JP2009144553A - 内燃機関の排気燃料添加制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】FTD燃料を燃料として用いる場合であっても、燃費の悪化を抑制することができる内燃機関の排気燃料添加制御装置を提供する。
【解決手段】本実施例に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したエンジンシステムでは、燃料性状検出装置において、燃料性状を検出する工程(ステップS11)と、給油後の燃料にFTD燃料が混合されているか否かを判定する工程(ステップS12)と、給油後の燃料のFTD燃料の混合比率を算出する工程(ステップS13)と、燃料中のFTD燃料の混合比率に応じて、排気燃料添加弁のつまり防止制御手段における排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間を延長する工程(ステップS14)と、排気燃料添加制御を実施する工程(ステップS15)とからなる。FTD燃料が混合されている場合、算出したFTD燃料の混合比率に応じて添加無し期間を延長し、適切な排気添加を行うことで、燃費の悪化を防ぐ。
【選択図】図2
【解決手段】本実施例に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したエンジンシステムでは、燃料性状検出装置において、燃料性状を検出する工程(ステップS11)と、給油後の燃料にFTD燃料が混合されているか否かを判定する工程(ステップS12)と、給油後の燃料のFTD燃料の混合比率を算出する工程(ステップS13)と、燃料中のFTD燃料の混合比率に応じて、排気燃料添加弁のつまり防止制御手段における排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間を延長する工程(ステップS14)と、排気燃料添加制御を実施する工程(ステップS15)とからなる。FTD燃料が混合されている場合、算出したFTD燃料の混合比率に応じて添加無し期間を延長し、適切な排気添加を行うことで、燃費の悪化を防ぐ。
【選択図】図2
Description
この発明は、排気燃料添加弁を備え、燃料として軽油とFTD燃料とを単独でまたは混合した燃料を使用可能な内燃機関の排気燃料添加制御装置に関し、特に、FTD燃料が検出された排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間を軽油使用時よりも延長することができる内燃機関の排気燃料添加制御装置に関する。
近年、自動車等に搭載される内燃機関では、排気エミッションを向上させることが要求されている。すなわち、内燃機関から排気ガスを大気中に放出する前に、排気ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)等のガス成分を浄化若しくは除去することを要求されている。
ディーゼルエンジンや、希薄燃焼可能なガソリンエンジンでは、高い空燃比(リーン雰囲気)の混合気を燃焼に供して機関運転を行う運転領域が、全運転領域の大部分を占める。この種のエンジンでは一般に、リーン雰囲気でNOxを吸収することのできるNOx触媒が排気系に備えられている。
NOx触媒は、排気中の還元成分濃度が低い状態ではNOxを吸収し、排気中の還元成分濃度が高い状態ではNOxを放出する特性を有している。排気中に放出されたNOxは、排気中にHCやCO等の還元成分が存在していれば、それらと速やかに反応して窒素に還元される。
また、NOx触媒が吸蔵できるNOxの量には限界量(飽和量)が存在し、当該触媒がその飽和量を上回るNOxを吸蔵している場合には、排気中の還元成分濃度が低い状態にあってもそれ以上NOxを吸収しなくなる。
そこで、従来の内燃機関の排気浄化装置にあっては、内燃機関の排気系に還元剤(内燃機関の燃料の一部)を供給するための排気燃料添加弁を備え、当該NOx触媒のNOx吸蔵量が所定量に達する前に、当該NOx触媒に流入する排気に還元剤としての燃料を所定インターバルで繰り返し添加する排気燃料添加制御が行われている(特許文献1参照)。
このように排気燃料添加弁を通じて排気系に所定タイミングで還元剤が供給されると、その還元剤は排気中の還元成分濃度を高め、NOx触媒に吸蔵されているNOxを放出および還元浄化するとともに、NOx触媒のNOx吸収能力を回復させる。したがって、NOx触媒に流入する排気中の還元成分を所望の時期に増量することができ、NOx触媒の排気浄化効率を常に高く維持することが可能となる。
特に、軽油を燃料とする圧縮着火式のディーゼルエンジンでは、上記CO、HC、NOx等に加え、排気ガス中に含まれる煤や、SOF(Solbule Organic Fraction)等の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を浄化若しくは除去することを要求されている。
したがって、上記排気燃料添加弁の噴孔がデポジットによって詰まることは、これらの排気浄化作用に重大な支障を来すこととなるため、排気燃料添加弁の詰まりを抑制するための種々の技術が提供されている。
たとえば、内燃機関の排気通路に設けられ還元剤の存在下で窒素酸化物を還元するNOx触媒と、NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給装置と、還元剤供給装置の噴射孔の詰まる時期を推定する詰まり推定手段と、詰まり推定手段により推定された詰まり時期よりも前に噴射孔の詰まりを抑制するための還元剤を少量噴射させる詰まり抑制手段と、を備え、還元剤が固化すると推定された時期以前に還元剤を噴射させて還元剤供給装置の詰まりを抑制するものである(たとえば、特許文献2参照)。
また、近年では、エネルギー対策や環境対策等の観点から、ガソリンや軽油等の標準燃料に対する代替燃料として、FTD(フィッシャートロプシュディーゼル)燃料、いわゆるバイオ燃料等の含酸素燃料も注目されており、バイオ燃料に軽油を混合したバイオ軽油が市場に導入されつつあり、これらの燃料を使用可能な内燃機関の開発も要請されている。
ここで、FTD燃料とは、石油、天然ガス、石炭、バイオマス等から合成ガス化処理を経て化学的に合成(FT合成)される軽油状の燃料であり、いわゆる炭化水素を合成した燃料である。FTD燃料は、例えば天然ガスからつくったGTL(gas to liquids)、バイオマスからつくったBTL(Biomass−to−Liquids)、あるいは石炭からつくったCTL(coal−to−liquid)から生成される燃料などをいう。また、一般にはGTLとも呼ばれている。
このFTD燃料は、例えばGTLのように触媒を用いて天然ガスから合成され、飽和炭化水素(パラフィン系炭化水素)を中心とする燃料で、無色無臭で硫黄分・アロマ分を含まず、高いセタン価を有し、既存のディーゼルエンジンに使用可能であるといった特徴を有する。また、排ガス中から一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質といった有害物質を減少させる働きもあり、低エミッションの可能性を秘めた軽油の代替燃料として現在開発が進められている。
また、バイオ燃料と軽油との混合燃料であるバイオ軽油(たとえば、RME(RapeSeed (oil) MethylEsterの略称:菜種油をメチルエステル化したバイオディーゼル燃料)、廃食油等)は、標準軽油に比べて蒸発性が非常に悪いという特徴がある。図7は、標準軽油とバイオ燃料の蒸留特性と温度との関係を示す図である。図7に示すように、バイオ燃料(RME100)は、標準軽油が90容量%蒸発する温度(約330℃)であっても、10容量%以下しか蒸発しない。
バイオ燃料には高沸点成分が多く、このバイオ軽油を当該内燃機関(たとえば、ディーゼルエンジン)に使用する場合、バイオ燃料濃度が高くなるほど、排気燃料添加弁には未蒸発の燃料残渣が残り易く、この残渣が核となってデポジットへと発達していき、排気燃料添加弁が詰まり易くなる。
また、排気燃料添加弁が詰まると、NOx還元、PM再生、硫黄被毒再生ができなくなってしまい、車両走行に支障を来す虞もあった。
一方で、FTD燃料は軽油に比べて排気燃料添加弁でデポジットが生成し難い。これは、FTD燃料は、軽油に比べて低沸点成分、低動粘度、高セタン価(SOF低減)であるという物理的特性の他に、含酸素、パラフィン(飽和炭化水素、アロマなし)であるという化学的特性によるものである。
しかしながら、FTD燃料を用いて燃料を噴射する場合に、軽油を基準として燃料を添加すると燃費の悪化を生じる、という問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、FTD燃料を燃料として用いる場合であっても、燃費の悪化を抑制することができる内燃機関の排気燃料添加制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置は、内燃機関の排気系に設けられ、排気ガス中の還元成分濃度が高くなるとNOxの還元反応を促す特性を備えたNOx触媒と、前記排気系を通じて前記NOx触媒に流入する前記排気ガス中に燃料の一部を還元剤として噴射添加する排気燃料添加弁と、前記排気燃料添加弁の詰まりを抑制する制御を行う添加弁詰まり抑制手段と、前記燃料の燃料性状を検出する燃料性状検出装置と、を備えた内燃機関の排気燃料添加制御装置において、前記燃料性状検出装置により燃料中の燃料性状を検出し、検出された燃料性状からFTD燃料の有無を検出し、前記FTD燃料が検出された場合には、検出した燃料中の前記FTD燃料の濃度に応じて、前記添加弁詰まり抑制手段による詰まり抑制制御の実行頻度を低くし、前記添加弁詰まり抑制手段による詰まり抑制制御の能力を低下させることを特徴とする。
本発明に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置においては、更に、前記排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間を延長することを特徴とする。
本発明に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置においては、前記燃料性状検出装置で検出される燃料性状が、燃料の硫黄濃度、セタン価、アロマ濃度、動粘度、含酸素量、蒸留特性、低温流動性などの何れか一つ又はこれらを組み合わせたものであることを特徴とする。
本発明によれば、燃料の燃料性状を検出する燃料性状検出装置が検出した燃料中のFTD燃料濃度に応じて、少なくとも添加弁詰まり抑制手段による詰まり抑制制御の実行頻度を低くし、前記添加弁詰まり抑制手段による詰まり抑制制御の能力を低下させることで、排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間を延長し、適正な排気添加を行なうことができるため、前記排気燃料添加弁の詰まりを防止しつつ、燃費の悪化を抑制することができる。
以下に、この発明に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置をディーゼルエンジンシステムに適用した例について図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、この発明の実施例に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したディーゼルエンジンシステムを示す概略構成図である。図1に示すように、内燃機関(以下、エンジンと記す。)1は、燃料供給系10、燃焼室20、燃焼室20内に供給される吸入空気の通路(吸気通路)を形成する吸気系30、各燃焼室20から排出される排気ガスの通路(排気通路)を形成する排気系40等を主要部として構成される直列4気筒のディーゼルエンジンシステムである。
燃料供給系10は、バイオ燃料を貯留する燃料タンク18、メイン燃料通路P0、燃料フィルタ18a、サプライポンプ11、コモンレール12、燃料噴射弁13、遮断弁14、排気燃料添加弁17、機関燃料通路P1および添加燃料通路P2等を備えて構成されている。
また、燃料タンク18には、燃料の燃料性状を検出する燃料性状検出装置19が設けられている。なお、この燃料性状検出装置19は、たとえば燃料の硫黄濃度、セタン価、アロマ濃度、動粘度、含酸素量、蒸発特性、低温流動性などの何れか一つ又はこれらを組み合わせたものの値を検出できるように構成されていればよく、その検出原理は問わない。
また、燃料性状を検出する場所としては、燃料タンク18に設けるのに限定されるものでなく、サプライポンプ11手前に設けるようにしてもよい。
また、燃料性状を検出する場所としては、燃料タンク18に設けるのに限定されるものでなく、サプライポンプ11手前に設けるようにしてもよい。
サプライポンプ11は、燃料タンク18からメイン燃料通路P0を介して汲み上げた燃料を高圧にし、機関燃料通路P1を経てコモンレール12に供給する。コモンレール12は、サプライポンプ11から供給された高圧燃料を所定圧力に蓄圧し、各燃料噴射弁13に分配する。電磁弁である燃料噴射弁13は、所定時期に燃焼室20内に燃料を噴射供給する。
また、サプライポンプ11は、燃料タンク18から汲み上げた燃料の一部を添加燃料通路P2を介して排気燃料添加弁17に供給する。遮断弁14は、必要時に添加燃料通路P2を遮断し、燃料供給を停止する。
なお、添加燃料通路P2には調量弁(図示せず)も設けられている。この調量弁は、排気燃料添加弁17に供給する燃料の圧力(燃圧)を制御する。また、電磁弁である排気燃料添加弁17は、還元剤として機能する燃料を、適宜量、適宜タイミングで後述する触媒コンバータ41a、41b上流に添加供給する。
また、エンジン1には、その排気により吸気を過給するターボチャージャ50を備えている。ターボチャージャ50に設けられたインタークーラ31は、過給によって昇温した吸入空気を強制冷却する。このインタークーラ31よりも下流に設けられたスロットル弁32は、いわゆる電子スロットルであり、吸入空気の供給量を調整する。
また、エンジン1には、吸気系30と排気系40をバイパスし、排気の一部を吸気系30に戻すEGR通路60が設けられている。EGR通路60には、排気流量を調整するEGR弁61と、排気を冷却するためのEGRクーラ62が設けられている。なお、EGRクーラ62の上流側には、図示しない触媒が設けられている。
また、排気系40は、吸蔵還元型NOx触媒を担体に担持したNSR(NOx Storage Reduction)触媒コンバータ41aと、多孔質セラミック構造体にNOx吸蔵還元触媒が担持され構成されるDPNR(Diesel Particulate NOx Reduction)触媒コンバータ41bと、その下流側に設けられた酸化触媒コンバータ42とを備えている。
これらの触媒コンバータ41a、41bは、排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下するとともに還元雰囲気で吸蔵したNOxを放出し還元するためのものである。
特に、DPNR触媒コンバータ41bは、上記吸蔵還元型NOx触媒が、PMを補足するフィルターの役割をする多孔質セラミック構造体に担持されて構成されているので、リーン燃焼時には、PMが多孔質構造のセラミック構造体に一時的に捕集され、排出ガス中の酸素により酸化される。
また、NOxはリーン燃焼時に触媒に一旦吸蔵され、その後瞬間的にリッチ燃焼が行われる際に、還元浄化される。リッチ燃焼時には、吸蔵されたNOxが還元される際に発生する酸素により、PMが酸化浄化される。
なお、上記触媒コンバータ41a、41bの温度が比較的低い場合等においては、排気燃料添加弁17による添加燃料が触媒コンバータ41a、41bをすり抜けてしまう場合があるが、酸化触媒コンバータ42によりこれを確実に酸化することができる。
また、エンジン1の各部位には、吸気量を検出するエアフロメータ72、排気中の酸素濃度を検出する空燃比センサ73、DPNR触媒コンバータ41bの上流側と下流側の排気温度を検出する排気温センサ74a、74b、NSR触媒コンバータ41aおよびDPNR触媒コンバータ41bの上流側と下流側との圧力差を検出する圧力センサ75が設けられている。
また、図示を省略するが、エンジン1の各部位には、コモンレール12内の燃料の温度と圧力を検出する温度センサおよび圧力センサ、エンジン1のクランク軸回転を検出するクランクポジションセンサ、吸気温度を検出する吸気温センサ、吸気圧力を検出する吸気圧センサ、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ、スロットル弁32の開度を検出するスロットルポジションセンサ、エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ等が設けられている。
図示しない電子制御装置であるECUは、上記各種センサの検出信号を外部入力回路を介して入力し、これらの信号に基づき燃料噴射弁13や排気燃料添加弁17の開閉制御等、エンジン1の運転状態に関する各種制御を実施し、また添加弁詰まり抑制手段および排気燃料添加制御装置として機能するものである。
[運転制御方法]
つぎに、本実施例の内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したディーゼルエンジンシステムにおける運転制御方法について図2のフローチャートに基づいて図1を参照しつつ具体的に説明する。
図2は、本実施例に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したディーゼルエンジンシステムにおける運転制御方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、本実施例に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したディーゼルエンジンシステムにおける運転制御方法は、燃料性状検出装置19において検出された給油後の燃料の燃料性状からFTD燃料が混合されているか判断し、FTD燃料が混合されている場合、そのFTD燃料の混合比率を算出し、その混合比率に応じて排気燃料添加弁17のつまり防止制御手段による排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長し、適切な排気添加を行うことで、燃費の悪化を防ぐものである。
つぎに、本実施例の内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したディーゼルエンジンシステムにおける運転制御方法について図2のフローチャートに基づいて図1を参照しつつ具体的に説明する。
図2は、本実施例に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したディーゼルエンジンシステムにおける運転制御方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、本実施例に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したディーゼルエンジンシステムにおける運転制御方法は、燃料性状検出装置19において検出された給油後の燃料の燃料性状からFTD燃料が混合されているか判断し、FTD燃料が混合されている場合、そのFTD燃料の混合比率を算出し、その混合比率に応じて排気燃料添加弁17のつまり防止制御手段による排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長し、適切な排気添加を行うことで、燃費の悪化を防ぐものである。
即ち、図2に示すように、本実施例に係る内燃機関の燃料制御装置を適用したエンジンシステムにおける運転制御方法は、燃料性状検出装置19において、燃料性状を検出する工程(ステップS11)と、燃料性状検出装置19において検出された燃料の燃料性状から給油後の燃料にFTD燃料が混合されているか否かを判定する工程(ステップS12)と、燃料性状検出装置19において検出された給油後の燃料のFTD燃料の混合比率を算出する工程(ステップS13)と、燃料中のFTD燃料の混合比率に応じて、排気燃料添加弁17のつまり防止制御手段における排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長する工程(ステップS14)と、排気燃料添加制御を実施する工程(ステップS15)とからなる。
まず、図2において、ステップS11では、燃料性状検出装置19において、燃料の燃料性状を読込み、燃料性状を検出する。燃料性状としては、燃料の硫黄濃度、セタン価、アロマ濃度、動粘度、含酸素量、蒸発特性、低温流動性などの何れか一つ又はこれらを組み合わせたものが例示される。そして、ステップS11において燃料の燃料性状を検出した後、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、燃料性状検出装置19において検出された燃料の燃料性状から給油後の燃料にFTD燃料が混合されているか否かを判定する。ステップS12の判定の結果、燃料性状検出装置19において読み込まれた燃料中にFTD燃料が混合されていると判定された場合(ステップS12:Yes)には、ステップS13へ移行する。
そして、ステップS13では、燃料性状検出装置19において検出された給油後の燃料のFTD燃料の混合比率を算出する。そして、燃料のFTD燃料の混合比率を算出した後、ステップS14へ移行する。
そして、ステップS14では、燃料中のFTD燃料の混合比率に応じて、排気燃料添加弁のつまり防止制御手段における排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長する。
ここで、排気燃料添加弁17に発生するデポジットは、噴射終了時の未蒸発の燃料液滴が噴射弁に再付着したり、排気ガス中のPMや排気燃料添加弁17から噴射した燃料がPMを生成し、噴孔を閉塞することにより生じるものである。よって、排気燃料添加弁17のデポジットは、燃料の蒸発性、PMの生成のし易さに依存することになる。そして、FTD燃料は、高セタン価であるためPM中のSOFを低減できると共に、アロマフリーによるPM低減によりデポジットが軽油に比べて生成し難い。従って、燃料中のFTD燃料の混合比率に応じて、添加弁詰まり抑制手段による詰まり抑制制御の実行頻度を低くし、排気燃料添加弁17のつまり防止制御手段における排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長する。これにより、排気燃料添加弁17のつまりを防止することができると共に、噴射による燃料の消費を抑制することができる。
排気燃料添加弁17のつまり防止制御手段における排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間は、予めFTD燃料の混合比率に応じた排気燃料添加弁17のつまり防止制御手段における添加無し期間の関係を示すマップから決定し、エンジンの適合を実施することができる。
図3は、FTD燃料に応じて設定された排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間の一例を示すマップである。また、図4は、アロマ濃度に応じて設定された排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間の一例を示すマップである。また、図5は、アロマ濃度とセタン価に応じて設定された排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間の一例を示すマップである。
図3に示すように、FTD燃料濃度に応じて排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにする。
また、ステップS11で検出された燃料性状として、アロマ濃度から図4に示すように、通常軽油で最大値となる40%程度から0%になるに従って排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにする。
更に、燃料性状として、セタン価も組み合わせて図5に示すように、通常軽油値で示す50%程度から大きい値(例えば80%)になるに従って排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにする。
また、燃料性状として、燃料の硫黄濃度、動粘度、含酸素量、蒸留特性、低温流動性などの何れか一つ又はこれらを組み合わせたものを予め読み込まれたマップから、各々の燃料性状に応じて排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を設定するようにしてもよい。例えば、動粘度を用いる場合には、通常軽油値で示す3mm2/s程度から0になるに従って排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにする。また、含酸素量を用いる場合には、通常0%から大きくなるに従って排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにしてもよい。また、蒸留特性を用いる場合には、特に高沸点成分(T90:90%留出温度)が低くなるに従って排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにしてもよい。また、低温流動性を用いる場合には、流動点、ファイタ目詰まり点が低くなるに従って排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにしてもよい。
また、ステップS11で検出された燃料性状の他に、給油からの経過時間を考慮して排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにしてもよい。即ち、給油からの経過時間が短い燃料ほど、揮発成分が多く、重合成分が少ないため、排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにしてもよい。
また、燃料種を考慮して排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにしてもよい。即ち、FTD燃料(GTL、BTL、CTL)の他、水素化分解軽油、プレミアム軽油等のPM抑制する良質軽油の濃度を考慮して排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにしてもよい。例えば、エマルジョン軽油中の水分濃度が大きい(PM生成抑制)場合、排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長する。
また、燃料添加剤を考慮して排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長するようにしてもよい。例えば、デポジット抑制する燃料清浄剤等の添加剤濃度が大きい場合には、排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長する。
そして、排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を延長した後、ステップS15へ移行する。
ステップS15では、排気燃料添加制御を実施し、制御を終了する。
図6は、軽油又はFTD燃料を使用するときの燃料と排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間との関係を示す図である。
図6中上側図が、燃料が軽油のみの場合における排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間TAを示す説明図、図6中下側図が、FTD燃料使用時における排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間TBを示す説明図である。
図6は、軽油又はFTD燃料を使用するときの燃料と排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間との関係を示す図である。
図6中上側図が、燃料が軽油のみの場合における排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間TAを示す説明図、図6中下側図が、FTD燃料使用時における排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間TBを示す説明図である。
図6中上側図に示すように、使用燃料が通常の軽油のみの場合には、排気燃料添加弁17からは還元剤としての燃料が、NOx還元やPM再生、硫黄被毒再生のために所定のタイミングで添加され、更に「添加無し期間TA」を経た後に、詰まり抑制(図6中、「詰まり防止添加」と記してある。)のために再度燃料添加されることとなる。これらの添加制御は、必要時に一定のタイミングで繰り返し実行される。
一方、図6中下側図に示すように、使用燃料にFTD燃料が混合されている場合には、「添加無し期間TB」が選択され、FTD燃料濃度に応じて添加無し期間TBを延長し、排気燃料添加制御が実行されることとなる。
すなわち、燃料中にFTD燃料が混合された軽油の場合(ステップS12:Yes)、燃料添加無し期間をTB(>TA)とし、排気燃料添加制御を実施して(ステップS15)、制御を終了する。
燃料が軽油のみの場合よりも排気燃料添加弁17の詰まり防止のための添加無し期間を長くすることにより、適正な排気添加を行なうことができ、排気燃料添加弁17の詰まりを防止しつつ、排気燃料添加弁17から添加される燃料の燃費の悪化を抑制することができる。また、排気燃料添加弁17の噴孔にデポジットは形成されにくく、排気燃料添加弁17の詰まりが抑制されているため、NOx還元やPM再生、硫黄被毒再生も支障なく行われる。
そして、図2に示すステップS15で排気燃料添加制御を実施した後、制御を終了する。
一方、図2に示すステップS12で、燃料中にFTD燃料が混合されていない(ステップS12:No)場合、即ち、燃料が軽油のみの場合には、詰まり抑制の効果は、燃料添加無し期間をTAとし、従来の排気燃料添加制御を実施して(ステップS15)、制御を終了する。
このように、本実施例に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置を適用したエンジンシステムによれば、燃料性状検出装置19において検出された給油後の燃料の燃料性状からFTD燃料が混合されている場合、そのFTD燃料の混合比率に応じて排気燃料添加弁のつまり防止制御手段による排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間を延長し、適切な排気添加を行うことで、前記排気燃料添加弁の詰まりを防止しつつ、燃費の悪化を防ぐことができる。また、この詰まりが抑制されることにより、NOx還元やPM再生、硫黄被毒再生を支障なく行なうことができる。
以上のように、この発明に係る内燃機関の排気燃料添加制御装置は、排気燃料添加弁を備えFTD燃料が使用可能な内燃機関に有用であり、特に、検出された給油後の燃料の燃料性状からFTD燃料が混合されている場合、そのFTD燃料の混合比率に応じて排気燃料添加弁の詰まりを適正な燃料の添加によって抑制し、排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間を延長し、FTD燃料を用いる時であっても適切な排気添加を行ない、前記排気燃料添加弁の詰まりを防止しつつ、燃費の悪化を防ぐことができるものであり、いずれの種類の内燃機関に用いても好適である。
1 エンジン(内燃機関)
10 燃料供給系
11 サプライポンプ
17 排気燃料添加弁
18 燃料タンク
18a 燃料フィルタ
19 燃料性状検出装置
20 燃焼室
30 吸気系
40 排気系
41a NSR触媒コンバータ(NOx触媒)
41b DPNR触媒コンバータ(NOx触媒)
42 酸化触媒コンバータ
73 空燃比センサ
74a、74b 排気温センサ
P0 メイン燃料通路
P1 機関燃料通路
P2 添加燃料通路
10 燃料供給系
11 サプライポンプ
17 排気燃料添加弁
18 燃料タンク
18a 燃料フィルタ
19 燃料性状検出装置
20 燃焼室
30 吸気系
40 排気系
41a NSR触媒コンバータ(NOx触媒)
41b DPNR触媒コンバータ(NOx触媒)
42 酸化触媒コンバータ
73 空燃比センサ
74a、74b 排気温センサ
P0 メイン燃料通路
P1 機関燃料通路
P2 添加燃料通路
Claims (3)
- 内燃機関の排気系に設けられ、排気ガス中の還元成分濃度が高くなるとNOxの還元反応を促す特性を備えたNOx触媒と、
前記排気系を通じて前記NOx触媒に流入する前記排気ガス中に燃料の一部を還元剤として噴射添加する排気燃料添加弁と、
前記排気燃料添加弁の詰まりを抑制する制御を行う添加弁詰まり抑制手段と、
前記燃料の燃料性状を検出する燃料性状検出装置と、
を備えた内燃機関の排気燃料添加制御装置において、
前記燃料性状検出装置により燃料中の燃料性状を検出し、検出された燃料性状からFTD燃料の有無を検出し、前記FTD燃料が検出された場合には、検出した燃料中の前記FTD燃料の濃度に応じて、前記添加弁詰まり抑制手段による詰まり抑制制御の実行頻度を低くし、前記添加弁詰まり抑制手段による詰まり抑制制御の能力を低下させることを特徴とする内燃機関の排気燃料添加制御装置。 - 請求項1において、
更に、前記排気燃料添加弁の詰まり防止のための添加無し期間を延長することを特徴とする内燃機関の排気燃料添加制御装置。 - 請求項1又は2において、
前記燃料性状検出装置で検出される燃料性状が、燃料の硫黄濃度、セタン価、アロマ濃度、動粘度、含酸素量、蒸留特性、低温流動性などの何れか一つ又はこれらを組み合わせたものであることを特徴とする内燃機関の排気燃料添加制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2007320824A JP2009144553A (ja) | 2007-12-12 | 2007-12-12 | 内燃機関の排気燃料添加制御装置 |
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JP2007320824A JP2009144553A (ja) | 2007-12-12 | 2007-12-12 | 内燃機関の排気燃料添加制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017020347A (ja) * | 2015-07-07 | 2017-01-26 | 株式会社日本自動車部品総合研究所 | 内燃機関の制御装置 |
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WO2017081994A1 (ja) * | 2015-11-12 | 2017-05-18 | 株式会社デンソー | スモーク量推定装置および燃焼システム制御装置 |
JP2017089546A (ja) * | 2015-11-12 | 2017-05-25 | 株式会社デンソー | 潤滑性推定装置および燃料供給制御装置 |
-
2007
- 2007-12-12 JP JP2007320824A patent/JP2009144553A/ja active Pending
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