JP2017028125A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体基板の表面に任意の曲率を有するレンズを集積した半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】InP基板801上に、InP基板に対して水平方向に光を出射するレーザ共振器802、InP基板の表面の凹部の傾斜面に形成された傾斜ミラー804でありレーザ共振器から出力光の出射方向を変換する傾斜ミラー、およびInP基板の表面の光軸上に誘電体材料によって形成したレンズ806を備えた半導体レーザ素子800において、InP基板の表面の凹部を誘電体材料840を用いて平坦化し、平坦化された凹部を含むInP基板の表面にレンズを作製した。
【選択図】図8

Description

本発明は、半導体レーザ素子に関し、より詳細には半導体基板水平方向のレーザ共振器と、共振器からの出力光の出射方向を変換する傾斜ミラーを備えた表面出射型の半導体レーザ素子に関する。
レンズ集積型の半導体レーザは基板水平方向に共振器をもつ半導体レーザの出力光の出射方向を傾斜ミラーによって変換し、さらにInPによって形成されたレンズを透過させて出力する。これによって所望のスポットサイズに変換された出力光は外部レンズを用いることなく高効率にファイバや他の光素子に結合され、低コストかつ低消費電力な光送信機が実現できる。
一般的なレンズ集積型の半導体レーザは出力光を傾斜ミラーによって基板裏面側に反射させ、裏面に形成されたレンズにより所望のスポットサイズに変換して出力する(非特許文献1参照)。図1に非特許文献1に示されたレンズ集積型の半導体レーザを示す。図1は、レーザ共振器102および45°傾斜ミラー104が形成されたInP基板の裏面にInPレンズ106を集積した半導体レーザ素子(以下、裏面出射型半導体レーザ素子)100を裏面から見た図である。
これに対して、レーザからの光出力を傾斜ミラーによって基板の表面(おもてめん)に跳ね上げることで基板表面から光出力を得る構造も提案されている(非特許文献2参照)。図2に非特許文献2に示された基板表面から光出力を得る構造のレーザ素子(以下、表面出射型半導体レーザ素子)を示す。図2の表面出射型半導体レーザ素子200は、基板上に形成されたDistributed FeedBack(DFB)回折格子付活性層213に対して基板の表面に形成されたp型電極220および基板の裏面に形成されたn型電極222から電流が印加される。活性層213からの出力光は、45°傾斜ミラー204で進行方向が変換され、基板の表面の反射防止膜を形成した小領域217から出力する。
図3に示すように、表面出射型半導体レーザ素子においても基板表面にInPレンズを集積することで、出力光を所望のスポットサイズに変換することが可能になる。図3の表面出射型半導体レーザ素子は、半導体基板の表面にレンズを集積した半導体レーザ素子(レンズ集積型半導体レーザ素子とも言う。)であり、表面に集積されたレンズを介して出力光を得る。図3の表面出射型半導体レーザ素子300は、InP基板301の表面側に該InP基板に水平な方向に形成されたレーザ共振器302と、光導波路330と、傾斜ミラー304と、InPレンズ306とを備える。レーザ共振器302は、下部分離閉じ込め(SCH)層310と、活性層(多重量子井戸)312と、上部SCH314と、回折格子316と、レーザ共振器302に電流を印加する電極320とを備える。レーザ共振器302からの出力光は、導波路330を伝搬し、45°傾斜ミラー204で進行方向が変換され、基板の表面に集積されたInPレンズ306により所望のスポットサイズに変換される。この場合は傾斜ミラー304およびInPレンズ306の位置合わせと作製プロセスを半導体基板表面で行うため、一般的なステッパプロセスによって高い位置決め精度でレンズを集積することが可能である。
K. Adachi et al., "A 1.3-μm Lens-Integrated Horizontal-Cavity Surface-Emitting Laser with Direct and Highly Efficient Coupling to Optical Fibers," Proc. of Optical Fiber Communication, JThA31, Mar. 22-26, 2009 M.Mohrle et al., "1300-nm Horizontal-cavity surface-emitting BH-DFB lasers for uncooled operation," IEEE Photon. Technol. Lett., Vol. 18, No. 8, Apr. 2006
しかしながら、半導体基板の裏面にレンズを集積した裏面出射型半導体レーザ素子においては、レンズ形成時に裏面を加工する特殊なプロセスが必要なため量産が困難であった。さらに、表面に形成された光の進行方向を変換する傾斜ミラーと裏面のレンズとの位置合わせが困難であることから、光軸ずれによる光損失が生じることが避けられなかった。
また、基板表面にレンズを集積した表面出射型半導体レーザ素子においては、傾斜ミラー及びレンズを表面に形成することから、通常のステッパプロセスによる高精度な位置合わせが可能であるが、導波路のクラッド層厚とInPレンズ径に制約が生じ、所望の曲率を有するレンズ形状を高精度に作製することが困難であった。これに関して図4を参照して説明する。
図4は、表面に傾斜ミラー404及びInPレンズ406を有するレンズ集積型半導体レーザ素子(表面出射型半導体レーザ素子)400の光出力部を示す。図4には、レーザ共振器(不図示)からの光が伝搬する導波路430も示されている。基板に垂直な方向に光の進行方向を変換する傾斜ミラー400は、基板に水平方向に形成された導波路430を伝搬する光に対して45°の角度をなすようにミラー面が形成される。したがって図4に示すように、進行方向を変換された光が基板表面に向かって伝搬するクラッド層の厚さ(以下、クラッド層厚ともいう)dに対してInPレンズの半径(以下、レンズ半径ともいう)rは、r<dである必要がある。さらに、InPレンズ406はこのクラッド層の一部をエッチングにより削り出して作製されるためInPレンズの高さも含めたクラッド層厚が必要であった。InPレンズ半径は作製精度を向上させるために可能な限り大きく設計する必要がある。しかし、一般的な光半導体デバイスの導波路の上部のクラッド層厚は1.5μm程度であるため、InPレンズ半径も1.5μm以下に制約されることから、十分な作製精度で加工することが困難であった。また、レンズ半径rを増加させるためにクラッド層厚を厚膜化した場合は、レーザ共振器部分のクラッド層厚の増加によるレーザの高抵抗化等の特性劣化の要因となっていた。また、傾斜ミラー作製時のエッチングを深く行う必要が生じることから作製プロセスの複雑化の要因にもなっていた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、半導体基板の表面に任意の曲率を有するレンズを集積した半導体レーザ素子を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の第一の態様は、半導体レーザ素子である。半導体レーザ素子は、InP基板上に、InP基板に対して水平方向に光を出射するレーザ共振器、レーザ共振器から出力光の出射方向を変換する傾斜ミラー、およびInP基板の表面の光軸上に誘電体材料によって形成したレンズを備える。傾斜ミラーはInP基板の表面の凹部の傾斜面に形成されている。InP基板の表面の凹部は誘電体材料を用いて平坦化されていて、レンズは平坦化された凹部を含むInP基板の表面に位置する。
一実施形態では、誘電体材料はベンゾシクロブテンである。一実施形態では、凹部の平坦化に用いる誘電体材料とレンズを形成する誘電体材料とは同一である。一実施形態では、凹部の平坦化に用いる誘電体材料とレンズを形成する誘電体材料とは異なる。一実施形態では、InP基板上に、レーザ共振器とレンズの組が複数配列されている。
以上説明したように、本発明によれば、半導体基板の表面にレンズを集積する表面出射型半導体レーザ素子において、傾斜ミラー作製時に生じる凹部を誘電体材料で平坦化し、さらに誘電体材料を用いたレンズを形成することで、任意の曲率を有するレンズを集積することができる。その結果、レンズ半径はクラッド層厚に依存せず任意の形状を作製可能であるため、所望のスポットサイズ径に変換することが可能となる。
基板裏面にレンズが形成された半導体レーザを説明するため図である。 基板表面にレンズが形成された半導体レーザを説明するため断面図である。 表面にInPレンズを有するレンズ集積型半導体レーザの断面図である。 表面にInPレンズを有するレンズ集積型半導体レーザの光出射部の断面図である。 誘電体材料による平坦化部分と誘電体レンズを有する半導体レーザの光出射部の断面図である。 レンズの半径および高さの設計範囲を説明するグラフである。 レンズの半径の許容誤差範囲を説明する図であり、(a)はレンズの半径の設計値rと許容誤差範囲Δrを示す図、(b)はレンズ半径rの許容誤差範囲Δrとの関係を示すグラフである。 BCBによる平坦化プロセスを用いBCBレンズを集積したレンズ集積型半導体レーザの図である。 (a)〜(d)は、BCB平坦化プロセスを用い作製したBCBレンズを有するレンズ集積型半導体レーザの作製プロセスを説明する図である。 コリメート光による石英系PLCとBCBレンズ集積型レーザを用いた光送信機の図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の種々の実施形態の説明においては、具体的な数値例を用いるが、本願発明は、このような具体的な数値例に限定されるものではなく、一般性を失うことは他の数値においても実施することもできることは言うまでもない。
図5は、本実施形態の表面出射型半導体レーザ素子500の光出射部の断面図である。図5に示す表面出射型半導体レーザ素子500は、基板に水平な方向に形成された光導波路530と、傾斜ミラー504と、誘電体レンズ506とを備える。傾斜ミラー504は、凹部の傾斜面に形成されている。凹部は光導波路530よりも深く、凹部の傾斜面は光導波路530の断面を含む。凹部は、誘電体540を用いて平坦化され、誘電体レンズ506は、平坦化された凹部を含む基板の表面に位置する。誘電体レンズ506は、基板の表面の光軸上に位置する。例えば、傾斜ミラー504を作製する時に生じる凹部を誘電体材料540で平坦化した後、さらに誘電体材料を用いてレンズ部分506を形成する。
図6は、InPレンズおよび誘電体材料としてベンゾシクロブテン(BCB)を用いた誘電体レンズの設計可能範囲を示す。設計したレンズは半導体から出射され光ファイバ(開口数NA=0.12)へ光結合する場合を想定し、レンズ曲面を設計した。図6からInPレンズを設計する場合、前述した通りレンズ半径rはクラッド層厚dに対してr<dの制約がある。また、InPレンズはクラッド層の一部をエッチングして形成することからレンズ高さもクラッド層厚より小さい必要がある。一般的な半導体レーザのクラッド層厚は1.5μm程度であることから、InPレンズの半径および高さの設計可能な範囲は図6中の破線内の範囲に限定される。したがって、光ファイバ用のInPレンズを設計した場合、半径rは1.5μm以下、高さは0.5μm以下の極めて小型のレンズを作製する必要がある。これに対して、本発明では凹部の平坦化とレンズの作製に誘電体材料を用いることからレンズのサイズへの構造上の制約はなく、任意の大きさのレンズが作製可能である。図6では屈折率n=1.5のBCBを用いており、半導体(n=3.21)に対して屈折率が小さいためInPよりも急峻なレンズ曲面が必要となるが、レンズの半径または高さを任意に決定することができる。
図7(a)示すようにレンズ半径の設計値rに対する作製誤差の許容範囲を許容誤差範囲Δrとした場合、レンズ半径の設計値rとレンズ半径の許容誤差範囲Δrとの関係は、図7(b)のようになる。ここでは、レンズの設計は図6と同じく光ファイバへの結合を想定し、理想的なレンズ曲率に対して損失が1dB増加してしまうようなレンズ半径誤差の範囲を計算した。図7からレンズ半径を大きく設計するほどレンズ半径の誤差許容値を増加させることができる。InPレンズの場合、前述した通りレンズ半径は1.5μm以下に制約される。したがって、図6より許容されるレンズ半径の誤差は約150nm以下となり、高精度で再現性良くレンズ集積構造を量産することが困難であった。これに対して、本実施形態のように誘電体材料であるBCBを用いたレンズではその半径を大型化することが可能であり、一般的なステッパプロセスで十分作製可能である200nm以上の誤差許容値を十分確保できる。
(実施例1)
図8は、本発明の実施形態に係るBCBによる平坦化プロセスを用いBCBレンズを集積したレンズ集積型半導体レーザ素子(表面出射型半導体レーザ素子)を示す。図8の表面出射型半導体レーザ素子800は、InP基板801の表面側に該InP基板に水平な方向に形成されたレーザ共振器802と、光導波路830と、傾斜ミラー804と、BCBレンズ806とを備える。レーザ共振器802は、下部分離閉じ込め(SCH)層810と、活性層(多重量子井戸)812と、上部SCH814と、回折格子816と、レーザ共振器802に電流を印加する電極820とを備える。傾斜ミラー804は、凹部の傾斜面に形成されている。凹部は光導波路830よりも深く、凹部の傾斜面は光導波路830の断面を含む。凹部は、誘電体(BCB)840を用いて平坦化され、誘電体レンズ806は、平坦化された凹部を含む基板の表面に位置する。誘電体レンズ806は、基板の表面の光軸上に位置する。レーザ共振器802からの出力光は、導波路830を伝搬し、45°傾斜ミラー804で進行方向が変換され、基板の表面に集積されたBCBレンズ806により所望のスポットサイズに変換される。
表面出射型半導体レーザ素子800の作製にはn-InP基板801上に、下部SCH層810、多重量子井戸層812、上部SCH層814を成長した初期基板を用いる。その作製プロセスを図9に示す。
初めに、初期基板のうちの導波路となる部分を選択的にエッチングし、例えばInGaAsPを用いて、バットジョイント再成長によって導波路830を形成する(図9(a))。続いて、レーザ共振器802の部分に1.3μm帯を発振波長として動作するように調節された回折格子816を形成し、再成長によってp-InPクラッド層(上部クラッド層)を形成することで、回折格子を埋め込んだ。クラッド層の厚さは一般的な半導体レーザで用いられる1.5μmとした。次に、メサ構造をエッチングによって形成し、再び埋め込み再成長によってメサ両脇にFeをドーピングした半絶縁性InP層を形成した。共振器802の垂直方向は多重量子井戸812と上下SCH層(810,812)からなるコア層(層厚の合計200nm)と、コア層を上下から挟み込むInPクラッド層からなる積層構造を有し、水平方向にはメサ両脇にInP層が形成された埋め込みヘテロ構造を有する。また、共振器802は、共振器長を200μm、ストライプ幅を1.5μmとし、共振器802内に形成した回折格子816に起因するDFBモードで動作する。続いて、n側(820)、p側の電極(不図示)を形成した後、エッチングマスク972を形成し、導波路830の終端にInP基板801の表面となす角45°を設計値としてエッチングを施した。この際のエッチングによる凹部の深さは導波路830が完全に露出し、さらに導波路830の下部を2μm程度露出するまで行った(図9(b))。次に、半導体光デバイスに一般的に用いられる誘電体材料であるベンゾシクロブテン(以下BCB)を基板上に塗布し、ベーキングにより固化させたのち、傾斜ミラー804の部分が形成された凹部(BCB)840が平坦になり且つその他の部分でInP基板表面が露出するようにBCBのエッチングを行った(図9(c))。続いて、スパッタリングにより基板表面(基板表面とBCBレンズとの間に相当する位置)に無反射コーティング(不図示)を施し、再びBCB974を基板全面に塗布して(図9(d))、パターニングとエッチングを行うことでBCBレンズ806を作製した(図9(e))。ここでは出力光を光ファイバ(開口数NA=0.12)へ直接結合させるようなBCBレンズを設計し、直径5μm、高さ5.2μmとした。図5を参照して説明したように、誘電体レンズの一部が傾斜ミラー作製時の凹部にかかる大きさであるが、前述した凹部の平坦化プロセスを施しているためレンズ形状に影響はなく均一な球面が得られた。なお、ここでは凹部の平坦化およびレンズの形成に同一の誘電体材料BCBを用いているが、本発明では誘電体材料による凹部平坦化とレンズ形成の組み合わせによって効果を発揮するため、それぞれに別の誘電体材料を用いることも可能である。例えば、凹部の平坦化にBCBを用いて、レンズの形成に二酸化ケイ素(SiO2)やポリメタクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂(PMMA)等の誘電体を用いてもよい。
最後に、BCBレンズ上にBCBと空気との境界で反射光を抑制する無反射コーティングを施した。半導体レーザ共振器の終端から出射された出力光はまず導波路830に光結合し伝搬された後、傾斜ミラー804によって進行方向が基板垂直方向に変換され、BCBレンズ806に到達する。出力光はBCBレンズを透過することで光ファイバ(NA=0.12)に合わせたスポットサイズに集光される。
試作したBCBレンズを集積した表面出射型半導体レーザ素子と光ファイバを直接光結合することで、BCBレンズによる効果を見積もった。この結果、外部レンズ等を用いることなく結合損失は約3.0dBであり、レンズを集積していない表面出射型半導体レーザ素子と比較して約10dBの損失改善が得られた。前述した通りクラッド層厚は一般的な半導体レーザに合わせて設計されており、レーザ特性の劣化を招くことなくレンズ集積構造が実現されている。
(実施例2)
図10は、本実施例に係る複数のレーザ共振器を実装した表面出射型レーザ素子の断面図を示す。図10の表面出射型レーザ素子1000は、並列に配列された複数組のレーザ共振器1002、導波路1030、およびBCBレンズ1006を備える。傾斜ミラー1004は一括してエッチングされた凹部の傾斜面に形成されている。また、凹部はBCBにより平坦化されている。BCBレンズ1006は、BCBにより平坦化された凹部を含む基板の表面に位置する。BCBレンズ1006は、基板の表面の光軸上に位置する。
図10に示すレーザ共振器1002、導波路1030、傾斜ミラー1004、BCBにより平坦化された凹部、およびBCBレンズ1006は、図8を参照して説明したレーザ共振器802、光導波路830、傾斜ミラー804、BCBにより平坦化された凹部、およびBCBレンズ806にそれぞれ対応する。
図10には、表面出射型レンズ集積レーザ素子1000からの光を合波する石英系PLCからなる合波素子1050も示されている。合波素子1050は、表面出射型レンズ集積レーザ素子1000とともにマルチチャネル光送信機(WDM光送信機ともいう。)を構成する。
合波素子1050は、BCBレンズ1006によりコリメート光に変換された光を、石英系基板1051の表面に集積された石英系レンズ1056により傾斜ミラー1054と石英系光導波路1052との交差点に集光し、傾斜ミラー1054により進行方法を変換して、高効率で石英系光導波路1052に光結合させることができる。石英系光導波路1052は、石英系基板1051に作製されたアレイ導波路格子(AWG)に接続され、石英系レンズ1056の各々から入力された光を高効率に合波することができる。
ここで、4つのレーザ共振器1002を実装した表面出射型半導体レーザ素子1000の作製プロセスを説明する。図8を参照して説明したのと同様に、n-InP基板上に、下部SCH層、多重量子井戸層、および上部SCH層を並列に4組(LANE1~4)成長した初期基板を用いる。初めに、導波路1030とレーザ共振器1002とをバットジョイント再成長によって形成した後、レーザ共振器1002に1.3μm帯を発振波長とし、4つのLANEの各々について、LANE0が1294.53-1296.59nmで、LANE1が1299.02-1301.09nmで、LANE2が1303.54-1305.63nmで、LANE3が1308.09-1310.19nmで動作するように調節された4チャネルのレーザアレイ回折格子(回折格子816に相当)を形成した。続いて再成長によってp-InPクラッド層を形成することで、回折格子を埋め込んだ。クラッド層の厚さは一般的な半導体レーザで用いられる1.5μmとした。次に、メサ構造をエッチングによって形成し、再び埋め込み再成長によってメサ両脇にFeをドーピングした半絶縁性InP層を形成した。共振器垂直方向は多重量子井戸と上下SCH層からなるコア層(層厚の合計200nm)と、コア層を上下から挟み込むInPクラッド層からなる積層構造を有し、水平方向にはメサ両脇にInP層が形成された埋め込みヘテロ構造を有する。また、すべてのチャネルにおいて共振器長を200μm、ストライプ幅を1.5μmとし、共振器内に形成した回折格子に起因するDFBモードで動作する。この各チャネルはそれぞれレーザ共振器1002の終端から連通した導波路1030を有し、レーザ共振器1002からの出力光は各導波路1030に光結合し伝搬される。続いて、すべてのレーザ共振器1002の部分にn側、p側の電極(不図示)を形成した後、各チャネルの導波路1020の部分の終端にInP基板1001の表面となす角を45°としてエッチングを施し一括で傾斜ミラー1004を作製した。次に、半導体光デバイスに一般的に用いられる誘電体材料であるベンゾシクロブテン(以下BCB)を基板上に塗布し、ベーキングにより固化させたのち、各チャネルに対応する傾斜ミラー1004が形成された凹部(BCB)1040が平坦になり且つその他の部分でInP基板の表面が露出するようにBCBのエッチングを行った。続いて、スパッタリングにより基板表面(基板表面とBCBレンズとの間に相当する位置)に無反射コーティングを施し、再びBCBを基板全面に塗布してパターニングとエッチングを行うことでBCBレンズ1006を作製した。ここでは出力光がコリメート光になるようなBCBレンズを設計し、すべてのチャネルで直径7.8μm、高さ4.8μmとした。BCBレンズの一部が傾斜ミラー作製時の凹部に係る大きさであるが、前述した凹部の平坦化プロセスを施しているためレンズ形状に影響はなく均一な球面が得られた。最後に、BCBレンズ上にBCBと空気との境界で反射光を抑制する無反射コーティングを施した。
凹部の平坦化およびレンズの形成に同一の誘電体材料BCBを用いているが、本発明では誘電体材料による凹部平坦化とレンズ形成の組み合わせによって効果を発揮するため、それぞれに別の誘電体材料を用いることも可能である。例えば、凹部の平坦化にBCBを用いて、レンズの形成に二酸化ケイ素(SiO2)やポリメタクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂(PMMA)等の誘電体を用いてもよい。
作製した表面出射型半導体レーザ素子1000に対して、石英系基板1051上に傾斜ミラー1054と石英系材料からなるレンズ1056とを有し、基板表面から光の入出力が可能な4ch-PLC-AWG合波素子1050との結合実験を実施した。表面出射型半導体レーザ素子1000と石英系PLCからなる合波素子1050とはコリメート光で光結合されている。光軸のアライメントは表面出射型半導体レーザ素子1000の4チャネルの内2チャネルに電流を印加し合波素子1050からの出力光をモニタリングしながら位置調節を行った。表面出射型半導体レーザ素子1000と合波素子1050を固定した後、各チャネルのBCBレンズ1006からの出射光と合波素子1050の石英系PLC内の導波路への結合損失を評価した結果、すべてのチャネルにおいて結合損失が4dB以下であることが確認された。また、石英系PLCからなる合波素子1050における合波損失を含めた全体の挿入損失は各チャネル5dB以下と見積もられ、このことから外部レンズを用いることなく高効率なWDM光送信機が実現された。
100 裏面出射型半導体レーザ素子
102 レーザ共振器
104 45°傾斜ミラー
106 InPレンズ
200,300,400,500,800,1000 表面出射型レーザ素子
204 45°傾斜ミラー
213 Distributed FeedBack(DFB)回折格子付活性層
217 反射防止膜を形成した小領域
220 p型電極
222 n型電極
301,801,1001 InP基板
302,802,1002 レーザ共振器
304,404,504,804,1004 傾斜ミラー
306,406 InPレンズ
310,810 下部SCH層
312,812 活性層
314,814 上部SCH層
316,816 回折格子
320,820 電極
330,430,530,830,1030 光導波路
540,840,974,1040 誘電体
506,806,1006 誘電体(BCB)レンズ
972 エッチングマスク
1050 合波素子
1051 石英系基板
1052 石英系導波路
1054 傾斜ミラー
1056 石英系レンズ

Claims (3)

  1. InP基板上に、前記InP基板に対して水平方向に光を出射するレーザ共振器、前記InP基板の表面の凹部の傾斜面に形成された傾斜ミラーであり前記レーザ共振器から出力光の出射方向を変換する傾斜ミラー、および前記InP基板の表面の光軸上に誘電体材料によって形成したレンズを備えた半導体レーザ素子であって、
    前記InP基板の表面の前記凹部は、誘電体材料を用いて平坦化され、
    前記レンズは、平坦化された前記凹部を含む前記InP基板の表面に位置する、ことを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 前記誘電体材料は、ベンゾシクロブテンである、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記InP基板上に、前記レーザ共振器と前記レンズの組が複数配列されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
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