JP2019051606A - 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、及び、圧電デバイス - Google Patents

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【課題】駆動回路の実装不良を抑制して信頼性を向上した液体噴射ヘッド、液体噴射装置、及び、圧電デバイスを提供する。【解決手段】流路形成基板の一方面側に接合された保護基板30と、保護基板30の流路形成基板とは反対側に接着剤44を介して接着され、第1の圧力発生室12Aに連通する第1の流路41と第2の圧力発生室12Bに連通する第2の流路41とが形成されたケース部材40と、流路形成基板と保護基板30とケース部材40とで囲まれて形成された空間34内であって、流路形成基板の第1の圧電素子300Aと第2の圧電素子300Bとの間に実装されて、第1の圧電素子300Aと第2の圧電素子300Bとを駆動する駆動回路120と、を具備し、駆動回路120とケース部材40とは、ケース部材40と保護基板30との積層方向において互いに当接している。【選択図】図4

Description

本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置、及び、圧電素子を有する圧電デバイスに関する。
液体噴射ヘッドの代表的な例であるインクジェット式記録ヘッドには、ノズルに連通する個別流路と、個別流路に連通する液供給室とが設けられた流路形成基板と、流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられた圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に固定された保護基板と、保護基板の流路形成基板とは反対側に設けられて液供給室に連通する流路を有するケース部材と、を具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、流路形成基板に圧電素子を駆動する駆動回路が直接実装されている。
特開2017−24334号公報
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、駆動回路の実装部の浮き上がりを抑制して、駆動回路の実装部分の実装不良やマイグレーションを抑制したいという要望がある。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに限定されず、圧電デバイスにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、駆動回路の実装不良を抑制して信頼性を向上した液体噴射ヘッド、液体噴射装置、及び、圧電デバイスを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射する第1のノズルを含む第1のノズル列と、液体を噴射する第2のノズルを含む第2のノズル列と、が形成されたノズルプレートと、前記第1のノズルに連通する第1の圧力発生室と、前記第2のノズルに連通する第2の圧力発生室と、が形成された流路形成基板と、前記流路形成基板の一方面側に形成された振動板と、前記振動板上の前記第1の圧力発生室に対応する位置に設けられた第1の圧電素子と、前記振動板上の前記第2の圧力発生室に対応する位置に設けられた第2の圧電素子と、前記流路形成基板の前記一方面側に接合された保護基板と、前記保護基板の前記流路形成基板とは反対側に接着剤を介して接着され、前記第1の圧力発生室に連通する第1の流路と前記第2の圧力発生室に連通する第2の流路とが形成されたケース部材と、前記流路形成基板と前記保護基板と前記ケース部材とで囲まれて形成された空間内であって、前記流路形成基板の前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子との間に実装されて、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とを駆動する駆動回路と、を具備し、前記駆動回路と前記ケース部材とは、前記ケース部材と前記保護基板との積層方向において互いに当接していることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、ケース部材と保護基板とを接着すると共に、ケース部材と駆動回路とを当接させることで、ケース部材と保護基板とを接着する接着剤の硬化収縮によって、ケース部材を駆動回路側に移動させて、ケース部材によって駆動回路を流路形成基板側の実装方向に押圧することができる。したがって、駆動回路の実装部の浮き上がりによる接続不良や、浮き上がった端子部や配線に水分が付着することによるマイグレーションの発生を抑制することができる。また、駆動回路をケース部材に当接することで、駆動回路の熱をケース部材によって放熱することができる。したがって、駆動回路の熱による暴走などの不具合を抑制することができる。
ここで、前記駆動回路は、前記保護基板の厚さよりも薄く、前記ケース部材には、前記保護基板との接着面よりも前記駆動回路に向かって突出する凸部が設けられ、前記凸部の先端が前記駆動回路と当接していることが好ましい。これによれば、保護基板よりも厚さの薄い駆動回路を用いたとしても、駆動回路とケース部材とを確実に当接させることができる。
また、前記ケース部材は、前記空間に開口する凹部を有し、前記凹部の少なくとも前記ケース部材と前記保護基板とを接着する前記接着剤側の側壁の端部は、前記駆動回路よりも外側に位置することが好ましい。これによれば、ケース部材と保護基板とを接着する接着剤がはみ出しても、駆動回路に付着するよりも前に側壁を介して凹部内に流入させることができ、駆動回路に接着剤が付着するのを抑制して、駆動回路とケース部材との接着を抑制することができる。また、凹部を設けることで、ケース部材の剛性が低下するのを抑制することができると共に、剛性の低下に伴うケース部材の精度の低下が生じるのを抑制することができる。したがって、ケース部材の剛性及び精度を向上して、接着剤のはみ出し量を制御を容易に行って接着幅を広く取る必要がなく、ケース部材の小型化を図ることができる。
また、前記凹部は、前記駆動回路の外周に沿って開口して設けられており、前記ケース部材の前記凹部よりも内側の面が前記駆動回路と当接していることが好ましい。これによれば、ケース部材の保護基板に接着される接着面と駆動回路に当接される当接面との距離を離すことができると共に、余分な接着剤を凹部内に流入させて、余分な接着剤が駆動回路に付着するのを抑制して、駆動回路とケース部材とが接着されるのを抑制することができる。
また、前記駆動回路は、前記保護基板の厚さよりも厚く、前記凹部は、前記駆動回路よりも大きな開口を有し、前記凹部の底面が前記駆動回路と当接していることが好ましい。これによれば、保護基板よりも厚い駆動回路を用いたとしても、ケース部材と駆動回路とを積層方向で当接させることができる。また、ケース部材の保護基板に接着される接着面と駆動回路に当接される当接面との距離を離すことができ、余分な接着剤が駆動回路に付着するのを抑制して、駆動回路とケース部材とが接着されるのを抑制することができる。さらに、保護基板よりも厚い駆動回路を用いることで、駆動回路を実装する際のハンドリングを向上して、駆動回路の実装を容易に行うことができる。また、駆動回路が保護基板よりもケース部材側に突出するため、駆動回路を実装する際に駆動回路の天面よりも大きなツールで駆動回路を押圧することができ、荷重や加熱の均一性が向上し、駆動回路を安定して実装することができる。
また、前記凹部の少なくとも前記接着剤側の前記側壁の表面粗さは、前記ケース部材の前記凹部が開口する面であって前記保護基板との接着面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。これによれば、凹部の側壁に余分な接着剤を毛細管力によってさらに誘導し易く、余分な接着剤が予期せぬ部分にはみ出るのを抑制することができる。
また、前記駆動回路は、前記ケース部材側の面において、少なくとも前記積層方向で前記駆動回路の端子部に重なる部分が前記ケース部材と当接されていることが好ましい。これによれば、駆動回路の端子部と配線とが接続された実装部を確実に押圧して、実装部の信頼性を向上することができる。また、端子部に重なる部分のみを当接して押圧すれば、実装部に応力を集中させることができ、さらに実装部の信頼性を向上することができる。
また、前記駆動回路の前記ケース部材側の全面が前記ケース部材と当接していることが好ましい。これによれば、駆動回路を均等に押圧することができる。
また、前記ケース部材は、前記第1の圧力発生室に連通する第1の流路が形成されて前記保護基板に接着される部分と前記第2の圧力発生室に連通する第2の流路が形成されて前記保護基板に接着される部分とが一体であることが好ましい。これによれば、ケース部材を保護基板に接着する際に、接着面に荷重を均等に印加し易く、接着強度を向上することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、駆動回路の実装部の信頼性を向上した液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、液体噴射ヘッドに用いられる圧電デバイスであって、第1の凹部と第2の凹部とが形成された流路形成基板と、前記流路形成基板の一方面側に形成された振動板と、前記振動板上の前記第1の凹部に対応する位置に設けられた第1の圧電素子と、前記振動板上の前記第2の凹部に対応する位置に設けられた第2の圧電素子と、前記流路形成基板の前記一方面側に接合された保護基板と、前記保護基板の前記流路形成基板とは反対側に接着剤を介して接着され、前記第1の凹部に連通する第1の流路と前記第2の凹部に連通する第2の流路とが形成されたケース部材と、前記流路形成基板と前記保護基板と前記ケース部材とで囲まれて形成された空間内であって、前記流路形成基板の前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子との間に実装されて、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とを駆動する駆動回路と、を具備し、前記駆動回路と前記ケース部材とは、前記ケース部材と前記保護基板との積層方向において互いに当接していることを特徴とする圧電デバイスにある。
かかる態様では、ケース部材と保護基板とを接着すると共に、ケース部材と駆動回路とを当接させることで、ケース部材と保護基板とを接着する接着剤の硬化収縮によって、ケース部材を駆動回路側に移動させて、ケース部材によって駆動回路を流路形成基板側の実装方向に押圧することができる。したがって、駆動回路の実装部の浮き上がりによる接続不良や、浮き上がった端子部や配線に水分が付着することによるマイグレーションの発生を抑制することができる。また、駆動回路をケース部材に当接することで、駆動回路の熱をケース部材によって放熱することができる。したがって、駆動回路の熱による暴走などの不具合を抑制することができる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部平面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態3に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態4に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態5に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態6に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態6に係る記録ヘッドの変形例の要部断面図である。 本発明の実施形態7に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態7に係る記録ヘッドの要部断面図である。 一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図において、X、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向を第1の方向X、第2の方向Y、及び第3の方向Zとして説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの流路形成基板の平面図であり、図3は、図2のA−A′線に準じたインクジェット式記録ヘッドの断面図であり、図4は、図3の要部を拡大した図である。
図示するように、インクジェット式記録ヘッド1(以下、単に記録ヘッド1とも言う)を構成する流路形成基板10は、ステンレス鋼やニッケル(Ni)などの金属、酸化ジルコニウム(ZrO)あるいは酸化アルミニウム(Al)を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、酸化シリコン(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミネート(LaAlO)のような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。
流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された凹部である圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル21が並設される第1の方向Xに沿って並設されている。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向に並設された列が第2の方向Yに複数列、本実施形態では、2列設けられている。本実施形態では、一方の列を構成する圧力発生室12を第1の圧力発生室12Aと称し、他方の列を構成する圧力発生室12を第2の圧力発生室12Bと称する。また、流路形成基板10には、第2の方向Yにおける圧力発生室12の一端側にインク供給路14と第1液供給室13とが隔壁によって区画されている。すなわち、本実施形態では、流路形成基板10には、各ノズル21に連通する個別流路として、圧力発生室12とインク供給路14と第1液供給室13とが設けられている。つまり、本実施形態の第1液供給室13は、圧力発生室12の各々に独立して設けられている。なお、本実施形態では、第1液供給室13を圧力発生室12の各々に独立して設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第1液供給室13を複数の圧力発生室12に共通して連通するように設けてもよい。すなわち、第1液供給室13が複数の個別流路に共通して連通する共通液室の一部を構成してもよい。
インク供給路14は、第1の方向Xにおいて圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、第1液供給室13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、インク供給路14は、幅を絞る構成に限定されず、第3の方向Zの高さを絞るようにしてもよい。なお、特に図示していないが、圧力発生室12と第1液供給室13とインク供給路14との内壁面には、耐液体性(耐インク性)を有する保護膜が設けられている。ここで言う耐液体性(耐インク性)とは、アルカリ性のインクに対する耐エッチング性のことである。このような保護膜としては、例えば、酸化タンタル(TaO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)から選択される少なくとも1種の材料を単層又は積層したものを用いることができる。
流路形成基板10の圧力発生室12の開口する面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、ステンレス鋼やニッケル(Ni)などの金属、シリコン単結晶基板、酸化ジルコニウム(ZrO)あるいは酸化アルミニウム(Al)を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、酸化シリコン(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミネート(LaAlO)のような酸化物などを用いることができる。ノズルプレート20には、第1の圧力発生室12Aに連通する第1のノズル21Aが第1の方向Xに並設された第1のノズル列と、第2の圧力発生室12Bに連通する第2のノズル21Bが第1の方向Xに並設された第2のノズル列と、の2列のノズル列が第2の方向Yに並設されている。
一方、このような流路形成基板10のノズルプレート20とは反対側の面には、振動板50が形成されている。本実施形態の振動板50は、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコン(SiO)を含む弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウム(ZrO)を含む絶縁体膜52と、を具備する。本実施形態では、二酸化シリコン(SiO)を含む弾性膜51と酸化ジルコニウム(ZrO)を含む絶縁体膜52とを用いた。なお、圧力発生室12、第1液供給室13及びインク供給路14は、流路形成基板10をノズルプレート20が接合される面側から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12のノズルプレート20とは反対側の面は弾性膜51によって画成されている。
なお、振動板50は、弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方のみを設けるようにしてもよく、弾性膜51及び絶縁体膜52に加えてさらに別の膜を設けるようにしてもよい。また、振動板50は、酸化シリコン及び酸化ジルコニウムを含むものに限定されず、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化チタン(TiO)などを用いてもよい。すなわち、振動板50は、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、酸化チタンから選択される少なくとも1種の材料を単層又は積層したものを用いることができる。
流路形成基板10の振動板50上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とが成膜及びリソグラフィー法によって積層されて圧電素子300を構成している。本実施形態では、圧電素子300が圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる駆動素子となっている。ここで、圧電素子300は、圧電アクチュエーターとも言い、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を複数の圧電素子300に共通する共通電極とし、他方の電極を圧電素子300毎に独立する個別電極として構成する。本実施形態では、第1電極60を共通電極とし、第2電極80を個別電極としているが、これを逆にしてもよい。
第1電極60は、圧電体層70を成膜する際に酸化せず、導電性を維持できる材料であり、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等の貴金属、またはランタンニッケル酸化物(LNO)、酸化イリジウム(IrO)などに代表される導電性酸化物、さらに、これらの積層膜が好適に用いられる。
また、第1電極60として、前述の導電材料と、振動板50との間に、密着力を確保するための密着層を用いてもよい。本実施形態では、特に図示していないが密着層としてチタンを用いている。なお、密着層としては、ジルコニウム、チタン、酸化チタンなどを用いることができる。すなわち、本実施形態では、チタンからなる密着層と、上述した導電材料から選択される少なくとも一種の導電層とで第1電極60が形成されている。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物からなることができ、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。圧電体層70は、例えば、ゾル−ゲル法、MOD(Metal-Organic Decomposition)法などの液相法や、スパッタリング法、レーザーアブレーション法等などのPVD(Physical Vapor Deposition)法(気相法)などで形成することができる。
第2電極80は、圧電体層70との界面を良好に形成できること、導電性及び圧電特性を発揮できる材料が望ましく、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)等の貴金属材料、及びランタンニッケル酸化物(LNO)に代表される導電性酸化物が好適に用いられる。また、第2電極80は、複数材料の積層であってもよい。本実施形態では、イリジウムとチタンとの積層電極(イリジウムが圧電体層70と接する)を使用している。そして、第2電極80は、スパッタリング法、レーザーアブレーション法などのPVD(Physical Vapor Deposition)法(気相法)、ゾル−ゲル法、MOD(Metal-Organic Decomposition)法、メッキ法などの液相法により形成することができる。また、第2電極80の形成後に、加熱処理を行うことにより、圧電体層70の特性改善を行うことができる。
このような第2電極80は、圧電体層70上のみ、すなわち、圧電体層70の流路形成基板10とは反対側の表面上のみに形成されている。
本実施形態では、一方の列を構成する第1の圧力発生室12Aに対応する圧電素子300を第1の圧電素子300Aと称し、他方の列を構成する第2の圧力発生室12Bに対応する圧電素子300を第2の圧電素子300Bと称する。すなわち、流路形成基板10には、第1の方向Xに並設された第1の圧電素子300Aの列と、第2の圧電素子300Bの列とが、第2の方向Yに2列設けられている。
また、圧電素子300の第2電極80からは、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が設けられている。リード電極90は、一端部が第2電極80に接続されると共に、他端部が流路形成基板10のインク供給路14とは反対側まで延設されている。すなわち、リード電極90は、第2の方向Yにおいて第1の圧電素子300Aと第2の圧電素子300Bとの間に延設されている。そして、延設されたリード電極90の先端部には、詳しくは後述する圧電素子300を駆動する半導体集積回路(IC)からなる駆動回路120がフリップチップ実装されている。すなわち、駆動回路120は、第1の圧電素子300Aと第2の圧電素子300Bとの間でリード電極90に端子部120aが実装されている。また、駆動回路120と流路形成基板10(振動板50)及び保護基板30との間には、アンダーフィル剤である充填剤121が充填されている。
また、図2に示すように、流路形成基板10の振動板50上には、入力配線122が設けられている。入力配線122は、一端部が駆動回路120の端子部120aに接続されると共に、他端部が流路形成基板10の第2の方向Yの一端部に延設され、延設された入力配線122の先端部には、記録ヘッド1の駆動を制御する信号を供給するための外部配線130が接続されている。外部配線130は、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)やFPC(Flexible Printed Circuits)等の可撓性のケーブルである。外部配線130からの信号は、入力配線122を介して駆動回路120に供給される。
さらに、流路形成基板10の圧電素子300側の面には、保護基板30が接合されている。本実施形態では、流路形成基板10と保護基板30とを接着剤36を用いて接合した。保護基板30は、ステンレス鋼やニッケル(Ni)などの金属、シリコン単結晶基板、酸化ジルコニウム(ZrO)あるいは酸化アルミニウム(Al)を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、酸化シリコン(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミネート(LaAlO)のような酸化物などを用いることができる。このような保護基板30としては、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。ちなみに、保護基板30として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と保護基板30との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、保護基板30として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りを抑制することができる。
また、保護基板30には、流路形成基板10の第1液供給室13にインクを供給する流路である第2液供給室31が設けられている。第2液供給室31は、複数の第1液供給室13に共通して連通する大きさで設けられている。すなわち、第2液供給室31の流路形成基板10側の開口は、第1の方向Xに並設された複数の第1液供給室13に跨がって連続して設けられており、複数の個別流路に連通する共通流路の一部を構成している。なお、第2液供給室31内には、特に図示していないが、流路形成基板10の流路内に設けられた保護膜と同様の保護膜が設けられている。
このように本実施形態では、圧力発生室12に代表される凹部が設けられた流路形成基板10と振動板50と圧電素子300と保護基板30とケース部材40とを合わせて圧電デバイスと称する。
一方、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部32は、密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。
また、保護基板30の圧電素子保持部32の間には、駆動回路保持部33が設けられている。駆動回路保持部33は、保護基板30を厚さ方向である第3の方向Zに貫通して設けられており、駆動回路保持部33の内部に圧電素子300を駆動するための駆動回路120が配置される。
ここで、保護基板30の第3の方向Zに貫通する駆動回路保持部33の一方の開口は、流路形成基板10で塞がれ、他方の開口は、ケース部材40によって塞がれている。このような保護基板30の駆動回路保持部33と駆動回路保持部33の第3の方向Zの両側の開口を塞ぐ流路形成基板10とケース部材40とによって空間34が形成され、この空間34内に駆動回路120が保持されている。
本実施形態の駆動回路120は、第3の方向Zにおける厚さが保護基板30の厚さよりも厚い。このため、駆動回路120は、第3の方向Zにおいて、保護基板30よりもケース部材40側に突出して設けられている。
このように、駆動回路120を保護基板30よりも厚くすることで、駆動回路120を実装する際のハンドリングを向上して、駆動回路120の実装を容易に行うことができる。また、駆動回路120が保護基板30よりもケース部材40側に突出するため、駆動回路120を実装する際に駆動回路120の天面よりも大きなツールで駆動回路120を押圧することができ、荷重や加熱の均一性が向上し、駆動回路120を安定して実装することができる。
また、保護基板30上には、本実施形態のケース部材40が接着剤44を介して接着されている。
ケース部材40には、保護基板30の第2液供給室31に連通する第3液供給室41が形成されている。本実施形態では、第3液供給室41は、ケース部材40を積層方向である第3の方向Zに貫通して設けられている。第3液供給室41は、保護基板30側の開口が第2液供給室31よりも大きな開口を有し、第3液供給室41の保護基板30側の開口の一部は、保護基板30のケース部材40側の面で封止されている。なお、第3液供給室41は、複数の第1の圧力発生室12Aに連通する第1の流路である第3液供給室41と、複数の第2の圧力発生室12Bに連通する第2の流路である第3液供給室41と、の2つが設けられている。このような2つの第3液供給室41は、第2の方向Yに2つ並設されている。
ケース部材40が保護基板30の流路形成基板10とは反対側の面に接着剤44によって接着されることによって、保護基板30と流路形成基板10とケース部材40とによって空間34が形成され、空間34内に駆動回路120が配置されている。
ケース部材40と空間34内に配置された駆動回路120とは、ケース部材40と保護基板30との積層方向である第3の方向Zにおいて互いに当接して設けられている。すなわち、駆動回路120のケース部材40側の面は、ケース部材40に当接して設けられている。ここで、ケース部材40と駆動回路120とが当接するとは、ケース部材40と駆動回路120とが接着されることなく接触していることを言う。すなわち、ケース部材40と駆動回路120とが接着されているものは、当接しているとは言わない。
本実施形態では、駆動回路120のケース部材40側の全面がケース部材40と当接している。
本実施形態では、ケース部材40の保護基板30と接着剤44によって接着された接着面43と、ケース部材40の駆動回路120に当接する当接面142とは面一、つまり、接着面43と当接面142とは、第3の方向Zで同じ位置となっている。
このように駆動回路120とケース部材40とを第3の方向Zで互いに当接させることで、ケース部材40と保護基板30とを接着する接着剤44が硬化収縮した際に、駆動回路120はケース部材40によって流路形成基板10側に向かって押圧される。したがって、駆動回路120の実装部の浮き上がりを抑制して、実装部の接続不良を抑制して、実装部の信頼性を向上することができると共に、浮き上がった端子部120aやリード電極90等に湿気等の水分が付着することによるマイグレーションの発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、ケース部材40は、第1の流路である一方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分と、第2の流路である他方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分とは、一体化された1つの部材で形成されている。
このように、ケース部材40を1つの部材で形成することで、ケース部材40を保護基板30に接着する際に、接着面43に荷重を均等に印加し易く、接着強度を向上することができる。つまり、ケース部材40を第2の方向Yで、第1の流路である一方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分と、第2の流路である他方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分とを別体で形成した場合、別体のそれぞれを保護基板30同じ荷重で接着するのが困難で接着剤44の厚さにばらつきが生じると共に段差が生じてしまう虞がある。ちなみに、ケース部材40を2つ以上の複数の部材で形成したとしても、ケース部材40を予め一体化した後に保護基板30に接着すれば、接着時の荷重を均等にすることができる。
また、ケース部材40の保護基板30とは反対側の第3液供給室41が開口する面には、封止膜46及び固定板47とからなるコンプライアンス基板45が接合されている。封止膜46は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜46によって第3液供給室41の一方面が封止されている。また、固定板47は、金属等の硬質の材料で形成される。この固定板47の第3液供給室41に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、第3液供給室41の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止されたコンプライアンス部49となっている。
また、コンプライアンス基板45には、厚さ方向に貫通するインク導入口42が設けられており、図示しない外部のインク供給手段からインク導入口42を介して第3液供給室41にインクが供給される。つまり、本実施形態の記録ヘッド1では、図示しない外部のインク供給手段からインク導入口42を介してインクを取り込み、第3液供給室41からノズル21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板50をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル21からインクが吐出する。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドの代表例であるインクジェット式記録ヘッド1では、液体であるインクを噴射する第1のノズル21Aを含む第1のノズル列と、液体であるインクを噴射する第2のノズル21Bを含む第2のノズル列と、が形成されたノズルプレート20と、第1のノズル21Aに連通する第1の圧力発生室12Aと、第2のノズル21Bに連通する第2の圧力発生室12Bと、が形成された流路形成基板10と、流路形成基板10の一方面側に形成された振動板50と、振動板50上の第1の圧力発生室12Aに対応する位置に設けられた第1の圧電素子300Aと、振動板50上の第2の圧力発生室12Bに対応する位置に設けられたである第2の圧電素子300Bと、流路形成基板10の一方面側に接合された保護基板30と、保護基板30の流路形成基板10とは反対側に接着剤を介して接着され、第1の圧力発生室12Aに連通する第1の流路である第3液供給室41と第2の圧力発生室12Bに連通する第2の流路である第3液供給室41とが形成されたケース部材40と、流路形成基板10と保護基板30とケース部材40とで囲まれて形成された空間34内であって、流路形成基板10の第1の圧電素子300Aと第2の圧電素子300Bとの間に実装されて、第1の圧電素子300Aと第2の圧電素子300Bとを駆動する駆動回路120と、を具備し、駆動回路120とケース部材40とは、ケース部材40と保護基板30との積層方向である第3の方向Zにおいて互いに当接している。
このように、ケース部材40と駆動回路120とを第3の方向Zで互いに当接させることで、保護基板30とケース部材40とを接着する接着剤44が硬化収縮することによってケース部材40で駆動回路120を流路形成基板10との実装方向に押圧することができる。したがって、駆動回路120の実装部が流路形成基板10から浮き上がるのを抑制して、実装部の接続不良や浮き上がった端子部120aやリード電極90等の配線に水分等が付着することによるマイグレーション等の発生を抑制して、実装部の信頼性を向上することができる。
また、駆動回路120をケース部材40に当接させることで、駆動回路120の熱をケース部材40によって放熱することができる。したがって、駆動回路120の熱による暴走などの不具合を抑制することができる。ちなみに、ケース部材40の材料として、熱電動率が比較的高い材料、例えば、金属等を用いることで、駆動回路120のケース部材40による放熱をさらに向上することができる。
また、本実施形態では、駆動回路120のケース部材40側の全面がケース部材40と当接している。このため、ケース部材40によって駆動回路120の天面の全面を均等に押圧することができ、駆動回路120の浮き上がりを抑制することができる。
また、本実施形態では、ケース部材40は、第1の流路である一方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着される部分と第2の流路である他方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着される部分とが一体となっている。これによれば、ケース部材40を一体化された部材で形成することで、ケース部材40と保護基板30とを接着する際に、接着面43に荷重を均等に印加し易く、接着強度を向上することができる。
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態の記録ヘッド1を構成する駆動回路120は、第3の方向Zにおける厚さが保護基板30の厚さよりも厚い。このため、駆動回路120は、第3の方向Zにおいて、保護基板30よりもケース部材40側に突出して設けられている。
また、ケース部材40には、空間34に開口する凹部140が設けられている。
凹部140は、ケース部材40を保護基板30とケース部材40との積層方向である第3の方向Zに貫通することなく形成されている。
なお、凹部140とは、ケース部材40の保護基板30との接着面43から連続して接着面43と交差する方向、本実施形態では、第1の方向X及び第2の方向Yを含む面方向と交差する第3の方向Zであって、駆動回路120から離れる方向に延設された側壁141を有するものをいう。本実施形態では、凹部140の側壁141は、第3の方向Zに沿って設けられている。なお、側壁141は、特にこれに限定されず、例えば、側壁141は、第3の方向Zに対して傾斜して設けられていてもよい。ただし、側壁141は、凹部140の駆動回路120側の開口が広がるように傾斜しているのが好ましい。このように側壁141を傾斜させることで、接着面43からはみ出た余分な接着剤が側壁141の表面に沿って凹部140内に流入し易い。もちろん、側壁141の途中に段差が設けられていてもよい。すなわち、凹部140の側壁141に段差を形成するように凹部140の開口が第3の方向Zで段階的に異なる大きさで設けられていてもよい。
本実施形態の凹部140は、駆動回路120の外周に沿って開口して設けられている。すなわち、凹部140は、駆動回路120の端部と駆動回路120の外側とに跨がって開口すると共に、駆動回路120の端部に亘って連続して設けられている。
このような凹部140の少なくともケース部材40と保護基板30とを接着する接着剤44側の側壁141の端部は、駆動回路120よりも外側に位置する。
そして、ケース部材40の凹部140よりも内側の面が駆動回路120と当接する当接面142となっている。つまり、ケース部材40の保護基板30と接着剤44によって接着される接着面43と、ケース部材40の駆動回路120に当接する当接面142とは、本実施形態では、凹部140を介して分断されているものの、接着面43と当接面142とは、第3の方向Zにおいて同じ位置となっている。
このように凹部140を設けることによって、ケース部材40と保護基板30とを接着する際に、接着面43からはみ出した余分な接着剤が凹部140内に流入するため、接着面43からはみ出した余分な接着剤が駆動回路120に付着することがなく、駆動回路120とケース部材40とが接着されない。
このため、接着剤の硬化収縮によって、駆動回路120がケース部材40側に浮き上がる方向に力が働くのを抑制して、駆動回路120の実装部分の実装不良や浮き上がった端子部120aに湿気等の水分が付着することによるマイグレーションの発生を抑制することができる。
また、接着面43から凹部140内に余分な接着剤をはみ出させることができるため、接着面43の接着剤44の厚さを容易に制御することができ、ケース部材40と保護基板30との接着強度を向上することができる。
また、接着面43からはみ出した余分な接着剤を凹部140内に流入させることができるため、接着面43の接着剤が駆動回路120とは反対側の流路内に流出するのも抑制することができる。したがって、流路内に流れ出た余分な接着剤が剥離することによる異物の発生を抑制して、ノズル21の目詰まりなどの吐出不良を抑制することができる。
また、接着面43からはみ出した余分な接着剤は、凹部140の接着面43側の側壁141に沿って凹部140内に流入する。したがって、凹部140の接着面43側の側壁141の表面粗さは、ケース部材40の凹部140が開口する面であって保護基板30との接着面43の表面粗さよりも大きいことが好ましい。このように凹部140の接着面43側の側壁141の表面粗さを、保護基板30との接着面43の表面粗さよりも大きくすることで、保護基板30との接着面43からはみ出た余分な接着剤を凹部140の接着面43側の側壁141に毛細管現象によって伝わらせることができる。したがって、接着面43からはみ出した余分な接着剤が駆動回路120側や流路側にさらに流出し難くすることができる。
また、本実施形態では、凹部140をケース部材40を貫通することなく設けることで、凹部140によってケース部材40の剛性が著しく低下するのを抑制することができると共に、剛性の低下に伴うケース部材40の精度の低下、特に、接着面の面精度が低下するのを抑制することができる。したがって、凹部140を設けることで、ケース部材40の接着面の面精度を向上して、ケース部材40の保護基板30との接着面からの接着剤のはみ出し量を制御することができる。このため、接着剤のはみ出し量を考慮してケース部材40と保護基板30との接着する接着幅を広く取る必要がなく、小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、ケース部材40は、第1の流路である一方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分と、第2の流路である他方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分とは、一体化された1つの部材で形成されている。
このように、ケース部材40を1つの部材で形成することで、ケース部材40を保護基板30に接着する際に、接着面43に荷重を均等に印加し易く、接着強度を向上することができる。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1では、ケース部材40は、空間34に開口する凹部140を有し、凹部140の少なくともケース部材40と保護基板30とを接着する接着剤44側の側壁141の端部は、駆動回路120よりも外側に位置する。
このように、ケース部材40と駆動回路120とを第3の方向Zで互いに当接させることで、保護基板30とケース部材40とを接着する接着剤44が硬化収縮することによってケース部材40で駆動回路120を流路形成基板10との実装方向に押圧することができる。したがって、駆動回路120の実装部が流路形成基板10から浮き上がるのを抑制して、実装部の接続不良や浮き上がった端子部120aやリード電極90等の配線に水分等が付着することによるマイグレーション等の発生を抑制して、実装部の信頼性を向上することができる。
また、駆動回路120をケース部材40に当接させることで、駆動回路120の熱をケース部材40によって放熱することができる。したがって、駆動回路120の熱による暴走などの不具合を抑制することができる。ちなみに、ケース部材40の材料として、熱電動率が比較的高い材料、例えば、金属等を用いることで、駆動回路120のケース部材40による放熱をさらに向上することができる。
また、ケース部材40に凹部140を設け、凹部140の接着剤44側、すなわち、接着面43側の側壁141の端部を駆動回路120よりも外側に配置することで、接着面43からはみ出した余分な接着剤を駆動回路120に付着するよりも前に凹部140内に流入させることができる。このため、余分な接着剤が駆動回路120に付着するのを抑制して、駆動回路120とケース部材40とが接着されるのを抑制することができると共に、余分な接着剤が流路内等に流出するのを抑制することができる。したがって、駆動回路120とケース部材40とを接着する接着剤の硬化収縮によって駆動回路120の実装部が浮き上がり、実装部の接続不良や、端子部120aや配線に水分が付着することによるマイグレーションの発生を抑制することができる。
また、余分な接着剤を凹部140内に流入することができるため、ケース部材40と保護基板30とを接着する接着剤44の厚さを制御することができ、ケース部材40と保護基板30との接着強度を向上することができる。
また、本実施形態では、凹部140は、駆動回路120の外周に沿って開口して設けられており、ケース部材40の凹部140よりも内側の面が駆動回路120と当接している。このように、凹部140よりも内側の面が駆動回路120に当接することによって、接着面43と当接面142との距離をさらに離すことができると共に、余分な接着剤を凹部140内に流入させて、余分な接着剤が駆動回路120に付着するのを抑制して、駆動回路120とケース部材40とが接着されるのを抑制することができる。
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態の記録ヘッド1を構成する駆動回路120は、保護基板30よりも積層方向である第3の方向Zの厚さが薄い。
また、ケース部材40には、第3の方向Zで駆動回路120に対向する位置に、駆動回路120に向かって突出する凸部143が設けられている。
凸部143は、保護基板30の駆動回路保持部33内に挿入される大きさで形成されている。すなわち、凸部143の先端面は、駆動回路保持部33の開口よりも小さい。
そして、凸部143の駆動回路保持部33内に挿入された先端が、駆動回路120のケース部材40側の面に当接する当接面142となっている。
つまり、ケース部材40の保護基板30と接着剤44によって接着される接着面43と、ケース部材40の駆動回路120に当接する当接面142とは、本実施形態では、第3の方向Zにおいて異なる位置となっている。
また、凸部143は、駆動回路120のケース部材40側の面よりも若干大きな面積を有する。したがって、駆動回路120のケース部材40側の全面がケース部材40と当接している。このため、ケース部材40によって駆動回路120の天面の全面を均等に押圧することができ、駆動回路120の浮き上がりを抑制することができる。
また、本実施形態では、ケース部材40は、第1の流路である一方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分と、第2の流路である他方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分とは、一体化された1つの部材で形成されている。
このように、ケース部材40を1つの部材で形成することで、ケース部材40を保護基板30に接着する際に、接着面43に荷重を均等に印加し易く、接着強度を向上することができる。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1では、駆動回路120は、保護基板30の厚さよりも薄く、ケース部材40には、保護基板30との接着面43よりも駆動回路120に向かって突出する凸部143が設けられ、凸部143の先端が駆動回路120と当接している。
このように、保護基板30よりも薄い駆動回路120を用いたとしても、ケース部材40に凸部143を設けることで、ケース部材40と駆動回路120とを第3の方向Zで互いに当接させることができる。したがって、ケース部材40と駆動回路120とを第3の方向Zで互いに当接させることで、保護基板30とケース部材40とを接着する接着剤44が硬化収縮することによってケース部材40で駆動回路120を流路形成基板10との実装方向に押圧することができる。したがって、駆動回路120の実装部が流路形成基板10から浮き上がるのを抑制して、実装部の接続不良や浮き上がった端子部120aやリード電極90等の配線に水分等が付着することによるマイグレーション等の発生を抑制して、実装部の信頼性を向上することができる。
また、駆動回路120をケース部材40に当接させることで、駆動回路120の熱をケース部材40によって放熱することができる。したがって、駆動回路120の熱による暴走などの不具合を抑制することができる。ちなみに、ケース部材40の材料として、熱電動率が比較的高い材料、例えば、金属等を用いることで、駆動回路120のケース部材40による放熱をさらに向上することができる。
また、ケース部材40に凸部143を設け、凸部143の先端を駆動回路120に当接させることで、ケース部材40の保護基板30と接着される接着面43と、駆動回路120に当接する当接面142との距離を離すことができ、接着面43からはみ出した余分な接着剤が駆動回路120に駆動回路120に付着することがなく、駆動回路120とケース部材40とが接着されるのを抑制することができる。
(実施形態4)
図7は、本発明の実施形態4に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態の記録ヘッド1を構成する駆動回路120は、保護基板30よりも積層方向である第3の方向Zの厚さが薄い。
また、ケース部材40には、凹部140と凸部143とが設けられている。
凹部140は、上述した実施形態2と同様に、駆動回路120の外周に沿って開口して設けられている。
また、凸部143は、凹部140の内側に、接着面43よりも駆動回路120側に突出して設けられている。そして、凸部143の突出した先端が、駆動回路120に当接する当接面142となっている。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドでは、駆動回路120は、保護基板30の厚さよりも薄く、ケース部材40には、保護基板30との接着面43よりも駆動回路120に向かって突出する凸部143が設けられ、凸部143の先端が駆動回路120と当接している。
このように、ケース部材40に凸部143を設け、凸部143の先端を駆動回路120に当接させることで、保護基板30よりも薄い駆動回路120を用いたとしても、ケース部材40と駆動回路120とを確実に当接させることができる。
そして、ケース部材40と駆動回路120とを第3の方向Zで互いに当接させることで、保護基板30とケース部材40とを接着する接着剤44が硬化収縮することによってケース部材40で駆動回路120を流路形成基板10との実装方向に押圧することができる。したがって、駆動回路120の実装部が流路形成基板10から浮き上がるのを抑制して、実装部の接続不良や浮き上がった端子部120aやリード電極90等の配線に水分等が付着することによるマイグレーション等の発生を抑制して、実装部の信頼性を向上することができる。
また、本実施形態では、ケース部材40は、空間34に開口する凹部140を有し、凹部140の少なくともケース部材40と保護基板30とを接着する接着剤44側の側壁141の端部は、駆動回路120よりも外側に位置する。
このようにケース部材40に凹部140を設け、凹部140の接着剤44側、すなわち、接着面43側の側壁141の端部を駆動回路120よりも外側に配置することで、接着面43からはみ出した余分な接着剤を駆動回路120に付着するよりも前に凹部140内に流入させることができる。このため、余分な接着剤が駆動回路120に付着するのを抑制して、駆動回路120とケース部材40とが接着されるのを抑制することができると共に、余分な接着剤が流路内等に流出するのを抑制することができる。したがって、駆動回路120とケース部材40とを接着する接着剤の硬化収縮によって駆動回路120の実装部が浮き上がり、実装部の接続不良や、端子部120aや配線に水分が付着することによるマイグレーションの発生を抑制することができる。
また、余分な接着剤を凹部140内に流入することができるため、ケース部材40と保護基板30とを接着する接着剤44の厚さを制御することができ、ケース部材40と保護基板30との接着強度を向上することができる。
また、本実施形態では、凹部140は、駆動回路120の外周に沿って開口して設けられており、ケース部材40の凹部140よりも内側の面が駆動回路120と当接している。このように、凹部140よりも内側の面が駆動回路120に当接することによって、余分な接着剤が駆動回路120に付着するのを抑制して、駆動回路120とケース部材40とが接着されるのを抑制することができる。
(実施形態5)
図8は、本発明の実施形態5に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態の記録ヘッド1を構成する駆動回路120は、保護基板30よりも積層方向である第3の方向Zの厚さが厚い。このため、駆動回路120は、第3の方向Zにおいて、保護基板30よりもケース部材40側に突出して設けられている。
また、ケース部材40には、空間34に開口する凹部140が設けられている。
凹部140は、ケース部材40を保護基板30とケース部材40との積層方向である第3の方向Zに貫通することなく形成されている。
なお、凹部140とは、ケース部材40の保護基板30との接着面43から連続して接着面43と交差する方向、本実施形態では、第1の方向X及び第2の方向Yを含む面方向と交差する第3の方向Zであって、駆動回路120から離れる方向に延設された側壁141を有するものをいう。
本実施形態の凹部140は、駆動回路120のケース部材40側の面よりも大きな開口を有する。すなわち、凹部140の少なくともケース部材40と保護基板30とを接着する接着剤44側の側壁141の端部は、駆動回路120よりも外側に位置する。
そして、駆動回路120は、凹部140内に挿入され、凹部140の底面と駆動回路120とが第3の方向Zで互いに当接している。すなわち、凹部140の底面が、駆動回路120に当接する当接面142となっている。つまり、ケース部材40の保護基板30と接着剤44によって接着される接着面43と、ケース部材40の駆動回路120に当接する当接面142とは、第3の方向Zにおいて異なる位置となっている。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1では、駆動回路120は、保護基板30の厚さよりも厚く、凹部140は、駆動回路120よりも大きな開口を有し、凹部140の底面が駆動回路120と当接している。
このように、保護基板30よりも厚い駆動回路120を用いたとしても、ケース部材40に凹部140を設けることによって、ケース部材40と駆動回路120とを第3の方向Zで当接させることができる。したがって、保護基板30とケース部材40とを接着する接着剤44が硬化収縮することによってケース部材40で駆動回路120を流路形成基板10との実装方向に押圧することができる。したがって、駆動回路120の実装部が流路形成基板10から浮き上がるのを抑制して、実装部の接続不良や浮き上がった端子部120aやリード電極90等の配線に水分等が付着することによるマイグレーション等の発生を抑制して、実装部の信頼性を向上することができる。
また、駆動回路120をケース部材40に当接させることで、駆動回路120の熱をケース部材40によって放熱することができる。したがって、駆動回路120の熱による暴走などの不具合を抑制することができる。ちなみに、ケース部材40の材料として、熱電動率が比較的高い材料、例えば、金属等を用いることで、駆動回路120のケース部材40による放熱をさらに向上することができる。
また、ケース部材40に凹部140を設けることで、ケース部材40の保護基板30と接着される接着面43と、駆動回路120に当接する当接面142との距離を離すことができ、接着面43からはみ出した余分な接着剤が駆動回路120に付着することがなく、駆動回路120とケース部材40とが接着されるのを抑制することができる。
(実施形態6)
図9は、本発明の実施形態6に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図9に示すように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッド1を構成する駆動回路120は、保護基板30よりも積層方向である第3の方向Zの厚さが薄い。
また、ケース部材40は、ケース部材本体144と当接部145とを具備する。
ケース部材本体144には、上述した実施形態1のケース部材40と同様に、第3液供給室41が形成されている。
また、ケース部材本体144には、積層方向である第3の方向Zに貫通した貫通孔146が設けられている。貫通孔146は、駆動回路120に相対向する位置に開口して設けられている。なお、貫通孔146の開口は、駆動回路120よりも大きい。
そして、ケース部材本体144の貫通孔146内に当接部145が固定されている。本実施形態では、当接部145は、貫通孔146から先端が駆動回路120側に突出した位置で固定されており、当接部145の突出した先端が駆動回路120に当接する当接面142となっている。
すなわち、当接部145の当接面142は、駆動回路120のケース部材40側の面よりも大きな面積を有する。
このようなケース部材40では、駆動回路120の厚さに合わせて、当接部145の位置、すなわち、当接部145の貫通孔146からの突出量を調整することで、ケース部材40全体を変更する必要がない。したがって、駆動回路120の厚さに合わせて、例えば、凸部143の突出量の異なる複数種類のケース部材を用意する必要がなく、コストを低減することができる。
また、本実施形態のケース部材40では、ケース部材本体144と保護基板30とを接着剤44によって接着した後、貫通孔146内に当接部145を挿入して、当接部145の当接面142を駆動回路120に当接させた状態で、ケース部材本体144と当接部145とを固定することもできる。ただし、このような製造工程では、接着剤44の硬化収縮によってケース部材40を駆動回路120側に押圧することはできないが、駆動回路120がケース部材40側への移動は、当接部145によって規制することができるため、駆動回路120の浮き上がりを抑制することができる。もちろん、ケース部材本体144と保護基板30とを接着する接着剤44を仮硬化させた後、ケース部材本体144と当接部145とを固定した後で、接着剤44を本硬化させれば、接着剤44の硬化収縮によって当接部145を有するケース部材40を駆動回路120側に移動することができ、ケース部材40によって駆動回路120を流路形成基板10側に押圧することができる。
なお、本実施形態では、駆動回路120が保護基板30よりも薄いものを例示したが、特にこれに限定されない。例えば、図10に示すように、駆動回路120が保護基板30よりも厚い場合であっても、駆動回路120を貫通孔146内に挿入して、貫通孔146内で当接部145と駆動回路120とを当接させることができる。すなわち、貫通孔146を駆動回路120よりも大きな開口とすることで、駆動回路120の厚さが保護基板30よりも厚い場合であっても、また、薄い場合であっても、当接部145の位置を変更するだけで、駆動回路120と当接部145とを第3の方向Zで互いに当接させることができる。したがって、駆動回路120の厚さに合わせて、異なる複数種類のケース部材を用意する必要がなく、コストを低減することができる。ちなみに、駆動回路120の厚さが、保護基板30よりも薄い場合には、貫通孔146の開口は、駆動回路120のケース部材40側の面よりも小さいものであってもよい。
また、駆動回路120をケース部材40に当接させることで、駆動回路120の熱をケース部材40によって放熱することができる。したがって、駆動回路120の熱による暴走などの不具合を抑制することができる。ちなみに、本実施形態では、例えば、当接部145を熱電動率が比較的高い材料、例えば、金属等を用いることで、駆動回路120の当接部145による放熱をさらに向上することができる。もちろん、当接部145と共にケース部材本体144を熱電動率が比較的高い材料で形成することによっても、駆動回路120のケース部材40による放熱をさらに向上することができる。
(実施形態7)
図11及び図12は、本発明の実施形態7に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図であって、図11は、第2の方向に沿った断面図であり、図12は、第1の方向に沿った断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図11及び図12に示すように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッド1を構成する駆動回路120は、保護基板30よりも積層方向である第3の方向Zの厚さが厚い。このため、駆動回路120は、第3の方向Zにおいて、保護基板30よりもケース部材40側に突出して設けられている。
また、ケース部材40には、空間34に開口する凹部140が設けられている。
凹部140は、第3の方向Zにおいて、駆動回路120に重なる位置で、駆動回路120の端子部120a以外に重なる位置に開口して設けられている。
すなわち、図11に示すように、第2の方向Yにおいて、凹部140の接着面43側、すなわち、接着剤44側の側壁141は、端子部120aよりも内側に位置する。
また、図12に示すように、第1の方向Xにおいて、凹部140は、並設された端子部120aの間に開口して設けられている。
このようなケース部材40では、凹部140が開口する面、すなわち、凹部140が設けられていない部分が駆動回路120に当接する当接面142となっている。これにより、ケース部材40の当接面142は、第3の方向Zで駆動回路120の端子部120aに重なる部分のみに当接する。すなわち、駆動回路120は、第3の方向Zで駆動回路120の端子部120aに重なる部分のみが、ケース部材40と当接される。
このようにケース部材40が端子部120aに積層方向で重なる部分で駆動回路120に当接することで、端子部120aとリード電極90との実装部に応力を集中させて実装信頼性を向上することができる。
なお、本実施形態では、第1の方向X及び第2の方向Yにおいて、駆動回路120の端子部120aに第3の方向Zで重なる位置のみをケース部材40に当接するようにしたが、特にこれに限定されず、第1の方向X及び第2の方向Yの何れか一方において、駆動回路120の端子部120aに第3の方向Zで重なる位置のみをケース部材40に当接するようにしてもよい。これによっても、駆動回路120の端子部120aに実装方向の応力を集中させることができる。
なお、駆動回路120は、ケース部材40側の面において、少なくとも積層方向である第3の方向Zで駆動回路120の端子部120aに重なる部分がケース部材40と当接されていれるのが好ましい。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態では、ケース部材40と駆動回路120とは、直接、当接したものを例示したが、特にこれに限定されない。例えば、ケース部材40と駆動回路120とがスペーサー等の他の部材を介して当接していてもよい。つまり、スペーサー等の他の部材は、実質的にケース部材の一部、すなわち、ケース部材が複数の部材の積層体で構成されていると見なすことができるため、ケース部材と駆動回路120とが接着さえされていなければ、ケース部材40と駆動回路120との間にスペーサー等の他の部材が挟まれていても、接着剤の硬化収縮が生じずに駆動回路120の浮き上がりが防止できる。ちなみに、ケース部材として、保護基板30に接着される部分と、駆動回路120に当接する部分とが、異なる部材で構成され、且つこれらの部材同士がケース部材と保護基板30との積層方向である第3の方向Zで接着されている場合には、これらの部材同士を接着する接着剤の厚さは、ケース部材と保護基板30とを接着する接着剤の厚さよりも薄くするのが好ましい。これにより、2つの部材を接着する接着剤の硬化収縮よりも、ケース部材と保護基板30とを接着する接着剤44の硬化収縮が大きくなるため、駆動回路120に当接するケース部材によって駆動回路120を実装方向に押圧することができる。
また、例えば、上述した各実施形態では、ケース部材40の第1の流路である一方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分と、第2の流路である他方の第3液供給室41が形成されて保護基板30に接着剤44によって接着された部分とが一体のものを例示したが、特にこれに限定されず、上記の2つの部分が別体のケース部材40を用いてもよい。つまり、ケース部材40は、複数の部材で構成されていてもよい。ただし、ケース部材40を複数の部材で形成した場合には、ケース部材40を予め一体化して単一部材とした後に保護基板30及び駆動回路120に接着すれば、接着時の荷重を均等にすることができる。もちろん、ケース部材40を複数の部材で構成した場合に、複数の部材を個別に保護基板30及び駆動回路120に接着するようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では、流路形成基板10にインク供給路14及び第1液供給室13を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第1液供給室13及びインク供給路14の何れか一方又は両方を設けないようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では、コンプライアンス部49を設けるようにしたが、例えば、インク自体が圧力変動を吸収するものであれば、コンプライアンス部49を設けなくてもよい。
また、上述した各実施形態では、1つの駆動回路120を設けた構成を例示したが、特にこれに限定されず、第1の方向Xに2以上の複数の駆動回路を設けてもよい。また、第1の圧電素子300Aの列と第2の圧電素子300Bの列とのそれぞれに駆動回路を設けるようにしてもよい。すなわち、駆動回路が第2の方向Yで並設されていてもよい。
さらに、上述した各実施形態では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる駆動素子として、薄膜型の圧電素子300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電素子や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子などを使用することができる。また、駆動素子として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、上述したインクジェット式記録ヘッド1は、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図13は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図13に示すインクジェット式記録装置Iにおいて、複数の記録ヘッド1は、インク供給手段を構成するインクカートリッジ2が着脱可能に設けられ、この記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
なお、上述したインクジェット式記録装置Iでは、インク供給手段であるインクカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等のインク供給手段を装置本体4に固定して、インク供給手段と記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、インク供給手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
また、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。また、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置Iを挙げて説明したが、上述した他の液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置にも用いることが可能である。
I…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、1…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、2…インクカートリッジ、3…キャリッジ、4…装置本体、5…キャリッジ軸、6…駆動モーター、7…タイミングベルト、8…搬送ローラー、10…流路形成基板、12…圧力発生室、12A…第1の圧力発生室、12B…第2の圧力発生室、13…第1液供給室、14…インク供給路、20…ノズルプレート、21…ノズル、21A…第1のノズル、21B…第2のノズル、30…保護基板、31…第2液供給室(流路)、32…圧電素子保持部、33…駆動回路保持部、34…空間、36…接着剤、40…ケース部材、41…第3液供給室(第1の流路、第2の流路)、42…インク導入口、43…接着面、44…接着剤、45…コンプライアンス基板、46…封止膜、47…固定板、48…開口部、49…コンプライアンス部、50…振動板、51…弾性膜、52…絶縁体膜、60…第1電極、70…圧電体層、80…第2電極、90…リード電極、120…駆動回路、120a…端子部、121…充填剤、122…入力配線、130…外部配線、140…凹部、141…側壁、142…当接面、143…凸部、144…ケース部材本体、145…当接部、146…貫通孔、300…圧電素子、300A…第1の圧電素子、300B…第2の圧電素子、S…記録シート、X…第1の方向、Y…第2の方向、Z…第3の方向

Claims (11)

  1. 液体を噴射する第1のノズルを含む第1のノズル列と、液体を噴射する第2のノズルを含む第2のノズル列と、が形成されたノズルプレートと、
    前記第1のノズルに連通する第1の圧力発生室と、前記第2のノズルに連通する第2の圧力発生室と、が形成された流路形成基板と、
    前記流路形成基板の一方面側に形成された振動板と、
    前記振動板上の前記第1の圧力発生室に対応する位置に設けられた第1の圧電素子と、
    前記振動板上の前記第2の圧力発生室に対応する位置に設けられた第2の圧電素子と、
    前記流路形成基板の前記一方面側に接合された保護基板と、
    前記保護基板の前記流路形成基板とは反対側に接着剤を介して接着されたケース部材と、
    前記流路形成基板と前記保護基板と前記ケース部材とで囲まれて形成された空間内であって、前記流路形成基板の前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子との間に実装されて、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とを駆動する駆動回路と、
    を具備し、
    前記駆動回路と前記ケース部材とは、前記ケース部材と前記保護基板との積層方向において互いに当接していることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記駆動回路は、前記保護基板の厚さよりも薄く、
    前記ケース部材には、前記保護基板との接着面よりも前記駆動回路に向かって突出する凸部が設けられ、前記凸部の先端が前記駆動回路と当接していることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記ケース部材は、前記空間に開口する凹部を有し、
    前記凹部の少なくとも前記ケース部材と前記保護基板とを接着する前記接着剤側の側壁の端部は、前記駆動回路よりも外側に位置することを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記凹部は、前記駆動回路の外周に沿って開口して設けられており、
    前記ケース部材の前記凹部よりも内側の面が前記駆動回路と当接していることを特徴とする請求項3記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記駆動回路は、前記保護基板の厚さよりも厚く、
    前記凹部は、前記駆動回路よりも大きな開口を有し、
    前記凹部の底面が前記駆動回路と当接していることを特徴とする請求項3記載の液体噴射ヘッド。
  6. 前記凹部の少なくとも前記接着剤側の前記側壁の表面粗さは、前記ケース部材の前記凹部が開口する面であって前記保護基板との接着面の表面粗さよりも大きいことを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 前記駆動回路は、前記ケース部材側の面において、少なくとも前記積層方向で前記駆動回路の端子部に重なる部分が前記ケース部材と当接されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  8. 前記駆動回路の前記ケース部材側の全面が前記ケース部材と当接していることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  9. 前記ケース部材は、前記第1の圧力発生室に連通する第1の流路が形成されて前記保護基板に接着される部分と前記第2の圧力発生室に連通する第2の流路が形成されて前記保護基板に接着される部分とが一体であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  11. 液体噴射ヘッドに用いられる圧電デバイスであって、
    第1の凹部と第2の凹部とが形成された流路形成基板と、
    前記流路形成基板の一方面側に形成された振動板と、
    前記振動板上の前記第1の凹部に対応する位置に設けられた第1の圧電素子と、
    前記振動板上の前記第2の凹部に対応する位置に設けられた第2の圧電素子と、
    前記流路形成基板の前記一方面側に接合された保護基板と、
    前記保護基板の前記流路形成基板とは反対側に接着剤を介して接着されたケース部材と、
    前記流路形成基板と前記保護基板と前記ケース部材とで囲まれて形成された空間内であって、前記流路形成基板の前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子との間に実装されて、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子とを駆動する駆動回路と、
    を具備し、
    前記駆動回路と前記ケース部材とは、前記ケース部材と前記保護基板との積層方向において互いに当接していることを特徴とする圧電デバイス。
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