以下、実施例1を説明する。
図1は、画像形成装置100の断面図である。画像形成装置100の一例として、カラー電子写真複写機を説明する。画像形成装置100の本体40の上部には、原稿44を1枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置41と、自動原稿搬送装置41によって搬送される原稿44の画像を読み取る原稿読取装置42が配設されている。原稿読取装置42は、プラテンガラス43上に載置された原稿44を光源45によって照明する。原稿44からの反射光は、光学ミラー46,47,48および結像レンズ49からなる縮小光学系を介して、CCD等からなる画像読み取り素子50上に結像される。画像読み取り素子50は、原稿44の色材反射光像を所定のドット密度で読み取る。
原稿読取装置42にて読み取られた原稿44の色材反射光像は、R(赤),G(緑),B(青)の3色のデータとして画像処理装置51に送られる。画像処理装置51は、原稿44のR,G,Bデータに対して、シェーディング補正、ガンマ補正、色空間処理等の画像処理を施す。そして、画像処理装置51で所定の画像処理が施された画像データは、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の画像データとして露光装置(光走査装置)5へ出力される。露光装置5は、画像データに従って変調されたレーザ光(以下、光ビームという。)を出射し、像担持体としての感光体1の表面を露光する。
画像形成装置100は、画像形成部60を有する。画像形成部60は、感光体1上に形成された潜像を現像剤(トナー)で現像してトナー像とし、トナー像を用紙などの記録媒体(以下、シートという。)Pへ転写する。画像形成部60によりシートP上に形成されたトナー像は、定着装置(像加熱装置)3によりシートPに定着されてシートP上にカラー画像が形成される。以下、画像形成部60を説明する。画像形成部60は、感光体1を有する。感光体1は、プロセスカートリッジとして画像形成装置100に着脱可能に装着されていてもよい。感光体1は、ドラムモータで矢印Aで示す方向に回転できるように設けられている。感光体1の周囲には、一次帯電器4、電位センサ37、露光装置5、カラー現像ユニット7、白黒現像ユニット8、転写帯電器9、クリーナ装置6が配置されている。
画像の形成は、まず、帯電装置4に電圧を印加して感光体1の表面を予定の帯電部電位で一様にマイナス帯電させる。この帯電レベルは電位センサ37により検出され、この検出結果をもとに帯電装置4の出力強度はフィードバック制御される。続いて、レーザースキャナからなる露光装置5は、画像データをもとに、帯電された感光体1上の画像部分が予定の露光部電位になるように露光を行い潜像が形成される。露光装置5は画像データに基づいてオン・オフすることにより、画像に対応した潜像を形成する。
カラー現像ユニット7は、フルカラー現像のための3台のカラー現像ユニット7Y,7M,7Cからなる。カラー現像ユニット7Y,7M,7C,及び白黒現像ユニット8は、感光体1上の潜像をそれぞれY、M、C、Kのトナーで現像する。各色のトナーを現像する際には、駆動源からカラー現像ユニット7を矢印Rで示す方向に回転させ、当該色の現像装置が感光体1に当接するように位置合わせされる。
感光体1上に現像された各色のトナー像は、転写装置9によって中間転写体としてのベルト2に順次転写されて、4色のトナー像が重ね合わされる。ベルト2を挟んで転写ベルト駆動ローラ10と対向する位置にはベルトクリーナ14が設けられていて、ベルト2上の残留トナーがブレードで掻き落とされる。
ベルト2に転写されたトナー像は、さらに二次転写ローラ15でシートPに転写される。フルカラープリント時はベルト上で4色のトナーが重ね合わされた後、シートPに転写される。シートPは、シートカセット16からピックアップローラ17で搬送路に引き出され、搬送ローラ対18及び、19によってニップ部、つまり二次転写ローラ15とベルト2との当接部に給送される。
また、感光体1上に残留したトナーは予備清掃装置でトナーの帯電を、クリーニングしやすい状態にし、クリーナ装置6で除去・回収され、最後に、感光体1は除電装置(不図示)で一様に0ボルト付近まで除電されて、次の画像形成サイクルに備える。
トナー像が転写されたシートPは、定着装置3に送給される。シートP上のトナー像は、定着装置3で熱定着されて装置外へ排出される。定着装置3は、内部に発熱手段であるハロゲンヒータを有する2つのローラが、図示しない加圧機構によって互いに圧接しながら回転可能に配置された回転体対であるローラ対として構成されている。
画像形成装置100の画像形成タイミングは、ベルト2上の所定位置を基準として制御されている。ベルト2は、ローラ10,11,12,13に張架されている。転写ベルト駆動ローラ10は、駆動源(不図示)に結合されてベルト2を駆動する駆動ローラとして機能する。転写ベルトテンションローラ11,12は、ベルト2の張力を調節するテンションローラとして機能する。バックアップローラ13は、2次転写装置としての転写ローラ15のバックアップローラとして機能する。
テンションローラ12付近には、基準位置を検知する反射型センサ20が配置されている。反射型センサ20はベルト2の外周面端部に設けられた反射テープ等のマーキングを検知してI−top信号を出力する。
感光体1の外周の長さとベルト2の周長は、1:n(nは整数)で表される整数比になっている。このように設定しておくと、ベルト2が1周する間に、感光体1が整数回転し、ベルト1周前とまったく同じ状態に戻るため、中間転写ベルト2上に4色を重ね合わせる際に(ベルトは4周回る)、感光体1の回転ムラによる色ズレを回避することが可能である。
上記のような中間転写方式の画像形成装置においては、I−top信号を検知したのち、所定時間経過後にレーザースキャナからなる露光装置5で露光を開始する。また、前述したとおり、ベルト2が1周する間に、感光体1が整数回転し、ベルト1周前とまったく同じ状態に戻るため、ベルト2上では常に同じ位置にトナー像が形成される。シートPのサイズによって、トナー像サイズも変化するが、ベルト2上にはトナー像がのらない範囲が存在する。
次に、画像形成装置100の制御系200を説明する。図2は、画像形成装置100の制御系200のブロック図である。画像形成装置100は、システムコントローラ101により統括的にコントロールされる。システムコントローラ101は、主に本装置内の各負荷の駆動、センサ類の情報収集解析、そして操作部102即ちユーザインターフェースとのデータの交換の役割を担っている。システムコントローラ101は、上述した役割を担うために、CPU101aを搭載している。CPU101aは、システムコントローラ101に搭載されたROM(記憶部)101bに格納されたプログラムに基づいて予め決められた画像形成シーケンスに纏わる様々なシーケンスを実行する。また、その際、一次的または恒久的に保存することが必要な書換可能なデータを格納するために、RAM(記憶部)101cも搭載している。RAM101cには、例えば後述する高圧制御部105への高圧設定値、後述する各種データ、操作部102からの画像形成指令情報などを保存する。
操作部102は、ユーザにより設定された複写倍率、濃度設定値などの情報をシステムコントローラ101へ出力する。また、操作部102は、画像形成装置100の状態、例えば画像形成枚数や画像形成中か否かの情報、ジャムの発生やその箇所等をユーザへ示すため表示部112を有する。
画像形成装置100は、内部に単数或いは複数のモータ、クラッチ/ソレノイド等のDC負荷及び、フォトインターラプターやマイクロスイッチ等のセンサを配置している。つまり、モータの駆動や各DC負荷を適宜駆動させることで、シートPの搬送や各ユニットの駆動を行っており、その動作を監視しているものが各種センサである。そこでシステムコントローラ101は、各種センサ類109からの信号をもとに、モータ制御部107により各モータをコントロールさせると同時に、DC負荷制御部108により、クラッチ/ソレノイドを動作させて画像形成動作を円滑に進めている。また、高圧制御部105に各種高圧制御信号を送出することで、高圧ユニット106を構成する各種帯電器である一次帯電器4、図示しない補助帯電器、転写帯電器、及び現像器内の現像ローラに適切な高圧を印可させている。定着装置3の定着ローラ212及び加圧ローラ213の内部のハロゲンヒータ222及び223は、ACドライバ110によりON/OFFおよび通電量の制御が行われる。定着ローラ212には、定着ローラ212の表面温度を測定するための温度検知体としてのサーミスタ104が設けられている。サーミスタ104は、定着ローラ212の温度変化に従って変化するサーミスタ104の抵抗値を表すアナログ信号(電圧値)をAD変換器103へ出力する。AD変換器103は、サーミスタ104からのアナログ信号をデジタル値へ変換し、定着ローラ212の検知温度データとしてのデジタル値をシステムコントローラ101へ出力する。システムコントローラ101は、検知温度データとしてのデジタル値をもとにACドライバ110を制御する。
次に、図3を用いて、定着装置3を説明する。図3は、定着装置3の断面図である。定着装置3は、加熱回転体としての回転可能な定着ローラ(第一の回転体)212と、定着ローラ212に圧接し、定着ローラ212との間にニップ部NPを形成する加圧回転体としての回転可能な加圧ローラ(第二の回転体)213とを有する。定着ローラ212は、定着ローラ212を加熱する発熱体としてのハロゲンヒータ(定着ヒータ)222を内部に有する。加圧ローラ213は、加圧ローラ213を加熱する発熱体としてのハロゲンヒータ(定着ヒータ)223を内部に有する。なお、定着ローラ212及び加圧ローラ213は、発熱体としてのハロゲンヒータ222、223の代わりに加熱体としての誘導加熱素子を有していてもよい。加圧ローラ213は、発熱体または加熱体を有していなくてもよい。定着ローラ212及び加圧ローラ213は、加圧機構(不図示)により互いに圧接され回転可能に支持されている。定着ローラ212及び加圧ローラ213は、定着回転体対を構成する。定着ローラ212は、駆動手段としての定着モータ260により回転駆動される。定着モータ260は、制御手段としてのモータ制御部107を介してシステムコントローラ101により制御される。
システムコントローラ101は、サーミスタ104からの検知温度データに従ってACドライバ110を介してハロゲンヒータ222、223への通電量を制御して定着ローラ212および加圧ローラ213を設定温度に維持する。このようにして、定着装置3の定着ローラ212と加圧ローラ213とのニップ部は、トナー定着に適した設定温度に保たれる。未定着トナー像が形成されたシートPは、定着ローラ212と加圧ローラ213とのニップ部NPを通過し、ニップ部NPにより加熱および加圧されてトナー像がシートPに定着される。
ここで、定着装置3にシートPを通過させているときに、シートPの定着ローラ212又は加圧ローラ213への巻き付きジャムが発生することがある。巻き付きジャムが発生した場合、定着ローラ212及び加圧ローラ213を直ちに停止させて、シートPが定着ローラ212又は加圧ローラ213へそれ以上巻き付くことを防止する必要がある。そこで、ジャムを検知するために、シート搬送路上のシートPを検知する第二のシート検知手段としての定着入口センサ239が、シートPの搬送方向Xにおいてニップ部NPの上流に配置されている。また、シート搬送路上のシートPを検知する第一のシート検知手段としての定着出口センサ240が、シートPの搬送方向Xにおいてニップ部NPの下流に配置されている。
以下、定着装置3においてジャムが発生するときの定着入口センサ239及び定着出口センサ240の検知信号を説明する。図4は、定着装置3において発生するジャムの説明図である。図5は、ジャム発生時の定着入口センサ239と定着出口センサ240の検知信号の変化を示す図である。以下、定着装置3に発生するジャムとして、巻き付きジャムと中巻き付きジャムを説明する。巻き付きジャムは、シートPの先端部PLが加熱ローラ212に巻き付くことにより発生する。中巻き付きジャムは、シートPの先端部Pは加熱ローラ212から剥離されているが、中間部PMが加熱ローラ212から剥離せずに巻き付いてしまうことにより発生する。
まず、図4(a)、図4(b)、図4(c)、図5(a)、図5(b)及び図6を参照して、巻き付きジャムを説明する。図4(a)は、シートPの先端部PLが定着入口センサ239に到達した状態を示す図である。図4(b)は、シートPが定着ローラ212と加圧ローラ213の間のニップ部NPにより搬送され、シートPの先端部PLが定着出口センサ240に到達した状態を示す図である。図5(a)は、図4(b)に示す状態の後でシートPが定着ローラ212へ巻き付かずに正常に搬送されたときの定着入口センサ239と定着出口センサ240の検知信号の状態を示す。図5(a)に示すように、図4(a)の時点で、定着入口センサ239の検知信号は、ローレベル出力(以下、Lという。)からハイレベル出力(以下、Hという。)へ変わる。定着入口センサ239の検知信号は、シートPの後端部PTが定着入口センサ239を通過するまでHを維持する。シートPの後端部PTが定着入口センサ239を通過すると、定着入口センサ239の検知信号は、HからLへ変わる。図5(a)に示すように、図4(b)の時点で、定着出口センサ240の検知信号は、LからHへ変わる。定着出口センサ240の検知信号は、シートPの後端部PTが定着出口センサ240を通過するまでHを維持する。シートPの後端部PTが定着出口センサ240を通過すると、定着出口センサ240の検知信号は、HからLへ変わる。
図4(c)は、シートPが定着ローラ212と加圧ローラ213の間のニップ部NPにより搬送され、シートPの先端部PLが定着ローラ212に巻き付いた状態を示す図である。図5(b)は、図4(c)に示すようなシートPの定着ローラ212への巻き付きジャムが発生したときの定着入口センサ239と定着出口センサ240の検知信号の状態を示す。ニップ部NPで溶融したトナーが定着ローラ212から離れずにトナーの付着力によりシートPが定着ローラ212へ巻き付くことがある。シートPの先端部PLが定着ローラ212へ巻き付くので、シートPの先端部PLは、定着出口センサ240に到達しない。従って、図5(b)に示すように、図4(c)の時点で、定着出口センサ240の検知信号は、Lを維持したままである。
図6は、CPU101aにより実行される巻き付きジャムの検知動作を示す流れ図である。CPU101aは、ROM101bに格納されているプログラムに基づいて巻き付きジャムの検知動作を実行する。システムコントローラ101内のCPU101aは、定着入口センサ239の検知信号と定着出口センサ240の検知信号を監視している。CPU101aは、定着入口センサ239の検知信号と定着出口センサ240の検知信号に基づいてシートPの巻き付きジャムを検知する。巻き付きジャムを検知すると、CPU101aは、シートPの搬送を停止するために定着モータ260を停止する停止処理を行う。
巻き付きジャムの検知動作が開始されると、CPU101aは、定着入口センサ239の検知信号がLからHへ切り替わったか否かを判断する(S1)。シートPの先端部PLが定着入口センサ239に到達すると、図5(a)及び図5(b)に示すように定着入口センサ239の検知信号がLからHへ切り替わる。定着入口センサ239の検知信号がLからHへ切り替わった場合(S1でYES)、CPU101aは、第一のカウンタ(巻き付きジャムカウンタ)101dにクロック信号のカウントを開始させる(S2)。CPU101aは、定着出口センサ240の検知信号がLからHへ切り替わったか否かを判断する(S3)。定着出口センサ240の検知信号がLからHへ切り替わった場合(S3でYES)、CPU101aは、巻き付きジャムが発生していないと判断する。CPU101aは、第一のカウンタ101dを停止し(S4)、カウント値C1をクリアして、巻き付きジャムの検知動作を終了する。このようにシートPが正常に搬送された場合、カウント値C1は、シートPの先端部PLが定着入口センサ239から定着出口センサ240まで移動する移動時間を表す。
定着出口センサ240の検知信号がLからHへ切り替わっていない場合(S3でNO)、CPU101aは、第一のカウンタ101dのカウント値C1が第一のリミット値T1より大きいか否かを判断する(S5)。カウント値C1が第一のリミット値T1より大きくない場合(S5でNO)、CPU101aは、第一のカウンタにクロック信号のカウントを継続させ、S3へ戻る。シートPの移動時間が第一の時間以下であるので、シートPは、巻き付きジャムを発生せずに定着入口センサ239と定着出口センサ240との間を移動中であると判断される。
カウント値C1が第一のリミット値T1より大きい場合(S5でYES)、CPU101aは、巻き付きジャムが発生したと判断して定着モータ260を停止させる(S6)。CPU101aは、第一のカウンタ101dを停止し(S4)、カウント値C1をクリアして、巻き付きジャムの検知動作を終了する。このように巻き付きジャムが発生した場合、カウント値C1は、定着入口センサ239によりシートPが検知されている検知時間である。
シートPの巻き付きジャムが発生した場合、シートPの後端部PTが定着入口センサ239へ到達する前にシートPを止める。シートPのジャム処理を容易にするためである。そのため、第一のリミット値(第一の設定時間)T1は、以下の式を満たすように予め設定される。
(a+b)÷v<T1<(e−z)÷v
ここで、aは、図4(a)に示すように、定着入口センサ239とニップ部NPとの間の距離である。bは、ニップ部NPと定着出口センサ240との間の距離である。vは、シートPの搬送速度である。eは、シートPの搬送方向XにおけるシートPの長さである。zは、定着モータ260を停止させるための停止信号をモータ制御部107へ送信した時から定着ローラ212が実際に停止する時までに定着ローラ212が回転することによりシートPが移動する距離である。
巻き付きジャムの検知動作において、第一のリミット値(第一の設定時間)T1以内に定着出口センサ240へシートPの先端部PLが到達した場合、シートPが正常に搬送されたと判断する。巻き付きジャムの検知動作において、第一のリミット値T1以内に定着出口センサ240へシートPの先端部PLが到達しなかった場合、巻き付きジャムが発生したと判断し、定着モータ260を停止させる。
しかし、図4(b)に示すようにシートPが定着出口センサ240に到達した後、図4(d)に示すようにシートPの先端部PLは定着ローラ212から剥離しているが、中間部PMが定着ローラ212に巻きつく中巻き付きジャムが発生することがある。中巻き付きジャムが発生した場合、図6に示す巻き付きジャムの検知動作では、定着モータ260を停止させることができず、図4(e)のようにシートPが定着ローラ212に巻きついてしまう。中巻き付きジャムの発生時に少しでも早く定着ローラ212を停止させて、シートPの後端部PTをニップ部NPの上流に残せるように、CPU101aは、以下の中巻き付きジャムの検知動作を実行する。
以下、図5(c)及び図7を用いて中巻き付きジャムの検知動作を説明する。図5(c)は、図4(d)に示すようなシートPの定着ローラ212への中巻き付きジャムが発生したときの定着入口センサ239と定着出口センサ240の検知信号の状態を示す。シートPの先端側にはトナーが付着されておらず、中間部PMに高濃度のトナーが付着している場合、先端部Pは定着ローラ212から剥離しているが、中間部PMが剥離されずに定着ローラ212に巻きつくことがある。図4(b)に示すようにシートPの先端部PLが定着出口センサ240に到達した後、シートPの先端部PLが搬送方向Xと反対の方向へ移動して図4(d)に示すようにシートPの先端部PLが定着出口センサ240から離れる。従って、図5(c)に示すように、図4(d)の時点で、定着出口センサ240の検知信号は、HからLへ切り替わる。
図7は、CPU101aにより実行される中巻き付きジャムの検知動作を示す流れ図である。CPU101aは、ROM101bに格納されているプログラムに基づいて中巻き付きジャムの検知動作を実行する。システムコントローラ101内のCPU101aは、定着出口センサ240の検知信号を監視している。CPU101aは、定着出口センサ240の検知信号に基づいてシートPの中巻き付きジャムを検知する。中巻き付きジャムを検知すると、CPU101aは、シートPの搬送を停止するために定着モータ260を停止する停止処理を行う。
中巻き付きジャムの検知動作が開始されると、CPU101aは、定着出口センサ240の検知信号がLからHへ切り替わったか否かを判断する(S5)。シートPの先端部PLが定着出口センサ240に到達すると、図5(a)及び図5(c)に示すように、定着出口センサ240の検知信号がLからHへ切り替わる。定着出口センサ240の検知信号がLからHへ切り替わった場合(S5でYES)、CPU101aは、第二のカウンタ(第一の中巻き付きジャムカウンタ)101eにクロック信号のカウントを開始させる(S6)。CPU101aは、定着出口センサ240の検知信号がHからLへ切り替わったか否かを判断する(S7)。シートPが正常に搬送された場合、シートPの後端部PTが定着出口センサ240を通過すると、図5(a)に示すように定着出口センサ240の検知信号がHからLへ切り替わる。中巻き付きジャムが発生した場合、シートPの先端部PLが搬送方向Xと反対の方向へ引き戻されて、シートPの先端部PLが定着出口センサ240から抜け、定着出口センサ240の検知信号がHからLへ切り替わる。
定着出口センサ240の検知信号がHからLへ切り替わっていない場合(S7でNO)、CPU101aは、第二のカウンタ101eにクロック信号のカウントを継続させる。定着出口センサ240の検知信号がHからLへ切り替わった場合(S7でYES)、CPU101aは、第二のカウンタ101eのカウント値C2が第二のリミット値T2より小さいか否かを判断する(S8)。カウント値C2は、定着出口センサ240の検知信号がHである時間を表している。
カウント値C2が第二のリミット値T2より小さくない場合(S8でNO)、CPU101aは、中巻き付きジャムが発生していないと判断する。すなわち、定着出口センサ240がシートPの検知を開始してからシートPの検知を終了するまでの検知時間(カウント値C2)が予め設定された時間(第二のリミット値T2)以上である場合(図5(a))、シートPは正常に搬送されたと判断される。CPU101aは、第二のカウンタ101eを停止し(S9)、カウント値C2をクリアして、中巻き付きジャムの検知動作を終了する。
一方、カウント値C2が第二のリミット値T2より小さい場合(S8でYES)、CPU101aは、中巻き付きジャムが発生したと判断して定着モータ260を停止させる(S10)。すなわち、定着出口センサ240がシートPの検知を開始してからシートPの検知を終了するまでの検知時間(カウント値C2)が予め設定された時間(第二のリミット値T2)より短い場合(図5(c))、シートPの中巻き付きジャムが発生したと判断される。CPU101aは、第二のカウンタ101eを停止し(S9)、カウント値C2をクリアして、中巻き付きジャムの検知動作を終了する。
第二のリミット値(第二の設定時間)T2は、以下の式を満たすように予め設定される。
T2<e÷v
ここで、eは、シートPの搬送方向XにおけるシートPの長さである。vは、シートPの搬送速度である。第二のリミット値T2は、ジャムを発生せずに正常に搬送されるシートPの先端部PLが定着出口センサ240を通過した時からシートPの後端部PTが定着出口センサ240を通過する時までにかかる時間よりも短い時間に予め設定されている。なお、シートPの中巻き付きジャムが発生した場合、シートPが定着ローラ212に巻き付く量を少なくするために、第二のリミット値T2を、以下の式を満たすように設定してもよい。
T2<(e―b)÷v
この場合、第二のリミット値T2は、ジャムを発生せずに正常に搬送されるシートPの先端部PLが定着出口センサ240を通過した時からシートPの後端部PTがニップ部NPを通過する時までにかかる時間よりも短い時間に設定されている。
中巻き付きジャムが発生しなかった場合、定着出口センサ240の検知信号がHである時間は、第二のリミット値T2よりも長くなる。すなわち、定着出口センサ240の検知信号がHである時間に相当するカウント値C2が第二のリミット値T2以上である場合、シートPが正常に搬送されたと判断できる。中巻き付きジャムが発生した場合、シートPの先端部PLが定着出口センサ240を一度通過してから、戻ってきて定着出口センサ240を逆方向へ抜け出る。定着出口センサ240の検知信号のHは、シートPの先端部PLが定着出口センサ240を通過した時からシートPが戻り始める時までの時間の2倍の時間出力される。このため、定着出口センサ240からシートPの先端部PLがシートPの長さeの半分の距離e/2より短い位置まで進んだ時に中巻き付きジャムが発生した場合、定着出口センサ240の検知信号がHである時間が第二のリミット値T2より短くなる。よって、カウント値C2が第二のリミット値T2より小さい場合、中巻き付きジャムが発生したと判断し、定着モータ260を停止させ、シートPがそれ以上定着ローラ212に巻き付かないようにすることができる。
実施例1によれば、中巻き付きジャムが発生した場合、定着モータ260を停止させることにより、シートPが定着ローラ212へ巻き付く量を低減することができる。
以下、実施例2を説明する。実施例2の画像形成装置100の構成および動作は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。実施例2において、実施例1と同様の構造には同様の参照符号を付して説明を省略する。以下、図8、図9及び図10を参照して、実施例2による画像形成装置100の定着装置3の中巻き付きジャムの検知動作を説明する。
図8は、実施例2の定着装置3において発生する中巻き付きジャムの説明図である。定着装置3は、加熱回転体としての回転可能な定着ローラ(第一の回転体)212と、定着ローラ212に圧接し、定着ローラ212との間にニップ部NPを形成する加圧回転体としての回転可能な加圧ローラ(第二の回転体)213とを有する。シート搬送路上のシートPを検知する第二のシート検知手段としての定着入口センサ(上流側検知手段)239が、シートPの搬送方向Xにおいてニップ部NPの上流に配置されている。また、シート搬送路上のシートPを検知する第一のシート検知手段としての定着出口センサ240が、シートPの搬送方向Xにおいてニップ部NPの下流に配置されている。さらに、シート搬送路上のシートPを検知する第三のシート検知手段としての定着排出センサ(下流側検知手段)241が、シートPの搬送方向Xにおいて定着出口センサ240の下流に配置されている。
中巻き付きジャムの発生に応じて定着モータ260を停止したときに、定着入口センサ239の上流にシートPの後端部PTが位置し、又は、定着出口センサ240の下流にシートPの先端部PTが位置するとよい。そのため、定着装置3は、次の式を満たすように構成されているとよい。
emin>a+b+2c+z
c>z
ここで、aは、図8(a)に示すように、定着入口センサ239とニップ部NPとの間の距離である。bは、ニップ部NPと定着出口センサ240との間の距離である。eminは、画像形成装置100において搬送可能な最小サイズのシートPminの搬送方向Xにおける長さである。cは、定着出口センサ240と定着排出センサ241との間の距離である。zは、定着モータ260を停止させるための停止信号をモータ制御部107へ送信した時から定着ローラ212が実際に停止する時までに定着ローラ212が回転することによりシートPが移動する距離である。
図9は、実施例2の定着入口センサ239と定着出口センサ240と定着排出センサ241の検知信号の変化を示す図である。図9(a)は、中巻き付きジャムの発生なしにシートPが正常に搬送されたときの定着入口センサ239と定着出口センサ240と定着排出センサ241の検知信号の状態を示す。定着入口センサ239の検知信号、定着出口センサ240の検知信号および定着排出センサ241の検知信号は、シートPの長さeと搬送速度vで決まる時間だけHを維持し、その後、Lになる。定着入口センサ239の検知信号がHである時間は、第一のリミット値T1より短い。定着出口センサ240の検知信号がHである時間は、第二のリミット値T2より長く、その後、Lになる。定着排出センサ241の検知信号がHである時間は、後述する第三のリミット値T3より長く、その後、Lになる。図9(b)及び図9(c)は、中巻き付きジャムが発生したときの定着入口センサ239、定着出口センサ240及び定着排出センサ241の検知信号の変化を示す。
まず、図9(b)に示す中巻き付きジャムの検知動作を説明する。図9(b)において、図8(a)の時点で、シートPの先端部PLが定着入口センサ239に到達し、定着入口センサ239の検知信号がLからHへ切り替わる。その後、シートPの先端部PLが定着出口センサ240に到達すると、定着出口センサ240の検知信号がLからHへ切り替わる。定着出口センサ240の検知信号に基づく中巻き付きジャムの検知動作は、実施例1と同様であるので、図7を参照して説明する。
システムコントローラ101内のCPU101aが、定着出口センサ240の検知信号のHへの切り替わりを検知すると(S5でYES)、第二のカウンタ101eにクロック信号のカウントを開始させる(S6)。シートPの先端部PLが図8(b)に示すように定着排出センサ241の手前まで進んだときに中巻き付きが発生すると、シートPの先端部PLは、搬送方向Xと反対の方向へ引き戻される。中巻き付きによりシートPの先端部PLが図8(c)に示すように定着出口センサ240の上流へ引き戻されると、定着出口センサ240の検知信号がHからLへ切り替わる。定着出口センサ240の検知信号がHからLへ切り替わった場合(S7でYES)、CPU101aは、第二のカウンタ101eのカウント値C2が第二のリミット値T2より小さいか否かを判断する(S8)。カウント値C2が第二のリミット値T2より小さい場合(S8でYES)、CPU101aは、中巻き付きジャムが発生したと判断して定着モータ260を停止させる(S10)。
このとき、定着入口センサ239にシートPの先端部PLが到達した時からシートPが停止した時までに進んだ距離は、a+b+zより大きく、a+b+2c+zより小さい。シートPの長さeは、a+b+2c+zよりも大きいので、図8(d)に示すようにシートPの後端部PTを定着入口センサ239の上流に位置させた状態で、シートPを停止させることができる。よって、画像形成装置100の定着装置3へアクセス可能な扉が開閉された後にジャムシートがまだ定着装置3に残っている場合でも、CPU101aは、ジャムシートの存在を確実に検知することができる。CPU101aは、ジャムシートが残っていることを表示部112に表示することができる。
次に、図9(c)に示す中巻き付きジャムの検知動作を説明する。図9(c)において、図8(a)の時点で、シートPの先端部PLが定着入口センサ239に到達し、定着入口センサ239の検知信号がLからHへ切り替わる。その後、シートPの先端部PLが定着出口センサ240に到達すると、定着出口センサ240の検知信号がLからHへ切り替わる。さらに、シートPが進み、図8(e)の時点で、シートPの先端部PLが定着排出センサ241に到達すると、定着排出センサ241の検知信号がLからHへ切り替わる。以下、図10を参照して、定着排出センサ241の検知信号に基づく中巻き付きジャムの検知動作を説明する。
図10は、実施例2のCPU101aにより実行される中巻き付きジャムの検知動作を示す流れ図である。CPU101aは、ROM101bに格納されているプログラムに基づいて中巻き付きジャムの検知動作を実行する。システムコントローラ101内のCPU101aは、定着排出センサ241の検知信号を監視している。CPU101aは、定着排出センサ241の検知信号に基づいてシートPの中巻き付きジャムを検知する。中巻き付きジャムを検知すると、CPU101aは、シートPの搬送を停止するために定着モータ260を停止する停止処理を行う。
中巻き付きジャムの検知動作が開始されると、CPU101aは、定着排出センサ241の検知信号がLからHへ切り替わったか否かを判断する(S15)。シートPの先端部PLが定着排出センサ241に到達すると、図9(a)及び図9(c)に示すように、定着排出センサ241の検知信号がLからHへ切り替わる。定着排出センサ241の検知信号がLからHへの切り替わった場合(S15でYES)、CPU101aは、第三のカウンタ(第二の中巻き付きジャムカウンタ)101fにクロック信号のカウントを開始させる(S16)。CPU101aは、定着排出センサ241の検知信号がHからLへ切り替わったか否かを判断する(S17)。シートPが正常に搬送された場合、シートPの後端部PTが定着排出センサ241を通過すると、図9(a)に示すように定着排出センサ241の検知信号がHからLへ切り替わる。一方、シートPの先端部PLが図8(f)に示す位置まで移動した後で中巻き付きが発生した場合、シートPの先端部PLが搬送方向Xと反対の方向へ引き戻される。シートPの先端部が引き戻されて、図8(g)に示すように定着排出センサ241から抜けて定着排出センサ241の上流に位置すると、定着排出センサ241の検知信号がHからLへ切り替わる。
定着排出センサ241の検知信号がHからLへ切り替わっていない場合(S17でNO)、CPU101aは、第三のカウンタ101fにクロック信号のカウントを継続させる。定着排出センサ241の検知信号がHからLへの切り替わった場合(S17でYES)、CPU101aは、第三のカウンタ101fのカウント値C3が第三のリミット値T3より小さいか否かを判断する(S18)。カウント値C3は、定着排出センサ241の検知信号がHである時間を表している。
カウント値C3が第三のリミット値T3より小さくない場合(S18でNO)、CPU101aは、中巻き付きが発生していないと判断する。すなわち、定着排出センサ241がシートPの検知を開始してからシートPの検知を終了するまでの検知時間(カウント値C3)が予め設定された時間(第三のリミット値T3)以上である場合(図9(a))、シートPは正常に搬送されたと判断される。CPU101aは、第三のカウンタ101fを停止し(S19)、カウント値C3をクリアして、中巻き付きジャムの検知動作を終了する。第三のリミット値(第三の設定時間)T3は、以下の式を満たすように予め設定される。
T3<e÷v
第三のリミット値T3は、ジャムを発生せずに正常に搬送されるシートPの先端部PLが定着排出センサ241を通過した時からシートPの後端部PTが定着排出センサ241を通過する時までにかかる時間よりも短い時間に予め設定されている。なお、シートPの中巻き付きが発生した場合、シートPが定着ローラ212に巻き付く量を少なくするために、第三のリミット値T3を、以下の式を満たすように設定してもよい。
T3<(e―b−c)÷v
この場合、第三のリミット値T3は、ジャムを発生せずに正常に搬送されるシートPの先端部PLが定着排出センサ241を通過した時からシートPの後端部PTがニップ部NPを通過する時までにかかる時間よりも短い時間に設定されている。
一方、カウント値C3が第三のリミット値T3より小さい場合(S18でYES)、CPU101aは、中巻き付きジャムが発生したと判断して定着モータ260を停止させる(S20)。すなわち、定着排出センサ241がシートPの検知を開始してからシートPの検知を終了するまでの検知時間(カウント値C3)が予め設定された時間(第三のリミット値T3)より短い場合(図9(c))、シートPの中巻き付きが発生したと判断される。CPU101aは、第三のカウンタ101fを停止し(S19)、カウント値C3をクリアして、中巻き付きジャムの検知動作を終了する。
本実施例において、定着排出センサ241の検知信号に基づいて中巻き付きと判断して定着ローラ212が停止されるまでに、シートPの先端部PLが引き戻される距離zは、c>zの関係を満たす。従って、図8(h)に示すようにシートPの先端部PLを定着出口センサ240の下流に位置させた状態で、シートPを停止させることができる。よって、画像形成装置100の定着装置3へアクセス可能な扉が開閉された後にジャムシートがまだ定着装置3に残っている場合、CPU101aは、ジャムシートの存在を確実に検知することができる。CPU101aは、ジャムシートが残っていることを表示部112に表示することができる。
実施例2によれば、中巻き付きが発生した場合、定着モータ260を停止させることにより、シートPが定着ローラ212へ巻き付く量を低減することができる。
以下、実施例3を説明する。実施例3の画像形成装置100の構成および動作は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。実施例3において、実施例1と同様の構造には同様の参照符号を付して説明を省略する。以下、図11及び図12を参照して、実施例3による画像形成装置100の定着装置3の中巻き付きジャムの検知動作を説明する。
図11は、実施例3の定着装置3において発生する中巻き付きジャムの説明図である。定着装置3は、加熱回転体としての回転可能な定着ローラ(第一の回転体)212と、定着ローラ212に圧接し、定着ローラ212との間にニップ部NPを形成する加圧回転体としての回転可能な加圧ローラ(第二の回転体)213とを有する。シート搬送路上のシートPを検知する第二のシート検知手段としての定着入口センサ(上流側検知手段)239が、シートPの搬送方向Xにおいてニップ部NPの上流に配置されている。また、シート搬送路上のシートPを検知する第一のシート検知手段としての定着出口センサ240が、シートPの搬送方向Xにおいてニップ部NPの下流に配置されている。さらに、定着出口センサ240の下流に定着出口ローラ対214が配置されている。定着出口ローラ対214のニップ部NP1は、定着ローラ212と加圧ローラ213との間のニップ部NPから排出されるシートPを挟持し、搬送方向XにシートPを搬送するシート搬送部材である。
定着出口ローラ対214は、駆動手段としてのローラモータ261(図2)により回転駆動され、シートPを搬送する。中巻き付きジャムが発生したときに定着ローラ212がシートPを引き戻す力よりも強い搬送力でシートPを搬送できるように、定着出口ローラ対214へ駆動力を与える。
中巻き付きジャムの発生に応じて定着モータ260を停止したときに、定着入口センサ239の上流にシートPの後端部PTが位置し、又は、定着出口センサ240の下流にシートPの先端部PTが位置するとよい。そのため、定着装置3は、次の式を満たすように構成されているとよい。
emin>a+b+2d+z
ここで、aは、図11(a)に示すように、定着入口センサ239とニップ部NPまでの距離である。bは、ニップ部NPと定着出口センサ240との間の距離である。eminは、画像形成装置100において搬送可能な最小サイズのシートPminの搬送方向Xにおける長さである。dは、定着出口センサ240と定着出口ローラ対214のニップ部NP1との間の距離である。zは、定着モータ260を停止させるための停止信号をモータ制御部107へ送信した時から定着ローラ212が実際に停止するまでに定着ローラ212が回転することによりシートPが移動する距離である。
図12は、定着入口センサ239と定着出口センサ240の検知信号の変化を示す図である。図11(a)は、シートPの先端部PLが定着入口センサ239に到達した状態を示す図である。図11(b)は、シートPが定着ローラ212と加圧ローラ213の間のニップ部NPにより搬送され、シートPの先端部PLが定着出口センサ240に到達した状態を示す図である。図12(a)は、中巻き付きジャムが発生せずにシートPが正常に搬送されたときの定着入口センサ239と定着出口センサ240の検知信号の状態を示す。定着入口センサ239の検知信号および定着出口センサ240の検知信号は、シートPの長さeと搬送速度vで決まる時間だけHを維持し、その後、Lになる。
次に、図12(b)に示す中巻き付きジャムの検知動作を説明する。図12(b)は、中巻き付きジャムが発生したときの定着入口センサ239および定着出口センサ240の検知信号の変化を示す。図12(b)において、図11(a)の時点で、シートPの先端部PLが定着入口センサ239に到達し、定着入口センサ239の検知信号がLからHへ切り替わる。その後、図11(b)の時点で、シートPの先端部PLが定着出口センサ240に到達すると、定着出口センサ240の検知信号がLからHへ切り替わる。定着出口センサ240の検知信号に基づく中巻き付きジャムの検知動作は、実施例1と同様であるので、図7を参照して説明する。
システムコントローラ101内のCPU101aが、定着出口センサ240の検知信号のHへの切り替わりを検知すると(S5でYES)、第二のカウンタ101eにクロック信号のカウントを開始させる(S6)。その後、シートPの先端部PLが定着出口ローラ対214のニップ部NP1の手前まで進んだときに中巻き付きが発生すると、シートPの先端部PLは、搬送方向Xと反対の方向へ引き戻される。中巻き付きによりシートPの先端部PLが図11(c)に示すように定着出口センサ240の上流へ引き戻されると、定着出口センサ240の検知信号がHからLへ切り替わる。定着出口センサ240の検知信号がHからLへの切り替わった場合(S7でYES)、CPU101aは、第二のカウンタ101eのカウント値C2が第二のリミット値T2より小さいか否かを判断する(S8)。カウント値C2が第二のリミット値T2より小さい場合(S8でYES)、CPU101aは、中巻き付きジャムが発生したと判断して定着モータ260を停止させる(S10)。
このとき、定着入口センサ239にシートPの先端部PLが到達した時からシートPが停止した時までに進んだ距離は、a+b+zより大きく、a+b+2d+zより小さい。シートPの長さeは、a+b+2d+zよりも大きいので、図11(d)に示すようにシートPの後端部を定着入口センサ239の上流に位置させた状態で、シートPを停止させることができる。よって、画像形成装置100の定着装置3へアクセス可能な扉が開閉された後にジャムシートがまだ定着装置3に残っている場合でも、CPU101aは、ジャムシートの存在を確実に検知することができる。CPU101aは、ジャムシートが残っていることを表示部112に表示することができる。本実施例において、定着入口センサ239にシートPの後端部PTを残すために必要な構成の条件は、上述した条件式emin>a+b+2d+zである。
図11(e)は、シートPが定着ローラ212と加圧ローラ213の間のニップ部NPにより搬送され、シートPの先端部PLが定着出口ローラ対214のニップ部NP1に到達した状態を示す図である。さらに、シートPが搬送されると、図11(f)に示すようにシートPの先端部PLは、定着出口ローラ対214のニップ部NP1により挟持され搬送される。図11(g)に示すようにシートPが定着出口ローラ対214に挟持されたあとに、例え中巻き付きが発生しそうになっても、シートPは、定着出口ローラ対214により引っ張られる。従って、図11(h)に示すように、定着出口ローラ対214の引っ張り力によりシートPが定着ローラ212から引きはがされて中巻き付きジャムを発生することはない。
画像形成装置100がe>a+b+2d+zの条件を満たすことにより、中巻き付きジャムが発生した場合でも、シートPの後端部PTを定着入口センサ239の下流に位置させることができ、CPU101aがジャムシートの存在を確実に確認することができる。
実施例3によれば、中巻き付きジャムが発生した場合、定着モータ260を停止させることにより、シートPが定着ローラ212へ巻き付く量を低減することができる。