JP5758097B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、熱可塑性の高分子材料を用いて成形された空気入りタイヤが開示されている。
また、熱可塑性の高分子材料を用いてタイヤを製造する場合、製造効率を高め低コストを実現しつつ従来のゴム製タイヤと比して遜色のない性能を実現することが求められる。
ここで、「熱可塑性エラストマー」とは、分子中にハードセグメント及びソフトセグメントを有する熱可塑性樹脂材料であるが、詳細には、弾性を有する高分子化合物であって、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂材料を言う。
また、「ポリアミド系熱可塑性エラストマー」とは、弾性の有する高分子化合物であって、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂材料であって、ハードセグメントを構成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
なお、本発明における樹脂は、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマー含む)または熱硬化性樹脂を有する樹脂を意味し、従来の天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムは含まない。熱可塑性エラストマーもまた、従来の天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムを包含しない。
なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
これに対し、アクリル酸およびメタクリル酸に代えて、アクリル酸またはメタクリル酸をエステル化もしくは金属イオン化したモノマーと、ポリエチンレンと、の共重合体を、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと併用する共重合体とすることで、当該共重合体と、ポリアミド系熱可塑性エラストマーとを含む熱可塑性樹脂材料の耐衝撃性を高め、降伏強さの温度依存性を抑制することができる。
熱可塑性樹脂材料中のポリアミド系熱可塑性エラストマーの含有量が上記範囲であると、熱可塑性樹脂材料が有する性能を十分に発揮でき、タイヤ性能としての引張弾性、破断強度等の引張り特性を向上することができる。
熱可塑性樹脂材料中のポリアミド系熱可塑性エラストマーと特定共重合体との合計含有量が上記範囲であると、熱可塑性樹脂材料が有する性能を十分に発揮でき、タイヤ性能としての引張弾性、破断強度等の引張り特性をより向上することができる。
オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体が、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体であることで、熱可塑性樹脂材料の柔軟性をより向上することができ、タイヤ性能としての耐衝撃性をより向上することができる。
前記オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体が、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体であることで、熱可塑性樹脂材料の柔軟性をより向上することができ、タイヤ性能としての耐衝撃性をより向上することができる。
熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体の外周部に補強コード部材が巻回されて補強コード部材層が形成されていると、タイヤの耐パンク性、耐カット性、及びタイヤ(タイヤ骨格体)の周方向剛性が向上する。なお、周方向剛性が向上することで、熱可塑性材料で形成されたタイヤ骨格体のクリープ(一定の応力下でタイヤ骨格体の塑性変形が時間とともに増加する現象)が抑制される。
本発明のタイヤは、少なくとも、熱可塑性樹脂材料で形成された環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、前記熱可塑性樹脂材料が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体及びオレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体の少なくとも一方の共重合体と、を含有するタイヤである。
以下、熱可塑性エラストマー及び特定共重合体について説明する。
「ポリアミド系熱可塑性エラストマー」とは、弾性の高い高分子化合物であり、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂材料であって、ハードセグメントを構成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものをいう。ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。
中でも、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−12等が好ましく、ナイロン−12がより好ましい。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体等が挙げられる。
本発明に係る熱可塑性樹脂材料は、特定共重合体、すなわち、オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体及びオレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体の少なくとも一方の共重合体を含有する。
オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体とは、オレフィンの繰り返し単位中に、(メタ)アクリレート由来の部分構造を含む共重合体であり、ラジカル重合体であっても、ブロック共重合体であっても、グラフト共重合体であってもよい。
(メタ)アクリレートは、具体的には、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルであり、アルキルエステルを形成し得るアルキル基としては、例えば、直鎖、分岐鎖、又は環状のドデシル基、オクチル基、ヘキシル基、ブチル基、プロピル基、エチル基、メチル基等が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂材料に硬度を持たせ、耐変形性を向上する観点から、ブチル基又はエチル基が好ましく、ブチル基がより好ましい。
すなわち、オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体は、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体であることが好ましい。より好ましくは、エチレン−(メタ)アクリレートエチルエステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリレートブチルエステル共重合体であり、更に好ましくは、エチレン−アクリレートブチルエステル共重合体である。
オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体とは、オレフィンの繰り返し単位中に、(メタ)アクリル酸由来の部分構造を含む共重合体であり、かつ、(メタ)アクリル酸の繰り返し単位における(メタ)アクリル酸のプロトン(H+)がとれた−COO−同士が、金属イオン(Mn+;Mは金属、nは金属の価数)を介して結ばれている(架橋している)共重合体を言う。かかる金属架橋体の共重合体は、アイオノマーとも呼ばれる。共重合体の態様は、ラジカル共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、グラフト共重合体であってもよい。
(メタ)アクリレートのCOO−と架橋構造を形成し得る金属イオンとしては、例えば、リチウム(Li+)、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)等の1価イオン、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、バリウム(Ba2+)、亜鉛(Zn2+)のような2価イオン、アルミニウム(Al3+)のような3価イオン等が挙げられる。通常、リチウム(Li+)、ナトリウム(Na+)、マグネシウム(Mg2+)、亜鉛(Zn2+)等の金属イオンが用いられるが、中でも、熱可塑性樹脂材料に硬度を持たせ、耐変形性を向上する観点から、亜鉛イオンが好ましい。
すなわち、オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体は、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体であることが好ましい。より好ましくは、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属架橋体であり、更に好ましくは、エチレン−メタクリル酸共重合体の亜鉛イオン架橋体である。
オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
また、熱可塑性樹脂材料中、熱可塑性樹脂材料中のポリアミド系熱可塑性エラストマーと特定共重合体との合計含有量は、熱可塑性樹脂材料の性能を十分発揮させる観点から、熱可塑性樹脂材料の全質量に対して、50質量%〜100質量%であることが好ましく、50質量%〜90質量%であることがより好ましい。
本発明のタイヤは、タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回されて補強コード層を形成する補強コード部材を有していてもよい。
また、補強コード層には、樹脂材料を含めて構成することができる。このように、補強コード層に樹脂材料が含まれていると、補強コードをクッションゴムで固定する場合と比して、タイヤと補強コード層との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード部材をタイヤ骨格体に密着・固定することができる。上述のように「樹脂材料」とは、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)及び熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。
また、樹脂材料の同種とは、エステル系同士、スチレン系同士などの形態を指す。
また、前記補強コード層に樹脂材料を含めた場合、補強コードの引き抜き性(引き抜かれにくさ)を高める観点から、前記補強コード部材はその表面が20%以上樹脂材料に覆われていることが好ましく、50%以上覆われていることが更に好ましい。また、前記補強コード層中の樹脂材料の含有量は、補強コードを除いた補強コード層を構成する材料の総量に対して、補強コードの引き抜き性を高める観点から、20質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
以下に、図面に従って本発明のタイヤの第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
なお、タイヤケース17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、3以上の部材を接合して形成してもよい。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
このような熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂やこれら樹脂とゴム若しくはエラストマーとのブレンド物等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーを用いることもでき、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、或いは、これらエラストマー同士の組み合わせや、ゴムとのブレンド物等が挙げられる。
(タイヤケース成形工程)
まず、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱・加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化又は溶融させ、接合金型によって加圧して、タイヤケース半体を接合させてもよい。
次に、補強コード巻回工程について図3を用いて説明する。図3は、コード加熱装置、及びローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。図3において、コード供給装置56は、補強コード26を巻き付けたリール58と、リール58のコード搬送方向下流側に配置されたコード加熱装置59と、補強コード26の搬送方向下流側に配置された第1のローラ60と、第1のローラ60をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第1のシリンダ装置62と、第1のローラ60の補強コード26の搬送方向下流側に配置される第2のローラ64と、及び第2のローラ64をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第2のシリンダ装置66と、を備えている。第2のローラ64は、金属製の冷却用ローラとして利用することができる。また、本実施形態において、第1のローラ60または第2のローラ64の表面は、溶融又は軟化した熱可塑性樹脂材料の付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。なお、本実施形態では、コード供給装置56は、第1のローラ60または第2のローラ64の2つのローラを有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、何れか一方のローラのみ(即ち、ローラ1個)を有している構成でもよい。
本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17が本発明に係る熱可塑性樹脂材料によって形成されているため、耐衝撃性に優れ、引張降伏強さの温度依存性が抑制される。さらにタイヤ構造が簡素化できる為、従来のゴムに比して重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ10を自動車に適用すると、耐久性に優れ、温度変化にタイヤ変形等の影響を受け難い。また、タイヤを軽量化することができるので、かかるタイヤを用いた自動車の燃費を良くすることができる。
このように補強コード層28が、熱可塑性樹脂材料を含んで構成されていると、補強コード26をクッションゴムで固定する場合と比してタイヤケース17と補強コード層28との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード26をタイヤケース17に密着・固定することができる。これにより、上述のエア入りを効果的に防止することができ、走行時に補強コード部材が動くのを効果的に抑制することができる。
さらに、ビード部12には、金属材料からなる環状のビードコア18が埋設されていることから、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リム20に対してタイヤケース17、すなわちタイヤ10が強固に保持される。
次に、図面に従って本発明のタイヤの製造方法及びタイヤの第2の実施形態について説明する。本実施形態のタイヤは、上述の第1の実施形態と同様に、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。このため、以下の図において、前記第1の実施形態と同様の構成については同様の番号が付される。図5(A)は、第2の実施形態のタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面図であり、図5(B)は第2の実施形態のタイヤにリムを嵌合させた状態のビード部のタイヤ幅方向に沿った断面の拡大図である。また、図6は、第2の実施形態のタイヤの補強層の周囲を示すタイヤ幅方向に沿った断面図である。
(タイヤ骨格形成工程)
(1)まず、上述の第1の実施形態と同様にして、タイヤケース半体17Aを形成し、これを接合金型によって加熱・押圧し、タイヤケース17を形成する。
(2)本実施形態におけるタイヤの製造装置は、上述の第1の実施形態と同様であり、上述の第1の実施形態の図3に示すコード供給装置56において、リール58にコード部材26Aを被覆用樹脂材料27(本実施形態では熱可塑性材料)で被覆した断面形状が略台形状の被覆コード部材26Bを巻き付けたものが用いられる。
(3)次に、図示を省略するブラスト装置にて、タイヤケース17の外周面17Sに向け、タイヤケース17側を回転させながら、外周面17Sへ投射材を高速度で射出する。射出された投射材は、外周面17Sに衝突し、この外周面17Sに算術平均粗さRaが0.05mm以上となる微細な粗化凹凸96を形成する。
このようにして、タイヤケース17の外周面17Sに微細な粗化凹凸96が形成されることで、外周面17Sが親水性となり、後述する接合剤の濡れ性が向上する。
(4)次に、粗化処理を行なったタイヤケース17の外周面17Sに接合剤を塗布する。
なお、接合剤としては、トリアジンチオール系接着剤、塩化ゴム系接着剤、フェノール系樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤など、特に制限はないが、クッションゴム29が加硫できる温度(90℃〜140℃)で反応することが好ましい。
(6)次に生タイヤケースを加硫缶やモールドに収容して加硫する。このとき、粗化処理によってタイヤケース17の外周面17Sに形成された粗化凹凸96に未加硫のクッションゴム29が流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸96に流れ込んだクッションゴム29により、アンカー効果が発揮されて、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度が向上する。すなわち、クッションゴム29を介してタイヤケース17とトレッド30との接合強度が向上する。
本実施形態のタイヤ200では、タイヤケース17が熱可塑性樹脂材料によって形成されているため、耐衝撃性に優れ、引張降伏強さの温度依存性が抑制される。このため、本実施形態のタイヤ10を自動車に適用すると、耐久性に優れ、温度変化にタイヤ変形等の影響を受け難い。
さらにタイヤ構造が簡素化できる為、従来のゴムに比して重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ200は、軽量化することができるので、かかるタイヤを用いた自動車の燃費を良くすることができる。
また、タイヤケース17は、タイヤケースのクラウン部に巻回され且つ接合された被覆コード部材を被覆用熱可塑性材料で覆うようにして補強コード層を形成してもよい。この場合、溶融又は軟化状態の被覆用熱可塑性材料を補強コード層28の上に吐出して被覆層を形成することができる。また、押出機を用いずに、溶着シートを加熱し溶融又は軟化状態にして、補強コード層28の表面(外周面)に貼り付けて被覆層を形成してもよい。
また、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、被覆コード部材26Bを加熱せずに接着剤などを用いてクラウン部16の外周面に接着する構成としてもよい。
さらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融又は軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。
またさらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱可塑性材料とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融又は軟化状態としつつ、被覆用樹脂材料27を加熱し溶融又は軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。なお、タイヤケース17及び被覆コード部材26Bの両者を加熱して溶融又は軟化状態にした場合、両者が良く混ざり合うため接合強度が向上する。また、タイヤケース17を形成する樹脂材料、及び被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27をともに熱可塑性樹脂材料とする場合には、同種の熱可塑性材料、特に同一の熱可塑性材料とすることが好ましい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
(1−1)本発明のタイヤは、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、本発明に係る熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体の外周部に補強コード部材の少なくとも一部が埋設されるように構成することができる。
このように、補強コード部材の一部がタイヤ骨格体の外周部に埋設していると、補強コード部材巻回時にコード周辺に空気が残る現象(エア入り)を更に抑制することができる。補強コード部材周辺へのエア入りが抑制されると、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのが抑制される。これにより、例えば、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材全体を覆うようにタイヤ構成部材が設けられた場合、補強コード部材は動きが抑制されているため、これらの部材間(タイヤ骨格体含む)に剥離などを生じるのが抑制され耐久性が向上する。
このように路面と接触するトレッドを熱可塑性樹脂材料よりも耐摩耗性のある材料で構成することでタイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。
このようにタイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で補強コード部材の直径の1/5以上がタイヤ骨格体の外周部に埋設されていると、補強コード部材周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのをより抑制することができる。
このように、タイヤ骨格体にリムとの嵌合部位であるビード部を設け、さらに、このビード部に金属材料からなる環状のビードコアを埋設することで、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リムに対して、タイヤ骨格体(すなわちタイヤ)を強固に保持させることができる。
このように、タイヤ骨格体とリムとの接触部分に、熱可塑性樹脂材料よりもシール性の高い材料からなるシール部を設けることで、タイヤ(タイヤ骨格体)とリムとの間の密着性を向上させることができる。これにより、リムと熱可塑性樹脂材料とのみを用いた場合に比較して、タイヤ内の空気漏れを一層抑制することができる。また、前記シール部を設けることでタイヤのリムフィット性も向上させることができる。
前記熱可塑性樹脂材料としては、具体的には、例えば、宇部興産社製のポリアミド系熱可塑性エラストマー「UBESTA、XPA9055X1」)と、三井・デュポン ポリケミカル社製のエチレン−メタクリル酸共重合体のZnアイオノマー「ハイミラン、1855Zn」との混合材料を用いることができる。
このように、前記分割体の接合面を、タイヤ骨格片を構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上に加熱すると、タイヤ骨格片同士の融着を十分に行うことができるため、タイヤの耐久性を向上させつつ、タイヤの生産性を高めることができる。
このように、前記タイヤ骨格体の外周部を溶融又は軟化させながら補強コード部材の少なくとも一部を埋設して前記タイヤ骨格体の外周部に前記補強コード部材を巻回することで、埋設された補強コード部材の少なくとも一部と溶融又は軟化した熱可塑性樹脂材料とを溶着させることができる。これにより、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視でタイヤ骨格体の外周部と補強コード部材との間のエア入りを更に抑制することができる。また、補強コード部材を埋設した部分が冷却固化されると、タイヤ骨格体に埋設された補強コード部材の固定具合が向上する。
このように、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材を直径の1/5以上埋設すると、製造時の補強コード周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、更に、埋設された補強コード部材がタイヤ骨格体から抜け難くすることができる。
このように、補強コード巻回工程において、補強コード部材を加熱しながらタイヤ骨格体に埋設させると、加熱された補強コード部材がタイヤ骨格体の外周部に接触した際に接触部分が溶融又は軟化するため、補強コード部材をタイヤ骨格体の外周部に埋設し易くなる。
このように、タイヤ骨格体の外周部の補強コード部材が埋設される部分を加熱することで、タイヤ骨格体の加熱された部分が溶融又は軟化するため、補強コード部材を埋設し易くなる。
このように、補強コード部材を前記タイヤ骨格体の外周部に押圧しながら前記補強コード部材を螺旋状に巻回すると、補強コード部材のタイヤ骨格体の外周部への埋設量を調整することができる。
このように、補強コード部材が埋設された後で、タイヤ骨格体の外周部の溶融又は軟化した部分を強制的に冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の溶融又は軟化した部分を自然冷却よりも早く迅速に冷却固化することができる。タイヤ外周部を自然冷却よりも早く冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の変形を抑制できると共に、補強コード部材が動くのを抑制することができる。
(2−1)本発明のタイヤは、前記製造方法において、更に、タイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材を衝突させて、タイヤ骨格体の外周面を粗化処理する粗化処理工程と、粗化処理された前記外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材を積層する積層工程と、を備えて構成することができる。
このように、粗化処理工程を設けると、熱可塑性樹脂材料を用いて形成された環状のタイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材が衝突して、当該外周面に微細な粗化凹凸が形成される。なお、タイヤ骨格体の外周面に投射材を衝突させて微細な粗化凹凸を形成する処理を粗化処理という。その後、粗化処理された外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材が積層される。ここで、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材とを一体化するにあたり、タイヤ骨格体の外周面が粗化処理されていることから、アンカー効果により接合性(接着性)が向上する。また、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料が投射材の衝突により掘り起こされることから、外周面の濡れ性が向上する。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
このように、タイヤ骨格体の外周面の少なくとも一部が凹凸部とされていても、凹凸部に投射材を衝突させることで凹部周囲(凹壁、凹底)の粗化処理がなされ、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
このように、被覆コード部材をタイヤ骨格体の周方向に巻回して構成された補強層でタイヤ骨格体の外周部を構成することで、タイヤ骨格体の周方向剛性を向上させることができる。
このように、被覆コード部材を構成する樹脂材料に熱可塑性を有する熱可塑性材料を用いることで、前記樹脂材料として熱硬化性材料を用いた場合と比べて、タイヤ製造が容易になり、リサイクルしやすくなる。
このように、粗化処理工程において、タイヤ構成ゴム部材の積層領域よりも広い領域に粗化処理を施すと、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確実に確保することができる。
このように、粗化処理工程において算術平均粗さRaが0.05mm以上となるようにタイヤ骨格体の外周面を粗化処理すると、粗化処理された外周面に接合剤を介して、例えば、未加硫又は半加硫状態のタイヤ構成ゴム部材を積層し加硫した場合に、粗化処理により形成された粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませることができる。粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませると、外周面とタイヤ構成ゴム部材との間に十分なアンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
このように、前記タイヤ構成ゴム部材として未加硫又は半加硫状態のゴムを用いると、タイヤ構成ゴム部材を加硫した際に、粗化処理によってタイヤ骨格体の外周面に形成された粗化凹凸にゴムが流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸に流れ込んだゴム(加硫済み)により、アンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
このように、粗化処理した環状のタイヤ骨格体を用いると、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度をアンカー効果によって向上させることができる。また、外周面が粗化処理されていることから、接合剤の濡れ性がよい。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度が確保されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との剥離を抑制することができる。
まず、上述の第2実施形態に従って、実施例及び比較例のタイヤを成形した。この際、タイヤケースを形成する材料については下記表1に記載の材料を用いた。また、各実施例及び比較例について、材料の物性評価からタイヤ性能を考察した。
1.ポリアミド系熱可塑性エラストマー
1)宇部興産社製、UBESTA、XPA 9055X1
1)三井・デュポン ポリケミカル社製、ニュクレル、N035C
2)三井・デュポン ポリケミカル社製、ニュクレル、AN42115C
1)三井・デュポン ポリケミカル社製、エルバロイ、3427AC
2)三井・デュポン ポリケミカル社製、エルバロイ、3717AC
1)三井・デュポン ポリケミカル社製、ハイミラン、1855Zn
上記エラストマー及び各共重合体を、表1に示す組成で混合(質量基準)して、(株)東洋精機製作所製、LABOPLASTOMILL 50MR 2軸押出し機により混練し、ペレットを得た。なお、比較例1においては、混合系とせず、ポリアミド系熱可塑性エラストマーのペレットを用意した。
用意したペレットを用いて、住友重工社製、SE30Dを用い、射出成形を行い、成形温度200℃〜240℃、金型温度40℃〜70℃とし、12.7mm×127mm、厚さ1.6mmの金型を用いて、試料片を得た。
各試料片を打ち抜き、JISK6251−1993に規定されるダンベル状試料片(5号形試料片)を作製した。
引張降伏強さは、23℃、85℃、及び105℃における引張降伏強さを測定した。ここで、23℃の引張降伏強さは、島津製作所社製、島津オートグラフAGS−J(5KN)を用いて測定し、85℃、及び105℃における引張降伏強さは、島津製作所社製、島津オートグラフAGS−100KNを用いて測定した。引張速度は、いずれの温度も200mm/minに設定した。
結果を下記表1に示す。
なお、実施例1〜3及び比較例1の23℃、85℃、及び105℃における引張降伏強さと温度との関係を図7に示した。また、実施例1〜3及び比較例1の23℃、85℃、及び105℃における引張降伏強さに対する温度のプロットから把握される回帰直線(降伏強さ−温度直線)の傾き、切片、及び決定係数(R2)を表1に示した。
なお、実施例及び比較例の各熱可塑性樹脂材料を用いて形成した各タイヤについて、ドラム走行試験を行ったところ、走行上の安全性はいずれのタイヤも問題なかった。
12 ビード部
16 クラウン部(外周部)
18 ビードコア
20 リム
21 ビードシート
22 リムフランジ
17 タイヤケース(タイヤ骨格体)
24 シール層(シール部)
26 補強コード(補強コード部材)
26A コード部材(補強コード部材)
28 補強コード層
30 トレッド
D 補強コードの直径(補強コード部材の直径)
L 補強コードの埋設量(補強コード部材の埋設量)
Claims (4)
- 少なくとも、熱可塑性樹脂材料で形成された環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、
前記熱可塑性樹脂材料が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体及びオレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体の少なくとも一方の共重合体と、を含有し、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー(x)と、前記共重合体(y)との質量比(x:y)が、95:5〜50:50であり、且つ、前記熱可塑性樹脂材料中の前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーと前記共重合体との合計含有量が、50質量%〜100質量%であるタイヤ。 - 前記オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体が、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体である請求項1に記載のタイヤ。
- 前記オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体が、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属架橋体である請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
- 少なくとも、熱可塑性樹脂材料で形成された環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、
前記熱可塑性樹脂材料が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体と、を含有する熱可塑性樹脂材料であり、
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー(x1)と、前記オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体(y1)との質量比(x1:y1)が、95:5〜50:50であり、且つ、前記熱可塑性樹脂材料中の前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーと前記オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体との合計含有量が、50質量%〜100質量%であるタイヤ。
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