JP2017022063A - 有機薄膜積層体の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機薄膜積層体の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、中間層が湿式法で形成された場合であっても、機能低下を抑制することが可能な有機薄膜積層体の製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の有機薄膜積層体の製造方法は、非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層された有機薄膜積層体の製造方法であって、フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて第1発光層材料の溶液を用いて第1発光層12を形成する工程と、第1発光層12の上に、非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、を有し、前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層13の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機薄膜積層体の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。特に、中間層が湿式法で形成された場合であっても、機能低下を抑制することが可能な有機薄膜積層体の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス(electoroluminescence:以下、「有機EL」ともいう。)素子が挙げられる。有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子である。数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、また、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。更には、有機EL素子は面光源であるという特徴も有している。
有機EL素子の面発光及び高効率光源としての魅力が高まるにつれ、その商品用途としての機能から、高効率、高輝度及び長寿命の全てを満足させる必要が高まっている。これらの要求に対して、発光ユニットを電荷発生層により直列接続して複数段積層したマルチ・フォトン・エミッション(MPE)技術により、マルチユニット構造を有する有機EL素子が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
上述のMPE技術を用いた有機EL素子は、素子の長寿命化及び高輝度化などを目的として複数の発光層が設けられ、これらの発光層同士の間に中間層が設けられる。中間層としては、例えば、電子注入特性を有する無機半導体材料からなる電子発生層と、正孔注入特性を有する正孔発生層とが積層されて構成される電荷発生層が設けられる場合がある。これら電子発生層又は正孔発生層は、共蒸着又は単独の蒸着により形成することができる。
また、近年では、MPE技術を用いた有機EL素子の製造コスト低減を目的として、湿式法により中間層を形成する技術が提案されており、例えば、熱や光により硬化する硬化性材料又はイオン性ポリマー等を用いた湿式法により中間層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
特許文献2の段落0290以降には、不溶化処理の必要性とその方法が記されている。また、特許文献3の段落0425に下層材料に隣接する上層の溶媒に対して溶解しにくい材料を用いることが開示されている。
しかしながら、本発明者らは、隣接層よりも更に上層を形成する場合にそれらの溶媒が下層に浸透していくことによるダメージが問題であることを見出した。その解決のためには、特許文献3に開示されている2層間の不溶性の調整では十分とは言えない。また、特許文献2に開示されるような、層の硬化処理であれば、このような隣接層よりも上層の溶媒の影響は低減される可能性があるが、硬化に用いる熱や光エネルギーにより有機薄膜積層体や基材がダメージを受ける懸念があり、また、処理装置が大掛かりとなる。
特許第3933591号公報 特許第5568943号公報 特許第5653122号公報
本発明は上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、中間層が湿式法で形成された場合であっても、機能低下を抑制することが可能な有機薄膜積層体の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて有機機能層材料の溶液を用いて有機機能層を形成する工程と、当該有機機能層の上に、非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、を有し、少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることで、中間層が湿式法で形成された場合であっても、有機薄膜積層体の機能低下を抑制できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層された有機薄膜積層体の製造方法であって、
フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて有機機能層材料の溶液を用いて有機機能層を形成する工程と、
前記有機機能層の上に、非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、
を有し、
前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とする有機薄膜積層体の製造方法。
2.前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に用いられるフッ化溶媒が、炭素数3〜5のフッ化アルコールであることを特徴とする第1項に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
3.前記重合性基を有しない導電性ポリマーが、ポリエチレンイミン誘導体であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
4.前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、金属化合物を用いることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
5.前記金属化合物が、n型金属酸化物及びポリ酸の少なくとも一方を含む金属化合物であることを特徴とする第4項に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
6.前記金属化合物が、金属化合物を含む微粒子として含有されることを特徴とする第4項又は第5項に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
7.前記金属化合物が、ZnO、TiO、ZrO又はアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含む微粒子から選ばれることを特徴とする第6項に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
8.陽極と陰極との間に、非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層された有機薄膜積層体を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて有機機能層材料の溶液を用いて有機機能層を形成する工程と、
非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、
を有し、
前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
本発明によれば、中間層が湿式法で形成された場合であっても、機能低下を抑制することが可能な有機薄膜積層体の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明に含まれるフッ化溶媒は、F原子があらゆる元素の中で最も高い電気陰性度、ハロゲン元素の中で最も小さい原子半径を有することから、C−F結合の極性が大きいにもかかわらず、結合距離が短く分極率が低いという特徴を有している。C−F結合の分極率が低いということは、分子間力が弱いことを意味し、表面自由エネルギーが小さいという特徴をもたらす。これにより優れた撥水撥油性や非粘着性が生じ、下層材料の溶解を抑制するだけでなく、溶解した輸送性材料分子同士の凝集による性能低下の抑制や下層への浸透も抑制することができる。本発明によれば、中間層を上記重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を含有する中間層形成用塗布液により形成するため、極性溶媒可溶な重合性基を有しない導電性ポリマーの溶解塗布及び下層材料の溶出の抑制という一見相容れない効果を両立させることができる。
本発明に係る有機薄膜積層体の一例を示す概略断面図 本発明に係る有機EL素子の一例を示す概略断面図
本発明の有機薄膜積層体の製造方法は、非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層された有機薄膜積層体の製造方法であって、フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて有機機能層材料の溶液を用いて有機機能層を形成する工程と、前記有機機能層の上に、非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、を有し、前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8までの各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に用いられるフッ化溶媒が、炭素数3〜5のフッ化アルコールであることが好ましい。当該炭素数の範囲とすることで塗布膜乾燥時の揮発ムラや溶質分子の凝集を抑制できるだけでなく、膜内の溶媒含有量を低減できるため本発明の効果を最大限に発揮することができる。
また、本発明においては、前記重合性基を有しない導電性ポリマーが、ポリエチレンイミン誘導体であることが好ましい。当該材料を用いることで、電荷注入輸送特性及び上層溶媒の浸透抑制を両立することができるため本発明の効果を最大限に発揮することができる。
また、本発明においては、前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、金属化合物を用いることが好ましい。
また、本発明においては、前記金属化合物が、n型金属酸化物及びポリ酸の少なくとも一方を含む金属化合物であることが好ましい。中間層に当該化合物を含有させることで高い電荷注入輸送特性が得られ、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
また、本発明においては、前記金属化合物が、金属化合物を含む微粒子として含有されることが好ましい。当該微粒子とすることで湿式法により金属化合物層の成膜が可能となり、またアニール等の工程が必要ないことから、製造コストを低減することができる。
また、本発明においては、前記金属化合物が、ZnO、TiO、ZrO又はアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含む微粒子から選ばれることが好ましい。当該微粒子を使用することで高い電荷注入輸送特性と可視光透過率が得られるため本発明の効果を最大限に発揮することができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、陽極と陰極との間に、非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層された有機薄膜積層体を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて有機機能層材料の溶液を用いて有機機能層を形成する工程と、非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、を有し、前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《有機薄膜積層体の概要》
以下、本発明に係る有機薄膜積層体の具体的な実施の形態について説明する。
本発明に係る有機薄膜積層体は、非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層されて構成され、フッ化溶媒以外の極性溶媒に可溶であってフッ化溶媒に不溶である有機機能層材料を含有する有機機能層、及び、当該有機機能層の上に設けられ、非硬化性材料からからなる少なくとも1層の中間層等を備えて構成され、当該少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液が用いられる。
ここで、本発明において非硬化性材料とは、分子又は結晶構造内に重合性基を含まない化合物からなる材料をいう。したがって、本発明に係る有機機能層は、重合性基を含む化合物、例えば光硬化性化合物や熱硬化性化合物等を含有していない。
また、重合性基としては、例えば、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、アリル(Allyl)基等の炭素−炭素不飽和基、エポキシ基、オキセタン基等を有する環状エーテル類、テトラヒドロチオフェン等の環状スルフィド類やイソシアネート基等を例示できる。
<有機機能層>
本発明の有機機能層としては、有機エレクトロルミネセンス素子に使用される正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、発光層、正孔阻止層等が挙げられる。
以下、有機機能層としての第1発光層上に中間層を形成した有機薄膜積層体を例にとって説明する。このような有機薄膜積層体は、マルチフォトン型の有機EL素子等に好適に用いられる。
図1に、本実施形態の有機薄膜積層体10の構成を示す。
図1に示す有機薄膜積層体10は、基材11、第1発光層(有機機能層)12、中間層13及び第2発光層(有機機能層)14を備えている。具体的には、基材11上に第1発光層12が形成され、当該第1発光層12上に中間層13が設けられている。更に、中間層13上に、第2発光層14が設けられている。第1発光層12及び第2発光層14は、少なくとも1層以上で構成されている。
以下、有機薄膜積層体10の各構成について説明する。
《基材》
有機薄膜積層体10に用いられる基材11の材料には特に限定はなく、好ましくは、例えば、ガラス、石英又は樹脂フィルム等を挙げることができる。特に好ましくは、有機薄膜積層体10にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)又はアペル(商品名、三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等のフィルムが挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物若しくは有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜等によるガスバリアー膜が形成されていても良い。ガスバリアー膜は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましい。更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3mL/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が、1×10−5g/(m・24h)以下の高ガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
ガスバリアー膜を形成する材料としては、水分や酸素等の浸入を抑制する機能を有する材料であれば良い。例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。更に、ガスバリアー膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層との積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。例えば、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが好ましい。
《有機機能層=第1発光層》
本発明に係る第1発光層12は、フッ化溶媒以外の極性溶媒に可溶り、フッ化溶媒に不溶である第1発光層材料を含有している。
第1発光層12は、電極又は隣接層から注入される電子と正孔とが再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する層である。第1発光層12は、発光ドーパント(発光性ドーパント化合物、ドーパント化合物、単にドーパントともいう。)と、ホスト化合物(マトリックス材料、発光ホスト化合物、単にホストともいう。)とを含有することが好ましい。
これら第1発光層を構成する発光ドーパント及びホスト化合物等の第1発光層材料としては、フッ化溶媒以外の極性溶媒に可溶であって、フッ化溶媒に不溶である材料が用いられ、以下に説明する材料はいずれもこの条件を満たす。なお、従来公知の発光層材料の多くはフッ化溶媒に対して不溶である。
ここで第1発光層材料の可溶、不溶の判断である溶媒溶解性は、当該材料の薄膜の30℃におけるリンスアウト量試験より求めることができる。
具体的には、当該材料を含む塗布組成物を30mm角の石英基板上に成膜、乾燥した後に、溶解性を確かめたい溶媒のみを乾燥膜上に0.2mL滴下し、500rpm、30秒の条件でスピンコートすることで可溶成分についてはリンスアウトさせることができる。本発明においては、リンス前後の紫外可視分光スペクトル強度比(リンス後強度/リンス前強度)を測定し、200nmから600nmの波長域の最大吸収ピーク又はショルダーにおける強度比(%)を100%から引いたリンスアウト量が5%以下であった場合を不溶、5%以上であった場合を可溶とする。
<フッ化溶媒以外の極性溶媒>
本発明でいうフッ化溶媒以外の極性溶媒とは、溶媒分子中の置換基にフッ素を含まない比誘電率が3以上かつ25℃における水への溶解度が5g/L以上である親水性の溶媒であり、具体的にはメタノール、エタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、フェノール等のフッ素を含まないアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のフッ素を含まないエステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のフッ素を含まないニトリル類、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン等のフッ素を含まないケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のフッ素を含まないエーテル類等が挙げられる。
第1発光層12の形成方法は特に制限はなく、例えば、従来公知の真空蒸着法や湿式法等により形成することができる。中でも、有機薄膜積層体10の製造コストを低減する観点から、湿式法で形成することが好ましい。
湿式法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)等を用いることができる。中でも、均質な薄膜が得られやすく、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法等のロール・to・ロール方式に適用可能な方法が好ましい。
湿式法において、第1発光層材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒を用いることができる。
また、第1発光層材料を液媒体中に分散させる場合には、例えば、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散させることができる。
また、第1発光層12の形成方法として蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
[1.発光ドーパント]
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう。)又はリン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光性化合物ともいう。)が好ましく用いられる。発光層中の発光ドーパントの濃度については、使用される特定のドーパント及びデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができる。発光ドーパントの濃度は、発光層の層厚方向に対し、均一な濃度で含有されていても良いし、任意の濃度分布を有していても良い。
また、第1発光層12には、複数種の発光ドーパントが含まれていても良い。例えば、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いても良い。これにより、任意の発光色を得ることができる。
有機薄膜積層体10は、1層又は複数層の発光層が、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、有機薄膜積層体10全体として白色発光を示すことが好ましい。白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に限定はないが、例えば青と橙との組み合わせや、青と緑と赤との組み合わせ等が挙げられる。有機薄膜積層体10における白色としては、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。
[1−1.リン光発光性ドーパント]
リン光発光性ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、25℃においてリン光量子収率が0.01以上の化合物である。発光層に用いられるリン光発光性ドーパントにおいて、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できる。発光層に用いられるリン光発光性ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されれば良い。
リン光発光性ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知の材料から適宜選択して用いることができる。
中でも、好ましいリン光発光性ドーパントとしては、Irを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。更に好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含む錯体が好ましい。
[1−2.蛍光発光性ドーパント]
蛍光発光性ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。
蛍光発光性ドーパントしては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、シアニン誘導体、クロコニウム誘導体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体、ピリリウム誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又は希土類錯体系化合物等が挙げられる。
また、蛍光発光性ドーパントして、遅延蛍光を利用した発光ドーパント等を用いても良い。
遅延蛍光を利用した発光ドーパントの具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011−213643号公報、特開2010−93181号公報等に記載の化合物が挙げられる。
[2.ホスト化合物]
ホスト化合物は、発光層において主に電荷の注入及び輸送を担う化合物であり、有機EL素子においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。
好ましくは室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であり、更に好ましくは、リン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
また、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有される発光ドーパントの励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。
ホスト化合物は、単独で用いても良く、又は複数種併用して用いても良い。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子の高効率化が可能となる。
発光層に用いられるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。例えば、低分子化合物や、繰り返し単位を有する高分子化合物でも良いし、ビニル基やエポキシ基のような反応性基を有する化合物でも良い。
第1発光層に使用される発光ドーパント及びホスト化合物の分子量は特に限定されるものではない。ここで、本発明によれば、中間層が溶媒の浸透を抑制できるため、中間層の両面のうち一方の面側に塗布により形成される層(第2発光層等)の溶媒が、中間層の両面のうち他方の面側に形成される層(第1発光層等)に到達して当該層が溶解されることが効果的に抑制される。このため、第1発光層に含有される発光ドーパント及びホスト化合物が例えば分子量3000以下の低分子材料であることにより、フッ化溶媒以外の極性溶媒に可溶であっても、本発明に係る有機薄膜積層体に適用することができる。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能又は電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、更に、有機EL素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対する安定性の観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。ホスト化合物としては、Tgが90℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
《第2有機機能層=第2発光層》
第2発光層14は、上記中間層13を介して、第1発光層12に積層される層である。
上記したとおり、本発明によれば、非硬化性材料からなる中間層が重合性基を有しない導電性ポリマーを含有するため、当該中間層上に湿式法により第2発光層形成用塗布液を塗布して第2発光層14を形成した場合であっても、当該第2発光層形成用塗布液に含有される溶媒が第1発光層12に浸透することを効果的に抑制できる。
第2発光層14は、第2発光層材料を含有し、当該第2発光層材料としては、上記第1発光層材料と同様のものを使用することができる。
また、第2発光層の形成方法としては、上記第1発光層の形成方法と同様の方法を用いることができる。
《中間層》
中間層13は、非硬化性材料からなる層であって、重合性基を有しない導電性ポリマーを含有する。
中間層13は、重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を含有する中間層形成用塗布液を塗布することで形成することができる。これにより、第2発光層材料を含有する第2発光層形成用塗布液を塗布して第2発光層14を形成する際に、当該第2発光層形成用塗布液に含有される溶媒が、中間層13の下層となる第1発光層12に浸透することを抑制することができる。このため、第2発光層14の形成に用いられる溶媒により、第1発光層12の溶解、表面の荒れ、第1発光層材料の結晶化等を抑制することができるため、有機薄膜積層体の性能低下を抑制することができる。また、第1発光層12を構成する第1発光層材料はフッ化溶媒に不溶であるため、中間層形成用塗布液に含有されるフッ化溶媒が第1発光層12に接触しても、第1発光層12が溶解することを抑制することができる。
ここで、本発明においては、中間層が形成される前に既に形成された、当該中間層の下地の層を下層といい、中間層が形成された後に当該中間層上に形成される層を上層という。
また、中間層形成用塗布液を、上記フッ化溶媒を含む液組成物とすることで、これまでは困難であった上記のような溶媒浸透をブロック可能な重合性基を有しない導電性ポリマーの可溶化と、それ自身に含有されるフッ化溶媒の下層への影響の低減と、を両立することができる。これにより、樹脂製の基板等がゆがむような高温アニールやUV照射等の中間層の硬化処理工程の増設の必要がなく、安価かつ安定的に有機薄膜積層体を製造することができる。
本発明に係る中間層13を形成する湿式法としては、例えば、スプレー塗布、エレクトロスプレー塗布、インクジェット、ミストCVD、グラビアコート、バーコート、ロールコート、ディップコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等を挙げることができる。また、これらの湿式法には、中間層材料を液媒体に溶解又は分散させた液組成物が、下層に着弾する前に溶媒が乾燥されるような場合も含まれる。なお、本発明に係る中間層13を湿式法で形成する際には、大気下又は不活性ガス雰囲気下のいずれの条件で行っても良い。
中間層13は複数層設けられていても良い。また、中間層13は、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層とすることができる。例えば、正孔を発生する正孔発生層と、電子を発生する電子発生層と組み合わせによる電荷発生層を構成することもできる。更に、中間層13は、例えば、中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層又は中間絶縁層等により構成することができる。
このように、中間層13が複数層設けられている場合は、それらのうち少なくとも1層が重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を用いた湿式法により形成され、他の中間層の製法は問わない。また、湿式法により形成された中間層と他の製法で形成された中間層との積層順も特に問わない。湿式法により形成された中間層と他の製法で形成された中間層との積層順は特に問わないが、第1発光層に隣接して積層される中間層が湿式法により形成された層であることが好ましい。
上記他の製法としては、いずれの方法であっても良く、例えば、上記湿式法、蒸着法、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition;ALD)、スパッタ法等が挙げられるが、湿式法又はALD法が好ましい。湿式法によれば製造コストを低減することができ、特にフッ化溶媒を用いた湿式法によれば有機薄膜積層体の機能低下をより確実に抑制することができる。また、ALD法は、薄く、欠陥のない層を形成することができるため、湿式法を用いて第2発光層を中間層上に積層した場合にも、ALD法で形成された中間層を介することにより、第2発光層の溶媒による第1発光層の損傷を抑制することができる。
中間層13の層厚は、1〜100nmの範囲内であることが好ましく、5〜50nmの範囲内であることがより好ましい。中間層13が複数層で構成されている場合には、その総層厚が当該範囲内であることが好ましい。中間層13の層厚が1nm以上であると、電荷発生層としての機能を効果的に発揮できるだけでなく、上層を形成する塗布液に含有される溶媒の浸透をより確実に抑制できるといった効果が得られる。また、中間層13の層厚が50nm以下であると、中間層13の十分な電荷輸送性を確保でき、発光光の吸収や散乱を抑制して有機薄膜積層体全体として高い発光効率を得ることができる。
[重合性基を有しない導電性ポリマー]
本発明に係る中間層には、重合性基を有しない導電性ポリマーが含有されている。導電性とは、体積抵抗率が10Ω・cm以下(23℃、50%RH)の抵抗を有するものをいう。
本発明に係る中間層に含有される重合性基を有しない導電性ポリマーとしては、重量平均分子量2000以上の材料であれば特に限定されないが、溶媒浸透抑制の観点から重量平均分子量10000以上1000000以下であることが好ましい。また、電荷注入輸送の観点から極性基、イオン性基を含む導電性ポリマーであることが好ましい。例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンアルコキシド、ポリエチレンイミンイソシアネート、ポリエチレンイミンアルキレンオキシド等のポリエチレンイミン誘導体、ポリカルバゾール誘導体、ポリビニルピリジン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリ(n−ビニルカルバゾール)誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(ピリジンビニレン)及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリオキサジアゾール誘導体、ポリバソフェナントロリン誘導体、ポリトリアゾール誘導体、並びにポリシラン誘導体が挙げられ、適宜アミン基、ヒドロキシ基、ニトリル基、カルボニル基などの極性基、及び、カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオン、スルホニルカチオン、ヨードニウムカチオン、又は金属カチオンとF、Cl、Br、I、OH、RbSO 、RbCOO、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、SCN、CN、NO 、SO 2−、HSO 、PO 3−、HPO 2−、HPO 、BF 又はPF 等を含むイオン性基を含むことが好ましい。
なお、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)により測定した。
[フッ化溶媒]
本発明に係る有機薄膜積層体には、フッ化溶媒が1質量ppm以上含有されている。
フッ化溶媒は、F原子があらゆる元素の中で最も高い電気陰性度、ハロゲン元素の中で最も小さい原子半径を持つことから、C−F結合の極性は大きいにもかかわらず、結合距離が短いことから分極率は低い特徴を持っている。一部の極性溶媒に可溶な材料を溶解し、湿式成膜が可能であるだけでなく、下層が極性溶媒に可溶な層である場合でも、同分子骨格でフッ素化されていない溶媒に比べて、分極率の低いフッ化溶媒を含んだ溶媒とすることで、下層材料の溶出を抑えることができる。また、C−F結合の分極率が低いということは、分子間力が弱いことを意味し、表面自由エネルギーが小さい特徴をもたらす。これにより優れた撥水撥油性や非粘着性が生じ、下層材料の溶解を抑制するだけでなく、溶解した輸送性材料分子同士の凝集による性能低下の抑制や下層への浸透も抑制することができる。
フッ化溶媒の有機薄膜積層体中含有量としては1000質量ppm以下が好ましい。この範囲にすることにより、輸送性材料分子間の電荷授受を損なうことなく、駆動時に発生する熱等のエネルギーにより有機薄膜積層体中分子が再配向して結晶粒とならず結晶粒界の電荷トラップにより輸送性が低下することもない。
フッ化溶媒の沸点は50〜200℃の範囲内が好ましく、これ以下では揮発時の蒸発熱によるムラが発生しやすくなり、これ以上では溶媒の乾燥が滞り、膜内の溶媒含有量が増加するため膜内の結晶成長を促進したり、溶媒の抜け道が粗となるため密度が低下して電流効率が低下するなどの問題がある。より好ましくは、70〜150℃の範囲内である。
フッ化溶媒の水分含有量は極微量であっても発光のクエンチャーとなるため少ない程良く、100ppm以下が好ましく、20ppm以下であることが更に好ましい。
フッ化溶媒としては、極性溶媒が好ましく、フッ化アルコール、フッ化アクリレート、フッ化メタクリレート、フッ化エステル、フッ化エーテル、フッ化ヒドロキシアルキルベンゼンが好ましく、溶解性と乾燥性の観点からフッ化アルコールが更に好ましい。
フッ化アルコールの炭素数は特に限定されないが、上記溶媒沸点の観点及び可溶性の観点からから炭素数3から5であることが好ましい。
フッ素置換位置としては、例えばアルコールであれば水素の位置が挙げられ、フッ素化率としては、素材の溶解性を失わない程度にフッ素化されていれば良く、下層材料を溶出させない程度にフッ素化されていることが望ましい。
具体的なフッ化アルコールの例としては、例えば、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール、6−(パーフルオロエチル)ヘキサノール、1H,1H−ヘプタフルオロブタノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、3−(パーフルオロブチル)プロパノール、6−(パーフルオロブチル)ヘキサノール、2−パーフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、1H,1H−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)ヘキサノール、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール(TFPO)、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール(OFAO)、1H,1H,7H−ドデカフルオロペンタノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール(HFBO)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロパノール等が挙げられるが、前述の沸点、溶解性の観点からTFPO、OFAO及びHFBOが好ましい。
また、上記フッ化溶媒は有機薄膜積層体に1質量ppm以上含まれていれば良く、中間層形成用塗布液に含有される溶媒組成としてフッ化溶媒が100質量%である必要はない。
また、中間層形成用塗布液に含有される溶媒としては、第1発光層材料を溶解させないものであれば、2種以上のフッ化溶媒の混合溶媒でも良いし、フッ化溶媒とフッ化溶媒以外の溶媒の混合溶媒でも良く、例えば、アルコールとフッ化アルコールの混合溶媒等を用いることができる。混合溶媒の場合、フッ化溶媒の含有量は50質量%以上100質量%であることが好ましい。
有機薄膜積層体のフッ化溶媒の含有率は、後述する実施例1に記載の昇温脱離質量分析法で測定することができる。
[その他の中間層材料]
(金属化合物)
中間層に含有されるその他の中間層材料としては、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、ポリ酸等の金属化合物又は無機塩等が好ましく、金属化合物が更に好ましい。金属化合物としては、n型金属酸化物若しくはポリ酸のいずれか又は両方を含むことが更に好ましい。
(n型金属酸化物)
n型金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム、チタン、銅、タングステン、バナジウム、モリブデン等の酸化物及びITO、AZO、YSZ等の複合酸化物が挙げられる。仕事関数及びイオン化ポテンシャル等の物性値の観点から、金属化合物としてはZnO、ZrO、Y、AZO、YSZ、WO、TiO、CuO、MoO、Vから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
(ポリ酸)
ポリ酸(ヘテロポリアニオン又はポリオキシメタレートともいう。)としては、例えば、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム、チタン、銅、タングステン、バナジウム、モリブデン等の遷移金属を含むポリ酸が挙げられ、単一の遷移金属からなるイソポリ酸、複数のオキソ酸から成るヘテロポリ酸のどちらも使用でき、ヘテロポリ酸であることが好ましい。ヘテロポリ酸としては、具体的には、リンモリブデン酸(H[PMo1240])、ケイモリブデン酸(H[SiMo1240])、リンタングステン酸(H[PW1240])、ケイタングステン酸(H[SiW1240])及びリンタングストモリブデン酸(H[PWMo40])が挙げられる。
これらの材料は、上記重合性基を有しない導電性ポリマーとともに同一層内に含有されていても良いし、中間層が複数層で構成され、それらの層のうち上記導電性ポリマーを含有する層とは別の層に含有されていても良い。
また、中間層に含有されるその他の中間層材料としては、上記材料のうちフッ化溶媒を含む湿式法又はALD法により成膜可能な材料が好ましく、例えば、J.Appl.Phys.97, 121301(2005)[Surface chemistry of atomic layer deposition : A case study for the trimethylaluminum/water process]に記載されている材料であれば、特に限定されずに用いることができる。
中間層が複数層で構成されている場合、それら複数層のうち、重合性基を有しない導電性ポリマーを含有する層以外の層としては、例えば、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、ZrO、Y、ZrN、HfN、TiO、VO、WOx、MoOx、NiOx、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al、Ag等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の2層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、また、C60等のフラーレン類又はオリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類又は無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[中間層の好ましい構成例]
本発明に係る中間層の構成としては、上記したように複数層で構成されていることが好ましい。特に、中間層が、第1発光層上に積層される第1中間層、当該第1中間層上に積層されて上記重合性基を有しない導電性ポリマーを含有する第2中間層、及び、当該第2中間層上に積層される第3中間層で構成されていることが好ましい。
なお、これら第1中間層、第2中間層及び第3中間層は、第1発光層側からこの順に積層されていることが好ましいが、積層の順序はいずれであっても良い。また、重合性基を有しない導電性ポリマーを含有する第2中間層が設けられていれば、第1中間層及び第3中間層のうちの一方が設けられていなくても良いし、第1中間層及び第3中間層がともに設けられていなくても良い。
第1中間層は、第1発光層上に隣接して積層され、金属化合物を含有する層である。
第1中間層に含有される金属化合物としては、特に限定されないがn型金属酸化物が好ましく、例えば、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム、チタン、銅、タングステン、バナジウム、モリブデン等の酸化物及びITO、AZO、YSZ等の複合酸化物が挙げられる。仕事関数及びイオン化ポテンシャル等の物性値の観点から、金属化合物としてはZnO、ZrO、Y、AZO、YSZ、WO、TiO、CuO、MoO、Vから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記金属化合物としては、湿式法により塗布可能とする観点からナノ粒子又は金属アルコキシド等を用いることが好ましく、アニール等の工程が必要ないことからナノ粒子を用いることがより好ましい。金属化合物のナノ粒子を用いる場合、粒径や形状は特に限定されず、例えば、球状、ロッド状、平板状、ワイヤー状等種々の形状の粒子を用いることができる。また、それらのナノ粒子としては、表面修飾されたものを用いることもでき、例えば有機配位子や異なる金属化合物で被覆されたコアシェル型の粒子等を用いることが可能である。
第1中間層の層厚としては、特に限定されるものではなく第1中間層を構成する材料によって適宜設定されるものであるが、例えば、10〜15nmの範囲内とすることができる。
第2中間層は、第1中間層上に隣接して積層され、上記重合性基を有しない導電性ポリマーを含有する層である。
第2中間層の層厚としては、特に限定されるものではなく第2中間層を構成する材料によって適宜設定されるものであるが、例えば、15〜20nmの範囲内とすることができる。
第3中間層は、第2中間層上に隣接して積層され、金属化合物を含有する層である。
第3中間層に含有される金属化合物としては、特に限定されないがポリ酸(ヘテロポリアニオン又はポリオキシメタレートともいう。)が好ましく、例えば、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム、チタン、銅、タングステン、バナジウム、モリブデン等の遷移金属を含むポリ酸が挙げられる。単一の遷移金属からなるイソポリ酸、複数のオキソ酸から成るヘテロポリ酸のどちらも使用でき、ヘテロポリ酸であることが好ましい。ヘテロポリ酸としては、具体的には、リンモリブデン酸(H[PMo1240])、ケイモリブデン酸(H[SiMo1240])、リンタングステン酸(H[PW1240])、ケイタングステン酸(H[SiW1240])及びリンタングストモリブデン酸(H[PWMo40])のうちいずれかを含んでいることが好ましい。
第3中間層の層厚としては、特に限定されるものではなく第3中間層を構成する材料によって適宜設定されるものであるが、例えば、10nm程度とすることができる。
また、第2中間層は、ポリマーバインダーとして下記有機ポリマーバインダーを更に含有することが好ましく、第1中間層及び第3中間層は、ポリマーバインダーとして上記重合性基を有しない導電性ポリマー及び/又は下記有機ポリマーバインダーを含有することが好ましい。
第1〜第3中間層を湿式法により形成する場合には、第1〜第3中間層形成用塗布液中に、ポリマーバインダーを添加することにより、上記金属化合物が均一に分散した安定な層を適度な層厚で形成することが可能となる。これにより、有機薄膜積層体の高効率化を図ることができる。
有機ポリマーバインダーとしては、各中間層形成用塗布液に含有される溶媒に可溶であることが好ましく、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピリジン、ポリビニルフェノール等を用いることができる。これらのうち、一般に界面活性剤や接着剤等として用いられているポリ(4−ビニルピリジン)が好適である。
ポリ(4−ビニルピリジン)を用いる場合は、各中間層形成用塗布液に含有される溶媒に対する溶解性、上記金属化合物の分散性や成膜性等の観点から、重量平均分子量が10000〜100000程度のものであることが好ましい。
また、例えば、ポリ(2−ビニルピリジン)又はポリエチレンオキシドも電子注入特性の向上効果の点から、好適に用いることができる。
有機ポリマーバインダーの添加量は、第1又は第3中間層に含有される場合には、上記金属化合物の分散性や成膜性を向上させることが可能な範囲で足り、金属化合物に対して5〜30質量%の範囲内とすることが好ましい。
また、第2中間層を導電性ポリマー及び有機ポリマーバインダーの混合層とする場合、有機ポリマーバインダーの添加量は、成膜性や堅牢性を向上させることが可能な範囲で足り、全ポリマー量に対し2.5〜25質量%の範囲内とすることが好ましい。
《本発明に係る有機薄膜積層体の効果》
本発明に係る有機薄膜積層体では、重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を用いて上層の溶媒が下層に浸透することをブロック可能な中間層が形成されていることにより、上層(第2発光層側)を湿式法で形成する際に、下層(第1発光層側)に対する溶媒によるダメージを低減することができる。また、中間層材料は非硬化性材料からなるため、硬化性材料を硬化させるための高温プロセス等の硬化処理を必要とせず、樹脂製の基材上に湿式法を用いて有機薄膜積層体を作製することができる。
なお、有機薄膜積層体は、第1発光層と中間層との間に他の層を備えていても良いし、中間層と第2発光層との間に他の層を備えていても良い。
本発明に係る有機薄膜積層体は、後述する有機EL素子の構成として好ましく用いることができるが、有機EL素子以外の有機デバイスに対しても適用可能である。そのような有機デバイスとしては、例えば、有機発光ダイオード、有機薄膜トランジスタ及び有機太陽電池等が挙げられる。
《有機薄膜積層体の製造方法》
本発明の有機薄膜積層体の製造方法は、非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層された有機薄膜積層体の製造方法であって、フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて有機機能層材料の溶液を用いて有機機能層を形成する工程と、前記有機機能層の上に、非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、を有し、前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とする。
製造する有機薄膜積層体は、図1で示す構成と同様であるため、以下の説明では図1で用いた符号を用い、各構成の詳細な説明を省略する。
まず、基材11上に第1発光層12を形成する。第1発光層12を形成する方法は、上記したとおり、湿式法(ウェットプロセス)でも良いし蒸着法(ドライプロセス)でも良いが、有機薄膜積層体10の製造コストを低減する観点から湿式法で形成することが好ましい。
次に、第1発光層12上に、非硬化性材料及びフッ化溶媒を用いて、中間層13を形成する。ここで用いられる非硬化性材料には、重合性基を有しない導電性ポリマーが含有されている。
中間層13が単層構造である場合には、非硬化性材料及びフッ化溶媒を含有する中間層形成用塗布液を用いて湿式法により中間層13を形成することが好ましい。また、中間層13が複数層で構成されている場合には、金属化合物を含有する第1中間層形成用塗布液を第1発光層上に塗布して第1中間層を形成し、重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を含有する第2中間層形成用塗布液を第1中間層上に塗布して第2中間層を形成し、金属化合物を含有する第3中間層形成用塗布液を第2中間層上に塗布して第3中間層を形成することが好ましい。
次に、中間層13上に第2発光層14を形成する。第2発光層14を形成する方法は、湿式法でも良いし蒸着法でも良いが、有機薄膜積層体10の製造コストを低減する観点から湿式法で形成することが好ましい。
以上のようにして、本発明に係る有機薄膜積層体を製造することができる。
第1発光層12、中間層及び第2発光層14を全て湿式法で形成する場合には、有機薄膜積層体10を構成する各層を全て湿式法で形成することができ、製造コストを更に低減することができる。
なお、上記有機薄膜積層体の製造方法では、有機機能層としての第1発光層上に中間層を形成するものとしたが、有機機能層としての第2発光層上に中間層を形成するものとしても良いし、第1発光層及び第2発光層の上にそれぞれ中間層を形成するものとしても良い。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の概要》
本発明に係る有機EL素子は、上記した有機薄膜積層体を備えることを特徴とする。
図2に、本実施形態の有機EL素子の概略断面図を示す。
図2に示すように有機EL素子20は、基材21、陽極22、第1発光ユニット23、中間層24、第2発光ユニット25及び陰極26を備える。具体的には、基材21上に陽極22が形成されている。また、陽極22上に第1発光ユニット23と第2発光ユニット25とが、中間層24を介して積層されている。更に、第2発光ユニット25上に陰極26が設けられている。これにより、陽極22と陰極26との間に、第1発光ユニット23、中間層24及び第2発光ユニット25が挟持されている。
また、有機EL素子20において、第1発光ユニット23と第2発光ユニット25とが中間層24を介して積層されている構成は、上述の有機薄膜積層体の実施形態と同様の構成とすることができる。このため、有機EL素子20は、上述の有機薄膜積層体を発光素子として備える構成である。
以下、有機EL素子20の各構成について説明する。
なお、基材21及び中間層24は、上述の有機薄膜積層体の基材11及び中間層13と同様の構成とすることができる。
また、第1発光ユニット23及び第2発光ユニット25は、それぞれ少なくとも1層以上の第1及び第2発光層を有している。第1発光ユニット23に含まれる第1発光層は、上述の有機薄膜積層体の実施形態の第1発光層と同様の構成とすることができる。第2発光ユニット25に含まれる第2発光層は、上述の有機薄膜積層体の実施形態の第2発光層と同様の構成とすることができる。
有機EL素子の代表的な素子構成としては、以下の構成を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)発光層
(2)発光層/電子輸送層
(3)正孔輸送層/発光層
(4)正孔輸送層/発光層/電子輸送層
(5)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層
上記の中で(7)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
上記構成において、第1発光層は、単層又は複数層で構成される。また、必要に応じて、第1発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層)や電子注入層(陰極バッファー層)等を設けても良く、また、第1発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層)や正孔注入層(陽極バッファー層)等を設けても良い。これらは公知の材料、製造方法を採用することができる。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法》
次に、本発明の有機EL素子の製造方法について説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法は、陽極と陰極との間に、非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層された有機薄膜積層体を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて有機機能層材料の溶液を用いて有機機能層を形成する工程と、非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、を有し、前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とする。
製造する有機EL素子は、図2で示す構成と同様であるため、以下の説明では図2で用いた符号を用い、各構成の詳細な説明を省略する。
まず、基材21上に、陽極22を形成する。
次に、陽極22上に、第1発光ユニット23(正孔注入層、正孔輸送層、第1発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)を形成する。第1発光ユニット23のうち第1発光層は、フッ化溶媒以外の極性溶媒に可溶な上記第1発光層材料を用いて形成する。
次に、第1発光ユニット23上に、非硬化性材料及びフッ化溶媒を用いて中間層24を形成する。中間層13が単層構造である場合には、非硬化性材料及びフッ化溶媒を含有する中間層形成用塗布液を用いて湿式法により中間層13を形成することが好ましい。また、中間層13が複数層で構成されている場合には、金属化合物を含有する第1中間層形成用塗布液を第1発光層上に塗布して第1中間層を形成し、重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を含有する第2中間層形成用塗布液を第1中間層上に塗布して第2中間層を形成し、金属化合物を含有する第3中間層形成用塗布液を第2中間層上に塗布して第3中間層を形成することが好ましい。
次に、中間層24上に、第2発光ユニット25(正孔注入層、正孔輸送層、第2発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)を形成する。第2発光ユニット25を構成する各層を湿式法により形成することが好ましい。
次に、第2発光ユニット25上に、陰極26を形成する。
有機EL素子20を構成する各層の形成方法としては、上記したとおり湿式法、蒸着やスパッタ等いずれの方法であっても良い。
最後に、陰極26まで形成した積層体を封止する。上記積層体の封止に用いられる封止手段としては、公知の部材、方法を使用することができる。
以上のようにして有機EL素子20を製造することができる。
なお、上記有機EL素子の製造方法においては、陽極側から順に積層して製造するものとしたが、陰極側から順に積層して製造する逆積方式(インバーテッド方式)であっても良い。
また、上記有機EL素子の製造方法では、有機機能層としての第1発光層を含む第1発光ユニット上に中間層を形成するものとしたが、有機機能層としての第2発光層を含む第2発光ユニット上に中間層を形成するものとしても良いし、第1発光ユニット及び第2発光ユニットの上にそれぞれ中間層を形成するものとしても良い。
《用途》
上述した実施形態の有機EL素子は、面発光体であるため各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではなく、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
以下、実施を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[実施例1]
《有機薄膜積層体101の作製》
以下のように、基材上に第1発光層、中間層及び第2発光層を形成してこれを封止し、発光領域の面積が5cm×5cmの有機薄膜積層体101を得た。
(基材の準備)
まず、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製、以下、PENと略記する。)の第1電極層を形成する側の全面に、特開2004−68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリアー層を層厚500nmとなるように形成した。これにより、酸素透過度0.001mL/m/day以下、水蒸気透過度0.001g/m/day以下のガスバリアー性を有する可撓性の基材を作製した。
(第1電極層の形成)
上記基材上に厚さ120nmのITO(インジウム・スズ酸化物)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。なお、パターンは発光領域の面積が5cm×5cmになるようなパターンとした。
(第1発光層の形成)
下記第1発光層材料を調製した後、上記第1電極層を形成した基材上に、第1発光層材料をダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、120℃で30分間保持し、層厚40nmの第1発光層を形成した。
〈第1発光層材料〉
ホスト化合物S−1 : 9.5質量部
リン光発光ドーパントD−75 :0.04質量部
酢酸イソプロピル :2000質量部
Figure 2017022063
(中間層の形成)
第1発光層上に、ZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)を1質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工し、乾燥層厚10nmの第1中間層を形成した。
続いて、ポリエチレンイミン(PEI:シグマアルドリッチジャパン社製、重量平均分子量25000)を0.5質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、120℃で10分間乾燥し、乾燥層厚20nmの第2中間層を形成した。
なお、第1及び第2中間層形成に用いたTFPOは、カールフィッシャー法により測定した含有水分量が13ppmのものを用いた。
続いて、リンモリブデン酸・n水和物(PMA:関東化学社製)を0.1質量%含有するアセトニトリル(AN)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、100℃で10分間乾燥し、乾燥層厚10nmの第3中間層を形成した。
(正孔輸送層の形成)
更に、下記組成の正孔輸送層組成物を用いて、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、130℃で30分間保持し、層厚20nmの正孔輸送層を形成した。
正孔輸送材料(下記化合物(60))(重量平均分子量Mw=80000)
: 10質量部
クロロベンゼン(CB) :3000質量部
Figure 2017022063
(第2発光層の形成)
次に、中間層上に、第2発光層材料をダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、120℃で30分間保持し、層厚40nmの第2発光層を形成した。
〈第2発光層材料〉
ホスト化合物S−1 : 9.5質量部
リン光発光ドーパントD−75 :0.04質量部
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO):2000質量部
(封止)
以上の工程により形成した有機薄膜積層体に対し、市販のロールラミネート装置を用いて封止基材を接着した。
封止基材として、可撓性を有する厚さ30μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム(株)製)に、ドライラミネーション用の2液反応型のウレタン系接着剤を用いて層厚1.5μmの接着剤層を設け、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをラミネートしたものを作製した。
封止用接着剤として熱硬化性接着剤を、ディスペンサを使用して封止基材のアルミニウム箔の接着面(つや面)に沿って厚さ20μmで均一に塗布した。これを100Pa以下の真空下で12時間乾燥させた。更に、その封止基材を露点温度−80℃以下、酸素濃度0.8ppmの窒素雰囲気下へ移動して、12時間以上乾燥させ、封止用接着剤の含水率が100ppm以下となるように調整した。
熱硬化接着剤としては下記の(A)〜(C)を混合したエポキシ系接着剤を用いた。
(A)ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)
(B)ジシアンジアミド(DICY)
(C)エポキシアダクト系硬化促進剤
上記封止基材を密着・配置して、圧着ロールを用いて圧着条件として、圧着ロール温度120℃、圧力0.5MPa、装置速度0.3m/minで密着封止した。
以上のようにして、上述の図1に示す構成の有機薄膜積層体と同様の形態の総層厚130nmの有機薄膜積層体101を作製した。なお、本実施例において総層厚とは、第1発光層、第1〜第3中間層、正孔輸送層及び第2発光層の層厚を合計したものをいう。
《有機薄膜積層体102の作製》
上記有機薄膜積層体101の作製において、第1及び第2中間層の形成に使用したTFPOを1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール(OFAO)に変更した以外は同様にして、有機薄膜積層体102を作製した。
《有機薄膜積層体103の作製》
上記有機薄膜積層体101の作製において、第1発光層を下記条件で形成した以外は同様にして、有機薄膜積層体103を作製した。
下記第1発光層材料を調製した後、上記第1電極層を形成した基材上に、第1発光層材料をダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、130℃で30分間保持して形成した。これにより、層厚40nmの第1発光層を形成した。
〈第1発光層材料〉
ホスト化合物(上記化合物(60))(重量平均分子量Mw=80000)
: 7質量部
リン光発光ドーパントD−75 :0.05質量部
クロロベンゼン :1000質量部
《有機薄膜積層体104の作製》
上記有機薄膜積層体101の作製において、第1〜第3中間層、正孔輸送層及び第2発光層を形成せず、第1発光層上に直接TFPOのみを第2発光層の形成と同様の成膜条件で塗布(リンス)した以外は同様にして、有機薄膜積層体104を作製した。
《有機薄膜積層体105の作製》
上記有機薄膜積層体101の作製において、第1及び第2中間層の形成に使用したTFPOをイソプロパノール(IPA)に変更した以外は同様にして、有機薄膜積層体105を作製した。
第1及び第2中間層の形成にイソプロパノールを用いたことにより層厚40nmの第1発光層が一部溶け出し、表1に示すように有機薄膜積層体105の総層厚は105nmに減少した。
《有機薄膜積層体106の作製》
上記有機薄膜積層体103の作製において、第1及び第2中間層の形成に使用したTFPOをイソプロパノール(IPA)に変更した以外は同様にして、有機薄膜積層体106を作製した。
第1及び第2中間層の形成にイソプロパノールを用いたことにより層厚40nmの第1発光層が一部溶け出し、表1に示すように有機薄膜積層体106の総層厚は115nmに減少した。
《有機薄膜積層体107の作製》
上記有機薄膜積層体104の作製において、第1発光層上にリンスするTFPOをイソプロパノール(IPA)に変更した以外は同様にして、有機薄膜積層体107を作製した。
イソプロパノールでリンスしたことにより層厚40nmの第1発光層が一部溶け出し、表1に示すように有機薄膜積層体107の総層厚は15nmに減少した。
《有機薄膜積層体108の作製》
上記有機薄膜積層体101の作製において、第1〜第3中間層、正孔輸送層及び第2発光層を形成しなかった以外は同様にして、有機薄膜積層体108を作製した。
《有機薄膜積層体101〜108の評価》
上記のようにして作製した有機薄膜積層体101〜108について、以下の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(1)第1発光層のリンスアウト量試験
各有機薄膜積層体の第1発光層を有機薄膜積層体作製時と同じ条件で石英基板上に成膜、乾燥した後に、30mm角に切り出した。次に、UV−3310(日立製作所製)を用いて、切り出した石英基板の紫外可視分光吸収スペクトルを測定しリンス前の吸収スペクトルとした。続いて、切り出した基板の乾燥膜上に、各有機薄膜積層体の第1中間層に使用した溶媒を0.2mL滴下し、500rpm、30秒の条件でスピンコートした後に、再び紫外可視分光吸収スペクトルを測定し、リンス後のスペクトルとした。得られたリンス前後の紫外可視分光スペクトルの200nmから600nmの波長域のピークにおける強度比(%)を100%から引いた値(100−(リンス後強度/リンス前強度))を算出し各有機薄膜積層体のリンスアウト量(%)とした。
(2)発光量の測定
蛍光光度計F−4500(日立製作所製)を用いて、作製した各有機薄膜積層体を励起波長320nmで励起した際の発光スペクトルの極大波長の発光強度を測定し、発光量とした。そして、有機薄膜積層体104の発光量を100とする相対値として、各有機薄膜積層体の発光量を求めた。
(3)フッ化溶媒含有量の測定
30mm角のガラス基板上に上記各有機薄膜積層体101〜105と同様に薄膜積層体を形成した後に、トルエンを浸したクリーンワイパーで薄膜積層体を一部剥ぎ取り、サンユー電子社製SC−701 MkII ECOでAg薄膜をスパッタ後、Veeco社製WYKOを用いて薄膜積層体をはぎ取った境目の段差を計測し膜厚を決定した。更に、30mm角のガラス基板上に上記と同様に各薄膜積層体を形成後、10mm角程度にウェハーを切削し、前後の重量比から膜面積を求めた。上記面積が決定されたシリコンウェハーを電子科学社製の昇温熱脱離分析装置により測定し、使用したフッ化溶媒に対応するマスフラグメントスペクトルから、脱離ガス成分を定量し各有機層積層体の体積あたりのフッ化溶媒の質量比を求めた。なお、表1中、各フッ化溶媒に対応するマスフラグメントスペクトルに優位なピークが検出されなかった場合を、「n.d.」(not detected)と示す。
Figure 2017022063
表1に示すように、重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を用いて中間層を形成した有機薄膜積層体101〜103は、有機薄膜積層体104〜108と比較して発光量が大きく、約1.5倍以上の発光量を示している。したがって、本発明の有機薄膜積層体の製造方法によれば、中間層が湿式法により形成された場合であっても、機能低下が抑制された有機薄膜積層体を製造することができるといえる。
上述のように、有機薄膜積層体の製造方法において、重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を用いて、中間層を形成することにより、中間層形成用塗布液に含有される溶媒による下層(第1発光層側)へのダメージを低減することができる。また、このように形成された中間層は、上層形成用塗布液に含有される溶媒をブロック可能であるため、上層(第2発光層側)を湿式法で形成する際に、下層(第1発光層側)への溶媒によるダメージを低減することができる。また、中間層は非硬化性材料からなるため、加熱等の高温の硬化処理を省くことができ、樹脂製の基材上にも湿式法を用いて有機薄膜積層体を作製することができる。このため、下層の第1発光層の性能を低下させずに、かつ安定的に積層構造による発光量増大の効果を得ることができる。
[実施例2]
《有機EL素子201の作製》
以下のように、基材上に、陽極/第1発光ユニット(正孔注入層/正孔輸送層/第1発光層/電子輸送層/電子注入層)/中間層(第1中間層/第2中間層/第3中間層)/第2発光ユニット(正孔輸送層/第2発光層/電子輸送層/電子注入層)/陰極、からなるボトムエミッション型の有機EL素子を形成し、これを封止して有機EL素子201を得た。
(基材の準備)
まず、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製、以下、PENと略記する。)の陽極を形成する側の全面に、特開2004−68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリアー層を層厚500nmとなるように形成した。これにより、酸素透過度0.001mL/m/day以下、水蒸気透過度0.001g/m/day以下のガスバリアー性を有する可撓性の基材を作製した。
(陽極の形成)
上記基材上に厚さ120nmのITO(インジウム・スズ酸化物)をスパッタ法により製膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、陽極を形成した。なお、パターンは発光領域の面積が5cm×5cmになるようなパターンとした。
(第1発光ユニット−正孔注入層の形成)
陽極を形成した基材をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。そして、陽極を形成した基材上に、特許第4509787号公報の実施例16と同様に作製したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)の分散液をイソプロピルアルコールで希釈した2質量%溶液をダイコート法にて塗工、自然乾燥し、層厚40nmの正孔注入層を形成した。
(第1発光ユニット−正孔輸送層の形成)
次に、正孔注入層を形成した基材を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、下記組成の正孔輸送層組成物を用いて、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、130℃で30分間保持し、層厚30nmの正孔輸送層を形成した。
〈正孔輸送層組成物〉
正孔輸送材料(上記化合物(60))(重量平均分子量Mw=80000)
: 10質量部
クロロベンゼン :3000質量部
(第1発光ユニット−第1発光層の形成)
次に、正孔輸送層を形成した基材を、下記組成の第1発光層材料を用い、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、120℃で30分間保持し、層厚50nmの第1発光層を形成した。
〈第1発光層材料〉
ホスト化合物S−3 : 9.5質量部
リン光発光ドーパントD−71 :0.04質量部
酢酸イソプロピル :2000質量部
Figure 2017022063
(第1中間層の形成)
第1発光層上に、ZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)を1質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工し、乾燥層厚10nmの第1中間層を形成した。
(第2中間層の形成)
続いて、第1中間層上に、ポリエチレンイミン(PEI:シグマアルドリッチジャパン社製、重量平均分子量25000)を0.5質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、120℃で10分間乾燥し、乾燥層厚20nmの第2中間層を形成した。
なお、第1及び第2中間層形成に用いたTFPOはカールフィッシャー法による水分量が13ppmのものを用いた。
(第3中間層の形成)
続いて、第2中間層上に、リンモリブデン酸・n水和物(PMA:関東化学社製)の0.1質量%アセトニトリル(AN)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、100℃で10分間乾燥し、乾燥層厚10nmの第3中間層を形成した。
(第2発光ユニット−正孔輸送層/第2発光層/電子輸送層/電子注入層の形成)
第3中間層上に、上記第1発光ユニットの正孔輸送層及び第1発光層と同構成の正孔輸送層及び第2発光層を形成した後、下記のようにして電子輸送層及び電子注入層を形成した。
(第2発光ユニット−電子輸送層の形成)
第2発光層上に、ZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)を1質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO、炭素数3)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工し、層厚10nmの電子輸送層を形成した。
(第2発光ユニット−電子注入層の形成)
続いて、第1中間層上に、ポリエチレンイミン(PEI:シグマアルドリッチジャパン社製、重量平均分子量25000)を0.5質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、120℃で10分間乾燥し、層厚10nmの電子注入層を形成した。
なお、用いたTFPOはカールフィッシャー法による水分量が13ppmのものを用いた。
(陰極の形成)
次に、第2発光ユニットの電子注入層上に、アルミニウムを蒸着して厚さ100nmの陰極を形成した。
(封止)
実施例1と同様の工程により封止し、有機EL素子201を作製した。
《有機EL素子202の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1及び第2中間層の形成に使用した2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)を1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール(OFAO)に変更した以外は同様にして、有機EL素子202を作製した。
《有機EL素子203の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1発光層を下記条件で形成した以外は同様にして、有機EL素子203を作製した。
正孔輸送層を形成した基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、モリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物S−3を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにリン光発光ドーパントD−71を100mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、前記ホスト及びドーパントの入った加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度1nm/秒、0.004nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して、層厚40nmの第1発光層を形成した。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
《有機EL素子204の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1中間層を形成しなかった以外は同様にして、有機EL素子204を作製した。
《有機EL素子205の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第2中間層を形成しなかった以外は同様にして、有機EL素子205を作製した。
《有機EL素子206の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第3中間層の形成に用いられるリンモリブデン酸・n水和物(PMA:関東化学社製)の0.1質量%アセトニトリル(AN)溶液をWOナノ粒子(WONPs、平均粒径10nm)の0.1質量%イソプロパノール(IPA)分散液に変更した以外は同様にして、有機EL素子206を作製した。
《有機EL素子207の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第3中間層及び第2発光ユニットを形成しなかった以外は同様にして、有機EL素子207を作製した。
《有機EL素子208の作製》
上記有機EL素子207の作製において、第1発光ユニットの正孔注入層を以下のように形成した以外は同様にして、有機EL素子208を作製した。
陽極を形成した基材をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。そして、陽極を形成した基材上に、リンモリブデン酸・n水和物(PMA:関東化学社製)の0.1質量%アセトニトリル(AN)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、100℃で10分間乾燥し、層厚40nmの正孔注入層を形成した。
《有機EL素子209の作製》
上記有機EL素子207の作製において、第1発光層を下記条件で形成した以外は同様にして、有機EL素子209を作製した。
正孔輸送層を形成した基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、モリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物S−3を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにリン光発光ドーパントD−71を100mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、前記ホスト及びドーパントの入った加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度1nm/秒、0.004nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して、層厚40nmの第1発光層を形成した。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
《有機EL素子210の作製》
上記有機EL素子207の作製において、第1中間層を形成しなかった以外は同様にして、有機EL素子210を作製した。
《有機EL素子211の作製》
上記有機EL素子207の作製において、第2中間層を形成しなかった以外は同様にして、有機EL素子211を作製した。
《有機EL素子212の作製》
上記有機EL素子207の作製において、第2中間層の形成に使用した2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)をイソプロパノール(IPA)に変更した以外は同様にして、有機EL素子212を作製した。
《有機EL素子213の作製》
上記有機EL素子207の作製において、第1中間層及び第2中間層の形成に使用した2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)をイソプロパノール(IPA)に変更した以外は同様にして、有機EL素子213を作製した。
《有機EL素子214の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第2中間層の形成方法を以下の方法に変更した以外は同様にして、有機EL素子214を作製した。
第1中間層上に、下記構造式で表されるDBp−6、AIp−4(各比率は50.0質量%:50.0質量%)の0.5質量%TFPO溶液をダイコート法により成膜し、成膜後、低圧水銀灯(15mW/cm)を用いて30秒、130℃でUV照射することで、DBp−6及びAIp−4の重合基を光硬化し、重合性基を有する導電性ポリマーを含有する乾燥層厚10nmの不溶化n型の第2中間層を設けた。
Figure 2017022063
《有機EL素子215の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第2中間層の形成に用いられるポリエチレンイミンの代わりに、下記構造式で表される化合物ET−11を用いた以外は同様にして、有機EL素子215を作製した。
Figure 2017022063
《有機EL素子216の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1及び第3中間層を形成せず、第2中間層の形成に用いられるポリエチレンイミンの代わりにポリエチレンイミンエトキシド(PEIE:シグマアルドリッチジャパン社製、80%エトキシ化品、重量平均分子量70000)を用いた以外は同様にして、有機EL素子216を作製した。
《有機EL素子217の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第3中間層を形成せず、第2中間層の形成に用いられるポリエチレンイミンの代わりにポリエチレンイミンエトキシド(PEIE:シグマアルドリッチジャパン社製、80%エトキシ化品、重量平均分子量70000)を用いた以外は同様にして、有機EL素子217を作製した。
《有機EL素子218の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第2中間層の形成に用いられるポリエチレンイミンの代わりに、下記構造式で表される化合物ET−101を用いた以外は同様にして、有機EL素子218を作製した。
Figure 2017022063
《有機EL素子219の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1中間層及び第2中間層の形成方法を以下の方法に変更した以外は同様にして、有機EL素子219を作製した。
第1発光層上に、ポリエチレンイミンエトキシド(PEIE:シグマアルドリッチジャパン社製、80%エトキシ化品、重量平均分子量70000)を0.5質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、120℃で10分間乾燥し、乾燥層厚10nmの第1中間層を形成した。
次に、第1中間層上に、ポリエチレンイミンエトキシド(PEIE:シグマアルドリッチジャパン社製、80%エトキシ化品、重量平均分子量70000)及びリンモリブデン酸・n水和物(PMA:関東化学社製)の9:1(体積比)混合物を0.5質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO):アセトニトリル(AN)混合溶液(TFPO:AN=9:1(体積比))をダイコート法にて5m/minで塗工した後、120℃で10分間乾燥し、乾燥層厚10nmの第2中間層を形成した。
なお、第1及び第2中間層形成に用いたTFPOはカールフィッシャー法による水分量が13ppmのものを用いた。
《有機EL素子220の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第3中間層の形成方法を以下の方法に変更した以外は同様にして、有機EL素子220を作製した。
特許第4509787号公報の実施例16と同様に作製したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)の分散液をイソプロピルアルコールで希釈した0.5質量%溶液をダイコート法にて塗工、自然乾燥し、乾燥層厚10nmの第3中間層を形成した。
《有機EL素子221の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第2中間層の形成に用いられるポリエチレンイミンの代わりに、ポリエチレンイミンエトキシド(PEIE:シグマアルドリッチジャパン社製、80%エトキシ化品、重量平均分子量70000)を用いた以外は同様にして、有機EL素子221を作製した。
《有機EL素子222の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第3中間層の形成に用いられるリンモリブデン酸・n水和物(PMA:関東化学社製)の代わりに、タングスト(VI)リン酸・n水和物(PWA:関東化学社製)を用いた以外は同様にして、有機EL素子222を作製した。
《有機EL素子223の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第3中間層の形成に用いられるリンモリブデン酸・n水和物(PMA:関東化学社製)の代わりに、リンタングステン酸ナトリウム(PMANa:関東化学社製)を用いた以外は同様にして、有機EL素子223を作製した。
《有機EL素子224の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第3中間層の形成方法を以下の方法に変更した以外は同様にして、有機EL素子224を作製した。
第2中間層上に、NiO微粒子(NiONPs、平均粒径10nm)の0.1質量%イソプロパノール(IPA)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、100℃で10分間乾燥し、層厚10nmの第3中間層を形成した。
《有機EL素子225の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1及び第2中間層の形成に用いられる溶媒を1H,1H−トリフルオロエタノール(TFEO、炭素数2のフッ化アルコール)に変更した以外は同様にして、有機EL素子225を作製した。
《有機EL素子226の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1及び第2中間層の形成に用いられる溶媒を2−(パーフルオロブチル)エタノール(FBEO、炭素数6のフッ化アルコール)に変更した以外は同様にして、有機EL素子226を作製した。
《有機EL素子227の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1及び第2中間層の形成に用いられる溶媒をメチルパーフルオロブチレート(MFBA)に変更した以外は同様にして、有機EL素子227を作製した。
《有機EL素子228の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1及び第2中間層の形成に用いられる溶媒を1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル(FEFPE)に変更した以外は同様にして、有機EL素子228を作製した。
《有機EL素子229の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1中間層の形成に用いられるZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)の代わりに、AZO微粒子(AZONPs、平均粒径10nm)を用いた以外は同様にして、有機EL素子229を作製した。
《有機EL素子230の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1中間層の形成に用いられるZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)の代わりに、TiO微粒子(TiONPs、平均粒径10nm)を用いた以外は同様にして、有機EL素子230を作製した。
《有機EL素子231の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1中間層の形成に用いられるZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)の代わりに、ZrO微粒子(ZrONPs、平均粒径10nm)を用いた以外は同様にして、有機EL素子231を作製した。
《有機EL素子232の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1中間層の形成に用いられるZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)の代わりに、Y微粒子(YNPs、平均粒径10nm)を用いた以外は同様にして、有機EL素子232を作製した。
《有機EL素子233の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1中間層の形成に用いられるZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)の代わりに、YSZ微粒子(YSZNPs、平均粒径10nm)を用いた以外は同様にして、有機EL素子233を作製した。
《有機EL素子234の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1中間層の形成に用いられるZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)の代わりに、ITO微粒子(ITONPs、平均粒径10nm)を用いた以外は同様にして、有機EL素子234を作製した。
《有機EL素子235の作製》
上記有機EL素子201の作製において、第1中間層の形成に用いられるZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)の代わりに、GZO微粒子(GZONPs、平均粒径10nm)を用いた以外は同様にして、有機EL素子235を作製した。
《有機EL素子201〜235の評価》
上記のように作製した有機EL素子201〜235について、以下の評価を行った。その評価結果を表2及び表3に示す。
(1)第1発光層のリンスアウト量試験
上記実施例1における第1発光層のリンスアウト量試験と同様にして、有機EL素子201〜235の第1発光層に対する、有機発光素子201〜235の第1中間層及び第2中間層に使用した溶媒によるリンスアウト量をそれぞれ求めた。
(2)フッ化溶媒含有量の測定
上記実施例1の有機薄膜積層体の評価におけるフッ化溶媒含有量の測定と同様にして、有機EL素子201〜235の各中間層の質量の合計に対するフッ化溶媒の質量比を求めた。なお、表2中、各フッ化溶媒に対応するマスフラグメントスペクトルに優位なピークが検出されなかった場合を、「n.d.」(not detected)と示す。
(3)発光効率の測定
発光効率の測定は、室温(25℃)で、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて、各素子の発光輝度を測定し、当該電流値における発光効率(外部取り出し効率)を求めた。そして、有機EL素子207の発光効率を100とする相対値として、各素子の発光効率を求めた。
(4)発光寿命の測定
発光寿命の測定は、有機EL素子を室温25℃、湿度55%RHの条件下で連続駆動させ、上記分光放射輝度計CS−2000を用いて輝度を測定し、測定した輝度が半減する時間(半減寿命)を寿命の尺度として求めた。駆動条件は、連続駆動開始時に10000cd/mとなる電流値とした。そして、有機EL素子207の発光寿命を100とする相対値として、各素子の発光寿命を求めた。
Figure 2017022063
Figure 2017022063
表2及び表3に示すように、重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を用いて中間層を形成した有機EL素子201〜204、206〜210、216〜235は、有機EL素子205、211〜215と比較して発光効率及び発光寿命が高い値を示しており、発光効率は2倍以上、発光寿命は4倍以上となっている。したがって、本発明の有機EL素子の製造方法によれば、中間層が湿式法により形成された場合であっても、機能低下が抑制された有機EL素子を製造することができるといえる。
したがって、実施例1の有機薄膜積層体の製造方法と同様に有機EL素子の製造方法においても、重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を用いて、中間層を形成することにより、中間層形成用塗布液に含有される溶媒による下層(第1発光層側)へのダメージを低減することができる。また、このように形成された中間層は、上層形成用塗布液に含有される溶媒をブロック可能であるため、上層(第2発光層側)を湿式法で形成する際に、下層(第1発光層側)への溶媒によるダメージを低減することができる。また、有機EL素子を構成する有機薄膜積層体の各有機機能層は非硬化性材料からなるため、加熱等の高温の硬化処理を省くことができ、樹脂製の基材上にも湿式法を用いて有機EL素子を作製することができる。このため、下層の第1発光層の性能を低下させずに、かつ安定的に積層構造による発光量増大の効果を得ることができる。
[実施例3]
《有機EL素子301の作製》
上記実施例2の有機EL素子201の作製において、第2発光ユニットの第2発光層、電子輸送層及び電子注入層の形成方法を以下のとおりに変更した以外は同様にして、白色発光の有機EL素子301を作製した。
(第2発光ユニット−第2発光層の形成)
第3中間層上に第1発光層と同じ構成の第2発光ユニット用の正孔輸送層を有機EL素子201の作製と同様に設けた上に、下記組成の第2発光層材料をダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、120℃で30分間保持し、層厚50nmの第2発光層を形成した。
〈第2発光層材料〉
ホスト化合物S−26 : 9.5質量部
リン光発光ドーパントDP−1(発光極大波長473nm) : 3質量部
リン光発光ドーパントD−68 :0.02質量部
酢酸イソプロピル :2000質量部
Figure 2017022063
(第2発光ユニット−電子輸送層の形成)
続いて、上記した化合物ET−11を0.5質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液を、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、120℃で30分間保持し、層厚30nmの電子輸送層を形成した。
(第2発光ユニット−電子注入層の形成)
続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付けた。また、モリブデン製抵抗加熱ボートにフッ化カリウムを入れたものを真空蒸着装置に取り付け、真空槽を4×10−5Paまで減圧した後、前記ボートに通電して加熱してフッ化カリウムを0.02nm/秒で電子輸送層上に蒸着させて、層厚2nmの電子注入層を形成した。
(陰極の形成)
次に、第2発光ユニットの電子注入層上に、アルミニウムを蒸着して厚さ100nmの陰極を形成した。
(封止)
実施例1、2と同様の工程により封止し、有機EL素子301を作製した。
《有機EL素子302の作製》
上記有機EL素子301の作製において、第1及び第2中間層の形成に使用した2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)を1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール(OFAO)に変更した以外は同様にして、有機EL素子302を作製した。
《有機EL素子303の作製》
上記有機EL素子301の作製において、第1及び第2中間層の形成に使用した2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)をイソプロパノール(IPA)に変更した以外は同様にして、有機EL素子303を作製した。
《有機EL素子304の作製》
上記有機EL素子301の作製において、第1発光ユニットの正孔注入層を以下のように形成し、第1発光ユニットの第1発光層から第2発光ユニットの正孔輸送層までを形成しなかった以外は同様にして、有機EL素子304を作製した。
陽極を形成した基材をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。そして、陽極を形成した基材上に、リンモリブデン酸・n水和物(PMA:関東化学社製)の0.1質量%アセトニトリル(AN)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、100℃で10分間乾燥し、層厚10nmの正孔注入層を形成した。
《有機EL素子305の作製》
上記有機EL素子304の作製において、第2発光ユニットの第2発光層材料を下記組成に変更した以外は同様にして、有機EL素子305を作製した。
〈第2発光層材料〉
ホスト化合物S−26 : 9.5質量部
リン光発光ドーパントDP−1 : 3質量部
リン光発光ドーパントD−68 :0.02質量部
リン光発光ドーパントD−76 :0.04質量部
酢酸イソプロピル :2000質量部
《有機EL素子301〜305の評価》
上記のように作製した有機EL素子301〜305について、上記実施例2と同様に、フッ化溶媒含有量、発光効率及び発光寿命を測定した。その評価結果を表4に示す。
なお、有機EL素子305の発光効率及び発光寿命を100とする相対値として、各素子の発光効率及び発光寿命を求めた。
Figure 2017022063
表4に示すように、重合性基を有しない導電性ポリマー及びフッ化溶媒を用いて中間層を形成した有機EL素子301、302は、有機EL素子303〜305と比較して発光効率及び発光寿命が高い。したがって、本発明の有機EL素子の製造方法によれば、中間層が湿式法により形成された場合であっても、機能低下が抑制された有機EL素子を製造することができるといえる。
したがって、白色発光型の有機EL素子においても、上記実施例2と同様の効果が得られることが分かる。
[実施例4]
《光電変換素子401の作製》
以下のように、基材上に、陰極/電子注入層/電子輸送層/第1光電変換ユニット(第1光電変換層/第1正孔注入層)/第1中間層/第2中間層/第2光電変換ユニット(第2光電変換層/第2正孔注入層)/陽極、からなるインバーテッドタンデム型の光電変換素子を形成し、これを封止して光電変換素子401を得た。
(基材の準備)
まず、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製、以下、PENと略記する。)の陰極を形成する側の全面に、特開2004−68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリアー層を層厚500nmとなるように形成した。これにより、酸素透過度0.001mL/m/day以下、水蒸気透過度0.001g/m/day以下のガスバリアー性を有する可撓性の基材を作製した。
(陰極の形成)
上記基材上に厚さ120nmのITO(インジウム・スズ酸化物)をスパッタ法により製膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、陽極を形成した。なお、パターンは発光領域の面積が5cm×5cmになるようなパターンとした。
(電子注入層−電子輸送層の形成)
ZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)を1質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工し、層厚10nmの電子注入層を形成した。
続いて、電子注入層上に、ポリエチレンイミン(PEI:シグマアルドリッチジャパン社製、重量平均分子量25000)を0.5質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、120℃で10分間乾燥し、層厚20nmの電子輸送層を形成した。
(第1光電変換ユニット(第1光電変換層−第1正孔注入層)の形成)
電子輸送層の上に、p型半導体材料としてP3HT(シグマアルドリッチジャパン社製)を1.25質量%、n型半導体材料としてBis60PCBM(シグマアルドリッチジャパン社製)を1.0質量%溶解したトルエン溶液を調製し、ダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に120℃30分間乾燥し、層厚100nmの第1光電変換層を形成した。
実施例2及び3と同様に調製したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)の分散液をイソプロピルアルコールで希釈した2質量%溶液をダイコート法にて塗工、自然乾燥し、層厚40nmの第1正孔注入層を形成した。
(第1中間層の形成)
第1光電変換ユニット上に、ZnO微粒子(ZnONPs、平均粒径10nm)を1質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工し、乾燥層厚10nmの第1中間層を形成した。
(第2中間層の形成)
続いて、第1中間層上に、ポリエチレンイミン(PEI:シグマアルドリッチジャパン社製、重量平均分子量25000)を0.5質量%含有する2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)溶液をダイコート法にて5m/minで塗工した後、120℃で10分間乾燥し、乾燥層厚20nmの第2中間層を形成した。
なお、第1及び第2中間層形成に用いたTFPOはカールフィッシャー法による水分量が13ppmのものを用いた。
(第2光電変換ユニット(第2光電変換層−第2正孔注入層)の形成)
上記第1光電変換ユニットと同様に、第2光電変換層及び第2正孔注入層を形成した。
(陽極の形成)
次に、第2光電変換ユニットの第2正孔注入層上に、金を蒸着して厚さ100nmの陽極を形成した。
(封止)
実施例1〜3と同様の工程により封止し、光電変換素子401を作製した。
《光電変換素子402の作製》
上記光電変換素子401の作製において、第1及び第2中間層の形成に使用した2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)をイソプロパノール(IPA)に変更した以外は同様にして、光電変換素子402を作製した。
《光電変換素子401及び402の評価》
上記のように作製した光電変換素子401、402について、以下の評価を行った。その評価結果を表5に示す。
(1)第1正孔注入層のリンスアウト量試験
上記実施例1における第1発光層のリンスアウト量試験と同様にして、光電変換素子401及び402の第1正孔注入層に対する、光電変換素子401及び402の第1中間層に使用した溶媒によるリンスアウト量を求めた。
(2)光電変換効率及び相対保持率の評価
上記作製した光電変換素子の受光部に、有効面積を4.0mmにしたマスクを重ね、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)により100mW/cmの強度の光を照射した。当該光電変換素子上に形成された4か所の受光部のそれぞれについて、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)及び曲線因子(フィルファクター)FFを測定し、それらの平均値を求めた。また、求めた平均値を用いて下記式1に従って光電変換効率η(%)を求めた。
式1:Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF=η(%)
表5において、光電変換効率は有機光電変換素子402の光電変換効率を100とする相対値で示す。
更に、この時の初期光電変換効率を100とし、陽極と陰極の間に抵抗を接続したまま100mW/cmの照射強度で100時間照射し続けた後の光電変換効率を求め、下記式2に従って相対保持率を算出した。
式2:相対保持率(%)=(1−初期の光電変換効率/100時間光照射後の光電変換効率)×100
表5において、相対保持率は光電変換素子402の相対保持率を100とする相対値で示す。
Figure 2017022063
表5に示すように、非硬化性材料からなり、重合性基を有しない導電性ポリマー及び微量のフッ化溶媒を含む中間層を備える光電変換素子401は、光電変換素子402と比較して光電変換効率と相対保持率が高い。したがって、光電変換素子401によれば、湿式法により第1及び第2中間層が形成され、光電変換素子の機能低下が抑制されているといえる。
したがって、タンデム型の光電変換素子においても、実施例2及び3の有機EL素子と同様の効果が得られることが分かる。
[実施例5]
《有機EL素子501の作製》
上記実施例2の有機EL素子201の作製において、第1発光ユニットの第1発光層、及び第2発光ユニットの第2発光層の形成方法を以下のとおりに変更した以外は同様にして、白色発光の有機EL素子501を作製した。
(第1発光ユニット−第1発光層の形成)
正孔輸送層を形成した基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、モリブデン製抵抗加熱ボートに蛍光ホスト化合物2を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに青色蛍光発光ドーパント化合物3を100mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。蛍光ホスト化合物2及び蛍光発光ドーパント化合物3の化学式を以下に示す。
Figure 2017022063
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、前記ホスト及びドーパントの入った加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.95nm/秒、0.05nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して、層厚40nmの第1発光層を形成した。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。また、続く中間層の形成は第1発光層を形成した基板を大気に触れることなく再び窒素雰囲気下に移して行った。
(第2発光ユニット−第2発光層の形成)
中間層上に、第2発光層材料をダイコート法にて5m/minで塗工し、自然乾燥した後に、120℃で30分間保持し、層厚40nmの第2発光層を形成した。
〈第2発光層材料〉
ホスト化合物S−57 :9.26質量部
リン光発光ドーパントD−67 :0.70質量部
リン光発光ドーパントD−74 :0.04質量部
酢酸イソプロピル :2000質量部
《有機EL素子502の作製》
上記有機EL素子501の作製において、第1及び第2中間層の形成に使用した2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TFPO)をイソプロパノール(IPA)に変更した以外は同様にして、有機EL素子502を作製した。
《有機EL素子501、502の評価》
上記のように作製した有機EL素子501、502について、上記実施例2と同様に、第1発光層のリンスアウト量試験、フッ化溶媒含有量、発光効率及び発光寿命を測定した。その評価結果を表6に示す。
なお、表6中、各フッ化溶媒に対応するマスフラグメントスペクトルに優位なピークが検出されなかった場合を、「n.d.」(not detected)と示す。また、有機EL素子502の発光効率及び発光寿命を100とする相対値として、有機EL素子501の発光効率及び発光寿命を求めた。
Figure 2017022063
表6に示すように、非硬化性材料からなり、重合性基を有しない導電性ポリマー及び微量のフッ化溶媒を含む中間層を備える有機EL素子501は、有機EL素子502と比較して発光効率及び発光寿命が高い。したがって、有機EL素子501によれば、湿式法により第1〜第3中間層が形成され、有機EL素子の機能低下が抑制されているといえる。
したがって、蛍光材料とリン光材料を用いた白色発光型の有機EL素子においても、上記実施例2と同様の効果が得られることが分かる。
10 有機薄膜積層体
11、21 基材
12 第1発光層(有機機能層)
13、24 中間層
14 第2発光層(有機機能層)
20 有機EL素子
22 陽極
23 第1発光ユニット
25 第2発光ユニット
26 陰極

Claims (8)

  1. 非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層された有機薄膜積層体の製造方法であって、
    フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて有機機能層材料の溶液を用いて有機機能層を形成する工程と、
    前記有機機能層の上に、非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、
    を有し、
    前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とする有機薄膜積層体の製造方法。
  2. 前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に用いられるフッ化溶媒が、炭素数3〜5のフッ化アルコールであることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
  3. 前記重合性基を有しない導電性ポリマーが、ポリエチレンイミン誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
  4. 前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、金属化合物を用いることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
  5. 前記金属化合物が、n型金属酸化物及びポリ酸の少なくとも一方を含む金属化合物であることを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
  6. 前記金属化合物が、金属化合物を含む微粒子として含有されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
  7. 前記金属化合物が、ZnO、TiO、ZrO又はアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含む微粒子から選ばれることを特徴とする請求項6に記載の有機薄膜積層体の製造方法。
  8. 陽極と陰極との間に、非硬化性材料からなる複数の有機機能層が積層された有機薄膜積層体を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    フッ化溶媒以外の極性溶媒に溶解させて有機機能層材料の溶液を用いて有機機能層を形成する工程と、
    非硬化性材料からなる少なくとも1層の中間層を形成する工程と、
    を有し、
    前記少なくとも1層の中間層を形成する工程において、前記少なくとも1層の中間層のうちいずれかの中間層の形成に、少なくとも重合性基を有しない導電性ポリマーをフッ化溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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