JP3878177B2 - 荷役用パレット - Google Patents

Description

［技術分野］
本発明は、物品等の保管や荷役作業に用いる板紙材製パレットに関するものである。
［背景技術］
工場や物流産業における物品等の保管や集配業務等で荷物を能率よく運搬するためにパレットが広く使用されている。このパレットはフォークリフトやスタッカのフォークを２方からの差し込む２方差しであり木製または金属製が主流であって、平パレットは１１００×１１００ｍｍサイズがＪＩＳＺ０６０として規定されＴ１１型と称されている。
パレットには樹脂製もあるが、樹脂製は重くて高額で流通に難点があり、水を使用する一部の分野で使用されているが一般では前述の通り木製または金属製が主流である。しかしながら、木製の場合は、その木材の殆どは外材又は製材の端材等のため、木節、曲り、捩じれ等により割れ破損が著しく、２〜３回の往復利用後に使い捨てしている。従って資源的あるいはコスト的に好ましくなくリサイクルが効かない。金属製は強度的には有利であるがこれもコスト的に好ましくなく、木製、金属製の何れも重量があり取り扱いに不便性がある。このような樹脂製、木製、金属製の問題点を解消した段ボールや厚板紙製のパレット及びこれに用いる桁材が提供されている。
この桁材は、隣接した２本の角筒の空間内前後２個所に補強片を設けたり、２本の角筒の空間内に多数枚の補強板を隙間なく詰め込んだ複雑な構造である。また、パレットは、両側面を有する上下デッキの間に前記２本の角筒を単体とする複数個の桁材を横にして挿着した構造である。
上記桁材については、１枚の板紙素材に多数個所にスリットと折り目線を施して角筒は折り曲げ、補強片は折り起こしたり、２本の角筒の空間内に多数枚の補強板を隙間なく挿入している。従って、桁材の板紙素材には多数個所にスリットと折り目線を施す工程が必要であり、角筒の空間内に多数枚の補強板を挿入するものにおいては、空間に対応した寸法に裁断する工程が必要であり、また、折り曲げ折り起こしの組み立て作業や多数枚の補強板を空間内に挿入する作業が必要である。さらには、１枚の板紙で２本の角筒を作るためには大きな面積の板紙素材や多数枚の補強板を作るための多くの板紙素材が必要であり、製造コスト高となっており、特に多数枚の補強板を空間内に挿入する構造の桁材では重量が増加し、それに加えて複雑構造であるため決して軽量化されているとは言えない。
上記パレットについては、両側面を有する上下デッキを形成するためには大きな面積の板紙素材が必要であり、上下デッキの面積の殆どを支えるように横にして上下デッキ間に挿着する桁材は長さの長い２本の角筒を用いており、しかも、２本の角筒を単体とする複数個の桁材によって構成されているため、重量はそれ程軽量化されるものではなく、またコスト高となっている不具合がある。さらにこの種の紙製パレットにおいては水場での使用は勿論のこと梅雨期のような湿度の高い環境において耐久性を十分に確保する必要がある。さらに、この種の紙板製パレットにおいては、フォーク差し込み穴にフォークを差し込んでパレットを支持したときにパレットのフォーク差し込み穴部には大きな集中荷重がかかり、フォーク差し込み穴部が変形若しくは破損するので強度、剛性が確保されていることが必要であるが、従来の紙板製パレットでは、その配慮がなされておらず、早期破損を来たし耐久性に乏しい問題があった。
［発明の開示］
本発明は、このような技術的課題に鑑み、製作及び構造が簡単で軽量にして頑丈で耐水、耐湿、耐久性を確保し、リサイクルの効く地球環境に優しくて安全でかつ経済的利用に役立てるコンパクトで低コストの板紙材による荷役用パレットを提供することである。
本発明の特徴とするところは、Ｖ字溝のカットを施した厚板紙材（ソリッドボード）よりなり互いに向き合った横に長い一対のチャンネル状の折曲縁部材と、前記折曲縁部材の長手方向と直交し両端部が前記折曲縁部材に嵌め込まれてフォークリフトやスタッカ等のフォークを差し込み可能とする所要の間隔で並列して接着され耐水、溌水処理が施されている複数本の板紙材よりなる角柱筒体の桁とにより骨格が構成され、この角柱筒体の桁の表裏面又は表裏面の何れか一方の面に、ソリッドボード等の厚板紙を中芯材とし、この中芯材の表裏面の全周囲に渡って表面に耐水、溌水処理が施されているパターン紙で被覆接着し、かつ長手方向の端面を塗料により耐水、溌水処理が施された複数枚の帯状板を前記複数本の桁の長手方向に対し直交する方向で桁の長手方向の隣接間に隙間を持たせて並列接着し、前記折曲縁部材の立壁面には左右一対のフォーク差し込み用穴が開設され、このフォーク差し込み用穴部位における前記折曲縁部材をフォーク差し込み用穴部位の上下面を補強する複数層に折り曲げ重合した板紙材により形成したものである。
本発明の特徴とするところは、板紙材よりなり互いに向き合った横に長い一対のチャンネル状の折曲縁部材と、前記折曲縁部材の長手方向と直交し両端部が前記折曲縁部材に嵌め込まれてフォークリフトやスタッカ等のフォークを差し込み可能とする所要の間隔で並列して接着され耐水、溌水処理が施されている複数本の板紙材よりなる角柱筒体の桁とにより骨格が構成され、この角柱筒体の桁の表裏面又は表裏面の何れか一方の面に、ソリッドボード等の厚板紙を中芯材とし、この中芯材の表裏面の全周囲に渡って表面に耐水、溌水処理が施されているパターン紙で被覆接着し、かつ長手方向の端面を塗料により耐水、溌水処理が施された複数枚の帯状板を前記複数本の桁の長手方向に対し直交する方向で桁の長手方向の隣接間に隙間を持たせて並列接着し、前記折曲縁部材の立壁面には左右一対のフォーク差し込み用穴が開設され、このフォーク差し込み用穴部位における前記折曲縁部材の上下面の裏面にフォーク差し込み用穴部位の上下面を補強する板紙材よりなる補強枠部材を接着したものである。
本発明の特徴とするところは、四角形の対向する２辺に互いに向き合った横に長いチャンネル状の折曲部を形成した板紙材よりなる天板又は天板と前記折曲部と連続した地板と、前記折曲部の長手方向と直交し両端部が前記折曲部に嵌め込まれて天板裏面と折曲部に接着される板紙材よりなる角柱筒体の桁とから構成され、前記折曲部の立壁面に左右一対のフォーク差し込み用穴が開設され、このフォーク差し込み用穴部位の前記折曲部にフォーク差し込み用穴部位を補強する板紙材よりなる補強枠部材を接着し、前記桁を前記フォーク差し込み用穴を除いた折曲部の長手方向の複数個所に配設したものである。
本発明の特徴とするところは、板紙材よりなり互いに向き合った横に長い一対のチャンネル状の折曲縁部材と、前記折曲縁部材の長手方向と直交し両端部が前記折曲縁部材に嵌め込まれてフォークリフトやスタッカ等のフォークを差し込み可能とする所要の間隔で並列して接着され耐水、溌水処理が施されている複数本の板紙材よりなる桁とにより骨格が構成され、この桁は所要の間隔で並列した複数本の長尺の角筒体の上下面に板紙材よりなる平板を接着し、前記角筒体の長手方向に対し直交する方向で所定間隔でカットして上下帯状板間に複数の角柱体が所要間隔で配列した桁骨格を形成し、この桁骨格の周囲四面を板紙材よりなる外板で包囲して接着した構造よりなり、この桁の表裏面又は表裏面の何れか一方の面に、天、地板を接着したものである。
本発明の特徴とするところは、前記桁骨格を包囲する外板にはフォークリフトやスタッカ等のフォークの差し込み穴を開設したものである。
［発明を実施するための最良の形態］
本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例１】
図１において、１０は本発明による簀の子状の荷役用パレットである。４は互いに向き合った横に長い一対のチャンネル状の独立した板紙材よりなる折曲縁部材であり、その上下面は図２及び図３で示すように、所要の厚みの紙板材をＶカット溝１２によって折り曲げ重合した強度、剛性を持たせた２層４ａであって、その表面に耐水、溌水コーティング処理が施されている。この折曲縁部材４は立壁面６に左右一対のフォーク差し込み用穴５が開設されており、このフォーク差し込み用穴５の部位は前記折曲縁部材４の上下面の２層４ａによってフォークによる持ち上げに対しフォーク差し込み用穴５部位の強度、剛性を確保するものである。尚、前記折曲縁部材４の上下面の強度、剛性をさらに増大を必要とする場合は図４及び図５で示すように、前記２層４ａの間に中芯材４ｂを挟んで厚みを増した３層とする。また、前記折曲縁部材４の長手方向の中央部には荷物結束バンドを挿通する窓穴１３が開口している。
１は板紙材よりなる複数本の角柱筒体の桁１である。この桁１は、その両端面を前記フォーク差し込み用穴５除いたォークリフトやスタッカ等のフォークを差し込み可能とする所要の間隔で並列して前記折曲縁部材４の長手方向の複数個所にはめ込まれ、折曲縁部材４の立壁面６に当接して接着結合し一体化され骨格を構成している。２は複数枚の帯状板（簀の子板）である。この帯状板２は前記桁１の表裏面（又は表裏面の何れか一方の面）に、桁１の長手方向に対し直交する方向で桁の長手方向に隙間３を隣接間に持たせて並列接着されている。
前記帯状板２は図６〜図８で示すように、ソリッドボード等の厚板紙を中芯材８とし、この中芯材８の表裏面の全周囲に渡って表面に耐水、溌水コーティング処理が施されているパターン紙９で被覆接着し、かつ長手方向の端面を塗料により耐水、溌水処理が施された構造である。前記パターン紙９は前記中芯材８の側面でシャープな直角に折り曲げて被覆されるよう折り曲げ部位にＶカット溝１２が施されている。
前記桁１は強度・剛性及び耐水、耐湿性が要求される。そこで、図９で示すように、耐水、溌水処理が施されている板紙材を複数層に角形渦巻き状に捲回接着された角柱筒体の桁１を採用することが望ましい。この桁１の製造方法は、角形に折曲するためのＶカット溝の加工を許容する板紙材の厚みは７ｍｍが限界で、７ｍｍ以上の厚みの板紙材にはＶカット溝加工ができないため、Ｖカット溝１２の加工が可能な７ｍｍ以下の厚みの板紙材で渦巻き状に折曲して所要の厚みで強度・剛性の高い桁１するものである。この複数層に角形渦巻き状に捲回接着された角柱筒体とした桁１は、板紙材の複数層の間に介在されている硬化した接着剤層が丁度樹木の冬目の緻密な年輪のような剛性を有し、厚みの薄い板紙材であっても複数層の板紙材と接着剤層とによって軽量にして強度・剛性を保持しているものである
さらに、桁１の強度・剛性を向上したものとするために図１０で示すように、左右平行した２本の角柱筒体１ａ、１ｂの角形渦巻き状の桁１を用いることができる。この右平行した２本の角柱筒体１ａ、１ｂの角形渦巻き状の製造も本質的には図７の１本の角柱筒体の角形渦巻き状の桁１と同様である。また、図１１で示すように、桁１の両端部と略中央部等の複数箇所の空洞内に図１２に示すような角柱筒体５０を挿入して接着固定して桁１の強度・剛性を向上することも可能である。この場合、前記角柱筒体５０によって空洞の桁１に対する荷重を前記角柱筒体５０によって支持吸収し、天板上に搭載した荷物等の荷重による桁１の座屈変形を阻止し、天板の平面状態が確保され、天板上に搭載した荷物等の安定状態を維持する。
本発明のパレットを構成する桁１、帯状板２の中芯材８及び折曲縁部材４の板紙材は弾力性と強靭性を有するソリッドタイプの貼合板紙材を使用することが望ましい。このソリッドタイプの貼合板紙材を使用することにより軽量で作業者による持ち運び等の取り扱いが楽であり壊れ難く、１０数回の反復使用が可能で、１回の使用コストが大幅に低減して割安となる。それに加えて、回収が容易でリサイクルが可能であり最終的には古紙として製紙原料になり地球環境に優しいエコロジカルのパレットを提供することができる。
特に、帯状板２はソリッドボードの中芯材８の表裏面の全周囲に渡って強靱なパターン紙９で被覆複合することにより耐折強度の高い小幅板が得られ、また、パターン紙９の表面に耐水、溌水コーティング処理が施され、かつ帯状板２の長手方向の断面となる端面を塗料により耐水、溌水処理が施されているため、帯状板２は水場での使用は勿論のこと梅雨期のような湿度の高い環境において耐久性を十分に確保することができる。因みに、上記帯状板２は木材板の７０％の厚さで強靱な小幅板が得られる。
前記フォーク差し込み用穴５の周辺はは、折曲縁部材４の上下面の板厚を図２及び図３のように２層４ａあるいは図４及び図５のように中芯材４ｂを挟んだ３層としていることにより、フォーク差し込み用穴５にフォークを差し込んでパレットを持ち上げ持ち下ろしで支持したときにフォーク差し込み用穴５の開口上端縁への集中荷重を回避することができ、フォーク差し込み用穴５の開口上端縁の変形や破損が防止され、かつフォーク差し込み用穴５の部位の強度、剛性を確保し、パレットの耐久性を保持することができる。
さらに、上記簀の子状の荷役用パレット１０の折曲縁部材４の板紙材を単層とした場合、フォーク差し込み用穴５の部位の強度、剛性を確保する構造として、図１４に示すようにフォーク差し込み用穴５と対応する長方形の枠状補強部材７を折曲縁部材４の上下面の裏面に接着してフォーク差し込み用穴５の周辺を枠状補強部材７によって補強することも可能である。
【実施例２】
上記の実施例１は簀の子状の荷役用パレット１０であるが、実施例２はいわゆるベタ天板（及び天板と地板）による荷役用パレットである。図１３において２０はベタ天板による荷役用パレットである。すなわち、２１は板紙材の天板である。この天板２１は四角形の板紙材の対向する２辺を互いに向き合った横に長いチャンネル状の折曲部４０が形成されている。また、前記天板２１の折曲部４０の立壁面６には一対のフォーク差し込み用穴５が開設されている。１は板紙材による角柱筒体の桁であり、これは上記実施例１と同様である。この桁１は前記一対のフォーク差し込み用穴５を除いた折曲部４０の長手方向の複数個所に折曲部４０の長手方向と直交して配設し折曲部４０に嵌め込まれて天板２１の裏面と折曲部４０に接着されている。従って、桁１と折曲部４０とによって天板２１の平面内においてＸ−Ｙ方向にクロスした強度メンバを構成している。尚、天板２１とは反対側の裏側の中央部に帯状の補強板２２を全ての桁１に渡って接着してもよい。また、折曲部４０の長手方向の中央部には荷物結束バンドを挿通する窓穴１３が開口している。
図１４は上記ベタ天板による荷役用パレット２０の設計変更例をしめすものである。すなわち、上記図１１のベタ天板による荷役用パレット２０は底側が開放された形態若しくは開放された底側に帯状の補強板２２を全部の桁１に渡して接着した構造であるが図１２のベタ天板による荷役用パレット２０は四角形の対向する２辺を互いに向き合った横に長いチャンネル状の折曲部４０を形成した紙板材よりなる天板２１ａと前記折曲部４０と連続した地板２１ｂと、前記折曲部４０長手方向と直交して両端部が前記折曲部４０に嵌め込まれて天板２１ａ及び地板２１ｂの裏面と折曲部４０に接着された板紙材よりなる角柱筒体の桁１とからなる構造である。この場合はパレットの表裏面全面が天板２１ａ及び地板２１ｂで形成されているため、この表裏面の天板２１ａ及び地板２１ｂと桁１とによるパレット平面内におけるＸ−Ｙ方向のクロス状の強度メンバ構成で、さらに平面内におけるＸ−Ｙ方向の強度、剛性を確保し、平面内におけるＸ−Ｙ方向に曲がる（捻れる）ことなく軽量で、かつ強靭な平面状のコンパクトなパレットが得られる。また、天板２１ａ及び地板２１ｂを反転して使用することにより何れの面も荷物等を載置して荷役作業を行うことができ１台のパレットで両面使用が可能な便利性及び経済性を有するものである。
上記図１１及び図１２のベタ天板による荷役用パレット２０において、前記一対のフォーク差し込み用穴５の部位はフォークを差し込んで持ち上げあるいは持ち下ろしの際の強度、剛性を十分に確保するために、図１５で示すように、図１６で示すようなフォーク差し込み用穴５と対応する長方形の枠状補強部材７をフォーク差し込み用の穴４の部位の天板１の裏面に補強片３ａを接着するものである。
上記実施例１の簀の子状の荷役用パレット１０においては、簀の子板となっている帯状板２は図６〜図８で示すように、ソリッドボード等の厚板紙を中芯材８とし、この中芯材８の表裏面の全周囲に渡って表面に耐水、溌水コーティング処理が施されているパターン紙９で被覆接着し、かつ長手方向の端面を塗料により耐水、溌水処理が施された構造であるから、簀の子板である帯状板２は軽量にして強度、剛性を有する強靱性を持っており、しかも、複数の桁１によって所定間隔で支持されているため曲がったり折れたりすることなく重量の荷物の積載に対処することができる。また、桁１及び折曲縁部材４も耐水、溌水処理が施されているため、水場での使用は勿論のこと梅雨期のような湿度の高い環境において耐久性を十分に確保している。
上記実施例２のベタ天板による荷役用パレット２０においても、上記実施例１と同様に軽量にして強度、剛性及び耐水、耐湿性を有し、水場での使用は勿論のこと梅雨期のような湿度の高い環境において耐久性を十分に確保している。
さらに、実施例１の簀の子状の荷役用パレット１０においては、フォーク差し込み用穴５を有している折曲縁部材４の上下面を２層あるいは３層の複数層に折り曲げ重合した板紙材により強度、剛性を確保し、又は折曲縁部材４を単層とした場合ではフォーク差し込み用穴５と対応する長方形の枠状補強部材７を接着して強度、剛性を確保しているため、フォーク差し込み用穴５にフォークを差し込んでパレットを持ち上げ持ち下ろしで支持したときにフォーク差し込み用穴５の開口上端縁への集中荷重を回避し、フォーク差し込み用穴５の開口上端縁の変形や破損が防止され、パレットの耐久性を保持することができる。
上記実施例２のベタ天板による荷役用パレット２０においては、単層の天板２１あるいは天板２１ａ及び地板２１ｂによる折曲部４０のフォーク差し込み用穴５の部位は、フォーク差し込み用穴５と対応する長方形の枠状補強部材７によって補強されているため、これもフォーク差し込み用穴５にフォークを差し込んでパレットを持ち上げ持ち下ろしで支持したときにフォーク差し込み用穴５の開口上端縁への集中荷重を回避し、フォーク差し込み用穴５の開口上端縁の変形や破損が防止され、パレットの耐久性を保持することができる。
また、桁１、帯状板２、折曲縁部材４、天板２１あるいは天板２１ａ及び地板２１ｂにおける折曲部４０の９０°の折り曲げには全てＶカット溝１２を加工しているためシャープな角の折り曲げが得られ外観及び品質が良好な製品が得られる。さらに、フォーク差し込み用穴５は打ち抜き等は刃物の使用で製造することができるため、切り口、スリット面にはバリ等の発生が全くなく、安全面での扱いは抜群で生産性、量産性、経済性の全てが揃っており低コストで安定供給が可能である。
【実施例３】
図１７〜図２３は本発明の実施例３を示す。この実施例３は荷役パレット１０の形態としては図２２で示すように図１に示すものと同様であるが、桁１ａについて、その生産性及び耐圧、耐座屈の強度、剛性をさらに向上し、フォークリフトやスタッカ等のフォークの二方差しは勿論、左右からも差し込みができる四方差しを可能としたことを特徴とするものである。以下その具体的な構造等を説明する。尚、以下に説明する各部材は全て板紙材である。
図１７は後述する桁１ａの角柱体６０ａ、６０ｂとなる長尺の角筒体６０を示すものである。この角筒体６０の両端は開口している。
図１８は前記角筒体６０を用いて図１９で示す桁骨格６５を高生産的に形成する説明図である。前記複数本の角筒体６０を所要間隔で並列し、その上下面に上平板６２、下平板６３を接着し、前記角筒体６０の長手方向に対し直交する方向で所定間隔にてカットＥ１〜Ｅ４…Ｅｎすることにより図１９に示す桁骨格６５の多数本を短時間で能率的に生産するのである。
前記カットＥ１〜Ｅ４…Ｅｎすることにより桁骨格６５は上、下平板６２、６３が帯状板となり、この帯状板の間で角筒体６０は所要間隔で複数の角柱体６０ａ、６０ｂとなって配列した形態となるのである。
上記のようにして形成した桁骨格６５の周囲四面を外板６６で包囲して接着し桁１ａを完成するのである。前記外板６６は図２０で示すように前記桁骨格６５の周囲四面する面積の平板面にＶ字カット溝６８が施されて折り曲げるようにしており、図２２で示す荷役パレット１０においてフォークリフトやスタッカ等のフォークを四方から差し込みを可能とする場合、荷役パレット１０の左右両端に配置する桁１ａにフォーク差し込み用穴６７を形成するよう外板６６に打ち抜き等で開設したもので桁骨格６５を包囲することにより図２１で示すように両側面にフォーク差し込み用穴６７を備えた完成部材の桁１ａとなる。尚、荷役パレット１０の中間部位に配置する桁１ａはフォーク差し込み用穴６７が不要であるから外板６６にはフォーク差し込み用穴６７開設していないもので桁骨格６５を包囲し、また、フォークを二方差しとする荷役パレット１０の場合も外板６６にフォーク差し込み用穴６７を開設する必要がない。
上記の構造よりなる桁１ａを用いて図２２で示す荷役パレット１０を構成するのである。この図２２で示す実施例３の荷役パレット１０の全体構成は桁１ａ以外は図１の荷役パレット１０と同様であるから説明を省略する。
そこで、この実施例３においては、図１８で示すように桁骨格６５が非常に能率的に多量生産することができ、コストダウンが図られる。さらに、この桁骨格６５を外板６６で包囲して接着一体化することにより、全体的に軽量化した上に耐圧、耐座屈の強度、剛性が著しく向上した荷役パレット１０を提供することができる。
また、桁１ａ自体の強度、剛性が高いので、フォーク差し込み用穴６７の部位に補強材を施す必要がなくなることと、角柱体６０ａ、６０ｂは上下帯状板６２、６３で挟まれた上に、外板６６で包囲されているためフォーク差し込み用穴６７に差し込まれたフォークが接触しても定位置から変位することがない等の利点を有している。
図２３の６９は上述した桁１ａを用いて設計変更した荷役パレットである。この荷役パレット６９は複数本に配列した桁１ａ上に天板のみを接着したシンプルな構造であり、上記のように全体的に一層軽量化した上に耐圧、耐座屈の強度、剛性が著しく向上した荷役パレット６９を提供するものである。
上記実施例１〜実施例３による本発明のパレットは軽量でコンパクトであるため、持ち運びが容易であり、荷役に使用しない場合の収納保管やトラック等で搬送する時には、限られたスペースで多くのパレットを安定して積み重ねすることができ、特に荷役作業の際の往復使用（リターナブル）の輸送費用が低減する利益がある。尚、本発明のパレットは荷役作業のみではなく、倉庫等で荷物等を保管する際の荷置台として使用することや棚板にも適用することができる。
［産業上の利用の可能性］
以上のように本発明によると、コンパクトで軽量にして強度、剛性の高い頑丈で堅牢性、持久力、耐候性を有し壊れ難く、回収が容易でリサイクルが可能であり最終的には製紙原料になり地球環境に優しいエコロジカルで少量の板紙素材によるパレットを提供することができる。また、特に紙板製パレットのフォーク差し込み用の穴の強度、剛性不足とされている難点を本発明では特別な構造によって高強度、高剛性の補強対策によって解消されているため、フォーク差し込み穴部の変形若しくは破損を防止することができる利点を有している。さらに、パレットの厚みが薄くコンパクトであるため、限られたスペースで多数台のパレットを積み重ねて収納保管やトラック等で搬送することができ、特に荷役作業の際の往復使用（リターナブル）の輸送費用を低減することができる樹脂製、木製、金属製の従来のパレットでは得られない利点を有している。
【図面の簡単な説明】
図１は本発明によるパレットの斜視図、図２は図１のＡ−Ａ線断面図、図３は図１のＢ−Ｂ線断面図、図４は他の構造例を示す図１のＡ−Ａ線断面図、図５は他の構造例を示す図１のＢ−Ｂ線断面図、図６は帯状板の斜視図、図７は図６のＣ−Ｃ線断面図、図８は図６のＤ−Ｄ線断面図、図９は桁の斜視図、図１０は桁の他の構造を示す斜視図、図１１は桁の他の構造を示す断面図、図１２は図１１で示す桁に用いられる角柱筒体の斜視図、図１３は平板天板面による荷役パレットの斜視図、図１４は平板天地板面による荷役パレットの斜視図、図１５は図１３のＥ−Ｅ線断面図、図１６は枠状補強部材の斜視図、図１７は他の構造の桁の角柱体となる基材の角筒体の斜視図、図１８は他の構造の桁の骨格を成形する説明図、図１９は桁骨格の斜視図、図２０は桁骨格を包囲する外板の斜視図、図２１は他の構造の桁の斜視図、図２２は他の構造の桁を用いた荷役パレットを示す斜視図、図２３は他の構造の桁を用いた荷役パレットの設計変更例を示す斜視図である。

Claims (4)

1. 板紙材よりなり互いに向き合った横に長い一対のチャンネル状の折曲縁部材と、前記折曲縁部材の長手方向と直交し両端部が前記折曲縁部材に嵌め込まれてフォークリフトやスタッカ等のフォークを差し込み可能とする所要の間隔で並列して接着され耐水、溌水処理が施されている複数本の板紙材よりなる角柱筒体の桁とにより骨格が構成され、この角柱筒体の桁の表裏面又は表裏面の何れか一方の面に、ソリッドボード等の厚板紙を中芯材とし、この中芯材の表裏面の全周囲に渡って表面に耐水、溌水処理が施されているパターン紙で被覆接着し、かつ長手方向の端面を塗料により耐水、溌水処理が施された複数枚の帯状板を前記複数本の桁の長手方向に対し直交する方向で桁の長手方向の隣接間に隙間を持たせて並列接着し、前記折曲縁部材の立壁面には左右一対のフォーク差し込み用穴が開設され、このフォーク差し込み用穴部位における前記折曲縁部材をフォーク差し込み用穴部位の上下面を補強する複数層に折り曲げ重合した板紙材により形成したことを特徴とする荷役用パレット。
2. 板紙材よりなり互いに向き合った横に長い一対のチャンネル状の折曲縁部材と、前記折曲縁部材の長手方向と直交し両端部が前記折曲縁部材に嵌め込まれてフォークリフトやスタッカ等のフォークを差し込み可能とする所要の間隔で並列して接着され耐水、溌水処理が施されている複数本の板紙材よりなる角柱筒体の桁とにより骨格が構成され、この角柱筒体の桁の表裏面又は表裏面の何れか一方の面に、ソリッドボード等の厚板紙を中芯材とし、この中芯材の表裏面の全周囲に渡って表面に耐水、溌水処理が施されているパターン紙で被覆接着し、かつ長手方向の端面を塗料により耐水、溌水処理が施された複数枚の帯状板を前記複数本の桁の長手方向に対し直交する方向で桁の長手方向の隣接間に隙間を持たせて並列接着し、前記折曲縁部材の立壁面には左右一対のフォーク差し込み用穴が開設され、このフォーク差し込み用穴部位における前記折曲縁部材の上下面の裏面にフォーク差し込み用穴部位の上下面を補強する板紙材よりなる補強枠部材を接着したことを特徴とする荷役用パレット。
3. 板紙材よりなり互いに向き合った横に長い一対のチャンネル状の折曲縁部材 と、前記折曲縁部材の長手方向と直交し両端部が前記折曲縁部材に嵌め込まれてフォークリフトやスタッカ等のフォークを差し込み可能とする所要の間隔で並列して接着され耐水、溌水処理が施されている複数本の板紙材よりなる桁とにより骨格が構成され、この桁は所要の間隔で並列した複数本の長尺の角筒体の上下面に板紙材よりなる平板を接着し、前記角筒体の長手方向に対し直交する方向で所定間隔でカットして上下帯状板間に複数の角柱体が所要間隔で配列した桁骨格を形成し、この桁骨格の周囲四面を板紙材よりなる外板で包囲して接着した構造よりなり、この桁の表裏面又は表裏面の何れか一方の面に、天、地板を接着したことを特徴とする荷役用パレット。
4. 前記桁骨格を包囲する外板にはフォークリフトやスタッカ等のフォークの差し込み穴を開設したことを特徴とする請求項３に記載の荷役用パレット。

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