JP2017014625A - チタン銅及びその製造方法 - Google Patents
チタン銅及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017014625A JP2017014625A JP2016173771A JP2016173771A JP2017014625A JP 2017014625 A JP2017014625 A JP 2017014625A JP 2016173771 A JP2016173771 A JP 2016173771A JP 2016173771 A JP2016173771 A JP 2016173771A JP 2017014625 A JP2017014625 A JP 2017014625A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copper
- rolling
- formula
- ray diffraction
- rolled
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Conductive Materials (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
Abstract
【課題】強度と曲げ加工性が共に優れたチタン銅及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、次の式I:I{311}/I0{311}≧0.3(式I)及び、次の式II:I{220}/I0{220}≦7.0(式II)を満たすチタン銅、及び、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるインゴットを、800〜1000℃の温度に加熱して熱間圧延する工程、徐冷する工程、加工度30〜99.5%で冷間圧延する工程、700〜1000℃、5秒間〜30分間で溶体化処理する工程、徐冷する工程、を含むチタン銅の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、次の式I:I{311}/I0{311}≧0.3(式I)及び、次の式II:I{220}/I0{220}≦7.0(式II)を満たすチタン銅、及び、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるインゴットを、800〜1000℃の温度に加熱して熱間圧延する工程、徐冷する工程、加工度30〜99.5%で冷間圧延する工程、700〜1000℃、5秒間〜30分間で溶体化処理する工程、徐冷する工程、を含むチタン銅の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明はチタン銅及びその製造方法に関し、コネクタ、端子、リレ−、スイッチ等の導電性ばね材に好適に用いられるチタン銅及びその製造方法に関する。
近年の電子機器の軽薄短小化に伴い、端子、コネクタ等の小型化、薄肉化が進んでいる。このため、電子機器に使用される電子材料用銅合金には、さらなる強度と曲げ加工性の向上が要求されている。この要求に対し、従来のりん青銅や黄銅といった固溶強化型銅合金に替わり、ベリリウム銅やチタン銅といった析出強化型銅合金が使用されるようになり、その需要は増加しつつある。一般に強度と曲げ加工性は相反する性質であり、チタン銅において高い強度を維持しつつ曲げ加工性を改善することが望まれている。
チタン銅の曲げ性を改善する技術として、{200}面のX線回折強度を高め、{220}面のX線回折強度を抑制することが提唱され、その製造方法として、(1)鋳造、(2)熱間圧延(950℃から400℃に温度を下げながら行う)、(3)冷間圧延(加工度50%以上)、(4)中間焼鈍(450〜600℃、導電率を1.5倍以上にし、硬さを0.8倍以下に調整する)、(5)冷間圧延(加工度70%以上)、(6)溶体化処理(700〜980℃、結晶粒径5〜25μm)、(6)冷間圧延(加工度0〜50%)、(7)時効処理(400〜600℃)を順次行う工程が開示されている(特許文献1)。しかしながら、上記従来技術の場合、曲げ加工性の改善は、十分なものではなかった。また、中間焼鈍を必要とするために、工程が複雑となっている。
このように、強度と曲げ加工性が共に優れたチタン銅及びその製造方法が、さらに求められていた。したがって、本発明の目的は、強度と曲げ加工性が共に優れたチタン銅及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、チタン銅の結晶方位と曲げ性との関係を鋭意研究し、圧延面に対するX線回折で測定される{311}面と{220}面の回折強度を適正範囲に調整することにより、曲げ加工性が飛躍的に向上すること、また、このようなX線回折強度比が、熱間圧延及び溶体化の処理での冷却条件、冷間圧延での加工度の制御によって、達成できることを見いだして、本発明に到達した。
したがって、本発明は、次の(1)〜 にある。
(1)
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、次の式I:
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
及び、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たす、チタン銅。
(2)
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、
さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、(1)に記載のチタン銅。
(3)
(1)又は(2)に記載のチタン銅を用いた伸銅品。
(4)
(1)又は(2)に記載のチタン銅を用いた電子機器部品。
(1)
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、次の式I:
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
及び、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たす、チタン銅。
(2)
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、
さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、(1)に記載のチタン銅。
(3)
(1)又は(2)に記載のチタン銅を用いた伸銅品。
(4)
(1)又は(2)に記載のチタン銅を用いた電子機器部品。
さらに、本発明は、次の(11)〜 にもある。
(11)
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるインゴットを、材料として、800〜1000℃の温度に加熱して熱間圧延する工程、
熱間圧延された材料を、徐冷する工程、
熱間圧延され徐冷された材料を、加工度30〜99.5%で冷間圧延する工程、
冷間圧延された材料を、700〜1000℃、5秒間〜30分間で溶体化処理する工程、
溶体化処理された材料を、徐冷する工程、
を含む、チタン銅の製造方法。
(12)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程の後に、
溶体化処理され徐冷された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、
冷間圧延された材料を、350〜550℃の温度、2時間〜20時間で、時効処理する工程、
を含む、(11)に記載の製造方法。
(13)
冷間圧延された材料を、時効処理する工程の後に、
冷間圧延され時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、
を含む、(12)に記載の製造方法。
(14)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程の後に、
溶体化処理され徐冷された材料を、350〜550℃の温度、2時間〜20時間で、時効処理する工程、
時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、
を含む、(11)に記載の製造方法。
(15)
時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程の後に、
加工度0〜50%で冷間圧延された材料を、歪み取り焼鈍する工程、
を含む、(13)又は(14)に記載の製造方法。
(16)
熱間圧延された材料を、徐冷する工程が、
熱間圧延された材料を、200℃未満の温度となるまで徐冷する工程である、(11)〜(15)のいずれかに記載の製造方法。
(17)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程が、
溶体化処理された材料を、200℃未満の温度となるまで徐冷する工程である、(11)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
(11)
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるインゴットを、材料として、800〜1000℃の温度に加熱して熱間圧延する工程、
熱間圧延された材料を、徐冷する工程、
熱間圧延され徐冷された材料を、加工度30〜99.5%で冷間圧延する工程、
冷間圧延された材料を、700〜1000℃、5秒間〜30分間で溶体化処理する工程、
溶体化処理された材料を、徐冷する工程、
を含む、チタン銅の製造方法。
(12)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程の後に、
溶体化処理され徐冷された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、
冷間圧延された材料を、350〜550℃の温度、2時間〜20時間で、時効処理する工程、
を含む、(11)に記載の製造方法。
(13)
冷間圧延された材料を、時効処理する工程の後に、
冷間圧延され時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、
を含む、(12)に記載の製造方法。
(14)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程の後に、
溶体化処理され徐冷された材料を、350〜550℃の温度、2時間〜20時間で、時効処理する工程、
時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、
を含む、(11)に記載の製造方法。
(15)
時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程の後に、
加工度0〜50%で冷間圧延された材料を、歪み取り焼鈍する工程、
を含む、(13)又は(14)に記載の製造方法。
(16)
熱間圧延された材料を、徐冷する工程が、
熱間圧延された材料を、200℃未満の温度となるまで徐冷する工程である、(11)〜(15)のいずれかに記載の製造方法。
(17)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程が、
溶体化処理された材料を、200℃未満の温度となるまで徐冷する工程である、(11)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
さらに、本発明は、次の(21)〜 にもある。
(21)
インゴットが、
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、
さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、(11)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(22)
熱間圧延された材料を、徐冷する工程が、炉冷及び/又は空冷によって行われる、(11)〜(17)、(21)のいずれかに記載の製造方法。
(23)
熱間圧延された材料を、徐冷する工程によって、徐冷された材料が、10.0%〜30.0%IACSの導電率を有する、(11)〜(17)、(21)〜(22)のいずれかに記載の製造方法。
(24)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程が、炉冷及び/又は空冷によって行われる、(11)〜(17)、(21)〜(23)のいずれかに記載の製造方法。
(25)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程が、
溶体化処理された材料を、150〜500℃の冷却室で180〜10分間保持した後に、空冷によって徐冷する工程、
である、(11)〜(17)、(21)〜(24)のいずれかに記載の製造方法。
(26)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程によって、徐冷された材料が、次の式III:
15≧EC(%IACS)>−1.4×[Ti](%)+8.6 (式III)
(ただし、[Ti](%)は、材料に含まれるTiの濃度(質量%)である)
を満たす導電率EC(%IACS)を有する、(11)〜(17)、(21)〜(25)のいずれかに記載の製造方法。
(21)
インゴットが、
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、
さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、(11)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(22)
熱間圧延された材料を、徐冷する工程が、炉冷及び/又は空冷によって行われる、(11)〜(17)、(21)のいずれかに記載の製造方法。
(23)
熱間圧延された材料を、徐冷する工程によって、徐冷された材料が、10.0%〜30.0%IACSの導電率を有する、(11)〜(17)、(21)〜(22)のいずれかに記載の製造方法。
(24)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程が、炉冷及び/又は空冷によって行われる、(11)〜(17)、(21)〜(23)のいずれかに記載の製造方法。
(25)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程が、
溶体化処理された材料を、150〜500℃の冷却室で180〜10分間保持した後に、空冷によって徐冷する工程、
である、(11)〜(17)、(21)〜(24)のいずれかに記載の製造方法。
(26)
溶体化処理された材料を、徐冷する工程によって、徐冷された材料が、次の式III:
15≧EC(%IACS)>−1.4×[Ti](%)+8.6 (式III)
(ただし、[Ti](%)は、材料に含まれるTiの濃度(質量%)である)
を満たす導電率EC(%IACS)を有する、(11)〜(17)、(21)〜(25)のいずれかに記載の製造方法。
さらに、本発明は、次の(31)〜 にもある。
(31)
(11)〜(17)、(21)〜(26)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、次の式I:
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
及び、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たす、チタン銅。
(32)
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、
さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、(31)に記載のチタン銅。
(33)
(31)又は(32)に記載のチタン銅を用いた伸銅品。
(34)
(31)又は(32)に記載のチタン銅を用いた電子機器部品。
(31)
(11)〜(17)、(21)〜(26)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、次の式I:
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
及び、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たす、チタン銅。
(32)
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、
さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、(31)に記載のチタン銅。
(33)
(31)又は(32)に記載のチタン銅を用いた伸銅品。
(34)
(31)又は(32)に記載のチタン銅を用いた電子機器部品。
本発明によれば、強度と曲げ加工性が共に優れたチタン銅を得ることができる。本発明によるチタン銅は、強度と曲げ加工性に優れたものであるので、電子機器部品、特に小型の電子機器部品にも好適に使用することができ、例えば、小型電子機器部品として使用される端子、コネクタ等に好適に使用することができる。
以下、本発明のチタン銅について、その実施の態様をあげて詳細に説明する。本発明は、以下に例示する実施の態様に限定されるものではない。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
本発明に係るチタン銅は、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、次の式I:
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
及び、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たす、チタン銅にある。
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
及び、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たす、チタン銅にある。
[Ti含有量]
本発明に係るチタン銅は、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるものとすることができる。Ti濃度が1.5質量%未満になると、析出物の析出が不充分となり所望の強度が得られない。一方、Ti濃度が5.0質量%を超えると、加工性が劣化し、圧延の際に材料が割れる。より好ましいTi濃度は2.9〜3.5質量%である。このように、銅、チタン、不可避不純物以外の元素を添加することなく、本発明に係るチタン銅を製造することができる。
本発明に係るチタン銅は、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるものとすることができる。Ti濃度が1.5質量%未満になると、析出物の析出が不充分となり所望の強度が得られない。一方、Ti濃度が5.0質量%を超えると、加工性が劣化し、圧延の際に材料が割れる。より好ましいTi濃度は2.9〜3.5質量%である。このように、銅、チタン、不可避不純物以外の元素を添加することなく、本発明に係るチタン銅を製造することができる。
[第3元素]
好適な実施の態様において、本発明に係るチタン銅は、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるものとすることができる。このような第3元素の添加によって、強度(引張強さ)を更に向上させることができる。これらの合計含有量が0.005質量%未満になると強度上昇の効果は得られ難く、合計含有量が1.0質量%を超えると曲げ加工性が劣化する場合がある。より好ましくは、上記各元素を合計で0.005〜0.5質量%含有させるとよい。
好適な実施の態様において、本発明に係るチタン銅は、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるものとすることができる。このような第3元素の添加によって、強度(引張強さ)を更に向上させることができる。これらの合計含有量が0.005質量%未満になると強度上昇の効果は得られ難く、合計含有量が1.0質量%を超えると曲げ加工性が劣化する場合がある。より好ましくは、上記各元素を合計で0.005〜0.5質量%含有させるとよい。
[X線回折強度]
本発明に係るチタン銅の圧延面に対しX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI{311}とし、対照となる銅粉末に対し同条件でX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI0{311}としたときに、両積分強度の比であるI{311}/I0{311}が、次の式I:
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
を満たし、同時に、本発明に係るチタン銅の圧延面に対しX線回折を行ったときに得られる{220}面のX線回折積分強度をI{220}とし、対照となる銅粉末に対し同条件でX線回折を行ったときに得られる{220}面のX線回折積分強度をI0{220}としたときに、両積分強度の比であるI{220}/I0{220}が、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たすときに、優れた曲げ加工性と強度とが両立して得られる。
本発明に係るチタン銅の圧延面に対しX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI{311}とし、対照となる銅粉末に対し同条件でX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI0{311}としたときに、両積分強度の比であるI{311}/I0{311}が、次の式I:
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
を満たし、同時に、本発明に係るチタン銅の圧延面に対しX線回折を行ったときに得られる{220}面のX線回折積分強度をI{220}とし、対照となる銅粉末に対し同条件でX線回折を行ったときに得られる{220}面のX線回折積分強度をI0{220}としたときに、両積分強度の比であるI{220}/I0{220}が、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たすときに、優れた曲げ加工性と強度とが両立して得られる。
上記式Iにおいて、I{311}/I0{311}の値は、例えば0.3以上、例えば0.42以上とすることができる。また、この式IのI{311}/I0{311}の値は、例えば7.0以下、例えば6.0以下、例えば4.81以下、例えば3.24以下とすることができる。また、上記式IIにおいて、I{220}/I0{220}の値は、例えば7.0以下、例えば6.0以下、例えば5.93以下とすることができる。また、この式IIのI{220}/I0{220}の値は、例えば3.0以上、例えば3.71以上とすることができる。
これらのX線回折の強度は、最終製品の圧延面、及び銅粉末(例えば、関東化学株式会社製、銅(粉末)、2N5、>99.5%、325mesh)に対し、各面について、X線回折積分強度を測定して得ることができる。X線回折積装置として、例えば、株式会社リガク製RINT2500を使用し、Cu管球にて、管電圧25kV、管電流20mAで測定することができる。
[結晶粒径]
チタン銅の強度及び曲げ加工性を向上させるためには、好適な実施の態様において、溶体化処理された材料を、徐冷する工程によって、徐冷された材料(チタン銅)は、平均結晶粒径が、例えば3〜30μm、好ましくは3〜25μm、さらに好ましくは4〜25μmとすることができる。本発明において、平均結晶粒径は光学顕微鏡又は電子顕微鏡による観察で圧延方向に平行な断面の組織観察における円相当径で計算する。例えば、溶体化処理後の試料の圧延方向と直交する断面を機械研磨により鏡面に仕上げた後、エッチングにより結晶粒界を現出させ、JIS H0501の切断法に従い結晶粒径を求めることができる。
チタン銅の強度及び曲げ加工性を向上させるためには、好適な実施の態様において、溶体化処理された材料を、徐冷する工程によって、徐冷された材料(チタン銅)は、平均結晶粒径が、例えば3〜30μm、好ましくは3〜25μm、さらに好ましくは4〜25μmとすることができる。本発明において、平均結晶粒径は光学顕微鏡又は電子顕微鏡による観察で圧延方向に平行な断面の組織観察における円相当径で計算する。例えば、溶体化処理後の試料の圧延方向と直交する断面を機械研磨により鏡面に仕上げた後、エッチングにより結晶粒界を現出させ、JIS H0501の切断法に従い結晶粒径を求めることができる。
[導電率]
本発明において、製造の各工程における指標として、後述のように、導電率(%IACS)を用いることができる。導電率(%IACS)は、例えば、試料表面を機械研磨し、スケールを除去するとともに平坦化して、この表面において、フェルスター社製シグマテストD2.068を用い、周波数60kHzの条件で導電率を測定することができる。また、四端子法により導電率を測定することもできる。
本発明において、製造の各工程における指標として、後述のように、導電率(%IACS)を用いることができる。導電率(%IACS)は、例えば、試料表面を機械研磨し、スケールを除去するとともに平坦化して、この表面において、フェルスター社製シグマテストD2.068を用い、周波数60kHzの条件で導電率を測定することができる。また、四端子法により導電率を測定することもできる。
[チタン銅の加工品]
本発明のチタン銅は、伸銅品又は電子機器部品に好適に適用(加工)することができる。伸銅品としては、例えば板、条及び箔が挙げられる。電子機器部品としては、例えばリードフレーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、スイッチ、ソケット等が挙げられる。
本発明のチタン銅は、伸銅品又は電子機器部品に好適に適用(加工)することができる。伸銅品としては、例えば板、条及び箔が挙げられる。電子機器部品としては、例えばリードフレーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、スイッチ、ソケット等が挙げられる。
[チタン銅の製造]
本発明に係るチタン銅は、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるインゴットを、材料として、800〜1000℃の温度に加熱して熱間圧延する工程、熱間圧延された材料を、徐冷する工程、熱間圧延され徐冷された材料を、加工度30〜99.5%で冷間圧延する工程、冷間圧延された材料を、700〜1000℃、5秒間〜30分間で溶体化処理する工程、溶体化処理された材料を、徐冷する工程、を含む製造方法によって、製造することができる。
本発明に係るチタン銅は、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるインゴットを、材料として、800〜1000℃の温度に加熱して熱間圧延する工程、熱間圧延された材料を、徐冷する工程、熱間圧延され徐冷された材料を、加工度30〜99.5%で冷間圧延する工程、冷間圧延された材料を、700〜1000℃、5秒間〜30分間で溶体化処理する工程、溶体化処理された材料を、徐冷する工程、を含む製造方法によって、製造することができる。
好適な実施の態様において、上記溶体化処理された材料を、徐冷する工程の後に、溶体化処理され徐冷された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、冷間圧延された材料を、350〜550℃の温度、2時間〜20時間で、時効処理する工程、を行うことができる。
さらに、好適な実施の態様において、上記冷間圧延された材料を、時効処理する工程の後に、冷間圧延され時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、を行うことができる。
さらに、好適な実施の態様において、上記溶体化処理された材料を、徐冷する工程の後に、溶体化処理され徐冷された材料を、350〜550℃の温度、2時間〜20時間で、時効処理する工程、時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、を行うことができる。
さらに、好適な実施の態様において、上記時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程の後に、時効処理され冷間圧延された材料を、歪み取り焼鈍する工程、を行うことができる。
(1) インゴットの鋳造
本発明に係るチタン銅は、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるインゴットを、出発材料として使用することができる。このインゴットは、チタンの酸化損耗を防止するため、溶解及び鋳造を、真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。インゴットの厚みは、例えば20〜300mmである。このインゴットは、上述のように、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるものとすることができるが、さらに第3元素を添加してもよく、好適な実施の態様において、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるものとすることができる。
本発明に係るチタン銅は、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるインゴットを、出発材料として使用することができる。このインゴットは、チタンの酸化損耗を防止するため、溶解及び鋳造を、真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。インゴットの厚みは、例えば20〜300mmである。このインゴットは、上述のように、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるものとすることができるが、さらに第3元素を添加してもよく、好適な実施の態様において、1.5〜5.0質量%のTiを含有し、さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるものとすることができる。
(2) 熱間圧延、徐冷
上記のインゴットを、800〜1000℃に加熱して、所定の厚みまで熱間圧延する。所定の厚みとして、例えば、5〜20mm程度とすることができる。熱間圧延された材料は、このような温度から、急冷することなく、後述のように徐冷する。
上記のインゴットを、800〜1000℃に加熱して、所定の厚みまで熱間圧延する。所定の厚みとして、例えば、5〜20mm程度とすることができる。熱間圧延された材料は、このような温度から、急冷することなく、後述のように徐冷する。
熱間圧延された材料は、次に徐冷する。この徐冷は、炉冷、空冷、又はその組み合わせによって行うことができる。例えば、徐冷は、大気中に放置する空冷によって行うことができる。例えば、徐冷は、熱間圧延直後の材料を断熱容器に挿入する、バーナーで加熱する、一定の炉温となるよう制御された加熱炉(冷却室)で数分〜数時間保持する、加熱炉(冷却室)に挿入してから炉の加熱を停止して炉冷するなどにより、冷却を積極的に遅らせて析出をより促進することも可能である。加熱炉(冷却室)は、例えば、150〜550℃、例えば200〜400℃の温度としておく。そして、例えば15分〜25時間保持することができる。炉冷によれば、例えば材料表面温度が200℃未満となるまでに5〜200℃/時間の冷却速度によって冷却することができる。そして、例えば炉冷による保持の後に、空冷してもよい。好適な実施の態様において、徐冷は、上記熱間圧延によって加熱されて800〜1000℃の温度となった後に、この温度から、200℃未満の温度となるまで徐冷される。このように、熱間圧延上がりの導電率、すなわち、徐冷された材料が、10.0%〜30.0%IACSの導電率を有するものとなるような冷却速度で冷却するものは、この工程における徐冷に含まれる。ただし、導電率を30%IACSより上げようとすると、冷却に長時間を要し生産効率が極度に低下するため、導電率の上限値を30%IACSにすることが好ましい。一方、熱間圧延直後の材料を水槽中に投入する方法、材料に水を噴射する方法、材料にミストを噴霧する方法等を行うと、熱間圧延上がりの導電率が10%IACS以上にならず、本発明における徐冷にあたらない。
(3) 熱間圧延後の冷間圧延
熱間圧延とそれに続く徐冷を行った後に、冷間圧延を行う。冷間圧延の加工度は、30〜99.5%とすることができる。溶体化処理で均一な再結晶粒を生成させるためには、その前工程である冷間圧延で歪を導入しておく必要があり、30%以上の加工度で有効な歪が得られる。一方、加工度が99.5%を超えると、圧延材のエッジ等に割れが発生し、圧延中の材料が破断することがある。
熱間圧延とそれに続く徐冷を行った後に、冷間圧延を行う。冷間圧延の加工度は、30〜99.5%とすることができる。溶体化処理で均一な再結晶粒を生成させるためには、その前工程である冷間圧延で歪を導入しておく必要があり、30%以上の加工度で有効な歪が得られる。一方、加工度が99.5%を超えると、圧延材のエッジ等に割れが発生し、圧延中の材料が破断することがある。
(4) 溶体化処理、徐冷
熱間圧延後の冷間圧延の後に、溶体化処理を行う。溶体化処理の温度は、Tiを充分に固溶させるため、700〜1000℃とするのが好ましい。溶体化温度が700℃未満であると、Tiの固溶が不十分になり時効処理において強度が上昇しない。溶体化温度が1000℃を超えると、銅合金の融点に近づくため工業的な製造が難しくなる。溶体化処理時間は、5秒間〜30分間とするのが好ましい。本発明における溶体化処理とは、上記条件での加熱処理をいう。一般に、溶体化処理とは加熱処理とそれに続けて行われる急冷とをあわせて溶体化処理ということがあるが、本発明における溶体化処理は、急冷の処理を含まず、上記条件での加熱処理をいう。本発明においては、上記条件での加熱処理(溶体化処理)の後に、後述するように徐冷が行われる。
熱間圧延後の冷間圧延の後に、溶体化処理を行う。溶体化処理の温度は、Tiを充分に固溶させるため、700〜1000℃とするのが好ましい。溶体化温度が700℃未満であると、Tiの固溶が不十分になり時効処理において強度が上昇しない。溶体化温度が1000℃を超えると、銅合金の融点に近づくため工業的な製造が難しくなる。溶体化処理時間は、5秒間〜30分間とするのが好ましい。本発明における溶体化処理とは、上記条件での加熱処理をいう。一般に、溶体化処理とは加熱処理とそれに続けて行われる急冷とをあわせて溶体化処理ということがあるが、本発明における溶体化処理は、急冷の処理を含まず、上記条件での加熱処理をいう。本発明においては、上記条件での加熱処理(溶体化処理)の後に、後述するように徐冷が行われる。
溶体化処理された材料は、次に徐冷する。この徐冷は、炉冷、空冷、又はその組み合わせによって行うことができる。例えば、徐冷は、大気中に放置する空冷によって行うことができる。例えば、徐冷は、溶体化直後の材料を断熱容器に挿入する、バーナーで加熱する、一定の炉温となるよう制御された加熱炉(冷却室)で数分〜数時間保持する、加熱炉(冷却室)に挿入してから加熱を停止して炉冷するなどにより、冷却を積極的に遅らせて析出をより促進することも可能である。加熱炉(冷却室)は、例えば、150℃〜500℃、例えば200〜400℃の温度としておく。そして、例えば180〜10分間、例えば90〜20分間保持することができる。炉冷によれば、例えば材料温度が200℃未満となるまでに10〜300℃/時間の冷却速度によって冷却することができる。例えば炉冷による保持の後に、空冷してもよい。好適な実施の態様において、徐冷は、溶体化処理後に、700℃〜1000℃となっていた材料温度を、200℃未満となるまで徐冷することによって行うことができる。このように、溶体化処理上がりの導電率、すなわち、徐冷された材料の導電率(%IACS)の値ECが、−1.4×[Ti](%)+8.6を超えるものとなるような冷却速度で冷却するものは、この工程における徐冷に含まれる。この[Ti](%)は材料のなかのTi濃度(質量%)を表す。ただし、導電率を15%IACSより上げようとすると、冷却に長時間を要し生産効率が極度に低下する。また、材料温度を300℃以上に維持し、長時間冷却を行うと冷却時に粗大な析出物が生成し、曲げ性を悪化させる可能性があるため、導電率の上限値を15%IACSとすることが好ましい。したがって、好適な実施の態様において、徐冷された材料の導電率(%IACS)の値ECが次の式IIIを満たすものとすることができる。
15≧EC(%IACS)>−1.4×[Ti](%)+8.6 (式III)
(ただし、[Ti](%)は、材料に含まれるTiの濃度(質量%)である)
一方、溶体化処理直後の材料を水槽中に投入する方法、材料に水を噴射する方法、材料にミストを噴霧する方法等を行うと、溶体化処理上がりの導電率が所望の範囲とならず、本発明における徐冷にあたらない。
15≧EC(%IACS)>−1.4×[Ti](%)+8.6 (式III)
(ただし、[Ti](%)は、材料に含まれるTiの濃度(質量%)である)
一方、溶体化処理直後の材料を水槽中に投入する方法、材料に水を噴射する方法、材料にミストを噴霧する方法等を行うと、溶体化処理上がりの導電率が所望の範囲とならず、本発明における徐冷にあたらない。
(5) 時効処理
チタン銅の強度、導電率及び曲げ加工性を向上させるため、時効処理を行う。時効処理の条件は、例えば350〜550℃で2時間〜20時間とするとよい。
時効温度が350℃未満または時効処理時間が2時間未満になると、Tiの析出が不十分になり強度が上昇しない。時効温度が550℃超または時効処理時間が20時間超になると、Tiの析出が進み過ぎ強度が低下する(過時効)。
時効処理後に、時効時に生成した表面酸化膜を除去するために、表面の酸洗や研磨等を行ってもよい。
チタン銅の強度、導電率及び曲げ加工性を向上させるため、時効処理を行う。時効処理の条件は、例えば350〜550℃で2時間〜20時間とするとよい。
時効温度が350℃未満または時効処理時間が2時間未満になると、Tiの析出が不十分になり強度が上昇しない。時効温度が550℃超または時効処理時間が20時間超になると、Tiの析出が進み過ぎ強度が低下する(過時効)。
時効処理後に、時効時に生成した表面酸化膜を除去するために、表面の酸洗や研磨等を行ってもよい。
(6) 時効処理の前又は後の冷間圧延
製品の強度を高めるために、溶体化処理後で時効処理前に冷間圧延(時効前圧延)を行うことができる。ただし、圧延加工度の増加とともに、I{311}/I0{311}が低下するので、加工度の上限を50%とする。時効前圧延を行う場合には、高強度化の効果を得るために、圧延加工度を1%以上にすることが好ましい。好適な実施の態様において、時効処理の前の冷間圧延の加工度は、例えば50%以下、好ましくは45%以下とすることができ、例えば0%以上、好ましくは5%以上とすることができる。
製品の強度を高めるために、溶体化処理後で時効処理前に冷間圧延(時効前圧延)を行うことができる。ただし、圧延加工度の増加とともに、I{311}/I0{311}が低下するので、加工度の上限を50%とする。時効前圧延を行う場合には、高強度化の効果を得るために、圧延加工度を1%以上にすることが好ましい。好適な実施の態様において、時効処理の前の冷間圧延の加工度は、例えば50%以下、好ましくは45%以下とすることができ、例えば0%以上、好ましくは5%以上とすることができる。
同様に、製品の強度を高めるために、時効処理後に冷間圧延(時効後圧延)を行うことができる。ただし、圧延加工度の増加とともに、I{311}/I0{311}が低下するので、加工度の上限を40%とする。時効後圧延を行う場合には、高強度化の効果を得るために、圧延加工度を1%以上にすることが好ましい。好適な実施の態様において、時効処理の後の冷間圧延の加工度は、例えば40%以下、好ましくは35%以下とすることができ、例えば0%以上、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上とすることができる。
上述のように、好適な実施の態様において、溶体化処理とそれに続く徐冷の後で、時効処理前に冷間圧延(時効前圧延)を行うことができ、時効処理後に冷間圧延(時効後圧延)を行うことができる。この時効前圧延と時効後の圧延は、そのいずれかを一方を行うことができるが、両方を行うこともできる。
(7) 歪取り焼鈍
時効処理後の冷間圧延で低下したばね限界値を改善するため、時効後圧延の後に歪取り焼鈍を行ってもよい。歪取り焼鈍の温度は、例えば300〜700℃、好ましくは300〜500℃、さらに好ましくは300〜400℃、さらに好ましくは300〜350℃の温度で、焼鈍時間は、例えば5秒〜10時間、好ましくは30秒間〜8時間とすることができる。歪取り焼鈍の温度が300℃未満であるか、又は焼鈍時間が5秒未満になると、ばね限界値が改善されない場合がある。一方、焼鈍時間が10時間を超えるか、又は歪取り焼鈍の温度が700℃を超えると、強度が低下する場合がある。
時効処理後の冷間圧延で低下したばね限界値を改善するため、時効後圧延の後に歪取り焼鈍を行ってもよい。歪取り焼鈍の温度は、例えば300〜700℃、好ましくは300〜500℃、さらに好ましくは300〜400℃、さらに好ましくは300〜350℃の温度で、焼鈍時間は、例えば5秒〜10時間、好ましくは30秒間〜8時間とすることができる。歪取り焼鈍の温度が300℃未満であるか、又は焼鈍時間が5秒未満になると、ばね限界値が改善されない場合がある。一方、焼鈍時間が10時間を超えるか、又は歪取り焼鈍の温度が700℃を超えると、強度が低下する場合がある。
以下に、実施例をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示する実施例に限定されるものではない。
[チタン銅の製造]
真空溶解炉にて電気銅を溶解し、表1に示す組成が得られるよう合金元素を添加した。この溶湯を鋳鉄製の鋳型に鋳込み、厚さ30mm、幅60mm、長さ120mmのインゴットを製造した。
真空溶解炉にて電気銅を溶解し、表1に示す組成が得られるよう合金元素を添加した。この溶湯を鋳鉄製の鋳型に鋳込み、厚さ30mm、幅60mm、長さ120mmのインゴットを製造した。
このインゴットを950℃で3時間加熱し、厚さ10mmまで熱間圧延を行なった。圧延直後の材料は、表1に示す方法で室温まで冷却した。ここで、表1の「空冷」は熱間圧延後の試料を大気中に放置した。「炉冷」は、表1に示す温度に昇温した電気炉に熱間圧延後の試料を挿入した後、炉の通電を切って炉内で冷却した(「300℃から炉冷」は、300℃の電気炉に熱間圧延後の試料を挿入した後、炉の通電を切って炉内で冷却したことを示す)。「水冷」は熱間圧延後の試料を水槽中に投入し、「ミスト冷却」は熱間圧延後の試料に水のミストを噴霧して冷却した。冷却した後に測定した導電率(%IACS)を表1に示す。
次に、表面の酸化スケールを面削した後(研削後の厚み9mm)、表1に示す加工度で冷間圧延(溶体化前圧延)を行った。その後、表2に示す温度で5分間溶体化処理を行った後、表2に示す条件でそれぞれ冷却した。冷却した後に測定した導電率(%IACS)、結晶粒径を表2に示す。
さらに、表3に示す条件で、時効処理を行った。この際に、表3に示す条件で、この時効処理の前又は後で、あるいは前と後の両方で、冷間圧延を行った。時効前圧延を行った場合、表3に示す加工度で時効前圧延を行った後、Ar雰囲気中で表3に示す温度で5時間時効処理した。時効処理温度は時効後の引張強さが最大になるように選択した。時効後圧延を行った場合、Ar雰囲気中で表3に示す温度で5時間時効処理した後に、表3に示す加工度で時効後圧延した。時効前圧延と時効後圧延を行った場合もまた、表3に示す通りの条件である。さらに、表3に示すように、時効後圧延を行った試料の一部は、表3に示す温度で10秒間歪取り焼鈍し、試料を大気中に放置し冷却した。最終板厚(製品板厚mm)は表1に示す通りである。
[チタン銅の評価]
このようにして得られた各チタン銅試料、及び製造途中の各チタン銅試料について、以下のように、諸特性の評価を行った。
このようにして得られた各チタン銅試料、及び製造途中の各チタン銅試料について、以下のように、諸特性の評価を行った。
<導電率>
熱間圧延して冷却した後の試料について、各試料表面を機械研磨し、スケールを除去するとともに平坦化して、この表面において、フェルスター社製シグマテストD2.068を用い、周波数60kHzの条件で導電率を測定した。また、溶体化処理して冷却した後の試料について、四端子法で導電率を測定した。
熱間圧延して冷却した後の試料について、各試料表面を機械研磨し、スケールを除去するとともに平坦化して、この表面において、フェルスター社製シグマテストD2.068を用い、周波数60kHzの条件で導電率を測定した。また、溶体化処理して冷却した後の試料について、四端子法で導電率を測定した。
<溶体化処理後の結晶粒径>
溶体化処理後の試料の圧延方向と直交する断面を機械研磨により鏡面に仕上げた後、エッチングにより結晶粒界を現出させ、JIS H0501の切断法に従い結晶粒径を求めた。
溶体化処理後の試料の圧延方向と直交する断面を機械研磨により鏡面に仕上げた後、エッチングにより結晶粒界を現出させ、JIS H0501の切断法に従い結晶粒径を求めた。
<X線回折>
最終製品の圧延面、及び銅粉末(関東化学株式会社製、銅(粉末)、2N5、>99.5%、325mesh)に対し、{311}面及び{220}面のX線回折積分強度を測定して、チタン銅の圧延面に対しX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI{311}とし、チタン銅の圧延面に対しX線回折を行ったときに得られる{220}面のX線回折積分強度をI{220}とし、銅粉末に対し同条件でX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI0{311}とし、銅粉末に対し同条件でX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI0{220}とした。X線回折積装置としては、株式会社リガク製RINT2500を使用し、Cu管球にて、管電圧25kV、管電流20mAで測定を行なった。得られたX線回折積分強度から、I{311}/I0{311}、及びI{220}/I0{220}の値を、それぞれ算出した。
最終製品の圧延面、及び銅粉末(関東化学株式会社製、銅(粉末)、2N5、>99.5%、325mesh)に対し、{311}面及び{220}面のX線回折積分強度を測定して、チタン銅の圧延面に対しX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI{311}とし、チタン銅の圧延面に対しX線回折を行ったときに得られる{220}面のX線回折積分強度をI{220}とし、銅粉末に対し同条件でX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI0{311}とし、銅粉末に対し同条件でX線回折を行ったときに得られる{311}面のX線回折積分強度をI0{220}とした。X線回折積装置としては、株式会社リガク製RINT2500を使用し、Cu管球にて、管電圧25kV、管電流20mAで測定を行なった。得られたX線回折積分強度から、I{311}/I0{311}、及びI{220}/I0{220}の値を、それぞれ算出した。
<引張り強さ>
引張試験機を用いてJIS Z2241に従い、最終製品の圧延方向と平行の引張強さ(MPa)を測定した。
引張試験機を用いてJIS Z2241に従い、最終製品の圧延方向と平行の引張強さ(MPa)を測定した。
<曲げ性>
最終製品の試料の幅を10mmとし、JIS H3130に従い、種々の曲げ半径(R)で、Badway(BW:曲げ軸が圧延方向と同一方向)のW曲げ試験を行った。次に、曲げ断面を機械研磨及びバフ研磨で鏡面に仕上げ、光学顕微鏡にて割れの有無を観察した。そして、割れの発生しない最小半径(MBR)の板厚(t)に対する比であるMBR/t値を求めた。
最終製品の試料の幅を10mmとし、JIS H3130に従い、種々の曲げ半径(R)で、Badway(BW:曲げ軸が圧延方向と同一方向)のW曲げ試験を行った。次に、曲げ断面を機械研磨及びバフ研磨で鏡面に仕上げ、光学顕微鏡にて割れの有無を観察した。そして、割れの発生しない最小半径(MBR)の板厚(t)に対する比であるMBR/t値を求めた。
得られた結果を表1、表2、表4に示す。時効前圧延または時効後圧延を行わなかった場合については加工度の欄に0と記し、歪取り焼鈍を行わなかった場合については温度の欄になしと記している。
表1〜4において、熱間圧延後の冷却方法以外の条件、あるいは溶体化処理後の冷却方法以外の条件を、同一の条件とした発明例及び比較例のグループを、2桁目(又は3桁目)の番号が同一となるようまとめた。例えば、発明例11、12、及び比較例11、12、13は、インゴットの成分組成、最終製品の板厚、溶体化前圧延の加工度、時効前圧延の加工度、時効処理温度、時効圧延後の加工度、歪み取り焼鈍温度の各条件が、すなわち、熱間圧延後の冷却方法、溶体化処理後の冷却方法以外の条件が、同一となっているグループである。また、W曲げのMBR/t値には、結晶方位だけでなく、板厚(薄いほど小さくなる)、粗大析出物(少ないほど小さくなる)、結晶粒径(適度な粒径がある)、強度(低いほど小さくなる)等、様々な因子が影響する。そこで、各グループ内の実施例は、結晶方位以外の因子が同様になるように調整されたものである。
表1〜4において、熱間圧延後の冷却方法以外の条件、あるいは溶体化処理後の冷却方法以外の条件を、同一の条件とした発明例及び比較例のグループを、2桁目(又は3桁目)の番号が同一となるようまとめた。例えば、発明例11、12、及び比較例11、12、13は、インゴットの成分組成、最終製品の板厚、溶体化前圧延の加工度、時効前圧延の加工度、時効処理温度、時効圧延後の加工度、歪み取り焼鈍温度の各条件が、すなわち、熱間圧延後の冷却方法、溶体化処理後の冷却方法以外の条件が、同一となっているグループである。また、W曲げのMBR/t値には、結晶方位だけでなく、板厚(薄いほど小さくなる)、粗大析出物(少ないほど小さくなる)、結晶粒径(適度な粒径がある)、強度(低いほど小さくなる)等、様々な因子が影響する。そこで、各グループ内の実施例は、結晶方位以外の因子が同様になるように調整されたものである。
このように、次の式I: I{311}/I0{311}≧0.3 (式I) (ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である) 及び、次の式II: I{220}/I0{220}≦7.0 (式II) (ただし、式Iにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である) を満たすチタン銅は、優れた強度と曲げ性を両立していることがわかった。
また、このような優れた強度と曲げ性を両立したチタン銅は、インゴットの鋳造、熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、時効処理前後の圧延、所望により歪み取り焼鈍を行うという一連の製造工程において、熱間圧延の後の冷却条件と、溶体化処理の後の冷却条件を制御することによって、製造できることがわかった。
本発明によれば、強度と曲げ加工性が共に優れたチタン銅を得ることができる。本発明によるチタン銅は、強度と曲げ加工性に優れたものであるので、電子機器部品、特に小型の電子機器部品にも好適に使用することができ、例えば、小型電子機器部品として使用される端子、コネクタ等に好適に使用することができる。本発明は、産業上有用な発明である。
Claims (16)
- 1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、次の式I:
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
及び、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たす、チタン銅。 - 1.5〜5.0質量%のTiを含有し、
さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、請求項1に記載のチタン銅。 - 請求項1又は請求項2に記載のチタン銅を用いた伸銅品。
- 請求項1又は請求項2に記載のチタン銅を用いた電子機器部品。
- 1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなるインゴットを、材料として、800〜1000℃の温度に加熱して熱間圧延する工程、
熱間圧延された材料を、徐冷する工程、
熱間圧延され徐冷された材料を、加工度30〜99.5%で冷間圧延する工程、
冷間圧延された材料を、700〜1000℃、5秒間〜30分間で溶体化処理する工程、
溶体化処理された材料を、徐冷する工程、
を含む、チタン銅の製造方法。 - 溶体化処理された材料を、徐冷する工程の後に、
溶体化処理され徐冷された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、
冷間圧延された材料を、350〜550℃の温度、2時間〜20時間で、時効処理する工程、
を含む、請求項5に記載の製造方法。 - 冷間圧延された材料を、時効処理する工程の後に、
冷間圧延され時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、
を含む、請求項6に記載の製造方法。 - 溶体化処理された材料を、徐冷する工程の後に、
溶体化処理され徐冷された材料を、350〜550℃の温度、2時間〜20時間で、時効処理する工程、
時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程、
を含む、請求項5に記載の製造方法。 - 時効処理された材料を、加工度0〜50%で冷間圧延する工程の後に、
加工度0〜50%で冷間圧延された材料を、歪み取り焼鈍する工程、
を含む、請求項7又は請求項8に記載の製造方法。 - インゴットが、
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、
さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、請求項5〜9のいずれかに記載の製造方法。 - 熱間圧延された材料を、徐冷する工程によって、徐冷された材料が、10.0%〜30.0%IACSの導電率を有する、請求項5〜10のいずれかに記載の製造方法。
- 溶体化処理された材料を、徐冷する工程によって、徐冷された材料が、次の式III:
15≧EC(%IACS)>−1.4×[Ti](%)+8.6 (式III)
(ただし、[Ti](%)は、材料に含まれるTiの濃度(質量%)である)
を満たす導電率EC(%IACS)を有する、請求項5〜11のいずれかに記載の製造方法。 - 請求項5〜12のいずれかに記載の製造方法によって製造された、
1.5〜5.0質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、次の式I:
I{311}/I0{311}≧0.3 (式I)
(ただし、式Iにおいて、I{311}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{311}面の積分強度であり、
I0{311}は、銅粉末のX線回折で求めた{311}面の積分強度である)
及び、次の式II:
I{220}/I0{220}≦7.0 (式II)
(ただし、式IIにおいて、I{220}は、圧延面においてX線回折を用いて測定した{220}面の積分強度であり、
I0{220}は、銅粉末のX線回折で求めた{220}面の積分強度である)
を満たす、チタン銅。 - 1.5〜5.0質量%のTiを含有し、
さらに、Ag、B、Co、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、P、Si及びZrからなる群から1種以上を合計0.001〜1.0質量%含有し、
残部が銅及び不可避的不純物からなる、請求項13に記載のチタン銅。 - 請求項13又は請求項14に記載のチタン銅を用いた伸銅品。
- 請求項13又は請求項14に記載のチタン銅を用いた電子機器部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016173771A JP2017014625A (ja) | 2016-09-06 | 2016-09-06 | チタン銅及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016173771A JP2017014625A (ja) | 2016-09-06 | 2016-09-06 | チタン銅及びその製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012082237A Division JP6247812B2 (ja) | 2012-03-30 | 2012-03-30 | チタン銅及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017014625A true JP2017014625A (ja) | 2017-01-19 |
Family
ID=57828054
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016173771A Withdrawn JP2017014625A (ja) | 2016-09-06 | 2016-09-06 | チタン銅及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017014625A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006249565A (ja) * | 2005-03-14 | 2006-09-21 | Nikko Kinzoku Kk | プレス加工性に優れたチタン銅 |
JP2009035775A (ja) * | 2007-08-01 | 2009-02-19 | Dowa Metaltech Kk | コネクタ端子 |
JP2011208243A (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-20 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | 銅合金、銅合金の製造方法及び電子部品の製造方法 |
JP2013082960A (ja) * | 2011-10-07 | 2013-05-09 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | チタン銅及びその製造方法、並びにチタン銅を用いた伸銅品及び電子機器部品 |
JP2013209731A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | チタン銅及びその製造方法 |
-
2016
- 2016-09-06 JP JP2016173771A patent/JP2017014625A/ja not_active Withdrawn
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006249565A (ja) * | 2005-03-14 | 2006-09-21 | Nikko Kinzoku Kk | プレス加工性に優れたチタン銅 |
JP2009035775A (ja) * | 2007-08-01 | 2009-02-19 | Dowa Metaltech Kk | コネクタ端子 |
JP2011208243A (ja) * | 2010-03-30 | 2011-10-20 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | 銅合金、銅合金の製造方法及び電子部品の製造方法 |
JP2013082960A (ja) * | 2011-10-07 | 2013-05-09 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | チタン銅及びその製造方法、並びにチタン銅を用いた伸銅品及び電子機器部品 |
JP2013209731A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Jx Nippon Mining & Metals Corp | チタン銅及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5117604B1 (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
JP4857395B1 (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
JP4761586B1 (ja) | 高強度チタン銅板及びその製造方法 | |
JP5426936B2 (ja) | 銅合金の製造方法及び銅合金 | |
JP5619389B2 (ja) | 銅合金材料 | |
JP6196435B2 (ja) | チタン銅及びその製造方法 | |
JP5417366B2 (ja) | 曲げ加工性に優れたCu−Ni−Si系合金 | |
KR101917416B1 (ko) | 전자 재료용 Cu-Co-Si 계 합금 | |
JP6317967B2 (ja) | Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材およびその製造方法並びに通電部品 | |
JP5539932B2 (ja) | 曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系合金 | |
JP6228725B2 (ja) | Cu−Co−Si系合金及びその製造方法 | |
JP6214126B2 (ja) | チタン銅及びその製造方法、並びにチタン銅を用いた伸銅品及び電子機器部品 | |
JP6247812B2 (ja) | チタン銅及びその製造方法 | |
TWI467035B (zh) | Carbene alloy and its manufacturing method | |
JP2016199808A (ja) | Cu−Co−Si系合金及びその製造方法 | |
WO2013069376A1 (ja) | Cu-Co-Si系合金及びその製造方法 | |
JP4130593B2 (ja) | 疲労及び中間温度特性に優れた高力高導電性銅合金 | |
JP2016188435A (ja) | チタン銅及びその製造方法、並びにチタン銅を用いた伸銅品及び電子機器部品 | |
JP2013100586A (ja) | チタン銅及びその製造方法 | |
JP2017014625A (ja) | チタン銅及びその製造方法 | |
JP6246454B2 (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
JP2016211078A (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
KR20200115224A (ko) | 강도와 압연 평행 방향 및 압연 직각 방향의 굽힘 가공성이 우수한 Cu-Ni-Si계 합금 스트립 | |
JP2013147687A (ja) | 曲げ加工性に優れたチタン銅 | |
JP2015203141A (ja) | Cu−Co−Si合金及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132 Effective date: 20171003 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20171122 |