JP5893439B2 - タイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リムに装着されるタイヤの製造方法に係り、特に、少なくとも一部が熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤの製造方法に関する。
従来、乗用車等の車両には、ゴム、有機繊維材料、スチール部材などから構成された空気入りタイヤが用いられている。
近年では、軽量化や、成形の容易さ、リサイクルのしやすさから、樹脂材料、特に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなどをタイヤ材料として用いることが検討されている。
例えば、特許文献1には、熱可塑性の高分子材料を用いて成形された空気入りタイヤが開示されている。
熱可塑性の高分子材料を用いたタイヤは、ゴム製の従来タイヤと比べて、製造が容易で且つ低コストである。しかし、タイヤ骨格体がカーカスプライなどの補強部材を内装しない均一な熱可塑性高分子材料で形成されている場合には、ゴム製の従来タイヤと比べて、タイヤ骨格体を形成する熱可塑性樹脂材料の特性に起因して、耐熱性の観点でなお改良の余地がある(例えば、特許文献1参照)。
熱可塑性樹脂材料を含む材料によりタイヤを製造する場合、製造効率を高め低コストを実現しつつ、得られたタイヤは従来のゴム製タイヤと比して遜色のない性能を実現することが求められる。例えば、タイヤには衝撃に対して強い耐性を有することが求められるが、熱可塑性樹脂材料を主たる材料として用いて成形されたタイヤにおいても従来のゴムを用いたタイヤと同等以上耐衝撃性が求められている。
また、一般に、熱可塑性樹脂材料においては、成形体の耐熱性を向上させると、それに伴って成型体自体が硬くなり、タイヤの性能として重要な転がり摩擦抵抗を示す指標である動的粘弾性(tanδ)が適切な値からはずれてしまう傾向にあり、耐熱性と転がり摩擦抵抗のいずれも良好な値に維持されたタイヤの製造は困難であった。
特開2003−104008号公報
本発明は、前記問題を解決すべくなされたものであり、熱可塑性樹脂材料を用いてなり、転がり摩擦抵抗が小さいタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明のタイヤの製造方法は、少なくともポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有する熱可塑性樹脂材料を含む材料で形成されたタイヤの製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂材料を含む材料を用いて、環状のタイヤ骨格体を成形するタイヤ骨格体成形工程と、得られた前記タイヤ骨格体を、1価のアルコール、2価のアルコール、及び温度が80℃以上の熱水から選択される少なくとも1つの水系媒体に15分間以上24時間以下の時間で接触させる水系媒体接触工程と、を有する。
本発明のタイヤの製造方法は、熱可塑性樹脂材料を含んで構成される環状のタイヤ骨格体を有するタイヤの製造方法である。
なお、本発明における熱可塑性樹脂材料は、熱可塑性を有する樹脂およびエラストマーの少なくとも一方を意味し、従来の天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムは含まれない。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、分子内に存在するアミド結合が、互いに水素結合を結ぶことにより、耐熱性や強靭な性質を有していると考えられている。本発明では、上記水系媒体接触工程の実施により、アミド結合−アミド結合間に水系媒体の分子を介入させることで、理由は定かではないが、タイヤ骨格体の引張弾性率を維持したまま、力学的損失係数(転がり係数:tanδ)を小さくすることができる。
ここで、引張弾性率は、タイヤ骨格体の強度の指標となり、引張弾性率が大きいほど、タイヤ骨格体の強度が大きくなる。tanδは、タイヤ骨格体の転がり摩擦抵抗の指標となり、tanδが小さいことは、転がり摩擦抵抗が小さいことを表し、操縦安定性や燃費が良いことを意味する。
すなわち、本発明によれば、タイヤ骨格体の強度を維持したまま、転がり摩擦抵抗を小さくすることができる。
以下、本発明の好ましい態様を挙げる
) 前記水系媒体接触工程が、前記タイヤ骨格体を、熱水に浸漬する工程および前記タイヤ骨格体を、飽和蒸気に接触する工程の少なくとも一方を有する前記(1)に記載のタイヤの製造方法。
タイヤ骨格体を水系媒体に接触させる手法としては、タイヤ骨格体を熱水に浸漬する手法、タイヤ骨格体を飽和蒸気下に曝す手法、及びその両方を行う手法が簡便であり、転がり摩擦抵抗が小さいタイヤの製造を効率よく行うことができる。特に、タイヤ骨格体を飽和蒸気下に曝す手法は、水分子の運動が活発になるため、水分子がアミド結合間に介入しやすい。
以上説明したように、本発明によれば、熱可塑性樹脂材料を用いてなり、転がり摩擦抵抗が小さいタイヤの製造方法を提供することができる。
(A)は本発明の製造方法を適用しうるタイヤの一実施形態の一部の断面を示す斜視図であり、(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。 第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。 コード加熱装置、及びローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。 本実施形態に係るタイヤの製造方法を適用する前のタイヤと、当該製造方法を適用した後のタイヤの、引張弾性率および力学的損失係数(転がり係数:tanδ)の変化を示すグラフである。 本発明のタイヤの製造方法を適用したタイヤの、力学的損失係数(転がり係数:tanδ)とタイヤ骨格体の熱水への浸漬時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のタイヤの製造方法は、環状のタイヤ骨格体を成形し後、得られた前記タイヤ骨格体を、熱水、1価のアルコール、及び2価のアルコールから選択される少なくとも1つの水系媒体に接触させる水系媒体接触工程を有することを特徴とする。
以下、本発明のタイヤの製造方法について、タイヤの製造に用いる材料とともに、工程順に説明する。
<タイヤ骨格体形成工程>
本発明の製造方法においては、まず、少なくともポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有する熱可塑性樹脂材料を含む材料でタイヤ骨格体を形成する。
(熱可塑性樹脂材料)
タイヤ骨格体の製造に用いる熱可塑性樹脂材料は、少なくともポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有していれば特に制限はなく、種々の熱可塑性ポリマーや熱可塑性エラストマーから目的に応じて適宜選択して用いることができる。
ここで、ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂材料であって、ハードセグメントを構成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマー以外に、熱可塑性樹脂材料に含有し得る熱可塑性材料としては、効果の観点からは、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性エラストマーが好ましい。
得られるタイヤの弾性や耐熱性を考慮すれば、前記熱可塑性エラストマーは、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーが、主鎖に、ウレタン結合、スチレン、オレフィンから選ばれる構造を含む単量体を重合させることによって得られる、アミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー及びポリスチレン系熱可塑性エラストマー等が好ましく、これらのなかから1種或いは2種以上を適宜選択して用いればよい。
本発明のタイヤの製造方法により製造されるタイヤには、耐久性向上を目的として補強コードを備えていてもよい。
補強コート部材を設ける場合には、タイヤ骨格体形成工程の後に、後述する補強コード層形成工程を実施し、その後、加熱工程に付せばよい。
本工程では、熱可塑性樹脂材料、好ましくは、熱可塑性エラストマー、を含む熱可塑性樹脂材料によって環状のタイヤ骨格体を形成する。タイヤ骨格体形成工程では、タイヤ骨格体を、例えば、適切な金型を用いて射出成形により一工程で形成することもできるが、2以上のタイヤ骨格体の一部を構成するタイヤ骨格片を別々に作製し、これを接合してタイヤ骨格体としてもよい。
即ち、タイヤ骨格体を形成するに工程は、タイヤ骨格体の一部を構成するタイヤ骨格片を形成するタイヤ骨格片形成工程と、前記タイヤ骨格片の接合面に熱を付与し対となる2以上の前記タイヤ骨格片を融着させて前記タイヤ骨格体を形成するタイヤ骨格片接合工程とを含んでもよい。さらに、タイヤが補強コート部材を有する構成をとる場合には、さらに、前記タイヤ骨格体の外周部に補強コードを周方向に巻回して補強コード層を形成する補強コード巻回工程を行う。
以下、熱可塑性樹脂材料として、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料を用いてタイヤ骨格片を成形し、これを接合する工程によりタイヤ骨格体を形成する場合を例に挙げて説明する。
まず、後述する熱可塑性樹脂材料を用いて、タイヤ骨格片を形成する。タイヤ骨格片の形成は、樹脂材料の成型方法として一般的な射出成形、真空成形、圧空成形、メルトキャスティングなどを適用すればよい。
タイヤ骨格片は、例えば、一つのビード部と一つのサイド部と半幅のクラウン部とを一体として射出成形等で成形された樹脂成形体とすることができる。通常は、タイヤ骨格片は同一形状の円環状のタイヤケース半体として成形され、これを2つ互いに向かい合わせてタイヤ赤道面部分で接合し、タイヤ骨格体が形成される。タイヤ骨格体は、所望により、3以上の部材を接合して形成してもよい。
熱可塑性樹脂材料で形成されるタイヤ骨格片は、適切な金型を用いて、真空成形、圧空成形、インジェクション成形、メルトキャスティング等の公知の樹脂成形方法を適用して成形することができる。
前記の如き、2つの同一形状のタイヤ骨格片を2つ接合してタイヤ骨格体を形成する方法によれば、タイヤ骨格片を成形する金型が1種類で済むという利点をも有する。
本発明を適用しうるタイヤ骨格片の製造方法のより具体的な一態様について以下に説明する。
タイヤ骨格片を成形する金型としては、ファンゲートを有する金型を用い、一般的には射出成形により形成される。
射出成形時の加熱温度は熱可塑性材料の融点以上の温度、例えば、本実施形態に示されるようなポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いる場合には、その融点が160℃〜230℃であるため、160℃以上250℃以下の温度で形成を行えばよい。
タイヤ骨格片を構成する熱可塑性樹脂材料としては、成形前駆体である粒状(ペレット状)あるいは粉状(フレーク状)、微粉状(パウダー状)の材料を用い、成形工程の前に、80℃以上120℃以下、2時間〜6時間の範囲で加熱し、前駆体に含有する水分を除去することが好ましい。この加熱処理を行うことで、成形工程において、水分の気化が起こり、金型内での圧縮によりガス焼けなどの成形不良と呼ばれる現象を抑制することができる。
熱可塑性材料の溶融温度としては、融点以上の温度であればよく、金型内での流動性を促進し、成形金型の転写性を高めるため、適宜温度を高めて形成させるが、250℃を超える温度で溶融させた場合、熱可塑性材料の分解が促進され、材料そのものの劣化がおこり、成形品の物性に重大な悪影響を及ぼすため、250℃以下の温度で形成させる必要がある。
成形装置としては、一般的なプランジャ方式またはプリプラ方式の射出成形機が用いられる。
本発明においては、熱可塑性樹脂材料はポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有するため、熱可塑性樹脂材料はその融点を100℃〜250℃程度に設定することができる。そのため、タイヤ骨格片の成形、或いは、タイヤ骨格片の接合に際して、例えば、タイヤ骨格片の融着工程を300℃以上の温度条件で実施する必要がなく、比較的低温で融着工程を実施できる。このように比較的低温度で融着工程を実施できるため、タイヤ骨格片を構成する樹脂の劣化を防止でき、エネルギー利用率などの観点で、タイヤの生産性を向上させることができる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いたタイヤ骨格片は、融着してタイヤ骨格体を形成した際、タイヤ骨格片同士の接着強度が十分であり、また、融着時の温度によって骨格体自体の性能が劣化することがないため、製造されたタイヤの耐パンク性や耐摩耗性など走行時における耐久性を向上させることができる。
タイヤ骨格体形成工程における前記タイヤ骨格片接合工程において、前記タイヤ骨格片の接合面を、タイヤ骨格片を構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上(例えば、融点+10℃以上融点+70℃以下)に加熱するように構成することができる。
このように、前記分割体の接合面を、タイヤ骨格片を構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上に加熱すると、タイヤ骨格片同士の融着を十分に行うことができるため、タイヤの耐久性を向上させつつ、タイヤの生産性を高めることができる。
タイヤ骨格片接合工程において、タイヤ骨格片を接合し、熱溶融接着することで、タイヤ骨格体を得る。
本発明の製造方法に適用されるタイヤは、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料で形成された環状のタイヤ骨格体を有する。以下、本発明の製造方法を適用するタイヤ骨格体の材料として有用なポリアミド系熱可塑性エラストマーに代表される熱可塑性樹脂材料について説明する。
ここで、「ポリアミド系熱可塑性エラストマー」とは、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂材料であって、ハードセグメントを構成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを構成し、他のポリマー(例えば、ポリエステルまたはポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーはハードセグメントおよびソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いてもよい。前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)または一般式(2)で表されるモノマーによって生成されるポリアミドを挙げることができる。
一般式(1)中、Rは、炭素数2〜20の炭化水素の分子鎖、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表す。
一般式(2)中、Rは、炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、または、炭素数3〜20のアルキレン基を表す。
一般式(1)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖または炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖または炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖または炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。また、一般式(2)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖または炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖または炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖または炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
前記一般式(1)または一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸やラクタムが挙げられる。また、前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸やラクタムの重縮合体や、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
前記ω−アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などの炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸等を挙げることができる。また、ラクタムとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、ウデカンラクタム、ω−エナントラクタム、2−ピロリドンなどの炭素数5〜20の脂肪族ラクタムなどを挙げることができる。
前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどの炭素数2〜20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合物を挙げることができる。また、ジカルボン酸は、HOOC−(R)m−COOH(R:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0または1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタムまたはウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
また、前記ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテルが挙げられ、例えば、ポリエチレングリコール、プリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を用いることができる。また、ポリエーテルの末端にアニモニア等を反応させることによって得られるポリエーテルジアミン等を用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。
一般式(3)中、xおよびzは、1〜20の整数を表す。yは、4〜50の整数を表す。
前記一般式(3)において、xおよびzとしては、それぞれ、1〜18の整数が好ましく、1〜16の整数が更に好ましく、1〜14の整数が特に好ましく、1〜12の整数が最も好ましい。また、前記一般式(3)において、yとしては、それぞれ、5〜45の整数が好ましく、6〜40の整数が更に好ましく、7〜35の整数が特に好ましく、8〜30の整数が最も好ましい。
前記ハードセグメントと前記ソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。この中でも、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリプロピレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せ、が好ましく、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せが特に好ましい。
前記ハードセグメントを構成するポリマー(ポリアミド)の数平均分子量としては、溶融成形性の観点から、300〜15000が好ましい。また、前記ソフトセグメントを構成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性および低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。更に、前記ハードセグメント(x)およびソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜90:10が好ましく、50:50〜80:20が更に好ましい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、前記ハードセグメントを形成するポリマーおよびソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品の宇部興産(株)の「UBESTA XPA」シリーズ(例えば、XPA9063X1、XPA9055X1、XPA9048X2、XPA9048X1、XPA9040X1、XPA9040X2XPA9044等)、ダイセル・エポニック(株)の「ベスタミド」シリーズ(例えば、E40−S3、E47−S1、E47−S3、E55−S1、E55−S3、EX9200、E50−R2)等を用いることができる。
熱可塑性樹脂材料としては、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー以外にも、他の熱可塑性エラストマーを併用してもよい。他の熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントを構成するポリマーが、ウレタン、スチレン又はオレフィン等から選ばれる構造を有する単量体を重合させることによって得られる主鎖にウレタン、スチレン又はオレフィン等の骨格を有するポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィンが挙げられる。他の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定される、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、等が挙げられる。
前記他の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品を用いることができる。
前記ポリウレタン系熱可塑性樹脂組成物としては、例えば、市販品のBASF社製の「エラストラン」シリーズ(例えば、ET680、ET880、ET690、ET890、C80A、S80A)等を用いることができる。
前記ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品の旭化成社製の「タフテック」シリーズ(例えば、H1031、H1041、H1043、H1051、H1052,H1053,H1082、H1141、H1221、H1272)等を用いることができる。
前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品の三井化学社製の「タフマー」シリーズ(例えば、A0550S、A1050S、A4050S、A1070S、A4070S,A35070S、A1085S、A4085S、A7090、A70090、MH7007、MH7010、P275)等を用いることができる。
前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品の東レ・デュポン製の「ハイトレル」シリーズ(例えば、3046,5557,6347,4047,4767等)、東洋紡社製「ベルプレン」シリーズ(P30B、P40B、P40H、P55B、P70B、P150B、P280B、P450B、P150M、S1001、S2001、S5001、S6001、S9001等)、三菱化学社製「プリマロイA」シリーズ(A1500N、A1600N、A1700N、A1800N、A1900N等)を用いることができる。
前記熱可塑性樹脂材料として、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー(x)に前記他の熱可塑性エラストマー(y)を併用する場合の両者の質量比(x:y)は任意であるが、例えば、95:5〜55:45であることが好ましい。エラストマーの体積比が上記範囲にあると、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと他の熱可塑性エラストマーとがポリアミド系熱可塑性エラストマーを“海”とする海−島構造を形成するため、タイヤの耐久性や耐衝撃性が改良される。他の熱可塑性エラストマーを2種以上併用する場合には、他のエラストマーの総量とポリアミド系熱可塑性エラストマーとの総量が前記範囲に含まれることが好ましい。
タイヤの製造に用いられる熱可塑性エラストマーの融点としては、タイヤの生産性の観点から100℃〜250℃程度が好ましく、100℃〜200℃が更に好ましい。このように、融点が100℃〜200℃の熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料を用いることで、例えばタイヤの骨格体を、その分割体(骨格片)を融着して形成する場合に、接合部の加熱温度を、タイヤ骨格体を形成する熱可塑性樹脂材料の融点以上に設定することができる。この構成によれば、160℃〜250℃の温度範囲で融着された骨格体であってもタイヤ骨格片同士の接着強度が十分となる。接合に際しての加熱温度は、タイヤ骨格片を形成する熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂材料の融点よりも10℃〜100℃高い温度が好ましく、10℃〜70℃高い温度が更に好ましい。
また、本発明における熱可塑性樹脂材料中の熱可塑性エラストマーの総含有率は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂材料の総量に対して、50体積%以上が好ましい。熱可塑性エラストマーの総含有率が、熱可塑性樹脂材料の総量に対して、50体積%以上であると該熱可塑性エラストマーの特性を十分に発揮させることができ、タイヤの耐久性や生産性を向上させることができる。前記熱可塑性樹脂材料には、所望に応じて、ゴム、熱可塑性樹脂、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ)、老化防止剤、オイル、可塑剤、着色剤、耐候剤等の各種添加剤を含有させてもよい。
タイヤの製造に用いられる熱可塑性樹脂材料のJIS K7113に規定される引張弾性率(以下、特に特定しない限り本明細書で「弾性率」とは引張弾性率を意味する。)としては、100MPa〜1000MPaが好ましく、100MPa〜800MPaがさらに好ましく、100MPa〜700MPaが特に好ましい。ポリアミド系熱可塑性エラストマーの引張弾性率が、100MPa〜1000MPaであると、タイヤ骨格の形状を保持しつつリム組みを効率的におこなうことができる。
タイヤの製造に用いられる熱可塑性樹脂材料のJIS K7113に規定される引張降伏強さは、5MPa以上が好ましく、5MPa〜20MPaが好ましく、5MPa〜17MPaがさらに好ましい。ポリアミド系熱可塑性エラストマーの引張降伏強さが、5MPa以上であると、走行時などにタイヤにかかる荷重に対する変形に耐えることができる。
タイヤの製造に用いられる熱可塑性樹脂材料のJIS K7113に規定される引張降伏伸びは、10%以上が好ましく、10%〜70%が好ましく、15%〜60%がさらに好ましい。ポリアミド系熱可塑性エラストマーの引張降伏伸びが、10%以上であると、弾性領域が大きく、リム組み性をよくすることができる。
タイヤの製造に用いられる熱可塑性樹脂材料のJIS K7113に規定される引張破壊伸び(JIS K7113)としては、50%以上が好ましく、100%以上が好ましく、150%以上がさらに好ましく、200%以上が特に好ましい。ポリアミド系熱可塑性エラストマーの引張破壊伸びが、50%以上であると、リム組み性がよく、衝突に対して破壊しにくくすることができる。
タイヤの製造に用いられる熱可塑性樹脂材料のISO75−2又はASTM D648に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)としては、50℃以上が好ましく、50℃〜150℃が好ましく、50℃〜130℃がさらに好ましい。ポリアミド系熱可塑性エラストマーの荷重たわみ温度が、50℃以上であると、タイヤの製造において加硫を行う場合であってもタイヤ骨格体の変形を抑制するこができる。
<水系媒体接触工程>
本工程では、上記タイヤ骨格体形成工程において得られた前記タイヤ骨格体を、熱水、1価のアルコール、及び2価のアルコールから選択される少なくとも1つの水系媒体に接触させる。
水系媒体接触工程は、少なくともポリアミド系熱可塑性エラストマーの分子内に含まれるアミド結合と、他のポリアミド系熱可塑性エラストマーの分子内に含まれるアミド結合との間で結ばれる水素結合、または、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの同一分子内に含まれるアミド結合同士が結ぶ水素結合を水系媒体により切断する工程である。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーの分子内に含まれるアミド結合間の水素結合が切断されることで、アミド結合−アミド結合間に水系媒体の分子が介入した形態をとると考えられる。
ここで、タイヤ骨格体を単に加熱した場合には、ポリアミド系熱可塑性エラストマー分子の結晶部が結晶成長し、硬くなり、タイヤ骨格体のガラス転移温度(Tg)が低下してしまう。また、タイヤ骨格体を形成する前、例えば、タイヤ骨格体の原料を、例えば、熱水に浸漬してからタイヤ骨格体を形成すると、タイヤ骨格体の内部に水蒸気による空泡が含まれてしまい、タイヤ骨格体の強度を低下する。したがって、本発明においては、タイヤ骨格体を形成してから、得られたタイヤ骨格体を水系媒体に接触させる必要がある。
既述のように、本発明における熱可塑性樹脂材料は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性樹脂材料を含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂材料としてポリアミド系熱可塑性樹脂材料を含有する場合には、かかるポリアミド系熱可塑性樹脂材料におけるアミド結合間の水素結合が、水系媒体接触工程により切断されてもよい。
水系媒体接触工程で用いる水系媒体は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーが有するアミド結合間の水素結合を切断するための溶媒であり、熱水、1価のアルコール、及び2価のアルコールから選択される少なくとも1つで構成される。すなわち、水系媒体として熱水のみを用いてもよいし、熱水と1価または2価のアルコールの混合溶液でもよい。
水系媒体は、液状であってもよいし、気体であってもよい。
熱水は、温度が80℃以上であることが好ましい。温度が80℃以上であることで、アミド結合の水素結合を切断しやすい。
また、熱水は、液状でも気体(蒸気)でもよいが、蒸気であることが好ましい。熱水が蒸気(例えば、飽和蒸気)であることで、水分子がアミド結合−アミド結合間に介入しやすい。
1価のアルコールは、直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。1価アルコールは、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、メタノール、及びエタノールが好ましい。
2価のアルコールは、直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。2価アルコールは、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、エチレングリコールが好ましい。
水系媒体接触工程は、上記水系媒体をタイヤ骨格体に接触する手法であれば、特に制限されず、液状の水系媒体を用いる場合は、タイヤ骨格体を液状の水系媒体に浸漬したり、水系媒体の流体をタイヤ骨格体に連続的に当てる手法が挙げられる。熱水を用いる場合は、飽和蒸気下にタイヤ骨格体を置く手法が挙げられる。
中でも、タイヤ骨格体を熱水に浸漬する手法および飽和蒸気下に置く手法が好ましく、飽和蒸気下に置く手法がより好ましい。
タイヤ骨格体を、水系媒体に接触させる時間は、15分間以上であることが好ましい。15分間以上であることで、アミド結合の水素結合の切断を十分に行うことができる。接触時間の上限は特に制限されないが、タイヤの製造効率の観点から、24時間以下であることが好ましい。接触時間は1時間以上が好ましく、3時間以上が最も好ましい。
タイヤ骨格体が、上記内容の水系媒体接触工程を経ることで、タイヤ骨格体の弾性率を維持したまま、tanδを小さくすることができる。
なお、tanδは、30℃,20Hz,せん断歪み1%における貯蔵剪断弾性率(G’)と損失剪断弾性率(G”)との比(G”/G‘)から算出される値であり、材料が変形する際にその材料がどの程度のエネルギーを吸収するか(熱に変わるか)を示す値である。Tanδは、値が大きい程エネルギーを吸収するため、タイヤとしての転がり抵抗が増大し、結果としてタイヤの燃費性能低下の要因となる。
熱可塑性樹脂材料およびタイヤ骨格体のtanδは、動的粘弾性測定装置(Dynamic−Mechanical Analysis:DMA)で測定することができる。
したがって、タイヤ骨格体が、上記内容の水系媒体接触工程を経ることで、タイヤ骨格体の強度を維持したまま、転がり摩擦抵抗を小さくすることができる。
<補強コード層形成工程>
本発明の製造方法により得られるタイヤは、所望により補強コードを設けてもよい。タイヤ骨格体の外周部に補強コードを巻回し、補強コード層を形成することにより、タイヤの耐パンク性、耐カット性、及びタイヤ(タイヤ骨格体)の周方向剛性が向上する。なお、周方向剛性が向上することで、熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体のクリープ(一定の応力下でタイヤ骨格体の塑性変形が時間とともに増加する現象)が抑制される。
ここでは、所望により設けられる補強コード層形成工程について説明する。
補強コードを設ける補強コード層形成工程は、タイヤ骨格体形成工程の後に実施される。前記加熱工程の前に行っても後に行ってもよいが、補強コード層の安定性、タイヤ骨格体との密着性を考慮すれば、前記加熱工程は、所望により実施される補強コード層形成工程の後に行われることが好ましい。
補強コード層は樹脂材料を含めて構成することができる。補強コード層に樹脂材料を含むことにより、補強コードをクッションゴムで固定する場合と比して、タイヤと補強コード層との硬さの差を小さくできるため、更に補強コードをタイヤ骨格体に密着・固定することができる。上述のように「樹脂材料」とは、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)及び熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。
補強コード層に用いることのできる前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。なお、走行時に必要とされる弾性と製造時の成形性等を考慮すると熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。
また、樹脂材料の同種とは、エステル系同士、スチレン系同士などの形態を指す。
補強コード層に用いられる樹脂材料の弾性率(JIS K7113に規定される引張弾性率)は、タイヤ骨格体を形成する熱可塑性樹脂の弾性率の0.1倍から10倍の範囲内に設定することが好ましい。前記樹脂材料の弾性率がタイヤ骨格体を形成する熱可塑性樹脂材料の弾性率の10倍以下の場合は、クラウン部が硬くなり過ぎずリム組み性が容易になる。また、前記樹脂材料の弾性率がタイヤ骨格体を形成する熱可塑性樹脂材料の弾性率の0.1倍以上の場合には、補強コード層を構成する樹脂が柔らかすぎず、ベルト面内せん断剛性に優れコーナリング力が向上する。
本発明のタイヤの製造方法において、補強コード層に樹脂が含まれる場合には、前記加熱工程は、本工程即ち、補強コード層形成工程の後に行われることが、補強コード密着性の観点から好ましい。
前記タイヤ骨格体形成工程、加熱工程、及び該加熱工程の前又は後に、所望により実施される補強コード層形成工程を含む本発明のタイヤの製造方法によれば、耐熱性に優れ、且つ、転がり摩擦抵抗が適正な値に維持されたタイヤを生産性良く製造することができる。
[第1の実施形態]
以下に、図面に従って本発明のタイヤの製造方法の第1の実施形態に係るタイヤの製造方法について工程順に説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、本発明の製造方法により得られるタイヤの一実施形態の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
図1(A)に示すように、タイヤ10は、図1(B)に示すリム20のビードシート部21及びリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16(外周部)と、からなるタイヤケース17を備えている。
ここで、本実施形態のタイヤケース(タイヤ骨格体)17はポリアミド系エラストマー(宇部興産製 「ウベスタXPA9048X1」:Tg−20℃)を含む熱可塑性樹脂材料で形成されている。本実施形態においてタイヤケース(タイヤ骨格体)17は、単一の熱可塑性樹脂材料で形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤケース17の各部位毎(サイド部14、クラウン部16、ビード部12など)に異なる特徴を有する熱可塑性樹脂材料を用いてもよい。また、タイヤケース17(例えば、ビード部12、サイド部14、クラウン部16等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤケース17を補強してもよい。
本実施形態のタイヤケース17は、熱可塑性樹脂材料で形成された一対のタイヤケース半体(タイヤ骨格片)17A同士を接合させたものである。タイヤケース半体17Aは、一つのビード部12と一つのサイド部14と半幅のクラウン部16とを一体として射出成形等で成形された樹脂成形体であり、形成された同一形状の円環状のタイヤケース半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤ赤道面部分で接合することでタイヤケース(タイヤ骨格体)17が形成される。
なお、タイヤケース17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、3以上の部材を接合して形成してもよい。
熱可塑性樹脂材料で形成されるタイヤケース半体17Aは、例えば、真空成形、圧空成形、インジェクション成形、メルトキャスティング等で成形することができる。このため、従来のようにゴムでタイヤケースを成形する場合に比較して、加硫を行う必要がなく、製造工程を大幅に簡略化でき、成形時間を省略することができる。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
本実施形態において、図1(B)に示すようにビード部12には、従来一般の空気入りタイヤと同様の、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題なければ、ビードコア18を省略することもできる。なお、スチールコード以外に、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、または硬質樹脂などで形成されていてもよい。
本実施形態では、ビード部12のリム20と接触する部分や、少なくともリム20のリムフランジ22と接触する部分に、タイヤケース17を構成する熱可塑性樹脂材料よりもシール性に優れた材料、例えば、ゴムからなる円環状のシール層24が形成されている。このシール層24はタイヤケース17(ビート部12)とビードシート21とが接触する部分にも形成されていてもよい。タイヤケース17を構成する熱可塑性樹脂材料よりもシール性に優れた材料としては、タイヤケース17を構成する熱可塑性樹脂材料に比して軟質な材料を用いることができる。シール層24に用いることのできるゴムとしては、従来一般のゴム製の空気入りタイヤのビード部外面に用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂材料のみでリム20との間のシール性が確保できれば、ゴムのシール層24は省略してもよく、熱可塑性樹脂材料よりもシール性に優れる他の熱可塑性樹脂を用いてもよい。このような他の熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の樹脂やこれら樹脂とゴム若しくはエラストマーとのブレンド物等が挙げられる。
図1に示すように、クラウン部16には、タイヤケース17を構成する熱可塑性樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26がタイヤケース17の周方向に巻回されている。補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、補強コード層28を形成している。補強コード層28のタイヤ径方向外周側には、タイヤケース17を構成する熱可塑性樹脂材料よりも耐摩耗性に優れた材料、例えばゴムからなるトレッド30が配置されている。
図2を用いて補強コード26によって形成される補強コード層28について説明する。図2は、第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。図2に示されるように、補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、タイヤケース17の外周部の一部と共に図2において破線部で示される補強コード層28を形成している。補強コード26のクラウン部16に埋設された部分は、クラウン部16(タイヤケース17)を構成する熱可塑性樹脂材料と密着した状態となっている。補強コード26としては、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又は、スチール繊維を撚ったスチールコードなどこれら繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)などを用いることができる。なお、本実施形態において補強コード26としては、スチールコードが用いられている。
また、図2において埋設量Lは、タイヤケース17(クラウン部16)に対する補強コード26のタイヤ回転軸方向への埋設量を示す。補強コード26のクラウン部16に対する埋設量Lは、補強コード26の直径Dの1/5以上であれば好ましく、1/2を超えることがさらに好ましい。そして、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されることが最も好ましい。補強コード26の埋設量Lが、補強コード26の直径Dの1/2を超えると、補強コード26の寸法上、埋設部から飛び出し難くなる。また、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されると、表面(外周面)がフラットになり、補強コード26が埋設されたクラウン部16上に部材が載置されても補強コード周辺部に空気が入るのを抑制することができる。なお、補強コード層28は、従来のゴム製の空気入りタイヤのカーカスの外周面に配置されるベルトに相当するものである。
上述のように補強コード層28のタイヤ径方向外周側にはトレッド30が配置されている。このトレッド30に用いるゴムは、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。なお、トレッド30の代わりに、タイヤケース17を構成する熱可塑性樹脂材料よりも耐摩耗性に優れる他の種類の熱可塑性樹脂材料で形成したトレッドを用いてもよい。また、トレッド30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターンが形成されている。
以下、本発明のタイヤの製造方法について説明する。
(タイヤケース(タイヤ骨格体)成形工程)
まず、射出成形装置などにより、タイヤ半体(タイヤ骨格片)を形成する。
その後、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱・加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化又は溶融させ、接合金型によって加圧して、タイヤケース半体を接合させてもよい。
なお、本実施形態では、タイヤケース17を形成している熱可塑性樹脂材料であるポリアミド系エラストマー(宇部興産製 「ウベスタXPA9048X1」:Tg−20℃)を溶接用熱可塑性樹脂材料として用いている。
(補強コード部材巻回工程)
次に、補強コード巻回工程について図3を用いて説明する。図3は、コード加熱装置、及びローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。図3において、コード供給装置56は、補強コード26を巻き付けたリール58と、リール58のコード搬送方向下流側に配置されたコード加熱装置59と、コード26の搬送方向下流側に配置された第1のローラ60と、第1のローラ60をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第1のシリンダ装置62と、第1のローラ60のコード26の搬送方向下流側に配置される第2のローラ64と、及び第2のローラ64をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第2のシリンダ装置66と、を備えている。第2のローラ64は、金属製の冷却用ローラとして利用することができる。また、本実施形態において、第1のローラ60または第2のローラ64の表面は、溶融又は軟化した熱可塑性樹脂材料の付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。なお、本実施形態では、コード供給装置59は、第1のローラ60または第2のローラ64の2つのローラを有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、何れか一方のローラのみ(即ち、ローラ1個)を有している構成でもよい。
また、コード加熱装置59は、熱風を生じさせるヒーター70及びファン72を備えている。また、コード加熱装置59は、内部に熱風が供給される、内部空間をコード26が通過する加熱ボックス74と、加熱されたコード26を排出する排出口76とを備えている。
本工程においては、まず、コード加熱装置59のヒーター70の温度を上昇させ、ヒーター70で加熱された周囲の空気をファン72の回転によって生じる風で加熱ボックス74へ送る。次に、リール58から巻き出した補強コード26を、熱風で内部空間が加熱された加熱ボックス74内へ送り加熱(例えば、補強コード26の温度を100〜200℃程度に加熱)する。加熱された補強コード26は、排出口76を通り、図3の矢印R方向に回転するタイヤケース17のクラウン部16の外周面に一定のテンションをもって螺旋状に巻きつけられる。ここで、加熱された補強コード26がクラウン部16の外周面に接触すると、接触部分の熱可塑性樹脂材料が溶融又は軟化し、加熱された補強コード26の少なくとも一部がクラウン部16の外周面に埋設される。このとき、溶融又は軟化した熱可塑性樹脂材料に加熱された補強コード26が埋設されるため、熱可塑性樹脂材料と補強コード26とが隙間がない状態、つまり密着した状態となる。これにより、補強コード26を埋設した部分へのエア入りが抑制される。なお、補強コード26をタイヤケース17の熱可塑性樹脂材料の融点よりも高温に加熱することで、補強コード26が接触した部分の熱可塑性樹脂材料の溶融又は軟化が促進される。このようにすることで、クラウン部16の外周面に補強コード26を埋設しやすくなると共に、効果的にエア入りを抑制することができる。
(水系媒体接触工程)
次に、補強コード層が形成されたタイヤ骨格体を熱水、1価のアルコール、及び2価のアルコールから選択される少なくとも1つの水系媒体に接触させる。
タイヤ骨格体を水系媒体に接触させることで、ポリアミド系熱可塑性エラストマーのアミド結合が結ぶ水素結合を切断し、タイヤ骨格体の強度を維持したまま、tanδを小さくし、転がり摩擦抵抗を小さくすることができる。
これを、図4及び図5を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係るタイヤの製造方法を適用する前のタイヤと、当該製造方法を適用した後のタイヤの、引張弾性率および30℃,20Hz,せん断歪み1%における力学的損失係数(転がり係数:tanδ)の変化を示すグラフである。
具体的には、図4は、水系媒体接触工程として、ポリアミド系エラストマー(宇部興産製 「ウベスタXPA9048X1」:Tg−20℃)を含む熱可塑性樹脂材料で形成したタイヤ骨格体を、80℃の熱水に180分間浸漬したときのグラフである。
図4には、本発明のタイヤの製造方法を適用した後のタイヤ(曲線A)と、本発明のタイヤの製造方法を適用する前のタイヤ(曲線B)とが示されており、曲線Aおよび曲線Bは、それぞれ左上方から右下方へ伸びる曲線(1)と、−30℃〜0℃に極大を有する曲線(2)との2種が示されている。
曲線(1)における曲線Aおよび曲線B、ならびに、曲線(2)における曲線Aおよび曲線Bは、いずれも、横軸は、共通する。
左上方から右下方へ伸びる曲線(1)は、左側の縦軸(logG’)を適用する。つまり、曲線(1)は、タイヤ骨格体の引張弾性率の温度変化を表すグラフである。
−30℃〜0℃に極大を有する曲線(2)は、右側の縦軸(tanδ)を適用する。つまり、曲線(2)は、タイヤの転がり摩擦抵抗の指標となる力学的損失係数(転がり係数:tanδ)の温度変化を表すグラフである。
まず、曲線(1)からわかるように、本発明のタイヤの製造方法を適用する前の曲線Bと、適用後の曲線Aは、ほぼ同じ曲線で表されており、水系媒体接触工程を経る前後において、タイヤ骨格体の弾性率に変化がないことがわかる。つまり、水系媒体接触工程を経ても、タイヤ骨格体の強度は維持されていることを示す。
一方、曲線(2)において、水系媒体接触工程を経る前の曲線Bと経た後の曲線Aとを比較すると、水系媒体接触工程を経た後の曲線Aは、0℃〜110℃の長い範囲にわたってtanδが減少していることがわかる。タイヤの転がり摩擦抵抗は30℃におけるtanδの大きさと大きく関係し、図4から、30℃におけるtanδが、水系媒体接触工程を経ることで、小さくなっていることから、水系媒体接触工程を経ることにより、転がり摩擦抵抗が小さいタイヤ骨格体を製造することができたことを示す。
次に、図5は、本発明のタイヤの製造方法を適用したタイヤの、30℃,20Hz,せん断歪み1%における力学的損失係数(転がり係数:tanδ)とひずみの大きさ(strein)との関係を表すグラフを示す。図5には、タイヤ骨格体を熱水に浸漬した時間や、冷水に浸漬した場合の各tanδ−ひずみ度(strain)曲線を示している。
つまり、図5から、タイヤ骨格体の熱水への浸漬時間とタイヤ骨格体のtanδの大きさとの関係がわかる。
具体的には、図5は、水系媒体接触工程として、ポリアミド系エラストマー(宇部興産製 「ウベスタXPA9048X1」:Tg−20℃)
図5からわかるように、熱水への浸漬時間が長くなるほど、tanδは小さくなるが、浸漬時間が1時間を越えると、tanδの低下の度合いが小さく、タイヤの製造効率を考慮すると、熱水へのタイヤ骨格体の浸漬時間は、1時間以内でもよいことがわかる。
(タイヤ仕上げ工程)
次に、加熱工程を施したタイヤケース17の外周面に加硫済みの帯状のトレッド30を1周分巻き付けてタイヤケース17の外周面にトレッド30を、接着剤などを用いて接着する。なお、トレッド30は、例えば、従来知られている更生タイヤに用いられるプレキュアトレッドを用いることができる。本工程は、更生タイヤの台タイヤの外周面にプレキュアトレッドを接着する工程と同様の工程である。
そして、タイヤケース17のビード部12に、加硫済みのゴムからなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ10の完成となる。
本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17が熱可塑性樹脂材料によって形成されているため、構造が簡素化でき、従来のゴムに比して重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ10を自動車に適用すると、軽量化することができ、燃費を抑えることができる。
また、本実施形態のタイヤ10では、熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクラウン部16の外周面に熱可塑性樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26が周方向へ螺旋状に巻回されていることから耐パンク性、耐カット性、及びタイヤ10の周方向剛性が向上する。なお、タイヤ10の周方向剛性が向上することで、熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクリープが防止されるという利点をも有する。
以上、本発明の具体的な態様について第1実施形態を用いて説明したが本発明は上述の態様に限定されるものではない。
本発明のタイヤは第1実施形態に示されるように以下のように構成することができる。
本発明の製造方法により得られるタイヤは、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体の外周部に補強コードの少なくとも一部が埋設されるように構成することができる。
また、前記補強コード層の径方向外側に前記熱可塑性樹脂材料よりも耐摩耗性を有する材料から形成されるトレッドを設けてもよい。
きる。
(作用)
本発明の製造方法により得られた本実施形態のタイヤ10は、熱可塑性樹脂材料によって形成されたタイヤケース17が、成形後に適切な接触条件で水系媒体に接触され、ポリアミド系熱可塑性エラストマー分子に含まれるアミド結合の水素結合が切断されるため、タイヤ骨格体の強度を維持したまま、転がり摩擦抵抗を小さくすることができる。このため、本実施形態の製造方法により得られたタイヤ10は、転がり摩擦抵抗が低く、耐久性に優れ、広範な温度範囲において高い操縦安定性が達成される。
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、上述の第1実施形態に従って、実施例および比較例のタイヤを成形した。この際、タイヤケースを形成する材料については下記の材料を用いた。また、各実施例および比較例について、材料の物性評価およびタイヤ性能の評価を下記に従っておこなった。
1.実施例1〜10、及び比較例1のタイヤケースを形成する材料
〔ポリアミド系熱可塑性エラストマー〕
宇部興産社製、「ウベスタXPA9048X1」(下記表1中、「PA」と記載)
2.比較例2〜3のタイヤケースを形成する材料
〔ポリオレフィン系熱可塑性樹脂〕
日本ポリプロ社製「ノバテックBC3H」(下記表1中、「PP」と記載)
<損失係数(Tanδ)、引張弾性率の評価>
ウベスタXPA9048X1またはノバテックBC3Hを用いて、住友重工社製、SE30Dを用い、射出成形を行い、成形温度180℃〜260℃、金型温度50℃〜70℃とし、100mm×30mm、厚さ2.0mmのサンプルを得た。
各サンプルを打ち抜き、JISK6251:1993に規定されるダンベル状試料片(5号形試料片)を作製した。
作製した試料片について、実施例1〜10、及び比較例3の製造方法においては、表1に示す条件で水系媒体接触工程を実施し、比較例1及び比較例2の製造方法では、水系媒体接触工程を実施しなかった。
なお、表1の「接触形態」において「浸漬」とは、試料片を表1に示す水系媒体10リットルに、表1に示す接触時間だけ浸しておいたことを意味する。「飽和蒸気下静置」は、試料片を、飽和蒸気(100℃の水蒸気)で満たされた容積10リットルの容器の中に静置したことを意味する。
次いで、島津製作所社製、島津オートグラフAGS−J(5KN)を用いて、引張速度を200mm/minに設定し、前記各ダンベル状試料片の引張弾性率およびtanδを測定した。結果を表1に示す。
なお、試料片のTgは、示差走査熱分析装置(リガク社製 示差走査熱量計:DSC)を用いて、25〜400℃の範囲で昇温速度5℃/minで計測した。
本発明の製造方法で形成されたエラストマー成形体は耐熱性が良好であり、また、本発明における水系媒体接触工程を経る前(比較例1)と、経た後(実施例1〜7)とを比較すると、弾性率にほとんど変化が無いまま、tanδが小さくなっていることがわかる。また、熱水の浸漬に代えて、飽和蒸気下に曝した場合(実施例8)、エタノールに浸漬した場合(実施例9)、及びエチレングリコールに浸漬した場合(実施例10)も実施例1〜7と同様の効果を示すことがわかった。
また、本発明における分子内にアミド結合を有していない熱可塑性樹脂材料を用いた試料片について本発明における水系媒体接触工程を実施しても、tanδに変化は見られなかった(比較例3)。
なお、図4の曲線Aは、実施例5評価結果を表し、曲線Bは、比較例1の評価結果を表している。また、図5の曲線(0min)は、比較例1、15minは実施例1、30minは実施例2、1hは実施例3、2hは実施例4、3hは実施例5、4hは実施例6、8hは実施例7の評価結果を表している。
10 タイヤ
12 ビード部
16 クラウン部(外周部)
18 ビードコア
20 リム
21 ビードシート
22 リムフランジ
17 タイヤケース(タイヤ骨格体)
24 シール層(シール部)
26 補強コード(補強コード部材)
28 補強コード層
30 トレッド
D 補強コードの直径(補強コード部材の直径)
L 補強コードの埋設量(補強コード部材の埋設量)

Claims (2)

  1. 少なくともポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有する熱可塑性樹脂材料を含む材料で形成されたタイヤの製造方法であって、
    前記熱可塑性樹脂材料を含む材料を用いて、環状のタイヤ骨格体を成形するタイヤ骨格体成形工程と、得られた前記タイヤ骨格体を、1価のアルコール、2価のアルコール、及び温度が80℃以上の熱水から選択される少なくとも1つの水系媒体に15分間以上24時間以下の時間で接触させる水系媒体接触工程と、を有するタイヤの製造方法。
  2. 前記水系媒体接触工程が、前記タイヤ骨格体を、熱水に浸漬する工程および前記タイヤ骨格体を、飽和蒸気に接触する工程の少なくとも一方を有する請求項1に記載のタイヤの製造方法。
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