JP2004201635A - nestedPCRで複数種の微生物に対する増幅を共通条件で同時に行う方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、複数種の微生物のnested PCRを共通の条件下で同時に実施できることにより、一台の自動遺伝子増幅装置で短時間に増幅が可能である方法及び同方法を用いたキットを提供することである。
【解決手段】1st PCRで複数種の微生物に対し共通部分を増幅後、増幅した遺伝子の内部において少なくとも2種類の微生物に各々特異的なプライマーセットを用いて、各々を同一の温度・時間・サイクル数条件下で同時にnested PCRを行い、各微生物に特異的な増幅を行うことを特徴とする方法及び同方法を用いたキット。
【解決手段】1st PCRで複数種の微生物に対し共通部分を増幅後、増幅した遺伝子の内部において少なくとも2種類の微生物に各々特異的なプライマーセットを用いて、各々を同一の温度・時間・サイクル数条件下で同時にnested PCRを行い、各微生物に特異的な増幅を行うことを特徴とする方法及び同方法を用いたキット。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は少なくとも2種類の微生物に各々特異的なプライマーセットを用いて共通条件で同時にnested PCRを行うことにより、一台の自動遺伝子増幅装置で短時間に増幅が可能な方法、ならびにその為の検出キットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、細菌などの微生物を検出・同定するためには、選択培地による分離培養法、顕微鏡による形態観察法、抗体を用いた免疫学的検出法、菌体成分や代謝産物を生化学的に検出する方法などがあるが、特異性や感度においても臨床的な要請に十分に答えられる現状ではないうえに、結果が出るまでにかなりの時間を要する。
そこで近年では、上記方法に比べ特異性がよく、高感度で、また比較的短時間で遺伝子分析が可能なPCR法が、また更に特異性及び感度を向上する方法としてnested PCR法が報告されている。
【0003】
PCR法は3段階からなるDNA合成反応(変性、アニーリング、合成)を繰り返し行うことにより、プライマー対に挟まれた部位の長さの揃った2本鎖DNAが生成され、20〜30サイクル反応後には莫大な数のDNA分子が得られる方法であり、現在では非常にポピュラーな方法である。
【0004】
一方、nested PCR法は1回のPCRでは非特異増幅が認められる場合や感度不足の場合に、更に内側にプライマー対を作製し2回目のPCRを行う方法であり、非特異増幅の消去や感度向上に用いられる。
【0005】
しかし、従来の方法では一度に検出できる菌種が限られているうえに、検体に対して考えられる起因菌の種類の数だけPCRを実施する必要があり、必ずしも臨床的要請に十分対応できる方法とは言えず、より迅速かつ特異的・高感度に診断できる方法の確立が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のPCR法及びnested PCR法では、一度に検出できる菌種が限られているうえに、検体に対して考えられる起因菌の種類の数だけPCRを実施する必要があり、一台の自動遺伝子増幅装置では迅速な対応が難しい。逆に迅速な対応が必要な場合は、起因菌の種類の数に応じた複数の自動遺伝子増幅装置が必要であり、現実的ではない。
【0007】
本発明の目的は、複数種の微生物のnested PCRを共通の条件下で同時に実施できることにより、一台の自動遺伝子増幅装置で短時間に増幅が可能である方法及び同方法を用いたキットを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題解決のためPCR法において増幅反応の至適条件を決定する最も大きな要因であるプライマー配列について種々検討を行い、上記方法を確立した。プライマーの塩基配列は特異性に寄与するのはもちろんのこと、温度サイクルのアニーリング温度や鎖長に大きく影響するため、一度に増幅を試みる複数種の微生物の配列を比較し、検討した。
【0009】
その結果、複数種の微生物に各々特異的なプライマーセットのnested PCR条件において、各プライマーセットに適したアニーリングの温度(Tm=4×(G+C)+2×(A+T))差が5℃以内、好ましくは2℃以内であり、かつ各プライマーセットに適した合成時間の差が30秒以内、好ましくは15秒以内であれば複数種の微生物を一度に増幅することが可能であった。すなわち、アニーリング温度及び合成時間が上記範囲内に入る各微生物の特異的配列を決定することにより、本発明が可能となる。
【0010】
なお、本発明でプライマーセットとして用いる、配列番号1〜10のいずれかのオリゴヌクレオチドは、同等の効果を有するものであれば、各配列番号に記載された配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列のオリゴヌクレオチドを、その定義に含む。
【0011】
本発明は以下の各項の病原真菌遺伝子の検出方法等を提供する。
項1. (1) 1st PCRにおいて複数種の微生物に対し同一のプライマーセットを用いて共通部分の遺伝子を増幅する工程、(2) (1)の工程終了後増幅した遺伝子を用い、更に内部に少なくとも2種類の微生物に各々特異的なプライマーセットを用いて、各々を同一の温度・時間・サイクル数条件下で同時にnested PCRを行う工程、の2工程からなる、複数種の微生物に対する遺伝子の増幅を同時に行う方法。
項2. 項1に記載された方法で、複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行うためのキット。
項3.nested PCR条件において、プライマーセットの各プライマーに適したアニーリングの温度差が5℃以内、かつ、適した合成時間の差が30秒以内である項1記載の複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行う方法。
項4.nested PCRにおいて、プライマーセットとして、配列番号3及び4、配列番号5及び6、配列番号7及び8、或いは配列番号9及び10から選ばれる少なくとも1つの組み合わせを用いる、項3に記載の複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行う方法。
項5.1st PCRにおいて、プライマーセットとして、配列番号1のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、および、配列番号2のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして組み合わせて用いる、項4に記載の複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行う方法。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例をもって詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
【0013】
実施例1
主用病原真菌カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスの18S rRNA遺伝子のPCR法による検出
(1)オリゴヌクレオチド(DNA)の合成及び精製
配列表の配列番号1〜10に示したオリゴヌクレオチド(DNA)の合成及び精製は、日本バイオサービスに依頼した。
(2)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスのゲノムDNAの調製
カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスの培養及びゲノムDNAの調製は、槇村らの方法 [ 真菌症遺伝子診断 編集/槇村浩一 発行/メジカルセンス ] により行った。
(3)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスの18S rRNA遺伝子に特異的な領域のPCR法による増幅
実施例1の(2)で調製したカンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスのDNAを各々5μLずつ0.2mL用PCRチューブに取り、3μLの10×増幅用緩衝液(100mM Tris-HCl(pH8.3)、500mMKCl)、3μLの2mM dNTPs(dATP、dGTP、dTTP、dCTP)、1.8μLの25mM MgCl2、0.6μLの15pmol/μL オリゴヌクレオチド1(配列番号1、フォワードプライマー)、0.6μLの15pmol/μL オリゴヌクレオチド2(配列番号2、リバースプライマー)及び0.3μLの5U/μL タックポリメラーゼ(東洋紡製)を加え、更に滅菌水を加えて30μLの溶液にした。反応条件は95℃・5分間の変性後、95℃・30秒の変性→59℃・30秒のアニーリング→72℃・1分の合成反応を34サイクル行い、72℃・7分間伸長反応を行った。以上の反応を自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラー(Perkin-Elmer社 PCR System 9700)により実施した。
(4)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスの18S rRNA遺伝子に特異的な領域のPCR法による増幅後の検出
10μLの反応液を2%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色後、紫外線による蛍光で増幅されたDNAを確認した。その結果、3種類のオリゴヌクレオチドを用いた反応液ではカンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスともに687bp付近に単一の増幅が確認できた。
(5)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスのnested PCR法による増幅
実施例1の(4)で増幅が確認された3種類のオリゴヌクレオチドを用いた反応液を、滅菌蒸留水で1,000倍希釈後、各々1μLずつ0.2mL用PCRチューブに取り、3μLの10×増幅用緩衝液(100mM Tris-HCl(pH8.3)、500mM KCl)、3μLの2mM dNTPs(dATP、dGTP、dTTP、dCTP)、1.8μLの25mM MgCl2、0.6μLずつの15pmol/μL 各組み合わせ(配列番号3と4、5と6、7と8、9と10)(配列番号3、5、7、9はそれぞれフォワードプライマー、配列番号4、6、8、10はそれぞれリバースプライマー。配列番号3及び4はカンジダ属の遺伝子領域に特異的に対応、配列番号5及び6はアスペルギルス属の遺伝子領域に特異的に対応、配列番号7及び8はクリプトコッカス属の遺伝子領域に特異的に対応、配列番号9及び10は、前記3属に特異的に対応する。)オリゴヌクレオチド2種及び0.3μLの5U/μL タックポリメラーゼ(東洋紡製)を加え、更に滅菌蒸留水を加えて30μLの溶液にした。反応条件は95℃・5分間の変性後、95℃・30秒の変性→60℃・30秒のアニーリング→72℃・30秒の合成反応を25サイクル行い、72℃・7分間伸長反応を行った。以上の反応を4種類同時に自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラー(Perkin-Elmer社 PCR System 9700)により同条件で一度に実施した。
(6)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスのnested PCR法による増幅後の検出及び同定
10μLの反応液を2%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色後、紫外線による蛍光で増幅されたDNAを確認した。その結果、カンジダ・アルビカンスにおいては病原真菌共通オリゴヌクレオチドで199bp付近とカンジダ属オリゴヌクレオチドで437bp付近に、アスペルギルス・フミガタスにおいては病原真菌共通オリゴヌクレオチドで199bp付近とアスペルギルス属オリゴヌクレオチドで385bp付近に、クリプトコッカス・ネオフォルマンスにおいては病原真菌共通オリゴヌクレオチドで199bp付近とクリプトコッカス属オリゴヌクレオチドで254bp付近に各々単一の増幅が確認でき、その他のオリゴヌクレオチドの組み合わせでは増幅が確認できなかった。
このことは、本発明によりカンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスにおいて、4種類の各々特異的なプライマーセットを用いて共通条件で同時にnested PCRを行うことにより、一台の自動遺伝子増幅装置で短時間に増幅が可能であることを示していると考える。
【0014】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明により、少なくとも2種類の微生物に各々特異的なプライマーセットを用いて共通条件で同時にnestedPCRを行うことにより、一台の自動遺伝子増幅装置で短時間に増幅が可能な方法、ならびにその為の検出キットの作製が可能である。
【0015】
【配列表】
【産業上の利用分野】本発明は少なくとも2種類の微生物に各々特異的なプライマーセットを用いて共通条件で同時にnested PCRを行うことにより、一台の自動遺伝子増幅装置で短時間に増幅が可能な方法、ならびにその為の検出キットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、細菌などの微生物を検出・同定するためには、選択培地による分離培養法、顕微鏡による形態観察法、抗体を用いた免疫学的検出法、菌体成分や代謝産物を生化学的に検出する方法などがあるが、特異性や感度においても臨床的な要請に十分に答えられる現状ではないうえに、結果が出るまでにかなりの時間を要する。
そこで近年では、上記方法に比べ特異性がよく、高感度で、また比較的短時間で遺伝子分析が可能なPCR法が、また更に特異性及び感度を向上する方法としてnested PCR法が報告されている。
【0003】
PCR法は3段階からなるDNA合成反応(変性、アニーリング、合成)を繰り返し行うことにより、プライマー対に挟まれた部位の長さの揃った2本鎖DNAが生成され、20〜30サイクル反応後には莫大な数のDNA分子が得られる方法であり、現在では非常にポピュラーな方法である。
【0004】
一方、nested PCR法は1回のPCRでは非特異増幅が認められる場合や感度不足の場合に、更に内側にプライマー対を作製し2回目のPCRを行う方法であり、非特異増幅の消去や感度向上に用いられる。
【0005】
しかし、従来の方法では一度に検出できる菌種が限られているうえに、検体に対して考えられる起因菌の種類の数だけPCRを実施する必要があり、必ずしも臨床的要請に十分対応できる方法とは言えず、より迅速かつ特異的・高感度に診断できる方法の確立が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のPCR法及びnested PCR法では、一度に検出できる菌種が限られているうえに、検体に対して考えられる起因菌の種類の数だけPCRを実施する必要があり、一台の自動遺伝子増幅装置では迅速な対応が難しい。逆に迅速な対応が必要な場合は、起因菌の種類の数に応じた複数の自動遺伝子増幅装置が必要であり、現実的ではない。
【0007】
本発明の目的は、複数種の微生物のnested PCRを共通の条件下で同時に実施できることにより、一台の自動遺伝子増幅装置で短時間に増幅が可能である方法及び同方法を用いたキットを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題解決のためPCR法において増幅反応の至適条件を決定する最も大きな要因であるプライマー配列について種々検討を行い、上記方法を確立した。プライマーの塩基配列は特異性に寄与するのはもちろんのこと、温度サイクルのアニーリング温度や鎖長に大きく影響するため、一度に増幅を試みる複数種の微生物の配列を比較し、検討した。
【0009】
その結果、複数種の微生物に各々特異的なプライマーセットのnested PCR条件において、各プライマーセットに適したアニーリングの温度(Tm=4×(G+C)+2×(A+T))差が5℃以内、好ましくは2℃以内であり、かつ各プライマーセットに適した合成時間の差が30秒以内、好ましくは15秒以内であれば複数種の微生物を一度に増幅することが可能であった。すなわち、アニーリング温度及び合成時間が上記範囲内に入る各微生物の特異的配列を決定することにより、本発明が可能となる。
【0010】
なお、本発明でプライマーセットとして用いる、配列番号1〜10のいずれかのオリゴヌクレオチドは、同等の効果を有するものであれば、各配列番号に記載された配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列のオリゴヌクレオチドを、その定義に含む。
【0011】
本発明は以下の各項の病原真菌遺伝子の検出方法等を提供する。
項1. (1) 1st PCRにおいて複数種の微生物に対し同一のプライマーセットを用いて共通部分の遺伝子を増幅する工程、(2) (1)の工程終了後増幅した遺伝子を用い、更に内部に少なくとも2種類の微生物に各々特異的なプライマーセットを用いて、各々を同一の温度・時間・サイクル数条件下で同時にnested PCRを行う工程、の2工程からなる、複数種の微生物に対する遺伝子の増幅を同時に行う方法。
項2. 項1に記載された方法で、複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行うためのキット。
項3.nested PCR条件において、プライマーセットの各プライマーに適したアニーリングの温度差が5℃以内、かつ、適した合成時間の差が30秒以内である項1記載の複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行う方法。
項4.nested PCRにおいて、プライマーセットとして、配列番号3及び4、配列番号5及び6、配列番号7及び8、或いは配列番号9及び10から選ばれる少なくとも1つの組み合わせを用いる、項3に記載の複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行う方法。
項5.1st PCRにおいて、プライマーセットとして、配列番号1のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、および、配列番号2のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして組み合わせて用いる、項4に記載の複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行う方法。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例をもって詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
【0013】
実施例1
主用病原真菌カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスの18S rRNA遺伝子のPCR法による検出
(1)オリゴヌクレオチド(DNA)の合成及び精製
配列表の配列番号1〜10に示したオリゴヌクレオチド(DNA)の合成及び精製は、日本バイオサービスに依頼した。
(2)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスのゲノムDNAの調製
カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスの培養及びゲノムDNAの調製は、槇村らの方法 [ 真菌症遺伝子診断 編集/槇村浩一 発行/メジカルセンス ] により行った。
(3)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスの18S rRNA遺伝子に特異的な領域のPCR法による増幅
実施例1の(2)で調製したカンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスのDNAを各々5μLずつ0.2mL用PCRチューブに取り、3μLの10×増幅用緩衝液(100mM Tris-HCl(pH8.3)、500mMKCl)、3μLの2mM dNTPs(dATP、dGTP、dTTP、dCTP)、1.8μLの25mM MgCl2、0.6μLの15pmol/μL オリゴヌクレオチド1(配列番号1、フォワードプライマー)、0.6μLの15pmol/μL オリゴヌクレオチド2(配列番号2、リバースプライマー)及び0.3μLの5U/μL タックポリメラーゼ(東洋紡製)を加え、更に滅菌水を加えて30μLの溶液にした。反応条件は95℃・5分間の変性後、95℃・30秒の変性→59℃・30秒のアニーリング→72℃・1分の合成反応を34サイクル行い、72℃・7分間伸長反応を行った。以上の反応を自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラー(Perkin-Elmer社 PCR System 9700)により実施した。
(4)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスの18S rRNA遺伝子に特異的な領域のPCR法による増幅後の検出
10μLの反応液を2%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色後、紫外線による蛍光で増幅されたDNAを確認した。その結果、3種類のオリゴヌクレオチドを用いた反応液ではカンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスともに687bp付近に単一の増幅が確認できた。
(5)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスのnested PCR法による増幅
実施例1の(4)で増幅が確認された3種類のオリゴヌクレオチドを用いた反応液を、滅菌蒸留水で1,000倍希釈後、各々1μLずつ0.2mL用PCRチューブに取り、3μLの10×増幅用緩衝液(100mM Tris-HCl(pH8.3)、500mM KCl)、3μLの2mM dNTPs(dATP、dGTP、dTTP、dCTP)、1.8μLの25mM MgCl2、0.6μLずつの15pmol/μL 各組み合わせ(配列番号3と4、5と6、7と8、9と10)(配列番号3、5、7、9はそれぞれフォワードプライマー、配列番号4、6、8、10はそれぞれリバースプライマー。配列番号3及び4はカンジダ属の遺伝子領域に特異的に対応、配列番号5及び6はアスペルギルス属の遺伝子領域に特異的に対応、配列番号7及び8はクリプトコッカス属の遺伝子領域に特異的に対応、配列番号9及び10は、前記3属に特異的に対応する。)オリゴヌクレオチド2種及び0.3μLの5U/μL タックポリメラーゼ(東洋紡製)を加え、更に滅菌蒸留水を加えて30μLの溶液にした。反応条件は95℃・5分間の変性後、95℃・30秒の変性→60℃・30秒のアニーリング→72℃・30秒の合成反応を25サイクル行い、72℃・7分間伸長反応を行った。以上の反応を4種類同時に自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラー(Perkin-Elmer社 PCR System 9700)により同条件で一度に実施した。
(6)カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスのnested PCR法による増幅後の検出及び同定
10μLの反応液を2%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色後、紫外線による蛍光で増幅されたDNAを確認した。その結果、カンジダ・アルビカンスにおいては病原真菌共通オリゴヌクレオチドで199bp付近とカンジダ属オリゴヌクレオチドで437bp付近に、アスペルギルス・フミガタスにおいては病原真菌共通オリゴヌクレオチドで199bp付近とアスペルギルス属オリゴヌクレオチドで385bp付近に、クリプトコッカス・ネオフォルマンスにおいては病原真菌共通オリゴヌクレオチドで199bp付近とクリプトコッカス属オリゴヌクレオチドで254bp付近に各々単一の増幅が確認でき、その他のオリゴヌクレオチドの組み合わせでは増幅が確認できなかった。
このことは、本発明によりカンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガタス及びクリプトコッカス・ネオフォルマンスにおいて、4種類の各々特異的なプライマーセットを用いて共通条件で同時にnested PCRを行うことにより、一台の自動遺伝子増幅装置で短時間に増幅が可能であることを示していると考える。
【0014】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明により、少なくとも2種類の微生物に各々特異的なプライマーセットを用いて共通条件で同時にnestedPCRを行うことにより、一台の自動遺伝子増幅装置で短時間に増幅が可能な方法、ならびにその為の検出キットの作製が可能である。
【0015】
【配列表】
Claims (5)
- (1) 1st PCRにおいて複数種の微生物に対し同一のプライマーセットを用いて共通部分の遺伝子を増幅する工程、(2) (1)の工程終了後増幅した遺伝子を用い、更に内部に少なくとも2種類の微生物に各々特異的なプライマーセットを用いて、各々を同一の温度・時間・サイクル数条件下で同時にnestedPCRを行う工程、の2工程からなる、複数種の微生物に対する遺伝子の増幅を同時に行う方法。
- 請求項1に記載された方法で、複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行うためのキット。
- nested PCR条件において、プライマーセットの各プライマーに適したアニーリングの温度差が5℃以内、かつ、適した合成時間の差が30秒以内である請求項1記載の複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行う方法。
- nested PCRにおいて、プライマーセットとして、配列番号3及び4、配列番号5及び6、配列番号7及び8、或いは配列番号9及び10から選ばれる少なくとも1つの組み合わせを用いる、請求項3に記載の複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行う方法。
- 1st PCRにおいて、プライマーセットとして、配列番号1のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマー、および、配列番号2のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして組み合わせて用いる、請求項4に記載の複数種の微生物に対する遺伝子の検出を同時に行う方法。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051124 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20080627 |