JP6769423B2 - 吸音材 - Google Patents

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Description

本発明は、家電製品等からの騒音を吸音する吸音材に関する。
従来、電気冷蔵庫、エアコン、電気掃除機等の家電製品などにおいて、モータ、コンプレッサ等が発する騒音、振動を吸収するために、例えば多孔質体からなる吸音材(多孔質吸音材)を用いることが知られている。
多孔質吸音材は、多孔質体に音が入射した際に、音波が多孔質材料との摩擦、振動、粘性抵抗などを生じることによって、音エネルギーが熱エネルギーに変換、減衰することで吸音効果を発揮する。
多孔質吸音材は、音の周波数が高くなるほど高い吸音効果を示すものの、低周波数帯域の音(低周波音)に対しては吸音効果が低くなる傾向にある。
低周波音に対しては、膜振動による吸音が効果的であることが知られている。膜振動による吸音は、透過性の低い緻密な膜に音が衝突することで膜が振動して内部摩擦を生じ、音エネルギーが消費させることで吸音効果を発揮する。
例えば、非特許文献1には、多孔質体として不織布の表面に、透過性の低い膜としてポリエチレンフィルムが積層した吸音材が開示されている。
岡山県工業技術センターのホームページ、[online]、[平成29年9月7日検索]、インターネット、URL: http://www.pref.okayama.jp/sangyo/kougi/All/report/pdf/2012/H24-13.pdf
しかしながら、多孔質体の表面に透過性の低い膜を積層した吸音材は、低周波数帯域での吸音効果が得られるものの、膜表面で高周波数帯域の音(高周波音)を跳ね返してしまう。そのため、高周波数帯域での吸音効果が低下する。
多孔質体を厚くすれば、多孔質体単独でも高周波数帯域に加えて低周波数帯域での吸音効果が得られるが、吸音材の設置スペースによっては、吸音材の厚さが制限されている場合があり、設定以上の厚さの吸音材を配置することが困難となる。
本発明は、低周波音から高周波音まで広範囲の周波数帯域の音に対して、薄くても高い吸音効果を有する吸音材の提供を目的とする。
本発明は以下の構成を有する。
[1] 密度が0.04〜0.20g/cmであり、アスカーFP硬度が15〜95である多孔質体と、
前記多孔質体の少なくとも一方の面に設けられた、坪量が10〜100g/mであり、MD方向における引張伸びが100〜800%であるフィルムと、
前記多孔質体と前記フィルムとの間に設けられた接着剤層と、
を備え、
前記フィルムおよび接着剤層を貫通するスリットが設けられている、吸音材。
[2] 前記多孔質体が不織布である、[1]に記載の吸音材。
[3] 前記不織布が天然繊維を含む、[2]に記載の吸音材。
[4] 前記天然繊維がパルプ繊維である、[3]に記載の吸音材。
[5] 前記不織布を構成する全ての繊維の平均繊維径が6〜80μmである、[2]〜[4]のいずれか1つに記載の吸音材。
[6] 前記フィルムを構成する樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコールおよびポリ塩化ビニリデンからなる群より選ばれる1種以上である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の吸音材。
[7] 前記フィルムおよび接着剤層に設けられる全てのスリットの前記フィルム表面の面積当たりの開孔面積割合が0.1〜1.0%である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の吸音材。
[8] 前記フィルムおよび接着剤層に設けられる全てのスリットの長さが0.5〜15mmである、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の吸音材。
[9] 前記フィルムおよび接着剤層に設けられる全てのスリットの幅が1mm以下である、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の吸音材。
本発明の吸音材は、低周波音から高周波音まで広範囲の周波数帯域の音に対して、薄くても高い吸音効果を有する。
本発明の吸音材の一実施形態を模式的に示す平面図である。 図1に示す吸音材のA−A断面を模式的に示す断面図である。 多孔質体の一例を模式的に示す断面図である。 実施例1〜3、比較例1〜3、5の結果を示すグラフである。 実施例3〜5、比較例1〜5の結果を示すグラフである。
以下、本発明の吸音材について、添付の図面を参照し、実施形態を示して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
以下の明細書において、周波数は1000Hzを基準として、基準より高い帯域を「高周波数帯域」といい、高周波数帯域の音を「高周波音」という。対して、周波数が基準より低い帯域を「低周波数帯域」といい、低周波数帯域の音を「低周波音」という。
[吸音材]
図1は、本発明の吸音材の一実施形態を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示す吸音材のA−A断面を模式的に示す断面図である。
本実施形態の吸音材10は、多孔質体11と、多孔質体11の一方の面に設けられたフィルム12と、多孔質体11とフィルム12との間に設けられた接着剤層13とを備え、フィルム12および接着剤層13を貫通する複数のスリット14が設けられている。
<多孔質体>
多孔質体11は、主に高周波音(特に、2000Hz以上の高周波数帯域の音)を吸音するものである。
多孔質体11の密度は0.04〜0.20g/cmであり、0.05〜0.12g/cmが好ましい。多孔質体11の密度が上記範囲の下限値以上であると、多孔質体11としての構造が粗くなりにくく、音が通過する際の粘性・熱交換によるエネルギー損失が大きくなり、吸音性が高まる。よって、薄くても充分な吸音性を発揮できる。多孔質体11の密度が上記範囲の上限値以下であると、高周波数帯域の反射が小さく、多孔質体11としての吸音特性を良好に維持できる。また、フィルム12の膜振動を妨げにくいので、フィルム12による膜吸音特性も良好に維持できる。
多孔質体11のアスカーFP硬度は15〜95であり、20〜80が好ましい。多孔質体11のアスカーFP硬度が上記範囲の下限値以上であると、多孔質体11としての構造が粗くなりにくく、音が通過する際の粘性・熱交換によるエネルギー損失が大きくなり、吸音性が高まる。よって、薄くても充分な吸音性を発揮できる。多孔質体11のアスカーFP硬度が上記範囲の上限値以下であると、高周波数帯域の反射が小さく、多孔質体11としての吸音特性を良好に維持できる。また、フィルム12の膜振動を妨げにくいので、フィルム12による膜吸音特性も良好に維持できる。
多孔質体11のアスカーFP硬度は、デュロメータとしてアスカーゴム硬度計FP型を用いて測定される値である。具体的には、高さ2.54mm、直径15mmの円筒形の押針を用い、測定試料と接触する加圧基準面を50mm×37mmとして測定される硬さである。
多孔質体11の坪量は厚さと密度との関係から算出できる。
多孔質体11の坪量は、JIS L 1913:2010の「6.2 単位面積当たりの質量(ISO法)」に準拠して測定される値である。
多孔質体11の厚さは、目的とする吸音周波数に合わせて適宜調整でき、高周波数帯域での吸音特性が良好である観点から、0.5mm以上が好ましい。
多孔質体11の厚さは、JIS L 1913:2010の「6.1.1 A法」に準拠して測定される値である。
多孔質体11としては、多孔質であり、密度およびアスカーFP硬度が上記範囲内であれば特に制限されないが、例えば不織布、グラスウールボード、ロックウールボード、ロックウールブランケット、軟質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、メラミンフォーム、セルロース系発泡体などが挙げられる。これらの中でも、多孔質体11としての粘性特性や流れ抵抗、迷路度などが優位であり、吸音性に優れる観点から、不織布が好ましい。
不織布は、フェルトともいわれる。
不織布は、原料繊維として天然繊維を含むことが好ましい。天然繊維としては、パルプ繊維、綿、麻などの植物繊維;毛(例えば羊毛)、絹などの動物繊維;鉱物繊維などが挙げられる。これらの中でも、吸音性により優れる観点から、パルプ繊維が好ましい。
パルプ繊維は、ミクロフィブリル構造を有しているため、表面が不規則な形状であり、音が通過する際に粘性摩擦による音エネルギー減衰効果に優れる。加えて、パルプ繊維は、不規則に屈曲した形状を有し、捲縮状の形態を有する繊維であると共に、植物細胞の原形質が占めていた空孔(ルーメン)を有する中空管状の形態を有する繊維でもある。中空管状の形態を有する繊維は、中空部(空隙)を有することにより、騒音、振動を減衰させ、優れた吸音性を奏するものと考えられる。捲縮状の形態を有する繊維は、繊維同士が絡みやすく繊維間に空隙が形成されやすいことにより、優れた吸音性を奏するものと考えられる。
パルプ繊維の形状特性を示す指標として、パルプ繊維の(実繊維長−両端間距離)/(両端間距離)で示されるカール指数や、(繊維壁厚×2)/(ルーメン径)で示されるルンケル比などが知られている。
パルプ繊維としては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、ラグパルプ、リンターパルプ、リネンパルプ、楮・三椏・雁皮パルプなどの非木材パルプ、古紙パルプなどのパルプ;これらのパルプを原料パルプとし、該原料パルプを機械的処理により繊維状に解繊したフラッフパルプが挙げられる。なかでも、吸音性に優れる点から、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプのなかでは、強度に優れた不織布が得られやすい点からは、原料パルプとして針葉樹パルプを用いたフラッフパルプが好ましい。
原料パルプのパルプ化法は特に限定されず、公知の方法で得られたものを使用できる。
一般に、フラッフ化する前の原料パルプの含水率は35質量%以下であり、好ましくは10質量%以下、2質量%以上程度である。含水率の低いドライな状態の原料パルプを解繊することにより、繊維間結合しにくく、それ自体が嵩高なパルプが効率的に得られる。そして、このようなフラッフパルプを用いて製造した不織布は、内部に隙間が生じ、低密度化し、吸音性に優れる傾向にある。
原料パルプを機械的処理により解繊する際に用いる装置には特に制限はないが、例えば紙おむつ等の吸収性材料の製造時等に使用されている公知の解繊機、機械的処理として摩擦力やせん断力を利用する解繊機等を好適に使用できる。具体的には、歯付きシリンダーを有する解繊装置を好適に使用できる(特許第2521577号公報参照)。
機械的処理に供する原料パルプの形状は特に限定されないが、シート状にしたパルプ(いわゆるパルプシート)やシート状に漉き取ったパルプを巻取ロールのような状態にしたものが、取扱いが容易なため好ましい。
不織布は、原料繊維として合成樹脂からなる繊維を含んでもよい。
合成樹脂からなる繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ナイロン(登録商標)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)等からなる繊維が挙げられる。合成樹脂からなる繊維は、中空管状および捲縮状の少なくとも一方の形態を有していることが好ましい。なお、詳しくは後述するが、不織布がエアレイド不織布の場合、合成樹脂からなる繊維は、エアレイド不織布の製造時の熱処理において溶融しないものが好ましい。
合成樹脂からなり、中空管状の形態を有する繊維としては、例えば熱可塑性樹脂からなる中空管状の繊維前駆体を延伸して細径化する方法;少なくとも中心部と外周部とで成分の異なる繊維前駆体を製造し、該繊維前駆体から中心部の成分を溶解する等して除去し、中空管状とする方法;等で製造したものが挙げられる。中空管状の形態を有する繊維としては、いずれの方法で製造したものも使用できる。中空管状の形態を有する繊維の中空率にも特に制限はない。
合成繊維からなり、捲縮状の形態を有する繊維としては、捲縮のない繊維に対して人工的な手法で捲縮を付与した繊維が使用できる。
繊維に捲縮を付与する方法としては、仮撚り加工、一部に延伸を行う半延伸法のような外力による方法;熱膨張率の異なる複数種の材料を貼り合せるなどして製造された複合繊維に対して、熱処理を行うことによって捲縮させる方法等が挙げられる。なお、元々は捲縮を有していないが、中層を製造する際の熱処理等により捲縮が生じる潜在捲縮繊維も使用できる。
不織布は、中空管状および捲縮状の少なくとも一方の形態を有する繊維(α)を原料繊維の総質量に対して40質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは60質量%以上である。原料繊維は、繊維(α)のみから構成されていてもよい。すなわち、不織布は、繊維(α)を原料繊維の総質量に対して100質量%含んでもよい。また、不織布は、その他の繊維として、中空管状でも捲縮状でもない、天然繊維または合成樹脂からなるその他の繊維(β)を原料繊維の総質量に対して60質量%以下の範囲で含んでもよく、含む場合には、40質量%以下の範囲で含むことが好ましい。
不織布を構成する全ての繊維(原料繊維)の平均繊維径は6〜80μmが好ましく、10〜60μmがより好ましい。不織布を構成する全ての繊維の平均繊維径が上記範囲の下限値以上であると、音が通過する際の抵抗が小さくなるため、高周波数帯域の反射が小さくなり、多孔質体11としての吸音特性を良好に維持できる。不織布を構成する全ての繊維の平均繊維径が上記範囲の上限値以下であると、多孔質体11としての構造が粗くなりにくく、音が通過する際の粘性・熱交換によるエネルギー損失が大きくなり、吸音性は高まる。よって、薄くても充分な吸音性を発揮できる。
不織布は、高周波数帯域の反射を抑制しながら、粘性・熱交換によるエネルギー損失を確保する観点から、平均繊維径の異なる2種類以上の繊維を含んでいることが好ましく、具体的には、平均繊維径が30〜60μmの繊維(太繊維)と、10μm以上30μm未満の繊維(細繊維)とを含んでいることが好ましい。太繊維がパルプ繊維の場合、太繊維の割合は、原料繊維の総質量に対して60〜90質量%が好ましい。なお、細繊維のみでは嵩が出にくく、高密度になりやすく、高周波数帯域の反射が生じやすくなる傾向にある。一方、太繊維のみでは、多孔質構造が粗くなるため、音が空隙を通過する際の粘性・熱交換によるエネルギー損失が低下する傾向にある。
不織布を構成する全ての繊維(原料繊維)の平均繊維長は、1〜150mmが好ましく、1〜100mmがより好ましい。不織布がエアレイド不織布の場合、不織布を構成する全ての繊維の平均繊維長は、1〜10mmが好ましく、3〜6mmがより好ましい。不織布を構成する全ての繊維の平均繊維長が上記範囲の下限値以上であると、不織布の嵩密度が小さくなるため、高周波数帯域の反射が小さくなり、多孔質体11としての吸音特性を良好に維持できる。不織布を構成する全ての繊維の平均繊維長が上記範囲の上限値以下であると、繊維端部の数が減少しにくくなるため、空気層の分割が大きくなり、音が通過する際の粘性・熱交換によるエネルギー損失が大きくなる。
不織布としては、例えばエアレイド不織布、エアスルー不織布、ポリエチレン不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、レジンボンド不織布、羊毛フェルト、帝人フロンティア株式会社製の商品名「V−Lap(登録商標)」、スリーエムジャパン株式会社製の商品名「3Mシンサレート」などが挙げられる。これらの中でも、音が通過する際の粘性摩擦による音エネルギー減衰効果や吸音性に優れる観点から、エアレイド不織布が好ましい。
エアレイド不織布とは、空気流を利用して、不織布を構成する繊維を3次元的にランダムに積層させるエアレイド法によりウェブが形成された不織布である。
エアレイド不織布は、例えば以下のようにして製造される。まず、メッシュ状の無端ベルト上に透気性キャリアシートを配置し、該透気性キャリアシート上に、エアレイド方式のウェブ形成装置にて、不織布を構成する繊維を空気に分散させながら堆積させてウェブを形成する。次いで、ウェブに含まれる繊維を結合してエアレイド不織布を得る。繊維の結合方法としては、バインダーをスプレーして繊維間を接着させるラテックスボンド法、繊維と共に熱融着性樹脂や熱融着性繊維を供給し、加熱によって熱接着させるサーマルボンド法などが挙げられる。
熱融着性繊維は、エアレイド不織布を製造する際の熱処理により、少なくとも一部が溶融し、バインダーとして作用するものである。熱融着性繊維としては、融点の異なる2種類の樹脂を複合化させて得られ、繊維が部分的に溶融する芯鞘型構造等の熱融着性繊維が好ましい。芯鞘型構造の熱融着性繊維は、融点の高い樹脂からなる芯の外周上に、融点の低い樹脂からなる鞘が形成された構造を有し、具体的には、融点が異なる2種の樹脂を組み合わせた形態(PET/PET複合繊維、PE/PE複合繊維、PP/PP複合繊維、PE/PET複合繊維、PP/PET複合繊維、PE/PP複合繊維)が挙げられる。
不織布は、吸音効果を高めるために、粉体配合されたものであってもよい。粉体としては、不織布に配合でき、吸音効果を有するものであれば特に制限されないが、例えばホワイトカーボン、マイカ、パーミキュライト、シリカ、ゼオライトなどが挙げられる(奥平有三ら, 粉体工学会誌、Vol.32 No.5 (1995), P311-318;奥平有三ら, T. IEE Japan, Vol. 117-A, No. 1, P57-64参照。)。
多孔質体11は、単層構造であってもよいし、同種または異種の層の2層以上が積層した多層構造であってもよい。
特に吸音性を様々なバリエーションで制御できる観点から、多孔質体11としては、中層と、該中層の両面に設けられた表面層とからなる3層構造の不織布が好ましい。
以下、3層構造の多孔質体11の一例について、図3を参照しながら説明する。
図3に示す多孔質体11は、中層11aと、該中層11aの両面に設けられた表面層11bとからなる3層構造のシート状の多孔質体である。
(中層)
中層11aとしては、上述した不織布が好ましく、中でもパルプ繊維を含むエアレイド不織布がより好ましい。
中層11aがパルプ繊維を含むエアレイド不織布の場合、パルプ繊維の含有量は中層11aの総質量に対して、60〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましく、75〜85質量%がさらに好ましい。パルプ繊維の含有量が上記範囲の下限値以上であると、吸音性がより優れる。パルプ繊維の含有量が上記範囲の上限値以下であると、熱融着性繊維の割合が相対的に増加し、中層11aの強度が優れる傾向にある。
中層11aにおける熱融着性繊維の含有量は中層11aの総質量に対して、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、15〜25質量%がさらに好ましい。熱融着性繊維(b)の含有量が上記範囲の下限値以上であると、中層11aの強度が優れる。熱融着性繊維(b)の含有量が上記範囲の上限値以下であると、パルプ繊維の割合が相対的に増加し、吸音性が優れる傾向にある。
表面層11bがパルプ繊維を含まない場合、多孔質体11の厚さを100%としたときの中層11aの厚さの割合は、70.0〜99.8%であることが好ましく、75.0〜99.0%がより好ましい。中層11aの厚さの割合が上記範囲内であると、高周波数帯域の吸音性が充分に得られる。表面層11bがパルプ繊維を含む場合は、多孔質体11の厚さを100%としたときの該表面層11bの厚さと中層11aの厚さとの合計の割合が、70.0〜99.8%であることが好ましい。
また、中層11aの厚さは、1mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましい。中層11aの厚さが上記範囲の下限値以上であると、吸音性が充分に得られる。好ましい態様によれば、吸音材をコンパクトにできる観点から、中層11aの厚さは、1〜50mmであり、4〜40mmがより好ましい。
中層11aの坪量は、100〜4000g/mが好ましく、100〜3000g/mがより好ましく、450〜2000g/mがさらに好ましい。中層11aの坪量が上記範囲の下限値以上であると、吸音性により優れた吸音材を得ることができる。中層11aの坪量が上記範囲の上限値以下であると、コンパクトで実装性に優れた吸音材とすることができる。
(表面層)
表面層11bは、中層11aの両面に設けられる層である。
表面層11bとしては、多孔質シートが挙げられる。表面層11bに多孔質シートを用いることにより、高周波音が表面層11bで反射せず、高周波音を中層11aで確実に減衰させることができる。
多孔質シートとしては、天然繊維(例えばパルプ繊維等。)、合成樹脂(例えばPET、PBT等のポリエステル等。)からなる繊維、ガラス繊維等の繊維を用いて製造された不織布、織布、編布;無機繊維紙;等の繊維シート、多数の微細な穴(ただし、スリットを除く)が形成された樹脂シート等が挙げられる。具体的には、スパンボンド不織布、ティッシュ、エアレイド不織布、スパンレース不織布(例えばレーヨンスパンレース、合繊スパンレース、これらの混抄(例えばレーヨンPETスパンレース))などが挙げられる。
表面層11bの厚さは、特に制限はないが、0.01〜2.0mmが好ましく、0.05〜1.0mmがより好ましい。表面層11bの厚さが上記範囲の上限値以下であると、吸音材をコンパクトにできる。
表面層11bの坪量は、特に制限はないが、10〜100g/mが好ましく、20〜60g/mがより好ましい。表面層11bの坪量が上記範囲の上限値以下であれば、吸音材をコンパクトにできる。
(物性)
中層11aの両面に表面層11bを有する3層構造の多孔質体11のフラジール通気度は5〜100cm/cm・s−1が好ましく、5〜60cm/cm・s−1がより好ましく、5〜30cm/cm・s−1がさらに好ましい。多孔質体11のフラジール通気度が上記範囲内であれば、高周波音が表面層11bを通り抜け、中層11aで効果的に減衰されるため、吸音性に優れる。多孔質体11のフラジール通気度は、主に、表面層11bの構成に依存する傾向にある。よって、表面層11bに用いる多孔質シートを適宜選択することにより、多孔質体11のフラジール通気度を上記範囲内に調整できる。多孔質体11のフラジール通気度を上記範囲内とするためには、表面層11bを構成する多孔質シート単独のフラジール通気度が5〜500cm/cm・s−1であることが好ましく、5〜200cm/cm・s−1がより好ましく、10〜30cm/cm・s−1がさらに好ましい。
多孔質体11のフラジール通気度は、JIS L 1096:1998の「8.26.1 A法(フラジール法)」に準拠して測定される値である。
(製造方法)
エアレイド不織布からなる中層11aの両面に表面層11bを有する3層構造の多孔質体11は、例えば次のようにして製造できる。
まず、サクションボックスを有するメッシュコンベア上に、表面層11bを構成する多孔質シートを繰出し、該多孔質シート上に、粉体接着剤を散布する。ついで、中層11aを構成する原料繊維と熱融着性繊維とを空気中で均一に混合、解繊し、乾式のエアレイドウェブ形成装置を用いて、多孔質シート上に、中層11aを構成するエアレイドウェブを形成する。
次いで、該エアレイドウェブ上に、粉体接着剤を散布し、さらにその上に、多孔質シートを積層するように繰出し、熱風乾燥機に導いて、熱融着性繊維の少なくとも一部が溶融し、バインダーとして作用する温度以上に加熱する。
これにより、エアレイドウェブの両面に多孔質シートを接着して、積層体(以下、「積層体S」ともいう。)を形成する。
その後、該積層体Sをさらにプレスロールに通し、所望の坪量、厚み、見掛け密度となるように成型することにより、表面層11bと表面層11bとの間に中層11aが形成された3層構造の多孔質体11が得られる。
粉体接着剤は、中層11aと表面層11bとの接着のために使用される接着剤であって、例えば、PE、PP、PET、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等からなる粉体を使用できる。
なお、多孔質体11は、中層11aの一方の面に表面層11bを有する2層構造であってもよい。2層構造の多孔質体11は、例えば次のようにして製造できる。
まず、サクションボックスを有するメッシュコンベア上に、表面層11bを構成する多孔質シートを繰出し、該多孔質シート上に、粉体接着剤を散布する。ついで、中層11aを構成する原料繊維と熱融着性繊維とを空気中で均一に混合、解繊し、乾式のエアレイドウェブ形成装置を用いて、多孔質シート上に、中層11aを構成するエアレイドウェブを形成する。
次いで、該エアレイドウェブ上に、粉体接着剤を散布せずにキャリアシートを積層するように繰出し、熱風乾燥機に導いて、熱融着性繊維の少なくとも一部が溶融し、バインダーとして作用する温度以上に加熱する。
これにより、エアレイドウェブの一方の面に多孔質シートが接着し、他方の面にキャリアシートが配置された積層体(以下、「積層体S’」ともいう。)を形成する。
その後、該積層体S’をさらにプレスロールに通し、所望の坪量、厚み、見掛け密度となるように成型し、その後、キャリアシートを剥離することにより、表面層11bと中層11aの2層構成の多孔質体11が得られる。
<フィルム>
フィルム12は、主に低周波音(特に、500Hz以下の低周波数帯域の音)を吸音するものである。
フィルム12の坪量は10〜100g/mが好ましく、15〜65g/mがより好ましく、15〜40g/mがさらに好ましい。フィルム12の坪量が上記範囲の下限値以上であると、引張伸びを確保しやすくなり、膜振動による吸音性がより向上する。フィルム12の坪量が上記範囲の上限値以下であると、フィルム12による膜振動が生じやすくなり、音が反射しにくく、低周波数帯域の吸音性を良好に維持できる。
フィルム12の坪量は、JIS L 1913:2010の「6.2 単位面積当たりの質量(ISO法)」に準拠して測定される値である。
フィルム12のMD方向における引張伸びは100〜800%が好ましく、150〜700%より好ましい。フィルム12の引張伸びが上記範囲の下限値以上であると、フィルム12による膜振動が生じやすくなり、音が反射しにくく、吸音性を良好に維持できる。フィルム12の引張伸びが上記範囲の上限値以下であると、膜振動が影響されにくい。
なお、MD方向とは、フィルム12の製造時における流方向(押し出し方向)である。
フィルム12の引張伸びは、JIS K 7127:1999に準拠して測定される値である。
フィルム12の通気度は400〜1500秒/100ccが好ましい。
フィルム12の通気度は、JIS P 8117:2009に準拠して測定される値である。
フィルム12の厚さは10〜100μmが好ましく、15〜40μmがより好ましい。フィルム12の厚さが上記範囲の下限値以上であると、フィルム12による膜振動が生じやすくなり、音が反射しにくく、吸音性を良好に維持できる。フィルム12の厚さが上記範囲の上限値以下であると、膜振動が影響されにくい。
フィルム12の厚さは、JIS K 7130:1999に準拠して測定される値である。
フィルム12を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂であれば特に制限されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル、アセタール、ポリエーテルサルファイド、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。これらの中でも、柔らかいおよび/または伸びやすい性質によって膜振動が生じやすい観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましい。
フィルム12は、一軸延伸、二軸延伸、無延伸の何れの方法で製造されたものでもよい。
また、フィルム12は、単層構造であってもよいし、同種または異種の層の2層以上が積層した多層構造であってもよい。
<接着剤層>
接着剤層13は、多孔質体11とフィルム12とを接着させる層である。
図1に示す吸音材10においては、多孔質体11およびフィルム12は接着剤層13により面接着しているが、点接着でもよいし、線接着でもよい。
接着剤層13の坪量は1〜15g/mが好ましく、3〜8g/mがより好ましい。接着剤層13の坪量が上記範囲の下限値以上であると、取扱い性が良好となる。接着剤層13の坪量が上記範囲の上限値以下であると、フィルム12が多孔質体11に強固に接着されにくく、フィルム12が膜振動しやすくなり、吸音性を良好に維持できる。また、フィルム12の下に設けられた多孔質体11まで音が通過しやすくなる。
接着剤層13の坪量は、JIS L 1913:2010の「6.2 単位面積当たりの質量(ISO法)」に準拠して測定される値である。
接着剤層13を構成する接着剤の剤形としては、溶剤型接着剤、エマルション型接着剤、無溶剤型接着剤、ホットメルト型接着剤などが挙げられ、いずれの剤形のものを使用してもよい。これらの中でも、溶媒または分散媒を除去する必要がない、環境負荷が低い等の観点から、ホットメルト型接着剤が好ましい。
ホットメルト型接着剤を構成する成分としては、例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の熱可塑性プラスチック成分;ロジン、ロジン誘導体等の天然樹脂成分;ブチルゴム、ポリイソブチレン等のゴム成分などが挙げられる。
<スリット>
スリット14は、フィルム12および接着剤層13を貫通している貫通孔である。
スリット14が設けられていることで、高周波音がスリット14の隙間を通り抜けて多孔質体11に到達し、多孔質体11にて吸音される。しかも、フィルム12および接着剤層13を貫通する貫通孔はスリット状であるため、フィルム12が低周波音を吸音する際のフィルム12の膜振動を妨げにくい。
フィルム12および接着剤層13に設けられる全てのスリット14のフィルム12表面の面積当たりの開孔面積割合(すなわち、フィルム12表面の面積に対するスリット14の面積の合計の割合)は0.1〜1.0%が好ましく、0.4〜0.9%がより好ましく、0.5〜0.8%がさらに好ましい。スリット14のフィルム12表面の面積当たりの開孔面積割合が上記範囲の下限値以上であると、フィルム12の下に設けられた多孔質体11まで音が通過しやすくなり、高周波数帯域の反射が小さくなり、多孔質体11としての吸音特性を良好に維持できる。スリット14のフィルム12表面の面積当たりの開孔面積割合が上記範囲の上限値以下であると、フィルム12による膜振動が生じやすくなり、膜吸音効果を良好に維持できる。
スリット14のフィルム12表面の面積当たりの開孔面積割合は、下記式により算出される。
スリットのフィルム表面の面積当たりの開孔面積割合=(スリットの開孔時面積の合計/フィルム表面の面積)×100
フィルム12および接着剤層13に設けられる全てのスリット14の長さは0.5〜15mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。スリット14の長さが上記範囲の下限値以上であると、フィルム12の下に設けられた多孔質体11まで音が通過しやすくなり、高周波数帯域の反射が小さくなり、多孔質体11としての吸音特性を良好に維持できる。スリット14の長さが上記範囲の上限値以下であると、フィルム12による膜振動が生じやすくなり、膜吸音効果を良好に維持できる。
スリット14の長さは、ノギスにより測定される値である。
フィルム12および接着剤層13に設けられる全てのスリット14の幅は1mm以下が好ましく、0.7mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。スリット14の幅が上記範囲の上限値以下であると、フィルム12が低周波音を吸音する際のフィルム12の振動をより妨げにくくなる。スリット14の幅が太くなるとフィルム12が振動しにくくなる傾向にあるため、スリット14の幅は細いほど好ましく、フィルム12が振動していないときはスリット14が見た目上、閉じていることが好ましい。
スリット14の幅は、ノギスにより測定される値である。
フィルム12の単位面積当たりのスリット14の個数は800〜1500個/mが好ましい。
スリット14同士は、交差していないことが好ましく、図1に示すように、スリット14の向きは揃っていることが好ましい。スリット14同士が交差していなければ吸音効果が向上し、スリット14の向きが揃っていることで吸音効果がさらに高まる。
<吸音材の製造方法>
図1、2に示す吸音材10は、例えば次のようにして製造できる。
まず、一方の面にホットメルト型接着剤が塗布され、接着剤層13が形成されたフィルム12と、多孔質体11とを、接着剤層13と多孔質体11とが接するように貼り合せ、積層体(X)を得る。ホットメルト型接着剤は、フィルム12の表面の全面に塗工されてもよいし、部分的に塗工されてもよい。ホットメルト型接着剤が部分的に塗工される場合、パターン形状やメッシュ状となるように塗工されることが好ましい。パターン形状としては、例えば、スリット形状やスパイラル形状、ドット形状などが挙げられる。
次いで、ホットプレス内にて積層体(X)を加熱加圧成形する。
フィルム12と接着剤層13とを貫通するようなスリット刃が設けられた円形の型を用い、加圧加熱成形後の積層体(X)を型抜きする。こうして、多孔質体11と接着剤層13とフィルム12とがこの順に積層し、フィルム12と接着剤層13とを貫通するスリット14が設けられた、円柱状の吸音材10が得られる。
型の形状や大きさは、吸音材を設置する場所等に応じて決定される。
なお、スリット刃が設けられていない型を用いて積層体(X)を型抜きした後に、フィルム12と接着剤層13とを貫通するように、メス、カッター等の刃物を用いたり、レーザー加工したりして、スリット14を形成してもよい。
<物性>
吸音材10の密度は0.04〜0.20g/cmが好ましく、0.05〜0.12g/cmがより好ましい。吸音材10の密度が上記範囲の下限値以上であると、多孔質体11を音が通過する際の粘性・熱交換によるエネルギー損失が大きくなり、吸音性が高まる。よって、薄くても充分な吸音性を発揮できる。吸音材10の密度が上記範囲の上限値以下であると、多孔質体11としての吸音特性を良好に維持できるとともに、フィルム12の膜振動を妨げにくいので、フィルム12による膜吸音特性を良好に維持できる。
吸音材10のアスカーFP硬度は15〜95が好ましく、20〜80がより好ましい。吸音材10のアスカーFP硬度が上記範囲の下限値以上であると、多孔質体11を音が通過する際の粘性・熱交換によるエネルギー損失が大きくなり、吸音性が高まる。よって、薄くても充分な吸音性を発揮できる。吸音材10のアスカーFP硬度が上記範囲の上限値以下であると、高周波数帯域の反射が小さくなり、多孔質体11としての吸音特性を良好に維持できる。また、フィルム12の膜振動を妨げにくいので、フィルム12による膜吸音特性も良好に維持できる。
吸音材10のアスカーFP硬度は、デュロメータとしてアスカーゴム硬度計FP型を用いて測定される値である。具体的には、高さ2.54mm、直径15mmの円筒形の押針を用い、測定試料と接触する加圧基準面を50mm×37mmとして測定される硬さである。
吸音材10の坪量は厚さと密度との関係から算出できる。
吸音材10の坪量は、JIS L 1913:2010の「6.2 単位面積当たりの質量(ISO法)」に準拠して測定される値である。
吸音材10の厚さは、目的とする吸音周波数に合わせて適宜調整でき、高周波数帯域での吸音特性が良好である観点から、0.5mm以上が好ましい。
吸音材10の厚さは、JIS L 1913:2010の「6.1.1 A法」に準拠して測定される値である。
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の吸音材10は、多孔質体11の一方の面に接着剤層13を介してフィルム12が積層されており、フィルム12および接着剤層13を貫通する複数のスリット14が設けられている。そのため、低周波音がフィルム12に衝突することでフィルム12が膜振動して内部摩擦を生じ、音エネルギーが消費させることで低周波音(特に、500Hz以下の低周波数帯域の音)が吸音される。スリット14は、フィルム12が膜振動していないときは見かけ上、閉じているが、フィルム12が膜振動することでスリット14の両側に段差が生じ、スリット14が開口する。この開口したスリット14の隙間を高周波音が通り抜けて多孔質体11に到達する。多孔質体11に高周波音が入射した際に、音波が多孔質体11との摩擦、振動、粘性抵抗などを生じることによって、音エネルギーが熱エネルギーに変換、減衰することで高周波音(特に、2000Hz以上の高周波数帯域の音)が吸音される。
よって、本実施形態の吸音材10であれば、低周波音から高周波音まで広範囲の周波数帯域の音に対して、薄くても高い吸音効果を有する。
ここで、仮にスリット以外の形状の穴(例えば、ドット状、円形状、楕円形状、矩形状等の穴)が設けられた場合には、フィルム12は膜振動しにくくなり、低周波音に対する吸音効果が得られにくい。
<用途>
本実施形態の吸音材10は、電気冷蔵庫、エアコン、電気掃除機等の家電製品、ディスプレイ機器、オーディオ機器、建設用機械、自動車などにおける、モータ、コンプレッサ等が発する騒音や振動、機械現場(プレス機、押出成形機、研磨機等)のエアー騒音、ファンの音や振動、工事現場の騒音や振動、一般生活音などを吸収する吸音材として好適である。
吸音材10を用いる際は、フィルム12側が音源側となるように吸音材10を設置することで、本発明の吸音効果が充分に得られる。吸音材10は、家電製品等に組み込まれ、モータ、コンプレッサ等に巻回したり貼り付けたりする形態で使用されるが、そのような使用形態に限定されない。
<他の形態>
本発明の吸音材10は上述したものに限定されない。図1、2に示す吸音材10は、多孔質体11の一方の面にフィルム12が積層されているが、吸音材10と吸音材10を設置する面との間に空気層が存在する場合は、多孔質体11の他方の面にも接着剤層介してフィルムが積層されていてもよい。このような構成とすることで、多孔質体11の一方の面に積層されたフィルム12が完全に低周波音を吸音できずに、低周波音の一部がフィルム12を通り抜けてしまっても、多孔質体11の他方の面に積層されたフィルムによって低周波音を吸音できる。加えて、多孔質体11が完全に高周波音を吸音できずに、高周波音の一部が多孔質体11を通り抜けてしまったとしても、多孔質体11の他方の面に積層されたフィルムによって高周波音は反射される。反射された高周波音は多孔質体11に戻り、多孔質体11において吸音される。
多孔質体11の他方の面に積層されたフィルムおよび接着剤層にも、これらを貫通するスリットが設けられていてもよいし、多孔質体11の他方の面に積層されたフィルムおよび接着剤層には、スリットが設けられていなくてもよい。多孔質体11の他方の面に積層されたフィルムおよび接着剤層にもスリットが設けられていれば、多孔質体11の他方の面側からも低周波音を吸音できる。多孔質体11の他方の面に積層されたフィルムおよび接着剤層にスリットが設けられていなければ、多孔質体11を通り抜けた高周波音を充分に反射して多孔質体11に戻すことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[多孔質体の製造]
原料繊維としてパルプ繊維を用いた中層と、中層の両面に表面層とを備えた多孔質体を以下のように製造した。
サクションボックスを有するメッシュコンベア上に表面層Aとしてスパンボンド不織布を繰出し、該表面層A上に、5g/mのPE粉体(粉体接着剤)をスプレー装置で散布した。ついで、フラッフパルプ(針葉樹漂白パルプ)と、熱融着性繊維(PE/PP複合型合成繊維、繊度1.7dtex、長さ加重平均繊維長5mm)とを、空気中で混合、解繊し、乾式のエアレイドウェブ形成装置を用いて、表面層A上にエアレイドウェブ(中層)を形成させた。
なお、フラッフパルプおよび熱融着性繊維は、用途に応じて自由に選択できるが、パルプの有する吸音特性を発揮するために、パルプ配合比が高くなるように混合、解繊した。
ついで、該エアレイドウェブ上に、先に使用したものと同じ粉体接着剤を層状散布装置にて散布し、さらにその上に、表面層BとしてレーヨンPETスパンレースを積層するように繰出し、熱風乾燥機に導いて、熱融着性繊維の鞘が溶融するように、鞘の融点以上に加熱した。
これにより、エアレイドウェブの両面に、表面層を接着して、積層体Sを形成した。
その後、該積層体Sをさらにプレスロールに通し、密度が0.050g/cmであり、坪量が1000g/mであり、アスカーFP硬度が22〜30であり、厚さが20.0mmである多孔質体を得た。
[垂直入射吸音率の測定]
吸音材を直径100mmの円形の型を用いて型抜きし、低音(125〜1600Hz)用の吸音率の測定試料を作製した。
別途、吸音材を直径29mmの円形の型を用いて型抜きし、高音(500〜6300Hz)用の吸音率の測定試料を作製した。
低音用または高音用の吸音率の測定試料を用い、JIS A 1405−2:2007(ISO 10534−2、ASTM E1050)に準拠し、以下のようにして垂直入射吸音率の測定を行った。なお、材料の吸音率は音が入射する角度によって変化するため、測定方法により吸音率の値は異なる。音響管を用いて音が材料へ垂直に入射する条件で測定した吸音率を「垂直入射吸音率」という。「垂直入射吸音率」は吸音材料の開発や特性の把握などに用いられる。
具体的には、まず、音響管(リオン株式会社製、「9301型」)の終端に試料を装着した。試料の背後空気層を0mmとした。次いで、音響管内のスピーカーからノイズ音を放射し、音響管内に音場を生成した。そして、2本のマイクロフォンの音圧信号をFFT分析してマイクロフォン間の複素音圧伝達関数H12を算出し、該関数から3150Hzにおける「垂直入射吸音率」を算出した。測定周波数は125〜1600Hzの領域(以下、「領域(L)」という。)または500〜6300Hzの領域(以下、「領域(H)」という。)とした。
算出された垂直入射吸音率は、相対比較で判断した。
[実施例1]
フィルムとして、ポリエチレン(PE)フィルム(坪量:20g/m、MD方向における引張伸び:250%、通気度:440秒/100cc、厚さ:20μm、密度:1g/cm)の片面に、ホットメルト型接着剤を坪量が3〜8g/mとなるように塗布し、接着剤層を形成した。接着剤層と多孔質体とが接するように、フィルムと多孔質体とを貼り合せ、ホットメルト法によりフィルムと多孔質体とを接着した。
次いで、フィルム面に対して、接着剤層まで貫通するように、一つ当たり長さ100mm、幅0.5mmのスリットを、フィルム表面の面積に対するスリット面積の合計の割合、すなわちフィルム表面の面積当たりの開孔面積割合(以下、「スリット割合」ともいう。)が0.8%となるように、かつ、全てのスリットの向きが揃うように形成し、吸音材を得た。
フィルムの種類と、スリットの長さ、幅、測定試料におけるスリットの個数、フィルムの単位面積当たりのスリットの個数、スリット割合について、表1に示す。
得られた吸音材について、領域(L)における垂直入射吸音率を測定した。結果を図4に示す。
[実施例2]
スリット割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして吸音材を製造し、領域(L)における垂直入射吸音率を測定した。結果を図4に示す。
[実施例3]
スリット割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして吸音材を製造し、領域(L)および領域(H)における垂直入射吸音率を測定した。領域(L)における結果を図4に示し、領域(H)における結果を図5に示す。
[実施例4、5]
スリット割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして吸音材を製造し、領域(H)における垂直入射吸音率を測定した。結果を図5に示す。
[比較例1]
実施例1と同様の方法により製造した多孔質体を吸音材とし、領域(L)および領域(H)における垂直入射吸音率を測定した。領域(L)における結果を図4に示し、領域(H)における結果を図5に示す。
[比較例2]
スリットを形成しなかった以外は実施例1と同様にして吸音材を製造し、領域(L)および領域(H)における垂直入射吸音率を測定した。領域(L)における結果を図4に示し、領域(H)における結果を図5に示す。
[比較例3〜5]
スリットの代わりに針穴を形成した以外は、実施例1と同様にして吸音材を製造し、比較例3、5では領域(L)および領域(H)における垂直入射吸音率を測定し、比較例4では領域(H)における垂直入射吸音率を測定した。領域(L)における結果を図4に示し、領域(H)における結果を図5に示す。
なお、針穴の直径、測定試料における針穴の個数、およびフィルム表面の面積に対する針穴面積の合計の割合(以下、「針穴割合」という。)が表2に示す値となるようにした。
Figure 0006769423
Figure 0006769423
表1、2中、「L」は測定周波数が125〜1600Hzの場合であり、「H」は測定周波数が500〜6300Hzの場合である。
図4、5から明らかなように、多孔質体のみの場合、高周波数帯域での吸音効果は得られたが、低周波数帯域での吸音効果は不充分であった(比較例1)。
これに対して、多孔質体の表面にフィルムを設けると、低周波数帯域での吸音効果は得られたが、高周波数帯域での吸音効果が低下した(比較例2)。
フィルムおよび接着剤層を貫通するスリットを設けると、高周波数帯域での吸音効果の低下を抑制しつつ、低周波数帯域での吸音効果も得られた(実施例1〜5)。
しかし、スリットの代わりに針穴を設けた場合では、低周波数帯域での吸音効果は得られたが、高周波音が針穴を充分に通り抜けず、高周波数帯域での吸音効果が低下した(比較例3〜5)。
[比較例6]
フィルムの代わりに、孔開きオレフィン樹脂シート(孔径:約0.5mm、開孔率:25%)を用い、スリットを形成しなかった以外は、実施例1と同様にして吸音材を製造し、領域(L)および領域(H)における垂直入射吸音率を測定した。
[比較例7]
フィルムの代わりに、孔開き塩化ビニル樹脂シート(孔径:約1.5mm、開孔率:40%)を用い、スリットを形成しなかった以外は、実施例1と同様にして吸音材を製造し、領域(L)および領域(H)における垂直入射吸音率を測定した。
[比較例8〜11]
フィルムの代わりに、孔開き積層シート(素材:パルプエアレイド、表裏面材は難燃キノクロス(エアレイド)、中層はパルプとバインダー合繊)を用い、スリットを形成しなかった以外は、実施例1と同様にして吸音材を製造し、領域(L)および領域(H)における垂直入射吸音率を測定した。
なお、比較例8〜11で用いた各孔開き積層シートの坪量、厚さ、孔径および開孔率を表3に示す。
Figure 0006769423
比較例6〜9の場合、シートが充分に膜振動しなかったため、多孔質体のみの場合(比較例1)と同様の挙動を示し、低周波数帯域での吸音効果は不充分であった。
比較例10の場合、ホルムヘルツ共鳴により低周波に特異的な小さい吸音ピークが認められたが、低周波数帯域での吸音効果は充分ではなかった。
比較例11の場合、多孔質体にフィルムを設けた場合(比較例2)と同様の挙動を示し、高周波数帯域での吸音効果が低下した。
[参考例A〜J]
表4、5に示す種類のフィルムを用い、スリットを形成しなかった以外は、実施例1と同様にして吸音材を製造し、アスカーFP硬度を測定した。結果を表4、5に示す。
また、実施例1、3および比較例1で得られた吸音材のアスカーFP硬度の結果も表4に示す。
Figure 0006769423
Figure 0006769423
表4、5中の略号は以下の通りである。
・PE:ポリエチレン
・LL/LD:気相法リニア低密度ポリエチレン/高圧法低密度ポリエチレンの積層体(密度:0.9g/cm
参考例A〜Jにおいて、領域(L)における垂直入射吸音率を測定した。その結果、参考例A〜Jでは膜振動による吸音性が確認され、低周波数帯域での吸音効果に優れるものであった。
10:吸音材
11:多孔質体
11a:中層
11b:表面層
12:フィルム
13:接着剤層
14:スリット

Claims (9)

  1. 密度が0.04〜0.20g/cmであり、アスカーFP硬度が15〜95である多孔質体と、
    前記多孔質体の少なくとも一方の面に設けられた、坪量が10〜100g/mであり、MD方向における引張伸びが100〜800%であるフィルムと、
    前記多孔質体と前記フィルムとの間に設けられた接着剤層と、
    を備え、
    前記フィルムおよび接着剤層を貫通するスリットが設けられている、吸音材。
  2. 前記多孔質体が不織布である、請求項1に記載の吸音材。
  3. 前記不織布が天然繊維を含む、請求項2に記載の吸音材。
  4. 前記天然繊維がパルプ繊維である、請求項3に記載の吸音材。
  5. 前記不織布を構成する全ての繊維の平均繊維径が6〜80μmである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の吸音材。
  6. 前記フィルムを構成する樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコールおよびポリ塩化ビニリデンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸音材。
  7. 前記フィルムおよび接着剤層に設けられる全てのスリットの前記フィルム表面の面積当たりの開孔面積割合が0.1〜1.0%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸音材。
  8. 前記フィルムおよび接着剤層に設けられる全てのスリットの長さが0.5〜15mmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸音材。
  9. 前記フィルムおよび接着剤層に設けられる全てのスリットの幅が1mm以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸音材。
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