた配線材が用いられてきた。例えば、特許文献1には、シラン架橋法により得られる架橋フッ素ゴム組成物を導体の被覆層として有する配線材が開示されている。
国際公開第2017/138642号
配線材は、用途によっては、上述の、150℃程度の高温での使用に耐えうる長期耐熱性に加えて、3000MΩ・km以上の高い絶縁抵抗を示す絶縁性が求められる場合がある。しかし、フッ素ゴムは長期耐熱性には優れているものの、体積固有抵抗が比較的低いため、架橋フッ素ゴム組成物を被覆層に用いた配線材において、長期耐熱性と高い絶縁性とを両立させることは一般的に困難であった。
本発明は、上記の問題点を解決し、長期耐熱性と高い絶縁性とを兼ね備えた配線材及びその製造方法を提供することを課題とする。加えて、上記配線材の被覆層を形成しうる、架橋フッ素ゴム組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、フッ素ゴムを含む組成物を、架橋方法を含めて検討し、その結果、フッ素ゴムとして選択したテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量を15〜30質量%という比較的少ない含有量に設定したエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を45〜70質量%とを含有するベースポリマーに対して、さらに無機フィラーを5〜150質量部含有させ、架橋反応処理することで、上記長期耐熱性及び高い絶縁性を兼ね備えた、配線材の被覆層を形成しうる、架橋フッ素ゴム組成物とすることができることを見出した。本発明者らはこの知見に基づき、更に研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
〔1〕
下記架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理した、架橋フッ素ゴム組成物。
[架橋性フッ素ゴム組成物]
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部を含有する架橋性フッ素ゴム組成物。
〔2〕
前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースポリマー100質量部に対して、前記ベースポリマーにグラフト化反応したシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを含有する、〔1〕に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔3〕
前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースポリマー100質量部に対して、ヒンダードフェノール系老化防止剤1〜4質量部と、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩8質量部以下とを含有する〔1〕又は〔2〕に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔4〕
前記2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩の含有量が1〜8質量部である〔3〕に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を導体の外周面に有する配線材。
〔6〕
下記工程(E)、工程(F)及び工程(G)を有する配線材の製造方法。
工程(E):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部を溶融混練して、架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(F):前記工程(E)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物を導体の外周面に成形して被覆層前駆体を形成する工程
工程(G):前記工程(F)で得られた被覆層前駆体を、電子線を照射して架橋反応処理する工程
〔7〕
下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する配線材の製造方法。
工程(A):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部と、有機過酸化物0.003〜0.5質量部と、前記ベースポリマーにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(C):工程(C)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させて配線材を得る工程
〔8〕
前記工程(A)が、下記工程(A1)で前記ベースポリマーの全部を用いる場合、下記工程(A1)及び工程(A3)を有し、下記工程(A1)で前記ベースポリマーの一部を用いる場合、下記工程(A1)〜工程(A3)を有する、〔7〕に記載の配線材の製造方法。
工程(A1):前記ベースポリマーの全部又は一部と、前記無機フィラーと、前記シランカップリング剤とを、前記有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記ベースポリマーと前記シランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
工程(A2):前記シラノール縮合触媒とキャリアポリマーとして前記ベースポリマーの残部とを混合する工程
工程(A3):前記工程(A1)で得られた溶融混合物と、前記シラノール縮合触媒又は前記工程(A2)で得られた混合物とを混合する工程
〔9〕
前記工程(A1)及び前記工程(A2)の少なくとも一方で、前記ベースポリマー100質量部に対して、ヒンダードフェノール系老化防止剤1〜4質量部と、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩8質量部以下とを混合する〔8〕に記載の配線材の製造方法。
〔10〕
前記2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩の混合量が1〜8質量部である〔9〕に記載の配線材の製造方法。
〔11〕
前記ヒンダードフェノール系老化防止剤と前記2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを、合計量の95質量%以上の割合で前記工程(A2)において混合し、残部を前記工程(A1)において混合する、〔9〕又は〔10〕に記載の配線材の製造方法。
〔12〕
〔6〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の製造方法で製造されてなる配線材。
本発明によれば、長期耐熱性及び高い絶縁性を示す配線材及びその製造方法、並びに、その配線材の製造に用いる架橋フッ素ゴム組成物を提供することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
[架橋フッ素ゴム組成物]
本発明の架橋フッ素ゴム組成物は、架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理した架橋物である。
本発明の架橋フッ素ゴム組成物は、少なくともベースポリマーが直接又は架橋剤等を介して架橋した架橋構造を有しており、長期耐熱性及び絶縁性を高い水準でバランスよく発揮する。架橋構造は、架橋性フッ素ゴム組成物を架橋させる架橋反応(架橋法)の種類によって異なり、明確かつ一概に規定できるものではない。
架橋性フッ素ゴム組成物を架橋させる架橋反応(架橋法)は、特に制限されず、公知の樹脂架橋法、例えばポリオレフィン等の架橋反応を適用できる。例えば、電子線架橋法、有機過酸化物架橋法、シラン架橋法が挙げられる。特殊な設備を要せずに高い生産性で架橋反応処理可能となる点で、シラン架橋法が好ましい。加えて、架橋性フッ素ゴム組成物が後述する老化防止剤を含有する場合には、架橋法は、電子線架橋法又はシラン架橋法が好ましい。
本発明において、有機過酸化物架橋法とは、化学架橋法の1つであり、熱を加えることにより有機過酸化物等を分解させて生じるラジカルによってベースポリマー同士を直接架橋反応させる方法をいう。また、シラン架橋法とは、有機過酸化物架橋法とは別の化学架橋法であり、架橋触媒として有機過酸化物を含有する架橋性フッ素ゴム組成物において、有機過酸化物の分解温度以上の温度に加熱して有機過酸化物から生じるラジカルによって架橋剤としてのシランカップリング剤をベースポリマーにシラングラフト化反応させてシラングラフトポリマーを得た後に、所望により成形し、次いで、好ましくはシラノール縮合触媒の存在下で、シラングラフトポリマーをと水分とを接触させることにより、シランカップリング剤をシラノール縮合反応させる方法をいう。
(架橋性フッ素ゴム組成物)
本発明に用いる架橋性フッ素ゴム組成物は、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部を含有し、適用する架橋法に応じて必須の又は好適な後述する成分を更に含有してもよい組成物である。
この架橋性フッ素ゴム組成物は、後述する架橋反応処理により、少なくともベースポリマーが架橋しうる組成物であればよく、適用する架橋反応の種類等により、上記成分に加えて更に架橋剤、架橋助剤、架橋触媒、架橋促進剤等を適宜含有することが好ましい。
本発明において、電子線架橋法、有機過酸化物架橋法又はシラン架橋法に好適に適用可能な架橋性フッ素ゴム組成物を、それぞれ、電子線架橋性フッ素ゴム組成物、有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物又はシラン架橋性フッ素ゴム組成物ということがある。
電子線架橋性フッ素ゴム組成物又は有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物は、上述のベースポリマー及び無機フィラーに加えて、架橋助剤及び/又は有機過酸化物を含有することが好ましい。さらに、シランカップリング剤を含有していてもよい。
シラン架橋性フッ素ゴム組成物は、上述のベースポリマー及び無機フィラーに加えて、ベースポリマーにグラフト化反応したシランカップリング剤、及びシラノール縮合触媒を含有することが好ましい。シラン架橋性フッ素ゴム組成物において、シランカップリング剤は、少なくとも一部がベースポリマーにグラフト化していればよく、グラフト化していないシランカップリング剤が含まれていてもよい。
シラン架橋性フッ素ゴム組成物の好ましい態様の一例は、ベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部と、ベースポリマーにグラフト化反応したシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを含有するシラン架橋性フッ素ゴム組成物である。
以下に、本発明に用いる各成分について説明する。
<ベースポリマー>
ベースポリマーは、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム(FEPM)(以下、フッ素ゴムということがある)と酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂とを含有する。
− テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム −
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムは、テトラフルオロエチレンとプロピレンとの共重合体のゴムであって、架橋反応しうるものであれば、特に限定されない。第3の共重合成分として、テトラフルオロエチレン及びプロピレンと重合可能な、種々の重合性成分を共重合させたフッ素ゴムも含まれる。このようなフッ素ゴムとしては、架橋反応可能な部位を主鎖中又はその末端に有するゴムが好ましく挙げられる。例えば、シラン架橋法に用いる場合、シランカップリング剤のグラフト化反応可能な部位と有機過酸化物の存在下でグラフト化反応可能な部位を有するものが好ましい。電子線架橋法又は有機過酸化物架橋法に用いる場合、電子線の照射又は有機過酸化物から発生するラジカルの存在により、架橋反応可能な部位を有するものが好ましい。このような架橋反応可能な部位及びグラフト化反応可能な部位としては、特に制限されないが、例えば、炭素鎖中の不飽和結合部位、水素原子を有する炭素原子が挙げられる。テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムは、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
− 酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 −
酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、架橋反応しうるものであれば、特に限定されず、エチレンと酢酸ビニルとを共重合して得られる共重合体樹脂等が挙げられる。フッ素ゴムと同様に、シラン架橋法に用いる場合には、有機過酸化物の存在下でグラフト化反応可能な部位を、電子線架橋又は有機過酸化物架橋に用いる場合には、ラジカルの存在下で架橋反応可能な部位を有するものが好ましい。酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、その酢酸ビニル含有量(VA含有量)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の質量に対して17〜27質量%であることが好ましく、フッ素ゴムとの相溶性を一層高める観点からは、酢酸ビニル含有量が18〜25質量%にあることが好ましい。
ここで、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂には、酢酸ビニル含有量が異なる2種以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を上記組成物が含有する場合、これらのエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の合計質量中に占める、酢酸ビニル含有量の合計量の割合が、上記15〜30質量%の範囲に入るものを含むものとする。個々のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の酢酸ビニル含有量が15〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂における酢酸ビニル含有量は、JIS K 7192に準拠して求めることができる。
− 他のゴム又は樹脂 −
ベースポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記フッ素ゴム及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂以外の他のゴム及び/又は樹脂を含有してもよい。例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合ゴムが挙げられる。
− ベースポリマー中の各成分の含有率 −
ベースポリマー100質量%中のフッ素ゴムの含有率は、30〜55質量%であり、35〜50質量%が好ましく、40〜50質量%がより好ましい。
ベースポリマー100質量%中の酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の含有率は、45〜70質量%であり、50〜65質量%が好ましく、50〜60質量%がより好ましい。
フッ素ゴムの含有率とベースポリマーの含有率とがそれぞれ上記範囲内にあると、長期耐熱性及び高い絶縁性を兼ねそなえた架橋フッ素ゴム組成物とできる。加えて、これらの含有率が上記範囲にあることは、機械特性を維持しつつ、外観品質に優れた配線材とする観点からも好ましい。
ベースポリマーが、フッ素ゴム及び15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂に加えて、他のゴム又は樹脂を含有する場合には、各成分の含有量の合計が100質量%となるように、適宜調整される。
<無機フィラー>
無機フィラーとしては、配線材に通常用いられる無機フィラーを特に制限なく用いることができる。無機フィラーは、その表面に、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位と水素結合若しくは共有結合等、又は分子間結合により、化学結合しうる部位を有するものが好ましい。この無機フィラーにおける、シランカップリング剤の反応部位と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水もしくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸基若しくは結晶水を有する化合物のような金属水和物、更には、窒化ほう素、シリカ(乾式シリカ、湿式シリカ)、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛が挙げられる。無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、シリカ、炭酸カルシウム、及びクレーからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。無機フィラーは、通常の表面処理剤で表面処理されたものを用いることもできる。
無機フィラーは、粒子であることが好ましく、その平均粒径は適宜に設定し得る。
無機フィラーの含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、5〜150質量部が好ましく、10〜90質量部がより好ましい。無機フィラーの含有量が上記範囲内であれば、長期耐熱性を維持できる。加えて、加熱変形性も維持することができる場合がある。
<他の成分>
架橋性フッ素ゴム組成物は、さらに、適宜に以下の成分を含むことができる。
− 老化防止剤 −
架橋性フッ素ゴム組成物は、老化防止剤を含有していることが好ましい。老化防止剤は、長期使用においての架橋フッ素ゴム組成物の劣化を抑制して長期耐熱性を高める働きを有する。
老化防止剤としては、配線材に通常使用されるものを使用することができる。
架橋性フッ素ゴム組成物は、ヒンダードフェノール系老化防止剤及び/又は2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩を含有していることがより好ましく、ヒンダードフェノール系老化防止剤と2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを含有していることがさらに好ましい。
ヒンダードフェノール系老化防止剤としては、ヒンダードフェノール構造を有する老化防止剤であれば特に限定されない。例えば、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](商品名:イルガノックス1010、BASF社製)、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(商品名:イルガノックス1076、BASF社製)等が挙げられる。
2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩は、特に限定されず、2−メルカプトベンゾイミダゾール化合物の金属塩で老化防止剤として使用できるものを包含する。
ヒンダードフェノール系老化防止剤は、ベースポリマー100質量部に対して、好ましくは1〜7質量部、より好ましくは1〜6質量部、さらに好ましくは1〜4質量部、特に好ましくは1〜3質量部加えることができる。上記範囲内であれば、長期耐熱性を維持し、外観品質を保つことができる。
2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩は、ベースポリマー100質量部に対して、好ましくは14質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは1〜8質量部、特に好ましくは2〜6質量部加えることができる。上記範囲内であれば、長期耐熱性を維持することができる。
特に長期耐熱性を維持する観点からは、ベースポリマー100質量部に対して、ヒンダードフェノール系老化防止剤1〜4質量部と2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩8質量部以下とを用いることが好ましい。長期耐熱性のさらなる向上(例えば、UL175℃用の耐熱老化性試験に合格する長期耐熱性を付与する)観点からは、ヒンダードフェノール系老化防止剤1〜4質量部と2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1〜8質量部とを併用することがより好ましい。上記範囲は、ブルーム(表面上の粉吹き)のない配線材とする観点からも好ましい。
− 架橋助剤 −
架橋性フッ素ゴム組成物を電子線架橋法により架橋させる場合、架橋性フッ素ゴム組成物は架橋助剤を含有してもよい。架橋助剤としては、電子線架橋法に通常用いられるものを特に制限されることなく用いることができる。
架橋助剤としては、通常、多官能性化合物が挙げられ、例えば、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の(メタ)アタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等のアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物が挙げられる。トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。
架橋助剤の、架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量は、適宜に設定され、例えば、ベースポリマー100質量部に対して3〜15質量部に設定することができる。
− シランカップリング剤 −
シランカップリング剤としては、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下で、ベースポリマーのグラフト化反応可能な部位にグラフト化反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)と、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解して生成する部位を含む、例えばシリルエステル基等)とを有するものであれば、特に限定されない。このようなシランカップリング剤としては、従来のシラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。シラノール縮合可能な反応部位は、無機フィラーが化学結合しうる部位を有する場合には、その部位とも化学結合しうる反応部位として機能するものが好ましい。
シランカップリング剤としては、不飽和基を有するシランカップリング剤が挙げられ、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン、(メタ)アクリロキシシラン等が挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。シランカップリング剤は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シランカップリング剤は、そのままの形態で用いてもよいし、溶剤で希釈した形態で用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、長期耐熱性及び絶縁性を両立できる点で、ベースポリマー100質量部に対して、2.0質量部を越え15.0質量部以下が好ましく、3〜12質量部がより好ましく、4〜12質量部がさらに好ましい。上記範囲は、外観品質の点からも好ましい。
− 有機過酸化物 −
架橋性フッ素ゴム組成物を有機過酸化物架橋法又はシラン架橋法により架橋させる場合、架橋性フッ素ゴム組成物は有機過酸化物を含有する。
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、有機過酸化物架橋法ではベースポリマー同士の架橋反応、又はシラン架橋法ではシランカップリング剤のベースポリマーへのラジカル反応によるグラフト化反応(シランカップリング剤のグラフト化反応部位とベースポリマーのグラフト化反応可能な部位との共有結合形成反応であって、(ラジカル)付加反応ともいう。)を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、上記機能を有し、ラジカル重合又は従来のシラン架橋法に用いられるものを特に制限されずに用いることができる。例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド(DCP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン又は2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が好ましい。有機過酸化物は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
有機過酸化物の分解温度は、80〜195℃が好ましく、125〜180℃が特に好ましい。本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
有機過酸化物の、架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量は、特に制限されず、架橋法に応じて適宜に決定することができる。
本発明においては、いずれの架橋法においても、ベースポリマー100質量部に対して、0.003〜0.5質量部が好ましく、0.005〜0.5質量部がより好ましく、0.005〜0.2質量部が更に好ましい。
シラン架橋法において、有機過酸化物の含有量を上記範囲内にすることにより、適切な範囲で架橋反応又はグラフト化反応を行うことができ、長期耐熱性を架橋フッ素ゴム組成物に付与できる。更にゲル状のブツ(凝集塊)の発生を抑えることができる。
− シラノール縮合触媒 −
架橋性フッ素ゴム組成物をシラン架橋法により架橋させる場合、シラン架橋性フッ素ゴム組成物はシラノール縮合触媒を含有することが好ましい。
シラノール縮合触媒は、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位を水分の存在下で縮合反応(促進)させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、ベースポリマー同士が架橋される。
このようなシラノール縮合触媒としては、特に制限されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。有機スズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物が挙げられる。シラノール縮合触媒は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シラノール縮合触媒の、シラン架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量は、特に限定されないが、ベースポリマー100質量部に対して、0.0001〜0.5質量部が好ましく、0.001〜0.2質量部がより好ましい。シラノール縮合触媒の含有量が上述の範囲内にあると、シランカップリング剤の縮合反応による架橋反応がほぼ均一に進みやすく、長期耐熱性等の物性が向上する。更に外観品質及び生産性も向上する。
− 他の添加剤 −
架橋性フッ素ゴム組成物は、電線、電気ケーブル、電気コード等において、通常使用される各種の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。このような添加剤として、例えば、滑剤、金属不活性剤、又は、充填剤(難燃(助)剤を含む。)等が挙げられる。
架橋フッ素ゴム組成物は、上記の成分を含有する架橋性フッ素ゴム組成物の架橋物である。
架橋フッ素ゴム組成物が、電子線架橋法又は有機過酸化物架橋法により得られた架橋物である場合、架橋フッ素ゴム組成物は、ベースポリマーの架橋物と、無機フィラーとを少なくとも含有する。架橋フッ素ゴム組成物は、その他の任意の成分、例えば、シランカップリング剤等を併用した場合には、シランカップリング剤を介したベースポリマーの架橋物を含有する。
架橋フッ素ゴム組成物が、シラン架橋法により得られた架橋物である場合、架橋フッ素ゴム組成物は、ベースポリマーがシラノール縮合(シロキサン結合)を介して縮合したシラン架橋ポリマーを少なくとも含有する。このシラン架橋ポリマーの一形態は、シラン架橋ポリマーと無機フィラーを含む。無機フィラーは、シラン架橋ポリマーのシランカップリグ剤と結合していてもよい。このシラン架橋ポリマーは、複数のベースポリマーがシランカップリング剤により無機フィラーに結合又は吸着して、これらの無機フィラー及びシランカップリング剤を介して結合(架橋)した架橋ベースポリマーと、上記架橋性ポリマーのシランカップリング剤の反応部位が加水分解して互いにシラノール縮合反応することにより、シランカップリング剤を介して架橋した架橋ベースポリマーとを少なくとも含む。また、シラン架橋ポリマーは、これらの無機フィラー及びシランカップリング剤を介した結合(架橋)と、シランカップリング剤を介した架橋とが混在していてもよい。さらに、シランカップリング剤と未反応のベースポリマー成分及び/又は架橋していないシラン架橋性ポリマーを含んでいてもよい。
架橋フッ素ゴム組成物は、優れた長期耐熱性及び高い絶縁性を発現する。その理由は定かではないが以下のように考えられる。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴムと酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂とを特定量で含有するベースポリマーに、特定量で無機フィラーを併用したことにより、架橋性フッ素ゴム組成物中でフッ素ゴムとエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂とが相溶し、無機フィラーを含めた各成分が均一に分散している。さらに、このような架橋性フッ素ゴム組成物を架橋処理したことによりベースポリマー間が均一に架橋している。その結果、長期耐熱性及び高い絶縁性を付与することができる。特に、シラン架橋法で架橋処理した場合には、無機フィラーに結合又は吸着した、又は吸着していないシランカップリング剤を介して、ベースポリマー同士が架橋するため、シランカップリング剤の縮合反応による架橋反応がより均一に進みやすい。その結果、長期耐熱性及び絶縁性をさらに高めることができる。
加えて、フッ素ゴムの含有量を低減させても所望の長期耐熱性及び高い絶縁性を達成することができ、安価に製造することが可能である。
[架橋フッ素ゴム組成物の製造方法]
架橋フッ素ゴム組成物の製造方法は、上記各成分を混合して架橋性フッ素ゴム組成物とし、架橋反応処理する工程を有する製造方法が好ましい。
− 架橋性フッ素ゴム組成物の調製 −
架橋性フッ素ゴム組成物は、通常、上記成分を混合して調製することができる。
架橋性フッ素ゴム組成物は、上記各成分を一度に(溶融)混合して調製することができる。溶融混合する場合の条件は、特に限定されないが、後述する工程(A1)の条件を採用できる。架橋性フッ素ゴム組成物は、後述する配線材の製造方法における工程(E)又は(A)により調製することが好ましい。上記各成分の溶融混合により、又は工程(A)により調製したシラン架橋性フッ素ゴム組成物は、後述するように、シランカップリング剤がベースポリマーにグラフト化反応したシラン架橋性ポリマーを含有し、更には有機過酸化物の分解物を含有していてもよい。
各成分の混合順は、特に制限されないが、無機フィラーとシランカップリング剤とを予め混合することが、シランカップリング剤の揮発を抑制できる点で、好ましい。
架橋フッ素ゴム組成物は、上述の架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理して製造することができる。架橋反応(架橋法)は、上述した通りである。
このように、架橋フッ素ゴム組成物の製造方法は、導体の外周面に被覆層を形成する工程を含まない以外は、後述する配線材の製造方法と同じである。
[配線材]
本発明の配線材は、導体の外周面に本発明の架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材である。この被覆層を備えた配線材は、長期耐熱性及び高い絶縁性を備えている。
配線材としては、電気・電子機器の内部配線若しくは外部配線に使用される電線、ケーブル、コード、光ファイバー心線又は光ファイバーコードが挙げられ、電線又はケーブルが好ましい。本発明の配線材は、中でも、特に絶縁性が求められる配線材として、好ましく用いることができる。
配線材は、導体の外周面に架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を少なくとも1層有していればよく、それ以外の構成は配線材の通常の構成と同様とすることができる。例えば導体の外周面に少なくとも1層の被覆層を有する電線であって、被覆層の少なくとも1層が架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層である電線とできる。あるいは、少なくとも1層の被覆層を有する電線又はこれらを複数束ねた束の外周面に被覆層(シース)を形成したケーブルであって、これらの被覆層の少なくとも1層が架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層であるケーブルとすることができる。
用いる導体としては、通常のものを用いることができ、単線でも撚線でもよく、また裸線でも錫メッキ若しくはエナメル被覆したものでもよい。導体を形成する金属材料としては軟銅、銅合金、アルミニウム等が挙げられる。
架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層は、導体の外周面に直接設けられていてもよく、又は他の部材又は層を介して間接的に設けられていてもよい。絶縁性の観点からは、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層は最外層とすることが好ましい。
架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層の厚さ(肉厚)は、通常の配線材と同様である。導体の周りに形成される被覆層の厚さは特に限定しないが、通常、0.15〜5mm程度である。
[配線材の製造方法]
配線材の製造方法は、上記各成分を混合して架橋性フッ素ゴム組成物とし、この架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して、架橋反応処理する工程を有することが好ましい。
以下に、配線材の製造方法の好ましい形態を説明する。
本発明において、混合するとは、均一な混合物を得ることをいう。
各成分の混合は、上述の、架橋性フッ素ゴム組成物の製造法における混合と同様に、後述する工程(A1)の条件を採用して行うことができる。
導体の外周面を被覆する方法は、架橋性フッ素ゴム組成物で導体を被覆できる方法であればよく、適宜の成形方法が適用される。例えば、成形方法としては、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた射出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。本発明においては、導体と架橋性フッ素ゴム組成物とを共押出する押出成形が好ましい。
押出成形は、汎用の押出成形機を用いて、行うことができる。押出成形温度は、ベースポリマーの種類、押出速度(引取り速度)の諸条件に応じて適宜に設定され、例えば、好ましくは150〜200℃に設定することが好ましい。
架橋反応処理の方法は特に制限されず、電子線架橋法、有機過酸化物架橋法、シラン架橋法のいずれであってもよい。シラン架橋法は、化学架橋機や電子線架橋機等の特殊な機械を必要としないため好ましい。加えて、シラン架橋法は、通常長時間を要する有機過酸化物架橋工程を省略できるため、生産性の点でも好ましい。
架橋性フッ素ゴム組成物を電子線架橋法で架橋反応処理して配線材を製造する場合、架橋反応処理として電子線を照射する。電子線の照射条件は、電子線架橋性フッ素ゴム組成物(ベースポリマー)を架橋反応させることができる限り特に制限されない。例えば、電子線の照射量は1〜30Mradとすることでき、より好ましくは5〜25Mradであり、照射時の加速電圧は500〜2000keVとすることができる。
電子線架橋法による配線材の製造方法の一例は、下記の工程を有する製造方法である。
工程(E):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部を溶融混練して、架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(F):工程(E)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(G):工程(F)で得られた被覆層前駆体を、電子線を照射して架橋反応処理する工程
工程(E)における各成分の配合量は、上述の架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量と同一であり、配合量を設定する理由も同じである。
架橋性フッ素ゴム組成物を有機過酸化物架橋法で架橋反応処理して配線材を製造する場合、架橋反応処理として有機過酸化物の分解温度以上に加熱する。加熱条件は、有機過酸化物架橋性フッ素ゴム組成物が含有する有機過酸化物の分解温度以上であればよく、加熱時間も特に限定されない。
架橋性フッ素ゴム組成物をシラン架橋法で架橋反応処理して配線材を製造する場合、架橋反応処理として水分と接触させる。水分と接触させる条件は後述する。
シラン架橋法による配線材の製造方法としては、下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する製造方法(本発明の製造方法ということがある。)が好ましい。

工程(A):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部と、有機過酸化物0.003〜0.5質量部と、ベースポリマーにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
工程(C):工程(C)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させて配線材を得る工程
工程(A)における各成分の配合量は、上述のシラン架橋性フッ素ゴム組成物中の含有量と同一であり、配合量を設定する理由も同じである。
工程(A)において有機過酸化物の配合量を上記含有量の範囲にすると、上記理由に加えて、ベースポリマーにシランカップリング剤を効果的にグラフト化反応させることができ、未反応のシランカップリング剤同士の縮合反応及び未反応のシランカップリング剤の揮発を抑制できる。また、ベースポリマー同士の架橋反応を抑制することもできる。その結果、上述のように、架橋フッ素ゴム組成物に高い長期耐熱性を付与しながらも、ブツの発生を抑えることができる。
工程(A)における各成分の混合順は、特に限定されないが、ベースポリマー、無機フィラー、シランカップリング剤、及び有機過酸化物を(溶融)混合した後に、得られた混合物(シランマスターバッチ)とシラノール縮合触媒とを混合することが、シランカップリング剤がベースポリマーへのグラフト化反応する前にシラノール縮合反応することを抑制できる点で、好ましい。このとき、「ベースポリマー、無機フィラー、シランカップリング剤及び有機過酸化物を混合する」とは、混合する際の混合順を特定するものではなく、どのような順で混合してもよいことを意味する。
すなわち、本発明においては、工程(A)を行うに際して、下記工程(A1)でベースポリマーの全部を用いる場合、下記工程(A1)及び工程(A3)を行い、下記工程(A1)でベースポリマーの一部を用いる場合、下記工程(A1)〜工程(A3)を行うことがより好ましい。

工程(A1):ベースポリマーの全部又は一部と、無機フィラーと、シランカップリング剤とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、ベースポリマーとシランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
工程(A2):シラノール縮合触媒とキャリアポリマーとしてベースポリマーの残部とを混合する工程
工程(A3):工程(A1)で得られた溶融混合物と、シラノール縮合触媒又は工程(A2)で得られた混合物とを混合する工程
工程(A1)は、下記工程(A1−1)及び(A1−2)の2段階で各成分を混合することがより好ましい。
工程(A1−1):無機フィラー及びシランカップリング剤を混合する工程
工程(A1−2):工程(A1−1)で得られた混合物とベースポリマーの全部又は一部とを有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、ベースポリマーとシランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
上記工程(A1)は、「ベースポリマーの全量(100質量部)が配合される態様」と、「ベースポリマーの一部が配合される態様」とを含む。工程(A1)において、ベースポリマーの一部が配合される場合、ベースポリマーの残部は、好ましくは工程(A2)で配合される。
本発明において、「ベースポリマーの一部」とは、ベースポリマーのうち工程(A1)で使用するベースポリマーであって、ベースポリマーそのものの一部(ベースポリマーと同一組成を有する)、ベースポリマーを構成する成分の一部、ベースポリマーを構成する一部の成分(例えば、複数の成分のうちの特定の成分全量)をいう。
また、「ベースポリマーの残部」とは、ベースポリマーのうち工程(A1)で使用する一部を除いた残りのベースポリマーであって、具体的には、ベースポリマーそのものの残部、ベースポリマーを構成する成分の残部、ベースポリマーを構成する残りの成分をいう。
工程(A1)でベースポリマーの一部を配合する場合、工程(A)におけるベースポリマーの配合量100質量部は、工程(A1)〜工程(A3)、好ましくは工程(A1)及び工程(A2)で混合されるベースポリマーの合計量である。
ここで、工程(A2)でベースポリマーの残部が配合される場合、ベースポリマーは、工程(A1)において、好ましくは70〜99質量%、より好ましくは80〜99質量%、さらに好ましくは85〜95質量%が配合され、工程(A2)において、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%が配合される。この際、工程(A1)で配合されるベースポリマーには、フッ素ゴムが少なくとも15質量%(工程(A1)及び(A2)で混合されるベースポリマーの合計量に対する値)含まれるように配合することが好ましい。
本発明の製造方法において、シランカップリング剤は、上記のように、無機フィラーと前混合等されることが好ましい(工程(A1−1))。前混合されたシランカップリング剤は、無機フィラーの表面を取り囲むように存在し、その一部又は全部が無機フィラーに付着又は結合する。このようにして、後の溶融混合の際にシランカップリング剤の揮発を低減でき、しかも、無機フィラーに付着又は結合しないシランカップリング剤が縮合して溶融混合が困難になることも防止できる。更には、押出成形の際に所望の形状を得ることもできる。
無機フィラーとシランカップリング剤とを前混合する方法としては、特に限定されないが、湿式処理、乾式処理等の混合方法が挙げられる。好ましくは、有機過酸化物の分解温度未満の温度、好ましくは10〜60℃、より好ましくは室温近傍(20〜25℃)で無機フィラーとシランカップリング剤を、数分〜数時間程度、乾式又は湿式により、混合する方法が挙げられ、無機フィラー中にシランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加えて混合する乾式処理がより好ましい。工程(A1)においては、上記分解温度未満の温度が保持されている限り、ベースポリマーを混合していてもよい。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(A1−1)で得られた、無機フィラーとシランカップリング剤との混合物とベースポリマーの全部又は一部と、適宜に工程(A1−1)で混合されていない残余の成分とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度に加熱しながら、溶融混合する(工程(A1−2))。このようにすると、ベースポリマー成分同士の過剰な架橋反応を防止することができ、外観に優れた配線材が得られる。
工程(A1)において、上記成分を溶融混合(溶融混錬、混練りともいう)する温度は、有機過酸化物の分解温度以上、好ましくは有機過酸化物の分解温度+(25〜110)℃の温度である。この分解温度はベースポリマー成分が溶融してから設定することが好ましい。上記混合温度であれば、上記成分が溶融し、有機過酸化物が分解、作用して必要なシラングラフト化反応が工程(A1)において十分に進行する。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混練装置としては、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。ベースポリマー成分の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーが好ましい。
有機過酸化物は、上記工程(A1)の溶融混合時、すなわち、工程(A1−1)で得られた混合物とベースポリマーとを溶融混合する際に、存在していればよい。有機過酸化物は、例えば、工程(A1−1)において混合されてもよく、工程(A1−2)において混合されてもよい。
本発明の製造方法において、シラノール縮合触媒は好ましくは工程(A3)で混合されるが、工程(A1)、特に工程(A1−2)においては、シラノール縮合触媒を実質的に混合せずに上述の各成分を混合することが好ましい。これにより、シランカップリング剤のシラノール縮合反応を抑えることができ、溶融混合しやすく、また押出成形の際に所望の形状を得ることができる。ここで、「実質的に混合せず」とは、シランカップリング剤のシラノール縮合反応による上述の問題が生じない程度(例えば、ベースポリマー100質量部に対して0.01質量部以下)に存在していてもよいことを意味する。
ヒンダードフェノール系老化防止剤と2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩は、それぞれ工程(A1)及び(A2)の少なくとも一方で混合されることが好ましい。例えば、工程(A1)及び工程(A2)の少なくとも一方で、ベースポリマー100質量部に対して、ヒンダードフェノール系老化防止剤1〜4質量部を混合することが好ましい。工程(A1)及び工程(A2)の少なくとも一方で、ベースポリマー100質量部に対して、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩8質量部以下を混合することが好ましく、1〜8質量部を混合することがより好ましい。工程(A1)及び工程(A2)の少なくとも一方で、ベースポリマー100質量部に対して、ヒンダードフェノール系老化防止剤1〜4質量部と、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩8質量部以下(より好ましくは、1〜8質量部)とを混合することがより好ましい。工程(A1)においてグラフト化反応を効率よく生起させる観点からは、ヒンダードフェノール系老化防止剤と2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とは、工程(A2)において混合されることが好ましく、触媒マスターバッチの成分として混合されることがより好ましい。ヒンダードフェノール系老化防止剤と2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩は、合計量の95質量%の割合を工程(A2)において混合し、残部を工程(A1)において混合することがさらに好ましい。
2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩の全量を(A2)で混合することが好ましい。
本発明の製造方法において、上記添加剤は、いずれの工程で混合されてもよいが、シランカップリング剤のベースポリマーへのグラフト化反応を阻害しない点で、工程(A2)で混合されるのがよい。
このようにして、工程(A1)(好ましくは、工程(A1−1)及び工程(A1−2))を行って、シランマスターバッチ(シランMBともいう)が調製される。このシランMBは、後述の工程(B)により成形可能な程度にシランカップリング剤がベースポリマーにグラフトしたシラン架橋性ポリマーを含有している。
本発明の製造方法において、工程(A1)でベースポリマーの一部を溶融混合する場合、ベースポリマーの残部とシラノール縮合触媒とを溶融混合し、触媒マスターバッチ(触媒MBともいう)を調製する(工程(A2))。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、ベースポリマーの溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(A1)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、80〜250℃、より好ましくは100〜240℃で行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
キャリアポリマーとしての上記ベースポリマーの残部とシラノール縮合触媒との混合割合は、特に限定されないが、好ましくはシラン架橋性フッ素ゴム組成物中の上記含有量を満たすように、設定される。
工程(A2)において、無機フィラーを混合してもよい。この場合、無機フィラーの配合量は、特には限定されないが、キャリアポリマー100質量部に対し、200質量部以下が好ましい。無機フィラーの配合量が多すぎるとシラノール縮合触媒が分散しにくく、架橋が進行しにくくなる場合がある。
本発明の製造方法において、次いで、工程(A1)で得られた溶融混合物(シランMB)と、シラノール縮合触媒又は工程(A2)で得られた混合物(触媒MB)とを混合する(工程(A3))。好ましくはシランMBと触媒MBとを混合する。
工程(A3)において、シラノール縮合触媒を混合する場合、シラノール縮合触媒単独で、又はシラノール縮合触媒と他のゴム又は樹脂との混合物として、混合することができる。
混合方法は、特に制限されないが、工程(A1)の溶融混合と基本的に同様であり、少なくともベースポリマーが溶融する温度で混合する。混合温度は、ベースポリマーに応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜240℃である。その他の条件、例えば混合(混練)時間は適宜設定することができる。
工程(A3)においては、シラノール縮合反応を避けるため、シランMBとシラノール縮合触媒が混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。
工程(A3)においては、シランMBとシラノール縮合触媒又は工程(A2)で得られた混合物とを溶融混合する前に、ドライブレンドすることが好ましい。ドライブレンドの方法及び条件は、特に限定されず、例えば、工程(A1)での乾式処理による混合及びその条件が挙げられる。
こうして、シランMBとシラノール縮合触媒との(溶融)混合物として、シラン架橋性ポリマーを含有するシラン架橋性フッ素ゴム組成物が調製される。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(A)で得られたシラン架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程(B)を行う。工程(B)で得られる被覆層前駆体は、シランカップリング剤がシラノール縮合反応をしていない未架橋物である。
この工程(B)は、シラン架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆できればよく、上述の、導体の外周面の被覆方法を特に制限されることなく適用できる。
工程(B)の被覆は、工程(A3)の混合と同時に又は連続して、行うことができる。すなわち、被覆の際、例えば押出被覆の際に、又はその直前に、成形原料として工程(A1)で得られた溶融混合物とシラノール縮合触媒又は工程(A2)で得られた混合物とを溶融混合する態様が挙げられる。例えば、工程(A1)で得られた溶融混合物とシラノール縮合触媒等との混合物を被覆装置内で溶融混合し、次いで、導体等の外周面に押出被覆して、所望の形状に成形する一連の工程を採用できる。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(B)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させる工程(C)を行う。これにより、シランカップリング剤の反応部位が加水分解されてシラノールとなり、被覆層前駆体中に存在するシラノール縮合触媒によりシラノールの水酸基同士が縮合して架橋反応が起こる。こうして、ベースポリマーにグラフト化反応したシランカップリング剤がシラノール縮合して架橋反応した、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層有する配線材を得ることができる。
この工程(C)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合は常温で進行する。したがって、工程(C)において、被覆層前駆体を水に積極的に接触させる必要はない。この架橋反応を促進させるために、被覆層前駆体と水分とを接触させることもできる。例えば、高湿度雰囲気への暴露、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水に接触させる方法を採用できる。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
こうして、配線材が製造される。この配線材は、上述のシラン架橋性ポリマーが、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位がシラノール縮合反応して架橋したシラン架橋フッ素ゴムを含有している。
上記本発明の製造方法は、以下のように、表現できる。
下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有する配線材の製造方法であって、
工程(a):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部と、有機過酸化物0.003〜0.5質量部と、シランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下とを、有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混練し、シランマスターバッチを調製する工程
工程(b):工程(a)で得られたシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを混合した後に、得られたシラン架橋性組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を形成する工程
工程(c):工程(b)で得られた被覆層前駆体を水と接触させてシラン架橋反応処理する工程を含む、製造方法。
上記方法において、工程(a)及び工程(b)の混合工程は上記工程(A)に対応し、工程(b)の被覆工程は上記工程(B)に対応し、工程(c)は上記工程(C)に対応する。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、表1において、各例における配合に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
実施例1〜14、及び比較例1〜7は、下記成分を用いて、それぞれの諸元を表1に示す条件に設定して実施し、後述する評価を併せて示した。
なお、表1中に示す各化合物の詳細を以下に示す。
<ベースポリマー>
フッ素ゴム1:アフラス150P(商品名)、AGC旭硝子社製、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム
フッ素ゴム2:アフラス400E(商品名)、AGC旭硝子社製、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体ゴム
フッ素ゴム3:ダイエルG952(商品名)、ダイキン工業社製、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴム
EVA1:UBE V221(商品名)、宇部丸善石油化学社製、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量:20質量%
EVA2:エバフレックスV5274(商品名)、三井・ダウポリケミカル社製、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量17質量%
EVA3:エバフレックスEV360(商品名)、三井・ダウポリケミカル社製、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量25質量%
EVA4:エバフレックスV421(商品名)、三井・ダウポリケミカル社製、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量28質量%
EVA5:エバフレックスP1207(商品名)、三井・ダウポリケミカル社製、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量12質量%
EVA6:エバフレックスEV180(商品名)、三井・ダウポリケミカル社製、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量33質量%
EVA7:UBE VF120T(商品名)、宇部丸善石油化学社製、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、VA含有量20質量%
ポリエチレン1:スミカセンCU5003(商品名)、住友化学社製、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)
<有機過酸化物>
有機過酸化物1:パーヘキサ25B(商品名)、日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、分解温度154℃
<架橋助剤>
架橋助剤1:TAIC(商品名)、三菱ケミカル社製、トリアリルイソシアヌレート
<無機フィラー>
シリカ1:クリスタライト5X(商品名)、龍森社製、シリカ
シリカ2:アエロジル200(商品名)、日本アエロジル社製、シリカ
焼成クレー1:サティトンSP−33(商品名)、エンゲルハード社製、焼成クレー
炭酸カルシウム1:ソフトン2200(商品名)、備北粉化工業社製、炭酸カルシウム
<老化防止剤>
ヒンダードフェノール系老化防止剤1:イルガノックス1010(商品名)、BASF社製、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]
ヒンダードフェノール系老化防止剤2:イルガノックスMD1024(商品名)、BASF社製、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン
ヒンダードフェノール系老化防止剤3:イルガノックス1076(商品名)、BASF社製、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル
2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩1:ノクラックMBZ(商品名)、大内新興化学工業社製、1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−チオン・0.5亜鉛塩
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤1:KBM−1003(商品名)、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン
<シラノール縮合触媒>
シラノール縮合触媒1:アデカスタブOT−1(商品名)、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウリレート
(実施例1〜13、比較例1〜6)
本実施例及び比較例においては、シラン架橋性フッ素ゴム組成物を調製し、これを導体の外周面上に押出成形した後にシラノール縮合反応させて形成した被覆層を有する配線材を製造した。
まず、表1の「シランMB」欄に示す各成分のうち無機フィラー、有機過酸化物、及びシランカップリング剤を、表1に示す質量比で、東洋精機製10Lヘンシェルミキサーに投入し、室温(25℃)で10分混合して、粉体混合物を得た。次に、このようにして得られた粉体混合物と、表1の「シランMB」欄に示すベースポリマー、及び老化防止剤を、表1に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、有機過酸化物の分解温度以上の温度、具体的には190℃において10分混練り後、材料排出温度200℃で排出し、シランMBを得た(工程(A1))。得られたシランMBは、ベースポリマーにシランカップリング剤がグラフト反応したシラン架橋性ポリマーを含有している。
一方、表1の「触媒MB」欄に示す、キャリアポリマーとシラノール縮合触媒と老化防止剤とを、表1に示す質量比で、180〜190℃でバンバリーミキサーにて溶融混合し、材料排出温度180〜190℃で排出して、触媒MBを得た(工程(A2))。
次いで、シランMBと触媒MBとを密閉型のリボンブレンダーに投入し、室温(25℃)で5分間ドライブレンドしてドライブレンド物を得た。このとき、シランMBと触媒MBとの混合比は、表1に示す質量比である。
次いで、得られたドライブレンド物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=24、スクリュー直径30mmのスクリューを備えた押出機(圧縮部スクリュー温度170℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内でドライブレンド物を溶融混合しながら(工程(A3))(シラン架橋性フッ素ゴム組成物)、1/0.8TA導体の外周面上に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの被覆導体を得た(工程(B))。この被覆導体を温度40℃、湿度95%の雰囲気に1週間放置した(工程(C))。
このようにして、上記導体の外周面上に、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材(電線)をそれぞれ製造した。
(実施例14、比較例7)
本実施例及び比較例においては、電子線架橋性フッ素ゴム組成物を調製し、これを導体の外周面上に押出成形した後に電子線架橋法により架橋反応処理して形成した被覆層を有する配線材を製造した。
まず、無機フィラーとシランカップリング剤とを、表1に示す質量比で、東洋精機製10Lヘンシェルミキサーに投入し、室温(25℃)で1時間混合して、粉体混合物を得た。次に、このようにして得られた粉体混合物と、表1に示す、ベースポリマー、老化防止剤及び架橋助剤とを、表1に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、具体的には190℃において10分混練り後、材料排出温度200℃で排出し、電子線架橋性フッ素ゴム組成物を得た(工程(E))。
次いで、得られた電子線架橋性フッ素ゴム組成物を、L/D(スクリュー有効長Lと直径Dとの比)=24、スクリュー直径30mmのスクリューを備えた押出機(圧縮部スクリュー温度170℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内で上記電子線架橋性フッ素ゴム組成物を溶融混合しながら、1/0.8TA導体の外周面上に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの被覆導体を得た(工程(F))。
得られた被覆導体を電子線架橋設備に通し、加速電圧750keVで12Mradの電子線を照射して架橋反応させ、配線材を得た(工程(G))。
このようにして、上記導体の外周面上に、架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材である電線を製造した。
製造した各配線材について、下記試験をし、その結果を表1に示した。
比較例5については、上記混合において成分がうまく交じり合わず配線材形状に成形できなかったため、押出外観試験以外の試験を行わなかった。
<加熱老化試験>
配線材の長期耐熱性について、下記方法により評価した。試験方法の詳細は後述するが、本試験では、158℃又は180℃で試験体を168時間保持した際の引張強度残率及び引張伸び残率を求めた。180℃で168時間保持した際の、引張強度残率及び引張伸び残率の両方が、後述する基準を満たしているとき、本加熱老化試験に合格とする。各保持温度における試験において下記基準を満足することは、UL規格における、UL125℃、及びUL150℃用の耐熱老化性試験にそれぞれ合格することに相当し、それぞれ125℃、及び150℃での使用(配線材の温度が一時的に158℃、又は180℃程度まで上昇しうる使用)に耐える配線材であることを意味する。表中には、158℃で168時間保持した際の引張強度残率及び引張伸び残率を合わせて示した。以下に、評価方法を詳述する。
後述する、機械特性試験により、引張強度(%)及び引張伸び(%)を測定した。これらをそれぞれ、保持前の引張強度及び保持前の引張伸びという。
別途、各配線材から導体を抜き取って作製した管状片を158℃又は180℃の恒温槽中に168時間放置し、常温に取り出した後、16時間放置し、その後JIS C 3005に基づき、標線間距離20mm、引張速度200mm/分の条件で引張試験を行い、引張強度(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。
保持後の引張強度を保持前の引張強度で除して、引張強度の残率(%)を算出した。加えて、保持後の引張伸びを保持前の引張伸びで除して、引張伸びの残率(%)を算出した。得られた引張強度残率及び引張伸び残率を以下の基準で評価した。
−基準−
158℃168時間で保持した配線材:引張強度残率(%)80%以上及び引張伸び残率(%)80%以上
180℃168時間で保持した配線材:引張強度残率(%)80%以上及び引張伸び残率(%)75%以上
<絶縁性試験>
JIS C 3005に基づき、長さ20mの配線材を20℃の水槽に浸漬して、浸漬してから1時間経過後に、印加電圧500V、印加時間300秒で水中にて絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗は、1000mあたりに換算し、MΩ・kmで表記した。
絶縁性は、3000MΩ・km以上で合格であり、4000MΩ・km以上が好ましい。
各配線材について、好ましい特性として、外観品質およびブルームの有無についても評価した。
<機械特性試験>
配線材の機械特性を引張試験により評価した。
各配線材から導体を抜き取って作製した管状片を用いて、室温(25℃)で、JIS C 3005に基づき、標線間距離20mm、引張速度200mm/分で引張試験を行い、引張強度(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。
引張強度は、8MPa以上が好ましく、10MPa以上がより好ましい。また、引張伸びは、100%以上が好ましい。
<押出外観試験>
外観品質を押出外観試験により評価した。押出外観試験は、被覆導体を製造する際に、被覆導体の外観品質を観察して評価した。
被覆導体の外観にブツがなく配線材形状に成形できたものを「A」、ブツの発生を確認できたが外観品質に問題がない程度であり、配線材形状に成形できたものを「B」、著しく外観不良が発生して配線材形状に成形できなかったものを「C」とした。押出外観試験は、評価「B」以上であることが好ましい。
<ブルーム試験>
配線材を40℃の恒温槽に1週間投入し、常温に取り出し1日後に、配線材の表面を目視で観察した。
配線材の表面に粉(組成物中の成分が表面に移行して結晶化したもの)が吹き出しているものを「△」、表面に粉が吹き出していないものを「○」とした。「〇」であることが好ましい。
Figure 2021155589
Figure 2021155589
Figure 2021155589
表1に示す結果から明らかなように、本発明で規定する組成を満たさない架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理して得られる架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を有する配線材は、電子線架橋法又はシラン架橋法のいずれの架橋反応処理を採用しても、加熱老化試験及び絶縁性試験のいずれかが不合格であり、長期耐熱性及び絶縁性を兼ね備えることができない。
これに対して、本発明で規定する組成を満たす架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理して得られる架橋フッ素ゴム成形体からなる被覆層を有する配線材は、架橋反応処理として電子線架橋法及びシラン架橋法のいずれの架橋法を採用しても、加熱老化試験及び絶縁性試験のいずれにも合格している。このため、少なくとも150℃程度の高温で使用しうる長期耐熱性を発現しながらも、3000MΩ・km以上の優れた絶縁性を示す。これは上記組成物中で各成分が均一に分散及し、ベースポリマー間が架橋しているためと考えられる。

Claims (12)

  1. 下記架橋性フッ素ゴム組成物を架橋反応処理した、架橋フッ素ゴム組成物。
    [架橋性フッ素ゴム組成物]
    テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部を含有する架橋性フッ素ゴム組成物。
  2. 前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースポリマー100質量部に対して、前記ベースポリマーにグラフト化反応したシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを含有する、請求項1に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
  3. 前記架橋性フッ素ゴム組成物が、前記ベースポリマー100質量部に対して、ヒンダードフェノール系老化防止剤1〜4質量部と、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩8質量部以下とを含有する請求項1又は2に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
  4. 前記2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩の含有量が1〜8質量部である請求項3に記載の架橋フッ素ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋フッ素ゴム組成物からなる被覆層を導体の外周面に有する配線材。
  6. 下記工程(E)、工程(F)及び工程(G)を有する配線材の製造方法。
    工程(E):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部を溶融混練して、架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
    工程(F):前記工程(E)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物を導体の外周面に成形して被覆層前駆体を形成する工程
    工程(G):前記工程(F)で得られた被覆層前駆体を、電子線を照射して架橋反応処理する工程
  7. 下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する配線材の製造方法。
    工程(A):テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体フッ素ゴム30〜55質量%と、酢酸ビニル含有量が15〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂45〜70質量%とを含有するベースポリマー100質量部に対して、無機フィラー5〜150質量部と、有機過酸化物0.003〜0.5質量部と、前記ベースポリマーにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤2.0質量部を越え15.0質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合して架橋性フッ素ゴム組成物を得る工程
    工程(B):前記工程(A)で得られた架橋性フッ素ゴム組成物で導体の外周面を被覆して被覆層前駆体を得る工程
    工程(C):前記工程(C)で得られた被覆層前駆体と水とを接触させて配線材を得る工程
  8. 前記工程(A)が、下記工程(A1)で前記ベースポリマーの全部を用いる場合、下記工程(A1)及び工程(A3)を有し、下記工程(A1)で前記ベースポリマーの一部を用いる場合、下記工程(A1)〜工程(A3)を有する、請求項7に記載の配線材の製造方法。
    工程(A1):前記ベースポリマーの全部又は一部と、前記無機フィラーと、前記シランカップリング剤とを、前記有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記ベースポリマーと前記シランカップリング剤とをグラフト化反応させる工程
    工程(A2):前記シラノール縮合触媒とキャリアポリマーとして前記ベースポリマーの残部とを混合する工程
    工程(A3):前記工程(A1)で得られた溶融混合物と、前記シラノール縮合触媒又は前記工程(A2)で得られた混合物とを混合する工程
  9. 前記工程(A1)及び前記工程(A2)の少なくとも一方で、前記ベースポリマー100質量部に対して、ヒンダードフェノール系老化防止剤1〜4質量部と、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩8質量部以下とを混合する請求項8に記載の配線材の製造方法。
  10. 前記2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩の混合量が1〜8質量部である請求項9に記載の配線材の製造方法。
  11. 前記ヒンダードフェノール系老化防止剤と前記2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩とを、合計量の95質量%以上の割合で前記工程(A2)において混合し、残部を前記工程(A1)において混合する、請求項9又は10に記載の配線材の製造方法。
  12. 請求項6〜11のいずれか1項に記載の製造方法で製造されてなる配線材。
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