JP2016524925A - 原核細胞におけるポリペプチドの組換え生産のための方法 - Google Patents

原核細胞におけるポリペプチドの組換え生産のための方法 Download PDF

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Abstract

本明細書において、i)ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階、およびii)細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階を含む、大腸菌におけるポリペプチドの組換え生産のための方法を報告する。

Description

本明細書において、NADHデヒドロゲナーゼII遺伝子(ndh遺伝子)のノックアウトによって遺伝子改変された原核細胞、およびポリペプチドの生産におけるその使用を報告する。
発明の背景
近年、タンパク質の生産は着実に増加しており、タンパク質は、近い将来、様々な疾患の処置に利用可能な最大の治療薬群になる可能性が高い。タンパク質の効果は、特異的な標的認識および結合機能などの、その特異性から生じる。
物質、特にタンパク質を生産するための発酵工程において、細胞培養物が使用される。細胞培養物が遺伝子改変されておらず、それ自身の代謝産物を形成する工程と、生物が、タンパク質などのそれ自身の物質をより多量に産生するか、または外来(異種)の物質を産生するかのいずれかのように遺伝子改変されている工程とは、区別される。物質を産生する生物には、その生物の生存を保証し、かつ所望の標的化合物の産生を可能にする栄養培地が供給される。これらの目的のための、特定の宿主の最適な培養を可能にする多くの培養培地が、公知である。
大腸菌(Escherichia coli)の高細胞密度培養が、Riesenberg(Riesenberg, D., et al., Curr. Opin. Biotechnol. 2 (1991) 380-384(非特許文献1))およびHorn(Horn, U., et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 46 (1996) 524-532(非特許文献2))によって報告されている。Riesenberg, D. and Guthke, R. (Appl. Microbiol. Biotechnol. 51 (1999) 422-430)(非特許文献3)は、微生物の高細胞密度培養を報告した。大腸菌を高細胞密度に増殖させることは、Shiloach, J. and Fass, R. (Biotechnol. Advances 23 (2005) 345-357)(非特許文献4)によって概説されている。
大腸菌のエネルギー効率‐好気的呼吸鎖の構成要素における変異の効果が、Calhoun et al. (J. Bacteriol. 175 (1993) 3020-3025)(非特許文献5)によって報告されている。Melo et al. (Microbiol. Mol. Biol. Rev. 68 (2004) 603-616)(非特許文献6)は、II型NAD(P)H:キノンオキシドレダクターゼへの新たな洞察を報告している。NADHデヒドロゲナーゼ欠損大腸菌のadhEまたはpta-ackA変異体における乳酸およびコハク酸形成の増強が、Yun et al. (J. Appl. Microbiol. 99 (2005) 1404-1412)(非特許文献7)によって報告されている。
最も効率的なバイオマス産生大腸菌の設計、構築、および性能が、Trinh et al. (Met. Eng. 8 (2006) 628)(非特許文献8)によって報告されている。
Riesenberg, D., et al., Curr. Opin. Biotechnol. 2 (1991) 380-384 Horn, U., et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 46 (1996) 524-532 Riesenberg, D. and Guthke, R. Appl. Microbiol. Biotechnol. 51 (1999) 422-430 Shiloach, J. and Fass, R. Biotechnol. Advances 23 (2005) 345-357 Calhoun et al. J. Bacteriol. 175 (1993) 3020-3025 Melo et al. Microbiol. Mol. Biol. Rev. 68 (2004) 603-616 Yun et al. J. Appl. Microbiol. 99 (2005) 1404-1412 Trinh et al. Met. Eng. 8 (2006) 628
酵素NADHデヒドロゲナーゼIIをコードするndh遺伝子の欠失/不活性化によって、ndh遺伝子を除いて同質遺伝子型である親株と比較した場合に、匹敵する酸素摂取速度、匹敵する増殖速度を有するが、増大した生産性を有する、遺伝子改変された原核生物を取得できることが見出された。従って、ndh遺伝子の欠失/不活性化によって、原核生物の比生産性を増大できることが見出された。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損している(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まない/含有しない)、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該ポリペプチドが酵素ではない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該ポリペプチドが、呼吸鎖経路酵素、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるポリペプチドではない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該ポリペプチドが、NADHデヒドロゲナーゼ、SoxM型オキシダーゼ、Sox型オキシダーゼ、シトクロムbd型オキシダーゼ、シトクロムbo型オキシダーゼ、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるいかなるポリペプチドでもない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該原核細胞が、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrF、acnA、aceA、icdを有し、該acnA遺伝子にコードされるポリペプチドがS68G変異を含み、該aceA遺伝子にコードされるポリペプチドがS522G変異を含み、該icd遺伝子にコードされるポリペプチドがD398EおよびD410E変異を含む、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該ポリペプチドが、免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、免疫グロブリン-毒素結合体、免疫グロブリン断片-毒素結合体、毒素、サイトカイン、またはホルモンである、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該ポリペプチドが酵素ではない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該ポリペプチドが、呼吸鎖経路酵素、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるポリペプチドではない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該ポリペプチドが、NADHデヒドロゲナーゼ、SoxM型オキシダーゼ、Sox型オキシダーゼ、シトクロムbd型オキシダーゼ、シトクロムbo型オキシダーゼ、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるいかなるポリペプチドでもない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該原核細胞が、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrF、acnA、aceA、icdを有し、該acnA遺伝子にコードされるポリペプチドがS68G変異を含み、該aceA遺伝子にコードされるポリペプチドがS522G変異を含み、該icd遺伝子にコードされるポリペプチドがD398EおよびD410E変異を含む、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、原核細胞におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現する原核細胞を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養する段階)、および
‐該細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該原核細胞がndh遺伝子を欠損しており(すなわち、該原核細胞がndh遺伝子の機能的なコピーを含まず/含有せず)、
かつ、該ポリペプチドが、免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、免疫グロブリン-毒素結合体、免疫グロブリン断片-毒素結合体、毒素、サイトカイン、またはホルモンである、方法である。
ndh遺伝子の産物は、NADHデヒドロゲナーゼIIである。
一つの態様において、原核細胞は、bd型オキシダーゼをさらに欠損している。
一つの態様において、原核細胞は大腸菌細胞である。一つの態様において、大腸菌は大腸菌K12である。
一つの態様において、方法は高細胞密度培養である。
一つの態様において、ndh遺伝子(NADHデヒドロゲナーゼII)を欠損している原核細胞は、機能的なndh遺伝子(NADHデヒドロゲナーゼII)を有することを除いて同じ遺伝子型を有する原核細胞と比較した場合に、匹敵する酸素摂取速度(OUR)を有する。すなわち、ndh欠損細胞と参照細胞との間の唯一の遺伝的相違は、ndh欠損である。
一つの態様において、ndh遺伝子(NADHデヒドロゲナーゼII)を欠損している原核細胞は、機能的なndh遺伝子(NADHデヒドロゲナーゼII)を有することを除いて同じ遺伝子型を有する原核細胞と比較して、匹敵する増殖速度を有する。
一つの態様において、ndh遺伝子(NADHデヒドロゲナーゼII)を欠損している原核細胞は、機能的なndh遺伝子(NADHデヒドロゲナーゼII)を有することを除いて同じ遺伝子型を有する原核細胞と比較した場合に、より高い生産速度を有する。一つの態様において、生産速度は比生産速度である。
一つの態様において、方法は、培養する段階の後に、
‐細胞を含む培養培地を、40℃以上の温度で少なくとも10分間インキュベートする段階、ならびに
‐該細胞および/または該培養培地から不溶性ポリペプチドを回収し、それによりポリペプチドを生産する段階
を含む。
一つの態様において、インキュベートする段階は、40℃〜60℃の温度においてである。
一つの態様において、インキュベートする段階は、45℃以上の温度においてである。一つの態様において、インキュベートする段階は、約45℃の温度においてである。
一つの態様において、インキュベートする段階は、10分間〜180分間である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含む、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該ポリペプチドが酵素ではない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該ポリペプチドが、呼吸鎖経路酵素、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるポリペプチドではない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該ポリペプチドが、NADHデヒドロゲナーゼ、SoxM型オキシダーゼ、Sox型オキシダーゼ、シトクロムbd型オキシダーゼ、シトクロムbo型オキシダーゼ、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるいかなるポリペプチドでもない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrF、acnA
、aceA、icdを有し、該acnA遺伝子にコードされるポリペプチドがS68G変異を含み、該aceA遺伝子にコードされるポリペプチドがS522G変異を含み、該icd遺伝子にコードされるポリペプチドがD398EおよびD410E変異を含む、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該ポリペプチドが、免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、免疫グロブリン-毒素結合体、免疫グロブリン断片-毒素結合体、毒素、サイトカイン、またはホルモンである、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含む、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該ポリペプチドが酵素ではない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該ポリペプチドが、呼吸鎖経路酵素、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるポリペプチドではない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該ポリペプチドが、NADHデヒドロゲナーゼ、SoxM型オキシダーゼ、Sox型オキシダーゼ、シトクロムbd型オキシダーゼ、シトクロムbo型オキシダーゼ、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるいかなるポリペプチドでもない、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrF、acnA、aceA、icdを有し、該acnA遺伝子にコードされるポリペプチドがS68G変異を含み、該aceA遺伝子にコードされるポリペプチドがS522G変異を含み、該icd遺伝子にコードされるポリペプチドがD398EおよびD410E変異を含む、方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、大腸菌におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階(すなわち、該ポリペプチドをコードする核酸を含むNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階)、および
‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
を含み、
該ポリペプチドが、免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、免疫グロブリン-毒素結合体、免疫グロブリン断片-毒素結合体、毒素、サイトカイン、またはホルモンである、方法である。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、機能的なNADHデヒドロゲナーゼIIを有することを除いて同じ遺伝子型を持つ大腸菌に匹敵する酸素摂取速度を有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、機能的なNADHデヒドロゲナーゼIIを有することを除いて同じ遺伝子型を持つ大腸菌に匹敵する増殖速度を有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、機能的なNADHデヒドロゲナーゼIIを有することを除いて同じ遺伝子型を持つ大腸菌より高い生産速度を有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、bd型オキシダーゼをさらに欠損している。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、大腸菌K12である。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrFを有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrF、acnA、aceA、icdを有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrF、acnA、aceA、icdを有し、該acnA遺伝子にコードされるポリペプチドはS68G変異を含み、該aceA遺伝子にコードされるポリペプチドはS522G変異を含み、該icd遺伝子にコードされるポリペプチドはD398EおよびD410E変異を含む。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、機能的なZwf遺伝子を有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、機能的なldhA遺伝子を有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、機能的なmaeA遺伝子を有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、機能的なmaeB遺伝子を有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、機能的なZwf遺伝子、機能的なldhA遺伝子、機能的なmaeA遺伝子、および機能的なmaeB遺伝子を有する。
一つの態様において、方法は、培養する段階の後に、
‐細胞を含む培養培地を、40℃以上の温度で少なくとも10分間インキュベートする段階、ならびに
‐該細胞および/または該培養培地から不溶性ポリペプチドを回収し、それにより該ポリペプチドを生産する段階
を含む。
一つの態様において、インキュベートする段階は、40℃〜60℃の温度においてである。
一つの態様において、インキュベートする段階は、45℃以上の温度においてである。一つの態様において、インキュベートする段階は、約45℃の温度においてである。
一つの態様において、インキュベートする段階は、10分間〜180分間である。
本明細書において報告される一つの局面は、遺伝子型thi-1、ΔpyrF、Δndhを有する大腸菌K12である。
本明細書において報告される一つの局面は、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrF、acnA、aceA、icdを有し、該acnA遺伝子にコードされるポリペプチドがS68G変異を含み、該aceA遺伝子にコードされるポリペプチドがS522G変異を含み、該icd遺伝子にコードされるポリペプチドがD398EおよびD410E変異を含む、大腸菌K12である。
本明細書において報告される一つの局面は、組換えポリペプチドの生産におけるNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌の使用である。
本明細書において報告される一つの局面は、ポリペプチドの生産におけるNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌の使用である。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、遺伝子型Δndh、thi-1、ΔpyrFを有する。一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrF、acnA、aceA、icdを有する。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrF、acnA、aceA、icdを有し、該acnA遺伝子にコードされるポリペプチドはS68G変異を含み、該aceA遺伝子にコードされるポリペプチドはS522G変異を含み、該icd遺伝子にコードされるポリペプチドはD398EおよびD410E変異を含む。
一つの態様において、NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌は、bd型オキシダーゼをさらに欠損している。
発明の詳細な説明
本明細書において、ndh遺伝子を欠損しており、ndh遺伝子の欠損に起因して、i)酸素摂取速度および増殖速度が、ndh遺伝子の欠損を除いて同質遺伝子型である親原核細胞に匹敵しており、かつii)比生産速度が、ndh遺伝子の欠損を除いて同質遺伝子型である親原核細胞と比較して増大している、原核細胞を用いる、ポリペプチドの(組換え)生産のための方法を報告する。
一つの態様において、原核細胞は、エシェリキア属(Escherichia)細胞、またはバチルス属(Bacillus)細胞、またはラクトバチルス属(Lactobacillus)細胞、またはコリネバクテリウム属(Corynebacterium)細胞、または酵母細胞(サッカロミセス属(Saccharomyces)、カンジダ属(Candida)、もしくはピキア属(Pichia))である。さらなる態様において、細胞は、大腸菌細胞、または枯草菌(Bacillus subtilis)細胞、またはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)細胞、またはコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)細胞、またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)酵母細胞である。
一つの態様において、原核細胞は、大腸菌K12細胞または大腸菌B細胞である。
一つの態様において、原核細胞は、遺伝子型:thi-1、ΔompT、ΔpyrF、acnA、aceA、icd(親株)および遺伝子型:thi-1、ΔompT、ΔpyrF、Δndh、acnA、aceA、icd(改変株)を有し、該acnA遺伝子にコードされるポリペプチドがS68G変異を含み、該aceA遺伝子にコードされるポリペプチドがS522G変異を含み、該icd遺伝子にコードされるポリペプチドがD398EおよびD410E変異を含む、大腸菌K12細胞である。さらに、親株および改変株は、以下のe14プロファージ遺伝子を欠如している:ymfD、ymfE、lit、intE、xisE、ymfI、ymfJ、cohE、croE、ymfL、ymfM、owe、ymfR、bee、jayE、ymfQ、stfP、tfaP、tfaE、stfE、pinE、mcrA。
原核細胞を培養するための方法は、当業者に公知である(例えば、Riesenberg, D., et al., Curr. Opin. Biotechnol. 2 (1991) 380-384を参照されたい)。培養は、任意の方法を用いたものであることができる。一つの態様において、培養は、バッチ培養、流加培養、灌流培養、半連続培養、または、完全なもしくは部分的な細胞保持を伴う培養である。
一つの態様において、培養は高細胞密度培養である。「高細胞密度培養」という用語は、培養した原核細胞の乾燥細胞重量が、培養におけるある時点で少なくとも10 g/Lである培養法を意味する。一つの態様において、乾燥細胞重量は、培養におけるある時点で、少なくとも20 g/L、または少なくとも50 g/L、または少なくとも100 g/Lであるか、または100 g/Lより多い。そのような高細胞密度状態に到達するために、培養中に添加する供給溶液および/または調整溶液の容積は、可能な限り小さくなければならない。乾燥細胞重量の決定のための方法は、例えば、Riesenberg, D., et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 34 (1990) 77-82において報告されている。
「親細胞」という用語は、欠損細胞と同じ遺伝子型を有するが、欠損細胞において欠損している遺伝子が該親細胞において機能的である、細胞を意味する。従って、親細胞と欠損細胞は、欠損している遺伝子を除いて同質遺伝子型である。
「機能的なndh遺伝子」という用語は、ndh遺伝子が転写および翻訳されること、ならびに、遺伝子産物、すなわちNADHデヒドロゲナーゼIIが、機能的でありかつ酵素活性を有することを意味する。
産生されるポリペプチドは、任意の生物学的活性ポリペプチドであることができる。
「生物学的活性ポリペプチド」という用語は、投与された場合に、細胞株およびウイルスを用いたバイオアッセイなどの人工的な生物系においてもしくはそれに対して、または、トリ、もしくはヒトを含む哺乳動物を含むがこれらに限定されない動物に対してインビボで、生物学的効果を引き起こす、有機分子、例えば、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドまたはタンパク質などの生物学的巨大分子を意味する。この生物学的効果は、酵素阻害もしくは活性化、結合部位もしくは周辺のいずれかでの、受容体もしくはリガンドへの結合、シグナル誘発、またはシグナル調節であることができるが、これらに限定されない。生物学的活性分子は、非限定的に、例えば、免疫グロブリン、またはホルモン、またはサイトカイン、または増殖因子、または受容体リガンド、またはアゴニストもしくはアンタゴニスト、または細胞傷害性作用物質、または抗ウイルス作用物質、または画像化作用物質、または、アロステリック物質などの酵素阻害物質、酵素活性化物質、もしくは酵素活性調節物質である。一つの態様において、ポリペプチドは、免疫グロブリン、免疫グロブリン結合体、または免疫グロブリン断片である。
「ポリペプチド」とは、天然に産生されていようとまたは合成で産生されていようと、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸からなるポリマーである。本明細書において定義されているポリペプチドは、10個以上のアミノ酸からなる。ポリペプチドはまた、天然に存在しないアミノ酸残基、および/または、炭水化物群、金属イオン、もしくはカルボン酸エステルなどの非アミノ酸成分を含んでもよい。非アミノ酸成分は、ポリペプチドが発現している細胞によって付加されてもよく、細胞のタイプと共に変動してもよい。ポリペプチドは、そのアミノ酸バックボーン構造または同一物をコードする核酸に関して、定義される。炭水化物群などの付加は、一般的には特定化されないが、それにもかかわらず存在してもよい。
「免疫グロブリン」という用語は、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる一つまたは複数のポリペプチドからなるタンパク質を指す。認識されている免疫グロブリン遺伝子は、様々な定常領域遺伝子および無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。免疫グロブリンは、例えば、Fv断片、Fab断片、およびF(ab)2断片、ならびに一本鎖断片(scFv)またはダイアボディを含む、様々な形式において存在してもよい(例えば、Huston, J.S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988) 5879-5883;Bird, R.E., et al., Science 242 (1988) 423-426;一般的には、Hood et al., Immunology, Benjamin N.Y., 2nd edition (1984);およびHunkapiller, T. and Hood, L., Nature 323 (1986) 15-16)。
完全長免疫グロブリンは、一般的に、2本のいわゆる軽鎖ポリペプチド(軽鎖)および2本のいわゆる重鎖ポリペプチド(重鎖)を含む。重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの各々は、抗原と相互作用することができる結合領域を含む可変ドメイン(可変領域)(一般的にはポリペプチド鎖のアミノ末端部分)を含有する。重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの各々は、定常領域(一般的にはカルボキシ末端部分)を含む。重鎖の定常領域は、i)食細胞などのFcγ受容体(FcγR)を有する細胞への、またはii)ブランベル受容体としても公知である新生児型Fc受容体(FcRn)を有する細胞への抗体の結合を媒介する。重鎖の定常領域はまた、成分(C1q)などの古典的補体系の因子を含むいくつかの因子への結合も媒介する。
免疫グロブリンの軽鎖または重鎖の可変ドメインは、次に、様々なセグメント、すなわち、4個のフレームワーク領域(FR)および3個の超可変領域(CDR)を含む。
一つの態様において、生物学的活性ポリペプチドは、免疫グロブリン断片である。
「免疫グロブリン断片」という用語は、完全長免疫グロブリンの部分、一つの態様においては、その可変ドメインまたは少なくともその抗原結合部分を意味する。免疫グロブリン断片は、その抗原に対する親の完全長免疫グロブリンの結合特性を保持している。免疫グロブリン断片の例は、それらが親の完全長免疫グロブリンの結合特性を保持している限り、例えば、一本鎖抗体分子(scFv)、Fab、F(ab)2断片などである。
一つの態様において、ポリペプチドは毒素である。一つの態様において、ポリペプチドは免疫グロブリン-毒素結合体である。一つの態様において、ポリペプチドは免疫グロブリン断片-毒素結合体である。一つの態様において、ポリペプチドはホルモンである。一つの態様において、ポリペプチドはサイトカインである。
生産科学者の目標は、組換えポリペプチド生産において収量を増大させることである。
改善された培地組成および培養技術を用いて達成可能な生産収量の増大は、将来的に限界になるであろう。従って、生産細胞株および菌株の代謝工学が、より重要になると考えられる。
原核生物における遺伝子の標的不活性化のための多様な方法が、公知である。一つの例は、Red/ET組換え法である。この方法においては、標的核酸を、バクテリオファージ由来ポリペプチドにより媒介される相同組換えによって改変(すなわち、置換および欠失)させる。
「呼吸鎖」または(呼吸鎖に関与する酵素である)「呼吸鎖酵素」という用語は、当業者に公知であり、例えば、Berg, JM et al. (Biochemistry, 5th Edition, 2002)に記載されている。例示的な呼吸鎖酵素は、例えば、NADHデヒドロゲナーゼ、Sox型オキシダーゼ(SoxM型オキシダーゼもしくはSoxB型オキシダーゼなど)、シトクロムbd型オキシダーゼ、またはシトクロムbo型オキシダーゼである。
NADHデヒドロゲナーゼII(ndh遺伝子によってコードされる)は、NADHから呼吸鎖中への電子の伝達に関与している。伝達は、キノンプールを介したプロトン勾配と関連しており、酸素への最終的な電子伝達のためにbo型およびbd型のオキシダーゼを並行して用いる。
NADHデヒドロゲナーゼIIは、「姉妹」酵素であるNADHデヒドロゲナーゼIを有する。NADHデヒドロゲナーゼIおよびIIの活性は、様々な程度までプロトン勾配に依存し、中性のH+/e-比を結果として生じる。
ndh遺伝子の不活性化によって、大腸菌細胞の(比)生産性を増大させることができ、それにより、驚いたことに、酸素摂取速度および増殖速度は、ndh遺伝子を除いてndh欠損大腸菌細胞と同質遺伝子型である親大腸菌細胞のものに匹敵するままであることが、見出された。
(遺伝子型1Δndhの)ndh欠損(NADHデヒドロゲナーゼII欠損)改変大腸菌細胞を結果として生じる(遺伝子型1の)大腸菌細胞におけるndh遺伝子の不活性化が、大腸菌細胞の(比)生産性に対して甚大な影響を有し、それは親大腸菌細胞と比較して増大していることが、見出された。同時に、酸素摂取速度および増殖速度は、改変大腸菌細胞と親大腸菌細胞との間で匹敵している。
「匹敵する」という用語は、二つの値が、互いの50%以内であることを意味する。一つの態様において、値は、互いの30%以内である。一つの態様において、値は、互いの10%以内である。例えば、二つの値は、互いの50%以内であり、従って、第二の値が、50%より大きく第一の値を超えない、すなわち、第一の値の150%より大きくはない場合、および、第二の値が、第一の値の50%より小さくない場合に匹敵し、すなわち、匹敵するとは、第二の値が第一の値の50%〜150%であることを意味する。
ndh遺伝子の欠失/不活性化は、ndh欠損細胞(遺伝子型Δndh)を結果として生じる。
図1において、親大腸菌および改変大腸菌は、匹敵する時間で匹敵する細胞密度に増殖することがわかる。従って、ndh遺伝子の欠失/不活性化は、(親大腸菌と比較して)改変大腸菌の増殖特性にマイナスの影響を及ぼさない。
図2において、親大腸菌および改変大腸菌は、培養中に匹敵する酸素摂取速度を有することがわかる。従って、ndh遺伝子の欠失/不活性化は、(親大腸菌と比較して)改変大腸菌の酸素要求量に影響を及ぼさない。
図3において、改変大腸菌は、親大腸菌と比較してより高い(比)生産速度を有し、より高い産物濃度を結果として生じることがわかる。従って、ndh遺伝子の欠失/不活性化は、改変大腸菌の生産速度にプラスの効果を有する。
親大腸菌(塗りつぶし菱形、遺伝子型1)および改変大腸菌(塗りつぶし四角形、遺伝子型1Δndh)の増殖特性。 20時間の培養時間で測定した、親大腸菌(下の曲線、遺伝子型1)および改変大腸菌(上の曲線、遺伝子型1Δndh)の酸素摂取速度。 親大腸菌(塗りつぶし菱形、遺伝子型1)および改変大腸菌(塗りつぶし四角形、遺伝子型1Δndh)の生産速度。
以下の実施例および図面は、本発明の理解を手助けするために提供され、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される。本発明の精神から逸脱することなく、示される手順において改変がなされ得ることが理解される。
実施例1
大腸菌発現プラスミドの作製および説明
短縮型テトラネクチン-アポリポタンパク質A-I融合タンパク質を、組換え手段によって調製した。発現される融合タンパク質は、N末端からC末端の方向に、SEQ ID NO: 01のアミノ酸配列を有する。
Figure 2016524925
コードする融合遺伝子は、公知の組換え法および技術で、適切な核酸セグメントの連結によって構築する。化学合成により作製した核酸配列は、DNA配列決定によって検証する。SEQ ID NO: 01の融合タンパク質の産生のための発現プラスミドは、以下のように調製することができる。
プラスミド1(1-pBRori-URA3-LACI-SAC)は、大腸菌におけるコア-ストレプトアビジンの発現のための発現プラスミドである。これは、プラスミド2(2-pBRori-URA3-LACI-T-リピート;EP-B 1 422 237において報告されている)に由来する3142 bp長のEcoRI/CelIIベクター断片と、435 bp長のコア-ストレプトアビジンをコードするEcoRI/CelII断片とのライゲーションによって生成した。
コア-ストレプトアビジン大腸菌発現プラスミドは、以下のエレメントを含む。
‐大腸菌における複製のための、ベクターpBR322由来の複製開始点(Sutcliffe, G., et al., Quant. Biol. 43 (1979) 77-90によると、2517〜3160 bp位に対応する)
‐大腸菌pyrF変異株(ウラシル栄養要求性)の相補によるプラスミド選択を可能にする、オロチジン5'-リン酸デカルボキシラーゼをコードするサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のURA3遺伝子(Rose, M., et al., Gene 29 (1984) 113-124)
‐以下を含むコア-ストレプトアビジン発現カセット
‐Stueber, D., et al., Immunol. Methods IV (1990) 121-152による合成リボソーム結合部位を含む、T5ハイブリッドプロモーター(Bujard, H., et al., Methods. Enzymol. 155 (1987) 416-433およびStueber, D., et al.(上記参照)によるT5-PN25/03/04ハイブリッドプロモーター)
‐コア-ストレプトアビジン遺伝子
‐2種のバクテリオファージ由来の転写ターミネーター、λ-T0ターミネーター(Schwarz, E., et al., Nature 272 (1978) 410-414)およびfdターミネーター(Beck, E. and Zink, B., Gene 1-3 (1981) 35-58)
‐大腸菌由来のlacIリプレッサー遺伝子(Farabaugh, P.J., Nature 274 (1978) 765-769)
短縮型テトラネクチン-アポリポタンパク質A-I融合タンパク質の発現のための最終的な発現プラスミドは、単一の隣接するEcoRIおよびCelII制限エンドヌクレアーゼ切断部位を用いて、コア-ストレプトアビジン構造遺伝子をプラスミド1から切り出し、融合タンパク質をコードするEcoRII/CelII制限部位が隣接している核酸を、3142 bp長のEcoRI/CelII-1プラスミド断片中に挿入することによって、調製することができる。
実施例2
組換えポリペプチドを発現する際の、親株とndh欠損変異株との比較
高細胞密度および高収量発酵において、組換えタンパク質を発現する大腸菌株の性能に対する染色体ndh遺伝子欠失の効果を評定するために、親株を、同じ工程内で改変株と比較し、増殖および産物形成を調査した。
大腸菌K12親株(遺伝子型:thi-1、ΔompT、ΔpyrF、acnA、aceA、icd)および改変株(遺伝子型:thi-1、ΔompT、ΔpyrF、Δndh、acnA、aceA、icd)を、TN-ApoA1融合ポリペプチドを発現するための実施例1に記載した最終的な発現プラスミドで、エレクトロポレーションによって形質転換した。本明細書において、acnA遺伝子にコードされるポリペプチドはS68G変異を含み、aceA遺伝子にコードされるポリペプチドはS522G変異を含み、icd遺伝子にコードされるポリペプチドは、D398EおよびD410E変異を含む。さらに、親株および改変株は、以下のe14プロファージ遺伝子を欠如している:ymfD、ymfE、lit、intE、xisE、ymfI、ymfJ、cohE、croE、ymfL、ymfM、owe、ymfR、bee、jayE、ymfQ、stfP、tfaP、tfaE、stfE、pinE、mcrA。形質転換した大腸菌細胞を最初に、37℃で、寒天プレート上で増殖させた。このプレートから採取したコロニーを、3 mLローラー培養に移し、1〜2の光学密度(578nmで測定)まで37℃で増殖させた。次に、長期保存のために、1000μLの培養物を1000μLの滅菌86%グリセロールと混合し、-80℃で直ちに凍結した。10 L発酵槽に移す前に、このクローンの正確な産物発現を、最初に、小規模振盪フラスコ実験において検証し、SDS-Pageで解析した。
既知組成培地(CDM)における前培養:
前発酵のために、既知組成培地を使用した:
NH4Cl 1.0 g/L、K2HPO4*3H2O 18.3 g/L、クエン酸1.6 g/L、グリシン0.78 g/L、L-アラニン0.29 g/L、L-アルギニン0.41 g/L、L-アスパラギン*H2O 0.37 g/L、L-アスパラギン酸0.05 g/L、L-システイン*HCl*H2O 0.05 g/L、L-ヒスチジン0.05 g/L、L-イソロイシン0.31 g/L、L-ロイシン0.38 g/L、L-リジン*HCl 0.40 g/L、L-メチオニン0.27 g/L、L-フェニルアラニン0.43 g/L、L-プロリン0.36 g/L、L-セリン0.15 g/L、L-スレオニン0.40 g/L、L-トリプトファン0.07 g/L、L-バリン0.33 g/L、L-チロシン0.51 g/L、L-グルタミン0.12 g/L、Na-L-グルタミン酸*H2O 0.82 g/L、グルコース*H2O 6.0 g/L、微量元素溶液0.5 ml/L、MgSO4*7H2O 0.86 g/L、チアミン*HCl 17.5 mg/L。微量元素溶液は、0.5M HCl中に溶解された、FeSO4*7H2O 10.0 g/L、ZnSO4*7H2O 2.25 g/L、MnSO4*H20 2.13 g/L、H3BO3 0.50 g/L、(NH4)6Mo7O24*4H2O 0.3 g/L、CoCl2*6H2O 0.42 g/L、CuSO4*5H20 1.0 g/Lを含有する。
前発酵のために、4個のバッフルを有する1000 ml三角フラスコ中の300 mlのCDM培地に、初代シードバンクアンプルのうちの0.9 mlを接種した。培養を、回転振盪機上で8時間、32℃および170 rpmで行った。
発酵工程(AP30#021およびAP50#001):
Figure 2016524925
10 L Biostat C, DCU3発酵槽(Sartorius, Melsungen, Germany)中での発酵のために、以下のバッチ培地を使用した:KH2PO4 1.58 g/L、(NH4)2HPO4 7.47 g/L、K2HPO4*3H2O 13.32 g/L、クエン酸2.07 g/L、L-メチオニン1.22 g/L、NaHCO3 0.82 g/L、微量元素溶液7.3 ml/L、MgSO4*7H2O 0.99 g/L、チアミン*HCl 20.9 mg/L、グルコース*H2O 29.3 g/L、ビオチン0.2 mg/L、1.2 ml/L Synperonic 10%消泡剤。微量元素溶液は、0.5M HCl溶液中に可溶化された、FeSO4*7H2O 10 g/L、ZnSO4*7H2O 2.25 g/L、MnSO4*H20 2.13 g/L、CuSO4*5H20 1.0 g/L、CoCl2*6H2O 0.42 g/L、(NH4)6Mo7O24*4H2O 0.3 g/L、H3BO3 0.50 g/Lを含有する。
供給物1溶液は、700 g/Lグルコース*H2O、7.4 g/L MgSO4*7H20、および0.1 g/L FeSO4*7H2Oを含有した。供給物2は、KH2PO4 52.7 g/L、K2HPO4*3H2O 139.9 g/L、および(NH4)2HPO4 66.0 g/Lを含む。すべての成分を、脱イオン水中に溶解させた。pH調整用のアルカリ溶液は、11.25 g/L L-メチオニンを補給した12.5%(w/v)NH3水溶液であった。
4.2 Lの滅菌バッチ培地から開始して、バッチ発酵を、31℃、pH 6.9±0.2、800 mbarの背圧、および10 L/分の初期通気速度で行った。撹拌機のスピードを1500 rpmまで増大させることによって、溶存酸素の相対値 (pO2) を、発酵を通して50%に保った。溶存酸素値の急増によって示される、初期に補給したグルコースが枯渇した後に、温度を25℃に変化させ、15分後に、発酵は両方の供給物(それぞれ60 g/hおよび14 g/h)の開始により流加モードに入った。供給物2の速度は一定に保ち、他方、供給物1の速度は、7時間以内に60 g/hから最終的に160 g/hまでのあらかじめ定めた供給プロファイルで段階的に増大させる。二酸化炭素の排気濃度が2%を超えるレベルとなった時点で、通気速度を、5時間以内に10 L/分から20 L/分まで一定に増大させた。組換えテトラネクチン-アポリポタンパク質A-I融合タンパク質の発現を、およそ150の光学密度で2.4 g IPTGの添加によって誘導した。
発酵の最後に、収集前に発酵槽中の全培養ブロスを1時間、50℃に加熱する加熱段階により、細胞質内で可溶性に発現されたテトラネクチン-アポリポタンパク質A-Iを、不溶性タンパク質凝集体、いわゆる封入体に移行させる(例えば、EP-B 1 486 571を参照されたい)。その後、発酵槽の内容物を、フロースルー遠心分離機で遠心分離(13,000 rpm、13 L/h)し、さらに処理するまで、収集したバイオマスを-20℃で保存した。合成されたテトラネクチン-アポリポタンパク質A-I融合タンパク質は、不溶性タンパク質凝集体、いわゆる封入体(IB)の形態で、不溶性細胞残屑画分においてのみ見出された。
産物形成の解析
一つは誘導前に、他のものはタンパク質発現の誘導後の所定の時点で、発酵槽から抜き取った試料を、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析する。すべての試料から、同じ量の細胞(OD標的 = 5)を5 mLのPBS緩衝液中に懸濁し、氷上で超音波処理により破壊する。次に、100μLの各懸濁液を遠心分離(15,000 rpm、5分)し、各上清を回収して、別々のバイアルに移す。これは、可溶性に発現された標的タンパク質と不溶性に発現された標的タンパク質とを識別するためである。各上清(= 可溶性)画分に300μL、および各ペレット(= 不溶性)画分に400μLの、SDS試料緩衝液 (Laemmli, U.K., Nature 227 (1970) 680-685) を添加する。試料を、激しい混合下で15分間、95℃で加熱して、試料中のすべてのタンパク質を可溶化しかつ還元する。室温まで冷却した後、各試料の5μLを、4〜20% TGX Criterion Stain Freeポリアクリルアミドゲル (Bio-Rad) に移す。加えて、5μLの分子量標準物質(Precision Plus Protein Standard、Bio-Rad)、ならびに既知の産物タンパク質濃度(0.1μg/μL)を有する3種の量(0.3μL、0.6μL、および0.9μL)の定量化標準物質を、ゲル上に配置する。
電気泳動を200 Vで60分間実行し、その後、ゲルをGelDOC EZ Imager (Bio-Rad) に移して、UV照射で5分間処理した。Image Lab解析ソフトウェア (Bio-Rad) を用いて、ゲル画像を解析した。3種の標準物質を用いて、線形回帰曲線を>0.99の係数で算出し、そこから、元の試料中の標的タンパク質の濃度を算出した。
結果:
上述の発酵工程を用いて、親株において、およびndh欠失変異体に相当する改変株において、短縮型テトラネクチン-アポリポタンパク質A-I融合タンパク質を発現させた。改変株の前培養の光学密度はより低かったにもかかわらず、両方の株の増殖は、非常に匹敵していた。47時間の培養および連続した加熱段階後に、285および245の光学密度が得られた。
ndh発現の改変は、Calhoun et al. (J. Bacteriol. 175 (1993) 3020-3025)によって記載されているように、酸素摂取速度(OUR)の低下を結果として生じるはずである。驚いたことに、改変株は、この実験において同じ培養条件下で、親株にほぼ匹敵するOURを有していた。発酵の供給相の最初の期間において、改変株のOURは、親株と比較した場合に高くさえあった。
産物形成は、両方の試みにおいて、およそ150の光学密度で2.4 g IPTGの添加によって誘導された。
両方の株を、同じ既知組成培地上で、同じ条件下で培養したにもかかわらず、親株の産物形成速度は有意により低く、従って、最終的な収量は27.5 g/Lに達しただけであった。それと比較して、改変株は、有意により高い産物形成速度を有していた。これは、親株との直接比較において増殖およびOURのデータを見ただけの時点では期待されなかった。同じ量の標的タンパク質が、ndh欠損改変株によっては培養のわずか38時間後に生産され(27.8 g/L)、ポリペプチドTN-ApoA1を生産するために親株を用いた場合よりも10時間早く、発酵を終了することができた。さらに、ndh欠損改変株での培養は、発酵の最後および加熱段階後に、8.4%多い(29.8 g/L)融合タンパク質を生じた。親大腸菌株は、改変株との直接比較において有意な欠点を有する。
まとめ:
両方の株は、既知組成培地上での発酵において同じ増殖を示したにもかかわらず、ndh欠損改変株は、工程の流加相中の予想外の酸素摂取速度の増大、および有意により高い産物形成速度を有していた。従って、最終的な産物収量を増大させることができた。両方の実験における唯一の相違は、ndh欠損改変株のndh遺伝子座における改変であったため、この効果がそれと直接相関する可能性がある。従って、OURを低減させるためではなく生産性を増大させるために、高生産性大腸菌株においてndhを欠失させることが有用である。

Claims (11)

  1. 大腸菌(E.coli)におけるポリペプチドの組換え生産のための方法であって、
    ‐該ポリペプチドを発現するNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌を培養する段階、および
    ‐細胞または培養培地から該ポリペプチドを回収する段階
    を含み、
    該ポリペプチドが、呼吸鎖経路酵素、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるポリペプチドではない、方法。
  2. NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、機能的なNADHデヒドロゲナーゼIIを有することを除いて同じ遺伝子型を持つ大腸菌に匹敵する酸素摂取速度を有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、機能的なNADHデヒドロゲナーゼIIを有することを除いて同じ遺伝子型を持つ大腸菌に匹敵する増殖速度を有することを特徴とする、請求項1〜2のいずれか一項記載の方法。
  4. NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、機能的なNADHデヒドロゲナーゼIIを有することを除いて同じ遺伝子型を持つ大腸菌より高い生産速度を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、大腸菌K12であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrFを有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、bd型オキシダーゼをさらに欠損していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrFを有する、大腸菌K12。
  9. 組換えポリペプチドの生産におけるNADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌の使用であって、該ポリペプチドが、呼吸鎖経路酵素、または抗生物質耐性誘導遺伝子によってコードされるポリペプチドではない、使用。
  10. NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、遺伝子型thi-1、Δndh、ΔpyrFを有することを特徴とする、請求項9記載の使用。
  11. NADHデヒドロゲナーゼII欠損大腸菌が、bd型オキシダーゼをさらに欠損していることを特徴とする、請求項9〜10のいずれか一項記載の使用。
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