JP2017034203A - 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】−50℃といった極めて低い温度雰囲気下においても凝固する事なく高い電導度を維持する電解コンデンサ用電解液と、それを用いることで−50℃といった極めて低い温度雰囲気下においても高い静電容量と優れた等価直列抵抗を維持する電解コンデンサを提供する。
【解決手段】一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物と、3−メトキシプロピオニトリルと、を少なくとも含有する電解コンデンサ用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ。
【選択図】なし
【解決手段】一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物と、3−メトキシプロピオニトリルと、を少なくとも含有する電解コンデンサ用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ。
【選択図】なし
Description
本発明は、−50℃といった極めて低い温度雰囲気下においても凝固する事なく高い電導度を維持する電解コンデンサ用電解液と、それを用いることで−50℃といった極めて低い温度雰囲気下においても高い静電容量と優れた等価直列抵抗を維持する電解コンデンサに関する。
一般的に、電解コンデンサ用電解液はプロトン性あるいは非プロトン性有機溶媒に電解質となる有機酸や無機酸又はそれらの塩を、所定の量溶解させた形で構成されている。これらの電解液の特性のうち、特に電導度については、電解コンデンサの損失角の正接、等価直列抵抗(以下、「ESR」と略記する。)等、電解コンデンサにとって重要な諸特性に直接影響をおよばすことから、極めて重要な特性であることが分かる。
特許文献1に開示している通り、電解コンデンサ用電解液の溶媒としてγ−ブチロラクトンを用いることで、室温における電導度はある程度高い値を得ることができるものの、例えば、−50℃といった低温では、溶媒であるγ−ブチロラクトンの凝固点を下回っており、電解質塩が溶解しことで生じる凝固点効果を鑑みても、凝固、あるいは粘度が著しく増大してしまうことが懸念される。
電解液が凝固、あるいは粘度が著しく増大してしまうと、それに伴い電導度が著しく低下してしまう問題があり、電解コンデンサの特性が著しく悪化させてしまうため、当該溶媒に代わるものが求められていた。
また、特許文献2には、電解コンデンサ用電解液の有機溶媒として、3−メトキシプロピオニトリルが例示されている。該特許文献では、3−メトキシプロピオニトリルが例示されているのみであり、実際には使用しておらず、電解コンデンサ用電解液に用いたときの性能は不明である。また、低温特性に関する言及もない。
近年、環境意識の高まりや新規分野への事業拡大などに伴い、具体的な用途としてはハイブリッド自動車や電気自動車、ハイブリッド・パワーショベル等の建設機械や航空宇宙用途などにおいて、これまで以上に温度に対して厳しい環境で電解コンデンサを使用する機会が増えている。したがって、特に低温に着目すると、−50℃という極めて低い温度雰囲気においても高い電導度を有する電解コンデンサ用電解液及び静電容量とESRに優れた電解コンデンサが求められている。
本発明の目的は、−50℃といった極めて低い温度雰囲気下においても凝固する事なく高い電導度を維持する電解コンデンサ用電解液と、それを用いることで−50℃といった極めて低い温度雰囲気下においても高い静電容量と優れた等価直列抵抗を維持する電解コンデンサを提供することである。
本発明は、一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物と、3−メトキシプロピオニトリルを少なくとも含有することを特徴とする電解コンデンサ用電解液及びそれを用いた電解コンデンサである。
すなわち、本発明は以下に示すものである。
第一の発明は、少なくとも下記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物と、3−メトキシプロピオニトリルを含有することを特徴とする電解コンデンサ用電解液である。
第二の発明は、電解コンデンサ用電解液における一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物が、1.0〜40質量%であることを特徴とする第一の発明に記載の電解コンデンサ用電解液である。
第三の発明は、第一又は第二の発明に記載の電解コンデンサ用電解液を用いてなることを特徴とする電解コンデンサである。
本発明によれば、−50℃といった極めて低い温度雰囲気下においても凝固する事なく高い電導度を維持する電解コンデンサ用電解液と、それを用いることで−50℃といった極めて低い温度雰囲気下においても高い静電容量と優れた等価直列抵抗を維持する電解コンデンサを得ることができる。
本発明の電解コンデンサ用電解液について説明する。
本発明者らは鋭意検討した結果、一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物と、3−メトキシプロピオニトリルを少なくとも含有することを特徴とする電解コンデンサ用電解液及びそれを用いた電解コンデンサが上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
<電解質塩>
本発明は、電解質塩として下記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物を用いる。
本発明は、電解質塩として下記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物を用いる。
一般式(1)又は(2)中、X−は、カルボン酸化合物アニオン又はホウ素化合物アニオンを示す。また、一般式(1)と(2)で表される化合物を混合して用いる場合は、任意の割合で混合して用いてもよい。
カルボン酸化合物アニオンとしては、カルボン酸が置換している有機化合物であり、芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸等の有機カルボン酸である。具体的には、例えば、芳香族カルボン酸:(例えばフタル酸、サリチル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、安息香酸、レゾルシン酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸、マンデル酸)、脂肪族カルボン酸:([飽和カルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、3−tert−ブチルアジピン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ペンチルマロン酸、ヘキシルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、メチルプロピルマロン酸、メチルブチルマロン酸、エチルプロピルマロン酸、ジプロピルマロン酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3−メチル−3−エチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、メチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−メチルアジピン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデカン酸、ボロジグリコール酸、ボロジシュウ酸、ボロジサリチル酸、イタコン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸]、[不飽和カルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸])等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよい。
これらの中でも、電導度が高く熱的にも安定な点から、フタル酸、マレイン酸、サリチル酸、安息香酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,6−デカンジカルボン酸が好ましく挙げられる。
これらの中でも、電導度が高く熱的にも安定な点から、フタル酸、マレイン酸、サリチル酸、安息香酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,6−デカンジカルボン酸が好ましく挙げられる。
ホウ素化合物アニオンとしては、ホウ酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ボロジアゼライン酸アニオン、ボロジサリチル酸アニオン、ボロジグリコール酸アニオン、ボロジ乳酸アニオン等が挙げられる。これらの中でも、得られる電解コンデンサの電気性能に優れる点より、テトラフルオロホウ酸アニオン、ボロジアゼライン酸アニオン、ボロジサリチル酸アニオン、ボロジグリコール酸アニオンが特に好ましく挙げられる。
<有機溶媒>
本発明の電解コンデンサ用電解液に用いる有機溶媒は、3−メトキシプロピオニトリルである。
電解コンデンサ用電解液に用いる有機溶媒として3−メトキシプロピオニトリルを用いることで、他の有機溶媒を用いた場合よりも、より低温時(例えば−50℃)において電導度を高く維持することができる。
また、有機溶媒として3−メトキシプロピオニトリルと、上述した電解質塩を用いた場合、上述した電解質塩以外の電解質塩を用いた場合よりも、より一層電解コンデンサ用電解液の電導度を高くできる。
該電解液は、−50℃まで凝固することなく他の電解液を用いた電解コンデンサよりも高い静電容量と優れたESRを示す特徴を有している。
本発明の電解コンデンサ用電解液に用いる有機溶媒は、3−メトキシプロピオニトリルである。
電解コンデンサ用電解液に用いる有機溶媒として3−メトキシプロピオニトリルを用いることで、他の有機溶媒を用いた場合よりも、より低温時(例えば−50℃)において電導度を高く維持することができる。
また、有機溶媒として3−メトキシプロピオニトリルと、上述した電解質塩を用いた場合、上述した電解質塩以外の電解質塩を用いた場合よりも、より一層電解コンデンサ用電解液の電導度を高くできる。
該電解液は、−50℃まで凝固することなく他の電解液を用いた電解コンデンサよりも高い静電容量と優れたESRを示す特徴を有している。
本発明の電解コンデンサ用電解液に用いる有機溶媒として、3−メトキシプロピオニトリル以外の有機溶媒を副溶媒として含有させて用いてもよい。
副溶媒として用いる他の有機溶媒としては、通常電解コンデンサ用電解液の溶媒として用いる有機溶媒でよく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレグリコール等のグリコール類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のような環状カーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、3−メチル−γ−バレロラクトン等のラクトン類、ジメチルスルフォキシド、ジエチルスルフォキシド等のスルフォキシド類、ジメチルフォルムアミド、ジエチルフォルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンやジオキソラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホラン、スルホラン、エチルイソプロピルスルホン、エチルブチルスルホン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン等の鎖状スルホン類等が好ましく挙げられる。
副溶媒として用いる他の有機溶媒としては、通常電解コンデンサ用電解液の溶媒として用いる有機溶媒でよく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレグリコール等のグリコール類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のような環状カーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、3−メチル−γ−バレロラクトン等のラクトン類、ジメチルスルフォキシド、ジエチルスルフォキシド等のスルフォキシド類、ジメチルフォルムアミド、ジエチルフォルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンやジオキソラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホラン、スルホラン、エチルイソプロピルスルホン、エチルブチルスルホン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン等の鎖状スルホン類等が好ましく挙げられる。
副溶媒を用いる場合、副溶媒の含有量は全体の有機溶媒中の30質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましく挙げられる。
電解コンデンサ用電解液に含有する水分は陽極酸化被膜の再化成に使用されるため、適量含有されるのが好ましい。電解コンデンサ用電解液中の水分量は、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、さらには0.1質量%以上3質量%以下であることがより好ましく挙げられる。
一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物の電解コンデンサ用電解液における含有量は、1.0〜40質量%が好ましく、2.0〜35質量%がより好ましく、5.0〜30質量%が特に好ましく挙げられる。含有量が1.0質量%未満の場合、十分な電導度が得られず、当該電解液を電解コンデンサに適用するとESRが著しく増大してしまう恐れがある。また、含有量が40質量%超の場合、粘度の増大からやはり当該電解液を電解コンデンサに適用すると、ESRが増大してしまう上に、低温、特に−50℃では電解質の析出等によって、十分な電気特性が得られない可能性がある。
<添加剤>
本発明の電解コンデンサ用電解液には、さらに添加剤を含有させても良い。添加剤としては、ポリビニルアルコール、コロイダルシリカ、ジブチルリン酸又は亜リン酸のリン酸化合物、マンニット、ホウ酸とマンニット、ソルビット等の錯化合物やホウ酸とエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールとの錯化合物等のホウ素化合物、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール等のニトロ化合物が挙げられる。
本発明の電解コンデンサ用電解液には、さらに添加剤を含有させても良い。添加剤としては、ポリビニルアルコール、コロイダルシリカ、ジブチルリン酸又は亜リン酸のリン酸化合物、マンニット、ホウ酸とマンニット、ソルビット等の錯化合物やホウ酸とエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールとの錯化合物等のホウ素化合物、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール等のニトロ化合物が挙げられる。
添加量は0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく挙げられる。0.1質量%未満の場合、十分な効果が得られない欠点があり、10質量%超の場合、電導度が低下する欠点がある。
<電解コンデンサ>
本発明の電解コンデンサは、上述した電解コンデンサ用電解液を用いてなることを特徴とする電解コンデンサである。
アルミ電解コンデンサを例にとり説明する。アルミ電解コンデンサは、エッチングして比表面積を増大させたアルミ箔表面に、陽極酸化処理によって形成させた酸化皮膜を誘電体とすることでなる化成箔を陽極側電極として用い、当該陽極側電極に対向させる形で陰極側電極を配置し、両極間にセパレータを介在させ、そこに原理上、陰極となる電解液を保持させて形成させたものである。
本発明の電解コンデンサは、上述した電解コンデンサ用電解液を用いてなることを特徴とする電解コンデンサである。
アルミ電解コンデンサを例にとり説明する。アルミ電解コンデンサは、エッチングして比表面積を増大させたアルミ箔表面に、陽極酸化処理によって形成させた酸化皮膜を誘電体とすることでなる化成箔を陽極側電極として用い、当該陽極側電極に対向させる形で陰極側電極を配置し、両極間にセパレータを介在させ、そこに原理上、陰極となる電解液を保持させて形成させたものである。
以下、発明を実施例に基づき説明する。なお、本発明は、実施例により、なんら限定されるものではない。実施例中の「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
(実施例1)
溶媒である3−メトキシプロピオニトリル中に、電解質であるマレイン酸水素ジエチルジメチルアンモニウムを濃度30%となるように溶解させ、水分値を0.5%に調製し、電解コンデンサ用電解液を得た。
溶媒である3−メトキシプロピオニトリル中に、電解質であるマレイン酸水素ジエチルジメチルアンモニウムを濃度30%となるように溶解させ、水分値を0.5%に調製し、電解コンデンサ用電解液を得た。
(電導度の評価方法)
電導度の評価方法は、電解コンデンサ用電解液を30℃又は−50℃中に3時間放置した後、該電解液の電導度(mS/cm)を、東亜ディーケーケー株式会社製電気伝導率計 CM−20Jを用いて測定した。
電導度の評価方法は、電解コンデンサ用電解液を30℃又は−50℃中に3時間放置した後、該電解液の電導度(mS/cm)を、東亜ディーケーケー株式会社製電気伝導率計 CM−20Jを用いて測定した。
(実施例2〜4、比較例1〜6)
実施例1に記載の電解質塩及び溶媒を、表1に記載の電解質塩及び溶媒に代えた以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサ用電解液を製造し、当該電解液の電導度を測定した。
実施例1に記載の電解質塩及び溶媒を、表1に記載の電解質塩及び溶媒に代えた以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサ用電解液を製造し、当該電解液の電導度を測定した。
(実施例5)
溶媒である3−メトキシプロピオニトリル中に、電解質であるマレイン酸水素ジエチルジメチルアンモニウムを濃度15%及びマレイン酸水素スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムを濃度15%となるように溶解させ、水分値を0.5%に調整し、電解コンデンサ用電解液を得た。
溶媒である3−メトキシプロピオニトリル中に、電解質であるマレイン酸水素ジエチルジメチルアンモニウムを濃度15%及びマレイン酸水素スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムを濃度15%となるように溶解させ、水分値を0.5%に調整し、電解コンデンサ用電解液を得た。
実施例1〜5、比較例1〜6の電解コンデンサ用電解液の電導度(mS/cm)の測定結果を表1に示す。なお、表中、「―」の表記は電解液の凝固あるいは内容物析出のため、測定することができなかったことを示す。
表中の略語は以下の通りである。
DEDMA−MA:マレイン酸水素ジエチルジメチルアンモニウム
SBP−MA:マレイン酸水素スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム
DEDMA−BG:ボロジグリコール酸ジエチルジメチルアンモニウム
SBP−BG:ボロジグリコール酸スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム
TEA−AM:マレイン酸水素トリエチルアミン
MPN:3−メトキシプロピオニトリル
GBL:γ−ブチロラクトン
SL:スルホラン
DEDMA−MA:マレイン酸水素ジエチルジメチルアンモニウム
SBP−MA:マレイン酸水素スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム
DEDMA−BG:ボロジグリコール酸ジエチルジメチルアンモニウム
SBP−BG:ボロジグリコール酸スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム
TEA−AM:マレイン酸水素トリエチルアミン
MPN:3−メトキシプロピオニトリル
GBL:γ−ブチロラクトン
SL:スルホラン
表1より、−50℃では、比較例2、5は測定不可能となり、比較例1、3、4、6よりも、実施例1〜5の方がより高い電導度を得られることがわかった。これは、溶媒に使用した3−メトキシプロピオニトリルの融点が−57℃と低く、電解質であるSBP−MA、DEDMA−MA、SBP−BG、DEDMA−BGを電解コンデンサ用電解液の電解質として十分な量を溶解させる事ができ、かつ、電気化学的にも安定であることが原因と考えられる。
(実施例6〜10、比較例7〜12)
<電解コンデンサの作製>
まず、コンデンサ素子は陽極箔と陰極箔を、セパレータを介して巻回して形成した。陽極箔、陰極箔には陽極タブ、陰極タブがそれぞれ接続されている。これらの陽極タブ、陰極タブは高純度のアルミニウムよりなり、それぞれの箔と接続する平坦部と平坦部と連続した丸棒部より構成され、丸棒部にはそれぞれ陽極リード線、陰極リード線が接続されている。なお、それぞれの箔と電極タブはステッチ法や超音波溶接等により機械的に接続されている。
<電解コンデンサの作製>
まず、コンデンサ素子は陽極箔と陰極箔を、セパレータを介して巻回して形成した。陽極箔、陰極箔には陽極タブ、陰極タブがそれぞれ接続されている。これらの陽極タブ、陰極タブは高純度のアルミニウムよりなり、それぞれの箔と接続する平坦部と平坦部と連続した丸棒部より構成され、丸棒部にはそれぞれ陽極リード線、陰極リード線が接続されている。なお、それぞれの箔と電極タブはステッチ法や超音波溶接等により機械的に接続されている。
このように構成した電解コンデンサ素子に、実施例1〜5及び比較例1〜6で作製した電解液をそれぞれ含浸させた。この電解コンデンサ素子を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部に、リード線を導出する貫通孔を有するブチルゴム製の封口体を挿入し、さらに外装ケースの端部を加締めることにより電解コンデンサの封口を行うことで、実施例6〜10、比較例7〜12のアルミ電解コンデンサを得た。
実施例6〜10及び比較例7〜12のアルミ電解コンデンサの仕様は定格電圧35V、定格静電容量220μF(120Hz)である。
(電解コンデンサの静電容量とESRの評価)
−50℃および30℃における電解コンデンサの120Hzでの静電容量(μF)及び10kHzでのESR(mΩ)を測定した。結果を表2に示す。なお、表中、「−」の表記は電解液の凝固あるいは内容物析出のため、測定することができなかったことを示す。
−50℃および30℃における電解コンデンサの120Hzでの静電容量(μF)及び10kHzでのESR(mΩ)を測定した。結果を表2に示す。なお、表中、「−」の表記は電解液の凝固あるいは内容物析出のため、測定することができなかったことを示す。
表2より、−50℃では、比較例8、11は測定不可能となり、比較例7、9、10、12よりも、実施例6〜10の方がより高い静電容量及び低いESR値を得られることがわかった。これは、先述した電解液の評価結果と同様に、溶媒に使用した3−メトキシプロピオニトリルの融点が−57℃と低く、電解質であるSBP−MA、DEDMA−MA、SBP−BG、DEDMA−BGを電解コンデンサ用電解液の電解質として十分な量を溶解させる事ができ、かつ、電気化学的にも安定であることが原因と考えられる。
本発明の電解コンデンサ用電解液は、−50℃という極低温度域においても高い電導度を有し、それを用いた電解コンデンサは同様に−50℃においても高い静電容量と低いESR値を有しているため、広範な産業分野において極めて有用である。
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