JP2017030863A - 紙製パレット - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な紙製四方差しパレットを提供する。
【解決手段】第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とを有する紙製の四方差しパレット1であって、第1の方向に延びる複数の第1の底板2と、第2の方向に延び、第1の底板2に接着された複数の第2の底板3と、第1の底板2と第2の底板3とが交わる部分において、第2の底板3に接着された複数の脚部4と、複数の脚部4に接着された上板5とを備えるパレットが提供される。
【選択図】図1A

Description

本発明は、物品の運搬または保管に使用される紙製パレットおよびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、紙製の四方差しパレットおよびその製造方法に関する。
従来より、貨物積載用に木製のパレットやプラスチック製のパレットが使用されてきた。しかしながら、それらの木製パレットやプラスチック製パレットはリサイクルが難しく、廃棄処理が容易ではない。したがって、パレットに積載された貨物が輸送された場合、輸送先では不要なパレットを廃棄するのにコストがかかり、場合によってはパレットを返送することすらある。
そこで、木やプラスチックと比較して廃棄またはリサイクルが極めて容易であり、かつ安価な紙製パレットが提案されてきた。紙製パレットは、リサイクル処理または焼却処理によって、木やプラスチックと比較して容易に廃棄処理することができる。紙製パレットはまた、再生紙を用いて安価に製造することができる。
紙製パレットとしては、特許文献1に示すような四方差しパレットが公知である。特許文献1は、上板と、フォークリフトのアームを差し込む空間を形成するための脚部と、脚部を補強する下板とから構成される四方差しパレットを開示している。しかしながら、特許文献1のような下板を備えるパレットでは、アームの先端付近下部に車輪が付いたハンドリフトによって運搬することができない。ハンドリフトのアーム下部の車輪を下方に突出させるための空間が下板に存在しないからである。
そこで、特許文献2は、下板に、ハンドリフトのアーム下部に設けられている車輪を下方に突出させるための開口部を形成したパレットを開示している。このように、フォークリフトおよびハンドリフトで使用することができる従来の紙製の四方差しパレットは、上板とほぼ同じサイズの下板に、開口部が形成されていることを特徴としている(図1Bを参照のこと)。
特開平7−17543号公報 特開2002−370739号公報
上記のようにパレットの下板に開口部を形成するためには、複雑な装置および処理が必要であり、コスト増加につながっていた。また、開口部として下板から切り抜く部分は小さく、切り抜かれた紙は他への転用ができるサイズではないため、廃棄またはリサイクルするしかなく、無駄が多かった。
本願発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、四方差しパレットの脚部補強用下板にハンドリフトの車輪を突出させるために開口部を形成するために、下板として細長い紙片を縦方向および横方向にそれぞれ複数配列し、接着することによって、開口部が形成された脚部補強用下板を形成することができることを発見し、本発明を完成させた。本発明のパレット下板は、パレットの縦方向の複数の細長い紙片と横方向の複数の細
長い紙片とを直交するように交差させることによって形成され、隣接する2本の縦方向の細長い紙片と、それと直交隣接する2本の横方向の細長い紙片とによって、略矩形または正方形の開口部が形成される。
本発明のパレットは、パレットの縦方向の複数の細長い紙片と横方向の複数の細長い紙片とを直交するように交差させて下板を形成することによって、縦方向または横方向のいずれかの方向にしか細長い紙片を有さない下板のパレットと比較して、脚部の剥がれに対する強度が向上する。紙製パレットにおいては、部分的(複数の脚部のうちの1つまたは少数)に力がかかると脚部が剥がれてしまうという問題点があった。本発明のパレットのように縦方向の複数の細長い紙片と横方向の複数の細長い紙片とを直交するように交差させて下板を形成することによって、この問題点も解決することができた。
本発明のパレットは、第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とを有する紙製の四方差しパレットであって、該第1の方向に延びる複数の第1の底板と、該第2の方向に延び、該第1の底板に接着された複数の第2の底板と、該第1の底板と該第2の底板とが交わる部分において、該第2の底板に接着された複数の脚部と、該複数の脚部に接着された上板とを備えている。
本発明の1つの実施形態では、前記第1の底板の厚さは前記第2の底板の厚さよりも大きいように構成されている。
本発明の1つの実施形態では、前記第1の方向が前記四方差しパレットの長手方向であり、前記第2の方向が該四方差しパレットの短手方向であるように構成されている。
本発明の1つの実施形態では、前記第1の底板の坪量は前記第2の底板の坪量よりも大きいように構成されていている。
本発明の1つの実施形態では、前記第1の底板は防水加工された紙製であるように構成されていている。
本発明のパレットの製造方法は、第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とを有する紙製の四方差しパレットの製造方法であって、該パレットは、該第1の方向に延びる複数の第1の底板と、該第2の方向に延び、該第1の底板に接着された複数の第2の底板と、該第1の底板と該第2の底板とが交わる部分において、該第2の底板に接着された複数の脚部と、該複数の脚部に接着された上板とを備え、該製造方法は、該上板に該複数の脚部を接着する工程、該複数の脚部に該第2の底板を接着する工程、および該第2の底板に該第1の底板を接着する工程を包含している。
本発明の1つの実施形態では、前記第2の底板よりも厚い底板を、前記第1の底板として選択する工程を包含している。
本発明の1つの実施形態では、前記第1の方向が前記四方差しパレットの長手方向であり、前記第2の方向が該四方差しパレットの短手方向であるように構成されている。
本発明の1つの実施形態では、前記第2の底板よりも大きな坪量を有する底板を、前記第1の底板として選択する工程を包含している。
本発明の1つの実施形態では、前記第1の底板は防水加工された紙製である。
本発明の1つの実施形態では、前記脚部と前記上板または前記第2の底板との接着が、
該脚部を切断して得られる切断面の繊維密度が切断前の該脚部の繊維密度より小さく、かつ該脚部の該切断面が該脚部の切断前の仮想の対応面よりも大きくなるように、該脚部を切断することと、該脚部の該切断面と該上板または該第2の底板とを接着剤を介して接着させることとを含んでいる。
本発明の1つの実施形態では、前記脚部の切断に用いる切断刃は刃先が楔形を形成し、該脚部の切断は該刃先が前進しつつ切断駆動することで達成されるように構成されている。
本発明の1つの実施形態では、前記切断刃が前記脚部を前記刃先の両側へ押し拡げながら、該脚部を切断するように構成されている。
本発明の四方差しパレットの下板は、細長い紙片を縦方向および横方向に組み合わせることによって形成される。したがって、下板を一枚の紙で形成し、そこに開口部を打ち抜いて形成する従来技術と比べて、本発明よって、紙を無駄にすることなく、かつ複雑な装置および処理を必要とすることなく、従来の四方差しパレットと同等の強度を有する四方差しパレットを製造することが可能になった。本発明の四方差しパレットは、従来技術の四方差しパレットと同等の強度を有するにも拘わらず、低コストで製造することが可能である。
さらに、本発明の四方差しパレットの下板は、縦方向または横方向の一方に延びる複数の細長い紙片が接地面を形成することによって、パレットへの水分吸収を抑制することができる。従来の四方差しパレットにおいては、一枚の紙が下板を形成するため、下板全体が接地面を形成していた。しかしながら、パレットを構成する紙は水分の吸収力が高い。したがって、接地面が濡れていたり湿っている場合には、接地面を形成する下板が水分を吸収し、それによってパレットの強度が損なわれてしまっていた。本発明の下板においては、縦方向または横方向の一方に延びる複数の紙片のみが接地するため、接地面が従来よりも少なくなり、水分の吸収を抑制することができる。また、特に接地面を形成する紙には防水加工を施すことがあるが、この防水加工を施す対象とする紙を、縦方向または横方向の一方に延びる複数の紙片のみに限定することができるため、低コストでのパレット製造が可能である。
加えて、本発明の1つの実施形態においては、本発明のパレット下板を形成する縦方向と横方向の細長い紙片において、接地面を形成する紙片(縦方向または横方向のいずれか一方に延びる紙片)の厚さを厚いものとすることによって、接地面から、接地面を形成しない紙片までの空間を十分に保つことができる。これによって、パレットへの水分の吸収を抑制することができる。さらに、接地面を形成する紙片をパレット長手方向に沿って延びる紙片とし、その紙片の坪量を増加することによって、パレット全体の強度を効率的に向上させることができる。パレットにおいては、フォークリフトやハンドリフト使用時に、長手方向の辺に対してかかる力が大きく、短手方向の辺に対してかかる力は小さい。したがって、パレット全体の強度を向上させるためには、特に長手方向の辺を補強することが必要である。下板を一枚の紙から形成する従来技術においては、パレット全体の強度を向上させるためには下板全体の坪量を増加させる必要があったが、本発明においては、長手方向に沿って延びる紙片のみの坪量を増加させればよいので、コスト低下につながる。
本発明のパレットは、パレットの縦方向の細長い紙片と横方向の複数の細長い紙片とを直交するように交差させて下板を形成することによって、縦方向または横方向のいずれかの方向にしか細長い紙片を有さない下板のパレットと比較して、脚部の剥がれに対する強度が向上する。紙製パレットにおいては、部分的(複数の脚部のうちの1つまたは少数)
に力がかかると脚部が剥がれてしまうという問題点があった。本発明のパレットのように縦方向の複数の細長い紙片と横方向の複数の細長い紙片とを直交するように交差させ下板を形成することによって、この問題点も解決することができた。
図1Aは、本発明の四方差しパレットの底面側斜視図である。 図1Bは、本発明の四方差しパレットの底面図である。 図1Cは、本発明の四方差しパレットの、底面側を上側にした正面図である。 図1Dは、本発明の四方差しパレットの、底面側を上側にした側面図である。 図2Aは、従来技術の四方差しパレットの底面側斜視図である。 図2Bは、従来技術の四方差しパレットの底面図である。 図2Cは、従来技術の四方差しパレットの、底面側を上側にした正面図である。 図2Dは、従来技術の四方差しパレットの、底面側を上側にした側面図である。 図3A〜Cは、本発明の四方差しパレットの代表的な製造方法を示す図である。 図3A〜Cは、本発明の四方差しパレットの代表的な製造方法を示す図である。 図3A〜Cは、本発明の四方差しパレットの代表的な製造方法を示す図である。 図4Aは、本発明の四方差しパレットにおける好ましい上板を示す。 図4Bは、好ましい上板の第1の紙層および第3の紙層の一部を取り除いてコアの表面を露出させた状態の斜視図である。 図4Cは、好ましい上板の第1の紙層および第3の紙層の一部を取り除いて、ハニカムコアの表面を露出させた状態の斜視図である。 図5Aは、好ましい切断方法による、被切断物である脚部構成部材の外観を示す。 図5Bは、好ましい切断方法による、被切断物である脚部構成部材の切断の様子を示す。 図5Cは、好ましい切断方法による、被切断物である脚部構成部材の切断後の状態を示す。 図6Aは、好ましい切断方法による、脚部構成部材の切断面と別の紙製の部材(上板または第2の底板)との接着状態を示す。 図6Bは、一般的な切断方法による、脚部構成部材の切断面と別の紙製の部材(上板または第2の底板)との接着状態を示す。 図7Aは、好ましい切断方法において用いられ得る切断刃の一例を示す。 図7Bは、好ましい切断方法において用いられ得る切断刃の一例を示す。 図7Cは、一般的な切断刃の一例を示す側面図である。 図7Dは、一般的な切断刃の一例を示す斜視図である。 図8Aは、好ましい切断方法による脚部構成部材の切断を示す模式図である。 図8Bは、一般的な切断刃による脚部構成部材の切断を示す模式図である。 図9Aは、好ましい切断方法による、被切断物である脚部構成部材の切断面の様子を示す。 図9Bは、一般的な切断刃による被切断物である脚部構成部材の切断面の様子を示す。 図10Aは、実施例1および2のパレットの寸法を示す(単位はmmである)。 図10Bは、比較例のパレットの寸法を示す(単位はmmである)。
以下に本発明を、必要に応じて、添付の図面を参照して例示の実施例により説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
本発明によれば、第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とを有する紙製の四方差しパレットであって、該第1の方向に延びる複数の第1の底板と、該第2の方向に延び、該第1の底板に接着された複数の第2の底板と、該第1の底板と該第2の底板とが交わる部分において、該第2の底板に接着された複数の脚部と、該複数の脚部に接着された上板とを備えるパレットが提供される。
本発明のパレットにおいては、下板が第1の細長い底板と第2の細長い底板とによって形成されるため、下板が一枚の紙によって形成される従来のパレットと比較して、下板の形成において紙の無駄を減らすことができる。また、一枚の紙にハンドリフト車輪用の開口部を打ち抜いて形成する作業には特殊な機器が必要とされ、コストがかかるのに対して、本発明においてはそのような作業の必要がなくなるため、コストを抑制することができる。
本発明のパレットにおいては、第1の底板のみが接地し、第2の底板は接地しない。これによって、パレットの接地面を減らすことができ、パレット本体への接地面からの水分を抑制することができる。本発明の1つの実施形態においては、第1の底板の厚さを厚くすることによって、地面から第2の底板までの空間を十分に確保することができる。
本発明の別の実施形態においてはまた、上記第1の底板の坪量を上記第2の底板よりも大きなものとすることによって、さらにパレット全体の補強を効率的に達成することができる。
本発明のパレットは、パレットの縦方向の複数の細長い紙片と横方向の複数の細長い紙片とを直交するように交差させて下板を形成することによって、縦方向または横方向のいずれかの方向にしか細長い紙片を有さない下板のパレットと比較して、脚部の剥がれに対する強度が向上する。紙製パレットにおいては、部分的(複数の脚部のうちの1つまたは少数)に力がかかると脚部が剥がれてしまうという問題点があった。本発明のパレットのように縦方向の複数の細長い紙片と横方向の複数の細長い紙片とを直交するように交差させて下板を形成することによって、この問題点も解決することができた。
(定義)
本明細書において、「紙」とはその一般的な意味で用いられ、植物の繊維を水中で分散させ、それを薄く、平面上にすきあげて脱水および乾燥させた任意の物質をいう。
本明細書において、「パレット」とは、輸送用または物流用に使用される荷台をいう。
本明細書において、「四方差し」とは、正方形または矩形のパレットにおいて、その四
方向全てから、フォークリフトまたはハンドリフトのアームを差し込むことができることをいう。なお、正方形または矩形のパレットにおいて、対向する二方向からしかフォークリフトまたはハンドリフトのアームを差し込むことができないパレットを「二方差し」パレットという。
本明細書において、「坪量」とは、紙の1m当たりの重量をいう。
本明細書において、紙の「繊維密度」とは、ある体積当たりの繊維量をいう。したがって、ある領域において繊維密度が大きいとは、当該領域においては繊維が密に存在していることを意味し、逆にある領域において繊維密度が小さいとは、当該領域においては繊維がほどけまばらに存在していることを意味する。
本明細書において、「切断面の繊維密度」とは、紙部材の切断によって新たに生じる面とその近傍の、切断によって紙の繊維密度が変化した領域についての繊維密度をいう。切断面の繊維密度は、必ずしも表面だけの繊維密度に限定されない点に留意すべきである。
本明細書において、「切断面の面積」とは、紙部材の切断によって新たに生じた面の面積をいう。
本明細書において、切断面について、切断前の「仮想の対応面」とは、紙部材の切断によって生じた面の位置において、切断前の当該紙部材における仮想の断面をいう。
本明細書において、「略平面」とは完全な平面を意味するのではなく、多少の湾曲を含んでもよい。
本明細書における「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
(好ましい実施形態の説明)
以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきではない。本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行なうことができることは、当業者に明らかである。
図1Aは、本発明の四方差しパレット1の底面側斜視図であり、図1Bは、その底面図であり、図1Cは、その底面側を上側にした正面図であり、そして図1Dは、その底面側を上側にした側面図である。図1Aに示されるように、本発明の四方差しパレットは、底面側から見て、パレットの第1の方向(図1Aにおいては長手方向)に延びる複数の第1の底板2と、それに直交する第2の方向(図1Aにおいては短手方向)に延び、第1の底板2に接着された複数の第2の底板3と、第1の底板2と第2の底板3とが交わる領域(図1Bの斜線部を参照のこと)内に接着された脚部4と、脚部に接着された上板5とから構成される。隣接する2つの第1の底板2と隣接する2つの第2の底板3との間に、ハンドリフトの車輪を突出させるための開口部6が形成されている。第1の底板2がパレットの接地面を形成する。
なお、図1Aおよび図1Cにおいては、第2の底板3よりも第1の底板2の方が厚い実施形態のパレットを示したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、第1の底板2よりも第2の底板3の方が厚さが大きい実施形態や、第1の底板2と第2の底板3の厚さが同等の実施形態も本発明には包含されることに留意すべきである。また、図1Aおよび図1Cでは、第2の底板3が短手方向に延びるものである実施形態のパレットを示したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、第2の底板3は長手方向に延びるものであり、第1の底板2が短手方向に延びるものである実施形態も本発明には包含
されることに留意すべきである。
本発明のパレットは紙製であり、好ましくは段ボール製である。
図2Aは、従来技術の四方差しパレット10の底面側斜視図であり、図2Bは、その底面図であり、図2Cは、その底面側を上側にした正面図であり、そして図2Dは、その底面側を上側にした側面図である。図2Aに示されるように、従来技術の四方差しパレット10は、底面側から見て、底板13が一枚の紙によって形成され、開口部6はその底板13を打ち抜くことによって形成される。底板13に脚部14が接着され、それにさらに上板15が接着される。
(第1の底板と第2の底板)
第1の底板2と第2の底板3とはいずれも、細長い矩形上の紙片である。第1の底板2と第2の底板3とは、同じ紙から形成されてもよいし、異なる紙から形成されてもよい。
第1の底板2としては、例えば、約86mm〜200mm×約700mm〜1400mmの紙片が使用され、代表的には、約86mm×約1110mmの紙片が使用され得る。第1の底板2のサイズは、パレット全体のサイズおよび強度、使用されるフォークリフトまたはハンドリフトのアームのサイズ、あるいはハンドリフトの車輪の大きさ等に応じて、当業者が適切に決定することができる。
本発明においては、第1の底板2が複数使用される。隣接する第1の底板2同士の距離は、約180mm〜約400mmであり、代表的には約251mm程度である。
第1の底板2の厚さは、約1mm〜約6mmであり、好ましくは約2mm〜約4mmであり、より好ましくは約4mmである。
第2の底板3としては、例えば、約150mm〜200mm×約700mm〜1100mmの紙片が使用され、代表的には、約170mm×約760mmの紙片が使用され得る。第2の底板3のサイズは、パレット全体のサイズおよび強度、使用されるフォークリフトまたはハンドリフトのアームのサイズ、あるいはハンドリフトの車輪の大きさ等に応じて、当業者が適切に決定することができる。
本発明においては、第2の底板3が複数使用される。隣接する第2の底板3同士の距離は、約180mm〜約400mmであり、代表的には約290mm程度である。
第2の底板3の厚さは、約1mm〜約6mmであり、好ましくは約2mm〜約4mmであり、より好ましくは約2mmである。
第1の底板2および第2の底板3は、約1mm〜約3mmの一般に流通している厚紙を貼り合わせることによって形成してもよい。
本発明においては、第1の底板2の厚さと第2の底板3の厚さとはどのような関係であってもよい。すなわち、第1の底板2の厚さが第2の底板3の厚さよりも厚いものであってもよいし、第1の底板2の厚さよりも第2の底板3の厚さが厚いものであってもよいし、第1の底板2の厚さと第2の底板3の厚さとが同等であってもよい。
好ましい実施形態においては、第1の底板2は、第2の底板3よりも厚い。代表的な実施形態においては、第1の底板2は約4mmであり、第2の底板3は約2mmである。このように、第1の底板2を第2の底板3よりも厚くすることによって、第1の底板2の接
地面から第2の底板3までの高さを確保することができ、第2の底板3からの地面からの水分の吸収を回避することができる。好ましい実施形態において、第1の底板2の厚さは、第2の底板3の厚さの約1.5倍以上であり、より好ましくは約2.0倍以上であり、より好ましくは約2.5倍以上である。第1の底板2の厚さを厚くすることによって、第2の底板3と設置面との間の距離を長くすることができる。それによって、第2の底板3における設置面の水分の吸収を回避することができる。
第1の底板2の坪量は、約600g/m〜約3500g/mであり、好ましくは約1400g/m〜3300g/mである。なお、一般的に、厚さ0.25mm=約180g/mの坪量である。
第2の底板3の坪量は、約600g/m〜約3500g/mであり、好ましくは約1400g/m〜約3300g/mである。
本発明においては、第1の底板2の坪量と第2の底板3の坪量とはどのような関係であってもよい。すなわち、第1の底板2の坪量が第2の底板3の坪量よりも大きなものであってもよいし、第1の底板2の坪量よりも第2の底板3の坪量が大きいものであってもよいし、第1の底板2の坪量と第2の底板3の坪量とが同等であってもよい。
第1の底板2と第2の底板3とが異なる紙から形成される場合、好ましくは、第1の底板2は、第2の底板3よりも大きな坪量を有する。代表的な実施形態においては、第1の底板2の坪量は約2400g/m〜約3000g/mであり、第2の底板3の坪量は約1200g/m〜約1600g/mである。好ましい実施形態において、第1の底板2の坪量は、第2の底板3の坪量の約1.5倍以上であり、より好ましくは約2.0倍以上であり、より好ましくは約2.5倍以上である。
本発明の特に好ましい実施形態においては、第1の底板2の厚さおよび坪量の両方が、第2の底板3の厚さおよび坪量よりもそれぞれ大きい。
本発明の1つの実施形態において、図1A〜Dに示すように、長手方向に沿った第1の底板2の厚さおよび/または坪量を大きくすることによって、パレット全体の強度を効率的に高めることができる。すなわち、以下の実施例に示すように、矩形の四方差しパレットにおいては、フォークリフトまたはハンドリフトのアームを差し込むときに、短手方向の辺に対してかかる力よりも、長手方向の辺に対してかかる力のほうが大きい。換言すると、短手方向の辺の強度よりも、長手方向の辺の強度がより必要とされる。これは、長手方向の方がフォークリフトまたはハンドリフトの爪外寸法(フォークリフトまたはハンドリフトの2本の爪をパレットに差し込んだときに、その2本の爪の外に出る部分の寸法)が大きいからである。この点、従来技術のように、パレットの底板を一枚の紙から形成する場合には、長手方向の辺に必要な強度に合わせて底板全体の厚さおよび/または坪量を大きくする必要があった。しかしながら、本発明の好ましい実施形態においては、長手方向に延びる第1の底板2と短手方向に延びる第2の底板3とを組み合わせることによって、従来技術の底板とするため、強度の必要とされない第2の底板3の坪量を小さくし、より強度が必要とされる第1の底板2の坪量を大きくすることができる。
一枚の紙によって底板を形成する従来の四方差しパレットの製造においては、底板の厚さまたは坪量が大きくなると、開口部を打ち抜く処理が容易ではなかった。厚さまたは坪量の大きな紙においては、一般的な装置(例えば、種々の供給源から市販されているロータリーダイカッター)で開口部を打ち抜くことはできないからである。例えば、一般的なロータリーダイカッターでは約2mm厚程度の厚紙までしか打ち抜くことができず、それより厚い(例えば、一般的に流通している約3mmまたは約4mmの)厚紙については平
盤ダイカッター(プラテンダイカッター)を使用する必要がある。さらに、いずれのダイカッターについても切断用刃物の損傷が早いという問題点がある。しかしながら、本発明の底板は、第1の底板も第2の底板も細長い矩形上であるため、単に大きな紙を直線状に切断することによって製造することができ、開口部を打ち抜くような複雑な処理を必要としない。そのため、厚さまたは坪量の大きな紙を底板に用いることが可能である。
(製造方法)
図3A〜Cに、本発明の四方差しパレットの代表的な製造方法を示す。図3Aに示すように、まず上板5に脚部4を接着する。脚部をいくつにするかはパレットのサイズ、用途、および使用されるフォークリフトまたはハンドリフトの種類応じて当業者が適宜決定することができる。
図3Bに示すように、図3Aにおいて上板5に接着された脚部4に、第2の底板3を短手方向に沿って接着する。第2の底板3は、厚紙を切ることによって容易に製造することができる。
図3Cに示すように、図3Bにおいて脚部4に第2の底板3が接着されたパレットに、さらに第1の底板2を、脚部4に沿って接着する。この第1の底板2の厚さおよび坪量の選択は本発明において重要である。第1に、第1の底板2の厚さだけ、第2の底板3、脚部4および上板5が接地面から離れる。これによって、接地面の水分が第2の底板3、脚部4および上板5に吸収されることを抑制する。
また、上述のとおり、矩形の四方差しパレットにおいては、フォークリフトまたはハンドリフトのアームを差し込むときに、短手方向の辺に対してかかる力よりも、長手方向の辺に対してかかる力のほうが大きい。したがって、パレットのサイズ、用途および使用されるフォークリフトまたはハンドリフトに応じて、第1の底板2の厚さおよび/または坪量を適宜調整することが必要である。
第1の底板2および第2の底板3として、どのような厚さおよび/または坪量の紙を用いるかは当業者が適宜決定することができる。
第1の底板2および第2の底板3は、厚紙を細長い短冊状に切断することによって用意することができる。一般に市販されている厚紙のサイズとしては、1100mm×1350mmまたは1150mm×1450mmが挙げられるが、これらに限定されない。
なお、図3A〜Cでは上板5に脚部4を接着し、脚部4に第2の底板3を接着し、そして第2の底板3に第1の底板2を接着したが、接着の順序はどのようなものであってもよい。
例えば、第1の底板2に第2の底板3を接着し、第2の底板3に脚部4を接着し、脚部4に上板5を接着してもよい。あるいは、上板5に脚部4を接着し、別個に第1の底板2に第2の底板3を接着し、最後に脚部4と第2の底板3を接着してもよい。
(上板)
本発明のパレットの上板は、紙製であればどのようなものであってもよいが、当然ながら、載置物が載置された状態でのフォークリフトまたはハンドリフトによる持上げに耐える曲げ強度をパレットに付与するものでなければならない。
紙製パレットの上板としては、補強用のコア構造を上下から紙層で挟んだ構造物が使用されてもよい。
好ましい実施形態において、本発明の四方差しパレットの上板としては、特願2015−43647号(参照によりその内容が本明細書に援用される)に記載の紙製ボード構造体(図4Aに示す上板5)とすることができる。図4Aの上板5は、3つの紙層(第1の紙層51、第2の紙層52および第3の紙層53)とコア54とから構成されるボード状構造物である。紙層51および紙層52とコア54とが、紙層51および紙層52がコア54をサンドイッチ様に挟み込むようにそれぞれ接着される。第3の紙層53は、紙層51の表面(コア54との接着面と逆の表面)に接着される。
図4Aの上板5の製造においては、コア54への紙層51および紙層52のサンドイッチ様接着は、紙層51をロール状に巻き取ったロール体から紙層51を送りだし、紙層2をロール状に巻き取ったもう1つのロール体から紙層52を送りだしながら、コア54の一方の表面に紙層51を接着し、かつコア54のもう一方の表面に紙層52を接着することにより行われ得る。したがって、この実施形態においては、紙層51および紙層52はいずれも巻取可能な巻取紙製品でなければならない。
図4Aの上板5の特徴は、コア54を紙層51および紙層52でサンドイッチ様に挟んだ構造体を、さらに紙層53で補強することによって、木材ボードにも匹敵する程度にまで構造体の曲げ強度を高めることができる点にある。より具体的には、例えば紙層51に紙層53を接着する場合、紙層51の厚さと紙層53の厚さとの和が、紙層52の厚さよりも大きくなるように、各紙層が選択される。この追加の紙層53としては、古紙や再生紙など安価な紙を使用することができるので、コストが大きくかかることはない。
図4Aの上板5のさらなる特徴は、紙層51として、紙層52の坪量よりも小さい坪量の紙(好ましくは巻取紙)を用いることにある。コアをサンドイッチ様に2つの紙層で挟んだ構造体を、追加の紙層53で補強することによって、上板5の全体の曲げ強度を高めるために、紙層51の坪量を、紙層52の坪量と同じにするのではなくあえて小さくすることによって、紙層53を接着することによる上板5の曲げ強度の強まり方が飛躍的に向上する。また、紙層51として坪量の小さな紙を用いてもよいため、紙層52と同程度の坪量の紙を用いる場合と比較して、コストが削減できる。実際には、紙層51として仮留め程度の坪量の紙を用いることができるため、安価に製造することができる。
図4Aに示す上板5を使用する場合、輸送する対象物を紙層52側で支持してもよいし、紙層53側で支持してもよい。本発明を限定するものではないが、上板の一部分を集中的に荷重するような対象物を輸送する場合には、紙層53側を上にして対象物を支持するのが好ましく、一般的に上板のほぼ全面を平均的に荷重するような対象物をフォークリフトで荷役する場合には、その曲げ荷重は下側に圧縮の力が加わる為紙層53側を下にして紙層52で対象物を支持するのが好ましい。
一般的に、輸送用パレットにおいては、パレット上板の下側(フォークリフトまたはハンドリフトのアームによって保持される側)に大きな曲げ強度が要求される。したがって、図4Aに示す上板5を輸送用パレットとして用いる場合、紙層53を下側(フォークリフトまたはハンドリフトのアームによって保持される側)にすることによって、効率的に所望の曲げ強度を有する輸送用パレットとすることが可能である。
図4Bは、パレット上板において用いられ得るコア54の具体的構造を示す。図4Bは、上板5の第1の紙層51および第3の紙層53の一部を取り除いてコア54の表面を露出させた状態の斜視図である。好ましいコア構造が図4Bに示される。図4Bにおいて、コア54は、多数の例えば正弦波の波形が並ぶように整形した紙製芯材541と、その片面でその湾曲凸部に接合された紙製ライナ542とから構成されるコアユニット543を
複数段並べて偏平な形状とすることによって形成される。
芯材541の形状は、上記のような波形のほか、V字形、U字形または台形であってもよい。あるいは、図4Cに示すように、コア54は、六角柱の空間544が多数形成されるハニカム形状のコアであってもよい。
(脚部)
本発明の脚部4は、紙製であればどのような形状および構造であってもよい。脚部4は、例えば直方体であっても立方体であっても円柱体であってもよい。脚部4の構造は、上板5のコア54と同様の構造であってもよい。すなわち、図4Bおよび図4Cのコア54を適切な形状にして、脚部4とすることができる。
(接着)
脚部4と、上板5または第2の底板3との接着は、任意の紙用接着剤によって達成することができる。好ましい実施形態においては、段ボール用接着剤が使用される。当業者は、脚部4と、上板5または第2の底板3との接着のために適切な接着剤を容易に選択することができる。代表的な段ボール用接着剤は、例えば、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤(例えば、コニシ株式会社(日本、大阪市)から市販されているボンドCN−135)が挙げられるが、これに限定されない。
脚部4と、上板5または第2の底板3との接着のためには、例えば特願2015−43646号(参照によりその内容が本明細書に援用される)に記載の接着技術を用いることができる。
図5Aは、厚さHを有する紙製の脚部構成部材510を示す。脚部構成部材510が種々の構造に組み合わされて脚部4を構成する。好ましい実施形態においては、部材510を一点鎖線Cに沿って、切断刃520によって切断し、その切断面に沿って上板5または第2の底板3とほぼ直角に接着する。切断刃520の楔形の刃先が被切断物である脚部構成部材510に差し込まれ、切断刃520を前進するにつれて、脚部構成部材510が刃先の両側に押し広げられながら、切断面530を形成する(図5Bおよび図5Cを参照のこと)。切断面530付近の脚部構成部材510は、切断刃によって切断される際に紙粉となりにくく、切断後もなお脚部構成部材510に残存する。これによって、切断面530においては脚部構成部材510を構成する繊維が拡がって繊維密度が小さくなり、かつ面積が大きくなる。なお、切断面530は、切断によって脚部構成部材510に生じた面のみを指すのではなく、切断によって切断前から繊維密度が変化した領域を指すことに留意すべきである。
図5Aにおいて、一点鎖線Cできれいに切断したと仮定した場合の脚部構成部材510の断面(つまり、一点鎖線Cを含む縦断面)が、本発明における「切断前の仮想の対応面」である。接着面530の面積は、この切断前の仮想の対応面よりも大きいことが明確に理解される。
図6Aに、図5A〜Cのように切断刃520で切断して得られた脚部構成部材510の切断面530に、別の紙製の部材540(上板5または第2の底板3)を接着する様子を示す。上記のとおり、脚部構成部材510の切断面530は、切断刃520による切断によって、切断前の仮想の対応面よりも広く大きな接着面を確保できることが明らかである。また、切断面530の繊維密度は切断前の脚部構成部材510の繊維密度よりも小さいため、接着剤が浸透しやすく、かつ絡まりやすい。これにより、脚部構成部材510の切断面530の面積が、切断前の仮想の対応面よりも広がっていることと相俟って、高い接着強度が実現される。
図6Bは、一般的な切断刃によって切断された部材510と、その切断面への部材540の接着の様子を示す。図6Aと比較して、一般的な切断刃によって切断された部材510の切断面では、接着面が小さく、また切断面およびその近傍の部材510において繊維密度に変化がないため、接着剤が切断面で浸透しやすくなっていない。従って、好ましい実施形態の楔形の切断刃によって切断された部材510の切断面に比べると、別の紙製の第2部材との接着力が弱い。
図7Aおよび7Bは、上記の好ましい接着方法のための切断刃を示し、図7Cおよび7Dは一般的な接着方法のための切断刃を示す。図7Aおよび7Bに示す切断刃(クリーンカットソー)は刃の先端が楔形にとがっており、刃先が被切断物に差し込まれ、切断刃が前進するにつれて、被切断物が刃先の両側に押し広げられてゆく。他方、図7Cおよび7Dに示す一般的な切断刃(チップソー)は、刃先が左右外側向きに傾斜したチップとフラットなチップが並んだものであり、このチップ巾分を削り取って紙粉に変えながら被切断物を切断してゆく。したがって、図7Aおよび7Bの切断刃による切断では、被切断物の切断部分を除去するのではなく、切断部分を解しながら分離することで紙を紙粉に変えることなく切断するのに対して、図7Cおよび7Dの切断刃による切断では被切断物の切断部分を削り取って紙粉に変えて除去する。
図8Aおよび図8Bに、好ましい切断方法による切断と一般的な切断方法による切断との模式図を示す。図8Aは、脚部構成部材510を、Cに沿って本発明による切断刃520で切断する様子を示す。楔形の切断刃520が、Cに沿って脚部構成部材510の斜線部分を左右に押し拡げながら切断してゆく。切断刃520の刃先が被切断物に差し込まれ、切断刃が前進するにつれて、被切断物が刃先の両側に押し広げられてゆくことが理解される。図8Bは、脚部構成部材510を、Cに沿って一般的な切断刃520’で切断する様子を示す。切断刃520’は、左右外側向きに傾斜したチップとフラットなチップが並んだものであり、このチップ巾分(図8Bの斜線部分)を削り取って紙粉に変えながら被切断物を切断してゆくことが理解される。切断の巾(それぞれ図8Aおよび図8Bの斜線部分)が、図8Bのほうが大きいことに留意されたい。
図9Aは、上記の好ましい切断方法による、被切断物である脚部構成部材の切断面の様子を示し、図9Bは、一般的な切断方法による、被切断物である脚部構成部材の切断面の様子を示す。図9Aおよび図9Bに示す写真は、同じ部材を異なる切断刃でそれぞれ切断した結果である。図9Aおよび図9Bを対比すれば明らかなように、図7Aおよび7Bに示す切断刃(クリーンカットソー)による切断によって、図7Cおよび7Dに示す一般的な切断刃(チップソー)による切断よりも、切断面において繊維が拡がって繊維密度が小さくなり、かつ面積が大きくなっていることが分かる。
図7Aおよび7Bに示す切断刃(クリーンカットソー)による切断によって、脚部構成部材510の切断面530の繊維密度が切断前の脚部構成部材510の繊維密度より小さいため、接着面530に接着剤が浸透しやすく、かつ接着剤が繊維に絡みやすくなり、高い接着強度が実現できる。さらに、切断によって脚部構成部材510の切断面530が、脚部構成部材510の切断前の仮想の対応面よりも大きくなるため、広い接着面を確保することができ、高い接着強度が実現できる。
この好ましい楔形の切断刃によればさらに、切断によって部材510の切断面530が、部材510の切断前の仮想の対応面よりも大きくなるため、広い接着面を確保することができ、高い接着強度が実現できる。
好ましい楔形の切断刃を用いた接着は、紙製部材同士の垂直方向の高い接着強度での接
着を達成することができるため、本発明の輸送用の紙製パレットのような、高い接着強度で紙製部材同士が接着することが要求される紙製構造体での使用に特に適している。
(防水加工)
本発明のパレットに用いる紙製部材は、防水加工されたものであってもよい。好ましい実施形態においては、本発明の紙製パレットのうち少なくとも第1の底板2は防水加工されている。防水加工された第1の底板2は、防水加工されたシート状の紙を切断して第1の底板2とすることによって得ることもできるし、シート状の紙を切断して第1の底板2とした後にこれを防水加工することによって得ることもできる。
代表的には、防水加工は紙の表面に耐水剤または撥水剤を塗布することによって行うことができるが、これに限定されない。耐水剤または撥水剤としては、紙用の公知の耐水剤または撥水剤を用いることができ、好ましくは段ボール用の公知の耐水剤または撥水剤を用いることができる。
好ましい実施形態においては、防水加工された第1の底板2は、シート状の紙に耐水剤または撥水剤を塗布し、その後所望のサイズに切断することによって製造され得る。好ましい実施形態においては、耐水剤または撥水剤のシート状の紙への塗布は、ローラーを用いて行うことができる。
(他の実施形態)
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下のように実施例および比較例のパレットを製造した。
(実施例1)
株式会社エコボード(日本、岡山)から販売されているエコボード(登録商標)(短手方向800mm×長手方向1150mm×高さ20mm)を、四方差し用パレット上板5として使用した。なお、当該エコボードは図4Aに示す構造を有する。
脚部4として、図4Bにコアとして示す構造物を短手方向86mm×長手方向170mm×高さ90mmに成形したものを9個用意した。この脚部を用意するにあたって、図5A〜5Cおよび図8A、8Bに示す切断技術を用いた。接着剤としては、段ボール用接着剤である酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤を用いた。
一般的に流通している1100mm×1350mmの厚紙(厚さ4mm)を短冊状に切断し、86mm×1100mmの3枚の第1の底板2を用意した。また、一般的に流通している1100mm×1350mmの厚紙(厚さ2mm)を短冊状に切断し、170mm×760mmの3枚の第2の底板3を用意した。この6つの底板のために用いた厚紙の面積は、約0.672mである(なお、切断時の紙のロスは多少発生することもある)。厚紙において余った部分は他のパレットの底板として利用可能である。
上記のように用意した上板5、脚部4、第2の底板3、第1の底板2を、図3A〜3Cに示すように接着して、本発明の四方差しパレットを製造した。長手方向の脚部と脚部との間の間隔は290mmとし、短手方向の脚部と脚部との間の間隔は251mmとした(
図10Aを参照のこと)。
(比較例)
底板以外は、実施例1と同様に製造した。
比較例においては、一般的に流通している1100mm×1350mmの厚紙(厚さ4mm)を760mm×1100mmに切断して、底板13とした。この760mm×1100mmの底板13において、240mm×280mmの開口部6を4つ打ち抜いて形成した(図10Bを参照のこと)。この4mmの厚紙を打ち抜くためには、木型とロータリーダイカッターという特殊な設備が必要とされる。さらに4mm以上の厚紙を打ち抜く場合には特に、ロータリーダイカッターの刃物の寿命が短く、これらが製造コストを押し上げることになる。この底板のために用いた厚紙の面積は約0.844mである(打ち抜いた開口部は他に使用することができないため使用したものと考える)。また、このようにパレットを製造すると、1枚の厚紙から1枚の底板しか用意することができないため、実質的には、厚紙全体(1.485m)を使用したこととなる。
(実施例1と比較例との比較)
上記実施例1の厚紙使用面積(約0.672m)と比較すると、本発明のパレットが厚紙を効率的に利用して底板を用意していることが分かる。
また、実施例1のパレットは、同じサイズの比較例のパレットと比較して、接地面積が有意に小さい。したがって、パレットへの水分の吸収が、比較例と比べて実施例1のパレットにおいては抑えられ、また防水加工を施す必要のある面積が小さくなる。
(実施例2)
第2の底板3を、2mmの厚紙を用いて作製した以外は、実施例1と同様に四方差しパレットを製造した。
(曲げ強度試験)
実施例1、実施例2および比較例の各パレットについて、一点集中荷重時の曲げ強度を広島県東部工業技術センターにおいて試験した。
その結果、実施例1のパレットと実施例2のパレットと比較例のパレットとでは曲げ強度に有意な差がないことが明らかになった。実施例2では第1の底板2のみが4mmであり、第2の底板3は2mmであったのに対して、実施例1および比較例では底板13全体が4mmであった点に留意すべきである。この結果から、四方差しパレットの曲げ強度の強化のために、その底板として、長手方向と短手方向で厚さの異なる厚紙を選定することによって、無駄をさらに排除することができることが明らかになった。すなわち、一般にパレットの長手方向に大きな曲げ強度が要求されるため、長手方向に延びる第1の底板2の厚さまたは坪量を増やすことによって、パレット全体として十分な曲げ強度を達成することができる。
本発明は、貨物積載用の紙製の四方差しパレットの提供において有用である。本発明の紙製パレットはその全てがリサイクル可能であるため、木材資源の使用量を削減することによって環境問題に大きく寄与することができる。
1 四方差しパレット
2 第1の底板
3 第2の底板
4 脚部
5 上板
6 開口部

Claims (9)

  1. 第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とを有する紙製の四方差しパレットであって、
    該第1の方向に延びる複数の第1の底板と、
    該第2の方向に延び、該第1の底板に接着された複数の第2の底板と、
    該第1の底板と該第2の底板とが交わる部分において、該第2の底板に接着された複数の脚部と、
    該複数の脚部に接着された上板と
    を備え、該第1の底板にのみ防水加工されている、パレット。
  2. 前記第1の方向が前記四方差しパレットの長手方向であり、前記第2の方向が該四方差しパレットの短手方向である請求項1に記載のパレット。
  3. 前記第1の底板の坪量は前記第2の底板の坪量よりも大きい請求項1〜2のいずれか1項に記載のパレット。
  4. 第1の方向と、該第1の方向と直交する第2の方向とを有する紙製の四方差しパレットの製造方法であって、該パレットは、
    該第1の方向に延びる複数の第1の底板と、
    該第2の方向に延び、該第1の底板に接着された複数の第2の底板と、
    該第1の底板と該第2の底板とが交わる部分において、該第2の底板に接着された複数の脚部と、
    該複数の脚部に接着された上板と
    を備え、該第1の底板にのみ防水加工されており、該製造方法は、
    該上板に該複数の脚部を接着する工程、
    該複数の脚部に該第2の底板を接着する工程、および
    該第2の底板に該第1の底板を接着する工程
    を包含する製造方法。
  5. 前記第1の方向が前記四方差しパレットの長手方向であり、前記第2の方向が該四方差しパレットの短手方向である請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記第2の底板よりも大きな坪量を有する底板を、前記第1の底板として選択する工程を包含する請求項4〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記脚部は脚部構成部材を切断することにより形成され、該脚部と前記上板または前記第2の底板との接着が、
    該脚部構成部材を切断して得られる切断面の繊維密度が切断前の該脚部構成部材の繊維密度より小さく、かつ該脚部構成部材の該切断面が該脚部構成部材の切断前の仮想の対応面よりも大きくなるように、該脚部構成部材を切断して、該切断面を有する脚部を得ることと、
    該脚部の該切断面と該上板または該第2の底板とを接着剤を介して接着させることと
    を含む請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記脚部構成部材の切断に用いる切断刃は刃先が楔形を形成し、該脚部構成部材の切断は該刃先が前進しつつ切断駆動することで達成される請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記切断刃が前記脚部構成部材を前記刃先の両側へ押し拡げながら、該脚部構成部材を切断する請求項8に記載の製造方法。
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