JP2017037173A - 吸音フェルト - Google Patents

吸音フェルト Download PDF

Info

Publication number
JP2017037173A
JP2017037173A JP2015158102A JP2015158102A JP2017037173A JP 2017037173 A JP2017037173 A JP 2017037173A JP 2015158102 A JP2015158102 A JP 2015158102A JP 2015158102 A JP2015158102 A JP 2015158102A JP 2017037173 A JP2017037173 A JP 2017037173A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
felt
sound
dense layer
sound absorption
sound absorbing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015158102A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7032032B2 (ja
Inventor
博文 山中
Hirobumi Yamanaka
博文 山中
正人 増田
Masato Masuda
正人 増田
梶山 宏史
Hiroshi Kajiyama
宏史 梶山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2015158102A priority Critical patent/JP7032032B2/ja
Publication of JP2017037173A publication Critical patent/JP2017037173A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7032032B2 publication Critical patent/JP7032032B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

【課題】吸音材として、低周波数から高周波数にかけて高い吸音性能を有する吸音フェルトを提供する。
【解決手段】合成繊維からなるフェルトにおいて、通気度P(cc/cm・sec)と目付M(g/m)が1≦P/M−0.8≦1000を満足し、層厚みが10mm以下である緻密層が少なくとも1部を構成する吸音フェルト。緻密層が単繊維径1.0μm以下、繊維長が20〜150mmの範囲にある極細繊維から構成され、緻密層がフェルトの表層に配置されて、周波数1000Hzにおける吸音率が50%以上である吸音フェルト。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄型・軽量でありながらもフェルト材料に求められる特性に優れたものであり、特に低周波数から高周波数域にかけて優れた吸音特性を有する吸音材の使用に適したフェルトに関するものである。
自動車や建築物における室内環境向上への関心が高まっており、中でも騒音対策への要求は高く、吸音材が広く使用されている。吸音のメカニズムは、吸音材に入射した音波で振動した空気が吸音材内部で衝突や摩擦によって粘性抵抗を受け、熱エネルギーに変換されて散逸することにより、音響エネルギーが減衰することとされている。このため、吸音材の構造としては、音波が通過できる貫通構造をもち、かつ振動した空気が衝突・摩擦時に受ける粘性抵抗が大きくなるように吸音材内部の比表面積を大きくすることが望ましく、一般的に多孔質構造をもつ材料が吸音材として用いられている。
従来の吸音材では吸音特性に優れるものとしてグラスウール、ロックウール、アルミ繊維、発泡フォーム、多孔性セラミック等が使用されているが、人体への健康影響、リサイクルおよび環境適合性の点で問題があり、こうした材料を代替する吸音材が提案されてきている。
中でも合成繊維を絡合または接着して形成される不織布が、従来吸音材の抱える問題を克服することに加えて、安価で成形加工性が良好な点から比較的多くの提案がある。また、特に高周波数域の吸音性能は吸音材が厚いほど向上するため、合成繊維からなる吸音材では、吸音性能を向上させる手法として、目付を増加させる方法が用いられてきた。しかし、特に自動車用吸音材においては、燃費向上のために軽量かつ薄型の不織布の要求が高まっており、繊維径、積層構造、フィルム等の異素材との組合せなど様々な改良がなされてきている。さらに近年のハイブリッドカーや電気自動車の普及により、より高いレベルでの静粛性が求められるようになっており、ロードノイズといった低周波数域の吸音特性への要求が高まってきている。こうした吸音材に対する要求を達成するべく、種々の提案がなされている。
特許文献1では、繊度が1.1〜11dtexの繊維からなる不織布を基材とし、繊度が1.1デシテックス以下の繊維からなるメルトブロー不織布を積層した吸音材が提案されている。この技術においては、メルトブロー不織布による極細繊維の層と基材層との相互作用によって吸音性能が高まることで、低目付化を可能としている。たしかに従来の合成繊維からなる吸音材と比較して、薄型・軽量化が達成されているものの、高周波域を中心としたものであり、吸音性能は従来と同等であり、低周波域の吸音特性は満足のいくものではなかった。
また、特許文献2では、基材となる不織布に多孔質フィルムを貼り合わせることにより
軽量で厚みが薄く、吸音性能が良好な吸音材を提案している。たしかに多孔質フィルムとの組合せを採用することで、従来の合成樹脂由来の吸音材と比較して薄型・軽量化を達成しつつ、高周波数における吸音性能を向上させている。しかしながら、特許文献2においても、特許文献1と同様にロードノイズ等に該当する低周波域での吸音性能は不十分なものであった。
一方、特許文献3では、ミクロンオーダーの極細繊維からなる不織布を、基材となる繊維構造体に積層することで、低周波から高周波にかけて広くかつ良好な吸音特性を有する吸音材を提案している。低周波数域(1000Hz未満)の吸音性能は、目付増大による手法では向上させることが困難であるが、極細繊維からなる不織布を採用し、かつ不織布の積層構造を工夫することにより、低周波数域での吸音性能を向上させている。たしかに従来の合成繊維からなる吸音材と比較して、低周波数域においても吸音性能の向上が認められるものの、その吸音性能自体が不十分なものであり、自動車用途等での吸音材としての使用には積層させるなど目付けを増量させる必要が生じたり、軽量・薄型の吸音材としては採用困難なものであった。
特開2001−205725号公報(特許請求の範囲) 特開2006−285086号公報(特許請求の範囲) 特開2009−186825号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決するものであり、軽量、薄型であり、かつ低周波数域の吸音特性にも優れる吸音フェルトを提供することにある。
上記目的は以下の手段により達成される。
(1)合成繊維からなるフェルトにおいて、通気度P(cc/cm・sec)と目付M(g/m)が1≦P/M−0.8≦1000を満足し、かつ層厚みが10mm以下である緻密層が少なくとも1部を構成することを特徴とする吸音フェルト。
(2)緻密層が単繊維径1.0μm以下、繊維長が20〜150mmの範囲にある極細繊維から構成される(1)に記載の吸音フェルト。
(3)緻密層がフェルトの表層に配置されることを特徴とする(1)または(2)に記載の吸音フェルト。
(4)周波数1000Hzにおける吸音率が50%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の吸音フェルト。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の吸音フェルトが少なくとも一部を構成する繊維製品。
本発明は、薄型・軽量でありながらも吸音フェルト材料に求められる特性に優れたものであり、特に低周波数から高周波数域にかけて優れた吸音特性を有する吸音材に使用に適した吸音フェルトに関するものである。
図1は本発明の吸音フェルトの模式図
以下、本発明を望ましい実施形態とともに詳述する。
本発明の吸音フェルトは、合成繊維から構成され、通気度P(cc/cm・sec)と目付M(g/m)が1≦P/M−0.8≦1000を満足する緻密層が少なくとも一部を構成する必要がある。ここでいうフェルトとは、合成繊維をニードルパンチにより絡合させた不織布を指す。また、通気度Pとは、JIS L 1913(2010)に従いフラジール形通気性試験機により測定される通気度のことである。
吸音のメカニズムは、吸音材に入射した音波により振動した空気が衝突や摩擦によって熱エネルギーに変換されることにより、その音響エネルギーが減衰することとされている。このため、吸音材の構造としては、音波が入射して通過できる貫通構造をもち、通気性を有することが吸音に優れる特性を発揮する目安となる。一方、吸音作用を生じさせるためには、入射した音波がフェルト構成繊維に衝突および摩擦することによって、熱エネルギーに変換されることがそのメカニズムの一つであり、音波と接触できる比表面積を増大させることが好適である。この比表面積の増大は、構成繊維の繊維径を小さくすることや目付を増加させることで、フェルト密度が高くなることにより達成できるものであるが、フェルトの密度が高くなりすぎると、音波がフェルト内部へ入射せずに表面で反射することとなり、十分な吸音性能が得られない場合がある。
発明者らは鋭意検討の結果、吸音フェルトを構成する緻密層において、通気度Pと目付Mとの間で上記関係を満たす設計とすることで、薄型・軽量であって、特に低周波数域において高い吸音性能を発揮し、幅広い周波数域にかけて吸音性能に優れる吸音フェルトが得られることを見出したのである。P/M−0.8が上記範囲内にあることで、音波が緻密層内に入射できる通気性を有し、かつ繊維充填密度が十分に高く、音波と接触する構成繊維の比表面積が大きいために、音響エネルギーを熱エネルギーに効率良く変換できることとなり、高い吸音性能が得られる。
P/M−0.8が1以上であることにより、緻密層内の繊維充填密度が十分に高く、音波と接触可能な繊維の比表面積が大きいものとなり、かつ音波を表面で反射させることなく、緻密層へ入射できる通気性を確保できる。一方、P/M−0.8が1000以下であることにより、音波が入射できる通気性を十分に有しつつも、緻密層内の繊維充填密度が高く、音波と接触可能な繊維の比表面積を高いレベルで確保できる。このため、構成繊維との接触による音響エネルギーの熱エネルギーへの変換が効率よく行われ、低周波数域で優れた吸音性能を発揮することとなる。
特に低周波数域における吸音性能は、比表面積によって大きく影響を受ける傾向にある。このため、より低周波数域での吸音性能を高める観点からP/M−0.8が500以下であることが好ましく、さらに高い吸音性能を維持しつつ、かつ薄型・軽量化への要求が高い用途に適用する観点から200以下であることがより好ましく、更に好ましくは100以下であり、一層好ましくは20以下である。緻密層の比表面積がより増大することになるため、波長の長い低周波数の音をより効率的に吸音することが可能となり、低周波数域での吸音性能の向上および吸音フェルトの薄型・軽量化につながるのである。
本発明の吸音シートは、厚みが10mm以下である緻密層が少なくとも一部を構成することが必要である。緻密層が係る範囲の厚みであれば、目付の増加を抑えることとなり、吸音フェルトの薄型・軽量化につながる。該緻密層は特に低周波数域における吸音性能に大きく寄与する部分であるが、厚みが10mm以下であっても十分な吸音性能を発揮できるため、所望の性能を発揮しつつ、薄型・軽量化を満足することとなる。また、厚みが10mmを超えると必然的に緻密層の密度が非常に高まることとなり、音波を反射する作用が働くこととなり、厚みを10mm以下とすることで、吸音性能を発揮させることが可能となる。一方、緻密層厚みの下限の目安として、緻密層形状を実質的に維持する観点から0.001mm以上であることが好ましい。また、該吸音シートの緻密層は単独で使用しても良いが、他の繊維層との積層構造であってもよい。例えば該緻密層をより密度の低いフェルトを基材として積層することにより、吸音フェルトの剛性が高まって、入射した音響エネルギーによる緻密層の振動を抑制することとなり、効率良く熱エネルギーへ変換されることとなる。また、吸音フェルトがへたりにくくなり、耐久性向上にもつながる。さらに、緻密層の吸音特性と基材に使用するフェルトの吸音特性との相互作用によって、吸音性能をさらに高めることも可能となる。なお、積層する繊維層は緻密層よりも密度の低いものであれば特に限定されるものではなく、繊維層の積層数についても特に制限されない。
本発明の吸音フェルトは、緻密層が単繊維径1.0μm以下、繊維長が20〜150mmの範囲にある極細繊維から構成されることが好ましい。ここでいう単繊維径とは、吸音フェルトの緻密層中の合成繊維について、電子顕微鏡により撮影した画像から任意の単繊維100本の繊維幅を測定し、その平均の小数点以下2桁目を四捨五入して小数点以下1桁目まで求めた値のことである。また、ここでいう繊維長は以下の方法により求めた値である。すなわち、フェルト緻密層の作製に用いる合成繊維に0.2g/dtexの荷重をかけて、捲縮が伸びた状態の繊維長を定規によって測定し、これを無作為に抽出した単繊維20本について実施して、その平均の小数点以下1桁目を四捨五入して整数とした値を繊維長とした。
吸音性能に大きく寄与する緻密層において、単繊維径が1.0μm以下であると、繊維の極細化によって該緻密層における繊維充填密度が高まることとなる。このため、音波が構成繊維と接触する比表面積が十分大きくなり、衝突・摩擦による熱エネルギーへの変換が効率的に生じることになるため好適である。特に低周波数域の吸音性能を高める観点から、緻密層を構成する極細繊維の単繊維径は0.7μm以下であることがより好ましい。また、単繊維径が細くなるほど、フェルトに塵や汚れ等が付着しやすくなり、製造工程中での取扱い性が低下するため、本発明においては、単繊維径下限の目安は、0.05μmである。また、該緻密層を構成する極細繊維は単繊維径の均一性が非常に高いものであるため、構成繊維の単繊維径がばらつきやすいスパンボンドやメルトブロー等の長繊維型不織布と比較して、吸音に影響する貫通孔(ポア)サイズの均一性が高くなる。このため、該緻密層の設計によって吸音特性の制御をより細かく行うことが可能である。
繊維長が上記範囲内にあることで極細繊維同士がフェルトの形態保持に十分な絡合力をもち、極細繊維の脱落を抑制することとなる。また、フェルトの吸音性能に大きく寄与する貫通孔の構造を安定的に保つことにも有効に作用する。繊維長が20mmよりも大きいことで、フェルトを構成する極細繊維同士の絡合が十分なものとなり、極細繊維の脱落を抑制できる。また、フェルト形態が安定なものとなるため、吸音材として使用する際にフェルト構造の経時変化が生じにくく、吸音性能を安定的に維持することができる。加えて、繊維長が150mmよりも小さいことで、単独繊維内での絡合が生じて、繊維塊を形成し、フェルト構造を乱す問題を防ぐことができる。このため、安定した吸音性能を発揮できることとなる。特に低周波数域における吸音性能は、フェルト構造に大きく影響を受ける。このため、低周波数域における吸音性能を安定化させる観点から、緻密層を構成する極細繊維の繊維長は30〜100mmの範囲にあることがより好ましい。
本発明の吸音フェルトは、緻密層がフェルトの表層に配置されることが好ましい。比表面積が大きく、吸音性能に優れる緻密層が表層に存在することにより、音が効率よく緻密層に入射して、熱エネルギーに変換されることとなる。例えば積層構造とする際に、より密度の低い繊維層で緻密層を挟み込む配置とした場合、低密度の繊維層に入射した音の進行方向がランダムとなり、緻密層に到達する際に音を効率よく入射させることが困難となり、結果的に緻密層が表層に存在する場合よりも、吸音性能が低下することとなる。
本発明の吸音フェルトは、周波数1000Hzにおける吸音率が50%以上であることが好ましい。ここでいう吸音率とは以下実施例に記載の垂直入射方式で測定した吸音率を指す。一般に吸音フェルトをはじめとする多孔質構造を利用した材料では、音の周波数が高くなるほど、吸音性能が高くなる特性がある。このため、高周波数域(波長が短い)の音に対しては高い吸音性能が得られるものの、低周波数域(波長が長い)の音に対しては十分な効果が得られない。吸音材に入射した音波は多孔質材料の孔や隙間内の空気を振動して粘性抵抗を受け、音響エネルギーが熱エネルギーへと変換される。しかしながら、入射する音波の波長が長いと振動速度が遅くなるため、結果として、音響エネルギーの熱エネルギーへの変換効率が低下し、吸音性能が低いものとなる。
発明者らは鋭意検討の結果、極細繊維からなる緻密層が低周波数域において、特異的に高い吸音性能を発揮することを見出した。これは、繊維径がナノメートルオーダーと極めて細いものであることから、比表面積が極めて大きくなることとなり、振動速度の遅い低周波数域の音波に対しても、音響エネルギーから熱エネルギーへの変換効率が高いものとなることによる。周波数1000Hzにおける吸音率が50%以上あることで、従来の吸音材では吸収しきれなかった騒音を低減できることとなる。
騒音に対する吸音率は高いほど望ましいものであり、周波数1000Hzにおける吸音率が70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。吸音率が70%以上であれば、周波数1000Hzの騒音を低減できることとなり、80%以上であれば、周波数1000Hzの騒音をほとんど感じないこととなる。
本発明の吸音フェルトを構成する合成繊維に使用するポリマーとしては、一般的な合成繊維の製造に用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル等が挙げられるが、中でもポリエステルが好ましい。用いるポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびその共重合体等が挙げられる。
なお、ポリエステル以外のポリマーとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイドおよびこれらの共重合体等が挙げられる。
また、廃棄処分時の環境負荷低減の観点から、生分解性ポリマーを使用してもよく、例えば、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートサクシネートまたはこれらの共重合体等が挙げられる。
本発明の吸音フェルトの製造方法としては、特に限定されるものではないが、以下にニードルパンチ法による製造方法の一例を示す。
薬液等で溶出可能な易溶出ポリマーを海成分に、熱可塑性ポリマーを島成分に配し、その島成分径がナノメートルオーダーである海島複合繊維の短繊維を、まずカード機に通し、ニードルパンチ装置へ投入する前処理として開繊させる。なお、この短繊維はニードルパンチによる絡合力を高める観点から、クリンパー等により捲縮が付与されていることが好ましい。次いで、ニードルパンチ装置の供給部に短繊維を投入し、さらに開繊・引き揃えを行って、シート状の繊維ウェブを形成し、これをクロスラッパー部で積層したシートにして、ニードルパンチ部へと運搬する。ニードルパンチ部に到達すると、シート状に並べられた短繊維同士を、上下に動くニードルによって絡合させて、緻密層の前駆体となるフェルトとする。一方、積層基材として使用するフェルトを熱可塑性ポリマー単成分からなるミクロンオーダーの繊維を使用し、同様にニードルパンチ法によって作製する。緻密層の前駆体となるフェルトを積層基材フェルトの上に重ねて、再びニードルパンチ装置に通すことにより、フェルト層間での絡合により積層一体化された吸音フェルトが得られる。
次いで、このフェルトをアルカリ等の薬液が入った浴に浸漬させ、海島複合繊維の海成分を溶解除去することにより、島成分を露出させ、フェルト緻密層にナノメートルオーダーの繊維径をもつ極細繊維を発生させる方法が好ましい。また、海成分の溶解除去工程では、一般的に熱を加えることとなり、極細繊維が発生することに加えて、フェルトに収縮が生じるため、より繊維充填密度の高い緻密層が得られることとなる。こうして極細繊維からなる緻密層と基材フェルトが積層一体化された吸音フェルトが得られる。
なお、海島複合繊維の海成分を予め除去し、極細繊維としてからフェルト化する方法も考えられるが、極細化による摩擦力の増大や静電気による影響によって、カード機やニードルパンチ部に極細繊維が多量に付着することとなり、原料ロスの増大、装置故障、製造するフェルト構造のバラツキが大きくなる等、製造工程に対して悪影響を与えることとなり、フェルト化後に極細繊維を発生させる製造方法を選択することが好ましい。
フェルトを積層構造とする際には、剥離抑制の観点から、基材となるフェルトには低融点繊維やバインダー等が含まれていてもよく、極細繊維からなる緻密層と積層した後、熱処理することにより接着させることや各種接着剤を使用して接着させる方法も適用できる。吸音フェルトの一体性を向上させ、緻密層と基材との剥離による吸音性能低下を防ぐことができる。
本発明の吸音フェルトは、用途に応じて機能付与することも可能であり、各種機能剤を添加してもよい。添加する機能剤としては、例えば、顔料、撥水剤、吸水剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属粒子、無機化合物粒子、香料、脱臭剤、抗菌剤、ガス吸着剤等が挙げられる。また、撥水加工、防炎加工、難燃加工、抗菌加工などの機能加工を施されていてもよい。
本発明の吸音シートは、吸音材として使用した場合に低周波数から高周波数にわたる広い領域で高い吸音性能を発揮するので、自動車、電子機器、建築物、住宅用などの様々な用途の吸音材として好適に用いることができる。
以下実施例を挙げて、本発明の吸音フェルトについて具体的に説明する。
実施例および比較例で、下記の評価を行った。
A.単繊維径
Nikon製電子顕微鏡E−SEMにて、フェルト緻密層中の合成繊維を撮影した画像において、任意の単繊維100本について繊維幅を測定し、その平均の小数点以下2桁目を四捨五入して小数点以下1桁目まで求めた値を単繊維径とした。
B.繊維長
フェルト緻密層を構成する合成繊維に0.2g/dtexの荷重をかけて、捲縮が伸びた状態の長さを定規によって測定した。これを無作為に抽出した単繊維20本について実施し、その平均の小数点以下1桁目を四捨五入して整数とした値を繊維長とした。
C.目付
250mm×250mm角に切り出したフェルトの重量を秤量し、単位面積(1m)当たりの重量に換算した。この換算値の小数点以下1桁目を四捨五入して整数値としたものを繊維シートの目付とした。
D.通気度
JIS L1913(2010)に記載の方法に従って、フラジール形試験機を用いて作製した吸音フェルトの通気度を測定し、小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁目まで求めた値を通気度とした。
E.P/M−0.8の算出
C.項で求めた目付をM(g/m)、D.項で測定した通気度をP(cc/cm2・sec)として、P/M−0.8の値を算出し、小数点以下1桁目を四捨五入して整数値とした。
F.緻密層厚み
ダイヤルシックネスゲージ(TECLOCK社 SM−114 測定子形状10mmφ、目量0.01mm、測定力2.5N以下)を用いて吸音フェルトの厚みを測定した。測定は1サンプルにつき任意の5ヶ所で行い、その平均の小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁目まで求めた値を吸音フェルトの厚みとした。次いで、基材フェルトの厚みを同様の方法で測定し、吸音フェルトの厚みから基材フェルトの厚みを差し引いた値を緻密層厚みとした。
G.吸音率
JIS A 1405−1(2007)「管内法による建築材料の垂直入射吸音率測定法」に準じ、電子測器株式会社製「自動垂直入射吸音率測定器」を使用して測定した。
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を島成分、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を10mol%共重合したPET(共重合PET)を海成分(島成分/海成分=70/30)として、紡糸温度295℃、紡糸速度1500m/minにて溶融紡糸した後、ロール延伸によって単繊維径22μmの海島複合繊維(島成分径:0.60μm)を作製した。次いで、この海島複合繊維について、クリンパーによる捲縮付与(捲縮数:12山/25mm)およびカット(繊維長:51mm)を実施した。この海島複合繊維をカード機に通して開繊した後に、ニードルパンチ装置へ仕込んだ。仕込んだ海島複合繊維をさらに開繊・引き揃えながら繊維ウェブを形成させ、これをクロスラッパー部で積層した。次いで、積層した繊維ウェブを装置のコンベアによって、ニードルパンチ部へ運搬し、上下に動くニードル(パンチ密度:40本/cm)によって積層ウェブ中の繊維同士を絡合させて緻密層(A)の前駆体となるフェルト(目付:160g/m)を作製した。
一方、単繊維径が14μmのPET繊維(捲縮数:12山/25mm、繊維長:51mm)を使用して、上記と同様の方法によりフェルト(目付:160g/m)を作製した。このPET繊維により作製したフェルトを基材(B)として、その上に海島複合繊維によるフェルトを重ね、ニードルパンチ装置(パンチ密度:40本/cm)に通すことで両フェルトを絡合、一体化し、積層フェルトを得た。
次いで、この積層フェルトを0.2重量%マレイン酸水溶液に浸漬し、130℃で30分攪拌処理した後、1重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、75℃で40分攪拌処理した。処理後の積層フェルトを純水で洗浄して残留した水酸化ナトリウムおよび共重合PETの分解物を除去した後、送風乾燥機(55℃)で乾燥を行った。この薬液処理によって、海島複合繊維の海成分を溶解除去し、積層フェルト中に極細繊維(繊維径0.60μm)が発生し、基材(B)フェルトの上に緻密層(A)が積層されたフェルトを得た。この積層フェルトを単繊維径が25μmのPET繊維(捲縮数:12山/25mm、カット長:51mm)からなるフェルト(基材(C)、目付:400g/m)に積層し、ニードルパンチ装置(パンチ密度:40本/cm)に通すことで、一体化し、吸音フェルトを得た。
得られた吸音フェルトは目付が672g/m(緻密層(A):112g/m、基材(B):160g/m、基材(C):400g/m)、厚みが24.67mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.46mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。また、吸音フェルトの通気度は1.92cc/cm・secであり、音波が入射して通過できる貫通構造を有するものであった。緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は84であり、音波が入射できる通気性を十分に有しつつも、緻密層内の繊維充填密度が高く、音波と接触可能な繊維の比表面積を高いレベルで確保するものであった。このため、構成繊維との接触による音響エネルギーの熱エネルギーへの変換が効率よく行われることとなり、この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は100%と優れた吸音性能を発揮するものであった。
実施例2〜7
海島複合繊維における島成分径を1.00μm(実施例2)、0.88μm(実施例3)、0.74μm(実施例4)、0.34μm(実施例5)、0.21μm(実施例6)、0.10μm(実施例7)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例2で得られた吸音フェルトは、厚みが24.93mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.72mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は22.94cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は1000であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は56%であり、十分な吸音性能を発揮した。
実施例3で得られた吸音フェルトは、厚みが24.82mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.61mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は11.47cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は500であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は72%であり、良好な吸音性能を発揮した。
実施例4で得られた吸音フェルトは、厚みが24.78mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.57mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は4.58cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は200であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は81%であり、優れた吸音性能を発揮した。
実施例5で得られた吸音フェルトは、厚みが24.40mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.19mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は0.47cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は21であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は94%であり、優れた吸音性能を発揮した。
実施例6で得られた吸音フェルトは、厚みが24.33mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.12mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は0.12cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は5であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は96%であり、優れた吸音性能を発揮した。
実施例7で得られた吸音フェルトは、厚みが24.28mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.07mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は0.03cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は1であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は98%であり、優れた吸音性能を発揮した。
比較例1
海島複合繊維における島成分比率を50%、島成分径を1.00μmに変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
比較例1で得られた吸音フェルトは、厚みが24.89mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.68mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は24.09cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は1050と目付に対して通気性が非常に高く、緻密層内の繊維充填密度が低いものであった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は34%であり、吸音性能が不十分なものであった。
比較例2
緻密層の代わりに非通気性ポリエチレン製フィルムを、実施例1で使用した基材(B)および(C)フェルトに積層・接着した吸音フェルトを作製した。
比較例2で得られた吸音フェルトは、厚みが24.36mmであった。このうち非通気性ポリエチレン製フィルムの厚みは0.15mmであり、表面が平滑なものであった。吸音フェルトの通気度は0cc/cm・secと通気性がなく、非通気性ポリエチレン製フィルムの目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は0と音波が吸音フェルト構造内部へ入射せずに表面で反射する構造となっており、この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は6%であり、吸音性能が不十分なものであった。
比較例3
吸音フェルトにおける緻密層(A)の目付を3360g/mに変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。
比較例3で得られた吸音フェルトは、厚みが34.43mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは10.22mmと厚く非常に密度の高いフェルト層であった。吸音フェルトの通気度は0.01cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は7と通気性は有するものの、その程度は極めて小さいものであり、音波の一部が吸音フェルト構造内部へ入射せずに表面で反射する構造となっていると推測される。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は38%であり、吸音性能が不十分なものであった。
実施例8〜13
海島複合繊維の繊維長を30mm(実施例8)、20mm(実施例9)、15mm(実施例10)、100mm(実施例11)、150mm(実施例12)、170mm(実施例13)に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。
実施例8で得られた吸音フェルトは、厚みが24.63mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.42mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は2.12cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は92であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は92%であり、優れた吸音性能を発揮した。
実施例9で得られた吸音フェルトは、厚みが24.56mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.35mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は7.01cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は306であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は76%であり、良好な吸音性能を発揮した。
実施例10で得られた吸音フェルトは、厚みが24.49mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.28mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。なお、なお、緻密層(A)を構成する繊維長が短めであったため表面からは極細繊維の脱落が認められ、緻密層(A)の内部構造の乱れも認められたが問題ないレベルであった。吸音フェルトの通気度は16.52cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は720であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は54%であり、十分な吸音性能を発揮した。
実施例11で得られた吸音フェルトは、厚みが24.53mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.32mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は2.04cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は89であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は95%であり、優れた吸音性能を発揮した。
実施例12で得られた吸音フェルトは、厚みが24.55mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.33mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。なお、緻密層(A)表面の一部に極細繊維の同士が絡合した繊維塊が認められ、緻密層(A)の内部構造の一部が乱れていたが問題ないレベルであった。極細繊維が緻密な多孔構造を有するものであった。吸音フェルトの通気度は6.37cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は333であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は78%であり、良好な吸音性能を発揮した。
実施例13で得られた吸音フェルトは、厚みが24.58mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.37mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。なお、緻密層(A)表面に極細繊維の同士が絡合した繊維塊が多数認められ、緻密層(A)の内部構造に乱れが生じているものであったが問題ないレベルであった。吸音フェルトの通気度は12.27cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は535であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は66%であり、十分な吸音性能を発揮した。
実施例14〜16
海島複合繊維の島成分をナイロン6(融点225℃、実施例16)、ポリプロピレン(融点169℃、実施例17)、ポリブチレンテレフタレート(融点224℃、実施例18)に変更し、紡糸温度を285℃としたこと以外は、実施例1に従い実施した。
実施例14で得られた吸音フェルトは、厚みが24.72mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.51mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は2.09cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は91であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は94%であり、優れた吸音性能を発揮した。
実施例15で得られた吸音フェルトは、厚みが24.68mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.47mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は2.03cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は88であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は96%であり、優れた吸音性能を発揮した。
実施例16で得られた吸音フェルトは、厚みが24.65mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.44mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は1.97cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は86であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は96%であり、優れた吸音性能を発揮した。
実施例17
実施例1と同様の方法で緻密層(A)の前駆体フェルトを作製し、基材フェルトと積層することなく、前駆体フェルト単独で海成分の除去処理を行い、緻密層(A)のみからなる吸音フェルトを得た。
得られた吸音フェルトは、目付が112g/m(緻密層(A)のみ)、厚みが0.43mmであった。この吸音フェルトの通気度は1.87cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は82であった。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は83%であり、優れた吸音性能を発揮した。
実施例18
基材(B)フェルトの上に緻密層(A)が積層されたフェルトを実施例1と同様の方法で作製した。このフェルトを緻密層(A)が基材(C)フェルトと接するように積層して、ニードルパンチ装置(パンチ密度:40本/cm)に通すことで、一体化し、基材(B)フェルトと基材(C)フェルトの間に緻密層(A)が挟み込まれた構成の吸音フェルトを得た。
得られた吸音フェルトは、厚みが24.69mmであった。このうち緻密層(A)の厚みは0.48mmと非常に薄いフェルト層であり、吸音フェルトの薄型軽量化に寄与するものであった。吸音フェルトの通気度は20.81cc/cm・secであり、緻密層の目付Mと通気度Pにより表されるP/M−0.8は907であった。この吸音フェルトは密度の低い繊維層で緻密層を挟み込む配置となっており、低密度の繊維層に入射した音波の進行方向がランダムとなるため、緻密層に到達する際に、音波の入射効率が緻密層を表層に配置する場合よりも低くなると推測される。この吸音フェルトについて、垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は57%であり、十分な吸音性能を発揮した。
比較例4〜6
実施例1と同様の方法で基材(B)フェルト(比較例4)、基材(C)フェルト(比較例5)、基材(B)と基材(C)との積層フェルト(比較例6)を作製した。
比較例4で得られた基材(B)フェルトは、目付が160g/m、厚みが1.21mmであった。なお、通気度は85.00cc/cm・secであり、参考として基材(B)の目付をMとし、通気度Pを用いて算出したP/M −0.8は4929と非常に通気性が高く、密度の低いフェルト構造であった。垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は7%であり、吸音性能が不十分なものであった。
比較例5で得られた基材(C)フェルトは、目付が400g/m、厚みが23.00mmであった。なお、通気度は53.00cc/cm・secであり、参考として基材(C)の目付をMとし、通気度Pを用いて算出したP/M −0.8は6396と非常に通気性が高く、密度の低いフェルト構造であった。垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は4%であり、吸音性能が不十分なものであった。
比較例6で得られた基材(B)と基材(C)との積層フェルトは、目付が560g/m、厚みが24.21mmであった。なお、通気度は30.60cc/cm・secであり、参考として積層フェルト(B+C)の目付をMB+Cとし、通気度Pを用いて算出したP/MB+C −0.8は4834であり、非常に通気性が高く、密度の低いフェルト構造であった。垂直入射吸音率測定法により測定した1000Hzにおける吸音率は8%であり、吸音性能が不十分なものであった。
本発明の吸音フェルトは、薄型・軽量であり、低周波数から高周波数の広い領域において高い吸音性能を有するものであり、自動車、鉄道、電子機器、建築物、住宅などの吸音材として有用である。
1 極細繊維による緻密層
2 1の緻密層より構成繊維径が大きい基材フェルト層
3 2の基材フェルト層よりも構成繊維径が大きい基材フェルト層

Claims (5)

  1. 合成繊維からなるフェルトにおいて、通気度P(cc/cm・sec)と目付M(g/m)が1≦P/M−0.8≦1000を満足し、かつ層厚みが10mm以下である緻密層が少なくとも1部を構成することを特徴とする吸音フェルト。
  2. 緻密層が単繊維径1.0μm以下、繊維長が20〜150mmの範囲にある極細繊維から構成される請求項1に記載の吸音フェルト。
  3. 緻密層がフェルトの表層に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の吸音フェルト。
  4. 周波数1000Hzにおける吸音率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸音フェルト。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の吸音フェルトが少なくとも一部を構成する繊維製品。
JP2015158102A 2015-08-10 2015-08-10 吸音フェルト Active JP7032032B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015158102A JP7032032B2 (ja) 2015-08-10 2015-08-10 吸音フェルト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015158102A JP7032032B2 (ja) 2015-08-10 2015-08-10 吸音フェルト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017037173A true JP2017037173A (ja) 2017-02-16
JP7032032B2 JP7032032B2 (ja) 2022-03-08

Family

ID=58049341

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015158102A Active JP7032032B2 (ja) 2015-08-10 2015-08-10 吸音フェルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7032032B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019131032A (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 マツダ株式会社 自動車のパネル構造
WO2020026923A1 (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 Jnc株式会社 積層吸音材

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005263118A (ja) * 2004-03-19 2005-09-29 Howa Seni Kogyo Kk 車輌用吸音材
JP2010128005A (ja) * 2008-11-25 2010-06-10 Asahi Kasei Fibers Corp 複合吸音材
JP2011006807A (ja) * 2009-06-24 2011-01-13 Teijin Fibers Ltd 乾式不織布および繊維製品
JP2015121631A (ja) * 2013-12-23 2015-07-02 日本バイリーン株式会社 吸音材

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005263118A (ja) * 2004-03-19 2005-09-29 Howa Seni Kogyo Kk 車輌用吸音材
JP2010128005A (ja) * 2008-11-25 2010-06-10 Asahi Kasei Fibers Corp 複合吸音材
JP2011006807A (ja) * 2009-06-24 2011-01-13 Teijin Fibers Ltd 乾式不織布および繊維製品
JP2015121631A (ja) * 2013-12-23 2015-07-02 日本バイリーン株式会社 吸音材

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019131032A (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 マツダ株式会社 自動車のパネル構造
JP7006319B2 (ja) 2018-01-31 2022-01-24 マツダ株式会社 自動車のパネル構造
WO2020026923A1 (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 Jnc株式会社 積層吸音材

Also Published As

Publication number Publication date
JP7032032B2 (ja) 2022-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5086018B2 (ja) 緩衝材及びその製造方法
JP5318513B2 (ja) 複層吸音材
JP6904445B2 (ja) 難燃性吸音材
JP2006047628A (ja) 吸音断熱材
JP5092144B2 (ja) 吸音材及びその製造方法
CN111527253A (zh) 无纺布、及使用其作为表皮材料而成的复合吸音材料
JP2009184296A (ja) 吸音材およびその製造方法
JP2019074751A (ja) 吸音材
KR20200130304A (ko) 적층 흡음재
WO2019107019A1 (ja) 多孔質繊維シート
KR20200102448A (ko) 적층 흡음재
JP7032032B2 (ja) 吸音フェルト
JP6769423B2 (ja) 吸音材
JP6349019B1 (ja) メルトブローン不織布及びその用途ならびにその製造方法
JP6493276B2 (ja) 吸音材
JP6646267B1 (ja) 積層吸音材
JP4032921B2 (ja) 吸音材
JP2005266445A (ja) 吸音材
JP2008290642A (ja) 吸音材およびその製造方法
JP6751278B1 (ja) 積層吸音材
JP2019043014A (ja) 複合吸音材
JP2021018265A (ja) 吸音材および吸音製品
JPH09317047A (ja) 防音材料
JP7462748B2 (ja) 複合吸音材
Kim et al. Characteristics of Eco-friendly Kenaf Fiber-Imbedded Nonwoven for Automotive Application

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180802

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200403

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201225

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20201225

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20210107

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20210112

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20210326

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20210330

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20210921

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20211021

C13 Notice of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C13

Effective date: 20211109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211216

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20220118

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20220222

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20220222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220224

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7032032

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151