JP2017053034A - キャリア付銅箔及びキャリア付き銅箔を用いた銅張積層板 - Google Patents

キャリア付銅箔及びキャリア付き銅箔を用いた銅張積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】銅箔の表面に粗化処理を形成した後、その上に耐熱層・防錆層を形成後、シランカップリング処理が施された印刷回路用銅箔を使用した銅張積層板において、ファインパターン印刷回路形成後に、基板を酸処理や化学エッチングを施した際に、銅箔回路と基板樹脂の界面への酸の染込みによる密着性低下の抑制を向上させることのでき、耐酸性密着強度優れ、かつアルカリエッチング性に優れたキャリア付銅箔を提供する。
【解決手段】銅箔または銅合金箔の上に、粗化(トリート)処理を施すことにより形成された粗化処理層、この粗化処理層の上に形成されたNi−Co層からなる耐熱層、及びこの耐熱層の上に形成されたZn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層からなる複数の表面処理層を有し、前記表面処理層中の全Zn量/(全Zn量+全Ni量)が0.02以上0.35以下であり、前記表面処理層中の全Ni量が1600μg/dm2以下であることを特徴とする表面処理層付銅箔。
【選択図】 なし

Description

本発明は、キャリア付銅箔に関する。より詳細には、本発明はプリント配線板やシールド材の材料として使用されるキャリア付銅箔に関する。
銅及び銅合金箔(以下銅箔と称する)は、電気・電子関連産業の発展に大きく寄与しており、特に印刷回路材として不可欠の存在となっている。印刷回路用銅箔は一般に、合成樹脂ボード、ポリイミドフィルム等の基材に接着剤を介して、又は接着剤を使用せずに高温高圧下で積層接着して、又は、ポリイミド前駆体を塗布・乾燥・硬化したりして銅張積層板を製造し、その後目的とする回路を形成するために、レジスト塗布及び露光工程を経て必要な回路を印刷した後、不要部を除去するエッチング処理が施される。
最終的に、所要の素子が半田付けされて、エレクトロニクスデバイス用の種々の印刷回路板を形成する。印刷回路板用銅箔は、樹脂基材と接着される面(粗化面)と非接着面(光沢面)とで異なるが、それぞれ多くの方法が提唱されている。
例えば、銅箔に形成される粗化面に対する要求としては、主として、1)保存時における酸化変色のないこと、2)基材との引き剥し強さが高温加熱、湿式処理、半田付け、薬品処理等の後でも充分なこと、3)基材との積層、エッチング後に生じる、いわゆる積層汚点のないこと等が挙げられる。
銅箔の粗化処理は、銅箔と基材との接着性を決定するものとして、大きな役割を担っている。この粗化処理としては、当初銅を電着する銅粗化処理が採用されていたが、その後、様々な技術が提唱され、耐熱剥離強度、耐塩酸性及び耐酸化性の改善を目的として銅−ニッケル粗化処理が一つの代表的処理方法として定着するようになっている。
本件出願人は、銅−ニッケル粗化処理を提唱し(特許文献1参照)、成果を納めてきた。銅−ニッケル処理表面は黒色を呈し、特にフレキシブル基板用圧延処理箔では、この銅−ニッケル処理の黒色が商品としてのシンボルとして認められるに至っている。
しかしながら、銅−ニッケル粗化処理は、耐熱剥離強度及び耐酸化性並びに耐塩酸性に優れる反面で、近時ファインパターン用処理として重要となってきたアルカリエッチング液でのエッチングが困難であり、150μmピッチ回路巾以下のファインパターン形成時に処理層がエッチング残となってしまう。
そこで、ファインパターン用処理として、本件出願人は、先にCu−Co処理(特許文献2及び特許文献3参照)及びCu−Co−Ni処理(特許文献4参照)を開発した。
これら粗化処理は、エッチング性、アルカリエッチング性及び耐塩酸性については、良好であったが、アクリル系接着剤を用いたときの耐熱剥離強度が低下することが改めて判明し、また耐酸化性も所期程充分ではなくそして色調も黒色までには至らず、茶乃至こげ茶色であった。
こうした要望に応えて、本出願人は、銅箔の表面に銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理後、コバルトめっき層或いはコバルト−ニッケル合金めっき層を形成することにより、印刷回路用銅箔として上述した多くの一般的特性を具備することは勿論のこと、特にCu−Ni処理と匹敵する上述した諸特性を具備し、しかもアクリル系接着剤を用いたときの耐熱剥離強度を低下せず、耐酸化性に優れそして表面色調も黒色である銅箔処理方法を開発することに成功した(特許文献5参照)。
さらに、電子機器の発展が進む中で銅箔回路基板の耐熱剥離性向上の要求が厳しくなったため、本出願人は、銅箔の表面に銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理後、コバルト−ニッケル合金めっき層を形成し、さらに亜鉛−ニッケル合金めっき層を形成する、耐熱性に優れた印刷用銅箔処理方法を開発することに成功した(特許文献6参照)。これは非常に有効な発明であり、今日の銅箔回路材料の主要製品の一つとなっている。
その後、電子機器の発展により半導体デバイスの小型化、高集積化が更に進み、FPCの多層基板技術が急速に進展した。このFPC多層基板の製造工程においては、銅張積層板でファインパターン回路形成後に、レジストフィルム圧着工程や金属めっき工程における銅箔回路基板を清浄化するための前処理として、硫酸と過酸化水素を含有するエッチング液や、硫酸水溶液を使用した溶液などによる複数回の表面エッチング処理が使用されるようになった。
ところが上記のFPC多層板製造工程における表面エッチング処理において、特許文献6に参照される銅箔の表面に銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理後、コバルト−ニッケル合金めっき層を形成し、さらに亜鉛−ニッケル合金めっき層を形成する印刷用銅箔を使用した銅張積層板のファインパターン回路において、銅箔回路と基板樹脂との界面を表面エッチング液が侵食して、銅箔回路と基板樹脂との密着性が低下してしまい、FPC特性として電気回路不良を発生するという問題が発生したため、これを解決することが要求されている。
本出願人は、下記特許文献7に、銅箔の表面に、銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理層、この粗化処理層の上に形成したコバルト−ニッケル合金めっき層及びこのコバルト−ニッケル合金めっき層の上に、亜鉛−ニッケル合金めっき層を形成した印刷回路用銅箔において、亜鉛−ニッケル合金めっき層の総量、ニッケル量、ニッケルの比率を既定した技術を提案した。
この技術は有効であるが、Niは亜鉛−ニッケル合金層だけでなく、粗化処理層、耐熱層、耐候層全てに含有させることが可能であるため、表面エッチングにおける回路侵食防止、および一般的なFPC特性に非常に優れた効果を発揮できる印刷回路用銅箔を得るためには、粗化処理層、耐熱層、および耐候層全ての全Ni量を、さらに検討する必要があることが分かった。
さらにZnは亜鉛−ニッケル合金層だけでなく、耐候層、防錆層全てに含有させることが可能であるため、耐候層、防錆層全ての全Zn量について、さらには上記全Ni量との比率について検討する必要があることが分かった。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
ファインピッチ化に対応して、最近では厚さ9μm以下、更には厚さ5μm以下の銅箔が要求されているが、このような極薄の銅箔は機械的強度が低くプリント配線板の製造時に破れたり、皺が発生したりしやすいので、厚みのある金属箔をキャリアとして利用し、これに剥離層を介して極薄銅層を電着させたキャリア付銅箔が登場している。極薄銅層の表面を絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後に、キャリアを剥離層を介して剥離するというのがキャリア付銅箔の一般的な使用方法である。
ここで、樹脂との接着面となるキャリア付き銅箔の極薄銅層の面に対しては、主として、極薄銅層と樹脂基材との剥離強度が十分であること、そしてその剥離強度が高温加熱、湿式処理、半田付け、薬品処理等の後でも十分に保持されていることが要求される。
極薄銅層と樹脂基材の間の剥離強度を高める方法としては、一般的に、表面のプロファイル(凹凸、粗さ)を大きくした極薄銅層の上に多量の粗化粒子を付着させる方法が代表的である。
しかしながら、プリント配線板の中でも特に微細な回路パターンを形成する必要のある半導体パッケージ基板に、このようなプロファイル(凹凸、粗さ)の大きい極薄銅層を使用すると、回路エッチング時に不要な銅粒子が残ってしまい、回路パターン間の絶縁不良等の問題が発生する。
このため、半導体パッケージ基板をはじめとする微細回路用途のキャリア付銅箔としては、極薄銅層の表面に粗化処理を施さないキャリア付銅箔を用いることが試みられている。このような粗化処理を施さない極薄銅層と樹脂との密着性(剥離強度)は、その低いプロファイル(凹凸、粗度、粗さ)の影響で一般的なプリント配線板用銅箔と比較すると低下する傾向がある。(特許文献8)
そのため、キャリア付銅箔について更なる改善が求められている。
特開昭52−145769号公報 特公昭63−2158号公報 特開平2−292895号公報 特開平2−292894号公報 特公平6−54831号公報 特公平9−87889号公報 WO2009/041292号 WO2004/005588号
本発明は、キャリア付銅箔及び銅張積層板に関するものであり、特に銅箔の表面に粗化処理を形成した後、その上に耐熱層・耐候層・防錆層を形成後、シランカップリング処理が施されたキャリア付銅箔を使用した銅張積層板において、ファインパターン印刷回路形成後に、基板を酸処理や化学エッチングを施した際に、銅箔回路と基板樹脂の界面への酸の「染込み」による密着性低下の抑制を向上させることのでき、耐酸性密着強度優れ、かつアルカリエッチング性に優れたキャリア付銅箔に関する。
電子機器の発展が進む中で、半導体デバイスの小型化、高集積化が更に進み、これらの印刷回路の製造工程で行われる処理が一段と厳しい要求がなされている。本願発明をこれらの要求にこたえる技術を提供することを課題とする。
以上から、本願は、次の発明を提供する。
1)銅箔または銅合金箔の上に、粗化(トリート)処理を施すことにより形成された粗化処理層、この粗化処理層の上に形成されたNi−Co層からなる耐熱層、及びこの耐熱層の上に形成されたZn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層を有する表面処理層を有し、前記表面処理層中の全Zn量/(全Zn量+全Ni量)が0.02以上0.35以下であり、前記表面処理層中の全Ni量が1600μg/dm2以下であることを特徴とするキャリア付銅箔。
2)前記表面処理層中の全Zn量/(全Zn量+全Ni量)が0.02以上0.23以下であり、前記表面処理層中の全Ni量が1150μg/dm2以下であることを特徴とする、1)に記載のキャリア付銅箔。
3)前記表面処理層中の全Ni量が、350〜1350μg/dm2であることを特徴とする1)又は2)に記載のキャリア付銅箔。
4)前記表面処理層中の全Ni量が、450〜1100μg/dm2であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
5)前記表面処理層中の全Co量が770〜3200μg/dm2であり、全Co量/(全Zn量+全Ni量)が3.4以下であることを特徴とする1)〜4)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
6)前記表面処理層中の全Co量が770〜2500μg/dm2であり、全Co/(全Zn+全Ni)が3.0以下であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
7)前記表面処理層中の全Cr量が50〜120μg/dm2であることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
また、本願は、次の発明を提供する。
8)前記粗化処理層のNiが50〜550μg/dm2であることを特徴とする上記1)〜7)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
9)前記粗化処理層が、Co、Cu、Niの元素からなる粗化処理層であることを特徴とする上記1)〜8)のいずれかに記載のキャリア付銅箔。
10)前記粗化処理層が平均粒子径0.05〜0.60μmの微細粒子からなることを特徴とする1)〜9)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
11)前記粗化処理層が平均粒子径0.05〜0.60μmのCu、Co、Niからなる3元系合金の微細粒子からなることを特徴とする上記1)〜10)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
12)前記粗化処理層が、平均粒子径0.25〜0.45μmの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmの二次粒子層からなることを特徴とする1)〜11)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
13)前記粗化処理層が、平均粒子径0.25〜0.45μmのCuの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmのCu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層からなることを特徴とする上記1)〜12)のいずれかに一項に記載のキャリア付銅箔。
14)上記1)〜13)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層からなる印刷回路用銅箔。
15)前記表面処理層上に樹脂層を備える1)〜13)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
16)上記14)記載の印刷回路用銅箔を樹脂基板に積層接着した銅張積層板。
17)上記1)〜13)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント配線板。
18)上記1)〜13)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント回路板。
19)上記1)〜13)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造した銅張積層板。
20)上記1)〜13)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程
を含むプリント配線板の製造方法。
21)上記1)〜13)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路を形成する工程、
前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成する工程、
前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアを剥離させる工程、及び、
前記キャリアを剥離させた後に、前記極薄銅層を除去することで、前記極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
を含むプリント配線板の製造方法。
22)前記樹脂層上に回路を形成する工程が、
前記樹脂層上に別のキャリア付銅箔を極薄銅層側から貼り合わせ、前記樹脂層に貼り合わせたキャリア付銅箔を用いて前記回路を形成する工程である、請求項21に記載のプリント配線板の製造方法。
23)前記樹脂層上に貼り合わせる別のキャリア付銅箔が、1)〜13)のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔である、22)に記載のプリント配線板の製造方法。
24)前記樹脂層上に回路を形成する工程が、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行われる、21)〜23)のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
25)キャリアを剥離する前に、キャリア付銅箔のキャリア側表面に基板を形成する工程を更に含む21)〜24)の何れか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
本発明は、印刷回路用銅箔及び銅張積層板用のキャリア付銅箔に関するものであり、特に キャリア、中間層、極薄銅層がこの順に積層されているキャリア付銅箔の前記極薄銅層の表面に粗化処理を形成した後、その上に耐熱層・耐候層・防錆層を形成後、シランカップリング処理が施されたキャリア付銅箔の極薄銅層を使用した銅張積層板において、ファインパターン印刷回路形成後に、基板を酸処理や化学エッチングを施した際に、銅箔回路と基板樹脂の界面への酸の「染込み」による密着性低下の抑制を向上させることができ、耐酸性密着強度優れ、かつアルカリエッチング性に優れたキャリア付銅箔に関する。
電子機器の発展が進む中で、半導体デバイスの小型化、高集積化が更に進み、これらの印刷回路の製造工程で行われる処理が一段と厳しい要求がなされている。本願発明をこれらの要求にこたえる優れた技術である。
図1は、過酸化水素と硫酸の溶液を用いて表面エッチングした場合の、銅箔回路周辺から、エッチング液が侵食した場合の様子示す説明図である。 図2は、ファインパターン印刷回路形成後に、基板を表面エッチング(過酸化水素と硫酸の溶液による)した場合の、銅箔回路と基板樹脂の界面へのエッチング液の「染込み」を観察した結果を示す図(写真)である。上の図(写真)が、「染込み」がない場合、下の図(写真)が、「染込み」がある場合である。 図3は、表面に粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔(A)を、極薄銅層の粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングし(B)、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する(C)ことを説明する説明図である。 図4は、回路めっきを覆うように極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)を極薄銅層側から接着させ(D)、2層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がし(E)、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する(F)ことを説明する説明図である。 図5は、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成し(G)、ビアフィル上に、回路めっきを形成し(H)、1層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす(I)ことを説明する説明図である。 図6は、フラッシュエッチングにより両表面の極薄銅層を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させ(J)、樹脂層内の回路めっき上にバンプを形成し、当該バンプ上に銅ピラーを形成して(K)、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板を作製することを説明する説明図である。
本願発明は、FPC多層基板の製造工程における前処理工程における、表面エッチングの際に発生する回路侵食を防止することが、主な目的である。
本願発明のキャリア付銅箔は、銅箔または銅合金箔の上に、粗化(トリート)処理を施すことにより形成された粗化処理層、この粗化処理層の上に形成されたNi−Co層からなる耐熱層、及びこの耐熱層の上に形成されたZn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層からなる複数の表面処理層を有する。そして、前記表面処理層中の全Zn量/(全Zn量+全Ni量)が0.02以上0.35以下とする。
これが、表面エッチングの際に発生する「染込み」を効果的に防止できる主たる条件である。Znは、銅箔の表面処理層の中で耐候層、防錆層の構成成分であり、Niは粗化処理層、耐熱層、耐候層の構成成分であり、ZnとNiは銅箔の表面処理層の構成成分としては重要な成分である。
しかしながら、Znは耐候性に効果のある成分であるが、ファインパターン回路形成工程での耐薬品特性には好ましくない成分であり、回路形成のエッチングにおいて「染込み」が起こり易くなる。
一方、Niは「染込み」には効果のある成分であるが、多すぎるとアルカリエッチング性を低下させ、印刷回路用としては不適となる。
そこで、ZnとNiのバランスが重要になることを見出したことが本発明である。すなわち、表面処理層中の全Zn量/(全Zn量+全Ni量)が0.02以上0.35以下である。好適な実施の態様において、表面処理層中の全Zn量/(全Zn量+全Ni量)は、0.02以上0.23以下とすることができ、更に好ましくは0.04以上0.23以下とすることができる。
0.02未満の場合には、Znが少な過ぎるケースとNiが多過ぎるケースがあり、Znが少な過ぎるケースでは耐候性が悪くなり、Niが多過ぎるケースではエッチング性が問題となり、いずれのケースも好ましくない。一方、0.35を越える場合は耐酸性が悪化し易くなるので、エッチング時に「染込み」が起こり易くなり、好ましくない。
なお、前記全Zn量の定義としては、「銅箔上の粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層の中に含まれるZnの総量」である。粗化処理層、耐熱層にZnが含まれていない場合には、全Zn量は耐候層、防錆層の2層に含有されるZn量の合計となる。なお、中間層にZnが含まれる場合には、キャリアから極薄銅層を剥離する。その後に、樹脂等で粗化処理層側の極薄銅層の表面をマスキングした後、極薄銅層の中間層側の表面を酸洗し、極薄銅層の中間層側の表面に含まれるZnを除去する。その後に、前記極薄銅層についてZn量を測定すれば良い。なお、極薄銅層の中間層側の表面の酸洗は、硝酸:水=1:2(体積)の比率で混合した硝酸水溶液で行うと良い。
同じく、全Ni量の定義としては、「銅箔(キャリア付銅箔の極薄銅層)上の粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層の中に含まれるNi量」である。防錆層にNiが含まれていない場合には、全Ni量は粗化処理層、耐熱層、耐候層のNi量の合計となる。なお、中間層にNiが含まれる場合には、キャリアから極薄銅層を剥離する。その後に、樹脂等で粗化処理層側の極薄銅層の表面をマスキングした後、極薄銅層の中間層側の表面を酸洗し、極薄銅層の中間層側の表面に含まれるNiを除去する。その後に、前記極薄銅層についてNi量を測定すれば良い。なお、極薄銅層の中間層側の表面の酸洗は、硝酸:水=1:2(体積)の比率で混合した硝酸水溶液で行うと良い。
なお、粗化処理段階のNi付着量の定義は、「銅箔(キャリア付銅箔の極薄銅層)上の粗化処理層の中に含まれるNi量」である。粗化処理段階のNi付着量は各実施例、各比較例と同一の条件でキャリア付銅箔を製造した後、各実施例、各比較例と同一の条件で粗化処理層のみを設けた後、サンプルを採取し、全Ni量と同様にNi付着量の測定を行うことで測定した。
同じく、全Co量の定義としては、「銅箔(キャリア付銅箔の極薄銅層)上の粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層の中に含まれるCo量」である。防錆層にCoが含まれていない場合には、全Co量は粗化処理層、耐熱層、耐候層のCo量の合計となる。なお、中間層にCoが含まれる場合には、キャリアから極薄銅層を剥離する。その後に、樹脂等で粗化処理層側の極薄銅層の表面をマスキングした後、極薄銅層の中間層側の表面を酸洗し、極薄銅層の中間層側の表面に含まれるCoを除去する。その後に、前記極薄銅層についてCo量を測定すれば良い。なお、極薄銅層の中間層側の表面の酸洗は、硝酸:水=1:2(体積)の比率で混合した硝酸水溶液で行うと良い。
同じく、全Cr量の定義としては、「銅箔(キャリア付銅箔の極薄銅層)上の粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層の中に含まれるCr量」である。通常耐熱層、耐候層にCrが含まれていない場合には、全Cr量は粗化処理層、防錆層のCr量の合計となる。なお、中間層にCrが含まれる場合には、キャリアから極薄銅層を剥離する。その後に、樹脂等で粗化処理層側の極薄銅層の表面をマスキングした後、極薄銅層の中間層側の表面を酸洗し、極薄銅層の中間層側の表面に含まれるCrを除去する。その後に、前記極薄銅層についてCr量を測定すれば良い。なお、極薄銅層の中間層側の表面の酸洗は、硝酸:水=1:2(体積)の比率で混合した硝酸水溶液で行うと良い。
本発明においては、前述の全Ni量、全Co量はサンプルを硝酸:水=1:2(体積)の比率で混合した硝酸水溶液で溶解して原子吸光分析によって測定し、前述の全Cr量及び全Zn量はサンプルを塩酸:水=1:4(体積)の比率で混合した塩酸水溶液で煮沸溶解して、原子吸光法により定量分析を行うことで測定する。なお、粗化処理段階のNi付着量、全Ni量、全Co量、全Cr量及び全Zn量は、それぞれサンプルの単位面積(dm2)当たりの、Ni、Co、Cr、Znの付着質量(μg)で表示する。
前記「染込み」とは、図1に示すが、過酸化水素と硫酸の溶液を用いて表面エッチングした場合、或いは塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液等からなるエッチング液を用いて回路形成のエッチングした場合に、銅箔と樹脂との界面に、エッチング液が染み込む現象をいう。
図1の左側は、樹脂層と表面処理層付銅箔の回路面が密着している様子(▼部)を示す概念図である。図1の右側は、回路の両縁に染込みが発生し、やや密着が少なくなっている様子(▼部)を示す概念図である。
また、図2に、ファインパターン印刷回路形成後に、基板をソフトエッチング(過酸化水素と硫酸の溶液による)した場合の、銅箔回路と基板樹脂の界面への酸の「染込み」を観察した結果を示す図(写真)を示す。上の図(写真)が、直線状の回路の縁部に染込みがない場合、下の図(写真)が、「染込み」がある場合である。直線状の回路の縁部に乱れが生じているのが観察できる。
Niは、上述したように表面処理層の粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層の中に含まれる成分であり、極薄銅層の表面処理層において極めて重要な成分である。そして本発明が解決しようとする課題である「染込み」に効果のある成分である。
従って、本願発明の キャリア付銅箔は、前記表面処理層中の全Ni量は、1600μg/dm2以下であり、好ましくは1150μg/dm2以下である。また、前記表面処理層中の全Ni量は350〜1350μg/dm2とすることが望ましく、450〜1100μg/dm2とすることがより望ましい。
また、粗化処理層に含まれるNiは、表面処理した銅箔の表面が黒く見える必要があるため、Niを50μg/dm2以上含ませる必要がある場合がある。
さらにNiは、耐熱層、耐候層にも含まれるため、全Ni量として350μg/dm2以上が必要である場合があり、更には450μg/dm2以上が必要である場合がある。但し、全Ni量が1350μg/dm2あるいは1100μg/dm2を超えると、アルカリエッチング性の低下や、回路エッチングの際に粗化粒子が基板樹脂表面に残存する問題が発生する場合があるので、Ni量は1350μg/dm2以下が望ましい場合があり、1100μg/dm2以下がより望ましい場合があると言える。
さらに、Coは、銅箔の表面処理層に使われる成分として、耐熱性に寄与することで重要な成分で、用いられる量も他の成分より多い。しかながら、「染込み」に対しては好ましくない成分である。そこで、本願発明の表面処理層付銅箔は、前記表面処理層中の全Co量を770〜3200μg/dm2とするのが望ましい場合がある。好適な実施の態様において、前記表面処理層中の全Co量を770〜2500μg/dm2とすることができ、より好ましくは、940〜2500μg/dm2とすることができる。
一方、770μg/dm2未満では十分な耐熱性が得られない場合があり、3200μg/dm2を超えると著しく「染込み」が発生する場合があり、2500μg/dm2を超えると「染込み」が発生する場合があるので、前記数値範囲とする。また、耐熱性を高めるために前記表面処理層中の全Co量を940μg/dm2以上とすることが特に好ましい。また、全Co量/(全Zn量+全Ni量)が3.0以下であることが好ましい。全Co量が上記の範囲であっても、他の主成分である全Zn量と全Ni量との合計に対して、全Co量が多い場合には「染込み」が悪化する傾向となる場合があるからである。
また、本願発明の表面処理層付銅箔は、前記表面処理層中の全Cr量を50〜120μg/dm2とすることが望ましい。この範囲の全Cr量は、同様に染込み量を抑制する効果がある。
また、本願発明の表面処理層付銅箔の粗化処理層のNiは、50〜550μg/dm2が有効である。
また、前記粗化処理層については、Co、Cu、Niの元素からなる粗化処理層が有効である。前記粗化処理層を、平均粒子径0.05〜0.60μmの微細粒子とすることが好ましく、平均粒子径0.05〜0.60μmのCu、Co、Niからなる3元系合金の微細粒子の集合体とすることもできる。前記平均粒子径0.05〜0.60μmの微細粒子は銅を含む合金めっきの焼けめっき(粗化めっき処理)により形成することができる。
前記粗化処理層については、平均粒子径0.25〜0.45μmの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmの二次粒子層とすることが好ましい。また、前記粗化処理層については、平均粒子径0.25〜0.45μmのCuの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmのCu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層とすることができる。前記一次粒子層は銅めっきの焼けめっき(粗化めっき処理)であることが好ましい。また、前記二次粒子層は銅を含む合金めっきの焼けめっき(粗化めっき処理)により形成することができる。
粗化処理層、Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層を形成する条件としては、次の電解めっきの条件を用いて形成できる。
(粗化処理の条件)
平均粒子径0.05〜0.60μmのCu、Co、Niからなる3元系合金の微細粗化粒子集合体の粗化処理を施す場合
液組成:Cu10〜20g/リットル、Co1〜10g/リットル、Ni1〜15g/リットル
pH:1〜4
温度:30〜50℃
電流密度(Dk):20〜50A/dm2
時間:1〜5秒
平均粒子径0.25〜0.45μmのCuの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmのCu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層からなる粗化処理を施す場合
(A)Cuの一次粒子層形成
液組成:Cu10〜20g/リットル、硫酸50〜100g/リットル
pH:1〜3
温度:25〜50℃
電流密度(Dk):1〜60A/dm2
時間:1〜5秒
(B)Cu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層の形成
液組成:Cu10〜20g/リットル、Co1〜15g/リットル、Ni1〜15g/リットル
pH:1〜3
温度:30〜50℃
電流密度(Dk):10〜50A/dm2
時間:1〜5秒
また、上記の一次粒子形成前に、銅箔と一次粒子の間に、金属層めっきを施してもよい。金属めっき層としては銅めっき層、銅合金めっき層が代表的に考えられる。銅めっき層を行う場合には、硫酸銅と硫酸を主成分とする硫酸銅水溶液のみを使用する場合や、硫酸、メルカプト基を有する有機硫黄化合物、ポリエチレングリコールなどの界面活性剤、さらに塩化物イオンを組み合わせた硫酸銅水溶液を使用して、電気めっきにより銅めっき層を形成する方法が挙げられる。
(耐熱層を形成する条件)
液組成:Co1〜20g/リットル、Ni1〜20g/リットル
pH:1〜4
温度:30〜60℃
電流密度(Dk):1〜20A/dm2
時間:1〜5秒
(耐候層及び防錆層を形成する条件1)
液組成:Ni1〜30g/リットル、Zn1〜30g/リットル
pH:2〜5
温度:30〜50℃
電流密度(Dk):1〜3A/dm2
時間:1〜5秒
(耐候層及び防錆層を形成する条件2)
液組成:K2Cr27:1〜10g/リットル、Zn:0〜10g/リットル
pH:2〜5
温度:30〜50℃
電流密度(Dk):0.01〜5A/dm2
時間:0.01〜5秒
めっき電流密度を0A/dm2として浸漬クロメート処理を施すことができる。
(シランカップリング処理)
防錆層上の少なくとも粗化面にシランカップリング剤を塗布するシランカップリング処理が施される。
このシランカップリング剤としては、オレフィン系シラン、エポキシ系シラン、アクリル系シラン、アミノ系シラン、メルカプト系シランを挙げることができるが、これらを適宜選択して使用することができる。
また、シランカップリング処理に用いられるシランカップリング剤には公知のシランカップリング剤を用いてよく、例えばアミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤を用いてよい。また、シランカップリング剤にはビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4‐グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐β(アミノエチル)γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐3‐(4‐(3‐アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を用いてもよい。
前記シランカップリング処理層は、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、メタクリロキシ系シラン、メルカプト系シランなどのシランカップリング剤などを使用して形成してもよい。なお、このようなシランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。中でも、アミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤を用いて形成したものであることが好ましい。
ここで言うアミノ系シランカップリング剤とは、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐(N‐スチリルメチル‐2‐アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N‐フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(3‐アクリルオキシ‐2‐ヒドロキシプロピル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、4‐アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピル)トリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピル)トリス(2‐エチルヘキソキシ)シラン、6‐(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3‐(1‐アミノプロポキシ)‐3,3‐ジメチル‐1‐プロペニルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、ω‐アミノウンデシルトリメトキシシラン、3‐(2‐N‐ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ビス(2‐ヒドロキシエチル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、(N,N‐ジエチル‐3‐アミノプロピル)トリメトキシシラン、(N,N‐ジメチル‐3‐アミノプロピル)トリメトキシシラン、N‐メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N‐フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3‐(N‐スチリルメチル‐2‐アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐β(アミノエチル)γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択されるものであってもよい。
シランカップリング処理層は、ケイ素原子換算で、0.05mg/m2〜200mg/m2、好ましくは0.15mg/m2〜20mg/m2、好ましくは0.3mg/m2〜2.0mg/m2の範囲で設けられていることが望ましい。前述の範囲の場合、基材樹脂と表面処理銅箔との密着性をより向上させることができる。
塗布方法はシランカップリング剤溶液のスプレーふきつけ、コーター塗布、浸漬、流しかけ等いずれでも良い。これらについては、既に公知の技術なので(例えば、特公昭60−15654号参照)、詳細は省略する。
(キャリア)
本発明のキャリア付銅箔のキャリアには銅箔、アルミ箔、アルミ合金箔または鉄合金、ステンレス、ニッケル、ニッケル合金等の箔を用いることができる。なお、キャリア上への中間層の積層し易さを考慮すると、キャリアは銅箔であることが好ましい。キャリアに用いられる銅箔は典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。
一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造される。また、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅(JIS H3100 C1100)や無酸素銅(JIS H3100 C1020)といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできるキャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば12μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなるので一般には35μm以下とするのが好ましい。従って、キャリアの厚みは典型的には12〜70μmであり、より典型的には18〜35μmである。
(中間層)
キャリアの上には中間層を設ける。キャリアと中間層との間に他の層を設けてもよい。本発明のキャリア付銅箔の中間層はCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znまたはこれらの合金、またはこれらの水和物、またはこれらの酸化物、あるいは有機物の何れか一種以上を含む層で形成することが好ましい。中間層は複数の層であっても良い。
例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znの元素群の内何れか一種の元素からなる単一金属層、あるいはCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znの元素群から選択された一種以上の元素からなる合金層、その次にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znの元素群から選択された一種以上の元素の水和物または酸化物からなる層から構成される。
また、例えば中間層はNi及びCrの2層で構成されることが可能である。Ni層は銅箔キャリアとの界面に、Cr層は極薄銅層との界面にそれぞれ接するようにして積層する。中間層のCrの付着量を10〜100μg/dm2、Niの付着量を1000〜40000μg/dm2と設定することができる。なお、前記中間層はZnを含んでも良い。
(ストライクめっき)
中間層の上には極薄銅層を設ける。その前に極薄銅層のピンホールを低減させるために銅−リン合金によるストライクめっきを行ってもよい。ストライクめっきにはピロリン酸銅めっき液などが挙げられる。
(極薄銅層)
中間層の上には極薄銅層を設ける。中間層と極薄銅層との間には他の層を設けてもよい。本発明のキャリア付銅箔の極薄銅層は、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気めっきにより形成することができ、一般的な電解銅箔で使用され、高電流密度での銅箔形成が可能であることから硫酸銅浴が好ましい。
極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.1〜12μmであり、より典型的には0.5〜12μmであり、更に典型的には2〜5μmである。
(キャリア付銅箔)
このようにして、キャリアと、キャリア上に中間層が積層され、中間層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔が製造される。キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
本発明に係るキャリア付銅箔の場合、剥離箇所は主としてキャリアと中間層の界面または中間層と極薄銅層の界面である。また、中間層が複数の層からなる場合には、当該複数の層の界面で剥離する場合がある。
(樹脂層)
また、本発明のキャリア付銅箔は、表面処理層の上に樹脂層を備えても良い。前記樹脂層は絶縁樹脂層であってもよい。
なお、前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層を形成する順番は互いに限定されず、極薄銅層上、或いは、粗化処理層上に、どのような順序でこれらの層を形成してもよい。
前記樹脂層は接着用樹脂、すなわち接着剤であってもよく、接着用の半硬化状態(Bステージ状態)の絶縁樹脂層であってもよい。半硬化状態(Bステージ状態)とは、その表面に指で触れても粘着感はなく、該絶縁樹脂層を重ね合わせて保管することができ、更に加熱処理を受けると硬化反応が起こる状態のことを含む。
また前記樹脂層は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記樹脂層は熱可塑性樹脂を含んでもよい。前記樹脂層は公知の樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでよい。また、前記樹脂層は例えば国際公開番号WO2008/004399号、国際公開番号WO2008/053878、国際公開番号WO2009/084533、特開平11−5828号、特開平11−140281号、特許第3184485号、国際公開番号WO97/02728、特許第3676375号、特開2000−43188号、特許第3612594号、特開2002−179772号、特開2002−359444号、特開2003−304068号、特許第3992225、特開2003−249739号、特許第4136509号、特開2004−82687号、特許第4025177号、特開2004−349654号、特許第4286060号、特開2005−262506号、特許第4570070号、特開2005−53218号、特許第3949676号、特許第4178415号、国際公開番号WO2004/005588、特開2006−257153号、特開2007−326923号、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、特開2009−67029号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、特開2009−173017号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、国際公開番号WO2008/114858、国際公開番号WO2009/008471、特開2011−14727号、国際公開番号WO2009/001850、国際公開番号WO2009/145179、国際公開番号WO2011/068157、特開2013−19056号に記載されている物質(樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等)および/または樹脂層の形成方法、形成装置を用いて形成してもよい。
また、前記樹脂層は、その種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、ポリマレイミド化合物、マレイミド系樹脂、芳香族マレイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン、ポリエーテルサルフォンともいう)、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン、ポリエーテルサルフォンともいう)樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、ゴム性樹脂、ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミドイミド樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、カルボキシル基変性アクリロニトリル-ブタジエン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンオキサイド樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボン酸の無水物、多価カルボン酸の無水物、架橋可能な官能基を有する線状ポリマー、ポリフェニレンエーテル樹脂、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、リン含有フェノール化合物、ナフテン酸マンガン、2,2−ビス(4−グリシジルフェニル)プロパン、ポリフェニレンエーテル−シアネート系樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、シアノエステル樹脂、フォスファゼン系樹脂、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂、イソプレン、水素添加型ポリブタジエン、ポリビニルブチラール、フェノキシ、高分子エポキシ、芳香族ポリアミド、フッ素樹脂、ビスフェノール、ブロック共重合ポリイミド樹脂およびシアノエステル樹脂の群から選択される一種以上を含む樹脂を好適なものとして挙げることができる。
また前記エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであって、電気・電子材料用途に用いることのできるものであれば、特に問題なく使用できる。また、前記エポキシ樹脂は分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましい。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブロム化(臭素化)エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ゴム変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N-ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン化合物、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、リン含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、の群から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができ、又は前記エポキシ樹脂の水素添加体やハロゲン化体を用いることができる。
前記リン含有エポキシ樹脂として公知のリンを含有するエポキシ樹脂を用いることができる。また、前記リン含有エポキシ樹脂は例えば、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂であることが好ましい。
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化学式1(HCA−NQ)又は化学式2(HCA−HQ)に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有エポキシ樹脂としたものである。
(化学式1)
(化学式2)
上述の化合物を原料として得られたリン含有エポキシ樹脂は、以下に示す化学式3〜化学式5のいずれかに示す構造式を備える化合物の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いためである。
(化学式3)
(化学式4)
(化学式5)
また、前記ブロム化(臭素化)エポキシ樹脂として、公知のブロム化(臭素化)されているエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、前記ブロム化(臭素化)エポキシ樹脂は分子内に2以上のエポキシ基を備えるテトラブロモビスフェノールAからの誘導体として得られる化学式6に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂、以下に示す化学式7に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。
(化学式6)
(化学式7)
前記マレイミド系樹脂または芳香族マレイミド樹脂またはマレイミド化合物またはポリマレイミド化合物としては、公知のマレイミド系樹脂または芳香族マレイミド樹脂またはマレイミド化合物またはポリマレイミド化合物を用いることができる。例えばマレイミド系樹脂または芳香族マレイミド樹脂またはマレイミド化合物またはポリマレイミド化合物としては4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン並びに上記化合物と、上記化合物またはその他の化合物とを重合させたポリマー等の使用が可能である。また、前記マレイミド系樹脂は、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂であってもよく、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂とポリアミンまたは芳香族ポリアミンとを重合させた重合付加物であってもよい。
前記ポリアミンまたは芳香族ポリアミンとしては、公知のポリアミンまたは芳香族ポリアミンを用いることができる。例えば、ポリアミンまたは芳香族ポリアミンとして、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、2,6−ジアミノピリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3−メチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、1,3−ビス[4−アミノフェノキシ]ベンゼン、3−メチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジクロロ−4−アミノフェニル)プロパン、ビス(2,3−ジメチル−4−アミノフェニル)フェニルエタン、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン並びに上記化合物と、上記化合物またはその他の化合物とを重合させたポリマー等を用いることができる。また、公知のポリアミンおよび/または芳香族ポリアミンまたは前述のポリアミンまたは芳香族ポリアミンを一種または二種以上用いることができる。
前記フェノキシ樹脂としては公知のフェノキシ樹脂を用いることができる。また、前記フェノキシ樹脂として、ビスフェノールと2価のエポキシ樹脂との反応により合成されるものを用いることができる。エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂および/または前述のエポキシ樹脂を用いることができる。
前記ビスフェノールとしては、公知のビスフェノールを使用することができ、またビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、HCA(9,10−Dihydro−9−Oxa−10−Phosphaphenanthrene−10−Oxide)とハイドロキノン、ナフトキノン等のキノン類との付加物として得られるビスフェノール等を使用することができる。
前記架橋可能な官能基を有する線状ポリマーとしては、公知の架橋可能な官能基を有する線状ポリマーを用いることができる。例えば、前記架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは水酸基、カルボキシル基等のエポキシ樹脂の硬化反応に寄与する官能基を備えることが好ましい。そして、この架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、沸点が50℃〜200℃の温度の有機溶剤に可溶であることが好ましい。ここで言う官能基を有する線状ポリマーを具体的に例示すると、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等である。
前記樹脂層は架橋剤を含んでもよい。架橋剤には、公知の架橋剤を用いることができる。架橋剤として例えばウレタン系樹脂を用いることができる。
前記ゴム性樹脂は公知のゴム性樹脂を用いることができる。例えば前記ゴム性樹脂とは、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム(アクリル酸エステル共重合体)、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム等がある。更に、形成する樹脂層の耐熱性を確保する際には、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、芳香族ポリアミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂と反応して共重合体を製造するようにするため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、CTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリル)を用いることが有用である。また、アクリロニトリルブタジエンゴムの中でも、カルボキシル変性体であると、エポキシ樹脂と架橋構造を取り、硬化後の樹脂層のフレキシビリティを向上させることができる。カルボキシル変性体としては、カルボキシ基末端ニトリルブタジエンゴム(CTBN)、カルボキシ基末端ブタジエンゴム(CTB)、カルボキシ変性ニトリルブタジエンゴム(C‐NBR)を用いることができる。
前記ポリアミドイミド樹脂としては公知のポリイミドアミド樹脂を用いることができる。また、前記ポリイミドアミド樹脂としては例えば、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物及びビトリレンジイソシアネートをN−メチル−2−ピロリドン又は/及びN,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤中で加熱することで得られる樹脂や、トリメリット酸無水物、ジフェニルメタンジイソシアネート及びカルボキシル基末端アクリロニトリル−ブタジエンゴムをN−メチル−2−ピロリドン又は/及びN,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤中で加熱することで得られるものを用いることができる。
前記ゴム変成ポリアミドイミド樹脂として、公知のゴム変成ポリアミドイミド樹脂を用いることができる。ゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものである。ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて用いるのは、ポリアミドイミド樹脂そのものの柔軟性を向上させる目的で行う。すなわち、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させ、ポリアミドイミド樹脂の酸成分(シクロヘキサンジカルボン酸等)の一部をゴム成分に置換するのである。ポリアミドイミド樹脂には公知のポリアミドイミド樹脂を用いることができる。また、ゴム性樹脂には公知のゴム性樹脂または前述のゴム性樹脂を用いることができる。ゴム変成ポリアミドイミド樹脂を重合させる際に、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂との溶解に使用する溶剤には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ニトロエタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等を、1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
前記フォスファゼン系樹脂として、公知のフォスファゼン系樹脂を用いることができる。フォスファゼン系樹脂は、リン及び窒素を構成元素とする二重結合を持つフォスファゼンを含む樹脂である。フォスファゼン系樹脂は、分子中の窒素とリンの相乗効果により、難燃性能を飛躍的に向上させることができる。また、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体と異なり、樹脂中で安定して存在し、マイグレーションの発生を防ぐ効果が得られる。
前記フッ素樹脂として、公知のフッ素樹脂を用いることができる。また、フッ素樹脂として例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化))、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化))、ポリアリルスルフォン、芳香族ポリスルフィドおよび芳香族ポリエーテルの中から選ばれるいずれか少なくとも1種の熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とからなるフッ素樹脂等を用いてもよい。
また、前記樹脂層は樹脂硬化剤を含んでもよい。樹脂硬化剤としては公知の樹脂硬化剤を用いることができる。例えば樹脂硬化剤としてはジシアンジアミド、イミダゾール類、芳香族アミン等のアミン類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA等のフェノール類、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のノボラック類、無水フタル酸等の酸無水物、ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂等を用いることができる。また、前記樹脂層は前述の樹脂硬化剤の1種又は2種以上を含んでもよい。これらの硬化剤はエポキシ樹脂に特に有効である。
前記ビフェニル型フェノール樹脂の具体例を化学式8に示す。
(化学式8)
また、前記フェノールアラルキル型フェノール樹脂の具体例を化学式9に示す。
(化学式9)
イミダゾール類としては、公知のものを用いることができ、例えば、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられ、これらを単独若しくは混合して用いることができる。
また、中でも、以下の化学式10に示す構造式を備えるイミダゾール類を用いる事が好ましい。この化10に示す構造式のイミダゾール類を用いることで、半硬化状態の樹脂層の耐吸湿性を顕著に向上でき、長期保存安定性に優れる。イミダゾール類は、エポキシ樹脂の硬化に際して触媒的な働きを行うものであり、硬化反応の初期段階において、エポキシ樹脂の自己重合反応を引き起こす反応開始剤として寄与するからである。
(化学式10)
前記アミン類の樹脂硬化剤としては、公知のアミン類を用いることができる。また、前記アミン類の樹脂硬化剤としては例えば前述のポリアミンや芳香族ポリアミンを用いることが出来、また、芳香族ポリアミン、ポリアミド類及びこれらをエポキシ樹脂や多価カルボン酸と重合或いは縮合させて得られるアミンアダクト体の群から選ばれた1種又は2種以上を用いてもよい。また、前記アミン類の樹脂硬化剤としては、4,4’−ジアミノジフェニレンサルフォン、3,3’−ジアミノジフェニレンサルフォン、4,4−ジアミノジフェニレル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンまたはビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]サルフォンのいずれか一種以上を用いることが好ましい。
前記樹脂層は硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤としては公知の硬化促進剤を用いることができる。例えば、硬化促進剤としては、3級アミン、イミダゾール、尿素系硬化促進剤等を用いることができる。
前記樹脂層は反応触媒を含んでもよい。反応触媒としては公知の反応触媒を用いることができる。例えば反応触媒として微粉砕シリカ、三酸化アンチモン等を用いることができる。
前記多価カルボン酸の無水物はエポキシ樹脂の硬化剤として寄与する成分であることが好ましい。また、前記多価カルボン酸の無水物は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロキシ無水フタル酸、ヘキサヒドロキシ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロキシ無水フタル酸、ナジン酸、メチルナジン酸であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂はエポキシ樹脂と重合可能なアルコール性水酸基以外の官能基を有する熱可塑性樹脂であってもよい。
前記ポリビニルアセタール樹脂は酸基および水酸基以外のエポキシ樹脂またはマレイミド化合物と重合可能な官能基を有してもよい。また、前記ポリビニルアセタール樹脂はその分子内にカルボキシル基、アミノ基または不飽和二重結合を導入したものであってもよい。
前記芳香族ポリアミド樹脂ポリマーとしては、芳香族ポリアミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものが挙げられる。ここで、芳香族ポリアミド樹脂とは、芳香族ジアミンとジカルボン酸との縮重合により合成されるものである。このときの芳香族ジアミンには、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン、3,3’−オキシジアニリン等を用いる。そして、ジカルボン酸には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸等を用いる。
前記芳香族ポリアミド樹脂と反応させる前記ゴム性樹脂とは、公知のゴム性樹脂または前述のゴム性樹脂を用いることができる。
この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは、銅張積層板に加工した後の銅箔をエッチング加工する際に、エッチング液によりアンダーエッチングによる損傷を受けないことを目的に用いたものである。
また、前記樹脂層は銅箔側(すなわちキャリア付銅箔の極薄銅層側)から順に硬化樹脂層(「硬化樹脂層」とは硬化済みの樹脂層のことを意味するとする。)と半硬化樹脂層とを順次形成した樹脂層であってもよい。前記硬化樹脂層は、熱膨張係数が0ppm/℃〜25ppm/℃のポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、これらの複合樹脂のいずれかの樹脂成分で構成されてもよい。
また、前記硬化樹脂層上に、硬化した後の熱膨張係数が0ppm/℃〜50ppm/℃の半硬化樹脂層を設けてもよい。また、前記硬化樹脂層と前記半硬化樹脂層とが硬化した後の樹脂層全体の熱膨張係数が40ppm/℃以下であってもよい。前記硬化樹脂層は、ガラス転移温度が300℃以上であってもよい。また、前記半硬化樹脂層は、マレイミド系樹脂または芳香族マレイミド樹脂を用いて形成したものであってもよい。前記半硬化樹脂層を形成するための樹脂組成物は、マレイミド系樹脂、エポキシ樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマーを含むことが好ましい。エポキシ樹脂は公知のエポキシ樹脂または本明細書に記載のエポキシ樹脂を用いることができる。また、マレイミド系樹脂、芳香族マレイミド樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマーとしては公知のマレイミド系樹脂、芳香族マレイミド樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマー又は前述のマレイミド系樹脂、芳香族マレイミド樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマーを用いることができる。
また、立体成型プリント配線板製造用途に適した、樹脂層を有するキャリア付銅箔を提供する場合、前記硬化樹脂層は硬化した可撓性を有する高分子ポリマー層であることが好ましい。前記高分子ポリマー層は、はんだ実装工程に耐えられるように、150℃以上のガラス転移温度をもつ樹脂からなるものが好適である。前記高分子ポリマー層は、ポリアミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、アラミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂のいずれか1種又は2種以上の混合樹脂からなることが好ましい。また、前記高分子ポリマー層の厚さは3μm〜10μmであることが好ましい。
また、前記高分子ポリマー層は、エポキシ樹脂、マレイミド系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂のいずれか1種又は2種以上を含むことが好ましい。また、前記半硬化樹脂層は厚さが10μm〜50μmのエポキシ樹脂組成物で構成されていることが好ましい。
また、前記エポキシ樹脂組成物は以下のA成分〜E成分の各成分を含むものであることが好ましい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂。
B成分: 高耐熱性エポキシ樹脂。
C成分: リン含有エポキシ系樹脂、フォスファゼン系樹脂のいずれか1種又はこれらを混合した樹脂であるリン含有難燃性樹脂。
D成分: 沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶な性質を備える液状ゴム成分で変成したゴム変成ポリアミドイミド樹脂。
E成分: 樹脂硬化剤。
B成分は、所謂ガラス転移点Tgの高い「高耐熱性エポキシ樹脂」である。ここで言う「高耐熱性エポキシ樹脂」は、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。
C成分のリン含有エポキシ樹脂として、前述のリン含有エポキシ樹脂を用いることができる。また、C成分のフォスファゼン系樹脂として前述のフォスファゼン系樹脂を用いることができる。
D成分のゴム変成ポリアミドイミド樹脂として、前述のゴム変成ポリアミドイミド樹脂を用いることができる。E成分の樹脂硬化剤として、前述の樹脂硬化剤を用いることができる。
以上に示した樹脂組成物に溶剤を加えて樹脂ワニスとして用い、プリント配線板の接着層として熱硬化性樹脂層を形成する。当該樹脂ワニスは、上述の樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30wt%〜70wt%の範囲に調製し、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが5%〜35%の範囲にある半硬化樹脂膜の形成が可能である。溶剤には、公知の溶剤または前述の溶剤を用いることができる。
前記樹脂層は銅箔側から順に第1熱硬化性樹脂層と、当該第1熱硬化性樹脂層の表面に位置する第2熱硬化性樹脂層とを有する樹脂層であって、第1熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解しない樹脂成分で形成されたものであり、第2熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解し洗浄除去可能な樹脂を用いて形成したものであってもよい。前記第1熱硬化性樹脂層は、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンオキサイドのいずれか一種又は2種以上を混合した樹脂成分を用いて形成したものであってもよい。前記第2熱硬化性樹脂層は、エポキシ樹脂成分を用いて形成したものであってもよい。前記第1熱硬化性樹脂層の厚さt1(μm)は、キャリア付銅箔の粗化面粗さをRz(μm)とし、第2熱硬化性樹脂層の厚さをt2(μm)としたとき、t1は、Rz<t1<t2の条件を満たす厚さであることが好ましい。
前記樹脂層は骨格材に樹脂を含浸させたプリプレグであってもよい。前記骨格材に含浸させた樹脂は熱硬化性樹脂であることが好ましい。前記プリプレグは公知のプリプレグまたはプリント配線板製造に用いるプリプレグであってもよい。
前記骨格材はアラミド繊維又はガラス繊維又は全芳香族ポリエステル繊維を含んでもよい。前記骨格材はアラミド繊維又はガラス繊維又は全芳香族ポリエステル繊維の不織布若しくは織布であることが好ましい。また、前記全芳香族ポリエステル繊維は融点が300℃以上の全芳香族ポリエステル繊維であることが好ましい。前記融点が300℃以上の全芳香族ポリエステル繊維とは、所謂液晶ポリマーと称される樹脂を用いて製造される繊維であり、当該液晶ポリマーは2−ヒドロキシル−6−ナフトエ酸及びp−ヒドロキシ安息香酸の重合体を主成分とするものである。この全芳香族ポリエステル繊維は、低誘電率、低い誘電正接を持つため、電気的絶縁層の構成材として優れた性能を有し、ガラス繊維及びアラミド繊維と同様に使用することが可能なものである。
なお、前記不織布及び織布を構成する繊維は、その表面の樹脂との濡れ性を向上させるため、シランカップリング剤処理を施す事が好ましい。このときのシランカップリング剤は、使用目的に応じて公知のアミノ系、エポキシ系等のシランカップリング剤または前述のシランカップリング剤を用いることができる。
また、前記プリプレグは公称厚さが70μm以下のアラミド繊維又はガラス繊維を用いた不織布、あるいは、公称厚さが30μm以下のガラスクロスからなる骨格材に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグであってもよい。
(樹脂層が誘電体(誘電体フィラー)を含む場合)
前記樹脂層は誘電体(誘電体フィラー)を含んでもよい。
上記いずれかの樹脂層または樹脂組成物に誘電体(誘電体フィラー)を含ませる場合には、キャパシタ層を形成する用途に用い、キャパシタ回路の電気容量を増大させることができるのである。この誘電体(誘電体フィラー)には、BaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr−Ti)O3(通称PZT)、PbLaTiO3・PbLaZrO(通称PLZT)、SrBi2Ta2O9(通称SBT)等のペブロスカイト構造を持つ複合酸化物の誘電体粉を用いる。
誘電体(誘電体フィラー)は粉状であってもよい。誘電体(誘電体フィラー)が粉状である場合、この誘電体(誘電体フィラー)の粉体特性は、まず粒径が0.01μm〜3.0μm、好ましくは0.02μm〜2.0μmの範囲のものである必要がある。ここで言う粒径は、粉粒同士がある一定の2次凝集状態を形成しているため、レーザー回折散乱式粒度分布測定法やBET法等の測定値から平均粒径を推測するような間接測定では精度が劣るものとなるため用いることができず、誘電体(誘電体フィラー)を走査型電子顕微鏡(SEM)で直接観察し、そのSEM像を画像解析し得られる平均粒径を言うものである。本件明細書ではこの時の粒径をDIAと表示している。なお、本件明細書における走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察される誘電体(誘電体フィラー)の粉体の画像解析は、旭エンジニアリング株式会社製のIP−1000PCを用いて、円度しきい値10、重なり度20として円形粒子解析を行い、平均粒径DIAを求めたものである。
上述の実施の形態により、当該内層コア材の内層回路表面と誘電体を含む樹脂層との密着性を向上させ、低い誘電正接を備えるキャパシタ回路層を形成するための誘電体を含む樹脂層を有するキャリア付銅箔を提供することができる。
前述の樹脂層に含まれる樹脂および/または樹脂組成物および/または化合物を例えばメチルエチルケトン(MEK)、シクロペンタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶剤に溶解して樹脂液(樹脂ワニス)とし、これを前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング剤層の上に、例えばロールコータ法などによって塗布し、ついで必要に応じて加熱乾燥して溶剤を除去しBステージ状態にする。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いればよく、乾燥温度は100〜250℃、好ましくは130〜200℃であればよい。前記樹脂層の組成物を、溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分3wt%〜70wt%、好ましくは、3wt%〜60wt%、好ましくは10wt%〜40wt%、より好ましくは25wt%〜40wt%の樹脂液としてもよい。なお、メチルエチルケトンとシクロペンタノンとの混合溶剤を用いて溶解することが、環境的な見地より現段階では最も好ましい。なお、溶剤には沸点が50℃〜200℃の範囲である溶剤を用いることが好ましい。
また、前記樹脂層はMIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが5%〜35%の範囲にある半硬化樹脂膜であることが好ましい。
本件明細書において、レジンフローとは、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して、樹脂厚さを55μmとした樹脂付銅箔から10cm角試料を4枚サンプリングし、この4枚の試料を重ねた状態(積層体)でプレス温度171℃、プレス圧14kgf/cm2、プレス時間10分の条件で張り合わせ、そのときの樹脂流出重量を測定した結果から数式1に基づいて算出した値である。
(数式1)
前記樹脂層を備えたキャリア付銅箔(樹脂付きキャリア付銅箔)は、その樹脂層を基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して該樹脂層を熱硬化せしめ、ついでキャリアを剥離して極薄銅層を表出せしめ(当然に表出するのは該極薄銅層の中間層側の表面である)、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
この樹脂付きキャリア付銅箔を使用すると、多層プリント配線基板の製造時におけるプリプレグ材の使用枚数を減らすことができる。しかも、樹脂層の厚みを層間絶縁が確保できるような厚みにしたり、プリプレグ材を全く使用していなくても銅張積層板を製造することができる。またこのとき、基材の表面に絶縁樹脂をアンダーコートして表面の平滑性を更に改善することもできる。
なお、プリプレグ材を使用しない場合には、プリプレグ材の材料コストが節約され、また積層工程も簡略になるので経済的に有利となり、しかも、プリプレグ材の厚み分だけ製造される多層プリント配線基板の厚みは薄くなり、1層の厚みが100μm以下である極薄の多層プリント配線基板を製造することができるという利点がある。
この樹脂層の厚みは0.1〜120μmであることが好ましい。
樹脂層の厚みが0.1μmより薄くなると、接着力が低下し、プリプレグ材を介在させることなくこの樹脂付きキャリア付銅箔を内層材を備えた基材に積層したときに、内層材の回路との間の層間絶縁を確保することが困難になる場合がある。一方、樹脂層の厚みを120μmより厚くすると、1回の塗布工程で目的厚みの樹脂層を形成することが困難となり、余分な材料費と工数がかかるため経済的に不利となる場合がある。
なお、樹脂層を有するキャリア付銅箔が極薄の多層プリント配線板を製造することに用いられる場合には、前記樹脂層の厚みを0.1μm〜5μm、より好ましくは0.5μm〜5μm、より好ましくは1μm〜5μmとすることが、多層プリント配線板の厚みを小さくするために好ましい。
また、樹脂層が誘電体を含む場合には、樹脂層の厚みは0.1〜50μmであることが好ましく、0.5μm〜25μmであることが好ましく、1.0μm〜15μmであることがより好ましい。
また、前記硬化樹脂層、半硬化樹脂層との総樹脂層厚みは0.1μm〜120μmであるものが好ましく、5μm〜120μmであるものが好ましく、10μm〜120μmであるものが好ましく、10μm〜60μmのものがより好ましい。そして、硬化樹脂層の厚みは2μm〜30μmであることが好ましく、3μm〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。また、半硬化樹脂層の厚みは3μm〜55μmであることが好ましく、7μm〜55μmであることが好ましく、15〜115μmであることがより望ましい。総樹脂層厚みが120μmを超えると、薄厚の多層プリント配線板を製造することが難しくなる場合があり、5μm未満では薄厚の多層プリント配線板を形成し易くなるものの、内層の回路間における絶縁層である樹脂層が薄くなりすぎ、内層の回路間の絶縁性を不安定にする傾向が生じる場合があるためである。また、硬化樹脂層厚みが2μm未満であると、銅箔粗化面の表面粗度を考慮する必要が生じる場合がある。逆に硬化樹脂層厚みが20μmを超えると硬化済み樹脂層による効果は特に向上することがなくなる場合があり、総絶縁層厚は厚くなる。
なお、前記樹脂層の厚みを0.1μm〜5μmとする場合には、樹脂層とキャリア付銅箔との密着性を向上させるため、極薄銅層の上に耐熱層および/または防錆層および/またはクロメート処理層および/またはシランカップリング処理層を設けた後に、当該耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング処理層の上に樹脂層を形成することが好ましい。
なお、前述の樹脂層の厚みは、任意の10点において断面観察により測定した厚みの平均値をいう。
更に、この樹脂付きキャリア付銅箔のもう一つの製品形態としては、前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング処理層の上に樹脂層で被覆し、半硬化状態とした後、ついでキャリアを剥離して、キャリアが存在しない樹脂付き銅箔の形で製造することも可能である。
以下に、本発明に係るキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造工程の例を幾つか示す。
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を極薄銅層側が絶縁基板と対向するように積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、モディファイドセミアディティブ法、パートリーアディティブ法及びサブトラクティブ法の何れかの方法によって、回路を形成する工程を含む。絶縁基板は内層回路入りのものとすることも可能である。
本発明において、セミアディティブ法とは、絶縁基板又は銅箔シード層上に薄い無電解めっきを行い、パターンを形成後、電気めっき及びエッチングを用いて導体パターンを形成する方法を指す。
従って、セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、
本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、
本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、モディファイドセミアディティブ法とは、絶縁層上に金属箔を積層し、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより回路形成部の銅厚付けを行った後、レジストを除去し、前記回路形成部以外の金属箔を(フラッシュ)エッチングで除去することにより、絶縁層上に回路を形成する方法を指す。
従って、モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、
本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストを除去することにより露出した極薄銅層をフラッシュエッチングにより除去する工程、
を含む。
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、
本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、パートリーアディティブ法とは、導体層を設けてなる基板、必要に応じてスルーホールやバイアホール用の孔を穿けてなる基板上に触媒核を付与し、エッチングして導体回路を形成し、必要に応じてソルダレジストまたはメッキレジストを設けた後に、前記導体回路上、スルーホールやバイアホールなどに無電解めっき処理によって厚付けを行うことにより、プリント配線板を製造する方法を指す。
従って、パートリーアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、
本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはメッキレジストを設ける工程、
前記ソルダレジストまたはメッキレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程、
を含む。
本発明において、サブトラクティブ法とは、銅張積層板上の銅箔の不要部分を、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する方法を指す。
従って、サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、
本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、
本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、
マスクが形成されいない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
スルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、及びその後のデスミア工程は行わなくてもよい。
ここで、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例を図面を用いて詳細に説明する。なお、ここでは粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔を例に説明するが、これに限られず、粗化処理層が形成されていない極薄銅層を有するキャリア付銅箔を用いても同様に下記のプリント配線板の製造方法を行うことができる。
まず、図3−Aに示すように、表面に粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔(1層目)を準備する。
次に、図3−Bに示すように、極薄銅層の粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングする。
次に、図3−Cに示すように、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する。
次に、図4−Dに示すように、回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)を極薄銅層側から接着させる。
次に、図4−Eに示すように、2層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図4−Fに示すように、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する。
次に、図5−Gに示すように、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成する。
次に、図5−Hに示すように、ビアフィル上に、上記図3−B及び図3−Cのようにして回路めっきを形成する。
次に、図5−Iに示すように、1層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図6−Jに示すように、フラッシュエッチングにより両表面の極薄銅層を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させる。
次に、図6−Kに示すように、樹脂層内の回路めっき上にはんだなどによりバンプを形成し、当該バンプ上に銅ピラーを形成する。このようにして本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板を作製する。
上記別のキャリア付銅箔(2層目)は、本発明のキャリア付銅箔を用いてもよく、従来のキャリア付銅箔を用いてもよく、さらに通常の銅箔を用いてもよい。また、図5−Hに示される2層目の回路上に、さらに回路を1層或いは複数層形成してもよく、それらの回路形成をセミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行ってもよい。
また、前記1層目に用いられるキャリア付銅箔は、当該キャリア付銅箔のキャリア側表面に基板を有してもよい。当該基板または樹脂層を有することで1層目に用いられるキャリア付銅箔は支持され、しわが入りにくくなるため、生産性が向上するという利点がある。なお、前記基板には、前記1層目に用いられるキャリア付銅箔を支持する効果するものであれば、全ての基板を用いることが出来る。例えば前記基板として本願明細書に記載のキャリア、プリプレグ、樹脂層や公知のキャリア、プリプレグ、樹脂層、金属板、金属箔、無機化合物の板、無機化合物の箔、有機化合物の板、有機化合物の箔を用いることができる。
キャリア側表面に基板を形成するタイミングについては特に制限はないが、キャリアを剥離する前に形成することが必要である。特に、前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程の前に形成することが好ましく、キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路を形成する工程の前に形成することがより好ましい。
本発明に係るキャリア付銅箔は、極薄銅層表面の色差が以下(1)を満たすように制御されていることが好ましい。本発明において「極薄銅層表面の色差」とは、極薄銅層の表面の色差、又は、粗化処理等の各種表面処理が施されている場合はその表面処理層表面の色差を示す。すなわち、本発明に係るキャリア付銅箔は、極薄銅層または粗化処理層または耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング層の表面の色差が以下(1)を満たすように制御されていることが好ましい。
(1)極薄銅層または粗化処理層または耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング処理層の表面のJISZ8730に基づく色差ΔE*abが45以上である。
ここで、色差ΔL、Δa、Δbは、それぞれ色差計で測定され、黒/白/赤/緑/黄/青を加味し、JIS Z8730に基づくL*a*b表色系を用いて示される総合指標であり、ΔL:白黒、Δa:赤緑、Δb:黄青として表される。また、ΔE*abはこれらの色差を用いて下記数式2で表される。
(数式2)
上述の色差は、極薄銅層形成時の電流密度を高くし、メッキ液中の銅濃度を低くし、メッキ液の線流速を高くすることで調整することができる。
また上述の色差は、極薄銅層の表面に粗化処理を施して粗化処理層を設けることで調整することもできる。粗化処理層を設ける場合には銅およびニッケル、コバルト、タングステン、モリブデンからなる群から選択される一種以上の元素とを含む電界液を用いて、従来よりも電流密度を高く(例えば40〜60A/dm2)し、処理時間を短く(例えば0.1〜1.3秒)することで調整することができる。極薄銅層の表面に粗化処理層を設けない場合には、Niの濃度をその他の元素の2倍以上としたメッキ浴を用いて、極薄銅層または耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング処理層の表面にNi合金メッキ(例えばNi−W合金メッキ、Ni−Co−P合金メッキ、Ni−Zn合金めっき)を従来よりも低電流密度(0.1〜1.3A/dm2)で処理時間を長く(20秒〜40秒)設定して処理することで達成できる。
極薄銅層表面のJISZ8730に基づく色差ΔE*abが45以上であると、例えば、キャリア付銅箔の極薄銅層表面に回路を形成する際に、極薄銅層と回路とのコントラストが鮮明となり、その結果、視認性が良好となり回路の位置合わせを精度良く行うことができる。極薄銅層表面のJISZ8730に基づく色差ΔE*abは、好ましくは50以上であり、より好ましくは55以上であり、更により好ましくは60以上である。
極薄銅層または粗化処理層または耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング層の表面の色差が上記のようの制御されている場合には、回路めっきとのコントラストが鮮明となり、視認性が良好となる。従って、上述のようなプリント配線板の例えば図3−Cに示すような製造工程において、回路めっきを精度良く所定の位置に形成することが可能となる。また、上述のようなプリント配線板の製造方法によれば、回路めっきが樹脂層に埋め込まれた構成となっているため、例えば図6−Jに示すようなフラッシュエッチングによる極薄銅層の除去の際に、回路めっきが樹脂層によって保護され、その形状が保たれ、これにより微細回路の形成が容易となる。また、回路めっきが樹脂層によって保護されるため、耐マイグレーション性が向上し、回路の配線の導通が良好に抑制される。このため、微細回路の形成が容易となる。また、図6−J及び図6−Kに示すようにフラッシュエッチングによって極薄銅層を除去したとき、回路めっきの露出面が樹脂層から凹んだ形状となるため、当該回路めっき上にバンプが、さらにその上に銅ピラーがそれぞれ形成しやすくなり、製造効率が向上する。
なお、埋め込み樹脂(レジン)には公知の樹脂、プリプレグを用いることができる。例えば、BT(ビスマレイミドトリアジン)レジンやBTレジンを含浸させたガラス布であるプリプレグ、味の素ファインテクノ株式会社製ABFフィルムやABFを用いることができる。また、前記埋め込み樹脂(レジン)には本明細書に記載の樹脂層および/または樹脂および/またはプリプレグを使用することができる。
次に、実施例(及び比較例)について説明する。なお、この実施例については、本願発明の理解を容易にするために作成するものであり、本願発明は、以下の実施例に制限されるものではなく、本願明細書に記載される全体から技術思想が把握されるべきものであることは容易に理解できるであろう。
キャリアとして、厚さ35μmの長尺の電解銅箔(JX日鉱日石金属社製JTC)を用意した。この銅箔のシャイニー面に対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続めっきラインで電気めっきすることにより4000μm/dm2の付着量のNi層を形成した。
・Ni層
硫酸ニッケル:250〜300g/L
塩化ニッケル:35〜45g/L
酢酸ニッケル:10〜20g/L
クエン酸三ナトリウム:15〜30g/L
光沢剤:サッカリン、ブチンジオール等
ドデシル硫酸ナトリウム:30〜100ppm
pH:4〜6
浴温:50〜70℃
電流密度:3〜15A/dm2
水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Ni層の上に11μg/dm2の付着量のCr層を以下の条件で電解クロメート処理することにより付着させた。
・電解クロメート処理
液組成:重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH:3〜4
液温:50〜60℃
電流密度:0.1〜2.6A/dm2
クーロン量:0.5〜30As/dm2
引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cr層の上に厚み2〜10μmの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付銅箔を製造した。
・極薄銅層
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
実施例(及び比較例)については35μmの電解銅箔をキャリアとして使用したが、本願発明に関しては銅箔の厚み、種類は公知の銅箔および銅合金箔の厚み、公知の銅箔および銅合金箔の全てに適用可能である。なお、前記公知の銅箔および銅合金箔は電解銅箔であっても良く、圧延銅箔であっても良い。
(実施例1−実施例5、8、9、12の共通事項)
前述のキャリア付銅箔の極薄銅層の表面に下記に示す条件で粗化処理を施した。
(A)Cuの一次粒子層形成
液組成:Cu15g/リットル、硫酸75g/リットル
pH:1〜3
温度:35℃
電流密度(Dk):40〜60A/dm2
時間:0.05〜3秒
(B)Cu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層の形成
液組成:Cu15g/リットル、Co8g/リットル、Ni8g/リットル
pH:1〜3
温度:40℃
電流密度(Dk):20〜40A/dm2
時間:0.05〜3秒
上記の粗化処理において、平均粒子径0.25〜0.45μmのCuの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmのCu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層を形成した。
粗化粒子サイズ(粒子径)は表面処理付銅箔の粗化粒子を電子顕微鏡(SEM(走査型電子顕微鏡))の30000倍の倍率で観察を行い、粗化粒子サイズ(粒子径)を評価した。なお、本願では走査型電子顕微鏡写真の粒子の上に直線を引いた場合に、粒子を横切る直線の長さが最も長い部分の粒子の長さをその粒子の粒子径とした。そして、観察視野内の測定した各粒子の粒子径の算術平均の値を算出し、当該算術平均の値を平均粒子径とした。
粗化処理段階のNi付着量は50〜250μg/dm2であった。この結果を、下記表1に示す。
(実施例1の条件)
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは2μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
液組成:Co1〜8g/リットル、Ni10〜20g/リットル
pH:2〜3
温度:40〜60℃
電流密度(Dk):8〜10A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
液組成:Ni15〜30g/リットル、Zn1〜10g/リットル
pH:2〜4
温度:30〜50℃
電流密度(Dk):0.5〜1.5A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
液組成:K2Cr27:1〜10g/リットル、Zn:0〜5g/リットル
pH:2〜4
温度:40〜50℃
電流密度(Dk):1〜3A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量(全Ni量)は全体で、1093μg/dm2となるようにめっき処理を施した。粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.13であった。
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.6であった。
上記の通り、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層の二層以上を積層する場合のNi付着量、Zn付着量、Co付着量、Cr付着量はそれぞれの元素の付着量の総量を示すものである。
表1及び表2については、実施例及び比較例の対応する箇所について、これらを必要に応じ、併記した。
以上により製造した表面処理付銅箔上にポリアミック酸(宇部興産製UワニスA)を塗布し、100℃で乾燥、315℃で硬化させてポリイミド樹脂基板からなる銅張積層板を形成した。
次に、この銅張積層板を一般的な塩化銅−塩酸エッチング溶液によりファインパターン回路を形成した。このファインパターン回路基板を硫酸10wt%、過酸化水素2wt%からなる水溶液に5分間浸漬させた後、樹脂基板と銅箔回路の界面を光学顕微鏡にて観察して、染込み評価をおこなった。
染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで、良好(〇)であった。
上記のキャリア付銅箔の極薄銅層側をガラスクロス基材エポキシ樹脂板に積層接着し、その後、極薄銅層をキャリアから剥離した後に、当該極薄銅層のエポキシ樹脂板からの常態(室温)剥離強度(kg/cm)を測定した後、耐塩酸劣化率は18%塩酸水溶液に1時間浸漬した後の剥離強度を0.2mm巾回路で測定した。
常態ピール強度は0.99kg/cm、耐塩酸劣化性は8(Loss%)以下(〇)であり、ともに良好であった。
アルカリエッチング性を調べるために、上記表面処理付銅箔の粗化処理面をビニールテープで覆った試料を準備した後、NH4OH:6モル/リットル、NH4Cl:5モル/リットル、CuCl2・2H2O:2モル/リットル、温度50℃からなるアルカリエッチング溶液に7分間浸漬した後に、ビニールテープ上の粗化粒子の残存状況を確認した。
アルカリエッチング評価の結果、粗化粒子の残存は観察されず、アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を表1に示す。この他、Cr付着量(全Cr量)は全体で89μg/dm2、Co付着量(全Co量)は全体で2010μg/dm2、Zn付着量(全Zn量)は全体で163μg/dm2であった。
なお、上記の各金属付着量(粗化処理段階のNi付着量、全Ni量、全Co量、全Zn量、全Cr量)の測定は、表面処理付銅箔の表面処理面を酸溶液に溶解させて、原子吸光分析(VARIAN製、AA240FS)にて評価を行ったものである。なお、粗化処理段階のNi付着量は、各実施例、各比較例と同一の条件でキャリア付銅箔を製造した後、粗化処理層のみ設けた後、サンプルを採取し、全Ni量と同様にNi付着量の測定を行った。
(実施例2)
粗化段階のNi付着量は、上記の通り50〜250μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは10μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):4〜6A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.05〜0.7A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):1〜3A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、451μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.18、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=2.7であった。
染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好(〇)であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は1.00kg/cm、耐塩酸劣化性は11(Loss%)であり、良好(〇)であった。アルカリエッチング評価でも残存粒子は観察されず、良好(○)であった。
以上の結果を表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で84μg/dm2、Co付着量(全Co量)は全体で1487μg/dm2、Zn付着量(全Zn量)は全体で100μg/dm2であった。
(実施例3)
粗化段階のNi付着量は、上記の通り50〜250μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは5μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):6〜8A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.05〜0.7A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):2〜4A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、680μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.19、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=2.1であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.99kg/cm、耐塩酸劣化性は25(Loss%)であり、問題のない強度であった。アルカリエッチング性も残存粒子が観察されず良好(○)であった。
以上の結果を表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で89μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で1763μg/dm2、Zn付着量(全Zn量)は全体で157μg/dm2であった。
(実施例4)
粗化段階のNi付着量は、上記の通り50〜250μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):6〜8A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):1〜3A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):0.05〜1.0A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量(全Ni量)は全体で、759μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.23、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.8であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:0μmで非常に良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.99kg/cm、耐塩酸劣化性は22(Loss%)であり、問題のない強度であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で90μg/dm2、Co付着量(全Co量)は全体で1774μg/dm2、Zn付着量(全Zn量)は全体で223μg/dm2であった。
(実施例5)
粗化段階のNi付着量は、上記の通り50〜250μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは7μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):6〜8A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.6〜1.5A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):1.0〜3.0A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量(全Ni量)は全体で、816μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.22、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.8であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:0μmで非常に良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.99kg/cm、耐塩酸劣化性は12(Loss%)であり、良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で115μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で1857μg/dm2、Zn付着量(全Zn量)は全体で235μg/dm2であった。
(実施例6)
前述のキャリア付銅箔に、下記に示す条件で粗化処理を施した。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
液組成:Cu10〜20g/リットル、Co5〜10g/リットル、Ni5〜15g/リットル
pH:2〜4
温度:30〜50℃
電流密度(Dk):20〜60A/dm2
時間:0.5〜5秒
上記の条件で粗化処理を施すことで、平均粒子径0.10〜0.60μmからなるCu、Co、Niからなる3元系合金の微細粗化粒子の集合体を形成した。粗化粒子サイズは表面処理付銅箔の粗化粒子を電子顕微鏡(SEM)の30000倍の倍率で観察を行い、粗化粒子サイズを評価した。
粗化段階のNi付着量は200〜400μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):6〜8A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):2.0〜4.0A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):0A/dm2
時間:0.05〜3秒(浸漬クロメート処理)
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、1091μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.18、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.9であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:0μmで非常に良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.97kg/cm、耐塩酸劣化性:≦10(Loss%)以下であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で110μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で2475μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で240μg/dm2であった。
(実施例7)
前述のキャリア付銅箔に下記に示す条件で粗化処理を施した。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
液組成:Cu10〜20g/リットル、Co5〜10g/リットル、Ni8〜20g/リットル
pH:2〜4
温度:30〜50℃
電流密度(Dk):20〜60A/dm2
時間:0.5〜5秒
上記の条件で粗化処理を施すことで、平均粒子径0.05〜0.35μmからなるCu、Co、Niからなる3元系合金の微細粗化粒子の集合体を形成した。粗化粒子サイズは表面処理付銅箔の粗化粒子を電子顕微鏡(SEM)の30000倍の倍率で観察を行い、粗化粒子サイズを評価した。
粗化段階のNi付着量は300〜550μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):4〜6A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):1.5〜3.5A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):0A/dm2
時間:0.05〜3秒(浸漬クロメート処理)
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量(全Ni量)は全体で、789μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.22、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=2.2であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:0μmで非常に良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.94kg/cm、耐塩酸劣化性:≦10(Loss%)以下であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で55μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で2167μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で217μg/dm2であった。
(実施例8)
実施例1と同様の粗化処理において、平均粒子径0.25〜0.45μmのCuの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmのCu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層を形成した。
粗化粒子サイズは表面処理付銅箔の粗化粒子を電子顕微鏡(SEM)の30000倍の倍率で観察を行い、粗化粒子サイズを評価した。
粗化処理段階のNi付着量は50〜250μg/dm2であった。
耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):6〜8A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0〜1.0A/dm2
時間:0〜2.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):1〜3A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、741μg/dm2となるようにめっき処理を施した。粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.02であった。
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.9であった。
以下の実施例8、9、21〜26については表面処理銅箔を以下の樹脂に積層させた後、上記の染み込み評価方法で染み込みを評価した。
表面処理付銅箔上にGHPL−830NX(三菱ガス化学株式会社製タイプA)を220℃、2時間の熱プレス条件で積層させ、銅張積層板を形成した。
次に、この銅張積層板を一般的な塩化銅−塩酸エッチング溶液によりファインパターン回路を形成した。このファインパターン回路基板を硫酸10wt%、過酸化水素2wt%からなる水溶液に5分間浸漬させた後、樹脂基板と銅箔回路の界面を光学顕微鏡にて観察して、染込み評価をおこなった。
染込み評価の結果、染みこみ幅:0μmで非常に良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.99kg/cm、耐塩酸劣化性:5(Loss%)であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で90μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で1437μg/dm2、Zn付着量(全Zn量)は全体で15μg/dm2であった。
(実施例9)
実施例1と同様の粗化処理において、平均粒子径0.25〜0.45μmのCuの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmのCu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層を形成した。
粗化粒子サイズは表面処理付銅箔の粗化粒子を電子顕微鏡(SEM)の30000倍の倍率で観察を行い、粗化粒子サイズを評価した。
粗化処理段階のNi付着量は50〜250μg/dm2であった。
耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):6〜8A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.5〜1.0A/dm2
時間:0〜2.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):1〜3A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、771μg/dm2となるようにめっき処理を施した。粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.06であった。
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量)+全Zn量)=1.8であった。
実施例8と同様の染込み評価の結果、染みこみ幅:0μmで非常に良好であった。密着強度評価の結果、常態ピール強度は1.01kg/cm、耐塩酸劣化性:6(Loss%)であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で90μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で1476μg/dm2、Zn付着量(全Zn量)は全体で49μg/dm2であった。
(実施例10)
前述のキャリア付銅箔に実施例6と同様の条件で粗化処理層を形成した。上記の条件で粗化処理を施すことで、平均粒子径0.10〜0.60μmからなるCu、Co、Niからなる3元系合金の微細粗化粒子の集合体を形成した。
粗化段階のNi付着量は200〜400μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
液組成:Co1〜10g/リットル、Ni1〜10g/リットル
pH:2〜3
温度:40〜60℃
電流密度(Dk):6〜8A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):1.0〜3.0A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):0A/dm2
時間:0.05〜3秒(浸漬クロメート処理)
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、815μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.13、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=3.2であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦5μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.99kg/cm、耐塩酸劣化性:8(Loss%)と良好であった。アルカリエッチング性は良好(○)であった。以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で90μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で2978μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で117μg/dm2であった。
(実施例11)
実施例1と同様の粗化処理において、平均粒子径0.2〜0.45μmのCuの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmのCu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層を形成した。
粗化粒子サイズは表面処理付銅箔の粗化粒子を電子顕微鏡(SEM)の30000倍の倍率で観察を行い、粗化粒子サイズを評価した。
粗化処理段階のNi付着量は300〜550μg/dm2であった。
耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):6〜8A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.5〜1.0A/dm2
時間:0〜2.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):1〜3A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、1590μg/dm2となるようにめっき処理を施した。粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.10であった。
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量)+全Zn量)=1.6であった。
実施例1と同様の染込み評価の結果、染みこみ幅:5μm以下で良好であった。密着強度評価の結果、常態ピール強度は1.02kg/cm、耐塩酸劣化性:18(Loss%)であり、良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で90μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で2762μg/dm2、Zn付着量(全Zn量)は全体で177μg/dm2であった。
(実施例12)
実施例1と同様の粗化処理において、平均粒子径0.2〜0.45μmのCuの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmのCu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層を形成した。
粗化粒子サイズは表面処理付銅箔の粗化粒子を電子顕微鏡(SEM)の30000倍の倍率で観察を行い、粗化粒子サイズを評価した。
粗化処理段階のNi付着量は50〜250μg/dm2であった。
耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):6〜8A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.5〜1.0A/dm2
時間:0〜2.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):1〜3A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、360μg/dm2となるようにめっき処理を施した。粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.35であった。
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量)+全Zn量)=1.4であった。
実施例1と同様の染込み評価の結果、染みこみ幅:0μmで非常に良好であった。密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.96kg/cm、耐塩酸劣化性:5(Loss%)であり、良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で90μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で790μg/dm2、Zn付着量(全Zn量)は全体で194μg/dm2であった。
(比較例1)
前述のキャリア付銅箔に実施例1−5と同様の条件で粗化処理層を形成した。粗化段階のNi付着量は50〜250μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):10〜15A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.05〜0.7A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):0.5〜1.5A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、1540μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.01、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=3.5であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:>5μmで不良であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.98kg/cm、耐塩酸劣化性は6(Loss%)であり、良好であった。しかし、アルカリエッチング性は残存粒子が観察され、不良(×)であった。この結果、総合評価は不良であった。これは、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)が小さいことが原因と考えられる。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で81μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で5444μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で10μg/dm2であった。
(比較例2)
前述のキャリア付銅箔に実施例1−5と同様の条件で粗化処理層を形成した。粗化段階のNi付着量は50〜250μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):10〜15A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.1〜1.0A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):0.5〜1.5A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、1840μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.10、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.5であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.99kg/cm、耐塩酸劣化性は7(Loss%)以下であり、良好であった。しかし、アルカリエッチング性は残存粒子が観察され、不良(×)であった。この結果、総合評価は不良であった。これは、全Ni付着量が多過ぎることが原因と考えられる。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で84μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で3058μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で199μg/dm2であった。
(比較例3)
前述のキャリア付銅箔に実施例1−5と同様の条件で粗化処理層を形成した。粗化段階のNi付着量は50〜250μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):1.0〜3.0A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.05〜0.7A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):0.5〜1.5A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、310μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.40、粗化処理層、耐熱層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.4であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.97kg/cmと良好だったが、耐塩酸劣化性は35(Loss%)と不良であった。アルカリエッチング性は良好であったが、総合評価は不良であった。これは、Zn比が大きいことが原因と考えられる。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で82μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で723μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で207μg/dm2であった。
(比較例4)
前述のキャリア付銅箔に実施例1−5と同様の条件で粗化処理層を形成した。粗化段階のNi付着量は50〜250μg/dm2であった。
Ni−Co層からなる耐熱層、Zn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層およびシランカップリング処理は、上記に示す条件の範囲で実施した。耐熱層、耐候層及び防錆層を形成する条件を下記に示す。なお、極薄銅層の厚みは3μmとした。
1)耐熱層(Ni−Co層)
電流密度(Dk):1.0〜3.0A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
2)耐候層(Zn−Ni層)
電流密度(Dk):0.7〜2.0A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
3)防錆層(Cr−Zn層)
電流密度(Dk):0.8〜2.5A/dm2
時間:0.05〜3.0秒
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、600μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.38、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.6であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:0μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.99kg/cmと良好であったが、耐塩酸劣化性:40(Loss%)と不良であった。アルカリエッチング性は良好(○)であった。しかし、総合評価は不良であった。これは、Zn比が大きいことが原因と考えられる。
以上の結果を、表1に示す。この他、Cr付着量は全体(全Cr量)で122μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で1546μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で361μg/dm2であった。
(中間層の組成を変えた場合の実施例)
(実施例21)
次に、キャリアと銅箔との間に、中間層としてCoMo合金を形成した以外は、実施例1と同様の条件で、キャリア付銅箔を形成した。この場合の、CoMo合金中間層は、以下の液組成のめっき液中でめっきすることにより作製した。なお、極薄銅層の厚みは2μmとした。
(液組成) CoSO4・7H2O : 0.5〜100g/l
Na2MoO4・2H2O : 0.5〜100g/l
クエン酸ナトリウム二水和物 :20〜300g/l
(温度) 10〜70℃
(pH) 3〜5
(電流密度) 0.1〜60A/dm2
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、1090μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.13、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.6であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.90kg/cm、耐塩酸劣化性:10(Loss%)以下であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表2に示す。この他、Ni付着量(粗化段階)50〜250μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で2005μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で163μg/dm2であった。
(実施例22)
次に、キャリアと銅箔との間に、中間層としてCrを形成した以外は、実施例2と同様の条件で、キャリア付銅箔を形成した。この場合の、Cr中間層は以下の液組成のめっき液中でめっきすることにより作製した。なお、極薄銅層の厚みは10μmとした。
(液組成)
CrO3: 200〜400g/l
2SO4: 1.5〜4g/l
(pH) 1〜4
(液温) 45〜60℃
(電流密度)10〜40A/dm2
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、449μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.18、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=2.7であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.91kg/cm、耐塩酸劣化性:11(Loss%)であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表2に示す。この他、Ni付着量(粗化段階)50〜250μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で1481μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で99μg/dm2であった。
(実施例23)
次に、キャリアと銅箔との間に、中間層としてCr/CuPを形成した以外は、実施例1と同様の条件で、キャリア付銅箔を形成した。この場合の、Cr/CuP中間層は以下の液組成のめっき液中でめっきすることにより作製した。なお、極薄銅層の厚みは2μmとした。
(液組成1)
CrO3 :200〜400g/l
2SO4 :1.5〜4g/l
(pH) :1〜4
(液温) :45〜60℃
(電流密度) :10〜40A/dm2
(液組成2)
Cu227 :3H2O :5〜50g/l
427 :50〜300g/l
(温度) :30〜60℃
(pH) :8〜10
(電流密度) :0.1〜1.0A/dm2
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、1089μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.13、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.6であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.90kg/cm、耐塩酸劣化性:10(Loss%)以下であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表2に示す。この他、Ni付着量(粗化段階)50〜250μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で2003μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で163μg/dm2であった。
(実施例24)
次に、キャリアと銅箔との間に、中間層としてNi/Crを形成した以外は、実施例2と同様の条件で、キャリア付銅箔を形成した。この場合の、Ni/Cr中間層は以下の液組成のめっき液中でめっきすることにより作製した。なお、極薄銅層の厚みは10μmとした。
(液組成1)
NiSO4・6H2O:250〜300g/l
NiCl2・6H2O:35〜45g/l
ホウ酸:10〜50g/l
(pH):2〜6
(浴温):30〜70℃
(電流密度):0.1〜50A/dm2
(液組成2)
CrO3 :200〜400g/l
2SO4 :1.5〜4g/l
(pH) :1〜4
(液温) :45〜60℃
(電流密度):10〜40A/dm2
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、452μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.18、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=2.7であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.91kg/cm、耐塩酸劣化性:11(Loss%)であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。 以上の結果を、表2に示す。この他、Ni付着量(粗化段階)50〜250μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で1491μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で100μg/dm2であった。
(実施例25)
次に、キャリアと銅箔との間に、中間層としてCo/クロメート処理の層を形成した以外は、実施例1と同様の条件で、キャリア付銅箔を形成した。
この場合の、Co/クロメート処理の中間層は以下の液組成のめっき液中でめっきすることにより作製した。なお、極薄銅層の厚みは2μmとした。
(液組成1) CoSO4・7H2O : 10〜100g/l
クエン酸ナトリウム二水和物 :30〜200g/l
(温度) : 10〜70℃
(pH) : 3〜5
(電流密度): 0.1〜60A/dm2
(液組成2) :CrO3 :1〜10g/L
(温度) ;10〜70℃
(pH) :10〜12
(電流密度) :0.1〜1.0A/dm2
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、1095μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.13、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=1.6であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.90kg/cm、耐塩酸劣化性:10(Loss%)以下であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表2に示す。この他、Ni付着量(粗化段階)50〜250μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で2014μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で164μg/dm2であった。
(実施例26)
次に、キャリアと銅箔との間に、中間層として有機物層を形成した以外は、実施例4と同様の条件で、キャリア付銅箔を形成した。なお、極薄銅層の厚みは10μmとした。この場合の、有機物層の中間層は液温40℃、pH5、濃度1〜10g/lのカルボキシベンゾトリアゾール水溶液を、10〜60秒間噴霧という条件で作製した。
粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるNi付着量は全体(全Ni量)で、450μg/dm2であり、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるZn付着量(全Zn量)から、全Zn量/(全Ni量+全Zn量)=0.18、粗化処理層、耐熱層、耐候層、防錆層全てにおけるCo付着量(全Co量)から、全Co量/(全Ni量+全Zn量)=2.7であった。染込み評価の結果、染みこみ幅:≦3μmで良好であった。
密着強度評価の結果、常態ピール強度は0.91kg/cm、耐塩酸劣化性:11(Loss%)であり、非常に良好であった。アルカリエッチング性も良好(○)であった。
以上の結果を、表2に示す。この他、Ni付着量(粗化段階)50〜250μg/dm2、Co付着量は全体(全Co量)で1484μg/dm2、Zn付着量は全体(全Zn量)で99μg/dm2であった。
キャリア付銅箔の表面に粗化処理を形成した後、その上に耐熱層・防錆層を形成後、シランカップリング処理が施された キャリア付銅箔を使用した銅張積層板において、ファインパターン印刷回路形成後に、基板を酸処理や化学エッチングを施した際に、銅箔回路と基板樹脂の界面への酸の染込みによる密着性低下の抑制を向上させることのでき、耐酸性密着強度優れ、かつアルカリエッチング性に優れる。これによって、電子機器の発展が進む中で、半導体デバイスの小型化、高集積化が更に進み、これらの印刷回路の製造工程で行われる処理が一段と厳しい要求がなされているが、これらの要求にこたえることのできる有用な技術を提供する。

Claims (25)

  1. キャリア、中間層、極薄銅層がこの順に積層されているキャリア付銅箔の前記極薄銅層の表面に、粗化(トリート)処理を施すことにより形成された粗化処理層、この粗化処理層の上に形成されたNi−Co層からなる耐熱層、及びこの耐熱層の上に形成されたZn、Ni、Crを含有する耐候層及び防錆層を有する表面処理層を有し、前記表面処理層中の全Zn量/(全Zn量+全Ni量)が0.02以上0.35以下であり、前記表面処理層中の全Ni量が1600μg/dm2以下であることを特徴とするキャリア付銅箔。
  2. 前記表面処理層中の全Zn量/(全Zn量+全Ni量)が0.02以上0.23以下であり、前記表面処理層中の全Ni量が1150μg/dm2以下であることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア付銅箔。
  3. 前記表面処理層中の全Ni量が、350〜1350μg/dm2であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャリア付銅箔。
  4. 前記表面処理層中の全Ni量が、450〜1100μg/dm2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  5. 前記表面処理層中の全Co量が770〜3200μg/dm2であり、全Co量/(全Zn量+全Ni量)が3.4以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  6. 前記表面処理層中の全Co量が770〜2500μg/dm2であり、全Co量/(全Zn量+全Ni量)が3.0以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  7. 前記表面処理層中の全Cr量が50〜130μg/dm2であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  8. 前記粗化処理層のNi量が50〜550μg/dm2であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  9. 前記粗化処理層が、Co、Cu、Niの元素からなる粗化処理層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のキャリア付銅箔。
  10. 前記粗化処理層が平均粒子径0.05〜0.60μmの微細粒子からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  11. 前記粗化処理層が平均粒子径0.05〜0.60μmのCu、Co、Niからなる3元系合金の微細粒子からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  12. 前記粗化処理層が、平均粒子径0.25〜0.45μmの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmの二次粒子層からなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  13. 前記粗化処理層が、平均粒子径0.25〜0.45μmのCuの一次粒子層と、その上に形成された平均粒子径が0.05〜0.25μmのCu、Co、Niからなる3元系合金からなる二次粒子層からなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  14. 上記請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層からなる印刷回路用銅箔。
  15. 前記表面処理層上に樹脂層を備える請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  16. 上記請求項14に記載の印刷回路用銅箔を樹脂基板に積層接着した銅張積層板。
  17. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント配線板。
  18. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント回路板。
  19. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造した銅張積層板。
  20. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
    前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
    前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
    その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  21. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路を形成する工程、
    前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアを剥離させる工程、及び、
    前記キャリアを剥離させた後に、前記極薄銅層を除去することで、前記極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  22. 前記樹脂層上に回路を形成する工程が、
    前記樹脂層上に別のキャリア付銅箔を極薄銅層側から貼り合わせ、前記樹脂層に貼り合わせたキャリア付銅箔を用いて前記回路を形成する工程である、請求項21に記載のプリント配線板の製造方法。
  23. 前記樹脂層上に貼り合わせる別のキャリア付銅箔が、請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔である、請求項22に記載のプリント配線板の製造方法。
  24. 前記樹脂層上に回路を形成する工程が、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行われる、請求項21〜23のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
  25. キャリアを剥離する前に、キャリア付銅箔のキャリア側表面に基板を形成する工程を更に含む請求項21〜24の何れか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
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