JP2017045746A - 接合構造体の製造方法、圧電デバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

接合構造体の製造方法、圧電デバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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【課題】第1の基板、第2の基板、及びこれらを接合する接着剤により空間が区画される構成において、接着剤の空間側への流れ出しを抑制することが可能な接合構造体の製造方法、圧電デバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。【解決手段】貫通孔50が形成された封止板33(第1の基板)と、封止板33に対して間隔を空けて配置された圧力室形成基板29(第2の基板)と、両基板を接合する接着剤43と、を備え、貫通孔50が封止板33、圧力室形成基板29及び接着剤43により区画された空間に開口した接合構造体の製造方法であって、封止板33又は圧力室形成基板29の何れか一方の基板に、液体状の接着剤43を配置する接着剤形成工程と、封止板33と圧力室形成基板29とを接合し、貫通孔50から気体を導入することにより空間の気圧を高めた状態で接着剤43を硬化させる基板接合工程と、を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、第1の基板、第2の基板、及びこれらを接合する接着剤により区画された空間を有する接合構造体の製造方法、圧電デバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法に関するものである。
各種の電子機器に組み込まれる接合構造体としては、第1の基板と第2の基板とが間隔を空けて配置されると共に、両基板を接合する接着剤が環状に形成されたものがある。このような接合構造体には、第1の基板と第2の基板との間に環状に配置された接着剤で封止された空間(以下、封止空間という。)が形成されるため、この封止空間内に外部からの影響を抑制したい電気部品や各種の素子等が配置されている。例えば、液体噴射装置に搭載された液体噴射ヘッドに組み込まれた、接合構造体の一種である圧電デバイスでは、封止空間内に圧電素子が設けられている。そして、液体噴射装置は、この圧電素子を駆動することで、液体噴射ヘッドに形成されたノズルから液体を噴射(吐出)する(例えば、特許文献1)。
また、このような液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
ところで、第1の基板と第2の基板とを接着して接合構造体を形成する際に、接着剤が配置される予定の接着領域からその他の領域にはみ出す虞がある。例えば、このはみ出した接着剤が、圧電素子が配置される駆動領域等に達すると、ノズルからの液体の噴射に支障を来す虞がある。このため、接着剤のはみ出しを抑制する技術が望まれている。例えば、特許文献2においては、細溝が形成された圧電体にオリフィス板を接着する際に、圧電体に形成された細溝内にエアー等の流体を流しながら接着することで、接着剤のはみ出しによる不具合を抑制する技術が提案されている。すなわち、細溝からオリフィスへと流体の流れを作ることで、接着剤が細溝やオリフィス内にはみ出さないようにしている。
特開2014−51008号公報 特開平11−34340号公報
しかしながら、第1の基板と第2の基板との間に形成される封止空間においては、特許文献2のような流体の流れを作り出すことが困難であった。すなわち、第1の基板と第2の基板との接合時において、封止空間を区画する環状の接着剤に沿って一様な流体の流れを作りながら、両基板を接合することは容易ではなかった。その結果、封止空間において、接着剤のはみ出しを十分に抑制することができなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1の基板、第2の基板、及びこれらを接合する接着剤により空間が区画される構成において、接着剤の空間側への流れ出しを抑制することが可能な接合構造体の製造方法、圧電デバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明の接合構造体の製造方法は、上記目的を達成するために提案されたものであり、板厚方向に貫通した貫通孔が形成された第1の基板と、当該第1の基板に対して間隔を空けて配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合する接着剤と、を備え、前記貫通孔が前記第1の基板、前記第2の基板及び前記接着剤により区画された空間に開口した接合構造体の製造方法であって、
前記第1の基板又は前記第2の基板の何れか一方の基板に、液体状の接着剤を配置する接着剤形成工程と、
前記接着剤を介在させて前記第1の基板と前記第2の基板とを接合し、前記貫通孔から気体を導入することにより前記空間の気圧を高めた状態で前記接着剤を硬化させる基板接合工程と、
を含むことを特徴とする。
この構成によれば、基板接合工程において空間の気圧が高められた状態で接着剤を硬化させるため、接着剤が空間の内側にはみ出すことを抑制できる。
また、上記方法の前記基板接合工程において、前記空間への気体の導入は、前記第1の基板と前記第2の基板との間隔を狭くする方向に押圧された状態で行われることが望ましい。
この構成によれば、押圧により第1の基板と第2の基板とをより確実に接合することができる。また、空間の気圧が高められているため、押圧により基板が変形することを抑制できる。
さらに、本発明の圧電デバイスの製造方法は、前記空間における前記第1の基板又は前記第2の基板の何れか一方の基板に形成された圧電素子を備え、
上記各方法に記載の接合構造体の製造方法により製造されることを特徴とする。
そして、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、前記圧電素子の変形に伴い容積を変化させる圧力室と、当該圧力室に連通するノズルと、を備え、
上記方法に記載の圧電デバイスの製造方法により圧電デバイスを製造する工程と、
前記第1の基板又は前記第2の基板の何れか一方の基板に前記圧力室を形成する圧力室形成工程と、を含むことを特徴とする。
プリンターの構成を説明する斜視図である。 記録ヘッドの構成を説明する断面図である。 記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 圧電デバイスの平面図である。 圧電デバイスの製造方法を説明する断面図である。 第2の実施形態における圧電デバイスの平面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明に係る接合構造体を含む圧電デバイスを備えた液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド)、及び、これを搭載した液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
プリンター1の構成について、図1を参照して説明する。プリンター1は、記録紙等の記録媒体2(着弾対象の一種)の表面に対してインク(液体の一種)を噴射して画像等の記録を行う装置である。このプリンター1は、記録ヘッド3、この記録ヘッド3が取り付けられるキャリッジ4、キャリッジ4を主走査方向に移動させるキャリッジ移動機構5、記録媒体2を副走査方向に移送する搬送機構6等を備えている。ここで、上記のインクは、液体供給源としてのインクカートリッジ7に貯留されている。このインクカートリッジ7は、記録ヘッド3に対して着脱可能に装着される。なお、インクカートリッジがプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジからインク供給チューブを通じて記録ヘッドに供給される構成を採用することもできる。
上記のキャリッジ移動機構5はタイミングベルト8を備えている。そして、このタイミングベルト8はDCモーター等のパルスモーター9により駆動される。したがってパルスモーター9が作動すると、キャリッジ4は、プリンター1に架設されたガイドロッド10に案内されて、主走査方向(記録媒体2の幅方向)に往復移動する。キャリッジ4の主走査方向の位置は、位置情報検出手段の一種であるリニアエンコーダー(図示せず)によって検出される。リニアエンコーダーは、その検出信号、即ち、エンコーダーパルス(位置情報の一種)をプリンター1の制御部に送信する。
次に記録ヘッド3について説明する。図2は、記録ヘッド3の構成を説明する断面図である。図3は、記録ヘッド3の要部を拡大した断面図、すなわち接合構造体の一種である圧電デバイス14の断面図である。図4は、圧電デバイス14の平面図である。本実施形態における記録ヘッド3は、図2に示すように、圧電デバイス14及び流路ユニット15が積層された状態でヘッドケース16に取り付けられている。なお、便宜上、各部材の積層方向を上下方向として説明する。
ヘッドケース16は、合成樹脂製の箱体状部材であり、その内部には後述する共通液室25にインクを供給する液体導入路18が形成されている。この液体導入路18は、共通液室25と共に、複数並設された圧力室30に共通なインクが貯留される空間である。本実施形態では、2列に並設された圧力室30の列に対応して2つ形成されている。また、2つの液体導入路18の間には、ヘッドケース16の下面側からヘッドケース16の高さ方向の途中まで直方体状に窪んだ収容空間17が形成されている。この収容空間17内には、連通基板24上に積層された圧電デバイス14(圧力室形成基板29、封止板33等)が収容されている。
ヘッドケース16の下面に接合された流路ユニット15は、連通基板24及びノズルプレート21を有している。連通基板24は、シリコン製の板材であり、本実施形態では、表面(上面及び下面)の結晶面方位を(110)面としたシリコン単結晶基板から作製されている。この連通基板24には、図2に示すように、液体導入路18と連通し、各圧力室30に共通なインクが貯留される共通液室25と、この共通液室25を介して液体導入路18からのインクを各圧力室30に個別に供給する個別連通路26とが、エッチングにより形成されている。共通液室25は、ノズル列方向に沿った長尺な空部であり、2列に並設された圧力室30の列に対応して2列形成されている。この共通液室25は、連通基板24の板厚方向を貫通した第1液室25aと、連通基板24の下面側から上面側に向けて当該連通基板24の板厚方向の途中まで窪ませ、上面側に薄板部を残した状態で形成された第2液室25bと、から構成される。個別連通路26は、第2液室25bの薄板部において、圧力室30に対応して当該圧力室30の並設方向に沿って複数形成されている。この個別連通路26は、連通基板24と圧力室形成基板29とが接合された状態で、対応する圧力室30の長手方向における一方の端部と連通する。
また、連通基板24の各ノズル22に対応する位置には、連通基板24の板厚方向を貫通したノズル連通路27が形成されている。すなわち、ノズル連通路27は、ノズル列に対応して当該ノズル列方向に沿って複数形成されている。このノズル連通路27によって、圧力室30とノズル22とが連通する。本実施形態のノズル連通路27は、連通基板24と圧力室形成基板29とが接合された状態で、対応する圧力室30の長手方向における他方(個別連通路26とは反対側)の端部と連通する。
ノズルプレート21は、連通基板24の下面(圧力室形成基板29とは反対側の面)に接合されたシリコン製の基板(例えば、シリコン単結晶基板)である。本実施形態では、このノズルプレート21により、共通液室25となる空間の下面側の開口が封止されている。また、ノズルプレート21には、複数のノズル22が列状に開設されている。本実施形態では、2列に形成された圧力室30の列に対応して、ノズル列が2列形成されている。この並設された複数のノズル22(ノズル列)は、一端側のノズル22から他端側のノズル22までドット形成密度に対応したピッチで、主走査方向に直交する副走査方向に沿って等間隔に設けられている。なお、ノズルプレートを連通基板における共通液室から内側に外れた領域に接合し、共通液室となる空間の下面側の開口を例えば可撓性を有するコンプライアンスシート等の部材で封止することもできる。このようにすれば、ノズルプレートを可及的に小さくできる。
本実施形態における圧電デバイス14は、各圧力室30内のインクに圧力変動を生じさせるアクチュエーターとして機能する薄板状或いは薄膜状の構成部材を積層してなるデバイスである。この圧電デバイス14は、図2及び図3に示すように、圧力室形成基板29、振動板31、圧電素子32、及び封止板33が積層されてユニット化され、収容空間17内に収容されている。
圧力室形成基板29は、シリコン製の硬質な板材であり、本実施形態では、表面(上面及び下面)の結晶面方位を(110)面としたシリコン単結晶基板から作製されている。この圧力室形成基板29には、エッチングにより一部が板厚方向に完全に除去されて、圧力室30となるべき空間がノズル列方向に沿って複数並設されている。この空間は、下方が連通基板24により区画され、上方が振動板31により区画されて、圧力室30を構成する。また、この空間、すなわち圧力室30は、2列に形成されたノズル列に対応して2列に形成されている。各圧力室30は、ノズル列方向に直交する方向に長尺に形成され、長手方向の一方の端部に個別連通路26が連通すると共に、他方の端部にノズル連通路27が連通する。
振動板31は、弾性を有する薄膜状の部材であり、圧力室形成基板29の上面(連通基板24側とは反対側の面)に積層されている。この振動板31によって、圧力室30となるべき空間の上部開口が封止されている。換言すると、振動板31によって、圧力室30の上面が区画されている。この振動板31における圧力室30(詳しくは、圧力室30の上部開口)に対応する部分は、圧電素子32の撓み変形に伴ってノズル22から遠ざかる方向あるいは近接する方向に変位する変位部として機能する。すなわち、振動板31における圧力室30の上部開口に対応する領域が、撓み変形が許容される駆動領域となる。この駆動領域(変位部)の変形(変位)により、圧力室30の容積は変化する。一方、振動板31における圧力室30の上部開口から外れた領域が、撓み変形が阻害される非駆動領域となる。
また、振動板31は、例えば、圧力室形成基板29の上面に形成された二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜と、この弾性膜上に形成された二酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜と、から成る。そして、この絶縁膜上(振動板31の圧力室形成基板29側とは反対側の面)における各圧力室30に対応する領域(すなわち駆動領域)に圧電素子32がそれぞれ積層されている。なお、圧力室形成基板29及びこれに積層された振動板31が本発明における第2の基板に相当する。また、圧力室形成基板と振動板が一体である構成を採用することもできる。すなわち、圧力室形成基板の下面側からエッチング処理が施されて、上面側に板厚の薄い薄肉部分を残して圧力室が形成され、この薄肉部分が振動板として機能する構成を採用することもできる。
本実施形態における圧電素子32は、所謂撓みモードの圧電素子である。図2および図3に示すように、この圧電素子32は、封止板33、振動板31及び接着剤43(後述)により区画された封止空間19(本発明における空間に相当)内に形成されている。なお、封止空間19に関し、詳しくは後述する。また、圧電素子32は、各ノズル22に対応してノズル列方向に沿って複数並設されており、図2及び図4に示すように、2列に形成されたノズル列に対応して2つの圧電素子群が、後述する共通樹脂コアバンプ40aを間に挟んで形成されている。さらに、図3に示すように、各圧電素子32は、例えば、振動板31上に、下電極層37、圧電体層38および上電極層39が順次積層されてなる。本実施形態においては、下電極層37が、圧電素子32毎の個別の電極として機能し、上電極層39が、各圧電素子32に共通な電極として機能する。なお、駆動回路や配線の都合によってこれらを逆にする構成とすることもできる。このように構成された圧電素子32は、下電極層37と上電極層39との間に両電極の電位差に応じた電界が付与されると、ノズル22から遠ざかる方向あるいは近接する方向に撓み変形する。
本実施形態における圧電体層38は、2列に形成された2つの圧電素子群に亘って形成されている。この圧電体層38の両端部は、図3に示すように、圧電素子32となる領域から後述する個別樹脂コアバンプ40bに対応する領域を越えて振動板31の端部近傍まで延設されている。この圧電体層38においてノズル列方向に隣り合う圧力室30に挟まれた領域に対応する部分、すなわち、ノズル列方向に隣接する圧力室30の間の非駆動領域に対応する部分には、図示しない開口が形成されている。この開口は、圧電体層38の一部が除去されて形成された凹部或いは貫通穴から構成されており、圧力室30の開口縁に沿って延在している。すなわち、このように開口が設けられた構成では、ノズル列方向に隣り合う開口の間の部分であって圧力室30に対応する領域に設けられた梁状の圧電体層38およびこれを挟む上下の電極37,39が圧電素子32として機能する。
また、上電極層39は、ノズル列方向において複数の圧電素子32に亘って形成されると共に、ノズル列方向に直交する方向において2列に形成された圧電素子群に亘って形成されている。図3に示すように、この上電極層39のノズル列方向に直交する方向における両端部は、同方向における圧力室30の外側の端部に対応する位置まで延設されている。さらに、下電極層37は、圧電素子32となる領域から圧力室形成基板29の外側に向けて、ノズル列方向に直交する方向に沿って延設されている。この下電極層37の外側の端部は、圧電体層38よりも外側に延設され、露出されている。そして、この露出した部分に、個別上電極層44が接続されている。この個別上電極層44は、上電極層39と同様の層からなり、上電極層39と導通しないように当該上電極層39に対して離間して形成されている。本実施形態における個別上電極層44は、下電極層37が露出した部分から個別樹脂コアバンプ40bに対応する領域を越えて上電極層から外側に外れた位置まで延設されている。個別上電極層44は、圧力室30毎に形成された下電極層37に対応して、圧力室30毎に形成されている。
なお、下電極層37、上電極層39、及び個別上電極層44としては、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の各種金属、及び、これらの合金やLaNiO等の合金等が用いられる。また、圧電体層38としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、ビスマス(Bi)又はイットリウム(Y)等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その他、チタン酸バリウムなどの非鉛材料も用いることができる。
また、本実施形態においては、図3に示すように、上電極層39上及び個別上電極層44上に、これらに電気的に接続される金属端子層48が積層されている。具体的には、圧電素子群に挟まれた領域である中央部分であって、共通樹脂コアバンプ40aに対応する位置の上電極層39上に、当該上電極層39と電気的に接続される共通金属端子層48aが形成されている。この共通金属端子層48aは、ノズル列方向において複数の圧電素子32に亘って形成された上電極層39に対応して、ノズル列方向に沿って延設されている。そして、この共通金属端子層48aに、共通樹脂コアバンプ40aが接続されている。また、各圧電素子32から外側に外れた領域であって、個別上電極層44上には、当該個別上電極層44を介して下電極層37と電気的に接続される個別金属端子層48bが形成されている。この個別金属端子層48bは、圧力室30毎に形成された個別上電極層44に対応して、圧力室30毎に形成されている。そして、各個別金属端子層48bに、それぞれ対応する個別樹脂コアバンプ40bが接続されている。なお、金属端子層48としては、各種の金属が用いられる。本実施形態においては、金属端子層48として、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、及び、これらの合金等からなる密着層上に金(Au)が積層されたものが用いられている。
封止板33(本発明における第1の基板に相当)は、図3に示すように、振動板31(或いは、圧電素子32)に対して間隔をあけて配置された平板状の板材である。本実施形態では、表面(上面及び下面)の結晶面方位を(110)面としたシリコン単結晶基板から作製されている。この封止板33の圧電素子32と対向する領域(すなわち、封止空間19内の面)には、各圧電素子32の駆動に係る駆動回路46が形成されている。駆動回路46は、封止板33となるシリコン単結晶基板の表面に、半導体プロセス(即ち、成膜工程、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程等)を用いて作成される。また、封止板33の圧電素子32側の面には、駆動回路46に接続される配線層47が露出した状態で形成されている。
この配線層47には、駆動回路46に対応する位置から共通金属端子層48aに対応する位置まで引き回された配線層47と、駆動回路46に対応する位置から個別金属端子層48bに対応する位置まで引き回された配線層47とがある。具体的には、圧電素子32の共通電極用の配線層47a(共通金属端子層48aと接続される配線層47a)と、圧電素子32の個別電極用の配線層47b(個別金属端子層48bと接続される配線層47a)と、が封止板33の表面にパターニングされている。すなわち、図4に示すように、共通電極用の配線層47aは、2列に形成された圧電素子群に挟まれた領域に亘って形成されている。一方、個別電極用の配線層47bは、圧電素子32毎に個別に形成されている。この個別電極用の配線層47bは、ノズル列方向に直交する方向において、圧電素子32の外側の端部から封止板33の端部まで延設されている。なお、各配線層47は、駆動回路46に対応する位置において、駆動回路46内の対応する配線端子と電気的に接続されている。
また、図3及び図4に示すように、封止板33には、板厚方向に貫通した貫通孔50が形成されている。本実施形態では、ノズル列方向における封止空間19内の一側(図4における上側)の端部であって、ノズル列方向に直交する方向における中央部に1つ開口されている。この貫通孔50により封止空間19が大気開放される。これにより、例えば、圧電素子32の発熱等により封止空間19内の空気が膨張したとしても、駆動領域における振動板31の初期位置が変化することを抑制できる。その結果、インクの噴射特性の変化や噴射不良等を抑制できる。
そして、振動板31及び圧電素子32が積層された圧力室形成基板29からなる駆動基板と、圧電素子32の駆動に係る駆動回路46が設けられた封止板33とは、樹脂コアバンプ40を介在させた状態で接着剤43により接合されている。この接着剤43は、硬化(固化)する前の状態において液体状の接着剤である。本実施形態においては、図4に示すように、振動板31および封止板33の外周縁に沿って平面視で枠状(環状)に形成された第1の接着剤43aと、当該第1の接着剤43aよりも内側であって、圧電素子群を囲む枠状(環状)に形成された第2の接着剤43bとが形成されている。この2重に形成された接着剤43a,43bの間に個別樹脂コアバンプ40b及び貫通孔50が形成されている。
ここで、第1の接着剤43aは、平面視において、個別金属端子層48bよりも外側に形成されている。すなわち、第1の接着剤43aと個別金属端子層48bとは、重ならないように構成されている。一方、第2の接着剤43bは、平面視において、各個別金属端子層48bと交差するように形成されている。すなわち、第2の接着剤43bの個別樹脂コアバンプ40bの延在方向に沿った領域は、各個別金属端子層48bと重なるように構成されている。また、本実施形態における第2の接着剤43bは、完全な環状ではなく、平面視において貫通孔50に臨む領域の一部が除去されている。これにより、第2の接着剤43bにより区画される内側の領域と外側の領域とが、略同じ気圧になる。なお、第1の接着剤43aによって囲まれた領域が、圧電素子32(駆動領域)を収容した封止空間19となる。環状に配置された第1の接着剤43aは、封止空間19を区画する周壁として機能する。
また、第2の接着剤43bの内側の領域であって、共通金属端子層48aの両側には、当該共通金属端子層48aと一部が重なる状態で第3の接着剤43cが形成されている。この第3の接着剤43cは、第2の接着剤43bの一側(図4における上側)の長辺に近接する位置から他側(図4における下側)の長辺に近接する位置に亘って、ノズル列方向に延在している。この第3の接着剤43cにより、一方の圧電素子群が配置される空間と、他方の圧電素子群が配置される空間とが区画される。なお、第3の接着剤43cと第2の接着剤43bとは、接続されていないため、一方の圧電素子群が配置される空間と、他方の圧電素子群が配置される空間とは、略同じ気圧になる。
樹脂コアバンプ40は、駆動回路46と各圧電素子32の共通電極(上電極層39)及び個別電極(下電極層37)とを接続する電極としての機能と、基板同士の間隔を確保するスペーサーとしての機能とを有している。この樹脂コアバンプ40は、非駆動領域上の共通金属端子層48a、及び個別金属端子層48bにそれぞれ接触して電気的に接続し得るように配置されている。本実施形態における樹脂コアバンプ40は、圧力室30の並設方向(ノズル列方向)に沿って延びる突条としての樹脂部41と、この樹脂部41の表面の一部又は全体に形成された導電膜42とから構成されている。樹脂部41は、例えば、ポリイミド樹脂等の弾性を有する樹脂からなり、封止板33の接合面において個別金属端子層48bが形成された領域に対向する領域(図4における左右両側)、および、共通金属端子層48aが形成された中央領域と対向する領域にそれぞれ形成されている。また、導電膜42は、配線層47の一部分であり、個別金属端子層48bおよび共通金属端子層48aに対向する位置にそれぞれ形成されている。すなわち、共通樹脂コアバンプ40aの導電膜42は、樹脂部41のノズル列方向における一側の端部から他側の端部に亘って1つ形成されている。一方、個別樹脂コアバンプ40bの導電膜42は、個別金属端子層48bに対応して、ノズル列方向に沿って複数形成されている。
そして、上記のように形成された記録ヘッド3は、インクカートリッジ7からのインクを液体導入路18、共通液室25及び個別連通路26を介して圧力室30に導入する。この状態で、駆動回路46からの駆動信号を、配線層47、樹脂コアバンプ40、及び金属端子層48を介して圧電素子32に供給することで、圧電素子32を駆動させて圧力室30の容積を変化させる。この容積の変化に伴う圧力変動を利用することで、ノズル連通路27を介して圧力室30と連通するノズル22からインク滴を噴射する。
次に、記録ヘッド3の製造工程、特に、圧電素子32および振動板31が積層された圧力室形成基板29と、封止板33との接合工程について説明する。図5は、圧電デバイス14の製造工程(主に接合工程)を説明する断面図である。なお、本実施形態における圧電デバイス14は、封止板33となる領域が複数形成されたシリコン単結晶基板と、振動板31及び圧電素子32が積層されて圧力室形成基板29となる領域が複数形成されたシリコン単結晶基板とを接合した後で、切断して個片化することで得られる。
まず、圧力室形成基板29となるシリコン単結晶基板29′では、上面(封止板33と対向する側の面)に振動板31を積層した後、半導体プロセス(即ち、成膜工程、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程等)により、下電極層37、圧電体層38、上電極層39及び金属端子層48等を順次パターニングし、圧電素子32及び金属端子層48等を形成する。一方、封止板33となるシリコン単結晶基板33′では、まず、エッチング等により所定の位置に貫通孔50を形成する。次に、半導体プロセスにより、下面(圧力室形成基板29と対向する側の表面)に駆動回路46等を形成する。駆動回路46が形成されたならば、シリコン単結晶基板33′の下面に樹脂をパターニングし、加熱によりその角を丸めて樹脂部41を形成する。これにより、シリコン単結晶基板33′とは反対側の面が円弧状に湾曲した樹脂部41が形成される。その後、半導体プロセスにより、シリコン単結晶基板33′の下面に配線層47をパターニングし、樹脂コアバンプ40等を形成する。
封止板33となるシリコン単結晶基板33′に樹脂コアバンプ40等が形成されたならば、接着剤形成工程において、図5(a)に示すように、樹脂コアバンプ40が形成された側の面に液体状の接着剤43(塗布型の樹脂)をパターニングする。例えば、接着剤をディスペンサーで塗布する方法、シリコン単結晶基板33′に印刷版を重ねてスキージで接着剤を塗布する方法、フィルム等に一旦塗布した接着剤をシリコン単結晶基板33′に転写する方法等、種々の方法を用いて所定の位置に接着剤43の形状をパターニングする。これにより、図4に示す、第1の接着剤43a、第2の接着剤43b、及び第3の接着剤43cが形成される。ここで、第1の接着剤43aは、封止空間19を区画する周壁として環状に配置される。
接着剤43が塗布されたならば、基板接合工程において、封止板33となるシリコン単結晶基板33′と圧力室形成基板29となるシリコン単結晶基板29′とを接合する。具体的には、両シリコン単結晶基板29′、33′の相対位置を合わせた状態で、何れか一方のシリコン単結晶基板を他方のシリコン単結晶基板側に向けて相対的に移動させる。そして、両シリコン単結晶基板29′、33′を、これらの間に接着剤43を介在させた状態で接合する。図5(b)に示すように、この状態で、押圧治具52を用いて、封止板33となるシリコン単結晶基板33′と圧力室形成基板29となるシリコン単結晶基板29′とが近接する方向(両シリコン単結晶基板29′、33′の間隔を狭くする方向)に、樹脂コアバンプ40の弾性復元力に抗して圧力を加える。これにより、樹脂コアバンプ40の下面の円弧状の部分が対応する金属端子層48に押し当てられて弾性変形し、導電膜42と金属端子層48とが導通する。このように樹脂コアバンプ40を対向する金属端子層48に押し当てることで、導電膜42と金属端子層48とが導通した導通領域の面積を確保することができる。その結果、樹脂コアバンプ40と金属端子層48との導通を確実に行うことができる。
また、押圧治具52による両シリコン単結晶基板29′、33′の押圧と共に、気圧調整治具53を用いて、貫通孔50から封止空間19内へ気体(本実施形態では、空気)を導入する。すなわち、封止空間19内への空気の導入は、封止板33となるシリコン単結晶基板33′と圧力室形成基板29となるシリコン単結晶基板29′とが近接する方向に押圧された状態で行われる。この貫通孔50から封止空間19内への空気の導入により、封止空間19内の気圧が封止空間19の外側の気圧よりも高められる。すなわち、第1の接着剤43aによって囲まれた領域内の気圧が高められる。
なお、本実施形態における気圧調整治具53は、押圧治具52に設けられている。例えば、押圧治具52は、封止板33となるシリコン単結晶基板33′の上面(封止空間19側とは反対側の面)に当接する上部押圧部52aと、圧力室形成基板29となるシリコン単結晶基板29′の下面(封止空間19側とは反対側の面)に当接する下部押圧部52bとを備えている。そして、上部押圧部52aの上方に、ポンプ等を備えた気圧調整治具53が設けられている。また、上部押圧部52aの貫通孔50に対応する位置には、通気路54が設けられており、この通気路54を介して気圧調整治具53から貫通孔50に空気を送ることができる。なお、気圧調整治具53から送られる気体は、空気に限られず、種々のガス等でもよい。すなわち、封止空間19内の圧電素子32等の構造物に悪影響を及ぼしにくい気体であって、封止空間19内の気圧を高めることができれば、どのような気体であっても良い。
ここで、図4に示すように、第2の接着剤43bは、完全な環状ではなく、一部が除去されているため、気圧調整治具53から送られる空気は、第2の接着剤43bよりも内側の領域にも流入する。すなわち、第2の接着剤43bよりも外側であって、第1の接着剤43aと第2の接着剤43bとによって区画された領域と、第2の接着剤43bに囲まれた内側の領域との両方の領域において、気圧が高められる。そして、この両者の気圧は、略同じとなる。また、本実施形態においては、第2の接着剤43bが、各個別金属端子層48bと重なるように形成されているため、第2の接着剤43bと各個別金属端子層48bとが重なった領域において、第2の接着剤43bと個別金属端子層48bとの間を介して空気の移動が可能になる。すなわち、各個別金属端子層48bは、表面(第2の接着剤43b側の面)が金(Au)からなるため、第2の接着剤43bと各個別金属端子層48bとが密着し難くなり、これらの間を介して空気が漏れだす。これにより、第1の接着剤43aと第2の接着剤43bとによって区画された領域の気圧と、第2の接着剤43bよりも内側の領域の気圧とを一層容易に揃えることができる。
そして、この封止空間19内の気圧を高めた状態は、接着剤43が硬化するまで維持される。これにより、接着剤43が封止空間19の内側にはみ出して硬化(固化)すことを抑制できる。具体的には、第1の接着剤43aが樹脂コアバンプ40側にはみ出して、樹脂コアバンプ40と金属端子層48との導通を阻害する不具合を抑制できる。また、封止空間19内の気圧が高められたので、第2の接着剤43b及び第3の接着剤43cの流れ出しを抑制できる。すなわち、第2の接着剤43b及び第3の接着剤43cは、高気圧下において圧縮されるため、外側に流れ出し難くなる。その結果、駆動領域へ接着剤43が流れ出すことを抑制でき、この接着剤43b、43cが駆動領域で硬化することによるインクの噴射不良を抑制できる。さらに、接着剤43が硬化するまで両シリコン単結晶基板29′、33′を上下方向に押圧したので、接着剤43による両シリコン単結晶基板29′、33′の接合を確実に行うことができる。そして、封止空間19内の気圧を高めつつ、両シリコン単結晶基板29′、33′を押圧したので、この押圧により基板が変形することを抑制できる。すなわち、両シリコン単結晶基板29′、33′を上下方向から押圧すると、スペーサーとして機能する樹脂コアバンプ40以外の部分が押圧された方向に撓む虞がある。しかしながら、封止空間19内の気圧を高めることで、このような撓みを抑制することができる。
接着剤43が硬化して、両シリコン単結晶基板29′、33′が接合されたならば、圧力室形成基板29側のシリコン単結晶基板29′を下面側(封止板33とは反対側)から研磨して当該圧力室形成基板29側のシリコン単結晶基板29′を薄くする。次に、図5(c)に示すように、圧力室形成工程において、エッチング等により、薄くなった圧力室形成基板29側のシリコン単結晶基板29′に圧力室30を形成する。すなわち、圧力室30は、圧力室形成基板29側のシリコン単結晶基板29′を下面側からエッチング等により凹ませて、上面側に振動板31を残した状態に形成される。その後、シリコン単結晶基板における所定のスクライブラインに沿ってスクライブし、個々の圧電デバイス14に分割する。これにより、上記の圧電デバイス14が複数作成される。なお、本実施形態では、2枚のシリコン単結晶基板29′、33′を接合した後に個片化する構成を例示したが、これには限られない。例えば、先に封止板及び流路基板をそれぞれ個片化してから、これらを接合するようにしてもよい。
このようにして作成された圧電デバイス14は、接着剤等を用いて流路ユニット15(連通基板24)に位置決めされて固定される。そして、圧電デバイス14をヘッドケース16の収容空間17に収容した状態で、ヘッドケース16と流路ユニット15とを接合することで、上記の記録ヘッド3が製造される。
このように、本実施形態における記録ヘッド3の製造方法では、基板接合工程の後で、圧力室形成基板29側のシリコン単結晶基板29′に圧力室30を形成したので、駆動領域における振動板31や圧電素子32が破損することを抑制できる。すなわち、基板接合工程において、シリコン単結晶基板29′に圧力室30が形成されていないため、駆動領域となる予定の領域におけるシリコン単結晶基板29′の剛性を保つことができる。その結果、封止空間19内の気圧を高めたとしても、振動板31や圧電素子32が封止空間19とは反対側に撓んで破損することを抑制できる。
ところで、上記した第1の実施形態では、平面視において、貫通孔50が封止空間19内における第1の接着剤43aと第2の接着剤43bとの間の領域に設けられたが、これには限られない。図6に示す第2の実施形態では、平面視において、第2の接着剤43bよりも内側の領域に貫通孔50が設けられている。具体的には、本実施形態における貫通孔50は、第2の接着剤43bにより区画された空間内のノズル列方向における一側(図6における上側)の端部であって、ノズル列方向に直交する方向における中央部に1つ開口されている。なお、本実施形態における第2の接着剤43bは、一部が除去されず、途切れの無い完全な環状に形成されている。本実施形態では、この第2の接着剤43bよりも内側の空間、すなわち、封止板33、振動板31及び第2の接着剤43bにより区画された空間が本発明における空間に相当する。また、その他の構成及び製造方法は、上記した第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
本実施形態においては、圧電デバイス14を作製する際の基板接合工程において、貫通孔50から空気を導入すると、第2の接着剤43bよりも内側の空間の気圧が、第2の接着剤43bよりも外側の空間よりも高められることになる。すなわち、第2の接着剤43bと各個別金属端子層48bとの間から空気が漏れだすものの、その量は少量であるため、第2の接着剤43bに囲まれた内側の領域における気圧を、この領域よりも外側の領域、すなわち第1の接着剤43aと第2の接着剤43bとによって区画された領域における気圧よりも高めることができる。これにより、第2の接着剤43bが、内側、すなわち駆動領域に流れ出すことを一層抑制できる。また、第2の接着剤43bと各個別金属端子層48bとの間から空気が漏れだすことで、第1の接着剤43aと第2の接着剤43bとによって区画された領域における気圧が第1の接着剤43aよりも外側の領域における気圧よりも高められるため、第1の接着剤43aが樹脂コアバンプ40側にはみ出して、樹脂コアバンプ40と金属端子層48との導通を接着剤43が阻害することを抑制できる。
ところで、上記した各実施形態では、接着剤43が環状の第1の接着剤43aと環状の第2の接着剤43bとの2重に形成されたが、これには限られない。また、上記した各実施形態では、封止空間19と連通する貫通孔50が1つ設けられたが、これには限られない。すなわち、駆動領域を囲う環状の接着剤が少なくとも1つ設けられ、この環状の接着剤に囲われた空間に連通する貫通孔が少なくとも1つ設けられていればよい。さらに、上記した各実施形態では、貫通孔50が封止板33側に設けられたが、これには限られない。例えば、貫通孔が圧力室形成基板側に設けられた構成を採用することもできる。この場合、圧力室形成基板及びこれに積層された振動板が本発明における第1の基板となり、封止板が本発明における第2の基板となる。なお、本実施形態のように、貫通孔が封止板側に設けられた構成を採用すれば、記録ヘッドの製造後において、この貫通孔を、封止空間を大気開放する大気開放孔として機能させることができる。このため、貫通孔は、封止板側に設けられることが望ましい。
また、上記した各実施形態では、樹脂コアバンプ40が封止板33側に形成されたが、これには限られない。例えば、樹脂コアバンプが圧力室形成基板側に形成された構成を採用することもできる。さらに、上記した各実施形態では、接着剤形成工程において、封止板33側に接着剤43が塗布されたがこれには限られない。例えば、接着剤形成工程において、圧力室形成基板側に接着剤が塗布されてもよい。そして、基板接合工程において、貫通孔からの気体の導入は、接着剤が両シリコン基板に密着する前、又は、接着剤が両シリコン基板に密着した後、或いは、接着剤が両シリコン基板に密着するのと同時、のいずれのタイミングで開始しても良い。要するに、封止空間の気圧を高めた状態で接着剤を硬化させることができれば、いずれのタイミングで気体を導入しても良い。
そして、以上では、接合構造体の一種として、記録ヘッド3に組み込まれた圧電デバイス14を例に挙げて説明したが、本発明は、第1の基板と第2の基板とが間隔を空けた状態で接着剤により接合されたものであれば、その他の電子機器に設けられ接合構造体にも適用することができる。また、圧電デバイスとしては、記録ヘッドに組み込まれたものの他に、例えば、圧電素子をセンサーとして機能させる圧電デバイスにも適用することができる。また、液体噴射ヘッドとしては、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材吐出ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物吐出ヘッド等にも本発明を適用することができる。
1…プリンター,3…記録ヘッド,14…圧電デバイス,15…流路ユニット,16…ヘッドケース,17…収容空間,18…液体導入路,19…封止空間,21…ノズルプレート,22…ノズル,24…連通基板,25…共通液室,26…個別連通路,27…ノズル連通路,29…圧力室形成基板,30…圧力室,31…振動板,32…圧電素子,33…封止板,37…下電極層,38…圧電体層,39…上電極層,40…樹脂コアバンプ,41…樹脂部,42…導電膜,43…接着剤,44…個別上電極層,46…駆動回路,47…配線層,48…金属端子層,50…貫通孔,52…押圧治具,53…気圧調整治具,54…通気路

Claims (4)

  1. 板厚方向に貫通した貫通孔が形成された第1の基板と、当該第1の基板に対して間隔を空けて配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合する接着剤と、を備え、前記貫通孔が前記第1の基板、前記第2の基板及び前記接着剤により区画された空間に開口した接合構造体の製造方法であって、
    前記第1の基板又は前記第2の基板の何れか一方の基板に、液体状の接着剤を配置する接着剤形成工程と、
    前記接着剤を介在させて前記第1の基板と前記第2の基板とを接合し、前記貫通孔から気体を導入することにより前記空間の気圧を高めた状態で前記接着剤を硬化させる基板接合工程と、
    を含むことを特徴とする接合構造体の製造方法。
  2. 前記基板接合工程において、前記空間への気体の導入は、前記第1の基板と前記第2の基板との間隔を狭くする方向に押圧された状態で行われることを特徴とする接合構造体の製造方法。
  3. 前記空間における前記第1の基板又は前記第2の基板の何れか一方の基板に形成された圧電素子を備え、
    請求項1又は請求項2に記載の接合構造体の製造方法により製造されることを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
  4. 前記圧電素子の変形に伴い容積を変化させる圧力室と、当該圧力室に連通するノズルと、を備え、
    請求項3に記載の圧電デバイスの製造方法により圧電デバイスを製造する工程と、
    前記第1の基板又は前記第2の基板の何れか一方の基板に前記圧力室を形成する圧力室形成工程と、を含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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