JP2009164032A - 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法、有機エレクトロルミネッセンス照明装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】帯状の可撓性樹脂フィルムの上に、第1電極、少なくとも1層の有機機能層、第2電極、封止層を有し構成される有機エレクトロルミネッセンスパネルをロールツーロール方式で製造する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記有機機能層は前記電極の上全面に有機機能層形成用塗布液を塗布し、有機機能層を形成した後、前記有機機能層の不要領域に対して前記有機機能層に溶解性を示す良溶媒をパターン塗布した後、前記有機機能層を溶解しない貧溶媒で処理し除去することで、パターン化し形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【選択図】図4
Description
1)撥液部を発光部を形成する全ての部分に形成しなければならず、帯状の可撓性基板上に複数の有機EL素子を形成する場合は、極めて生産効率が低下する。
2)不要とする有機層を溶剤により拭き取り除去するとあるが、帯状の可撓性基板上に複数の有機EL素子を形成した場合、全ての有機EL素子に付いて不要とする有機層の均一な除去は困難と考えられ、性能にバラツキが発生する危険がある。
1)有機材料層の不要部分に有機材料層が溶解する流体を吹き付けるため、吹き付けた流体の飛沫が有機材料層の必要部分に付着することで有機材料層が溶け膜厚が不均一になり、性能にバラツキが発生する危険がある。
2)有機材料層に吹き付けた流体が飛散しない様にすると、流体の塗布速度が遅くなり、生産効率が低下する。
3)吹き付けた流体の除去が完全に行われない場合、本来必要とする有機材料層の領域まで溶解して発光領域にバラツキが生じるため、流体の除去に時間が掛かり生産効率が低下する。
4)特に基板が広幅帯状の可撓性支持体で、複数の有機EL素子を連続的に生産する場合は、有機層の均一な除去に時間を要し、生産効率が低下する。
1)帯状の可撓性基材の上に形成された複数の第1電極の上にパターン塗布により正孔輸送層、発光層を順次積層して行くため、塗布に時間が掛かり更なる生産効率を上げることが困難である。
2)パターン塗布を行う場合は塗布膜が不連続になるため、塗布領域毎に塗布端を有する事になる。その結果、各々の塗布領域の中央と端部で溶媒蒸気濃度差に起因した蒸発速度差により塗布液流動が生じ、乾燥ムラと呼ばれる膜厚の不均一性を誘発してしまう。
(2)陽極(第1電極)/発光層/電子輸送層/陰極(第2電極)
(3)陽極(第1電極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極(第2電極)
(4)陽極(第1電極)/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファ層(電子注入層)/陰極(第2電極)
(5)陽極(第1電極)/陽極バッファ層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファ層(電子注入層)/陰極(第2電極)
有機ELパネルを構成している各層については後に説明する。
1.各層の形成が容易になり、ロールツーロール方式での生産効率の向上が可能となった。
2.パターン方式の際に課題であった各塗布領域の中央部と端部の膜厚分布の不均一性の改善が可能となった。
3.物理的な剥離を行わないため、剥離の際に生じるパーティクルが抑制され、ピンホール欠陥などの歩留まりの向上が可能になった。
帯状の可撓性基材としては樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
樹脂フィルムを使用する場合、樹脂フィルムの表面にはガスバリア膜が必要に応じて形成されることが好ましい。ガスバリア膜としては無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。ガスバリア膜の特性としては、水蒸気透過度が0.01g/m2/day以下であることが好ましい。更には、酸素透過度0.1ml/m2・day・MPa以下、水蒸気透過度10-5g/m2/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
第1電極(陽極)としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。この様な電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。又、IDIXO(In2O3・ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。或いは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いることも可能である。第1電極(陽極)はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この第1電極(陽極)より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、又第1電極(陽極)としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
第1電極と発光層又は正孔輸送層の間、正孔注入層(陽極バッファ層)を存在させてもよい。正孔注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機ELパネルとその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123−166頁)に詳細に記載されている。陽極バッファ層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファ層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファ層、アモルファスカーボンバッファ層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファ層等が挙げられる。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることが出来る。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
発光層とは青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を指す。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、又各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。本発明においては、少なくとも1つの青発光層が、全発光層中最も陽極に近い位置に設けられていることが好ましい。又、発光層を4層以上設ける場合には、陽極に近い順から、例えば青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層/赤色発光層のように青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を順に積層することが、輝度安定性を高める上で好ましい。発光層を多層にすることで白色素子の作製が可能である。
ホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、尚且つ高Tg(ガラス転移温度)である材料が好ましい。公知のホスト材料としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報、同2007−59119号公報、同2007−251096号公報、同2007−250501号公報等に記載の化合物が挙げられる。
ドーパント材料(リン光性化合物(リン光発光性化合物))とは、励起三重項からの発光が観測される材料であり、室温(25℃)にてリン光発光する材料であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の材料である。先に説明したホスト材料と合わせ使用することで、より発光効率の高い有機EL素子とすることが出来る。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層又は複数層設けることが出来る。
陰極バッファ層(電子注入層)とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。陰極バッファ層(電子注入層)とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機ELパネルとその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。陰極バッファ層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファ層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファ層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファ層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファ層等が挙げられる。上記バッファ層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
第2電極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することが出来る。又、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機ELパネルの第1電極(陽極)又は第2電極(陰極)の何れか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
封止剤としては、液状封止剤と熱可塑性樹脂とが挙げられる。液状封止剤としては、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型封止剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の封止剤、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(二液混合)等の封止剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂封止剤等を挙げることが出来る。液状封止剤には必要に応じてフィラーを添加することが好ましい。フィラーの添加量としては、接着力を考慮し、5〜70体積%が好ましい。又、添加するフィラーの大きさは、接着力、貼合圧着後の封止剤厚み等を考慮し、1μm〜100μmが好ましい。添加するフィラーの種類としては特に限定はなく、例えばソーダガラス、無アルカリガラス或いはシリカ、二酸化チタン、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアや酸化タングステン等の金属酸化物等が挙げられる。
可撓性封止部材としてはポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの可撓性樹脂フィルムからなる支持体へ蒸着法やコーティング法でバリア層を形成した材料又はバリア層として金属箔を用いた材料が挙げられる。バリア層としては例えばIn、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物を蒸着した材料が挙げられる。又、金属箔の材料としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料や、ステンレス、アルミニウム合金などの合金材料を用いることが出来るが、加工性やコストの面でアルミニウムが好ましい。膜厚は、1〜100μm程度、好ましくは10μm〜50μm程度が望ましい。又、製造時の取り扱いを容易にするために、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのフィルムを予めラミネートしておいてもよい。可撓性封止部材に樹脂フィルムを使用する場合、液状封止剤と接触する側に熱可塑性接着性樹脂層を有することが好ましい。
〈帯状の可撓性基材の準備〉
厚さ100μm、幅200mm、長さ500mのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人・デュポン社製フィルム、以下、PETと略記する)を準備した。尚、帯状の可撓性基材には、予め第1電極を形成する位置を示すためにアライメントマークを第1電極が形成される面及び反対の面の同じ位置に設けた。
図3に示す装置を使用し、準備したPETのアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従って上に5×10-1Paの真空環境条件で厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタリング法により、マスクパターン成膜を行い、取り出し電極を有する10mm×10mmの大きさの第1電極を一定間隔で12列で連続的に形成し一旦巻き取り1時間保管した。
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノール5%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として準備した。正孔輸送層形成用塗布液の表面張力は40mN/m(協和界面化学社製:表面張力計CBVP−A3)であった。
図4に示す装置を使用し、準備された第1電極が形成されたロール状のPETを帯電除去処理した後、PETの上全面(但し、両端の10mmは除く)に、正孔輸送層形成用塗布液をエクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により乾燥後の厚みが30nmになるように以下に示す条件で塗布した。塗布後、乾燥部で以下に示す条件により乾燥・加熱処理を行い正孔輸送層を形成した。尚、搬送速度は、3m/分とした。搬送速度は、三菱電機(株)製 レーザドップラ速度計LV203で測定した。
正孔輸送層形成用塗布液の塗布条件としては、正孔輸送層形成用塗布液の塗布時の温度は25℃、露点温度−20℃以下のN2ガス環境の大気圧下で、且つ清浄度クラス5以下(JIS B 9920)で行った。
正孔輸送層形成用塗膜の乾燥及び加熱処理条件としては、正孔輸送層形成用塗布液を塗布した後、図4示す乾燥装置及び加熱処理装置を使用し、乾燥装置ではスリットノズル形式の吐出口から成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度120℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置により温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。
図7に示すフローに従って、PETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従ってPETの上に形成された正孔輸送層の上に、第1電極の取り出し電極部分の上及び第1電極の周囲の不要の部分に、正孔輸送層に対して良溶媒である純水をインクジェットにより湿潤膜厚で5μmになるように温度25℃で塗布した。引き続き、正孔輸送層に対して貧溶媒であるトルエンを(b.p.110℃)を使用し、図6(a)に示すリンス方式で処理し良溶媒及び良溶媒により溶解された正孔輸送層を除去し、乾燥装置で乾燥し正孔輸送層をパターン化した後一旦巻き取り1時間保管した。尚、貧溶媒の供給量は500ml/min、温度25℃で行った。
ジカルバゾール誘導体(CBP) 1.00質量%
イリジウム錯体(Ir(ppy)3) 0.05質量%
トルエン 98.95質量%
発光層形成用塗布液の表面張力は25℃で28mN/m(協和界面化学社製:表面張力計CBVP−A3を使用)であった。
準備された正孔輸送層が形成されたロール状のPETを帯電除去処理した後、PETの上全面(但し、両端の10mmは除く)に、発光層形成用塗布液を温度25℃でエクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により乾燥膜厚が50nmになるように塗布した。塗布後、乾燥部で乾燥・加熱処理を行い発光層を形成した。尚、搬送速度は、3m/分とした。搬送速度は、三菱電機(株)製 レーザドップラ速度計LV203で測定した。
発光層の塗布条件としては、発光層形成用塗布液の塗布時の温度は25℃、露点温度−20℃以下のN2ガス環境の大気圧下で、且つ清浄度クラス5以下(JIS B 9920)で行った。
発光層形成用塗膜の乾燥及び加熱処理条件としては、発光層形成用塗布液を塗布した後、図4示す正孔輸送層塗膜の乾燥及び加熱処理に使用した乾燥装置及び加熱処理装置と同じ装置を使用し、乾燥装置ではスリットノズル形式の吐出口から成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置により温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、発光層を形成した。
図7に示すフローに従ってPETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従ってPETの上に形成された発光層の上に、第1電極の取り出し電極部分の上及び正孔輸送層の周囲の不要の部分に、発光層に対して良溶媒であるトルエンをインクジェットにより湿潤膜厚で5μmになるように温度25℃で塗布した。引き続き、発光層に対して貧溶媒であるアセトニトリルを(b.p.82℃)を使用し、図6(a)に示すリンス方式で処理し良溶媒及び良溶媒により溶解された発光層を除去し、乾燥装置で乾燥し発光層をパターン化した後、一旦巻き取り1時間保管した。尚、貧溶媒の供給量は500ml/min、温度25℃で行った。
2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD) 1質量%
乳酸エチル 99質量%
電子輸送層形成用塗布液の表面張力は25℃で29mN/m(協和界面化学社製:表面張力計CBVP−A3を使用)であった。
準備された発光層が形成されたロール状のPETを帯電除去処理した後、PETの上全面(但し、両端の10mmは除く)に、電子輸送層形成用塗布液を温度25℃でエクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により乾燥膜厚が30nmになるように塗布した。塗布後、乾燥部で乾燥・加熱処理を行い電子輸送層を形成した。尚、搬送速度は、3m/分とした。搬送速度は、三菱電機(株)製 レーザドップラ速度計LV203で測定した。
電子輸送層の塗布条件としては、電子輸送層形成用塗布液の塗布時の温度は25℃、露点温度−20℃以下のN2ガス環境の大気圧下で、且つ清浄度クラス5以下(JIS B 9920)で行った。
電子輸送層形成用塗膜の乾燥及び加熱処理条件としては、電子輸送層形成用塗布液を塗布した後、図4示す正孔輸送層塗膜の乾燥及び加熱処理に使用した乾燥装置及び加熱処理装置と同じ装置を使用し、乾燥装置ではスリットノズル形式の吐出口から成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度150℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置により温度100℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、電子輸送層を形成した。
図7に示すフローに従って、PETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従ってPETの上に形成された電子輸送層の上に、第1電極の取り出し電極部分の上及び発光層の周囲の不要の部分に、電子輸送層に対して良溶媒である乳酸エチルをインクジェットにより湿潤膜厚で5μmになるように温度25℃で塗布した。引き続き、電子輸送層に対して貧溶媒であるアセトニトリルを(b.p.82℃)を使用し、図6(a)に示すリンス方式で処理し良溶媒及び良溶媒により溶解された発光層を除去し、乾燥装置で乾燥し電子輸送層をパターン化した後、一旦巻き取り1時間保管した。尚、貧溶媒の供給量は500ml/min、温度25℃で行った。
図5に示される工程を使用し、以下に示す条件で電子輸送層の上に順次陰極バッファ層(電子注入層)、第2電極、封止層を形成し、断裁し有機ELパネルを作製し試料No.101とした。
準備されたパターン化された電子輸送層が形成されたロール状のPETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従って電子輸送層の上及び第1電極の取り出し電極を除いた周辺とに、蒸着装置で5×10-4Paの真空環境条件にて陰極バッファ層(電子注入層)層形成材料としてLiFを用い、蒸着法にてマスクパターン成膜し、厚さ0.5nmの陰極バッファ層(電子注入層)を積層した。
引き続き、PETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従って形成された陰極バッファ層(電子注入層)の上に第1電極の大きさに合わせ5×10-4Paの真空下にて第2電極形成材料としてアルミニウムを使用し、取り出し電極を有するように蒸着法にてマスクパターン成膜し、厚さ100nmの第2電極を積層し有機EL素子を作製した。
作製した有機EL素子のPETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従って第1電極及び第2電極の引き出し電極の端部を除いて発光領域及び発光領域の周辺に紫外線硬化型の液状接着剤(エポキシ樹脂系)を使用し、厚さ30μmで塗設した。
この後、以下に示す帯状シート封止部材を準備した有機EL素子の接着剤塗設面にロールラミネータ法により積重し、大気圧環境化にて押圧0.1MPaでロール圧着した後、波長365nmの高圧水銀ランプを、照射強度5〜20mW/cm2、距離5〜15mmで1分間照射し固着させ貼合し、複数の有機ELパネルが連続的に繋がった状態とした。
封止部材として、PETフィルム(帝人・デュポン社製)を使用し、無機膜(SiN)をバリア層に使用した2層構成の帯状シート封止部材を準備した。PETの厚さ100μm、バリア層の厚さ200nmとした。尚、PETフィルムのバリア層の成膜はスパッタリング法により実施した。JIS K−7129B法(1992年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した水蒸気透過度は0.01g/m2・dayであった。JIS K7126B法(1987年)に準拠した方法で主としてMOCON法により測定した酸素透過度は0.1ml/m2・day・MPaであった。
準備した複数の有機ELパネルが連続的に繋がった状態のものを個別の有機ELパネルの大きさにPETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従って断裁した。
〈帯状の可撓性基材の準備〉
試料No.101と同じPETを準備した。
試料No.101と同じ条件で第1電極を形成し一旦巻き取り1時間保管した。
試料No.101と同じ正孔輸送層形成用塗布液を準備した。
準備された第1電極が形成されたロール状のPETを帯電除去処理した後、PETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従って正孔輸送層形成用塗布液をインクジェットを使用し乾燥膜厚が30nmになるように第1電極の上と第1電極の取り出し電極形成部を除いて第1電極の周辺に以下に示す条件でパターン塗布した。塗布後、乾燥部で以下に示す条件により乾燥・加熱処理を行い正孔輸送層を形成し一旦巻き取り1時間保管した。尚、搬送速度は、パターン塗布の安定性確保のために、1m/分とした。搬送速度は、三菱電機(株)製 レーザドップラ速度計LV203で測定した。帯電除去処理は試料No.101と同じ条件で行った。
正孔輸送層形成用塗布液の塗布条件としては、試料No.101と同じ条件で行った。
正孔輸送層形成用塗膜の乾燥及び加熱処理条件としては、試料No.101と同じ条件で行った。
試料No.101と同じ発光層形成用塗布液を準備した。
準備された正孔輸送層が形成されたロール状のPETを帯電除去処理した後、PETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従ってPETの上に発光層形成用塗布液をインクジェットを使用し乾燥膜厚が50nmになるように正孔輸送層の上と第1電極の取り出し電極形成部を除いて正孔輸送層の周辺に以下に示す条件でパターン塗布した。塗布後、乾燥部で以下に示す条件により乾燥・加熱処理を行い発光層を形成し一旦巻き取り1時間保管した。尚、搬送速度は、パターン塗布の安定性確保のために、1m/分とした。搬送速度は、三菱電機(株)製 レーザドップラ速度計LV203で測定した。帯電除去処理は試料No.101と同じ条件で行った。
発光層形成用塗布液の塗布条件としては、試料No.101と同じ条件で行った。
発光層形成用塗膜の乾燥及び加熱処理条件としては、試料No.101と同じ条件で行った。
準備された発光層が形成されたロール状のPETを帯電除去処理した後、PETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従ってPETの上に電子輸送層形成用塗布液をインクジェットを使用し乾燥膜厚が30nmになるように発光層の上と第1電極の取り出し電極形成部を除いて発光層の周辺に以下に示す条件でパターン塗布した。塗布後、乾燥部で以下に示す条件により乾燥・加熱処理を行い発光層を形成し一旦巻き取り1時間保管した。尚、搬送速度は、パターン塗布の安定性確保のために、1m/分とした。搬送速度は、三菱電機(株)製 レーザドップラ速度計LV203で測定した。帯電除去処理は試料No.101と同じ条件で行った。
電子輸送層形成用塗布液の塗布条件としては、試料No.101と同じ条件で行った。
電子輸送形成用塗膜の乾燥及び加熱処理条件としては、試料No.101と同じ条件で行った。
図5に示される工程を使用し、試料No.101と同じ条件で電子輸送層の上に順次陰極バッファ層(電子注入層)、第2電極、封止層を形成し、断裁し有機ELパネルを作製し比較試料No.102とした。
〈帯状の可撓性基材の準備〉
試料No.101と同じPETを準備した。
試料No.101と同じ条件で第1電極を形成し一旦巻き取り1時間保管した。
試料No.101と同じ正孔輸送層形成用塗布液を準備した。
試料No.101と同じ条件で正孔輸送層形成用塗布液をPETの上全面(但し、両端の10mmは除く)にエクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により乾燥膜厚が30nmになるように塗布した。塗布後、試料No.101と同じ条件で乾燥・加熱処理を行い正孔輸送層を形成した。尚、搬送速度は、3m/分とした。
PETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従ってPETの上に形成された正孔輸送層の上に、第1電極の取り出し電極部分の上及び第1電極の周囲の不要の部分に、正孔輸送層に対して良溶媒である純水をインクジェットにより湿潤膜厚が5μmになるように温度25℃で塗布した。引き続き、塗布した良溶媒及び良溶媒により溶解された正孔輸送層をふき取りロールワイパーにより除去し、乾燥装置で乾燥し正孔輸送層をパターン化した後一旦巻き取り1時間保管した。
試料No.101と同じ発光層形成用塗布液を準備した。
試料No.101と同じ条件で発光層形成用塗布液をPETの上全面(但し、両端の10mmは除く)にエクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により乾燥膜厚が50nmになるように塗布した。塗布後、試料No.101と同じ条件で乾燥・加熱処理を行い正孔輸送層を形成した。尚、搬送速度は、3m/分とした。
PETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従ってPETの上に形成された発光層の上に、第1電極の取り出し電極部分の上及び正孔輸送層の周囲の不要の部分に、発光層に対して良溶媒であるトルエンをインクジェットにより湿潤膜厚が5μmになるように温度25℃で塗布した。引き続き、塗布した良溶媒及び良溶媒により溶解された発光層をふき取りロールワイパーにより除去し、乾燥装置で乾燥し発光層をパターン化した後一旦巻き取り1時間保管した。
試料No.101と同じ電子輸送層形成用塗布液を準備した。
試料No.101と同じ条件で電子輸送層形成用塗布液をPETの上全面(但し、両端の10mmは除く)にエクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により乾燥膜厚が30nmになるように塗布した。塗布後、試料No.101と同じ条件で乾燥・加熱処理を行い電子輸送層を形成した。尚、搬送速度は、3m/分とした。
PETに付けられたアライメントマークを検出し、アライメントマークの位置に従ってPETの上に形成された電子輸送層の上に、第1電極の取り出し電極部分の上及び発光層の周囲の不要の部分に、電子輸送層に対して良溶媒である乳酸エチルをインクジェットにより湿潤膜厚が5μmになるように温度25℃で塗布した。引き続き、塗布した良溶媒及び良溶媒により溶解された発光層をふき取りロールワイパーにより除去し、乾燥装置で乾燥し電子輸送層をパターン化した後一旦巻き取り1時間保管した。
図5に示される工程を使用し、試料No.101と同じ条件で電子輸送層の上に順次陰極バッファ層(電子注入層)、第2電極、封止層を形成し、断裁し有機ELパネルを作製し比較試料No.103とした。
作製した各試料No.101〜103に付き、始め5mと、終わり5mとの箇所から試料を抜き取り、生産効率、リーク電流特性、ダークスポット(スポット状の非発光部)を以下に示す試験方法により試験し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表1に示す。
幅200mm、長さ500mのPETに有機ELパネルを生産するのに要した時間を生産効率とした。
定電圧電源を用いて、逆方向の電圧(逆バイアス)を5Vを5秒間印加し、その時有機EL素子に流れる電流を測定した。サンプル10枚の発光領域について測定を行い、最大電流値をリーク電流とした。
◎:最大電流値が1×10-6A未満
○:最大電流値が1×10-6A以上、1×10-5A未満
△:最大電流値が1×10-5A以上、1×10-3A未満
×:最大電流値が1×10-3A以上
ダークスポット(スポット状の非発光部)の発生数の測定方法
定電圧電源を用いて、有機ELパネルに直流5Vを印加し、ダークスポットの有無をルーペ(倍率8倍)を用い目視にて観察した。発光領域全てにおいて測定を行い、ダークスポットの数を目視で測定した。
◎:ダークスポットの発生が全くない。
△:ダークスポット5個以上、20個未満
×:ダークスポット20個以上
101 可撓性基材
102、4 陽極(第1電極)
102a、107a、4a 取り出し電極
103、5 正孔輸送層
104 発光層
105 電子輸送層
106 陰極バッファ層(電子注入層)
107 陰極(第2電極)
108 接着剤層
109 封止部材
2 製造工程
201 供給工程
202 第1電極形成工程
202a 第1電極形成装置
203 正孔輸送層形成工程
203b 塗布部
203b1 湿式塗布機
203d パターン形成部
203d1 溶媒塗布部
203d12 溶媒塗布装置
203d2 溶媒除去部
203d21、203d22 溶媒除去装置
203d212 溶媒(貧溶媒)供給部
203d213 供給管
203d214 受け器
203d221 浸漬槽
203d222 溶媒(貧溶媒)供給管
203d223 排出管
203d3 乾燥部
204 発光層形成工程
205 電子輸送層形成工程
206 陰極バッファ層(電子注入層)形成工程
207 第2電極形成工程
208 封止工程
209 回収工程
3、3a 帯状の可撓性基材
301 ロール状の可撓性基材
Claims (4)
- 連続的に搬送される帯状の可撓性樹脂フィルムの上に、第1電極、少なくとも1層の有機機能層、第2電極、封止層を有し構成される有機エレクトロルミネッセンスパネルをロールツーロール方式で製造する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記有機機能層は前記第1電極の上全面に湿式塗布方式で有機機能層形成用塗布液を塗布し、乾燥し有機機能層を形成した後、
前記有機機能層の不要領域に対して前記有機機能層に溶解性を示す良溶媒をパターン塗布し前記不要領域を溶解し、
前記溶解した前記不要領域を前記有機機能層を溶解しない貧溶媒で処理し除去することで、パターン化し形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。 - 前記パターン塗布は液滴吐出法であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
- 前記貧溶媒による処理がリンス方式または浸漬方式であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を使用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス照明装置。
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