JP2017035819A - 化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】折り曲げ加工性及び意匠性に優れる化粧シートの提供。【解決手段】本発明の化粧シート10は、ポリエチレンテレフタレートを含む第一のシート11a及びポリ塩化ビニルを含む第二のシート11bを積層した基材層11と、前記基材層11の第一のシート11a側の表面に設けられたトップコート層12とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シートに関する。
ホワイトボードなどに用いられる化粧シートとしては、例えば、ポリエステルフィルム等の基材シートと、基材シートの表面に設けられたマーカー筆記性及び消去性を有する樹脂層と、基材シートの裏面に設けられた隠蔽性シートとを有するホワイトボード用シートなどが知られている(特許文献1参照)。
実開昭63−188186号公報
しかしながら、特許文献1に記載のホワイトボード用シートは剛性が高く、折り曲げ加工性に劣っている。そのため、例えば角材や球体等の立体的な被貼着物の複数の面にわたってホワイトボード用シートを貼り付けたり、曲面にホワイトボード用シートを貼り付けたりすると、ホワイトボード用シートが浮いたり剥がれたりしやすかった。
また、特許文献1にホワイトボード用シートは、意匠性を考慮したものではなかった。
本発明は、折り曲げ加工性及び意匠性に優れる化粧シートを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] ポリエチレンテレフタレートを含む第一のシート及びポリ塩化ビニルを含む第二のシートを積層した基材層と、前記基材層の第一のシート側の表面に設けられたトップコート層とを有する、化粧シート。
[2] 前記第一のシートと第二のシートとの間に、印刷層を有する、[1]に記載の化粧シート。
[3] 前記基材層の第二のシート側の表面に、粘着剤層を介して離型層を有する、[1]または[2]に記載の化粧シート。
[4] 前記基材層と粘着剤層との間に、プライマ層を有する、[3]に記載の化粧シート。
本発明の化粧シートは、折り曲げ加工性及び意匠性に優れる。
本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。 本発明の化粧シートの他の例を示す断面図である。 (a)は実施例1で作製した試験片の斜視図であり、(b)は(a)はの側面図である。
以下、本発明の化粧シートの一実施形態について、具体的に説明する。
図1に示すように、本実施形態の化粧シート10は、基材層11と、基材層11の表面に設けられたトップコート層12と、基材層11の裏面に、粘着剤層13を介して設けられた離型層14とを有する。また、本実施形態の化粧シート10は、基材層11と粘着剤層13との間にプライマ層15を有する。
[基材層]
基材層11は、第一のシート11aと第二のシート11bとを、接着剤層11cを介して積層した積層体である。
本発明において、基材層11の第一のシート11a側の表面を「基材層の表面」とし、基材層11の第二のシート11b側の表面を「基材層の裏面」とする。
<第一のシート>
第一のシート11aは、化粧シート10の平面性に寄与する基材であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
第一のシート11aとしては、PETシートが挙げられる。PETシートの中でも、基材層11の表面にトップコート層12を形成するため、耐溶剤性、耐熱性等の耐久性や、汎用性、平滑性等を勘案し、二軸延伸PETシートが好ましい。
第一のシート11aの厚さは、12〜188μmが好ましく、38〜75μmがより好ましい。特に、第一のシート11aの厚さが38μm以上であれば、後述するトップコート剤を塗布し、硬化する際の硬化収縮による耐カール性や耐熱性が得られる。一方、第一のシート11aの厚さが75μm以下であれば、低コストである。また、化粧シート10を建材として用いる場合、建築基準法における不燃性が必要となるが、第一のシート11aの厚さが75μm以下であれば、燃焼性においても有利である。
第一のシート11aには、例えば可塑剤、充填剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤等の樹脂以外の成分が含まれていてもよい。ただし、第一のシート11aを通して第二のシート11bを見た際の第二のシート11bの視認性がより高くなることから、第一のシート11aは着色剤を含まない、すなわち無着色であることが好ましい。
<第二のシート>
第二のシート11bは、化粧シート10の折り曲げ加工性に寄与する基材であり、ポリ塩化ビニル(PVC)を含む。
第二のシート11bは、化粧シート10の意匠性を高める点で、着色剤を含んでいてもよい。
第二のシート11bとしては、PVCシートが挙げられる。
第二のシート11bの厚さは、20〜200μmが好ましく、50〜120μmがより好ましい。特に、第二のシート11bの厚さが50μm以上であれば、隠蔽性が得られる。また、詳しくは後述するが、第二のシート11b上に印刷層を形成する場合の印刷適性(耐溶剤性)にも優れる。一方、第二のシート11bの厚さが120μm以下であれば、充分な折り曲げ加工性が得られる。
第二のシート11bには、上述した着色剤以外にも、例えば可塑剤、充填剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤等の樹脂以外の成分が含まれていてもよい。
また、化粧シート10を、磁性物品に磁着させることができるマグネットシート(磁性シート)として用いる場合、第二のシート11bには磁性材料が含まれていてもよい。
第二のシート11b(100体積%)中の磁性材料の充填率は、40〜80体積%が好ましく、50〜70体積%がより好ましい。磁性材料の充填率が、40体積%以上であれば磁気吸着特性に優れた化粧シート10が得られやすくなり、80体積%以下であれば成形性が良好となる。
磁性材料としては、硬磁性材料、軟磁性材料などが挙げられる。
硬磁性材料としては、例えばSrフェライト、Baフェライト、希土類系(Sm−Co系、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系等)、Fe−Cr−Co系、アルニコ系などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
軟磁性材料としては、例えばMn−Zn系ソフトフェライト、Ni−Zn系ソフトフェライト、Mg−Zn系ソフトフェライトなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<接着剤層>
接着剤層11cを形成する接着剤としては、化粧シートにおける接着剤層に通常用いられるものを使用できる。接着剤層11cを形成する接着剤は、二液硬化型であってもよく、一液硬化型であってもよく、紫外線硬化型であってもよい。
接着剤の具体例としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のヒートシール性樹脂が挙げられる。なかでも、ポリエステル系樹脂、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、接着剤には、イソシアネート等の硬化剤を含ませてもよい。
接着剤層11cを形成する接着剤としては、イソシアネートを硬化剤として含ませたポリエステル系樹脂が、化粧シート10の外観性及び密着強度の観点から好ましい。
接着剤層11cは、着色剤を含まない、すなわち無着色であることが好ましい。
接着剤層11cの厚さは、2〜30μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。特に、接着剤層11cの厚さが、5μm以上であれば充分な強度で第一のシート11aと第二のシート11bとを接着でき、15μm以下であれば透明性や製造コストへの影響が少なく、また燃焼性も抑えられる。
[トップコート層]
トップコート層12は、マーカーインクの筆記性及びイレーサーによるマーカーインクの消去性を有する層であり、基材層11の表面、すなわち基材層11の第一のシート11a側の表面に設けられている。
トップコート層12を形成するトップコート剤としては、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂、一液硬化型塗料、二液硬化型塗料などが挙げられる。なかでも、筆記や消去の繰り返しにおける耐久性に優れる点で、紫外線硬化樹脂が好ましい。
紫外線硬化樹脂としては、例えばアクリル系ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エン・チオール系樹脂、カチオン系樹脂などが挙げられる。また、紫外線硬化樹脂には、反応性シリコーン等の添加剤を含ませてもよい。ここで、反応性シリコーンとは、側鎖や末端に有機基を導入した変性シリコーンのうち、導入する有機基の性質に依存する反応性を有するシリコーンを意味する。このような変性シリコーンとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、異種官能基変性等の各種変性シリコーンが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などが挙げられる。
トップコート層12は、着色剤を含まない、すなわち無着色であることが好ましい。
トップコート層12の厚さは、0.5〜20μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。特に、トップコート層12の厚さが1μm以上であれば、耐擦傷性や耐溶剤性などの表面物性を充分に発現できる。一方、トップコート層12の厚さが5μm以下であれば、硬化時のカールを少なくできる。また、コストが抑えられ、色味もつきにくい。
[粘着剤層]
粘着剤層13は、基材層11の裏面に設けられる。
粘着剤層13を形成する粘着剤としては、化粧シートにおける粘着剤層に通常用いられるものを使用でき、例えば、アクリル重合体と粘着付与剤とを含有するアクリル系粘着剤が挙げられる。ここで、アクリル系粘着剤のアクリル重合体を構成する単量体単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。また、粘着付与剤としては、ロジン系、テルペン系、フェノール系、クマロン系などの粘着付与剤が挙げられる。
粘着剤層13の厚さは、10〜100μmが好ましく、25〜50μmがより好ましい。特に、粘着剤層13の厚さが、25μm以上であれば充分な粘着強度が得られるので、化粧シート10を所望の箇所に貼着でき、50μm以下であればコストを抑えられ、燃焼性にも有利となる。
[離型層14]
離型層14は、粘着剤層13の露出した表面を保護するものであり、粘着剤層13の基材層11とは反対側の表面に設けられる。離型層14は、化粧シート10を所望の箇所に貼着する際に剥離される。
離型層14としては、粘着剤層13から剥離できるものであれば特に制限されないが、例えばPETシート、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、シリコーン等の離型剤がコーティングされた紙などが挙げられる。
離型層14の厚さは、取扱性やコストなどの点から、20〜100μmが好ましい。
[プライマ層]
プライマ層15は、基材層11と粘着剤層13との密着性を高めるものであり、図1に示すように基材層11と粘着剤層13との間に設けられる。
プライマ層15を形成するプライマとしては、例えばポリウレタン、ポリエステルなどが挙げられる。
プライマ層15の厚さは、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。特に、プライマ層15の厚さが、1μm以上であれば充分な強度で基材層11と粘着剤層13とを密着でき、5μm以下であればコストを抑えることができる。
[製造方法]
本実施形態の化粧シート10は、例えば以下のようにして製造できる。
予め、第一のシート11aの片面にトップコート剤を塗布し、乾燥させ、トップコート層12を形成しておく。
第一のシート11aのもう一方の面に接着剤を塗布し、乾燥させ、第一のシート11aのもう一方の面に接着剤層11cを形成する。得られたトップコート層12及び接着剤層11c付きの第一のシート11aと第二のシート11bとを、接着剤層11cと第二のシート11bとが向かい合うように積層した後、エージングして第一のシート11aと第二のシート11bとを貼り合せ、表面にトップコート層12が設けられた基材層11を作製する。
ついで、基材層11の裏面にプライマを塗布し、乾燥させ、プライマ層15を形成する。
別途、離型層14の片面に粘着剤を塗布し、乾燥させ、離型層14上に粘着剤層13を形成しておく。
得られた粘着剤層13付きの離型層14と、表面にトップコート層12が設けられ、裏面にプライマ層15が設けられた基材層11とを、粘着剤層13とプライマ層15とが向かい合うように積層した後、エージングして基材層11と離型層14とを貼り合せ、化粧シート10を得る。
トップコート剤、接着剤、プライマ、粘着剤の塗布方法としては、例えばグラビアコート法(マイクログラビアコート法を含む)、コンマコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、キャスト塗工法等が挙げられる。
第一のシート11aと第二のシート11bとの積層方法、基材層11と離型層14との積層方法としては、例えばドライラミネート法などが挙げられる。
エージングの方法としては、例えば20〜50℃で1〜5日間養生する方法などが挙げられる。
なお、上述した方法では、予め第一のシート11aの表面にトップコート層12を形成しておくが、基材層11を作製した後や、基材層11と離型層14とを貼り合せた後に、基材層11の表面にトップコート層12を形成してもよい。
[作用効果]
本実施形態の化粧シート10は、積層構造の基材層11を有する。すなわち、基材層11は、化粧シート10の平面性に寄与する、PETを含む第一のシート11aと、化粧シート10の折り曲げ加工性に寄与する、PVCを含む第二のシート11bとで構成される。基材層11をこのような積層構造とすることで、基材層11の全体に可撓性をもたせることができ、化粧シート10の折り曲げ加工性が高まる。
また、第一のシート11aはPETを含むことから、第一のシート11aを通して第二のシート11bを見た際の第二のシート11bの視認性に優れる。よって、例えば第二のシート11bを所望の色に着色すれば、化粧シート10の意匠性も高まる。しかも、第二のシート11bの色は自由に変更できるので、化粧シート10の色の選択性も高まる。
また、基材層11の表面にはトップコート層12が設けられているので、マーカーインクの筆記性及びイレーサーによるマーカーインクの消去性にも優れる。
また、化粧シート10の基材層11の裏面には粘着剤層13が設けられているので、化粧シート10を所望の箇所に貼着することもできる。化粧シート10は折り曲げ加工性に優れることから、立体的な被貼着物の表面に貼着させても、化粧シート10が浮いたり剥がれたりしにくい。
化粧シート10は、例えば学校、学習塾、オフィス、店舗等の壁材として用いられるホワイトボードなどに好適である。
また、第二のシート11bが磁性材料を含んでいれば、磁性物品に磁着させることができるマグネットシート(磁性シート)として用いることもできる。
[他の実施形態]
本発明の化粧シートは、上述したものに限定されない。
例えば、化粧シートは、図2に示す化粧シート20のように、第一のシート11aと第二のシート11bとの間に、印刷層11dを有していてもよい。
なお、図2において図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
印刷層11dは、化粧シート20の意匠性をより高めるものであり、第二のシート11bの第一のシート11a側の表面に、印刷により形成される。
印刷層11dにおいて、印刷によって形成される絵柄、模様としては、例えば木目、石目、布目、砂目、タイル貼模様、煉瓦積模様、皮絞模様、幾何学模様、文字、記号、メタリックなどが挙げられる。これら絵柄及び模様は組み合わせることもできる。
印刷方法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
印刷層11dに使用されるインクは、バインダ樹脂と着色剤とを含有する。
バインダ樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジルジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ベリレンレッド、アニリンブラック等の有機顔料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔粉等の真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
印刷層11dに使用されるインクには、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、充填剤などの添加剤が含まれていてもよい。
化粧シート20は、例えば以下のようにして製造できる。
予め、第一のシート11aの片面にトップコート剤を塗布し、乾燥させ、トップコート層12を形成しておく。
別途、第二のシート11bの片面に印刷層11dを印刷しておく。
第一のシート11aのもう一方の面に接着剤を塗布し、乾燥させ、第一のシート11aのもう一方の面に接着剤層11cを形成する。得られたトップコート層12及び接着剤層11c付きの第一のシート11aと、印刷層11dが形成された第二のシート11bとを、接着剤層11cと印刷層11dとが向かい合うように積層した後、エージングして第一のシート11aと第二のシート11bとを貼り合せ、表面にトップコート層12が設けられた基材層11を作製する。
ついで、基材層11の裏面にプライマを塗布し、乾燥させ、プライマ層15を形成する。
別途、離型層14の片面に粘着剤を塗布し、乾燥させ、離型層14上に粘着剤層13を形成しておく。
得られた粘着剤層13付きの離型層14と、表面にトップコート層12が設けられ、裏面にプライマ層15が設けられた基材層11とを、粘着剤層13とプライマ層15とが向かい合うように積層した後、エージングして基材層11と離型層14とを貼り合せ、化粧シート20を得る。
上述したように、第一のシート11aはPETを含むことから、第一のシート11aを通して第二のシート11bを見た際の第二のシート11bの視認性に優れる。よって、第二のシート11b上に印刷層11dが印刷されていれば、化粧シート20の意匠性がより高まる。
第二のシート11b上に印刷層11dが印刷されている場合、第二のシート11bは着色剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
また、本発明の化粧シートをマグネットシート(磁性シート)として用いる場合、第二のシートに磁性材料を配合させる代わりに、例えば磁性材料を含む磁性層を基材層の裏面に設けてもよい。なお、図1、2に示すように、基材層11の裏面にプライマ層15が設けられている場合、磁性層(図示略)は基材層11とプライマ層15との間に設けられる。
磁性層(100体積%)中の磁性材料の充填率は、40〜80体積%が好ましく、50〜70体積%がより好ましい。磁性材料の充填率が、40体積%以上であれば磁気吸着特性に優れた化粧シートが得られやすくなり、80体積%以下であれば成形性が良好となる。
磁性層は、磁性材料の他に、バインダが含まれる。
バインダとしては、例えばゴム(天然ゴム、アクリル系ゴムなどの合成ゴム等)、樹脂(塩素化ポリエチレン、ポリイソブチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等)などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<化粧シートの作製>
厚さ50μmの二軸延伸PETシート(東洋紡株式会社製、「A4300」)の片面に、トップコート剤としてアクリル系ウレタン樹脂に反応性シリコーンが配合された紫外線硬化塗料(DICグラフィックス株式会社製、「DR2 WB−1」)を、ドライ塗布量が約2g/mとなるようにマイクログラビアコート法により塗布し、60℃で乾燥させ、二軸延伸PETシート(第一のシート)上にトップコート層を形成した。
別途、カレンダー成形により、PVCと着色剤(酸化チタン)との混合物を厚さ90μmのシート状に成形し、着色PVCシート(第二のシート)を得た。ついで、着色PVCシートの片面に、塩化ビニル−酢酸ビニル系インク(株式会社昭和インク工業所製、「SXインク」)を用いてグラビア印刷(木目、抽象柄3〜4版)を施して、着色PVCシート(第二のシート)上に印刷層を形成した。
主剤としてポリエステル系樹脂(日立化成株式会社製、「ハイボンYA790−1」)100質量部に対して、硬化剤としてイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、「コロネートHL」)10質量部を含む二液硬化型接着剤を、二軸延伸PETシートのもう一方の面に、ドライ塗布量が約13g/mとなるようにマイクログラビアコート法により塗布し、70℃で乾燥させ、二軸延伸PETシートのもう一方の面に接着剤層を形成した。
得られたトップコート層及び接着剤層付きの二軸延伸PETシートと、印刷層が形成された着色PVCシートとを、接着剤層と印刷層とが向かい合うように、ドライラミネート法により積層し、35℃で3日間養生して、二軸延伸PETシートと着色PVCシートとを貼り合せ、表面にトップコート層が設けられた基材層を作製した。
得られた基材層の裏面(着色PVCシート側の表面)にプライマとしてポリウレタン(ノーテープ工業株式会社製、「No.5230」)を、ドライ塗布量が約1g/mとなるようにグラビアコート法により塗布し、60℃で乾燥させ、基材層の裏面にプライマ層を形成した。
別途、シリコーンがコーティングされた紙(離型層)の片面にアクリル系粘着剤を、ドライ塗布量が約50g/mとなるようにコンマコーター法により塗布し、60℃で乾燥させ、離型層上に粘着剤層を形成した。
得られた粘着剤層付きの離型層と、表面にトップコート層が設けられ、裏面にプライマ層が設けられた基材層とを、粘着剤層とプライマ層とが向かい合うように、ドライラミネート法により貼り合わせ、40℃で2日間養生して、基材層と離型層とを貼り合せ、図2に示すような化粧シート20を得た。
得られた化粧シートについて、以下のようにして折り曲げ加工性及び意匠性を評価した。結果を表1に示す。
<評価>
(折り曲げ加工性)
化粧シートの離型層を剥離し、図3(a)、(b)に示すように、アルミニウム角材30の上面31と、前面32及び背面33の上端部分とにわたって、離型層が剥離された化粧シート20’を貼着し、試験片40とした。なお、アルミニウム角材30の前面32にかかる化粧シート20’の長さを5mmとし、アルミニウム角材30の背面33にかかる化粧シート20’の長さを10mmとした。
試験片40を70℃の環境下で120分、−20℃の環境下で120分放置する冷熱サイクルを5回繰り返した。
試験片40の冷熱サイクル試験後の外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて折り曲げ加工性を評価した。
○:化粧シートが浮いたり剥がれたりしていない。
×:化粧シートが浮いたり剥がれたりしている。
(意匠性)
化粧シートをトップコート層側から目視にて確認し、以下の評価基準にて意匠性を評価した。
○:印刷層の柄や着色PVCシートの色を確認できる。
×:印刷層の柄や着色PVCシートの色を確認できない。または色の選択性や柄の付与ができない。
[比較例1]
<化粧シートの作製>
基材として厚さ125μmの白色二軸延伸PETシート(東レ株式会社製、「E28G」、易接着処理品)の片面に、トップコート剤としてアクリル系ウレタン樹脂に反応性シリコーンが配合された紫外線硬化塗料(DICグラフィックス株式会社製、「DR2 WB−1」)を、ドライ塗布量が約2g/mとなるようにマイクログラビアコート法により塗布し、60℃で乾燥させ、白色二軸延伸PETシート(基材)上にトップコート層を形成した。
別途、シリコーンがコーティングされた紙(離型層)の片面にアクリル系粘着剤を、ドライ塗布量が約50g/mとなるようにコンマコーター法により塗布し、60℃で乾燥させ、離型層上に粘着剤層を形成した。
得られた粘着剤層付きの離型層と、表面にトップコート層が設けられた白色二軸延伸PETシートとを、粘着剤層と白色二軸延伸PETシートとが向かい合うように、ドライラミネート法により貼り合わせ、40℃で2日間養生して、基材と離型層とを貼り合せ、化粧シートを得た。
得られた化粧シートについて、実施例1と同様にして折り曲げ加工性及び意匠性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017035819
表1から明らかなように、実施例1で得られた化粧シートは、折り曲げ加工性及び意匠性に優れていた。
一方、第二のシートを備えていない比較例1の化粧シートは、折り曲げ加工性に劣り、かつ、色の選択性や柄の付与もできず、意匠性にも劣っていた。
10 化粧シート
11 基材層
11a 第一のシート
11b 第二のシート
11c 接着剤層
11d 印刷層
12 トップコート層
13 粘着剤層
14 離型層
15 プライマ層
20 化粧シート
20’ 離型層が剥離された化粧シート
30 アルミニウム角材
31 上面
32 前面
33 背面
40 試験片

Claims (4)

  1. ポリエチレンテレフタレートを含む第一のシート及びポリ塩化ビニルを含む第二のシートを積層した基材層と、
    前記基材層の第一のシート側の表面に設けられたトップコート層と
    を有する、化粧シート。
  2. 前記第一のシートと第二のシートとの間に、印刷層を有する、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記基材層の第二のシート側の表面に、粘着剤層を介して離型層を有する、請求項1または2に記載の化粧シート。
  4. 前記基材層と粘着剤層との間に、プライマ層を有する、請求項3に記載の化粧シート。
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