JP2017030360A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルム表面に適度な光沢の強弱、色ムラや模様を有しながら均質的でない光沢を呈し、加工性にも優れ、かつ大きな面積の装飾にも応用できる積層フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂Aからなる層(A層)とポリエステル樹脂Bからなる層(B層)とを交互に厚み方向に合計250層以上積層した構造を有し、下記(1)〜(5)の全てを満たすことを特徴とする積層フィルム。
(1)ポリエステル樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主とするものであり、樹脂Bはスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなる樹脂であること。
(2)波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率が50%以上100%以下であること。(3)波長帯域400〜1000nmにおける反射率の最大値と最小値の差(反射率の差異)が8以上であること。
(4)JIS K5600(2002年)により測定した剥離試験での数値が0以上1未満の範囲にあること。
(5)フィルム表面より測定した色差ΔEが5より大きいこと。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステル樹脂Aからなる層(A層)とポリエステル樹脂Bからなる層(B層)とを交互に厚み方向に合計250層以上積層した構造を有し、下記(1)〜(5)の全てを満たすことを特徴とする積層フィルム。
(1)ポリエステル樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主とするものであり、樹脂Bはスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなる樹脂であること。
(2)波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率が50%以上100%以下であること。(3)波長帯域400〜1000nmにおける反射率の最大値と最小値の差(反射率の差異)が8以上であること。
(4)JIS K5600(2002年)により測定した剥離試験での数値が0以上1未満の範囲にあること。
(5)フィルム表面より測定した色差ΔEが5より大きいこと。
【選択図】なし
Description
本発明は、適度な色ムラや模様を有しながら強弱のある光沢を有する特徴により、真珠や貝殻内壁などの天然素材に近い光沢や質感を呈する積層樹脂フィルムに関する。
工業製品の外観を装飾しその意匠性を高める目的のため、従来の塗装やメッキ、蒸着に代替するものとして、光沢フィルムを用いた加飾が行われている。とくに金属調の光沢を有するフィルムは需要が高い。
一方、工芸品に高級感のある美麗な意匠を付与する装飾技術として、真珠や貝殻内壁などの天然の光沢素材を表面に貼付して装飾する技法(螺鈿)が従来から知られており、正倉院の宝物に代表されるように、昨今の伝統工芸技術への憧憬に伴いその評価が世界的に高まりつつある。しかし天然の素材を用いるため、大量の収穫は生態系への悪影響が懸念されること、その細工に高度な熟練技術が必要なことから量産品への応用は困難である。また、材料のサイズに制約があるため、この装飾を大きな面積で行うことは実際上不可能である。
たとえば、真珠様の光沢を有する樹脂フィルムとして、2種以上の互いに非相溶な樹脂を溶融混合させたフィルムが提案されている(特許文献1)。しかし、このフィルムは全光線透過率が90%以上の樹脂に非相溶な樹脂を分散させるものであるため、反射率の高い光沢は得られず、求める色調の光沢を得るために着色顔料を含有させる必要がある。
また、屈折率の異なる樹脂層を交互に積層させ特殊な層構造を形成させることによって高輝度で色づきない金属光沢調フィルムも提案されている(特許文献2)。
しかし、このフィルムは金属調の光沢を目的としており、積層ムラや色ムラを極力減少させるように設計されるため、外観は均質的で冷たい印象の金属調光沢とならざるを得ず、天然の貝殻裏のようなゆらぎのある光沢とは外観が異なる。
螺鈿を模した装飾方法として、例えば透明樹脂層にインクジェット印刷で隠蔽部を形成し、隠蔽部の形成されていない位置の裏面に装飾部を接着する技術が開示されている(特許文献3)。この技術は、隠蔽部で視認されない部分には、装飾部を配置する必要もなく、材料コストを低減できることを利点としているが(第3頁第3段落)、印刷のない部分のサイズに合わせて別に用意した螺鈿模様シートを切り出して装飾部を作成する工程を要するため、製造工程が複雑雑となる。
一方、工芸品に高級感のある美麗な意匠を付与する装飾技術として、真珠や貝殻内壁などの天然の光沢素材を表面に貼付して装飾する技法(螺鈿)が従来から知られており、正倉院の宝物に代表されるように、昨今の伝統工芸技術への憧憬に伴いその評価が世界的に高まりつつある。しかし天然の素材を用いるため、大量の収穫は生態系への悪影響が懸念されること、その細工に高度な熟練技術が必要なことから量産品への応用は困難である。また、材料のサイズに制約があるため、この装飾を大きな面積で行うことは実際上不可能である。
たとえば、真珠様の光沢を有する樹脂フィルムとして、2種以上の互いに非相溶な樹脂を溶融混合させたフィルムが提案されている(特許文献1)。しかし、このフィルムは全光線透過率が90%以上の樹脂に非相溶な樹脂を分散させるものであるため、反射率の高い光沢は得られず、求める色調の光沢を得るために着色顔料を含有させる必要がある。
また、屈折率の異なる樹脂層を交互に積層させ特殊な層構造を形成させることによって高輝度で色づきない金属光沢調フィルムも提案されている(特許文献2)。
しかし、このフィルムは金属調の光沢を目的としており、積層ムラや色ムラを極力減少させるように設計されるため、外観は均質的で冷たい印象の金属調光沢とならざるを得ず、天然の貝殻裏のようなゆらぎのある光沢とは外観が異なる。
螺鈿を模した装飾方法として、例えば透明樹脂層にインクジェット印刷で隠蔽部を形成し、隠蔽部の形成されていない位置の裏面に装飾部を接着する技術が開示されている(特許文献3)。この技術は、隠蔽部で視認されない部分には、装飾部を配置する必要もなく、材料コストを低減できることを利点としているが(第3頁第3段落)、印刷のない部分のサイズに合わせて別に用意した螺鈿模様シートを切り出して装飾部を作成する工程を要するため、製造工程が複雑雑となる。
本発明は、上記した従来技術の問題点を鑑み、フィルム表面に適度な光沢の強弱、色ムラや模様を有しながら均質的でない光沢を呈し、加工性にも優れ、かつ大きな面積の装飾にも応用できる積層フィルムを提供することを課題とする。また
上記課題を解決するために、本発明は次のような手段を採用するものである。すなわち、
ポリエステル樹脂Aからなる層(A層)とポリエステル樹脂Bからなる層(B層)とを交互に厚み方向に合計250層以上積層した構造を有し、下記(1)〜(5)の全てを満たすことを特徴とする積層フィルム。
(1)ポリエステル樹脂Aはポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主とするものであり、ポリエステル樹脂Bはスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなる樹脂であること。
(2)波長帯域400〜1000nmにおける平均相対反射率が50%以上100%以下であること。
(3)波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率の最大値と最小値の差が8以上であること。
(4)JIS K5600(2002年)により測定した剥離試験での数値が0以上1未満の範囲にあること。
(5)フィルム表面より測定した色差ΔEが5より大きいこと。
ポリエステル樹脂Aからなる層(A層)とポリエステル樹脂Bからなる層(B層)とを交互に厚み方向に合計250層以上積層した構造を有し、下記(1)〜(5)の全てを満たすことを特徴とする積層フィルム。
(1)ポリエステル樹脂Aはポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主とするものであり、ポリエステル樹脂Bはスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなる樹脂であること。
(2)波長帯域400〜1000nmにおける平均相対反射率が50%以上100%以下であること。
(3)波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率の最大値と最小値の差が8以上であること。
(4)JIS K5600(2002年)により測定した剥離試験での数値が0以上1未満の範囲にあること。
(5)フィルム表面より測定した色差ΔEが5より大きいこと。
本発明の積層フィルムは上記の構成要素を特徴としたので、フィルム表面に適度な色むらや模様を有しながら強弱のある光沢を呈する特徴を有することで、貝殻内壁などの天然素材の光沢感・質感に近いフィルムを提供できる。また層間の剥離がなく成型用などの加工性にも優れた加飾用フィルムを提供でき、螺鈿のような光沢の加飾が大きな面積において可能となる。天然素材と違いサイズの制約ないため、家電製品、調度品、家具のほか、壁面装飾、自動車および電車の車両等の内外装飾などにも好適に用いることができる。また本発明の積層フィルムに印刷層を設けることで、螺鈿調の外観をより強調させた加飾を容易に行うことが可能となる。
本発明の積層フィルムは優れた光沢を有するために、ポリエステル樹脂Aからなる層(A層)とポリエステル樹脂Bからなる層(B層)とを厚み方向に交互に合計250層以上積層された構造である必要がある。より好ましくは、厚み方向に交互に合計400層以上積層された構造であり、さらに好ましくは、800層以上積層された構造である。250層未満の場合、高い反射率を達成できないため充分な光沢が得られない。
強度、耐熱性、汎用性および反射性の観点およびから、ポリエステル樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主とするものであり、ポリエステル樹脂Bはスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなる樹脂であることが必要である。ここで「主として」の意味は、本発明の樹脂Aは、本発明の目的を阻害しない範囲において他の樹脂が含まれていてもよいことを表し、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂があげられる。また、巻き特性、剛性、光学特性などの機能を付与するために、コロイダルシリカ、酸化チタン、架橋ポリスチレンなどの粒子が含まれていても問題ない。これらの樹脂や粒子は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その添加量は限定されないが、好ましい範囲としては5重量%未満である。樹脂Bは、層間剥離のし難さおよび光学性能の観点からスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を共重合したポリエステルが好ましい。この場合、スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸の共重合量が、それぞれ、5〜30mol%であるエチレンテレフタレート重縮合体であることが特に好ましく、樹脂Bはポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルのアロイであっても構わない。
強度、耐熱性、汎用性および反射性の観点およびから、ポリエステル樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主とするものであり、ポリエステル樹脂Bはスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなる樹脂であることが必要である。ここで「主として」の意味は、本発明の樹脂Aは、本発明の目的を阻害しない範囲において他の樹脂が含まれていてもよいことを表し、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂があげられる。また、巻き特性、剛性、光学特性などの機能を付与するために、コロイダルシリカ、酸化チタン、架橋ポリスチレンなどの粒子が含まれていても問題ない。これらの樹脂や粒子は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その添加量は限定されないが、好ましい範囲としては5重量%未満である。樹脂Bは、層間剥離のし難さおよび光学性能の観点からスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を共重合したポリエステルが好ましい。この場合、スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸の共重合量が、それぞれ、5〜30mol%であるエチレンテレフタレート重縮合体であることが特に好ましく、樹脂Bはポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルのアロイであっても構わない。
本発明の積層フィルムは、波長帯域400〜1000nmにおける平均相対反射率が50%以上100%以下であることが必要である。平均相対反射率が50%未満では光沢が不十分となり意匠性に劣る。60%以上100%以下がより好ましい。そのためには、層厚みを20nm以上500nm以下の範囲で徐々に厚く、もしくは薄くすることにより、反射する帯域を所望の値に近づけることができる。
高い反射率を達成させる観点から、本発明の積層フィルムでは、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が、0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。屈折率差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られず、好ましくないものである。また、A層の面内平均屈折率と厚み方向の屈折率の差が0.03以下であると、入射角が大きくなっても、反射率の低下が起きないためより好ましい。
反射帯域は各層の層厚みを、下記式Aに基づいて反射が起こるように設計される。また、反射率についてはA層とB層の屈折率差と、A層とB層の層数にて制御する。
2×(na・da+nb・db)=λ 式A
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
本発明の積層フィルムは、波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率の最大値と最小値の差が8以上であることが必要である。反射率の最大値と最小値の差が8未満では輝きが均質的となり、金属調の光沢が強すぎて冷たい印象の外観となる。反射率の差異が12以上であれば、光沢の強弱が視認しやすく、ゆらぎのある光沢に近づくためより好ましい。
2×(na・da+nb・db)=λ 式A
na:A層の面内平均屈折率
nb:B層の面内平均屈折率
da:A層の層厚み(nm)
db:B層の層厚み(nm)
λ:主反射波長(1次反射波長)
本発明の積層フィルムは、波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率の最大値と最小値の差が8以上であることが必要である。反射率の最大値と最小値の差が8未満では輝きが均質的となり、金属調の光沢が強すぎて冷たい印象の外観となる。反射率の差異が12以上であれば、光沢の強弱が視認しやすく、ゆらぎのある光沢に近づくためより好ましい。
本発明の積層フィルムは、後述の実施例で記載した方法に基づきA4サイズのサンプルを目視評価した場合の模様の個数が3個以上であることが好ましい。3個未満では、表面外観が均質的となり、貝殻内壁のような質感と異なる。模様は5個以上がより好ましい。また模様の形状は、直線的なものよりも曲線的なもの、さらには波状のものが、天然の貝殻内壁に見られるゆらぎのある光沢感・質感に近いため好ましい。同様の理由により、模様は規則的・周期的に表れるのではなく、不規則に表れる方がより好ましい。たとえば溶融させた樹脂を合流させた際に生じる流動模様、異なる樹脂の界面で生じる対流に起因する波状の模様は、天然の貝殻内壁で生じる模様と類似するので特に好ましい。一方、樹脂の流動乱れが大きすぎると積層不良となり層間剥離などのフィルムの耐久性が問題となるため、適切な範囲に収めるように樹脂の溶融状態での粘度、温度などの条件の適正化が重要となる。
このような模様はフィルム表面の微妙な凹凸として表れることが多く、後述する測定方法により求められるフィルム表面の凹凸高さが30nm以上であると視認され得るレベルとなる。一方で、表面の凹凸高さが300nmを超えると、模様の光沢感・質感が天然の貝殻内壁と離れてしまう傾向がある。したがって、本発明の積層フィルムは、後述する測定方法により求められるフィルム表面の凹凸高さが30nm以上300nm以下の個数が3個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上30個以下である。
本発明の積層フィルムは、JIS K5600(2002年)に基づき測定した剥離試験での数値が0以上1未満の範囲にあることが必要である。フィルムの成形、加工過程においても層間剥離が生じず十分な耐久性を有することが、加飾用途の積層フィルムとして重要である。
また、本発明の積層フィルムは、後述の実施例で記載した方法に基づき、110cm×30cmのフィルム表面より測定した場合の色差ΔEが5より大きいことが必要である。色差ΔEが5より大ければフィルムの外観に色の変化が視認され不均一な外観となり、天然の貝殻裏に見られる光沢・質感に近くなるため好ましい。より好ましくは7以上である。
また、本発明の積層フィルムは、フィルムの最表層を構成する樹脂層の厚みが0.05μm以上5μm未満であることが好ましい。最表層が5μm以上であると、多層の界面付近で生じる微小な模様や色変化が表面から視認しにくくなるため好ましくない。より好ましい厚みは0.06μm以上3μm以下、さらに好ましくは0.06μm以上1μm以下である。
本発明の積層フィルムの少なくとも一方の表面にさらに印刷層が設けた積層シートも好ましい態様である。当該印刷層は積層フィルム表面を部分的に着色するものであると、着色のない部分から積層フィルムの光沢を直接視認できるため、螺鈿のような外観の意匠を提供できることとなるため好ましい。印刷層は、着色表面や模様などを表すためのものであり、顔料と樹脂バインダーからなる顔料インキ層、パール顔料と樹脂バインダーからなる光輝性顔料層、染料と樹脂バインダーからなる染料インキ層の群から選ばれる少なくとも一層によって構成される。印刷層は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の通常の印刷法や、ロールコート法、スプレーコート法等のコート法等により形成するとよい。印刷層の外観は漆工のような深みのある黒色、黒紫色、紅色、朱色、渋茶色などが、積層フィルムの光沢とのコントラストが強調され好ましい。これらの色に木目などの模様を加えることも好ましい態様として挙げられる。
本発明の積層フィルムの好ましい製造方法の具体例として、多層積層押出法による二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法を以下に説明する。
2種類のポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給され、押出機に供給された樹脂は押出機内において融点以上で加熱溶融される。各押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化してフィルタ等を介して異物や変性した樹脂を取り除く。溶融状態の各樹脂は温度制御の下、A層に対応する押出機AとB層に対応する押出機Bの2台へと供給され、それぞれの流路からのポリマーが、フィルタ、さらに吐出比を調整するギアポンプを通過し、さらにマルチマニホールドダイやフィードブロックやスクエアミキサーやスタティックミキサーを経て積層された溶融体をT型口金等を用いてシート状に溶融押出され、その後、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸フィルムが得られる。各樹脂を加熱溶融させる温度は、合流・積層の過程で流動模様が生じ得る程度の粘度差をもたらす温度が望ましい。また積層厚のムラに起因したフィルムの色の偏差を生じさせる観点より、その際の温度は変動のある方が望ましく、変動の範囲は±1.5℃以上6℃未満が好ましく、±2℃以上5℃未満がより好ましい。
本発明の積層フィルムの好ましい製造方法の具体例として、多層積層押出法による二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法を以下に説明する。
2種類のポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給され、押出機に供給された樹脂は押出機内において融点以上で加熱溶融される。各押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化してフィルタ等を介して異物や変性した樹脂を取り除く。溶融状態の各樹脂は温度制御の下、A層に対応する押出機AとB層に対応する押出機Bの2台へと供給され、それぞれの流路からのポリマーが、フィルタ、さらに吐出比を調整するギアポンプを通過し、さらにマルチマニホールドダイやフィードブロックやスクエアミキサーやスタティックミキサーを経て積層された溶融体をT型口金等を用いてシート状に溶融押出され、その後、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸フィルムが得られる。各樹脂を加熱溶融させる温度は、合流・積層の過程で流動模様が生じ得る程度の粘度差をもたらす温度が望ましい。また積層厚のムラに起因したフィルムの色の偏差を生じさせる観点より、その際の温度は変動のある方が望ましく、変動の範囲は±1.5℃以上6℃未満が好ましく、±2℃以上5℃未満がより好ましい。
本発明の積層フィルムは、フィードブロックを用いることにより好適に得ることができ、そのフィードブロックの構造は、多数の微細スリットを有する櫛形のスリット板に部材を少なくとも1個有しており、2つの押出機から押し出された樹脂Aと樹脂Bとが、各マニホールドを経由して、スリット板に導入される。ここでは導入板を介して、樹脂Aと樹脂Bが選択的に交互にスリットに流入するため、最終的にはA/B/A/B/A・・・といった多層膜を形成することができる。また、スリット板をさらに重ね合わせることにより、層数を増やすことも可能である。また、両表層部に樹脂Cを設ける場合は、3つ目の押出機から樹脂Cを3層複合装置(フィードブロック)の表層側に導入し、中央層に多層膜を導入することによって、C/A/B/A・・・A/B/A/Cといった多層膜を形成することができる。
たとえば、図1aで示される、厚みが単調増加する層厚み構成(1段の層厚み構成)、図1bに示されるような、徐々に厚みが増加し中央以降で減少する層厚み構成(2段の層厚み構成)、図1cで示されるような3段の層厚み構成、および図1bの2段の層厚み構成を二つ組み合わせた4段の層厚み構成などが挙げられる。本発明では、積層厚の乱れに起因したフィルムの色変化を生じやすくする観点から、層厚み構成は4段以下が好ましく、2段以下がより好ましい。
たとえば、図1aで示される、厚みが単調増加する層厚み構成(1段の層厚み構成)、図1bに示されるような、徐々に厚みが増加し中央以降で減少する層厚み構成(2段の層厚み構成)、図1cで示されるような3段の層厚み構成、および図1bの2段の層厚み構成を二つ組み合わせた4段の層厚み構成などが挙げられる。本発明では、積層厚の乱れに起因したフィルムの色変化を生じやすくする観点から、層厚み構成は4段以下が好ましく、2段以下がより好ましい。
このようにして多層積層された溶融体を、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、たとえば、ワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
次いで、かかる未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行なう。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、それぞれの方向に、好ましくは、2.5〜3.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.5倍、特に好ましくは3〜3.4倍が採用される。また、延伸速度は1,000〜200,000%/分であることが望ましい。また延伸温度は、ガラス転移点〜(ガラス転移点+50℃)の温度が採用されるが、さらに好ましくは90〜130℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を100〜120℃、幅方向の延伸温度を90〜110℃とするのがよい。また、延伸は各方向に対して複数回行なってもよい。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行なう。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行なうことができる。この熱処理は120℃以上、ポリエステルの融点以下の温度で行われるが、200〜240℃の熱処理温度とするのが好ましい。フィルムの透明性、寸法安定性の点からは210〜235℃であればより好ましい。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間行なうのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。さらに、横延伸工程の前で、インク印刷層や接着剤、蒸着層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、コーティング層を設けることもできる。このときの塗工液はロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、バーコーター、ダイコーター、ディップコーター等の公知の塗工手段を用いて、前記透明基材に塗布する。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行なうことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行なうのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やしてワインダーで巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。この場合、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理を行う。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
(1)フィルムの層構成及び層厚み
積層フィルムの中央部、及び中央部に対してフィルム幅方向位置で±500mm、±1000mmの計5点から約1cm四方のサンプルを切り出した。それぞれのサンプルについて、ミクロトームを用いて断面を切り出し、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、H−7100FA型)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40,000倍に拡大して観察し、断面部分を撮影して層構成及び層厚みを測定した。また、各層の合計厚みを積層フィルム全体厚みとした。なお、コントラストを高く得るために、RuO4を使用してサンプルを染色した。
積層フィルムの中央部、及び中央部に対してフィルム幅方向位置で±500mm、±1000mmの計5点から約1cm四方のサンプルを切り出した。それぞれのサンプルについて、ミクロトームを用いて断面を切り出し、透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、H−7100FA型)を用い、加速電圧75kVでフィルムの断面を40,000倍に拡大して観察し、断面部分を撮影して層構成及び層厚みを測定した。また、各層の合計厚みを積層フィルム全体厚みとした。なお、コントラストを高く得るために、RuO4を使用してサンプルを染色した。
フィルムの層構成及び層厚みの具体的な求め方を説明する。約40,000倍のTEM写真を、CanonScanD123U(キャノン(株)製)を用いて画像サイズ729dpiで取り込んだ。画像をJPEG形式で保存し、次いで、画像処理ソフト(販売元プラネトロン(株)、Imagc−Pro Plus ver.4)を用いて、該JPEGファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域における平均の明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ6(間引き6)でデータ採取後、3点移動平均の数値処理を施した。さらに、得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(ビジュアル・ベーシック・フォア アプリケーションズ)プログラムにより、微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合うこれらの間隔を1層の層厚みとして算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
(2)相対反射率および相対反射率の最大値と最小値の差
積層フィルムより5cm四方のサンプルをフィルムの幅方向に10枚切り出した。次いで、分光光度計((株)日立製作所製、U−4100 Spectrophotometer)を用いて、入射角度Φ=10度における相対反射率を測定した。付属の積分球の内壁は、硫酸バリウムであり、標準板は、本測定機に付属の酸化アルミニウムである。測定波長は、250nm〜1200nm、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲイン2と設定し、走査速度600nm/分で測定した。サンプルの裏面に黒色ビニールテープ(日東電工製No.21)を貼りつけて、裏面からの反射による干渉を防ぎ、波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率を測定した。サンプル10枚について測定し、その平均値を平均相対反射率とした。また、サンプル10枚における上記の相対反射率の最小値と最大値の差を「相対反射率の差」とした。
積層フィルムより5cm四方のサンプルをフィルムの幅方向に10枚切り出した。次いで、分光光度計((株)日立製作所製、U−4100 Spectrophotometer)を用いて、入射角度Φ=10度における相対反射率を測定した。付属の積分球の内壁は、硫酸バリウムであり、標準板は、本測定機に付属の酸化アルミニウムである。測定波長は、250nm〜1200nm、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲイン2と設定し、走査速度600nm/分で測定した。サンプルの裏面に黒色ビニールテープ(日東電工製No.21)を貼りつけて、裏面からの反射による干渉を防ぎ、波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率を測定した。サンプル10枚について測定し、その平均値を平均相対反射率とした。また、サンプル10枚における上記の相対反射率の最小値と最大値の差を「相対反射率の差」とした。
(3)剥離試験
積層フィルムより5cm四方のサンプルをフィルムの幅方向に3枚切り出し、JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離または、一部分が剥離した格子の数で表し、n数3の平均を算出した。
積層フィルムより5cm四方のサンプルをフィルムの幅方向に3枚切り出し、JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離または、一部分が剥離した格子の数で表し、n数3の平均を算出した。
(4)模様の個数評価
フィルム幅方向中央部からA4サイズでサンプルを10枚準備し、黒色の厚紙の上に載せた。それぞれのフィルムを3波長蛍光灯(松下電器産業(株)製 3波長形昼白色(F・L 15EX−N 15W))の直下30cmに暗室にて置き、目視により観察して模様の数をカウントし、その平均値を模様の個数とした。なお、模様は、スジ状のものの場合はその長さが約5mm以上のもの(直線状、曲線状のものを含む)をカウントし、円状のもの(楕円状を含む)の場合はその長径が5mm以上のものをカウントした。
フィルム幅方向中央部からA4サイズでサンプルを10枚準備し、黒色の厚紙の上に載せた。それぞれのフィルムを3波長蛍光灯(松下電器産業(株)製 3波長形昼白色(F・L 15EX−N 15W))の直下30cmに暗室にて置き、目視により観察して模様の数をカウントし、その平均値を模様の個数とした。なお、模様は、スジ状のものの場合はその長さが約5mm以上のもの(直線状、曲線状のものを含む)をカウントし、円状のもの(楕円状を含む)の場合はその長径が5mm以上のものをカウントした。
(5)模様の形状評価
上記の方法で目視された模様について、以下の基準で評価した。
S:波状の模様および曲線的な模様がランダムに視認できる
A:直線的な模様および曲線的な模様がランダムに視認できる(波状模様は見えない)
F:上記の模様が視認できない
(6)彩度および色差ΔE
コニカミノルタセンシング株式会社製の分光測色計CM−3600dを用い測定した。フィルムの幅方向より110cm×30cmのサンプルを1枚切り出し、幅方向および長手方向に10cmピッチの計20箇所において明度L*および色度(a*、b*)を測定した。各箇所の明度L*および色度(a*、b*)の平均値をそれぞれ算出して明度L*および色度(a*、b*)の基準値とし、測定箇所と基準値との差異(ΔL*、Δa*およびΔb)より以下の式で色差ΔEを求めた。ここで、色差ΔEが0に近い程色調に変化がなく、色差ΔEが2.0以上になると目視による外観観察で色の変化を感じる。
色差ΔE=((ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2)1/2
なお、測定は、分光測色計付属のゼロ構成ボックスで反射率のゼロ構成を行い、続いて付属の白色校正板を用いて100%校正を行った後、以下の条件で計測した。
モード:反射、SCI/SCE同時測定
測定径:8mm
光源:D65
視野角:10度
サンプル:非測定面側に黒色ビニールテープを貼る(日東電工製No.21)
(7)フィルム表面の凹凸
(4)のサンプルについて、表面形状測定装置((株)菱化システム製、VertScan2.0)によりフィルム両面を観察し、フィルム表面の凹凸高さを測定した。高さが30〜300nmとなる個所の数をカウントした。
測定条件:測定長さ1252μm 対物レンズ5倍 測定箇所:12点
測定環境:23℃、湿度65%RH
実施例1
2種類のポリエステル樹脂AおよびBを用いた。ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65、結晶融解温度255℃、結晶融解熱量41mJ/mg、結晶化温度155℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)[東レ製F20S]を用いた。
ポリエステル樹脂Bは以下のように合成した。テレフタル酸ジメチルを56.1重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを24.8重量部、エチレングリコールを47.2重量部、スピログリコールを33.5重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。次いで、撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとし、樹脂Bを得た。得られた樹脂Bは、固有粘度は0.72の共重合ポリエステルであり、ジカルボン酸成分は、テレフタル酸が70mol%であり、シクロヘキサンジカルボン酸が30mol%であった。また、樹脂Bのジオール成分は、エチレングリコールが75mol%であり、スピログリコールが25mol%であった。
これらポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bを、それぞれ別々のベント付き二軸押出機に供給し、温度制御の下、溶融状態とした。ここで、フィードブロックのスリット状流路入口直前で測定した各々の樹脂温度は、ポリエステル樹脂Aが270.0℃から±0.1℃以内に収まるように、ポリエステル樹脂Bが、283.0℃から±4.0℃の温度範囲で変動するように(変動周期は3分〜5分)に制御した。溶融状態の2種類のポリエステル樹脂は、個別のギヤポンプおよびフィルターを介して、301個のスリットを有する部材を個別に3個有する901層のフィードブロックで合流させその両表層に別の押出機から供給した樹脂Aからなる層(最表層)を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。
上記の方法で目視された模様について、以下の基準で評価した。
S:波状の模様および曲線的な模様がランダムに視認できる
A:直線的な模様および曲線的な模様がランダムに視認できる(波状模様は見えない)
F:上記の模様が視認できない
(6)彩度および色差ΔE
コニカミノルタセンシング株式会社製の分光測色計CM−3600dを用い測定した。フィルムの幅方向より110cm×30cmのサンプルを1枚切り出し、幅方向および長手方向に10cmピッチの計20箇所において明度L*および色度(a*、b*)を測定した。各箇所の明度L*および色度(a*、b*)の平均値をそれぞれ算出して明度L*および色度(a*、b*)の基準値とし、測定箇所と基準値との差異(ΔL*、Δa*およびΔb)より以下の式で色差ΔEを求めた。ここで、色差ΔEが0に近い程色調に変化がなく、色差ΔEが2.0以上になると目視による外観観察で色の変化を感じる。
色差ΔE=((ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2)1/2
なお、測定は、分光測色計付属のゼロ構成ボックスで反射率のゼロ構成を行い、続いて付属の白色校正板を用いて100%校正を行った後、以下の条件で計測した。
モード:反射、SCI/SCE同時測定
測定径:8mm
光源:D65
視野角:10度
サンプル:非測定面側に黒色ビニールテープを貼る(日東電工製No.21)
(7)フィルム表面の凹凸
(4)のサンプルについて、表面形状測定装置((株)菱化システム製、VertScan2.0)によりフィルム両面を観察し、フィルム表面の凹凸高さを測定した。高さが30〜300nmとなる個所の数をカウントした。
測定条件:測定長さ1252μm 対物レンズ5倍 測定箇所:12点
測定環境:23℃、湿度65%RH
実施例1
2種類のポリエステル樹脂AおよびBを用いた。ポリエステル樹脂Aとして、固有粘度0.65、結晶融解温度255℃、結晶融解熱量41mJ/mg、結晶化温度155℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)[東レ製F20S]を用いた。
ポリエステル樹脂Bは以下のように合成した。テレフタル酸ジメチルを56.1重量部、シス/トランス比率が72/28である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを24.8重量部、エチレングリコールを47.2重量部、スピログリコールを33.5重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、三酸化アンチモンを0.02重量部それぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。次いで、撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとし、樹脂Bを得た。得られた樹脂Bは、固有粘度は0.72の共重合ポリエステルであり、ジカルボン酸成分は、テレフタル酸が70mol%であり、シクロヘキサンジカルボン酸が30mol%であった。また、樹脂Bのジオール成分は、エチレングリコールが75mol%であり、スピログリコールが25mol%であった。
これらポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bを、それぞれ別々のベント付き二軸押出機に供給し、温度制御の下、溶融状態とした。ここで、フィードブロックのスリット状流路入口直前で測定した各々の樹脂温度は、ポリエステル樹脂Aが270.0℃から±0.1℃以内に収まるように、ポリエステル樹脂Bが、283.0℃から±4.0℃の温度範囲で変動するように(変動周期は3分〜5分)に制御した。溶融状態の2種類のポリエステル樹脂は、個別のギヤポンプおよびフィルターを介して、301個のスリットを有する部材を個別に3個有する901層のフィードブロックで合流させその両表層に別の押出機から供給した樹脂Aからなる層(最表層)を形成し、シート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。
得られたキャストフィルムを75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターで急速加熱しながら、フィルムの搬送方向、すなわち、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却して一軸延伸フィルムを得た。次いで、該一軸延伸フィルムの両面に(ガラス転移温度18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で搬送方向と垂直なフィルムの幅方向、すなわち、横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのままテンター内で230℃の熱風で熱処理を行い、続いて同温度で幅方向に5%の弛緩処理を施し、室温まで除冷後、ワインダーで巻き取った。得られたフィルム厚みは100μm、幅1100mm、最表層の厚み1.0μmであり、最表層を除く設計厚み図1cのとおりである。フィルムの評価結果を表1に示す。
比較例1
ポリエステル樹脂Bの温度が273.0℃から±0.1℃以内に収まるように制御した以外は実施例1と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
ポリエステル樹脂Bの温度が273.0℃から±0.1℃以内に収まるように制御した以外は実施例1と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例2
層厚みの設定を図1bに示すように変更し、最表層の厚みを4.8μmに変更した以外は実施例1と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
層厚みの設定を図1bに示すように変更し、最表層の厚みを4.8μmに変更した以外は実施例1と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例3
樹脂Bとして、全フタル酸成分に対してシクロヘキサンジカルボン酸を24mol%、全ジオール成分に対してスピログリコールを21mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、両側最表層部分の厚みを2.9μmとした以外は実施例2と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
樹脂Bとして、全フタル酸成分に対してシクロヘキサンジカルボン酸を24mol%、全ジオール成分に対してスピログリコールを21mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、両側最表層部分の厚みを2.9μmとした以外は実施例2と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例4
樹脂Bとして、全フタル酸成分に対してシクロヘキサンジカルボン酸を16.8mol%、全ジオール成分に対してスピログリコールを14.7mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、両側最表層部分の厚みを1.0μmとした以外は実施例2と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
樹脂Bとして、全フタル酸成分に対してシクロヘキサンジカルボン酸を16.8mol%、全ジオール成分に対してスピログリコールを14.7mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、両側最表層部分の厚みを1.0μmとした以外は実施例2と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例5
両側最表層部分の厚みを0.5μmとした以外は実施例3と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
両側最表層部分の厚みを0.5μmとした以外は実施例3と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例6
層厚みの設定を図1aに示すように変更した以外は実施例1と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
層厚みの設定を図1aに示すように変更した以外は実施例1と同様とした。フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例7
両側最表層部分の厚みを7.0μmとした以外は実施例2と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
両側最表層部分の厚みを7.0μmとした以外は実施例2と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
実施例8
積層数を601層に変更した以外は実施例3と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
積層数を601層に変更した以外は実施例3と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
実施例9
ポリエステル樹脂Bの温度が285.0℃から±2.0℃の範囲で変動するよう制御し、両側最表層部分の厚みを0.5μmとした以外は実施例3と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
ポリエステル樹脂Bの温度が285.0℃から±2.0℃の範囲で変動するよう制御し、両側最表層部分の厚みを0.5μmとした以外は実施例3と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
比較例2
ポリエステル樹脂Bとして、全フタル酸成分に対してシクロヘキサンジカルボン酸を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレートとPETを2:1の割合で混合した樹脂を用い、樹脂Bの温度が280.0℃から±0.1℃以内に収まるように制御した以外は、実施例2と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
ポリエステル樹脂Bとして、全フタル酸成分に対してシクロヘキサンジカルボン酸を30mol%共重合したポリエチレンテレフタレートとPETを2:1の割合で混合した樹脂を用い、樹脂Bの温度が280.0℃から±0.1℃以内に収まるように制御した以外は、実施例2と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
比較例3
ポリエステル樹脂Bの温度が283.0℃から±7.0℃の範囲で変動するよう制御した以外は実施例3と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
ポリエステル樹脂Bの温度が283.0℃から±7.0℃の範囲で変動するよう制御した以外は実施例3と同様とした。フィルムの評価結果を表2に示す。
実施例10
実施例1で得られたフィルムの片側に、スクリーン印刷にて2液硬化型のインクを塗布して黒色の図柄を設けた後に、バインダー層を形成した。印刷条件は以下のとおりある。
<印刷層>
インキ:帝国インキ株式会社製 IPX971
溶剤:帝国インキ株式会社製 F−003(10%希釈)
硬化剤:帝国インキ株式会社製 240硬化剤(10%混合)
スクリーンメッシュ:T−225
乾燥:80℃×10分(ボックス乾燥)
得られた積層シートは、黒漆を連想させる黒色印刷部分と印刷のない光沢部分からなり、このコントラストが螺鈿様の外観をより強調する美麗なものとなった。
実施例1で得られたフィルムの片側に、スクリーン印刷にて2液硬化型のインクを塗布して黒色の図柄を設けた後に、バインダー層を形成した。印刷条件は以下のとおりある。
<印刷層>
インキ:帝国インキ株式会社製 IPX971
溶剤:帝国インキ株式会社製 F−003(10%希釈)
硬化剤:帝国インキ株式会社製 240硬化剤(10%混合)
スクリーンメッシュ:T−225
乾燥:80℃×10分(ボックス乾燥)
得られた積層シートは、黒漆を連想させる黒色印刷部分と印刷のない光沢部分からなり、このコントラストが螺鈿様の外観をより強調する美麗なものとなった。
実施例11
用いるインキをIPX971からIPX168(紅色)に変更するほかは実施例10と同様とした。得られた積層シートは、紅漆のような紅色印刷部分と印刷のない光沢部分からなり、このコントラストが螺鈿様の外観をより強調する美麗なものとなった。
用いるインキをIPX971からIPX168(紅色)に変更するほかは実施例10と同様とした。得られた積層シートは、紅漆のような紅色印刷部分と印刷のない光沢部分からなり、このコントラストが螺鈿様の外観をより強調する美麗なものとなった。
本発明は、フィルム表面に適度な色むらや模様を有しながら強弱のある光沢を呈することで、貝殻内壁の光沢感・質感に近いフィルムを提供できる。このフィルムは、装飾用途として例えば、家電製品、調度品、家具、建材、自動車および電車の車両等の内外装などに好適に用いることができる。
Claims (4)
- ポリエステル樹脂Aからなる層(A層)とポリエステル樹脂Bからなる層(B層)とを交互に厚み方向に合計250層以上積層した構造を有し、下記(1)〜(5)の全てを満たすことを特徴とする積層フィルム。
(1)ポリエステル樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主とするものであり、樹脂Bはスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなる樹脂であること。
(2)波長帯域400〜1000nmにおける平均相対反射率が50%以上100%以下であること。
(3)波長帯域400〜1000nmにおける相対反射率の最大値と最小値の差が8以上であること。
(4)JIS K5600(2002年)により測定した剥離試験での数値が0以上1未満の範囲にあること。
(5)フィルム表面より測定した色差ΔEが5より大きいこと。 - A4サイズのサンプルを目視評価した模様の個数が3個以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- フィルムの最表層を構成する樹脂層の厚みが0.05以上5μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムに印刷層が設けられた積層シート。
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