以下の例は、本開示の実施形態を例示するために含めるものであり、本開示の範囲を限定しようとするものではない。当業者は、本明細書で開示される技術は、本開示の実践において適用される技術を表すことを理解すべきである。当業者は、本開示に照らして、本明細書での例において、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、変更を加えることができることを理解するはずである。
式Iの化合物:
の薬学的に許容される塩またはその水和物および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む組成物が本明細書で提供される。
種々のタイプの組成物が本明細書で提供される。一部の変形形態では、組成物は、経口投与用に製剤化された医薬組成物などの医薬組成物である。ある特定の変形形態では、組成物は、乾式造粒および圧縮によって調製された錠剤である。ある特定の変形形態では、組成物は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を顆粒として製剤化することによって調製された錠剤である。他の変形形態では、組成物は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を固体分散体として製剤化し、乾燥顆粒として固体分散体を錠剤中に製剤化することによって調製された錠剤である。他の変形形態では、組成物は、噴霧乾燥用の供給溶液である。さらに他の変形形態では、組成物は、錠剤形態の医薬組成物の製造において使用することができる、噴霧乾燥によって形成された噴霧乾燥粉末である。
「薬学的に許容される」という用語は、処置される疾患または状態およびそれぞれの投与経路を考慮に入れて、合理的に良識的な医師に、材料であって、被験体(例えば、ヒト)へのその材料の投与の回避を引き起こさせる特性をもたない材料を示す。
一態様では、式Iの化合物:
の薬学的に許容される塩またはその水和物および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
このような医薬組成物は、予想外に特定された式Iの化合物のより可溶性の塩形態を含み、一態様では、一旦溶解した、式Iの化合物の塩形態またはその水和物の析出を最小化するように選択された特定の添加剤を含む。結果として、このような組成物(例えば、医薬組成物を含む)は、被験体間での低い薬物動態学的変動、幅の広い用量直線性および低い薬物−薬物相互作用に関する上記ニーズに対処することができる。
さらに、本明細書で提供される医薬組成物は、製造プロセスの間および経時的に化学的および物理的に安定であり、例えばがんおよび炎症状態を含むSyk活性の阻害を含む様々な疾患の処置に有効な治療薬の利点を維持することが観察された。
このような組成物を作製および使用する方法も提供され、また、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物を含むキット、単位剤形および製造品も同様に提供される。
式Iの化合物ならびにその塩、水和物および多形体
本明細書で提供される組成物は、式Iの化合物:
の薬学的に許容される塩またはその水和物を含む。式Iの化合物は、遊離塩基として、あるいは種々の塩形態またはその水和物で存在することができ、これらの形態のいずれかを含む組成物が本明細書で提供される。一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物、このような組成物、キット、単位剤形および製造品を作製および使用する方法は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物を含む。一部の変形形態では、メシル酸塩は、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物である。
一変形形態では、本明細書で提供される組成物、このような組成物、キット、単位剤形および製造品を作製および使用する方法は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはその水和物を含む。別の変形形態では、本明細書で提供される組成物、このような組成物、キット、単位剤形および製造品を作製および使用する方法は、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物を含む。さらに別の変形形態では、本明細書で提供される組成物、このような組成物、キット、単位剤形および製造品を作製および使用する方法は、式Iの化合物の遊離塩基、モノメシル酸塩、ビスメシル酸塩またはその水和物または上記の任意の組合せを含む。「モノメシル酸塩」は、本明細書では「モノMSA塩」と称することもでき、「ビスメシル酸塩」は、本明細書では「ビスMSA塩」と称することもできることを理解すべきである。
式Iの化合物またはその塩または水和物が組成物中に存在する形態は、その組成物のタイプおよびこのような組成物を調製する方法に応じて変化してよい。例えば、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体(例えば、多形形態3)の乾式造粒および圧縮によって作製される錠剤であってよい。したがって、一変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体(例えば、多形形態3)を含む組成物(例えば、錠剤)が提供される。別の例では、組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩およびメタンスルホン酸を含む供給溶液を噴霧乾燥して噴霧乾燥粉末(固体分散体とも称される)を形成させ、噴霧乾燥粉末を乾式造粒し圧縮して錠剤を形成させることによって作製された錠剤であってよい。したがって、他の変形形態では、式Iの化合物のメシル酸塩を含む組成物(例えば、供給溶液、噴霧乾燥粉末もしくは固体分散体または錠剤)が提供される。
そのメシル酸塩
一部の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物である。メシル酸塩は、式Iの化合物のカチオンおよびメシレートアニオンを含む。一変形形態では、メシレートアニオンおよび式Iの化合物のカチオンは、少なくとも1:1または1:1〜3.3:1、1.9:1〜3.3:1、1.9:1〜2.5:1、1.9:1〜2.4:1、2:1〜3.3:1、2:1〜3:1、もしくは2:1〜2.7:1、もしくは2.1:1〜2.5:1、もしくは2.2:1〜2.4:1、または約2.3:1もしくは約2.4:1のメシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比で存在する。別の変形形態では、メシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比は1:1より大きく2:1より小さい。さらに別の変形形態では、メシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比は2:1より大きい。
ある特定の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物である。ビスメシル酸塩は、本明細書では、様々な仕方で表すことができる。
一変形形態では、ビスメシル酸塩は式IA:
で表される。当業者は、ビスメシル酸塩が上記の式IAのように表される場合、イオン形態(例えば、式Iの化合物のカチオン形態およびメタンスルホン酸のアニオン形態)が意図されていることを理解するはずである。
いかなる理論にも拘泥するものではないが、別の変形形態では、ビスメシル酸塩は式IB:
で表すことができる。
いかなる理論にも拘泥するものではないが、さらに別の変形形態では、ビスメシル酸塩は式IC:
で表すことができる式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である。
一部の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物である。一部の変形形態では、ビスメシル酸塩水和物は、少なくとも2個の水分子を含む。いかなる理論にも拘泥するものではないが、一変形形態では、ビスメシル酸塩水和物は式ID:
で表すことができ、式中、yは少なくとも0.5である。一部の変形形態では、yは少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3もしくは少なくとも4、または0.5〜5、0.5〜4、0.5〜2、0.5〜1.5、または約0.5、約1、約1.5、約2、約3もしくは約4である。ある特定の変形形態では、yは整数である。例えば、yが2である場合、式IDの化合物はビスメシル酸塩二水和物である。他の変形形態では、yは非整数である。
いかなる理論にも拘泥するものではないが、別の変形形態では、ビスメシル酸塩水和物は式IE:
で表すことができ、式中、yは少なくとも0.5である。一部の変形形態では、yは少なくとも1、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3もしくは少なくとも4、または0.5〜5、0.5〜4、0.5〜2、0.5〜1.5または約0.5、約1、約1.5、約2、約3もしくは約4である。ある特定の変形形態では、yは整数である。例えば、yが2である場合、式IEの化合物はビスメシル酸塩二水和物である。他の変形形態では、yは非整数である。
驚くべきことに、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物を含む医薬組成物は、改善された溶解性を有する、したがって、式Iの化合物の他の塩を含む医薬組成物および製剤と比較して、改善された生物学的利用能を有することが観察された。
上記で論じたように、式Iの化合物の他の塩はモノメシル酸塩を含む。したがって、ある特定の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはその水和物である。一変形形態では、モノメシル酸塩は式IIA:
で表される。当業者は、式Iの化合物のモノメシル酸塩が上記の式IIAのように表される場合、イオン形態(例えば、式Iの化合物のカチオン形態およびメタンスルホン酸のアニオン形態)が意図されていることを理解するはずである。
その水和物
一部の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のメシル酸塩水和物である。ある特定の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のメシル酸塩一水和物である。他の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物である。一実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である。
その多形体
一部の実施形態では、組成物(例えば医薬組成物を含む)は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物の多形形態を含む。ある特定の実施形態では、多形形態は、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物の多形体、あるいは式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物の多形形態の任意の混合物である。上記実施形態のいずれかでは、式Iの化合物のビスメシル酸塩は、式IAおよびIBで表すことができ;式Iの化合物のビスメシル酸塩の水和物は、式ICおよびIDで表すことができる。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物(これに限定されないが医薬組成物を含む)において使用するのに適した式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物の多形形態、このような組成物、キット、単位剤形および製造品を作製および使用する方法は:(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である多形形態3、(ii)式Iの化合物のビスメシル酸塩の水和物の多形体である多形形態7および(iii)それらの任意の組合せを含む。多形形態3および多形形態7を、以下でさらに詳細に記載する。
形態3
一部の態様では、本明細書で提供される組成物(これに限定されないが医薬組成物を含む)、このような組成物、キット、単位剤形および製造品を作製および使用する方法は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である多形形態3を含む。
本開示を通して、「多形形態3」、「形態3」、「形態III」、「多形形態3のビスMSA塩」または「ビスMSA塩形態3」への言及は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である多形形態3を指すことが理解される。上記で論じたように、ビスメシル酸塩は、式IAまたはIBの化合物として含み、様々な仕方で表すことができる。さらに、ビスメシル酸塩一水和物は、式ICもしくはID(式中、yは1である)またはIE(式中、yは1である)で表すことができる。
一部の変形形態では、多形形態3は、図1Aまたは1Bで実質的に示されるようなX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。しかし、図で示される多形形態のピークの相対強度および配置(assignment)は、試料の調製、搭載、ならびにスペクトルを得るために使用される機器および分析手順および設定を含むいくつかの因子に応じて変動し得ることを理解すべきである。したがって、図において観察されるピークおよび本明細書で挙げる配置(多形形態3についての図1Aおよび1Bに含まれる)は、±0.2°2θの変動を包含するものとする。
他の変形形態では、多形形態3もやはり、2θ反射(±0.2°):13.8、16.9、22.9および26.1を含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の実施形態では、多形形態3は、2θ反射(±0.2°):13.8、16.9、22.9および26.1の少なくとも1つもしくは複数;少なくとも2つもしくはそれ超;または少なくとも3つもしくはそれ超を含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の実施形態では、多形形態3は、2θ反射(±0.2°):7.7、12.9、17.7および18.1を含むX線回折によって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の実施形態では、多形形態3は、7.7、12.9、13.8、16.9、17.7、18.1、22.9および26.1の2θ反射(±0.2°)を含むX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の実施形態では、多形形態3は、2θ反射(±0.2°):7.7、12.9、13.8、16.9、17.7、18.1、22.9および26.1の少なくとも3つもしくはそれ超;少なくとも4つもしくはそれ超;または少なくとも5つもしくはそれ超を含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。X線回折パターンにおける2θ反射(例えば、形態3の)を記載する場合、±0.2°は、「±0.2°2θ」と表すこともできることを理解すべきである。
ある特定の変形形態では、多形形態3は、以下の特性(i)〜(vi):
(i)以下の寸法:a=8.7831(6)Å;b=11.8484(8)Å;c=14.2485(10)Å;α=98.108(6)°;β=100.955(6)°;およびγ=98.861(6)°;
の結晶X線結晶解析によって決定される単位格子
(ii)三斜晶の結晶系;
(iii)P−1空間群;
(iv)1416.05(17)Å3の体積;
(v)2のZ値;および
(vi)1.458Mg/m3の密度
の1つもしくは複数、2つもしくはそれ超、3つもしくはそれ超、4つもしくはそれ超、5つもしくはそれ超またはすべてを有することもできる。
形態7
一部の態様では、本明細書で提供される組成物(これに限定されないが医薬組成物を含む)、このような組成物、キット、単位剤形および製造品を作製および使用する方法は、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物の多形体である多形形態7を含む。
本出願を通して、「多形形態7」、「形態7」、「形態VII」、「多形形態7のビスMSA塩」または「ビスMSA塩形態7」への言及は、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物の多形体である多形形態7を指すことが理解される。上記で論じたように、ビスメシル酸塩は、式IAまたはIBの化合物として含み、様々な仕方で表すことができる。さらに、様々な水分含量を有するビスメシル酸塩は、式IDで表すことができる。
一部の変形形態では、多形形態7は、4.9および9.8の2θ反射(±0.2°)ならびに26.7の2θ反射(±0.4°)を含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。ある特定の変形形態では、多形形態7は、4.9および9.8の2θ反射(±0.2°)ならびに26.7の2θ反射(±0.3°)を含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。ある特定の変形形態では、多形形態7は、2θ反射(±0.2°):4.9、9.8および26.7を含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。
一部の変形形態では、多形形態7は、4.9(±0.2°)、9.8(±0.2°)および26.7(±0.4°)の2θ反射の少なくとも1つもしくは複数;または少なくとも2つもしくはそれ超を含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の変形形態では、多形形態7は、4.9(±0.2°)、9.8(±0.2°)および26.7(±0.3°)の2θ反射の少なくとも1つもしくは複数;または少なくとも2つもしくはそれ超を含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。ある特定の変形形態では、多形形態7は、2θ反射(±0.2°):4.9、9.8および26.7の少なくとも1つもしくは複数;または少なくとも2つもしくはそれ超を含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。
他の実施形態では、多形形態7は、2θ反射(±0.2°):15.0および18.0を含むX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の実施形態では、多形形態7は、4.9、9.8、15.0および18.0の2θ反射(±0.2°)ならびに26.7の2θ反射(±0.4°)を含むX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の実施形態では、多形形態7は、4.9、9.8、15.0および18.0の2θ反射(±0.2°)ならびに26.7の2θ反射(±0.3°)を含むX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の実施形態では、多形形態7は、4.9、9.8、15.0、18.0および26.7の2θ反射(±0.2°)を含むX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。
他の実施形態では、多形形態7は、4.9(±0.2°)、9.8(±0.2°)、15.0(±0.2°)、18.0(±0.2°)および26.7(±0.4°)の2θ反射の少なくとも3つもしくはそれ超;少なくとも4つもしくはそれ超;またはそのそれぞれを含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の実施形態では、多形形態7は、4.9(±0.2°)、9.8(±0.2°)、15.0(±0.2°)、18.0(±0.2°)および26.7(±0.3°)の2θ反射の少なくとも3つもしくはそれ超;少なくとも4つもしくはそれ超;またはそのそれぞれを含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。一部の実施形態では、多形形態7は、4.9、9.8、15.0、18.0および26.7の2θ反射(±0.2°)の少なくとも3つもしくはそれ超;少なくとも4つもしくはそれ超;またはそのそれぞれを含むX線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。
X線回折パターンにおける2θ反射(例えば、形態7の)を記載する場合、±0.2°、±0.3°および±0.4°は、それぞれ「±0.2°2θ」、「±0.3°2θ」および「±0.4°2θ」と表すこともできることを理解すべきである。
他の実施形態では、多形形態7は、式Iの化合物のビスメシル酸塩の可変の水和物である。可変の水和物は、変動する水分含量を有することができる。例えば、一実施形態では、多形形態7は、1.8%〜10%の水を有するビスメシル酸塩の多形体である。例えば、多形形態7が特徴付けられる相対湿度条件を含む様々な因子が、多形形態7の水分含量に影響を及ぼし得る。
一部の変形形態では、多形形態7はまた、図1Cまたは1Dで実質的に示されるようなXRPDパターンによっても特徴付けられるまたはそれを有する。しかし、図で示される多形形態のピークの相対強度および配置は、試料調製、搭載、ならびにスペクトルを得るために使用される機器および分析手順および設定を含むいくつかの因子に応じて変動し得ることを理解すべきである。したがって、図において観察されるピークおよび本明細書で挙げる配置(多形形態7についての図1Cおよび1Dに含まれる)は、±0.2°2θの変動を包含するものとする。さらに、ある特定の場合、多形形態7のXRPDパターンは、湿度依存性であり得、または形態7が特徴付けられる相対湿度に基づいて変動し得る。例えば、図1DのXRPDは、25℃および53%相対湿度(RH)で得たものである。
一部の実施形態では、X線粉末回折パターンを参照する場合、「〜で実質的に示されるような(substantially as shown in)」という用語は、当業者が考慮した場合、本明細書で示すものと必ずしも同一ではないが、実験誤差または偏差の限度内に入るパターンが包含されることを意味する。
一部の実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物)の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%は、上記のような形態3、上記のような形態7またはそれらの混合物である。ある特定の実施形態では、医薬組成物の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%は上記のような形態3である。
他の実施形態では、式Iの化合物の医薬組成物中に存在する式Iの化合物の約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%または約1%は、上記のような多形形態3、上記のような形態7またはそれらの混合物以外のものである。ある特定の実施形態では、医薬組成物中に存在する式Iの化合物の約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%または約1%は、上記のような多形形態3以外のものである。
ある特定の態様では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物の少なくとも1つの多形体および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む安定な医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩の多形体および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む安定な医薬組成物が提供される。一変形形態では、形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む安定な医薬組成物が提供される。
「安定な(stable)」という用語は、製造および特定の条件下でのある期間にわたる貯蔵の条件下で実質的に変化しない(unchanged)または実質的に変わらない(unaltered)ままである医薬組成物を指す。一態様では、約65℃またはそれ未満、約60℃またはそれ未満、約50℃、約40℃、約30℃またはそれ未満、約25℃またはそれ未満、約15℃またはそれ未満、約5℃またはそれ未満の温度で、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも4週間保持した場合、医薬組成物は実質的に変化しないまたは変わらないままである。例えば、一変形形態では、安定な医薬組成物は、40℃、25℃または5℃の温度、75%または60%の相対湿度値で少なくとも1または2または3または4週間保持した場合、実質的に変化しないまたは変わらない(化学的および/または物理的に)ままである。
式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、結晶性であっても非結晶性であってもよく、または、半結晶性固体のように短距離秩序を示すこともできる。組成物(例えば、医薬組成物および製剤)における塩またはその水和物の結晶化度は、製剤化および処理(例えば、噴霧乾燥および/または乾式造粒による塩またはその水和物の取り込み)の方法に依存し得る。
結晶塩
本明細書で提供される組成物(これに限定されないが医薬組成物を含む)、このような組成物、キット、単位剤形および製造品を作製および使用する方法の一部の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は結晶性である。上記実施形態の変形形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は:(i)式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物;または(ii)式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;(iii)式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物;または(iv)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物であってよく、ここで、それぞれの変形形態における薬学的に許容される塩またはその水和物は結晶性である。例えば、上記実施形態に記載したような結晶塩は、多形形態3を製剤化することによって調製された錠剤中に顆粒として存在することができる。
「結晶性」という用語は、一変形形態では、材料が、分子レベルで規則正しい秩序ある内部構造を有し、規定されたピークで特徴的なX線回折パターンをもたらす固相を指す。「結晶性」という用語は、別の変形形態では、材料が、分子レベルで長距離秩序を示し、規定されたピークで特徴的なX線回折パターンをもたらす状態も指すことができる。十分に加熱した場合、このような材料は、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は、相変化、一般に一次(融点)によって特徴付けられる。
ある特定の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は実質的に結晶性である。上記実施形態の変形形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、(i)式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物;または(ii)式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;(iii)式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物;または(iv)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物であってよく、ここで、組成物のそれぞれの変形形態における薬学的に許容される塩またはその水和物は実質的に結晶性である。
一部の実施形態では、実質的に結晶性である化合物(例えば、薬学的に許容されるその塩または水和物)は、50%超、または55%超、または60%超、または65%超、または70%超、または75%超、または80%超、または85%超、または90%超、または95%超または99%超の、結晶形態で組成物中に存在する化合物(例えば、薬学的に許容されるその塩または水和物)を有する。他の実施形態では、実質的に結晶性である化合物(例えば、薬学的に許容されるその塩または水和物)は、約20%以下、または約10%以下、または約5%以下または約2%以下の、非結晶形態の化合物を有する。他の実施形態では、実質的に結晶性である化合物(例えば、薬学的に許容されるその塩または水和物)は、約20%以下、または約10%以下、または約5%以下または約2%以下の、非晶質形態の化合物を有する。
非結晶性
本明細書で提供される組成物(これに限定されないが医薬組成物を含む)、このような組成物、キット、単位剤形および製造品を作製および使用する方法の他の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、非結晶性である。上記実施形態の変形形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩は:(i)式Iの化合物のメシル酸塩;または(ii)式Iの化合物のビスメシル酸塩であってよく、ここで、それぞれの変形形態における薬学的に許容される塩は結晶性である。例えば、上記実施形態に記載したような非結晶塩は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物から調製された噴霧乾燥粉末で存在することができる。
「非結晶性」という用語は、材料が、分子レベルで長距離秩序を欠いている状態を指す。当業者は、このような材料は、一般に、それらのX線回折パターンにおいてシャープなピークを示さないことを認識するはずである。
一部の実施形態では、固体分散体製剤(以下でさらに詳細に論じるような)として製剤化された式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物(例えば、式IAのビスメシル酸塩を含む)は実質的に非結晶性である。ある特定の実施形態では、実質的に非結晶性である化合物もしくは薬学的に許容されるその塩またはその水和物は、組成物中に存在する化合物または薬学的に許容されるその塩の50%超、または55%超、または60%超、または65%超、または70%超、または75%超、または80%超、または85%超、または90%超、または95%超または99%超を非結晶形態で有する。他の実施形態では、実質的に非結晶性である化合物もしくは薬学的に許容されるその塩またはその水和物は、約20%以下の結晶化度、または約10%以下の結晶化度、または約5%以下の結晶化度または約2%以下の結晶化度を有する。
非晶質
医薬組成物の一部の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩もしくは薬学的に許容されるその塩またはその水和物は非晶質であってよい。ある特定の実施形態では、式IAのビスメシル酸塩は非晶質であってよい。
「非晶質」という用語は、材料が、分子レベルで秩序(例えば、長距離秩序)を欠いており、温度に応じて、固体または液体の物理的特性を示すことができる状態を指す。一般に、このような材料は、特徴的なX線回折パターンをもたらさないが、固体の特性を示し、より形態的には液体と記載される。加熱すると、固体特性から液体特性への変化が起こり、これは状態の変化、一般に二次(例えば、ガラス転移)によって特徴付けられる。
例えば、一実施形態では、固体分散体製剤(以下でさらに詳細に論じるような)として製剤化された式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物(例えば式IAのビスメシル酸塩を含む)は実質的に非晶質である。一部の実施形態では、実質的に非晶質である化合物は、組成物中に存在する化合物の50%超、または55%超、または60%超、または65%超、または70%超、または75%超、または80%超、または85%超、または90%超、または95%超または99%超を非晶質形態で有する。他の実施形態では、実質的に非晶質である化合物は、約20%以下の結晶化度、または約10%以下の結晶化度、または約5%以下の結晶化度または約2%以下の結晶化度を有する。
重水素化化合物
式Iの化合物および薬学的に許容されるその塩(例えばモノメシル酸塩およびビスメシル酸塩を含む)またはその水和物を含む本明細書で与えられる任意の式または構造は、化合物またはその塩または水和物の同位体標識した形態としても意図される。したがって、標識をしていない形態の化合物が提供されるが、このような同位体が明示されていなくても、本開示は、同位体標識した化合物も意図することが理解される。同位体標識した化合物またはその塩または水和物は、1個または複数の原子が、選択された原子質量または質量数を有する原子で置き換えられていること以外は、本明細書で与えられる式で表される構造を有する。本開示の化合物中に取り込むことができる同位体の例には、これらに限定されないが、2H(重水素、D)、3H(三重水素)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Clおよび125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体が含まれる。例えば、これらに限定されないが、2H(重水素、D)、3H(三重水素)、11C、13C、14C、15Nおよび35Sなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体を、式Iの化合物の塩(例えば、メシル酸塩)またはその水和物を含む式Iの化合物中に取り込むことができる。本開示の種々の同位体標識した化合物またはその塩または水和物は、例えば3H、13Cおよび14Cなどの放射性同位体を取り込んだものである。このような同位体標識した化合物またはその塩は、薬物または基質の組織分布アッセイまたは被験体の放射線処置を含む、代謝研究、反応動力学的研究、検出または画像化技術、例えばポジトロン放出断層撮影(PET)または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)において有用であり得る。
本開示は、炭素原子と結合している1〜n個の水素が重水素で置き換えられている(ここでnは分子中の水素の数である)式Iの化合物および薬学的に許容されるその塩(例えば、モノメシル酸塩およびビスメシル酸塩を含む)またはその水和物も含む。このような化合物は、代謝に対して高い耐性を示すことができ、したがって、哺乳動物に投与した場合、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物(式IAまたはIBのビスメシル酸塩またはその水和物;あるいは式ICまたはIDのビスメシル酸塩水和物を含む)の半減期を増加させるのに有用である。例えばFoster、「Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism」、Trends Pharmacol. Sci.5巻(12号):524〜527頁(1984年)を参照されたい。このような化合物は、当技術分野で周知の手段によって、例えば、1つまたは複数の水素が重水素で置き換えられている出発原料を用いることによって合成される。
本開示の重水素標識または置換された治療化合物(その塩または水和物を含む)は、吸収、分布、代謝および排出(ADME)に関して改善されたDMPK(薬物代謝および薬物動態学的)特性をもつことができる。重水素などのより重い同位体での置換は、より高い代謝安定性によりもたらされるある特定の治療上の利点、例えばin vivoでの半減期の増加、必要投与量の減少および/または治療指数の改善を提供することができる。18F標識化合物は、PETまたはSPECT研究に有用であり得る。本開示の同位体標識した化合物およびそのプロドラッグは、一般に、非同位体標識試薬を、容易に入手できる同位体標識試薬に置換することにより、以下に記載するスキームまたは実施例および調製で開示される手順を実施することによって調製することができる。この関連で、重水素は、式Iの化合物および薬学的に許容されるその塩(例えば、モノメシル酸塩およびビスメシル酸塩を含む)またはその水和物において、置換基と見なされることが理解される。
このようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数で定義することができる。本開示の化合物において、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定な同位体を表すものとする。別段の言及のない限り、位置が具体的に「H」または「水素」と指定されている場合、その位置は、その天然に豊富にある同位体組成で水素を有すると理解される。したがって、本開示の化合物またはその塩において、重水素(D)と具体的に指定されている任意の原子は、重水素を表すものとする。
薬学的に許容される担体
「担体」という用語は、賦形剤、崩壊剤、析出抑制剤、界面活性剤、流動促進剤、結合剤、滑沢剤、ならびにそれと一緒に化合物を投与する他の添加剤およびビヒクルを指す。担体は本明細書で概略的に記載され、また、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」においても記載されている。担体の例には、これらに限定されないが、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、イソステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポロクサマー124、ポロクサマー181、ポロクサマー182、ポロクサマー188、ポロクサマー237、ポロクサマー407、ポビドン、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、シリコーン、シリコーン接着剤4102およびシリコーンエマルジョンが含まれる。一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物(例えば、医薬組成物)は、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、イソステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポロクサマー124、ポロクサマー181、ポロクサマー182、ポロクサマー188、ポロクサマー237、ポロクサマー407、ポビドン、二酸化ケイ素およびコロイド状二酸化ケイ素から選択される担体を含む。しかし、本開示において提供される医薬組成物のために選択された担体、および組成物中でのこのような担体の量は、製剤化および処理(例えば、噴霧乾燥および/または乾式造粒による取り込み)の方法に応じて変動し得ることを理解すべきである。
「賦形剤」という用語は、一般に、送達の前に目的の化合物を希釈するのに使用される物質を指す。賦形剤は、化合物を安定させる役割も果たすことができる。賦形剤の例は、デンプン、糖、二糖、スクロース、ラクトース、多糖、セルロース、セルロースエーテル、ヒドロキシプロピルセルロース、糖アルコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、微結晶性セルロース、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、ラクトース一水和物、リン酸二カルシウム、セルロース、圧縮糖、脱水第二リン酸カルシウム(dibasic calcium phosphate dehydrate)、マンニトール、微結晶性セルロースおよび第三リン酸カルシウムを含むことができる。
「崩壊剤」という用語は、一般に、固体調製物に加えると、投与後のその破砕(break−up)または崩壊を容易にし、活性成分ができるだけ効率的に放出されるようにして、その迅速な溶解を可能にする物質を指す。崩壊剤の例は、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、微結晶性セルロース、加工コーンスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、ポビドン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸を含むことができる。
「析出抑制剤」という用語は、一般に、過飽和溶液からの活性薬剤の析出を防止または抑制する物質を指す。析出抑制剤の一例はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。
「界面活性剤」という用語は、一般に、液体と固体の間の表面張力を低下させ、活性薬剤の湿潤を改善することができる、または活性薬剤の溶解性を改善することができる物質を指す。界面活性剤の例には、ポロクサマーおよびラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。
「流動促進剤」という用語は、一般に、錠剤圧縮中の流動特性を改善し、固結効果をもたらすために、錠剤およびカプセル製剤において使用される物質を指す。流動促進剤の例は、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ヒュームドシリカ、デンプン、デンプン誘導体およびベントナイトを含むことができる。
「結合剤」という用語は、一般に、粘着性部分および離散性部分を維持するために、担体の活性成分と不活性成分を一緒に結合させるのに使用することができる、任意の薬学的に許容される物質(任意の薬学的に許容されるフィルムなど)を指す。結合剤の例は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、コポビドンおよびエチルセルロースを含むことができる。
「滑沢剤」という用語は、一般に、錠剤化またはカプセル化プロセスの間に、圧縮された粉末量(powder mass)が器材に固着するのを防止するために粉末ブレンドに添加される物質を指す。滑沢剤は、型(die)からの錠剤の排出を助けることができ、粉末の流動を改善することができる。滑沢剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカ、脂肪、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウムまたはタルク;およびラウリン酸、オレイン酸およびC8/C10脂肪酸を含む脂肪酸などの可溶化剤を含むことができる。
ある特定の態様では、少なくとも1つの活性薬剤(例えば式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を含む)、および以下の(a)〜(g):
a)少なくとも1つの賦形剤;
b)少なくとも1つの崩壊剤;
c)少なくとも1つの析出抑制剤;
d)少なくとも1つの界面活性剤;
e)少なくとも1つの流動促進剤;
f)少なくとも1つの滑沢剤;および
g)少なくとも1つの結合剤
の1つまたは複数を含む組成物が提供される。
薬学的に許容される担体は、(a)〜(g)に示した2つまたはそれ超のカテゴリーによって特徴付けることができることを理解すべきである。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、析出抑制剤および結合剤として特徴付けることができる。
一変形形態では、少なくとも1つの活性薬剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を含む)、および以下の(a)〜(f):
a)少なくとも1つの賦形剤;
b)少なくとも1つの崩壊剤;
c)少なくとも1つの析出抑制剤;
d)少なくとも1つの界面活性剤;
e)少なくとも1つの流動促進剤;および
f)少なくとも1つの滑沢剤
の1つまたは複数を含む医薬組成物が提供される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、上記(a)〜(f)の2つ、または上記(a)〜(f)の3つ、または上記(a)〜(f)の4つ、または上記(a)〜(f)の5つまたは上記(a)〜(f)のすべてを含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つまたは少なくとも2つの賦形剤を含む。一変形形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの賦形剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、1つまたは2つの賦形剤を含む。ある特定の実施形態では、賦形剤は、マンニトール、微結晶性セルロース、ラクトース、デキストロース、スクロース、ludiflash、F−melt、advantose、GalenIQおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される。一実施形態では、賦形剤は、マンニトール、微結晶性セルロースまたはそれらの混合物である。一変形形態では、医薬組成物は、1つまたは複数の賦形剤および上記(b)〜(f)の任意の1つまたは複数を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの崩壊剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、ただ1つの崩壊剤を含む。一実施形態では、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。別の実施形態では、崩壊剤はクロスポビドンである。一変形形態では、医薬組成物は、1つまたは複数の崩壊剤および上記(a)、(c)〜(f)の任意の1つまたは複数を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの析出抑制剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、1つの析出抑制剤を含む。一実施形態では、析出抑制剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。一変形形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの析出抑制剤、および少なくとも1つの賦形剤;例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびマンニトールを含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの界面活性剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、ただ1つの界面活性剤を含む。一実施形態では、界面活性剤はポロクサマーである。別の実施形態では、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの流動促進剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、ただ1つの流動促進剤を含む。一実施形態では、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの滑沢剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、ただ1つの滑沢剤を含む。一実施形態では、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
組成物(例えば、医薬組成物)は、本明細書で詳述される薬学的に許容される担体を、薬学的に許容される担体のありとあらゆる組合せが具体的かつ個別的に挙げられている場合と同様に含むことを理解すべきである。
例えば、一部の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物および少なくとも1つの析出抑制剤を含む。一変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物および少なくとも1つの析出抑制剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの賦形剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの崩壊剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの界面活性剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの流動促進剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの滑沢剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤、少なくとも1つの賦形剤および少なくとも界面活性剤を含む。
上記変形形態のいずれかでは、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;または多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せであってよい。
一部の実施形態では、組成物は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの追加の担体を含む。一変形形態では、組成物は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの賦形剤を含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの崩壊剤を含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの界面活性剤を含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの流動促進剤を含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの滑沢剤を含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、少なくとも1つの賦形剤および少なくとも界面活性剤を含む。組成物がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む任意の実施形態では、一変形形態において、組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから形成されるポリマーマトリクス(例えば、式Iの化合物の薬学的に許容される塩、例えば式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物、または多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから形成させることができるポリマーマトリクス中に分散されている組成物)を含む。
上記変形形態のいずれかでは、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のメシル酸塩;または式Iの化合物のモノメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;または多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せであってよい。
他の変形形態では、医薬組成物は、式IAのビスメシル酸塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの追加の担体を含む。一変形形態では、医薬組成物は、式IAのビスメシル酸塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの賦形剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式IAのビスメシル酸塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの崩壊剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式IAのビスメシル酸塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの界面活性剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式IAのビスメシル酸塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの流動促進剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式IAのビスメシル酸塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび少なくとも1つの滑沢剤を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式IAのビスメシル酸塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、少なくとも1つの賦形剤および少なくとも界面活性剤を含む。上記変形形態のいずれかでは、式IAのビスメシル酸塩またはその水和物は、多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せである。
他の実施形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびマンニトールを含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびクロスポビドンを含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポロクサマーを含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素を含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび微結晶性セルロースを含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムを含む。さらに別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトールおよびクロスポビドンを含む。さらに別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドンおよびコロイド状二酸化ケイ素を含む。さらに別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素および微結晶性セルロースを含む。さらに別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを含む。組成物がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む任意の実施形態では、一変形形態において、組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから形成されるポリマーマトリクス(例えば、式Iの化合物の薬学的に許容される塩、例えば式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物(および他の任意の薬学的に許容される担体)が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから形成させることができるポリマーマトリクス中に分散されている組成物)を含む。
さらに他の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびマンニトールを含む。別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびクロスポビドンを含む。別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポロクサマーを含む。別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび微結晶性セルロースを含む。別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムを含む。さらに別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトールおよびクロスポビドンを含む。さらに別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドンおよびコロイド状二酸化ケイ素を含む。さらに別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素および微結晶性セルロースを含む。さらに別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを含む。形態3は、式IA、IB、IC、ID(式中、yは1である)またはIE(式中、yは1である)のビスメシル酸塩一水和物の多形体として記載することもできる式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体であることを理解すべきである。
ある特定の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウムおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む。別の変形形態では、組成物は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにマンニトール、クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウムおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の薬学的に許容される担体を含む。
上記変形形態のいずれかでは、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物であってよい。
ある特定の変形形態では、医薬組成物は、式IAのビスメシル酸塩(例えば形態3を含む)、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウムおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、式IAのビスメシル酸塩(例えば形態3を含む)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにマンニトール、クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウムおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の薬学的に許容される担体を含む。
上記した薬学的に許容される担体は、所与の製剤において1つまたは複数の異なる機能を遂行することができ、担体の1つまたは複数の機能の部類(例えば、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤)の範囲に入り得ることも理解すべきである。
他の実施形態では、医薬組成物は、流動、圧縮、硬度、味覚および錠剤性能を改善するために、1つまたは複数の追加の担体を含むことができることをさらに理解すべきである。
薬学的に許容されるポリマー
提供される医薬組成物において使用される薬学的に許容される担体を機能面から記載することができるが、薬学的に許容される担体は、構造面から記載することもできる。したがって、薬学的に許容される担体は、一態様では、薬学的に許容されるポリマーである。
式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物および少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの薬学的に許容されるポリマーを含む組成物(例えば、医薬組成物)が提供される。上記実施形態では、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物であってよい。
「ポリマー」という用語は、重合過程を経て生み出すことができる繰り返し構造単位からなる化合物または化合物の混合物を指す。本発明において有用な、適切なポリマーを、全体にわたって記載する。「薬学的に許容されるポリマー」という用語は、処置される疾患または状態およびそれぞれの投与経路を考慮に入れて、合理的に良識的な医師に、ポリマーであって、被験体(例えば、ヒト)へのその材料の投与を回避させる特性をもたないポリマーを指す。
ある特定の変形形態では、組成物(例えば、医薬組成物)は、式Iの化合物のメシル酸塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)および1つ、2つ、3つまたは4つの薬学的に許容されるポリマーを含む。一変形形態では、組成物(例えば、医薬組成物)は、式Iの化合物のメシル酸塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)、少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーおよび少なくとも1つ、少なくとも2つまたは少なくとも3つの追加の薬学的に許容される担体を含む。他の変形形態では、組成物(例えば、医薬組成物)は、式Iの化合物のメシル酸塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)、1つ、2つ、3つまたは4つの薬学的に許容されるポリマーおよび少なくとも1つ、少なくとも2つまたは少なくとも3つの追加の薬学的に許容される担体を含む。
組成物(例えば、医薬組成物)の一部の実施形態では、薬学的に許容されるポリマーの少なくとも1つは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(当技術分野において、HPMCとして、またはヒプロメロースなどの他の一般的な名称でも公知である)である。HPMCは、持続放出製剤における薬学的に許容される担体として当技術分野で一般的に使用されており、本明細書に記載するような即時放出製剤用にも使用することができる。
活性薬剤を、持続放出または即時放出のために製剤化することができることを当業者は理解すべきである。「持続放出製剤」が、被験体中で長期間にわたって活性薬剤を徐々に放出するように設計されている製剤であるのに対して、「即時放出製剤」は、被験体中で短期間のうちに活性薬剤を急速に放出するように設計されている製剤である。いくつかの場合、即時放出製剤を、それが、被験体における所望標的、例えば胃に達して初めて、活性薬剤が放出されるようにコーティングすることができる。
医薬組成物の別の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、即時放出用に製剤化される。上記実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のメシル酸塩;または式Iの化合物のモノメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物;または式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物であってよい。
このような即時放出製剤におけるヒドロキシプロピルメチルセルロースの使用は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの使用なしでの式Iの化合物の製剤と比較して、被験体(例えば、ヒト)に投与された式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物の生物学的利用能を増加させることが観察された。したがって、一部の態様では、それを必要とするヒトに、(i)式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物、および(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む組成物を投与して、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物の生物学的利用能を増加させるステップを含む、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物の生物学的利用能を増加させる方法が提供される。一変形形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが存在しない式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物を含む組成物をヒトに投与するのと比較して、生物学的利用能はヒトにおいて増加する。一部の実施形態では、組成物は錠剤である。
生物学的利用能を増加させる上記方法の一部の変形形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩であり;一変形形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である。
いくつかの場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えば、式Iの化合物のメシル酸塩を含む)またはその水和物の過飽和を延長させることが観察された。したがって、一部の態様では、過飽和を延長させるために、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物を含む組成物に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加するステップを含む、組成物中の式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物の過飽和を延長させる方法が提供される。一変形形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが存在しない式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物を含む組成物と比較して、組成物中の式Iの化合物またはその水和物の過飽和は延長される。
過飽和を延長させるための上記方法の一部の変形形態において、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩であり;一変形形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である。一部の実施形態では、過飽和は1時間にわたって持続し、これは、式Iの化合物に、in vivoで吸収されることになる、より長いウィンドウを与える。一部の実施形態では、組成物は、噴霧乾燥のための供給溶液である。
他の場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、固体分散体中で式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えば、式Iの化合物のメシル酸塩を含む)またはその水和物と組み合わせた場合、式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えば、式Iの化合物のメシル酸塩を含む)またはその水和物の結晶化を最小化することが観察された。したがって、他の態様では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物を含む組成物に添加して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが存在しない式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物を含む組成物と比較して結晶化を最小化するステップを含む、組成物中の式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物の結晶化を最小化する方法が提供される。一変形形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが存在しない式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物を含む組成物と比較して、組成物中の式Iの化合物またはその水和物の結晶化は最小化される。
結晶化を最小化するための上記方法の一部の変形形態において、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩であり;一変形形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である。一部の実施形態では、結晶化は、40℃/75%RT開放条件下で9カ月超防止される。一部の実施形態では、組成物は、噴霧乾燥のための供給溶液である。
医薬組成物の一変形形態では、式IAのビスメシル酸塩は、即時放出用に製剤化される。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは持続放出製剤用に当技術分野で一般に使用されているが、式IAのビスメシル酸塩の即時放出製剤におけるヒドロキシプロピルメチルセルロースの使用は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用しない製剤と比較して、被験体に投与された式IAのビスメシル酸塩の生物学的利用能を増加させることが観察された。いくつかの場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)の過飽和を延長させることが観察された。他の場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩(例えば、そのモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)の溶液からの、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)の結晶化を最小化することが観察された。
一変形形態では、薬学的に許容されるポリマーの少なくとも1つは、(a)式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)の過飽和を延長させることができる;(b)式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)の溶液からの、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)の結晶化を最小化することができる;あるいは(a)と(b)の両方ができる任意の薬学的に許容されるポリマーである。
一部の実施形態では、式Iの化合物のメシル酸塩(例えば、ビスメシル酸塩を含む)またはその水和物およびヒドロキシプロピルメチルセルロースに加えて、医薬組成物は、1つまたは複数の追加の薬学的に許容されるポリマーをさらに含むことができる。このような追加のポリマーは、例えばブロックコポリマーおよび天然由来のポリマーを含むことができる。適切な追加のポリマーは、例えばクロスポビドン、ポビドン、ポロクサマー、微結晶性セルロースおよびそれらの任意の組合せからなる群から選択することができる。
他の実施形態では、式Iの化合物のメシル酸塩(例えば、ビスメシル酸塩を含む)またはその水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび1つまたは複数の追加のポリマーに加えて、医薬組成物は、1つまたは複数の他の薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。このような他の担体は、ラクトース一水和物、マンニトール、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよびそれらの任意の組合せからなる群から選択することができる。
医薬組成物の個々の成分(例えば、活性薬剤および薬学的に許容される担体)の量は、単位剤形(例えば、噴霧乾燥および/または乾式造粒によって活性薬剤を取り込んでいる錠剤)を含む複数の因子に応じて変動し得ることを理解すべきである。
本明細書で使用される「%w/w」という用語は、成分を含む組成物の全重量に基づく該成分の重量を指す。例えば、成分Aが、100mgの組成物中に50%w/wの量で存在する場合、成分Aは50mgの量で存在する。
本明細書で使用される「a」は別段の指定のない限り、1つまたは複数を意味する。
「約(about)」という用語の使用は、値またはパラメーター自体を含みかつそれを記載する。例えば、「約x」は、「x」自体を含みかつそれを記載する。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定の関連で使用されるか、または、値、単位、定数もしくは値の範囲を修飾するために使用される場合、±10%の変動を指す。例えば、一部の実施形態では、「約2:8」は1.8〜2.2:7.2〜8.8を含む。
以下の表Aは、製剤における使用のためのある特定の成分(例えば、活性薬剤および担体)の例示的な重量パーセントを提供する。
提供される医薬組成物中の成分は、本開示に記載するような1つまたは複数の有利な特性をもたらす量で存在することができることが理解される。一変形形態では、その量は、表Aに記載した通りである。したがって、記載する医薬組成物は、製剤成分を、本明細書で詳述される重量パーセンテージで、成分および重量パーセントのありとあらゆる組合せが具体的かつ個別的に挙げられている場合と同様に含むことができる。
例えば、一部の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約8%w/w〜13%w/wの1つまたは複数の崩壊剤、約3%w/wの1つまたは複数の界面活性剤;および約19%w/w〜28%w/wの1つまたは複数の賦形剤を含む。他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物のメシル酸塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)、約8%w/w〜13%w/wの1つまたは複数の崩壊剤、約3%w/wの1つまたは複数の界面活性剤;および約19%w/w〜28%w/wの1つまたは複数の賦形剤を含む。
一部の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約20%w/w〜約30%w/wのマンニトールを含む。他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約20%w/w〜約30%w/wのマンニトールを含む。
他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドンを含む。別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドンを含む。
他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約1%w/w〜約5%w/wのポロクサマーを含む。別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約1%w/w〜約5%w/wのポロクサマーを含む。
さらに他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約0.1%w/w〜約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素を含む。別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約0.1%w/w〜約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素を含む。
さらに他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約1%w/w〜約5%w/wの微結晶性セルロースを含む。別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約1%w/w〜約5%w/wの微結晶性セルロースを含む。
さらに他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約0.5%w/w〜約2%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む。別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび約0.5%w/w〜約2%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む。
さらに他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース、約20%w/w〜約30%w/wのマンニトールおよび約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドンを含む。さらに別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース、約20%w/w〜約30%w/wのマンニトールおよび約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドンを含む。
さらに他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース、約20%w/w〜約30%w/wのマンニトール、約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドンおよび約0.1%w/w〜約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素を含む。さらに別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース、約20%w/w〜約30%w/wのマンニトール、約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドンおよび約0.1%w/w〜約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素を含む。
さらに別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース、約20%w/w〜約30%w/wのマンニトール、約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドン、約0.1%w/w〜約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素および約1%w/w〜約5%w/wの微結晶性セルロースを含む。さらに別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース、約20%w/w〜約30%w/wのマンニトール、約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドン、約0.1%w/w〜約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素および約1%w/w〜約5%w/wの微結晶性セルロースを含む。
さらに他の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばメシル酸塩を含む)またはその水和物、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドン、約0.1%w/w〜約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素、約1%w/w〜約5%w/wの微結晶性セルロースおよび約0.5%w/w〜約2%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む。さらに別の変形形態では、医薬組成物は、約30%w/w〜約45%w/wの形態3(これは式IAのビスメシル酸塩一水和物の多形体である)、約10%w/w〜30%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、約5%w/w〜約15%w/wのクロスポビドン、約0.1%w/w〜約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素、約1%w/w〜約5%w/wの微結晶性セルロースおよび約0.5%w/w〜約2%w/wのステアリン酸マグネシウムを含む。
上記医薬組成物のいずれかのある特定の変形形態では、メシル酸塩またはその水和物は、式Iの化合物のカチオンおよびメシレートアニオンを含み、そのメシレートアニオンおよび式Iの化合物のカチオンは:
(i)少なくとも1:1もしくは1:1〜3.3:1、1.9:1〜3.3:1、1.9:1〜2.5:1、1.9:1〜2.4:1、2:1〜3.3:1、2:1〜3:1、もしくは2:1〜2.7:1、もしくは2.1:1〜2.5:1もしくは2.2:1〜2.4:1もしくは約2.3:1もしくは約2.4:1の;または
(ii)1:1より大きく2:1より小さい;または
(iii)2:1より大きい
メシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比で存在する。
上記医薬組成物のいずれかの他の変形形態では、メシル酸塩は式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物である。一変形形態では、メシル酸塩は式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である。上記医薬組成物のいずれかにおいて、ビスメシル酸塩は、上記したような式IA、IB、IC、IDまたはIEで表すことができることも理解すべきである。
錠剤
本開示において提供される医薬組成物は、典型的には、経口投与される。投与は、カプセル、錠剤などによってよい。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は錠剤である。
乾式造粒
一部の実施形態では、組成物は、乾式造粒製剤化によって調製された錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒(granulation)として製剤化することによって調製された錠剤)である。本明細書で使用する「乾式造粒製剤」は、乾式造粒プロセスによって調製された製剤を指す。乾式造粒(乾式造粒(dry granulating)とも称される)は、一般に、溶液を使用することなく顆粒(granule)を形成させるプロセスを指す。「顆粒」は、乾式造粒によって得られる生成物を指す。一変形形態では、乾式造粒錠剤が提供される。乾式造粒および圧縮によって形成された錠剤を、本明細書では「乾式造粒錠剤」と称する。
一部の変形形態では、錠剤は、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物を乾式造粒して顆粒を形成させ;その顆粒を圧縮することによって調製される。ある特定の変形形態では、錠剤は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物を乾式造粒して顆粒を形成させ;その顆粒を圧縮することによって調製される。一変形形態では、錠剤は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である多形形態3を乾式造粒して顆粒を形成させ;その顆粒を圧縮することによって調製される。
一部の態様では、
(i)式Iの化合物:
のビスメシル酸塩またはその水和物、および
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む錠剤が本明細書で提供される。
ある特定の態様では、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である形態3;および(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む錠剤が本明細書で提供される。
一変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体(例えば、形態3)は、13.8、16.9、22.9および26.1の2θ反射(±0.2°)を含むX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。別の変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体は、7.7、12.9、17.7および18.1の2θ反射(±0.2°)を含むX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。他の変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体は、7.7、12.9、13.8、16.9、17.7、18.1、22.9および26.1の2θ反射(±0.2°)を含むX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。さらに他の変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体は、2θ反射(±0.2°):7.7、12.9、13.8、16.9、17.7、18.1、22.9および26.1の少なくとも3つもしくはそれ超;少なくとも4つもしくはそれ超;または少なくとも5つもしくはそれ超を含むX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。X線回折パターンにおける2θ反射(例えば、本明細書で「形態3」または「形態III」とも称される多形形態3の)を記載する場合、±0.2°は、「±0.2°2θ」と表すこともできることを理解すべきである。
一変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体(例えば、形態3)は、図1Aで実質的に示されるようなX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。別の変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体(例えば、形態3)は、図1Bで実質的に示されるようなX線回折パターンによって特徴付けられるまたはそれを有する。さらに別の変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体(例えば、形態3)は、以下の寸法:a=8.7831(6)Å;b=11.8484(8)Å;c=14.2485(10)Å;α=98.108(6)°;β=100.955(6)°;およびγ=98.861(6)°の結晶X線結晶解析によって決定されるような単位格子によって特徴付けられる。
錠剤のある特定の実施形態では、少なくとも1つの薬学的に許容される担体は析出抑制剤である。一変形形態では、析出抑制剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。別の変形形態では、析出抑制剤はコポビドンである。
他の実施形態では、錠剤は、少なくとも1つの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、流動促進剤または滑沢剤またはそれらの任意の組合せをさらに含む。例えば、本明細書に記載する任意の適切な賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、流動促進剤または滑沢剤が、錠剤中に存在してよい。ある特定の変形形態では、錠剤は、少なくとも1つの賦形剤を含む。一変形形態では、賦形剤はマンニトールである。他の変形形態では、錠剤は、クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースの任意の1つまたは複数をさらに含む。
したがって、一部の変形形態では、錠剤は、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物および(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。ある特定の変形形態では、錠剤は、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物および(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。一変形形態では、錠剤は、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である多形形態3および(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
他の変形形態では、錠剤は、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;および(iii)マンニトールを含む。ある特定の変形形態では、錠剤は、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;および(iii)マンニトールを含む。一変形形態では、錠剤は、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である多形形態3、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;および(iii)マンニトールを含む。
他の変形形態では、錠剤は、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;(iii)マンニトールおよび(iv)クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースの1つもしくは複数、2つもしくはそれ超、3つもしくはそれ超、4つもしくはそれ超または5つすべてを含む。ある特定の変形形態では、錠剤は、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;(iii)マンニトールおよび(iv)クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースの1つもしくは複数、2つもしくはそれ超、3つもしくはそれ超、4つもしくはそれ超または5つすべてを含む。一変形形態では、錠剤は、(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である形態3、(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;(iii)マンニトール、および(iv)クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースの1つもしくは複数、2つもしくはそれ超、3つもしくはそれ超、4つもしくはそれ超または5つすべてを含む。
当業者は、製剤において使用される成分の量は、使用される方法および技術に応じて変動し得ることをさらに認識するはずである。
ある特定の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物および少なくとも1つの析出抑制剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。一変形形態では、析出抑制剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
別の変形形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの賦形剤を含む、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの崩壊剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの界面活性剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの流動促進剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの滑沢剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物、少なくとも1つの析出抑制剤、少なくとも1つの賦形剤および少なくとも界面活性剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤の上記実施形態のいずれかにおいて、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物である。一変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である。
他の変形形態では、医薬組成物は、多形形態3、少なくとも1つの析出抑制剤、少なくとも1つの賦形剤および少なくとも界面活性剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
他の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびマンニトールを含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびクロスポビドンを含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポロクサマーを含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび微結晶性セルロースを含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムを含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
さらに別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトールおよびクロスポビドンを含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
さらに別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドンおよびコロイド状二酸化ケイ素を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
さらに別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素および微結晶性セルロースを含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
さらに別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
ある特定の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウムおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、形態3、ヒドロキシプロピルメチルセルロースならびにマンニトール、クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウムおよびそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の薬学的に許容される担体を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)である。
上記変形形態のいずれかでは、形態3は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体(または式IAまたはIBのビスメシル酸塩の一水和物の多形体)であることが理解される。
式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤の成分の重量パーセントは、薬学的に許容される担体のありとあらゆる組合せが具体的かつ個別的に挙げられている場合と同様に、上記表Aにおいて提供されている通りであり得ることを理解すべきである。
本開示において提供される、乾式造粒によって調製される医薬組成物(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を顆粒として製剤化することによって調製される錠剤)は、一部の実施形態では、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物;または、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩;または、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;または、ある特定の実施形態では、結晶性、非結晶性または非晶質塩を含む式IAのビスメシル酸塩またはその水和物;または、一実施形態では、式IAのビスメシル酸塩の多形体である多形形態3、形態7またはそれらの混合物を含むことができる。
ある特定の態様では、錠剤を製造する方法であって、
a)(i)式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えば、ビスメシル酸塩)またはその水和物、および(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体を乾式造粒して顆粒を形成させるステップと;
b)顆粒を圧縮して錠剤を形成させるステップと
を含む方法が本明細書で提供される。
当業者は、乾式造粒によって錠剤を調製するための適切な方法および技術を認識するはずである。圧縮して錠剤にするための粉末を調製する例示的な方法および技術には、乾式造粒または湿式造粒が含まれる。湿式造粒は一般に、造粒するために粉末に溶液を添加するプロセスを指す。
一部の実施形態では、本明細書で提供される錠剤は、乾式造粒によって調製される。例えば、一部の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩(例えばビスメシル酸塩を含む)またはその水和物と薬学的に許容される担体とをブレンドし、粉砕し、圧縮して錠剤を形成させ、これをコーティングし、包装することができる。ある特定の実施形態では、式Iの化合物のメシル酸塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)と薬学的に許容される担体とをブレンドし、乾式造粒し、粉砕し、圧縮して錠剤を形成させ、これをコーティングし、包装することができる。乾式造粒によって、式Iの化合物のビスメシル酸塩の錠剤を調製するための例示的な製造プロセスを、以下の実施例B1に記載する。ある特定の変形形態では、乾式造粒は、ローラー圧縮を用いる。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される錠剤(例えば、式Iの化合物のビスメシル酸塩を含む錠剤)は、錠剤の作製に有益であり得る、200μm〜400μmまたは250μm〜350μmの平均粒径を有する顆粒から調製される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される錠剤は、錠剤の作製に有益であり得る、10〜20nmまたは10〜15nmのFlodexを有する顆粒で製剤化される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される錠剤は、錠剤の作製に有益であり得る、0.4g/mL〜0.7g/mLまたは0.5g/mL〜約0.6g/mLのかさ密度を有する顆粒で製剤化される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される錠剤は、錠剤の作製に有益であり得る、0.5g/mL〜0.9g/mLまたは0.6g/mL〜0.8g/mLのタップ密度を有する顆粒で製剤化される。
上記方法のいずれかに従って作製される錠剤(例えば、乾式造粒錠剤)も提供される。
噴霧乾燥
一部の変形形態では、錠剤は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を噴霧乾燥して固体分散体を形成させ;その固体分散体を乾式造粒することによって調製される。ある特定の変形形態では、錠剤は、式Iの化合物およびメタンスルホン酸を噴霧乾燥して固体分散体を形成させ;その固体分散体を乾式造粒することによって調製される。ある特定の変形形態では、錠剤は、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物および任意選択でメタンスルホン酸を噴霧乾燥して固体分散体を形成させ;その固体分散体を乾式造粒することによって調製される。ある特定の変形形態では、錠剤は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはその水和物およびメタンスルホン酸を噴霧乾燥して固体分散体を形成させ;その固体分散体を乾式造粒することによって調製される。一変形形態では、錠剤は、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物および任意選択でメタンスルホン酸を噴霧乾燥して固体分散体を形成させ;その固体分散体を乾式造粒することによって調製される。別の変形形態では、錠剤は、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物および任意選択でメタンスルホン酸を噴霧乾燥して固体分散体を形成させ;その固体分散体を乾式造粒することによって調製される。さらに別の変形形態では、錠剤は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物および任意選択でメタンスルホン酸を噴霧乾燥して固体分散体を形成させ;その固体分散体を乾式造粒することによって調製される。さらに別の変形形態では、錠剤は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である多形形態3および任意選択でメタンスルホン酸を噴霧乾燥して固体分散体を形成させ;その固体分散体を乾式造粒することによって調製される。
上記変形形態のそれぞれにおいて、固体分散体の乾式造粒は顆粒を形成させ;この方法は、その顆粒を圧縮して錠剤を形成させるステップをさらに含む。上記変形形態のいずれかでは、固体分散体は、本明細書で噴霧乾燥粉末とも称される、噴霧乾燥された固体分散体である。
したがって、本明細書で提供される組成物(例えば、医薬組成物を含む)は、ある特定の実施形態では、噴霧乾燥された固体分散体を含む錠剤であってよい。このような錠剤は本明細書では「噴霧乾燥された固体分散体錠剤」と称することもできる。
一部の態様では、
(i)式Iの化合物:
のビスメシル酸塩および
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む錠剤が本明細書で提供される。
一部の実施形態では、錠剤は、追加のメタンスルホン酸またはそのアニオンをさらに含む。
他の態様では、
(i)式Iの化合物:
のメシル酸塩(ここで、メシル酸塩は式Iの化合物のカチオンおよびメシレートアニオンを含む);および
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む錠剤が本明細書で提供される。
錠剤の一変形形態では、メシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比は、少なくとも1:1もしくは1:1〜3.3:1、1.9:1〜3.3:1、1.9:1〜2.5:1、1.9:1〜2.4:1、2:1〜3.3:1、2:1〜3:1、もしくは2:1〜2.7:1、もしくは2.1:1〜2.5:1もしくは2.2:1〜2.4:1、もしくは約2.3:1もしくは約2.4:1である。別の変形形態では、メシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比は1:1より大きく2:1より小さい。さらに別の変形形態では、メシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比は2:1より大きい。
さらに他の態様では、
(i)式Iの化合物:
またはそのカチオン;
(ii)メタンスルホン酸またはそのアニオン;および
(iii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む錠剤が本明細書で提供される。
錠剤の一部の実施形態では、メタンスルホン酸またはそのアニオンおよび式Iの化合物またはそのカチオンは、少なくとも1:1または1:1〜3.3:1、1.9:1〜3.3:1、1.9:1〜2.5:1、1.9:1〜2.4:1、2:1〜3.3:1、2:1〜3:1、もしくは2:1〜2.7:1、もしくは2.1:1〜2.5:1もしくは2.2:1〜2.4:1または約2.3:1もしくは約2.4:1のメタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比で錠剤中に存在する。別の変形形態では、メタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比は1:1より大きく2:1より小さい。さらに別の変形形態では、メタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比は2:1より大きい。
錠剤のある特定の実施形態では、少なくとも1つの薬学的に許容される担体は析出抑制剤である。噴霧乾燥された固体分散体錠剤中の析出抑制剤は、上記析出抑制剤のいずれかを含むことができる。一変形形態では、析出抑制剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。別の変形形態では、析出抑制剤はコポビドンである。
錠剤の他の変形形態では、少なくとも1つの薬学的に許容される担体は非イオン性ポリマーである。適切な非イオン性ポリマーは、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ピロキシリン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールを含むことができる。
錠剤の他の変形形態では、少なくとも1つの薬学的に許容される担体はイオン性ポリマーである。適切なイオン性ポリマーは、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート−スクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレートおよびメタクリル酸コポリマーを含むことができる。
一部の実施形態では、錠剤は、少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)から得ることができるポリマーマトリクスを含む。一変形形態では、噴霧乾燥された固体分散体錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび界面活性剤から得ることができるポリマーマトリクスを含む。ある特定の実施形態では、式Iの化合物またはそのカチオンおよびメタンスルホン酸またはそのアニオンを、ポリマーマトリクス中に分散させる。
当業者は、製剤において使用される成分の量は、使用される方法および技術に応じて変動し得ることをさらに認識するはずである。
ある特定の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩および少なくとも1つの析出抑制剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)である。一変形形態では、析出抑制剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
別の変形形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの賦形剤を含む、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの崩壊剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの界面活性剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの流動促進剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、少なくとも1つの析出抑制剤および少なくとも1つの滑沢剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)である。
別の変形形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、少なくとも1つの析出抑制剤、少なくとも1つの賦形剤および少なくとも界面活性剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)である。
他の実施形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩および(i)非イオン性ポリマー、(ii)イオン性ポリマーまたは(i)および(ii)の組合せを含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)である。一変形形態では、非イオン性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ピロキシリン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールからなる群から選択される。一変形形態では、イオン性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート−スクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレートおよびメタクリル酸コポリマーからなる群から選択される。
一実施形態では、医薬組成物は、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび界面活性剤を含む錠剤(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)である。
噴霧乾燥、続いて乾式造粒および圧縮によって調製される本開示において提供される医薬組成物(例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩または水和物を噴霧乾燥し、得られた固体分散体を乾式造粒し圧縮することによって調製される錠剤)は、一部の実施形態では、式Iの化合物のメシル酸塩;またはある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩;またはある特定の実施形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩;またはある特定の実施形態では、式IAのビスメシル酸塩を含むことができる。
他の実施形態では、錠剤(例えば、噴霧乾燥された固体分散体錠剤)は、6.3および26.1〜26.6の2θ反射(±0.2°)を含むX線回折パターンによって特徴付けられる。一変形形態では、噴霧乾燥された固体分散体錠剤は、6.3(±0.2°)および26.1〜26.6の2θ反射を含むX線回折パターンによって特徴付けられる。±0.2°は、「±0.2°2θ」と表すこともできることを理解すべきである。
一部の態様では、錠剤を製造する方法であって、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を固体分散体として製剤化するステップと;固体分散体を乾燥顆粒として錠剤中に製剤化するステップと)を含む方法が本明細書で提供される。一変形形態では、錠剤は、噴霧乾燥された固体分散体によって調製される(例えば、固体分散体は噴霧乾燥によって調製される)。したがって、ある特定の態様では、錠剤を製造する方法であって、a)供給溶液から噴霧乾燥粉末を形成させるステップと;b)噴霧乾燥粉末および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を乾式造粒して顆粒を形成させるステップと;c)顆粒を圧縮して錠剤を形成させるステップとを含む方法が本明細書で提供される。
「固体分散体」は、固体状態でのポリマーマトリクス中の1つまたは複数の活性薬剤の分散体を指す。固体分散体として製剤化される本開示において提供される医薬組成物は、一部の実施形態では、式Iの化合物の薬学的に許容される塩;またはある特定の実施形態では、式Iの化合物のメシル酸塩;またはある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩;またはある特定の実施形態では、式IAのビスメシル酸塩を含む。したがって、一部の実施形態では、医薬組成物は固体分散体を含む錠剤である;またはある特定の実施形態では、医薬組成物は、噴霧乾燥された固体分散体を含む錠剤である。
当業者は、固体分散体およびこのような固体分散体を含む錠剤を調製するための適した方法および技術を認識するはずである。このような固体分散体を調製するための例示的な方法および技術は、溶融押出、噴霧乾燥、凍結乾燥および溶液蒸発を含む。一部の実施形態では、固体分散体は噴霧乾燥によって調製される。例えば、式Iの化合物のメシル酸塩(例えば、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)および少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマー(例えば、HPMCを含む)を、水に溶解させ、または少なくとも部分的に溶解させ、噴霧乾燥して固体分散体を形成させる。次いで、固体分散体を、他の薬学的に許容される担体とブレンドし、次いで、乾式造粒し、続いて圧縮し、コーティングすることができる。式Iの化合物のビスメシル酸塩の固体分散体および錠剤を調製するための例示的な製造プロセスを、以下の実施例C1に記載する。
一態様では、錠剤を製造する方法であって、
a)(i)式Iの化合物またはそのカチオン;(ii)メタンスルホン酸またはそのアニオン;(iii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体;および(iv)水を含む供給溶液から、噴霧乾燥粉末を形成させるステップと;
b)噴霧乾燥粉末および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を乾式造粒して顆粒を形成させるステップと;
c)顆粒を圧縮して錠剤を形成させるステップと
を含む方法が本明細書で提供される。
固体分散体粒子を製造するために噴霧乾燥される供給溶液を形成させるために、種々の形態の式Iの化合物またはその塩または水和物を使用できることを理解すべきである。ある特定の実施形態では、式Iの化合物(例えば、遊離塩基として)または式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物またはそれらの任意の組合せを、供給溶液を調製するために使用することができる。例えば、供給溶液を調製するため(例えば、固体分散体を形成させるため)に使用される出発原料は、1つまたは複数の形態の式Iの化合物のメシル酸塩、またはある特定の実施形態では、式IAのビスメシル酸塩を含むことができる。
上記方法のいずれかに従って作製される錠剤(例えば、噴霧乾燥された固体分散体錠剤)も提供される。
供給溶液
(i):(A)式Iの化合物およびメタンスルホン酸か;または
(B)式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物のいずれか;
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体;および
(iii)水
を組み合わせるステップを含む、噴霧乾燥のための供給溶液を調製する方法も本明細書で提供される。
メシル酸塩またはその水和物を少なくとも1つの薬学的に許容される担体および水と組み合わせて供給溶液を形成させる実施形態では、この方法は、メタンスルホン酸を供給溶液と組み合わせるステップをさらに含む。
一変形形態では、供給溶液は、式Iの化合物とメタンスルホン酸とを組み合わせることによって調製することができる。別の変形形態では、供給溶液は、式Iの化合物のメシル酸塩と追加のメタンスルホン酸とを組み合わせることによって調製することができる。一変形形態では、メシル酸塩は、モノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはそれらの組合せであってよい。別の変形形態では、メシル酸塩は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である。別の変形形態では、メシル酸塩は、多形形態3、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である。
一部の実施形態では、メタンスルホン酸またはそのアニオンおよび式Iの化合物またはそのカチオンは、2:1〜3:1、もしくは2:1〜2.7:1、もしくは2.1:1〜2.5:1もしくは2.2:1〜2.4:1または約2.3:1もしくは約2.4:1のモル比で供給溶液中に存在する。別の変形形態では、メタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比は、1:1より大きく2:1より小さい。さらに別の変形形態では、メタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比は、2:1より大きい。
他の実施形態では、供給溶液は、少なくとも1%w/wまたは1%w/w〜10%w/wまたは約5%w/wの式Iの化合物またはそのカチオンで調製される。
他の実施形態では、式Iの化合物またはそのカチオンおよび水は、1:1〜1:2または約1:1.5のモル比で供給溶液中に存在する。
噴霧乾燥粉末
本明細書に記載する供給溶液に、噴霧乾燥を施して、噴霧乾燥された固体分散体としても公知である噴霧乾燥粉末を形成させることができる。
本明細書では、
(i)式Iの化合物:
のビスメシル酸塩および
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む噴霧乾燥粉末も提供される。
噴霧乾燥粉末の一部の実施形態では、ビスメシル酸塩は、式Iの化合物のビスメシル酸塩である。
他の実施形態では、噴霧乾燥粉末は、追加のメタンスルホン酸またはそのアニオンをさらに含む。
他の態様では、
(i)式Iの化合物:
のメシル酸塩(ここで、メシル酸塩は式Iの化合物のカチオンおよびメシレートアニオンを含む);および
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む噴霧乾燥粉末も本明細書で提供される。
噴霧乾燥粉末の上記態様の一変形形態では、メシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比は、少なくとも1:1もしくは1:1〜3.3:1、1.9:1〜3.3:1、1.9:1〜2.5:1、1.9:1〜2.4:1、2:1〜3.3:1、2:1〜3:1、もしくは2:1〜2.7:1、もしくは2.1:1〜2.5:1もしくは2.2:1〜2.4:1もしくは約2.3:1もしくは約2.4:1である。別の変形形態では、メシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比は1:1より大きく2:1より小さい。さらに別の変形形態では、メシレートアニオンと式Iの化合物のカチオンとのモル比は2:1より大きい。
噴霧乾燥粉末におけるこのようなモル比が2:1より大きい場合、噴霧乾燥粉末は、予想外に、改善された安定性を示すことが観察された。例えば、改善された安定性は、噴霧乾燥粉末の結晶化の最小化(例えば、式Iの化合物のビスメシル酸塩の形態7などの他の多形形態の結晶化を最小化する)を伴い得る。例えば、このようなモル比が、2.3:1またはそれより大きい、例えば2.3:1〜2.5:1である場合、噴霧乾燥された固体分散体は、室温および75%相対湿度で少なくとも2カ月間安定なままであり得る。
さらに他の態様では、
(i)式Iの化合物:
またはそのカチオン;
(ii)メタンスルホン酸またはそのアニオン;および
(iii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む噴霧乾燥粉末が本明細書で提供される。
噴霧乾燥粉末の上記態様の一部の実施形態では、メタンスルホン酸またはそのアニオンおよび式Iの化合物またはそのカチオンは、2:1〜3:1、もしくは2:1〜2.7:1、もしくは2.1:1〜2.5:1もしくは2.2:1〜2.4:1または約2.3:1もしくは約2.4:1のモル比で噴霧乾燥粉末中に存在する。別の変形形態では、メタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比は1:1より大きく2:1より小さい。さらに別の変形形態では、メタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比は2:1より大きい。
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥粉末は、6.3および26.1〜26.6の2θ反射(±0.2°)を含むX線回折パターンによって特徴付けられる。±0.2°は「±0.2°2θ」と表すこともできることを理解すべきである。
噴霧乾燥粉末のある特定の実施形態では、少なくとも1つの薬学的に許容される担体は析出抑制剤である。一変形形態では、析出抑制剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。別の変形形態では、析出抑制剤はコポビドンである。
噴霧乾燥された固体分散体錠剤は、噴霧乾燥粉末から、本明細書に記載するような乾式造粒および圧縮によって形成される。例えば、ある特定の実施形態では、噴霧乾燥粉末および薬学的に許容される担体をブレンドし、乾式造粒し、粉砕し、圧縮して錠剤を形成させ、これをコーティングし、包装することができる。
一部の実施形態では、固体分散体として製剤化すると、得られる活性薬剤は非晶質であり得る。したがって、一変形形態では、本開示に記載する医薬組成物は非晶質活性薬剤を含み、ここで、「非晶質活性薬剤」という用語は、活性薬剤を、実質的に非晶質固体状態の形態で含む非晶質固体分散体を指す。別の変形形態では、活性薬剤をポリマーマトリクスで分散させ、得られる固体分散体は非晶質固体分散体であり得る。本明細書で使用される「非晶質固体分散体」という用語は、非晶質活性薬剤およびポリマーを含む安定な固体分散体を指す。
一部の実施形態では、固体分散体として製剤化すると、得られる活性薬剤は非結晶性であり得る。したがって、一部の変形形態では、本開示に記載する医薬組成物は非結晶性の活性薬剤を含み、ここで、「非結晶性活性薬剤」という用語は、活性薬剤を、実質的に非結晶性固体状態の形態で含む非結晶性固体分散体を指す。一変形形態では、本開示に記載する医薬組成物は、式Iの非結晶性化合物または薬学的に許容されるその塩を含む。別の変形形態では、「非結晶性活性薬剤」という用語は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を、実質的に非結晶性固体状態の形態で含む非結晶性固体分散体を指すことができる。
他の変形形態では、活性薬剤をポリマーマトリクスで分散させ、得られる固体分散体は、非結晶性固体分散体であり得る。本明細書で使用する「非結晶性固体分散体」という用語は、非結晶性活性薬剤およびポリマーを含む安定な固体分散体を指す。一変形形態では、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を、ポリマーマトリクスで分散させる。別の変形形態では、「非結晶性固体分散体」という用語は、式Iの非結晶性化合物または薬学的に許容されるその塩およびポリマーを含む安定な固体分散体を指すことができる。ある特定の変形形態では、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩およびポリマーの両方が、実質的に非結晶性であってよい。
上記のこのような方法に従って作製される錠剤も提供される。一部の変形形態では、本明細書で提供される錠剤は、乾燥顆粒および錠剤の作製に有益であり得る1μm〜100μm、または1μm〜75μmまたは5μm〜50μmの平均固体分散体粒径で製剤化される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される錠剤は、乾燥顆粒および錠剤の作製に有益であり得る0.1g/mL〜0.7g/mL、または0.15g/mL〜0.4g/mLまたは0.2g/mL〜0.35g/mLのかさ密度を有する固体分散体で製剤化される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される錠剤は、乾燥顆粒および錠剤の作製に有益であり得る0.1g/mL〜0.7g/mL、または0.15g/mL〜0.4g/mLまたは0.2g/mL〜0.35g/mLのタップ密度を有する固体分散体で製剤化される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される錠剤は、乾燥顆粒および錠剤の作製に有益であり得る120℃〜175℃、または130℃〜150℃または135℃〜140℃のTgを有する固体分散体で製剤化される。
単位剤形
一部の実施形態では、本明細書に記載するような組成物は、単位剤形に製剤化された医薬組成物である。一部の実施形態では、単位剤形は錠剤である。「単位剤形」という用語は、それぞれの単位が、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性材料を適切な薬学的担体と一緒に含む、被験体(例えば、ヒト被験体および他の哺乳動物)のための単位投薬量として適している物理的に別個の単位を指す。式Iの化合物の薬学的に許容される塩(メシル酸塩など)またはその水和物(式IAのビスメシル酸塩またはその水和物を含む)は、薬学的に有効な量で投与することができる。一部の実施形態では、各投薬単位は、1mg〜2gの式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物、あるいは、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩またはその水和物を含む。
一部の実施形態では、単位剤形は、約10mg〜約1800mgまたは約10mg〜約1500mg、または約10mg〜約1300mg、または約10mg〜約1000mg、または約10mg〜約800mg、または約10mg〜約600mg、または約10mg〜約300mg、または約10mg〜約200mg、または約10mg〜約100mg、または約100mg〜約800mg、または約100mg〜約600mg、または約100mg〜約300mg、または約100mg〜約200mg、または約200mg〜約350mg、または約250mg〜約300mg、または約200mg〜約400mg、または約400mg〜約600mg、または約400mg〜約800mg、または約600mg〜約800mg、または約800mg〜約1200mg、または約1200mg〜約1600の式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物;またはある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、その水和物;または一実施形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;または、別の実施形態では、多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せを含む。ある特定の実施形態では、単位剤形は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mgまたは約1300mgの式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物;または、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、その水和物;または、一実施形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;または別の実施形態では、多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せを含む。
一変形形態では、単位剤形は、約10mg〜約1800mg、または約10mg〜約1500mg、または約10mg〜約1300mg、または約10mg〜約1000mg、または約10mg〜約800mg、または約10mg〜約600mg、または約10mg〜約300mg、または約10mg〜約200mg、または約10mg〜約100mg、または約100mg〜約800mg、または約100mg〜約600mg、または約100mg〜約300mg、または約100mg〜約200mg、または約200mg〜約350mg、または約250mg〜約300mg、または約200mg〜約400mg、または約400mg〜約600mg、または約400mg〜約800mg、または約600mg〜約800mg、または約800mg〜約1200mg、または約1200mg〜約1600の式Iの化合物のメシル酸塩;または、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む噴霧乾燥された固体分散体錠剤である。ある特定の実施形態では、単位剤形は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、または約1300mgの式Iの化合物のメシル酸塩;または、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む噴霧乾燥された固体分散体錠剤である。
上記実施形態の一部では、単位剤形は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体をさらに含む。
上記経口投与のための投薬量を、1日に1回(QD)または1日に2回(BID)投与することができる。一部の実施形態では、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物;または、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、その水和物;または、一実施形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;または、別の実施形態では、多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せ、または上記のいずれかの医薬組成物は、約1mgQD、約2mgQD、約5mgQD、約10mgQD、約15mgQD、約20mgQD、約25mgQD、約30mgQD、約35mgQD、約40mgQD、約45mgQD、約50mgQD、約75mgQD、約100mgQD、約125mgQD、約150mgQD、約175mgQD、約200mgQD、約225mgQD、約250mgQD、約300mgQD、約350mgQD、約400mgQD、約450mgQD、約500mgQD、約550mgQD、約600mgQD、約650mgQD、約700mgQD、約750mgQD、約800mgQD、約850mgQD、約900mgQD、約950mgQD、または約1000mgQDの単位投薬量で経口投与される。一部の実施形態では、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物;または、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、その水和物;または、一実施形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;または、別の実施形態では、多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せ、または上記のいずれかの医薬組成物は、約1mgBID、約2mgBID、約5mgBID、約10mgBID、約15mgBID、約20mgBID、約25mgBID、約30mgBID、約35mgBID、約40mgBID、約45mgBID、約50mgBID、約75mgBID、約100mgBID、約125mgBID、約150mgBID、約175mgBID、約200mgBID、約225mgBID、約250mgBID、約300mgBID、約350mgBID、約400mgBID、約450mgBID、約500mgBID、約550mgBID、約600mgBID、約650mgBID、約700mgBID、約750mgBID、約800mgBID、約850mgBID、約900mgBID、約950mgBID、または約1000mgBIDの単位投薬量で経口投与される。
一部の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を顆粒として製剤化することによって調製される。ある特定の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のメシル酸塩または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を顆粒として製剤化することによって調製される。ある特定の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のビスメシル酸塩または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を顆粒として製剤化することによって調製される。一変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物または薬学的に許容されるその塩を顆粒として製剤化することによって調製される。別の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物または薬学的に許容されるその塩を顆粒として製剤化することによって調製される。さらに別の変形形態では、単位剤形は、多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せを顆粒として製剤化することによって調製される。他の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のモノメシル酸塩または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を顆粒として製剤化することによって調製される。
例えば、一部の変形形態では、式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物;または、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩、その水和物;または、一実施形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;または、別の実施形態では、多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せ(例えば、顆粒として製剤化されている)を含む錠剤であって、それを必要とするヒトに、約1mgBID、約2mgBID、約5mgBID、約10mgBID、約15mgBID、約20mgBID、約25mgBID、約30mgBID、約35mgBID、約40mgBID、約45mgBID、約50mgBID、約75mgBID、約100mgBID、約125mgBID、約150mgBID、約175mgBID、約200mgBID、約225mgBID、約250mgBID、約300mgBID、約350mgBID、約400mgBID、約450mgBID、約500mgBID、約550mgBID、約600mgBID、約650mgBID、約700mgBID、約750mgBID、約800mgBID、約850mgBID、約900mgBID、約950mgBID、または約1000mgBIDの単位投薬量で経口投与される錠剤が提供される。上記の一変形形態では、ヒトは、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンストレームマクログロブリン血症(LPL/WM)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)および慢性リンパ性白血病(CLL)またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される状態を有している。
別の例では、他の変形形態において、式Iの化合物のメシル酸塩および任意選択で追加のメタンスルホン酸;または、ある特定の実施形態では、式Iの化合物のモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩および任意選択で追加のメタンスルホン酸を含む錠剤(例えば、噴霧乾燥された固体分散体錠剤)であって、それを必要とするヒトに、約1mgBID、約2mgBID、約5mgBID、約10mgBID、約15mgBID、約20mgBID、約25mgBID、約30mgBID、約35mgBID、約40mgBID、約45mgBID、約50mgBID、約75mgBID、約100mgBID、約125mgBID、約150mgBID、約175mgBID、約200mgBID、約225mgBID、約250mgBID、約300mgBID、約350mgBID、約400mgBID、約450mgBID、約500mgBID、約550mgBID、約600mgBID、約650mgBID、約700mgBID、約750mgBID、約800mgBID、約850mgBID、約900mgBID、約950mgBID、または約1000mgBIDの単位投薬量で経口投与される錠剤が提供される。上記の一変形形態では、ヒトは、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンストレームマクログロブリン血症(LPL/WM)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)および慢性リンパ性白血病(CLL)またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される状態を有している。上記のいずれかの別の変形形態では、ヒトは、非FL無症候性非ホジキンリンパ腫のための少なくとも1つの療法に対して(i)難治性である、かつ/または(ii)それで処置した後に再発している。ある特定の実施形態では、非FL無症候性非ホジキンリンパ腫は、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンストレームマクログロブリン血症(LPL/WM)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)または辺縁帯リンパ腫(MZL))である。別の変形形態では、ヒトは、濾胞性リンパ腫(FL)のための少なくとも1つの療法に対して(i)難治性である、かつ/または(ii)それで処置した後に再発している。別の変形形態では、ヒトは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のための少なくとも1つの療法に対して(i)難治性である、かつ/または(ii)それで処置した後に再発している。別の変形形態では、ヒトは、マントル細胞リンパ腫(MCL)のための少なくとも1つの療法に対して(i)難治性である、かつ/または(ii)それで処置した後に再発している。さらに別の変形形態では、ヒトは、慢性リンパ性白血病(CLL)のための少なくとも1つの療法に対して(i)難治性である、かつ/または(ii)それで処置した後に再発している。さらに別の変形形態では、ヒトは、慢性リンパ性白血病(CLL)のためのホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤またはB細胞受容体(BCR)処置に対して(i)難治性である、かつ/または(ii)それで処置した後に再発している。
上記変形形態のいずれかでは、単位剤形は、約250mg〜約350mgの式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;約200mg〜約250mgのマンニトール;約50mg〜約100mgのクロスポビドン;約10mg〜25mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約1mg〜約5mgのポロクサマー;約0.5mg〜約1.5mgのコロイド状二酸化ケイ素;約1mg〜約10mgの微結晶性セルロース;および約1mg〜2mgのステアリン酸マグネシウムを含む。一変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物は結晶性である。
他の変形形態では、単位剤形は、約250mg〜約350mgの式IAのビスメシル酸塩;約200mg〜約250mgのマンニトール;約50mg〜約100mgのクロスポビドン;約10mg〜25mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約1mg〜約5mgのポロクサマー;約0.5mg〜約1.5mgのコロイド状二酸化ケイ素;約1mg〜約10mgの微結晶性セルロース;および約1mg〜2mgのステアリン酸マグネシウムを含む。一変形形態では、ビスメシル酸塩は結晶性である。
他の変形形態では、単位剤形は、約250mg〜約350mgの式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;約200mg〜約250mgのマンニトール;約50mg〜約100mgのクロスポビドン;約10mg〜25mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約1mg〜約5mgのポロクサマー;約0.5mg〜約1.5mgのコロイド状二酸化ケイ素;約1mg〜約10mgの微結晶性セルロース;および約1mg〜2mgのステアリン酸マグネシウムを含む。一変形形態では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物は結晶性である。
他の変形形態では、単位剤形は、約250mg〜約350mgの式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物またはその水和物の多形体;約200mg〜約250mgのマンニトール;約50mg〜約100mgのクロスポビドン;約10mg〜25mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約1mg〜約5mgのポロクサマー;約0.5mg〜約1.5mgのコロイド状二酸化ケイ素;約1mg〜約10mgの微結晶性セルロース;および約1mg〜2mgのステアリン酸マグネシウムを含む。一変形形態では、ビスメシル酸塩は結晶性である。上記のある特定の変形形態では、多形体は多形形態3、多形形態7またはそれらの混合物である。
他の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を固体分散体として製剤化し、その固体分散体を単位剤形中に乾燥顆粒として製剤化することによって調製される。ある特定の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のメシル酸塩または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を固体分散体として製剤化し、その固体分散体を単位剤形中に乾燥顆粒として製剤化することによって調製される。ある特定の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のビスメシル酸塩または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を固体分散体として製剤化し、その固体分散体を単位剤形中に乾燥顆粒として製剤化することによって調製される。一変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物または薬学的に許容されるその塩を固体分散体として製剤化し、その固体分散体を単位剤形中に乾燥顆粒として製剤化することによって調製される。別の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物または薬学的に許容されるその塩を固体分散体として製剤化し、その固体分散体を単位剤形中に乾燥顆粒として製剤化し、その固体分散体を単位剤形中に乾燥顆粒として製剤化することによって調製される。さらに別の変形形態では、単位剤形は、多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せを固体分散体として製剤化し、その固体分散体を単位剤形中に乾燥顆粒として製剤化することによって調製される。他の変形形態では、単位剤形は、式Iの化合物のモノメシル酸塩または薬学的に許容されるその塩またはその水和物を固体分散体として製剤化し、その固体分散体を単位剤形中に乾燥顆粒として製剤化することによって調製される。上記変形形態のいずれかでは、固体分散体は噴霧乾燥された固体分散体である。
一部の変形形態では、単位剤形が、噴霧乾燥された固体分散体を取り込む場合、単位投薬量は、約250mg〜約350mgの式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩;約200mg〜約250mgのマンニトール;約75mg〜約150mgのクロスポビドン;約20mg〜40mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mg〜約35mgのポロクサマー;約5mg〜約15mgのコロイド状二酸化ケイ素;約25mg〜約35mgの微結晶性セルロース;および約10mg〜15mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
他の変形形態では、単位剤形が、噴霧乾燥された固体分散体を取り込む場合、単位投薬量は、約250mg〜約350mgの式Iの化合物のメシル酸塩;約200mg〜約250mgのマンニトール;約75mg〜約150mgのクロスポビドン;約20mg〜40mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mg〜約35mgのポロクサマー;約5mg〜約15mgのコロイド状二酸化ケイ素;約25mg〜約35mgの微結晶性セルロース;および約10mg〜15mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
ある特定の変形形態では、単位剤形が、噴霧乾燥された固体分散体を取り込む場合、単位投薬量は、約250mg〜約350mgの式Iの化合物のビスメシル酸塩;約200mg〜約250mgのマンニトール;約75mg〜約150mgのクロスポビドン;約20mg〜40mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mg〜約35mgのポロクサマー;約5mg〜約15mgのコロイド状二酸化ケイ素;約25mg〜約35mgの微結晶性セルロース;および約10mg〜15mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
さらに別の変形形態では、単位剤形が、噴霧乾燥された固体分散体を取り込む場合、単位投薬量は、約250mg〜約350mgの式IAのビスメシル酸塩(非晶質塩形態を含む);約200mg〜約250mgのマンニトール;約75mg〜約150mgのクロスポビドン;約20mg〜40mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース;約25mg〜約35mgのポロクサマー;約5mg〜約15mgのコロイド状二酸化ケイ素;約25mg〜約35mgの微結晶性セルロース;および約10mg〜15mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
上記変形形態のいずれかでは、単位剤形が、噴霧乾燥された固体分散体を取り込む場合、化合物またはその塩は非結晶性である。
実際に被験体(例えば、ヒト)に投与される単位投薬量は、通常、処置される状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物およびその相対的な活性、個々の被験体の年齢、体重および応答、被験体の症状の重症度などを含む関係する状況に照らして、医師によって決定されることを理解すべきである。
使用方法
治療的または予防的に、Syk活性を選択的または特異的に阻害するための、本開示に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)の使用も提供される。この方法は、それを必要とする個体に、Syk活性を阻害するのに十分な量で医薬組成物を投与するステップを含む。この方法は、その症状または病状がSykの発現または活性によって媒介される状態に苦しむ、またはそれにかかり易い被験体(例えば、ヒト)を処置するために用いることができる。
一態様では、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)をヒトに投与するステップを含む、それを必要とするヒトを処置する方法が提供される。
「処置(treatment)」または「処置すること(treating)」は、臨床結果を含む有益なまたは望ましい結果を得るためのアプローチである。有益なまたは望ましい臨床結果は以下の:
a)疾患または状態を阻害すること(例えば、疾患または状態からもたらされる1つまたは複数の症状を減少させること、および/または疾患または状態の程度を低下させること);
b)疾患または状態に関連する1つまたは複数の臨床症状の発症を遅延させるもしくは停止させること(例えば、疾患または状態を安定化させること、疾患または状態の悪化または進行を防止するもしくは遅延させること、および/または、疾患または状態の伝播(例えば、転移)を防止するもしくは遅延させること);および/または
c)疾患を軽減すること、すなわち、臨床症状の後退を引き起こさせること(例えば、疾患状態を改善すること、疾患または状態の部分または完全寛解をもたらすこと、別の薬物療法の効果を増強すること、疾患の進行を遅延させること、生活の質を向上させること、および/または生存を延長させることの1つまたは複数を含むことができる。
「防止(prevention)」または「防止すること(preventing)」は、疾患または状態の臨床症状を発症させないようにする、疾患または状態の任意の処置を意味する。一部の実施形態では、化合物を、疾患または状態のリスクがあるまたはその家族歴を有する被験体(ヒトを含む)に投与することができる。
「被験体」は、処置、観察または実験の対象である、または対象となる哺乳動物(ヒトを含む)などの動物を指す。本明細書に記載する方法は、ヒトの治療および/または獣医学的適用において有用であり得る。一部の実施形態では、被験体は哺乳動物である。一実施形態では、被験体はヒトである。
医薬組成物の「治療有効量」という用語は、被験体に投与した場合、処置をもたらして、症状の改善または疾患進行の遅延などの治療利益を提供するのに十分な量を意味する。例えば、治療有効量は、Syk活性の阻害に応答性の疾患または状態の症状を減少させるのに十分な量であってよい。治療有効量は、被験体、処置される疾患または状態、被験体の体重および年齢、疾患または状態の重症度ならびに投与の仕方に応じて変動し得、当業者が容易に決定することができる。
「阻害」という用語は、生物学的活性または過程のベースライン活性の低下を示す。「Syk活性の活性の阻害」は、このような医薬組成物の非存在下でのSykの活性に対する、該医薬組成物の存在への直接的または間接的な応答としてのSykの活性の低下を指す。一部の実施形態では、Syk活性の阻害は、処置前の同じ被験体と、またはその処置を受けていない他の被験体と比較することができる。
ある特定の態様では、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)は、がん、アレルギー性障害および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患および/または急性炎症反応を有する被験体を処置するために使用される。
一態様では、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)は、がんの処置において使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載する多形体およびその組成物は、がん細胞などの造血起源のがん細胞の成長または増殖を阻害する方法において用いることができる。一部の実施形態では、がん細胞はリンパ系起源のものであり、特定の実施形態では、がん細胞は、Bリンパ球またはBリンパ球前駆体に関係するまたは由来する。
本開示で開示される方法を使用する処置に敏感に反応するがんには、これらに限定されないが、リンパ腫(例えば、リンパ系および細網内皮系組織の悪性新生物、例えばバーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ球性リンパ腫);多発性骨髄腫;白血病(例えば、リンパ性白血病、慢性骨髄性(骨髄性の)白血病)が含まれる。造血起源の、あるいは別段、脾臓チロシンキナーゼ(Syk)を発現する他のがん細胞も、本明細書に記載する多形体およびその組成物の投与によって処置することができる。
本明細書で提供される方法の特定の実施形態では、がんは白血病またはリンパ腫である。ある特定の実施形態では、がんは、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、難治性iNHL、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)および辺縁帯リンパ腫(MZL)である。ある特定の変形形態では、がんは、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、難治性iNHL、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。一実施形態では、がんは、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)またはB細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)である。非ホジキンリンパ腫は、例えば濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症および辺縁帯リンパ腫を含む無症候性B細胞疾患、ならびに例えばバーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)を含む侵襲性リンパ腫を包含する。一実施形態では、がんは、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。さらに別の実施形態では、がんは、非FL iNHLである。
本明細書で提供される方法の特定の実施形態では、がんは、血液系悪性疾患である。ある特定の実施形態では、血液系悪性疾患は白血病(例えば、慢性リンパ性白血病)またはリンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫)である。一部の変形形態では、がんは、MCL、DLBCL、iNHL、FL、MZL、LPL、SLLまたはWMである。他の変形形態では、がんは、CLL、MCL、DLBCL、iNHL(例えば、非FL iNHLを含む)またはFLである。
他の実施形態では、がんは、固形腫瘍がん(または固形がん腫瘍)である。ある特定の実施形態では、がんは固形腫瘍であり、脾臓チロシンキナーゼ(Syk)活性を発現する。他の実施形態では、固形腫瘍がんは、膵臓がん、肺がん、結腸がん、結腸直腸がん、乳がん、食道がん、腺癌、肝細胞がんからなる群から選択される。一実施形態では、固形腫瘍がんは、膵臓がん、肺がん、結腸直腸がん、卵巣がんおよび肝細胞がんからなる群から選択される。
本明細書で提供される処置方法のいずれかを、進行期のがんを処置するために使用することができる。本明細書で提供される処置方法のいずれかを、局所的に進行期のがんを処置するために使用することができる。本明細書で提供される処置方法のいずれかを、初期段階のがんを処置するために使用することができる。本明細書で提供される処置方法のいずれかを、寛解期のがんを処置するために使用することができる。本明細書で提供される処置方法のいずれかの実施形態の一部では、がんは、寛解後に再発している。本明細書で提供される処置方法のいずれかの一部の実施形態では、がんは進行がんである。
一部の実施形態では、本明細書に記載する化合物および組成物を使用して影響を及ぼすことができる状態および疾患には、これらに限定されないが、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻感冒、枯草熱、気管支ぜんそく、じんましん(urticaria)(じんましん(hives))および食品アレルギーならびに他のアトピー性状態を含むアレルギー性障害;これらに限定されないが、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群、シェーグレン病、組織移植片拒絶および移植器官の超急性拒絶、ぜんそく、全身性エリテマトーデス(および関連糸球体腎炎)、皮膚筋炎、多発性硬化症、強皮症、血管炎(ANCA関連血管炎および他の血管炎)、自己免疫性溶血性状態および血小板減少性状態、グッドパスチャー症候群(および関連糸球体腎炎および肺出血)、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、アジソン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、敗血症性ショックおよび重症筋無力症を含む自己免疫疾患および/または炎症性疾患;これらに限定されないが、日光皮膚炎(skin sunburn)、炎症性骨盤疾患、炎症性腸疾患、尿道炎、ブドウ膜炎(uvitis)、副鼻腔炎、肺炎、脳炎、髄膜炎、心筋炎、腎炎、骨髄炎、筋炎、肝炎、胃炎、腸炎、皮膚炎、歯肉炎、虫垂炎、膵炎および胆嚢炎(cholocystitis)を含む急性炎症反応;多発性嚢胞腎疾患が含まれるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、自己免疫疾患の処置における本明細書に記載する化合物および組成物の使用も提供される。自己免疫疾患のある特定の実施形態には、ぜんそく、関節リウマチ、多発性硬化症およびループスが含まれる。
さらに別の態様では、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を、Syk媒介障害を有する個体に投与することによって、該個体を処置する方法が提供される。本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を個体に投与することによる、個体のSykを調節する方法も提供される。
上記方法のいくつかでは、本開示において提供される医薬組成物は、単位投薬量として、例えば錠剤の形態で個体に投与することができる。
被験体
提供される処置方法のいずれかを、がん、アレルギー性障害および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患および/または急性炎症反応と診断されている、またはそれを有していると疑われる被験体を処置するために使用することができる。
本明細書で提供される方法のいずれかの実施形態の一部では、被験体は、がんを発症するリスクがあるヒト(例えば、遺伝的にまたはそのほかで、がんを発症しやすいヒト)、およびがんと診断されているまたは診断されていないヒトである。本明細書で使用する、「リスクのある」被験体は、がん(例えば、血液系悪性疾患)を発症するリスクがある被験体である。被験体は、検出可能な疾患を有していてもいなくてもよく、本明細書に記載する処置方法の前に、検出可能な疾患を示していてもいなくてもよい。リスクのある被験体は、本明細書に記載するものなどのがんの発症と相関する測定可能なパラメーターである、1つまたは複数のいわゆる危険因子を有し得る。これらの危険因子の1つまたは複数を有する被験体は、これらの危険因子(複数可)を有していない個体より、がんを発症する確率が高い。
これらの危険因子には、例えば、年齢、性別、人種、食事、既往症の履歴、前駆疾患の存在、遺伝的(例えば、遺伝性の)考慮事項および環境曝露が含まれ得る。一部の実施形態では、がんのリスクのある被験体には、例えば、その親類がこの疾患を経験している被験体、および遺伝子マーカーまたは生化学マーカーの分析でそのリスクが決定されている被験体が含まれる。がんを有していたという前歴も、例えば、がんの再発の場合の危険因子であり得る。
本明細書では、がん(例えば、血液系悪性疾患)に関連する1つまたは複数の症状を示す被験体(例えば、ヒト)を処置するための方法も提供される。一部の実施形態では、被験体は、がんの初期段階にある。他の実施形態では、被験体は、がんの進行期にある。
一部の実施形態では、被験体(例えば、ヒト)は、Syk活性に応答性のがんを有する。別の実施形態では、ヒトは、Sykを発現する固形がん腫瘍を有する。一部の実施形態では、ヒトは、17p欠失、TP53変異、NOTCH1、SF3B1変異、11q欠失またはそれらの任意の組合せを有する。一実施形態では、ヒトは、17p欠失、TP53変異またはそれらの組合せを有する。別の実施形態では、ヒトは、NOTCH1、SF3B1変異、11q欠失またはそれらの任意の組合せを有する。
本明細書では、化学療法、放射線療法、免疫療法および/または外科処置などの、がん(例えば、血液系悪性疾患)を処置するための1つまたは複数の標準療法を受けている被験体(例えば、ヒト)を処置するための方法も提供される。したがって、一部の上記実施形態では、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を、化学療法、放射線療法、免疫療法および/または外科処置を施す前、その最中またはその後で投与することができる。
別の態様では、がん処置に対して「難治性」である、または、がん(例えば、血液系悪性疾患)の処置後に「再発」している被験体(例えば、ヒト)を処置するための方法が本明細書で提供される。抗がん療法に対して「難治性」である被験体は、彼らが特定の処置に応答しないことを意味し、これは耐性とも称される。がんは、処置の開始から処置に耐性である可能性がある、または、処置の過程の間、例えば処置がそのがんに対してある効果を示したが、寛解または部分寛解と考えるのには十分でなかったその後に、耐性になる可能性がある。「再発」している被験体は、ある改善期間の後、例えば、被験体が寛解または部分寛解した後などの、処置が、がんの有効な減少を示した後、がんが再発している、またはがんの兆候および症状が生じていることを意味する。
一部の実施形態では、被験体は、(i)少なくとも1つの抗がん療法に対して難治性である、または、(ii)少なくとも1つの抗がん療法で処置した後に再発している、あるいは(i)と(ii)の両方であるヒトであってよい。実施形態の一部では、被験体は、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの抗がん療法(例えば、標準的または実験的な化学療法を含む)に対して難治性である。他の実施形態では、被験体は、少なくとも1つの抗がん療法への先行曝露(prior exposure)を有するヒトであってよい。
ある特定の実施形態では、被験体は、慢性リンパ性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)または非FL無症候性非ホジキンリンパ腫(例えば、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンストレームマクログロブリン血症(LPL/WM)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)および辺縁帯リンパ腫(MZL)を含む)のための少なくとも1つの療法に対して、(i)難治性である、かつ/または、(ii)それで処置した後に再発している、かつ/または、(iii)それへの先行曝露を有しているヒトである。
一部の変形形態では、被験体は、非FL無症候性非ホジキンリンパ腫のための少なくとも1つの療法に対して、(i)難治性である、かつ/または、(ii)それで処置した後に再発している、かつ/または、(iii)それへの先行曝露を有しているヒトである。ある特定の実施形態では、非FL無症候性非ホジキンリンパ腫は、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンストレームマクログロブリン血症(LPL/WM)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)または辺縁帯リンパ腫(MZL))である。別の変形形態では、被験体は、濾胞性リンパ腫(FL)のための少なくとも1つの療法に対して、(i)難治性である、かつ/または、(ii)それで処置した後に再発している、かつ/または、(iii)それへの先行曝露を有しているヒトである。別の変形形態では、被験体は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のための少なくとも1つの療法に対して、(i)難治性である、かつ/または、(ii)それで処置した後に再発している、かつ/または、(iii)それへの先行曝露を有しているヒトである。別の変形形態では、被験体は、マントル細胞リンパ腫(MCL)のための少なくとも1つの療法に対して、(i)難治性である、かつ/または、(ii)それで処置した後に再発している、かつ/または、(iii)それへの先行曝露を有しているヒトである。さらに別の変形形態では、被験体は、慢性リンパ性白血病(CLL)のための少なくとも1つの療法に対して、(i)難治性である、かつ/または、(ii)それで処置した後に再発している、かつ/または、(iii)それへの先行曝露を有しているヒトである。さらに別の変形形態では、被験体は、慢性リンパ性白血病(CLL)のためのホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤またはB細胞受容体(BCR)処置に対して、(i)難治性である、かつ/または、(ii)それで処置した後に再発している、かつ/または、(iii)それへの先行曝露を有しているヒトである。
一部の実施形態では、被験体は、フルダラビン、リツキシマブ、オビヌツズマブ、アルキル化剤、アレムツズマブおよび他の化学療法処置、例えばCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン);R−CHOP(リツキシマブ−CHOP);hyperCVAD(多分割シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メトトレキサート、シタラビン);R−hyperCVAD(リツキシマブ−hyperCVAD);FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン);R−FCM(リツキシマブ、フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン);ボルテゾミブおよびリツキシマブ;テムシロリムスおよびリツキシマブ;テムシロリムスおよびVelcade(登録商標);ヨウ素−131 トシツモマブ(Bexxar(登録商標))およびCHOP;CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン);R−CVP(リツキシマブ−CVP);ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド);R−ICE(リツキシマブ−ICE);FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ);FR(フルダラビン、リツキシマブ);ならびにD.T.PACE(デキサメタゾン、サリドマイド、シスプラチン、Adriamycin(登録商標)、シクロホスファミド、エトポシド)から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの抗がん療法(例えば、標準的または実験的化学療法を含む)に対して難治性である。
化学療法処置(標準的または実験的化学療法を含む)の他の例は、以下に記載されている。さらに、ある特定のリンパ腫の処置は、Cheson, B.D.、Leonard, J.P.、「Monoclonal Antibody Therapy for B−Cell Non−Hodgkin’s Lymphoma」The New England Journal of Medicine 2008年、359巻(6号)、613〜626頁;およびWierda, W.G.、「Current and Investigational Therapies for Patients with CLL」Hematology 2006年、285〜294頁に概説されている。米国におけるリンパ腫の発生パターンは、Morton, L.M.ら「Lymphoma Incidence Patterns by WHO Subtype in the United States, 1992−2001」Blood 2006年、107巻(1号)、265〜276頁に概説(profile)されている。
例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、特にB細胞起源のものの処置は、モノクローナル抗体、標準的な化学療法アプローチ(例えば、CHOP、CVP、FCM、MCPなど)、放射免疫療法およびそれらの組合せ、特に抗体療法を化学療法と統合したものの使用を含む。非ホジキンリンパ腫/B細胞がんのための非コンジュゲート型モノクローナル抗体の例には、リツキシマブ、アレムツズマブ、ヒトまたはヒト化抗CD20抗体、ルミリキシマブ、抗TRAIL、ベバシズマブ、ガリキシマブ、エプラツズマブ、SGN−40および抗CD74が含まれる。非ホジキンリンパ腫/B細胞がんの処置において使用される実験的抗体剤の例には、オファツムマブ、ha20、PRO131921、アレムツズマブ、ガリキシマブ、SGN−40、CHIR−12.12、エプラツズマブ、ルミリキシマブ、アポリズマブ、ミラツズマブおよびベバシズマブが含まれる。非ホジキンリンパ腫/B細胞がんのための化学療法の標準的なレジメンの例には、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)、FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、MCP(ミトキサントロン、クロラムブシルおよびプレドニゾロン)、R−CHOP(リツキシマブ+CHOP)、R−FCM(リツキシマブ+FCM)、R−CVP(リツキシマブ+CVP)およびR−MCP(R−MCP)が含まれる。非ホジキンリンパ腫/B細胞がんのための放射免疫療法の例には、イットリウム−90標識イブリツモマブチウキセタンおよびヨウ素−131標識トシツモマブが含まれる。
別の例では、マントル細胞リンパ腫(MCL)のための治療的処置には、併用化学療法、例えばCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)、hyperCVAD(多分割シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メトトレキサート、シタラビン)およびFCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン)が含まれる。さらに、これらのレジメンを、モノクローナル抗体リツキシマブ(Rituxan)で補充して、併用療法R−CHOP、hyperCVAD−RおよびR−FCMを形成させることができる。他のアプローチには、上記療法のいずれかと、幹細胞移植またはICE(イホスファミド、カルボプラチンおよびエトポシド)での処置を組み合わせることが含まれる。マントル細胞リンパ腫を処置するための他のアプローチには、リツキシマブ(Rituxan)のようなモノクローナル抗体を使用するなどの免疫療法が含まれる。リツキシマブは、辺縁帯リンパ腫、WM、CLLおよび小リンパ球性リンパ腫を含む無症候性B細胞がんを処置するために使用することができる。修正されたアプローチは、モノクローナル抗体を、ヨウ素−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標))およびイットリウム−90 イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))などの放射性同位体粒子と組み合わせる放射免疫療法である。別の例では、Bexxar(登録商標)は、CHOPでの逐次的処置において使用される。別の免疫治療の例には、個々の被験体の腫瘍の遺伝子構成をもとにしたがんワクチンの使用が含まれる。リンパ腫ワクチンの例はGTOP−99(MyVax(登録商標))である。マントル細胞リンパ腫を処置するためのさらに他のアプローチは、高用量化学療法を加えた自家幹細胞移植を含む、あるいは、マントル細胞リンパ腫の処置は、プロテアソーム阻害剤、例えばVelcade(登録商標)(ボルテゾミブまたはPS−341)、または抗血管新生剤、例えばサリドマイド(特にRituxanと組み合わせて)を投与することを含む。別の処置アプローチは、他の化学療法剤と組み合わせた、オブリメルセン(Genasense)などの、Bcl−2タンパク質の分解をもたらし、化学療法へのがん細胞感受性を高める薬物を投与することである。別の処置アプローチには、細胞増殖の阻害、さらには細胞死をもたらすことができるmTOR阻害剤を投与することが含まれる;非限定的な例は、テムシロリムス(CCI−779)、およびRituxan(登録商標)、Velcade(登録商標)または他の化学療法剤と組み合わせたテムシロリムスである。
MCLのための他の最近の療法が開示されている(Nature Reviews;Jares, P.2007年)。このような例には、フラボピリドール、PD0332991、R−ロスコビチン(セリシクリブ(Selicilib)、CYC202)、スチリルスルホン、オバトクラックス(GX15−070)、TRAIL、抗TRAIL DR4抗体およびDR5抗体、テムシロリムス(CCl−779)、エベロリムス(RAD001)、BMS−345541、クルクミン、ボリノスタット(SAHA)、サリドマイド、レナリドミド(Revlimid(登録商標)、CC−5013)およびゲルダナマイシン(17−AAG)が含まれる。
ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)を処置するために使用される他の治療剤の例には、ペリホシン、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、リツキシマブ、クエン酸シルデナフィル(Viagra(登録商標))、CC−5103、サリドマイド、エプラツズマブ(hLL2−抗CD22ヒト化抗体)、シンバスタチン、エンザスタウリン、campath−1H、デキサメタゾン、DT PACE、オブリメルセン、アンチネオプラストン(antineoplaston)A10、アンチネオプラストンAS2−1、アレムツズマブ、βアレチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン塩酸塩、プレドニゾン、硫酸ビンクリスチン、フルダラビン、フィルグラスチム、メルファラン、組換えインターフェロンアルファ、カルムスチン、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、エトポシド、メルファラン、ドラスタチン10、インジウムIn 111モノクローナル抗体MN−14、イットリウムY90ヒト化エプラツズマブ、抗胸腺細胞グロブリン、ブスルファン、シクロスポリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、治療用同種異系リンパ球、イットリウムY90イブリツモマブチウキセタン、シロリムス、タクロリムス、カルボプラチン、チオテパ、パクリタキセル、アルデスロイキン、組換えインターフェロンアルファ、ドセタキセル、イホスファミド、メスナ、組換えインターロイキン−12、組換えインターロイキン−11、Bcl−2ファミリータンパク質阻害剤ABT−263、デニロイキンジフチトクス、タネスピマイシン、エベロリムス、ペグフィルグラスチム、ボリノスタット、アルボシジブ(alvocidib)、組換えflt3リガンド、組換えヒトトロンボポエチン、リンフォカイン活性化キラー細胞、アミホスチン三水和物、アミノカンプトテシン、イリノテカン塩酸塩、カスポファンギン酢酸塩、クロファラビン、エポエチンアルファ、ネララビン、ペントスタチン、サルグラモスチム、ビノレルビン二酒石酸塩、WT−1アナログペプチドワクチン、WT1 126−134ペプチドワクチン、フェンレチニド、イクサベピロン、オキサリプラチン、モノクローナル抗体CD19、モノクローナル抗体CD20、オメガ−3脂肪酸、ミトキサントロン塩酸塩、酢酸オクトレオチド、トシツモマブおよびヨウ素I−131トシツモマブ、モテクサフィンガドリニウム、三酸化ヒ素、ティピファニブ、自家ヒト腫瘍由来HSPPC−96、ベルツズマブ、ブリオスタチン1およびペグ化リポソームドキソルビシン塩酸塩ならびにそれらの任意の組合せが含まれる。
WMを処置するために使用される治療手順の例には、末梢血幹細胞移植、自家造血幹細胞移植、自家骨髄移植、抗体療法、生物学的療法、酵素阻害剤療法、全身照射、幹細胞の注入、幹細胞サポートでの骨髄除去、in vitro処置末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、免疫酵素技術、薬理学的研究、低LETコバルト−60ガンマ線療法、ブレオマイシン、従来型の外科処置、放射線療法および骨髄非破壊同種造血幹細胞移植が含まれる。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)薬物療法を処置するために使用される他の治療剤の例には(Blood 2005年、Abramson, J.)、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、抗CD20モノクローナル抗体、エトポシド、ブレオマイシン、ワルデンストレームマクログロブリン血症(Waldenstrom’s)について挙げた薬剤の多数、ならびにそれらの任意の組合せ、例えばICEおよびR−ICEが含まれる。
慢性リンパ性白血病(CLL)を処置するために使用される他の治療剤の例には(Spectrum、2006年、Fernandes, D.)、クロラムブシル(Leukeran)、シクロホスファミド(Cyloxan、Endoxan、Endoxana、Cyclostin)、フルダラビン(Fludara)、ペントスタチン(Pentstatin)(Nipent)、クラドリビン(Leustarin)、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Adriblastine)、ビンクリスチン(Oncovin)、プレドニゾン、プレドニゾロン、アレムツズマブ(Campath、MabCampath)、ワルデンストレームマクログロブリン血症のために挙げた薬剤の多数、ならびに一般的な併用レジメン:CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン);R−CVP(リツキシマブ−CVP);ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド);R−ICE(リツキシマブ−ICE);FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ);およびFR(フルダラビン、リツキシマブ)を含む併用化学療法および化学免疫療法が含まれる。
別の態様では、(i)少なくとも1つの化学療法処置に対して難治性である、または、(ii)化学療法での処置後に再発している、あるいは(i)と(ii)の両方である被験体(例えば、ヒト)を感受性にする方法であって、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を被験体に投与するステップを含む方法が提供される。感受性になった被験体は、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)の投与を含む処置に応答する、またはこのような処置に対する耐性を発達させていない被験体である。
別の態様では、併存症を有するがんについて被験体(例えば、ヒト)を処置するための方法であって、処置が、併存症を処置するのにも有効である方法が本明細書で提供される。がんとの「併存症」は、がんと同時に起こる疾患である。
一部の実施形態では、併存症を有する慢性リンパ性白血病(CLL)について被験体(例えば、ヒト)を処置するための方法であって、処置が、併存症を処置するのにも有効である方法が本明細書で提供される。CLLを有する多くの被験体は、1つまたは複数の他の疾患、例えば血圧系、血管および心臓系、内分泌および代謝系、泌尿生殖器系、筋骨格系、呼吸器系、神経系、上部および下部胃腸系、精神医学的系、耳、鼻および咽喉系、腎臓系または肝臓系に影響を及ぼす疾患を有する。CLLの具体的な病的状態には、これらに限定されないが、1つまたは複数の他のがん(例えば、乳がん、頭頸部がん、肺がん、黒色腫、非ホジキンT細胞リンパ腫、前立腺がん、結腸がん、小腸がん、婦人科のがんおよび尿路がん)、高血圧症、高脂血症、冠動脈疾患、末梢血管疾患、心筋症、心臓弁膜症(vulvular heart disease)、心房細動、脳血管疾患(例えば、一過性脳虚血発作、脳卒中)、慢性閉塞性肺疾患、関節疾患、消化性潰瘍、炎症性腸疾患、精神病(psychiatric illness)、甲状腺疾患、良性前立腺肥大、真性糖尿病および変形性関節症が含まれる(Satram−Hoangら、Journal of Cancer Therapy、2013年;4巻:1321〜1329頁;Thurmesら、Leukemia & Lymphoma、2008年;49巻(1号):49〜56頁)。
一部の実施形態では、被験体(例えば、ヒト)におけるCLLの併存症を処置する方法であって、その方法は、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を被験体に投与するステップを含む。一部の実施形態では、併存症は、1つまたは複数の他のがん(例えば、乳がん、頭頸部がん、肺がん、黒色腫、非ホジキンT細胞リンパ腫、前立腺がん、結腸がん、小腸がん、婦人科のがんおよび尿路がん)、高血圧症、高脂血症、冠動脈疾患、末梢血管疾患、心筋症、心臓弁膜症、心房細動、脳血管疾患(例えば、一過性脳虚血発作、脳卒中)、慢性閉塞性肺疾患、関節疾患、消化性潰瘍、炎症性腸疾患、精神病、甲状腺疾患、良性前立腺肥大、真性糖尿病および変形性関節症からなる群から選択される。
単剤療法および併用療法
式Iの化合物のメシル酸塩(例えばビスメシル酸塩を含む)またはその水和物が、被験体に投与されるただ1つの治療剤であるように、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を被験体(例えば、ヒト)に投与する処置方法が提供される。被験体(例えば、ヒト)に投与される本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を、被験体(例えば、ヒト)に、1つまたは複数の追加の治療剤または他の療法と併用して与える処置方法も提供される。単剤療法および併用療法の両方は、本明細書で詳述される方法、例えば本明細書で詳述される疾患または状態のいずれかを処置する方法において使用するため、および本明細書で詳述される任意の対象(subject)とともに使用するために意図され、記載されている。
単剤療法
一部の実施形態では、がん、アレルギー性障害および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患および/または急性炎症反応を処置する方法は、それを必要とする被験体に本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を投与するステップを含み、被験体は別の薬剤または手順で、同じ疾患または状態のための療法を受けていない。
本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)が、がんと診断されている、またはそれを有すると疑われている被験体に、単剤療法として投与される一部の実施形態では、被験体は、(i)少なくとも1つの抗がん療法に対して難治性である、または、(ii)少なくとも1つの抗がん療法で処置した後に再発している、あるいは(i)と(ii)の両方であるヒトであってよい。実施形態の一部では、被験体は、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの抗がん療法(例えば、標準的または実験的化学療法を含む)に対して難治性である。例えば、一部の実施形態では、被験体は、(i)抗CD20抗体、アルキル化剤(例えば、ベンダムスチン)、プリン類似体(例えば、フルダラビン)、アントラサイクリンまたはそれらの任意の組合せを使用した療法に対して難治性である;(ii)抗CD20抗体、アルキル化剤(例えば、ベンダムスチン)、プリン類似体(例えば、フルダラビン)、アントラサイクリンまたはそれらの任意の組合せで処置した後に再発している、あるいは(i)と(ii)の両方であるヒトであってよい。
上記したような、少なくとも1つの抗がん療法に難治性である、および/または少なくとも1つの抗がん療法による処置後に再発しているヒト被験体は、1つまたは複数の先行する療法を受けている可能性がある。一部の実施形態では、このような被験体は、本明細書に記載する方法を使用する処置の前に(例えば、単剤療法として、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を投与する前に)、1つ、2つ、3つもしくは4つ、または少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つもしくは少なくとも5つ、または1〜10、1〜9つ、1〜8つ、1〜7つ、1〜6つ、1〜5つもしくは1〜4つの抗がん療法を受けている。
被験体(例えば、ヒト)を、単剤療法として、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩で処置する場合、その被験体は、抗がん療法でない1つまたは複数の他の療法を受けていてもよいことを理解すべきである。
一部の実施形態では、がん、例えばCLLと診断されている被験体(例えば、ヒト)における、これに限定されないがCLLを含むがんの併存症を処置する方法であって、その方法は、併存症を処置するための療法を、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)と併用して被験体に投与するステップを含む。一部の実施形態では、併存症は、1つまたは複数の他のがん(例えば、乳がん、頭頸部がん、肺がん、黒色腫、非ホジキンT細胞リンパ腫、前立腺がん、結腸がん、小腸がん、婦人科のがんおよび尿路がん)、高血圧症、高脂血症、冠動脈疾患、末梢血管疾患、心筋症、心臓弁膜症、心房細動、脳血管疾患(例えば、一過性脳虚血発作、脳卒中)、慢性閉塞性肺疾患、関節疾患、消化性潰瘍、炎症性腸疾患、精神病、甲状腺疾患、良性前立腺肥大、真性糖尿病、および変形性関節症からなる群から選択される。
併用療法
一部の実施形態では、がん、アレルギー性障害および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患および/または急性炎症反応を処置する方法は、それを必要とする被験体(例えば、ヒト)に、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を、がん、アレルギー性障害および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患および/または急性炎症反応を処置するのに有用であり得る1つまたは複数の追加の療法(例えば、1つまたは複数の追加の治療剤)と一緒に投与するステップを含む。
一部の実施形態では、がん、アレルギー性障害および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患および/または急性炎症反応を処置する方法は、それを必要とする被験体に、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を、がん、アレルギー性障害および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患および/または急性炎症反応を処置するのに有用であり得る第2の活性薬剤と一緒に投与するステップを含む。例えば、第2の薬剤は抗炎症剤であってよい。第2の活性薬剤での処置は、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)での処置の前、それと同時またはその後であってよい。一部の実施形態では、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を、単一剤形中で別の活性薬剤と組み合わせる。
本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を、がんと診断されている、またはそれを有すると疑われている被験体(例えば、ヒト)に投与する処置の方法であって、上記の抗がん療法の1つまたは複数を含む1つまたは複数の追加の療法と併せて被験体に与える処置の方法も本明細書で提供される。したがって、一部の実施形態では、それを必要とする被験体(例えば、ヒト)のがんを処置するための方法は、被験体に、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を、がんの処置に有用であり得る1つまたは複数の追加の療法と一緒に投与するステップを含む。1つまたは複数の追加の療法は1つまたは複数の治療剤の投与を含むことができる。
一態様では、それを必要とするヒトのがんを処置する方法であって、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)および追加の治療剤をヒトに投与するステップを含む方法が提供される。上記実施形態のいずれかでは、がんの処置は、例えば白血病、リンパ腫および固形細胞腫瘍を含むことができる。
追加の治療剤は、1つまたは複数の薬剤であってよい。一部の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤は、例えば、その構造を以下に示す化合物A、B、CおよびD
を含むホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤であってよい。
他の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤は、リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)の阻害剤、または例えば、ヒトLOXL2に向けられる免疫グロブリンIgG4アイソタイプを有するヒト化モノクローナル抗体(mAb)を含むLOXL2と結合する物質であってよい。さらに他の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤は、アポトーシスシグナル調節キナーゼ(ASK−1)の阻害剤、またはASK−1と結合する物質であってよい。さらに他の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤は、JAK1もしくはJAK2などのヤヌスキナーゼの阻害剤、またはJAK1もしくはJAK2などのヤヌスキナーゼと結合する物質であってよい。一実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤はモメロチニブである。他の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤は、ブルトンのチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤であってよい。さらに他の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤はB細胞リンパ腫(BCL)阻害剤であってよい。一部の変形形態では、BCL阻害剤はBCL−2阻害剤である。一変形形態では、BCL阻害剤はABT−199である。
さらに他の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤は、フルダラビン、リツキシマブ、オビヌツズマブ、アルキル化剤、アレムツズマブおよび他の化学療法処置、例えばCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン);R−CHOP(リツキシマブ−CHOP);hyperCVAD(多分割シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メトトレキサート、シタラビン);R−hyperCVAD(リツキシマブ−hyperCVAD);FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン);R−FCM(リツキシマブ、フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン);ボルテゾミブおよびリツキシマブ;テムシロリムスおよびリツキシマブ;テムシロリムスおよびVelcade(登録商標);ヨウ素−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標))およびCHOP;CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン);R−CVP(リツキシマブ−CVP);ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド);R−ICE(リツキシマブ−ICE);FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ);FR(フルダラビン、リツキシマブ);ならびにD.T.PACE(デキサメタゾン、サリドマイド、シスプラチン、Adriamycin(登録商標)、シクロホスファミド、エトポシド)であってよい。
他の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤は、ビンカアルカロイドであってよい。一変形形態では、ビンカアルカロイドは、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、デスオキシビンカミノール、ビンカミノール、ビンブルニン、ビンカマジンおよびビネリジンならびに薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される。ある特定の変形形態では、少なくとも1つのビンカアルカロイドは、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、デスオキシビンカミノール、ビンカミノール、ビンブルニン、ビンカマジンおよびビネリジンならびに薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される。一部の変形形態では、ビンカアルカロイドは、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンならびに薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される。他の変形形態では、ビンカアルカロイドは、ビンクリスチンおよびビンブラスチンならびに薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される。一変形形態では、ビンカアルカロイドは、ビンクリスチンおよび薬学的に許容されるその塩である。別の変形形態では、ビンカアルカロイドは、ビンブラスチンおよび薬学的に許容されるその塩である。したがって、一態様では、それを必要とするヒトのがんを処置するための方法であって、ヒトに、本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む);およびビンカアルカロイドまたは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法が提供される。
他の実施形態では、1つまたは複数の追加の療法は、例えば慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)および/または急性骨髄性白血病(AML)を含む白血病を処置するのに適した任意の単剤療法または併用療法であってよい。
他の実施形態では、1つまたは複数の追加の治療剤は、抗炎症剤であってよい。1つまたは複数の追加の治療剤での処置は、本明細書に記載する医薬組成物での処置の前、それと同時またはその後であってよい。一部の実施形態では、本明細書に記載する医薬組成物を、単一剤形において別の治療剤と組み合わせる。本明細書に記載する少なくとも1つの化学的実体と組み合わせて使用できる適切な抗腫瘍治療薬には、これらに限定されないが、化学療法剤、例えばマイトマイシンC、カルボプラチン、タキソール、シスプラチン、パクリタキセル、エトポシド、ドキソルビシンまたは上記化学療法剤の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。放射線療法抗腫瘍剤もやはり、単独か、または、化学療法剤と組み合わせて使用することができる。
本明細書に記載する医薬組成物は、化学感作剤として有用であり得、したがって、他の化学療法薬、特にアポトーシスを誘導する薬物と組み合わせると有用であり得る。
化学療法を受けている被験体(例えば、ヒト)に、化学療法剤に対するがん細胞の感受性を増加させるのに十分な量で、化学療法剤を、本明細書に記載する医薬組成物と一緒に投与するステップを含む、化学療法に対するがん細胞の感受性を増加させるための方法も、本明細書で提供される。本明細書に記載する化学的実体と組み合わせて使用できる他の化学療法薬の例には、トポイソメラーゼI阻害剤(カンプトテシン(camptothesin)またはトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ダウノマイシンおよびエトポシド)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メルファランおよびBCNU)、チューブリン指向性薬剤(例えば、タキソールおよびビンブラスチン)、ならびに生物学的薬剤(例えば、抗体、例えば抗CD20抗体、IDEC8、免疫毒素およびサイトカイン)が含まれる。
一部の実施形態では、本明細書に記載する医薬組成物を、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、またはCD20+B細胞を選択的に枯渇させることによって機能する他の薬剤と組み合わせて使用する。
本明細書では、本明細書に記載する医薬組成物を、抗炎症剤と組み合わせて投与する処置方法が含まれる。抗炎症剤には、これらに限定されないが、NSAID、非特異的およびCOX−2特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、金化合物、コルチコステロイド、メトトレキサート、腫瘍壊死因子受容体(TNF)受容体アンタゴニスト、免疫抑制剤およびメトトレキサートが含まれる。NSAIDの例には、これらに限定されないが、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセンおよびナプロキセンナトリウム、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストールの組合せ、スリンダク、オキサプロジン、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、ケトプロフェン、ナブメトンナトリウム、スルファサラジン、トルメチンナトリウムおよびヒドロキシクロロキンが含まれる。NSAIDの例には、COX−2特異的阻害剤(すなわち、COX−1についてのIC50より少なくとも50倍小さいIC50でCOX−2を阻害する化合物)、例えばセレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブおよび/またはロフェコキシブも含まれる。
さらなる実施形態では、抗炎症剤はサリチレートである。サリチレートには、これらに限定されないが、アセチルサリチル酸すなわちアスピリン、サリチル酸ナトリウム、およびサリチル酸コリンおよびサリチル酸マグネシウムが含まれる。抗炎症剤は、コルチコステロイドであってもよい。例えば、コルチコステロイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウムおよびプレドニゾンから選択することができる。一部の実施形態では、抗炎症治療剤は、金チオリンゴ酸ナトリウムまたはオーラノフィンなどの金化合物である。一部の実施形態では、抗炎症剤は、代謝阻害剤、例えば、メトトレキサートなどのジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤、またはレフルノミドなどのジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ阻害剤である。
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗炎症性化合物が、抗C5モノクローナル抗体(エクリズマブまたはパキセリズマブなど)、エタネルセプト(entanercept)または抗TNFアルファモノクローナル抗体であるインフリキシマブなどのTNFアンタゴニストである組合せを使用する。
一部の実施形態では、少なくとも1つの治療剤がメトトレキサート、レフルノミド、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制剤化合物である組合せを使用する。
上記の追加の治療剤の任意の組合せを、ありとあらゆる組合せが個別に挙げられているかの如く、使用できることを理解すべきである。例えば、ある特定の実施形態では、追加の治療剤には、PI3K阻害剤およびLOXL2阻害剤が含まれる。
キット
本明細書に記載する医薬組成物(例えば、錠剤および単位剤形を含む)を含むキットも提供される。
一態様では、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;および薬学的担体を含む医薬組成物を含むキットが提供される。ある特定の態様では、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物および薬学的担体を含む医薬組成物を含むキットが提供される。一態様では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物および薬学的担体を含む医薬組成物を含むキットが提供される。ある特定の態様では、式IAまたはIBのメシル酸塩またはその水和物;および薬学的担体を含む医薬組成物を含むキットが提供される。他の態様では、式IAまたはIBのメシル酸塩水和物;および薬学的担体を含む医薬組成物を含むキットが提供される。一態様では、多形形態3;および薬学的担体を含む医薬組成物を含むキットが提供される。別の態様では、多形形態7;および薬学的担体を含む医薬組成物を含むキットが提供される。
一変形形態では、メシル酸塩は、式IAのビスメシル酸塩である。特定の変形形態では、メシル酸塩は、式IAのビスメシル酸塩の形態3である、式IAのビスメシル酸塩の形態7またはそれらの混合物である。本明細書に記載するように、形態3および形態7は、式Iの化合物のビスメシル酸塩の多形形態である。例えば、形態3は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である。
一態様では、キットは、がんまたは炎症状態の処置での使用のための指示を含む。特定の変形形態では、指示は、例えば白血病またはリンパ腫を含むがんの処置のための医薬組成物の使用を対象とする。ある特定の実施形態では、がんは、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、難治性iNHL、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)および辺縁帯リンパ腫(MZL)である。ある特定の実施形態では、がんは、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、難治性iNHL、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。一実施形態では、がんは、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)またはB細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)である。一部の実施形態では、がんは、MCL、DLBCL、iNHL、FL、MZL、LPL、SLLまたはWMである。他の実施形態では、がんは、CLL、MCL、DLBCL、iNHL(例えば、非FL iNHLを含む)またはFLである。
非ホジキンリンパ腫は、例えば濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症および辺縁帯リンパ腫を含む無症候性B細胞疾患、ならびに、例えばバーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)を含む侵襲性リンパ腫を包含する。一実施形態では、がんは、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。別の実施形態では、がんは、非FL iNHLである。
特定の変形形態では、指示は、自己免疫疾患の処置のための医薬組成物の使用を対象とする。自己免疫疾患のある特定の実施形態は、ぜんそく、関節リウマチ、多発性硬化症およびループスを含む。
本開示で提供される任意の医薬組成物は、ありとあらゆる組成物がキットの使用のために具体的かつ個別に挙げられている場合と同様に、キットにおいて使用することができる。例えば、一実施形態では、キットは:a)約34%w/wの式Iの化合物のメシル酸塩(例えばモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む);b)約15%w/wのHPMC;c)約22%w/wのマンニトール;d)約10%w/wのクロスポビドン;およびe)約1%w/w〜約3%w/wのポロクサマーを含むことができる。別の実施形態では、キットは:a)約34%w/wの式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;b)約15%w/wのHPMC;c)約22%w/wのマンニトール;d)約10%w/wのクロスポビドン;およびe)約1%w/w〜約3%w/wのポロクサマーを含むことができる。さらに別の実施形態では、キットは:a)約34%w/wの式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;b)約15%w/wのHPMC;c)約22%w/wのマンニトール;d)約10%w/wのクロスポビドン;およびe)約1%w/w〜約3%w/wのポロクサマーを含むことができる。さらに別の実施形態では、キットは:a)約34%w/wの多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せ;b)約15%w/wのHPMC;c)約22%w/wのマンニトール;d)約10%w/wのクロスポビドン;およびe)約1%w/w〜約3%w/wのポロクサマーを含むことができる。
製造品
式Iの化合物のメシル酸塩(例えばモノメシル酸塩、ビスメシル酸塩またはそれらの組合せを含む)および少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーを含む医薬組成物が収容されている容器を含む製造品が提供される。製造品は、本開示で提供される医薬組成物を含む瓶、バイアル、アンプル、単回使用の使い捨て可能なアプリケーターなどであってよい。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料で形成されていてよく、一態様では、がんまたは炎症状態の処置において使用するための使用法を示す、容器上のラベルまたは容器と関連したラベルも含む。
一態様では、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物を含む製造品が提供される。ある特定の態様では、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物を含む製造品が提供される。一態様では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物を含む製造品が提供される。ある特定の態様では、式IAまたはIBのメシル酸塩またはその水和物を含む製造品が提供される。他の態様では、式IAまたはIBのメシル酸塩水和物を含む製造品が提供される。一態様では、多形形態3を含む製造品が提供される。一態様では、多形形態7を含む製造品が提供される。上記実施形態のいずれかにおいて、製造品は、メシル酸塩の使用のための取扱説明を含むラベルをさらに含むことができる。
式Iの化合物のメシル酸塩(例えばモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む)および少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーを含む医薬組成物の単位剤形(unit dosage form)も提供される。一態様では、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物を含む単位剤形(unit dosage)が提供される。ある特定の態様では、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物を含む単位剤形が提供される。一態様では、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物を含む単位剤形が提供される。ある特定の態様では、式IAまたはIBのメシル酸塩またはその水和物を含む単位剤形が提供される。他の態様では、式IAまたはIBのメシル酸塩水和物を含む単位剤形が提供される。一態様では、多形形態3を含む単位剤形が提供される。一態様では、多形形態7を含む単位剤形が提供される。上記実施形態のいずれかでは、単位剤形は錠剤である。
本開示で提供される任意の医薬組成物は、ありとあらゆる組成物が製造品の使用のために具体的かつ個別的に挙げられている場合と同様に製造品において使用することができる。例えば、一実施形態では、製造品は:a)約34%w/wの式Iの化合物のメシル酸塩(例えばモノメシル酸塩またはビスメシル酸塩を含む);b)約15%w/wのHPMC;c)約22%w/wのマンニトール;d)約10%w/wのクロスポビドン;およびe)約1%w/w〜約3%w/wのポロクサマーを含むことができる。別の実施形態では、製造品は:a)約34%w/wの式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物;b)約15%w/wのHPMC;c)約22%w/wのマンニトール;d)約10%w/wのクロスポビドン;およびe)約1%w/w〜約3%w/wのポロクサマーを含むことができる。さらに別の実施形態では、製造品は:a)約34%w/wの式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物;b)約15%w/wのHPMC;c)約22%w/wのマンニトール;d)約10%w/wのクロスポビドン;およびe)約1%w/w〜約3%w/wのポロクサマーを含むことができる。さらに別の実施形態では、製造品は:a)約34%w/wの多形形態3、多形形態7またはそれらの組合せ;b)約15%w/wのHPMC;c)約22%w/wのマンニトール;d)約10%w/wのクロスポビドン;およびe)約1%w/w〜約3%w/wのポロクサマーを含むことができる。
実施形態の列挙
列挙された以下の実施形態は、本発明の一部の態様を代表するものである。
1.式IAのビスメシル酸塩
および少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーを含む医薬組成物。
2.式IAのビスメシル酸塩が錠剤として製剤化される、実施形態1の医薬組成物。
3.式IAのビスメシル酸塩が固体分散体錠剤として製剤化される、実施形態2の医薬組成物。
4.固体分散体錠剤が、噴霧乾燥固体分散体錠剤である、実施形態3の医薬組成物。
5.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーが、ポリマーマトリクスを形成する、実施形態3または4の医薬組成物。
6.式IAのビスメシル酸塩が、ポリマーマトリクス中に分散されている、実施形態5の医薬組成物。
7.錠剤が乾式造粒錠剤である、実施形態2の医薬組成物。
8.式IAのビスメシル酸塩が、13.8、16.9、22.9および26.1の2θ反射(±0.2°)を含むX線回折パターンを有する形態3の多形体である、実施形態7の医薬組成物。
9.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーの1つが析出抑制剤である、実施形態1から8のいずれか1つの医薬組成物。
10.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーの1つがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、実施形態1から8のいずれか1つの医薬組成物。
11.少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、実施形態1から10のいずれか1つの医薬組成物。
12.少なくとも1つの賦形剤の1つがマンニトールである、実施形態11の医薬組成物。
13.クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースの任意の1つまたは複数をさらに含む、実施形態1から12のいずれか1つの医薬組成物。
14.実施形態1から13のいずれか1つの医薬組成物を含む単位剤形。
15.錠剤である、実施形態14の単位剤形。
16.実施形態1から13のいずれか1つの医薬組成物または実施形態14もしくは15の単位剤形を含む製造品。
17.状態を処置することを必要とする被験体の状態を処置する方法であって、被験体に、治療有効量の実施形態1から13のいずれか1つの医薬組成物あるいは治療有効量の実施形態14または15の単位剤形を投与するステップを含み、状態が、がんおよび自己免疫疾患からなる群から選択される方法。
18.被験体がヒトである、実施形態17の方法。
19.状態が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)、難治性iNHL、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)からなる群から選択される、実施形態17または18の方法。
20.状態が、ぜんそく、関節リウマチ、多発性硬化症およびループスからなる群から選択される、実施形態17または18の方法。
21.(i)式Iの化合物:
のビスメシル酸塩またはその水和物、および
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む組成物。
22.ビスメシル酸塩が、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である、実施形態21の組成物。
23.ビスメシル酸塩が、7.7、12.9、17.7および18.1の2θ反射(±0.2°2θ)を含むX線回折パターンを有する多形体である、実施形態21または22の組成物。
24.ビスメシル酸塩が、13.8、16.9、22.9および26.1の2θ反射(±0.2°2θ)をさらに含むX線回折パターンを有する多形体である、実施形態23の組成物。
25.ビスメシル酸塩が、以下の寸法:a=8.7831(6)Å;b=11.8484(8)Å;c=14.2485(10)Å;α=98.108(6)°;β=100.955(6)°;およびγ=98.861(6)°の結晶X線結晶解析により決定される単位格子によって特徴付けられる多形体である、実施形態21の組成物。
26.メタンスルホン酸をさらに含む、実施形態21から25のいずれか1つの組成物。
27.(i)式Iの化合物:
またはそのカチオン;
(ii)メタンスルホン酸またはそのアニオン;および
(iii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む組成物。
28.メタンスルホン酸またはそのアニオンおよび式Iの化合物またはそのカチオンが、2:1〜3:1、2:1〜2.7:1もしくは2.1:1〜2.5:1もしくは2.2:1〜2.4:1または約2.3:1もしくは約2.4:1のメタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比で組成物中に存在する、実施形態27の組成物。
29.少なくとも1つの薬学的に許容される担体が、少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーである、実施形態21から28のいずれか1つの組成物。
30.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーが析出抑制剤である、実施形態29の組成物。
31.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーが非イオン性である、実施形態29の組成物。
32.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ピロキシリン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールからなる群から選択される、実施形態29の組成物。
33.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、実施形態32の組成物。
34.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーから得ることができるポリマーマトリクスを含む、実施形態29から33のいずれか1つの組成物。
35.式Iの化合物またはそのカチオンおよびメタンスルホン酸またはそのアニオンがポリマーマトリクス中に分散されている、実施形態34の組成物。
36.水をさらに含む、実施形態21から35のいずれか1つの組成物。
37.噴霧乾燥のための供給溶液である、実施形態21、22および26から36のいずれか1つの組成物。
38.噴霧乾燥粉末である、実施形態21、22および26から35のいずれか1つの組成物。
39.粉末が非結晶性である、実施形態38の組成物。
40.粒子が、6.3および26.1〜26.6の2θ反射(±0.2°2θ)を含むX線回折パターンによって特徴付けられる、実施形態38または39の組成物。
41.錠剤である、実施形態21から25および38から40のいずれか1つの組成物。
42.少なくとも1つの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、流動促進剤または滑沢剤またはそれらの任意の組合せをさらに含む、実施形態41の組成物。
43.少なくとも1つの賦形剤の1つがマンニトールである、実施形態42の組成物。
44.クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースの任意の1つまたは複数をさらに含む、実施形態41から43のいずれか1つの組成物。
45.錠剤を製造する方法であって、
a)(i)式Iの化合物:
またはそのカチオン;
(ii)メタンスルホン酸またはそのアニオン;
(iii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体;および
(iv)水
を含む供給溶液から噴霧乾燥粉末を形成させるステップと、
b)噴霧乾燥粉末および少なくとも1つの追加の薬学的に許容される担体を乾式造粒して顆粒を形成させるステップと、
c)顆粒を圧縮して錠剤を形成させるステップと
を含む方法。
46.メタンスルホン酸またはそのアニオンおよび式Iの化合物またはそのカチオンが、2:1〜3:1、2:1〜2.7:1、もしくは2.1:1〜2.5:1、もしくは2.2:1〜2.4:1または約2.3:1もしくは約2.4:1のメタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比で供給溶液中に存在する、実施形態45の方法。
47.錠剤を製造する方法であって、
a)(i)式Iの化合物:
のビスメシル酸塩またはその水和物、および
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を乾式造粒して顆粒を形成させるステップと、
b)顆粒を圧縮して錠剤を形成させるステップと
を含む方法。
48.実施形態44から47のいずれか1つの方法に従って作製される錠剤。
49.実施形態21から35および38から44のいずれか1つの組成物または実施形態48の錠剤を含む単位剤形。
50.実施形態21から35および38から44のいずれか1つの組成物または実施形態48の錠剤または実施形態49の単位剤形を含む製造品。
51.状態を処置することを必要とするヒトの状態を処置する方法であって、ヒトに、治療有効量の実施形態21から35および38から44の組成物または治療有効量の実施形態48の錠剤または治療有効量の実施形態49の単位剤形を投与するステップを含み、状態が、がんおよび自己免疫疾患からなる群から選択される方法。
52.状態が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、および、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)からなる群から選択される、実施形態51の方法。
53.状態が、非ホジキンリンパ腫(NHL)である、実施形態52の方法。
54.NHLが、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である、実施形態53の方法。
55.iNHLが、難治性iNHLまたは非FL iNHLである、実施形態54の方法。
56.状態が、ぜんそく、関節リウマチ、多発性硬化症およびループスからなる群から選択される、実施形態51の方法。
57.(i)(A)式Iの化合物:
およびメタンスルホン酸か;または、
(B)式Iの化合物のメシル酸塩:
もしくはその水和物のいずれか;
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体;および
(iii)水
を組み合わせて供給溶液を形成させるステップ
を含む、噴霧乾燥のための供給溶液を調製する方法。
58.メシル酸塩またはその水和物を、少なくとも1つの薬学的に許容される担体および水と組み合わせて供給溶液を形成させる実施形態57の方法であって、メタンスルホン酸を供給溶液と組み合わせるステップをさらに含む方法。
59.式Iの化合物のメシル酸塩またはその水和物が、式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物である、実施形態57または58の方法。
60.式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物が、式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物である、実施形態59の方法。
61.式Iの化合物のビスメシル酸塩水和物が、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である、実施形態60の方法。
62.実施形態58から61のいずれか1つの方法に従って調製された噴霧乾燥のための供給溶液。
63.(i)式Iの化合物のビスメシル酸塩:
および
(ii)担体
を含む供給溶液。
64.メタンスルホン酸をさらに含む、実施形態63の供給溶液。
65.(i)式Iの化合物:
またはそのカチオン;
(ii)メタンスルホン酸またはそのアニオン;および
(iii)担体
を含む供給溶液。
66.メタンスルホン酸またはそのアニオンおよび式Iの化合物またはそのカチオンが、2:1〜3:1、2:1〜2.7:1もしくは、2.1:1〜2.5:1もしくは2.2:1〜2.4:1または約2.3:1もしくは約2.4:1のメタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比で組成物中に存在する、実施形態65の供給溶液。
67.担体が、薬学的に許容される担体である、実施形態63から66のいずれか1つの供給溶液。
68.薬学的に許容される担体が、薬学的に許容されるポリマーである、実施形態67の供給溶液。
69.薬学的に許容されるポリマーが析出抑制剤である、実施形態68の供給溶液。
70.薬学的に許容されるポリマーが非イオン性である、実施形態68の供給溶液。
71.薬学的に許容されるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ピロキシリン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールからなる群から選択される、実施形態68の供給溶液。
72.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、実施形態71の供給溶液。
73.組成物が、薬学的に許容されるポリマーから得ることができるポリマーマトリクスを含む、実施形態68から72のいずれか1つの供給溶液。
74.式Iの化合物またはそのカチオンおよびメタンスルホン酸またはそのアニオンがポリマーマトリクス中に分散されている、実施形態73の供給溶液。
75.水をさらに含む、実施形態63から74のいずれか1つの供給溶液。
76.(i)式Iの化合物:
のビスメシル酸塩および
(ii)担体
を含む噴霧乾燥粉末。
77.メタンスルホン酸をさらに含む、実施形態76の噴霧乾燥粉末。
78.(i)式Iの化合物:
またはそのカチオン;
(ii)メタンスルホン酸またはそのアニオン;および
(iii)担体
を含む噴霧乾燥粉末。
79.メタンスルホン酸またはそのアニオンおよび式Iの化合物またはそのカチオンが、2:1〜3:1、2:1〜2.7:1、もしくは2.1:1〜2.5:1もしくは2.2:1〜2.4:1または約2.3:1もしくは約2.4:1のメタンスルホン酸またはそのアニオンと式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比で組成物中に存在する、実施形態78の噴霧乾燥粉末。
80.担体が、薬学的に許容される担体である、実施形態76から79のいずれか1つの噴霧乾燥粉末。
81.薬学的に許容される担体が、薬学的に許容されるポリマーである、実施形態80の噴霧乾燥粉末。
82.薬学的に許容されるポリマーが析出抑制剤である、実施形態80の噴霧乾燥粉末。
83.薬学的に許容されるポリマーが非イオン性である、実施形態80の噴霧乾燥粉末。
84.薬学的に許容されるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ピロキシリン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールからなる群から選択される、実施形態80の噴霧乾燥粉末。
85.少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、実施形態84の噴霧乾燥粉末。
86.組成物が、薬学的に許容されるポリマーから得ることができるポリマーマトリクスを含む、実施形態81から85のいずれか1つの噴霧乾燥粉末。
87.式Iの化合物またはそのカチオンおよびメタンスルホン酸またはそのアニオンがポリマーマトリクス中に分散されている、実施形態86の噴霧乾燥粉末。
88.非結晶性である、実施形態76から87のいずれか1つの噴霧乾燥粉末。
89.粒子が、6.3および26.1〜26.6の2θ反射(±0.2°2θ)を含むX線回折パターンによって特徴付けられる、実施形態76から88のいずれか1つの噴霧乾燥粉末。
90.実施形態76から89のいずれか1つによる噴霧乾燥粉末を含む錠剤。
91.実施形態1から13、21から35および38から44のいずれか1つの組成物;実施形態48または90の錠剤;実施形態14、15および49のいずれか1つの単位剤形(unit dosage);または実施形態76から89のいずれか1つの噴霧乾燥粉末を含むキット。
92.がんまたは自己免疫疾患である状態の処置において使用するための指示をさらに含む、実施形態91のキット。
93.状態が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)からなる群から選択される、実施形態92のキット。
94.状態が、非ホジキンリンパ腫(NHL)である、実施形態92のキット。
95.NHLが、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である、実施形態94のキット。
96.iNHLが、難治性iNHLまたは非FL iNHLである、実施形態95のキット。
97.状態が、ぜんそく、関節リウマチ、多発性硬化症およびループスからなる群から選択される、実施形態92のキット。
98.容器を含む製造品であって、その容器が、実施形態1から13、21から35および38から44のいずれか1つの組成物;実施形態48または90の錠剤;実施形態14、15および49のいずれか1つの単位剤形;または実施形態76から89のいずれか1つの噴霧乾燥粉末を含む製造品。
99.容器が、瓶、バイアル、アンプルまたはアプリケーターである、実施形態98の製造品。
以下の実施例は、本開示の実施形態を例示するために含めるものであり、本開示の範囲を限定しようとするものではない。当業者は、本明細書で開示される技術は、本開示の実践において適用される技術を表すことを理解すべきである。当業者は、本開示に照らして、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、本明細書での実施例において変更を加えることができることを理解するはずである。
A.一般的合成
本明細書に記載する多形体(例えば、形態3および形態7)は、X線粉末回折パターン(XRPD)などの当技術分野で公知の様々な方法によって特徴付けることができる。多形形態3に関して、例示的なXRPDパターンを図1Aおよび1Bに示す。多形形態7に関して、代表的なXRPDパターンを図1Cおよび1Dに示す。
以下の実施例において、「X」という用語は、相当重量(weight equivalent)を指し、「V」は相当体積を指す。「RH」は相対湿度を指す。
(実施例A1)
多形形態3の合成
種々の形態の式Iの化合物を一般的に作製するための方法は、米国特許第8,450,321号および同第8,455,493号に見出すことができる。以下は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体(以下の反応スキームにおいて示される式IAの化合物の一水和物の多形体として記載することもできる)である多形形態3を作製するための方法である。
式Iの化合物(1.0X)を、反応器Aに加えた。メタンスルホン酸(0.56X、2.40eq)、水(4X、4V)およびアセトン(3.2X、4V)を反応器Bに加えた。反応器A内の温度を35℃未満に維持しながら、反応器Bの内容物を反応器Aに加えた。固体を溶解させた後、反応器Aの内容物を反応器Bに移した。反応器Aを、水(1X、1V)およびアセトン(0.8X、1V)ですすぎ、反応器Bに移した。反応器Bの温度を19〜25℃に調整した。高撹拌下で、アセトン(11.9X、15V)を反応器Bに加えた。反応器Bの温度を0〜6℃に調整し、反応器Bの内容物を5h混合し、次いで濾過し、アセトン(4.0X、5V)ですすいで多形形態7を得た。形態7を、真空下、60℃で一定重量が達成されるまで乾燥させた。多形形態7のXRPDの代表的なパターンを、図1Cおよび1Dに示す。
単離された多形形態7を、反応器B中の式IAの化合物の多形形態3の種(0.01X、1mol%)に加えた。アセトン(15.4X、19.5V)および水(0.5X、0.5V)を反応器Bに加え、19〜25℃で、多形形態7が形態3に転換されるまで混合した。この転換をXRPDまたはDSCで監視した。反応器Bの内容物を濾過し、アセトン(2.4X、3V)ですすぎ、真空下、60℃で一定重量が達成されるまで乾燥させた。多形形態3のXRPDの代表的なパターンを、図1Aおよび1Bに示す。
(実施例A2)
多形形態3の代替合成
以下は、多形形態3である、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物(以下の反応スキームにおいて示される式IAの化合物の一水和物の多形体として記載することもできる)を作製するための方法である。
多形形態7を、実施例A1に記載したようにして得た。
単離された多形形態7を、反応器B中の式IAの化合物の多形形態3の種(0.01X、1mol%)に加えた。アセトン(15.0X、19.0V)および水(1.0X、1.0V)を反応器Bに加えた。反応器Bの内容物を、多形形態7が形態3に転換されるまで、加熱還流(約55℃)した。この転換をXRPDまたはDSCで監視した。反応器Bの内容物はスラリーであり、これを19〜25℃に冷却し、次いで濾過し、アセトン(2.4X、3V)ですすぎ、真空下、60℃で一定重量が達成されるまで乾燥させて多形形態3を得た。多形形態3のXRPDの代表的なパターンを、図1Aおよび1Bに示す。
(実施例A3)
多形形態3のワンポット合成
以下は、式Iの化合物(遊離塩基として)から、多形形態3である、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物(以下の反応スキームにおいて示される式IAの化合物の一水和物の多形体として記載することもできる)を作製するための方法である。ここに記載する方法は、式Iの化合物の多形形態3への転換において単一の反応器を使用し、化合物中間体の単離を必要としない。
式Iの化合物(1.0X)を、反応器A中のアセトン(14.2X、18V)に加え、混合した。水(0.8X、0.8V)を反応器Aに加え、次いでメタンスルホン酸(0.48X、2.05eq)を加えた。アセトン(0.9X、1.2V)をポンプ輸送し、ラインをアセトンで反応器Aの方向へすすいだ。反応器Aの内容物を、約2時間、加熱還流(約55℃)させた。多形形態3の種(0.015X、1mol%)を反応器Aに加え、内容物を還流下で混合して、式IAの化合物を多形形態3に転換させた。この転換をXRPDで監視した。反応器の内容物を19〜25℃に冷却し、濾過し、アセトン(4.0X、5V)ですすぎ、真空下、60℃で乾燥させた。多形形態3のXRPDの代表的なパターンを、図1Aおよび1Bに示す。
(実施例A4)
モノMSA中間体を経由する多形形態3のための代替の合成経路
この実施例は、式Iの化合物のモノMSA塩からの多形形態3(これは式Iの化合物のビスMSA塩一水和物の多形体である)の合成の記載を提供するものである。
ギ酸(3.7X)を反応容器に入れ、酢酸エチル(9.7X)と組み合わせる。内容物を撹拌し、約19〜25℃に調整する。内容物の温度を約19〜25℃に維持しながら、式IのモノMSA化合物(1.0X)を分割して入れる。内容物を、すべての固体が溶解するまで約19〜25℃で撹拌する。
上記内容物に、別個の反応容器中で調製した酢酸エチル(0.6X)およびメタンスルホン酸(0.169X、MSA含量、およびモノMSA化合物中に存在する水について補正)の溶液を加える。得られた混合物を、約19〜25℃で約24h撹拌する。反応混合物をサンプリングし、イオンクロマトグラフィーにより、MSA含量について試験する。所望範囲のMSA含量が達成されるまで、撹拌を続行する。反応が完了したら、反応容器の内容物を濾過し、酢酸エチル(3.6X)ですすぎ、湿潤濾過ケーキを真空下、約60℃で乾燥させる。乾燥した固体を反応容器に戻す。
乾燥固体にアセトン(15.0X)を加え、得られた混合物を、最大の撹拌下に置く。水(0.50X)を加え、次いでアセトン(0.70X)を加える。XRPD分析で確認して、多形形態3への形態転換が完了するまで、混合物を約19〜25℃で撹拌する。固体を濾過し、アセトン(2.4X)ですすぎ、湿潤ケーキを真空下、約60℃で乾燥させる。
本明細書を通して、様々な特許、特許出願および他の種類の出版物(例えば、学術論文)が参照されている。本明細書で引用するすべての特許、特許出願および出版物の開示は、すべての目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(実施例A5)
多形形態3および多形形態7のXRPD測定
この実施例は、多形形態3および多形形態7のXRPD測定についての実験条件およびデータを記載する。
多形形態3
XRPDパターンを、Optixの長い微小焦点源を使用して作製されるCu放射線の入射ビームを使用するPANalytical X’Pert PRO MPD回折計で収集した。検体を経由しかつ検出器上にCu Kα X線の焦点を合わせるために、楕円傾斜型多層膜ミラー(elliptically graded multilayer mirror)を使用した。分析の前に、シリコン検体(NIST SRM640d)を分析して、Si111ピークの観測位置が、NIST認定位置と一致することを確認した。試料の検体を3μm厚フィルム間に挟み、透過型幾何形状において分析した。空気によって発生するバックグラウンドを最小化させるために、ビームストップ、短い散乱防止エクステンション(short antiscatter extension)および散乱防止ナイフエッジを使用した。入射ビームおよび回折ビーム用のソーラースリットを使用して、軸発散により拡大するのを最小化させた。回折パターンを、検体から240mmに位置する走査型位置敏感型検出器(X’Celerator)およびData Collectorソフトウェアv.2.2bを使用して収集した。各パターンについてのデータ取得パラメーターは、ミラーの前の発散スリット(DS)を含めて、本報告書のデータの部における画像の上部に示す。好ましくは、強い強度を有する非重複型の低角度のピークを特定することによって、顕著なピークを観測ピークから選択する。
多形形態3の例示的なXRPDパターンを図1Aに示す。図1Aを参照すると、形態3についての特徴的なXRPD2θ反射(±0.2°)は13.75、16.90、22.88および26.06である。
多形形態7
XRPDパターンを、回転による反射ステージ、データ取得範囲:2〜40°2θ、銅(Cu)アノード;Kα1/Kα2放射線;管電流40mA;管電圧45kV;自動発散スリットおよび散乱防止スリットで構成されたPANalytical X’Pert MPD Pro粉末X線回折計を使用して収集した。試料を、固体材料をシリコンホルダー上に薄層として広げることによって分析用に調製した。各ホルダーを反射/透過ステージ上に取り付け、データ取得の間、回転させた。
多形形態7の例示的なXRPDパターンを図1Cに示す。図1Cを参照すると、形態7についての特徴的なXRPD2θ反射(±0.2°)は4.94、9.82および26.68である。
(実施例A6)
多形形態3および多形形態7のXRPD測定
この実施例は、多形形態3および多形形態7のXRPD測定についての実験条件およびデータを記載するものである。
X線粉末回折(XRPD)パターンを、Cu Kα放射線(40kV、40mA)、自動XYZステージ、自動試料位置決めのためのレーザービデオ顕微鏡およびHiStar二次元面積検出器を使用して、Bruker AXS C2 GADDS回折計で収集した。X線光学系(optics)は、0.3mmのピンホールコリメータと連結された単一のGoebel多層膜ミラーからなる。認定されている標準的なNIST1976コランダム(平板)を使用して、性能チェックを毎週実施する。
ビーム発散、すなわち試料上でのX線ビームの有効サイズはおよそ4mmであった。θ−θ連続走査モードは、3.2°〜29.7°の有効な2θ範囲をもたらす20cmの試料−検出器の距離で用いた。典型的には、試料を、X線ビームに120秒間曝露させる。データ収集のために使用したソフトウェアはXP/2000 4.1.43用のGADDSであり、そのデータを分析し、Diffrac Plus EVA v15.0.0.0を使用して提示した。
周囲条件:周囲条件下で行う試料を、粉砕せずに受け入れたままで粉末を使用して、平板検体として調製した。およそ1〜2mgの試料を、スライドガラス上で軽く押圧して平らな表面を得た。
非周囲条件:非周囲条件下で行う試料を、熱伝導性化合物でシリコンウエハー上に取り付けた。次いで試料を20℃/分で適切な温度に加熱し、続いて等温で1分間保持した後、データ収集を開始した。
(実施例A7)
多形形態3および多形形態7のXRPD測定
この実施例は、多形形態3および多形形態7のXRPD測定についての実験条件およびデータを記載する。
X線粉末回折(XRPD)パターンを、Cu Kα放射線(40kV、40mA)、θ〜2θゴニオメーターならびにV4および受光スリットの発散、Ge単色光分光器およびLynxeye検出器を使用してBruker D8回折計で収集した。機器は、認定コランダム標準品(NIST1976)を使用して性能チェックする。データ収集のために使用したソフトウェアはDiffrac Plus XRD Commander v2.6.1であり、Diffrac Plus EVA v15.0.0.0を使用して、データを解析し提示した。
試料を、受け入れたままの粉末を使用して、平板検体として、周囲条件下で実行した。試料を、研磨されたゼロバックグラウンド(510)シリコンウエハー中の空洞カット部に緩やかに入れた。試料を、分析の間、それ自体の面内で回転させた。データ収集の詳細は:
角度範囲:2〜42°2θ
ステップサイズ:0.05°2θ
収集時間:0.5s/ステップ
である。
非周囲条件下での試料実行:およそ40mgの試料を、周囲条件下で、Niコーティングした試料ホルダー中に入れた。試料を25℃で搭載した。次いで試料を適切な温度に加熱した。データ収集の詳細は:
角度範囲:3〜30°2θ
ステップサイズ:0.05°2θ
収集時間:0.5s/ステップ
である。
(実施例A8)
多形形態3の単結晶X線構造
この実施例は、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形形態3の単結晶X線構造を記載する。
多形形態3の単結晶X線構造は、三斜晶系、空間群P−1においてRTで決定した。非対称な単位中に、式Iの化合物の1つのカチオン、2つのメシレートアニオンおよび1つの水分子が存在しており、最終R1[I>2σ(I)]=4.53%であった。この形態のための参照としての役目を果たすように、XRPDパターンを結晶構造から計算した(図9)。
構造的特徴
単結晶X線回折による分析に十分なサイズおよび量の結晶を、酢酸イソプロピル中における50℃〜RT、8時間サイクルでの熟成によって得た。結晶は、およそ0.50×0.22×0.15mmの寸法を有するブロック状の形態のものであった。
多形形態3の構造は、図14A〜14Dで示すようにして決定した。以下の表A1に、多形形態3についての試料および結晶データをまとめる。
B.式IAのビスメシル酸塩の乾式造粒製剤(「製剤1」)
以下の実施例は、上記実施例Aに従って調製した形態3である、式IAのビスメシル酸塩一水和物の乾式造粒錠剤を対象とする。式IAのビスメシル酸塩一水和物の乾式造粒錠剤は本明細書では、通常、「製剤1」と称することもできることを理解すべきである。
(実施例B1)
製造プロセス
この実施例は、乾式造粒プロセスを使用した錠剤としての式IAのビスメシル酸塩一水和物の調製を実証する。
方法
式IAのビスメシル酸塩一水和物、マンニトール、HPMC、クロスポビドン、ポロクサマー188およびコロイド状二酸化ケイ素でできた粒内粉末ブレンドを調製し、次いで、Gertiseミニパクター(minipactor)上で異なる圧縮力およびミルスクリーンサイズを使用するローラー圧縮のために、4つのサブロットに分割した。以下のパラメーターを使用した:左側に平滑ローラー、および右側にナールドローラ(knurled roller);2mmの隙間;ローラー速度が3rpm;および造粒機が60rpm。各サブロットを、追加の造粒添加剤(ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロースおよびクロスポビドンを含む)と混合し、最終ブレンドを、粒径、Flodexによる流動性、かさ密度、タップ密度および圧縮プロファイルについて特徴付けた。結果を以下の表1、および図2Aにまとめる。
同じミルスクリーンサイズ、1mmで、粒径が、圧縮力に依存することが観察された。より高い圧縮力は、より大きな平均粒径をもたらし、また、より高いかさ密度およびタップ密度ももたらすことが観察された。しかし、Flodexは、試験した3つのすべての圧縮力について、同じ12mmで留まった。圧縮力を3KNに維持したまま、ミルスクリーンサイズを1.25mmに変更すると、Flodexは14mmに増加し、平均粒径、かさ密度およびタップ密度はすべて若干増加した。図2Bに示すように、すべてのブレンドは良好な圧縮率を有することが観察されたが、より高い圧縮力を有するサブロットは若干低い圧縮率を示した。まとめると、Fmのための製造プロセスは、試験した処理パラメーターの範囲内で頑健なものであるようであった。この最終製剤の組成を以下の表2に挙げる。
(実施例B2)
崩壊研究
この実施例は、上記実施例B1に従って調製した乾式造粒錠剤において使用した種々の崩壊剤および賦形剤の効果を実証する。この実施例においてスクリーニングした崩壊剤には:クロスポビドン(Polyplasdone XL)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol)、デンプングリコール酸ナトリウム(Explotab)、Pharmaburst、F−meltおよびAmberliteが含まれる。崩壊のスクリーニングに使用した製剤(すなわち、製剤Fa、Fb、Fc、Fd、FeおよびFf)を、以下の表3にまとめる。
崩壊剤を、標準的なUSP崩壊装置を使用して、0.01N HCl中、37℃でスクリーニングした。10分後に残留する錠剤のパーセンテージを視覚的に推定した。この崩壊研究のために、製剤の粒内添加剤だけを混合し、350mgの混合物を圧縮して8〜10Kpの硬度を有する錠剤にした。
この崩壊剤スクリーニングの結果を上記表3にまとめる。クロスポビドンおよびPharmburst製剤(すなわち、それぞれFaおよびFd)は、最も速く浸食していることが観察された。
続く研究において、崩壊剤としてクロスポビドンを保持しながら、以下の賦形剤:マンニトール、アルファ化デンプン、リン酸カルシウムおよびコハク酸を、Faで使用した賦形剤と比較した。製剤組成および崩壊試験の結果を、以下の表4にまとめる。以下の表に認められるように、マンニトール製剤(Fg)は、最も速い浸食を示した。
(実施例B3)
溶解研究
この実施例は、上記実施例B1に従って調製した乾式造粒製剤において使用した、種々の析出抑制剤および界面活性剤の効果を実証する。製剤Fk、FlおよびFmを試験した。それらの組成を以下の表5に示す。
3つの製剤を、媒体として、900mLの1%臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を含むpH4.5の50mM酢酸ナトリウム緩衝液を用いて、37℃に維持しながら、USPパドル装置を75rpmで使用して試験した。経時的に放出された式Iの化合物の程度を、HPLC法で監視した。
製剤Fx200mg錠剤(その組成は以下の表6に示す)の溶解も、同じ方法を使用して試験した。
4つすべての製剤の溶解プロファイルを図3に示す。製剤Fxでは、式Iの化合物の20%は1時間以内に溶解した。対照的に、すべての製剤Fk、FlおよびFmにおける式Iの化合物の溶解は1時間以内で80%であった。製剤Fk、FlおよびFmの中で、Fkはより速く溶解し、30分で溶解ピークに達した。30〜60分で、製剤Fk中の式Iの化合物の量は急速に減少した。製剤Fkと比較して、製剤FlおよびFmはより遅く溶解し、45分でピークに達したが、溶液中の式Iの化合物の量は、60分前には減少しなかった。これらの結果は、過飽和を維持するのに、HPMCが非常に重要であることを示していた。
(実施例B4)
マンニトールの効果
この実施例は、上記実施例B1に従って調製した乾式造粒錠剤におけるマンニトールの効果を実証する。この実施例で使用した製剤の成分、およびこのような成分の量を以下の表7にまとめる。
製剤を、標準的なUSP崩壊装置を使用して、0.01N HCl中、37℃で試験した。異なる時点で、残留する錠剤のパーセンテージを視覚的に推定した。結果を以下の表8にまとめる。表8に認められるように、マンニトールを使用した場合、微結晶性セルロースと比較して、30分間の過程で、より少ないパーセンテージの錠剤が残留した(すなわち、10分後に、より多いパーセンテージの錠剤が崩壊した)。したがって、この実施例は、マンニトールが、錠剤の浸食速度を増加させることを実証している。
(実施例B5)
イヌモデルでの薬物動態学的研究
この実施例は、製剤Fx(上記実施例B3にまとめた)ならびに製剤FmおよびFlをペンタガストリンまたはファモチジンで前処置したイヌに投与することの薬物動態学的効果を実証する。
絶食イヌにおけるペンタガストリン前処置(試験製剤投与の30分前に、6μg/kgを筋肉内注射)を使用して、ヒトにおける絶食時の胃pHを模擬した。絶食イヌにおけるファモチジン前処置(試験製剤投与の1時間前に、20mgを経口で)を使用して、酸抑制剤を試験製剤と共投与した場合のヒトの胃pHを模擬した。この研究の結果を以下の表9にまとめる。
この表に示すように、製剤Fxについて、ファモチジンで前処置したイヌにおける曝露は、ペンタガストリンで前処置したイヌの場合と比較して、100倍超減少した。対照的に、図11に認められるように、製剤Fmは、ファモチジンで前処置したイヌにおいて、曝露は約75倍増加することが観察された。さらに、ファモチジンで前処置したイヌでの曝露は、ペンタガストリンで前処置したイヌでの曝露と同等であることが観察された。これは、製剤Fmは、ヒトにおいて、酸抑制剤との薬物−薬物相互作用を最小化させることができたことを示唆している。
(実施例B6)
安定性研究
この実施例は、上記実施例B2に記載した製剤Fdの安定性を実証する。
処理の間における式IAのビスメシル酸塩の物理的安定性を、粉末X線回折(XRPD)により試験した。図4に示すように、形態の変化は観察されなかった。
貯蔵の間の錠剤の化学的および物理的な安定性も研究した。10個の錠剤を、0または3gのシリカゲル乾燥剤を含む各100mL高密度ポリエチレン(HDPE)瓶に入れた。その瓶を、インダクションシールしたアルミニウム表面のライナーを備えたポリプロピレンねじ蓋で蓋をした。瓶を以下の条件:25℃/60%RH、40℃/75%RHおよび60℃で保持した。錠剤を、化学的安定性についてはHPLCで、物理的安定性についてはXRPDで分析した。
以下の表10に示すように、錠剤は化学的に安定である。
10個(10)の錠剤を、3または0グラムのTri−sorb乾燥剤を含む100mLの白色高密度ポリエチレンHDPE瓶に入れた。各瓶を、インダクションシールしたアルミニウム表面のライナーを備えた、白色の連続ねじ山の(continuous thread)チャイルドレジスタント型ポリプロピレンねじ蓋を使用して蓋をした。
25℃/60%RHで、新たな分解物は観察されなかったが、RRT1.29不純物だけは若干増加した。40℃/75%RHで3カ月間後、乾燥剤の存在下では0.1%の全不純物の増加しか観察されなかったが、乾燥剤の非存在下では0.2%の増加が観察された。乾燥剤の非存在下、60℃で、安定性は40℃/75%の場合と同等であった。XRPDを3カ月の時点で実施し、形態の変化は観察されなかった(データは示さず)。
C.式IAのビスメシル酸塩の固体分散体製剤(「製剤2」)
以下の実施例は、上記実施例Aに従って調製した、形態3である、式IAのビスメシル酸塩一水和物(その一水和物など)の固体分散体製剤を対象とする。式IAのビスメシル酸塩の固体分散体錠剤は本明細書では、通常、「製剤2」と称することもできることを理解すべきである。
(実施例C1)
噴霧乾燥および錠剤化プロセス
この実施例は、式IAのビスメシル酸塩の噴霧乾燥分散体を含む錠剤の調製を実証する。
式IAのビスメシル酸塩をヒプロメロース2910および精製水と組み合わせ、噴霧乾燥し、必要であれば、次いで二次乾燥した。供給溶液および得られた噴霧乾燥粉末の定量的な組成を以下の表11に示す。
15%固形分の供給溶液は、以下の表12に示すように、ガラス容器とステンレス鋼容器の両方において、周囲条件で許容される粘度(約10cP)および化学的安定性を示した。
供給溶液安定性実験の過程にわたって、pHは約1.3で一定に留まり、析出やゲル化は観察されなかった。噴霧乾燥プロセスを、Anhydro MS35噴霧乾燥機を使用して評価した。噴霧乾燥粉末の固体状態特性を、以下の表13に概要を示す。フィージビリティバッチのすべてが、類似した粒径、水分含量、および135℃〜140℃の範囲の高いT
g値を有していた。
得られた固体分散体(33.7%w/wの式Iの化合物)を、マンニトール、ポロクサマー188、クロスポビドンおよびコロイド状二酸化ケイ素とブレンドして粉砕し、次いでこれをステアリン酸マグネシウム、クロスポビドンおよび微結晶性セルロースとブレンドし、圧縮して錠剤を形成させた。
プロセス最適化は、2つの主要パラメーターである、ローラー圧縮プロセスでの圧縮力とミルスクリーンサイズの効果に焦点を合わせた。およそ1.8kgの粒内粉末ブレンドを調製し、次いで、異なる圧縮力(3または5kN/cm)およびミルスクリーンサイズ(1または1.25mm)を使用したローラー圧縮のために、3つのサブロットに分割した。以下のパラメーターを引き続き使用した:左側に平滑ローラー、右側にナールドローラ、2mmの隙間および3rpmのローラー速度。各サブロットの最終ブレンドを調製し、粒径、Flodexによる流動性、かさ密度およびタップ密度ならびに圧縮プロファイルについて特徴付けた。結果を表14および図8Aにまとめる。
スクリーンサイズを1mmで保持した場合、より高い5kN/cmの圧縮力は、より大きい平均粒径、より大きいかさ密度およびタップ密度ならびにより良好な流動性をもたらした。図8Bに示すように、これらのブレンドのすべてが高度に圧縮性であった。
この最終製剤の組成を、以下の表15に挙げる。
(実施例C2)
ポリマースクリーニング
この実施例は、上記実施例C1で示したプロトコールに従って調製した噴霧乾燥製剤において使用した種々のポリマーの効果を実証する。
噴霧乾燥粉末を、以下の表16に挙げたポリマーとの1:2(w/w)の遊離塩基としての式Iの化合物:ポリマーの比の1:2の比を用いて、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物(形態3)から調製した。
噴霧乾燥粉末の物理的安定性を、40℃/75%RH開放条件で貯蔵した後、X線粉末回折(XRPD)を使用して評価した。上記表で分かるように、驚くべきことに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、結晶化を防止することが見出された唯一の試験ポリマーであることが観察された。
(実施例C3)
崩壊研究
この実施例は、式IAのビスメシル酸塩についての噴霧乾燥固体分散体製剤における使用のための種々の添加剤の効果を実証する。スクリーニングした添加剤の種類と範囲の概要を以下の表17に示す。
製剤を、標準的なUSP崩壊装置を使用して、水と0.01N HClの両方の中で、37℃でスクリーニングした。経時的に残留する錠剤のパーセンテージを視覚的に推定した。結果を以下の表18にまとめる。
クロスポビドンで作製した錠剤は、Ac−di−solで作製したものより、0.01N HCl中で、より速く浸食し、より速い溶解速度を示した。さらに、上記表に示すように、デキストロースやスクロースなどの簡単な糖は、浸食速度を増加させることが観察された。マンニトール製剤(F1)およびデキストロース製剤(F6)の溶解を、溶解試験法を使用して比較した。図9は、溶解速度について、異なる糖の取り込みの比較結果を示していた。
(実施例C4)
イヌモデルでの薬物動態学的研究
この実施例は、種々の固体分散体製剤のファモチジンで前処置したイヌへの投与の薬物動態学的効果を比較する。ファモチジンで前処置したイヌにおいてスクリーニングした製剤の概要を以下の表19に示す。
この研究のためのPKデータを以下の表20にまとめる。
上記表に認められるように、初期崩壊スクリーニングの間、ポロクサマー407を含む製剤は、ポロクサマー188を含むものより若干速く浸食していることが観察された。同様に、粒外部分におけるクロスポビドンの量を増加させると、浸食速度は改善された。噴霧供給溶液中に界面活性剤(TPGS)を組み入れることの効果を試験するために、製剤Cを投与した。処理性を改善するために、製剤Dを、粒外部分においてフィラーとしてのマンニトールSD100、およびMCC102を使用して調製した。上記表に示したPKデータは、製剤Dは、試験した製剤のなかで、ファモチジンで前処置したイヌにおいて最も高い生物学的利用能をもたらしたことを示している。さらに、製剤Dは、pH効果をもたないことが観察された。
以下の表21に概要を示した結果は、ペンタガストリンで前処置したイヌにおける、製剤Dの生物学的利用能は、ファモチジンで前処置したイヌにおけるそれと非常に類似していることが観察されたことを示している。さらに、図11に認められるように、製剤Dは、ファモチジンで前処置したイヌにおける曝露を約100倍増加させることが観察された。
(実施例C5)
安定性研究
この実施例は、上記実施例C1に従って調製した固体分散体錠剤の安定性を実証する。
実施例C1に従って調製した式Iの化合物:HPMC固体分散体の化学的および物理的安定性を、40℃/75%RH開放条件で、最大で3カ月間貯蔵した後に評価した。物理的安定性を、XRPDと
13C SSNMRの両方を使用して監視した。図6に示すように、XRPDパターンは経時的に変化しなかった。同様に、図7に示した
13C SSNMRスペクトルは40℃/75%RH開放条件で3カ月間貯蔵した後、結晶化の証拠を全く示さなかった。表22に概要を示す化学的安定性結果は、種々の条件で1カ月間貯蔵した後、式Iの化合物:HPMC固体分散体は化学的に安定であることを示している。
処理の間、式IAのビスメシル酸塩固体分散体の物理的安定性を、XRPD分析を使用して監視した。図5に示すように、この固体分散体のXRPDパターンは、錠剤製造の過程にわたって変化しなかった。
錠剤の開発ロットの化学的および物理的安定性を、HPLCおよびXRPDを使用して評価した。20個の(20)錠剤を、乾燥剤を含むおよび含まない、120mL HDPE瓶に入れた。以下の表23に示した結果は、種々の条件で3カ月間貯蔵した後、固体分散体錠剤製剤が安定であることを示している。
25℃/60%RHで、新たな分解生成物または全不純物の増加は観察されなかった。40℃/75%RHで1カ月後、乾燥剤の存在下で0.1%の全不純物の増加しか観察されなかったが、乾燥剤の非存在下では、0.2%の増加が観察された。乾燥剤を用いて、40℃/75%RHで3カ月間貯蔵後、全不純物レベルは変化しなかった。この条件で観察された主要分解生成物は、RRT0.71およびRRT0.73である。図10に示すように、固体分散体錠剤(例えば、固体分散体を含む錠剤)も、貯蔵の間、物理的に安定であることが分かった。
(実施例C6)
噴霧乾燥製造プロセス
この実施例は、噴霧乾燥プロセスを使用した噴霧乾燥された分散体の調製を実証する。
多形形態3である、式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物をヒプロメロース2910および精製水と組み合わせることによって、式Iの化合物のビスメシル酸塩の固体分散体を調製した。追加のメタンスルホン酸(以下の表24に指定した量で)を供給溶液に加えて2モル当量超のメタンスルホン酸を有する固体分散体を作製した。得られた供給溶液を噴霧乾燥した。供給溶液および得られた噴霧乾燥粉末の定量的な組成を以下の表24〜25に示す。
噴霧乾燥粉末の物理的安定性を、室温/75%RH開放条件で貯蔵した後、X線粉末回折(XRPD)を使用して評価した。以下の表27、および図13に認められるように、存在するメタンスルホン酸の量が増加すると、予想外に、形態の変化が防止されるのが観察された。
D.比較研究
(実施例D1)
制酸剤の効果
この実施例は、上記した製剤Fx、1および2における、制酸剤である、オメプラゾールおよびファモチジンとの薬物−薬物相互作用を比較する。
各製剤を、以下の表28に示した投薬量で、オメプラゾールまたはファモチジンで前処置したイヌに投与した。薬物動態学的パラメーターを測定した。以下の表28にまとめた結果に認められるように、製剤Fxと比較して、製剤1および2で、曝露に対する酸の減少の効果が少ないことが観察された。
さらに、3つの製剤の曝露の変動を決定し、結果を図12にまとめた。この図に認められるように、試験した他の製剤と比較して、製剤2ではより小さい曝露の変動が観察された。
(実施例D2)
ヒトでの研究
健常なヒト志願者において、製剤1(実施例B1に記載するような)および製剤2(実施例C1に記載するような)を、800mg b.i.dで6日間投与した。7〜11日目に、投与した式IAのビスメシル酸塩の製剤に加えて、各被験体に、式Iの化合物の午前の投与(am dosing)と一緒に20mgオメプラゾールq.d.か、または式Iの化合物の午前の投与と一緒に40mgファモチジンq.d.も投与した。すべての投与を絶食状態で実施した。
本明細書を通して、様々な特許、特許出願および他の種類の出版物(例えば、学術論文)が参照されている。本明細書で引用するすべての特許、特許出願および出版物の開示は、すべての目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
E.他の研究
(実施例E1)
固有溶解速度の比較
この実施例は、(i)式Iの化合物(例えば、遊離塩基として)(この実施例では化合物1と称する)、(ii)式Iの化合物のモノメシル酸塩(この実施例では化合物2と称する)および(iii)式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物の多形体である多形形態3(この実施例では化合物3と称する)の固有溶解速度を比較する。
固有溶解測定を、回転ディスク装置を使用して実施した。化合物1、化合物2および化合物3のディスクを別々に、100mgのそれぞれの化合物の粉末をダイ中で、液圧プレス(Carver Press、Fred Carver、NJ、USA)を使用して、2500psiの圧力で2分間直接圧縮することによって調製した。得られたディスクについての露出表面積は0.5cm2であった。37±0.5℃で維持したUSP溶解装置を溶解研究用に使用した。各溶解容器は、500mLの、0.05N HClの水性溶解媒体、または1%臭化セチルトリメチルアンモニウム(cetyltrimetrylammonium)(CTAB)を含むpH6.8の20mMリン酸緩衝液を含んだ。ディスクホルダー(ダイ)を、溶解媒体中に半分浸漬させ、100rpmで回転させた。試料を特定の時間間隔で抜きとり、溶解した化合物の量をHPLCで決定した。
各時点での、溶解した化合物の量を時間に対してプロットし、プロットの勾配から観測溶解速度(mg/分)を得た。観測溶解速度を、化合物ディスクの表面積(0.5cm2)で除して固有溶解速度を得た。
さらに別の態様では、それを必要とする被験体の状態を処置する方法であって、被験体に、治療有効量の上記したような医薬組成物または治療有効量の上記したような単位剤形を投与するステップを含み、状態ががんおよび自己免疫疾患からなる群から選択される方法が提供される。一部の実施形態では、状態は、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症(Waldestrom’s macroglobulinemia)(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)および辺縁帯リンパ腫(MZL)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、状態は非ホジキンリンパ腫である。一変形形態では、NHLは無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。別の変形形態では、iNHLは難治性iNHLである。さらに別の変形形態では、iNHLは非FL iNHLである。他の実施形態では、状態は、ぜんそく、関節リウマチ、多発性硬化症およびループスからなる群から選択される。上記実施形態の一部では、被験体はヒトである。
本発明の実施態様では、例えば、以下が提供される。
(項目1)
(i)式Iの化合物:
のビスメシル酸塩またはその水和物、および
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む組成物。
(項目2)
前記ビスメシル酸塩が、前記式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記ビスメシル酸塩が、7.7、12.9、17.7および18.1の2θ反射(±0.2°2θ)を含むX線回折パターンを有する多形体である、項目1または2に記載の組成物。
(項目4)
前記ビスメシル酸塩が、13.8、16.9、22.9および26.1の2θ反射(±0.2°2θ)をさらに含むX線回折パターンを有する多形体である、項目3に記載の組成物。
(項目5)
メタンスルホン酸をさらに含む、項目1から4のいずれか一項に記載の組成物。
(項目6)
(i)式Iの化合物:
またはそのカチオン;
(ii)メタンスルホン酸またはそのアニオン;および
(iii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を含む組成物。
(項目7)
前記メタンスルホン酸またはそのアニオンおよび前記式Iの化合物またはそのカチオンが、2:1〜3:1の該メタンスルホン酸またはそのアニオンと該式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比で前記組成物中に存在する、項目6に記載の組成物。
(項目8)
前記少なくとも1つの薬学的に許容される担体が、少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーである、項目1から7のいずれか一項に記載の組成物。
(項目9)
前記少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーが析出抑制剤である、項目8に記載の組成物。
(項目10)
前記少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーが非イオン性である、項目8に記載の組成物。
(項目11)
前記少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ピロキシリン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールからなる群から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目12)
前記少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、項目11に記載の組成物。
(項目13)
前記少なくとも1つの薬学的に許容されるポリマーから得ることができるポリマーマトリクスを含む、項目8から12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目14)
前記式Iの化合物またはそのカチオンおよび前記メタンスルホン酸またはそのアニオンが前記ポリマーマトリクス中に分散されている、項目13に記載の組成物。
(項目15)
水をさらに含む、項目1から14のいずれか一項に記載の組成物。
(項目16)
噴霧乾燥のための供給溶液である、項目1、2および5から15のいずれか一項に記載の組成物。
(項目17)
噴霧乾燥粉末である、項目1、2および5から14のいずれか一項に記載の組成物。
(項目18)
前記粉末が非結晶性である、項目17に記載の組成物。
(項目19)
前記粉末が、6.3および26.1〜26.6の2θ反射(±0.2°2θ)を含むX線回折パターンによって特徴付けられる、項目17または18に記載の組成物。
(項目20)
錠剤である、項目1から14および17から19のいずれか一項に記載の組成物。
(項目21)
少なくとも1つの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、流動促進剤または滑沢剤またはその任意の組合せをさらに含む、項目20に記載の組成物。
(項目22)
前記少なくとも1つの賦形剤の1つがマンニトールである、項目21に記載の組成物。
(項目23)
クロスポビドン、ポロクサマー、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースの任意の1つまたは複数をさらに含む、項目20から22のいずれか一項に記載の組成物。
(項目24)
錠剤を製造する方法であって、
a)(i)式Iの化合物:
またはそのカチオン;
(ii)メタンスルホン酸またはそのアニオン;
(iii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体;および
(iv)水
を含む供給溶液から噴霧乾燥粉末を形成させるステップと、
b)該噴霧乾燥粉末および少なくとも1つの追加の薬学的に許容される担体を乾式造粒して顆粒を形成させるステップと、
c)該顆粒を圧縮して該錠剤を形成させるステップと
を含む方法。
(項目25)
前記メタンスルホン酸またはそのアニオンおよび前記式Iの化合物またはそのカチオンが、2:1〜3:1の該メタンスルホン酸またはそのアニオンと該式Iの化合物またはそのカチオンとのモル比で前記供給溶液中に存在する、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記式Iの化合物の前記メシル酸塩が、前記式Iの化合物のビスメシル酸塩またはその水和物である、項目24または25に記載の方法。
(項目27)
前記メシル酸塩が、前記式Iの化合物のビスメシル酸塩一水和物である、項目26に記載の方法。
(項目28)
錠剤を製造する方法であって、
a)(i)式Iの化合物:
のビスメシル酸塩またはその水和物、および
(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体
を乾式造粒して顆粒を形成させるステップと、
b)該顆粒を圧縮して該錠剤を形成させるステップと
を含む方法。
(項目29)
項目24から28のいずれか一項に記載の方法に従って作製される錠剤。
(項目30)
項目1から14および17から23のいずれか一項に記載の組成物または項目29に記載の錠剤を含む単位剤形。
(項目31)
項目1から14および17から23のいずれか一項に記載の組成物または項目29に記載の錠剤または項目30に記載の単位剤形を含む製造品。
(項目32)
状態を処置することを必要とするヒトの状態を処置する方法であって、該ヒトに、治療有効量の項目1から14および17から23に記載の組成物または治療有効量の項目29に記載の錠剤または治療有効量の項目30に記載の単位剤形を投与するステップを含み、該状態が、がんおよび自己免疫疾患からなる群から選択される方法。
(項目33)
前記状態が、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)および辺縁帯リンパ腫(MZL)からなる群から選択される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記状態が、非ホジキンリンパ腫(NHL)である、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記NHLが、無症候性非ホジキンリンパ腫(iNHL)である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記iNHLが、難治性iNHLである、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記iNHLが、非FL iNHLである、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記状態が、ぜんそく、関節リウマチ、多発性硬化症およびループスからなる群から選択される、項目32に記載の方法。