JP2006280273A - 新規ポリヌクレオチド、それを用いた深在性輸入真菌症原因菌ヒストプラズマ属菌(Histoplasma属菌には、Histoplasmacapsulatumvar.capsulatum,Histoplasmacapsulatumvar.farciminosum,Histoplasmacapsulatumvar.duboisiiと有性世代の菌名であるEmmonsiellacapsulataを含む)の検出用マーカ、プローブ、プライマー、検出方法およびキット - Google Patents

新規ポリヌクレオチド、それを用いた深在性輸入真菌症原因菌ヒストプラズマ属菌(Histoplasma属菌には、Histoplasmacapsulatumvar.capsulatum,Histoplasmacapsulatumvar.farciminosum,Histoplasmacapsulatumvar.duboisiiと有性世代の菌名であるEmmonsiellacapsulataを含む)の検出用マーカ、プローブ、プライマー、検出方法およびキット Download PDF

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Abstract

【課題】深在性輸入真菌症の原因菌のうちヒストプラズマ属菌を種特異的に検出するのに使用可能な新規なポリヌクレオチドを提供する。
【解決手段】下記の(a)、(b)又は(c)のいずれかに記載のポリヌクレオチドからなる。(a)複数の特定の配列からなる塩基配列(但し、複数の特定の塩基配列のうち任意の位置のチミン(t)は、ウラシル(u)で置換されていてもよい。以下、同じ)からなるポリヌクレオチド。(b)複数の特定の配列からなる塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリペプチド。(c)複数の特定の配列からなる塩基配列において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失若しくは付加している塩基配列からなるポリペプチドであって、(a)または(b)のポリペプチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリペプチド。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規ポリヌクレオチド、それを用いた深在性輸入真菌症原因菌ヒストプラズマ属菌の検出用マーカー、プローブ、プライマー、検出方法およびキットに関する。
最近、世界的なグローバル化が急速に進み、以前は地域が限定され風土病とされていた病気が、流行地からの原材料を扱う人や当地を訪問した人が感染し異動先などで発病する例が増加している。これらのうち真菌によって起こる病気を輸入真菌症と呼び、通常の深在性真菌症よりも深刻で、これらの原因菌は病原性が強く、重篤に至る率が高いため早急に同定診断する必要がある。また、バイオテロリズムなどに悪用される可能性も高いため、これらの菌種を迅速に検出・同定することが望まれている。
ヒストプラズマ属菌は、コクシジオイデス・イミチス (Coccidioides immitis)、ペニシリウム・マルネッフィ(Penicillium marneffei)と共に、危険度クラス3に属する真菌で、最も危険とされる菌の一つであり、培養や培養後の取り扱いは慎重を要し、特定の設備を持った機関でのみ取り扱う必要がある。
近年、ヒストプラズマ症は、人獣共通感染症として話題にされ、輸入ペットや日本在住のペットや馬への感染例が報告されており、疫学調査を含めて簡易で迅速な同定法が望まれている。
従来の深在性真菌症原因菌としては、カンジダ(Candida、以下C.と略す。)属真菌、アスペルギルス(Aspergillus、以下A,と略す。)属真菌、クリプトコッカス(Cryptococcus、以下Cr.と略す。)属真菌などが知られているが、的確な治療などのために、これらの深在性真菌感染とヒストプラズマ属菌を迅速に区別する必要がある。
近年、深在性真菌症は免疫不全患者に目和見感染症として増加しているが、その患者は重篤な基礎疾患を持つことが多く、早期に起炎菌を明らかにして的確な治療をすることが必要である。深在性真菌症の診断は血液培養法が基本であるが検出感度などに問題がある。これまでに抗体による診断薬が市販されているが、抗体による診断は免疫不全状態の患者には役立たない。このような現状で、近年、抗原やその他の菌体成分を直接検出する方法が開発されてきており、例えばマンナン、D−アラビニトル、グルカンなどを検出して感染を診断する方法が開発されている。
一方、分子生物学の発展につれて、結核菌やクラミジアなど各種病原菌のDNAを抽出し、いわゆるPCR法などによって核酸を検出することによって診断する方法が開発されており、深在性真菌症の分野でもリボゾームRNAを検出して診断する方法などが提示されている。
本発明者らは、先にこれら各種真菌症の原因となる真菌のミトコンドリアに存在するチトクロームbの遺伝子に着目し、アスペルギルス属およびカンジダ属真菌を検出するために用いられる核酸を提供し、さらにそれを用いることによる簡便、迅速、特異的かつ高感度な深在性真菌症の原因菌、さらにはアスペルギルス属、カンジダ属、クリプトコックス属菌の検出方法を開発している(例えば下記特許文献1、2、非特許文献1参照)。
特開2002−142774号公報 国際特許第98/10073号パンフレット 「臨床病理」、43省補冊、1995年、119頁
しかしながら、上記特許文献及び非特許文献に記載の技術にはヒストプラズマ属菌を種特異的に検出することに関する記載はない。
そこで、本発明は、深在性輸入真菌症の原因菌のうちヒストプラズマ属菌を種特異的に検出するのに使用可能な新規なポリヌクレオチドを提供することを目的とする。
本発明者らは、各種深在性真菌症の原因菌、なかでもヒストプラズマ属菌の遺伝子に関する種々の検討を重ねた結果、これら各種深在性真菌症の原因となる真菌のミトコンドリアに存在するチトクロームbの遺伝子の一部を増幅し、その配列を解読することに成功した。そして本発明者らは、その配列を基にさらに研究を重ねた結果、ヒストプラズマ属菌に特異的な配列(例えば、配列番号1〜8)を見出し、これが検出用マーカー配列として使用可能であることを突き止めた。そして、この配列を基にさらに研究を重ねた結果、前記特異的配列を検出可能なプローブおよびプライマーを設計した(例えば、配列番号2、3)。本発明によれば、簡便、迅速、特異的かつ高感度にヒストプラズマ属菌を検出・同定することが可能である。
すなわち、本発明に係る第一のポリヌクレオチドは、下記の(a)、(b)又は(c)のいずれかに記載のポリヌクレオチドである。
(a)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列(但し、配列番号1乃至8に記載の塩基配列のうち任意の位置のチミン(t)は、ウラシル(u)で置換されていてもよい。以下、同じ)からなるポリヌクレオチド。
(b)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリペプチド。
(c)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失若しくは付加している塩基配列からなるポリペプチドであって、(a)または(b)のポリペプチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリペプチド。
上記第一のポリヌクレオチドにより、従来、同定に時間のかかっていたヒストプラズマ属菌を迅速、簡便に特異的且つ高感度で検出・同定することが可能となる。特に、近年問題になっているバイオテロリズムにも迅速に対応できるようになる。なお「ポリヌクレオチド」は、DNAであってもRNAであってもよい。また「ストリンジェントな条件下」とは、一般的なハイブリダイズ条件をいい、例えば、後述する実施例に記載するような通常のPCRにおけるアニーリング条件下で、鋳型となる標的核酸にハイブリダイズする条件をいう。また「ハイブリダイズ」とは、一本鎖DNAやRNAの間で、互いに相補的な塩基配列を利用して人工的に日本鎖の雑種核酸分子を形成することをいう。
また、第一のポリヌクレオチドの(c)において、(a)のポリペプチドとストリンジェンドな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが、配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることも望ましい態様である。
また、本発明に係る第一のポリヌクレオチドは、ヒストプラズマ属菌を検出するための検出マーカーとして用いることもできるし、ポリヌクレオチドを有するプローブとして用いることもできる。更には、このポリヌクレオチドの少なくとも一部をPCR法におけるプライマーとして用いることも可能である。
また、本発明に係る第二のポリヌクレオチドは、下記の(d)、(e)又は(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチドである。
(d)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列のうち少なくとも10塩基連続する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(e)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列と相補的な塩基配列のうち少なくとも10塩基連続する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(f)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失若しくは付加している塩基配列のうち少なくとも10塩基連続する塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、(d)または(e)のポリペプチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリペプチド。
上記第二のポリヌクレオチドにより、従来、同定に時間のかかっていたヒストプラズマ属菌を迅速、簡便に特異的且つ高感度で検出・同定することが可能となる。特に、近年問題になっているバイオテロリズムにも迅速に対応できるようになる。なお「ポリヌクレオチド」、「ストリンジェントな条件下」、「ハイブリダイズ」において上記第一のポリヌクレオチドと同様である。但し、後述するプライマー又はプローブとして用いる態様の場合、プライマー又はプローブとして機能する条件即ち標的核酸とハイブリダイズにより検出可能な電圧や電流に変化を及ぼすことができる条件であることが必要である。
なお、上記第二のポリヌクレオチドにおいて、連続する塩基の数としては20〜30とすることもより望ましい。
なお、上記第二のポリヌクレオチドにおいて、少なくとも10塩基連続する塩基配列が、配列番号1乃至8のいずれかにおける3‘末端若しくは5’末端から連続する塩基配列であることも望ましい。
また、本発明に係る第二のポリヌクレオチドは、ヒストプラズマ属菌を検出するためのプローブに用いることもでき、更には、このポリヌクレオチドをPCR法におけるプライマーとして用いることも可能である。
なお、配列番号9、10で示される塩基配列は、ヒストプラズマ属菌のミトコンドリアにおけるチトクロームb遺伝子内の66nt〜82ntの領域(配列番号9)、273nt〜292ntの領域(配列番号10と相補的配列)それぞれとハイブリダイズするものであり、PCR法においては例えば配列番号9に記載の塩基配列からなるプライマーをフォワード側プライマーとして、配列番号10に記載の塩基配列からなるプライマーをリバース側プライマーとして用いることができ、これによりヒストプラズマ属菌を検出することができるようになる。
なお、上記のプローブ及びプライマーはキットとしての態様とすることもできる。
以上により、従来、同定に時間のかかっていたヒストプラズマ属菌を迅速、簡便に特異的且つ高感度で検出・同定することが可能となる。特に、近年問題になっているバイオテロリズムにも迅速に対応できるようになる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。もちろん、以下は本発明の実施の形態であって、なんら本発明を制限するものではない。
(実施形態1)
本実施形態に係る第一のポリヌクレオチドは、下記の(a)、(b)又は(c)のいずれかに記載のポリヌクレオチドである。
(a)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列(但し、配列番号1乃至8に記載の塩基配列のうち任意の位置のチミン(t)は、ウラシル(u)で置換されていてもよい。以下、同じ)からなるポリヌクレオチド。
(b)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリペプチド。
(c)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失若しくは付加している塩基配列からなるポリペプチドであって、(a)または(b)のポリペプチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリペプチド。
また、この第一のポリヌクレオチドにおいて、(c)における(a)のポリヌクレオチドとストリンジェンドな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドは、例えば、配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることも望ましい。
(実施形態2)
本実施形態に係る検出マーカーは、ヒストプラズマ属菌を検出するための検出マーカーであって、上記第一のポリヌクレオチドを含むマーカーである。この検出マーカーを、後述するプローブやプライマーを用いて検出することにより、ヒストプラズマ属菌を検出・同定できる。
(実施形態3)
本実施形態に係る第二のポリヌクレオチドは、下記の(d)、(e)又は(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチドである。
(d)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列のうち少なくとも10塩基連続する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(e)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列と相補的な塩基配列のうち少なくとも10塩基連続する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(f)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失若しくは付加している塩基配列のうち少なくとも10塩基連続する塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、(d)または(e)のポリペプチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリペプチド。
なお第二のポリヌクレオチドにおいて、少なくとも10塩基連続する塩基配列が、配列番号1乃至8に記載の塩基配列のうちの3‘末端若しくは5’末端から連続する塩基配列であってもよい。また第二のポリヌクレオチドにおいて、その塩基数は、10塩基以上、好ましくは20〜30塩基である。
(実施形態4)
本実施形態に係るプローブは、ヒストプラズマ属菌を検出するためのプローブであって、本発明の第二のポリヌクレオチドを含むプローブである。本プローブは、検出用の標識(ラベル)を有することが好ましい。前記標識としては、例えば、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、ビオチンなどがある。なお、本プローブは、前記第二のポリヌクレオチド単独で構成されていてもよいし、その他のポリヌクレオチドが連結されていてもよい。
(実施形態5)
本実施形態に係るプライマーは、ヒストプラズマ属菌を検出するためのプライマーであって、上記第二のポリヌクレオチドを含むプライマーである。このプライマーは、フォファード側であってもよいし、リバース側であってもよい。プライマーとしては、例えば、配列番号9記載の塩基配列からなるプライマーが好ましい態様である。このプライマーは、フォワード側プライマーであることが好ましい。また、配列番号10記載の塩基配列からなるプライマーも好ましく、このプライマーは、リバース側プライマーであることが好ましい。なお、本プライマーは、第二のポリヌクレオチド単独で構成されていてもよいし、その他のポリヌクレオチドが連結されていてもよい。
(実施形態6)
本実施形態のヒストプラズマ属菌の検出方法は、上記したプローブによりヒストプラズマ属菌のチトクロームb遺伝子を検出する方法である。本プローブは、チトクロームb遺伝子内の特異的配列(例えば、配列番号1)とハイブリダイズするので、これによりヒストプラズマ属菌を種特異的に検出できる。
(実施形態7)
実施形態のキットは、実施形態6の検出方法によりヒストプラズマ属菌を検出するためのキットであって、上記プローブを含むキットである。
(実施形態8)
本実施形態に係るヒストプラズマ属菌の検出方法は、上記のプライマーを用いた遺伝子増幅法によりヒストプラズマ属菌のチトクロームb遺伝子を検出する方法である。プライマーは、チトクロームb遺伝子内に特異的配列(例えば、配列番号1)とハイブリダイズするので、これによりヒストプラズマ属菌を種特異的に検出できる。
(実施形態9)
本実施形態に係るキットは、ヒストプラズマ属菌を検出するためのキットであって、上記のプライマーを含むキットである。遺伝子増幅法は、PCR法が好ましい。この場合、本キットは、PCR法用の試薬を含んでいても良く、試薬としては、例えば、DNAポリメラーゼ、dNTPなどがある。また、本キットは、増幅産物を検出するためのプローブを有していてもよく、プローブとしては、上記実施形態に係るプローブが好ましい。
以下、さらに詳しく説明する。
上記したとおり、ポリヌクレオチドは、DNAであってもよいし、RNAであってもよい。ここで、「ストリンジェントな条件下」とは、一般的なハイブリダイズ条件をいい、例えば、下記実施例に記載するような通常のPCR法におけるアニーリング条件下で、鋳型となる標的核酸にハイブリダイズし、プライマーとして機能する条件、または、標的核酸とプローブのハイブリダイズにより検出可能な電圧や電流に変化を及ぼす条件である。また、「ハイブリダイズ」とは、一本鎖DNAやRNAの間で、互いに相補的な塩基配列を利用して人工的に二本鎖の雑種核酸分子を形成することをいう。なお、配列番号9及び10で示される塩基配列は、ヒストプラズマ属菌のミトコンドリアにおけるチトクロームb遺伝子内の66nt〜82nt(配列番号9)の領域及び273nt〜292nt(配列番号10と相補的配列)の領域それぞれとハイブリダイズするものである。
前述のように、上記第二のポリヌクレオチドは、プローブとして用いることができるし、PCR法のような遺伝子増幅法のプライマーとして用いることもできる。プライマーとして用いる場合、二つの第二のポリヌクレオチドのうち、一方をフォワード側プライマーとして使用し、他方をリバース側プライマーとして使用することが好ましい。例えば、配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチドをフォワード側プライマーとし、配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチドをリバース側プライマーとして用いた場合には、被検試料中にヒストプラズマ属菌のミトコンドリアチトクロームb遺伝子が存在していれば、227塩基対の長さの核酸(配列番号11〜16)が増幅される。この場合、ペニシリウム属菌、アスペルギルス属菌、カンジダ属、クリプトコックス属菌などの真菌遺伝子が存在していても、これらの他の菌由来の遺伝子断片の増幅は起きない。従って、増幅の有無を調べることによりヒストプラズマ属菌の検出・同定が可能である。
また本発明で用いるポリヌクレオチドは、菌由来のものであってもよいし、化学合成したものであってもよい。化学合成は、例えば、市販の核酸合成装置等を用いて実施できる。
また、第二のポリヌクレオチドをプローブとして用いる場合、標識剤で標識することが好ましい。この場合、被験試料中のヒストプラズマ属菌遺伝子と標識プローブをハイブリダイズさせた後に、遺伝子と標識プローブとの結合物もしくは非結合の標識プローブを、標識剤に適した適当な検出法で検出する。プローブに用いる標識剤は、例えば、蛍光標識、放射標識、酵素標識、ビオチン等を挙げることができる。検体、すなわち被験試料中の真菌遺伝子とプローブとのハイブリダイズは、検体を通常の方法で前処理、精製したものを被験試料とし、それとプローブとを混合し、室温から80℃で10分から48時間処理することにより実施できる。標識の検出以外に、ハイブリダイズは、ハイブリダイズの結果生ずる電圧や電流の変化により検知しても良い。また、検体はあらかじめ上記実施例に係るプライマーを用いて増幅反応を行っておいてもよい。プローブは、例えば、DNAチップやDNAアレイなどの形態で使用してもよい。
また、第二のポリヌクレオチドを、遺伝子増幅法用のプライマーとして用いれば、DNAポリメラーゼ等による伸長反応を行って遺伝子増幅することにより、ヒストプラズマ属菌のチトクロームb遺伝子断片のみを特異的に増幅させ、この増幅産物を測定することによって、ヒストプラズマ属菌を検出することができる。またプライマーは、標識剤で標識化してもよい。ここで用いられる遺伝子増幅法としては、例えば、PCR法やその改変法があるが、特に限定されるものではなく、短鎖のオリゴ核酸をプライマーとして遺伝子合成の開始のために用いるいずれの遺伝子増幅法をも用いることができる。また、いわゆるリアルタイム検出PCRを実施してもよく、この場合には被検核酸の定量も可能になる。従って、「検出」には、定量的な検出も包含される。遺伝子増幅法によるヒストプラズマ属菌の検出は、上記方法により増幅された増幅産物、すなわちチトクロームb遺伝子断片を検出することにより行うことができるし、その他、増幅されたチトクロームb遺伝子断片を制限酵素によって断片化し、その断片の生成パターンを比較することによっても検出できる。ここで用いる制限酵素は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。増幅されたチトクロームb遺伝子断片、または制限酵素でさらに断片化された遺伝子断片の検出手段は特に限定されることはなく、通常の遺伝子の検出方法(例えば電気泳動法など)が使用できる。増幅産物は、例えば電気泳動により分画され、特異的かつ検出に十分な程度に鮮明なバンドとして容易に検出できる。なお、遺伝子増幅法において、核酸混合物(dATP、dTTP、dGTP、dCTP)もしくはリボ核酸混合物(ATP、UTP、GTP、CTP)をDNAもしくはRNA合成の原料として使用することが好ましい。
また上記実施形態に係るプローブを含むキットは、上記プローブに加え、このプローブを検出するための試薬を含んでいても良い。試薬としては、例えば、プローブが標識化されている場合の標識の検出剤、緩衝剤などがある。
また、上記実施形態に係るプライマーを含むキットの場合は、上記プライマーに加え、その他の試薬を含んでいても良い。その他の試薬としては、例えば、核酸合成酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素など)、デオキシリボヌクレオチド混合物(dATP、dTTP、dGTP、dCTP)、リボヌクレオチド混合物(ATP、UTP、GTP、CTP)、制限酵素、緩衝液などがある。また、プローブは、固相担体に結合させて、捕捉プローブとして用いることもできる。この場合、捕捉プローブと標識プローブの2つを組合せてサンドイッチアッセイを行ってもよい。また標的核酸を標識して捕捉する方法もある。さらに、プローブをビオチンで標識し、ハイブリダイズ後、アビジン結合担体で捕捉する方法もある。サンドイッチアッセイにおいて、どちらか一方に上記した実施形態に係るプローブを用いれば、種特異的な検出が可能となるため、他方のプローブの特異性は若干低くてもよい。また、結合担体で捕捉した際の電圧や電流の変化を検出しても良い。前述のように、本発明のプローブは、例えば、DNAチップやDNAアレイの形態で使用してもよい。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(各種核酸の合成)
配列番号2および3の各塩基配列で表される各ポリヌクレオチドを化学合成した。以下、配列番号9若しくは10の塩基配列からなる各ポリヌクレオチドを、それぞれ核酸9、核酸10と呼ぶ。
(ヒストプラズマ属菌のPCRによる同定)
ポテトデキストロース液体培地で培養して得たヒストプラズマ属菌の菌体を、75%エタノール処理し殺菌した。1500g、10分間の遠心分離で菌体を得、DNA抽出試薬(タカラバイオ社製、Genとるくん(登録商標)酵母用)を用いて核酸を抽出し乾燥後、−20℃に保存した。
この核酸を鋳型にし、前記核酸9と核酸10をプライマーとして、タカラバオイ(株)のTaKaRa SYBR(登録商標)Premix Taqを用い、リアルタイムPCR装置(Smart Cycler(登録商標) II System)を使用して以下の方法でPCR反応を行い、チトクロームb遺伝子の一部を増幅し増幅の特異性を検証した。反応液の組成は次の通りであった。
TaKaRa SYBR(登録商標)Premix Taq(2xconc.) 12.5μl
核酸9(Forward Primer; 10μlM) 0.5μl
核酸10(Reverse Primer: 10μlM) 0.5μl
Template(<30ng)
1μl
水にて全量を25μlにした。
反応条件は次の通りであった。
熱変性:94℃、10秒
アニーリングと重合反応:60℃、30秒
サイクル数:40回
増幅されたDNAを二重鎖DNA にインターカレーションにより蛍光を発するサイバーグリーンの蛍光強度から検出した。この結果を、図1のグラフに示す。配列2と配列3、TaKaRa SYBR(登録商標)Premix
Taq(タカラバイオ株式会社)および各菌から抽出した核酸を加えて反応させた結果、ヒストプラズマ属菌から抽出した核酸のみに増幅反応が検出できた。すなわち、高頻度に罹患する深在性真菌症原因菌である、A.fumigatus、C.albicans、Cr.neoformansおよびペニシリウム属菌から抽出した核酸において、増幅は全く認められなかった。
以上、本発明によれば、ヒストプラズマ属菌を種特異的に検出可能であることが確かめられた。
本発明の一実施例において、リアルタイムPCRにより増幅された産物の増加パターンを示す図である。

Claims (15)

  1. 下記の(a)、(b)又は(c)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
    (a)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列(但し、配列番号1乃至8に記載の塩基配列のうち任意の位置のチミン(t)は、ウラシル(u)で置換されていてもよい。以下、同じ)からなるポリヌクレオチド。
    (b)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリペプチド。
    (c)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失若しくは付加している塩基配列からなるポリペプチドであって、(a)または(b)のポリペプチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリペプチド。
  2. 前記(c)における前記(a)のポリペプチドとストリンジェンドな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが、配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドである請求項1記載のポリヌクレオチド。
  3. ヒストプラズマ属菌を検出するための検出マーカーであって、請求項1又は2記載のポリヌクレオチドを含む検出マーカー。
  4. 下記の(d)、(e)又は(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
    (d)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列のうち少なくとも10塩基連続する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (e)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列と相補的な塩基配列のうち少なくとも10塩基連続する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (f)配列番号1乃至8のいずれかに記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失若しくは付加している塩基配列のうち少なくとも10塩基連続する塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、(d)または(e)のポリペプチドと、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリペプチド。
  5. 少なくとも10塩基連続する塩基配列が、配列番号1乃至8のいずれかにおける3‘末端若しくは5’末端から連続する塩基配列である請求項4記載のポリヌクレオチド。
  6. ヒストプラズマ属菌を検出するためのプローブであって、請求項4または5記載のポリヌクレオチドを含むプローブ。
  7. ヒストプラズマ属菌を検出するためのプライマーであって、請求項4または5記載のポリヌクレオチドからなるプライマー。
  8. ヒストプラズマ属菌を検出するためのプライマーであって、配列番号9記載の塩基配列からなるプライマー。
  9. フォワード側プライマーである請求項8記載のプライマー。
  10. ヒストプラズマ属菌を検出するためのプライマーであって、配列番号10記載の塩基配列からなるプライマー。
  11. リバース側プライマーである請求項10記載のプライマー。
  12. ヒストプラズマ属菌の検出方法であって、請求項6記載のプローブを用いてヒストプラズマ属菌のチトクロームb遺伝子を検出する方法。
  13. 請求項12記載の方法によりヒストプラズマ属菌を検出するためのキットであって、請求項6記載のプローブを含むキット。
  14. ヒストプラズマ属菌の検出方法であって、請求項7乃至11のいずれかに記載のプライマーを用いて遺伝子増幅法によりヒストプラズマ属菌のチトクロームb遺伝子を検出する方法。
  15. 請求項14記載の方法によりヒストプラズマ属菌を検出するためのキットであって、請求項7乃至11のいずれかに記載のプライマーを含むキット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104762396A (zh) * 2015-04-15 2015-07-08 中国人民解放军第二军医大学 一种基于环介导等温扩增技术原理的组织胞浆菌感染分子诊断试剂盒及其应用

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