JP2016521733A - 水素化シアノホウ酸アニオンを有する塩の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アルカリ金属一フッ素化トリシアノホウ酸塩からの、一水素化トリシアノホウ酸塩アニオンを有するアルカリ金属塩の製造方法、およびアルカリ金属二フッ素化ジシアノホウ酸塩からの、二水素化ジシアノホウ酸アニオンを有するアルカリ金属塩の製造方法に関する。

Description

本発明は、アルカリ金属一フッ素化トリシアノホウ酸塩からの、一水素化トリシアノホウ酸アニオンを有するアルカリ金属塩の製造方法、およびアルカリ金属ジフルオロジシアノホウ酸塩からの、二水素化ジシアノホウ酸アニオンを有するアルカリ金属塩の製造方法に関する。
一水素化トリシアノホウ酸アニオンを有するアルカリ金属塩は、公表された明細書WO 2012/163489から知られており、例えば、好ましくは有機カチオンを有する、一水素化トリシアノホウ酸塩の合成のための出発材料としての、役割を果たす。一水素化トリシアノホウ酸アニオンを有するこのタイプのイオン液体は、例えば、電気化学セルのための、特には色素太陽電池のための、電解質構成成分として、好適である。WO 2012/163489にはまた、例えば請求項4〜6の方法による、これらのアルカリ金属塩の合成が記載されている。
これらの方法において、使用されている出発材料は、アルカリ金属テトラシアノホウ酸塩またはアルカリ金属四水素化ホウ酸塩のいずれかである。
B. Gyoeri et al, Journal of Organometallic Chemistry, 255, 1983, 17-28には、例えば、トリイソシアノ水素化ホウ酸ナトリウム(0.5molのジオキサンとの付加物)の一水素化トリシアノホウ酸ナトリウムへの、沸騰n−ジブチルエーテル中での異性化が記載されている。
二水素化ジシアノホウ酸アニオンを有するアルカリ金属塩は、公表された明細書WO 2012/163490およびWO 2012/163488から知られており、同様に、例えば電気化学セル、特に色素太陽電池における電解質構成成分として使用するのに好適である、好ましくは有機カチオンを有する、二水素化ジシアノホウ酸塩の合成のための出発材料としての役割を果たす。
WO 2012/163488には、アルカリ金属四水素化ホウ酸塩またはアルカリ金属三水素化シアノホウ酸塩のいずれかを出発材料として使用する、アルカリ金属二水素化ジシアノホウ酸塩の製造方法が記載されている。
リチウム[BH(CN)]の合成は、例えばB. Gyoeri et al, Journal of Organometallic Chemistry, 1983, 255, 17-28から知られており、ここにおいてはオリゴマー1/n(BHCN)をLiCNCHCNと、硫化ジメチル中で反応させる。
ナトリウム[BH(CN)]の合成は、例えばB.F. Spielvogel et al, Inorg. Chem. 1984, 23, 3262-3265から知られており、ここにおいてはアニリンのBHCNとの錯体を、シアン化ナトリウムと反応させる。テトラヒドロフランは、溶媒として記載されている。P.G. Egan et al., Inorg. Chem. 1984, 23, 2203-2204にはまた、ジオキサン錯体Na[BH(CN)0.65(ジオキサン)の、Spielvogel et al.による学術論文に基づいた、別の精製操作変形を使用しての合成が記載されている。
Y. ZhangおよびJ.M. Shreeve, Angew. Chem. 2011, 123, 965-967には、例えば、二水素化ジシアノホウ酸アニオンを有するイオン液体の製造のための、Ag[BH(CN)]の使用が記載されている。
しかしながら、アルカリ金属一水素化トリシアノホウ酸塩またはアルカリ金属ジシアノ二水素化ホウ酸塩の製造のための、経済的な代替の合成法についての要求が、継続して存在している。
したがって本発明の目的は、容易に入手可能であり、かつ比較的より安価な出発材料から出発する代替の製造方法を開発することにある。特にこの要求は、アルカリ金属一水素化トリシアノホウ酸塩の合成に対してである。
驚くべきことに、アルカリ金属一フッ素化トリシアノホウ酸塩が、所望の一水素化トリシアノホウ酸塩の合成のための優れた出発材料であることが見出され、それらは容易に入手可能である。
驚くべきことに、アルカリ金属二フッ素化ジシアノホウ酸塩が所望の二水素化ジシアノホウ酸塩の合成のための優れた出発材料であることが見出され、それらは容易に入手可能である。
この発見は、ボランが一般にフッ化物のための強力な受容体であり、形成したB−F結合が一般にB−H結合より強力であるので、驚くべきであり、かつ予測不可能である。N.N. GreenwoodおよびA. Earnshaw, Chemistry of the Elements, Elsevier Science Ltd., 1997には、結合エネルギーE(B−F)が646kJ/molであると示されており、一方で結合エネルギーE(B−H)は、381kJ/molであると記載されている。
したがって本発明は、式I
[Me] [BH(CN)4−n I、
式中
Meは、アルカリ金属を示し、および
nは、1または2を示す、
で表される化合物の製造方法であって、式II
[Me [BF(CN)4−n II、
式中、Meはアルカリ金属を示し、それはMeと同一であっても、または異なっていてもよく、ならびに
nは1または2を示し、ここでnは式Iおよび式IIにおいて同一である、
で表される化合物の、
以下のいずれか
a)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属Me、ここでアルカリ金属MeはMeもしくはMeと同一であっても、もしくは異なっていてもよい;
または金属合金Me/MeもしくはMe/Me、ここでMeがアルカリ金属である場合において、このアルカリ金属MeはMeもしくはMeとは異なる;との、不活性ガス雰囲気中での、ならびに
プロトン源の添加で必要な場合には、溶媒和した電子を発生すること、および/もしくは安定化させることができるか、またはアニオンフリーラジカルを生成することができる媒体の存在下での、ならびに
Me、MeのいずれもMeに相当しない場合においては、金属カチオン交換、
あるいは
b) 式III
MeH III
で表されるアルカリ金属水素化物との、
不活性ガス雰囲気中での、
式中、MeはMeまたはMeと同一であっても、または異なっていてもよく、F親和性求電子試薬なしでの、または存在下での、ならびにMe、MeのいずれもMeには相当しない場合においては、後続の金属カチオン交換
との反応による、前記方法に関する。
本発明の方法は不活性ガス雰囲気中で行い、ここで不活性ガスは、好ましくは窒素またはアルゴンである。
アルカリ金属は、金属リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムまたはルビジウムである。好ましいアルカリ土類金属は、カルシウムまたはバリウムである。
式Iで表される化合物において、Meは、好ましくはナトリウムまたはカリウム、特に好ましくはカリウムである。
したがって本発明の方法は好ましくは、一水素化トリシアノホウ酸ナトリウムまたは一水素化トリシアノホウ酸カリウムの合成に、および二水素化ジシアノホウ酸ナトリウムまたは二水素化ジシアノホウ酸カリウムの合成に適している。
式IIで表される化合物は、商業的に入手できるかまたは既知の合成プロセスによって入手可能である。式IIで表される化合物において、Meは、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムまたはルビジウムの群から選択されたアルカリ金属であり得、それは、式Iで表される最終生成物のアルカリ金属とは独立して選択される。式IIにおけるMeは、式IにおけるMeと同一であっても、または異なっていてもよい。
式IIで表される化合物において、Meは、好ましくはナトリウムまたはカリウムである。
上に記載される、または好ましものと記載される式IIで表される化合物の製造を、例えば、WO 2004/ 072089に記載されているように、アルカリ金属シアン化物の、三フッ化ホウ素エーテレートとの反応によって行うことができる。
あるいはまた、式IIで表される化合物であって、式中nが1または2を示す該化合物は、アルカリ金属四フッ素化ホウ酸塩の、シアン化トリアルキルシリルとの反応によって製造することができる。四フッ素化ホウ酸塩の、シアン化トリメチルシリルとの反応は、例えばB.H. Hamilton et al., Chem. Commun., 2002, 842-843に、またはE. Bernhardt et al., Z. Anorg. Allg. Chem. 2003, 629, 677-685に記載されている。
シアン化トリアルキルシリルは、商業的に入手可能であるか、または既知の合成プロセスによって入手可能である。
シアン化トリアルキルシリルのアルキル基は、同一であっても、または異なっていてもよい。シアン化トリアルキルシリルのアルキル基は、1〜10個のC原子、好ましくは1〜8個のC原子、特に好ましくは1〜4個のC原子を有する。シアン化トリアルキルシリルのアルキル基は、好ましくは、1〜4個のC原子を有するアルキル基の場合においては同一である。シアン化トリアルキルシリルのアルキル基は、それが5〜10個のC原子の、または5〜8個のC原子のアルキル基である場合には、好ましくは異なっている。シアン化トリアルキルシリルの好適な例は、シアン化トリメチルシリル、シアン化トリエチルシリル、シアン化トリイソプロピルシリル、シアン化トリプロピルシリル、シアン化オクチルジメチルシリル、シアン化ブチルジメチルシリル、シアン化t−ブチルジメチルシリルまたはシアン化トリブチルシリルである。
特に好ましいのは、シアン化トリメチルシリルの使用であり、それは商業的に入手可能であるか、またはin situでもまた、製造することができる。
シアン化トリアルキルシリルはまた、式IIで表される化合物の製造のためにin situで製造することができる。多くの製造方法が、シアン化トリアルキルシリルの合成のために記載されている。
シアン化トリアルキルシリルを、例えばアルカリ金属シアン化物および塩化トリアルキルシリルから製造することができる。EP 76413には、この反応がアルカリ金属ヨウ化物の存在下およびN−メチルピロリドンの存在下で行われたことが記載されている。
EP 40356には、この反応が重金属シアン化物の存在下で行われたことが記載されている。
WO 2008/102661には、この反応がヨウ素およびヨウ化亜鉛の存在下で行われたことが記載されている。
WO 2011/085966には、この反応をアルカリ金属ヨウ化物またはフッ素化物および任意にヨウ素の存在下で行うことができることが記載されている。ここで好ましいのは、シアン化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムまたはシアン化カリウムおよびヨウ化カリウムの使用であり、ここにおいてはアルカリ金属ヨウ化物を、好ましくは、1molのアルカリ金属シアン化物および塩化トリアルキルシリルに基づき、0.1molのモル量で加える。一般に、製造のためのこのプロセスは、M.T. Reetz, I. Chatziiosifidis, Synthesis, 1982, p. 330;J.K. Rasmussen, S. M. HeilmannおよびL.R. Krepski, The Chemistry of Cyanotrimethylsilane、G.L. Larson(編)"Advances in Silicon Chemistry", Vol. 1, p. 65-187, JAI Press Inc., 1991中またはWO 2008/102661による記載に基づく。
式IIで表される化合物の合成のためのシアン化トリアルキルシリルのin-situ生成を、好ましくは、WO 2011/085966に示されている反応条件に従って行う。
式IIで表される代表的な化合物の合成の実施例を、例のパートにおいて示す。
本発明の方法のプロセス変形a)またはb)のいずれの態様を選択するかとは無関係に、反応物の反応に、精製ステップを後続させて、上に記載した式Iで表される最終生成物を副産物または反応生成物から分離するのが、好ましい。
好適な精製ステップは、蒸留または凝縮による易揮発性の成分の分離、有機溶媒での抽出またはこれらの方法の組み合わせを含む。あらゆる既知の分離方法を、この目的のために使用、または組み合わせることができる。
したがって本発明はさらに、プロセス変形a)またはb)による反応に精製ステップを後続させる、上に記載した本発明の方法に関する。
式IIで表される化合物の、本明細書中に記載した示した反応物との反応が起こった後に、金属カチオン交換が必要である場合には、式Iで表される標的生成物についての対応するアルカリ金属カチオンMeが未だ反応混合物中に存在しないので、本発明の態様において、金属カチオン交換が精製ステップの間に起こる場合が、好ましい。
金属カチオン交換は、好ましくはアルカリ金属カチオン交換である。
金属カチオン交換または好ましくはアルカリ金属カチオン交換のための好ましい方法は、例えば、変形a)または変形b)に従って得られた反応混合物の、対応する炭酸塩(Me)COおよび/または対応する炭酸水素塩MeHCOとの反応であり、ここでMeは、式Iで表される所望の最終生成物のアルカリ金属Meに相当する。
例えば抽出を精製ステップとして選択する場合、有機溶媒を、この場合において水性反応混合物に加える。炭酸塩(Me)COおよび/または炭酸水素塩MeHCOの、最初の反応混合物の水性相への添加、ならびに式Iで表される最終生成物のための溶媒の好適な選択によって、反応生成物および副産物の、式Iで表される最終生成物からの分離が有利な方式において促進される。
したがって本発明はさらに、上に記載した本発明の方法であって、金属カチオン交換、好ましくはアルカリ金属カチオン交換が精製ステップの間に起こる、前記方法に関する。
したがって本発明はさらに、上に記載した本発明の方法であって、金属カチオン交換を化合物(Me)COおよび/または化合物MeHCO、ここでMeが式Iで表される所望の最終生成物のアルカリ金属Meに相当する、との反応によって行う、前記プロセスに関する。
本発明の方法のプロセス変形a)またはb)のいずれの態様を選択するかとは無関係に、上に記載された、または好ましいとして記載された式IIで表される化合物の反応が有機溶媒の存在下で起こる場合が、好ましい。プロセス変形a)またはb)にそれぞれ適する溶媒を、以下に示す。
したがって本発明はさらに、上に記載した本発明の方法であって、変形a)において、ならびに変形b)のにおいての両方で、上に記載された、または好ましいとして記載された式IIで表される化合物の反応が有機溶媒の存在下で起こる、前記方法に関する。
上に記載した本発明の方法のプロセス変形a)において、上に記載した式IIで表される化合物を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属Meと反応させる。使用のために選択する金属Meがアルカリ金属である場合、これは、式IIで表される化合物のアルカリ金属カチオンと同一であっても、または異なっていてもよく、また式Iで表される標的生成物のアルカリ金属カチオンと同一であっても、または異なっていてもよい。使用するアルカリ金属MeがMeおよびMeとは異なる場合、この反応に、アルカリ金属カチオン交換をプロセスステップとして後続させて、式Iで表されるプロセス最終生成物を得なければならない。アルカリ土類金属Meを使用する場合、この反応に、金属カチオン交換をプロセスステップとして後続させて、式Iで表されるプロセス最終生成物を得なければならない。
好ましいプロセス変形において、金属Meは、上に記載したアルカリ金属である。
代替的にまた、プロセス最終生成物はまた、水素化シアノホウ酸塩の、アルカリ金属カチオン[Me]、[Meおよび/またはカチオン[Meもしくは[Me2+との塩混合物であってもよい。所望の後続の反応に依存して、塩混合物の分離は、自動的に必要ではない。そして、金属カチオン交換によりMeを含む単一プロセス最終生成物を得ることは、必要ではない。
金属合金Me/MeまたはMe/Meをプロセス変形a)において使用する場合、金属カチオン交換は同様に、アルカリ金属Meを含む単一プロセス最終生成物を得るために必要である。
さらに本発明はまた、プロセス変形a)において、溶媒和した電子の発生および/または安定化のための媒体が、液体アンモニア、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、アミン、α,ω−ジアミノアルカン、アルコールまたはジオールから選択される、上に記載した方法に関する。
好適なアミンは、例えばメチルアミンまたはエチルアミンである。
好適なα,ω−ジアミノアルカンは、例えばエタン−1,2−ジアミン、プロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミンまたはヘキサン−1,6−ジアミンである。
好適なアルコールは、例えばエタノール、n−プロパノール、i−プロパノールまたはブタノールである。
好適なジオールは、例えばエチレングリコールまたは1,4−ブタンジオールである。
溶媒和した電子の発生および/または安定化のための好ましい媒体は、液体アンモニアである。
したがって、本発明はさらに、溶媒和した電子の発生および/または安定化のための媒体が液体アンモニアであることを特徴とする、上に記載したプロセスに関する。
本発明はさらにまた、プロセス変形a)において、アニオンフリーラジカルを生成することができる媒体が縮合芳香族化合物から選択される、上に記載した方法に関する。
縮合芳香族化合物は、強力な還元剤として作用するアルカリ金属Meアニオンフリーラジカルで生成する。
好適な縮合芳香族化合物は、例えばナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アントラセン、フェナントレンまたは、多環式芳香族縮合炭化水素もまた、例えばテトラセン、ペンタセンもしくはヘキサセンである。
選択された縮合芳香族化合物は、好ましくはナフタレンである。
したがって、本発明はさらに、アニオンフリーラジカルを形成することができる媒体がナフタレンであることを特徴とする、上に記載したプロセスに関する。
プロセス変形a)の態様において、上に記載した式IIで表される化合物を、アルカリ金属Meとともに、液体アンモニア[NH(l)]中で反応させる。NH(l)中のリチウム、NH(l)中のナトリウムまたはNH(l)中のカリウムが、好ましくは使用される。NH(l)中のナトリウムまたはNH(l)中のカリウムが、特に好ましくは使用される。
唯一のプロトン源としての液体NHとの反応が比較的遅いので、この反応手順においてはさらなるプロトン源をアルカリ金属Meとの反応の後に加える場合が、有利である。好適なプロトン源は、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、これらのアルコールの水性混合物、水またはアンモニウム塩から選択される。
好適なアンモニウム塩は、例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムまたは塩化トリエチルアンモニウムである。
本発明において、水をプロトン源として使用するのが有利である。
プロセス変形a)のこの態様の条件はまた、アルカリ土類金属または金属合金Me/MeもしくはMe/Meの液体アンモニア中での反応に適用する。本発明の方法のための好ましいアルカリ金属合金は、Na/Kである。
したがって本発明はさらに、プロトン源が水である、上に記載した本発明の方法に関する。
使用する金属Meまたは使用する金属合金Me/MeもしくはMe/Meは、好ましくは、金属または金属合金を包囲する保護剤、例えば油またはパラフィンを有しない。
上に記載したプロセス変形a)のこの態様において、反応が有機溶媒の存在下で起こる場合もまた、好ましい。好適な溶媒は、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンまたはジグライムである。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。
理論に束縛されることなく、液体アンモニア中でのプロセス変形a)のこの態様における反応は、1つまたは2つ以上のステップで進行し、ここにおいては種々のアニオン種が生成することができ、次に最終的に一水素化トリシアノホウ酸塩または二水素化ジシアノホウ酸塩に、プロトン源との反応によって変換される。
したがって、プロセス変形a)のこの態様において、プロトン源を別個に、または有機溶媒との混合物において加える場合が、有利である。プロトン源の添加は好ましくは、−20℃〜25℃の温度で、特に好ましくは0℃で行う。
したがって、プロセス変形a)のこの態様について、上に記載された、または好ましいとして記載された式IIで表される化合物を、最初に液体アンモニアに適している反応容器中に投入し、アンモニアを、−78℃で凝縮させ、金属Meまたは金属合金Me/MeもしくはMe/Meを、その後不活性ガス雰囲気中で加える場合が、有利である。次に、この反応混合物を−78℃〜−40℃で10〜120分間撹拌し、金属が消費された後に反応混合物を室温へと温まるようにするのが、有利であり得る。付随するアンモニア蒸発のための予防策を、守らなければならない。
上に記載したプロトン源の添加の後に、式Iで表される標的生成物のための対応するアルカリ金属カチオンMeが上に記載した条件の下で反応混合物中に未だ存在しない場合、金属カチオン交換を後続させてもよい。
プロセス変形a)のこの態様において、反応に、抽出の形式での精製ステップを後続させる場合が、好ましい。好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトン、ニトリル、例えばアセトニトリル、アルコール、例えばメタノール、エタノールまたはブタノール、ジアルキルエーテル、例えばジエチルエーテル、モノグライムまたはジグライムの群から選択することができる。
テトラヒドロフランを特に好ましくは、プロセス変形a)のこの態様において使用する。
プロセス変形a)の別の態様において、上に記載した式IIで表される化合物を、金属Meまたは金属合金Me/MeもしくはMe/Meと、ナフタレンの存在下で反応させる。この変形において、金属Meは上に定義したアルカリ金属であるか、または金属合金は上に定義したアルカリ金属合金である。
理論に束縛されることなく、プロセス変形a)のこの代替の態様における反応は、1つまたは2つ以上のステップで進行し、ここにおいては種々のアニオン種が生成することができ、次に最終的には、好適なプロトン源との反応により、一水素化トリシアノホウ酸塩または二水素化ジシアノホウ酸塩に変換される。
プロトン源として好適なのは、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、これらのアルコールの水性混合物、カルボン酸または鉱酸の水溶液、水またはアンモニウム塩ある。
好適なカルボン酸は、酢酸、ギ酸、グリコール酸または酒石酸である。
好適な鉱酸は、塩酸、硫酸、硝酸またはリン酸である。
好適なアンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムまたは塩化トリエチルアンモニウムである。
本発明においては、水をプロトン源として使用するのが、有利である。
したがって本発明はさらに、この代替のプロセス変形a)においてもまた、プロトン源が水である、上に記載した本発明の方法に関する。
上に記載したプロセス変形a)のこの代替の態様において、反応が有機溶媒の存在下で起こる場合が、同様に好ましい。好適な溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、または1,2−ジメトキシエタンである。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。
したがって、プロセス変形a)のこの態様において、プロトン源を有機溶媒中に加える場合が有利である。プロトン源の添加を、好ましくは−20℃〜25℃の温度で、特に好ましくは0℃で行う。
ナフタレンを、上に記載された、または好ましいものとして記載された式IIで表される化合物を好適な有機溶媒に溶解した溶液に加え、アルカリ金属Meまたはアルカリ金属合金Me/MeもしくはMe/Meを、その後不活性ガス雰囲気中で過剰において加える場合が、プロセス変形a)のこの代替の態様に有利である。好適な温度範囲は10℃〜80℃であり、反応は好ましくは室温で行う。同一の有機溶媒を両方のステップに対して使用する場合が、有利である。
式IIで表される化合物のMe/ナフタレンとの反応を、好ましくは10℃〜60℃の温度で、特に好ましくは室温で行う。当該反応は、不活性雰囲気中で、好ましくは水および酸素を排除して行わなければならない。水および酸素の排除のための条件を以下に記載し、好ましくはまたこのプロセス変形に適用する。
上に一般論として、ならびにプロセス変形a)の第1の態様について記載したプロトン源の添加の後に、式Iで表される標的生成物についての対応するアルカリ金属カチオンMeが未だ上に記載した条件の下で反応混合物中に存在しない場合、金属カチオン交換を後続させてもよい。
プロセス変形a)のこの態様において、反応に、抽出の形式での精製ステップを後続させる場合が、好ましい。この目的のための好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、ジアルキルエーテル、アセトンまたはアセトニトリルである。テトラヒドロフランを、特に好ましくはプロセス変形a)のこの態様において使用する。
プロセス変形a)のこの態様において、上に記載された、または好ましいとして記載された式IIで表される化合物を、アルコール中にまたはジオール中に、好ましくはエタノール中に取り込み、アルカリ金属Meまたはアルカリ金属合金Me/MeもしくはMe/Meを、後続して不活性ガス雰囲気中で加える場合が、有利である。次に、この反応混合物を−40℃〜140℃、好ましくは0℃〜80℃で10分〜数時間にわたって撹拌し、アルカリ金属が消費された後に、反応混合物を例10の教示に従って精製操作するのが、有利であり得る。このプロセス変形において、過剰に生成した金属アルコキシドを、鉱酸、例えば水性塩酸を使用して、後続のメタセシス反応の前に中和することが、有利である。
上に記載した本発明の方法のプロセス変形b)において、上に記載した式IIで表される化合物を、アルカリ金属水素化物MeHと、不活性ガス雰囲気中で反応させる。アルカリ金属カチオン[Meは、式IIで表される化合物のアルカリ金属カチオンと同一であっても、または異なっていてもよく、また式Iで表される標的生成物のアルカリ金属カチオンと同一であっても、または異なっていてもよい。使用するアルカリ金属MeがMeおよびMeとは異なる場合、この反応に、アルカリ金属カチオン交換をプロセスステップとして必ず後続させなければならない。
プロセス変形b)の態様において、上に記載した式IIで表される化合物を、アルカリ金属水素化物MeHと、F親和性求電子試薬の存在下で反応させる。
理論に束縛されることなく、求核置換反応反応の機構を、プロセス変形b)について推定する。
への良好な親和性を有する求電子試薬の添加により置換が加速されることが、見出された。
用語「Fへの親和性」は、使用する試薬が好ましくはFへの結合を形成することを意味する。ここでの結合は、共有結合または、静電相互作用を通じて生じる結合もまた、であり得る。
プロセス変形b)の好ましい態様において、(F)親和性求電子試薬は、リチウム塩またはマグネシウム塩である。
好適なリチウム塩は、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化リチウム、リチウムトリフレート、過塩素酸リチウムまたは四フッ素化ホウ酸リチウムである。
好適なマグネシウム塩は、マグネシウムトリフレートである。
プロセス変形b)の特に好ましい態様において、臭化リチウムを、求電子試薬として使用する。
それゆえ本発明はさらに、上に記載した本発明の方法であって、(F)親和性求電子試薬がリチウム塩またはマグネシウム塩である、前記方法に関する。
それゆえ本発明はさらに、上に記載した本発明の方法であって、(F)親和性求電子試薬が臭化リチウムである、前記方法に関する。
上に記載した式IIで表される化合物の、式IIIで表されるアルカリ金属水素化物との反応は、好ましくは、有機溶媒の存在下で、例えばエーテルの存在下で行う。好ましいエーテルは、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテルまたはジメトキシエタンである。テトラヒドロフランを、特に好ましくは使用する。
プロセス変形b)による本発明の反応は、好ましくは、10℃〜200℃、特に15℃〜150℃、特に好ましくは100℃〜150℃、非常に特に好ましくは80℃の温度で起こる。当該反応は、不活性ガス雰囲気中で、好ましくは水および酸素を排除して起こる。水および酸素の排除のための条件を以下に記載し、好ましくはまたこのプロセス変形に適用する。
このプロセス変形b)において、上に記載した精製操作ステップが様々な分離方法の組み合わせを含む場合が、好ましい。
例えば、可能な過剰の上に記載した式IIIで表される水素化物を水またはメタノール、エタノール、イソプロパノールもしくはブタノールの水性アルコール性溶液の添加によって分解し、すべての揮発性成分を減圧下で除去するのが、好ましい。
得られた反応生成物を有機溶媒中に取り込み、副産物を水での抽出によって、または濾過によって除去するのが、さらに好ましい。このステップにおいて、アルカリ金属カチオン交換をまた、上に詳細に記載したように相応して行うことができる。
しかしながら、プロセス変形b)において、アルカリ金属カチオン[Meが式Iで表される最終生成物の金属カチオンに相当する場合が、有利である。
好適な有機溶媒は、テトラヒドロフラン、ジアルキルエーテル、例えばジエチルエーテル、アセトニトリルまたはアセトンである。
したがって、上に記載された、または好ましいとして記載された式IIで表される化合物を、上に記載した式IIIで表される化合物および好適な溶媒と共に、示した反応温度で撹拌し、次いで精製操作する場合が、プロセス変形b)のこの態様には有利である。
そして本発明の方法に、古典的なメタセシス反応を後続させてもよく、ここで式IV
[Kt]z+ z[BH(CN)4−n IV
式中
[Kt]z+は無機または有機カチオンであり、zはカチオンの電荷に相当し、ならびに
nは1または2を示し、かつnは上に記載した式Iで表される出発化合物におけるものと同一の意味を有する、
で表される化合物が、生成する。
それゆえ本発明はさらに、式IV
[Kt]z+ z[BH(CN)4−n IV
式中
[Kt]z+は無機または有機カチオンであり、
zはカチオンの電荷に相当し、ならびに
nは1または2を示す、
で表される化合物の、
アニオン交換による製造方法に関し、ここでカチオン[Kt]z+を含む塩を、上に記載した本発明の方法によって製造した式I
[Me][BH(CN)4−n
で表される化合物と反応させ、ここでMeはアルカリ金属を示し、nは式IVで表される化合物におけるのと同一の意味を有する。
[Kt]z+は、好ましくは有機カチオンまたは無機カチオンの意味を有し、ここでカチオン[Kt]z+は、式Iで表される化合物において使用するカチオンMeに相当せず、ならびに
[Kt]z+を含む塩のアニオンAは、F、Cl、Br、I、HO、[HF、[CN]、[SCN]、[RCOO]、[ROC(O)O]、[RSO、[RCOO]、[RSO、[ROSO、[PF、[BF、[HSO、[NO、[(RP(O)O]、[RP(O)O2−、[(RO)P(O)O]、[(RO)P(O)O2−、[(RO)RP(O)O]、トシル酸(イオン)、マロン酸(イオン)を示し、それは、1〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基、[HOCOまたは[CO2−によって置換されていてもよく、
ここでRは、各場合において互いに独立して、1〜12個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を示し、ならびに
は、各場合において互いに独立して、1〜12個のC原子を有する直鎖状または分枝状のパーフッ素化アルキル基を示し、かつここで電気的中性を、塩KtAの式において考慮する。
1〜4個のC原子を有するパーフッ素化された直鎖状または分枝状アルキル基は、例えば三フッ素化メチル、五フッ素化エチル、n−七フッ素化プロピル、イソ−七フッ素化プロピル、n−九フッ素化ブチル、sec−九フッ素化ブチルまたはtert−九フッ素化ブチルである。Rは、同様に、1〜12個のC原子を有する直鎖状または分枝状パーフッ素化アルキル基を定義し、前述のパーフッ素化アルキル基および例えばパーフッ素化n−ヘキシル、パーフッ素化n−ヘプチル、パーフッ素化n−オクチル、パーフッ素化エチルヘキシル、パーフッ素化化n−ノニル、パーフッ素化n−デシル、パーフッ素化n−ウンデシルまたはパーフッ素化n−ドデシルを包含する。
は、特に好ましくは三フッ素化メチル、五フッ素化エチルまたは九フッ素化ブチル、非常に特に好ましくは三フッ素化メチルまたは五フッ素化エチルである。
は、特に好ましくはメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシルまたはn−オクチル、非常に特に好ましくはメチルまたはエチルである。
置換マロン酸塩は、例えば化合物 − マロン酸メチルまたはマロン酸エチルである。
[Kt]z+を含む塩のアニオンAは、好ましくはOH、Cl、Br、I、[CHSO [CHOSO、[CFCOO]、[CFSO、[(CP(O)O]または[CO2 −、特に好ましくはOH、Cl、Br、[CHOSO、[CFSO、[CHSOまたは[(CP(O)O]である。
[Kt]z+のための有機カチオンは、例えばヨードニウムカチオン、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、オキソニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ウロニウムカチオン、チオウロニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、トリチリウムカチオンまたは複素環式カチオンから選択される。
好ましい無機カチオンは、2〜12族からの金属の金属カチオンまたは、NOもしくはHもまた、である。
好ましい無機カチオンは、Ag、Mg2+、Cu、Cu2+、Zn2+、Ca2+、Y3+、Yb3+、La3+、Sc3+、Ce3+、Nd3+、Tb3+、Sm3+または希土類金属、遷移金属または貴金属、例えばロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、白金、オスミウム、コバルト、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、トリウム、ウラン、金、を含む錯体(配位子含有)金属カチオンである。
上に記載した、式Iで表される塩の、[Kt]z+を含む塩との塩交換反応を、有利には水中で行い、ここにおいては0°〜100℃、好ましくは15°〜60℃の温度が、好適である。当該反応を、特に好ましくは室温(25℃)で行う。
しかしながら、前述の塩交換反応を、代替的にまた、有機溶媒中で−30°〜100℃の温度で行ってもよい。ここでの好適な溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジオキサン、ジクロロメタン、ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトンまたはアルコール、例えばメタノール、エタノールもしくはイソプロパノール、ジエチルエーテルあるいは前述の溶媒の混合物である。
本発明の方法のさらなる態様において、式IIで表される化合物を、四フッ素化ホウ酸アルカリ金属およびシアン化トリアルキルシリルから、前もってin situで製造し、ここで使用するシアン化トリアルキルシリルを、同様にしてこの反応の前にin situで、上に記載したアルカリ金属シアン化物および塩化トリアルキルシリルから製造することができる。
それゆえ本発明はさらに、上に記載された、または好ましいとして記載された式Iで表される化合物の製造方法であって、式IIで表される化合物をin situで製造する、前記方法に関する。
それゆえ本発明はさらに、式I
[Me][BH(CN)4−n
式中
Meは、アルカリ金属を示し、および
nは、1または2を示す、
で表される化合物の製造方法であって、
式V
[Me[BF
式中、Meはアルカリ金属を示し、それはMeと同一であっても、または異なっていてもよい、
で表される化合物の、シアン化トリアルキルシリル、ここでシアン化トリアルキルシリルのアルキル基は、各場合において互いに独立して、1〜10個のC原子を有する、好ましくは1〜8個のC原子を有する、非常に特に好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を示す、との反応により、式II
[Me[BF(CN)4−n II
式中、Meは式Vで表される化合物のアルカリ金属に相当し、ならびに
nは1または2を示し、ここでnは式Iおよび式IIにおいて同一であり、
ここで反応の条件は、含水量ならびに酸素含量の両方が最大1000ppmであるように選択し、
で表される化合物を得、ならびに、
以下のいずれか
a)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属Me、ここでアルカリ金属MeはMeもしくはMeと同一であっても、もしくは異なっていてもよい;
または金属合金Me/MeもしくはMe/Me、ここでMeがアルカリ金属である場合において、このアルカリ金属MeはMeもしくはMeとは異なる;との、不活性ガス雰囲気中での、ならびに
プロトン源の添加で必要な場合には、溶媒和した電子を発生させるか、および/もしくは安定化させることができるか、またはアニオンフリーラジカルを生成することができる、媒体の存在下での、ならびに
MeもMeもいずれも、Meに相当しない場合においては金属カチオン交換での、
あるいは
b) 式III
MeH III
で表されるアルカリ金属水素化物との、
不活性ガス雰囲気中での、
式中、MeはMeまたはMeと同一であっても、または異なっていてもよい、Fへの親和性を有する求電子試薬なしの、または存在下での、ならびにMeもMeもいずれも、Meに相当しない場合においては、後続の金属カチオン交換での
反応による製造方法に関する。
上に記載したアルカリ金属四フッ素化ホウ酸塩の、シアン化トリアルキルシリルとの反応は、好ましくは、塩化トリアルキルシリル、臭化トリアルキルシリルおよび/またはヨウ化トリアルキルシリルの存在下で起こり、ここにおいて各場合におけるハロゲン化トリアルキルシリルのアルキル基は、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を示す。シアン化トリアルキルシリルの例は、上に記載したか、または好ましいとして記載した。
ハロゲン化トリアルキルシリルのアルキル基は、同一であっても、または異なっていてもよい。ハロゲン化トリアルキルシリルのアルキル基は、好ましくは、1〜8個のC原子、特に好ましくは1〜4個のC原子を有する。ハロゲン化トリアルキルシリルのアルキル基は、好ましくは、1〜4個のC原子を有するアルキル基の場合においては同一である。ハロゲン化トリアルキルシリルのアルキル基は、好ましくは、それが5〜10個のC原子の、または5〜8個のC原子のアルキル基である場合には、異なっている。
ハロゲン化トリアルキルシリルは、好ましくは塩化トリアルキルシリルである。
好適な塩化トリアルキルシリルは、塩化トリメチルシリル(もしくは同義的にトリメチル塩化シラン)、塩化トリエチルシリル、塩化トリイソプロピルシリル、塩化トリプロピルシリル、塩化オクチルジメチルシリル、塩化ブチルジメチルシリル、塩化t−ブチルジメチルシリルまたは塩化トリブチルシリルである。特に好ましいのは、塩化トリメチルシリルの使用である。非常に特に好ましいのは、塩化トリメチルシリル単独の使用である。
好適なトリアルキル臭化シランは、トリメチル臭化シラン(もしくは同義的に臭化トリメチルシリル)、臭化トリエチルシリル、臭化トリイソプロピルシリル、臭化トリプロピルシリル、臭化オクチルジメチルシリル、臭化ブチルジメチルシリル、臭化t−ブチルジメチルシリルまたは臭化トリブチルシリルである。特に好ましいのは、臭化トリメチルシリルの、塩化トリメチルシリルとの混合物における使用である。
好適なトリアルキルヨウ化シランは、トリメチルヨウ化シラン(もしくは同義的にヨウ化トリメチルシリル)、ヨウ化トリエチルシリル、ヨウ化トリイソプロピルシリル、ヨウ化トリプロピルシリル、ヨウ化オクチルジメチルシリル、ヨウ化ブチルジメチルシリル、ヨウ化t−ブチルジメチルシリルまたはヨウ化トリブチルシリルである。特に好ましいのは、ヨウ化トリメチルシリルの、塩化トリメチルシリルとの混合物における使用である。
上に記載された、または好ましいとして記載された、ハロゲン化トリアルキルシリルまたはハロゲン化トリアルキルシリルの混合物は、特に好ましくは、使用するシアン化トリアルキルシリルの量に基づいて1〜20mol%の合計量で使用する。ハロゲン化トリアルキルシリルまたはハロゲン化トリアルキルシリルの混合物は、特に好ましくは、使用するシアン化トリアルキルシリルの量に基づいて3〜12mol%の合計量で使用する。ハロゲン化トリアルキルシリルまたはハロゲン化トリアルキルシリルの混合物は、非常に特に好ましくは、使用するシアン化トリアルキルシリルの量に基づいて7〜11mol%の合計量で使用する。
当該反応は、開放された装置において、ならびに閉鎖された装置においての両方で行うことができる。
式Vで表される出発材料、シアン化トリアルキルシリルおよび任意に塩化トリアルキルシリルを、酸素含量が最大で1000ppmである不活性ガス雰囲気中で混合するのが、好ましい。酸素含量が500ppm未満である場合が特に好ましく、非常に特に好ましくは最大で100ppmである。
試薬の、および不活性ガス雰囲気の含水量は、最大で1000ppmである。試薬の、および当該雰囲気の含水量が500ppm未満である場合が特に好ましく、非常に特に好ましくは最大で100ppmである。
含水量および酸素含量に関する条件は、プロセス変形a)もしくはb)の後のさらなる反応に、または式IIで表される化合物の、シアン化トリアルキルシリルとの反応が起こった後の精製操作には適用しない。
上に記載した式Iで表される化合物を得るための、式IIで表される化合物の、本発明の反応の態様のすべてのさらなる説明は、相応してこの観点において、式Vで表される化合物の出発材料でのこのワンポットプロセスに適用し、この観点においては限定されずに組み合わせることができる。
シアン化トリアルキルシリルのin-situ生成の場合において、本発明は、以下のワンポットプロセスに関する。
したがって本発明はさらに、式I
[Me][BH(CN)4−n
式中
Meは、アルカリ金属を示し、および
nは、1または2を示す、
で表される化合物の製造方法であって、
式V
[Me[BF
式中、Meはアルカリ金属を示し、それはMeと同一であっても、または異なっていてもよい、
で表される化合物の、シアン化アルカリ金属および塩化トリアルキルシリルとの、シアン化トリアルキルシリルのin-situ生成の条件下、ここで各場合において生成した塩化トリアルキルシリルならびにシアン化トリアルキルシリルのアルキル基は、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する、好ましくは1〜8個のC原子を有する、非常に特に好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を示す、での反応により、式II
[Me[BF(CN)4−n II
式中、Meは式Vで表される化合物のアルカリ金属に相当し、ならびに
nは1または2を示し、ここでnは式Iおよび式IIにおいて同一である、
で表される化合物を得、
ならびに以下のいずれか
a)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属Me、ここでアルカリ金属MeはMeもしくはMeと同一であっても、もしくは異なっていてもよい;
または金属合金Me/MeもしくはMe/Me、ここでMeがアルカリ金属である場合において、このアルカリ金属MeはMeもしくはMeとは異なる;との、不活性ガス雰囲気中での、ならびに
プロトン源の添加で必要な場合には、溶媒和した電子を発生するか、および/もしくは安定化させることができるか、またはアニオンフリーラジカルを生成することができる、媒体の存在下での、ならびに
MeもMeもいずれもMeに相当しない場合においては、金属カチオン交換での、
あるいは
b) 式III
MeH III
で表されるアルカリ金属水素化物との、
不活性ガス雰囲気中での、
式中、MeはMeまたはMeと同一であっても、または異なっていてもよい、Fへの親和性を有する求電子試薬なしでの、または存在下での、ならびにMeもMeもいずれもMeに相当しない場合においては、後続の金属カチオン交換での
反応による、前記製造方法に関する。
シアン化トリアルキルシリルのin-situ生成は、好ましくは、上に記載したようにアルカリ金属ヨウ化物および任意にヨウ素の存在下で起こる。シアン化トリアルキルシリルのin-situ生成は、特に好ましくはアルカリ金属ヨウ化物の存在下で起こる。in-situ生成のための反応の条件はまた、含水量ならびに酸素含量の両方が1000ppm未満であるように選択する。上に述べた条件が、相応して適用する。
アルカリ金属ヨウ化物の量は、好ましくは、アルカリ金属シアン化物の量に基づいて4〜6mol%または塩化トリアルキルシリルの量に基づいて3〜5mol%である。アルカリ金属ヨウ化物の量は、特に好ましくはアルカリ金属シアン化物の量に基づき4.9〜5.1mol%または塩化トリアルキルシリルの量に基づき3.9〜4.1mol%である。
上に記載したワンポット合成を、好ましくは、閉鎖された反応容器中で行う。反応中に、2.5barの最大圧力が、一般に発生する。
上に記載した、式Iで表される化合物を得るための、式IIで表される化合物の本発明の反応の態様のすべてのさらなる説明は、相応して、この観点において、出発材料である式Vで表される化合物での、このワンスポットプロセス、およびシアン化トリアルキルシリルのin-situ生成に適用し、限定されずにこの観点において組み合わせることができる。シアン化トリメチルシリルは、特に好ましくはワンポットプロセスでin situで生成する。
単語選択「ワンポットプロセス」は、上に記載された、または好ましいとして記載された中間体として生成した式IIで表される化合物を分離しないことを意味する。「ワンポットプロセス」のプロセス変形において、存在する過剰の反応物および/または副産物および/または補助剤、例えば溶媒を分離することがまた、可能である。
得られた物質を、NMRスペクトルによって特徴づけする。NMRスペクトルを、重水素化アセトン−Dに溶解した、またはCDCNに溶解した溶液に関して、重水素ロック(deuterium lock)を有するBruker Avance 500分光計上で測定する。様々な核の測定周波数は、以下のとおりである:H:500.1MHz、11B:160.5MHzおよび13C:125.8MHz。参照を、外部参照を使用して行う:Hおよび13Cスペクトルに対してはTMS、ならびに−11Bスペクトルに対してはBF・EtO。
例1:一フッ素化トリシアノホウ酸ナトリウム;Na[BF(CN)]のワンポット合成
A)
6.0g(40.0mmol)のヨウ化ナトリウムNaIおよび40.0g(816.3mmol)のシアン化ナトリウムNaCNを、20mlのアセトニトリルに懸濁させる。130ml(1029mmol)の塩化トリメチルシリル(CHSiClを、懸濁液に加える。反応混合物を、室温で激しく撹拌し、その間反応混合物を、NaCNの(CHSiCNへの変換が起こるまで、密封した容器中で光を排除しながら保持する。反応時間は、1〜2日であり得る。当該反応は、13C−NMR測定によってモニタリングすることができる。次いで、16.0g(145.4mmol)の四フッ素化ホウ酸ナトリウムNa[BF]を、加える。
反応混合物を閉鎖された容器中でさらに1.5時間、撹拌および加熱をし、その間油浴温度は100℃である。反応中に、(CHSiF(沸点16℃)が、生成する。この理由のために、系は加圧下にあり(最大2.5bar)、反応容器は注意深く開放しなければならない。室温へと冷ました後に、結晶が生成し、すべての揮発性構成成分を真空中で除去する。あるいはまた、固体Na[BF(CN)]およびNaClをまた、濾過してもよい。固体残留物または濾過残留物を、150mlのアセトンで抽出する。次にアセトンを留去し、残留物を70mlのテトラヒドロフラン(THF)中に取り込む。200mlのジクロロメタンの添加の後、生成物Na[BF(CN)]が沈殿し、濾別し、真空中で乾燥し、17.61g(134.5mmol)のNa[BF(CN)]を得る。これは、Na[BF]に基づき、93%の収率に相当する。
19F-NMR (solvent: acetone-D6), δ, ppm: -212.2 q, 1J11B,19F = 44 Hz, 1J10B,19F = 14.5 Hz
11B-NMR (solvent: acetone-D6), δ, ppm: -17.8 d, 1J11B,19F = 44 Hz.
B)
NaI(0.60g、4.00mmol)およびNaCN(4.0g、81.6mmol)を、アセトニトリル(2.0ml)中に取り込み、トリメチルクロロシラン(CHSiCl(10.3ml、81.6mmol)を加え、混合物を室温で一晩、密封した容器中で光を排除しながら撹拌する。四フッ素化ホウ酸ナトリウムNa[BF](1.6g、14.54mmol)およびさらなる塩化トリメチルシリル(2.5ml、19.79mmol)を、懸濁液に加える。反応混合物を、100℃(油浴温度)で3時間、閉鎖された容器(最大圧力2.5bar)中で加熱する。その後、すべての揮発性構成成分(塩化トリメチルシリル、フッ素化トリメチルシリル、シアン化トリメチルシリル)を、真空中で除去する。残留物をアセトン(20ml)で抽出し、濾液を真空中で蒸発乾固させる。
収率:1.8g(13.75mmol)、使用したホウ酸塩を基準として95%に相当する。
19Fおよび11B NMRスペクトルは、例A)のものと同一である。
例2:一フッ素化トリシアノホウ酸ナトリウム;Na[BF(CN)]の合成
11.0g(100mmol)の四フッ素化ホウ酸ナトリウムNa[BF]を、最初にフラスコ中に、PTFE心棒(Young, London)と共に投入する。例1において得られたシアン化トリメチルシリル(CHSiCN(75mol%)、塩化トリメチルシリル(CHSiCl(15mol%)およびフッ素化トリメチルシリル(CHSiF(10mol%)の、100mlの混合物(これらの、および同様の混合物を、本明細書中に記載した反応から精製操作の間に回収する)を、四フッ素化ホウ酸ナトリウムに加える。フラスコを閉じ、反応混合物を90℃(油浴温度)で4時間撹拌する。次いで20mlのフレッシュなシアン化トリメチルシリルおよび2mlの塩化トリメチルシリルを加え、反応混合物を、80℃(油浴温度)でさらに5時間撹拌する。
次にすべての揮発性物質を留去し、残留物を60℃で真空中で1日間乾燥し、13.1g(100mmol)のNa[BF(CN)]を得る。
19F−および11B−NMRスペクトルは、例1のものと同一である。
例3:一フッ素化トリシアノホウ酸カリウム;K[BF(CN)]の合成
最初に20.0g(182mmol)四フッ素化ホウ酸ナトリウムNa[BF]および200ml(1.5mol)のシアン化トリメチルシリル(CHSiCNを投入し、20ml(158mmol)のトリメチル塩化シラン(CHSiClを、この懸濁液に加える。反応混合物を、還流下(油浴温度65℃〜95℃)で96時間加熱する。次にすべての揮発性物質を、真空中で留去する。シアン化トリメチルシリル(CHSiCN、塩化トリメチルシリル(CHSiClおよびフッ素化トリメチルシリル(CHSiFの混合物を、コールドトラップ中に採集し、例2における混合物と同様にして第2の合成において使用することができる。
残留物を100mlの水中に取り込み、過酸化水素H(37%溶液、約200ml)およびKCO(約100g)を、溶液が事実上もはや着色していなくなるまで注意深く加える。過剰の過酸化物を、Kの添加によって崩壊させる。水を留去し、得られた残留物をアセトン(3×100ml)で抽出する。合わせた有機相を50mlに低減させ、次にジクロロメタンを、K[BF(CN)]が沈殿するまで加える。濾過および真空中での乾燥によって、19.8g(134.8mmol)のK[BF(CN)]が得られる。収率は、四フッ素化ホウ酸ナトリウムに基づき、74%である。
19F-NMR (solvent: acetone-D6), δ, ppm: -212.08 q, 1J11B,19F = 44.4 Hz.
11B-NMR (solvent: acetone-D6), δ, ppm: -17.88 d, 1J11B,19F = 44.4 Hz.
スペクトルは、例1のものと同一であり、文献[E. Bernhardt, M. Berkei, H. Willner, M. Schuermann, Z. Anorg. Allg. Chem., 2003, 629, 677-685]からのものに相当する。
元素分析:
観測値、%:C 24.53、H 0.00、N 27.86;
BFNKについての計算値、%:C 24.52、H 0.00、N 28.59。
例4:一水素化トリシアノホウ酸カリウム;K[BH(CN)]の合成
3.75gのフッ素化トリシアノホウ酸ナトリウム(28.6mmol)を、最初にフラスコ中に、PTFE心棒(Young, London)と共に投入し、アンモニア(40ml)を、−78℃で凝縮させる。1.32gのナトリウム(57.4mmol)を、その後アルゴンの反流中で撹拌しながら加える。反応混合物を室温へとゆっくり加温し、したがってアンモニアは漏れ出ることができる。残留物を、THF/水混合物(200mlのTHF、50mlの水)と共に0℃で注意深く取り込む。KCO(約5g)を、透明な相分離が自明となるまで加える。分離した水相を、KCO(約50g)で飽和させ、THF(3×50ml)で抽出する。合わせたTHF相を、KCOを使用して乾燥し、10mlの残留容積へと蒸発させる。事実上無色の水素化トリシアノホウ酸カリウムを、CHClの添加によって沈殿させることができる。
収量:2.38g(18.5mmol)、使用したフッ素化トリシアノホウ酸ナトリウムに基づき、65%。
1H{11B}-NMR (solvent: acetonintrile D3), δ, ppm: 1.77 s.
11B-NMR (solvent: acetonitrile D3), δ, ppm: -40.2 d, 1J11B,H = 98 Hz.
スペクトルは、WO 2012/163489に示されているスペクトルに相当する。
元素分析:
観測値、%:C 27.94, H 0.78, N 32.58;
HBNKについての計算値、%:C 27.93, H 0.97, N 32.54。
例5:一水素化トリシアノホウ酸カリウム;K[BH(CN)]の合成
ナフタレン(265mg、2.07mmol)をTHF(8ml)に溶解し、過剰のナトリウム(約1.00g、43.5mmol)を加える。混合物を室温で20分間撹拌し、その間に暗緑色溶液が生成する。PTFE心棒(Young, London)を備えた別のフラスコ中で、フッ素化トリシアノホウ酸カリウム(150mg、1.02mmol)を、THF(10ml)に溶解する;ナトリウムナフタリド溶液を、この溶液に迅速に滴加する。この添加中に、反応溶液は、色が暗い黄色に急速に変化し、沈殿物が生成する。
さらなるナトリウムを、反応溶液に、後者が暗緑色になるまで加える。ナトリウム上に位置する懸濁液を除去し、飽和KCO溶液(5mlのHO中5.6g)を注意深く加える。生成した下方の水相を分離し、THF(10ml)で抽出する。合わせた有機相をKCOで乾燥し、溶媒を除去する。固体の残留物をCHCl(2×10ml)で洗浄し、濾別し、無色の固体物質を真空中で乾燥する。
水素化トリシアノホウ酸カリウムK[BH(CN)]の収量は、75mg(0.582mmol、57%)である。
Hおよび11B NMRスペクトルは、例4において示したデータに相当する。
例6:一水素化トリシアノホウ酸カリウム;K[BH(CN)]の合成
1.0gのNa[BF(CN)](6.8mmol)、1.0gの水素化カリウムKH(25.0mmol)および0.7gのLiBr(8.08mmol)を、THF(15ml)中に取り込み、懸濁液を、80℃で38時間撹拌する。i−PrOHおよびHOを、冷却しながら反応混合物に加える。水素の放出が、この添加中に観察される。その後、すべての揮発性構成成分を減圧下で除去する。固体をアセトン中に取り込み、少量のHOおよびKCOを加え、混合物を15分間撹拌する。さらなるKCOの添加の後、有機相を濾別する。アセトンを真空中で除去し、得られた固体を真空中で乾燥する。
K[BH(CN)]の収量は258mg(2.0mmol)であり、使用したホウ酸塩に関して29%に相当する。
Hおよび11B NMRスペクトルは、例4のものに相当する。
例7:一水素化トリシアノホウ酸カリウム;K[BH(CN)]の合成
0.20gのK[BF(CN)](1.36mmol)、0.15gのKH(3.75mmol)および0.20gのLiBr(2.30mmol)を、THF(5ml)中に取り込み、80℃で2日間撹拌する。懸濁液を濾過し、溶媒を真空中で除去する。固体を、ガラスフリット上でジクロロメタンで洗浄し、真空中で乾燥する。K[HB(CN)]の収量:40mg(0.03mmol)、使用したK[BF(CN)]に関して22%に相当する。
Hおよび11B NMRスペクトルは、例4のものに相当する。
例8:一水素化トリシアノホウ酸テトラブチルアンモニウム;[n−BuN][BH(CN)]の、一水素化トリシアノホウ酸カリウム中間体を介しての合成
K[BF(CN)](1.5g、10.20mmol)を、−78℃でNH(10ml)中に取り込み、カリウム(797mg、20.41mmol)を、分割して加える。懸濁液を、−78℃でさらに20分間撹拌し、次に室温へとゆっくり加温する。蒸発するアンモニアを、圧力調整バルブを通して排出する。その後、得られた黄色固体を水(20ml)に溶解する。水性[n−BuN]OH溶液を当該溶液に加え、混合物をCHClで抽出する。溶媒を留去し、残留物をアセトン中に取り込む。未溶解の材料を濾別し、濾液を蒸発乾固させる。
[n−Bu][BH(CN)]の収量は、1.57g(4.72mmol)であり、使用したトリシアノフッ素化ホウ酸カリウムに関して46%に相当する。
1H{11B}-NMR (solvent: acetone-D6), δ, ppm: 0.98 t (4CH3, 12H; 3JH,H = 7.2 Hz), 1.45 m (4CH2, 8H), 1.81 m (4CH2 + BH, 9H). 3.44 m (4CH2, 8H).
11B-NMR (solvent: acetone-D6), δ, ppm: -40.0 d, 1J11B,H = 97 Hz.
例9:一水素化トリシアノホウ酸カリウム;K[BH(CN)]の、四フッ素化ホウ酸ナトリウムからの、一フッ素化トリシアノホウ酸カリウムのin-situ生成によるワンポット合成
Na[BF](4.70g、42.78mmol)を、アセトニトリル(6.25ml)中に取り込み、シアン化トリメチルシリル(CHSiCN(30.0ml、225.0mmol)およびトリメチル塩化シラン(CHSiCl(7.5ml、59.4mmol)を加え、混合物を100℃で3時間撹拌する。反応混合物を室温にへと冷まし、すべての揮発性構成成分を真空中で(最終的な圧力約1・10−3mbar)除去する。得られた残留物を、高真空中で120℃で12時間乾燥し、その後液体アンモニア(40ml)中に−78℃で取り込む。フレッシュな切断したオイルフリーのナトリウム(1.967g、85.56mmol)を、Arの反流中で加え、反応混合物を、−78℃で1時間撹拌する。その後反応混合物を、室温へと加温する。蒸発するアンモニアを、排出する。
残留する固体をテトラヒドロフラン(THF;200ml)中に取り込み、HO(15ml)を懸濁液に加える。次に、混合物をKCO(70g)と共に15分間撹拌する。その後、THF相をデカントし、KCO(30g)を使用して乾燥し、濾過する。テトラヒドロフランを、ロータリーエバポレーターを使用して、70℃の浴温度および約600mbarの圧力で、約5〜10mlの残留容量にまで除去する。CHCl(50ml)の添加によって、K[BH(CN)]が茶色の粗生成物として沈殿することが生じる。これを濾別し、ジクロロメタン(2×50ml)で洗浄し、高真空中で乾燥する。NMRデータによると、粗生成物は、10%のK[BH(CN)]を含む。K[BH(CN)]・0.36THFの収率は、66%(4.35g、28.08mmol)である。
その後の精製のために、粗生成物を5mlのアセトンに溶解し、50mlのジクロロメタンを加える。堆積した沈殿物を濾別し、真空中で(最終的な圧力は約1×10−3mbarである)乾燥する。精製した生成物(ベージュ色固体)についての収量は、2.61g(47%)である。
H−および11B−NMRスペクトルは、例4のものに相当する。
例10:一水素化トリシアノホウ酸テトラブチルアンモニウム;[n−BuN][BH(CN)]の、一水素化トリシアノホウ酸ナトリウム中間体を介しての、エタノール中でのワンポット反応における合成
Na[BF(CN)](100mg、0.764mmol)を、乾燥エタノール(4ml)に溶解し、元素状ナトリウム(100mg、4.366mmol)を、0℃で加える。反応混合物を、0℃で8時間撹拌する。その後さらなるナトリウム(100mg、4.366mmol)を加え、反応混合物を沸騰で、45分間加熱する。反応混合物を水(10ml)中に取り込み、臭化テトラブチルアンモニウム(350mg、1.08mmol)を水(5ml)に溶解した溶液を加える。生成した水素化トリシアノホウ酸テトラブチルアンモニウムを、CHCl(5・3ml)で抽出し、合わせた有機相を、MgSOを使用して乾燥する。懸濁液を濾過し、濾液を真空中で蒸発乾固させ、得られた残留物を高真空中で乾燥する。
収量:227mg(0.683mmol、89%)
Hおよび11B NMRスペクトルは、例8のものに相当する。
例11:二水素化ジシアノホウ酸ナトリウム;Na[BH(CN)]の合成
Na[BF(CN)](100mg、0.80mmol)をNH(2ml)に、−78℃で溶解し、ナトリウム(74mg、3.23mmol)を加える。紺青色溶液を室温へとゆっくり加温し、プロセス中に蒸発するアンモニアを、計泡器を通じて排出する。水を残留物に加え、溶液を11B−NMR分光学によって調査する。スペクトルによって、[BH(CN)]塩(約55mol%)およびさらに未知のホウ素含有種(約40mol%)への変換が明らかになる。さらなる精製を、有機カチオンを有する[BH(CN)]塩への変換、有機溶媒でのその後の抽出および水で洗浄することおよびその後乾燥することによって行う。
[BH(CN)]アニオンの11B NMRスペクトル:
11B{1H}-NMR (no lock; solvent: water), δ, ppm: -42.2 (s).
11B-NMR (no lock; solvent: water), δ, ppm: -42.2 t, 1J11B,H = 94.6 Hz.
NMRデータは、文献(WO 2012/163488A1)に記載されているK[BH(CN)]の値に合致する。
例12:二水素化ジシアノホウ酸カリウム/ナトリウム;K/Na[BH(CN)]の合成
Na[BF(CN)](20mg)を、THF中に、KHおよびNaH(一緒に約30当量)と一緒に、テフロン(登録商標)心棒を有するガラスバルブを備え、NMR管中に取り込み、70℃へと加温する。3日後、二水素化ジシアノホウ酸塩混合物への完全な変換が、NMR分光学によって観察される。
[BH(CN)]アニオンの11B NMRスペクトル:
11B{1H}-NMR (no lock; solvent: THF), δ, ppm: -42.6 (s).
11B-NMR (no lock; solvent: THF), δ, ppm: -42.6 t, 1J11B,H = 95 Hz.
NMRデータは、文献(WO 2012/163488A1)に記載されているK[BH(CN)]の値に合致する。

Claims (14)

  1. 式I
    [Me][BH(CN)4−n
    式中
    Meは、アルカリ金属を示し、および
    nは、1または2を示す、
    で表される化合物の製造方法であって、
    式II
    [Me[BF(CN)4−n II
    式中、Meはアルカリ金属を示し、それはMeと同一であっても、または異なっていてもよく、ならびに
    nは1または2を示し、ここでnは式Iおよび式IIにおいて同一である、
    で表される化合物の、
    以下のいずれか
    a)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属Me、ここでアルカリ金属MeはMeもしくはMeと同一であっても、もしくは異なっていてもよい;
    または金属合金Me/MeもしくはMe/Me、ここでMeがアルカリ金属である場合において、このアルカリ金属MeはMeもしくはMeとは異なる;との、不活性ガス雰囲気中での、ならびに
    プロトン源の添加で必要な場合に、溶媒和した電子を発生するか、および/もしくは安定化させることができるか、またはアニオンフリーラジカルを生成することができる媒体の存在下での、ならびに
    MeもMeもいずれも、Meに相当しない場合においては金属カチオン交換、
    あるいは
    b) 式III
    MeH III
    で表されるアルカリ金属水素化物との、
    不活性ガス雰囲気中での、
    式中、MeはMeまたはMeと同一であっても、または異なっていてもよい、Fに対する親和性を有する求電子試薬なしでの、または存在下での、ならびにMeもMeもいずれも、Meに相当しない場合においては、後続の金属カチオン交換
    の反応による、前記方法。
  2. 変形a)またはb)による反応に精製ステップを後続させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 金属カチオン交換が精製ステップの間に起こることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 金属カチオン交換を化合物(Me)COおよび/または化合物MeHCO、ここでMeが式Iで表される化合物のアルカリ金属Meに相当する、との反応によって行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 変形a)における、および変形b)における両方の、式IIで表される化合物の反応が、有機溶媒の存在下で起こることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 式IIで表される化合物をin situで製造することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 溶媒和した電子の発生および/または安定化のための媒体が、液体アンモニア、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アミン、α,ω−ジアミノアルカン、アルコールまたはジオールから選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 溶媒和した電子の発生および/または安定化のための媒体が液体アンモニアであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. アニオンフリーラジカルを生成することができる媒体が、縮合芳香族化合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  10. 芳香族化合物がナフタレンであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. プロトン源が水であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. (F)親和性求電子試薬がリチウムまたはマグネシウム塩であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  13. 臭化リチウムを使用することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 式IV
    [Kt]z+ z[BH(CN)4−n IV
    式中
    [Kt]z+は無機または有機カチオンであり、
    zはカチオンの電荷に相当し、ならびに
    nは1または2を示す、
    で表される化合物の製造方法であって、、
    アニオン交換、ここでカチオン[Kt]z+を含む塩を、請求項1〜13のいずれか一項に従って製造した式I
    [Me][BH(CN)4−n
    で表される化合物と反応させ、ここでMeはアルカリ金属を示し、nは式IVで表される化合物におけるのと同一の意味を有する、による、前記方法。
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