JP2017029094A - カビ検出用担体、カビの検出方法、及びカビ検出用キット - Google Patents

カビ検出用担体、カビの検出方法、及びカビ検出用キット Download PDF

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【課題】植物病害の病原菌であるコレトトリカム・アクタタム、フザリウム・ソラニ、アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニを、迅速かつ精度高く特異的に同時にカビを検出する方法の提供。【解決手段】以下の(a)、(b)、又は(c)に記載の塩基配列を有するプローブ群から選択された二以上のプローブを固定化したカビ検出用担体。(a)ITS領域やβチューブリン遺伝子から選択される特定の塩基配列を有するプローブ。(b)(a)の塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるプローブ。(c)(a)又は(b)のプローブに対して相補的な塩基配列を有するプローブ。【選択図】図1

Description

本発明は、植物病害の病原菌であるカビを検出するためのカビ検出用担体、カビの検出方法、及びカビ検出用キットに関する。
近年、食品製造現場や臨床現場、農業現場、文化財保護環境等において、カビなどの微生物が存在するか否かを検査して安全性、健全性を確認するとともに、その繁殖を防止することが重要となっている。
このようなカビの検査では、一般的に、環境中から試料を採取して前培養し、次いで菌種ごとに最適な培地で20日程度の培養を行った後に、形態的特徴を観察することで、カビを同定する形態観察法(培養法)が行われている(特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、カビ種ごとに分離培養することが必要であるため、検査工程が煩雑になるという問題があった。また、培養に長期間を要するため、例えばヒトが生活する屋内の検査や食物の検査、農業現場での植物病害診断など、迅速性が要求される検査には不適切であるという問題があった。さらに、形態的特徴を表す胞子が形成されないと同定ができず、労力が無駄になってしまう場合があるという問題もあった。
また、最近は、カビの検査において遺伝子を用いた同定法も行われている。例えば、環境中から採取したカビを培養した後、培養されたカビからDNAを抽出して、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法などにより標的領域を増幅し、その増幅産物を解析することで、環境中のカビを同定することが行われている。増幅産物を解析する方法としては、電気泳動によって増幅産物のサイズを分析する方法や、増幅産物と相補的に結合するプローブを固定化したDNAチップを用いる方法などが提案されている(特許文献2、3参照)。
特開2007−195454号公報 特許第5670623号公報 特許第5196848号公報 特許第5522820号公報 特許第5077984号公報 特開平10−234381号公報
DNAチップを用いる場合は、まず検出対象のカビのDNAにおける標的領域に特異的に結合するプローブを作成して、DNAチップに固定化する。そして、環境もしくは製品や植物の検体中から採取したカビを培養して、カビのDNAを抽出し、PCR法などによりカビのDNAにおける標的領域を増幅する。さらに、その増幅産物をDNAチップに滴下して、増幅産物をプローブにハイブリダイズさせ、増幅産物に含まれる標識の蛍光強度等を測定することでカビを検出する。
ところで、環境中の検出対象のカビには様々な種類があるため、1個のDNAチップにより複数のカビを同時に検出できることが望ましい。そのためには、DNAチップ上に複数のカビから選択されたプローブを固定化する必要がある。
一方、プローブにハイブリダイズさせる標的領域の増幅産物は、所定のプライマーセットを用いてPCR法などにより得られるが、カビの種類によっては、単一の標的領域のみでは偽陽性反応が生じやすいものがあるため、複数のプライマーセットにより、複数の標的領域を同時に増幅させることが望ましい場合がある。また、培養したカビの標的領域を個別に増幅させるのではなく、複数種類のカビを同時に増幅し、これら複数種類のカビから選択されたプローブを固定化したDNAチップによるカビの検出を行えば、検査の迅速性は向上する。
しかしながら、複数の標的領域を同時に増幅させるマルチプレックスを行う場合には、プローブにもより高い精度で機能するものが求められる。また、同時に増幅させる検出対象のカビの数が増加すれば、プローブに要求される精度は一層高くなる。
本発明者らは、植物病害の病原菌であるコレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、アルタナリア・ソラニ(Alternaria solani)、及びリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の4種類を検出対象のカビとし、これらを検出可能なカビ検出用担体を作成するために鋭意研究を行った。
これら複数種類のカビのそれぞれのDNAにおける特定の標的領域のうち、それぞれのカビにのみ特異的に結合する塩基配列を有し、かつ他の種類のカビには結合しない塩基配列を選択してプローブを作成すれば、理論上、各プローブによりこれら複数種類のカビをそれぞれ特異的に検出することが可能である。
しかし、実際にはこのようにして得られたプローブであっても有効に機能するとは限らない。このため、各プローブを作成するためには、実験によってプローブの効果を確認しつつ、試行錯誤を繰り返すことによって、有効に機能するプローブを見いだすことが必要であった。
ここで、コレトトリカム・アクタタムを検出するためのプライマーが特許文献4に記載されており、フザリウム・ソラニを検出するためのプローブが特許文献5に記載されており、リゾクトニア・ソラニを検出するためのプライマー及びプローブが特許文献6に記載されている。
しかしながら、コレトトリカム・アクタタム、フザリウム・ソラニ、アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニの4種類のカビを、それぞれ精度高く特異的に同時に検出することが可能なプローブを固定化したカビ検出用担体は知られていない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、植物病害の病原菌であるコレトトリカム・アクタタム、フザリウム・ソラニ、アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニの4種類のカビを、迅速かつ精度高く特異的に同時に検出することが可能なカビ検出用担体、カビの検出方法、及びカビ検出用キットの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のカビ検出用担体は、以下の(a)、(b)、又は(c)に記載の塩基配列を有するプローブ群から選択された二以上のプローブを固定化したことを特徴とするカビ検出用担体としてある。
(a)配列番号1〜6に示す塩基配列を有するプローブ。
(b)配列番号1〜6に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるプローブ。
(c)(a)又は(b)のプローブに対して相補的な塩基配列を有するプローブ。
また、本発明のカビ検出用担体は、コレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号1に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号2に示す塩基配列を有するプローブからなる第一のプローブ群、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号3に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号4に示す塩基配列を有するプローブからなる第二のプローブ群、アルタナリア・ソラニ(Alternaria solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号5に示す塩基配列を有するプローブからなる第三のプローブ群、並びに、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号6に示す塩基配列を有するプローブからなる第四のプローブ群の各群からそれぞれ選択されたプローブを固定化した構成とすることが好ましい。
また、本発明のカビの検出方法は、検出対象のカビのDNAにおける標的領域をPCRにより増幅させて、増幅産物の有無を確認する工程を含むカビの検出方法であって、PCR用反応液に、配列番号7に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号8に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるITS領域を増幅させるためのプライマーセット、及び、配列番号9に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号10に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるβ−チューブリン遺伝子を増幅させるためのプライマーセットと、試料とを含有させ、前記試料に、コレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、アルタナリア・ソラニ(Alternaria solani)、及びリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の少なくともいずれかのDNAが含有されている場合、前記PCR用反応液を使用して、前記試料に含有されるDNAにおける標的領域を増幅させ、得られた増幅産物を、上記のカビ検出用担体に滴下して、相補的な塩基配列を有するプローブと結合させる方法としてある。
また、本発明のカビ検出用キットは、検出対象のカビのDNAにおける標的領域を増幅させるためのプライマーセットと、増幅産物の有無を確認するためのプローブが固定された担体を含むカビ検出用キットであって、前記プライマーセットが、配列番号7に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号8に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるITS領域を増幅させるためのプライマーセット、及び、配列番号9に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号10に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるβ−チューブリン遺伝子を増幅させるためのプライマーセットを含み、前記担体が、コレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号1に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号2に示す塩基配列を有するプローブからなる第一のプローブ群、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号3に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号4に示す塩基配列を有するプローブからなる第二のプローブ群、アルタナリア・ソラニ(Alternaria solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号5に示す塩基配列を有するプローブからなる第三のプローブ群、並びに、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号6に示す塩基配列を有するプローブからなる第四のプローブ群の各群からそれぞれ選択されたプローブを固定化した構成としてある。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「プローブ群」は、プローブの集合を意味しており、複数のプローブからなる場合のみを意味するものではなく、一のプローブからなるものを含めてプローブ群と称している。
本発明によれば、植物病害の病原菌であるコレトトリカム・アクタタム、フザリウム・ソラニ、アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニを、迅速かつ精度高く特異的に同時に検出することが可能となる。
本発明の実施形態に係るカビ検出用担体に固定化されるプローブの塩基配列を示す図である。 本発明の実施形態に係るカビ検出用担体により検出する対象のカビの標的領域を増幅させるためのプライマーの塩基配列を示す図である。 本発明の実施形態に係るカビ検出用担体に固定化されたプローブについて検出された蛍光強度(S/N比値)を示す図である。
以下、本発明のカビ検出用担体、カビの検出方法、及びカビ検出用キットの一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の本実施形態及び後述する実施例の具体的な内容に限定されるものではない。
[カビ検出用担体]
本実施形態のカビ検出用担体は、図1に示す特定のカビを検出するためのプローブ(配列番号1〜6)の少なくともいずれか1つを、基板上に固定化したものであれば特に限定されない。このカビ検出用担体は、例えばスポット型又は合成型のDNAチップやDNAマイクロアレイなどとして製造することができる。
(検出対象カビ)
本実施形態のカビ検出用担体により検出する対象のカビは、コレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、アルタナリア・ソラニ(Alternaria solani)、及びリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の4種類である。
本実施形態のカビ検出用担体を用いて、土壌中などにこれらのカビが存在するか否かを確認することで、植物の育成にあたってこれらの病原菌による植物の病気を予防することが可能となる。また、土壌中にこれらのカビが存在しないことを確認することで、例えば過剰な農薬散布を防止することなども可能となる。
(プローブ)
本実施形態の対象カビを検出するためのプローブは、配列番号1〜6によりそれぞれ特定される塩基配列からなる核酸断片である。
このうち、配列番号1に示す塩基配列を有するものが、コレトトリカム・アクタタムを検出するための、ITS領域から選択されたプローブである。また、配列番号2に示す塩基配列を有するものが、同菌を検出するための、β-チューブリン遺伝子から選択されたプローブである。
また、配列番号3に示す塩基配列を有するものが、フザリウム・ソラニを検出するための、ITS領域から選択されたプローブである。また、配列番号4に示す塩基配列を有するものが、同菌を検出するための、β-チューブリン遺伝子から選択されたプローブである。
また、配列番号5に示す塩基配列を有するものが、アルタナリア・ソラニを検出するための、ITS領域から選択されたプローブである。また、配列番号6に示す塩基配列を有するものが、リゾクトニア・ソラニを検出するための、ITS領域から選択されたプローブである。
本実施形態のカビ検出用担体では、上記の通り、プローブとして、カビのゲノムDNAにおけるITS領域とβチューブリン遺伝子から選択されたものを用いている。
ITS領域は、RNAに転写後にスプライシングされる部分である。このため、コーディング領域に比べると保存性が低く、変化に富んでいるが、カビの種類間の類似性が高く、偽陽性反応が生じる場合が比較的多い。このため、DNAチップに数多くの種類のカビのプローブを固定化してカビの識別に用いる場合には、カビの種類によっては、ITS領域から選択されたプローブのみを使用すると、検出精度の低下を招く場合がある。一方、β−チューブリン遺伝子には、カビの種類毎にユニークな配列が比較的多く存在している。そこで、本実施形態のカビ検出用担体では、カビの種類によっては、ITS領域とβ−チューブリン遺伝子の両方を標的領域として用いることで、偽陽性反応を低減させることを可能にしている。
具体的には、フザリウム・ソラニについては、ITS領域及びβ−チューブリン遺伝子から選択されたプローブの両方を用いて、これらの両方において陽性反応が得られた場合のみに当該カビが検出されたと判定することが好ましい。当該カビについては、このようにすることで、偽陽性反応にもとづく過誤判断のリスクを低減することが可能となっている。
一方、コレトトリカム・アクタタムについては、少なくともITS領域又はβ−チューブリン遺伝子から選択されたプローブのいずれかにおいて陽性反応が得られた場合に、当該カビが存在していると判定することができる。
また、アルタナリア・ソラニとリゾクトニア・ソラニについては、ITS領域のみから選択されたプローブにおいて陽性反応が得られた場合に、当該カビが存在していると判定することができる。これらのカビのITS領域から選択されたプローブは特異性が高く、偽陽性反応が比較的生じにくいため、これらのカビについては、ITS領域のみから選択されたプローブを用いて検出を行うことが可能である。
したがって、本実施形態のカビ検出用担体は、フザリウム・ソラニについては、ITS領域及びβ−チューブリン遺伝子から選択されたプローブを共に固定化し、両方のプローブが陽性を示した場合に、検出対象のカビが存在すると判定することが好ましい。また、コレトトリカム・アクタタムについては、ITS領域及びβ−チューブリン遺伝子から選択されたプローブを共に固定化し、いずれかのプローブが陽性を示した場合に、検出対象のカビが存在すると判定することが好ましい。アルタナリア・ソラニとリゾクトニア・ソラニについては、ITS領域のみから選択されたプローブを固定化し、当該プローブが陽性を示した場合に、検出対象のカビが存在すると判定することができる。
(プローブの合成)
本実施形態のカビ検出用担体に固定化される上記プローブは、いずれも30〜55塩基程度の長さであり、一般的なDNA合成装置により合成できる。後述する実施例でカビ検出用担体に固定化した配列番号1〜6に示す塩基配列からなるプローブは、いずれもDNA合成装置により合成したものを使用した。なお、後述する実施例でPCRに用いた配列番号7〜10に示す塩基配列からなるプライマーも19〜26塩基程度の長さであり、DNA合成装置により合成したものを使用した。
また、本実施形態における配列番号1〜6に示す塩基配列からなるプローブは、当該配列そのものに限定されず、配列番号1〜6に示す塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加されたプローブを用いることができる。また、配列番号1〜6に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるプローブを用いることもできる。また、これらのプローブや配列番号1〜6に示す塩基配列からなるプローブに対して、相補的な塩基配列を有するプローブを用いることもできる。
なお、ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、配列番号1に示す塩基配列からなるDNAに対して高い相同性(相同性が90%以上、好ましくは95%以上)を有するDNAが、配列番号1に示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ハイブリダイズする条件が挙げられる。通常、完全ハイブリッドの溶解温度(Tm)より約5℃〜約30℃、好ましくは約10℃〜約25℃低い温度でハイブリダイゼーションが起こる場合をいう。ストリンジェントな条件については、J.Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Mannual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、特に11.45節「Conditions for Hybridization of Oligonucleotide Probes」に記載されている条件等を使用することができる。
なお、図2に示す配列番号7〜10の塩基配列からなる各プライマー(配列番号7及び8のプライマーセット、並びに配列番号9及び10のプライマーセットにおける各プライマー)についても同様に、当該配列そのものに限定されず、配列番号7〜10に示す塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加されたプライマーであって、配列番号7〜10に示す塩基配列からなるプライマーを用いた場合と同一の領域を増幅できるものを用いることもできる。また、配列番号7〜10に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる核酸断片からなるプライマーであって、配列番号7〜10に示す塩基配列からなるプライマーを用いた場合と同一の領域を増幅できるものを用いることもできる。
(カビ検出用担体の作成)
本実施形態のカビ検出用担体は、配列番号1〜6に示す塩基配列を有するプローブを用いて、既存の一般的な方法で製造することができる。
例えば、本実施形態のカビ検出用担体として貼り付け型のDNAチップを作成する場合は、DNAスポッターによりプローブをガラス基板上に固定化して、各プローブに対応するスポットを形成することにより作成することができる。また、合成型DNAチップを作成する場合は、光リソグラフィ技術により、ガラス基板上で上記配列を備えた一本鎖オリゴDNAを合成することにより作成することができる。さらに、基板はガラス製に限定されず、プラスチック基板やシリコンウエハー等を用いることもできる。また、基板の形状は平板状のものに限定されず、様々な立体形状のものとすることもでき、その表面に化学反応が可能となるように官能基を導入したものなどを用いることもできる。
本実施形態のカビ検出用担体は、配列番号1〜6に示す塩基配列を有するプローブの全部又は一部を固定化したものとすることができる。
また、本実施形態のカビ検出用担体は、菌種毎に、それぞれを検出するためのプローブを少なくも1つ固定化したものとすることができる。
さらに、本実施形態のカビ検出用担体は、配列番号1〜6に示す塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加されたプローブの全部又は一部を固定化したものとすることも、配列番号1〜6に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるプローブの全部又は一部を固定化したものとすることもでき、これらのプローブ又は配列番号1〜6に示す塩基配列からなるプローブに対して、相補的な塩基配列を有するプローブの全部又は一部を固定化したものとすることもできる。
[カビの検出方法]
本実施形態のカビの検出方法は、検出対象のカビのDNAにおける標的領域を増幅させて、増幅産物の有無を確認する工程を含むカビの検出方法であって、PCR用反応液に、配列番号7に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号8に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるITS領域を増幅させるためのプライマーセット、及び、配列番号9に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号10に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるβ−チューブリン遺伝子を増幅させるためのプライマーセットと試料とを含有させ、試料にコレトトリカム・アクタタム、フザリウム・ソラニ、アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニの少なくともいずれかのDNAが含有されている場合、PCR用反応液を使用して試料に含有されるDNAにおける標的領域を増幅させ、得られた増幅産物をカビ検出用担体に滴下して相補的な塩基配列を有するプローブと結合させる方法であれば良く、具体的な実施形態及び実施例の構成に限定されるものではないが、例えば(1)カビの採取とDNAの抽出、(2)標的領域の増幅、及び(3)増幅産物の確認を含むものとすることができる。
(1)カビの採取とDNAの抽出
カビの採取とDNAの抽出には、種々の方法があり特に限定されないが、例えば植物を育てる土壌を採取して、適当量の水に懸濁し、その後任意の倍率で段階希釈して、それぞれの段階希釈液を培地に塗布して培養した後に、培養されたカビからDNAを抽出する方法とすることができる。
また、土壌を採取し、採取した土壌から直接、植物病原カビを含む土壌微生物(細菌や線虫などの微生物)のDNAを抽出しても良い。その方法としては、直接溶菌法(Direct Lysis Method)や、市販の土壌DNA抽出キットを用いるなど、一般的な手法により行うことができる。
さらに、植物検体の罹病組織などから病原カビを採取して分離培養後、DNAを抽出することもできる。例えば、罹病組織片をハサミなどを用いて採取し、採取した植物組織片を次亜塩素酸やエタノールで表面殺菌後、専用培地等に置床して、植物組織中に含まれるカビの培養を行う。
また、エアーサンプラーで空中浮遊カビ胞子を寒天培地に採取して、培養後にDNAを抽出することもできる。
上記において、カビの培養に用いる培地としては、PDA(バレイショ−ブドウ糖寒天培地、potato dextrose agar)のような一般的なものを使用してもよく、また捕集対象カビがあらかじめ決まっている場合は、抗生物質等を加えた、いわゆる選択培地と呼ばれるものを使用してもよい。また、培養条件としては、20℃〜25℃で暗所に65時間以上静置することが好ましい。
カビの培養を行う場合は、次に、培養されたカビのコロニーを、コロニー毎に個別に又は二以上のコロニーを一括して採取し、液体窒素などによりコロニーを凍結して、コロニーに含まれるカビの細胞を破砕する。
そして、このようにして得られたカビの細胞の破砕物からゲノムDNAを抽出する。ゲノムDNAの抽出は、CTAB法(Cetyl trimethyl ammonium bromide)による方法やDNA抽出装置を用いる方法など、一般的な手法により行うことができる。
(2)標的領域の増幅
次に、抽出したゲノムDNAにおける標的領域を増幅させる。すなわち、ゲノムDNAにおける標的領域を含むDNA断片を増幅させる。この標的領域の増幅方法は、特に限定されないが、PCR法を好適に用いることができる。PCR法では、標的領域を増幅させるためのプライマーセットを含有するPCR反応液を用いて、標的領域を増幅させる。PCR装置としては、一般的なサーマルサイクラーなどを用いることができる。
本実施形態のカビの検出方法では、例えば以下のような反応条件でPCRを行うことにより、各種カビの標的領域を好適に増幅させることができる。
(a)95℃ 10分、(b)95℃(DNA変性工程) 30秒、(c)56℃(アニーリング工程) 30秒、(d)72℃(DNA合成工程) 60秒((b)〜(d)を40サイクル)、(e)72℃ 10分
PCR用反応液としては、例えば以下の組成からなるものを使用することが好ましい。すなわち、核酸合成基質(dNTPmixture(dCTP、dATP、dTTP、dGTP))、プライマーセット、核酸合成酵素(Nova Taq HotStart DNA polymeraseなど)、蛍光標識試薬(Cy5−dCTPなど)、試料のゲノムDNA、緩衝液、及び残りの成分として水を含むPCR反応液を好適に使用することができる。なお、緩衝液としては、例えばAmpdirect(R)(株式会社島津製作所製)を用いることができる。
本実施形態では、カビのゲノムDNAにおけるITS領域とβチューブリン遺伝子を標的領域として、DNA断片の増幅が行われる。
このとき、ITS領域を増幅させるためのプライマーセットとしては、図2に示す配列番号7及び8の塩基配列からなるもの(配列番号7:フォワードプライマー、配列番号8:リバースプライマー)を用いることが好ましい。
また、βチューブリン遺伝子を増幅させるためのプライマーセットとしては、同図に示す配列番号9及び10の塩基配列からなるもの(配列番号9:フォワードプライマー、配列番号10:リバースプライマー)を用いることが好ましい。
(3)増幅産物の確認
次に、増幅産物を本実施形態のカビ検出用担体に滴下し、このカビ検出用担体に固定化されたプローブにハイブリダイズした増幅産物の標識を検出することで、増幅産物の有無を確認する。これによって、検査対象に存在しているカビを特定することができる。
標識の検出は、蛍光スキャニング装置など一般的な標識検出装置を用いて行うことができ、例えば東洋鋼鈑株式会社のBIOSHOT(R)を用いて、増幅産物の蛍光強度を測定することにより行うことができる。測定結果は、S/N比値(Signal to Noise ratio)値として得ることが好ましい。本明細書中に記載のS/N比値は、(メディアン蛍光強度値−バックグラウンド値)÷バックグラウンド値にて算出される。なお、標識としては蛍光に限定されず、その他のものを用いることもできる。
[カビ検出用キット]
本実施形態のカビ検出用キットには、検出対象のカビのDNAにおける標的領域を増幅させるためのプライマーセットと、増幅産物の有無を確認するためのプローブが固定されたカビ検出用担体とが含まれる。
具体的には、プライマーセットとしては、配列番号7に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号8に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるITS領域を増幅させるためのプライマーセット、及び、配列番号9に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号10に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるβ−チューブリン遺伝子を増幅させるためのプライマーセットが含まれる。
また、カビ検出用担体としては、コレトトリカム・アクタタムを検出するための、ITS領域から選択された配列番号1に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号2に示す塩基配列を有するプローブからなる第一のプローブ群、フザリウム・ソラニを検出するための、ITS領域から選択された配列番号3に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号4に示す塩基配列を有するプローブからなる第二のプローブ群、アルタナリア・ソラニを検出するための、ITS領域から選択された配列番号5に示す塩基配列を有するプローブからなる第三のプローブ群、並びに、リゾクトニア・ソラニを検出するための、ITS領域から選択された配列番号6に示す塩基配列を有するプローブからなる第四のプローブ群の各群からそれぞれ選択されたプローブを固定化したものを好適に用いることができる。
また。第一のプローブ群、第一のプローブ群、第一のプローブ群、及び第一のプローブ群における全てのプローブを固定化したものとすることも好ましい。
このような本実施形態のカビ検出用キットは、上記プライマーセットを用いて増幅された増幅産物を当該カビ検出用担体に滴下し、増幅産物を相補的な塩基配列を有するプローブに結合させることによってカビを検出するために用いられる。
本実施形態のカビ検出用担体、カビの検出方法、及びカビ検出用キットによれば、上記4種類のカビを特異的に識別できるプローブを用いることにより、これらのカビを適切に検出することができる。このため、土壌環境検査等において、植物病害の病原菌であるこれらのカビを、迅速かつ精度高く特異的に同時に検出することが可能になっている。
以下、本発明の実施形態に係るカビ検出用担体、カビの検出方法、及びカビ検出用キットの効果を確認するために行った試験について、具体的に説明する。
[試験1]
カビ検出用担体としては、ジーンシリコン(R)(東洋鋼鈑株式会社製)を用い、図1に示される配列番号1〜6のプローブを固定化したものを使用した。各プローブは、オペロンテクノロジー株式会社により合成したものを使用した。また、各プローブの基板への固定化は、マイクロアレイヤーにより行った。
検出対象のカビとしては、独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NITE Biological Resource Center)から入手した菌株を使用した。具体的には、以下の4種類の菌株を使用した。
(1)コレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum) NBRC32850
(2)フザリウム・ソラニ(Fusarium solani) NBRC7707
(3)アルタナリア・ソラニ(Alternaria solani) NBRC7516
(4)リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani) NBRC30984
これらのカビを菌株毎に培養した。培養は、PDA培地を用いて、25℃の暗所で、7日間静置させて行った。
さらに、培養したカビのコロニーを採取し、φ0.5mmジルコニアビーズを入れたバイアル瓶に個別に入れ、液体窒素に浸して試料を凍結した後、振盪装置を用いて、カビの細胞を破砕した。
次いで、DNA抽出装置によりカビのゲノムDNAを抽出して、PCR法により、各カビのITS領域及びβ−チューブリン遺伝子((3)、(4)については実際に増幅されるのはITS領域のみ)を菌株毎に増幅した。
このとき、ITS領域増幅用プライマーセットとして、図2に示す配列番号7の塩基配列からなるフォワードプライマー及び配列番号8の塩基配列からなるリバースプライマーを用いた。また、β−チューブリン遺伝子増幅用プライマーセットとして、同図に示す配列番号9の塩基配列からなるフォワードプライマー及び配列番号10の塩基配列からなるリバースプライマーを用いた。
なお、以上のプライマーは、オペロンテクノロジー株式会社により合成したものを使用した。
PCR用反応液としては、Ampdirect(R)(株式会社島津製作所製)を使用し、菌株毎に、次の組成のものを20μl作成した。
1.Ampdirect(G/Crich) 4.0μl
2.Ampdirect(addition-4) 4.0μl
3.dNTPmix 1.0μl
4.Cy-5dCTP 0.2μl
5.ITS1-Fw primer(配列番号7)(2.5μM) 1.0μl
6.ITS1-Rv primer(配列番号8)(2.5μM) 1.0μl
7.BtF primer(配列番号9)(10μM) 1.0μl
8.BtR primer(配列番号10)(10μM) 1.0μl
9.Template DNA 1.0μl(100pg/μl)
10.NovaTaq HotStart DNA polymerase 0.2μl
11.水(全体が20.0μlになるまで加水)
上記PCR用反応液を使用して、核酸増幅装置(TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(R) Gradient タカラバイオ株式会社製)により、次の条件でDNAの増幅を行った。
(a)95℃ 10分
(b)95℃ 30秒
(c)56℃ 30秒
(d)72℃ 60秒((b)〜(d)を40サイクル)
(e)72℃ 10分
次に、PCR増幅産物に緩衝液(3×SSCクエン酸−生理食塩水+0.3%SDS)を混合して、94℃で5分間加温し、上記カビ検出用担体(DNAチップ)に滴下した。このカビ検出用担体を45℃で1時間静置し、上記緩衝液を用いてハイブリダイズしなかったPCR産物をDNAチップから洗い流した。
そして、標識検出装置(BIOSHOT(R),東洋鋼鈑株式会社製)を用いて、カビ検出用担体に固定化された各プローブにおける蛍光強度(プローブに結合した増幅産物の蛍光強度)を測定して、各プローブにおけるS/N比値を取得した。
以上のように、コレトトリカム・アクタタム、フザリウム・ソラニ、アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニのDNAにおける標的領域をそれぞれ個別に増幅し、得られた増副産物を各プローブにハイブリダイズさせた結果、配列番号1〜6のプローブにおけるS/N比値は、図3に示す通りである。
すなわち、試料のカビ(検出対象のカビ種)がコレトトリカム・アクタタムの場合、コレトトリカム・アクタタムを検出するための配列番号1及び2のプローブでは、S/N比値が3以上となっており、陽性と判断できる。また、その他のカビを検出するための配列番号3〜6のプローブでは、S/N比値がいずれも3未満となっており、陰性と判断できる。したがって、これらのプローブは、コレトトリカム・アクタタムを検出するために、有効に機能していることがわかる。
また、試料のカビがフザリウム・ソラニの場合、フザリウム・ソラニを検出するための配列番号3及び4のプローブでは、S/N比値が共に3以上となっており、陽性と判断できる。また、その他のカビを検出するための配列番号1、2、5、6のプローブでは、S/N比値がいずれも3未満となっており、陰性と判断できる。したがって、これらのプローブは、フザリウム・ソラニを検出するために、有効に機能していることがわかる。
さらに、試料のカビがアルタナリア・ソラニの場合、アルタナリア・ソラニを検出するための配列番号5のプローブでは、S/N比値が3以上となっており、陽性と判断できる。また、その他のカビを検出するための配列番号1〜4、6のプローブでは、S/N比値がいずれも3未満となっており、陰性と判断できる。したがって、これらのプローブは、アルタナリア・ソラニを検出するために、有効に機能していることがわかる。
また、試料のカビがリゾクトニア・ソラニの場合、リゾクトニア・ソラニを検出するための配列番号6のプローブでは、S/N比値が3以上となっており、陽性と判断できる。また、その他のカビを検出するための配列番号1〜5のプローブでは、S/N比値がいずれも3未満となっており、陰性と判断できる。したがって、これらのプローブは、リゾクトニア・ソラニを検出するために、有効に機能していることがわかる。
[試験2]
検出対象の複数のカビのDNAにおける標的領域を同時に増幅させるマルチプレックスPCRを行った場合に、本実施形態のカビ検出用担体に固定化したプローブが有効に機能するかを確認するための試験を行った。
カビ検出用担体は、試験1と同じものを使用した。また、検出対象のカビも試験1と同じ4種類の菌株を使用した。
本試験では、コレトトリカム・アクタタム、フザリウム・ソラニ、アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニを、PDA培地を用いて、25℃の暗所で、7日間静置させてそれぞれ培養した。
そして、培養された各カビからコロニーを採取して混合し、この4菌種からなる試料を、φ0.5mmジルコニアビーズを入れたバイアル瓶に入れ、液体窒素に浸して試料を凍結した後、振盪装置を用いて、カビの細胞を破砕した。
次いで、DNA抽出装置によりカビのゲノムDNAを抽出して、PCR法により、各カビのITS領域及びβ−チューブリン遺伝子(アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニについてはITS領域のみ)を同時に増幅した。PCR法で用いたプライマーセットは、試験1におけるものと同一である。
PCR用反応液としては、Ampdirect(R)(株式会社島津製作所製)を使用し、次の組成のものを20μl作成した。
1.Ampdirect(G/Crich) 4.0μl
2.Ampdirect(addition-4) 4.0μl
3.dNTPmix 1.0μl
4.Cy-5dCTP 0.2μl
5.ITS1-Fw primer(2.5μM) 1.0μl
6.ITS1-Rv primer(2.5μM) 1.0μl
7.BtF primer(10μM) 1.0μl
8.BtR primer(10μM) 1.0μl
9.Template DNA(1.0μl/菌株)(100pg/μl) 1.0μl×4
10.NovaTaq HotStart DNA polymerase 0.2μl
11.水(全体が20.0μlになるまで加水)
上記各PCR用反応液を使用して、核酸増幅装置(TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(R) Gradient タカラバイオ株式会社製)により、試験1と同条件でDNAの増幅を行った。
次に、PCR増幅産物に緩衝液(3×SSCクエン酸−生理食塩水+0.3%SDS)を混合して、94℃で5分間加温し、カビ検出用担体(DNAチップ)に滴下した。このカビ検出用担体を45℃で1時間静置し、上記緩衝液を用いてハイブリダイズしなかったPCR産物をDNAチップから洗い流した。
そして、標識検出装置(GenePix4100A Molecular Devices社製)を用いて、カビ検出用担体に固定化された各プローブにおける蛍光強度を測定し、各プローブにおけるS/N比値を取得した。その結果を図3に示す。
以上のように、コレトトリカム・アクタタム、フザリウム・ソラニ、アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニのDNAにおける標的領域を1つのPCR反応液により同時に増幅し、得られた増副産物を各プローブにハイブリダイズさせた結果、コレトトリカム・アクタタムを検出するための配列番号1のプローブでは、S/N比値が3以上となっており、同配列番号2に示される塩基配列のプローブでは、S/N比値が3未満となっている。これらの結果から、コレトトリカム・アクタタムについて、陽性と判断できる。
また、フザリウム・ソラニを検出するための配列番号3、4のプローブでは、S/N比値が共に3以上となっており、フザリウム・ソラニについて、陽性と判断できる。
さらに、アルタナリア・ソラニを検出するための配列番号5のプローブでは、S/N比値が3以上となっており、アルタナリア・ソラニについて、陽性と判断できる。
また、リゾクトニア・ソラニを検出するための配列番号6のプローブでは、S/N比値が3以上となっており、リゾクトニア・ソラニについて、陽性と判断できる。
したがって、本実施形態のカビ検出用担体に固定化したプローブは、検出対象の複数のカビのDNAにおける標的領域を同時に増幅させるマルチプレックスPCRを行った場合にも、有効に機能することが確認された。
[試験3]
本実施形態のカビ検出用担体に固定化したプローブが、検出対象以外のカビのDNAにおける標的領域の増幅産物とはハイブリダイズせず、偽陽性反応を生じないことを確認するための試験を行った。
カビ検出用担体は、試験1と同じものを使用した。
検出対象以外のカビとしては、独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室(Japan Collection of Microorganisms)及び独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NITE Biological Resource Center)から入手した菌株を使用した。具体的には、以下の6種類のカビの菌株を使用した。
(1)アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus) JCM10252
(2)ケトミウム・グロボサム(Chaetomium globosum) NBRC6347
(3)カーブラリア・ルナータ(Curvularia lunata) NBR100165
(4)ユーロチウム・レペンス(Eurotium repens) JCM1580
(5)ペニシリウム・デジタタム(Penicillium digitatum) JCM9863
(6)フォーマ・デストラクティバ(Phoma destructiva) NBRC7482
これらのカビを菌株毎に、PDA培地を用いて、25℃の暗所で、7日間静置させて培養した。
さらに、培養したカビのコロニーを採取し、φ0.5mmジルコニアビーズを入れたバイアル瓶に個別に入れ、液体窒素に浸して試料を凍結した後、振盪装置を用いて、カビの細胞を破砕した。
次いで、DNA抽出装置によりカビのゲノムDNAを抽出して、PCR法により、試験1と同様にして、各カビのITS領域及び/又はβ−チューブリン遺伝子の増幅反応を菌株毎に行った。
次に、PCR増幅産物に緩衝液(3×SSCクエン酸−生理食塩水+0.3%SDS)を混合して、94℃で5分間加温し、上記カビ検出用担体(DNAチップ)に滴下した。このカビ検出用担体を45℃で1時間静置し、上記緩衝液を用いてハイブリダイズしなかったPCR産物をDNAチップから洗い流した。
そして、標識検出装置(BIOSHOT(R),東洋鋼鈑株式会社製)を用いて、カビ検出用担体に固定化された各プローブにおける蛍光強度を測定して、各プローブにおけるS/N比値を取得した。その結果を図3に示す。
以上のように、アスペルギルス・フラバス、ケトミウム・グロボサム、カーブラリア・ルナータ、ユーロチウム・レペンス、ペニシリウム・デジタタム、及びフォーマ・デストラクティバのDNAにおける標的領域の増幅反応を行い、得られた増副産物を各プローブにハイブリダイズさせた結果、配列番号1〜6のプローブにおけるS/N比値は、いずれも3未満となっており、陰性と判断できる。したがって、本実施形態のカビ検出用担体における各プローブは、検出対象以外のこれらのカビについて偽陽性反応を生じず、有効に機能していることがわかる。
本発明は、以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態のカビ検出用担体において、各プローブを1スポットずつ、又は複数スポットずつ固定化することができる。また、本実施形態の検出対象カビ以外のカビを検出するためのその他のプローブを、本実施形態におけるプローブと共に固定化することもでき、適宜変更することが可能である。
本発明は、植物病害の病原菌であるコレトトリカム・アクタタム、フザリウム・ソラニ、アルタナリア・ソラニ、及びリゾクトニア・ソラニを特異的かつ多重に検出する場合に好適に利用することが可能である。

Claims (4)

  1. 以下の(a)、(b)、又は(c)に記載の塩基配列を有するプローブ群から選択された二以上のプローブを固定化したことを特徴とするカビ検出用担体。
    (a)配列番号1〜6に示す塩基配列を有するプローブ。
    (b)配列番号1〜6に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるプローブ。
    (c)(a)又は(b)のプローブに対して相補的な塩基配列を有するプローブ。
  2. コレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号1に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号2に示す塩基配列を有するプローブからなる第一のプローブ群、
    フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号3に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号4に示す塩基配列を有するプローブからなる第二のプローブ群、
    アルタナリア・ソラニ(Alternaria solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号5に示す塩基配列を有するプローブからなる第三のプローブ群、並びに、
    リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号6に示す塩基配列を有するプローブからなる第四のプローブ群の各群からそれぞれ選択されたプローブを固定化したことを特徴とする請求項1記載のカビ検出用担体。
  3. 検出対象のカビのDNAにおける標的領域をPCRにより増幅させて、増幅産物の有無を確認する工程を含むカビの検出方法であって、
    PCR用反応液に、配列番号7に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号8に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるITS領域を増幅させるためのプライマーセット、及び、配列番号9に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号10に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるβ−チューブリン遺伝子を増幅させるためのプライマーセットと、試料とを含有させ、
    前記試料に、コレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、アルタナリア・ソラニ(Alternaria solani)、及びリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の少なくともいずれかのDNAが含有されている場合、
    前記PCR用反応液を使用して、前記試料に含有されるDNAにおける標的領域を増幅させ、
    得られた増幅産物を、請求項1又は2記載のカビ検出用担体に滴下して、相補的な塩基配列を有するプローブと結合させる
    ことを特徴とするカビの検出方法。
  4. 検出対象のカビのDNAにおける標的領域を増幅させるためのプライマーセットと、増幅産物の有無を確認するためのプローブが固定された担体を含むカビ検出用キットであって、
    前記プライマーセットが、
    配列番号7に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号8に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるITS領域を増幅させるためのプライマーセット、及び、配列番号9に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号10に示す塩基配列からなるリバースプライマーからなるβ−チューブリン遺伝子を増幅させるためのプライマーセットを含み、
    前記担体が、
    コレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号1に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号2に示す塩基配列を有するプローブからなる第一のプローブ群、
    フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号3に示す塩基配列を有するプローブ、及び、β−チューブリン遺伝子から選択された配列番号4に示す塩基配列を有するプローブからなる第二のプローブ群、
    アルタナリア・ソラニ(Alternaria solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号5に示す塩基配列を有するプローブからなる第三のプローブ群、並びに、
    リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)を検出するための、ITS領域から選択された配列番号6に示す塩基配列を有するプローブからなる第四のプローブ群の各群からそれぞれ選択されたプローブを固定化した
    ことを特徴とするカビ検出用キット。
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