JP2017014058A - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス基板の熱収縮率の絶対値を低減しつつ、ガラス基板の面方向での熱収縮率のばらつきを低減することができるガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】ディスプレイ用のガラス基板を熱処理温度で熱処理する熱処理工程を含むガラス基板の製造方法であって、ガラス基板の搬送方向に沿って複数の熱源が設けられた熱処理炉において、ガラス基板の平面が鉛直方向になるように保持しつつ、かつ、互いに隣接するガラス基板の平面が進行方向に向けて距離的に所定間隔をあけた対面状態を維持して、ガラス基板の平面に対して垂直方向に前記ガラス基板を搬送する搬送工程と、ガラス基板を、ガラス基板の平面方向の側部側から中心方向に向かって加熱し、室温から加熱後、熱処理温度より低い中間温度から熱処理温度になるまで昇温速度で加熱する加熱工程と、ガラス基板を、中間温度になるまで昇温速度の絶対値と等しい降温速度で冷却工程と、を備える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ガラス基板の熱処理工程を含むガラス基板の製造方法に関する。
近年、ディスプレイパネルの分野では、画質の向上のために画素の高精細化が進展している。この高精細化の進展に伴って、ディスプレイパネルに用いるガラス基板にも寸法精度が高いことが望まれている。例えば、ディスプレイパネルの製造工程中に、ガラス基板が高温で熱処理されても寸法が変化しにくいように、熱収縮の小さいガラス基板が求められている。
一般に、ガラス基板の熱収縮率は、ガラスの歪点が高いほど小さくなる。このため、熱収縮率を抑制するために、歪点が高くなるようにガラス組成を変更する方法が知られている(特許文献1)。しかし、歪点が高くなるようにガラス組成を変更すると、熔解温度が高くなる傾向にあり、ガラス基板の製造が難しくなるという問題がある。
特表2014−503465
ガラス基板製造の困難性を招くことなく、ガラス基板の熱収縮を低減させる方法として、フュージョン法等により成形したシートガラスを切断することで得たガラス基板をオフラインにおいて熱処理(オフラインアニール処理)する方法がある。しかし、オフラインアニール処理では、ガラス基板を昇温・降温させる際にガラス基板の面方向で温度差が生じ、ガラス基板の面方向で熱収縮率がばらついてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、ガラス基板の熱収縮率の絶対値を低減しつつ、ガラス基板の面方向での熱収縮率のばらつきを低減することができるガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ディスプレイ用のガラス基板を400℃〜600℃の範囲にある熱処理温度で熱処理する熱処理工程を含むガラス基板の製造方法であって、
前記熱処理工程は、
前記ガラス基板の搬送方向に沿って複数の熱源が設けられた熱処理炉において、前記ガラス基板の平面が鉛直方向になるように保持しつつ、かつ、互いに隣接するガラス基板の平面が進行方向に向けて距離的に所定間隔をあけた対面状態を維持して、前記ガラス基板の平面に対して垂直方向に前記ガラス基板を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程で搬送されるガラス基板を、前記ガラス基板の平面方向の側部側から中心方向に向かって加熱し、室温から加熱後、前記熱処理温度より50℃から150℃より低い中間温度から前記熱処理温度になるまで昇温速度で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱されたガラス基板を、前記中間温度になるまで前記昇温速度の絶対値と等しい降温速度で冷却工程と、を備える、
ことを特徴とする。
前記熱処理工程は、前記ガラス基板を前記熱処理温度で維持する維持工程をさらに備える、ことが好ましい。
前記熱処理工程では、室温から前記中間温度になるまで前記昇温速度より速い昇温速度で前記ガラス基板を加熱し、
前記冷却工程では、前記中間温度から室温になるまで前記降温速度より速い降温速度で前記ガラス基板を冷却する、ことが好ましい。
前記熱処理工程では、前記熱処理炉において熱風を循環させる、ことが好ましい。
上述のガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の熱収縮率の絶対値を低減しつつ、ガラス基板の面方向での熱収縮率のばらつきを低減することができる。
本実施形態のガラス基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。 熱処理において炉内におけるガラス基板の状態を示す図である。 ガラス基板の温度履歴を示す図である。 ガラス基板において、風上側部分と風下側部分との温度履歴差を示す図である。
以下、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。製造されるガラス基板は、特に制限されないが、例えば縦寸法及び横寸法のそれぞれが500mm〜3500mmであることが好ましい。ガラス基板の厚さは、0.1mm〜1.1mm、より好ましくは0.75mm以下の極めて薄い矩形形状の板であることが好ましい。
まず、熔融されたガラスが、例えばフュージョン法あるいはフロート法等の公知の方法により、所定の厚さの帯状ガラスであるシートガラスが成形される(ステップS1)。
次に、成形されたシートガラスが所定の長さの素板であるガラス基板に採板される(ステップS2)。採板により得られたガラス基板は、搬送機構によりピンチング保持されつつ、熱処理炉に搬送され(ステップS3)、次工程のアニーリング(熱処理)工程(ステップS4)までレールに誘導されて搬送される。次に、この搬送されたガラス基板に対して熱処理を行なう(ステップS4)。このステップS3の処理およびステップS4の処理が本実施形態のアニーリング工程である。アニーリング工程の詳細については後述する。
熱処理後のガラス基板は切断工程に搬送され、製品のサイズに切断され、ガラス基板が得られる(ステップS5)。得られたガラス基板には、端面の研削、研磨およびコーナカットを含む端面加工が行われた後、ガラス基板は洗浄される(ステップS6)。洗浄されたガラス基板はキズ、塵、汚れあるいは光学欠陥を含む傷が無いか、光学的検査が行われる(ステップS7)。検査により品質の適合したガラス基板は、ガラス基板を保護する紙と交互に積層された積層体としてパレットに積載されて梱包される(ステップS8)。梱包されたガラス基板は納入先業者に出荷される。
このようなガラス基板として、以下のガラス組成のガラス基板が例示される。つまり、以下のガラス組成のガラス基板が製造されるように、熔融ガラスの原料が調合される。
SiO2 55〜80モル%、
Al23 8〜20モル%、
23 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
SiO2は60〜75モル%、さらには、63〜72モル%であることが、熱収縮率を小さくするという観点から好ましい。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜15モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、SiO2、Al23、B23、及びROを少なくとも含み、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.5以上であるガラスであってもよい。また、MgO、CaO、SrO、及びBaOの少なくともいずれか含み、モル比(BaO+SrO)/ROは0.1以上であることが好ましい。
また、モル%表示のB23の含有率の2倍とモル%表示のROの含有率の合計は、30モル%以下、好ましくは10〜30モル%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As、Sb及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
本実施形態で製造されるガラス基板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板あるいは、有機ELディスプレイ用のガラス基板として好適である。さらに、本実施形態で製造されるガラス基板は、高精細ディスプレイに用いるLTPS(Low-temperature poly silicon)あるいはIGZO(Indium-Gallium-Zinc-Oxide)を用いたTFTディスプレイ用ガラス基板として特に好適である。
本実施形態における熔融ガラスからシートガラスを成形する方法として、フロート法やフュージョン法等が用いられるが、本実施形態のガラス基板のオフラインにおける熱処理を含むガラス基板の製造方法では、フュージョン法(オーバーダウンドロー法)において製造ライン上の徐冷装置を長くすることが困難である点から、フュージョン法に適している。本実施形態の熱処理により熱収縮率を低減する前のガラス基板の熱収縮率は、80ppm以下であり、より好ましくは40ppm〜60ppmである。
〔アニーリング工程〕
次に、アニーリング工程について詳細に説明する。図2は、アニーリング工程(熱処理)において炉内におけるガラス基板Gの状態を示す図であり、二つ一組の走行循環手段810,820を備えたガラス板保持装置の構造を模式的に示す図である。ガラス基板Gは、図2に示すように、垂直に吊り下げられた状態で熱処理炉500に搬送され、熱処理炉500内を移動しながら熱処理が行われる。熱処理炉500には、熱処理炉500の雰囲気(空気)を加熱するための発熱装置(ヒーター)510が複数設けられ、発熱装置510が熱源となって、熱処理炉500の雰囲気が温められる。発熱装置510は、ガラス基板Gの面方向の周囲に設けられ、ガラス基板Gの温度が後述する熱履歴になるように、ガラス基板Gを加熱する。また、発熱装置510は、熱風を放出し、熱処理炉500において熱風を循環させて、ガラス基板Gを熱処理する。発熱装置510は、ガラス基板Gの面方向の温度分布はほぼ一様となるように、熱風の温度、熱風の速度を制御する。熱処理炉500において、昇温区間、維持区間、降温区間が形成され、ガラス基板Gの面方向の温度分布がほぼ一様になるように、熱処理炉500内に発熱装置510が設けられる。
ここで、熱履歴とは、熱処理によって変化するガラス基板Gの温度の履歴を示すものである。熱処理炉500ではガラス基板Gの面方向の周囲に発熱装置510に設けられているため、ガラス基板Gの面方向の側部(周辺部、一側縁G1、下縁G2、他側縁G3、上縁G4)から中心方向に向かって、ガラス基板Gは、加熱、冷却される。このため、ガラス基板Gの側部と中心部とでは、ガラス基板Gの熱履歴が異なり、ガラス基板Gの熱収縮率のばらつき、歪が発生することがある。ガラス基板Gを熱処理炉500に搬送すると、発熱装置510に近い位置(発熱装置510に対して上流側、風上側)であるガラス基板Gの面方向の側部に熱処理炉500からの熱が伝わる。ガラス基板Gの縁を含む側部領域は、高温の雰囲気から熱の伝導を受けて、ガラス基板Gの側部領域に囲まれた中央領域に比べて早く昇温する。また、ガラス基板Gが熱処理炉500を移動することにより、熱処理炉500内の雰囲気温度が降温すると、低温となった雰囲気に高温状態のガラス基板Gの側部領域は晒されて放熱し、ガラス基板Gの中央領域に比べて早く降温する。ガラス基板G上では、ガラス基板Gの面方向の側部である一側縁G1、下縁G2、他側縁G3、上縁G4は、縁G1〜G4に囲まれた中央領域より早く昇温、降温する。このように熱履歴に差が生じると、側部領域から中央領域にかけて、熱収縮率が異なり、引っ張りと圧縮応力が生じるために歪が発生する。ガラス基板G面内での熱収縮率を均一して、歪の発生を抑制するためには、ガラス基板Gの側部領域から中央領域かけての温度変化の差をなくす、つまり、熱履歴の差を小さくする必要がある。ガラス基板G面内において熱履歴の差を抑制する方法は後述する。
同図において、符号370は、切断工程で耳部が切断されたガラス基板Gの上縁G4を吊り下げて熱処理炉500の入り口側501までレール380に誘導されて搬送する搬送機構であり、符合450は、ガラス保持装置400へのガラス基板Gの保持を補助する装着補助装置であり、符号470は、熱処理後のガラス基板Gの上縁G4を吊り下げて次工程までレール480に誘導されて搬送する搬送機構である。また、同図において、ガラス板保持装置400は、ガラス基板Gの一側縁G1及び下縁G2を挟持して保持する縦・横一組の保持部(縦保持部410,横保持部420)を備えている。また、天面にも同形状に熱風を通す穴を設けたレールを設置している。更にもう一方の側面も同形状のレールで保持し、出口でピンチングするまでの間、保持する。
熱処理炉500の外壁は、厚い断熱材により覆われ、長手方向(進行方向)の中間部の天井壁530には電熱ヒータやセラミックヒータなどの加熱手段としての発熱装置510が取り付けられて昇温区間、維持区間が形成されている。また、進行方の後方部の壁面には高反射塗料などが塗布された反射面が形成され、これにより降温区間506が形成され、また、加熱手段がない入り口側501に位置する前方部は助走区間503となる。
ここで、熱処理炉500に求められる条件としては、入り口及び出口付近での温度低下をなるべく低減させることが求められている。このため、この実施の形態では、入り口には助走区間503を設け、中間位置に発熱装置510を設けて確実に昇温させて高温域を形成させる昇温区間504、維持区間505を形成し、さらに、降温しながらガラス基板Gの熱収縮率を低減される降温区間506を形成する。
また、このような構成を採用すれば、熱処理炉500内の主な加熱源は中間に配置される発熱装置510に基づくが、昇温・維持区間で昇温された雰囲気は、ガラス基板Gの平面が進行方向に対して雰囲気ガスの拡散を阻害する交差する方向に配設されているので、例えば、入り口側501及び出口側502に開閉扉を設けなくても、側壁に直交する方向に配設されたガラス基板Gが、熱処理炉内の入り口方向または出口方向に向けての隔壁の役割を果たすことができ、これにより、助走区間503および降温区間での温度低下を抑制できるという、作用効果も備える。なお、助走区間503を設けずに、昇温区間504において、ガラス基板Gの温度を室温から加熱することもできる。助走区間503を省略することにより、ガラス基板Gの加熱時間を短くすることができるため、熱処理工程(アニール工程)の時間を短くすることができ、生産効率を高めることができる。
つぎに、図2において、符号810は、ベルトコンベアやチェーンなどからなる垂直循環手段810であり、この垂直循環手段810は、熱処理炉500の側壁(不図示)の内外を循環している。この垂直循環手段810の外周には、多数の縦保持部410が配設され、垂直循環手段810が駆動すると、縦保持部410は、熱処理炉500の側壁(不図示)の内外を縦保持部410の垂直を維持しつつ循環する。
同様に、符号810は、ベルトコンベアやチェーンなどからなる水平循環手段820であり、この水平循環手段820は、熱処理炉の底壁(不図示)の内外を循環している。この水平循環手段820の外周には、多数の横保持部420が配設され、水平循環手段820が駆動すると、横保持部420は、熱処理炉500の底壁(不図示)の内外を横保持部420の水平を維持しつつ循環する。
縦保持部410はガラス基板Gの一側縁G1を熱処理炉500の側壁に沿って鉛直方向に保持できればどのような構成でもよいが、この実施の形態では、二つの突条部411,412とそれらの突条部411,412間に設けられた保持溝413とにより主に構成されている。二つの突条部411,412の保持溝413側は傾斜面411a,412aとされ、これにより、縦保持部410に向けてガラス基板Gの一側縁G1が挿入されると、一側縁G1は傾斜面411a,412aに誘導されて保持溝413へ挿嵌される。
他方の横保持部420はガラス基板の重力方向の下縁G2を熱処理炉500の底壁上を横断して水平方向に保持できればどのような構成でもよいが、この実施の形態では、二つの突条部421,422とそれらの突条部421,422間に設けられた保持溝423とにより主に構成され、保持溝423は、側壁に直交して配置されている。突条部421,422の保持溝423側は傾斜面421a,422aとされ、また、突条部421,422の先端(縦保持部411と反対側)には内側に向けた傾斜面421b,422bを備えている。これにより、横保持部420に向けてガラス基板Gの一側縁G1の下端が挿入されると、一側縁G1の下端G1aは傾斜面421b,422bに誘導されて下縁G2が保持溝423へ誘導される。
また、垂直循環手段810と水平循環手段820とは、入り口側501で合流され、出口側502で互いに離間する。互いに合流する熱処理炉500の入り口側501では、保持溝423の底辺中央部の延長線と保持溝413の底辺中央部の延長線とが一点で交差する位置に配設されている。これにより、互いの循環手段(垂直循環手段810および水平循環手段820)が合流する熱処理炉500の入り口側501では、1つの縦保持部410と1つの横保持部420とが一組となって一枚のガラス基板Gを保持するガラス板保持装置400として機能する。
ここで、「縦保持部410と横保持部420とが一組となって」とは、縦保持部410と横保持部420とが一組となって一枚のガラス基板Gを保持することが本質であることを意味し、このため、例えば、垂直循環手段810と水平循環手段820とが合流する熱処理炉500の入り口側501では縦保持部410と横保持部420とが係合して一体化されるように構成されていてもよい。縦保持部410と横保持部420とが係合して一体化されることにより、縦保持部410と横保持部420との位置合わせが確実となり、結果として1つの縦保持部410と1つの横保持部420とが一組となって一枚のガラス基板Gを確実に保持することができる。
装着補助装置は、搬送機構370により搬送されてきたガラス基板Gの縦保持部410および横保持部420への装着を補助する装置であり、ガラス基板Gの一側縁G1に接する面側が緩衝材などにより構成された緩衝面451aを備えたピンチング機能を有する押圧部材451により構成されている。
これにより、搬送機構370により垂下されて搬送されてきたガラス基板Gが熱処理炉500の入り口側501の所定位置に到着すると、装着補助装置が作動して緩衝面451aをガラス基板Gの他側縁G3に当接させる。ついで、押圧部材451によりピンチングした状態で押し込むことにより、ガラス基板Gの他側縁G3から押圧する。これにより、下縁G2は保持溝423内に挟持され、さらに押圧部材451によりガラス基板Gを縦保持部410側に向けて押し出すと、下縁G2は保持溝423内をスライドして、一側縁G1が保持溝413内に嵌入する。
この状態で、ガラス基板Gは、水平方向に位置する保持溝423と鉛直方向に位置する保持溝413とにより挟持されて、一枚のガラス基板Gが縦保持部410と横保持部420との組み合わせにより保持される。また、このときのガラス基板Gの平面は、縦保持部410が鉛直方向に配列されていることにより流れ方向(Z方向)である鉛直下方が維持される。また、ガラス基板Gの平面は横保持部420の配設位置が側壁に直交されているので、熱処理炉500の室内を直交して横断している。
このような構成によれば、縦保持部410が鉛直方向に維持されることにより、熱処理中のガラス基板Gの平面は流れ方向(Z方向)を維持し、また、横保持部420が縦保持部410及び側壁と直交する水平方向に維持されることにより、熱処理中のガラス基板の平面は、熱処理炉の側壁間を横断し、かつ、互いに隣接するガラス基板の平面が所定間隔で平行状態を維持されることになる。また、ガラス基板Gの平面が鉛直方向に保たれているので、ガラス基板Gの平面が水平方向に維持された場合の撓んだ状態での応力緩和を受けるおそれがない。また、熱処理中のガラス基板の平面間の間隔が一定に保たれていることに加えて、全てのガラス基板の平面間の距離が一定であることから、全てのガラス基板Gは、同一経路を通過することにより同一条件で熱処理される。これにより、全てのガラス基板の熱履歴等しくなり、配設位置の相違に基づく熱履歴の相違が限りなく軽減できる。
次に、ステップS4の熱処理について説明する。
ステップS3の処理で搬送されたガラス基板Gに対して、製造ラインから外れたオフラインで熱処理が行われる。切断装置により幅方向の端部(耳部)の切断された板状のガラス基板Gは必要に応じて表面等に付着した切断屑(パーティクル、カレット等)の除去が行われた後、図2に示すように、搬送機構370により垂下されつつ熱処理炉500の入り口側501の所定位置まで搬送されてくる。熱処理炉500では、発熱装置510を制御して、炉内の雰囲気温度が、熱処理温度になるよう処理する。ここで、熱処理温度とは、高精細ディスプレイに用いるLTPS、IGZOから構成される半導体層をガラス基板Gに形成する形成温度であり、具体的には400℃〜600℃の範囲の温度である。高精細ディスプレイを製造する際のガラス基板Gの加工処理温度は、ガラスの歪点(1014.5ポワズの粘度に相当する温度、例えば661℃)より低い温度である。この加工処理温度より低い温度領域において、ガラス基板の熱収縮率が大きいと、ガラス基板は高精細ディスプレイを製造するためのガラス基板として適さない。このため、高精細ディスプレイを製造するガラス基板の加工処理温度と等しい温度領域である400℃〜600℃の範囲の熱処理温度において、ガラス基板Gを熱処理し、熱処理温度以下の温度領域において、熱収縮率が0〜15ppm、好ましくは0〜10ppm、より好ましくは0〜6ppm、さらに好ましくは0〜3ppmとなるようにする。
なお、歪点はガラスの種類によって異なるが、ガラス基板Gは、熱収縮を小さくするために、歪点が高いガラス組成を有することが好ましく、ガラス基板Gのガラスの歪点は、600℃以上であることが好ましく、より好ましくは655℃以上であり、例えば661℃である。
ガラス基板Gは、搬送されながら助走区間503に入り、助走区間503において室温から温度Tm1になるよう徐々に加熱された後、昇温区間504に入る。助走区間503において、ガラス基板Gを加熱する工程が、助走加熱工程である。ガラス基板Gを、助走区間503において予め加熱することにより、ガラス基板Gが急激に熱変形することを抑制でき、ガラス基板Gに発生する歪、反り、窪み等を低減することができる。助走区間503では、ガラス基板Gが急激に熱変形するのを抑制するため、昇温区間504における昇温速度より遅い速度で、加熱される。助走区間503の昇温速度は、昇温区間504の昇温速度より遅ければよく、例えば、10℃/分未満である。また、助走区間503における最高温度Tm1は、例えば、50℃〜200℃であり、より好ましくは100℃〜200℃である。
次に、ガラス基板Gは、搬送されながら昇温区間504に入り、昇温区間504において400℃〜600℃の範囲の熱処理温度Tm3になるまで加熱される。ガラス基板Gの温度を熱処理温度になるまで加熱する工程が、加熱工程である。昇温区間504では、助走区間503で加熱された温度Tm1から熱処理温度Tm3より50℃〜150℃低い中間温度Tm2になるまでの区間と、中間温度Tm2から熱処理温度Tm3になるまでの区間とで、ガラス基板Gの昇温速度を変化させて加熱する。具体的には、温度Tm1から中間温度Tm2までの区間では、10℃/分以上〜25℃/分未満の第1昇温速度S1で加熱し、中間温度Tm2から熱処理温度Tm3までの区間では、0.5℃/分以上〜10℃/分未満の第2昇温速度S2で加熱する。昇温区間504においては、中間温度Tm2までの加熱処理時間を短くして、昇温速度を速めることにより、ガラス基板Gの生産効率を高めることができる。また、中間温度Tm2から熱処理温度Tm3までの加熱処理時間を、中間温度Tm2までの加熱処理時間より長くして、昇温速度を遅くすることにより、ガラス基板Gの熱収縮率を低減することができる。
次に、ガラス基板Gは、搬送されながら維持区間505に入り、維持区間505において400℃〜600℃の範囲の熱処理温度Tm3が維持される。加熱工程を経た後、ガラス基板Gの温度を熱処理温度Tm3で0分〜120分、維持する。ガラス基板Gの温度を熱処理温度Tm3のまま維持し続ける工程が、維持工程である。維持工程では、ガラス基板Gの温度が400℃〜600℃の範囲で変化してもよく、ガラス基板Gの温度が一定でなくてもよい。例えば、0.5℃/分〜10℃/分の昇温・降温速度より遅い速度で、ガラス基板11の温度が400℃〜600℃の範囲になるように維持することもできる。また、維持区間505を設けずに、昇温区間504においてガラス基板Gを加熱した後、降温区間506においてガラス基板Gを冷却することもできる。
次に、ガラス基板Gは、搬送されながら降温区間506に入り、降温区間506において温度Tm1または室温まで加熱される。ガラス基板Gの温度を温度Tm1または室温まで冷却する工程が、冷却工程である。降温区間506では、熱処理温度Tm3から熱処理温度Tm3より50℃〜150℃低い中間温度Tm2になるまでの区間と、中間温度Tm2から室温になるまでの区間とで、ガラス基板Gの降温速度を変化させて加熱する。具体的には、熱処理温度Tm3から中間温度Tm2までの区間では、0.5℃/分以上〜10℃/分未満の第2降温速度S4で冷却し、中間温度Tm2から室温までの区間では、10℃/分以上〜25℃/分未満の第1降温速度S5で冷却する。ここで、第1降温速度S5は、第1昇温速度S1の絶対値と等しい速度であり、第2降温速度S4は、第2昇温速度S2の絶対値と等しい速度である。降温区間506においては、熱処理温度Tm3から中間温度Tm2までの冷却処理時間を長くして、降温速度を遅くすることにより、ガラス基板Gの熱収縮率を低減することができる。また、中間温度Tm2から室温までの冷却処理時間を、熱処理温度Tm3から中間温度Tm2までの冷却処理時間より短くして、降温速度を速くすることにより、ガラス基板Gの生産効率性を高めることができる。
図3は、ガラス基板Gの熱履歴を示す図である。図中に示す温度はTm1<Tm2<Tm3であり、Tm1=助走温度(例えば、200℃)、Tm2=中間温度(例えば、400℃)、Tm3=熱処理温度(例えば、500℃)である。
助走加熱工程、加熱工程、維持工程、冷却工程における速度、時間の範囲を以下に示す。
(1)助走加熱工程:時間=5分〜20分、助走区間503の最高温度=200℃、助走加熱速度=10℃/分未満、
(2)第1加熱工程:t1−t0=10分〜15分、Tm2−Tm1=150℃〜250℃、昇温速度S1(第1昇温速度)は、(Tm2−Tm1)/(t1−t0)=10℃/分〜25℃/分。
(3)第2加熱工程:t2−t1=15分〜100分、Tm3−Tm2=50℃〜150℃、昇温速度S2(第2降温速度)=(Tm3−Tm2)/(t2−t1)=0.5℃/分〜10℃/分
(4)維持工程:t3−t2=0分〜120分、Tm3−Tm3=0、速度S3=(Tm3−Tm3)/(t3−t2)=0℃/分、
(5)第2冷却工程:t4−t3=15分〜100分、Tm3−Tm2=50℃〜150℃、降温速度S4(第2降温速度)=(Tm3−Tm2)/(t4−t3)=0.5℃/分〜10℃/分
(6)第1冷却工程:t5−t4=10分〜15分、Tm2−室温=150℃〜250℃、降温速度S5(第1降温速度)は、(Tm2−室温)/(t5−t4)=10℃/分〜25℃/分。
ここで、室温は、25℃に限定されず、例えば、0℃〜30℃である。また、熱処理温度は、500℃に限定されず、400℃〜600℃の任意の温度であり、中間温度は、400℃に限定されず、熱処理温度−(50℃〜150℃)の任意の温度である。また、昇温速度・降温速度は、ガラス基板11全体を昇温・降温する平均速度である。
熱処理炉500内において、ガラス基板Gの平面方向の周囲(図2では、上方)からの熱風加熱によりガラス基板Gが加熱されると、ガラス基板Gにおいて、発熱装置510に近い風上側部分と発熱装置510から遠い風下側部分とでは、温度のずれが生じる。発熱装置510に近い位置(発熱装置510に対して上流側、風上側)であるガラス基板Gの面方向の上側部にまず熱が伝わる。これにより、ガラス基板Gの縁を含む上側部領域は、高温の雰囲気から熱の伝導を受けて、ガラス基板Gの側部領域に囲まれた中央領域、及び発熱装置510に遠い位置(発熱装置510に対して下流側、風下側)であるガラス基板Gの面方向の下側部領域に比べて早く昇温する。一方、ガラス基板Gの側部領域に囲まれた中央領域、ガラス基板Gの面方向の下側部領域は、ガラス基板Gの上側部に熱を与え、温度が低下した熱風により加熱されるため、ガラス基板Gの上側部領域に比べて遅く昇温する。熱処理炉500の上方に設けられた発熱装置510から放出される熱風は、熱処理炉500の上方から下方に流れるにしたがって温度が低下するため、この熱風によって加熱されるガラス基板Gもガラス基板Gの上側部領域と下側部領域とでは、昇温速度が異なる。また、ガラス基板Gが熱処理炉500を移動し冷却工程に入ると、発熱装置510から放出される熱風の温度が下がるため、高温状態のガラス基板Gの上側部領域が低温の熱風に晒されて放熱し、ガラス基板Gの中央領域、下側部領域に比べて早く降温する。図4は、ガラス基板Gにおいて、風上側部分と風下側部分との温度履歴差を示す図である。同図において、点線(破線)L1は、風上側部分の温度履歴であり、一点鎖線L2は、風下側部分の温度履歴である。一枚のガラス基板Gの面方向において、同図に示すような熱履歴に差が生じると、風上側部分と風下側部分にかけて熱収縮率が異なる。特に、中間温度Tm2から熱処理温度Tm3までの温度範囲においては、ガラス基板Gの熱収縮率への影響が大きいため、熱履歴の差によって生じる風上側部分と風下側部分との熱収縮率の差は大きくなる。風上側部分の温度履歴(熱履歴)L1は、時間t1において温度Tm2から上昇し、時間t2において温度Tm3に達し、時間t3まで温度Tm3を維持し、時間t4において温度Tm2まで下降する。これに対し、風下側部分の温度履歴L2は、時間t1より遅い時間t1’から上昇し、時間t2より遅い時間t2’において温度Tm3に達し、時間t3より遅い時間t3’まで温度Tm3を維持し、時間t4より遅い時間t4’において温度Tm2まで下降する。つまり、風下側部分では、風上側部分の温度履歴L1より一定時間遅れた温度履歴が形成される。風下側部分と風上側部分との間で、温度履歴に差が生じるため、熱収縮率に差が生じる。このため、風上側部分と風下側部分との熱収縮率の差を小さくする、または、風上側部分と風下側部分とが受け取る全熱量を一致させる必要がある。本実施形態にかかる熱処理方法では、中間温度Tm2から熱処理温度Tm3までの温度範囲の第2加熱工程及び第2冷却工程における昇温・降温速度を、中間温度Tm2以下の温度範囲の第1加熱工程及び第1冷却工程における昇温・降温速度より遅くすることにより、ガラス基板Gの風上側部分と風下側部分とで生じる熱履歴差を抑制している。昇温・降温速度より遅くすることにより、熱風が循環することにより変化する熱処理炉500の雰囲気(空気)によって、加熱・冷却されるガラス基板Gの温度変化が抑制され、ガラス基板Gの風上側部分と風下側部分とで生じる熱履歴差を小さくすることができる。また、維持区間505を中心として、昇温区間504と降温区間506における加熱・冷却時間、速度を左右対称にすることにより、ガラス基板Gの風上側部分と風下側部分とにおける昇温時の熱量差異を、降温時の熱量で相殺(キャンセル)する。昇温区間504における昇温時では、ガラス基板Gの風下側部分の温度履歴L2は、図4に示すように、ガラス基板Gの風上側部分の温度履歴L1に比べて温度上昇遅れるため、風下側部分が受け取る熱量は、風上側部分が受け取る熱量より少なくなる。一方、降温区間506における降温時では、ガラス基板Gの風下側部分は、ガラス基板Gの風上側部分に比べて温度下降遅れるため、風下側部分が受け取る熱量は、風上側部分が受け取る熱量より多くなる。このため、ガラス基板Gが最高温度となる熱処理温度Tm3をピークとして、昇温時、降温時の加熱・冷却時間、速度を左右対称にすることで、図中の時間t1から時間t2’、温度Tm2から温度Tm3の範囲において温度履歴L1、L2により囲まれた面積S1と、時間t3から時間t4’、温度Tm2から温度Tm3の範囲において温度履歴L1、L2により囲まれた面積S2と、を一致させることにより、ガラス基板Gの風上側部分と風下側部分とにおける昇温時の熱量差異を、降温時の熱量で相殺(キャンセル)することができる。また、本実施形態にかかるガラス基板Gの厚さは、0.1mm〜1.1mm、より好ましくは0.75mm以下の極めて薄いガラス板である。ガラス基板Gの厚さが薄くなるほど、ガラス基板Gの温度は、熱処理炉500内の温度変化により変化しやすい。昇温時、降温時の加熱・冷却時間、速度を左右対称にすることで、熱処理炉500内の温度を変化させて、ガラス基板Gの面方向の各位置における熱履歴を均一にすることができる。
このような熱処理により、高精細液晶ディスプレイを製造するのに好適な熱収縮率を有するガラス基板を製造することができる。また、ガラス基板の熱収縮率を0〜15ppmとすることができる。ガラス基板Gの熱収縮率は、0〜10ppmとすることが好ましく、0〜6ppmとすることがより好ましい。このような熱収縮率が、ガラス基板のガラス組成と、熱処理の温度と熱処理時間を調整することにより達成することができる。また、ガラス基板の熱収縮に対して影響が小さい温度領域においては、処理時間を短くし、昇温速度・降温速度を速めることにより、ガラス基板の生産効率を高めることができる。また、ガラス基板が最高温度となる熱処理温度をピークとして、昇温時、降温時の加熱・冷却時間、速度を左右対称にすることで、ガラス基板の風上側部分と風下側部分とで生じる熱収縮率の差を抑制することができる。
(実験例)
下記ガラス組成を有するガラス基板をフュージョン法の1つであるオーバダウンドロー法により複数作製した。ガラス基板の板厚は、0.5mmであり、ガラス基板の歪点は660℃であった。熱処理により熱収縮率を低減する前のこのガラス基板の熱収縮率は、40ppm〜60ppmであった。
(ガラス組成)
SiO 67.0モル%、
Al 10.6モル%、
B2O 11.0モル%、
RO 11.4モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
〔アニーリング〕
このガラス基板に対し、上述した熱処理炉において、熱風を循環させることにより、アニーリングを行った。実施例では、室温(20℃)から昇温し、500℃で1時間維持し、その後、室温まで降温する熱処理を行う。この際、昇温区間、降温区間における加熱・冷却時間、速度を等しくし、維持区間を中心として昇温区間、降温区間の温度勾配が左右対称になるように、アニーリングを行った。また、比較対象として、室温(20℃)から昇温し、500℃で1時間維持し、その後、室温まで降温する時間が、昇温時間の半分となる、アニーリングを行った。
〔熱収縮率の測定〕
ガラス基板から所定のサイズの長方形の試験片に切りだし、長辺両端部間の長さを計測する。次に、切り出した試験片を短辺中央部で半分に切断し、2つのガラスサンプルを得る。2つのガラスサンプルの一方の端から同じ距離の位置にケガキ線を入れる。このうちの一方のガラスサンプルを、室温(20℃)から10℃/分の昇温速度で昇温し、500℃で1時間維持し、その後、10℃/分で室温まで降温する。その後、加熱した一方のガラスサンプルと加熱しなかった他方のガラスサンプルの一方の端を位置あわせして、2つのケガキ線の位置ずれ距離を測定し、この位置ずれ距離を熱収縮量とする。熱収縮量は、レーザ顕微鏡等で測定される。この熱収縮量と、熱処理前のガラスサンプルの長さ用いて、以下の式により熱収縮率を求める。このガラスサンプルの熱収縮率をガラス基板の熱収縮率とする。
熱収縮率(ppm)=(熱収縮量)/(熱処理前のガラスサンプルの長さ)×10
ガラス基板に対して、昇温区間、降温区間の温度勾配が左右対称になるように、アニーリングを行った結果、ガラス基板の面方向の中央領域の熱収縮率は8ppm、ガラス基板の面方向の周辺領域の熱収縮率は8ppmとなり、ガラス基板の熱収縮率の絶対値を低減しつつ、ガラス基板の面方向における熱収縮率のばらつきを抑制することができた。
一方、ガラス基板に対して、昇温区間、降温区間の温度勾配が非対称になるように、アニーリングを行った結果、ガラス基板の面方向の中央領域の熱収縮率は18ppm、ガラス基板の面方向の周辺領域の熱収縮率は10ppmとなり、ガラス基板の熱収縮率の絶対値は低減したが、ガラス基板の面方向における熱収縮率のばらつきを抑制することはできなかった。
以上に示すように、昇温時、降温時の加熱・冷却時間、速度を左右対称にすることで、ガラス基板の風上側部分と風下側部分とにおける昇温時の熱量差異を、降温時の熱量で相殺(キャンセル)することができ、ガラス基板の熱収縮率の絶対値を低減しつつ、ガラス基板の面方向における熱収縮率のばらつきを抑制することができる。
以上、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例等に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
G ガラス基板
500 炉
510 発熱装置

Claims (4)

  1. ディスプレイ用のガラス基板を400℃〜600℃の範囲にある熱処理温度で熱処理する熱処理工程を含むガラス基板の製造方法であって、
    前記熱処理工程は、
    前記ガラス基板の搬送方向に沿って複数の熱源が設けられた熱処理炉において、前記ガラス基板の平面が鉛直方向になるように保持しつつ、かつ、互いに隣接するガラス基板の平面が進行方向に向けて距離的に所定間隔をあけた対面状態を維持して、前記ガラス基板の平面に対して垂直方向に前記ガラス基板を搬送する搬送工程と、
    前記搬送工程で搬送されるガラス基板を、前記ガラス基板の平面方向の側部側から中心方向に向かって加熱し、室温から加熱後、前記熱処理温度より50℃から150℃より低い中間温度から前記熱処理温度になるまで昇温速度で加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程で加熱されたガラス基板を、前記中間温度になるまで前記昇温速度の絶対値と等しい降温速度で冷却工程と、を備える、
    ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記熱処理工程は、前記ガラス基板を前記熱処理温度で維持する維持工程をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記熱処理工程では、室温から前記中間温度になるまで前記昇温速度より速い昇温速度で前記ガラス基板を加熱し、
    前記冷却工程では、前記中間温度から室温になるまで前記降温速度より速い降温速度で前記ガラス基板を冷却する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記熱処理工程では、前記熱処理炉において熱風を循環させる、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
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