JP2016518130A - 鎖侵入に基づくdna増幅法 - Google Patents

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Abstract

鎖侵入に基づくDNA増幅により、毒素産生性クロストリジウム ディフィシル (C. ディフィシル)を検出するため方法が、本方法における使用に適したオリゴヌクレオチド、組成物、及びキットと共に、提供される。【選択図】図3A

Description

発明の分野
本発明は、鎖侵入(strand-invasion)に基づくDNA増幅による、毒素産生性クロストリジウム ディフィシル(C. ディフィシル)を検出するための方法に関する。本発明は、本方法における使用に適したオリゴヌクレオチド、組成物、及びキット、並びに毒素産生性C. ディフィシルの検出のためのそれらの使用にも関する。
発明の背景
クロストリジウム菌(Clostridia)は、グラム陽性、胞子形成性の嫌気性細菌である。病原性クロストリジウム菌種は、高いin vivo毒性並びに高い構造及び配列相同性を伴う非常に大きな毒素からなる、大クロストリジウム細胞毒(LCT)のグループのタンパク質毒素を産生する(von Eichel-Streiber et al., 1996)。C. ディフィシルのトキシンA及びトキシンBは、C. ディフィシルの病原性の主要な原因である。長年トキシンAが、主要な病原性因子であると考えられていたが、しかし、トキシンBがC. ディフィシルの感染における主要な役割を果たす事実を示す証拠の量が増えている(Lyras et al., 2009; Carter et al., 2012)。
C. ディフィシルのトキシンA及びトキシンBは、それぞれ遺伝子tcdA及びtcdBにコードされており、遺伝子は〜19.6 kbの病原性遺伝子座(PaLoc)に位置する。PaLocは、2つの調節遺伝子、すなわち、それぞれ毒素発現の負調節因子及び正調節因子として働くtcdC及びtcdRも含む。tcdEもまたPaLocに含まれ、トキシンA及びトキシンBの分泌に必要なホリン様タンパク質(holin-like protein)をコードする。非毒素産生菌株において、PaLocは115 bpの配列により置換されている(Braun et al., 1996)。毒素産生性C.ディフィシル菌株の検出のため、DNA増幅が用いられている(Wren et al., 1990; McMillin et al., 1991; McMillin et al., 1992)。
上流プライマー、下流プライマーそして鎖侵入の系に依拠する等温DNA増幅法は、国際公開第2009/150467号に記載されている。
発明の概要
本発明は、毒素産生性C.ディフィシルの標的核酸配列の検出に関し、試料中の毒素産生性C.ディフィシルの存在が判定されることを可能とする。本発明の方法は、上流プライマー、下流プライマー、鎖侵入オリゴヌクレオチドを用い、各々は前記標的核酸配列に相補的な領域を含む。プライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチドは、組み合わせると標的核酸配列の増幅をもたらす。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、標的核酸配列の少なくとも一部を一本鎖にし、上流プライマー及び下流プライマーの結合を可能とし、その結果DNAの増幅を可能としている。典型的には、二本鎖DNAの熱変性の要件なしに、増幅は等温の条件下で実施される。
標的核酸配列の増幅が検出される場合、これは、C. ディフィシルの非毒素産生性菌株、非病原性菌株、又は他のクロストリジウムの種ではなく、標的の病原性C. ディフィシルの毒素産生菌株が試料中に存在することを示している。本発明者らは、本発明の方法が、毒素産生性C.ディフィシルの異なる標的核酸配列の高度に特異的及び高感度な検出を可能とすることを示した。
本発明は、試料中の毒素産生性C.ディフィシルの標的核酸配列を検出するための方法を提供し、前記方法は、前記標的核酸配列の増幅を促進する条件下で、前記試料を少なくとも1つの上流プライマー、少なくとも1つの下流プライマー、及び少なくとも1つの鎖侵入オリゴヌクレオチドに接触させることを含み、各前記プライマー及び前記オリグヌクレオチドは前記標的核酸配列に相補的な領域を含み; かつ前記鎖侵入オリゴヌクレオチドは、標的核酸配列の少なくとも一部を一本鎖にし、前記上流プライマー及び下流プライマーの結合を可能とする。
本発明はさらに、組成物及びキットを提供し、各々が(a)上流プライマー、(b)下流プライマー及び(c)鎖侵入オリゴヌクレオチドから選択される、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み:
(I) 上流プライマーは、配列番号2又はその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリグヌクレオチドであり、下流プライマーは、配列番号3又はその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号4又はその変異体の配列を含み、かつその3’領域に1つ以上の修飾ヌクレオチドをさらに含む、長さ30ヌクレオチドより長いオリゴヌクレオチドであるか; 又は
(II) 上流プライマーは、配列番号7又はその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリグヌクレオチドであり、下流プライマーは、配列番号8又はその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号9又はその変異体の配列を含み、かつその3’領域に1つ以上の修飾ヌクレオチドをさらに含む、長さ30ヌクレオチドより長いオリゴヌクレオチドである。
C.ディフィシルの検出方法において、本発明はさらに、上流プライマー、下流プライマー、鎖侵入オリゴヌクレオチドの使用を提供し、各々は上記(I)で記載されたもの、又は各々は上記(II)で記載されたものと同様である。
本発明は加えて、被験体由来の試料において、本発明による毒素産生性C.ディフィシルの標的核酸配列を検出するための方法を実施することを含む、前記被験体におけるC. ディフィシルの感染の診断方法を提供する。
図面の簡単な説明
図1は次のことを示す:(A) tcdBアッセイの増幅プロット。サイバーグリーンIを検出のため用い、蛍光をリアルタイムPCR装置で測定した。X軸:時間(分)、Y軸:サイバーグリーンIの蛍光(蛍光強度、任意単位)。上のトレース: tcdB SIBAアッセイにおいてテンプレートとして用いた、10 000 ゲノムコピー(cp)のC. ディフィシル BAA-1382 (630) gDNA。下のトレース = テンプレート無しのコントロール(NTC)は、増幅しなかった。 図1は次のことを示す:(B) tcdB反応の融解曲線分析。X軸:温度(摂氏度)、Y軸:(-d(蛍光)/d(温度)、任意単位)。サイバーグリーンIを用いた増幅後の融解曲線分析は、テンプレートとしてC. ディフィシル BAA-1382 (630) gDNAを用いるtcdB反応において、単一の特異的アンプリコンの増幅を示した。テンプレート無しのコントロール(NTC)は、増幅しないことを示す。 図1は次のことを示す:(C)ポジティブ及びネガティブのtcdB反応からのエレクトロフェログラム。X軸:移動指数(%、下のマーカーが0%で、かつ上のマーカーが100%である)、Y軸(蛍光強度、任意単位)。下のトレース = tcdBアッセイにおいてテンプレートとして用いた、10 000 cpのC. ディフィシル BAA-1382 (630) gDNA。上のトレース = テンプレート無しのコントロール(NTC)。tcdB反応を、MultiNAマイクロチップ電気泳動装置を用いて分析した。NTC反応からは、反応オリゴヌクレオチド(rev及びfwdプライマー並びに侵入オリゴ(invading oligo)のみを検出したが、一方で10 000 cpのC. ディフィシルgDNAをテンプレートとして用いたtcdB反応からは、特異的な増幅産物を検出した。 図2は次のことを示す:(A)tcdBアッセイの特異性。X軸:時間(分)、Y軸:サイバーグリーンIの蛍光(蛍光強度、ミリボルト、mV)。10 000 cpのC. ディフィシル BAA-1382 (630) 及び 10 000 cpのC. ソルデリ ATCC 9714 gDNAをtcdB反応のテンプレートとして用いた。C. ディフィシル gDNAのみが増幅され、検出された。テンプレート無しのコントロール(NTC)は、増幅しないことを示す。 図2は次のことを示す:(B)tcdBアッセイの感度。X軸:時間(分)、Y軸:サイバーグリーンI蛍光(蛍光強度、任意単位)。tcdBアッセイの感度を、テンプレートとしてC. ディフィシル BAA-1382 (630) gDNAの希釈系列を用いて判定した。テンプレート無しのコントロール(NTC)及びネガティブコントロールの反応は、増幅しなかったが、10 - 10 000 cpのC. ディフィシル gDNAは、サイバーグリーンI蛍光の増加により測定される増幅を示した。すべての反応は、0.5 ng/μl ニシン精子DNAの存在下で実施した。 図3は次のことを示す:(A)tcdBアッセイの包括性。X軸:時間(分)、Y軸:サイバーグリーンI蛍光(蛍光強度, 任意単位)。C. ディフィシル 毒素型0、III、VIII及びXの純粋培養から単離した2 ng gDNAをtcdBアッセイのテンプレートとして用いた。NTC(テンプレート無しのコントロール)。すべての試験された毒素型は、ポジティブな増幅の結果をもたらした。 図3は次のことを示す:(B)一団の毒素型に対するtcdBアッセイの包括性、詳細は上記(A)のようであるが、ただし、C. ディフィシル 毒素型 0、I、II、IIIa、IIIb、IIIc、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIa、XIb、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII; XIX、XX、XXI; XXII; XXIII; XXIV、XXV、XXVI、XXVII、XXVIII、XXIX、XXX、XXXI、XXXII及びXXXIIIの純粋培養から単離した2 ng gDNAを用いた。2つの毒素型、すなわちXIa及びXIbのみが、ネガティブな増幅結果をもたらした。 図3は次のことを示す:(C)(A)のように、異なるC. ディフィシル毒素型から単離したgDNAテンプレートを用いたtcdB反応の融解曲線分析。X軸:温度(摂氏度)、Y軸:(-d(蛍光)/d(温度)、任意単位)。すべてのC.ディフィシル毒素型は、単一のアンプリコンの増幅を示した。テンプレート無しのコントロール(NTC)は、増幅しないことを示す。 図3は次のことを示す:(D) 詳細は上記(C)のようである(B)の一団の毒素型についての融解曲線。融解曲線の分析は、毒素型XIa及びXIbに関して増幅しないことも示した。 図4は次のことを示す:(A)tcdAアッセイの増幅プロット。サイバーグリーンIを検出のため用い、蛍光をリアルタイムPCR装置で測定した。X軸:時間(分)、Y軸:サイバーグリーンI蛍光(蛍光強度、任意単位)。増幅は、100〜10 000 cp/反応のC. ディフィシル BAA-1382 (630) gDNAで観察され、0〜10 cp/反応のC. ディフィシルgDNAの存在下、及びテンプレート無しのコントロール(NTC)で、増幅しないことが観察された。 図4は次のことを示す:(B)tcdAアッセイの融解曲線分析。X軸:温度(摂氏度)、Y軸:(-d(蛍光)/d(温度))、任意単位)。融解曲線分析は、単一の特異的アンプリコンの増幅を示す。テンプレート無しのコントロール(NTC)は、増幅しないことを示す。
配列の説明
配列番号1は、tcdBの標的領域のヌクレオチド配列である。
配列番号2は、tcdBの順方向プライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号3は、tcdBの逆方向プライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号4は、tcdBの鎖侵入オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列である。
配列番号5は、修飾されたtcdBの鎖侵入オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列である。
配列番号6は、tcdAの標的領域のヌクレオチド配列である。
配列番号7は、tcdAの順方向プライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号8は、tcdAの逆方向プライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号9は、tcdAの鎖侵入オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列である。
配列番号10は、修飾されたtcdAの鎖侵入オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列である。
発明の詳細な説明
開示される方法の異なる応用は、当技術分野における特定のニーズに対して適合され得ることが、理解される。本明細書で用いられる用語は、本発明の特定の実施例を説明する目的のためのみの用語であること、限定されることは意図されないことも、理解される。加えて、本明細書及び添付の請求項において、単数形の「a」、「an」、「the」は、別段の規定がない限り、複数の意味も含む。従って、「ポリペプチド(a polypeptide)」への参照は、2つ以上のかかるポリペプチドを含む、などとなる。上記又は下記に関わらず、本明細書で引用される全ての刊行物、特許、特許出願は、参照によりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる。
試料中の毒素産生性 C.ディフィシルの検出方法
試料
一般に試料は、臨床的試料、例えばC. ディフィシルによる感染を有すると疑われる、又は感染を有する患者から得られる試料である。しかしながら、核酸が試料から得ることができる、又は由来し得ることを条件に、任意の試料が用いられ得る。従って、特定のC. ディフィシル菌株の標準試料、又は環境試料が、本発明に用いられ得る。臨床的試料の適切な種類は、被験体に存在する、又は存在することが疑われる特定の種類の感染により、様々である。試料は、血液、血漿、血清、尿又は便の試料であり得る。好適な実施態様において、試料は便の試料である。便の試料は、消化管感染を有する被験体から採取され得る。感染は、下痢を有する患者中に存在し得る。
好適な実施態様において、試料は哺乳類の被験体のような動物の被験体から採取される。試料は、一般的にヒトの被験体から採取されるであろうが、しかし本発明は、一般に飼育動物、家畜、鳥類及び魚類にも適用できる。例えば、本発明は獣医学又は農学の背景において、適用され得る。
試料は、DNA又はRNAであり得る核酸を含む。核酸が、本発明による検出が可能である適切な形態で試料中に存在する場合は、試料は直接用いられ得る。しかしながら、典型的に核酸は、試料由来であり、試料から得られ、又は試料から抽出される。検出方法における使用のため、核酸を含有する試料を処理する、核酸を抽出する、及び/又は核酸を精製するための方法は、当技術分野で周知である。全核酸が単離されてもよく、又はDNA及びRNAが別々に単離されてもよい。
典型的に、核酸がプライマーと鎖侵入オリゴヌクレオチドに接触させるのに都合のよい形態で提供されるように、試料は適切な手段で処理される。核酸がDNAである場合に、DNAは典型的に2本鎖の形態で提供される。核酸がRNAである場合に、それは典型的に、逆転写活性を伴う逆転写酵素又はポリメラーゼを用いて、cDNAに変換される。RNAは細菌の検出に役に立つ場合があるが、これは集中した標的配列を効率的に増幅するリボソームが、細菌細胞中に非常に多く存在するためである。
標的核酸配列
標的核酸配列は、毒素産生性 C.ディフィシルの特異的な検出における使用に適切な、C. ディフィシルのゲノム(又はアンプリコン)の領域である。これは、非常に近縁の生物が存在する場合ですら、試料中の毒素産生性 C.ディフィシルの存在の非常に定性的で明確な判定を可能とする。特定の病原性の毒素産生菌株における特定の標的核酸配列の選択、それらの配列の検出のための、結果としてのプライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチドの設計は、考慮すべき重要なことである。適した配列の例は、本明細書で提供される。
典型的に、標的核酸配列は、C. ディフィシルのゲノムに対してユニークであるだろう。従って、標的核酸配列は、典型的に近縁種、例えば同族のクロストリジウム種における任意の相同な核酸配列とは異なるであろう。典型的に、標的核酸配列は、近縁種における相同な核酸配列との、いくつかのミスマッチを含むだろう。好ましくは、標的核酸配列は、大クロストリジウム毒の遺伝子を内部に持つC. ディフィシル以外のクロストリジウム種において、存在しない。標的核酸配列は、好ましくはC. ソルデリ及び/又はC. ノービには存在しない。標的核酸配列は、典型的にC. ディフィシル並びにC. ソルデリ及び/又はC. ノービを含む試料からC. ディフィシルの特異的な検出を可能にする。
標的核酸配列は、典型的に異なるC. ディフィシル毒素型に対して十分に包括的であり、従って典型的には1つより多いC. ディフィシル毒素型に存在し、検出され得る。好ましくは、標的核酸配列は、少なくとも3つの、より好ましくは少なくとも5つの、少なくとも7つの、少なくとも10個の、少なくとも15個の、少なくとも20個の、少なくとも25個の、少なくとも30個の、少なくとも35個の、最適にはすべてのC. ディフィシル毒素型に包括的である。C. ディフィシル毒素型として、0、I、II、IIIa、IIIb、IIIc、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIa、XIb、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXII、XXIII、XXIV、XXV、XXVI、XXVII、XXVIII、XXIX、XXX、XXXI、XXXII及びXXXIII、並びに当技術分野において記述される、又は天然に存在する任意のさらなる毒素型が挙げられる。典型的には、標的核酸配列は、C. ディフィシルの感染に関連する障害において、臨床的関連性があることが見出されるC. ディフィシル毒素型に包括的である。
標的核酸配列は、典型的に、C. ディフィシルのゲノムの平均的なGC含量(C. ディフィシルの基準菌株630に関して、29.1%である)よりも、高いGC含量を有している。標的核酸配列は、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも31%、少なくとも32%又は少なくとも33%のGC含量を有し得る。標的核酸配列がtcdA遺伝子又はtcdB遺伝子中に存在する場合に、これらの遺伝子の平均的なGC含量は27%であり、そのため上記好適なGC含量は、これらの遺伝子の平均と比較して、より高くもある。標的核酸配列のGC含量は、用いられる等温の条件下におけるプライマーの結合及び標的配列の融解の要件に関しても、選択される。
標的核酸配列又はアンプリコンは、毒素産生性 C.ディフィシルの特異的な検出、そして上流プライマー及び下流プライマー並びに鎖侵入オリゴヌクレオチドの、標的配列の異なる部分に対する、適切な方法でのハイブリダイゼーションを提供するのに、十分な長さである。好ましくは、上流プライマーの結合の5’部位から、下流プライマーの結合の5’部位まで測定した場合に、アンプリコンは少なくとも長さ45ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも長さ50、少なくとも長さ55又は少なくとも長さ60ヌクレオチドである。
標的核酸配列が、上記で記述したような毒素産生性 C.ディフィシルの特異的な検出に必要な特徴を有することを条件に、それは、C. ディフィシルのゲノムの任意の領域に存在し得る。標的核酸配列は、毒素産生性 C.ディフィシルに特異的な非コードDNA領域、又は毒素産生性 C.ディフィシルに特異的なコード領域に存在し得る。標的核酸配列は、C. ディフィシルの病原性遺伝子座に存在し得る。好ましくは、標的核酸配列は、C. ディフィシルのtcdA遺伝子又はtcdB遺伝子中に存在する。他の適切な標的の遺伝子として、PaLoc内のtcdC、tcdE、tcdR遺伝子、又はC. ディフィシルのバイナリートキシン遺伝子が挙げられる。配列は、クロストリジウム ディフィシル 630の完全ゲノム(GenBank: AM180355.1)、tcdA遺伝子(AM180355.1: 795843-803975)、tcdB遺伝子(AM180355.1: 787393-794493)に関して列挙した受入番号で入手できる
標的核酸配列は、好ましくは(tcdA検出のための)配列番号1若しくはその変異体、又は(tcdB検出のための)配列番号6若しくはその変異体を含む。標的核酸配列が、配列番号1若しくはその変異体、又は配列番号6若しくはその変異体を表すセンス鎖、及び相補的なアンチセンス鎖を含む二本鎖であることは、理解されるべきである。標的核酸配列を増幅するために用いられる上流プライマー、下流プライマーは、この二本鎖の相対する鎖に結合する。
標的核酸配列は、基準菌株C. ディフィシル 630に対して異なる毒素型中に存在する配列番号1又は配列番号6の天然起源の変異体配列を含み得る。配列番号1又は配列番号6の天然起源の変異体は、異なるC. ディフィシル毒素型の既知の配列中、例えば、配列番号1の配列と1、2又は3つのミスマッチを含む、いくつかの既知の毒素型中の対応する配列中に見出される。未だ配列決定されていない毒素型も、配列番号1又は配列番号6に関してミスマッチを含み得る。本発明者は、驚くべきことに、本発明の方法は、かかるミスマッチが存在しても、広い範囲の毒素型が包括的に検出されることを示した。
配列番号1又は配列番号6の変異体は、配列番号1又は配列番号6において、少なくとも35個の連続するヌクレオチド、より典型的には少なくとも40個、好ましくは少なくとも45個又は少なくとも50個の連続するヌクレオチドに対して、部分的に又は完全に相補的な領域を含み得る。変異体は、配列番号1又は配列番号6の対応する基本の標的配列の領域に関して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個以上のミスマッチ(置換)を有する領域を含み得る。従って、例えば変異体は、対応する基本の標的配列の、少なくとも35個の連続するヌクレオチドの対応する領域に対して、1、2、3、4、5又は6つのミスマッチ、例えば1〜3又は1〜5つのミスマッチを有する、少なくとも長さ35ヌクレオチドの領域を含み得る。変異体は、対応する基本の標的配列において、等しい長さの対応する領域に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個、例えば1〜5又は1〜8個のミスマッチを有する、少なくとも長さ40、45、又は50ヌクレオチドの領域を含み得る。変異体の配列中の任意のミスマッチは、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも5、又は少なくとも10ヌクレオチド離れていてよい。
あるいは、変異体は、基本の標的配列と完全に相補的な、少なくとも長さ35、40、又は45ヌクレオチドの領域を含み得る。
最も好ましくは、標的核酸配列は、配列番号1若しくは配列番号6を含むか、又は配列番号1若しくは配列番号6及び相補的なアンチセンス鎖からなる。
1つより多い標的核酸配列は、上流プライマー、下流プライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチドの2つ以上のセットを提供することにより、本発明の方法で検出され得、各セットは異なる標的核酸配列の検出に適合される。例えば、本発明の方法は、tcdB及びtcdAの両方を検出し得る。
上流プライマー及び下流プライマー
適切な上流プライマー及び下流プライマーは、標的核酸配列の少なくとも一部を一本鎖にし、上流プライマー及び下流プライマーの結合を可能にする、鎖侵入オリゴヌクレオチドの結合部位を考慮しながら、目的の標的核酸配列を基礎として選択される。
上流プライマー及び下流プライマーは、標的に対して部分的に又は完全に相補的な配列、並びに必要に応じて、5’及び/又は3’に隣接する非相補的な配列を含む。あるいは、上流プライマー及び下流プライマーは、標的に対して部分的に又な完全に相補的な配列のみからなり得る。標的に対して相補的なプライマーの配列の長さは、標的核酸配列との特異的なハイブリダイゼーションを提供するのに十分である。相補的な配列の長さは、典型的に少なくとも10ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15、少なくとも16、又は少なくとも17ヌクレオチドである。相補的な配列の長さは、10〜25、15〜25、10〜30又は15〜30ヌクレオチドであり得る。
上記の配列の長さが、標的核酸配列に対して部分的に又は完全に相補的であり得るプライマーの一部を指すことは、理解されるべきである。増幅を達成するための、上流プライマー、下流プライマー、鎖侵入オリゴヌクレオチドの組合せの使用を特に考慮すると、ミスマッチが、標的配列の特異的な増幅及び検出を依然として可能としつつ、プライマーと標的配列との間で、特定の場所に存在してもよい。プライマーの相補的な領域と、標的配列の対応する領域との間に、1、2、3、4又は5つのミスマッチがあり得る。
好ましくは、プライマーは、毒素産生性 C.ディフィシルの特異的な検出を可能とするように設計される。従って、プライマーは典型的に、毒素産生性 C.ディフィシル中にのみ見出される相補的な配列と、特異的に又は選択的にハイブリダイズする。しかしながら、第2のプライマー又は鎖侵入オリゴヌクレオチドとの組合せで用いられる場合に、毒素産生性 C.ディフィシル中にのみ見出される配列の特異的な増幅が得られることを条件に、プライマーは他の配列、例えば他のクロストリジウム種中に見出される配列ともハイブリダイズし得る。
特異的な又は選択的なハイブリダイゼーションは、その配列が、試料、例えば細胞の全DNA又はRNA及び外部のDNA又はRNAを含む、複雑な生物学的混合物、において核酸中に存在する場合に、与件下での、特定のヌクレオチド配列のみへのプライマーの結合を指す。適切なハイブリダイゼーション条件は、当技術分野で既知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook、Fritsche及びManiatisの「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」, 第2版、 Cold Spring Harbor Press (1989)を参照されたい。適切なハイブリダイゼーション条件は、下記の実施例でも提供される。当業者にとっては既知であるように、適切なハイブリダイゼーション条件は、プローブの長さ及びその塩基組成によって様々であり得る。ハイブリダイゼーションは、典型的に増幅と同じ温度で実施され、その結果用いられるポリメラーゼ及びリコンビナーゼ酵素の活性プロファイルにも依存する。
典型的に、上流プライマー及び下流プライマーは、全長30ヌクレオチド未満、より好ましくは、長さ25ヌクレオチド未満、例えば長さ15〜25、又は15〜23ヌクレオチドであるだろう。リコンビナーゼが鎖侵入に用いられる場合に、長さ30ヌクレオチド未満のプライマーが用いられることが特に好適である。プライマーは、リコンビナーゼの基質としては作用できない。
上流(又は順方向)プライマーは、鎖侵入オリゴヌクレオチドの5’結合部位に近接する、又は重複する位置で、二本鎖の標的核酸配列の片方の鎖の5’領域に結合する。下流(又は逆方向)プライマーは、鎖侵入オリゴヌクレオチドの3’結合部位と近接する、又は重複する位置で、二本鎖の標的核酸配列の、上流プライマーに対して反対の鎖の5’領域に結合する。上流プライマー及び下流プライマーの5’結合部位は、二本鎖の標的配列上で、典型的に少なくとも45ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも50、少なくとも55又は少なくとも60ヌクレオチド離れている。
上流プライマー及び/又は下流プライマーは、鎖侵入オリゴヌクレオチドの配列と重複する配列の領域を有し得る。重複する配列の領域は、典型的に長さ1〜8ヌクレオチドであり、少なくとも長さ5又は少なくとも長さ6ヌクレオチドであり得る。下流プライマーは、長さ1〜8ヌクレオチドの、鎖侵入オリゴヌクレオチドの配列と重複する配列の領域も有し得る。
あるいは、上流プライマー及び/又は下流プライマーと、鎖侵入オリゴヌクレオチドの間には、重複する配列がなく、その代わり、プライマーが、標的の配列中の、鎖侵入オリゴヌクレオチドの結合部位に近接する位置で結合する場合もある。
プライマーが鎖侵入オリゴヌクレオチドに近接して結合する場合に、鎖侵入オリゴヌクレオチドの関連する結合部位とプライマーの5’末端との間には、典型的に25個以下のヌクレオチド、より好ましくは20個以下のヌクレオチド、15個以下のヌクレオチド、又は10個以下のヌクレオチドが存在する。これは、プライマーが、鎖侵入オリゴヌクレオチドの結合により作られる一本鎖の領域とハイブリダイズできることを確実にする。
C. ディフィシルのtcdA遺伝子及びtcdB遺伝子における、標的核酸配列の結合のために適切な上流プライマー及び下流プライマーの特定の例は、本明細書で提供される。配列番号1のtcdBの標的配列の検出に好適な上流プライマー及び下流プライマーは、配列番号2及び3のプライマー、又はそれらの変異体である。配列番号6のtcdAの標的配列の検出に好適な上流プライマー及び下流プライマーは、配列番号7及び8のプライマー、又はそれらの変異体である。
配列番号2、3、7及び8の変異体は、配列番号2、3、7又は8の、対応する基本プライマー配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドに対して、部分的に又は完全に相補的な領域を含む、長さ最大30のヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであり得る。好ましくは、前記変異体は、配列番号2、3、7又は8の、対応する基本プライマー配列の少なくとも11、12、13、14又は15個の連続するヌクレオチドに対して、部分的に又は完全に相補的な領域を含むであろう。基本プライマー配列が、長さ16ヌクレオチドよりも長い、例えば長さ最大21ヌクレオチド(配列番号2)の場合、変異体は、それらの16、17、18、19又は20個の連続するヌクレオチドに対して、部分的に又は完全に相補的な領域を同様に含み得る。
上記変異体は、基本プライマー配列の対応する領域(従って標的の配列)に関して、1、2、3、4又は5つのミスマッチ(置換)を有する領域を含み得、従ってそれらと部分的に相補的である。従って、例えば変異体は、対応する基本プライマー配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドの対応する領域に対して、1、2又は3つのミスマッチ、例えば1又は2つのミスマッチを有する、少なくとも長さ10ヌクレオチドの領域を含み得る。変異体は、対応する基本プライマー配列において、等しい長さの対応する領域に対して、1、2、3、4又は5つのミスマッチ、例えば1〜3つのミスマッチを有する、少なくとも長さ13、14、又は15ヌクレオチドの領域を含み得る。変異体のプライマー配列中の任意のミスマッチは、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも5又は少なくとも10ヌクレオチド離れていてもよい。
あるいは、変異体は、基本プライマー配列に完全に相補的である、少なくとも長さ10、11、12、13、14又は15ヌクレオチドの領域を含み得る。
配列番号2、3、7及び8の変異体は、対応する基本プライマー配列に対して少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、少なくとも 80%、より好ましくは少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を有する、長さ最大30ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドでもあり得る。
加えて、変異体のプライマーは、基本プライマーの結合領域に関して、tcdA遺伝子又はtcdB遺伝子から、5’又は3’に隣接するヌクレオチド配列、例えば5’隣接領域及び/又は3-領域から、5〜10ヌクレオチドを含み得る。変異体プライマーは、加えて標的の配列と無関係の配列を含み得る。
本発明で用いられる任意の上流プライマー又は下流プライマーは、1つ以上の修飾ヌクレオチド及び/又は検出可能な標識、例えば蛍光色素、を含み得る。
鎖侵入オリゴヌクレオチド
適切な鎖侵入オリゴヌクレオチドは、上流プライマー及び下流プライマーの結合部位、及び上流プライマー及び下流プライマーの結合を可能にするのに適切な領域での、標的核酸配列を一本鎖にするための鎖侵入オリゴヌクレオチドに関する要件を考慮しながら、目的の標的核酸配列を基礎として選択される。
鎖侵入オリゴヌクレオチドは、標的に対して相補的な配列、並びに必要に応じて、追加の隣接する非相補的な配列(複数可)を含む。標的に対して相補的な配列の長さは、経験的に当業者により決定され得、そして必要に応じて等温の条件下で、標的核酸配列の効率的な鎖侵入を提供するのに十分である。相補的な配列は、RNA-DNAの相補的な塩基対形成及び修飾ヌクレオチドを含み得る。典型的に、相補的な配列の長さは、少なくとも25ヌクレオチド又は少なくとも27ヌクレオチド、典型的には、少なくとも30ヌクレオチド、例えば少なくとも32、少なくとも33又は少なくとも35ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも長さ36、37、38、39又は40ヌクレオチド以上である。典型的に、相補的な配列の長さは、少なくとも25又は少なくとも27ヌクレオチド、典型的には少なくとも30ヌクレオチド、例えば少なくとも32、少なくとも33又は少なくとも35ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも長さ36、37、38、39又は40ヌクレオチド以上である。相補的な配列の長さは、長さ30〜50、32〜50、35〜50、40〜50、35〜48、35〜46、38〜45又は40〜45ヌクレオチドであり得る。
上記配列の長さが、標的核酸配列に対して部分的に又は完全に相補的であり得る鎖侵入オリゴヌクレオチドの一部を指すことは、理解されるべきである。増幅を達成するための、上流プライマー、下流プライマー、鎖侵入オリゴヌクレオチドの組合せの使用を特に考慮すると、ミスマッチが、標的配列の特異的な増幅及び検出を依然として可能としつつ、鎖侵入オリゴヌクレオチドと標的配列との間で、特定の場所に存在してもよい。鎖侵入オリゴヌクレオチドの相補的な領域と、標的配列の対応する領域との間に、相補的な配列の全長に依存して、1、2、3、4、5、6、7又は8つのミスマッチが存在し得る。
好ましくは、鎖侵入オリゴヌクレオチドの相補的な配列は、毒素産生性 C.ディフィシルの特異的な検出を可能とするように設計される。従って、鎖侵入オリゴヌクレオチドは、好ましくは毒素産生性 C.ディフィシル中にのみ見出される相補的な配列と、特異的に又は選択的にハイブリダイズする。しかしながら、プライマーとの組合せで用いられる場合に、毒素産生性 C.ディフィシル中にのみ見出される配列の特異的な増幅が得られることを条件に、鎖侵入オリゴヌクレオチドは、他の配列、例えば他のクロストリジウム種中に見出される配列ともハイブリダイズし得る。
鎖侵入オリゴヌクレオチドの相補的な配列は、上流プライマー及び下流プライマーのための結合領域に介在している(そして典型的にはそれらの1つ以上と重複している)標的配列の一部とハイブリダイズする。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、上流プライマー及び/又は下流プライマーとの、1〜8のヌクレオチド、例えば少なくとも長さ5又は少なくとも長さ6のヌクレオチドの領域の重複領域を有し得る。
鎖侵入オリゴヌクレオチドの相補的な配列の5’部分は、典型的に、融解されることとなる二本鎖の標的ヌクレオチド配列(アンプリコン)の5’境界から、25ヌクレオチド以下、より好ましくは20ヌクレオチド以下の範囲内で結合する。
鎖侵入オリゴヌクレオチドは、必要に応じて、相補的な配列領域に隣接する、標的に対して非相補的な配列領域(複数可)をさらに含む。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、任意のヌクレオチド配列のものであり得る非相補的な5’領域を含み得る。5’非相補性領域は、典型的に少なくとも長さ3ヌクレオチド、より典型的には少なくとも長さ6、少なくとも長さ8、好ましくは少なくとも長さ10、少なくとも長さ12又は少なくとも長さ14のヌクレオチドである。5’非相補性領域は、リコンビナーゼの結合を援助し得る。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼ伸長を阻止するヌクレオチド、例えばinvdTを含む、典型的には長さ1〜3ヌクレオチドの3’非相補性領域を含み得る。
オリゴヌクレオチドと共にリコンビナーゼが用いられる場合に、鎖侵入オリゴヌクレオチドは、典型的に少なくとも長さ30ヌクレオチドである。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、好ましくは少なくとも長さ35、少なくとも長さ40又は少なくとも長さ45ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも長さ50ヌクレオチドであり、少なくとも長さ55ヌクレオチド又はそれより長い場合がある。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、長さ40〜70、45〜70、45〜70、50〜70、55〜70、45〜65、50〜65、50〜60又は55〜65ヌクレオチドであり得る。
典型的には、鎖侵入オリゴヌクレオチドは、DNA増幅の基質として役立つことができないように、伸長不可能な3’末端を有し、次いで標的配列は、特定の上流プライマー及び下流プライマーのさらなる結合に乗じてのみ増幅される。これにより、非特異的な増幅産物の形成が回避される。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、その3’領域において、例えば3’末端から10〜15又は10〜20のヌクレオチドにおいて、1、2、3、4、5、6、7又は8つ以上の修飾ヌクレオチドを含み得る。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、3’末端のヌクレオチドの3’修飾を含み得、そしてそれはジデオキシヌクレオチドであり得、又は3’アミノ-アリル基、3’カーボンスペーサー、3’リン酸塩、3’ビオチン、3’シアリル若しくは3’チオールを含み得る。3’ヌクレオチドは、3’-3’リンケージにより、逆の方向で組み込まれるヌクレオチドであり得る。あるいは、又は加えて、鎖侵入オリゴヌクレオチドの3’領域は、DNAポリメラーゼのための基質特性が不足しているヌクレオチド(例えばPNA(ペプチド核酸)ヌクレオチド、LNA(ロックド核酸)、2’-5’連結DNA、若しくは2’-O-メチル RNA、又はそれらの組合せ)を含み得る。
鎖侵入オリゴヌクレオチドが、完全にPNAで構成されるPNAオリゴマーである場合に、かかるオリゴヌクレオチドは、リコンビナーゼ酵素の非存在下で、二本鎖DNAを不安定にし、侵入することができる。従って、PNAオリゴヌクレオチドが用いられる場合に、本発明の方法は、リコンビナーゼ酵素の存在なしに、実施され得る。
C. ディフィシルの tcdA遺伝子及びtcdB遺伝子中の標的のヌクレオチド配列のための、適切な鎖侵入オリゴヌクレオチドの特定の例は、本明細書で提供される。配列番号1のtcdBの標的配列の検出のための、好適な鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号4である。特に好適な鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号4、最も好ましくは配列番号5の修飾誘導体である。配列番号6のtcdAの標的配列の検出のための、好適な鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号9である。特に好適な鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号9、最も好ましくは配列番号10の修飾誘導体である。
上述のとおり、本発明で用いられる鎖侵入オリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼの基質としてのその使用を阻止するため、その3’領域に1つ以上の修飾オリゴヌクレオチドを含むことが好適である。従って、配列番号4又は9の修飾誘導体は、その3’領域、典型的には3’末端から10〜15又は10〜20ヌクレオチドに、1、2、3、4、5、6、7、又は8つ以上の修飾ヌクレオチドを含み得る。修飾は、上述したもののいずれかから選択され得る。修飾誘導体は、配列番号4又は9に対応する配列のPNAオリゴマーであり得る。
配列番号4及び9の修飾誘導体に加えて、変異を有する鎖侵入オリゴヌクレオチドが用いられ得る。
配列番号4及び9の変異体は、典型的に長さ30ヌクレオチドよりも長い、より好ましくは少なくとも長さ35、少なくとも長さ40、又は少なくとも長さ45ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであり、配列番号4又は9中に存在する、対応する基本の標的相補性配列の少なくとも30個の連続するヌクレオチドに対して、部分的に又は完全に相補的な領域を含む。好ましくは、前記変異体は、配列番号4又は9中に存在する、標的の相補性配列の少なくとも32、35、37、40、42又は45個の連続するヌクレオチドに対して、部分的に又は完全に相補的な領域を含むであろう。
上記変異体は、配列番号4又は9の基本の鎖侵入オリゴヌクレオチドの、対応する標的の相補性領域(従って、標的配列)に関して、1、2、3、4、5、6、7又は8つのミスマッチ(置換)を有する領域を含み得、その結果それらと部分的に相補的である。従って、例えば変異体は、対応する基本の鎖侵入オリゴヌクレオチドの、少なくとも40個の連続するヌクレオチドの対応する領域に対して、1、2、3、又は4つ、例えば1〜4又は1〜3つのミスマッチを有する、少なくとも長さ30ヌクレオチドの領域を含み得る。変異体は、対応する基本の鎖侵入オリゴヌクレオチドにおいて、等しい長さの対応する領域に対して、1、2、3、4、5又は6つ、例えば1〜5、又は1〜3つのミスマッチを有する、少なくとも長さ35、40、42、又は45ヌクレオチドの領域を含み得る。変異を有する鎖侵入オリゴヌクレオチド配列中の任意のミスマッチは、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも5、又は少なくとも10のヌクレオチド離れていてよい。
あるいは変異体は、基本の鎖侵入オリゴヌクレオチドの標的相補性領域と完全に相補的な、少なくとも長さ32、35、37、40、42又は45ヌクレオチドの領域を含み得る。
配列番号4及び9の変異体は、対応する基本の鎖侵入オリゴヌクレオチドの標的相補性配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の配列同一性を有する標的相補性領域を含む、長さ30ヌクレオチドよりも長いオリゴヌクレオチドでもあり得る。
加えて、変異を有する鎖侵入オリゴヌクレオチドは、基本の鎖侵入オリゴヌクレオチドの結合領域に関して、tcdA遺伝子又はtcdB遺伝子の5’又は3’に隣接するヌクレオチド、例えば、5’の隣接する領域及び/又は3-領域から、5〜10又は5〜15ヌクレオチド、の配列に対して、相補的な追加の配列を含み得る。
変異を有する鎖侵入オリゴヌクレオチドの残りの配列は、典型的に標的の配列と関連がなく、典型的には基本の鎖侵入オリゴヌクレオチドとも関連がない。
変異を有する鎖侵入オリゴヌクレオチドは、3’末端から10〜15又は10〜20ヌクレオチドであり得る、3’領域において、1つ以上の修飾オリゴヌクレオチド、例えば、2、3、4、5、6、7又は8つ以上の修飾ヌクレオチドをさらに含む。修飾は、上述したもののいずれかから選択され得る。
本発明の鎖侵入オリゴヌクレオチドは、検出可能な標識、例えば蛍光色素、をさらに含み得る。
標的核酸配列の増幅
標的核酸配列の増幅を促進する条件下で、試料由来の核酸は、検出目的のための上流プライマー及び下流プライマー、並びに鎖侵入オリゴヌクレオチドと接触させられる。
かかる条件は、典型的にDNAポリメラーゼ酵素の存在を含む。適切な条件として、当技術分野で既知のポリメラーゼ酵素の活性を与えるために用いられる任意の条件が挙げられる。
条件として、典型的には全部で4つのdNTPである、dATP、dTTP、dCTP及びdGTP又はそれらの類似体、酵素の性能又は安定性に要求される適切な緩衝剤/pH及び他の因子の存在が挙げられる。条件として、界面活性剤及び安定化剤の存在が挙げられ得る。用いられる温度は、典型的に等温、すなわち増幅過程の間ずっと一定である。用いられる温度は、典型的にポリメラーゼ酵素及び他の酵素成分の特質に依存し、プライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチドに要求されるハイブリダイゼーションの温度も反映する。Bsuポリメラーゼが用いられる場合に、適切な温度は摂氏40度である。
用いられるポリメラーゼは、典型的に鎖置換活性を有する。「鎖置換」という語は、DNA合成の間、二本鎖DNAの遭遇する領域上で相補鎖を置換するため、必要に応じて、アクセサリータンパク質と共に、DNAポリメラーゼの能力を説明するために本明細書で用いられる。適切なDNAポリメラーゼとして、大腸菌、枯草菌、又はB. ステアロサーモフィルス由来のpolI、及びそれらの機能的断片又は変異体、並びにT4、T7DNAポリメラーゼ及びそれらの機能的断片又は変異体が挙げられる。好適なポリメラーゼはBsu DNAポリメラーゼ又はそれらの機能的断片若しくは変異体である。
条件は、リコンビナーゼの存在をさらに含み得る。任意のリコンビナーゼの系が、本発明の方法で用いられ得る。リコンビナーゼの系は、原核生物又は真核生物起源のものであり得、細菌、酵母、ファージ、又は哺乳類の系であり得る。リコンビナーゼは、5’から3’、又は3’から5方向で、一本鎖のオリグヌクレオチドを重合させ得る。リコンビナーゼは、ミオウイルス科のファージ、例えばT4、T2、T6、Rb69、Aeh1、KVP40、アシネトバクターファージ 133、アエロモナスファージ65、シアノファージ P-SSM2、シアノファージ PSSM4、シアノファージ S-PM2、Rbl4、Rb32、アエロモナスファージ 25、ビブリオファージ nt-1、phi-1、Rbl6、Rb43、ファージ 31、ファージ 44RR2.8t、Rb49、ファージRb3、又はファージ LZ2由来であり得る。好適な実施態様において、T4リコンビナーゼ UvsX(受入番号:P04529)又はそれらの機能的変異体若しくは断片が、用いられる。真核生物のラッド(Rad)の系又は大腸菌のrecA-Recoの系、又は他の原核生物の系も用いられ得る。
条件は、リコンビナーゼアクセサリータンパク質、例えば一本鎖結合タンパク質(例:gp32、受入番号P03695)、及びリコンビナーゼローディング剤(例:UvsY、受入番号NP_049799.2)の存在をさらに含み得る。好適な実施態様において、条件はT4 gp32、UvsX及びUvsYタンパク質の存在を含む。
リコンビナーゼ(例えばUvsX)、それと用いられるリコンビナーゼローディング剤(例えばUvsY)及び一本鎖DNA結合タンパク質(例えばgp32)は、それぞれ、同一か、又は異なるミオウイルス科のファージのソース由来の、天然型、混成型、又は突然変異型のタンパク質であり得る。天然型のタンパク質は、野生型又はタンパク質の自然変異体であり得る。
条件は、コントロールDNAの相互作用のために用いられる化合物などの、リコンビナーゼの効率を強化するために用いられる他の因子、例えば、DNA上にリコンビナーゼの積載を強化することが知られる、プロリン、DMSO又は密集剤をさらに含み得る(Lavery P et. Al JBC 1992, 26713, 9307-9314; 国際公開第2008/035205号)。
条件は、ATP再生の系の存在も含み得る。様々なATP再生の系が、当業者にとって既知であり、糖分解酵素が挙げられる。ATP再生の系の適切な成分として、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、ミオキナーゼ、ピロホスファターゼ、スクロース、スクロースホスホリラーゼ(sucrose phosporylase)のうちの1つ以上が挙げられ得る。条件は、ATPの存在をさらに含み得る。
マグネシウムイオン、DTT又は他の還元剤、塩、BSA/PEG又は他の密集剤のような更なる成分も、挙げられ得る。
上記で説明した様々な成分は、プライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチドを含めて、DNA増幅に提供するため、様々な濃度で提供され得る。当業者は実際に、様々な成分の適切な作用濃度を選択し得る。
増幅DNAの存在の検出
DNA増幅を促進する条件下で、標的核酸配列と、プライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチドとの接触から生じる増幅DNAの存在は、任意の適切な手段により監視され得る。
片方又は両方のプライマー、又は鎖侵入オリゴヌクレオチドは、標識又は他の検出可能な部位を組み込み得る。任意の標識又は検出可能な部位が、用いられ得る。適切な標識の例として、放射性同位体又は蛍光部位、蛍光色素分子及びアクセプター部位のFRETのペアが挙げられる。あるいは、又は加えて、この場合もまた標識又は他の検出可能な部位を組み入れて、増幅DNAを検出する1つ以上のプローブが用いられ得る。プローブは、アンプリコンにおける任意の適切な場所で、結合し得る。増幅される、異なる標的配列を検出するプローブは、多重の検出を提供するため、異なる蛍光波長でのシグナルを出し得る。増幅DNAに挿入される色素、例えばサイバーグリーン及びチアゾールオレンジ、は増幅DNAを検出するためにも用いられ得る。
増幅DNAからのシグナルの検出は、リアルタイムPCRを含む、任意の適切なシステムにより行われ得る。
プライマー及びオリゴヌクレオチド
本発明は、産物自体として、配列番号2〜5及び7〜10のプライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチド、並びにそれらの変異体、前記プライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチドを含む組成物及び調合物をさらに提供する。プライマー、及び必要に応じて鎖侵入オリゴヌクレオチドは、毒素産生性 C.ディフィシルの任意の検出方法で用いられ得る。典型的には、方法は鎖侵入に基づくDNA 増幅法である。しかしながら、毒素産生性 C.ディフィシルの特異的な検出が可能である任意の適切なDNA増幅法が、用いられ得る。上流プライマー及び下流プライマーは、鎖侵入オリゴヌクレオチドの使用を要件としないDNA増幅法、例えばPCRで用いられ得る。
組成物及びキット
本発明は、(a)上流プライマー、(b)下流プライマー及び(c) 鎖侵入オリゴヌクレオチドから選択される少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む組成物及びキットも提供する。上流プライマー、下流プライマー、鎖侵入オリゴヌクレオチドは、上述した通りである。組成物又はキットは、上流プライマー及び下流プライマー、上流プライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチド、又は下流プライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチドを含み得る。好ましくは、組成物又はキットは、上流プライマー、下流プライマー及び鎖侵入オリゴヌクレオチドを含む。組成物又はキットは、本発明の方法、又は代替のDNA増幅法によるC. ディフィシルの検出のために適切であり得る。
組成物又はキットが、配列番号1(tcdB)の標的核酸配列を検出するための使用に適している場合に、典型的には、上流プライマーは、配列番号2又はその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、下流プライマーは、配列番号3又はその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、かつ鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号4又はその変異体の配列を含み、さらにその3’領域に1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む、長さ30ヌクレオチドよりも長いオリゴヌクレオチドである。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号5の配列を有し得る。
組成物又はキットが、配列番号6(tcdA)の標的核酸配列を検出するための使用に適している場合に、典型的には、上流プライマーは、配列番号7又はその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、下流プライマーは、配列番号8又はその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、かつ鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号9又はその変異体の配列を含み、さらにその3’領域に1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む、長さ30ヌクレオチドよりも長いオリゴヌクレオチドである。鎖侵入オリゴヌクレオチドは、配列番号10の配列を有し得る。
組成物又はキットは、配列番号1の標的核酸配列の検出を可能とするオリゴヌクレオチドの第1のセットと、加えて配列番号6の標的核酸配列の検出を可能とするオリゴヌクレオチドの第2のセットを提供し得る。
上記組成物は、例えば溶液、凍結乾燥物(lyophilisate)、懸濁液又は油性若しくは水性の溶媒中の乳状液であり得る。
上記キットにおいて、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドは、混合物として、又は別々の容器で提供され得る。キットは、必要に応じて本発明の方法における使用のための説明書をさらに含む。キットは、増幅DNAの検出の手段を含み得る。
キット又は組成物は、必要に応じて、増幅DNAを検出する1つ以上のプローブを含む。キット又は組成物は、必要に応じて、1つ以上のDNAポリメラーゼ、リコンビナーゼ、リコンビナーゼアクセサリータンパク質を含む。好ましくは、DNAポリメラーゼはBsuポリメラーゼである。好ましくは、リコンビナーゼは必要に応じて、リコンビナーゼアクセサリータンパク質UvsY及びgp32と組み合わされるバクテリオファージ T4 UvsXである。キット又は組成物は、dNTP、適切な緩衝剤、上述した本発明の方法におけるDNA増幅の要件である他の因子をさらに含み得る。
C. ディフィシルによる感染の診断及び医学的利用
本発明は、医療現場で特に有利である。本発明の検出方法は、高度に特異的な試験を提供し、臨床試料が毒素産生性 C.ディフィシル由来の標的核酸配列を含むか否かの判定を可能にする。方法は、毒素産生性C.ディフィシルに関連する様々な疾患の背景に適用され得る。加えて、方法は毒素産生性 C.ディフィシルのキャリアのスクリーニングに適用され得る。
毒素産生性 C.ディフィシルが存在するか否かの判定は、患者中に任意の疾患若しくは疾病が存在する、又は存在することが疑われることを背景とし得る。かかる疾患として、毒素産生性 C.ディフィシルの存在により、引き起こされる、関係づけられ、又は悪化させられるものが挙げられ得る。従って、患者は毒素産生性 C.ディフィシルの存在を示す兆候を呈し得、試料は、上述の方法により、C.ディフィシル(必要に応じてその毒素型も)の存在を判定するため、患者から得られ得る。
従って本発明は、本発明により、被験体由来の試料中において、毒素産生性 C.ディフィシル由来の、標的核酸配列の存在を判定することを含む、前記被験体中の毒素産生性 C.ディフィシルにより引き起こされる感染の診断方法を提供する。方法は、例えば被験体から提供される試料由来の微生物培養により、毒素産生性 C.ディフィシルの菌型を同定する他のステップをさらに含み得る。
本発明の特に好適な実施態様は、消化管感染を有する、特に下痢の症状を有する、患者中に存在する毒素産生性 C.ディフィシルの同定である。
従って本発明は、毒素産生性 C.ディフィシルにより引き起こされる消化管疾病、例えば下痢の診断方法を提供する。診断方法は、抗生物質抵抗性マーカー、病原性マーカーの検出をさらに含み得る。方法は、所定の患者のための最適な治療措置を可能とするため、それは消化管疾病の患者管理において劇的な改善を提供する。従って、試験は入院の期間、再入院の頻度を減らし、そして費用を減らし得る。
診断方法は、患者の試料由来の核酸を基礎として、簡便に実施され得、それは消化管疾病が、毒素産生性 C.ディフィシルによる感染の結果であるのか否かの臨床医に対する指標を提供する。診断方法は、C. ディフィシル毒素型及び病原性に関しての指標、C.ディフィシルが任意の抗生物質に対する抵抗性を有するか否かの指標も提供し得る。試験の結果により、次いで医学的処置が、例えば抗生物質の使用により最適化され得る。
次の実施例は、本発明を説明する。
実施例
実施例 1 - C. ディフィシル tcdB及びtcdAアッセイの設計
tcdA遺伝子及びtcdB遺伝子の検出及び増幅のための、特異的なオリゴヌクレオチドを設計することは、困難であった。tcdA遺伝子及びtcdB遺伝子は、互いの間だけでなく、他の大クロストリジウム毒に対しても、高い配列相同性を示す。C. ソルデリの細胞毒素遺伝子tcsLは、tcdBと最も近いホモログである(Popoff, 1987; Green, 1995)。C. ソルデリ tcsLに対する抗体は、C. ディフィシルのトキシンBと交差反応性がある。従って、C. ディフィシルのトキシンBの検出のためのラテラルフロー試験は、一般的にC. ソルデリ tcsLと交差反応をする。特異的なオリゴヌクレオチドの設計は、特異的な侵入オリゴヌクレオチドに関する要件によりさらに複雑になった。
さらに、C. ディフィシルゲノムのGC含量は低い(29.1 %)が、これはGC含量が27.4%であるtcdB遺伝子にも当てはまる。この低いGC含量も、DNA増幅に適切なオリゴヌクレオチドの設計を困難にした。低いGC含量を伴うプライマーは、低い融解温度(Tm)を有するであろうし、それによりオリゴヌクレオチドの結合を不安定にし、増幅の効率が不十分な結果となる。
第一に、tcdA遺伝子及びtcdB遺伝子の適切な領域を、検出及び増幅のための標的化のため選択した。tcdB (配列番号1)及びtcdA(配列番号6)に対する特定の標的領域を、以下に示す。標的の領域を、1) C. ディフィシルに特異的である、すなわち近縁の同族クロストリジウムの菌種とは異なるように、2) C. ディフィシル毒素型に十分包括的であるように、3) C. ディフィシルのゲノム平均より高いGC含量を有するように選択した。
第2に、特異的なオリゴヌクレオチドを、標的領域の増幅のため設計した。C. ディフィシルのtcdB遺伝子及びtcdA遺伝子の検出及び増幅に用いた、特定のオリゴヌクレオチドを以下に示す(配列番号2〜5、7〜10)。
実施例 2 - tcdBアッセイ試験
40℃で、等温の鎖侵入DNA増幅により、C. ディフィシルのtcdB遺伝子を増幅するために、配列番号2、3、5のtcdB検出オリゴヌクレオチドを用いた。DNA結合蛍光色素のサイバーグリーンIを、増幅の検出のため用い、蛍光光度計又はリアルタイムPCR装置のいずれかで、蛍光を測定した。テンプレートDNAの存在又は非存在下において、反応混合物は、反応緩衝液(10 mM トリスアセテート,pH 8、0.5 mM EDTA、4 mM DTT、150 mM スクロース、0.1 mg/ml BSA、5 % DMSO)、2 mM ATP、5% PEG1000、60 mMクレアチンリン酸 ジ(トリス) 塩、dNTP (dUTPにより置換されるdTTPを伴う)、12.5 mU/μl スクロースホスホリラーゼ、25 mU/μl クレアチンホスホキナーゼ、62.5 mU/μl Bsu ポリメラーゼ、0.1〜0.3 mg/ml T4 バクテリオファージ UvsX、0.25〜0.5 mg/ml T4 バクテリオファージ gp32、10 mM Mg-アセテート及びオリゴヌクレオチドを含んでいた。
エンドプライマー(end primer)及び侵入オリゴヌクレオチドの、プライマーダイマーを産生する能力又は自己プライミング(self-priming)を、テンプレートDNAの非存在下で試験した(テンプレート無しのコントロール、NTC)。オリゴヌクレオチドの、正確な標的DNAを検出、増幅する能力を、C. ディフィシル BAA-1382のゲノムDNA (gDNA)の存在下で試験した。増幅産物の存在又は非存在を、サイバーグリーン I蛍光の増加(図 1(a))及び融解曲線分析(図 1(b))の両方により、判定した。
増幅産物を、MultiNAマイクロチップ電気泳動装置でさらに分析した(図 1(c))。テンプレートとしてC. ディフィシル gDNAの10 000 コピー(cp)とのポジティブなtcdB増幅反応からのエレクトロフェログラムは、予想される長さを伴うDNA断片の出現を示した。この断片は、テンプレート無しのコントロール反応では検出されなかった。
実施例 3. C. ディフィシルに対する特異性
tcdBアッセイの特異性を、実施例2で説明されたような反応において、テンプレートとしてC. ソルデリ ATCC 9714 gDNAを用いて試験した。C. ソルデリの毒素遺伝子 tcsLは、tcdBに最も近いと認められるホモログである。結果を図 2(a)に示す。テンプレートDNAとしての10 000 cpのC. ソルデリgDNAとのtcdBの反応は、DNAが増幅しないことを示したが、一方10 000 cpのC. ディフィシルBAA-1382 (630)は、サイバーグリーンIの蛍光強度の増加により測定される明らかな増幅を示した。
実施例 4. C.ディフィシルの検出の感度
tcdBアッセイの感度を、C. ディフィシル BAA-1382 (630)の希釈系列を用いて試験し、増幅をサイバーグリーンI蛍光で測定し、リアルタイムPCRにより検出した。結果を図 2(b)に示す。テンプレートとしての10〜10 000 cp/反応のC. ディフィシル gDNAは、ポジティブな増幅を示したが、一方NTC,ネガティブコントロール及び1 cp/反応は、増幅しなかった。ネガティブコントロールの反応は、少なくともそれぞれ1000 cp/反応で、エンテロバクター エロゲネス、シトロバクター sp、シゲラ ソネイ、シゲラ フレックスネリ、ストレプトコッカス アガラクチア、リステリア モノサイトゲネス、エシェリキア コリ、エンテロバクター エロゲネス、エンテロバクター クロアカ、エンテロコッカス フェカリス、シトロバクター フロインデイ、クレブシエラ ニューモニエから単離されたgDNAの混合物を含んでいた。NTC=テンプレート無しのコントロール。
実施例 5. C.ディフィシル毒素型検出の包括性
tcdBアッセイの包括性を、C. ディフィシル毒素型0、III、VIII及びXで試験した。結果を図3(A)及び(C)に示す。各毒素型からの2 ng gDNA/反応を、tcdB反応でのテンプレートとして用いた。全ての試験した毒素型は、ポジティブな増幅結果をもたらした(図 3A)。さらに、融解曲線分析は、単一の特異的なアンプリコンの増幅を示した(図 3C)。
tcdBアッセイの包括性を、37個のC. ディフィシル毒素型0、I、II、IIIa、IIIb、IIIc、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIa、XIb、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII; XIX、XX、XXI; XXII; XXIII; XXIV、XXV、XXVI、XXVII、XXVIII、XXIX、XXX、XXXI、XXXII、XXXIIIのより大きな一団でさらに試験した。結果を図3 (B)及び(D)に示す。XIa及びX1bを除く、合計35個の全ての毒素型は、ポジティブな増幅結果をもたらし(図 3(B))、ポジティブな増幅反応からの、増幅後の融解曲線分析は、単一のアンプリコンの増幅を示した(図 3(C))。毒素型XIa及びXIbに対する増幅後の融解曲線分析も、増幅しないことを示した。毒素型Xia及びXIbに対しては、ネガティブな増幅が予想されたが、これらがトキシンAとトキシンBのどちらも産生しない(Rupnik et al. 2001)ためである。それらは、tcdB遺伝子を完全に欠損するが、少なくともtcdA遺伝子の一部を含む。
実施例 6. tcdAのSIBAアッセイ試験
配列番号7、8、10のtcdA検出オリゴヌクレオチドを、実施例1で説明したように、反応混合物と共に40℃で、C. ディフィシル tcdA遺伝子を増幅するために用いた。エンドプライマーのプライマーダイマーを産生する能力、又は自己プライミングを、テンプレートDNAの非存在下で試験した(テンプレート無しのコントロール,NTC)。オリゴヌクレオチドの、正確な標的DNAを検出、増幅する能力を、10〜10 000 cp/反応のC. ディフィシル BAA-1382 ゲノムDNA (gDNA)の存在下で、試験した。増幅産物の存在又は非存在を、サイバーグリーンI蛍光の増加により判定し(図 4a)、リアルタイムPCR装置で測定した。融解曲線分析を、単一の特異的なアンプリコンの増幅を確かめるため実施した(図 4b)。
本発明の配列
SEQ ID NO: 1
AACCAAAGTGGAGTGTTACAAACAGGTGTATTTAGTACAGAAGATGGATTTAAATATTTTGCCCCA
SEQ ID NO: 2 AACCAAAGTGGAGTGTTACAA
SEQ ID NO: 3 TGGGGCAAAATATTTA
SEQ ID NO: 4 TCCTCCTGTACCTCGTTACAAACAGGTGTATTTAGTACAGAAGATGGATTTAAATA
SEQ ID NO: 5 TCCTCCTGTACCTCGTTACAAACAGGTGTATTTAGTACAGAAGmAmUmGmGmAmUmUmUmAmAmAmUmA/InvdT/ . mX = 2’-O-メチルRNA. invdT = 逆位のdTTP.
SEQ ID NO: 6
ATGGATAGGTGGAGAAGTCAGTGATATTGCTCTTGAATACATAAAACAATGGGCTGATATTAA
SEQ ID NO: 7 ATGGATAGGTGGAGAAGTC
SEQ ID NO: 8 TTAATCTCAGCCCATTG
SEQ ID NO: 9 TCCTCCTGTACCTCAGAAGTCAGTGATATTGCTCTTGAATACATAAAACAATGG
SEQ ID NO: 10
TCCTCCTGTACCTCAGAAGTCAGTGATATTGCTCTTGAATmAmCmAmUmAmAmAmAmCmAmAmUmGmG/InvdT/ . mX = 2’-O-メチルRNA. invdT = 逆位のdTTP.
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Claims (15)

  1. 試料中の毒素産生性 C.ディフィシルの標的核酸配列を検出するための方法であって、前記方法は、前記標的核酸配列の増幅を促進する条件下で、前記試料を少なくとも1つの上流プライマー、少なくとも1つの下流プライマー及び少なくとも1つの鎖侵入オリゴヌクレオチドに接触させることを含み、
    各々の前記プライマー及び前記鎖侵入オリゴヌクレオチドが、前記標的核酸配列に相補的な領域を含み;かつ
    前記鎖侵入オリゴヌクレオチドが、標的核酸配列の少なくとも一部を一本鎖にし、前記上流プライマー及び下流プライマーの結合を可能にする、方法。
  2. 前記標的核酸配列が、C. ディフィシルの病原性遺伝子座(PaLoc)に位置する遺伝子中に存在し、必要に応じて、前記C. ディフィシルの遺伝子がtcdB又はtcdAである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記標的核酸配列のGC含量が少なくとも30%である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記C. ディフィシルの遺伝子がtcdBであり、かつ前記標的核酸配列が配列番号1又はその変異体を含む、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記C. ディフィシルの遺伝子がtcdAであり、かつ前記標的核酸配列が配列番号6又はその変異体を含む、請求項2又は3に記載の方法。
  6. 前記上流プライマーが、配列番号2若しくはその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、及び/又は前記下流プライマーが、配列番号3若しくはその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、及び/又は前記鎖侵入オリゴヌクレオチドが、配列番号4若しくはその変異体の配列を含み、かつその3’領域に1つ以上の修飾ヌクレオチドをさらに含む、長さ30ヌクレオチドよりも長いオリゴヌクレオチドである、請求項4に記載の方法。
  7. 前記上流プライマーが、配列番号7若しくはその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、及び/又は前記下流プライマーが、配列番号8若しくはその変異体の配列を含む、長さ30ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドであり、及び/又は前記鎖侵入オリゴヌクレオチドが、配列番号9若しくはその変異体の配列を含み、かつその3’領域に1つ以上の修飾ヌクレオチドをさらに含む、長さ30ヌクレオチドよりも長いオリゴヌクレオチドである、請求項5に記載の方法。
  8. 前記試料をリコンビナーゼに接触させることをさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記標的核酸配列の増幅を促進する等温の条件下で実施される、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  10. (a)上流プライマー、(b)下流プライマー及び(c)鎖侵入オリゴヌクレオチドから選択される、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む組成物であって、
    各々の前記オリゴヌクレオチドが請求項6に記載されるものか、又は
    各々の前記オリゴヌクレオチドが請求項7に記載されるものである、組成物。
  11. (a)上流プライマー、(b)下流プライマー及び(c)鎖侵入オリゴヌクレオチドから選択される、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含むキットであって、
    各々の前記オリゴヌクレオチドが請求項6に記載されるものか、又は
    各々の前記オリゴヌクレオチドが請求項7に記載されるものである、キット。
  12. 少なくとも1つの(a)のオリゴヌクレオチド、少なくとも1つの(b)のオリゴヌクレオチド、及び少なくとも1つの(c)のオリゴヌクレオチドを含む、請求項10に記載の組成物、又は請求項11に記載のキット。
  13. DNAポリメラーゼ及び/又はリコンビナーゼをさらに含む、請求項12に記載の組成物又はキット。
  14. 毒素産生性 C.ディフィシルの検出方法における、上流プライマー、下流プライマー、及び必要に応じた鎖侵入オリゴヌクレオチドの使用であって、各々が請求項6に記載されるものか、又は各々が請求項7に記載されるものである、使用。
  15. 被験体由来の試料において、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を実施することを含む、前記被験体でのC. ディフィシルの感染の診断方法。
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