JP2013229258A - 有機半導体素子及びその製造方法 - Google Patents

有機半導体素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】RTR方式やRTS方式で製造する場合であっても、有機半導体層に傷が入り難く、有機半導体層を適切に形成させることのできる有機半導体素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】帯状可撓性支持体11の上に、第1の電極層12と、有機半導体層13と、第2の電極層14と、がこの順で形成された有機半導体素子10であって、前記帯状可撓性支持体11及び前記第1の電極層12の少なくとも一方に、前記帯状可撓性支持体11の長手方向に沿って少なくとも2つ形成された第1の絶縁層15と、前記長手方向に沿って前記第1の絶縁層15の間に少なくとも1つ形成された、前記第1の絶縁層15よりも高さの低い第2の絶縁層16と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、帯状可撓性支持体の上に有機半導体層を形成した有機半導体素子及びその製造方法に関する。
帯状可撓性支持体の上に有機半導体層を形成した有機半導体素子が、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子や有機薄膜太陽電池などとして用いられている。近年、これらを製造するにあたって、ロールツーロール方式(RTR方式)やロールツーシート方式(RTS方式)の適用が可能になった。ここで、RTR方式とは、ロール状に巻いた基板を送り出しながら回路などのパターンを印刷し、最後に同じくロール状に巻いた封止膜などを張り合わせて再びロールに巻き取る生産方式をいう。また、RTS方式とは、ロール状に巻いた基板を送り出しながら回路などのパターンを印刷し、同じくロール状に巻いた封止膜などを張り合わせて所定長さにカットしてシート状(枚葉)にする生産方式をいう。RTS方式やRTS方式を適用すると、製造効率が向上するため低コスト化を図ることができる。以下では、説明の便宜上、これらをまとめて単に「RTR方式」と呼ぶことがある。
これらRTR方式では、有機半導体層を形成する材料として、例えば、高流動性で低粘度である材料を用いることがあるが、こういった材料を用いる場合、帯状可撓性支持体は常に移動しているため所望の領域にパターニングすることは困難であった。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、適切な輪郭関係で、キャリア基質上に少なくとも一つの高流動性低粘性媒体を含む構造層を容易に製造可能としたコンポーネントを提供する技術が記載されている。
かかる目的を達成するため、図10及び図11に示すように、構造層の外輪郭で規定される境界層914がキャリア基質910上に備えられ、低粘性高流動性媒体920がキャリア基質910と境界層914とで形成される内部表面918に供給されるようになっている。つまり、特許文献1では、キャリア基質910上に形成された境界層914を土手として用いることで低粘性高流動性媒体920の流出を防ぎ、容易にパターニングできることが記載されている。
特表2009−540517号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術を適用してRTR方式によりこれを製造しても有機半導体層を十分に保護できず、傷が入ることがあった。
RTR方式を適用すると、製造工程上、送り出し時、搬送時、巻取り時など(以下では、説明の便宜上、これらをまとめて「巻取り時」という。)に帯状可撓性支持体の裏面と有機半導体層やこの上に形成される電極層とが接触することになる。有機半導体層や電極層(特に、有機半導体層)は強度が低いので、帯状可撓性支持体の裏面との接触により容易に傷等が入ってしまう。そのため、製品性能が著しく低下したり、歩留まりが悪くなったりしていた。これは、境界層914の高さや形成間隔を低粘性高流動性媒体920の流出を防ぐ程度としただけでは不十分であるためと考えられた。
本発明は、前記状況に鑑みてなされたものであり、RTR方式やRTS方式で製造する場合であっても、有機半導体層に傷が入り難く、有機半導体層を適切に形成させることのできる有機半導体素子及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題は、以下の構成により解決された。
1.帯状可撓性支持体の上に、第1の電極層と、有機半導体層と、第2の電極層と、がこの順で形成された有機半導体素子であって、前記帯状可撓性支持体及び前記第1の電極層の少なくとも一方に、前記帯状可撓性支持体の長手方向に沿って少なくとも2つ形成された第1の絶縁層と、前記長手方向に沿って前記第1の絶縁層の間に少なくとも1つ形成された第2の絶縁層と、を備えており、前記第2の絶縁層の高さは、前記第1の絶縁層のうち少なくとも1つの絶縁層の高さよりも低いことを特徴とする有機半導体素子。
2.前記1に記載の有機半導体素子であって、前記少なくとも2つの第1の絶縁層は、前記帯状可撓性支持体の幅手方向両端部にそれぞれ形成されていることを特徴とする有機半導体素子。
3.前記1または2に記載の有機半導体素子であって、前記第1の絶縁層の少なくとも1つは、前記第1の電極層に接触して形成されていることを特徴とする有機半導体素子。
4.前記1〜3のいずれかに記載の有機半導体素子であって、前記帯状可撓性支持体から前記第1の絶縁層の上端部までの高さH1と、2つ以上形成されているうちの最も離間した前記第1の絶縁層の間の距離Lが、3000×H1≧Lの関係を満たすことを特徴とする有機半導体素子。
5.前記1〜4のいずれかに記載の有機半導体素子であって、前記帯状可撓性支持体から前記第1の絶縁層の上端部までの高さH1と、前記帯状可撓性支持体から前記第2の絶縁層の上端部までの高さH2と、前記帯状可撓性支持体から前記有機半導体層の上端の高さH3とが、H1>H2>H3の関係を満たすことを特徴とする有機半導体素子。
6.前記1〜5のいずれかに記載の有機半導体素子であって、前記第2の絶縁層は、前記帯状可撓性支持体の表面と前記第2の絶縁層の側壁との成す角度θが鈍角乃至直角であり、頂部が切頂形状又は丸みを帯びた形状であることを特徴とする有機半導体素子。
7.前記1〜6のいずれかに記載の有機半導体素子であって、前記有機半導体層が低分子量の発光材料を含んでなる発光層を含むことを特徴とする有機半導体素子。
8.前記1〜7のいずれかに記載の有機半導体素子であって、ロールツーロール方式又はロールツーシート方式にて製造されたことを特徴とする有機半導体素子。
9.帯状可撓性支持体の上に、第1の電極層と、有機半導体層と、第2の電極層と、がこの順で形成された有機半導体素子の製造方法であって、前記帯状可撓性支持体及び前記第1の電極層の少なくとも一方に、前記帯状可撓性支持体の長手方向に沿って、少なくとも2つの第1の絶縁層と、前記帯状可撓性支持体上に、前記帯状可撓性支持体の長手方向に沿って前記少なくとも2つの第1の絶縁層の間に配置されるように、且つ前記第2の絶縁層の高さは、前記第1の絶縁層のうち少なくとも1つの絶縁層の高さよりも低くなるように形成する絶縁層形成工程を含むことを特徴とする有機半導体素子製造方法。
10.前記9に記載の有機半導体素子製造方法であって、前記少なくとも2つの第1の絶縁層を、前記帯状可撓性支持体の幅手方向両端部にそれぞれ形成することを特徴とする有機半導体素子製造方法。
11.前記9または10に記載の有機半導体素子製造方法であって、前記第1の絶縁層の少なくとも1つを、前記第1の電極層に接触して形成することを特徴とする有機半導体素子製造方法。
12.前記9〜11のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、前記帯状可撓性支持体から前記第1の絶縁層の上端部までの高さH1と、2つ以上形成されているうちの最も離間した前記第1の絶縁層の間の距離Lが、3000×H1≧Lの関係を満たすことを特徴とする有機半導体素子製造方法。
13.前記9〜12のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、前記帯状可撓性支持体から前記第1の絶縁層の上端部までの高さH1と、前記帯状可撓性支持体から前記第2の絶縁層の上端部までの高さH2と、前記帯状可撓性支持体から前記有機半導体層の上端の高さH3とが、H1>H2>H3の関係を満たすことを特徴とする有機半導体素子製造方法。
14.前記9〜13のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、前記第2の絶縁層は、前記帯状可撓性支持体の表面と前記第2の絶縁層の側壁との成す角度θを鈍角乃至直角に形成するとともに、頂部を切頂形状又は丸みを帯びた形状に形成することを特徴とする有機半導体素子製造方法。
15.前記9〜14のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、前記有機半導体層が低分子量の発光材料を含んでなる発光層を含むことを特徴とする有機半導体素子製造方法。
16.前記9〜15のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、ロールツーロール方式又はロールツーシート方式にて製造することを特徴とする有機半導体素子製造方法。
本発明によれば、ロールツーロール方式やロールツーシート方式で製造する場合であっても、有機半導体層に傷が入り難く、有機半導体層を適切に形成させることのできる有機半導体素子及びその製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る有機半導体素子の斜視断面図である。 本発明の第1実施形態に係る有機半導体素子の構成を説明する断面図である。 本発明の第1実施形態に係る有機半導体素子の一変形例を説明する断面図である。 本発明の第1実施形態に係る有機半導体素子の他の変形例を説明する断面図である。 RTR方式にて有機半導体素子を製造する様子を説明する模式図である。 RTR方式にて有機半導体素子を製造する様子を説明する模式図である。 RTR方式にて有機半導体素子を製造する様子を説明する模式図である。 本発明の第2実施形態に係る有機半導体素子の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る有機半導体素子の断面図である。 従来技術に係るコンポーネントの製造プロセスの一例を示す平面図である。 図10のII−II線断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る有機半導体素子10は、帯状可撓性支持体11の上に、第1の電極層12と、有機半導体層13と、第2の電極層14と、がこの順で形成されており、さらに、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16を備えている。
(帯状可撓性支持体)
帯状可撓性支持体11は、基板、透明基板などとも呼ばれ、有機半導体素子10の基体となる部材である。帯状可撓性支持体11は、長尺帯状であって可撓性を有する合成樹脂、好ましくは透明樹脂フィルムが用いられる。
帯状可撓性支持体11は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等で形成することができる。
この帯状可撓性支持体11には、第1の電極層12が形成される面及び/又はその裏面に、ガスの通過を妨げるガスバリア膜(図示省略)を形成するのが好ましい。ガスバリア膜は、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。ガスバリア膜の特性としては、水蒸気透過度が0.01g/m2・day・atm以下であることが好ましい。更には、酸素透過度10-3ml/m2/day以下、水蒸気透過度10-5g/m2/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
ガスバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることが出来る。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。ガスバリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることが出来るが、特開2004−68143号に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
(第1の電極層)
第1の電極層12は、電源が接続されて、例えば、陽極として機能する。このような第1の電極層12としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。この様な電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。又、IDIXO(In23・ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。第1の電極層12はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィ法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、前記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。或いは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、又陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(第2の電極層)
第2の電極層14は、電源が接続されて、例えば、陰極として機能する。このような第2の電極層14としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。第2の電極層14はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。又、第2の電極層14としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極(第1の電極層12)又は陰極(第2の電極層14)の何れか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
又、第2の電極層14に前記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、第1の電極層12の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の第2の電極層14(陰極)を作製することができ、これを応用することで第1の電極層12(陽極)と第2の電極層14(陰極)の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(有機半導体層)
有機半導体層13は、陽極から注入される正孔と、陰極から注入される電子とが再結合することによって発光する発光層(図示省略)を含んでいる。有機半導体層13は、この発光層のほかに電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層(陽極バッファー層)、電子注入層(陰極バッファー層)、正孔阻止層、電子阻止層など(いずれも図示省略)を適宜選択して積層させることができる。
有機半導体層13の構成例として、以下のものが挙げられる。
(1)発光層
(2)正孔輸送層/発光層
(3)発光層/電子輸送層
(4)正孔輸送層/発光層/電子輸送層
(5)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層
(6)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層
(7)陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層
(8)正孔輸送層/陽極バッファー層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層
(9)陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層
(発光層)
発光層は、前記したように、陽極から注入される正孔と、陰極から注入される電子とが再結合するによって発光する層である。発光層は、単層でもよいが複数の発光層を用いて多層とすることもできる。多層とする場合、当該発光層間に非発光性の中間層を有してもよい。また、前記層構成のうち、発光層を含む有機化合物層を1つの発光ユニットとし、複数の発光ユニットを積層することが可能である。当該複数の積層された発光ユニットにおいては、発光ユニット間に非発光性の中間層を有していてもよく、更に中間層は電荷発生層を含んでいてもよい。尚、発光層が多層の場合は、積層する数に合わせて塗布・乾燥部のユニットを配設する必要がある。
発光層は、例えば、青色発光層、緑色発光層、及び赤色発光層から選択される少なくとも1つからなる。青色発光層、緑色発光層、及び赤色発光の3つを積層することで、白色素子の作製が可能である。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はない。本発明においては、少なくとも一つの青発光層が、全発光層中最も陽極に近い位置に設けられていることが好ましい。又、発光層を4層以上設ける場合には、陽極に近い順から、例えば、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層/青色発光層/緑色発光層/赤色発光層のように青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を順に積層することが、輝度安定性を高める上で好ましい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性、発光に必要な電圧等を考慮し、通常2nm〜5μm、好ましくは2〜200nmの範囲で選ばれる。更に10〜20nmの範囲にあるのが好ましい。膜厚を20nm以下にすると電圧面のみならず、駆動電流に対する発光色の安定性が向上する効果があり好ましい。個々の発光層の膜厚は、好ましくは2〜100nmの範囲で選ばれ、2〜20nmの範囲にあるのが更に好ましい。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はないが、3発光層中、青発光層(複数層ある場合はその総和)が最も厚いことが好ましい。
発光層は、発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲にある発光スペクトルの異なる少なくとも3層以上の層を含む。3層以上であれば、特に制限はない。4層より多い場合には、同一の発光スペクトルを有する層が複数層あってもよい。発光極大波長が430〜480nmにある層を青発光層、510〜550nmにある層を緑発光層、600〜640nmの範囲にある層を赤発光層と言う。又、前記の極大波長を維持する範囲において、各発光層には複数の発光性化合物を混合してもよい。例えば、青発光層に、極大波長430〜480nmの青発光性化合物と、同510〜550nmの緑発光性化合物を混合して用いてもよい。
発光層に使用できる材料(発光材料)は特に限定はなく、例えば、株式会社 東レリサーチセンター フラットパネルディスプレイの最新動向 ELディスプレイの現状と最新技術動向 228〜332頁に記載されている如き各種材料が挙げられる。
なお、後記するように、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16を備えた本発明に係る有機半導体素子10においては、低分子の発光材料であっても好適に使用することができる。尚、低分子の発光材料とは、重量平均分子量で5000以下の発光材料をいい、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下の発光材料をいう。重量平均分子量が5000よりも大きい高分子の発光材料は、成膜時に硬化剤を使用して硬膜化し、電極との接触を良好にすることができるが、低分子の発光材料ではそのような硬膜化を図ることができない。そのような場合であっても、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16を備えることによって低分子の発光材料を用いた有機半導体層13(特に発光層)を適切に形成することが可能である。
発光層は、発光層形成用塗布液を塗布し、乾燥することで形成可能である。前記したように、発光層は、電極又は電子注入層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層である。発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層形成用塗布液を塗布する湿式塗布機としては、例えば、ダイコート方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェット方式、メイヤーバー方式、キャップコート法、スプレー塗布法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等に用いる塗布機が使用可能である。又、これらの湿式塗布機の使用は有機化合物層の材料に応じて適宜選択可能である。
(正孔輸送層(正孔注入層、電子阻止層))
正孔輸送層は、正孔を有効な再結合領域まで移動させる役割と、エネルギー障壁として電子をブロックして局所的に留め発光を強める役割を果たす。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることが出来る。これらについては、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」に詳細に記載されている。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することが出来るが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。又、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することが出来る。
又、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂p型正孔輸送材料を用いることも出来る。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。又、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号、特開2000−196140号、特開2001−102175号、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載されたものが挙げられる。この様なp性の高い正孔輸送層を用いると、より低消費電力の有機EL素子を作製することが出来るため好ましい。
(電子輸送層(電子注入層、正孔阻止層))
電子輸送層は、正孔を有効な再結合領域まで移動させる役割と、エネルギー障壁として正孔をブロックして局所的に留め発光を強める役割を果たす。電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料(電子輸送材料)からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。これらについては、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」に詳細に記載されている。
従来、単層の電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)、又は電子輸送層を複数層とする場合において、発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
又、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送層7の材料として好ましく用いることができる。また、発光層6の材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層7の材料として用いることができるし、正孔注入層4、正孔輸送層5と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層7の材料として用いることができる。
電子輸送層7は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層7の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層7は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、電子輸送層7に不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに、本発明においては、電子輸送層7にカリウムやカリウム化合物などを含有させてもよい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層7のn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
電子注入層(陰極バッファー層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
正孔阻止層は、広い意味では、電子輸送層7の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層は、電子輸送層に記載したものを用いて具現することができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。正孔阻止層の膜厚は、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
(第1の絶縁層及び第2の絶縁層)
第1実施形態に係る有機半導体素子10は、これらの構成要素に加えて、さらに第1の絶縁層15及び第2の絶縁層16を備えている。
第1の絶縁層15は、少なくとも2つ形成されることによって、巻取り時等に帯状可撓性支持体11の裏面と有機半導体層13とが接触するのを防ぐ機能を果たす。
また、第2の絶縁層16は、これを形成することによって有機半導体層13の形成を容易とする機能を果たす。
第1の絶縁層15と第2の絶縁層16は、いずれも絶縁性を有する樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂などを用いて形成することができる。絶縁層材料は、有機溶媒耐性を有することが好ましい。また、絶縁層材料にバインダー樹脂を含有してもよい。また、絶縁層と基材との密着力向上、絶縁層の機械強度向上のために二層以上の多層構成としてもよい。
第1の絶縁層15と第2の絶縁層16の形成は、例えば、ダイコート方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェット方式、メイヤーバー方式、キャップコート法、スプレー塗布法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の塗布機を使用して形成することが可能である。
図1、図2に示すように、第1の絶縁層15は、帯状可撓性支持体11及び第1の電極層12の少なくとも一方に、帯状可撓性支持体11の長手方向に沿って少なくとも2つ形成されている。ここで、帯状可撓性支持体11の長手方向に沿ってとは、帯状可撓性支持体11の長手方向と平行な方向にという意味である。
図1、図2に示すように、第1の絶縁層15は、一実施形態として、帯状可撓性支持体11の長手方向に沿い、且つ有機半導体層13に近接して形成することができる。また、図3に示すように、少なくとも2つの第1の絶縁層15は、他の実施形態として、帯状可撓性支持体11の幅手方向において離間した位置、例えば両端部近傍にそれぞれ形成することもできる。このようにしても、巻取り時等に帯状可撓性支持体11の裏面と有機半導体層13とが接触するのを防ぐことができる。
さらに、第1の絶縁層15の少なくとも1つは、第1の電極層12に接触して形成することもできる。具体的には、例えば図4に示すように、第1の絶縁層15の少なくとも1つを帯状可撓性支持体11の上に、且つ第1の電極層12の端部がこの第1の絶縁層15と接触するように形成することができる。かかる形態は、例えば、第1の絶縁層15を形成した後に第1の電極層12を形成するようにした場合、第1の電極層12の端部は第1の絶縁層15と接触するように形成すればよいので、第1の絶縁層15と接触する側の第1の電極層12の端部の位置決めを厳密に行わなくてもよくなる。つまり、第1の電極層12の位置決めが容易になる。
少なくとも2つ形成される第1の絶縁層15は、全てが同じ高さであるのが好ましいが、後記する第2の絶縁層16よりも高い高さを有していればよく、必ずしも同じ高さでなくともよい。換言すれば、第2の絶縁層16の高さは、第1の絶縁層15のうち少なくとも1つの絶縁層の高さよりも低く形成されていればよい。図1〜4に示すように、第1の絶縁層15は、帯状可撓性支持体11上に直接形成することができる(具体的には、図1〜4中の右側に示されている第1の絶縁層15)。また、図1、2中の左側に示されている第1の絶縁層15のように、帯状可撓性支持体11上に形成された電極(第1の電極層12)の上に形成することもできる。これらの態様は、有機EL素子の設計に応じて適宜に選択することができる。
第1の絶縁層15を帯状可撓性支持体11上に直接形成した場合における第1の絶縁層15の高さは、帯状可撓性支持体11から第1の絶縁層15の上端部までの寸法となる。
また、第1の絶縁層15を帯状可撓性支持体11上に形成された電極(第1の電極層12)上に形成した場合における第1の絶縁層15の高さは、電極の厚みと、当該電極の上に形成された第1の絶縁層15自体の高さとを合計した寸法となる。
いずれの場合であっても、第1の絶縁層15の高さは、図2に示すように、帯状可撓性支持体11から第1の絶縁層15の上端部までの寸法と定義することができる(以下の説明では、説明の便宜上、「帯状可撓性支持体11から第1の絶縁層15の上端部までの高さH1」のほか、単に「高さH1」ということがある。)。なお、第1の電極層12の厚みが第1の絶縁層15の高さと比較して、1オーダー以上異なるものであるために、帯状可撓性支持体11から第1の絶縁層15の上端部までの寸法と電極の厚みと、当該電極の上に形成された第1の絶縁層15自体の高さとを合計した寸法とは、略同じとみなすことができる。
帯状可撓性支持体11から第1の絶縁層15の上端部までの高さH1は1〜100μm程度とすることが好ましい。高さH1がこの範囲であると、第1の絶縁層15がRTR方式で搬送される際に、当該第1の絶縁層15がロールなどに接触した場合、第1の絶縁層15に働く力が小さくてすみ、第1の絶縁層15の剥離を抑制することができる。また、高さH1がこの範囲であると、RTR方式で有機半導体素子10を製造する場合であっても、第1の絶縁層15は帯状可撓性支持体11上に少なくとも2つ形成されているので、帯状可撓性支持体11の裏面と有機半導体層13や第2の電極層14(特に、有機半導体層13)が接触するのを防ぐことができる。そのため、有機半導体層13に傷が入るのを防ぐことができる。
なお、第1の絶縁層15の横幅寸法W1(図3参照)、つまり、幅手方向の寸法は、RTR方式で巻き取る際に、容易に圧潰されない程度の強度を具現できればよく、特定の数値範囲に限定されるものではない。第1の絶縁層15の横幅寸法W1としては、例えば、1〜500μmなどとすることができるが、これよりも小さい幅寸法とすることもできるし、大きい幅寸法とすることもできる。
また、図1、図2に示すように、第2の絶縁層16は、帯状可撓性支持体11の長手方向に沿って第1の絶縁層15の間に少なくとも1つ形成されており、第1の絶縁層15よりも低い高さを有している。帯状可撓性支持体11から第2の絶縁層16の上端部までの高さH2(以下の説明では、説明の便宜上、「帯状可撓性支持体11から第2の絶縁層16の上端部までの高さH2」のほか、単に「高さH2」ということがある。)は上述したように第1の絶縁層15よりも低ければよいが、例えば、0.1〜10μm程度とすることが好ましい。この範囲は、第1の絶縁層15と相対的に決定されるものであり、例えば、第1の絶縁層15が1μmの場合、第2の絶縁層16は1μm未満となり、第1の絶縁層15が10μmの場合、第2の絶縁層16は10μm未満となる。
第2の絶縁層16が、0.1〜10μmの場合、第2の絶縁層16上に形成された第2の電極層14が帯状可撓性支持体11の裏面と接触して断線することを防止し易い。
更に、有機半導体層13形成の際の塗布厚みよりも第2の絶縁層16は高いことが好ましい。有機半導体層13形成の際の塗布厚みより、第2の絶縁層16の高さが高い場合、塗布液が第2の絶縁層16から乗り上げることを防止し、非塗布領域(有機半導体層13を形成したくない領域)に有機半導体層13が形成されることを防止できる。
第2の絶縁層16の高さが第1の絶縁層15よりも高くなると、第2の絶縁層16上に形成された第2の電極層14が帯状可撓性支持体11の裏面と接触して断線してしまうおそれがある。
なお、第2の絶縁層16の横幅寸法W2(図3参照)は任意に設定可能であるが、例えば、1〜500μmなどとすることができる。
図2に示すように、第1の絶縁層15は、帯状可撓性支持体11から第1の絶縁層15の上端部までの高さH1と、少なくとも2つ形成されているうちの最も離間した第1の絶縁層15の間の距離Lが、3000×H1≧Lの関係を満たすのが好ましい。高さH1と距離Lがこの関係を満たすと、RTR方式で有機半導体素子10を製造する場合であっても、少なくとも2つ形成されているうちの最も離間した第1の絶縁層15、15によって、帯状可撓性支持体11の裏面と有機半導体層13が接触するのを防ぐことができるだけでなく、帯状可撓性支持体11の裏面の撓みを防ぐことができる。そのため、帯状可撓性支持体11の裏面と有機半導体層13との接触をより確実に防ぐことができ、有機半導体層13に傷が入るのをより確実に防ぐことができる。
また、本発明においては、図2に示すように、帯状可撓性支持体11から第1の絶縁層15の上端部までの高さH1と、帯状可撓性支持体11から第2の絶縁層16の上端部までの高さH2と、帯状可撓性支持体11から有機半導体層13の上端の高さH3が、H1>H2>H3の関係を満たすのが好ましい。このようにすれば、少なくとも2つ形成される第1の絶縁層15によって帯状可撓性支持体11の裏面と有機半導体層13が接触するのを防ぐことができるだけでなく、有機半導体層13が第2の絶縁層16を超えて形成されることがなくなる。従って、有機半導体素子10の層形成をより確実に行うことができるようになる。又、このようにすれば、第2の絶縁層16の上端部と第1の絶縁層15の上端部との間に必ず隙間ができる。そのため、図1、2に示すように、第2の電極層14が第2の絶縁層16を超えて帯状可撓性支持体11に到達するように形成された場合であっても、巻取り時に帯状可撓性支持体11の裏面と接触して第2の電極層14が断線することがない。従って、当該構成を有する有機半導体素子10を用いた有機EL照明装置(図示省略)などの歩留まりを向上させることができる。
前記した素材、形成手法によって形成される第2の絶縁層16は、帯状可撓性支持体11の表面11aと第2の絶縁層16の側壁16aとの成す角度θが鈍角乃至直角であり、頂部16bが切頂形状又は丸みを帯びた形状であるのが好ましい。なお、図1〜4には(及び後に参照する図5、6においても)、第2の絶縁層16の頂部16bが丸みを帯びた形状である場合を図示している。このようにすれば、第2の絶縁層16に鋭角な箇所がなくなるため、第2の電極層14の断線を防ぐことができる。
(封止)
第2の電極層14の上には、封止層又は封止フィルム(いずれも図示省略)を用いて封止する。
使用する封止フィルムとしては、ガスバリア膜と同じ材質のバリアフィルム及び金属膜を使用することが可能である。接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(二液混合)等の接着剤、又、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系のホットメルト型接着剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることが出来る。
尚、有機半導体素子10を構成する有機半導体層13が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化出来るものが好ましい。又、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
封止層を形成する場合は、基板のガスバリア膜で記載した材料及び方法を用いることにより第2の電極層14上に形成することができる。
封止部材(封止層、封止フィルム)と有機半導体素子10の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。又、真空とすることも可能である。又、内部に吸湿性化合物を封入することも出来る。吸湿性化合物としては例えば金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
有機半導体素子10中の有機半導体層13を構成している発光層には、発光層の発光効率を高くするために公知のホスト化合物と公知のリン光性化合物(リン光発光性化合物とも言う)を含有することが好ましい。
ホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。ホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することが出来る。又、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることが出来る。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用も出来る。
これらのホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、尚且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等に記載の化合物が挙げられる。
複数の発光層を有する場合、これら各層のホスト化合物の50質量%以上が同一の化合物であることが、有機半導体層13全体に渡って均質な膜性状を得やすいことから好ましく、更にはホスト化合物のリン光発光エネルギーが2.9eV以上であることが、ドーパントからのエネルギー移動を効率的に抑制し、高輝度を得る上で有利となることからより好ましい。リン光発光エネルギーとは、ホスト化合物を基板上に100nmの蒸着膜のフォトルミネッセンスを測定し、そのリン光発光の0−0バンドのピークエネルギーを言う。
ホスト化合物は、有機半導体素子10の経時での劣化(輝度低下、膜性状の劣化)、光源としての市場ニーズ等を考慮し、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。即ち、輝度と耐久性の両方を満足するためには、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。Tgは、更に好ましくは100℃以上である。
リン光性化合物(リン光発光性化合物)とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。先に説明したホスト化合物と合わせ使用することで、より発光効率の高い有機半導体素子10とすることが出来る。
本発明におけるリン光性化合物は、リン光量子収率は好ましくは0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定出来る。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定出来るが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
リン光性化合物の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、何れの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光性化合物は、有機半導体素子10の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることが出来る。リン光性化合物としては、好ましくは元素の周期表で8族−10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることが出来る。
本発明の有機半導体素子10や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当て嵌めた時の色で決定される。
本発明で言うところの白色素子とは、2°視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931 表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.07の領域内にあることを言う。
本発明の有機半導体素子10の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機半導体素子10外部に発光した光子数/有機半導体素子10に流した電子数×100である。
又、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機半導体素子10からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機半導体素子10の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
本発明の有機半導体素子10は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために以下に示す方法を併用することが好ましい。一般的に、有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光の内15%から20%程度の光しか取り出せないと言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことが出来ないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435)。基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)。素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)。基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)。基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)。基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)などがある。
本発明においては、これらの方法を有機半導体素子10と組み合わせて用いることが出来るが、基板と発光層の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、或いは基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることが出来る。本発明においては、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度或いは耐久性に優れた素子を得ることが出来る。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。又、更に1.35以下であることが好ましい。低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。全反射を起こす界面もしくは何れかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることが出来る性質を利用して、発光層から発生した光の内、層間での全反射等により外に出ることが出来ない光を、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述のとおり、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である発光層の近傍が望ましい。この時、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
更に、本発明の有機半導体素子10は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために、基板の光取り出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、或いは、所謂集光シートと組み合わせたりすることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることが出来る。マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。この様なシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることが出来る。プリズムシートの形状としては、例えば基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。又、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることが出来る。
(RTR方式での製造)
以上に説明した第1実施形態に係る有機半導体素子10は、そのほとんどの工程をRTR方式で行うことができる。以下、図5〜7を参照して、RTR方式にて有機半導体素子10を使用した有機EL素子を製造する様子を説明する。図5〜7は、照明用に使用する有機EL素子を製造する一連の製造装置2aの構成例を示す模式図である。尚、有機EL素子の一例として、帯状可撓性支持体11上にガスバリア膜(図示省略)、第1の電極層12、第1の絶縁層15、第2の絶縁層16、正孔輸送層a、発光層b、電子注入層c、第2の電極層14、封止層dの順番に形成されている照明用(面発光)有機EL素子の場合について行う。
図5は、一連の製造装置2aのうち、帯状可撓性支持体11及び第1の電極層12の少なくとも一方に、帯状可撓性支持体11の長手方向に沿って、少なくとも2つの第1の絶縁層15と、帯状可撓性支持体11上に、帯状可撓性支持体11の長手方向に沿って第1の絶縁層15の間に配置されるように、且つ第1の絶縁層15よりも高さが低くなるように、少なくとも1つの第2の絶縁層16と、を形成する絶縁層形成工程1を示している。
図6は、一連の製造装置2aのうち、帯状可撓性支持体11の供給工程3と、正孔輸送層aを形成する正孔輸送層形成工程4と、発光層bを形成する発光層形成工程5と、電子注入層cを形成する電子注入層形成工程6と、第2の電極層14を形成する第2の電極層形成工程7と、封止層dを形成する封止層形成工程8と、回収工程9とを示している。本図で示される製造装置2aは、供給工程3〜発光層形成工程5迄を連続して大気圧条件下で行い、一旦巻き取った後、電子注入層形成工程6〜回収工程9迄を連続して減圧条件下で行う場合を示している。
図7は、図6のGで示される部分の拡大模式図である。
ここで、ガスバリア膜(図示省略)と第1の電極層12は、絶縁層形成工程1を行う前に予め帯状可撓性支持体11上に形成しておくことができる。ガスバリア膜は、前記したように、大気圧プラズマ重合法などによって帯状可撓性支持体11上の所定の位置に予め形成しておくことができる。又、第1の電極層12は、前記したように、ダイコート方式などによって帯状可撓性支持体11上の所定の位置に予め形成しておくことができる。図5に示す絶縁層形成工程1では、既にガスバリア膜と第1の電極層12が形成されているものを使用しているので、ガスバリア膜と第1の電極層12を形成する工程については省略している。
図5に示すように、絶縁層形成工程1は、帯状可撓性支持体11をロール状に巻いた帯状可撓性支持体11bを繰り出す繰り出し部101と、第1の絶縁層15を形成する第1の絶縁層形成部102と、第2の絶縁層16を形成する第2の絶縁層形成部103と、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16を形成した帯状可撓性支持体11を巻き取る巻き取り部104と、を有している。
第1の絶縁層形成部102では、第1実施形態に係る有機半導体素子10にて説明した高さ、距離、形状、関係式を満たすように、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16を形成する。
第1の絶縁層形成部102は、繰り出し部101から繰り出された帯状可撓性支持体11の表面を洗浄する洗浄表面改質処理装置102aと、帯電防止手段102bとを有している。
洗浄表面改質処理装置102aは、第1の絶縁層形成用塗布液を塗布する前に繰り出し部101から送られてきた帯状可撓性支持体11の表面を洗浄改質するため、例えば、低圧水銀ランプ、エキシマランプ、プラズマ洗浄装置等を使用することが好ましい。低圧水銀ランプによる洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、波長184.2nmの低圧水銀ランプを、照射強度5〜20mW/cm2で、距離5〜15mmで照射することが挙げられる。プラズマ洗浄装置による洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、大気圧プラズマが好適に使用される。洗浄条件としてはアルゴンガスに酸素1〜5体積%含有ガスを用い、周波数100kHz〜150MHz、電圧10V〜10kV、照射距離5〜20mmで洗浄表面改質処理を行う条件が挙げられる。
帯電防止手段102bは、非接触式除電防止装置102b1と接触式除電防止装置102b2とを有している。非接触式除電防止装置102b1としては、例えば、非接触式のイオナイザーが挙げられる。このイオナイザーの種類については特に制限はなく、イオン発生方式はAC方式、DC方式どちらでも構わない。ACタイプ、ダブルDCタイプ、パルスACタイプ、軟X線タイプが用いることが出来るが、特に精密除電の観点から、ACタイプが好ましい。ACタイプの使用の際に必要となる噴射気体については、空気かN2が用いられるが、十分に純度が高められたN2で行うことが好ましい。又、インラインで行う観点より、ブロワータイプもしくはガンタイプより選ばれる。
接触式除電防止装置102b2としては、除電ロール又はアース接続した導電性ブラシを用いて行われる。除電器としての除電ロールは、接地されており、除電された表面に回転自在に接触して表面電荷を除去する。この様な除電ロールとしては、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属製ロールの他に、カーボンブラック、金属粉、金属繊維等の導電性材料を混合した弾性のあるプラスチックやゴム製のロールが使用される。特に、帯状可撓性支持体11との接触をよくするため、弾性のあるものが好ましい。アース接続した導電性ブラシとしては、一般には、線状に配列した導電性繊維からなるブラシ部材や線状金属製のブラシを有する除電バー又は除電糸構造のものを挙げることが出来る。除電バーについては、特に限定はないが、コロナ放電式のものが好ましく用いられ、例えば、キーエンス社製のSJ−Bが用いられる。除電糸についても、特に限定はないが、通常フレキシブルな糸状のものが好ましく用いられ、例えば、ナスロン社製の12/300×3をその一例として挙げることが出来る。
非接触式帯電防止装置102b1は、帯状可撓性支持体11の第1の電極層12側に使用し、接触式帯電防止装置102b2は帯状可撓性支持体11の裏面側に使用することが好ましい。帯電防止手段102bにより帯状可撓性支持体11の帯電除去が図られ、ゴミの付着や絶縁破壊が防止されるため、素子の歩留まりの向上が図られる。
第1の絶縁層形成部102は、帯状可撓性支持体11を保持するバックアップロール102cと、バックアップロール102cに保持された帯状可撓性支持体11に第1の絶縁層形成用塗布液を塗布する湿式塗布機102dと、帯状可撓性支持体11上に形成された第1の絶縁層15の溶媒を除去する乾燥装置102eと、溶媒が除去された第1の絶縁層15を加熱する加熱処理装置102fとを有している。
第2の絶縁層形成部103は、第1の絶縁層15が形成された帯状可撓性支持体11の帯電を防止する帯電防止手段103aと、帯状可撓性支持体11を保持するバックアップロール103bと、バックアップロール103bに保持された帯状可撓性支持体11に第2の絶縁層形成用塗布液を塗布する湿式塗布機103cと、帯状可撓性支持体11上に形成された第2の絶縁層16の溶媒を除去する乾燥装置103dと、溶媒が除去された第2の絶縁層16を加熱する加熱処理装置102eとを有している。
帯電防止手段103aは、非接触式帯電防止装置103a1と接触式帯電防止装置103a2とを有している。非接触式帯電防止装置103a1は第1の絶縁層15側に使用し、接触式帯電防止装置103a2は帯状可撓性支持体11の裏面側に使用することが好ましい。帯電防止手段103aにより、第1の絶縁層15面及び帯状可撓性支持体11の裏面の帯電除去が図られ、ゴミの付着や絶縁破壊が防止されるため、有機EL素子の歩留まりの向上が図られる。帯電防止手段103aに使用される非接触式帯電防止装置103a1と接触式帯電防止装置103a2は帯電防止手段102bに使用した非接触式帯電防止装置102b1、接触式帯電防止装置102b2と同じものが好ましい。
前記した態様では、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16を別工程で形成する様子を説明したが、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16を同時に形成できる場合は、これらを同時に形成するようにしてもよい。装置及び工程の簡略化により、さらに低コスト化を図ることができる。また、第1の絶縁層形成部102と第2の絶縁層形成部103を入れ替えて、第2の絶縁層16を先に形成し、第1の絶縁層15を後に形成することもできる。
そして、巻き取り部104では、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16が形成された帯状可撓性支持体11’を、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16を内側にして巻き芯に巻き取り、ロール状の帯状可撓性支持体11cとする。
次いで行う供給工程3は、図6に示すように、繰り出し部301と表面処理部302とを有している。繰り出し部301では、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16が形成され、ロール状に巻き取られた帯状可撓性支持体11cから帯状可撓性支持体11が供給される様になっている。
表面処理部302は洗浄表面改質処理装置302aと、第1帯電防止手段302bとを有している。洗浄表面改質処理装置302aは、正孔輸送層形成用塗布液を塗布する前に繰り出し部301から送られてきた帯状可撓性支持体11の第1の電極層12表面を洗浄改質するため、例えば、低圧水銀ランプ、エキシマランプ、プラズマ洗浄装置等を使用することが好ましい。低圧水銀ランプによる洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、波長184.2nmの低圧水銀ランプを、照射強度5〜20mW/cm2で、距離5〜15mmで照射することが挙げられる。プラズマ洗浄装置による洗浄表面改質処理の条件としては、例えば、大気圧プラズマが好適に使用される。洗浄条件としてはアルゴンガスに酸素1〜5体積%含有ガスを用い、周波数100kHz〜150MHz、電圧10V〜10kV、照射距離5〜20mmで洗浄表面改質処理を行う条件が挙げられる。
第1帯電防止手段302bは、非接触式除電防止装置302b1と接触式除電防止装置302b2とを有している。非接触式除電防止装置302b1としては、例えば、非接触式のイオナイザーが挙げられる。このイオナイザーの種類については特に制限はなく、イオン発生方式はAC方式、DC方式どちらでも構わない。ACタイプ、ダブルDCタイプ、パルスACタイプ、軟X線タイプが用いることが出来るが、特に精密除電の観点から、ACタイプが好ましい。ACタイプの使用の際に必要となる噴射気体については、空気かN2が用いられるが、十分に純度が高められたN2で行うことが好ましい。又、インラインで行う観点より、ブロワータイプもしくはガンタイプより選ばれる。
接触式除電防止装置302b2としては、除電ロール又はアース接続した導電性ブラシを用いて行われる。除電器としての除電ロールは、接地されており、除電された表面に回転自在に接触して表面電荷を除去する。この様な除電ロールとしては、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属製ロールの他に、カーボンブラック、金属粉、金属繊維等の導電性材料を混合した弾性のあるプラスチックやゴム製のロールが使用される。特に、帯状可撓性支持体11との接触をよくするため、弾性のあるものが好ましい。アース接続した導電性ブラシとは、一般には、線状に配列した導電性繊維からなるブラシ部材や線状金属製のブラシを有する除電バー又は除電糸構造のものを挙げることが出来る。除電バーについては、特に限定はないが、コロナ放電式のものが好ましく用いられ、例えば、キーエンス社製のSJ−Bが用いられる。除電糸についても、特に限定はないが、通常フレキシブルな糸状のものが好ましく用いられ、例えば、ナスロン社製の12/300×3をその一例として挙げることが出来る。
非接触式帯電防止装置302b1は、帯状可撓性支持体11の第1の電極層12側に使用し、接触式帯電防止装置302b2は帯状可撓性支持体11の裏面側に使用することが好ましい。第1帯電防止手段302bにより帯状可撓性支持体11の帯電除去が図られ、ゴミの付着や絶縁破壊が防止されるため、素子の歩留まりの向上が図られる。
正孔輸送層形成工程4は、帯状可撓性支持体11を保持するバックアップロール401aと、バックアップロール401aに保持された帯状可撓性支持体11に正孔輸送層形成用塗布液を塗布する第1湿式塗布機401bと、帯状可撓性支持体11上の第1の電極層12上に形成された正孔輸送層aの溶媒を除去する第1乾燥装置401cと、溶媒が除去された正孔輸送層aを加熱する第1加熱処理装置401dと、第2帯電防止手段401eとを有している。
第1湿式塗布機401bによる正孔輸送層形成用塗布液は、既に形成されている第1の電極層12の片方の端部の一部を除いて第1の電極層12上に塗布される。
第2帯電防止手段401eは、非接触式帯電防止装置401e1と接触式帯電防止装置401e2とを有している。非接触式帯電防止装置401e1は正孔輸送層a側に使用し、接触式帯電防止装置401e2は帯状可撓性支持体11の裏面側に使用することが好ましい。第2帯電防止手段401eにより、正孔輸送層a面及び帯状可撓性支持体11の裏面の帯電除去が図られ、ゴミの付着や絶縁破壊が防止されるため、有機EL素子の歩留まりの向上が図られる。第2帯電防止手段401eに使用される非接触式帯電防止装置401e1と接触式帯電防止装置401e2は第1帯電防止手段302bに使用した非接触式帯電防止装置302b1、接触式帯電防止装置302b2と同じものが好ましい。
図7に示すように、第1乾燥装置401cは、乾燥風を吐出する吐出口401c3と、乾燥風の供給口401c2とを有する乾燥風供給ヘッダー401c1と、排気口401c4と、搬送用ロール401c5とを有している。
又、第1加熱処理装置401dは、装置本体401d1と、正孔輸送層aが形成された帯状可撓性支持体11の裏面側から正孔輸送層aを裏面伝熱方式で加熱する複数の加熱ローラ401d2とを有している。
図6に戻って説明を続ける。発光層形成工程5は、バックアップロール502aに保持された正孔輸送層aを有する帯状可撓性支持体11に発光層形成用塗布液を塗布する第2湿式塗布機502bと、正孔輸送層a上に形成された発光層bの溶媒を除去する第2乾燥装置502cと、溶媒が除去された発光層bを加熱する第2加熱処理装置502dと、第3帯電防止手段502eと、第1巻き取り部502fとを有している。
第2湿式塗布機502bは、第1湿式塗布機401bと同じ型式のものが好ましい。尚、本図は照明用に使用する有機EL素子を一例にしているため、第2湿式塗布機502bは全面塗工タイプとなっている。有機EL素子がフルカラー方式の場合は、第1の電極層12がパターン化されて形成されるため、当該パターンに合わせて第1の電極層12上に発光層bをパターン塗布する。これは、例えば、インクジェット方式、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、マスクを用いたスプレー塗布方式等により可能である。また、照明用であっても全面均一に塗工できるタイプであれば良く、インクジェット方式、マスクを用いたスプレー塗布方式も使用可能である。
第2乾燥装置502cは、第1乾燥装置401cと同じ構造をしている。第2加熱処理装置502dは第1加熱処理装置401dと同じ構造をしており、正孔輸送層a上に形成された、発光層bを帯状可撓性支持体11の裏面側から裏面伝熱方式で加熱する様になっている。
第3帯電防止手段502eは、非接触式帯電防止装置502e1と接触式帯電防止装置502e2とを有している。非接触式帯電防止装置502e1は発光層b側に使用し、接触式帯電防止装置502b2は帯状可撓性支持体11の裏面側に使用することが好ましい。第3帯電防止手段502eにより、発光層b面及び帯状可撓性支持体11の裏面の帯電除去が図られる。そのため、第1巻き取り部502fで巻き取る時、ゴミの付着等による故障が防止されるため素子の歩留まりの向上が図られる。第3帯電防止手段502eに使用される非接触式帯電防止装置502e1と接触式帯電防止装置502e2は第1帯電防止手段302bに使用した非接触式帯電防止装置302b1、接触式帯電防止装置302b2と同じものが好ましい。
図6に示される正孔輸送層形成工程4は、湿式塗布装置、乾燥装置、加熱処理装置がそれぞれ1台の場合を示しているが、必要に応じて増加することが可能となっている。又、発光層形成工程5も、湿式塗布装置、乾燥装置、加熱処理装置がそれぞれ1台の場合を示しているが、必要に応じて増加することが可能となっている。
第1巻き取り部502fでは、発光層bが形成された帯状可撓性支持体11を、発光層bを内側にして巻き芯に巻き取り、ロール状の帯状可撓性支持体11dとする。
引き続き図6を参照して説明を続ける。電子注入層形成工程6は、供給部601と、電子注入層形成部602とを有している。供給部601では、前工程で作製された帯状可撓性支持体11dが繰り出され、電子注入層形成部602へ供給される。電子注入層形成部602では、発光層b上に電子注入層cが形成される。尚、図6中の602aは蒸着装置を示し、602bは蒸発源容器を示す。電子注入層cが形成された帯状可撓性支持体11は、引き続き、第2の電極層形成工程7へ送られる。ちなみに、ここで示した例では、正孔輸送層a、発光層b及び電子注入層cで有機半導体層13を形成している。
第2の電極層形成工程7は、第2の電極層形成部701で、電子注入層形成部602にて形成された電子注入層c上に、第2の電極層14が形成される。尚、図6中の701aは蒸着装置を示し、701bは蒸発源容器を示す。第2の電極層14が形成された帯状可撓性支持体11は封止層形成工程8に送られる。
封止層形成工程8は、第2の電極層形成工程7で形成された第2の電極層14の端部を除いて第2の電極層14上に封止層dを形成する。封止層dは封止層形成装置801aにより形成される。第2の電極層14の上に封止層dが形成されることによって第1実施形態に係る有機半導体素子10が製造される。
封止層形成工程8は、封止層形成装置801aと、第4帯電防止手段801bとを有している。第4帯電防止手段801bは、非接触式帯電防止装置801b1と接触式帯電防止装置801b2とを有している。非接触式帯電防止装置801b1は封止層d側に使用し、接触式帯電防止装置801b2は帯状可撓性支持体11の裏面側に使用することが好ましい。第4帯電防止手段801bにより、封止層d面及び帯状可撓性支持体11の裏面の帯電除去が図られ、後記する回収工程9で巻き取る時、ゴミの付着等による故障が防止されるため有機EL素子の歩留まりの向上が図られる。第4帯電防止手段801bに使用される非接触式帯電防止装置801b1と接触式帯電防止装置801b2は第1帯電防止手段302bに使用した非接触式帯電防止装置302b1、接触式帯電防止装置302b2と同じものが好ましい。
回収工程9は、巻き取り部9aを有している。巻き取り部9aは、帯状可撓性支持体11を巻き取って回収し、ロール状の帯状可撓性支持体11eを作製する。
ロール状の帯状可撓性支持体11eを作製する時の巻き取り張力は、巻き崩れ、搬送時、取り扱い時による有機半導体層13が形成されている面と帯状可撓性支持体11の裏面との擦れによる擦り傷の発生、巻き締めによる有機半導体層13が形成されている面の擦り傷の発生等を考慮し、10〜1,000N/m幅が好ましい。
回収工程9で回収されたロール状の帯状可撓性支持体11e(照明用(面発光)有機EL素子)は、性能維持、ダークスポット(未発光部分)等を考慮し、酸素濃度1〜100ppm、水分濃度1〜100ppmの環境下に保管することが好ましい。
図5〜7では、電子注入層形成工程6、第2電極形成工程7、が蒸着装置の場合を示したが、電子注入層c及び第2の電極層14の形成方法については、特に限定はなく、例えばスパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることが出来る。
又、図6に示す封止層dの代わりに、封止フィルムを貼着する方式であってもかまわない。但し、この場合は封止フィルムの供給部と、貼着部と、回収部とは大気圧条件下で連続的に行われる様にすることが好ましい。
第1乾燥装置401cにおける正孔輸送層aの溶媒を除去する乾燥条件としては、乾燥ムラ、塗膜表面の吹き荒れ等を考慮し、吐出口からの乾燥風の吐出風速0.1〜5m/s、幅手方向の風速分布が0.1〜10%の気流乾燥が挙げられる。第2乾燥装置402cにおける発光層の溶媒を除去する乾燥条件は第1乾燥装置401cの条件と同じであってもよい。
第1加熱処理装置401dにおける正孔輸送層aの加熱処理条件として、正孔輸送層aの平滑性向上、残留溶媒の除去、正孔輸送層aの硬化等を考慮し、正孔輸送層aのガラス転移温度に対して−30〜+30℃、且つ、正孔輸送層aを構成している有機化合物の分解温度を超えない温度で裏面伝熱方式の熱処理を行うことが好ましい。
第2加熱処理装置502dにおける発光層bの加熱処理条件として、発光層bの平滑性向上、残留溶媒の除去、発光層bの硬化等を考慮し、発光層bのガラス転移温度に対して−30〜+30℃、且つ、発光層bを構成している有機化合物の分解温度を超えない温度で裏面伝熱方式の熱処理を行うことが好ましい。
第1湿式塗布機401bで正孔輸送層形成用塗布液を塗布する時の帯状可撓性支持体11の搬送速度のバラツキと、第2湿式塗布機502bで発光層形成用塗布液を塗布する時の帯状可撓性支持体11の搬送速度のバラツキは、長手方向の塗膜厚みムラに伴う発光輝度ムラ等を考慮し、平均搬送速度に対して0.2〜10%であることが好ましい。
第1湿式塗布機401bで使用する正孔輸送層形成用塗布液、及び第2湿式塗布機502bで使用する発光層形成用塗布液は、少なくとも1種の有機化合物材料と少なくとも1種の溶媒とを有し、塗布時のハジキ、塗布ムラ等を考慮し、表面張力が15×10-3〜55×10-3N/mであることが好ましい。
図6で示される有機半導体素子10の構成層である正孔輸送層a及び発光層bを形成する工程は、正孔輸送層a及び発光層bの性能維持、異物付着に伴う故障欠陥の防止等を考慮し、露点温度−20℃以下、且つJISB 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス5以下で、且つ、第1乾燥部(第1乾燥装置401c)、第2乾燥部(第2乾燥装置502c)を除き10〜45℃の大気圧条件下で形成されることが好ましい。本発明において清浄度がクラス5以下とは、クラス3〜クラス5を示す。
収納期間は、正孔輸送層a及び発光層bの劣化に起因する酸素や微量水分の除去を考慮し、1時間〜200時間が好ましい。場合によっては加熱環境下で保存してもよい。
以上に説明したように、本発明では、第1の絶縁層15と第2の絶縁層16を形成しているので、RTR方式で製造した場合であっても有機半導体層13に傷が入り難く、有機半導体層13を適切に形成することができる。
なお、以上に説明した態様では、発光層bを形成した後、電子注入層cを形成しているが、発光層bと電子注入層cの間に電子輸送層(図示せず)を形成することもできる。また、正孔輸送層aと第1の電極層12との間に正孔注入層(図示せず)を形成することもできる。正孔注入層、電子輸送層の形成は、正孔輸送層、発光層も含め、スリット型ダイコーター、インクジェット法、スプレー塗布法、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式などにより行うことができる。
〔第2実施形態及び第3実施形態〕
次に、第2実施形態及び第3実施形態に係る有機半導体素子について説明する。
図8に示すように、第2実施形態に係る有機半導体素子10Aは、1つの帯状可撓性支持体11上の離間した位置に、第1の電極層12と、有機半導体層13と、第2の電極層14と、をこの順で形成した有機半導体素子10を複数有している。なお、図8では、代表的に、有機半導体素子10が2つの場合を図示しているが、3つ以上であっても構わないことは言うまでもない。
かかる有機半導体素子10Aでは、少なくとも2つの第1の絶縁層15を帯状可撓性支持体11の幅手方向において、両端部にそれぞれ形成している。このように、帯状可撓性支持体11の両端部に第1の絶縁層15を形成しても、巻取り時等に帯状可撓性支持体11の裏面と有機半導体層13とが接触して、有機半導体層13に傷が入ってしまうのを防ぐことができる。
又、図9に示すように、第3実施形態に係る有機半導体素子10Bも、1つの帯状可撓性支持体11上の離間した位置に、第1の電極層12と、有機半導体層13と、第2の電極層14と、をこの順で形成した有機半導体素子10を複数有している。この図9でも第2実施形態と同様、有機半導体素子10が2つの場合を代表的に図示しているが、3つ以上であっても構わないことは言うまでもない。
ここで、第3実施形態に係る有機半導体素子10Bでは、第1の絶縁層15を帯状可撓性支持体11の両端部と、複数ある有機半導体素子10の間と、に形成している。
このようにすると、巻取り等した場合に帯状可撓性支持体11の裏面と有機半導体層13とが接触して、有機半導体層13に傷が入ってしまうのをより確実に防ぐことができる。
なお、第2実施形態及び第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、帯状可撓性支持体11から第1の絶縁層15の上端部までの高さH1(図2参照)と、少なくとも2つ形成されているうちの最も離間した第1の絶縁層15の間の距離Lが、3000×H1≧Lの関係を満たすのが好ましい(図2参照)。
又、帯状可撓性支持体11から第1の絶縁層15の上端部までの高さH1と、帯状可撓性支持体11から第2の絶縁層16の上端部までの高さH2と、帯状可撓性支持体11から有機半導体層13の上端の高さH3とが、H1>H2>H3の関係を満たすのが好ましい。
更に、第2の絶縁層16は、帯状可撓性支持体11の表面と第2の絶縁層16の側壁16aとの成す角度θが鈍角乃至直角であり、頂部16bが切頂形状又は丸みを帯びた形状であるのが好ましい。
又更に、有機半導体層13が低分子量の発光材料を含んでなる発光層を含むのが好ましく、RTR方式又はRTS方式にて製造されるのに適している。
これらの態様とすると好ましい理由は既に述べているとおりなのでその説明は省略する。
以下、本発明の効果を確認した実施例を説明する。
〈ガスバリア膜と第1の電極層とをこの順番で有する帯状可撓性支持体の準備〉
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人・デユポン社製フィルム、以下、PETと略記する)を用い、以下に示す方法でガスバリア膜と第1の電極層とを形成し、巻き芯に巻き取りロール状としたガスバリア膜と第1の電極層とをこの順番で有する帯状可撓性支持体を準備した。
(透明性ガスバリア膜の形成)
準備した帯状可撓性支持体上に、大気圧プラズマ重合法で、厚さ約90nmの透明ガスバリア膜を形成した。JISK−7129Bに準拠した方法により水蒸気透過率を測定した結果、10-3g/m2/day以下であった。JISK−7126Bに準拠した方法により酸素透過率を測定した結果、10-3g/m2/day以下であった。
(第1の電極層の形成)
形成したガスバリア膜の上に厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)を蒸着法によりパターニングを行い、第1の電極層を形成した。
(第2の絶縁層の形成)
表1中のサンプル1〜7、9においては、日本ゼオン社製ZWD6216を用いて乾燥後の高さが表1に記載の高さH2となるようにスリットコーターで塗布した後、フォトレジスト法により、幅30μmとなるように第2の絶縁層を形成した。このときの絶縁層の形状は、丸みを帯びた形状であった。
これらに対し、サンプル8においては、日本ゼオン社製ZPN2464を用いて、塗布し、90℃で120sec乾燥させた後フォトレジスト法により第2の絶縁層を形成した。このようにすることで、サンプル8の第2の絶縁層を帯状可撓性支持体上において逆テーパ状を呈するように形成した。つまり、第2の絶縁層を、帯状可撓性支持体の表面と第2の絶縁層の側壁との成す角度θが鋭角となるように形成しつつ、頂部も略直角乃至鋭角となる形状となるように形成した(少なくとも、切頂形状又は丸みを帯びた形状ではない形状となるように形成した)。
(第1の絶縁層の形成)
次いで、新日鐵化学製VPA100P5.0を用いて乾燥後の高さが表1に記載の高さH1となるよう濃度調整を行い、インクジェット法にて幅30〜100μmとなるようにストライプ状に塗布した後、100℃で乾燥し、第1の絶縁層を形成した。
(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の形成)
図6に示す工程を使用し、準備した巻き芯に巻き取り、ロール状としたガスバリア膜と第1の電極層とをこの順番で有する帯状可撓性支持体の第1の電極層の上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した塗布液を、エクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により塗布・乾燥し厚み30nmの正孔注入層を形成した。
次いで、帯電処理を行い、引き続き引き正孔注入層上に、下記に記載の通り調液した正孔輸送層形成用塗布液を、エクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により塗布・乾燥し正孔輸送層を形成した。
(正孔輸送層形成用塗布液)
モノクロロベンゼン 100g
ポリ−(N,N′−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N′−ビス(フェニル)ベンジジン)(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製) 0.5g
次いで、帯電処理を行い、引き続き引き正孔輸送層上に、下記に記載の通り調液した発光層形成用塗布液を、エクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により塗布・乾燥し、発光層を形成した。
(発光層形成用塗布液)
酢酸ブチル 100g
H−A 1g
D−A 0.11g
D−B 0.002g
D−C 0.002g
上記有機材料H−A、D−A、D−B、D−Cは、下記化合物を表している。
Figure 2013229258
次いで、帯電処理を行い、引き続き引き発光層上に、下記に記載の通り調液した電子輸送層形成用塗布液を、エクストルージョン塗布機を使用した湿式塗布方式により塗布・乾燥し電子輸送層を形成した。
(電子輸送層形成用塗布液)
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール 100g
ET−A 0.75g
上記有機材料ET−Aは、下記化合物を表している。
Figure 2013229258
次いで、帯電処理し、室温と同じ温度になるまで冷却した後、巻き芯に巻き取り、ロール状とした。尚、搬送速度は、2m/分とした。搬送速度は、三菱電機(株)製レーザドップラ速度計LV203で測定した。
正孔輸送層形成用塗布液を塗布する前に、帯状可撓性支持体の洗浄表面改質処理を、波長184.9nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm2、距離10mmで実施した。帯電除去処理は、微弱X線による除電器を使用して行った。
正孔輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが50nmになるように塗布した。発光層形成用塗布液は乾燥後の厚みが100nmになるように塗布した。電子輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが40nmになるように塗布した。尚、搬送速度は2m/minで実施した。
(塗布条件)
正孔輸送層形成用塗布液の塗布時の温度は25℃、発光層形成用塗布液の塗布時の温度は25℃、電子輸送層形成用塗布液の塗布時の温度は25℃の環境の大気環境下で行った。尚、湿式塗布工程は露点温度−20℃以下且つ清浄度クラス5以下(JIS B 9920)とした。
(乾燥及び加熱処理条件)
正孔輸送層形成用塗布液を塗布した後、図6に示す第1乾燥装置及び第1加熱処理装置を使用し、第1乾燥装置ではスリットノズル形式の吐出口から成膜面に向け、高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度100℃で溶媒を除去した。次いで、第1加熱処理装置で温度200℃にて裏面伝熱方式の熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。発光層形成用塗布液を塗布した後、図7に示す第2乾燥装置及び第2加熱処理装置を使用し、第2乾燥装置ではスリットノズル形式の吐出口から成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した。次いで、第2加熱処理装置で温度220℃にて加熱処理を行い、発光層を形成した。電子輸送層形成用塗布液を塗布した後、図7に示す第2乾燥装置及び第2加熱処理装置を使用し、第2乾燥装置ではスリットノズル形式の吐出口から成膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度100℃で溶媒を除去した。次いで、第2加熱処理装置で温度120℃にて加熱処理を行い、電子輸送層を形成した。
(電子注入層、第2の電極層及び封止層の形成)
そして、形成された電子輸送層の上に図6に示す電子注入層形成工程、第2の電極層形成工程、封止層形成工程を順次行った。電子注入層形成工程では、5×10-4Pa真空下にて厚さ0.5nmのLiF層(電子注入層)を全面蒸着した。そして、厚さ100nmのアルミ層(第2の電極層)を蒸着方式で形成した。これに引き続いて、封止層の形成を蒸着で行い、室温まで冷却した。
(ロール状有機半導体素子の作製)
次に、図6に示す巻き取り部にて巻き芯に巻き取り、サンプル1〜9に係るロール状有機半導体素子を作製した。尚、巻き取り時の張力は、400〜500N/m幅の範囲で巻き径に応じて可変とし150mを巻き取った。又、巻き取る際の条件は、露点温度−35℃、JIS B 9920に準じて測定した清浄度クラスを5の環境条件で行った。
(評価)
作製したサンプル1〜9に付き、有機半導体層側の擦り傷を以下に示す評価方法に従って計測し、以下に示す評価ランクに従って評価した。その結果を帯状可撓性支持体から第1の絶縁層の上端部までの高さ(下記表1において「高さH1」と表示)(μm)、帯状可撓性支持体から第2の絶縁層の上端部までの高さ(下記表1において「高さH2」と表示)(μm)、帯状可撓性支持体から有機半導体層の上端の高さ(下記表1において「高さH3」と表示)(μm)、少なくとも2つ形成した第1の絶縁層の距離(下記表1において「距離L」と表示)(mm)とともに表1に示す。
(擦り傷の評価方法)
巻き始めより10mの箇所から有機膜の面積30cm×300cm分サンプリングし、8倍のルーペにより目視で長さ約100μmの擦り傷の数を計測した。10枚の擦り傷の数の平均値を計測した。
(擦り傷の評価ランク)
○:擦り傷の数の平均値数が10個以下であった。
×:擦り傷の数の平均値数が10個を超えた。
(デバイスの発光収率)
デバイスに電圧を印加し、目視で傷が見えずに発光するか否かを確認した。その際に、デバイスの発光収率として、下記のようにランクをつけた。
(デバイスの発光収率ランク)
◎:50デバイス中、発光したのは45デバイス以上であった。
○:50デバイス中、発光したのは40デバイス以上45デバイス未満であった。
×:50デバイス中、発光したのは40デバイス未満であった。
Figure 2013229258
表1に示すように、サンプル1〜3、9は、本発明の要件を満たしていたので、擦り傷の評価及びデバイスの発光収率が良好(○)であった。なお、サンプル1、3、9は、高さH1と距離Lの関係が3000×H1≧Lを満たし、高さH1、高さH2、高さH3の関係が、高さH1>高さH2>高さH3を満たしていたので、デバイスの発光収率が特に良好(◎)であった。
これに対し、サンプル4、5は、高さH1と高さH2の高さが同じであり、本発明の要件を満たさなかったので、擦り傷の評価及びデバイスの発光収率が不良(×)となった。
また、サンプル6は、距離Lが開き過ぎていたため、擦り傷の評価及びデバイスの発光収率が不良(×)となった。
サンプル7は、高さH1よりも高さH2の方が高かったため、第2の電極層が断線し、デバイスの発光収率が不良(×)となった。
サンプル8は、第2の絶縁層を帯状可撓性支持体上において逆テーパ状を呈するように形成したため、第2の電極層が断線し、デバイスの発光収率が不良(×)となった。
10 有機半導体素子
11 帯状可撓性支持体
12 第1の電極層
13 有機半導体層
14 第2の電極層
15 第1の絶縁層
16 第2の絶縁層

Claims (16)

  1. 帯状可撓性支持体の上に、第1の電極層と、有機半導体層と、第2の電極層と、がこの順で形成された有機半導体素子であって、
    前記帯状可撓性支持体及び前記第1の電極層の少なくとも一方に、前記帯状可撓性支持体の長手方向に沿って少なくとも2つ形成された第1の絶縁層と、
    前記長手方向に沿って前記第1の絶縁層の間に少なくとも1つ形成された第2の絶縁層と、を備えており、
    前記第2の絶縁層の高さは、前記第1の絶縁層のうち少なくとも1つの絶縁層の高さよりも低い
    ことを特徴とする有機半導体素子。
  2. 請求項1に記載の有機半導体素子であって、
    前記少なくとも2つの第1の絶縁層は、前記帯状可撓性支持体の幅手方向両端部にそれぞれ形成されていることを特徴とする有機半導体素子。
  3. 請求項1または2に記載の有機半導体素子であって、
    前記第1の絶縁層の少なくとも1つは、前記第1の電極層に接触して形成されていることを特徴とする有機半導体素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の有機半導体素子であって、
    前記帯状可撓性支持体から前記第1の絶縁層の上端部までの高さH1と、2つ以上形成されているうちの最も離間した前記第1の絶縁層の間の距離Lが、3000×H1≧Lの関係を満たすことを特徴とする有機半導体素子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の有機半導体素子であって、
    前記帯状可撓性支持体から前記第1の絶縁層の上端部までの高さH1と、前記帯状可撓性支持体から前記第2の絶縁層の上端部までの高さH2と、前記帯状可撓性支持体から前記有機半導体層の上端の高さH3とが、H1>H2>H3の関係を満たすことを特徴とする有機半導体素子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の有機半導体素子であって、
    前記第2の絶縁層は、前記帯状可撓性支持体の表面と前記第2の絶縁層の側壁との成す角度θが鈍角乃至直角であり、頂部が切頂形状又は丸みを帯びた形状であることを特徴とする有機半導体素子。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の有機半導体素子であって、
    前記有機半導体層が低分子量の発光材料を含んでなる発光層を含むことを特徴とする有機半導体素子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の有機半導体素子であって、
    ロールツーロール方式又はロールツーシート方式にて製造されたことを特徴とする有機半導体素子。
  9. 帯状可撓性支持体の上に、第1の電極層と、有機半導体層と、第2の電極層と、がこの順で形成された有機半導体素子の製造方法であって、
    前記帯状可撓性支持体及び前記第1の電極層の少なくとも一方に、前記帯状可撓性支持体の長手方向に沿って、少なくとも2つの第1の絶縁層と、前記帯状可撓性支持体上に、前記帯状可撓性支持体の長手方向に沿って前記少なくとも2つの第1の絶縁層の間に配置されるように、且つ前記第2の絶縁層の高さは、前記第1の絶縁層のうち少なくとも1つの絶縁層の高さよりも低くなるように形成する絶縁層形成工程を含む
    ことを特徴とする有機半導体素子製造方法。
  10. 請求項9に記載の有機半導体素子製造方法であって、
    前記少なくとも2つの第1の絶縁層を、前記帯状可撓性支持体の幅手方向両端部にそれぞれ形成することを特徴とする有機半導体素子製造方法。
  11. 請求項9または10に記載の有機半導体素子製造方法であって、
    前記第1の絶縁層の少なくとも1つを、前記第1の電極層に接触して形成することを特徴とする有機半導体素子製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、
    前記帯状可撓性支持体から前記第1の絶縁層の上端部までの高さH1と、2つ以上形成されているうちの最も離間した前記第1の絶縁層の間の距離Lが、3000×H1≧Lの関係を満たすことを特徴とする有機半導体素子製造方法。
  13. 請求項9〜12のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、
    前記帯状可撓性支持体から前記第1の絶縁層の上端部までの高さH1と、前記帯状可撓性支持体から前記第2の絶縁層の上端部までの高さH2と、前記帯状可撓性支持体から前記有機半導体層の上端の高さH3とが、H1>H2>H3の関係を満たすことを特徴とする有機半導体素子製造方法。
  14. 請求項9〜13のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、
    前記第2の絶縁層は、前記帯状可撓性支持体の表面と前記第2の絶縁層の側壁との成す角度θを鈍角乃至直角に形成するとともに、頂部を切頂形状又は丸みを帯びた形状に形成することを特徴とする有機半導体素子製造方法。
  15. 請求項9〜14のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、
    前記有機半導体層が低分子量の発光材料を含んでなる発光層を含むことを特徴とする有機半導体素子製造方法。
  16. 請求項9〜15のいずれかに記載の有機半導体素子製造方法であって、
    ロールツーロール方式又はロールツーシート方式にて製造することを特徴とする有機半導体素子製造方法。
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