以下、各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る電力変換装置の回路図である。本実施形態に係る電力変換装置は、入力側に設けられた直流電源である二次電池100から供給される電力を、トランスTrを介して出力側へと供給するものである。
トランスTrの入力側として設けられる第1コイルL1には、MOSFETである第2スイッチング素子Q2が直列接続されて直列接続体をなし、その直列接続体にMOSFETである第1スイッチング素子Q1が並列接続されている。より具体的には、第1コイルL1の一端に第1スイッチング素子Q1のドレインが接続されており、第1コイルL1の他端に第2スイッチング素子Q2のドレインが接続されている。そして、第1スイッチング素子Q1のソースと第2スイッチング素子Q2のソースが接続されている。
第1スイッチング素子Q1のドレインと第1コイルL1との接続点は、チョークコイルL3を介して二次電池100の正極に接続されている。一方、第1スイッチング素子Q1のソースと第2スイッチング素子Q2のソースとの接続点は、二次電池100の負極に接続されている。また、二次電池100にはコンデンサ101が並列接続されている。
トランスTrの出力側には第1コイルL1と磁気的に結合する第2コイルL2が設けられている。第1コイルL1と第2コイルとの巻数比は、1:Nである。出力側では、MOSFETである第3スイッチング素子Q3とコンデンサC3とが直列接続されて直列接続体をなし、その直列接続体と第2コイルL2とが並列接続されて並列接続体をなしている。その並列接続体には、MOSFETである第4スイッチング素子Q4が直列接続されている。より具体的には、第2コイルL2の一端とコンデンサC3の一端とが接続され、コンデンサC3の他端と第3スイッチング素子Q3のドレインが接続され、第2コイルL2の他端と第3スイッチング素子Q3のソースが接続されている。第2コイルL2と第3スイッチング素子Q3のソースとの接続点には、第4スイッチング素子Q4のドレインが接続されている。
第2コイルL2とコンデンサC3との接続点は、正極側出力端子200aに接続されており、第4スイッチング素子Q4のソースは負極側出力端子200bに接続されている。この正極側出力端子200a、負極側出力端子200bには、コンデンサ201が並列接続されている。
電力変換装置は、二次電池100の電圧である入力側電圧VLを検出する入力側電圧検出部102、チョークコイルL3を流れる電流(入力側の回路を流れる電流)であるリアクトル電流ILを検出する入力電流検出部103、及び、出力側の電圧(コンデンサ201の電圧)である出力側電圧VHを検出する出力側電圧検出部202を備えている。検出された入力側電圧VL、出力側電圧VH、及びリアクトル電流ILは、制御部10へ入力される。
制御部10は、入力された入力側電圧VL、出力側電圧VH、及びリアクトル電流ILに基づいて演算を行い、第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4へ制御信号を送信する。このとき、出力側において、コンデンサ201への充電の進行具合に応じて、第1〜第3モードのいずれかを選択して制御を行う。なお、制御部10は出力側から入力側への電力の供給についての制御も行うが、この制御については周知のものであるため、その説明を省略する。
第1モードの制御について、図2のタイムチャートを用いて説明する。第1モードでは、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第2スイッチング素子Q2をONとする制御Aと、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第3スイッチング素子Q3をONとする制御Bとを交互に行う。換言すれば、第1スイッチング素子Q1及び第4スイッチング素子Q4については常にOFFとし、第2スイッチング素子Q2と第3スイッチング素子Q3とを交互にONとする制御を行う。なお、制御Aが行われる期間と制御Bが行われる期間との合計を、1制御周期とする。また、制御Aが行われる期間と制御Bが行われる期間との長さの比を、1未満の数であるDを用いて、D:(1−D)とする。
制御Aでは、リアクトル電流ILの単位時間あたりの変化量dIL/dtは、次式(1)で表される。
また、出力電流ICの単位時間あたりの変化量は、リアクトル電流ILの単位時間あたりの変化量dIL/dtをNで除算した値となる。第2コイルL2に印加される電圧である励磁電圧VTは出力側電圧VHと等しい。コンデンサC3の電圧であるコンデンサ電圧VCは、制御Aの期間の長さを制御Bの期間の長さで除算した値に、出力側電圧VHを乗算した値となる。励磁電流IMの時間変化量は、励磁電圧VTを励磁インダクタンスで除算したものであるため、直線的に単調増加する。すなわち、制御Aが行われる期間のうち、前半の期間a1では、励磁電流IMは負の値であり、後半の期間a2では、励磁電流IMは正の値となる。なお、励磁電流IMについて、コンデンサC3側から第2コイルL2を経て、第3スイッチング素子Q3のソース側へと流れる向きを正としている。
この制御Aが行われる際の電流経路について、図3(a)を用いて説明する。図3(a)では、電流経路を矢印で示している。第1コイルL1側では、二次電池100から供給される電流は、チョークコイルL3、第1コイルL1、第2スイッチング素子Q2を通過する経路をとることとなる。第2コイル側では、第4ダイオードD4、第2コイルL2を通過する経路をとることとなる。
このように、制御Aではリアクトル電流ILが増加するため、リアクトル電流ILが予め定められた値である第1指令値Iref1となることを条件に、リアクトル電流ILを減少させるべく制御Bが行われる。
制御Bでは、リアクトル電流ILはゼロとなり、それに伴い出力電流ICもゼロとなる。一方で、第2コイルL2側でコンデンサC3を含む閉回路が形成されるため、第2コイルにコンデンサC3が電圧を印加することとなり、励磁電圧VTはコンデンサ電圧VCの負値となる。このコンデンサ電圧VCは、制御Aのときと同じ値をとる。励磁電流IMの時間変化量は、励磁電圧VTを励磁インダクタンスで除算したものであるため、直線的に単調減少する。すなわち、制御Bが行われる期間のうち、前半の期間b1では、励磁電流IMは正の値であり、後半の期間b2では、励磁電流IMは正の値となる。
この制御Bが行われる際の電流経路について、図3(b)及び図3(c)を用いて説明する。図3(b)は、期間b1における電流を示している。図3(c)は、期間b2における電流を示している。
制御Bにおいて、第1コイルL1側では、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2が共にOFFであるため、二次電池100からの電力の供給は行われない。
第2コイルL2側では、第3スイッチング素子Q3がONとされることにより、第2コイルL2、コンデンサC3、及び、第3スイッチング素子Q3と第3ダイオードD3との並列接続体を含んで構成される閉回路が形成される。これにより、励磁電流IMが正の値をとる場合、すなわち、期間b1では、第2コイルL2、第3ダイオードD3及び第3スイッチング素子Q3、コンデンサC3の順に励磁電流IMが流れることとなる。一方で、励磁電流IMが負の値をとる場合、すなわち期間b2では、第2コイルL2、コンデンサC3、第3スイッチング素子Q3の順に励磁電流IMが流れることとなる。
第2モードの制御について、図4のタイムチャートを用いて説明する。第2モードでは、第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3をONとし、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする制御Cと、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第2スイッチング素子Q2をONとする制御A、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第3スイッチング素子Q3をONとする制御Bを、順に行う。なお、制御Aが行われる期間と制御Bが行われる期間と制御Cが行われる期間の合計を、1制御周期とする。また、制御Aが行われる期間と、制御Bが行われる期間と制御Cが行われる期間との和の長さの比、すなわち、第2スイッチング素子Q2がONとされる期間と第3スイッチング素子Q3がONとされる期間の長さの比を、1未満の数であるDを用いて、D:(1−D)とする。
制御Cでは、リアクトル電流ILの単位時間あたりの変化量dIL/dtは、次式(2)で表される。
すなわち、リアクトル電流ILは、直線的に単調増加する。第1コイルL1には通電がなされないため出力電流ICはゼロである。第2コイルL2に印加される電圧である励磁電圧VTは、第2コイルL2側でコンデンサC3を含む閉回路が形成されるため、コンデンサC3の電圧であるコンデンサ電圧VCと等しい。コンデンサC3の電圧であるコンデンサ電圧VCは、制御Aの期間の長さを制御Bの期間の長さと制御Cの期間の長さとの和で除算した値に、出力側電圧VHを乗算した値となる。励磁電流IMの時間変化量は、励磁電圧VTを励磁インダクタンスで除算したものであるため、直線的に単調減少する。
この制御Cが行われる際の電流経路について、図5(a)を用いて説明する。第1コイルL1側では、第1スイッチング素子Q1がONであり、第2スイッチング素子Q2がOFFであるため、二次電池100から供給される電流は、チョークコイルL3、第1スイッチング素子Q1を通過する経路をとることとなる。第2コイル側では、第3スイッチング素子Q3がONとされることにより、第2コイルL2、コンデンサC3、及び、第3スイッチング素子Q3と第3ダイオードD3との並列接続体を含んで構成される閉回路が形成される。これにより、励磁電流IMが負の値をとる場合、第2コイルL2、コンデンサC3、第3スイッチング素子Q3の順に励磁電流IMが流れることとなる。
このように、制御Cではリアクトル電流ILが単調増加するため、リアクトル電流ILが予め定められた値である第2指令値Iref2となることを条件に、制御Cから制御Aへと移行する。
続く制御Aでは、図5(b)に示すように、第1モードにおける制御Aと同じ電流経路をとることとなるため、その説明を省略する。制御Aから制御Bへの切り替えは、制御Cの開始から所定時間が経過することを条件としてもよいし、制御Aの開始から所定時間が経過することを条件としてもよい。なお、図4のタイムチャートにおいて、期間Aでリアクトル電流ILが一定である例を示しているが、リアクトル電流ILの変化量は上式(1)で示されるとおり、入力側電圧VBと出力側電圧VHの関係によっては、単調増加する場合もあれば、単調減少する場合もある。
制御Bでは、図5(c)に示すように、第1コイルL1側では、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2が共にOFFであるため、二次電池100からの電流の供給は行われない。第2コイルL2側では、第3スイッチング素子Q3がONとされることにより、第2コイルL2、コンデンサC3、及び、第3スイッチング素子Q3と第3ダイオードD3との並列接続体を含んで構成される閉回路が形成される。これにより、励磁電流IMが正の値をとる場合、第2コイルL2、第3ダイオードD3及び第3スイッチング素子Q3、コンデンサC3の順に励磁電流IMが流れることとなる。
なお、本実施形態では、説明の簡略化のために、制御Bでは励磁電流IMが常に正の値をとり、制御Cでは励磁電流IMが常に負の値をとるように、制御Bの期間の長さ及び制御Cの期間の長さを定めている。しかしながら、制御Bと制御Cの長さの比によっては、制御Bにおいて励磁電流IMが正から負へと移行し、制御Cでは励磁電流IMが常に負の値をとることもあり得るし、制御Bでは励磁電流IMが常に正の値をとり、制御Cにおいて励磁電流IMが正から負へと移行する場合もあり得る。
続いて、第3モードの制御について、図6のタイムチャートを用いて説明する。第3モードでは、第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3をONとし、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする制御Cと、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第2スイッチング素子Q2をONとする制御Aとを交互に行う。なお、制御Aが行われる期間と制御Cが行われる期間の合計を、1制御周期とする。また、制御Cが行われる期間と、制御Cが行われる期間との長さの比を、1未満の数であるDを用いて、D:(1−D)とする。
制御Cでは、リアクトル電流ILは、第2モードと同様に直線的に単調増加する。第1コイルL1には通電がなされないため出力電流ICはゼロである。第2コイルL2に印加される電圧である励磁電圧VTは、第2コイルL2側でコンデンサC3を含む閉回路が形成されるため、コンデンサC3の電圧であるコンデンサ電圧VCと等しい。コンデンサC3の電圧であるコンデンサ電圧VCは、制御Aの期間の長さを制御Bの期間の長さと制御Cの期間の長さとの和で除算した値に、出力側電圧VHを乗算した値となる。励磁電流IMの時間変化量は、励磁電圧VTを励磁インダクタンスで除算したものであるため、直線的に単調減少する。したがって、制御Cの前半の期間c1では、励磁電流IMは正の値をとり、制御Cの後半の期間c2では、励磁電流IMは負の値をとる。
この制御Cが行われる際の電流経路について、図7(a)及び図7(b)を用いて説明する。第1コイルL1側では、第1スイッチング素子Q1がONであり、第2スイッチング素子Q2がOFFであるため、二次電池100から供給される電流は、チョークコイルL3、第1スイッチング素子Q1を通過する経路をとることとなる。第2コイル側では、第3スイッチング素子Q3がONとされることにより、第2コイルL2、コンデンサC3、及び、第3スイッチング素子Q3と第3ダイオードD3との並列接続体を含んで構成される閉回路が形成される。これにより、励磁電流IMが正の値をとる場合、図7(a)に示すように、第2コイルL2、第3ダイオードD3及び第3スイッチング素子Q3、コンデンサC3の順に励磁電流IMが流れることとなる。一方で、励磁電流IMが負の値をとる場合、図7(b)に示すように、第2コイルL2、コンデンサC3、第3スイッチング素子Q3の順に励磁電流IMが流れることとなる。
続く制御Aでは、上式(1)に基づいて、リアクトル電流ILは直線的に単調減少する。出力電流ICの単位時間あたりの変化量は、リアクトル電流ILの単位時間あたりの変化量dIL/dtをNで除算した値となる。第2コイルL2に印加される電圧である励磁電圧VTは出力側電圧VHと等しい。コンデンサC3の電圧であるコンデンサ電圧VCは、制御Aの期間の長さを制御Bの期間の長さで除算した値に、出力側電圧VHを乗算した値となる。励磁電流IMの時間変化量は、励磁電圧VTを励磁インダクタンスで除算したものであるため、直線的に単調増加する。すなわち、制御Aが行われる期間のうち、前半の期間a1では、励磁電流IMは負の値であり、後半の期間a2では、励磁電流IMは正の値となる。
この制御Aが行われる際の電流経路について、図7(c)を用いて説明する。第1コイルL1側では、二次電池100から供給される電流は、チョークコイルL3、第1コイルL1、第2スイッチング素子Q2を通過する経路をとることとなる。第2コイル側では、第4ダイオードD4、第2コイルL2を通過する経路をとることとなる。
これら第1モード、第2モード、第3モードは、出力側電圧VHの値によって切り替えられる。コンデンサ201の充電開始時には第1モードで制御が行われ、充電が進行して出力側電圧VHが第1所定値V1よりも大きくなれば、第2モードで制御が行われる。そして、さらに充電が進行して出力側電圧VHが第2所定値V2よりも大きくなれば、第3モードで制御が行われる。
上式(1)で示したように、第1モードの制御で入力側から出力側へと電力の供給が可能であるのは、入力側電圧VLに巻数比Nを乗算した値が、出力側電圧VHよりも大きい場合である。そのため、入力側電圧VLが一定であるとしたうえで、第1所定値V1は、少なくとも、定数である入力側電圧VLに巻数比Nを乗算した値よりも小さく設定されることとなる。また、第3モードにおける制御Aでリアクトル電流ILが減少する条件は、入力側電圧VLに巻数比Nを乗算した値が、出力側電圧VHよりも小さい場合である。そのため、入力側電圧VLが一定であるとしたうえで、第2所定値V2は、少なくとも、定数である入力側電圧VLに巻数比Nを乗算した値よりも大きく設定されることとなる。
続いて、制御部10が実行する一連の処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。図8のフローチャートに係る制御は、所定の制御周期で実行される。
まず、起動要求を取得したか否かを判定する(S101)。この起動要求の指令信号は、例えば、上位の制御装置であるECU等から送信される。起動要求を取得していない場合(S101:NO)、一連の制御を行わず、待機状態を継続する。
起動要求を取得すれば(S101:YES)、出力側電圧VHを取得し(S102)、その出力側電圧VHが第1所定値V1以下であるか否かを判定する(S103)。出力側電圧VHが第1所定値V1以下であれば(S103:YES)、第1モードでの制御を行う(S104)。出力側電圧VHが第1所定値V1以下でなければ(S103:NO)、続いて、出力側電圧VHが第2所定値V2以下であるか否かを判定する(S105)。出力側電圧VHが第2所定値V2以下であれば(S105:YES)、第2モードで制御を行う(S106)。一方、出力側電圧VHが第2所定値V2以下でなければ(S105:NO)、第3モードで制御を行う(S107)。
第1モード、第2モード、第3モードのいずれかの制御が所定時間行われた後、制御の終了判定を行う(S108)。S108の処理では、例えば、再度出力側電圧VHを取得し、その出力側電圧VHが所定の上限値以上となったか否かを判定すればよい。なお、出力側電圧VHが所定の上限値以上となったか否かの判定は、S105で否定的な判定がなされた後に行うものとしてもよい。制御を終了すると判定した場合(S108:YES)、一連の処理を終了して起動要求がなされるまで待機する。制御を終了すると判定しない場合(S108:NO)、終了要求を取得したか否かを判定する(S109)。この終了要求の指令信号は、ECU等の上位の制御装置から送信される。終了要求を取得すれば(S109:YES)、一連の処理を終了して起動要求がなされるまで待機する。終了要求を取得しなければ(S109:NO)、S102以降の処理を再度実行する。
なお、図8のフローチャートでは、コンデンサ201への充電制御に関する制御のみを示しているが、電力変換装置はコンデンサ201への充電制御以外の電力変換も行う。例えば、正極側出力端子200a及び負極側出力端子200bを介して供給される電力を降圧し、二次電池100への充電を行う制御が挙げられる。その制御は、周知の制御であるため、説明を省略する。
上記構成により、本実施形態に係る電力変換装置は以下の効果を奏する。
・コンデンサ201への充電(プリチャージ)の開始時等、出力側電圧VHが小さい場合では、第1モードの制御により、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第2スイッチング素子Q2をONとする制御Aと、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第3スイッチング素子Q3をONとする制御Bとを交互に行うものとしている。そのため、制御Aにおいて増加したチョークコイルL3の電流を、制御Bで減少させることができる。よって、チョークコイルL3に流れる電流が増加し続けることを防ぐことができ、ひいては、電力変換装置の劣化及び故障を抑制することができる。
・出力側電圧VHが第1所定値V1より大きくなった場合において、第2モードへと移行し、第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3をONとし、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする制御Cと、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第2スイッチング素子Q2をONとする制御A、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第3スイッチング素子Q3をONとする制御Bを、順に行うものとしている。そのため、制御CでチョークコイルL3に流れる電流を大きくすることができ、出力側への電力の供給速度を向上させることができる。また、制御BでチョークコイルL3の電流を減少させることができる。よって、チョークコイルL3に流れる電流が増加し続けることを防ぐことができ、ひいては、電力変換装置の劣化及び故障を抑制することができる。
・コンデンサ201へのプリチャージがさらに進行した場合等、出力側電圧VHが第2所定値V2より大きくなった場合には、第3モードへと移行し、第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3をONとし、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする制御Cと、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとし、第2スイッチング素子Q2をONとする制御Aとを交互に行うものとしている。したがって、制御CによりチョークコイルL3に流れる電流を増加させることができ、続く制御AによりチョークコイルL3に流れる電流を減少させることができ、充電が進行したコンデンサ201へのさらなる充電を迅速に行うことができる。
・第1指令値Iref1及び第2指令値Iref2よりも、第3指令値Iref3を大きな値としている。これにより、第1モード及び第2モードでは、リアクトル電流ILが過剰とならない。ゆえに、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2を共にOFFとした場合に、リアクトル電流ILに基づいて生ずるアバランシェ電流が過度に大きくならず、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2の故障及び劣化を抑制することができる。加えて、第3モードでは第3指令値Iref3をより大きな値とすることにより、出力側での充電時間を短縮することができる。
<第2実施形態>
本実施形態では、第3モードにおける制御が、第1実施形態と一部異なっている。図9は、本実施形態での第3モードにおける第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4の開閉状態と、そのときのリアクトル電流ILとを示している。本実施形態では、制御Cが行われる期間と制御Aが行われる期間との和を1制御周期Tsとしている。すなわち、第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3のON制御が開始されてから、第2スイッチング素子Q2のON制御が終了するまでの期間が1制御周期Tsである。この第3モードの一連の制御を行ううえで、第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3をOFFとし、第2スイッチング素子Q2のON制御を開始する時期を可変とすることにより、リアクトル電流ILの平均値IL_aveが第3指令値Iref3となるように制御する。
第3モードにおいて、制御Cにおけるリアクトル電流ILの増加量と、制御Aにおけるリアクトル電流ILの減少量が等しければ、リアクトル電流ILの過剰な増加を抑制することができる。制御Cが行われる期間と制御Aが行われる期間との長さの比を、1未満の数であるDを用いてD:(1−D)とすると、次式(3)が成立し、次式(4)によりDが求まる。
加えて、第3モードでは、低調波発振を抑制すべく、リアクトル電流ILにスロープ電流Isを加算した値が補正指令値Iref3*となるように、制御Cから制御Aへと切り替えるタイミングを制御する。このスロープ電流Isについて、図9を用いて説明する。スロープ電流Isは、直線的に増加する仮想的な値であり、スロープ電流Isの時間当たりの増加量はmである。制御Cにおけるリアクトル電流ILの増加量をΔILとし、スロープ電流Isの増加量をΔIsとすれば、補正指令値Iref3*は次式(5)で算出することができる。なお、次式(5)において、トランスTrの電力変換効率をηとしており、トランスTrが損失の無い理想的なものであれば、ηは1である。
続いて、制御部10が実行する処理を、図10の制御ブロック図により説明する。定電流制御部20では、第1モードにおけるリアクトル電流ILの指令値である第1指令値Iref1と、第2モードにおけるリアクトル電流ILの指令値である第2指令値Iref2、及び、第3モードにおけるリアクトル電流ILの指令値である第3指令値Iref3とを、メモリから読み出して制御に用いる。
第1指令値Iref1及び第2指令値Iref2は、第2スイッチング素子Q2がONである状態から、OFFである状態へと遷移した場合に、第1指令値Iref1及び第2指令値Iref2の値に基づいて発生するアバランシェ電流が過剰とならないように、設定されている。この第1指令値Iref1及び第2指令値Iref2は、そのまま、定電流制御部20から出力される。なお、第1指令値Iref1と第2指令値Iref2とは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
第3指令値Iref3は、アバランシェ電流の制約を受けないため、第1指令値Iref1及び第2指令値Iref2よりも大きい値である。この第3指令値Iref3は、フィードバック制御部21に入力される。フィードバック制御部21は、加えて、リアクトル電流ILの実電流である平均値IL_aveを取得する。この平均値IL_aveは、電流検出部により検出されたリアクトル電流ILを所定期間蓄積し、その値を平均化したものである。第3指令値Iref3と平均値IL_aveは加算部22に入力され、加算部22は、第3指令値Iref3と平均値IL_aveの差分をとる。この差分はPI制御器23に入力され、リミッタ24へ入力される。このリミッタ24では、PI制御器23の出力値が上限値よりも大きければ、その出力値を上限値に制限する。リミッタ24からの出力値は、加算器25において第3指令値Iref3に加算され、フィードバック制御部21から出力される。
一方、電流補正部27には、入力側電圧VL及び出力側電圧VHが入力され、第3指令値Iref3の補正量を出力する。この補正値は上式(3)に基づくものであり、加算器26で第3指令値Iref3とフィードバック制御部21の出力値との和に加算されることにより、補正指令値Iref3*が得られる。
定電流制御部20から出力された第1指令値Iref1、第2指令値Iref2、及び補正指令値Iref3*は、モード選択部30に入力される。モード選択部30には、さらに、出力側電圧VHも入力され、その出力側電圧VHと、第1所定値V1及び第2所定値V2とを比較する。そして、第1指令値Iref1、第2指令値Iref2及び補正指令値Iref3*のいずれを出力するかを決定して出力する。
モード選択部30から出力された第1指令値Iref1、第2指令値Iref2及び補正指令値Iref3*のいずれかは、ピーク電流制御部40に入力され、DA変換器41においてアナログ値に変換され、コンパレータ42のマイナス端子に入力される。
一方、ピーク電流制御部40のスロープ補償部43は、レジスタの値により得られるスロープ電流Isの値を信号として生成し、DA変換器44に入力する。このスロープ電流Isは、上述した通り、各制御周期において0Aから直線的に単調増加する鋸歯状波の信号である。そして、DA変換器44によりアナログ波形とされたスロープ電流Isとリアクトル電流ILとを、加算部45において加算して、コンパレータ42のプラス端子に入力する。なお、スロープ補償部43は、直接アナログ波形を生成し、DA変換器44を介さずコンパレータ42に入力するものとしてもよい。
このスロープ補償部43は、第1モード及び第2モードでは、スロープ電流Isの値をゼロとし、第3モードでは、上述した鋸歯状波のスロープ電流Isを出力するものとしている。これは、第1モードでは、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2とを共にOFFとする期間を有しており、その期間ではリアクトル電流ILがゼロとなり、その結果として低調波発振現象が発生しないためである。
コンパレータ42は、マイナス端子に入力された、第1指令値Iref1、第2指令値Iref2及び補正指令値Iref3*のいずれかと、プラス端子に入力された、リアクトル電流ILにスロープ電流Isが加算された値との比較を行う。そして、プラス端子の入力値がマイナス端子の入力値よりも小さい期間において、ハイ状態の信号をRSフリップフロップ47のS端子に入力し、プラス端子の入力値がマイナス端子の入力値よりも大きい期間において、ロー状態の信号をRSフリップフロップ47のS端子に入力する。また、RSフリップフロップ47のR端子には、クロック46からクロック信号が入力される。
第1モードにおいて、入力された信号がロー状態の信号となれば、リアクトル電流ILが第1指令値Iref1を超えたことを意味する。そのため、RSフリップフロップ47は、第3スイッチング素子Q3をONとし、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする信号を送信することにより、制御Aから制御Bへと切り替える。そして、1制御周期が経過すれば、第2スイッチング素子Q2をONとし、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする信号を送信することにより、制御Bから制御Aへと切り替える。
第2モードにおいて、入力された信号がロー状態の信号となれば、リアクトル電流ILが第2指令値Iref2を超えたことを意味する。そのため、RSフリップフロップ47は、第2スイッチング素子Q2をONとし、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする信号を送信することにより、制御Cから制御Aへと切り替える。続いて、制御Cの開始から1制御周期未満の所定時間が経過すれば、RSフリップフロップ47は、第3スイッチング素子Q3をONとし、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする信号を送信することにより、制御Aから制御Bへと切り替える。そして、1制御周期が経過すれば、第2スイッチング素子Q2をONとし、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする信号を送信することにより、制御Bから制御Cへと切り替える。
第3モードにおいて、入力された信号がロー状態の信号となれば、リアクトル電流ILにスロープ電流Isを加算した値が補正指令値Iref3*を超えたことを意味する。そのため、RSフリップフロップ47は、第2スイッチング素子Q2をONとし、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする信号を送信することにより、制御Cから制御Aへと切り替える。そして、1制御周期が経過すれば、第2スイッチング素子Q2をONとし、第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとする信号を送信することにより、制御Aから制御Cへと切り替える。
RSフリップフロップ47の出力は、Duty制限部48へ入力される。このDuty制限部48では、各制御の期間の長さが上限値を超えていればその上限値に設定され、下限値を下回っていれば、下限値に設定される。そして、第1〜4スイッチング素子Q1〜Q4へ制御信号が送信される。
上記構成により、本実施形態に係る電力変換装置は、第1実施形態に係る電力変換装置が奏する効果に加えて、以下の効果を奏する。
・ピーク電流制御部40において、定電流制御部20から入力された各指令値を用いて定電流制御を行っている。これにより、入力側電圧VLに変化が生じた場合等において、過電流に対するロバスト性を向上させることができる。
・第3モードでリアクトル電流ILについてのピーク電流制御を行ううえで、スロープ電流を加算するものとしている。これにより、リアクトル電流ILの低調波発振を抑制することができる。
<第3実施形態>
本実施形態では、第1モードの制御が第1実施形態に係る電力変換装置と一部異なっている。図11は、本実施形態に係る電力変換装置における制御部10が実行する処理を示すタイムチャートである。
本実施形態では、制御Aから制御Bへと切り替える際に、第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4をいずれもOFFとする制御ABを行うものとし、デッドタイムを設けるものとしている。
スイッチング素子をONからOFFへと切り替える際には、ただちにOFFとならず、リカバリが行われることとなるため、第2スイッチング素子Q2をOFFとするタイミングで第3スイッチング素子Q3をONとすれば、ON期間の重複が生ずる可能性がある。すなわち、制御Aから制御Bへと切り替える際に、第2スイッチング素子Q2のON期間と第3スイッチング素子Q3のON期間とが重複した場合、出力側の回路において短絡が生ずることとなる。本実施形態では、制御Aから制御Bへの切り替えの際に、第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4をいずれもOFFとする制御ABを行うものとしているため、第2スイッチング素子Q2のリカバリに必要な時間を確保することができ、出力側の回路における短絡を抑制することができる。
なお、制御Bから制御Aへと切り替える際にも第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4をいずれもOFFとするデッドタイムを設けるものとしてもよい。
<第4実施形態>
本実施形態では、第2モードの制御が第1実施形態に係る電力変換装置と一部異なっている。図12は、本実施形態に係る電力変換装置における制御部10が実行する処理を示すタイムチャートである。
本実施形態では、制御Cから制御Aへと切り替える際に、第1〜第3スイッチング素子Q1〜Q3をいずれもONとし、第4スイッチング素子Q4をOFFとする制御CAを行うものとし、オーバーラップタイムを設けるものとしている。加えて、第3実施形態と同様に、制御Aから制御Bへの切り替えの際に、第1〜第4スイッチング素子Q1〜Q4をいずれもOFFとする制御ABを行うものとしているが、この制御ABについては第3実施形態と同様のものであるため、説明を省略する。
スイッチング素子をOFFからONへと切り替える際には、ただちにONとならないため、第1スイッチング素子Q1をOFFとするタイミングで第2スイッチング素子Q2をONとすれば、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2がいずれもOFFとなる期間が生ずる可能性がある。すなわち、制御Bが行われる期間に準ずる期間が生じ、アバランシェ電流の発生のおそれがある。
本実施形態では、制御Cから制御Aへの切り替えの際に、第1〜第3スイッチング素子Q1〜Q3をいずれもONとし、第4スイッチング素子Q4をOFFとする制御CAを行うものとしている。これにより、制御Cから制御Aへの切り替えの際に、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2が共にOFFとなることが無く、アバランシェ電流の発生を抑制することができる。
なお、制御CAでは、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2を共にONとし、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をOFFとするものとしてもよい。
<第5実施形態>
本実施形態では、第3モードの制御が第1実施形態に係る電力変換装置と一部異なっている。図13は、本実施形態に係る電力変換装置における制御部10が実行する処理を示すタイムチャートである。
本実施形態では、制御Aから制御Cへと切り替える際に、第1スイッチング素子Q1をONとし、第2〜第4スイッチング素子Q2〜Q4をOFFとする制御ACを行うものとし、デッドタイムを設けるものとしている。加えて、制御Cから制御Aへと切り替える際に、第1〜第3スイッチング素子Q1〜Q3をいずれもONとし、第4スイッチング素子Q4をOFFとする制御CAを行うものとし、オーバーラップタイムを設けるものとしている。この制御CAについては第4実施形態と同様のものであるため、説明を省略する。
スイッチング素子をONからOFFへと切り替える際には、ただちにOFFとならず、リカバリが行われることとなるため、第2スイッチング素子Q2をOFFとするタイミングで第3スイッチング素子Q3をONとすれば、ON期間の重複が生ずる可能性がある。すなわち、制御Aから制御Cへと切り替える際に、第2スイッチング素子Q2のON期間と第3スイッチング素子Q3のON期間とが重複した場合、出力側の回路において短絡が生ずることとなる。本実施形態では、制御Aから制御Cへの切り替えの際に、第1スイッチング素子Q1をONとし、第2〜第4スイッチング素子Q2〜Q4をOFFとする制御ACを行うものとしているため、第2スイッチング素子Q2のリカバリに必要な時間を確保することができ、出力側の回路における短絡を抑制することができる。
<第6実施形態>
本実施形態では、出力側の回路が、第1実施形態に係る電力変換装置と異なっている。図14は本実施形態に係る電力変換装置の回路図である。
トランスTrの出力側を構成する第2コイルL2の一端は正極側出力端子200aに接続されており、他端は第4スイッチング素子Q4のドレインに接続されている。第2コイルL2と第4スイッチング素子Q4のドレインとの接続点は、コンデンサC3aを介して第3スイッチング素子Q3のソースに接続されており、第4スイッチング素子Q4のソースは第3スイッチング素子Q3のドレインに接続されている。この第4スイッチング素子Q4のソースと第3スイッチング素子Q3の接続点は、負極側出力端子に接続されている。なお、第3スイッチング素子Q3には第3ダイオードD3aが逆方向に並列接続されており、第4スイッチング素子Q4には第4ダイオードD4が逆方向に並列接続されている。
なお、制御部10が実行する処理については、第1実施形態と同様のものであり、第1実施形態の処理に第2〜第5実施形態の処理を追加して行うものとしてもよい。
<変形例>
・各実施形態において、チョークコイルL3を二次電池100の正極側に設けるものとしたが、図15や図16に示すように、チョークコイルL3aを、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2の接続点と二次電池100の負極との間に設けてもよい。
・各実施形態において、第1〜第3モードを行うものとしているが、第1〜第3モードのうち、少なくとも2つのモードを実行するものであればよい。すなわち、第1モードで電力の供給を開始し、第1所定値V1となれば第2モードを経ず第3モードを行うものとしてもよい。また、第2モードで電力の供給を開始し第1所定値又は第2所定値V2となれば、第3モードを行うものとしてもよい。
・各実施形態において、第2モードでは、リアクトル電流ILが第2指令値Iref2となることを条件に、制御Cから制御Aへと切り替えている。ところが、制御Aにおいてリアクトル電流ILが増加するか減少するかは、入力側電圧VLと出力側電圧VHとの関係によって定まるものである。すなわち、入力側電圧VLと出力側電圧VHとの関係によっては、制御Aから制御Bへと切り替える際のリアクトル電流ILは、第2指令値Iref2よりも大きくなることもあれば、小さくなることもある。リアクトル電流ILが第2指令値Iref2よりも小さくなれば、コンデンサ201のプリチャージ等に要する時間が増加し、リアクトル電流ILが第2指令値Iref2よりも大きくなれば、アバランシェ電流が増加する。そこで、入力側電圧VL及び出力側電圧VHを用いて制御Cから制御Aへの切り替えに用いる第2指令値Iref2を補正し、制御Aから制御Bへの切り替えの際にリアクトル電流ILが第2指令値Iref2となるように制御するものとしてもよい。こうすることにより、充電時間の増加とアバランシェ電流の増加をいずれも抑制することができる。
・第1〜第3モードの制御を行ううえで、リアクトル電流ILが指令値となることを条件に制御を切り替えるピーク電流制御を行うものとしている。この点、各モードにおいて、各制御を行う期間の長さを予め定めておき、リアクトル電流ILの値に関わらず制御を行うものとしてもよい。こうすることにより、制御の簡略化が可能となる。また、この場合には、各制御を行う期間の長さを、入力側電圧VLや出力側電圧VHの値に応じて可変に設定するものとしてもよい。
・第1〜第3モードの制御を行ううえで、第4スイッチング素子Q4は常にOFFであるため、第4スイッチング素子Q4を設けないものとしてもよい。
・各実施形態において、スイッチング素子をMOSFETとしたが、他のスイッチング素子を採用することも可能である。