JP5718575B2 - 特定カビ検出用マイクロアレイ、及び特定カビ検出用マイクロアレイの使用方法 - Google Patents

特定カビ検出用マイクロアレイ、及び特定カビ検出用マイクロアレイの使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、環境中の真菌を分子生物学的手法によって検出するためのカビ検出技術に関し、特に図書館や文化財保管場などにおける乾燥状態で多く発生する特定カビを検出するための特定カビ検出用マイクロアレイ、及びその使用方法に関する。
図書館や文化財保管場などは、図書や文化財が損傷しないように、空気環境が管理され、高湿度を好む一般的なカビは比較的生えにくい環境となっている。
しかしながら、カビには、60〜70%RHやそれ以下の低湿度下で多く発生する好乾性カビも存在する。このようなカビとしては、例えばユーロチウム属(Eurotium spp.)における各種カビ、及びアスペルギルス属におけるアスペルギルス ペニシリオイデス種(Aspergillus penicillioides)のカビ(以下、これらを特定カビ、対象カビ又は検出対象カビと称する場合がある)を挙げることができる。
これらのカビは、図書館や文化財保管場のような乾燥した環境下においても繁殖するカビであり、その繁殖によって図書や文化財に害を与える危険性をもっている。
したがって、その繁殖を防止するために、これらのカビを定期的に測定検出することは、図書及び文化財保護のために重要である。
一方、これらのカビのような空中浮遊真菌類(糸状菌、酵母等)を採取するためには、通常1週間から10日以上を要する上、その同定を行うためには、さらに多くの日数を要するという問題があった。また、同定には熟練した専門家が必要であり、一般の人が手軽に行い得るものではなかった。
すなわち、従来、一般的には、カビを培養してコロニーを形成させ、肉眼及び顕微鏡による観察を行うことで同定を行っていたため、カビの採取を開始してからその同定を完了するまでには、およそ3〜4週間という長期間を要するという問題があった。また、担当者の技量によって、カビの検出精度が異なってしまうという問題もあった。
これに対し、カビの同定を分子生物学的手法により行うことも提案されている。
例えば、特許文献1には、所定のプライマーを用いてカビのDNAを増幅し、得られた増幅産物の電気泳動を行うことで、対象となるカビの存否を検出する方法が記載されている。
また、特許文献2及び3には、所定のプライマーを用いてカビやダニのDNAを増幅するとともに、カビやダニを検出するための所定のプローブを用い、増幅したDNA断片を、プローブにハイブリダイズさせることにより検出する方法が記載されている。
これらの検出方法によれば、カビの培養を行う必要がないため、カビの検出に要する時間を大きく低減することが可能である。
特開2006−61152号公報 特開2007−202462号公報 特開2008−35773号公報
しかしながら、これらの方法を用いても、上述したユーロチウム属のカビとアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビは、検出精度が低く、夾雑物が存在する場合には、ほとんど検出できないという問題があった。
その主たる原因は、これらのカビのDNAがGCリッチな配列を有する(二本鎖DNAにおいて、3つの水素結合により対合するGとCの対の割合が相対的に多く存在する)点にあると考えられる。すなわち、このGCリッチな配列により、PCR(polymerase chain reaction ポリメラーゼ連鎖反応)においてDNAが乖離しにくく、また乖離しても二次構造を形成しやすく、十分に増幅できないためであると推定される。
その結果、これらのカビのDNAの増幅産物は得られにくく、検出精度が低かったと考えられる。さらに、夾雑物が存在する場合には、このような低い検出精度が一層低下するため、現実の環境下でこれらのカビを特定して検出することはできず、実用的なレベルでの検出を行うことは非常に困難であった。
また、特許文献1のカビ検出方法では、カビの18SrDNA領域を増幅しているが、これらは真菌類において共通性に富む遺伝子領域であるため、多種多様な真菌類の同領域が増幅されてしまう。このため、得られたDNA断片の存否を、電気泳動により検出しても、真菌類の存否を検出できるのみであり、種は勿論のこと、属や科を特定することはできなかった。
また、特許文献2及び3には、検出対象のカビとしてアスペルギルス属のカビが記載されているが、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビについては記載されておらず、当該種類のカビを特定して検出することはできない。また、ユーロチウム属のカビとしてユーロチウム ヘルバリオルム種(Eurotium herbariorum)が記載されているが、ユーロチウム属レベルの検出については、記載されていない。
すなわち、特許文献2及び3に記載の発明によれば、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビ、及びユーロチウム属のカビを特定して、その存否を的確に検出することはできなかった。
そこで、本発明者らは鋭意研究し、ユーロチウム属とアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビを好適に特定し得る新規プローブを開発することに成功し、本発明を完成させた。また、これらのカビの検出精度を向上させることができる新規プライマー対を開発することにも成功した。さらに、PCR反応液中に所定の割合のジメチルスルホキシド(DMSO)を加えることで、検出精度を顕著に向上させることに成功した。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、好乾性カビであるユーロチウム属とアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビを検出するための新規プローブを固定化した特定カビ検出用のマイクロアレイを提供することを目的とする。また、これらのカビの検出精度を向上させ得る新規プライマー対及び/又はジメチルスルホキシドを含有するPCR反応液を用いて得られた増幅産物を新規プローブにハイブリダイズさせることで、これらの特定カビを夾雑物の存在下でも検出可能とする特定カビ検出用マイクロアレイ、及び特定カビ検出システムの使用方法を提供することを目的とする。
本発明の特定カビ検出用マイクロアレイは、配列番号1〜9のいずれかに示す塩基配列を有するプローブ、及び、配列番号1〜9のいずれかに示す塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するプローブからなる群より選択された少なくとも1のプローブを固定化した構成としてある。
また、本発明の特定カビ検出用マイクロアレイにおいて、配列番号3に示す塩基配列を有するプローブと、配列番号1に示す塩基配列を有するプローブ及び/又は配列番号2に示す塩基配列を有するプローブと、を固定化し、ユーロチウム属(Eurotium spp.)のカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、固定化されたプローブにハイブリダイズさせ、ユーロチウム属のカビを検出する構成とすることも好ましい。
また、本発明の特定カビ検出用マイクロアレイにおいて、配列番号7に示す塩基配列を有するプローブと、配列番号6に示す塩基配列を有するプローブ及び/又は配列番号8に示す塩基配列を有するプローブと、を固定化し、アスペルギルス ペニシリオイデス種(Aspergillus penicillioides)におけるアスペルギルス ペニシリオイデス系統のカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、固定化されたプローブにハイブリダイズさせ、アスペルギルス ペニシリオイデス系統のカビを検出する構成とすることも好ましい。
また、本発明の特定カビ検出用マイクロアレイにおいて、配列番号5に示す塩基配列を有するプローブと、配列番号4に示す塩基配列を有するプローブ及び/又は配列番号9に示す塩基配列を有するプローブと、を固定化し、アスペルギルス ペニシリオイデス種(Aspergillus penicillioides)におけるアスペルギルス ビトリコラ系統のカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、固定化されたプローブにハイブリダイズさせ、アスペルギルス ビトリコラ系統のカビを検出する構成とすることも好ましい。
また、本発明の特定カビ検出用マイクロアレイにおいて、配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号11に示す塩基配列からなるプライマーを備えたプライマー対と、試料のゲノムDNAと、核酸合成酵素と、核酸合成基質とを含有するPCR反応液を使用して、PCR法により核酸が増幅され、試料のゲノムDNAに、ユーロチウム属のカビ、及び/又は、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのDNAが含まれている場合、これらのカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、固定化されたプローブにハイブリダイズさせることにより特定する構成とすることも好ましい。
また、本発明の特定カビ検出用マイクロアレイにおいて、上記PCR反応液が、ジメチルスルホキシドを終濃度で0.5〜7容量%含有する構成とすることも好ましい。
また、本発明の特定カビ検出用マイクロアレイの使用方法は、ユーロチウム属(Eurotium spp.)のカビ、又は、アスペルギルス属におけるアスペルギルス ペニシリオイデス種(Aspergillus penicillioides)のカビを検出するための特定カビ検出用マイクロアレイに、配列番号1〜9のいずれかに示す塩基配列を有するプローブ、及び、配列番号1〜9のいずれかに示す塩基配列に対して相補的な塩基配列を有するプローブからなる群より選択された少なくとも1のプローブを固定化し、配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号11に示す塩基配列からなるプライマーを備えたプライマー対と、試料のゲノムDNAと、核酸合成酵素と、核酸合成基質とを含有するPCR反応液を使用して、PCR法により核酸を増幅し、試料のゲノムDNAに、ユーロチウム属のカビ、及び/又は、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのDNAが含まれている場合、これらのカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、固定化されたプローブにハイブリダイズさせることにより特定する方法としてある。
また、本発明の特定カビ検出用マイクロアレイの使用方法において、上記PCR反応液に、ジメチルスルホキシドを終濃度で0.5〜7容量%含有させることも好ましい。
本発明によれば、マイクロアレイを用いた特定カビの検出において、ユーロチウム属のカビ、及びアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビの検出感度を大きく向上させることができ、夾雑菌の存在下、対象カビ濃度が低濃度であってもこれらをそれぞれ選択的に検出することが可能となる。
本発明の実施形態における新規プライマー対のカビ遺伝子における位置を示す図である。 実施例1−6、参考例1の試験結果を示す図である。 実施例、参考例で使用したゲノムの種類と菌株を示す図である。 実施例7−13の試験結果を示す図である。 実施例14−18、参考例2,3の試験結果を示す図である。 本発明の実施形態におけるプライマーの影響について示す図である。 本発明の実施形態におけるDMSO濃度の影響について示す図である。 本発明の実施形態におけるDMSO濃度とプライマーの影響について示す図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
[マイクロアレイ]
本実施形態のマイクロアレイは、本実施形態の検出対象である特定カビを検出するための所定のプローブの少なくともいずれか1つを、基板上に固定化したものであれば特に限定されるものではなく、例えばスポット型DNAマイクロアレイ、合成型DNAチップなどを用いることができる。
本実施形態の対象カビを検出するためのプローブは、配列番号1〜9によりそれぞれ特定される塩基配列からなるDNA断片である。このうち、配列番号1、配列番号2、配列番号3により特定されるものが、ユーロチウム属のカビを検出するためのプローブであり、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9により特定されるものが、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビを検出するためのプローブである。
これらの検出対象カビは、60〜70%RH、あるいはそれ以下の低湿度下で多く発生する、好乾性カビである。このような好乾性カビは、低湿度に保たれている図書館や文化財保管場などでも生育し、図書や文化財を損傷し得るものである。
本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイは、上記プローブにより、これらの特定カビをそれぞれ選択的に高感度で検出することができる。
なお、より詳細に系統まで考慮すれば、配列番号4、配列番号5、配列番号9は、アスペルギルス ビトリコラ(Aspergillus vitricola)の系統を検出するためのプローブであり、配列番号6、配列番号7、配列番号8は、アスペルギルス ペニシリオイデス(Aspergillus penicillioides)の系統を検出するためのプローブである。分類学は発展途上にあり、現在の通説では、これらはいずれもアスペルギルス ペニシリオイデス種として取り扱われている。
これらの対象カビを検出するためのプローブは、いずれもそれぞれのカビのrDNAのITS1領域を探索して得られた塩基配列にもとづき作成されたものである。
ここで、配列番号3のプローブによれば、実施例において後述するように、ユーロチウム属における、環境下で一般によく検出される頻出種である主要6種の菌株のDNAを検出することが可能である。このため、配列番号3のプローブを使用することで、実用上は、ユーロチウム属に存在するほとんどのカビを特定的に検出することが可能になっている。本実施形態では、この配列番号3のプローブと共に、配列番号1及び配列番号2のプローブを補助的に使用することで、検出の確実性を向上させている。また、配列番号3のプローブと共に、配列番号1及び配列番号2のプローブのうちいずれか一方を補助的に使用してもよい。
配列番号1は、ユーロチウム属におけるヘルバリオルム種(Eurotium herbariorum)のカビのrDNAのITS1領域から、配列番号2は、ユーロチウム属におけるトノフィラム種(Eurotium tonophilum)のカビのrDNAのITS1領域から、それぞれ選択されたものである。
例えば、配列番号3のプローブが何らかの理由によりマイクロアレイに適切に固定化されなかった場合など、当該プローブでは検出できない場合に、配列番号1又は2のプローブによる検出が行われていれば、新たなマイクロアレイを使用して再確認を行うことができ、検出の確実性を向上させることが可能となる。
配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9は、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビに特異的な配列であり、これらの配列からなるプローブは、上述したように、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビを選択的に検出することが可能である。
ここで、後述する実施例によれば、アスペルギルス ペニシリオイデス種におけるアスペルギルス ペニシリオイデス系統のカビについては、配列番号7のプローブの蛍光強度が最も大きくなっている。このため、配列番号7のプローブを主たるプローブとして用いると共に、配列番号6のプローブ、及び/又は、配列番号8のプローブを補助的なプローブとして使用することも好ましい。これにより、アスペルギルス ペニシリオイデス系統のカビの検出の確実性を向上させることが可能となる。
また、同様に、アスペルギルス ペニシリオイデス種におけるアスペルギルス ビトリコラ系統のカビについては、配列番号5のプローブの蛍光強度が最も大きくなっている。このため、配列番号5のプローブを主たるプローブとして用いると共に、配列番号4のプローブ、及び/又は、配列番号9のプローブを補助的なプローブとして使用することも好ましい。これにより、アスペルギルス ビトリコラ系統のカビの検出の確実性を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイに、配列番号1〜9の全てのプローブを固定化することで、ユーロチウム属及びアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビを同時に、かつそれぞれを特定して検出することが可能となる。
[プローブの合成]
本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイに固定化される上記プローブは、いずれも20mer(塩基)程度の長さであり、DNA合成装置により合成できる。
後述する実施例で用いた本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイに固定化した配列番号1〜9の配列からなる各プローブは、いずれもDNA合成装置により合成したものを使用している。
なお、後述する実施例で用いた配列番号10及び11の配列からなるプライマー対も同様に20mer(塩基)程度の長さであり、DNA合成装置により合成したものを使用している。
また、本実施形態における配列番号1〜9の配列からなる各プローブとしては、当該配列そのものに限定されず、配列番号1〜9に示す塩基配列において1又は数個の塩基が欠損、置換又は付加されたプローブを用いることができ、また配列番号1〜9に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるプローブを用いることもできる。また、これらのプローブや、配列番号1〜9に示す塩基配列からなるプローブに対して相補的な塩基配列を有するプローブを用いることもできる。
なお、ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、配列番号1で表される配列からなるDNAに対し高い相同性(相同性が90%以上、好ましくは95%以上)を有するDNAが、配列番号1で表される配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAと、ハイブリダイズする条件が挙げられる。通常、完全ハイブリッドの溶解温度(Tm)より約5℃〜約30℃、好ましくは約10℃〜約25℃低い温度でハイブリダイゼーションが起こる場合をいう。ストリンジェントな条件については、J.Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Mannual,Second Edition,Cold Spring
Harbor Laboratory Press(1989)、特に11.45節「Conditions for Hybridization of Oligonucleotide Probes」に記載されている条件等を使用することができる。
なお、配列番号10及び11の配列からなるプライマー対についても同様に、当該配列そのものに限定されず、配列番号10に示す塩基配列において1又は数個の塩基が欠損、置換又は付加されたプライマー、及び配列番号11に示す塩基配列において1又は数個の塩基が欠損、置換又は付加されたプライマーを備えたプライマー対を用いることができる。また、配列番号10に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる核酸断片からなるプライマー、及び配列番号11に示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる核酸断片からなるプライマーを備えたプライマー対を用いることもできる。
[マイクロアレイの作成]
本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイは、配列番号1〜9の配列をそれぞれ備えたプローブを用いて、既存の一般的な方法で製造することができる。
例えば、本実施形態のマイクロアレイとして、貼り付け型のDNAマイクロアレイを作成する場合は、DNAスポッターによりプローブをスライドガラス上に固定化することによって、作成することができる。また、合成型DNAチップを作成する場合は、光リソグラフィ技術により、ガラス基板上で上記配列を備えた一本鎖オリゴDNAを合成することによってプローブを生成し、本実施形態のマイクロアレイを作成することができる。
[特定カビ検出用マイクロアレイの使用方法]
本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイは、図書館や文化財保管場等の室内空気から採取された試料に、ユーロチウム属のカビ、及び/又は、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビが存在するか否かを検出するために使用する。
このため、本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイは、以下の工程により、例えば室内空気から採取された試料のDNAをPCR法により増幅し、得られた増幅産物を当該マイクロアレイに固定化したプローブにハイブリダイズさせることで使用する。
まず、後述する専用のPCR反応液を用いて、核酸増幅装置により試料に含まれる特定のDNA領域を増幅する。
そして、得られた増幅産物を本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイ上のプローブにハイブリダイズさせ、標識検出装置により増幅産物の標識を検出することで、試料に特定カビのDNAが含まれているか否かを検出する。
次に、本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイの使用方法について、カビの採取工程から詳細に説明する。
(1)カビの採取
まず、エアーサンプラーを用いて、図書館や文化財保管場の室内空気を採取する。採取した空気を専用培地に吹き付けて培養する。培地としては、好乾性カビの生育に適したM40Y培地やジクロラン-グリセロール(DG−18)寒天培地などをエアーサンプラー用にストリップ形状にしたものを使用することが好ましい。培養条件としては、25℃で暗所に65時間以上静置することが好ましい。
次に、1ストリップ中のコロニーを一括して採取し、事前にφ0.5mmジルコニアビーズを入れたねじ口バイアル瓶に入れる。ねじ口バイアル瓶ごと液体窒素に浸して試料を凍結し、振盪装置により試料を破砕する。
(2)DNAの抽出
試料からのゲノムDNAの抽出は、CTAB法(Cetyl trimethyl ammonium bromide)による方法やDNA抽出装置を用いる方法など、一般的な手法により行うことができる。
(3)PCR法による特定カビのrDNAにおけるITS1領域の増幅
本実施形態における特定カビのDNA増幅用プライマー対(配列番号10及び11のプライマー対)と、DMSO(ジメチルスルホキシド,終濃度で0.5〜7容量%(以下、単に%と称する場合がある))、試料のゲノムDNA(DNA抽出液)、及び上述したその他の所定の試薬を混合して、本実施形態のPCR反応液を作成する。
なお、DMSOは、融点が18℃付近の単体の有機化合物であり、室温では通常液体状態となっている。
本実施形態で使用するPCR反応液は、例えばAmpdirect(R)(株式会社島津製作所製)に規定の処方に従って作成することができる。
なお、本実施形態で使用するPCR反応液にはDMSOが含まれるが、酵素は高濃度のDMSOによって容易に破壊され得る。このため、DNA合成酵素はPCR反応液に最後に混合し、混合後は、核酸増幅装置により直ちに増幅反応を開始させることが好ましい。
本実施形態において特定カビのDNA増幅用プライマー対(配列番号10及び11のプライマー対)を使用する場合、核酸増幅装置のPCR反応条件は、高い増幅効果を得るために、次のようなものにすることが好ましい。
(a)DNA鎖の乖離(DNA変性)工程 93〜97℃ 20〜40秒
(b)プライマーの対合(アニーリング)工程 50〜60℃ 10〜50秒
(c)DNA合成工程 70〜74℃ 50〜70秒
具体的には、PCR反応条件を、例えば次のようなものにすることが好ましい。
(i)95℃ 10分、(ii)95℃ 30秒、(iii)56℃ 30秒、(iv)72℃ 60秒((ii)〜(iv)を40サイクル)、(v)72℃ 10分、(vi)4℃ ∞(保持)
(4)マイクロアレイによるハイブリダイズ及び蛍光検出
次に、PCR増幅産物をマイクロアレイ上に滴下して、本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイに固定化されたプローブにハイブリダイスしたPCR増幅産物の標識を検出する。
具体的には、例えば次のように行うことができる。
まず、PCR増幅産物に所定の緩衝液を混合し、94℃で5分間加温することで、二本鎖DNAを一本鎖に乖離させる。これを氷上にて急冷し、マイクロアレイに滴下する。
次に、マイクロアレイを45℃で1時間静置し、その後、所定の緩衝液によりハイブリダイスしなかったPCR産物をマイクロアレイから洗い流す。
そして、マイクロアレイを標識検出装置にかけて標識の検出を行い、試料中に特定カビが存在するか否かを検出する。
[PCR反応液]
本実施形態で使用するPCR反応液は、例えば以下のような組成とすることが好ましい。すなわち、核酸合成基質(dNTPmixture(dCTP;400μM、dATP、dTTP、dGTP;500μM each) 5容量%)、フォワードプライマー(Forward primer(10pmol/μl) 5容量%)、リバースプライマー(Reverse primer(10pmol/μl) 5容量%)、核酸合成酵素(NovaTaq 1容量%)、標識成分(1mM Cy5−dCTP 1容量%)、ジメチルスルホキシド(DMSO 2容量%)、試料のゲノム(所定量、例えば0.1ng〜300ng)、緩衝液(60容量%)、及び残りの容量%の成分として水を含むものとすることが好ましい。なお、緩衝液は、例えばAmpdirect(R)(株式会社 島津製作所)のPCR処方における緩衝液として、Amp addition−1、Amp addition−2、及びAmpdirectをそれぞれ20容量%ずつ含有させることができる。
このPCR反応液において、特定カビのDNA増幅用のプライマー対のフォワードプライマー(正プライマー)としては、配列番号10の配列からなるものを使用し、リバースプライマー(逆プライマー)としては、配列番号11の配列からなるものを使用する。
図1に示すように、フォワードプライマーは、真菌類のrDNA(リボソームDNA)における18Sから選択された配列からなる新規プライマーである。また、リバースプライマーは、同5.8Sから選択された配列からなる新規プライマーである。
なお、塩基配列には方向性があり、配列番号に示される塩基配列は、5’末端から3’末端方向の配列を示している。
これらの新規プライマー対を用いた場合、検出対象の特定カビであるユーロチウム属のカビ、又はアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのゲノムDNAを増幅すると、同図に示すように、主としてITS1領域の塩基配列からなるおよそ250〜330bp(base pair 塩基対)の短鎖の増幅産物が得られる。
これらの新規プライマー対を用いて、例えばユーロチウム属のカビ(JCM1575 Eurotium herbariorum(F.H.Wiggers)Link)のDNAを増幅した場合、258bpの増幅産物が得られる。また、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビ(JCM22961 Aspergillus penicillioides Spegazzini)のDNAを増幅した場合、309bpの増幅産物が得られる。
一方、フォワードプライマーとして配列番号10で表される塩基配列からなるプライマーを用い、かつリバースプライマーとして、例えば28Sにおける塩基配列からなる既存の各種プライマーを用いてこれらのカビのDNAを増幅する場合、後述する比較例2(配列番号10及び配列番号12のプライマー対を使用)に示されるように、ユーロチウム属のカビでは約580bp、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビでは約650bpの長鎖の増幅産物が得られる。
このように、本実施形態における特定カビのDNA増幅用のプライマー対(配列番号10及び11のプライマー対)を用いることにより、従来のおよそ1/2あるいはそれ以下の長さのDNA断片を得ることができる。本発明の発明者らは、このような短いDNA断片を使用することで、マイクロアレイに固定されたプローブとのハイブリダイズ効率を向上させることに成功している。
ここで、増幅産物の塩基長が250bp未満の場合、ユーロチウム属及びアスペルギルス ペニシリオイデス種のゲノムDNA中において、その短鎖の増幅産物を得るためのプライマー対と類似した配列が存在する可能性が高くなり、ITS1領域以外の部分が多数増幅される。その結果、対象カビが存在していても、蛍光強度が低下し、検出精度が低下する場合がある。また、このような部分の領域内に、本実施形態の新規プローブとハイブリダイズする配列が含まれていると、誤反応を引き起こし、対象カビを特定的に検出することが困難となる。一方、増幅産物の塩基長が330bpを上回る場合は、これ以下の場合と比較してハイブリダイズの効率が低くなり、検出感度が低下する場合がある。
また、DMSO(ジメチルスルホキシド)は、PCR反応において、鋳型となるゲノムDNAとプライマーとの非特異的な結合を抑制し、特異的な結合を促進する。また、10容量%濃度で約5℃程度、溶解温度(Tm,二本鎖DNA〈dsDNA〉の半分が一本鎖分子に乖離するのに必要な温度)を低下させることにより、DNAの変性(dsDNAの鎖状分子二本が、乖離して一本鎖のssDNAになること)を促進する。さらに、GC繰り返し配列などによる二次構造を抑制して直鎖状にする。すなわち、一本鎖DNAが捩れや折れ曲がりなど立体的な構造をとることを防止する。
本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイによる検出対象の特定カビのDNAは、GCリッチな塩基配列を有しているが、このようなDMSOの作用によって、GC配列が分離しやすくなり、また分離後の二次構造化を抑制することができ、増幅効率が顕著に向上したと推測される。特に実施例で示されるように、特定カビのDNAを本実施形態における新規プライマーを用いて増幅することにより、PCR反応液に単にDMSOを添加した場合に比較してより一層高い増幅効率を得ることができるようになっている。
その結果、本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイを使用することで、従来の手法では実用的なレベルでの検出が困難であった、ユーロチウム属のカビとアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビの検出精度を、大きく向上させることが可能となっている。
なお、DMSOは、上記のような効果がある一方、過剰に添加した場合には酵素活性を低下させる性質も有している。このため、本実施形態のPCR反応液を作成するにあたっては、成分の混合順序として、酵素(DNAポリメラーゼ)を最後に添加することが好ましい。また、多数の試料に対する検出を行う場合は、作業性を考慮して、酵素を最後から2番目に添加し、最後に試料のゲノムDNAを添加することが好ましい。さらに、酵素としては、ホットスタート機能を付加したもの(所定の高温(95℃などのDNA変性工程の温度)に曝されて初めて、DNA合成活性を発揮するように、修飾された酵素)を用いることが好ましい。いずれの場合にも、酵素を入れる前にDMSOを添加して、よく混合した上で、その濃度を終濃度で0.5〜7容量%になるようにしておくことが好ましい。また、終濃度で0.5〜5容量%になるようにすることがより好ましく、終濃度で5容量%になるようにすることがさらに好ましい。
PCR反応液におけるDMSOの終濃度が0.5容量%未満の場合は、DMSOの効果が小さく、特に夾雑ゲノムが混在する場合における、対象種であるユーロチウム属のカビ及びアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのDNAが増幅されにくくなるため、検出感度が低下する場合がある。一方、DMSOの終濃度が7容量%より大きい場合は、DNA合成酵素の活性が阻害されやすく、失活する場合もある。このため、対象種のみならず夾雑種も含めてDNA増幅が行われにくくなり、検出感度が低下するか、又は検出不能となるおそれがある。
PCR反応液におけるその他の成分、すなわち核酸合成基質、核酸合成酵素、標識成分、及び緩衝液等については、一般に使用されている試薬を適宜使用することができる。
[核酸増幅装置]
核酸増幅装置は、本実施形態における専用のPCR反応液を使用して、試料における特定カビのrDNAのITS1領域を増幅するPCR装置である。一般的なサーマルサイクラー(Thermal Cycler 温度制御装置)に、上記専用のPCR反応液を入れて構成することができる。
本実施形態のPCR反応液に含まれる特定カビのDNAを増幅可能な新規プライマー対は、試料中にユーロチウム属のカビ、及び/又は、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビが存在する場合には、そのrDNAのITS1領域を増幅することができる。
一方、従来のPCR反応液では、本実施形態の検出対象の特定カビのDNAを単独ではある程度までは増幅するものの、非対象の夾雑菌が並存していると、実用化可能なレベルで十分に増幅することはできなかった。
すなわち、従来のPCR反応液を用いた場合、試料中にユーロチウム属のカビ及び/又はアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビが存在していても、そのゲノムDNAの特性上、これを検出しうるまで効率的に増幅することは困難であった。また、試料中に、従来のプライマー対により増幅される夾雑菌が含まれている場合には、その夾雑菌のDNAが競合して増幅され、対象カビを十分に増幅して検出することが困難であった。
これに対して、本実施形態における上記専用のPCR反応液を用いれば、核酸増幅装置により、本実施形態の検出対象の特定カビのDNAをより効率的に増幅することができ、試料中にその他の夾雑菌が含まれている場合でも、本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイを用いて、特定カビを検出することが可能となっている。
具体的には、従来のPCR反応液では、検出対象カビが、混在ゲノムDNA中に少なくともEurotium spp.では1/6、A.penicillioidesでは1/3より多くなければ検出できなかった。また、PCR反応液10μl中に検出対象カビが0.2ng存在している場合、単独なら検出できたが、夾雑物(混在ゲノムDNA)が0.2ng存在すればもはや検出することが困難であった。このため、従来のPCR反応液は、様々なカビが存在し得る環境下で、特定カビを検出するために実用化できるものではなかった。
これに対し、本実施形態のPCR反応液では、以下の実施例で示されるように、夾雑物が6ng存在する場合でも、検出対象カビが0.1ng(100pg)存在すれば検出することが可能である。
なお、図1に示すように、本実施形態の増幅産物には、5.8S領域の配列も部分的に含まれるが、上述したように5.8S領域は真菌類に共通する配列を備えており、種を特定可能な配列はITS1領域にあることから、本実施形態のPCR反応液を用いて増幅される領域をITS1領域と称している。
[標識検出装置]
標識検出装置は、マイクロアレイ上でプローブにハイブリダイスした増幅産物(DNA断片)に結合している標識を検出する。この標識検出装置としては、蛍光スキャニング装置など一般的なものを用いることができる。
本実施形態では、PCR反応液に含まれるCy5−dCTPによって標識された増幅産物の蛍光強度を、標識検出装置により検出している。
なお、本実施形態の特定カビ検出システムにおいて使用する標識成分は、Cy5−dCTPに限定されるものではなく、放射性同位元素やジゴキシゲニンなどその他の標識成分を用いて標識することも可能である。
以上説明したように、本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイによれば、ユーロチウム属とアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビの検出精度を顕著に向上させることができ、誤検出等を大きく低減することが可能となる。
すなわち、本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイに固定化されたプローブのうち、配列番号1〜3からなるプローブは、ユーロチウム属のカビの検出に適した配列からなるものであり、配列番号4〜9からなるプローブは、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビの検出に適した配列からなるものである。これらのプローブを用いることにより、ユーロチウム属のカビとアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビを実用レベルで特異的に検出することが可能となっている。
また、本実施形態における特定カビのDNA増幅用プライマー対を用いることで、従来の半分以下の短い増幅産物を得ることができ、プローブとのハイブリダイズをより効率的に行うことが可能となっている。
さらに、本実施形態で用いられるPCR反応液にはDMSOが所定の濃度で含有されており、これによって、ユーロチウム属とアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのDNAの変性が促進されるとともに、二次構造の形成が抑制されてPCR反応の誤作動を低減させることができ、検出対象カビのDNAの増幅反応を促進させることが可能となっている。
また、このような短鎖の増幅産物を得ることができる新規プライマー対と、PCR反応液におけるDMSOの相乗効果により、ユーロチウム属のカビとアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビをより効率的に増殖でき、本実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイにより、これらのカビを優れた精度で検出することができるようになっている。
以下、本発明の特定カビ検出用マイクロアレイによるユーロチウム属のカビとアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビについての検出精度を確認するために行った実施例及び参考例について説明する。これらの実施例及び参考例では、いずれも配列番号1〜9のプローブを全て固定化した上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイを使用した。
(実施例1)
試験番号(1):対象ゲノム(ユーロチウム属のカビのみ)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
上記実施形態における特定カビのDNA増幅用の新規プライマー対(配列番号10及び11により特定される塩基配列からなるプライマー対)を含有し、DMSOを2容量%含有するPCR反応液を用いて、検出対象カビであるユーロチウム属の主要種1のカビ(A1,JCM1575 Eurotium herbariorum(F.H.Wiggers)Link)のゲノムDNAを増幅した。PCR反応液に夾雑物は含まれていない。そして、上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイを使用して、増幅産物をハイブリダイズさせ、蛍光検出を行った。
具体的には、PCR反応液として、Ampdirect(R)(株式会社島津製作所製)を使用し、次の組成のものを10μl作成した。
1.5×Amp addition−1 2.0μl
2.5×Amp addition−2 2.0μl
3.5×Ampdirect 2.0μl
4.核酸合成基質 dNTPmixture 0.5μl
(dCTP;400μM、dATP、dTTP、dGTP;500μM each)
5.フォワードプライマー(配列番号10:オペロンテクノロジー株式会社により合成) 0.5μl(10pmol/μl)
6.リバースプライマー(配列番号11:同上) 0.5μl(10pmol/μl)
7.核酸合成酵素 NovaTaq 0.1μl
8.標識成分 1mM Cy5−dCTP 0.1μl
9.対象カビ及び夾雑物のゲノム ユーロチウム属の主要種1のカビ(A1,JCM1575 Eurotium herbariorum(F.H.Wiggers)Link,(独)理化学研究所バイオリソースセンターより入手) 0.1ng(100pg)
10.水(全体が10.0μlになるまで加水)
このPCR反応液を使用して核酸増幅装置(TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(R) Gradient タカラバイオ株式会社製)により、次の条件でDNAの増幅を行った。
1.95℃ 10分
2.95℃ 30秒
3.56℃ 30秒
4.72℃ 60秒(2〜4を40サイクル)
5.72℃ 10分
6.4℃保持 ∞
マイクロアレイには、ジーンシリコン(R)(東洋鋼鈑株式会社製)を使用し、これに配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9によりそれぞれ特定される塩基配列からなるプローブと、これらに相補的なプローブとを固定化した。
次に、PCR増幅産物に緩衝液(3×SSC〈クエン酸−生理食塩水、株式会社ニッポンジーン社製〉に0.3%SDS〈ドデシル硫酸ナトリウム、株式会社ニッポンジーン社製〉を添加)を混合して94℃で5分間加温し、氷上にて急冷してマイクロアレイに滴下した。
このマイクロアレイを45℃で1時間静置した。次に、上記緩衝液を用いてハイブリダイスしなかったPCR産物をマイクロアレイから洗い流した。
そして、マイクロアレイを標識検出装置(GenePix4100A Molecular Devices社製)にかけて蛍光強度を測定した。蛍光強度は、レーザー光で励起して標識成分(Cy5)を発光させ、それを検出器内に取り付けた光電子倍増管(PMT)の受光面にて光量を電気信号に置換し、それを数値化することで測定した。この蛍光強度は、当該装置での強度指標であり、単位はなく、バックグラウンドの数値が0になるように補正して算出される。また、このようなマイクロアレイによる検出を、同じプローブを固定化した別個の4つのマイクロアレイでも同様に、同一の増幅産物を用いて行った。そして、各蛍光強度を測定し、5回の平均をとることで、プローブ毎の蛍光強度を算出した。その結果を図2に示す。
同図において、「試験番号」は、試験ごとに付された連番である。「実施例等」は、実施例、参考例の番号をそれぞれ「実」「参」の後に示す。「ゲノム」は、PCR反応液に含まれるゲノムDNAの種類と量を示し、「ユーロ混入(ng)」にはユーロチウム属のカビの種類と量が、「アスペル混入」にはアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビの種類と量が、「夾雑物混入」には夾雑物のカビの種類と量が、それぞれ表示されている。「↑」は上欄と同条件であることを示している。また、蛍光強度30以上を太枠で示している。図4以降の試験結果についても同様である。また、実施例及び参考例で用いたカビの種類について、図3に示す。
(実施例2)
試験番号(2):対象ゲノム(アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのみ)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムとして、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビ(B1,アスペルギルス ペニシリオイデス,JCM22961 Aspergillus penicillioides Spegazzini)のゲノムDNAのみを0.1ng用いた点以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を図2に示す。
(実施例3)
試験番号(3):対象ゲノム(アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのみ)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムとして、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビ(B2,アスペルギルス ビトリコラ,NBRC8155 Aspergillus penicillioides(Synonym Aspergillus vitricola Otsuki))のゲノムDNAのみを0.1ng用いた点以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を図2に示す。
(参考例1)
試験番号(4):対象ゲノムなし、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液に、対象ゲノム及び夾雑物を混入させることなく、その他の条件は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を図2に示す。
(実施例4)
試験番号(5):対象ゲノム(ユーロチウム属のカビと夾雑物のみ)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムとして、ユーロチウム属のカビ(A1)のゲノムDNAのみを0.1ng用いるとともに、夾雑物(C,NBRC4026 Alternaria alternata(Fries)Keissler,NBRC6348 Cladosporium cladosporioides(Fresenius)de Vries,(独)製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門より入手,各3ng、合計6ng)をPCR反応液に添加した点以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を図2に示す。
(実施例5)
試験番号(6):対象ゲノムではないアスペルギルス ペニシリオイデスの近縁種のDNA(AV,AR)を含む、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムとして、ユーロチウム属のカビのゲノムと共に、アスペルギルス ペニシリオイデス種の近縁種のカビとして、アスペルギルス レストリクタス(AR,JCM1727 Aspergillus restrictus G.Smith,(独)理化学研究所バイオリソースセンターより入手)、及びアスペルギルス ヴェルシカラー(AV,JCM10258 Aspergillus versicolor(Vuillemin)Tiraboschi,(独)理化学研究所バイオリソースセンターより入手)のゲノムDNAをそれぞれ0.1ng用いた点以外は、実施例4と同様にして試験を行った。その結果を図2に示す。
(実施例6)
試験番号(7):対象ゲノム(アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビと夾雑物のみ)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムとして、ユーロチウム属のカビのゲノムを含有させることなく、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビ(B1)のゲノムDNAを0.1ng用いた点以外は、実施例4と同様にして試験を行った。その結果を図2に示す。
(実施例7)
試験番号(8):対象ゲノム(ユーロチウム属の主要種A2)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムのうち、ユーロチウム属のカビとして、その他の主要種2のカビ(A2,NBRC8157 Eurotium tonophilum Otsuki)のゲノムDNAを0.1ng用いると共に、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビ(B1)のゲノムDNAを0.1ng用いた点以外は、実施例4と同様にして試験を行った。その結果を図4に示す。
(実施例8)
試験番号(9):対象ゲノム(ユーロチウム属の主要種A3)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムのうち、ユーロチウム属のカビとして、その他の主要種3のカビ(A3,JCM1568 Eurotium chevalieri L.Mangin)のゲノムDNAを0.1ng用いた点以外は、実施例7と同様にして試験を行った。その結果を図4に示す。
(実施例9)
試験番号(10):対象ゲノム(ユーロチウム属の主要種A4)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムのうち、ユーロチウム属のカビとして、その他の主要種4のカビ(A4,JCM1565 Eurotium amstelodami Mangin)のゲノムDNAを0.1ng用いた点以外は、実施例7と同様にして試験を行った。その結果を図4に示す。
(実施例10)
試験番号(11):対象ゲノム(ユーロチウム属の主要種A5)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムのうち、ユーロチウム属のカビとして、その他の主要種5のカビ(A5,JCM1580 Eurotium repens de Bary)のゲノムDNAを0.1ng用いた点以外は、実施例7と同様にして試験を行った。その結果を図4に示す。
(実施例11)
試験番号(12):対象ゲノム(ユーロチウム属の主要種A6)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムのうち、ユーロチウム属のカビとして、その他の主要種6のカビ(A6,JCM22942 Eurotium rubrum Konig et al.)のゲノムDNAを0.1ng用いた点以外は、実施例7と同様にして試験を行った。その結果を図4に示す。
(実施例12)
試験番号(13):対象ゲノム(アスペルギルス ビトリコラ B2)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムとして、ユーロチウム属のカビのゲノム(A1 0.1ng)と共に、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのうち、B1と同種かつ別個の系統のアスペルギルス ビトリコラ(B2,NBRC8155 Aspergillus penicillioides(Synonym Aspergillus vitricola Otsuki))のゲノムDNAを0.1ng用いた点以外は、実施例4と同様にして試験を行った。その結果を図4に示す。
(実施例13)
試験番号(14):対象ゲノム(アスペルギルス ペニシリオイデス2種 B1,B2)あり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
PCR反応液における対象ゲノムとして、ユーロチウム属のカビのゲノム(A1 0.1ng)と共に、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのうち、B1とB2の両方のDNAをそれぞれ0.1ng用いた点以外は、実施例4と同様にして試験を行った。その結果を図4に示す。
(実施例14)
試験番号(15):対象ゲノムあり、新規プライマー対、DMSO濃度0%
PCR反応液における対象ゲノムとして、ユーロチウム属のカビのゲノム(A1 0.1ng)と、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビ(B1 0.1ng)を用い、PCR反応液にDMSOを添加することなく、その他の点は実施例4と同様にして試験を行った。その結果を図5に示す。
(実施例15)
試験番号(16):対象ゲノムあり、新規プライマー対、DMSO濃度0.5%
DMSOを0.5容量%含有するPCR反応液を用いた点以外は、実施例14と同様にして試験を行った。その結果を図5に示す。
(実施例16)
試験番号(17):対象ゲノムあり、新規プライマー対、DMSO濃度2%
DMSOを2容量%含有するPCR反応液を用いた点以外は、実施例14と同様にして試験を行った。その結果を図5に示す。
(実施例17)
試験番号(18):対象ゲノムあり、新規プライマー対、DMSO濃度5%
DMSOを5容量%含有するPCR反応液を用いた点以外は、実施例14と同様にして試験を行った。その結果を図5に示す。
(実施例18)
試験番号(19):対象ゲノムあり、新規プライマー対、DMSO濃度7%
DMSOを7容量%含有するPCR反応液を用いた点以外は、実施例14と同様にして試験を行った。その結果を図5に示す。
(参考例2)
試験番号(20):対象ゲノムあり、従来のリバースプライマーを含むプライマー対、DMSO濃度0%
配列番号10及び12により特定される塩基配列からなるプライマー対を使用した点以外は、実施例14と同様にして試験を行った。その結果を図5に示す。
ここで、配列番号10及び12により特定される塩基配列からなるプライマー対を用いて、ユーロチウム属の主要種1のカビ(A1,JCM1575 Eurotium herbariorum(F.H.Wiggers)Link)のDNAを増幅すると、576bpの増幅産物が得られる。この増幅産物のDNA配列の長さは、実施例1における同種のDNAの増幅産物258bpの2倍以上に相当する。また、同様に、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビ(B1,JCM22961 Aspergillus penicillioides Spegazzini)のDNAを増幅すると、643bpの増幅産物が得られる。この増幅産物のDNA配列の長さも、実施例2における同種のDNAの増幅産物309bpの2倍以上に相当する。以下、このような従来のリバースプライマーを含むプライマー対を用いて得られた長い増幅産物を長鎖と称し、上記実施形態の新規プライマーによる短い増幅産物を短鎖と称する場合がある。
(参考例3)
試験番号(21):対象ゲノムあり、従来のリバースプライマーを含むプライマー対、DMSO濃度2%
配列番号10及び12により特定される塩基配列からなるプライマー対を使用した点以外は、実施例16と同様にして試験を行った。その結果を図5に示す。
次に、上記の試験結果にもとづいて、上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイ、及び特定カビ検出用マイクロアレイの使用方法の効果について説明する。
上記各実施例及び参考例において、試験結果における蛍光強度(光量)が、50以上の場合は、標識検出装置(GenePix4100A)から出力される画像データにおいて、肉眼で識別可能なレベルの強度であり、対象ゲノムを検出している可能性が高いと考えられる。試験結果における蛍光強度が、30〜50未満の場合は、肉眼ではほとんど識別できないが、明らかに反応が見られ、対象ゲノムを検出している可能性が比較的高いと考えられる。試験結果における蛍光強度が、10〜30未満の場合は、明らかに反応が見られるが、対象ゲノム以外の類似するゲノムを検出している可能性も高いと考えられる。試験結果における蛍光強度が、10未満の場合は、試験番号8に示されるように、ノイズの検出と考えられる。以上のことから、以下の説明では、蛍光強度30以上を有効な検出として説明している。
<1.特定カビの検出>
まず、上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイ、及びその使用方法による対象カビの特定的検出について、図2及び図4を参照して説明する。
参考例1に示されるように、PCR反応液に検出対象カビが含まれていない場合、有効な光量は検出されていない。
これに対し、実施例1〜3に示されるように、PCR反応液に検出対象カビが含まれている場合は、それぞれのカビに対応するプローブの多くに有効な光量が検出されている。また、実施例4〜6に示されるように、夾雑物存在下においても、検出することができている。
また、ユーロチウム属のカビについては、実施例4,実施例7〜11に示されるように、夾雑物存在下、主要な6種全てについて検出することが可能になっている。特に、A2〜A6のユーロチウム属のカビについては、配列番号1,2で表される配列からなるプローブ、又はこれらと相補的な配列からなるプローブにも有効な光量、あるいは有効ではないものの比較的高い光量が検出されている。よって、これらを配列番号3で表される配列からなるプローブ及びこれと相補的な配列からなるプローブと共に補助的に使用することで、検出の確実性をより向上させることが可能である。
また、これらA1〜A6のカビは、ユーロチウム属のカビのうちの多くを占める頻出種であり、上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイ、及びその使用方法によれば、ユーロチウム属のカビをほぼ属レベルで特定的に検出することができる。
次に、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビについては、実施例6,12,13に示されるように、アスペルギルス ペニシリオイデス、及びアスペルギルス ビトリコラのいずれの系統でも、多くのプローブで有効な検出が得られている。
また、実施例5のPCR反応液には、アスペルギルス属でペニシリオイデス種ではない近縁の種のカビである、アスペルギルス レストリクタス(AR)、及びアスペルギルス ヴェルシカラー(AV)のゲノムDNAが含まれているが、これらについては、有効な検出は得られず、偽陽性反応は見られなかった。
したがって、上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイ、及びその使用方法によれば、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビを選択的に特定できることがわかる。
また、実施例7〜13の結果から明らかなように、上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイ、及びその使用方法によれば、ユーロチウム属のカビ及びアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビが混在し、かつ夾雑物が存在する環境下においても、これらを同時に、かつそれぞれを特定して検出することが可能になっている。
このように、上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイ、及びその使用方法によれば、ユーロチウム属のカビ及びアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビを、それぞれ選択的に検出することが可能である。
<2.プライマーの影響>
次に、上記実施形態における特定カビのDNA増幅用の新規プライマー対(配列番号10及び11に示す塩基配列からなるプライマー対)が、対象カビの検出精度に与える影響について、図6を参照して説明する。なお、図6において、注目すべき部分を太枠で示している。図7及び図8においても同様である。
同図に示す実施例16と参考例3とは、PCR反応液に含まれるプライマー対のみが相違し、その他については同一条件で試験を行ったものである。すなわち、実施例16では上記実施形態における新規プライマー対を使用し、参考例3では従来のリバースプライマーを含むプライマー対を使用している。
これらの試験による蛍光強度のうち、良く反応しているプローブについて比較すると、実施例16の蛍光強度は、参考例3の蛍光強度のおよそ約2.5〜17倍となっている。
これは、上記実施形態における新規プライマー対を用いて検出対象カビのゲノムDNAを増幅すると、参考例3のプライマー対を用いる場合の約半分の短鎖の増幅産物が得られることによるものと推定される。このような短鎖の増幅産物は、長鎖の増幅産物に比較して、プローブとのハイブリダイズ効率が高いと考えられる。
その結果、上記実施形態における新規プライマー対を使用して短鎖の増幅産物を生成し、これを上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイを用いてプローブにハイブリダイズさせることで、検出対象カビをより高い精度で検出することが可能になっていると考えられる。
<3.DMSO濃度の影響>
次に、PCR反応液のDMSO濃度が、対象カビの検出精度に与える影響について、図7を参照して説明する。
実施例14〜18に示されるように、ユーロチウム用プローブの配列番号3に示す塩基配列からなるプローブでは、DMSO濃度が0%の時に比較して、DMSO濃度が0.5%,2%で約6倍、DMSO濃度が5%で約10倍、DMSO濃度が7%で約3倍に蛍光強度が増加している。
また、アスペルギルス ペニシリオイデス用の多くのプローブでも、DMSO濃度が0%の時に比較して、DMSO濃度が0.5%〜7%の場合に蛍光強度の増加が認められ、特にDMSO濃度が5%の場合に大きく増加している。
したがって、上記実施形態の特定カビ検出用マイクロアレイによれば、夾雑物が多く存在し、検出対象カビであるユーロチウム属のカビ及びアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビが比較的少ない環境下であっても、DMSOを添加することで、蛍光強度を増大させ、より高い精度で検出できることがわかる。
また、このような検出精度の向上効果は、次に説明するように、上記実施形態における新規プライマーを組み合わせることで、より一層増大させることが可能となっている。
<5.DMSO濃度とプライマーの影響>
次に、PCR反応液のDMSO濃度、及び新規プライマー対が、対象カビの検出精度に与える影響について、図8を参照して説明する。
同図には、ユーロチウム用の主たるプローブである配列番号3のプローブ、及びアスペルギルス ペニシリオイデス用の主たるプローブである配列番号7のプローブについて、短鎖の増幅産物が得られる新規プライマー対を用いたとき、及び長鎖の増幅産物が得られる従来のリバースプライマーを含むプライマー対を用いたときのそれぞれにおける、DMSO濃度が0%,2%の場合の蛍光強度の比較結果が示されている。
同図に示される通り、長鎖の増幅産物が得られる場合よりも、短鎖の増幅産物が得られる場合の方が、DMSOが良く効くことがわかる。
すなわち、配列番号3のプローブでは、参考例2及び3のプライマー対を用いた場合、PCR反応液にDMSOを2容量%含有させることで、蛍光強度は1.9倍に増加している。これに対し、実施例14及び実施例16の新規プライマー対を用いた場合、PCR反応液にDMSOを2容量%含有させることで、蛍光強度は5.7倍に増加している。
また、配列番号7のプローブでは、参考例2及び3のプライマー対を用いた場合、DMSOの効果が認められず、むしろ蛍光強度が低減している。これに対し、実施例14及び実施例16の新規プライマー対を用いた場合、PCR反応液にDMSOを2容量%含有させることで、蛍光強度が3.6倍に増加している。
これは、長鎖の増幅産物が得られる場合よりも、短鎖の増幅産物が得られる場合の方が、DMSOを添加した場合のPCR増幅効率が高くなることによるものと推定される。
このように、PCR反応液に上記実施形態における新規プライマー対を含有させるとともに、DMSOを含有させることで、対象カビの検出精度をより一層向上できることが明らかとなった。
本発明は、以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、PCR反応液として本発明における新規プライマーとDMSOが含有され、本発明と同様の効果を奏することができるものであれば、その他の成分は適宜変更することが可能である。
また、本実施形態における検出対象カビは、図書館や文化財保管場におけるものに限定されず、例えば香辛料や穀物などの乾燥食品、皮革や綿などの乾燥した工業製品の保管庫におけるものなど、ユーロチウム属又はアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビであれば、その検出場所はどこであってもかまわない。
本発明は、図書館、文化財保管場、その他乾燥した各種工業製品や食品の保管庫など乾燥した環境下でよく繁殖するユーロチウム属のカビとアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビを、短期間で検出する必要がある場合などに好適に利用することが可能である。

Claims (8)

  1. 配列番号1に示す塩基配列からなるプローブ、配列番号2に示す塩基配列からなるプローブ、及び配列番号1〜3のいずれかに示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるプローブからなる群から選択された少なくともいずれかのプローブと、配列番号3に示す塩基配列からなるプローブと、を固定化し、ユーロチウム属(Eurotium spp.)のカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、前記固定化されたプローブにハイブリダイズさせ、ユーロチウム属のカビを検出する
    ことを特徴とす特定カビ検出用マイクロアレイ。
  2. 配列番号6に示す塩基配列からなるプローブ、配列番号8に示す塩基配列からなるプローブ、及び配列番号6〜8のいずれかに示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるプローブからなる群から選択された少なくともいずれかのプローブと、配列番号7に示す塩基配列からなるプローブと、を固定化し、アスペルギルス ペニシリオイデス種(Aspergillus penicillioides)におけるアスペルギルス ペニシリオイデス系統のカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、前記固定化されたプローブにハイブリダイズさせ、アスペルギルス ペニシリオイデス系統のカビを検出する
    ことを特徴とす特定カビ検出用マイクロアレイ。
  3. 配列番号4に示す塩基配列からなるプローブ、配列番号9に示す塩基配列からなるプローブ、及び配列番号4,5,9のいずれかに示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるプローブからなる群から選択された少なくともいずれかのプローブと、配列番号5に示す塩基配列からなるプローブと、を固定化し、アスペルギルス ペニシリオイデス種(Aspergillus penicillioides)におけるアスペルギルス ビトリコラ系統のカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、前記固定化されたプローブにハイブリダイズさせ、アスペルギルス ビトリコラ系統のカビを検出する
    ことを特徴とす特定カビ検出用マイクロアレイ。
  4. 配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号11に示す塩基配列からなるプライマーを備えたプライマー対と、試料のゲノムDNAと、核酸合成酵素と、核酸合成基質とを含有するPCR反応液を使用して、PCR法により核酸が増幅され、
    前記試料のゲノムDNAに、ユーロチウム属のカビDNAが含まれている場合、これらのカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、前記固定化されたプローブにハイブリダイズさせることにより特定する
    ことを特徴とする請求項記載の特定カビ検出用マイクロアレイ。
  5. 配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号11に示す塩基配列からなるプライマーを備えたプライマー対と、試料のゲノムDNAと、核酸合成酵素と、核酸合成基質とを含有するPCR反応液を使用して、PCR法により核酸が増幅され、
    前記試料のゲノムDNAにアスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのDNAが含まれている場合、これらのカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、前記固定化されたプローブにハイブリダイズさせることにより特定する
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の特定カビ検出用マイクロアレイ。
  6. 前記PCR反応液が、ジメチルスルホキシドを終濃度で0.5〜7容量%含有することを特徴とする請求項4又は5記載の特定カビ検出用マイクロアレイ。
  7. ユーロチウム属(Eurotium spp.)のカビ、又は、アスペルギルス属におけるアスペルギルス ペニシリオイデス種(Aspergillus penicillioides)のカビを検出するための特定カビ検出用マイクロアレイに、
    配列番号1に示す塩基配列からなるプローブ、配列番号2に示す塩基配列からなるプローブ、及び配列番号1〜3のいずれかに示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるプローブからなる群から選択された少なくともいずれかのプローブと、配列番号3に示す塩基配列からなるプローブと、を固定化し、
    配列番号6に示す塩基配列からなるプローブ、配列番号8に示す塩基配列からなるプローブ、及び配列番号6〜8のいずれかに示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるプローブからなる群から選択された少なくともいずれかのプローブと、配列番号7に示す塩基配列からなるプローブと、を固定化し、
    配列番号4に示す塩基配列からなるプローブ、配列番号9に示す塩基配列からなるプローブ、及び配列番号4,5,9のいずれかに示す塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるプローブからなる群から選択された少なくともいずれかのプローブと、配列番号5に示す塩基配列からなるプローブと、を固定化し、
    配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号11に示す塩基配列からなるプライマーを備えたプライマー対と、試料のゲノムDNAと、核酸合成酵素と、核酸合成基質とを含有するPCR反応液を使用して、PCR法により核酸を増幅し、
    前記試料のゲノムDNAに、ユーロチウム属のカビ、及び/又は、アスペルギルス ペニシリオイデス種のカビのDNAが含まれている場合、これらのカビのゲノムDNAを増幅して得られた核酸を、前記固定化されたプローブにハイブリダイズさせることにより特定する
    ことを特徴とする特定カビ検出用マイクロアレイの使用方法。
  8. 前記PCR反応液に、ジメチルスルホキシドを終濃度で0.5〜7容量%含有させることを特徴とする請求項記載の特定カビ検出用マイクロアレイの使用方法。
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