JP2017013554A - フロントサブフレームのステイ締結構造およびフロントサブフレームの車体組付け方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、ステイの係止孔には係止爪が係止されるため、ステイは、フロアサイドフレームに組付けられた状態において、車両前後方向に移動することができない。このため、フロアサイドフレームやフロントサブフレーム等の製造ばらつきを、吸収することができないという課題があった。
しかも、係合部は、ステイに形成された係合開口を通じて、ステイに対して車両前後方向にスライド可能に係合されるため、フロアサイドフレームやフロントサイドフレーム等の寸法が製造ばらつきにより変動しても、ナット部材をステイに対して車両前後方向にスライドさせることにより、ステイをフロアサイドフレームおよびフロントサイドフレームに固定させることができる。したがって、製造ばらつきを吸収できるフロントサブフレームのステイ締結構造を提供できる。
本発明によれば、係合部の最大外形は、係合開口の幅寸法より大きく、かつ係合開口の長さ寸法より小さいため、係合部を係合開口に挿通させた後、係合部を90°程度反転させることで、係合部を係合開口の周縁部に係合させることができる。したがって、簡易な構成で、ステイに対して係合される係合部を形成できる。
本発明によれば、曲げ部の一端部における一方主面と、他端部における他方主面とのナット部の軸方向に沿った離間距離は、ステイの厚さ以上となっているため、曲げ部を係合開口に挿通させた状態で、係合部とナット部とをそれぞれステイに沿うように配置することができる。これにより、ナット部をステイに当接させることができるので、ステイとフロアサイドフレームとを確実に固定できる。
本発明によれば、係合部、連結部および座面は、金属板により一体に形成されているため、例えばプレス加工により係合部、連結部および座面を形成できる。したがって、ナット部材を低コストで製造することができる。
本発明によれば、ステイとフロントサブフレームとの共締め部に補強板を有するので、フロントサブフレームに大きな外力が作用した際に、フロントサブフレームを補強板とともに変位させることができる。このため、車両の衝突等によりフロントサブフレームに対して衝突荷重が入力された際に、フロントサブフレームを補強板とともに容易に脱落させることができる。
本発明によれば、カラー部材は、一端部が一対のサイドフレーム側壁のうち一方のサイドフレーム側壁の内側面に接続されるとともに、他端部が他方のサイドフレーム側壁を貫通しているため、一対のサイドフレーム側壁間の距離がばらついても、カラー部材をフロアサイドフレームに対して確実に組み付けることができるとともに、カラー部材をフロアサイドフレームに対して正確に位置決めすることができる。
しかも、サイドフレーム側壁の内側面に接続されるカラー部材の一端部が大径部とされているため、サイドフレーム側壁とカラー部材の一端部との接触面積を広く確保でき、カラー部材に対する支持剛性を向上させることができる。
本発明によれば、仮締結工程においてステイをボルトおよびナット部材によりフロアサイドフレームに対してボルトの軸回りに回転可能となるように仮締結した状態で、連結工程においてステイを車体に対してフロントサブフレームと共締めできるため、共締めに使用される締結部材が挿通される貫通孔の位置が製造ばらつきにより既定の位置からずれた場合であっても、ステイを車両前後方向にスライドさせて共締め位置に移動させることができる。したがって、製造ばらつきを吸収できるフロントサブフレームの車体組付け方法を提供できる。
図1に示すように、車両1の前部には、前後方向に沿うように延びる一対のフロアサイドフレーム20と、一対のフロアサイドフレーム20と連なるように配置されたフロントサブフレーム10と、一対のフロアサイドフレーム20とフロントサブフレーム10とをそれぞれ連結する一対のステイ30と、ステイ30とフロントサブフレーム10とを固定するための第1ボルト部材41および第1ナット部材42(図2参照)と、ステイ30とフロアサイドフレーム20とを固定するための第2ボルト部材43(請求項の「ボルト」に相当。)および第2ナット部材44(請求項の「ナット部材」に相当。)と、が配置されている。
図2に示すように、延出部15は、中空状に形成されている。延出部15の上壁および底壁には、上下方向に貫通する貫通孔15a,15bが互いに同軸となるように形成されている。貫通孔15aには、カラー17が挿通されている。カラー17は、上下方向に沿うように延設されている。カラー17の下端部は、貫通孔15bの周縁部に対して、その上方から当接している。カラー17の上端部は、延出部15から上方に向かって突出している。カラー17には、第1ボルト部材41が挿通される。
図2に示すように、フロアサイドフレーム20の前端部の上部には、フロアサイドフレーム20とフロントサイドフレーム(不図示)とを接続する横メンバ5(請求項の「車体」に相当。)が配置されている。横メンバ5は、フロアサイドフレーム20の前端部における上部開口を覆っている。横メンバ5のうちフロアサイドフレーム20よりも前方に位置する部分には、貫通孔5aが形成されている。貫通孔5aは、フロントサブフレーム10の貫通孔15aと同軸となるように形成されている。貫通孔5aの周縁部には、その下方からカラー17が当接している。
図3に示すように、右側のサイドフレーム側壁21には、左右方向に貫通する貫通孔21aが形成されている。左側のサイドフレーム側壁21には、左右方向に貫通する貫通孔21bが形成されている。一対の貫通孔21a,21bは、フロアサイドフレーム20のうち横メンバ5の貫通孔5a(図2参照)よりも後方において、互いに同軸となるように形成されている。
図4に示すように、ステイ30は、左右方向に面する一対のステイ側壁31と、一対のステイ側壁31の下端縁同士を接続するステイ底壁33と、フロントサブフレーム10との共締め部に固定された補強板35と、を有する。一対のステイ側壁31およびステイ底壁33は、一体に形成された板状の部材であり、前後方向から見て上方に向けて開口したU字状に形成されている。
ステイ側壁31の上縁は、外側に張り出すように形成されたフランジ部31aとなっている。ステイ側壁31の上縁は、後方から前方に向かうに従い下方に向かって延びている。ステイ側壁31には、切欠溝31bが設けられている。切欠溝31bは、ステイ側壁31の上下方向中間部において、後端縁から前方に向かって一定幅となるように切り欠かれて形成されている。右側のステイ側壁31には、係合開口37が形成されている。係合開口37は、切欠溝31bの前方に形成されている。係合開口37は、前後方向に長い矩形状に形成されている。
補強板35の前端部には、突出部35aが左右方向に沿って形成されている。突出部35aは、左右方向から見て下方に向かって突出するV字状となるように形成されている。突出部35aは、ステイ底壁33の溝部33a内に入り込んでいる。補強板35には、上下方向から見てステイ底壁33のボルト挿通孔33bと同軸となる貫通孔35bが形成されている。
図5に示すように、第2ナット部材44は、第2ボルト部材43が螺着されるナット部45と、連結部46を介してナット部45と接続され、ステイ30の係合開口37を通じてステイ30に対して係合される係合部47と、を備えている。ナット部45は、第2ボルト部材43が螺着されるナット本体45aと、ナット本体45aとステイ30との間に配置される座面45bと、を有している。第2ナット部材44は、連結部46が係合開口37に挿通された状態で、第2ボルト部材43に螺着している。
図6に示すように、第2ナット部材44の連結部46は、座面45bからナット本体45aの径方向に沿うように延出している。連結部46は、ナット本体45aの軸方向から見て矩形状に形成されている。図4から図6に示すように、連結部46の幅寸法aは、係合開口37の幅寸法Wより小さくなっている。係合部47は、連結部46の先端に設けられ、円形状に形成されている。係合部47の最大外形は、係合開口37の幅寸法Wより大きく、かつ係合開口37の長さ寸法Lより小さくなっている。より具体的に、係合部47の幅寸法bは、係合開口37の幅寸法Wより大きく、かつ係合開口37の長さ寸法Lより小さくなっている。図6に示すように、係合部47、連結部46および座面45bは、例えば鉄等により形成された金属板により一体に形成されている。座面45bには、ナット本体45aが例えば溶接等によりに固着されている。
図7に示すように、連結部46は、座面45bからナット本体45aの径方向に沿って延びる基端部46aと、基端部46aから延びるとともに湾曲形成された曲げ部48と、を有する。曲げ部48は、係合開口37に挿通されている。曲げ部48の先端には、係合部47が接続している。係合部47は、ナット本体45aの軸方向において、座面45bを挟んでナット本体45aとは反対側に位置している。曲げ部48は、基端部46aと係合部47とが平行になるように湾曲している。曲げ部48の先端部における係合開口37側の主面(一方主面)と、曲げ部48の基端部における係合開口37側の主面(他方主面)とのナット本体45aの軸方向に沿った離間距離Dは、係合開口37の周縁部におけるステイ側壁31の板厚T以上となっている。連結部46の基端部46aの延出方向における曲げ部48の寸法は、係合開口37の長さ寸法L(図4参照)より小さくなっている。これにより、係合部47は、ステイ30に対して係合された状態で、曲げ部48が係合開口37内で前後方向にスライド可能となっている。
図8は、実施形態のフロントサブフレームの車体組付け方法を示すフローチャートである。
図8に示すように、本実施形態のフロントサブフレーム10の車体組付け方法は、ステイ30を、第2ボルト部材43および第2ナット部材44によりフロアサイドフレーム20に対して第2ボルト部材43の軸回りに回転可能となるように仮締結し、フロアサイドフレーム20に吊り下げられた状態にする仮締結工程S10と、ステイ30をフロントサブフレーム10に近付けるように第2ボルト部材43の軸回りに回転させ、横メンバ5に対してフロントサブフレーム10と共締めする連結工程S20と、を有する。
具体的に、最初に第2ナット部材44の係合部47をステイ30の係合開口37に係合させる。この際、係合部47の厚さ方向が係合開口37の幅方向と略一致する状態で、係合部47を係合開口37に挿通させる。次いで、座面45bの底面が切欠溝31bに向くように、第2ナット部材44を連結部46回りに約90°回転させる。これにより、係合部47の幅方向と係合開口37の幅方向とが一致して係合部47が係合開口37に引っ掛かるため、係合部47は、係合開口37から抜け落ちることを抑制される。次いで、座面45bが切欠溝31bの周縁部に接触するように、ナット部45を切欠溝31bに近付けるように移動させる。これにより、第2ナット部材44は、係合開口37の周縁部に係合された状態で、所定の位置に配置される。しかも、第2ナット部材44は、前後方向に長く形成された係合開口37に挿通されているため、前後方向にスライド可能となっている。
以上により仮締結工程S10が完了する。
具体的に、フロントサブフレーム10の延出部15を、横メンバ5の下方に配置する。このとき、フロントサブフレーム10の貫通孔15a,15bが横メンバ5の貫通孔5aと同軸になるように、フロントサブフレーム10を配置する。
以上により連結工程S20が完了し、フロントサブフレームの車体組付けが完了する。
しかも、係合部47は、ステイ30に形成された係合開口37を通じて、ステイ30に対して前後方向にスライド可能に係合されるため、フロアサイドフレーム20やフロントサブフレーム10等の寸法が製造ばらつきにより変動しても、第2ナット部材44をステイ30に対して前後方向にスライドさせることにより、ステイ30をフロアサイドフレーム20およびフロントサブフレーム10に固定させることができる。したがって、製造ばらつきを吸収できるフロントサブフレーム10のステイ締結構造を提供できる。
しかも、サイドフレーム側壁21の内側面に接続されるカラー部材25の左端部が大径部25aとされているため、サイドフレーム側壁21とカラー部材25の左端部との接触面積を広く確保でき、カラー部材25に対する支持剛性を向上させることができる。
例えば、上記実施形態においては、第2ナット部材44の曲げ部48はS字状に形成されているが、これに限定されず、例えばクランク状に形成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、第2ナット部材44の係合部47は円形状に形成されているが、これに限定されず、例えば矩形状等に形成されていてもよい。
10 フロントサブフレーム
20 フロアサイドフレーム
21 サイドフレーム側壁
25 カラー部材
25a 大径部
30 ステイ
31 ステイ側壁
35 補強板
37 係合開口
43 第2ボルト部材(ボルト)
44 第2ナット部材(ナット部材)
45 ナット部
45a ナット本体
45b 座面
46 連結部
47 係合部
48 曲げ部
S10 仮締結工程
S20 連結工程
Claims (7)
- 車両前後方向に沿うように延びるフロアサイドフレームと、
前記フロアサイドフレームと連なるように配置されたフロントサブフレームと、
前記フロアサイドフレームと前記フロントサブフレームとを連結し、係合開口が形成されたステイと、
前記ステイと前記フロアサイドフレームとを固定するためのナット部材と、
を備え、
前記ナット部材は、
ボルトが螺着されるナット部と、
連結部を介して前記ナット部と接続され、前記係合開口を通じて、前記ステイに対して車両前後方向にスライド可能に係合される係合部と、
を有する、
ことを特徴とするフロントサブフレームのステイ締結構造。 - 前記係合開口は、前記車両前後方向に長くなるように形成され、
前記係合部の最大外形は、前記係合開口の幅寸法より大きく、かつ前記係合開口の長さ寸法より小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載のフロントサブフレームのステイ締結構造。 - 前記連結部は、前記係合開口に挿通される曲げ部を有し、
前記曲げ部の一端部における一方主面と、他端部における他方主面との前記ナット部の軸方向に沿った離間距離は、前記係合開口の周縁部における前記ステイの厚さ以上となっている、
ことを特徴とする請求項2に記載のフロントサブフレームのステイ締結構造。 - 前記ナット部は、
前記ボルトが螺着されるナット本体と、
前記ナット本体と前記ステイとの間に配置される座面と、
を有し、
前記係合部、前記連結部および前記座面は、金属板により一体に形成され、
前記ナット本体は、前記座面に固着されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフロントサブフレームのステイ締結構造。 - 前記ステイは、車体に対して前記フロントサブフレームと共締めされて固定され、前記フロントサブフレームとの共締め部に固定された補強板を有する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフロントサブフレームのステイ締結構造。 - 前記ステイは、車両左右方向に面する一対のステイ側壁を有し、
前記フロアサイドフレームは、前記一対のステイ側壁の間に配置され、前記車両左右方向に面する一対のサイドフレーム側壁を有し、
前記ボルトは、前記一対のステイ側壁および前記一対のサイドフレーム側壁を前記車両左右方向に沿うように貫通し、
前記一対のステイ側壁の間において、前記車両左右方向に沿うように延設され、前記ボルトが挿通されるカラー部材を備え、
前記カラー部材は、少なくとも一端部に大径部を有し、前記一端部が前記一対のサイドフレーム側壁のうち一方のサイドフレーム側壁の内側面に接続されるとともに、他端部が他方のサイドフレーム側壁を貫通している、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフロントサブフレームのステイ締結構造。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載のフロントサブフレームのステイ締結構造を用いたフロントサブフレームの車体組付け方法であって、
前記ステイを、前記ボルトおよび前記ナット部材により前記フロアサイドフレームに対して前記ボルトの軸回りに回転可能となるように仮締結し、前記フロアサイドフレームに吊り下げられた状態にする仮締結工程と、
前記ステイを前記フロントサブフレームに近付けるように前記ボルトの軸回りに回転させ、車体に対して前記フロントサブフレームと共締めする連結工程と、
を有することを特徴とするフロントサブフレームの車体組付け方法。
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