JP2017025252A - 樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2のようなATO、ITO等無機系赤外線遮蔽材料を用いたものも知られているが、十分な赤外線遮蔽性能を確保しようと擦ると曇り度が高くなってしまうという不具合が生じやすい。
すなわち本発明によれば、上記課題は、下記構成により解決される。
MxWyOz (i)
(但し、Mはアルカリ金属、x、y、zは、0.01≦x≦1、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0を満たす数である。)
LaB6 (ii)
2.MがLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、およびBaよりなる群より選択される元素である上記1記載の樹脂組成物。
3.複合タングステン酸化物粒子が分散剤で被覆されている上記1または2記載の樹脂組成物。
4.上記1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物よりなる成形品。
5.可視光透過率が40%〜90%の範囲であり、かつTts(Solar total transmittance)の値が70%以下である上記4記載の成形品。
6.表面にハードコート処理を施される上記4または5に記載の成形品。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート単位(a)と、脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(b)とを含む。
本発明にかかる単位(a)は上記式(1)に示したように、エーテル基を有する脂肪族ジオールから誘導されるものである。
上記式(1)は、バイオマス資源の中でエーテル結合を有するジオールで、耐熱性及び鉛筆硬度が高い材料である。
上記式(1)は、立体異性体の関係にある下記式で表される繰り返し単位(a1)、(a2)および(a3)が例示される。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドローDーソルビトール)から誘導される繰り返し単位は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂における単位(b)は、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外の脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位である。
脂肪族ジオール化合物は、直鎖脂肪族ジオール化合物または分岐脂肪族ジオール化合物のいずれでもよい。直鎖脂肪族ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数3〜20、さらに好ましくは炭素原子数3〜10の直鎖脂肪族ジオール化合物が使用される。また、分岐脂肪族ジオール化合物として、好ましくは炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜20、さらに好ましくは炭素原子数4〜12の分岐脂肪族ジオール化合物が使用される。
直鎖脂肪族ジオール化合物として、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール,水素化ジオレイルグリコールなどが挙げられる。なかでも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールが上記単位(a)と共重合して得られたポリカーボネート樹脂に複合酸化タングステン粒子および/または六ホウ化物粒子を含有させた際に優れた透明性を維持することができる点で好ましい。
これらの脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物は、1種もしくは2種類以上併用して用いても良い。また、本発明で使用されるジオール類は、本発明の効果を損なわない範囲で芳香族ジオールを併用してもよい。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、単位(a)と単位(b)とを含み、それら単位(a)と単位(b)とのモル比(a/b)は47/53以上98/2以下であることが好ましい。モル比(a/b)が47/53以上98/2以下の範囲では、耐熱性が高くさらに成形性も良好となる。単位(a)と単位(b)とのモル比(a/b)は、好ましくは60/40〜98/2、より好ましくは70/30以上95/5以下、さらに好ましくは73/27以上90/10以下、特に好ましくは80/20以上90/10以下、もっとも好ましくは83/17以上89/11以下である。各繰り返し単位のモル比は、日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて測定し算出する。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、カーボネート単位(a)とカーボネート単位(b)との合計が全カーボネート単位中70モル%以上となることが好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、95モル%以上が特に好ましい。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)は、0.3〜0.8が好ましく、0.32〜0.6がさらに好ましく、0.33〜0.5が特に好ましい。比粘度が0.3〜0.8では強度及び成形加工性が良好となる。本発明のポリカーボネート樹脂の比粘度が、0.3より小さいと耐衝撃性が低下し、衝撃試験時の破壊形態が脆性破壊になりやすくなる、他方0.8より大きいと射出成形の際の成形加工性が低下しやすくなる。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは70〜150℃、より好ましくは80〜140℃である。Tgが90℃〜130℃であると、光学成形体として使用した際に、耐熱安定性及び成形性が良好であり好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)が、70℃より低いと成形片での耐熱性が不十分となり好ましくない。また、本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)が、150℃より大きいと射出成形の際の成形加工性が悪くなるため好ましくない。
ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えばジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
このような化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の、有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキシド、4級アンモニウムヒドロキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−3当量の範囲で選ばれる。
本発明でB成分として使用される無機系赤外線遮蔽材料は、平均粒子径が1〜800nmの下記式(i)で表される複合酸化タングステン粒子(B−1成分)および/または下記式(ii)で表される、六ホウ化物粒子(B−2成分)である。
MxWyOz (i)
(但し、Mはアルカリ金属、x、y、zは、0.01≦x≦1、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0を満たす数である。)
LaB6 (ii)
上記(i)式中MがLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、およびBaよりなる群より選択される元素であることが好ましい。
被覆層は、金属酸化物からなることが好ましい。被覆層は、Si(ケイ素)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)およびZr(ジルコニウム)からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物を含有することが好ましい。被覆層の六ホウ化物に対する比率は、被覆層に含まれる金属換算で、六ホウ化物微粒子1重量部に対して、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
B成分の含有量はA成分100重量部に対し、0.0001重量部以上0.5重量部を超えない範囲で含有する。下限は0.0005重量部以上であることが好ましい。上限は0.4重量部を超えないことが好ましい。
B成分の含有量が下限より多いと赤外線の遮蔽能力が十分に発揮でき好ましい。一方、B成分の含有量が上限より少ないと無機系赤外線遮蔽材料の呈する色により成形品が着色されないため好ましい。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してもよい。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂には、光安定剤が好ましく含有される。光安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.0001重量部〜1重量部、より好ましくは0.001重量部〜0.8重量部、更に好ましくは0.005重量部〜0.5重量部、特に好ましくは0.01重量部〜0.3重量部、最も好ましくは0.05重量部〜0.15重量部である。
ル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]、ポリ[〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミン縮重合物などが挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばポリカーボネート樹脂、無機系赤外線遮蔽材料および適宜その他の添加剤を例えばV型ブレンダー等の混合手段を用いて充分に混合した後、ベント式一軸または二軸ルーダーでペレット化する方法等の一般に工業的に用いられる方法が適宜用いられる。
(成形方法)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物よりなる成形品は上述のポリカーボネート樹脂組成物を射出成形法、溶融押出法等で成形することにより、得ることができる。
ここで、射出成形法では、樹脂の分子量や組成、粘弾特性によっても変わってくるがシリンダー温度220〜300℃、金型温度70〜100℃で射出成形してポリカーボネート成形品を得ることができる。射出成形法としては通常の成形方法だけでなく適宜目的に応じて射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、超高速射出成形法を用いることができる。
溶融押出法では押出機のTダイから溶融したポリカーボネート樹脂をシート状に押出し、複数の冷却ロールで冷却してポリカーボネート層を得ることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物よりなる成形品の厚みは、0.05mm以上10mm以下であることが好ましく、0.1mm以上5mm以下であることがより好ましい。厚みの下限以上では、積層体とした場合でも擦り傷等の傷が基材のポリカーボネート樹脂まで達することがないため好ましい。厚みの上限以下ではハンドリングや熱成形性も良好であるため好ましい。
本発明の成形品および樹脂積層体は、可視光透過率が40%〜90%の範囲であり、かつTts(Solar total transmittance)の値が70%以下であることが好ましい。さらに可視光透過率が40%〜85%の範囲であり、かつTtsの値が65%以下であることがより好ましく、可視光透過率が40%〜80%の範囲であり、かつTtsの値が60%以下であることが更に好ましい。可視光透過率が下限以上である場合、視認性が良好である。一方、可視光透過率が上限以下である場合、可視光領域のエネルギーを多く透過しすぎることがないためTtsの向上が得られる。また、Ttsが上限より低い場合、熱線の遮蔽能力が良好となる。上記範囲は赤外線遮蔽剤の添加量およびポリカーボネート樹脂組成物よりなる成形品の厚みを調整することで実現できる。
本発明の樹脂成形品、樹脂積層体にはさらに必要に応じてハードコート処理が施される。ハードコートには主に熱硬化タイプのものと活性エネルギー線(紫外線、電子線、プラズマ粒子等)硬化タイプのものが存在し何れのタイプのものも適用可能である。
熱硬化タイプには主にシロキサン樹脂組成物からなるものとメラミン樹脂組成物からなるものがあり、熱エネルギーにより縮合反応が進行して3次元網目構造を形成して硬化する。活性エネルギー線硬化タイプとしては多官能アクリレートを利用するもの、反応性の高い縮合反応性基を持つシロキサン樹脂組成物を利用するものが挙げられ、活性エネルギー線の照射により開始反応を行なう活性種や触媒を発生させ連鎖的に架橋反応が進行して3次元網目構造を形成して硬化する。
日本電子社製JNM−AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
表1および表2に記載の各成分を表1および表2記載の割合で計量して混合しブレンダーにて混合した後、2軸押出機((株)日本製鋼所製TEX−30α)を用いて、シリンダー温度240℃、吐出量20kg/hr、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物のペレットを作製した。このとき、ストランド切れ、ベントアップ、未溶融物の混入等がなく、安定して押出が行えたものを○、ストランド切れ、ベントアップ、未溶融物の混入により、押出が安定しなかったものを△、ストランドが引けずペレット化できないものを×とした。
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U−4100を用いて各波長での光線透過率を測定し、JIS R 3106に準拠して可視光透過率(Tv)、Ttsを計算した。
日本電色製ヘーズメーターNDH−2000を用いてA光源を用いる以外はJIS K7136で規程されたシングルビーム法で全光線透過率、ヘーズを測定した。
Calibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズとテーバー摩耗試験前のヘーズとの差△Htを測定して評価した(ASTM D1044に準拠)。
成形板から50mm角の試験片を切り出した。かかる試験片のYI値(Yellow Index)を日本電色工業社製分光式色差計SE−2000を用いてJIS K 7105記載の方法で測定した。次に、かかる試験片をキセノンテスト(UV照射強度90W/m2、ブラックパネル温度63℃)にて1,000時間の紫外線曝露処理を行い、その後YI値、Hazeを同様の方法で測定し、処理前後で変化した量(ΔYI、ΔHaze)を求めた。
積層体から50mm角の試験片を切り出し、温度60℃、相対湿度90%に設定した恒温槽内に1000時間静置し、1000時間後の外観を評価した。目視にて、クラック、白化、ゆず肌、コート層のウキ・はがれ等の外観不良があるかどうかを判断した。
○:変化無し
△:積層体の一部にクラック、白化、ゆず肌、コート層のウキ・はがれ等がみられる。
×:積層体の全面にクラック、白化、ゆず肌、コート層のウキ・はがれ等がみられる。
積層体サンプルの第1層の表面にカッターで1mm間隔に縦横に各11本の切れ目を入れて100個のマス目を作り、この目にセロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製粘着テープ)を貼り付けた後、90°の方向に一気に剥した。第1層が剥離せず、残ったマス目の数を数えた。同様の試験を沸水中に3時間浸漬させた積層体サンプルでも実施した。
[製造例1]
イソソルビド(以下ISSと略す)426部、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(以下DEPと略す)83部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)750部、および触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.8×10−2部と水酸化ナトリウム0.6×10−4部を窒素雰囲気下180℃に加熱し溶融させた。その後、30分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で250℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計6時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレット(I)を得た。評価結果を表1に記載した。
ISS441部、1,9−ノナンジオール(以下NDと略す)66部、DPC750部を原料として用いた他は、製造例1と全く同様の操作を行い、ペレット(II)を得て同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS461部、ND44部、DPC750部を原料として用いた他は、製造例1と全く同様の操作を行い、ペレット(III)を得て同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS376部、HD101部、DPC750部を原料として用いた他は、製造例1と全く同様の操作を行い、ペレット(IV)を得て同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS351部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下CHDMと略す)148部、DPC750部を原料として用いた他は、製造例1と全く同様の操作を行い、ペレット(V)を得て同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
ISS501部、DPC750部を原料として用いた他は、製造例1と全く同様の操作を行い、ペレット(VI)を得て同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
表1および表2に記載の各成分を表1および表2記載の割合で計量して混合しブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。なお、B成分の含有量は括弧内に示したKHDSまたはYMDSに含まれる無機系赤外線遮蔽性微粒子の量である。(括弧外の数字はKHDSまたはYMDSの樹脂組成物中の重量部を表す。)PCに添加する添加剤はそれぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めPCとの予備混合物として作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。混練ゾーンはベント口手前に1箇所のタイプとした。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで240℃とした。尚、上記の樹脂組成物の製造はHEPAフィルターを通した清浄な空気が循環する雰囲気において実施し、また作業時に異物の混入がないよう十分に注意して行った。
KHDS:LaB6微粒子(平均粒子径70nm)約21.5重量%および樹脂バインダーからなる赤外線遮蔽剤(住友金属鉱山(株)製KHDS−06)
YMDS:Cs0.33WO3(平均粒子径5nm)約23%および有機分散樹脂からなる赤外線遮蔽剤(住友金属鉱山(株)製YMDS−874)
酸化チタン:酸化チタン微粒子約92重量%含有(石原産業(株)製PC−3)
〔調製例1〕アクリル樹脂塗料(HC−1)の調製
還流冷却器及び撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート74.2部、シクロヘキシルメタクリレート33.6部、ヒドロキシエチルメタクリレート13.0部、LA−82(旭電化工業(株)製ヒンダードアミン系光安定性基含有メタクリレート;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート)12.0部、メチルイソブチルケトン132.8部および2−ブタノール66.4部を添加混合した。混合物に窒素ガスを15分間通気して脱酸素した後、窒素ガス気流下にて70℃に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル0.33部を加え、窒素ガス気流中、70℃で5時間攪拌下に反応させた。さらにアゾビスイソブチロニトリル0.08部を加えて80℃に昇温し3時間反応させ、不揮発分濃度が39.7%のアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体の重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で115000であった。
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製 カタロイドSN−35、固形分濃度30重量%)133部に1Mの塩酸1.3部を加えよく攪拌した。この分散液を10℃まで冷却し、氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン162部を滴下して加えた。メチルトリメトキシシランの滴下直後から反応熱で混合液の温度は上昇を開始し、滴下開始から5分後に60℃まで温度上昇した後、冷却の効果で徐々に混合液温度が低下した。混合液の温度が30℃になった段階でこの温度を維持するようにして30℃で10時間攪拌し、これに、硬化触媒として酢酸ナトリウム0.4部、pH調整剤として酢酸5部、希釈溶剤としてイソプロパノール200部を混合し、オルガノシロキサン樹脂組成物塗料(HC−2)を得た。
多官能アクリレート(新中村化学製U15HA)60部を1−メトキシ−2−プロパノール120部、2−プロパノール120部で希釈し、メチルイソブチルケトン分散タイプのコロイダルシリカ(日産化学工業製MIBK−AC−2101 固形分濃度30%)50部、光開始剤としてフェニル−1−ヒドロキシシクロヘキシルケトン(BASF製Irgacure184)5部を混合し、コート剤(HC−3)を得た。
[実施例1]
表2の組成で得られたペレットを105℃で6時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機[住友重機械工業(株)製SG260M−HP]により、シリンダー温度240℃、金型温度80℃の条件で評価用の試験片である厚さ5mmの板を成形した。ペレットの押出安定性および得られた試験片の各種評価結果を表2に示す。
表2の組成で得られたペレットをスクリュー径30mm、スクリューのL/D=32の単軸押出機で、シリンダー温度240℃の設定で、設定温度240℃のT型ダイスを介して押出し、得られるシートを鏡面仕上げされたロールにて冷却してポリカーボネート樹脂製シートを得た。ペレットの押出安定性および得られたシートの各種評価結果を表2に示す。
表2の組成で得られたペレットを使用した以外は実施例2と同様にしてシートを得た。ペレットの押出安定性および得られたシートの各種評価結果を表2に示す。
表2に記載の組成、条件でシートを作成した。ペレットの押出安定性および得られたシートの各種評価結果を表2に示す。
[実施例6]
上記実施例2で作成したシートを、105℃で2時間クリーンオーブン中でアニール処理を行った。その後調製例1で得られたハードコート剤(HC−1)を液だまりができないようディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱風循環オーブン中で熱硬化させた。次いで該成形品の被膜表面上に調製例2で得られたハードコート剤(HC−2)をディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱風循環オーブン中で熱硬化させた。得られた積層体の各種評価結果を表3に示す。
上記実施例2で作成したシートの片方の面に調製例3で得られたコート剤(HC−3)をフローコート法により塗布し、80℃で1分間溶剤を乾燥させた後、積算で600mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて積層体を得た。得られた積層体の各種評価結果を表3に示す。
Claims (6)
- (A)下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート単位(a)と、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外の脂肪族ジオール化合物及び脂環式ジオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から誘導されるカーボネート単位(b)とを含み、単位(a)と単位(b)とのモル比(a/b)が47/53以上98/2以下のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(B)平均粒子径が1〜800nmの下記式(i)で表される複合酸化タングステン粒子(B−1成分)および/または下記式(ii)で表される、六ホウ化物粒子(B−2成分)を、0.0001重量部以上0.5重量部を超えない範囲で含有する樹脂組成物。
MxWyOz (i)
(但し、Mはアルカリ金属、x、y、zは、0.01≦x≦1、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0を満たす数である。)
LaB6 (ii) - MがLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、およびBaよりなる群より選択される元素である請求項1記載の樹脂組成物。
- 複合タングステン酸化物粒子が分散剤で被覆されている請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物よりなる成形品。
- 可視光透過率が40%〜90%の範囲であり、かつTts(Solar total transmittance)の値が70%以下である請求項4記載の成形品。
- 表面にハードコート処理を施される請求項4または5に記載の成形品。
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