JP2017001558A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
近年では、軽量化や、成形の容易さ、リサイクルのしやすさから、樹脂材料、特に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなどをタイヤ材料として用いることが検討されている。
これらの熱可塑性の高分子材料(熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂等)は、射出成形が可能であるなど、生産性の向上の観点から有利な点が多い。例えば、前記熱可塑性の高分子材料としてポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いたタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
熱可塑性樹脂材料は、ハードセグメントと、シロキサン結合を含むソフトセグメントと、を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーの少なくとも1種を含有する。
熱可塑性樹脂材料は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性エラストマーや任意の成分を含んでいてもよいが、前記樹脂材料の総量に対する本発明におけるポリアミド系熱可塑性エラストマーの含有量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。また、本明細書において「樹脂」とは、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含む概念であるが、天然ゴムは含まない。
本発明におけるポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントと、シロキサン結合を含むソフトセグメントと、を有する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、主鎖にアミド結合(−CONH−)を含むハードセグメントを有するため耐熱性が高い。また、本発明におけるポリアミド系熱可塑性エラストマーは、シロキサン結合を含むソフトセグメントを有することで、耐湿性を有している。そのため、前記エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤ骨格を有するタイヤは、耐湿性及び耐熱性に優れる。
従来、数平均分子量の小さい化合物を用いて形成されたソフトセグメントを有するポリアミド系熱可塑性エラストマーは、耐熱性が低い傾向にあった。特に、ポリエーテルを用いて形成されたソフトセグメントを有するポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ポリエーテルの酸素原子とポリアミドとの間で水素結合が形成されるため、ハードセグメントの結晶化を阻害され、耐熱性が低い傾向にあった。これに対して、本発明におけるポリアミド系熱可塑性エラストマーは、シロキサン結合を含む化合物を用いて形成されるソフトセグメントを有するため、ハードセグメントの結晶化を阻害せず、ハードセグメントの結晶化が進行しやすい。その結果、従来のポリアミド系熱可塑性エラストマーと比べ、耐熱性と耐湿性とが優れたポリアミド系熱可塑性エラストマーとなる。
前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)又は一般式(2)で示されるモノマーによって生成されるポリアミドを挙げることができる。
一般式(1)中、R1は、炭素数2〜20の炭化水素の分子鎖、又は、炭素数2〜20のアルキレン基を表す。
一般式(2)中、R2は、炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、又は、炭素数3〜20のアルキレン基を表す。
前記一般式(1)又は一般式(2)で示されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸やラクタムが挙げられる。また、前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸やラクタムの重縮合体や、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどの炭素数2〜20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合物を挙げることができる。また、ジカルボン酸は、HOOC−(R3)m−COOH(R3:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜20 の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
前記ポリアミド11は、例えば、{CO−(CH2)10−NH}n(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
前記ポリアミド12は、例えば、{CO−(CH2)11−NH}n(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
前記ポリアミド66は、例えば、{CO(CH2)4CONH(CH2)6NH}n(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
更には、−[CO−(CH2)5−NH]−で示される単位構造を有するポリアミド(ポリアミド6)を有することが好ましい。特にポリアミド6を有することにより、耐熱性に優れたタイヤ骨格体とすることができる。
前記ソフトセグメントの構造としては、シロキサン結合を含む構造であれば、特に制限されず、適宜選定できる。
シロキサン結合を含む構造とは、構造中に少なくとも1つシロキサン結合を含むことを意味し、シロキサン結合は、主鎖に含まれていてもよく、側鎖に含まれていてもよい。ポリアミド系熱可塑性エラストマーの耐湿性向上の観点から、ソフトセグメントは主鎖にシロキサン結合を含むことが好ましい。
前記シロキサン結合を含む構造としては、例えば、下記一般式(3)で示される構造が挙げられる。
1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、及び環状アルキル基(シクロアルキル基)のいずれであってもよい。アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、4−メトキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ジブチルアミノフェニル基、4−(2−エチルヘキサノイルアミノ)フェニル基、4−ヘキシルフェニル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜10のアルケニル基がより好ましい。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、3−メチル−3−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルブトキシ基、第3ブトキシ基、3−ヘプチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノルマルノニルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ基、3−メトキシカルバモイル基等が挙げられる。
ソフトセグメントを形成する化合物としては、例えば、下記一般式(4)〜一般式(9)に示される化合物が挙げられる。
2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基等が挙げられる。
アルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましい。炭素数1〜10のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
アリーレン基としては、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、炭素数6〜12のアリーレン基がより好ましい。炭素数6〜10のアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
1価の有機基は、前記一般式(3)におけるRで示される1価の有機基と同義であり、好ましい態様も同じである。
一般式(6)、又は一般式(7)で示される化合物の具体例としては、両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン、両末端に水酸基を有するポリジフェニルシロキサン、両末端に水酸基を有するポリメチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
一般式(8)、又は一般式(9)で示される化合物の具体例としては、両末端にカルボキシ基を有するポリジメチルシロキサン、両末端にカルボキシ基を有するポリジフェニルシロキサン、両末端にカルボキシ基を有するポリメチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
中でも、ポリアミドとの反応性の観点から、両末端にアミノ基を有するポリジメチルシロキサン、両末端にアミノ基を有するポリメチルフェニルシロキサンがさらに好ましい。
この中でも、ε−カプロラクタムの開環重縮合体/一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物の組合せ、アミノへキサン酸の重縮合体/一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物の組合せ、が好ましい。
上述のように、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤に由来の構造を有していてもよい。前記ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種又はこれらの誘導体を用いることができる。
また、前記ソフトセグメントを構成する化合物の数平均分子量としては、耐湿性及びポリアミドとの反応性の観点から、400〜4400が好ましく、600〜4000がより好ましく、1000〜3500がさらに好ましい。
ソフトセグメントを構成する化合物の数平均分子量が400以上であると、ポリアミド系熱可塑性エラストマーにおいてソフトセグメントとして機能しやすく、4400以下であるとポリアミドとの反応性が向上する点で有利である。
ソフトセグメントを構成する化合物から構成されるソフトセグメントの数平均分子量は、上記と同様の観点から、400〜4400が好ましく、600〜4000がより好ましく、1000〜3500がさらに好ましい。
前記ソフトセグメントを構成する化合物の数平均分子量は、末端基定量法により測定することができ、例えば、末端基濃度を滴定により定量する方法を用いることができる。
具体的には、1H−NMR、13C−NMRを、測定対象のハードセグメントを構成するポリマー又はソフトセグメントを構成する化合物を重水素化したトリフルオロ酢酸に溶解して、定法に従って測定する。次に、それぞれの官能基の帰属を行い、ハードセグメントを構成するポリマー又はソフトセグメントを構成する化合物の構造を同定し、分子量を求めることができる。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料の融点としては、通常100℃〜350℃、好ましくは100℃〜250℃程度であるが、タイヤの生産性の観点から120℃〜250℃程度が好ましく、130℃〜200℃が更に好ましい。このように、融点が120℃〜250℃のポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料を用いることで、例えばタイヤの骨格体を、その分割体(骨格片)を融着して形成する場合に、接合部の加熱温度を、タイヤ骨格体を形成する熱可塑性樹脂材料の融点以上に設定することができる。本発明のタイヤは、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料を用いるため、120℃〜250℃の温度範囲で融着された骨格体であってもタイヤ骨格片同士の接着強度が十分である。このため、本発明のタイヤは耐パンク性や耐摩耗性など走行時における耐久性に優れる。尚、前記加熱温度は、タイヤ骨格片を形成するポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料の融点よりも10℃〜150℃高い温度が好ましく、10℃〜100℃高い温度が更に好ましい。
本発明のタイヤは、補強コード層を設けることができる。補強コード層は、樹脂材料を用いて構成することができる。このように、補強コード層に樹脂材料が含まれていると、補強コード部材をクッションゴムで固定する場合と比して、タイヤと補強コード層との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード部材をタイヤ骨格体に密着及び固定することができる。上述のように単に「樹脂」と表現した場合、「樹脂」とは、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)及び熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。
更に、補強コード部材がスチールコードの場合、タイヤ処分時に補強コード部材をクッションゴムから分離しようとすると、加硫ゴムは加熱だけでは補強コード部材と分離させるのが難しいのに対し、樹脂材料は加熱のみで補強コード部材と分離することが可能である。このため、タイヤのリサイクル性の点で有利である。また、樹脂材料は通常加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低い。このため、補強コード層が樹脂材料を多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、加硫ゴムに比して相対的に弾性率の高い樹脂材料は、面内せん断剛性が大きく、タイヤ走行時の操安性や耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
また、樹脂材料の同種とは、エステル系同士、スチレン系同士などの形態を指す。
また、前記補強コード層に樹脂材料を含めた場合、補強コードの引き抜き性(引き抜かれにくさ)を高める観点から、前記補強コード部材はその表面が20%以上樹脂材料に覆われていることが好ましく、50%以上覆われていることが更に好ましい。また、前記補強コード層中の樹脂材料の含有量は、補強コードを除いた補強コード層を構成する材料の総量に対して、補強コードの引き抜き性を高める観点から、20質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
以下に、図面に従って本発明のタイヤの第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
[タイヤケース成形工程]
まず、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体17Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱及び加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化又は溶融させ、接合金型によって加圧してタイヤケース半体を接合させてもよい。
次に、補強コード巻回工程について図3を用いて説明する。図3は、コード加熱装置、及びローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。図3において、コード供給装置56は、補強コード26を巻き付けたリール58と、リール58のコード搬送方向下流側に配置されたコード加熱装置59と、補強コード26の搬送方向下流側に配置された第1のローラ60と、第1のローラ60をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第1のシリンダ装置62と、第1のローラ60の補強コード26の搬送方向下流側に配置される第2のローラ64と、及び第2のローラ64をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第2のシリンダ装置66と、を備えている。第2のローラ64は、金属製の冷却用ローラとして利用することができる。また、本実施形態において、第1のローラ60又は第2のローラ64の表面は、溶融又は軟化したポリアミド系熱可塑性エラストマーの付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。なお、本実施形態では、コード供給装置56は、第1のローラ60又は第2のローラ64の2つのローラを有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、何れか一方のローラのみ(即ち、ローラ1個)を有している構成でもよい。
本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17がポリアミド系熱可塑性エラストマーによって形成されているため、耐熱性、引張弾性率、引張強度及び破断ひずみに優れ、さらに従来のゴム製のタイヤに比して構造が簡易であるため重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ10は、耐摩擦性及び耐久性が高い。さらに、タイヤケース17を構成するポリアミド系熱可塑性エラストマーは、シロキサン結合を含むソフトセグメントを有するため、空気中の水分に対する耐性に優れる。そのため、空気中の水分を吸収しタイヤの物性値(例えば、破断応力)が低下することを抑制できる。
このように補強コード層28が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含んで構成されていると、補強コード26をクッションゴムで固定する場合と比してタイヤケース17と補強コード層28との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード26をタイヤケース17に密着及び固定することができる。これにより、上述のエア入りを効果的に防止することができ、走行時に補強コード部材が動くのを効果的に抑制することができる。
更に、補強コード26がスチールコードの場合に、タイヤ処分時に補強コード26を加熱によってポリアミド系熱可塑性エラストマーから容易に分離及び回収が可能であるため、タイヤ10のリサイクル性の点で有利である。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低いため、補強コード層28がポリアミド系熱可塑性エラストマーを多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに比して、面内せん断剛性が大きく、タイヤ走行時の操安性や耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
さらに、ビード部12には、金属材料からなる環状のビードコア18が埋設されていることから、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リム20に対してタイヤケース17、すなわちタイヤ10が強固に保持される。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
次に、図面に従って本発明のタイヤの製造方法及びタイヤの第2実施形態について説明する。本実施形態のタイヤは、上述の第1実施形態と同様に、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。このため、以下の図において、前記第1実施形態と同様の構成については同様の番号が付される。図4(A)は、第2実施形態のタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面図であり、図4(B)は第2実施形態のタイヤにリムを嵌合させた状態のビード部のタイヤ幅方向に沿った断面の拡大図である。また、図5は、第2実施形態のタイヤの補強層の周囲を示すタイヤ幅方向に沿った断面図である。
[骨格形成工程]
まず、上述の第1実施形態と同様にして、タイヤケース半体17Aを形成し、これを接合金型によって加熱及び押圧し、タイヤケース17を形成する。
本実施形態におけるタイヤの製造装置は、上述の第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態の図3に示すコード供給装置56において、リール58にコード部材26Aを被覆用樹脂材料27(本実施形態では熱可塑性材料)で被覆した断面形状が略台形状の被覆コード部材26Bを巻き付けたものが用いられる。
次に、図示を省略するブラスト装置にて、タイヤケース17の外周面17Sに向け、タイヤケース17側を回転させながら、外周面17Sへ投射材を高速度で射出する。射出された投射材は、外周面17Sに衝突し、この外周面17Sに算術平均粗さRaが0.05mm以上となる微細な粗化凹凸96を形成する。
このようにして、タイヤケース17の外周面17Sに微細な粗化凹凸96が形成されることで、外周面17Sが親水性となり、後述する接合剤の濡れ性が向上する。
次に、粗化処理を行なったタイヤケース17の外周面17Sに接合剤を塗布する。
なお、接合剤としては、トリアジンチオール系接着剤、塩化ゴム系接着剤、フェノール系樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤、ゴム系接着剤など、特に制限はないが、クッションゴム29が加硫できる温度(90℃〜140℃)で反応することが好ましい。
次に生タイヤケースを加硫缶やモールドに収容して加硫する。このとき、粗化処理によってタイヤケース17の外周面17Sに形成された粗化凹凸96に未加硫のクッションゴム29が流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸96に流れ込んだクッションゴム29により、アンカー効果が発揮されて、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度が向上する。すなわち、クッションゴム29を介してタイヤケース17とトレッド30との接合強度が向上する。
本実施形態のタイヤ200では、タイヤケース17がポリアミド系熱可塑性エラストマーによって形成されているため、耐熱性、引張弾性率、引張強度及び破断ひずみに優れ、さらに従来のゴム製のタイヤに比して構造が簡易であるため重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ200は、耐摩擦性及び耐久性が高い。さらに、タイヤケース17を構成するポリアミド系熱可塑性エラストマーは、シロキサン結合を含むソフトセグメントを有するため、空気中の水分に対する耐性に優れる。そのため、空気中の水分を吸収しタイヤの物性値(例えば、破断応力)が低下することを抑制できる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは被覆コード部材26Bに対する接着性が高い。
更に、補強コード26Aがスチールコードの場合に、タイヤ処分時に被覆コード部材26Bからコード部材26Aを加熱によって容易に分離及び回収が可能であるため、タイヤ200のリサイクル性の点で有利である。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低いため、補強コード層28がポリアミド系熱可塑性エラストマーを多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは加硫ゴムに比して、面内せん断剛性が大きく、タイヤ走行時の操安性や耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
また、タイヤケース17は、タイヤケースのクラウン部に巻回されかつ接合された被覆コード部材を被覆用樹脂材料で覆うようにして補強コード層を形成してもよい。この場合、溶融又は軟化状態の被覆用熱可塑性材料を補強コード層28の上に吐出して被覆層を形成することができる。また、押出機を用いずに、溶着シートを加熱し溶融又は軟化状態にして、補強コード層28の表面(外周面)に貼り付けて被覆層を形成してもよい。
また、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、被覆コード部材26Bを加熱せずに接着剤などを用いてクラウン部16の外周面に接着する構成としてもよい。
さらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融又は軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。
またさらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱可塑性材料とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融又は軟化状態としつつ、被覆用樹脂材料27を加熱し溶融又は軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。なお、タイヤケース17及び被覆コード部材26Bの両者を加熱して溶融又は軟化状態にした場合、両者が良く混ざり合うため接合強度が向上する。また、タイヤケース17を形成する樹脂材料、及び被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27をともに熱可塑性樹脂材料とする場合には、同種の熱可塑性材料、特に同一の熱可塑性材料とすることが好ましい。
また、さらに粗化処理を行ったタイヤケース17の外周面17Sにコロナ処理やプラズマ処理等を用い、外周面17Sの表面を活性化し、親水性を高めた後に接着剤を塗布してもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
(1−1)本発明のタイヤは、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体の外周部に補強コード部材の少なくとも一部が埋設されるように構成することができる。
このように、補強コード部材の一部がタイヤ骨格体の外周部に埋設していると、補強コード部材巻回時にコード周辺に空気が残る現象(エア入り)を更に抑制することができる。補強コード部材周辺へのエア入りが抑制されると、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのが抑制される。これにより、例えば、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材全体を覆うようにタイヤ構成部材が設けられた場合、補強コード部材は動きが抑制されているため、これらの部材間(タイヤ骨格体含む)に剥離などを生じるのが抑制され耐久性が向上する。
このように路面と接触するトレッドを熱可塑性樹脂材料よりも耐摩耗性のある材料で構成することでタイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。
このようにタイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で補強コード部材の直径の1/5以上がタイヤ骨格体の外周部に埋設されていると、補強コード部材周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのをより抑制することができる。
このように、タイヤ骨格体にリムとの嵌合部位であるビード部を設け、さらに、このビード部に金属材料からなる環状のビードコアを埋設することで、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リムに対して、タイヤ骨格体(すなわちタイヤ)を強固に保持させることができる。
このように、タイヤ骨格体とリムとの接触部分に、熱可塑性樹脂材料よりもシール性の高い材料からなるシール部を設けることで、タイヤ(タイヤ骨格体)とリムとの間の密着性を向上させることができる。これにより、リムと熱可塑性樹脂材料とのみを用いた場合に比較して、タイヤ内の空気漏れを一層抑制することができる。また、前記シール部を設けることでタイヤのリムフィット性も向上させることができる。
このように、前記分割体の接合面を、タイヤ骨格片を構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上に加熱すると、タイヤ骨格片同士の融着を十分に行うことができるため、タイヤの耐久性を向上させつつ、タイヤの生産性を高めることができる。
このように、前記タイヤ骨格体の外周部を溶融又は軟化させながら補強コード部材の少なくとも一部を埋設して前記タイヤ骨格体の外周部に前記補強コード部材を巻回することで、埋設された補強コード部材の少なくとも一部と溶融又は軟化した熱可塑性樹脂材料とを溶着させることができる。これにより、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視でタイヤ骨格体の外周部と補強コード部材との間のエア入りを更に抑制することができる。また、補強コード部材を埋設した部分が冷却固化されると、タイヤ骨格体に埋設された補強コード部材の固定具合が向上する。
このように、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材を直径の1/5以上埋設すると、製造時の補強コード周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、更に、埋設された補強コード部材がタイヤ骨格体から抜け難くすることができる。
このように、補強コード巻回工程において、補強コード部材を加熱しながらタイヤ骨格体に埋設させると、加熱された補強コード部材がタイヤ骨格体の外周部に接触した際に接触部分が溶融又は軟化するため、補強コード部材をタイヤ骨格体の外周部に埋設し易くなる。
このように、タイヤ骨格体の外周部の補強コード部材が埋設される部分を加熱することで、タイヤ骨格体の加熱された部分が溶融又は軟化するため、補強コード部材を埋設し易くなる。
このように、補強コード部材を前記タイヤ骨格体の外周部に押圧しながら前記補強コード部材を螺旋状に巻回すると、補強コード部材のタイヤ骨格体の外周部への埋設量を調整することができる。
このように、補強コード部材が埋設された後で、タイヤ骨格体の外周部の溶融又は軟化した部分を強制的に冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の溶融又は軟化した部分を自然冷却よりも早く迅速に冷却固化することができる。タイヤ外周部を自然冷却よりも早く冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の変形を抑制できると共に、補強コード部材が動くのを抑制することができる。
(2−1)本発明のタイヤは、前記製造方法において、更に、タイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材を衝突させて、タイヤ骨格体の外周面を粗化処理する粗化処理工程と、粗化処理された前記外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材を積層する積層工程と、を備えて構成することができる。
このように、粗化処理工程を設けると、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料を用いて形成された環状のタイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材が衝突して、当該外周面に微細な粗化凹凸が形成される。なお、タイヤ骨格体の外周面に投射材を衝突させて微細な粗化凹凸を形成する処理を粗化処理という。その後、粗化処理された外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材が積層される。ここで、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材とを一体化するにあたり、タイヤ骨格体の外周面が粗化処理されていることから、アンカー効果により接合性(接着性)が向上する。また、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料が投射材の衝突により掘り起こされることから、外周面の濡れ性が向上する。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
このように、タイヤ骨格体の外周面の少なくとも一部が凹凸部とされていても、凹凸部に投射材を衝突させることで凹部周囲(凹壁、凹底)の粗化処理がなされ、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
このように、被覆コード部材をタイヤ骨格体の周方向に巻回して構成された補強層でタイヤ骨格体の外周部を構成することで、タイヤ骨格体の周方向剛性を向上させることができる。
このように、被覆コード部材を構成する樹脂材料に熱可塑性を有する熱可塑性材料を用いることで、前記樹脂材料として熱硬化性材料を用いた場合と比べて、タイヤ製造が容易になり、リサイクルしやすくなる。
このように、粗化処理工程において、タイヤ構成ゴム部材の積層領域よりも広い領域に粗化処理を施すと、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確実に確保することができる。
このように、粗化処理工程において算術平均粗さRaが0.05mm以上となるようにタイヤ骨格体の外周面を粗化処理すると、粗化処理された外周面に接合剤を介して、例えば、未加硫又は半加硫状態のタイヤ構成ゴム部材を積層し加硫した場合に、粗化処理により形成された粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませることができる。粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませると、外周面とタイヤ構成ゴム部材との間に十分なアンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
このように、前記タイヤ構成ゴム部材として未加硫又は半加硫状態のゴムを用いると、タイヤ構成ゴム部材を加硫した際に、粗化処理によってタイヤ骨格体の外周面に形成された粗化凹凸にゴムが流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸に流れ込んだゴム(加硫済み)により、アンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
このように、粗化処理した環状のタイヤ骨格体を用いると、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度をアンカー効果によって向上させることができる。また、外周面が粗化処理されていることから、接合剤の濡れ性がよい。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度が確保されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との剥離を抑制することができる。
(ハードセグメント:ポリアミド12(ナイロン(登録商標)12)の合成)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積2リットルの反応容器に、アルドリッチ製12−アミノドデカン酸40g、アミノドデカノラクタム550g、ドデカン二酸67gを入れ、容器内を十分窒素置換した後、280℃まで昇温し、0.6MPaの加圧下で4時間反応させた。圧力を解放したあと、窒素気流下でさらに1時間反応させ、所望の数平均分子量4800のポリアミド12重合物である白色固体を得た。
前記ポリアミド12(ハードセグメントを形成するポリマー、数平均分子量=4800)75質量部と、両末端にアミノ基を有するポリジメチルシロキサン(ソフトセグメントを形成する化合物、数平均分子量=1600)25質量部と、を混合した。
この混合物を窒素気流下、200℃、7時間撹拌を行い、白色のポリアミド系熱可塑性エラストマーを得た。
得られたポリアミド系熱可塑性エラストマーはペレット化し、220℃で射出成形し、サンプル片を得た。各種測定は、このサンプル片から試験片を打ち抜いたサンプルを用いて実施した。
実施例1のポリアミド系熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントを形成する化合物を両末端にアミノ基を有するポリメチルフェニルシロキサン(ソフトセグメントを形成する化合物)に変更した以外は、同様にして、実施例2のポリアミド系熱可塑性エラストマーを製造した。
実施例1のポリアミド系熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントを形成する化合物をPPG−PTMG−PPG(HUNTSMAN社製、商品名:JEFFAMINE(登録商標)RT−1000)に変更した以外は、同様にして、比較例1のポリアミド系熱可塑性エラストマーを製造した。
(ハードセグメント:ポリアミド6(ナイロン(登録商標)6)の合成)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積2リットルの反応容器に、アルドリッチ製カプロラクタム470g、ドデカン二酸173g、アミノヘキサン酸37gを入れ、容器内を十分窒素置換した後、250℃まで昇温し、0.6MPaの加圧下で4時間反応させた。圧力を解放したあと、窒素気流下でさらに1時間反応させ、水洗工程を経て所望の数平均分子量約1200のポリアミド6重合物である白色固体を得た。
前記ポリアミド6(ハードセグメントを形成するポリマー)65質量部と、PPG−PTMG−PPG(ソフトセグメントを形成する化合物、HUNTSMAN社製、商品名:JEFFAMINE(登録商標)RT−1000)35質量部と、を混合した。
この混合物を窒素気流下、230℃、7時間撹拌を行い白色のポリアミド系熱可塑性エラストマーを得た。
得られたポリアミド系熱可塑性エラストマーはペレット化し、220℃で射出成形し、サンプル片を得た。各種測定は、このサンプル片から試験片を打ち抜いたサンプルを用いて実施した。
比較例2のポリアミド系熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントを形成する化合物を両末端にアミノ基を有するポリジメチルシロキサンに変更した以外は、同様にして、比較例2のポリアミド系熱可塑性エラストマーを製造した。
比較例2のポリアミド系熱可塑性エラストマーの製造において、ソフトセグメントを形成する化合物を両末端にアミノ基を有するポリメチルフェニルシロキサンに変更した以外は、同様にして、比較例2のポリアミド系熱可塑性エラストマーを製造した。
実施例及び比較例から得た熱可塑性エラストマーを用いて、以下の項目について評価した。結果を表1に示す。
示差走査型熱量分析(DSC)装置〔ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、DSC Q2000〕を用い、各実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマーを、0℃から200℃まで10℃/分で昇温した。融解開始温度が145℃以上の場合を「A」、130℃以上145℃未満の場合を「B」、130℃未満の場合を「C」とした。なお、融解開始温度が175℃以上の場合を「A+」とした。
各実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマーを用いて、それぞれ上述の第1の実施形態を参照し、タイヤを形成した。次いで、タイヤをリムに装着し、エアシール性が確保できた場合を「A」、リム組みの際に、硬くてハンドリング性に劣る場合を「B」、割れの発生や、エアシール性が確保できなかった場合を「C」とした。
各実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマーを用いて、それぞれ上述の第1の実施形態を参照し、タイヤを形成した。次いで、80℃、相対湿度95%の条件に設定した恒温槽にタイヤを入れ、2000時間放置した。放置前のタイヤと放置後のタイヤよりJIS3形状のサンプルを打抜き、それぞれ引張試験にて物性評価を行った。放置前後のサンプルの引張試験結果から物性維持率を求め、実施例1における物性維持率を100とし、各サンプルについて耐湿性(耐湿熱劣化)を評価した。なお、物性維持率は数値が低いほど耐湿性に劣る。
−ハードセグメント用ポリマー−
ナイロン6:前記方法で合成したポリアミド6(ナイロン(登録商標)6)
ナイロン12:前記方法で合成したポリアミド12(ナイロン(登録商標)12)
−ソフトセグメント用ポリマー−
PPG :ポリプロピレングリコール
PTMG :ポリトリメチルグリコール
また、いずれの実施例においてもリム組性が良好であり、タイヤとしての性能が良好であることがわかる。
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂材料で形成されかつ環状のタイヤ骨格体を有し、
前記熱可塑性樹脂材料は、ハードセグメントと、シロキサン結合を含むソフトセグメントと、を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有するタイヤ。 - 前記ソフトセグメントの数平均分子量が、400〜4400である請求項1に記載のタイヤ。
- 前記ソフトセグメントは、主鎖に下記一般式(3a)で示される構造を含む請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
一般式(3a)中、Raは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜10のアルキル基、又はフェニル基を示す。nは、3〜30を示す。
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