JP2017020347A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気中に還元剤(燃料など)を添加するように添加弁38が配設されているエンジン1において、その添加弁38の噴孔38d周りにおけるデポジットの堆積を抑制し、詰まり防止噴射による燃料の無駄を削減しながら、噴孔の閉塞を回避する。【解決手段】添加弁38による還元剤の添加が終了した後の所定期間、排気中のスートが減少するように所定の制御パラメータを変更する(ステップST2:スート抑制制御手段)。例えばEGR装置7による排気の還流量を少なくする。このように制御パラメータを変更するスート抑制制御の期間は、添加弁38の噴孔38dないしその周辺の温度が低いほど、長くする(ステップST6,ST7)。【選択図】図4
Description
本発明は、排気中に還元剤を添加するように添加弁が配設されている内燃機関に関連し、特にその添加弁の噴孔の詰まりを抑制するための制御を行う制御装置に係る。
従来より、例えば車両に搭載されるディーゼルエンジン(内燃機関)においては、排気中の窒素酸化物(以下、NOx)を浄化するための触媒や粒子状物質(Particulate Matter:以下、PM)を捕集するフィルタなどを備えたものが知られている。このような触媒やフィルタなど排気の後処理装置は、NOxやPMの捕集量が多くなるに連れて、浄化性能が低下する。
そこで、例えば特許文献1に記載されているように、NOx吸蔵還元型の触媒に対しては、排気中に還元剤として燃料を添加することにより、吸蔵されているNOxを還元する再生制御が行われる。また、フィルタに対しても、排気中に燃料を添加して燃焼させることにより、フィルタに捕集されているPMを燃焼させる再生制御が行われる。
ところで、前記のように排気中に燃料を添加するために、前記従来例では排気通路に臨んで添加弁が配設されており、その先端の噴孔周りに排気中のPMが付着するなどして、噴孔を塞ぐようにデポジットが堆積するおそれがある。こうなると、噴孔から噴出する燃料の添加量が少なくなってしまい、前記のような再生制御を狙い通りには行えなくなるおそれがある。
これに対し前記従来例では、再生制御を行う間隔が過度に長くならないように、前回の再生制御において添加が終了した時点から所定時間が経過すれば、強制的に燃料を添加することによって、噴孔周りのデポジットの堆積を抑制するようにしている(以下、詰まり防止噴射という)。しかし、このようにデポジットの堆積を抑制するためだけに燃料の添加を行うのは如何にも無駄であり、改善の余地が残されている。
このような点を考慮して本発明の目的は、排気通路に配設されている添加弁の噴孔周りにおけるデポジットの堆積を抑制し、詰まり防止噴射による燃料の無駄を削減しながら、噴孔の閉塞を回避することにある。
前記の目的を達成するために本発明の発明者は、添加弁の噴孔周りにおけるデポジットの堆積について鋭意、実験および研究した結果、排気中への燃料の添加を終了した後も暫くは添加弁の噴孔内に燃料が残留しており、この燃料に排気中のPM(主にスート)が混入することによって、デポジットが生成するという新規な知見を得た。
かかる新規な知見に基づいてなされた本発明は、排気中に還元剤を添加するように添加弁が配設されている内燃機関の制御装置を対象とする。そして、その添加弁による還元剤の添加が終了した後の所定期間、排気中のスートが減少するように内燃機関の所定の制御パラメータを変更するスート抑制制御手段を備えており、このスート抑制制御手段は、前記添加弁の噴孔ないしその周辺の温度が低いほど、前記制御パラメータを変更する期間を長くするものとした。なお、前記のように添加弁から還元剤を添加する場合としては、従来例のような触媒やフィルタなどの再生制御が挙げられる。
前記の構成により、内燃機関の運転中に添加弁による排気中への還元剤の添加が終了した後に所定期間、即ち、添加弁の噴孔内に燃料が残留している間、スート抑制制御手段によって排気中のスートが減少するように所定の制御パラメータが変更される(以下、スート抑制制御ともいう)。これにより、添加弁の噴孔内に燃料が残留していても、この燃料に混入するスートの量は少なくなるので、デポジットの生成、堆積が抑制される。
ここで、添加弁の噴孔内の温度が低いほど、そこに残留する燃料は蒸発し難くなるが、これに応じて前記のスート抑制制御の期間が長くなるので、残留する燃料に排気中のスートが混入することをより確実に抑制できる。一方、添加弁の温度が高いほど、そこに残留する燃料は蒸発し易くなり、スート抑制制御を行う期間は短くなる。よって、スートの減少のために内燃機関の制御パラメータを変更することに伴い不具合が発生しても、これは最小限に留めることができる。
なお、前記のように添加弁の噴孔内に残留する燃料が蒸発するまでの時間は、その噴孔ないしその周辺の温度に対応するものであり、この温度は、例えば排気通路に配設された排気温度センサからの信号に基づいて推定することができる。この場合、排気の流量についても加味することが好ましい。さらに、内燃機関の負荷、機関回転数および冷却水温などをパラメータとして、予め実験などにより設定したマップから噴孔ないしその周辺の温度を算出するようにしてもよい。
前記スート抑制制御において変更する内燃機関の制御パラメータとしては、例えばEGR量や燃料の噴射時期、噴射圧、噴射率などが挙げられる。すなわち、排気の一部を吸気系に還流させるEGR装置と、この排気の還流量を内燃機関の運転状態に応じて制御するEGR制御手段と、を備えている場合に、スート抑制制御手段は、EGR制御手段によって制御される排気の還流量を少なくなるように変更するものとすればよい。こうすれば、還流される排気の減少によって燃焼速度が高まり、スートの生成が抑制される。
また、内燃機関の運転状態に応じて燃料噴射時期を制御する燃料噴射制御手段を備えている場合に、スート抑制制御手段は、燃料噴射制御手段によって制御される燃料の噴射時期を進角側に変更するものとしてもよい。このことによっても燃焼速度が高まり、スートの生成が抑制される。同様に燃料の噴射圧を高めることによっても、燃焼速度を高めることができ、また、メイン噴射の後のアフタ噴射量を増量することによって、一旦、生成したスートの再燃焼を促すことができる。
本発明に係る内燃機関の制御装置によると、例えば触媒やフィルタなどの再生制御のために添加弁から還元剤を排気中に添加した後、所定期間はスート抑制制御を行って、排気中のスートを減少させることにより、添加弁の噴孔内に残留する燃料と排気中のスートとが混ざり合い難くなって、噴孔周りのデポジットの堆積を抑制できる。そして、そのスート抑制制御の期間を添加弁の噴孔ないしその周辺の温度に応じて変更することで、内燃機関の制御パラメータの変更に伴う不具合は最小限に留めることができる。
以下、本発明を車両に搭載されたコモンレール式の多気筒(例えば直列4気筒)ディーゼルエンジン(内燃機関)に適用した実施の形態について説明する。
−エンジンの構成−
まず、本実施の形態に係るディーゼルエンジンの概略構成を、図1を参照して説明すると、このエンジン1は、各気筒1a内におけるピストンの往復動作によって、クランクシャフトが回転されるレシプロエンジンであり、このクランクシャフトの回転数(エンジン回転数)を検出するためのクランク角センサ31を備えている。また、各気筒1a毎に配設されたインジェクタ2が高圧燃料系のコモンレール11に接続されて、燃料の供給を受けるようになっている。
まず、本実施の形態に係るディーゼルエンジンの概略構成を、図1を参照して説明すると、このエンジン1は、各気筒1a内におけるピストンの往復動作によって、クランクシャフトが回転されるレシプロエンジンであり、このクランクシャフトの回転数(エンジン回転数)を検出するためのクランク角センサ31を備えている。また、各気筒1a毎に配設されたインジェクタ2が高圧燃料系のコモンレール11に接続されて、燃料の供給を受けるようになっている。
コモンレール11は、サプライポンプ10から吐出される高圧の燃料を一時的に蓄えて、その吐出圧の変動を緩和しつつ各インジェクタ2に分配する。コモンレール11には、燃料の圧力を検出するための燃圧センサ34が配設されており、その検出値に基づいてサプライポンプ10からの燃料の吐出量を調整することで、燃料の圧力が制御される。インジェクタ2は、気筒1a内に直接、燃料を噴射するように配置されており、その動作によって燃料の噴射量、噴射時期および噴射率が制御される。
エンジン1には吸気通路3および排気通路4が接続されている。吸気通路3には、吸気の流れの上流側から下流側に向かって順に、エアクリーナ9、エアフローメータ32、ターボチャージャ6のコンプレッサ61、インタークーラ8およびスロットルバルブ5などが配設されている。また、スロットルバルブ5の開度(スロットル開度)を検出するためのスロットル開度センサ33が配設されている。このスロットルバルブ5の下流側の吸気通路3は、エンジン1の各気筒1aに分かれて吸気の流れを分配する吸気マニホールド3aである。
一方、排気通路4は、エンジン1の各気筒1aに繋がる排気マニホールド4aにおいて複数の気筒1aからの排気の流れを集合させる。排気マニホールド4aよりも下流側の排気通路4には、ターボチャージャ6のタービン62と排気の後処理装置とが配置されている。この後処理装置は、例えば酸化触媒やNOx吸蔵触媒などの触媒21と、排気中に含まれる粒子状物質(Particulate Matter:以下、PMと称する)を捕集するフィルタ(Diesel Particulate Filter:以下、DPFと称する)22とからなる。
また、触媒21よりも上流側(排気の流れの上流側)の排気通路4には、排気流量センサ36と排気温センサ37とが配設されているとともに、触媒21に流入する排気中に燃料を添加するように、図示しない低圧燃料系に接続された添加弁38(図3にも示す)が配設されている。一方、DPF22よりも下流側(排気の流れの下流側)の排気通路4にはA/Fセンサ39が配置されており、また、DPF22には、その上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検出する差圧センサ40が配設されており、その検出値に基づいてDPF22におけるPMの捕集量を推定することができる。
加えて、本実施の形態のエンジン1には、排気通路4から吸気通路3に排気の一部を還流させるEGR装置7が装備されている。一例としてEGR装置7は、吸気マニホールド3aと排気マニホールド4aとを接続するEGR通路71と、その排気の還流量を調整するEGRバルブ72と、EGRクーラ73と、を備えている。そのEGRバルブ72の開度を調整することで、排気の還流量が制御される。
−ECU−
ECU(Electronic Control Unit)100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAMなどを備えた公知のものである。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて、種々の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶し、バックアップRAMは、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
ECU(Electronic Control Unit)100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAMなどを備えた公知のものである。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて、種々の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶し、バックアップRAMは、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
ECU100には、前記のクランク角センサ31、エアフローメータ32、スロットル開度センサ33、燃圧センサ34、排気流量センサ36、排気温センサ37、A/Fセンサ39、差圧センサ40の他に、図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ41も接続されている。
一方、ECU100には、前記のインジェクタ2、サプライポンプ10、スロットルバルブ5の駆動モータ51、添加弁38、EGRバルブ72のアクチュエータなどが接続されている。そして、ECU100は、前記の各種センサからの信号などに基づいて種々の制御プログラムを実行することにより、スロットルバルブ5の開度制御、インジェクタ2による燃料の噴射制御、および、EGRバルブ72の開度の制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
例えばECU100は、インジェクタ2の動作を制御して、燃料の噴射量や噴射時期、噴射率などを制御する。一例として図2に模式的に示すように、主としてトルク発生に寄与するメイン噴射の前にパイロット噴射やプレ噴射と言われる副噴射を行ったり、或いはメイン噴射の後でアフタ噴射と言われる副噴射を行ったりする。アフタ噴射は、気筒1aの膨張行程において、噴射された燃料の大部分が燃焼するようなタイミングで行われる。
また、ECU100は、以下に説明するように、DPF22に捕集されているPMの量が或る程度以上、多くなって、通気抵抗が所定以上に大きくなったと判断すれば、添加弁38により排気中に燃料を添加して燃焼させることにより、DPF22の床温を上昇させる。これにより、DPF22に捕集されているPMが燃焼して除去されるようになり、そのフィルタとしての機能が回復する(再生制御)。
−DPFの再生制御−
次に、DPF22の再生制御について説明する。前記の如くエンジン1の排気通路4に配設されたDPF22は、エンジン1の運転中に排気中に含まれるPMを捕集するが、この捕集量が多くなると、徐々に排気の通気抵抗が大きくなってゆく。これに伴ってDPF22の上流側の排気圧力と下流側の排気圧力との差圧が大きくなるので、この差圧からDPF22のPM捕集量を推定することができる。
次に、DPF22の再生制御について説明する。前記の如くエンジン1の排気通路4に配設されたDPF22は、エンジン1の運転中に排気中に含まれるPMを捕集するが、この捕集量が多くなると、徐々に排気の通気抵抗が大きくなってゆく。これに伴ってDPF22の上流側の排気圧力と下流側の排気圧力との差圧が大きくなるので、この差圧からDPF22のPM捕集量を推定することができる。
すなわち、本実施の形態ではECU100は、差圧センサ40の出力信号に基づいてマップを参照し、DPF22におけるPMの捕集量を推定する。なお、このPM捕集量の推定に用いるマップは、DPF22前後の差圧とPMの捕集量との相関関係を考慮して、実験などによって適合した値をマップ化したものであって、例えば、ECU100のROMに記憶されている。
ECU100は、推定したPMの捕集量が所定の閾値(所定量)に達すれば、添加弁38によって排気中に燃料を添加することにより、排気温度を上昇させて、DPF22の昇温を図る。エンジン1の排気中には酸素が残存しているので、ここに添加された燃料は排気とともに触媒21に流入して燃焼し、その発熱によって高温になった排気がDPF22の床温を上昇させるのである。
そうして上昇するDPF22の床温が、PMの燃焼するような所定温度(例えば590℃)以上になると、DPF22に捕集されているPMが燃焼を始め、この燃焼に伴う発熱によってDPF22の温度がさらに上昇する。このような状態を所定の時間、維持することによって捕集したPMを燃焼させて除去することができる。これにより、排気中のPMを捕集するというDPF22の機能を再生することができる。
ところで、前記のように排気通路4には添加弁38が配設されており、その先端の噴孔周りにデポジットが堆積すると、噴孔から噴出する燃料の量が少なくなってしまい、前記の再生制御を狙い通りに行えなくなるおそれがある。すなわち、図3には拡大して断面で示すように、添加弁38のノズルの先端部には半球状のサック室38aが形成され、その開口の周縁部には、円錐状のニードル弁38bが着座する(コーン状の)シート部38cが形成されている。
そして、添加弁38によって燃料を添加した後に、図3の上側に示すようにニードル弁38bがシート部38cに着座した状態では、サック室38aおよびこれに連通する噴孔38dの内部に燃料(クロスハッチで示す)が残留する。こうして残留する燃料は噴孔38dの内壁面や高温の排気から受熱して、蒸発するようになるが、添加弁38による燃料の添加が終了した後の所定期間は、噴孔38d内に留まる。
そのため、前記の所定期間において排気中に含まれているPM、特にスートSが噴孔38d内に入り込んで、残留している燃料に混入することになり、この燃料が酸化することによってスートSの周囲には粘着性の層が形成される。こうなると、その後、図3の下側に示すように燃料が蒸発した場合に、スートSが噴孔38dの内壁面に付着して、デポジットとして堆積すると考えられる。
つまり、添加弁38によって排気の流れに燃料を添加した後に、その噴孔38d内に残留する燃料が蒸発するまでの所定期間において、この燃料に排気中のスートSが混入することによって、デポジットの生成、堆積が助長されるのである。そこで、本実施の形態では、前記の所定期間、排気中のスートSが減少するようにエンジン1の制御パラメータを変更することにより、デポジットの生成、堆積を抑制するようにしている。
−具体的な制御の手順−
以下、本実施の形態の再生制御の具体的な手順について、図4のフローチャートおよび図5のタイミングチャートを参照して説明する。この制御はエンジン1の運転中に所定のタイミングで実行される。
以下、本実施の形態の再生制御の具体的な手順について、図4のフローチャートおよび図5のタイミングチャートを参照して説明する。この制御はエンジン1の運転中に所定のタイミングで実行される。
まず、図4のフローのステップST1において再生制御の要求があるか否か判定する。これは、予め設定されている制御開始条件が成立しているかどうかで判定され、例えば、DPF22におけるPMの捕集量の推定値が所定の閾値(所定量)に達すれば、再生制御の要求があると判定する。なお、PMの捕集量の推定は、前記のようにDPF22の差圧センサ40の出力信号に基づいて、マップを参照して算出すればよい。
そして、再生制御の要求がなく、ステップST1で否定判定(NO)すればリターンする一方、DPF22におけるPMの捕集量が前記の閾値以上になっていて、ステップST1で肯定判定(YES)すれば、ステップST2に進んで、DPF2の再生制御を開始するとともに、以下に説明するスート抑制制御の実行フラグをオンにして、EGR装置7による排気の還流量が少なくなるようにする。
すなわち、本実施の形態のスート抑制制御は、ECU100においてエンジン1の運転状態に応じて決定される基本的なEGRバルブ72の開度目標値を、予め設定した所定値だけ小さくなるように変更して、排気の還流量を減少させる。前記の基本的なEGRバルブ72の開度目標値は、気筒1a内で燃料が燃焼する際に生成するNOxおよびPMのバランスを最適化するように設定されており、これを減少させることによって燃焼速度が高まり、スートの生成が抑制されるようになる。
続いてステップST3において、添加弁38による排気中への燃料の添加を開始する。すなわち、図5のタイミングチャートに示すように時刻t1において、燃料添加およびスート抑制制御の実行フラグが何れもONになると、添加弁38による燃料の噴射動作が所定の間隔で繰り返し行われ、排気の流れに燃料を添加するようになる。この噴射動作による1回の噴射量およびその間隔は、燃料が排気中に好適に分散するように予め設定されている。
そして、前記のように排気中に添加され、分散した燃料が燃焼することによって、DPF22の温度が上昇してゆくので、図4のフローのステップST4において、DPF22の温度がPMの燃焼する所定温度以上になったか否か判定する。この判定が否定判定(NO)であればステップST3に戻って排気中への燃料の添加を継続するとともに、ステップST4におけるDPF22の温度の判定を繰り返す。
そして、DPF22の温度がPMの燃焼する所定温度以上になり、ステップST4において肯定判定すれば(YES)、ステップST5に進んで、添加弁38による燃料の添加を終了する。これにより、図5のタイミングチャートの時刻t2において燃料添加の実行フラグがOFFになり、添加弁38の噴射動作は停止される。なお、DPF22の温度については排気流量センサ36および排気温センサ37による検出値に基づいて算出すればよい。
また、図4のフローのステップST6に示すように、ECU100は、添加弁38の噴孔38d内に残留する燃料の量を算出する。図3を参照して上述したように添加弁38のサック室38aおよび噴孔38dの内部には燃料が残留しているが、本実施の形態では、一例として噴孔38dの内容積を燃料の残留量の初期値として算出する。そして、時間の経過に応じて燃料が蒸発し、減少する分を初期値から減算して、残留量を算出する。
すなわち、噴孔38d内に残留する燃料はその内壁面や高温の排気から受熱して蒸発するので、図6に一例を示すように、添加弁38のノズル先端部の温度(噴孔38dないしその周辺の温度)が高いほど、噴孔38d内の全ての燃料が蒸発する時間が短くなる。そこで、このようなノズル先端部の温度と蒸発時間との相関を実験などによって調べて、予めテーブルに設定しておき、このテーブルを参照して前記ステップST6では、燃料の残留量を算出すればよい。
なお、添加弁38のノズル先端部の温度は、排気流量センサ36および排気温センサ37による検出値に基づいて推定することができる。すなわち、排気の温度および流量をパラメータとして、対応するノズル先端部の温度を予め実験などによって調べてマップに設定しておき、このマップを参照して温度を算出するようにすればよい。また、エンジン1の負荷、機関回転数および冷却水温などをパラメータとして、前記のようなマップを作成しておき、このマップを参照して温度を算出するようにしてもよい。
続いてステップST7では、前記のように算出した残留量に基づいて、添加弁38の噴孔38d内に燃料が残留しているか否か判定する。算出した残留量が所定の判定値(零(0)に近い値に設定すればよい)以上であれば、燃料が残留していると肯定判定(YES)し、前記ステップST6に戻って再び燃料の残留量を算出する。こうして噴孔38d内の燃料の残留判定を繰り返す間に、図5のタイミングチャートに示すように時間の経過に応じて徐々に燃料の残留量は減少してゆく。
そして、同タイミングチャートに示す時刻t3において燃料の残留量が前記判定値(図の例では略零(0))になると、前記のステップST7において否定判定し(NO)、ステップST8に進んでスート抑制制御の実行フラグをOFFにした後に、制御を終了する(エンド)。つまり、本実施の形態では、DPF22の再生制御において添加弁38による添加が終了した後の所定期間、EGR装置7による排気の還流量を減量させることによって、排気中のスートを減少させるようにしている。
前記図4のフローのステップST2,ST6〜ST8を実行することによりECU100は、添加弁38による燃料(還元剤)の添加が終了した後の所定期間、排気中のスートが減少するようにEGR装置7による排気の還流量(所定の制御パラメータ)を変更するスート抑制制御手段を構成する。本実施の形態においては、添加弁38の噴孔38dないしその周辺の温度が低いほど、スート抑制制御の期間が長くなる。
以上、説明したように本実施の形態に係るエンジン1の制御装置によると、排気通路4に配設されているDPF22の再生制御のために、添加弁38から燃料を排気中に添加する場合に、その添加の終了後、所定期間はスート抑制制御を行って、排気中のスートを減少させるようにしている。このため、添加弁38の噴孔38d内に残留する燃料に混入するスートの量が少なくなって、噴孔38d周りのデポジットの生成、堆積が抑制される。
図7は、噴孔38d周りに堆積するデポジットによって、添加弁38による燃料噴射量が経時的に減少してゆく様子を調べた実験結果のグラフ図である。この実験では、排気中のスートの濃度を変化させて、例えば24時間運転した後の添加弁38による燃料噴射量の変化率、即ち運転前の燃料噴射量に対する運転後の燃料噴射量の割合を調べている。図示のように、スートの濃度が15%のときに比べて5%のときの噴射量の変化率はかなり小さくなっており、噴孔38d周りのデポジットの堆積が抑制されていることが分かる。
また、前記実施の形態では、そのように排気中のスートを減少させる期間を、添加弁38の噴孔38dないしその周辺の温度に応じて変更するようにしている。噴孔38d内に残留する燃料は、温度が低いほど蒸発し難いので、これに応じてスート抑制制御の期間を長くすることにより、残留する燃料に排気中のスートが混入することを、より確実に抑制できる。
一方、添加弁38の噴孔38dないしその周辺の温度が高いほど、そこに残留する燃料は蒸発し易くなり、スート抑制制御の期間は短くなるから、スートの減少のために排気の乾留量を減少させることに伴い、例えばNOxの生成量の増大などの不具合が生じたとしても、その影響は最小限に留めることができる。なお、燃焼に際して生成するNOxの量が短時間、増大しても、排気は触媒21によって処理されるので、エミッションの悪化する心配はない。
−他の実施形態−
以上、説明した実施の形態では、図4のフローのステップST2,ST6〜ST8におけるスート抑制制御として、EGRバルブ72の開度を減少させて、排気の還流量を減少させるようにしているが、これには限定されない。スート抑制制御において排気中のスートを減少させるために変更する制御パラメータは、EGR量以外にも例えば燃料の噴射時期、噴射圧、噴射率などが挙げられる。
以上、説明した実施の形態では、図4のフローのステップST2,ST6〜ST8におけるスート抑制制御として、EGRバルブ72の開度を減少させて、排気の還流量を減少させるようにしているが、これには限定されない。スート抑制制御において排気中のスートを減少させるために変更する制御パラメータは、EGR量以外にも例えば燃料の噴射時期、噴射圧、噴射率などが挙げられる。
例えば、エンジン1の運転状態に応じて制御される基本的な燃料噴射時期(例えばメイン噴射の時期)を、予め設定した所定値だけ進角側に変更するようにしてもよい。前記の基本的なメイン噴射の時期は、気筒1a内での燃焼に際して生成するNOxおよびPMのバランスを最適化するように設定されており、これを進角させることによって燃焼速度を高め、スートの生成を抑制することができる。
同様に、エンジン1の運転状態に応じて制御される基本的な燃料の圧力を、予め設定した所定値だけ高くすることで、インジェクタ2からの燃料噴霧の微粒化を促進し、燃焼速度を高めるようにしてもよい。また、エンジン1の運転状態に応じて制御される基本的なアフタ噴射量を、予め設定した所定量だけ増量するようにしてもよく(図2に破線で示す)、こうすれば、メイン噴射された燃料の燃焼によって生成したスートの再燃焼を促すことができる。
さらに、前記実施の形態では、DPF22の再生制御においてスート抑制制御を行う場合について説明したが、これにも限定されず、例えば触媒21がNOx吸蔵触媒である場合は、その再生制御(NOx還元制御および硫黄被毒の再生制御など)においてスート抑制制御を行うようにしてもよい。また、触媒21が選択還元触媒であって、これを再生させるために添加弁から燃料ではなく、尿素水を添加するようにしたシステムにおいても、本発明を適用することができる。
さらにまた、前記実施の形態では、車両に搭載されたコモンレール式の筒内直噴型多気筒ディーゼルエンジン1に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、車両以外に使用されるエンジンにも適用可能であり、排気通路に添加弁が配設されたエンジンであれば、ガソリンやアルコール燃料のエンジン、さらにはガスエンジンに対して適用することができる。
本発明は、排気通路に配設された添加弁の噴孔周りにおけるデポジットの堆積を抑制し、その噴孔の閉塞による不具合を回避できるものなので、特に車両に搭載されるディーゼルエンジンに適用して有益である。
1 ディーゼルエンジン(内燃機関)
4 排気通路
7 EGR装置
38 添加弁
38d 噴孔
100 ECU(スート抑制制御手段、EGR制御手段、燃料噴射制御手段)
4 排気通路
7 EGR装置
38 添加弁
38d 噴孔
100 ECU(スート抑制制御手段、EGR制御手段、燃料噴射制御手段)
Claims (3)
- 排気中に還元剤を添加するように添加弁が配設されている内燃機関の制御装置であって、
前記添加弁による還元剤の添加が終了した後の所定期間、排気中のスートが減少するように前記内燃機関の所定の制御パラメータを変更するスート抑制制御手段を備えており、
前記スート抑制制御手段は、前記添加弁の噴孔ないしその周辺の温度が低いほど、前記制御パラメータを変更する期間を長くするものである、内燃機関の制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
排気の一部を吸気系に還流させるEGR装置と、この排気の還流量を内燃機関の運転状態に応じて制御するEGR制御手段と、を備え、
前記スート抑制制御手段は、前記EGR制御手段によって制御される排気の還流量を少なくなるように変更する、内燃機関の制御装置。 - 請求項1または2のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、
内燃機関の運転状態に応じて燃料噴射時期を制御する燃料噴射制御手段を備え、
前記スート抑制制御手段は、前記燃料噴射制御手段によって制御される燃料の噴射時期を進角側に変更する、内燃機関の制御装置。
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