JP6825287B2 - 有機el素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、照明等に用いる有機EL素子の技術に係り、特にフレキシブル有機EL素子の製造方法に好適な技術に関する。
有機EL素子は有機発光媒体層に電圧を印加することにより、発光媒体層中の有機発光層において、注入された電子と正孔とが再結合する。有機発光層中の有機発光分子は、再結合エネルギーによりいったん励起状態となり、その後、励起状態から基底状態に戻る。この際に放出されるエネルギーは光として発光素子内で干渉し外部へ取り出すことにより有機EL素子は発光する。
有機発光媒体層に電圧を印加するために、対をなす電極(層)が上記有機発光媒体層を挟んで設けられ、その対をなす電極の少なくとも一方は、有機発光媒体層からの光を外部へ取り出すために、透光性を有する。このような有機EL素子の構造の一例としては、ガラス、あるいはプラスチック等の透光性基板上に、透光性の透明電極、有機発光媒体層、対向電極を順次積層したものが挙げられる。ここで、基板上に形成される電極を陽極に、発光媒体層上に形成される対向電極を陰極として利用する態様が例示できる。
有機EL素子は構造的に極薄化できる。近年、これを活かすために、フレキシブルなプラスチックフィルム基材を用いたフレキシブル有機EL素子が注目されている。
特に照明用途への応用に関して、薄型、軽量、意匠性を向上させることができ、安価であるという特徴から、プラスチックフィルム基板がガラス基板に代わるものとして注目されている。
一方、フレキシブル有機EL素子は、曲げられることができる反面、曲げられた時の影響を十分に考慮する必要がある。電極層同士の間に、nmオーダーの厚さからなる有機膜しか存在しない場合、例えば、フレキシブル有機EL素子が曲げられたときのたわみや、指などで押圧された場合に、電極同士が接触することによるショートが発生するおそれがある。また、有機発光媒体層と封止基板がぶつかりあい、これにより有機発光媒体層などを傷つけるおそれがあり、傷付いた場合には電極間でショートが生じ、発光不良の原因となる。
このような問題に対し、電極上にフォトリソグラフィによる柱状の凸部を形成し、素子の耐久性を向上させる有機EL素子の製造方法(特許文献1、2)や、スペーサー材料を、ディスペンス塗布やインクジェット塗布、スクリーン・フレキソ・グラビア印刷により、電極層上に有機発光媒体層及び他の電極層を貫通するスペーサーを形成し、ショート等によるダークスポットの発生を抑制する有機EL素子の製造方法(特許文献3)が報告されている。
特開2007−335327号公報 特開2002−151252号公報 国際公開番号WO2013/146583号
上記特許文献1、2の構成は、フォトリソグラフィによる柱状の凸部をパターン状に形成するため、感光性樹脂組成物を塗布する工程と、紫外線を露光する工程と、未露光部の感光性樹脂組成物を除去する工程といった複数の工程が必要になる。このため、コスト面で課題がある。
また、上記特許文献3では、スペーサーの断面積が、平均直径5μm以上、50μm以下と大きいスペーサー材料を用いるため、インクジェット塗布の場合は、目詰まりの原因になる。また、フレキソ印刷では転写不良、また他の塗布方式では発光ムラといった問題が発生し、歩留まりに課題がある。さらに、スペーサー材料を別で塗布するための工程が必要になるため、コスト面でも課題が残る。
本発明は、上記のような点に着目したもので、歩留まり向上と低コスト化を可能にし、ショートやリークの発生を防ぎ、素子の耐久性を向上させた有機EL素子を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様は、プラスチックフィルム基材上に、透明電極と、複数のスペーサービーズ及び正孔輸送層を含む有機発光媒体層と、対向電極と、封止基板とがこの順に設けられた有機EL素子の製造方法であって、正孔輸送材料を含み且つ上記複数のスペーサービーズが分散された溶液を、ダイコート印刷にて、上記透明電極上に塗布する工程を含み、上記スペーサービーズの体積を球体に換算したときに、上記スペーサービーズの平均直径は1μm以上5μm未満であり、上記透明電極の厚さ方向からみて、上記透明電極上に位置する上記スペーサービーズの密度を、500個/cm以上、5000個/cm以下とすることを特徴とする。
また本発明の他の態様は、プラスチックフィルム基材上に、透明電極と、有機発光媒体層と、対向電極と、封止基板とがこの順に設けられ、上記透明電極の面上に沿って配置するようにして、複数のスペーサービーズが上記有機発光媒体層に埋設され、上記スペーサービーズの体積を球体に換算したときに、上記スペーサービーズの平均直径は1μm以上5μm未満であり、上記透明電極の厚さ方向からみて、上記透明電極上に位置する上記スペーサービーズの密度は、500個/cm以上、5000個/cm以下であることを特徴とする有機EL素子である。
本発明の一態様によれば、有機発光媒体層内に複数のスペーサービーズを分散させるという簡易な構成によって、歩留まり向上と低コスト化を可能にし、ショートやリークの発生を防ぎ、素子の耐久性を向上させた有機EL素子を提供することができる。
本発明の実施形態に係る有機EL素子の構成の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係るダイコート方式の塗布装置の概略図を模式的に示す断面図である。 本発明の図1の塗布装置(ダイコータ)による塗布状態を示す斜視図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本実施形態に係る有機EL素子1は、図1に示すように、プラスチックフィルム基材2の一方の面上に、透明電極3と、複数のスペーサービーズ5及び正孔輸送層4を含む有機発光媒体層11と、対向電極8と、樹脂バッファー層9と、封止基板10とがこの順に設けられている。有機発光媒体層11は、透明電極3上に積層された正孔輸送層4、正孔輸送層4上に積層された発光層6、発光層6上に積層された電子輸送層7の各層を備えると共に、有機発光媒体層11には、その各層に跨るように複数のスペーサービーズ5が、埋設され、該複数のスペーサービーズ5は、透明電極3の面に沿って配置されている。また、樹脂バッファー層9及び封止基板10が封止材を構成する。
プラスチックフィルム基材2としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリシクロヘキサンジメタノール−テレフタレート(PCT)などのポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、ナイロン6、ナイロン12などのポリアミド系樹脂フィルム、ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂フィルム、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン−パーフルオロビニルエーテル三元共重合体(EPE)、エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、塩化−3フッ化エチレン樹脂(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、シクロオレフィンフィルム、あるいはポリアクリルニトリル、アクリル系樹脂、メタクリル樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂から選択される樹脂フィルムが挙げられる。また、これらに限定されず、ポリサルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂など、耐熱性、強度物性、電気絶縁性等を考慮して適宜選択することが可能である。
プラスチックフィルム基材2は、上記した2種類以上の樹脂の混合物からなるフィルムや積層フィルムも用いられる。また、公知の添加剤、滑剤、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤を添加することが可能であり、また、プラスチックフィルム基材2は延伸、未延伸のどちらでも良いが、連続的なバリア性薄膜の成膜加工への適性、他のガスバリア性フィルムとの積層やシール層との積層等の後加工適性等を考慮すると、機械的強度や寸法安定性を有するものが良く、二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましい。本実施形態においては、プラスチックフィルム基材2としてより薄肉化できる点や強度、耐熱性、透明性ならびに安価なことから、厚さが6μm以上100μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが望ましい。
上記プラスチックフィルム基材2には、必要に応じてコロナ放電処理等の易接着処理、プラズマ処理やイオンエッチング、フレーム処理などを施しても差し支えない。また、別途フィルム基材上に密着性のあるアンカーコート層やハードコート層などのコーティング処理を施すこともできる。この場合工程は増えることになるが、耐久性を上げるために必要な場合もある。具体的にはアクリル樹脂やウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられ、硬化方式は熱硬化、紫外線硬化、EB硬化などが挙げられる。
上記プラスチックフィルム基材2上に、無機化合物からなるバリア層を形成しても良い。
無機化合物からなるバリア層は、水蒸気や酸素等のガスの透過を防ぐものである。バリア層を形成する材料は特に限定されるものではなく、珪素、アルミニウム、クロム、マグネシウム等の金属の酸化物、窒化物、フッ化物や、錫含有酸化インジウム(ITO)などの複合酸化物、窒化物等、透明で且つ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものが使用できる。なかでも、金属酸化物は好ましく用いることが出来、酸化アルミニウム(Al)、酸化珪素(SiO)、インジウムとスズの複合酸化物(ITO)が望ましく、その中でも、SiOやITOは透明性、防湿性とも他の金属酸化物より優れているためより好ましい。また若干窒素が入ったSiOでもよい。また混合された材料でもよい。
金属酸化物等からなるバリア層をプラスチックフィルム基材2上に形成する方法としては種々あり、抵抗加熱式真空蒸着法、EB(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法等の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタ法やイオンプレーティング法、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)などを用いることも可能である。スパッタ法の場合、フィルム上に成膜した場合、成膜されるバリア層が剛直になりやすく、僅かな曲げや延伸によってクラックが入りやすく、バリア性が劣化するという懸念がある。また、いわゆるカバレージ性に対しても懸念があるため、CVD法が好ましい。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましい。また蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を更に向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
バリア層の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には1.0nm〜3000nmの範囲内が望ましく、より好ましくは5nm以上1000nm以下である。さらには、10nm以上100nm以下であることが特に好ましい。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が1000nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、折り曲げ、引っ張り、あるいは温度変化による伸縮などの外的要因により、薄膜に亀裂(クラック)を生じるおそれがあるので問題がある。さらに、材料使用量の増加、膜形成時間の長時間化等に起因してコストが増加し、経済的観点からも好ましくない。
珪素等の金属の酸化物、窒化物などの複合酸化物、窒化物等、透明で且つ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものが使用できる。
なかでも窒化シリコン(SiN)や酸窒化シリコン(SiO)は透明性、防湿性ともに他の金属酸化物より優れているためより好ましい。さらにSiNは高屈折率特性を備えているため、光学調整層として用いやすく、SiOに関しては密着性にも優れている。
透明電極3は、プラスチックフィルム基材2またはバリア層上に透明電極3の材料からなる層を成膜して作製される。透明電極3の材料としては、一般的には、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物等があるが、フレキシビリティの観点から、導電性を示す高分子化合物が好ましい。上記の高分子化合物は、ドーパントを含有していてもよく、高分子化合物の導電性は通常、導電率で10−5S/cm以上10S/cm以下であり、好ましくは10−3S/cm以上10S/cm以下である。必要に応じて、陽極の配線抵抗を低くするために、一様な網目状、櫛形あるいはグリッド型等の金属および/または合金の細線構造部を配置した導電性面を作製し、その上に透明電極3を形成してもよい。
導電性を示す高分子化合物の構成材料としては、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、等を挙げることができる。ドーパントとしては、公知のドーパントを用いることができ、その例としては、ポリスチレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸、PF、AsF、SbF等のルイス酸が挙げられる。また導電性を示す高分子化合物は、ドーパントが高分子化合物に直接結合した自己ドープ型の高分子化合物であってもよい。透明電極3の膜厚は、有機EL照明の素子構成により最適値が異なるが、単層、積層にかかわらず、100×10−10以上10000×10−10以下であり、より好ましくは、100×10−10以上3000×10−10以下である。
透明電極3の形成方法としては、材料に応じて、ダイコート印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法などを用いることができる。
有機発光媒体層11としては、主に、正孔輸送層4、発光層6、そして電子輸送層7とを備えることが一般的である。
正孔輸送層4は、陽極である透明電極3から注入された正孔を陰極である対向電極8の方向へ進め、正孔を通しながらも電子が透明電極3の方向へ進行することを防止する機能を有している。電界印加時に透明電極3からの正孔の注入を安定化する機能、及び、透明電極3から注入された正孔を電界の力で発光層6内に輸送する機能のいずれか一方を有する場合であってもよく、正孔注入及び正孔輸送の両方の機能を有していても良い。正孔輸送層4は、1層からなっても良いし、複数層からなっても良い。
正孔輸送層4に用いられる正孔輸送材料の例としては、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含む高分子正孔輸送材料、ポリマー、ポリチオフェンオリゴマー材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
スペーサービーズ5に用いられる材質としては、直径の揃った球状シリカビーズやポリスチレンビーズ等、樹脂であっても、無機化合物であってもよく、電極層間の短絡が生じない非導電体であればよい。有機EL照明パネルが屈曲されたとき、フィルム間の間隔を維持する強度を有するものが好ましく、密度、製造効率等との関連において、スペーサーの材質を選択することが好ましい。
正孔輸送層4及び複数のスペーサービーズ5を透明電極3上に形成する方法としては、上記の正孔輸送材料を水、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機溶剤、或いはこれらの混合溶剤に溶解したインキ(溶液)中に、上記複数のスペーサービーズ5を分散させた溶液を用いて、透明電極3上に、湿式成膜法であるダイコート法を用いる。他の湿式成膜法のうち、例えばインクジェット塗布の場合は、目詰まりの原因になり、また、フレキソ印刷では転写不良といった問題が発生し、歩留まりに課題があるため、ダイコート法が好ましい。また、溶液には、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
上記スペーサービーズ5は、正孔輸送層4に含まれる形で、透明電極3上に沿って配置されるように形成される。スペーサーの形状は、球状が好ましい。円柱といった柱状では、異方性があるため、塗布した際に高さが揃わず、有機EL照明パネルが屈曲されたとき、電極間の間隔を維持することが困難となるが、球状のスペーサービーズでは、電極間を等間隔に維持することができる。
スペーサービーズ5の断面積は、電極間の接触を抑制するスペーサーの機能として、断面積は大きいほど良いが、スペーサービーズは視覚上発光しない部分として認識されるのを回避するために、小さい程よいことを勘案して選択することが好ましい。スペーサービーズ5の大きさは、スペーサービーズ5の体積を球体に換算したとき、平均直径が1μm以上5μm未満であることが好ましく、より好ましくは、平均直径が1.5μm以上、3μm以下の範囲である。スペーサービーズ5の平均直径が5μm以上の場合、視覚上認識されやすい傾向が高く、平均直径が1μm未満の場合は、電極間の接触を抑制することが困難となる。図1では、スペーサービーズ5の直径が有機発光媒体層11の厚さよりも厚い場合を例示している。
複数のスペーサーを設ける密度としては、電極同士が非接触を保ち、且つ、有機層の発光面積を広く維持するため、透明電極3の厚さ方向からみたとき、透明電極3の面に沿って500個/cm以上、5000個/cm以下であるであることが好ましく、より好ましくは、1000個/cm以上、3000個/cm以下である。スペーサーの密度が上記範囲であれば、有機EL照明パネルが屈曲された場合でも、電極の間隔を維持し、有機層や電極層に欠損が生じるのを抑制することができる。
有機発光層6を形成する有機発光材料は、例えばクマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系などの発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
上述した高分子材料に加え、有機発光層6を形成する有機発光材料は、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノー8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(パラ−トシル)アミノキノリン]亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレンなどの低分子系発光材料も使用できる。
また上記低分子系発光材料に加え、有機発光層6を形成する燐光性化合物として、燐光量子収率が高く、発光素子の外部量子効率をより向上させることができるという点で、重原子を含む有機金属錯体を用いることもできる。イリジウムをはじめ、白金、レニウム、ルテニウム、オスミウム等の金属錯体があるが、イリジウム錯体が特に好ましい。これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものもあげられる。より具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトネート)(btpIr(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウム、イリジウム(III)トリス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン)(Ir(FPPy))があげられる。
さらに、公知の熱活性化遅延蛍光を示す物質を用いることもできる。熱活性化遅延蛍光を示す物質としては、例えば、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。
また、熱活性化遅延蛍光を示す物質としては、以下の構造式に示される2−(ビフェニル−4−イル)−4,6−ビス(12−フェニルインドロ[2,3−a]カルバゾール−11−イル)−1,3,5−トリアジン(略称:PIC−TRZ)、4,5−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)フタロニトリル(略称:2CzPN)等のπ過剰系複素芳香環及びπ欠如系複素芳香環を有する複素環化合物を用いることができる。該複素環化合物は、π過剰系複素芳香環及びπ欠如系複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が高く、好ましい。なお、π過剰系複素芳香環とπ欠如系複素芳香環とが直接結合した物質は、π過剰系複素芳香環のドナー性とπ欠如系複素芳香環のアクセプター性が共に強くなり、一重項励起状態と三重項励起状態のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。
これらの有機発光材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光インキ化させても良い。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、例えば、アルコール系やグリセリン系など、OH基を有する溶媒を用いることができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリンなどが挙げられる。また、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの溶媒が上げられる。中でもトルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶媒が有機発光材料の溶解性の面から好適である。溶媒は、単一系の溶媒であってもよいし、多種類の溶媒を混合してもよい。複数の極性溶媒を混ぜた混合溶媒でも良いし、極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒であってもよい。また、有機発光インキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
発光層6は、用いる材料に応じて、用いる材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの真空蒸着法を用いることができる。また、ダイコート法、スプレーコート法、凸版印刷法、凸版反転オフセット印刷法、インクジェット法、ノズルプリント法、グラビア印刷法などの湿式法を用いて付着させ、その後乾燥させることで形成することもできる。なお、それぞれの発光層6の膜厚は、10nm以上100nm以下の範囲であればよい。上記膜厚の範囲外となった場合、発光効率が低下する傾向にある。
電子輸送層7に用いられる電子輸送材料としては、2−(4−ビフィニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物、等を用いることができる。また、これらの電子輸送材料に、ナトリウムやバリウム、リチウムといった仕事関数が低いアルカリ金属、アルカリ土類金属を少量ドープすることにより、電子注入層としてもよい。
これら電子輸送材料は溶媒に溶解または安定に分散させインキ化させても良い。電子輸送材料は溶媒に溶解または安定に分散する溶媒としては、例えば、アルコール系やグリセリン系など、OH基を有する溶媒を用いることができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリンなどが挙げられる。これらと水との混合溶液でも良い。溶媒は、単一系の溶媒であってもよいし、多種類の溶媒を混合してもよい。複数の極性溶媒を混ぜた混合溶媒でも良いし、極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒であってもよい。また、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
電子輸送層7の形成方法としては、用いる材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの真空蒸着法を用いることができる。また、ダイコート法、スプレーコート法、凸版印刷法、凸版反転オフセット印刷法、インクジェット法、ノズルプリント法、グラビア印刷法などの湿式法を用いて付着させ、その後乾燥させることで形成することもできる。
有機発光媒体層11の上に、対向電極8が形成される。
対向電極8を陰極とする場合には有機発光媒体層への電子注入効率の高い、仕事関数の低い物質を用いる。具体的には、Mg,Al,Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体と接する界面にLiや酸化Li,LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いたりしてもよい。または、電子注入効率と安定性を両立させるため、仕事関数が低いLi,Mg,Ca,Sr,La,Ce,Er,Eu,Sc,Y,Yb等の金属1種以上と、安定なAg,Al,Cu等の金属元素との合金系を用いてもよい。
対向電極8の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。対向電極の厚さに特に制限はないが、10nm以上1000nm以下が望ましい。
ここで、有機EL素子の電力効率及び寿命の観点から、透明電極3と対向電極8の間に電荷発生層(中間層)を導入してもよい。
電荷発生層は、異なる2種類の物質の積層体又は混合層からなり、該2種類の物質間で酸化還元反応によってラジカルカチオンとラジカルアニオンからなる電荷移動錯体が形成しており、該電荷移動錯体中のラジカルカチオン状態(ホール)とラジカルアニオン状態(電子)が、電圧印加時にそれぞれ陰極方向と陽極方向へ移動することにより、上記電荷発生層の陰極側に接する発光ユニットへホールを注入し、電荷発生層の陽極側に接する発光ユニットへ電子を注入するのが好適である。
電荷発生層に用いられる材料としては、例えばAg、Au、Al等の金属薄膜、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化レニウム、酸化タングステン等の金属酸化物、ITO、IZO、AZO、GZO、ATO、SnO等の透明導電膜、いわゆるn型半導体とp型半導体の積層体、金属薄膜もしくは透明導電膜とn型半導体及び/またはp型半導体との積層体、n型半導体とp型半導体の混合物、n型半導体及び/またはp型半導体と金属との混合物、などを挙げることができる。n型半導体やp型半導体としては、無機材料であっても、有機材料であってもよく、あるいは有機材料と金属との混合物や、有機材料と金属酸化物や、有機材料と有機系アクセプタ/ドナー材料や、無機系アクセプタ/ドナー材料等の組合わせによって得られるものであってもよく、特に制限されることなく必要に応じて選定して使用することができる。
有機発光材料は大気中の水分や酸素によって容易に劣化してしまうため有機発光媒体層11を外部と遮断するための封止材を設ける。封止材は、本実施形態では封止基板10と樹脂バッファー層9とからなる。
封止基板10としては、耐湿性フィルムの例として、プラスチック基材の両面にSiOxをCVD法で形成したフィルムや、透過性の小さいフィルムと吸水性のあるフィルムまたは吸水剤を塗布した重合体フィルムなどがあり、耐湿性フィルムの水蒸気透過率は、10−6g/m2/day以下であることが好ましい。
樹脂バッファー層9の材料の一例として、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂などからなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂や、エチレンエチルアクリレート(EEA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物などの熱可塑性接着性樹脂を挙げることができる。
樹脂バッファー層9の形成方法の一例として、溶剤溶液法、押出ラミ法、溶融・ホットメルト法、カレンダー法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法などを挙げることができる。必要に応じて吸湿性や吸酸素性を有する材料を含有させることもできる。封止材上に形成する樹脂層の厚さは、封止する有機EL素子の大きさや形状により任意に決定されるが、5μm以上500μm以下が望ましい。
有機EL素子と封止基板10との貼り合わせは封止室で行う。封止材を、封止基板10と樹脂バッファー層9の2層構造とし、樹脂バッファー層9に熱可塑性樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着のみ行うことが好ましい。樹脂バッファー層9に熱硬化型接着樹脂や光硬化性接着性樹脂を使用した場合は、ロール圧着や平板圧着した状態で、光もしくは加熱硬化を行うことが好ましい。
次に、対向電極8と封止材との間に、例えば対向電極上にパッシベーション層を形成してもよい。パッシベーション層の材料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化炭素などの金属窒化物、酸窒化珪素などの金属酸窒化物、炭化ケイ素などの金属炭化物、必要に応じて、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子樹脂膜との積層膜を用いてもよい。特に、バリア性と透明性の面から、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiO)を用いることが好ましく、さらには、成膜条件により、膜密度を可変した積層膜や勾配膜を使用してもよい。
パッシベーション層の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法を用いることができるが、特に、バリア性や透光性、フレキシブル性の面でCVD法を用いることが好ましい。CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法、VUV−CVD法などを用いることができる。
また、CVD法における反応ガスとしては、モノシランや、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)やテトラエトキシシランなどの有機シリコーン化合物に、N、O、NH、H、NOなどのガスを必要に応じて添加してもよく、例えば、シランの流量を変えることにより膜の密度を変化させてもよく、使用する反応性ガスにより膜中に水素や炭素が含有させることもできる。パッシベーション層の膜厚としては、要求されるバリア特性などにより異なるが、1μm以上5μm以下程度が一般的に用いられている。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
<実施例1>
次に、以上のような構成の有機EL素子1を製造する方法の概略を説明する。
まず、プラスチックフィルム基材2として16μmPETフィルム上にCVD法にて酸窒化シリコン層を130nm、その上に窒化シリコン層を70nm、さらにその上に酸窒化シリコン層を800nm積層して総膜厚1μmの無機化合物からなるバリア層を形成した。
次に、無機化合物からなるバリア層上に透明電極3として3,4ポリエチレンジオキシチオフェン―ポリスチレンスルフォン酸の濃度1.0%とした水分散液をスピンコート法で一様に塗布し、これを160℃30分間乾燥させることによって厚さ100nmで形成した。透明電極上に有機発光媒体層11の正孔輸送材料としてポリアリーレン誘導体を用い、これをキシレンに溶解させて濃度を3.0質量%とした溶液を作成し、該溶液に平均直径1μmからなる複数のスペーサービーズ5を分散させた。得られた溶液を図2に示すダイコート方式の塗布装置を用いて、スペーサービーズ5を含む塗布液を図3に示すように透明電極3上に一様に塗布した。
図2に示す塗布装置は、塗布液タンク30に収納した塗布液を、配管26を介して塗布ヘッド21に供給し、塗布ヘッド21のスリット25から透明電極3の上に塗布される。この塗布の際に、塗布ヘッド21は相対的に透明電極3の面に沿って移動する。配管26には、その途中に、フィルタ29、定量ポンプ28,バルブ27が設けられて、塗布量等が調整可能となっている。塗布ヘッド21は、フロントリップ22とリアリップ23とで、塗布液が流通するマニホールド24が形成されている。塗布装置は、攪拌装置が有することが好ましい。
塗布した塗布液を160℃30分間乾燥させることによって厚さ300nmで正孔輸送層を形成した。スペーサービーズ5の密度は、透明電極3の面に対し約1000個/cmとなっていた。
正孔輸送層4上に形成する発光層6には緑色発光体を用いた。緑色有機発光層のホスト材料にはTPBi、ドープ材料にはトリス(2−(p−トリル)ピリジン)イリジウムIII(Ir(mppy))を用いて質量比率をTPBi/Ir(mppy)=0.94/0.06にて濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキを用いた。このとき乾燥後の有機発光層の膜厚は100nmとなった。
さらに、発光層6上に、真空蒸着法により、電子輸送層7としてAlq3を成膜速度0.01nm/secとして、厚さ300nmを形成した。その後、対向電極8として、LiF/Al=0.5nm/150nmを蒸着により形成した。その後、封止基板10を接着し有機EL素子1を得た。
このように得られた有機EL素子1の表示部の周辺部においては、透明電極側の取り出し電極と、対向電極側の取り出し電極とが設けられている。これら取り出し電極を電源に接続し、有機EL素子を点灯かつ表示させ、点灯状態及び表示状態を確認した。得られた有機EL素子1を駆動し、表示確認を行ったところ、高効率であり発光状態は良好であった。
有機EL素子の中心に対し左右辺をそれぞれ60度曲げ、これを100回反復する屈曲試験を行い、その後点灯させた。試験を行った試験体中、総ての試験体が点灯した。
<比較例1>
スペーサービーズ5を設けない他は、上記実施例と同一の方法で有機EL素子を作製し、屈曲試験を行った。屈曲試験において、試験を行った試験体中、8つの試験体が点灯しなかった。
この結果から、スペーサービーズ5を設けない有機EL素子においては、ショートやリークが発生するおそれがあるのに対し、本発明の有機EL素子は、屈曲により有機層や電極層における損傷の発生が抑制されることが分かった。
<比較例2>
スペーサービーズ5として平均直径6μmのスペーサービーズを分散させる以外は、上記実施例と同一の方法で有機EL素子を作製したところ、正孔輸送層をダイコート法で一様に塗布することができなかった。有機EL素子1を駆動し、表示確認を行ったところ、発光ムラが発生した。
この結果から、平均直径が5μm以上のスペーサービーズ5を用いた有機EL素子においては、塗布の際にムラが発生するのに対し、本発明の有機EL素子は、一様に塗布できることが分かった。
<比較例3>
平均直径0.5μmのスペーサービーズを分散させる以外は、上記実施例と同一の方法で有機EL素子を作製し屈曲試験を行った。屈曲試験において、試験を行った試験体中、6つの試験体が点灯しなかった。
この結果から、平均直径が1μmより小さいスペーサービーズを用いた有機EL素子においては、ショートやリークが発生するのに対し、本発明の有機EL素子は、屈曲により有機層や電極層における損傷の発生が抑制されることが分かった。
<比較例4>
スペーサービーズを設ける密度を400個/cmとする以外は、上記実施例と同一の方法で有機EL素子を作製し屈曲試験を行った。屈曲試験において、試験を行った試験体中、2つの試験体が点灯しなかった。
この結果から、スペーサービーズを設ける密度が500個/cmより小さい有機EL素子においては、ショートやリークが発生するのに対し、本発明の有機EL素子は、屈曲により有機層や電極層における損傷の発生が抑制されることが分かった。
本発明は、歩留まり向上と低コスト化を可能にし、ショートやリークの発生を防ぎ、素子の耐久性を向上させた有機EL素子の製造方法の提供において、有用である。
1…有機EL素子
2…プラスチックフィルム基材
3…透明電極
4…正孔輸送層
5…スペーサービーズ
6…発光層
7…電子輸送層
8…対向電極
9…樹脂バッファー層
10…封止基板
11…有機発光媒体層
21…塗布ヘッド
22…フロントリップ
23…リアリップ
24…マニホールド
25…スリット
26…配管
27…バルブ
28…定量ポンプ
29…フィルタ
30…塗布液タンク
31…搬送ステージ

Claims (2)

  1. プラスチックフィルム基材上に、透明電極と、複数のスペーサービーズ及び正孔輸送層を含む有機発光媒体層と、対向電極と、封止基板とがこの順に設けられた有機EL素子の製造方法であって、
    正孔輸送材料を含み且つ上記複数のスペーサービーズが分散された溶液を、ダイコート印刷にて、上記透明電極上に塗布する工程を含み、
    上記透明電極の面上に沿って配置するようにして、複数のスペーサービーズが上記対向電極側から突出するように上記有機発光媒体層に埋設され、
    上記対向電極が、上記有機発光媒体層及び上記複数のスペーサービーズの突出部に接触して、上記有機発光媒体層及び上記複数のスペーサービーズの突出部を連続的に覆うように上記有機発光媒体層上に形成され、
    上記スペーサービーズの体積を球体に換算したときに、上記スペーサービーズの平均直径は1μm以上5μm未満であり、
    上記透明電極の厚さ方向からみて、上記透明電極上に位置する上記スペーサービーズの密度を、500個/cm以上、5000個/cm以下とすることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. プラスチックフィルム基材上に、透明電極と、有機発光媒体層と、対向電極と、封止基板とがこの順に設けられ、
    上記透明電極の面上に沿って配置するようにして、複数のスペーサービーズが上記対向電極側から突出するように上記有機発光媒体層に埋設され、
    上記対向電極が、上記有機発光媒体層及び上記複数のスペーサービーズの突出部に接触して、上記有機発光媒体層及び上記複数のスペーサービーズの突出部を連続的に覆うように上記有機発光媒体層上に形成され、
    上記スペーサービーズの体積を球体に換算したときに、上記スペーサービーズの平均直径は1μm以上5μm未満であり、
    上記透明電極の厚さ方向からみて、上記透明電極上に位置する上記スペーサービーズの密度は、500個/cm以上、5000個/cm以下であることを特徴とする有機EL素子。
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