JP2017043098A - 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置、並びにエージング処理方法及び液体吐出装置の初期セットアップ方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド及び液体吐出装置、並びにエージング処理方法及び液体吐出装置の初期セットアップ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体に対する良好な耐性と、基板と流路形成部材との高い接合強度を有し、良好な印字状態と長期に渡る信頼性を確保することができる液体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提供する。【解決手段】液体吐出ヘッドは、吐出口209と流路を構成する樹脂層を含む流路形成部材200と、液体を吐出させるための発熱抵抗素子204と、発熱抵抗素子204を覆う保護部を備え、保護部の表面が流路に露出する保護層201と、流路形成部材200と保護層201との間に設けられ、炭窒化シリコン材料を含む中間層210とを有する構成とする。流路部分の中間層210は液滴吐出ヘッドの組み立て完了後にエージング液で除去する。【選択図】図1

Description

本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置、並びにエージング処理方法及び液体吐出装置の初期セットアップ方法に関する。
液体吐出ヘッドとして代表的なインクジェット記録ヘッドを用いた記録方式の一つに、発熱抵抗素子によってインクを加熱して発泡させ、この発泡を利用してインクを記録媒体に吐出して画像や文字等を記録する方式がある。
近年、プリント処理の高速化を達成する方法として、液体吐出ヘッドの有する記録素子基板の長尺化が行われている。
また、インク組成を大幅に変更し、印字物の耐光性や耐ガス性を向上させることも要求されるようになっており、このような目的に用いるインクを吐出するためには、記録素子基板の構成材料もこのようなインクに耐えうるものでなくてはならない。
記録素子基板の長尺化を行うと、液体吐出ヘッドの使用頻度に応じて記録素子基板の構成部材間の線膨張率の違い基づく応力の発生によるひずみの影響を受け易くなる。例えば、基板と樹脂層からなる流路形成部材を接合した構造においては、基板と流路形成部材としての樹脂層の線膨張率の違いによって発生する応力によってひずみを生じ、基板と樹脂層との間に剥離等の欠陥が生じ易くなる場合がある。
特許文献1には、基板に設けられた上部保護膜(Ta、Ir膜など)の上にSiO、SiNまたはSiCからなる膜を密着向上層として形成することにより、基板と流路形成部材との密着性を向上させたインクジェット記録ヘッドが記載されている。特許文献1には、このような密着向上層の使用によって、インクジェット記録ヘッドが長尺化した場合でも基板と流路形成部材との良好な密着性を長期に渡り確保できることが記載されている。
特開2007−261170号公報
インクの組成を大幅に変更した場合に、インクに含まれる成分によっては、基板と流路形成部材との間の界面にインクが作用して、使用頻度に応じてこれらの界面における剥離等の欠陥が生じる場合がある。インク組成の変更の一例として、画像の定着性等を向上させるための水溶性樹脂としてのアクリルポリマーや、ビスホスホン酸を含む自己分散型の顔料などを用いる場合を挙げることができる。
このような欠陥が生じた場合には、インクが基板表面に浸透し、配線の腐食を引き起してしまい、その結果、良好な印字が得られなかったり、長期に渡る品質信頼性を確保することが困難となる場合がある。
特許文献1に記載のように、SiOまたはSiNからなる密着向上層を介して流路形成部材と基板側の上部保護層を接合した場合においても、インクがSiOやSiNを溶解する成分を含む場合には、密着向上層の溶解による剥離等の欠陥が生じる可能性が高い。
一方、SiC膜は、種々の組成のインクに対して高い溶解耐性を有し、基板側の上部保護層と流路形成部材との密着向上層として有用である。しかしながら、発熱抵抗素子からの液体吐出のための熱エネルギーが液体に作用する部分を形成する上部保護層上にSiCからなる密着向上層が積層された構造において、発熱抵抗素子からの液体への熱エネルギーの伝導効率の低下が生じる。
本発明の目的は、液体に対する良好な耐性を有し、かつ基板と流路形成部材との接合部が高い強度を有し、良好な印字状態と長期に渡る信頼性を確保することができる液体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提供することにある。本発明の他の目的は、かかる構成の液体吐出ヘッドを効率良く提供することができる液体吐出ヘッドのエージング処理方法及び液体吐出装置の初期セットアップ方法を提供することにある。
本発明の液体吐出ヘッドは、
吐出口と流路を有する樹脂層を含む流路形成部材と、
液体の吐出のための発熱抵抗素子と、該発熱抵抗素子を覆う部分を備え、該部分の表面が前記流路に露出する保護層と、を有する基板と、
前記樹脂層と前記保護層との間に設けられ、炭窒化シリコン材料を含む中間層と、
を有することを特徴とする。
本発明にかかる液体吐出装置は、上記構成の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする。
本発明にかかる液体吐出ヘッドのエージング処理方法は、
前記液体吐出ヘッドは、
吐出口と流路を有する樹脂層を含む流路形成部材と、
液体の吐出のための発熱抵抗素子と、該発熱抵抗素子を覆う保護層と、を有する基板と、
前記樹脂層と前記保護層との間に設けられ、炭窒化シリコン材料を含む中間層と、
を有し、
前記保護層の前記発熱抵抗素子と対向する部分に積層された前記中間層を除去して、前記保護層の前記部分の表面を露出させるエージング工程を有する
ことを特徴とする。
本発明にかかる液体吐出装置の出荷後の初期セットアップ方法は、上記の液体吐出ヘッドのエージング処理方法を含むことを特徴とする。
基板側の保護層と、流路形成部材側の樹脂層とを炭窒化シリコン材料を含む中間層を介して接合することによって、SiO膜やSiN膜を溶解してしまうインク等の液体を使用する場合においても、流路形成部材と基板との良好な密着性を維持することが可能となる。それにより、良好な印字状態と長期に渡る信頼性を有する液体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提供することができる。
さらには、中間層の発熱抵抗素子と対向する部分の流路内からの除去処理を効率良く行うことができる。その結果、流路形成部材と基板との密着性が良好であり、かつ熱利用効率が向上した液体吐出ヘッドの効率良い製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施例におけるエージング処理前の液体吐出ヘッドの1つの吐出口が配置された部分の構造を説明するための模式的平面図及びその断面模式図である。 本発明の第1の実施例におけるエージング処理前の液体吐出ヘッドの吐出口列の構造を説明するための模式的平面図である。 本発明の第2の実施例におけるエージング処理前の液体吐出ヘッドの1つの吐出口が配置された部分の構造を説明するための模式的平面図及びその断面模式図である。 本発明のエージング工程を説明するための吐出口を含む部分の模式的断面図である。 本発明のエージング工程の効果を説明するための吐出速度のグラフである。 本発明のエージング工程の効果を説明するための臨界発泡通電時間のグラフである。 本発明を適用し得る液体吐出ヘッドの実施の形態を一部切り欠いて見た模式的斜視図である。 本発明を適用した液体吐出装置の模式的斜視図である。
本発明にかかる液体吐出ヘッドは、発熱抵抗素子が設けられた基板と、基板上に吐出口と流路を形成する流路形成部材とが接合された構造の記録素子基板を有する。
発熱抵抗素子は、吐出口からの液体吐出用の熱エネルギーを発生し、基板には発熱抵抗素子を駆動するための配線が設けられている。発熱抵抗素子及び配線は発熱抵抗素子を駆動可能なように、これらを被覆する絶縁層により絶縁されている。流路形成部材は、光硬化性樹脂などのパターニング可能な樹脂材料から形成された樹脂層を有し、この樹脂層に吐出口と吐出口に連通する流路が形成されている。
流路を形成する内壁部は、流路内の液体と接触する部分としての液体接触部であり、流路形成部材側の部分(例えば側壁部及び天井部)と、基板側の部分(例えば底部)からなる。流路壁の基板側の部分は、保護層の少なくとも一部から形成される。流路以外の部分に配置された接合部において基板と流路形成部材とを接合することで、流路が形成される。
流路内の保護層の、発熱抵抗素子と対向する部分が基板側の液体接触部を形成している。この基板側の液体接触部を介して、発熱抵抗素子からの熱エネルギーが流路内の液体に作用する。すなわち、保護層の表面に流路内の液体と接する面が形成されている。流路内の発熱抵抗素子からの熱エネルギーが作用する部分は、発泡室として機能し、発泡室に供給された液体に発熱抵抗素子から付与された熱エネルギーが作用して、液体中での発泡が生じ、吐出口からの液滴の吐出が行われる。
基板側の保護層は、発熱抵抗素子を覆う絶縁層上に、耐キャビテーション機能や流路中の液体から絶縁層、発熱抵抗層及び配線等を保護するために形成される。
本発明においては、炭窒化シリコン材料を含む中間層が、流路形成部材側の樹脂層と基板側の保護層との間に設けられる。
流路形成部材側の樹脂層と基板側の保護層との接合部を、炭窒化シリコン材料を含む中間層を介して形成することによって、これらの接合部の密着性及び耐液体性の向上を図ることができる。
また、中間層が以下の組成式(I)で表される炭窒化シリコン材料を含むことができる。
Sixyz (I)
[上記式(I)においてx+y+z=100(at.%)、30≦x≦59(at.%)、y≧5(at.%)、z≧15(at.%)である。]
流路形成部材側の樹脂層と基板側の保護層との接合部を上記の特定組成の炭窒化シリコン材料を含む中間層を介して形成することによって、これらの接合部の密着性及び耐液体性をより向上させることができる。
さらに、中間層は上記式(I)においてy≧16at.%以上とする材料を含むことができる。これにより、耐液体性を一層向上させることができる。流路形成部材側の樹脂層と基板側の保護層との接合部には、中間層に加えて有機中間層を更に追加して用いることができる。この場合、保護層上に中間層及び有機中間層がこの順に積層された積層構造を介して流路形成部材側の樹脂層と基板側の保護層との接合部が形成される。有機中間層は、ポリエーテルアミド樹脂等を用いて形成することができる。発泡室内の基板側の液体接触部における発熱抵抗素子と対向する部分は、基板側の保護層の表面が露出した面として形成されていることが好ましい。このような発泡室の構成とすることによって発熱抵抗素子からの熱エネルギーの発泡室内の液体への付与を熱効率良く行うことが可能となる。
発熱抵抗素子の配置と吐出口からの液滴吐出方向の関係にかかる構造は特に限定されないが、記録素子基板への多数の吐出口の高密度配置が容易である点から、基板の発熱抵抗素子が設けられた面に対して交叉する方向、特に直交する方向に液滴が吐出される構造とすることが好ましい。
液体吐出ヘッドの動作を制御する制御部や記録媒体を液体吐出ヘッドの動作位置に供給する記録媒体供給部等を備えた液体吐出装置に本発明の液体吐出ヘッドを搭載することによって、液体吐出ヘッドが良好な耐久性を有し、信頼性を長期の使用において維持可能な液体吐出装置を提供することが可能となる。この液体吐出装置は、インクを用いた文字や画像などの記録媒体への記録や、表面処理液を用いた記録媒体の表面処理等に利用することができる。
本発明の液体吐出ヘッドの製造は以下の工程により行うことができる。
(A)発熱抵抗素子と発熱抵抗素子上に設けられた保護層を有する基板を用意する工程。(B)基板に設けられた発熱抵抗素子を保護する保護層上に炭窒化シリコン材料を含む中間層を形成する工程。
(C)基板上に、吐出口と該吐出口と連通する流路を有する樹脂層を含む流路形成部材を設け、保護層と樹脂層との中間層を介した接合部と、中間層により被覆された保護層からなる基板側の液体接触部を形成する工程。
(D)中間層により被覆された保護層からなる基板側の液体接触部から発熱抵抗素子と対向する部分にある中間層を除去する工程。
工程(A)において用意する基板には、シリコンなどの材料から成る基体の表面に、発熱抵抗体等の発熱抵抗素子と、発熱抵抗素子を駆動する配線等、液体の吐出に必要なエネルギーを発生させるために必要な構造が設けられている。発熱抵抗素子の下部領域には蓄熱及び電気絶縁層が、また配線の下部領域には電気絶縁層等が必要に応じて設けられる。発熱抵抗素子及び配線上には必要に応じて絶縁層が設けられる。
少なくとも発熱抵抗層上の発熱抵抗素子を覆う部分には発熱抵抗素子を保護する保護層が設けられる。なお、保護層は配線の設置位置上部まで伸びて形成されていてもよい。保護層には電気絶縁性及び/または耐キャビテーション性等を付与することができる。このような保護層は、Ta、Ir等の液体吐出ヘッドにおいて用い得る材料から形成することができる。
上記工程(B)においては、保護層と中間層がこれらの界面を介して積層された積層構造により基板の発熱抵抗体素子が配置された面が被覆される。発熱抵抗素子上に絶縁層等の他の層が積層されている場合は、その上に保護層と中間層の積層構造が設けられる。
上記工程(C)において、流路形成部材を形成する樹脂層が基板の所定位置に設けられることよって、流路形成部材側の樹脂層と基板側の保護層とが、中間層を介して接合される。これらの接合部においては中間層が流路形成部材側の樹脂層との接合面を形成する。一方、上記工程(C)が終了した段階においては、流路内の基板側の液体接触部には、中間層の表面が露出している。この状態で、上記工程(D)を行って中間層の少なくとも一部を除去し、その下部の保護層の表面を露出させて保護層の一部からなる液体接触部を形成する。
上記の各工程の組み合せによれば、別途用意したレジストパターンを利用したパターニング工程を行うことなく、中間層の流路内の所定部分の除去処理を効率良く行うことができる。
なお、中間層の発熱抵抗素子と対向する部分以外の部分、特に、基板と流路形成部材との接合部及び流路内の発熱抵抗素子と対向する部分以外の部分において、中間層上に有機中間層を設けることができる。
有機中間層を用いることで、基板と流路形成部材を構成する樹脂層との密着力を更に向上させることができる。また、有機中間層は、絶縁信頼性を更に向上させる効果も有する。より厳しいインク種やより厳しい保存条件によって界面剥離や電気的なショートなどの発生の可能性が想定される場合は、有機中間層を用いることが好ましい。
本発明にかかる液体吐出ヘッドの製造方法は、上記工程(A)〜(C)を有することができる。すなわち、上記工程(A)〜(C)を有し、上記工程(D)を行わない段階で液体吐出ヘッド製品とすることができる。更に、上記工程(D)は、後述するエージング工程に相当し、上記工程(A)〜(C)に続けて行っても、上記工程(A)〜(C)を有する液体吐出ヘッドの製造とは独立して行うことができる。
なお、発熱抵抗素子、配線の形状及び大きさ、発熱抵抗素子の下部領域に設けられる蓄熱及び電気絶縁層、発熱抵抗素子の上に設けられる電気絶縁層、中間層等の各層の層厚は、特に限定されず、液体吐出ヘッドの目的とする機能等に応じて選択できる。
流路内の中間層からの発熱抵抗素子と対向する部分の除去は、流路を水性エージング液で満たした状態で、発熱抵抗素子を駆動して流路内の水性エージング液に吐出用の熱エネルギーを付与して吐出口から水性エージング液を吐出させることによって行うことができる。この水性エージング液を用いた吐出処理では、発熱抵抗素子からの熱エネルギーが付与される流路内の領域である発泡室において、発熱による発泡が生じる領域に接する中間層が除去される。すなわち、中間層の発熱抵抗素子と対向する領域が除去される。この発熱抵抗素子と対向する中間層の領域は、中間層に発熱抵抗素子の平面形状を投影して得られる像の輪郭で囲まれた部分にほぼ一致するか、あるいはかかる投影像を含む大きめの部分である。
通常、発熱抵抗素子を含み、発熱抵抗素子よりも広い面として発泡室の底部が形成されるので、このような場合には、中間層の除去工程後に発泡室内において発熱抵抗素子と対向する領域以外の部分に中間層が残されていてもよい。
流路からの中間層の除去処理後に、流路内の保護層上に残存する中間層は、発熱抵抗素子と接続する配線やその他の構造の絶縁保護層として機能することができ、また、配線を配線層で形成した場合に生じる段差をカバーする絶縁保護層としても有効である。このように配線層から発熱抵抗素子方向に形成される段差を中間層の残部によりカバーしてステップカバレージ性を向上させることができるので、配線層を厚くして通電効率を上げることが可能となる。有機中間層を中間層上に積層した場合には、中間層上に有機中間層が積層された2層構造が流路内の発熱抵抗素子と対向する領域以外に残される。
水性エージング液での処理、すなわちエージング工程は、流路内の基板側の液体接触部が、保護層と中間層の積層構造から形成されている液体吐出ヘッドの組み立てが終了した時点、あるいは、それ以降の所望の段階において行うことができる。組み立て完了後の段階としては、液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置の出荷前あるいは出荷後の初期セットアップ時を挙げることができる。従って、流路内の基板側の液体接触部が、保護層と中間層の積層構造から形成されている液体吐出ヘッドも本発明に含まれる。
水性エージング液でのエージング処理は、発泡室内からの中間層の目的とする除去効果が得られるまで、すなわち、発泡室内の中間層の発熱抵抗素子と対向する領域が除去されるまで行なわれる。保護層上からの中間層の除去は、発熱抵抗素子から付与される熱エネルギーによって発泡室内の水性エージング液中に生じる発泡により高温及び高圧条件が形成され、この高温及び高圧条件下に曝された中間層の部分に崩壊が生じることによるものと考えられる。
中間層の目的とする除去効果を得るには、吐出口からの水性エージング液の吐出を予め設定された基準吐出回数に達するまで行う方法を好ましく利用することができる。この基準吐出回数としては、発熱抵抗素子に印加する駆動信号の累積パルス数が2×107以下となるように選択されることが好ましい。言い換えれば、中間層の層厚は、目的とする基板と流路形成部材との密着性が得られ、かつエージング処理用の基準吐出回数までに保護層上から除去可能な層厚、例えば80〜150nmとすることが好ましい。
更に、発熱抵抗素子のエージング工程における駆動エネルギーは、文字や画像の記録、あるいは表面処理のための、インク等の液体の吐出における駆動エネルギーと略同じか、あるいは、それよりも強いことが好ましい。
吐出口から吐出する液体が水性インクである場合は、水性エージング液は、水性インクそのものや、この水性インクの水等を希釈剤とした希釈液が利用できる。水性インクを希釈して用いる場合の希釈率は、液体吐出ヘッドの性能に影響を与えず、目的とするエージング効果が得られるように設定すればよい。
なお、本発明の液体吐出ヘッドの製造に関して、上記工程(A)、(B)を行い、その後、上述のエージング処理ではなく、レジスト層を用いてパターニングすることで中間層の発熱抵抗素子と対向する領域を除去してもよい。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<装置本体の概略説明>
図8は、本発明の代表的な実施の形態であるインクジェットプリンタの構成の概要を示す外観斜視図である。
図8において、キャリッジHCには、記録ヘッドIJHとインクタンクITとを内蔵した一体型インクジェットカートリッジIJCが搭載されている。キャリッジHCは、ガイドレール5003に支持されて矢印a、b方向を往復移動し、紙送りローラ5000によってキャリッジの移動方向と直交する方向に順次移動する記録媒体Pへの印刷を行う。支持部材5016は記録ヘッドIJHの前面をキャップするキャップ部材5022を支持する部材で、吸引器5015によりこのキャップ部材5022内を吸引することができる。キャップ部材5022内を吸引することによって、キャップ部材5022の内部開口5023を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。
次に、記録ヘッドIJHについて説明する。
記録ヘッドIJHは、インクを吐出するために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段としての発熱抵抗素子を備え、その熱エネルギーによってインクの状態変化を生起させる方式が採用された記録ヘッドである。この方式が用いられることにより、記録される文字や画像等の高密度化および高精細化を達成している。特に本実施形態では、発熱抵抗素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子によりインクを加熱して膜沸騰させたときに発生する気泡による圧力を利用してインクを吐出している。まず、記録ヘッドIJHの全体構成について述べる。
図7は、記録ヘッドIJHの好ましい実施の形態を一部切り欠いて見た斜視図である。記録ヘッド101は、電気熱変換素子である複数の発熱抵抗素子(ヒータ)400が設けられた基板110と、この基板110の第1の面に接合されて複数の流路を構成する流路形成部材111とを備えた記録素子基板を有する。記録素子基板は、インクタンク等のインク供給部材150に接合されている。この記録ヘッド101における吐出口からのインクの吐出方向は、ヒータ400が設けられた基板110の面に対して垂直方向となる。
基板110は、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等の材料、あるいはこれらの2種以上を用いた複合材料によって形成されている。一般的には、Siによって形成された基板を用いることができる。基板110の第1の面には、各流路毎に、ヒータ400と、このヒータ400に電圧を印加する電極(図示せず)と、この電極に接続された配線(図示せず)が所定の配線パターンでそれぞれ設けられている。また、基板110の第1の面には、蓄熱の発散性を向上させる絶縁膜(図示せず)が、ヒータ400を被覆するように設けられている。また、基板110の第1の面には、気泡が消泡した際に生じるキャビテーションから基板表面を保護するための保護膜(図示せず)が、絶縁膜を被覆するように設けられている。基板110には基板の第1の面からこれと対向する第2の面まで貫通し、インク供給路500と連通し、インク供給部材150からインクの供給を受ける共通液室112が設けられている。
流路形成部材111と基板110によって、複数の流路300と、これら各流路300にインクを供給するインク供給路500が形成されている。また、各流路300にはその先端開口としての吐出口100が形成されている。複数の吐出口100は、複数の流路300のそれぞれに対応して設けられており、更に、基板110に設けられた複数のヒータ400のそれぞれに対向する位置に形成されている。すなわち、1つの流路300と1つの吐出口100からなる単位構造の複数がそれぞれ独立して、複数のヒータ400のそれぞれに対応して設けられている。
記録ヘッド101は、長手方向が平行に配列された吐出口列900、すなわち第1の吐出口列と、第2の吐出口列とを備えている。第1の吐出口列と、第2の吐出口列はインク供給路500を挟んで対向している。隣接する2つの吐出口の間隔は1インチ当たり600個または1200個の吐出口が配置される間隔とすることができる。
これから述べる各実施例においては、図7に示すような第2の吐出口が省略されていたり、第1または第2の吐出口列に加えて第3の吐出口列を有する場合や、更には第4の吐出口列を有する場合(図示せず)もある。
インク供給路500についても、これから述べる各実施例においては、複数の供給路に分割されている場合(図示せず)もある。また、平行に配置された2つの吐出口列900の間において、ドット配置の理由から必要に応じて、一方の吐出口列と他方の吐出口列とで各吐出口の配列ピッチが互いにずれるように各吐出口を配列することもできる。
図7に示したような構造の記録ヘッドでは、特開平4−10940号公報、特開平4−10941号公報に開示された記録ヘッドのように、インクの吐出時に流路内のインク中で発生する気泡は吐出口を介して外気と連通する。
以下に、本発明にかかる記録ヘッドの構造を、種々の形態例を実施例として以下に挙げて説明する。
(実施例1)
以下に、本発明にかかる記録ヘッドの第一の実施例を説明する。
図2は、エージング処理前の記録ヘッドのインク吐出部の模式図であり、吐出口からの液体の吐出方向における上方からの吐出口配列面の平面図である。なお、吐出口の配列面より基板側の内部に設けられた構造についても透視した状態で模式的に表わされている。図2に示した記録ヘッドでは、各ヒータ204の上方に、各ヒータ204に対向して吐出口209が設けられている。ヒータ204上には、耐キャビテーション用保護膜としての保護層201等が設けられている。また、中間層210上に有機中間層211が中間層210のヒータ204と対向する領域以外に積層されている。
図1に、図2に示す記録ヘッドの吐出口を含む部分を拡大して詳細に示す。図1(a)は吐出口を含む部分の模式的拡大部分平面図であり、この図においても、吐出口の配列面より基板側の内部に設けられた構造についても透視した状態で模式的に表わされている。図1(b)は、図1(c)のA−A’線の模式的部分拡大図であり、図1(c)は図1(a)のB−B’線の模式的部分拡大図である。
図1において、Si基板の表面には、蓄熱層203が設けられている。この蓄熱層203は、Si基板の表面の熱酸化膜やCVD膜などの酸化シリコン膜から形成することができ、これらを組み合わせた複数層構成を採ることもできる。
ヒータ204は、TaSiN膜からなる。ヒータ204に電力を供給するための電極配線207は、AlCu層からなる。電気絶縁層202はSiN膜からなり、その厚みは300nmである。電気絶縁層202上のヒータ204を覆う一部の領域には、耐キャビテーション用のTa膜からなる保護層201が積層されており、その厚みは230nmである。保護層201上には、炭窒化シリコン材料を含む中間層210が、少なくとも保護層201を覆う位置、すなわち保護層201よりも広い範囲で積層されている。中間層210の厚みは100nmである。
本実施例においては、本発明に係るSixyz膜はプラズマCVD法を用いて成膜する。SiH4、NH3、CH4の各プロセスガスの流量比を変更することで、組成比の異なるSixyz膜を得ることができる。
中間層210の形成後、ヒータ204の発熱部以外の領域、すなわちヒータ204と対向する部分以外に、ポリエーテルアミド樹脂からなる有機中間層211を設けた。図示した例では、基板と流路形成部材の接合部と流路内のヒータ204と対向する部分以外に有機中間層211を設けた。
流路212の側壁部及び天井部となる部分と、吐出口209を有する流路形成部材200は、感光性樹脂材料の硬化物層として基板上に形成した。感光性樹脂材料は特に限定されず、記録ヘッドの流路形成部材用として利用されているものから選択して用いることができる。流路形成部材の樹脂層からなる部分には、更に、他の材料からなる部分を追加してもよい。例えば、吐出口は開口する面には撥水層の形成などによる表面処理を行ってもよい。
図1に示す通り、流路形成部材と基板との接合は、流路以外の部分に設けられた接合部を介して行われる。接合部は、基板側の電気絶縁層202、保護層201、中間層210、有機中間層211が積層された部分と、樹脂層からなる流路形成部材200とによって形成される。これらの接合は、基板上で感光性樹脂材料により流路形成部材のパターンを形成し、これを露光により硬化させ、更に必要に応じて熱硬化させることにより行うことができる。
流路形成部材200と基板の保護層201とを接合することによって、流路形成部材200の有する流路となる部分が側壁部及び天井部となり、基板側の保護層201からなる面が底部213となって流路212が形成される。なお、図1に示す構造は、保護層201上に中間層210により被覆された部分と、中間層210と有機中間層211が積層された部分を有する。すなわち、流路212の一部である発泡室205の底部の発熱抵抗素子と対向する部分には、有機中間層211は設けられていない。
図示する各層の形成、並びに流路形成部材の基板上での形成のための方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
図1に示す構成において、発熱抵抗素子に通電して駆動させて、発泡室中のインクに熱エネルギーを付与して、インクを発泡させて吐出口209から液滴を吐出させることができる。
従来の構成における課題は前述のように、インク組成の変更によりインクに含まれる成分によっては、中間層210と保護層201との間で剥離が発生する場合がある、という点にある。特許文献1ではSiNやSiOの中間層を設けていたが、前述のように、インクに含まれる成分によっては、インク中の成分が中間層を溶解して、流路形成部材と基板との間の剥離が生じる場合があった。本実施例では、中間層210として、炭窒化シリコン材料からなる層を用いることで、保護膜の溶解を抑えることが可能となる。また、中間層210として、先に組成式(I)で示した組成を有する炭窒化シリコン材料からなる層を用いることが好ましい。これにより、保護膜の溶解を一層抑えることができるためである。
以上の各工程によって、流路の底部を形成する保護層を中間層で被覆した状態の、すなわちエージング処理前の記録ヘッドを得ることができる。
なお、以下の実施例では記録ヘッドに対してエージング工程を行うことでヒータ上の中間層を除去するが、パターニングすることでヒータ上の中間層を除去してもよい。すなわち、図1(b)や(c)に示すように中間層210を形成した後、レジスト層を用いてパターニングすることでヒータ204上に位置する中間層210を除去し、図4(c)に示すように保護層210のヒータ上の部分の表面を露出させてもよい。この場合、中間層210のパターニングの後に、流路形成部材200を基板上に形成する。
(実施例2)
次に、本発明にかかる記録ヘッドの第二の実施例を説明する。
図3に記録ヘッドの吐出口を含む部分を拡大して詳細に示す。図3(a)は吐出口を含む部分の模式的拡大部分平面図であり、この図においても、吐出口の配列面より基板側の内部に設けられた構造についても透視した状態で模式的に表わされている。図3(b)は、図3(c)のA−A’線の模式的部分拡大図であり、図3(c)は図1(a)のB−B’線の模式的部分拡大図である。
実施例1と異なる点は、有機中間層211を無くした構成となっていることである。前述のように、流路形成部材と基板との間での密着性は、中間層を介した構成とすることにより向上し、これらの間での剥離を防ぐことができる。このように有機中間層211を設けなくても、各種のインクに対する耐性を得ることができこれらの密着性の向上を達成できるという効果があることが分かっている。有機中間層211以外の構成においては、実施例1と同じ構成であるため、同じ構成の部分についての詳細の説明は省略する。
(実施例3)
図1及び図3に示す構造の記録ヘッドに対してエージング工程を行うことにより、本実施例にかかる記録ヘッドを得ることができる。
次に、このエージング工程について図4を用いて説明する。
図4(a)は、図1(b)に示すエージング処理前の記録ヘッドの模式的部分断面図である。
まず、水性のエージング液222の注入により発泡室205を満たす。このエージング液としてはインクやその希釈液を利用することができる。
次に、図4(b)に示すように、ヒータ204に通電を行い、ヒータ204を駆動することで、気泡221が発生し、気泡が発生した領域直下の中間層210が変質し剥離する。この通電を繰り返すことで、通常インクが吐出されるのと同様に、エージング液222は吐出口を通じて吐出される。その吐出される液滴とともに中間層210の変質物も排出される。以上のように図4(c)に示すように、保護層201のヒータ204と対向する部分からの熱エネルギーの作用によってエージング液が加熱されて発泡した部分直下の中間層210の領域220はこの加熱発泡工程によって消失する。すなわち、中間層210のヒータ204と対向する部分が発泡により除去され、その部分の下部にある保護層201の面が露出し、流路内の液体と接触する液体接触部となる。
図3に示した有機中間層を用いていない実施例2の記録ヘッドにおいても同様の中間層を除去するエージング処理を行うことができる。
なお、基板上に、y=0at.%であるSiN膜と、本発明にかかるSiCN膜(x=47at.%、y=16at.%、z=37at.%)をそれぞれ形成し、アクリルポリマー及びビスホスホン酸を含む顔料を含むインクジェット用の水性インクでの浸漬試験(70℃、3day)を行った。その結果、SiN膜の膜減り量が281.5nmであったのに対し、SiCN膜では10.1nmであり、本発明にかかる炭窒化シリコン材料がSiN膜よりも耐インク性において優れていた。また、基板上に、本発明にかかるSiCN膜(x=47at.%、y=6at.%、z=47at.%)を形成し、同様に浸漬試験を行った。その結果、膜減り量は70.6nmであった。これにより、耐インク性の観点からSiCN膜においてy≧16at.%以上とすることがより好ましいことがわかった。
図5は、エージング工程における駆動通電パルスを印加したときの累積の通電パルス数とエージング液の吐出速度(v)の関係を示したものである。「本発明」は、中間層210を用いた図1に示したものと同様の構造を有する吐出ヘッドにおける吐出速度の変化を示し、「従来」は、中間層210を用いない以外は「本発明」と同様の構成を有する液体吐出ヘッドにおける吐出速度の変化を示す。このエージング工程における駆動通電パルス時間は、発泡が開始される臨界発泡エネルギーの約1.3倍と通常印字駆動より大きいエネルギーを設定している。従来の液体吐出ヘッドにおけるエージング工程は、インクや液体吐出ヘッドの条件により行うこともあり、通常の印字駆動条件より大きく設定される場合が多い。
また、図6は、このエージング工程における駆動通電パルスを印加したときの累積の通電パルス数とエージング液の発泡が開始される臨界発泡エネルギー(Pw:通電パルス時間)の関係を示したものである。図中の「本発明」及び「従来」は図5で説明した通りである。従来の液体吐出ヘッドでも、臨界発泡エネルギーが安定しない場合において、このようなエージング工程が実施される。従来の液体吐出ヘッドでは、インクコゲにより、臨界発泡エネルギーがエージングにより大きく変化する場合が多い。
図5より明らかなように、初期の吐出速度は従来の液体吐出ヘッドに比べ遅く、中間層210を設けたことにより吐出効率が低下している。しかしながら、およそ2×107パルスを印加することで、中間層が除去され十分信頼性のある吐出速度に回復している。
図6についても同様で、初期の発泡エネルギーは従来の液体吐出ヘッドに比べ2割ほど高く中間層210を設けたことにより発泡効率が低くなっている。しかし、これも、およそ2×107パルス印加することで、従来の液体吐出ヘッドとほぼ同じエネルギーとなっている。以上のように、エージング工程を追加することで、中間層210を設けたことによる発泡効率悪化を防ぐことができる。
エージング工程における駆動通電パルスは、記録動作を行う際のインク吐出時の発泡エネルギーの約1.3倍であり、この条件でも可能であるが、さらに強いエネルギーを通電することでよりエージング処理時間を短縮することが可能である。
さらには、エージング工程を追加することによって、中間層のパターニング工程を省くことができ、コストダウン効果を有する。さらにこの中間層がヒータ上部のみ除去することができるため、この中間層が絶縁保護膜としての機能も有する。そのため、ヒータ端部の配線層との段差におけるカバレッジ性を向上でき、配線層を厚膜化できるといった効果も併せ持つことができる。
また、エージング工程を記録装置のセットアップ時にシーケンスとして実施しても良い。つまり顧客が記録装置を最初に使用するセットアップ時に自動でエージング工程と同じ動作を行うことで、エージング工程と同じ効果を得ることができる。
なお、中間層が先に組成式(I)で示した組成を有する炭窒化シリコン材料を含むことによって、中間層の発熱抵抗素子と対向する部分の流路内からの除去処理をより効率良く行うことができる。したがって、エージング処理の観点からも中間層が組成式(I)で示した組成を有する炭窒化シリコン材料を含むことが好ましい。
200 流路形成部材
201 耐キャビテーション用保護膜
202 電気絶縁層
203 蓄熱層及び電気絶縁層
204 ヒータ
205 発泡室
207 電極配線
209 吐出口
210 中間層
211 有機中間層
212 流路
220 中間層除去部分
221 気泡
222 エージング液

Claims (17)

  1. 吐出口と流路を有する樹脂層を含む流路形成部材と、
    液体の吐出のための発熱抵抗素子と、該発熱抵抗素子を覆う部分を備え、該部分の表面が前記流路に露出する保護層と、を有する基板と、
    前記樹脂層と前記保護層との間に設けられ、炭窒化シリコン材料を含む中間層と、
    を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記中間層が、以下の組成式(I):
    Sixyz (I)
    [上記式(I)においてx+y+z=100(at.%)、30≦x≦59(at.%)、y≧5(at.%)、z≧15(at.%)である]
    で表される材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記中間層が、上記式(I)においてy≧16(at.%)である材料を含むことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記保護層は、Ta膜からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記樹脂層と前記中間層の間に、有機中間層を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記保護層の前記部分の表面には前記中間層が設けられていないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置。
  8. 液体吐出ヘッドのエージング処理方法であって、
    前記液体吐出ヘッドは、
    吐出口と流路を有する樹脂層を含む流路形成部材と、
    液体の吐出のための発熱抵抗素子と、該発熱抵抗素子を覆う保護層と、を有する基板と、
    前記樹脂層と前記保護層との間に設けられ、炭窒化シリコン材料を含む中間層と、
    を有し、
    前記保護層の前記発熱抵抗素子と対向する部分に積層された前記中間層を除去して、前記保護層の前記部分の表面を露出させるエージング工程を有する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドのエージング処理方法。
  9. 前記中間層が、以下の組成式(I):
    Sixyz (I)
    [上記式(I)においてx+y+z=100(at.%)、30≦x≦59(at.%)、y≧5(at.%)、z≧15(at.%)である]
    で表される材料を含むことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッドのエージング処理方法。
  10. 前記中間層の除去が、水性エージング液で前記流路内を満たし、前記発熱抵抗素子を駆動して前記水性エージング液を前記吐出口から吐出させるエージング工程により行うことを特徴とする請求項8または9に記載の液体吐出ヘッドのエージング処理方法。
  11. 前記エージング工程における前記吐出口からの前記水性エージング液の吐出を予め設定された基準吐出回数に達するまで行うことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッドのエージング処理方法。
  12. 前記基準吐出回数が、前記発熱抵抗素子に印加する駆動信号の累積パルス数が2×107以下となるように選択されることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出ヘッドのエージング処理方法。
  13. 前記発熱抵抗素子の前記エージング工程における駆動エネルギーは、前記液体の吐出における駆動エネルギーと略同じか、あるいは、前記液体の吐出における駆動エネルギーより強いことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッドのエージング処理方法。
  14. 前記吐出口から吐出する液体が、水性インクであり、前記水性エージング液が、該水性インクであるか、あるいは、該水性インクの希釈液であることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドのエージング処理方法。
  15. 前記エージング工程を、前記液体吐出ヘッドの組み立て完了後に行う請求項8乃至14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドのエージング処理方法。
  16. 前記エージング工程を、前記液体吐出ヘッドの出荷後の初期セットアップ時に行う請求項8乃至14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドのエージング処理方法。
  17. 液体吐出装置の出荷後の初期セットアップ方法であって、
    請求項8に記載の液体吐出ヘッドのエージング処理方法を含むことを特徴とする初期セットアップ方法。
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