JP5960875B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1および特許文献2には、熱可塑性の高分子材料、特にポリエステルエラストマーを用いて成形された空気入りタイヤが開示されている。
また、上述の二者背反の関係にある性能を満たすために、ソフトセグメント成分とハードセグメント成分との比率を調整して弾性率を制御する場合には、合成段階において煩雑な工程を経る必要がある。更に、所望の弾性率を有しながら30℃〜50℃の温度範囲内で十分に低いTanδを有する材料を合成することは大変困難である。
式(1):EPAE<EPS
(7)本発明のタイヤは、前記スチレン系熱可塑性エラストマーとして、後述するSEBS等を用いることができる。
(8)本発明のタイヤは、前記補強コード層において、前記タイヤ骨格体の外周部に前記補強コード部材の少なくとも一部が埋設、或いは、前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と同種又は別の樹脂材料で前記補強コード部材が被覆されるように構成することができる。
式(1):EPAE<EPS
また、「熱可塑性エラストマー」とは、結晶性で融点の高いハードセグメント若しくは高い凝集力のハードセグメントを構成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂材料を意味する。但し、本明細書において「ポリスチレン系熱可塑性エラストマー」には、加硫された合成ゴムも含まれる。
本発明のタイヤは、前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーに加えてポリスチレン系樹脂を含むものである。このため、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを単体で用いハードセグメントの比率を調整した場合に比して、タイヤ骨格体のTanδを低く維持したまま高弾性率化を容易に達成することができる。これにより、転がり抵抗が低く、弾性率の高いタイヤを提供することができる。
前記タイヤ骨格体を構成する樹脂材料には、少なくともポリアミド系熱可塑性エラストマーとポリスチレン系樹脂とが含まれる。また、以下樹脂材料において同種といった場合には、ポリアミド系同士、スチレン系同士などの形態を指す。
前記「ポリアミド系熱可塑性エラストマー」とは、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂材料であって、ハードセグメントを構成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。
[一般式(1)中、R1は、炭素数2〜20の炭化水素の分子鎖、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表す。]
[一般式(2)中、R2は、炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、または、炭素数3〜20のアルキレン基を表す。]
前記一般式(1)または一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸やラクタムが挙げられる。また、前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸やラクタムの重縮合体や、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどの炭素数2〜20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合物を挙げることができる。また、ジカルボン酸は、HOOC−(R3)m−COOH(R3:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0または1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタムまたはウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。
[一般式(3)中、xおよびzは、1〜20の整数を表す。yは、4〜50の整数を表す。]
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、所望のタイヤ性能を発揮するものを適宜選択することができる。
同様に、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーのTanδとしては、0.01〜0.12が好ましく、0.01〜0.10が更に好ましく、0.01〜0.08が特に好ましい。ここで、「損失係数(Tanδ)」は30℃,20Hz,せん断歪み1%における貯蔵剪断弾性率(G’)と損失剪断弾性率(G”)との比(G”/G‘)から算出される値であり、材料が変形する際にその材料がどの程度のエネルギーを吸収するか(熱に変わるか)を示す値である。Tanδは、値が大きい程エネルギーを吸収するため、タイヤとしての転がり抵抗が増大し、結果としてタイヤの燃費性能低下の要因となる。尚、熱可塑性エラストマーのTanδは、動的粘弾性測定装置(Dynamic−Mechanical Analysis:DMA)で測定することができる。
前記ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)で測定することができる。
前記ポリスチレン系樹脂は、前記タイヤ骨格体に含まれるポリアミド系熱可塑性エラストマーよりも弾性率の高いポリスチレン系樹脂である。
前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、公知のラジカル重合法、イオン性重合法で得られるものが好適に使用でき、例えばアニオンリビング重合を持つポリスチレンが挙げられる。また、前記ポリスチレン系樹脂としては、スチレン分子骨格を含む重合体や、スチレンとアクリロニトリルとの共重合体等を挙げることができる。
この中でもアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体およびその水素添加物;アクリロニトリル/スチレン共重合体とポリブタジエンとのブレンド体またはその水素添加物が好ましい。前記ポリスチレン系樹脂として、具体的には、ポリスチレン(所謂PS樹脂)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(所謂AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(所謂ABS樹脂(ブレンド系及び共重合系を含む)、ABS樹脂の水素添加物(所謂AES樹脂)等が挙げられ、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂が好ましく、ABS樹脂、AES樹脂が特に好ましい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーとポリスチレン系樹脂とを含む樹脂材料中において、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー(x)とポリスチレン系樹脂(y)との含有比(x:y)は、特に限定されるものではないが、海島構造の観点や耐溶剤性及び生産性の観点からは、95:5〜10:90が好ましく、90:10〜30:70が更に好ましく、90:10〜55:45が特に好ましい。特にポリアミド系熱可塑性エラストマーが海相を形成し、ポリスチレン系樹脂が島相を形成するように樹脂材料の海島構造を構成する場合には、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの含有量がポリスチレン系樹脂の含有量よりも大きいことが好ましい。
前記樹脂材料には、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーおよび前記ポリスチレン系樹脂に対する相溶剤を含めることができる。前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーおよびポリスチレン系樹脂に相溶剤を併用すると、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを単体で用いた場合に比してTanδを維持したまま弾性率を向上させることができるとともに、破断伸び等の破壊特性を向上させることができる。かかる効果を奏する機構については明らかではないが、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと前記ポリスチレン系樹脂とが形成する海島構造において、相溶剤が海相と島相との界面に存在し海相と島相との結合力が強化されるとともに、ポリアミド系熱可塑性エラストマーとスチレン系樹脂との界面張力が低下し島相を微細化している為であると推測される。
前記相溶剤としては、例えば、エポキシ基変性アクリル酸樹脂、エポキシ基変性メタクリル酸樹脂、エポキシ基変性アクリル酸エステル樹脂、エポキシ基変性メタクリル酸エステル樹脂、エポキシ基変性アクリル酸系熱可塑性エラストマー、エポキシ基変性アクリル酸エステル系熱可塑性エラストマー、エポキシ基変性メタクリル酸系熱可塑性エラストマー、エポキシ基変性メタクリル酸エステル系熱可塑性エラストマー等のエポキシ基変性(メタ)アクリル樹脂;酸変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、アミノ基変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、エポキシ基変性SBR、アミノ基変性SBRなどを用いることができ、エポキシ基変性(メタ)アクリル樹脂、酸変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、アミノ基変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、エポキシ基変性(メタ)アクリル樹脂、酸変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
前記樹脂材料には、更に、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーを含めることができる。前記ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、酸基によって変性されている酸変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、または、未変性のポリスチレン系熱可塑性エラストマーのいずれをも用いることができる。前記酸変性または未変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマーを前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーおよびポリスチレン系樹脂と併用すると、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを単体で用いた場合に比してTanδを維持したまま弾性率を向上させることができるとともに、破断伸び等の破壊特性をも向上させることができる。これらの効果を奏する機構については明らかではないが、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと前記ポリスチレン系樹脂とが形成する海島構造にポリスチレン系熱可塑性エラストマーが何らか作用しているものと推測される。即ち、酸変性のポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、上述の相溶剤と同様の効果を有し、海相と島相との界面に存在することで海相と島相との結合力を強化しているものと推測される。一方、未変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマーを用いた場合、ポリスチレン系樹脂で島相が形成されていると、島相に対して未変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは混ざりやすい。この場合、島相はポリスチレン系熱可塑性エラストマーで構成されているため弾性率が高くなるが、未変性ポリスチレンが島相に混ざることによって、場合によっては島相内に池相を構成することで、弾性率を低下させ、破断伸びや引張特性等の破壊特性を向上させることができると推測される。
前記ハードセグメントを形成するポリスチレンとしては、例えば、公知のラジカル重合法、イオン性重合法で得られるものが好適に使用でき、例えばアニオンリビング重合を持つポリスチレンが挙げられる。また、前記ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2,3−ジメチル−ブタジエン)等が挙げられる。また、酸変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、後述するように未変性のポリスチレン系熱可塑性エラストマーを酸変性することで得られる。
また、前記ソフトセグメントを構成するポリマーの数平均分子量としては、5000〜1000000が好ましく、10000〜800000が更に好ましく、30000〜500000が特に好ましい。更に、前記ハードセグメント(x)およびソフトセグメント(y)との体積比(x:y)は、成形性の観点から、5:95〜80:20が好ましく、10:90〜70:30が更に好ましい。
前記ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン系共重合体[SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)]、スチレン−イソプレン共重合体[ポリスチレン−ポリイソプレンブロック−ポリスチレン)、スチレン−プロピレン系共重合体[SEP(ポリスチレン−(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEB(ポリスチレン(エチレン/ブチレン)ブロック)等が挙げられ、SEBSが特に好ましい。
「酸変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマー」は、未変性のポリスチレン系熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させて酸変性させたポリスチレン系熱可塑性エラストマーを意味する。酸変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、例えば、不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸無水物の不飽和結合部位をポリスチレン系熱可塑性エラストマーに結合(例えば、グラフト重合)させることで得ることができる。
一方、海島構造において、酸変性のポリスチレン系熱可塑性エラストマーの酸価が高いほど島相が小さく、酸価が低いほど島相が大きくなる傾向にある。このように、島相が樹脂材料中に微分散していると、耐衝撃性が特に向上する。また、酸変性のポリスチレン系熱可塑性エラストマーの酸化が高いほど、ポリアミド系熱可塑性エラストマーとの相互作用が大きくなり、樹脂材料の溶融粘度が増大する。酸変性のポリスチレン系熱可塑性エラストマーとポリスチレン系熱可塑性エラストマーを合せて使用することにより、酸化を調整することで、樹脂材料の溶融粘度が増大し過ぎず、樹脂材料の射出成形性に優れる。従って、前記樹脂材料を用いてタイヤ骨格体を作製するときに、樹脂材料を高温に加熱しなくて済むため、前記樹脂材料の過加熱損傷の発生を抑制することができる。
なお、酸変性エラストマーの島相が熱可塑性樹脂中に微分散していることは、SEM(走査型電子顕微鏡、scanning electron microscope)を用いた写真観察から確認することができる。
以下に、図面に従って本発明のタイヤの第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
(タイヤケース成形工程)
まず、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する熱可塑性樹脂材料の融点(または軟化点)以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱・加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化または溶融させ、接合金型によって加圧して。タイヤケース半体を接合させてもよい。
次に、補強コード巻回工程について図3を用いて説明する。図3は、コード加熱装置、およびローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。図3において、コード供給装置56は、補強コード26を巻き付けたリール58と、リール58のコード搬送方向下流側に配置されたコード加熱装置59と、補強コード26の搬送方向下流側に配置された第1のローラ60と、第1のローラ60をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第1のシリンダ装置62と、第1のローラ60の補強コード26の搬送方向下流側に配置される第2のローラ64と、および第2のローラ64をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第2のシリンダ装置66と、を備えている。第2のローラ64は、金属製の冷却用ローラとして利用することができる。また、本実施形態において、第1のローラ60または第2のローラ64の表面は、溶融または軟化した樹脂材料の付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。なお、本実施形態では、コード供給装置56は、第1のローラ60または第2のローラ64の2つのローラを有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、何れか一方のローラのみ(即ち、ローラ1個)を有している構成でもよい。
本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17がポリアミド系熱可塑性エラストマーとABS樹脂と未変性SEBSとを含む樹脂材料によって形成されているため、タイヤ骨格体の損失係数(Tanδ)が低く維持されたまま、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーを単独で用いた場合に比して弾性率が向上している。このため、タイヤ10は、弾性率が100〜700MPaの範囲内にありながら、且つ、転がり抵抗が低減されている。また、タイヤ10は従来のゴム製のタイヤに比して構造が簡易であるため重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ10は、耐摩擦性および耐久性が高い。
更に、補強コード26がスチールコードの場合に、タイヤ処分時に補強コード26を加熱によって樹脂材料から容易に分離・回収が可能であるため、タイヤ10のリサイクル性の点で有利である。また、樹脂材料は加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低いため、補強コード層28が樹脂材料を多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、樹脂材料は加硫ゴムに比して、面内せん断剛性が大きく、タイヤ走行時の操安性や耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
さらに、ビード部12には、金属材料からなる環状のビードコア18が埋設されていることから、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リム20に対してタイヤケース17、すなわちタイヤ10が強固に保持される。
次に、図面に従って本発明のタイヤの製造方法およびタイヤの第2実施形態について説明する。本実施形態のタイヤは、上述の第1実施形態と同様に、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。このため、以下の図において、前記第1実施形態と同様の構成については同様の番号が付される。図5(A)は、第2実施形態のタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面図であり、図5(B)は第2実施形態のタイヤにリムを嵌合させた状態のビード部のタイヤ幅方向に沿った断面の拡大図である。また、図6は、第2実施形態のタイヤの補強層の周囲を示すタイヤ幅方向に沿った断面図である。
(骨格形成工程)
まず、上述の第1実施形態と同様にして、タイヤケース半体17Aを形成し、これを接合金型によって加熱・押圧し、タイヤケース17を形成する。
本実施形態におけるタイヤの製造装置は、上述の第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態の図3に示すコード供給装置56において、リール58にコード部材26Aを被覆用樹脂材料27(本実施形態ではタイヤケースと同じ樹脂材料)で被覆した断面形状が略台形状の被覆コード部材26Bを巻き付けたものが用いられる。
次に、図示を省略するブラスト装置にて、タイヤケース17の外周面17Sに向け、タイヤケース17側を回転させながら、外周面17Sへ投射材を高速度で射出する。射出された投射材は、外周面17Sに衝突し、この外周面17Sに算術平均粗さRaが0.05mm以上となる微細な粗化凹凸96を形成する。
このようにして、タイヤケース17の外周面17Sに微細な粗化凹凸96が形成されることで、外周面17Sが親水性となり、後述する接合剤の濡れ性が向上する。
次に、粗化処理を行なったタイヤケース17の外周面17Sに接合剤を塗布する。
なお、接合剤としては、トリアジンチオール系接着剤、塩化ゴム系接着剤、フェノール系樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤、ゴム系接着剤など、特に制限はないが、クッションゴム29が加硫できる温度(90℃〜140℃)で反応することが好ましい。
次に生タイヤケースを加硫缶やモールドに収容して加硫する。このとき、粗化処理によってタイヤケース17の外周面17Sに形成された粗化凹凸96に未加硫のクッションゴム29が流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸96に流れ込んだクッションゴム29により、アンカー効果が発揮されて、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度が向上する。すなわち、クッションゴム29を介してタイヤケース17とトレッド30との接合強度が向上する。
本実施形態のタイヤ200では、タイヤケース17がポリアミド系熱可塑性エラストマーとABS樹脂と酸変性SEBSとを含む樹脂材料によって形成されているため、タイヤ骨格体の損失係数(Tanδ)が低く維持されたまま、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーを単独で用いた場合に比して弾性率が向上している。このため、タイヤ200は、弾性率が100〜700MPaの範囲内にありながら、且つ、転がり抵抗が低減されている。また、タイヤ200は従来のゴム製のタイヤに比して構造が簡易であるため重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ200は、耐摩擦性および耐久性が高い。
更に、コード部材26Aがスチールコードの場合に、タイヤ処分時に被覆コード部材26Bからコード部材26Aを加熱によって容易に分離・回収が可能であるため、タイヤ200のリサイクル性の点で有利である。また、樹脂材料は加硫ゴムに比して損失係数(Tanδ)が低いため、補強コード層28が樹脂材料を多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、樹脂材料は加硫ゴムに比して、面内せん断剛性が大きく、タイヤ走行時の操安性や耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
また、タイヤケース17は、タイヤケースのクラウン部に巻回され且つ接合された被覆コード部材を被覆用熱可塑性材料で覆うようにして補強コード層を形成してもよい。この場合、溶融または軟化状態の被覆用熱可塑性材料を補強コード層28の上に吐出して被覆層を形成することができる。また、押出機を用いずに、溶着シートを加熱し溶融または軟化状態にして、補強コード層28の表面(外周面)に貼り付けて被覆層を形成してもよい。
また、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、被覆コード部材26Bを加熱せずに接着剤などを用いてクラウン部16の外周面に接着する構成としてもよい。
さらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融または軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。
またさらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱可塑性材料とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融または軟化状態としつつ、被覆用樹脂材料27を加熱し溶融または軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。なお、タイヤケース17および被覆コード部材26Bの両者を加熱して溶融または軟化状態にした場合、両者が良く混ざり合うため接合強度が向上する。また、タイヤケース17を形成する樹脂材料、および被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27をともに熱可塑性樹脂材料とする場合には、同種の熱可塑性材料、特に同一の熱可塑性材料とすることが好ましい。
また、さらに粗化処理を行ったタイヤケース17の外周面17Sにコロナ処理やプラズマ処理等を用い、外周面17Sの表面を活性化し、親水性を高めた後に接着剤を塗布してもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
(1−1)本発明のタイヤは、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体の外周部に補強コード部材の少なくとも一部が埋設されるように構成することができる。
このように、補強コード部材の一部がタイヤ骨格体の外周部に埋設していると、補強コード部材巻回時にコード周辺に空気が残る現象(エア入り)を更に抑制することができる。補強コード部材周辺へのエア入りが抑制されると、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのが抑制される。これにより、例えば、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材全体を覆うようにタイヤ構成部材が設けられた場合、補強コード部材は動きが抑制されているため、これらの部材間(タイヤ骨格体含む)に剥離などを生じるのが抑制され耐久性が向上する。
このように路面と接触するトレッドを熱可塑性樹脂材料よりも耐摩耗性のある材料で構成することでタイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。
このようにタイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で補強コード部材の直径の1/5以上がタイヤ骨格体の外周部に埋設されていると、補強コード部材周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのをより抑制することができる。
このように、タイヤ骨格体にリムとの嵌合部位であるビード部を設け、さらに、このビード部に金属材料からなる環状のビードコアを埋設することで、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リムに対して、タイヤ骨格体(すなわちタイヤ)を強固に保持させることができる。
このように、タイヤ骨格体とリムとの接触部分に、熱可塑性樹脂材料よりもシール性の高い材料からなるシール部を設けることで、タイヤ(タイヤ骨格体)とリムとの間の密着性を向上させることができる。これにより、リムと熱可塑性樹脂材料とのみを用いた場合に比較して、タイヤ内の空気漏れを一層抑制することができる。また、前記シール部を設けることでタイヤのリムフィット性も向上させることができる。
このように、前記分割体の接合面を、タイヤ骨格片を構成する樹脂材料の融点(または軟化点)以上に加熱すると、タイヤ骨格片同士の融着を十分に行うことができるため、タイヤの耐久性を向上させつつ、タイヤの生産性を高めることができる。
このように、前記タイヤ骨格体の外周部を溶融または軟化させながら補強コード部材の少なくとも一部を埋設して前記タイヤ骨格体の外周部に前記補強コード部材を巻回することで、埋設された補強コード部材の少なくとも一部と溶融または軟化した熱可塑性樹脂材料とを溶着させることができる。これにより、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視でタイヤ骨格体の外周部と補強コード部材との間のエア入りを更に抑制することができる。また、補強コード部材を埋設した部分が冷却固化されると、タイヤ骨格体に埋設された補強コード部材の固定具合が向上する。
このように、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材を直径の1/5以上埋設すると、製造時の補強コード周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、更に、埋設された補強コード部材がタイヤ骨格体から抜け難くすることができる。
このように、補強コード巻回工程において、補強コード部材を加熱しながらタイヤ骨格体に埋設させると、加熱された補強コード部材がタイヤ骨格体の外周部に接触した際に接触部分が溶融または軟化するため、補強コード部材をタイヤ骨格体の外周部に埋設し易くなる。
このように、タイヤ骨格体の外周部の補強コード部材が埋設される部分を加熱することで、タイヤ骨格体の加熱された部分が溶融または軟化するため、補強コード部材を埋設し易くなる。
このように、補強コード部材を前記タイヤ骨格体の外周部に押圧しながら前記補強コード部材を螺旋状に巻回すると、補強コード部材のタイヤ骨格体の外周部への埋設量を調整することができる。
このように、補強コード部材が埋設された後で、タイヤ骨格体の外周部の溶融または軟化した部分を強制的に冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の溶融または軟化した部分を自然冷却よりも早く迅速に冷却固化することができる。タイヤ外周部を自然冷却よりも早く冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の変形を抑制できると共に、補強コード部材が動くのを抑制することができる。
(2−1)本発明のタイヤは、前記製造方法において、更に、タイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材を衝突させて、タイヤ骨格体の外周面を粗化処理する粗化処理工程と、粗化処理された前記外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材を積層する積層工程と、を備えて構成することができる。
このように、粗化処理工程を設けると、前記熱可塑性樹脂材料を用いて形成された環状のタイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材が衝突して、当該外周面に微細な粗化凹凸が形成される。なお、タイヤ骨格体の外周面に投射材を衝突させて微細な粗化凹凸を形成する処理を粗化処理という。その後、粗化処理された外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材が積層される。ここで、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材とを一体化するにあたり、タイヤ骨格体の外周面が粗化処理されていることから、アンカー効果により接合性(接着性)が向上する。また、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料が投射材の衝突により掘り起こされることから、外周面の濡れ性が向上する。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
このように、タイヤ骨格体の外周面の少なくとも一部が凹凸部とされていても、凹凸部に投射材を衝突させることで凹部周囲(凹壁、凹底)の粗化処理がなされ、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
このように、被覆コード部材をタイヤ骨格体の周方向に巻回して構成された補強層でタイヤ骨格体の外周部を構成することで、タイヤ骨格体の周方向剛性を向上させることができる。
このように、被覆コード部材を構成する樹脂材料に熱可塑性を有する熱可塑性材料を用いることで、前記樹脂材料として熱硬化性材料を用いた場合と比べて、タイヤ製造が容易になり、リサイクルしやすくなる。
このように、粗化処理工程において、タイヤ構成ゴム部材の積層領域よりも広い領域に粗化処理を施すと、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確実に確保することができる。
このように、粗化処理工程において算術平均粗さRaが0.05mm以上となるようにタイヤ骨格体の外周面を粗化処理すると、粗化処理された外周面に接合剤を介して、例えば、未加硫または半加硫状態のタイヤ構成ゴム部材を積層し加硫した場合に、粗化処理により形成された粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませることができる。粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませると、外周面とタイヤ構成ゴム部材との間に十分なアンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
このように、前記タイヤ構成ゴム部材として未加硫または半加硫状態のゴムを用いると、タイヤ構成ゴム部材を加硫した際に、粗化処理によってタイヤ骨格体の外周面に形成された粗化凹凸にゴムが流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸に流れ込んだゴム(加硫済み)により、アンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
このように、粗化処理した環状のタイヤ骨格体を用いると、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度をアンカー効果によって向上させることができる。また、外周面が粗化処理されていることから、接合剤の濡れ性がよい。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度が確保されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との剥離を抑制することができる。
まず、上述の第2実施形態に従って、実施例および比較例のタイヤを成形した。この際、タイヤケースを形成する材料については下記表1〜6に記載の材料を用いた。また、各実施例および比較例について、材料の物性評価およびタイヤ性能の評価を下記に従っておこなった。
各実施例および比較例でタイヤケースに用いられた樹脂材料について、各材料を表1〜6に示す組成(質量基準)で混合した。次いで、東洋精機製作所「LABOPLASTOMILL 50MR」2軸押出し機により前記樹脂材料を混練(混合温度180〜200℃)し、ペレットを得た。なお、一部の比較例においては、混合系とせず、ポリアミド系熱可塑性エラストマーのペレットを用意した。
作製したペレットを用いて、住友重工社製、SE30Dを用い、射出成形を行い、成形温度215℃〜225℃、金型温度50℃とし、12.7mm×127mm、厚さ1.6mmのサンプルを得た。
各サンプルを打ち抜き、JISK6251:1993に規定されるダンベル状試料片(5号形試料片)を作製した。
損失係数(Tanδ)はオメトリックス社製 ARESIIIを用い、30℃,20Hz,せん断歪み1%の条件でtanδを測定した。結果を表1に示す。
また、各実施例および比較例について、弾性率とTanδとの関係を図7に示す。図7は、各実施例および比較例について弾性率とTanδとの関係を示すグラフである。
※ ポリアミドエラストマー
・UBESTA「XPA9040X1」宇部興産(株)製(弾性率91MPa)
・UBESTA「XPA9048X1」宇部興産(株)製(弾性率183MPa)
・UBESTA「XPA9055X1」宇部興産(株)製(弾性率303MPa)
・UBESTA「XPA9063X1」宇部興産(株)製(弾性率626MPa)
※ ポリスチレン系樹脂
・テクノABS「ABS130」テクノポリマー(株)製(ABS樹脂:弾性率1853MPa)
・テクノABS「ABS170」テクノポリマー(株)製(ABS樹脂:弾性率1373MPa)
・テクノAES「W245」テクノポリマー(株)製(AES樹脂:弾性率1665MPa)
・EXELLOY「TK10」テクノポリマー(株)製(ABS/PBT/PC樹脂:弾性率>1000MPa)
・PSJ−ポリスチレン「PS680」PSジャパン(株)製(PS樹脂:弾性率>2000MPa)
・スタイラックAS「T8707」旭化成ケミカルズ(株)製(AS樹脂:弾性率>2000MPa)
・スタイラックAS「769」旭化成ケミカルズ(株)製(AS樹脂:弾性率>2000MPa)
※ スチレン系エラストマー(SEBS)
・タフテック「M1913」旭化成ケミカルズ(株)製(酸変性SEBS(相溶剤):酸価10mg(CH3ONa)/g)
・タフテック「H1041」旭化成ケミカルズ(株)製(未変性SEBS)
※ 相溶剤
・レゼダ「GP−301」東亞合成(株)製(エポキシ基変性アクリル酸樹脂)
これに対し、表2〜6に示すように、各実施例においては引張弾性率がおおよそ200MPa〜500MPaの範囲にありながら最高でも0.093と、弾性率を高めながらTanδの増大を抑制できていることがわかる。
12 ビード部
16 クラウン部(外周部)
18 ビードコア
20 リム
21 ビードシート
22 リムフランジ
17 タイヤケース(タイヤ骨格体)
24 シール層(シール部)
26 補強コード(補強コード部材)
26A コード部材(補強コード部材)
28 補強コード層
30 トレッド
D 補強コードの直径(補強コード部材の直径)
L 補強コードの埋設量(補強コード部材の埋設量)
Claims (8)
- 少なくとも樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、
前記樹脂材料が、分子中にハードセグメントおよびソフトセグメントを有するポリアミド系熱可塑性エラストマーと、ポリスチレン系樹脂と、を含み、
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの引張弾性率(EPAE)と前記ポリスチレン系樹脂の引張弾性率(EPS)とが、下記式(1)を満たし、
前記タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回している補強コード部材を有する補強コード層を有し、前記補強コード層として、周方向に巻回している前記補強コード部材を有する層のみ有し、
前記樹脂材料中のポリアミド系熱可塑性エラストマーおよびポリスチレン系樹脂の総含有量は、前記樹脂材料の総量に対して、50質量%以上であるタイヤ。
式(1):EPAE<EPS - 前記樹脂材料は、更に、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーおよび前記ポリスチレン系樹脂に対する相溶剤を含む請求項1に記載のタイヤ。
- 前記相溶剤が、酸変性ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、または、エポキシ基変性(メタ)アクリル樹脂である請求項2に記載のタイヤ。
- 前記ポリスチレン系樹脂が、スチレン分子骨格を含む重合体、または、スチレンとアクリロニトリルとの共重合体である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記ポリスチレン系樹脂が、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体またはその水素添加物;あるいは、アクリロニトリル/スチレン共重合体とポリブタジエンとのブレンド体またはその水素添加物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記樹脂材料は、更に、スチレン系熱可塑性エラストマーを含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記スチレン系熱可塑性エラストマーがポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)である請求項6に記載のタイヤ。
- 前記補強コード層において、前記タイヤ骨格体の外周部に前記補強コード部材の少なくとも一部が埋設、或いは、前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料と同種又は別の樹脂材料で前記補強コード部材が被覆された請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のタイヤ。
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