JP2017036862A - セル型製氷機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製氷水の温度や気温などの環境条件の違いに応じて、セル内に噴出される製氷水の噴出量を最適化して、透明度が高い氷塊を効率良く生成できる製氷機を提供する。【解決手段】 製氷機に、製氷水の温度を検知する水温センサー45と、外気の温度を検知する外気温センサー46と、ポンプモーター26の駆動回転数を検知する回転数センサー47と、ポンプモーター26の駆動回転数を多段階に調整する制御部40を設ける。制御部40は、水温センサー45および外気温センサー46から出力される出力信号を受けて、製氷水の温度状態および外気の温度状態が低温であるほど、ポンプモーター26の駆動回転数を増加するように制御している。また、制御部40は、回転数センサー47から出力される出力信号を受けて、給水タンク13内の水量が減少するのに対応して、ポンプモーター26の駆動回転数を増加して製氷を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、一群のセルを備えた製氷ケースと、セルに向かって製氷水を噴出する給水トレーを備えているセル型製氷機に関する。
セル型製氷機の殆どは、水道水で氷塊を生成しており、そのため水道水に塩分やカルシウム、マグネシウム等の不純物が含まれている場合に、氷塊が白濁することがある。こうした氷塊の白濁を解消して透明度の高い氷塊を生成することは、特許文献1の製氷機に公知である。そこでは、水道水に含まれる不純物の量に地域差があることに着眼し、不純物の含有量に応じてセル内に噴出供給される製氷水の噴出速度を調整している。例えば、不純物の含有量が多い地域では、製氷水の噴出速度を大きくして、氷塊の氷結凹面に析出した不純物を洗い流している。具体的には、給水トレーに製氷水を加圧送給する加圧ポンプの駆動回転数を、不純物の含有量が少ない地域では3000rpmに設定し、不純物の含有量が多い地域では3400rpmに設定して、透明度の高い氷塊を生成している。
特許第5007856号公報(段落番号0016〜0017、図6)
特許文献1の製氷機によれば、水道水中の不純物の含有量に応じて、加圧ポンプの駆動回転数を切換えて氷塊が白濁するのを解消できる。しかし、セル内へ噴出される製氷水の噴出速度を決定するには、水道水中の不純物の含有量を予め検査しておく必要があり、不純物の含有量の検査に余分な手間が掛かる。また、水道水中の不純物の含有態様は必ずしも一定ではなく、単に不純物の含有量が多いか少ないかで、セル内に噴出供給される製氷水の噴出速度を調整するだけでは、透明度の高い氷塊を効率よく生成するのが困難となる。例えば、不純物の含有量が多い場合には製氷水の噴出速度を大きくするが、そうすると氷塊が成長するとき、氷結凹面に露出している氷が不必要に融解されて、不純物とともに洗い流されてしまう。そのため、透明度の高い氷塊は得られるものの、体積が大きな氷塊を生成するのに長い時間を要し、製氷効率が低下するのを避けられない。
本発明者は、製氷機における製氷過程を再検討した結果、以下の知見を得た。知見の一つは、製氷時にセル内で成長する氷塊の成長速度は、水道水の温度や気温に左右され、さらに、セル内へ噴出される製氷水の噴出速度にも左右される点である。詳しくは、水温や気温が低いほど製氷に要する時間は短くなり、逆に、水温や気温が高いほど製氷に要する時間は長くなる。また、セル内へ噴出される製氷水の噴出速度が大きいほど、セル内における製氷水の流動量が増えるため、製氷ケースの冷熱は製氷水へ伝導しにくくなり、セル内で成長する氷塊の成長速度は遅くなる。逆に、セル内へ噴出される製氷水の噴出速度が小さいほど、セル内における製氷水の流動量が減少するため、製氷ケースの冷熱は製氷水へ伝導しやすくなり、セル内で成長する氷塊の成長速度は速くなる。因みに、氷塊の成長速度に差が生じるのは、製氷過程で製氷ケースから製氷水へ伝導する冷熱の総量は同じであるが、セル内に噴出された製氷水が効果的に冷却されて、セル内で固化できたか否かの違いによる。なお、熱伝導は高温側から低温側へ向かう熱移動を言うが、本発明においては低温側から高温側への熱移動を便宜的に「冷熱が伝導する」と表現する。
もう一つの知見は、製氷水が固化する際の不純物は、氷(固化した水分子)の外へ追い出されて氷の表面に析出するので、製氷途中に不純物が氷塊中に閉じ込められることはない、と言うことである。そうすると、水道水中の不純物の含有量の大小もさることながら、製氷終了時に氷結凹面に析出した不純物を確実に洗い流すと、透明度の高い氷を生成できることになる。このように、水道水中の不純物の含有量は、氷塊が白濁するか否かを左右する主な要因ではあるが、製氷終了時に氷塊が白濁するか否かは、製氷終了までに氷結凹面に析出した不純物を除去できるか否かで決まることになる。本発明者は、上記の知見に基づき製氷過程における製氷水の供給形態を見直した結果、本発明を提案するに至ったものである。
本発明の目的は、製氷水の温度や気温などの環境条件の違いに応じて、セル内に噴出される製氷水の噴出量を最適化して、透明度が高い氷塊を効率良く生成できる製氷機を提供することにある。
本発明に係るセル型の製氷機は、製氷室1に、一群のセル11を備えた製氷ケース10と、各セル11に製氷水を噴出供給する給水トレー12と、給水トレー12に製氷水を送給する加圧ポンプ24を備えた給水タンク13が設けてある。加圧ポンプ24を駆動するポンプモーター26は、変速駆動が可能なモーターで構成してある。製氷機には、給水タンク13に送給される製氷水の温度を検知する水温センサー45と、外気の温度を検知する外気温センサー46と、ポンプモーター26の駆動回転数を検知する回転数センサー47と、これらのセンサー45・46・47の出力信号に基づきポンプモーター26の駆動回転数を多段階に調整する制御部40を設ける。制御部40は、水温センサー45および外気温センサー46から出力される出力信号を受けて、製氷水の温度状態および外気の温度状態が低温であるほど、ポンプモーター26の駆動回転数を増加するように制御している。また、制御部40は、回転数センサー47から出力される出力信号を受けて、給水タンク13内の水量が減少するのに対応して、ポンプモーター26の駆動回転数を増加して製氷を行うことを特徴とする。
制御部40は、回転数センサー47から出力される出力信号を受けて、給水タンク13内の水量が初期水量、中期水量、終期水量のいずれであるかを判定して、給水タンク13内の水量が初期水量から中期水量に減少し、あるいは中期水量から終期水量に減少するごとに、ポンプモーター26の駆動回転数を増加する。
制御部40は、外気温センサー46から出力される出力信号を受けて、外気の温度状態が高温、常温、低温のいずれであるかを判定して、外気の温度状態が高温状態から低温状態へ移行するほど、ポンプモーター26の駆動回転数を増加するように制御している。また、制御部40は、水温センサー45から出力される出力信号を受けて、製氷水の温度状態が高温水、常温水、低温水のいずれであるかを判定して、製氷水の温度状態が高温状態から低温状態へ移行するほど、ポンプモーター26の駆動回転数を増加するように制御している。制御部40は、外気温センサー46と、水温センサー45から出力された出力信号の組み合わせから、環境条件を9個の状態として判定し、個々の環境条件に対応してポンプモーター26の駆動回転数を多段階に調整する。
制御部40は、外気の温度が30℃以上であるとき高温であると判定し、外気の温度が10℃以上30℃未満であるとき常温であると判定し、外気の温度が10℃未満であるとき低温であると判定する。制御部40は、外気の3個の温度状態のそれぞれにおいて、製氷水の水温が25℃以上であるとき高温水であると判定し、水温が5℃以上25℃未満であるとき常温水であると判定し、水温が5℃未満であるとき低温水であると判定する。
ポンプモーター26の駆動回転数は、制御部40から出力される駆動指令信号に基づき7段階に変更できるように設定してある。制御部40は、9個の環境条件に対応して、ポンプモーター26の駆動回転数を1段階から7段階まで調整する。
ポンプモーター26は回転数センサー47を兼ねている。
本発明に係るセル型の製氷機においては、製氷水の温度状態および外気の温度状態が低温であるほど、制御部40でポンプモーター26の駆動回転数を増加して製氷を行うようにした。例えば、外気温度および製氷水の温度が高いほど、ポンプモーター26の駆動回転数を小さくし、セル11内へ噴出される製氷水の量を減らすことにより、製氷ケース10の冷熱を製氷水に効果的に伝えて、セル11内における製氷水の氷結を促進できるようにした。逆に、外気温度および製氷水の温度が低いほど、ポンプモーター26の駆動回転数を大きくし、セル11内へ噴出される製氷水の量を増やすことにより、製氷ケース10の製氷水に対する冷熱の伝動を抑えて、セル11内における氷塊の成長速度が緩慢になるようにした。また、給水タンク13内の水量が減少するのに対応して、ポンプモーター26の駆動回転数を増加して製氷を行うようにした。
こうした製氷機によれば、製氷水の温度や外気温などの環境条件の違いに応じて、セル11内に噴出される製氷水の噴出量を最適化できるので、氷結凹部に露出している氷が不必要に洗い流されるのを解消しながら、氷塊を効率よく生成することができる。また、給水タンク13内の水量が減少するのに対応して、製氷水の噴出量を増加するので、氷結凹部に析出した不純物を確実に洗い流して透明度の高い氷塊を生成でき、全体として透明度が高い氷塊を効率良く生成できる。さらに、加圧ポンプ24の駆動状態を制御部40で制御して、製氷過程における製氷水の噴出量を最適化するので、既存の製氷機でも制御プログラムを変更するだけで透明度が高い氷塊を効率良く生成できる点で有利である。
給水タンク13内の水量が初期水量から中期水量に減少し、中期水量から終期水量に減少するごとに、制御部40でポンプモーター26の駆動回転数を増加して製氷を行うと、外気温度や製氷水の温度などの環境条件の違いに応じて、適量の製氷水を噴出できる。つまり、セル11内における氷塊の成長度合いに適合して適量の製氷水を噴出して、氷塊を効率よく生成することができる。さらに、給水タンク13内の水量が終期水量にまで減少した後は、それまでより大量の製氷水を噴出して製氷を行うので、製氷過程が終了するまでの間に、氷結凹部に析出した不純物を確実に洗い流して透明度の高い氷塊を確実に生成できる。
制御部40は、外気温センサー46の出力信号を受けて、外気の温度状態が高温、常温、低温のいずれであるかを判定して、各温度状態に対応してポンプモーター26の駆動回転数を調整するようにした。また、制御部40は、水温センサー45の出力信号を受けて、製氷水の温度状態が高温水、常温水、低温水のいずれであるかを判定して、各温度状態に対応してポンプモーター26の駆動回転数を調整するようにした。さらに、外気温センサー46と水温センサー45の出力信号の組み合わせから、制御部40は環境条件を9個の状態として判定して、9個の各環境条件に対応してポンプモーター26の駆動回転数を多段階に調整できるようにした。こうした製氷機によれば、外気温や製氷水の温度が広範囲にわたって変化する場合でも、環境条件の個々の状態ごとに製氷水の噴出量をきめ細かに調整して最適化できるので、透明度が高い氷塊をさらに効率良く生成できる。また、環境条件の個々の状態ごとに製氷水の噴出量を最適化するので、外気の温度状態や製氷水の温度状態が多様に変化する場合であっても、セル11内で成長する氷塊の成長速度を概ね一定にして、製氷に要する時間が大きくばらつくのを解消できる。
製氷機の殆どは、空気調和が行われている店舗等の屋内に設置されることが多いため、製氷機の設置環境の外気温度が極端に変動することはない。そのため、制御部40が外気温度を判定するときの判定基準を、外気の温度が30℃以上は高温、10℃以上30℃未満は常温、10℃未満は低温であると設定しておくと、外気温度の変動に伴うパラメーターを3個だけに限ることができる。また、制御部40が製氷水の水温を判定するときの判定基準を、製氷水の水温が25℃以上は高温水、5℃以上25℃未満は常温水、5℃未満は低温水であると設定しておくと、製氷水の水温の変動に伴うパラメーターを3個だけに限ることができる。従って、制御部40が外気温度と製氷水の水温をパラメーターにして製氷水の噴出量を最適化する際には、9個のパラメーターのいずれかひとつに従ってポンプモーター26の駆動回転数を調整すればよく、制御部40による制御手順を簡素化できる。
ポンプモーター26の駆動回転数を制御部40で7段階に変更できるようにし、9個の環境条件に対応して、ポンプモーター26の駆動回転数を制御部40で1段階から7段階まで調整すると、9個の環境条件ごとに製氷水の噴出量をさらにきめ細かに調整し最適化して、透明度が高い氷塊をさらに効率良く生成できる。
ポンプモーター26が回転数センサー47を兼ねるようにすると、別途回転数センサー47を設ける必要がないので、その分だけ製氷機の製造に要するコストを削減できる。
本発明の実施例1に係る製氷機の運転条件を示す図表である。 実施例1に係る製氷機の内部正面図である。 実施例1に係る製氷ユニットの縦断正面図である。 給水トレーがトレー洗浄位置へ下降傾動した状態を示す正面図である。
(実施例1) 図1ないし図4は、本発明に係るセル型の製氷機の実施例1を示している。図2においてセル型の製氷機は、断熱箱として構成される上側の製氷室1と、製氷室1の下側に区画される機械室2を備えており、製氷室1の内面上部に製氷ユニット3を配置し、機械室2の内部に圧縮機4、凝縮器5、および送風ファン6などの冷却ユニットを配置している。図示していないが、製氷室1の前面には、製氷室1内の底部に貯留された氷塊を取出すための取出口が開口してあり、この取出口は引違い開閉可能なドア、または揺動開閉可能なドアで開閉できる。
図2および図3に示すように、製氷ユニット3は、製氷室1の天井内面に固定したユニットベース9で支持されており、同ベース9の下面に固定した製氷ケース10と、製氷ケース10に設けた一群のセル11に製氷水を噴出供給する給水トレー12と、給水トレー12の下面に設けた給水タンク13などを主な構成部材にして構成してある。製氷ユニット3は、先の部材以外に、給水トレー12および給水タンク13を製氷位置とトレー洗浄位置の間で上下傾動するトレー操作機構14と、給水トレー12および給水タンク13に常温の製氷水を供給する給水部15と、製氷されずに給水タンク13内に残った製氷水を排水するための排水パン16などを備えている。製氷ユニット3は、製氷工程と離氷工程を交互に行ってキューブ状の氷塊を生成し製氷室1内に貯留する。
製氷ケース10は、熱伝導性に優れた金属製の四角皿状の容器からなり、その下面に一群のセル11が下向きに開口する状態で格子状に区画してある。製氷ケース10の上面には、蒸発器として機能する熱交換パイプ19がケース壁に密着する状態で折返し配置してある。製氷時には凝縮器5から送給されて膨張弁(図示していない)で減圧膨張させたのちの冷媒液を、熱交換パイプ19で気化させて製氷ケース10をマイナス25℃に冷却する。また、離氷時には、圧縮機4から送給されたホットガスが熱交換パイプ19に送給されて製氷ケース10を加熱し、セル11内に形成されたキューブ状の氷塊の表面を融解してセル壁から分離するのを促進する。
図3に示すように給水トレー12は、下向きに開口する四角皿状のトレー本体20と、給水トレー12の下面に固定される水路枠21で構成する。水路枠21は、一群のセル11に対応して枝分かれする分岐水路22を備えており、各分岐水路22と正対するトレー本体20の上壁に、製氷水をセル11に向かって噴出供給するノズル穴23が開口してある。水路枠21の基端部分21aには、給水タンク13に設けた加圧ポンプ24の吐出路25が接続してある。
製氷時に加圧ポンプ24のポンプモーター26を駆動すると、給水タンク13内の製氷水が加圧ポンプ24で加圧されて各分岐水路22へと送給され、ノズル穴23からセル11内へ向かって噴出される。ノズル穴23の周囲には、セル11内で氷結しなかった製氷水を給水タンク13へ流下させる排水穴27が設けてある。ポンプモーター26は市販の減速ユニット付のDCモーターからなり、外気温、給水タンク13に供給される製氷水(水道水)の温度、およびタンク内の水量などの環境条件に応じて、ポンプモーター26の駆動回転数を制御部40で多段階に調整する。その詳細は後述する。
給水タンク13は、上向きに開口する四角皿状のプラスチック成型品からなり、その底壁30は加圧ポンプ24の吸込口28へ向かって下り傾斜させてある。給水タンク13は、離氷時に給水トレー12とともに下り傾斜するが、傾斜下端側の後壁側には、製氷工程で消費されなかった製氷水や、トレー洗浄水を排水パン16に排出する排水樋31が設けてある。
給水トレー12および給水タンク13はトレーブラケット32に固定されており、同ブラケット32の上端に設けた傾動軸33で上下傾動可能に軸支してある。給水トレー12および給水タンク13はトレー操作機構14で傾動軸33の周りに上下操作されて、給水トレー12が製氷ケース10の下面に正対する製氷位置(図3に示す位置)と、給水トレー12が製氷ケース10から離れて下り傾斜するトレー洗浄位置(図4に示す位置)の間を上下傾動する。図4に示すようにトレー操作機構14は、傾動モーター35と、同モーター35で往復傾動操作される前後一対の駆動アーム36と、駆動アーム36と給水トレー12の間に掛止した引張りコイル形の連動ばね37などで構成してある。傾動モーター35は制御部40からの指令信号を受けて正逆転駆動され、かつ、正逆転時に高速運転状態と低速運転状態に変速駆動することができる。
図3に示すように給水部15は、給水トレー12の傾動基端の上方に配置した給水パイプ41と、給水パイプ41と図示していない水道管を接続する原水通路42と、原水通路42に設けた電磁弁43などで構成してある。給水パイプ41の下面には、給水トレー12に向かって水道水(製氷水)を供給する一群の給水穴44が開口してある。給水パイプ41から常温の水道水を送給することにより、製氷工程において給水タンク13の内部に所定量の製氷水を貯留することができ、あるいは、離氷工程において給水トレー12の上面にトレー洗浄水を供給することができる。給水パイプ41には水温センサー45が設けてあり、製氷室1を区画する断熱箱の外面には外気温を検知する外気温センサー46が設けてある(図2参照)。
以上のように構成したセル型の製氷機において、製氷水の温度や気温などの環境条件の違いに応じて、セル11内に噴出される製氷水の噴出量を最適化するために、ポンプモーター26の駆動回転数を制御部40で多段階に調整している。制御部40は、外気温センサー46から出力される出力信号を受けて、外気の温度状態を高温、常温、低温のいずれかひとつであると判定している。具体的には、外気温度が30℃以上であるとき高温であると判定し、外気温度が10℃以上30℃未満であるとき常温であると判定し、外気温度が10℃未満であるとき低温であると判定する。
また、制御部40は、給水タンク13に送給される製氷水の水温を検知する水温センサー45から出力される出力信号を受けて、製氷水の温度状態を先の外気の3個の温度状態ごとに、高温水、常温水、低温水のいずれかひとつであると判定する。具体的には、外気の3個の温度区分のそれぞれにおいて、製氷水の水温が25℃以上であるときを高温水であると判定し、水温が5℃以上25℃未満であるとき常温水であると判定し、水温が5℃未満であるとき低温水であると判定する。
上記のように、外気温度を3個の状態に区分し、製氷水の温度状態を外気の3個の温度状態ごとに3個の状態に区分することにより、製氷時の環境条件は合計で9個の状態に区分される。制御部40には、9個の環境条件に対応する各センサー45・46の組み合わせデーターが格納してあるので、各センサー45・46の出力信号から、現状の環境条件を特定することができる。
製氷過程は製氷初期と、製氷中期と、製氷終期に区分されており、製氷初期から製氷中期へ移行し、あるいは製氷中期から製氷終期へ移行するごとに給水タンク13内の製氷水の量が減少する。制御部40は、ポンプモーター26から出力される駆動回転数信号の違いによって製氷水の量が減少したことを検知して、現在の製氷過程が製氷初期と、製氷中期と、製氷終期のどの過程であるかを判定する。
上記のように、ポンプモーター26から出力される駆動回転数信号の違いで各製氷過程を判定できるのは、給水タンク13内の製氷水の量が減少するのに伴って、加圧ポンプ24の駆動負荷(水の抵抗)が漸減し、加圧ポンプ24およびポンプモーター26の駆動回転数が増加するからである。例えば、製氷初期において加圧ポンプ24の駆動を開始したときのポンプモーター26の駆動回転数が3700rpmであったとすると、製氷初期が終了する時点でのポンプモーター26の駆動回転数は3900rpmまで増加する。従って、制御部40はポンプモーター26の駆動回転数が増加したことを検知することにより、製氷過程が製氷初期から製氷中期へ移行したことを判定でき、同様にして、製氷過程が製氷中期から製氷終期へ移行したことを判定できる。この実施例ではポンプモーター26自体が回転数センサー47を兼ねているが、別途回転数センサー47を設けて駆動回転数信号を制御部40に出力してもよい。
制御部40は、ポンプモーター26の駆動回転数を7段階に変更できるように設定してあり、図1に示すように先に説明した9個の環境条件に応じてポンプモーター26の駆動回転数を最適化する。また、個々の環境条件に応じて、給水タンク13内の水量が製氷初期の初期水量から製氷中期の中期水量に減少し、あるいは中期水量から製氷終期の終期水量に減少するごとに、制御部40はポンプモーター26の駆動回転数を増加して製氷を行う。
例えば、図1において外気の温度状態が高温状態で、製氷水の温度状態が高温水である場合には、制御部40は製氷初期においてポンプモーター26の駆動回転数を7段階の内の1段階目の最低回転数2500rpmに設定して、ノズル穴23から噴出される製氷水の噴出速度を最小にする。このように、製氷水の噴出速度が小さいと、セル11内における製氷水の流動量が少なくなるので、製氷ケース10の冷熱を製氷水に確実に伝導させて氷塊の成長を促進できる。
製氷過程が進行し、給水タンク13内の製氷水の水量が減少すると、ポンプモーター26の駆動回転数の変化によって、製氷過程が製氷初期から製氷中期へ移行したことを検知できる。これに伴い、制御部40はポンプモーター26の駆動回転数を7段階の内の2段階目の低回転数2800rpmにして、ノズル穴23から噴出される製氷水の噴出速度を僅かに増やす。このように、製氷過程が製氷初期から製氷中期へ移行するのに応じて、製氷水の噴出速度を段階的に増加すると、氷塊の成長速度は幾分低下するものの、氷結凹面に析出している不純物を洗い流しながら、露出している氷が不必要に洗い流されるのを抑止できる。
同様に、ポンプモーター26の駆動回転数の変化によって、製氷過程が製氷中期から製氷終期へ移行したことを検知すると、制御部40はポンプモーター26の駆動回転数を7段階の内の3段階目の低回転数3100rpmにして、ノズル穴23から噴出される製氷水の噴出速度をさらに僅かに増やす。このように、給水タンク13内の水量が初期水量から中期水量に減少し、あるいは中期水量から終期水量に減少するごとに、製氷水の噴出速度を段階的に増加すると、氷結凹面に析出している不純物を洗い流しながら、氷結凹面に露出している氷が不必要に洗い流されるのを抑止して氷塊を効率良く生成できる。また、製氷終期においては、ノズル穴23から噴出される製氷水の噴出速度が最大になるので、氷結凹面に析出した不純物を確実に除去して、透明度の高い氷塊を生成できる。
図1において外気の温度状態が高温状態で、製氷水の温度状態が常温水である場合には、制御部40は製氷初期においてポンプモーター26の駆動回転数を、7段階の内の2段階目の回転数に設定して製氷を開始する。また、製氷中期には、ポンプモーター26の駆動回転数を、7段階の内の3段階目の回転数に設定して製氷を行う。さらに、製氷終期には、ポンプモーター26の駆動回転数を、7段階の内の4段階目の回転数に設定して製氷を行う。また、外気の温度状態が高温状態で、製氷水の温度状態が低温水である場合には、制御部40は製氷初期においてポンプモーター26の駆動回転数を、7段階の内の3段階目の回転数に設定して製氷を開始する。製氷中期および製氷終期には、それぞれポンプモーター26の駆動回転数を、4段階目の回転数と、5段階目の回転数に設定して製氷を行う。
図1において、外気の温度状態が常温状態で、製氷水の温度状態が高温水である場合には、制御部40は製氷初期においてポンプモーター26の駆動回転数を、7段階の内の2段階目の回転数に設定して製氷を開始し、製氷中期および製氷終期へ移行するごとに、ポンプモーター26の駆動回転数を、3段階目の回転数と、4段階目の回転数に設定して製氷を行う。また、製氷水の温度が常温水、あるいは低温水に変化した場合には、製氷初期におけるポンプモーター26の駆動回転数を、7段階の内の3段階目の回転数、あるいは4段階目の回転数に設定して製氷を開始する。このように、外気の温度、および製氷水の温度が低下するごとに、製氷初期におけるポンプモーター26の駆動回転数を徐々に増加して製氷を行う。
製氷初期におけるポンプモーター26の駆動回転数が最も高いのは、外気の温度状態が低温状態で、製氷水の温度状態が低温水である場合である。この場合の制御部40は図1に示すように、製氷初期においてポンプモーター26の駆動回転数を、7段階の内の5段階目の回転数に設定して製氷を開始し、製氷中期および製氷終期へ移行するごとに、ポンプモーター26の駆動回転数を、6段階目の回転数と、7段階目の回転数に設定して製氷を行う。このように、製氷開始時のポンプモーター26の駆動回転数を7段階の内の5段階目に設定すると、ノズル穴23から噴出される製氷水の噴出速度が他の環境条件に比べて最大になる。また、製氷水の噴出速度が大きい分だけセル11内における製氷水の流動量が多くなるため、製氷ケース10の冷熱は製氷水に伝導しにくくなり、氷塊の成長が緩慢になる。
この実施例では、ポンプモーター26の駆動回転数は、1段階目が2500rpmで、7段階目は4300rpmであり、2段階目以降7段階目までの各段階の駆動回転数の差は300rpmとした。なお、製氷開始時のポンプモーター26の駆動回転数を7段階の内の1段階目にして製氷を行う場合に、セル11内の製氷水が固化して氷になる量と、製氷開始時のポンプモーター26の駆動回転数を7段階の内の5段階目にして製氷を行う場合に、セル11内の製氷水が固化して氷になる量はほぼ一定である。
上記の製氷条件を整理すると、外気の温度状態が高温状態から低温状態へ近づくほど、ポンプモーター26の駆動回転数を増加することになる。また、外気の温度状態が高温、常温、低温の各状態にあるとき、製氷水の温度状態が高温水から低温水へ近づくほど、ポンプモーター26の駆動回転数を増加することになる。さらに、製氷水の温度状態が高温水と、常温水と、低温水の各状態にあるとき、給水タンク13内の製氷水の水量が初期水量から終期水量に近づくほど、ポンプモーター26の駆動回転数を増加することになる。
上記の製氷機によれば、製氷水の温度や外気温などの環境条件の違いに応じて、セル11内に噴出される製氷水の噴出量が最適化されるので、氷結凹部に露出している氷が不必要に洗い流されるのを解消しながら、体積が大きな氷塊を効率よく生成することができる。また、給水タンク13内の水量が減少するのに対応して、製氷水の噴出量を増加するので、製氷過程が終了するまでの間に、氷結凹部に析出した不純物を確実に洗い流して透明度の高い氷塊を生成でき、全体として透明度が高い氷塊を効率良く生成できる。さらに、加圧ポンプ24の駆動状態を制御部40で制御して、製氷過程における製氷水の噴出量を最適化するので、既存の製氷機でも制御プログラムを変更し、あるいは制御基板を交換するだけで透明度が高い氷塊を効率良く生成できる。
給水タンク13内の水量が初期水量から中期水量に減少し、中期水量から終期水量に減少するごとに、制御部40でポンプモーター26の駆動回転数を増加して製氷を行うと、外気温度や製氷水の温度などの環境条件の違いに応じて、適量の製氷水を噴出できる。つまり、セル11内における氷塊の成長度合いに適合して適量の製氷水を噴出して、氷塊を効率よく生成することができる。さらに、給水タンク13内の水量が終期水量にまで減少した後は、それまでより大量の製氷水を噴出して製氷を行うので、製氷過程が終了するまでの間に、氷結凹部に析出した不純物を確実に洗い流して透明度の高い氷塊を確実に生成できる。
制御部40は、外気温センサー46の出力信号を受けて、外気の温度状態が高温、常温、低温のいずれであるかを判定して、各温度状態に対応してポンプモーター26の駆動回転数を調整するようにした。また、制御部40は、水温センサー45の出力信号を受けて、製氷水の温度状態が高温水、常温水、低温水のいずれであるかを判定して、各温度状態に対応してポンプモーター26の駆動回転数を調整するようにした。さらに、外気温センサー46と水温センサー45の出力信号の組み合わせから、制御部40は環境条件を9個の状態として判定して、9個の各環境条件に対応してポンプモーター26の駆動回転数を多段階に調整できるようにした。こうした製氷機によれば、外気温や製氷水の温度が広範囲にわたって変化する場合でも、環境条件の個々の状態ごとに製氷水の噴出量をきめ細かに調整して最適化できるので、透明度が高い氷塊をさらに効率良く生成できる。また、環境条件の個々の状態ごとに製氷水の噴出量を最適化するので、外気の温度状態や製氷水の温度状態が多様に変化する場合であっても、セル11内で成長する氷塊の成長速度を概ね一定にして、製氷に要する時間が大きくばらつくのを解消できる。
ポンプモーター26はDCモーターである必要はなく、変速駆動が可能なモーターであれば、その種別は問わない。上記の実施例では、給水タンク13内の水量が減少するのに対応して、水量が初期水量、中期水量、終期水量のいずれであるかを判定し、ポンプモーター26の駆動回転数を段階的に増加したが、その必要はない。例えば、給水タンク13内の水量が減少するのに対応して、ポンプモーター26の駆動回転数を連続的に増加して製氷を行うことができる。その場合には、給水タンク13内の水量が減少する際に、ポンプモーター26の駆動回転数が自然に増加する現象を利用して、給水タンク13内の水量を特定するのが難しくなる。そのため、別途回転数センサー47を設けてポンプモーター26の駆動回転数を検知する必要がある。
1 製氷室
10 製氷ケース
11 セル
12 給水トレー
13 給水タンク
24 加圧ポンプ
26 ポンプモーター
40 制御部
45 水温センサー
46 外気温センサー
47 回転数センサー

Claims (6)

  1. 製氷室(1)に、一群のセル(11)を備えた製氷ケース(10)と、各セル(11)に製氷水を噴出供給する給水トレー(12)と、給水トレー(12)に製氷水を送給する加圧ポンプ(24)を備えた給水タンク(13)が設けられており、
    加圧ポンプ(24)を駆動するポンプモーター(26)は、変速駆動が可能なモーターで構成されており、
    製氷機には、給水タンク(13)に送給される製氷水の温度を検知する水温センサー(45)と、外気の温度を検知する外気温センサー(46)と、ポンプモーター(26)の駆動回転数を検知する回転数センサー(47)と、これらのセンサー(45・46・47)の出力信号に基づきポンプモーター(26)の駆動回転数を多段階に調整する制御部(40)が設けられており、
    制御部(40)は、水温センサー(45)および外気温センサー(46)から出力される出力信号を受けて、製氷水の温度状態および外気の温度状態が低温であるほど、ポンプモーター(26)の駆動回転数を増加するように制御しており、
    制御部(40)は、回転数センサー(47)から出力される出力信号を受けて、給水タンク(13)内の水量が減少するのに対応して、ポンプモーター(26)の駆動回転数を増加して製氷を行うことを特徴とするセル型製氷機。
  2. 制御部(40)は、回転数センサー(47)から出力される出力信号を受けて、給水タンク(13)内の水量が初期水量、中期水量、終期水量のいずれであるかを判定して、給水タンク(13)内の水量が初期水量から中期水量に減少し、あるいは中期水量から終期水量に減少するごとに、ポンプモーター(26)の駆動回転数を増加している請求項1に記載のセル型製氷機。
  3. 制御部(40)は、外気温センサー(46)から出力される出力信号を受けて、外気の温度状態が高温、常温、低温のいずれであるかを判定して、外気の温度状態が高温状態から低温状態へ移行するほど、ポンプモーター(26)の駆動回転数を増加するように制御しており、
    制御部(40)は、水温センサー(45)から出力される出力信号を受けて、製氷水の温度状態が高温水、常温水、低温水のいずれであるかを判定して、製氷水の温度状態が高温状態から低温状態へ移行するほど、ポンプモーター(26)の駆動回転数を増加するように制御しており、
    制御部(40)は、外気温センサー(46)と、水温センサー(45)から出力された出力信号の組み合わせから、環境条件を9個の状態として判定し、個々の環境条件に対応してポンプモーター(26)の駆動回転数を多段階に調整している請求項1、または2に記載のセル型製氷機。
  4. 制御部(40)は、外気の温度が30℃以上であるとき高温であると判定し、外気の温度が10℃以上30℃未満であるとき常温であると判定し、外気の温度が10℃未満であるとき低温であると判定しており、
    制御部(40)は、外気の3個の温度状態のそれぞれにおいて、製氷水の水温が25℃以上であるとき高温水であると判定し、水温が5℃以上25℃未満であるとき常温水であると判定し、水温が5℃未満であるとき低温水であると判定している請求項3に記載のセル型製氷機。
  5. ポンプモーター(26)の駆動回転数が、制御部(40)から出力される駆動指令信号に基づき7段階に変更できるように設定されており、
    制御部(40)が、9個の環境条件に対応して、ポンプモーター(26)の駆動回転数を1段階から7段階まで調整している請求項2から4のいずれかひとつに記載のセル型製氷機。
  6. ポンプモーター(26)が回転数センサー(47)を兼ねている請求項1から5のいずれかひとつに記載のセル型製氷機。
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