JP2016512811A - 環状オリゴマーを調製する方法、及びそれにより得られる環状オリゴマー - Google Patents

環状オリゴマーを調製する方法、及びそれにより得られる環状オリゴマー Download PDF

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Abstract

フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製する方法が開示される。本方法は、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件下にて、閉環オリゴマー化工程において、任意の触媒及び/又は任意の有機塩基の存在下でモノマー成分を反応させる工程を含む。本発明はさらに、前記方法により得られる環状ポリエステルオリゴマー組成物であって、フラン単位を有する構造Y1又はY2環状ポリエステルオリゴマーを含み、組成物中に5重量%未満、好ましくは3重量%、最も好ましくは1重量%の直鎖状オリゴマーポリエステル種を含有する環状ポリエステルオリゴマー組成物に関する。本発明はさらに、ポリエステルポリマーの生成における前記環状ポリエステルオリゴマー組成物の使用にも関する。

Description

本発明は、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製する方法、並びに前記方法により得られる前記環状ポリエステルオリゴマー組成物、及びポリエステルポリマーの生成における前記環状ポリエステルオリゴマー組成物の使用に関する。
ポリエステルは、有用な物理的及び機械的性質、並びに多数の用途を有する、商用のポリマーの重要な種類である。ポリエステルは、例えば、繊維、コーティング、フィルムとして、又は複合材料において幅広い実用性が見出されている。大半の産業用ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)及びポリアクリラートは、石油化学原料に由来するモノマーから生成される。限りある石油の備蓄、石油価格の変動、生産地域における政治不安及び環境についての意識の高まりのため、再生可能な原料から生成されるバイオベースポリエステルに対して関心が高まっている。
現在、商業又は試験生産でバイオベースのポリエステルはわずかしか存在しない。天然に存在するポリエステルの代表例は、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)であり、これは、糖又は脂質から微生物の発酵によって生成される直鎖状ポリエステルである。しかしPHAは、生産収率及びダウンストリームプロセッシングが限られるため、幅広く産業化されていない。
商業的に生成されているバイオベース半合成ポリエステルの別の例は、ポリ乳酸(PLA)であり、これは、乳酸の重縮合又は環状ジエステルラクチドの開環重合から調製され得る。PLAは幅広い用途を有するが、脂肪族ポリエステルであり、したがって、例えば、より高い温度での押出若しくは成形、又はボトル製造の用途においては石油化学製品ベースの芳香族ポリエステルとの置き換えに適していない。大半のバイオベースの構成成分は、非芳香族化合物、例えば糖又はデンプンに由来するので、大半のバイオベースポリマーにはこの欠点がある。他のそのような脂肪族バイオベースポリマーの例は、ポリブチレンサクシネート(PBS)又はセバシン酸若しくはアジピン酸をベースとしたポリマーを含む。
これらの理由から、芳香族の構成成分を有するバイオベースポリマーが、今日高度に求められている。関心を集めている種類のバイオベース芳香族モノマーは、フラン系化合物、例えばフラン−2,5−ジカルボン酸(FDA)、5−(ヒドロキシメチル)フラン−2−カルボン酸(HMFA)並びに2,5−ビス(ヒドロキシルメチル)フラン(BHMF)であり、これらは、中間体(ペントース(C5)及びヘキソース(C6)の酸触媒を用いた加熱脱水により生成され得るフルフラール(2−フランカルボキシアルデヒド)及び5−ヒドロキシメチル2−フランカルボキシアルデヒド(HMF))から調製され得る。フラン環のフェニル環に対する化学的類似性により、フェニルベースのポリマー、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)をフランベースのポリマーに置き換えることが可能になる。
有機金属又は酸触媒の存在下において、高温でジオール及びジアシッド(diacid)又はジエステル(モノマー)の混合物を加熱することを伴う重縮合反応による、フランの構成成分からのポリエステルの生成は、例えば、米国特許第2,551,731号及び米国特許第8,143,355B2号から公知である。この平衡反応をポリマー形成へと進展させるために、形成された水又は副生物、例えばアルコールを、典型的には、プロセス中に上昇温度で圧力又はガス流を低下させることにより除去しなければならない。したがって、反応を推進して完了させるのに有効な、複雑且つコストのかかる反応及び脱揮設備(devolatilization equipment)には、きわめて粘性が高いポリマー溶融物から、著しい量の揮発性化合物を脱揮させること、及びこれらの揮発性化合物を除去し且つ縮合する能力を有すること、が必要である。その結果、重縮合及び脱揮が不十分である場合は、有用な機械的及び他の性質を有する高分子量ポリエステルは、生成されないであろう。
さらに、(i)これらのジオール及びジアシッド又はジエステルモノマーの重合の推進、並びに(ii)生じたポリマーの脱揮、のために使用される高温及び長い滞留時間は、望ましくない副反応、例えばモノマー、オリゴマー又はポリマーの劣化、分岐を引き起こす分子間結合の形成、及び最終生成物の酸化、を生じることが多く、結果として色が発現する。さらに、著しい量の揮発性有機化合物、例えばアルコール副生物は、空気中に簡単に放出できず、代わりに、新たなモノマーを作るリサイクルのために、又はサーマルリサイクルのために回収しなければならない。新たなモノマーを作るための、この回収及びリサイクルは、重合プラントが施設内のモノマー生成プラントと統合されない限り、コストのかかる保存及び運搬形態を伴う。
結論として、工業規模の重合プラントで、フランの構成成分からポリエステルを調製するために従来から使用される、ジオール及びジアシッド又はジエステルモノマーに代わる代替原料を有することが望ましいであろう。具体的には、大量の水又はアルコール副生物を生成しないものが望ましい。その結果、そのような代替原料は、重合を推進して完了させるために、複雑な反応を必要としないし、脱揮能力が高い設備、又は激しい高温反応工程及び脱揮工程を必要としないであろう。したがって、そのような代替原料は、フラン単位を有する高分子量ポリマーを、温和な条件下にてフランの構成成分から容易に生成できる。
この現状技術を発端として、本発明の目的は、フラン単位を有するポリエステルポリマーを生成するための、代替原料(フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマー)を調製する方法であって、上記の欠点に悩まされることのない方法、具体的には、特に高分子量ポリエステルポリマーを生成する場合に、複雑且つ高価な高性能の脱揮系(devolatization system)を必要とし、大量の揮発性副生物、例えば水又はアルコールを形成するという傾向のない方法を提供することである。関連する本発明の目的は、高温及び長時間という厳しい重合及び脱揮の条件によって生じる熱劣化及びポリマー変色を回避する代替原料を提供することである。本発明のさらなる目的は、前記方法により得られる環状ポリエステルオリゴマー組成物の提供、及び、ポリエステルポリマーの生成における前記環状ポリエステルオリゴマー組成物の使用を含む。
本発明において、「フラン単位」は、フラン誘導体、例えばモノマーであるFDA、HMFA、BHMFをベースとした誘導体、及びそれらを部分的若しくは完全に反応させたモノエステル又はジエステル誘導体を指す。フラン単位を有することは、そのようなモノマーの完全に又は部分的に反応した誘導体が、環状ポリエステルオリゴマーに組み込まれていることを意味する。
本発明によれば、これらの目的は、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製する方法であって、以下の工程を含む方法によって達成される。
− (I)構造Yの、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件下にて、閉環オリゴマー化工程において、任意の触媒及び/又は任意の有機塩基の存在下でモノマー成分C又はDを反応させる工程であって、モノマー成分Cが、構造

(式中、基Aのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、lは1から100、好ましくは2から50、最も好ましくは3から25の整数であり、
=OH、OR、ハロゲン又はO−A−OHであり、
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
=H又は

である)
を含み、モノマー成分Dが、構造

(式中、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、基Xのそれぞれは、OH、ハロゲン、又は場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ、若しくはアリールオキシであり、Aがn−ブチルである場合は基XがOHではない)
を含み、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造Y

(式中、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
である)
である上記(1)工程、
又は
(II)構造Yの、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件下にて、閉環オリゴマー化工程において、任意の触媒及び/又は任意の有機塩基の存在下でモノマー成分C若しくはDを反応させる工程であって、
モノマー成分Cが、構造

(式中、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、lは上で定義されている通りの整数であり、n’は1から20、好ましくは2から10の整数であり
=OH、OR、ハロゲン又はO−(B−O)n’−Hであり、
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
=H又は

である)
を含み、モノマー成分Dが、構造

(式中、基Xのそれぞれは、OH、ハロゲン、又は場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ、若しくはアリールオキシであり、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、n’は上で定義されている通りの整数である)
を含み、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造Y

(式中、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、n’は上で定義されている通りの整数であり、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
である上記(II)工程、のうちのいずれかの工程、
並びに
− フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種を、環状オリゴマー組成物から分離及び除去する後続の工程(III)。
本発明によれば、これらのさらなる目的は、最初に、前記方法で得られる環状ポリエステルオリゴマー組成物により達成され、組成物は、組成物の総重量に基づいて、5重量%未満、好ましくは3重量%、最も好ましくは1重量%の直鎖状オリゴマーポリエステル種を含有する。
前記環状ポリエステルオリゴマーは、本発明に従って、ポリエステルポリマーの生成に使用される。
本発明は、これらの目的を達成し、フラン単位を有し、構造Y又はYを有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状オリゴマー組成物を調製する方法によって、この問題の解決法を提供する。これらの環状オリゴマーは、縮合反応(高度に変換されるまで実行し、直鎖状不純物が除去される)により調製され、したがって、モノマー、例えば2,5−フランジカルボン酸又はエチレングリコール、プロパンジオール若しくはブタンジオールのように、カルボン酸又は遊離OH基を含有しない。したがって、本発明の環状オリゴマーをさらに反応させて高分子量ポリマーを形成しても、それらのモノマーのように大量の水を放出しないであろう。これらの環状オリゴマーも、2,5−フランジカルボン酸ジメチル又はジエチルエステルのように、揮発性単官能性アルコールのエステルを含有しない。したがって、本発明のこれらの環状オリゴマーをさらに反応させて、高分子量ポリマーを形成しても、それらのモノマーのように、大量の揮発性アルコール副産物を放出しないであろう。
本環状オリゴマー組成物の重合中に、大量の揮発性の水又はアルコール成分の生成がないこと、及び生成されるポリマーの後続の脱揮がないことにより、より単純な脱揮系及びより温和な脱揮条件を使用できる。これは、環状オリゴマーの重合後に、比較的少量の揮発性化合物しかポリマー組成物に存在しないであろうためである。具体的には、分子量のために、環状オリゴマーはあまり揮発性ではない。さらに、環状オリゴマーは、遊離酸及び/又はヒドロキシル基を欠くので、残留した未反応の環状オリゴマー種は、ポリマー組成物の化学的性質、色彩及び熱安定性に悪影響を及ぼさないであろう。したがって、設計及び性質のために、環状ポリエステルオリゴマーにより、重合反応及び脱揮の両方に対して、時間及び温度の比較的温和な条件下にて高分子量ポリマーを都合よく調製でき、その結果、ポリマー組成物の著しい熱劣化を避けることができる。
次いで、これらの結果は、驚くべきことに、上昇温度にて長時間にわたる真空及び/又は不活性ガス(例えば窒素)流の適用を伴う、あらゆる特殊で複雑な重合反応又はポリマー脱揮装置の必要性なしで達成される。本発明において、著しく揮発性種、例えば水及びアルコールの形成を伴う反応及び作業は、いずれも都合よく、環状ポリエステルオリゴマーを生成する段階又はプラントの上流(upstream)に移行したので、後続の重合プロセス又はプラントでは、比較的少量の揮発性種しか生成されないであろう。このようにして、揮発性種の除去並びに回収及び/又はリサイクルは、オリゴマー生成施設内で統合される。その結果、これにより、互いに地理的に非常に離れている、モノマー及びポリマー生成プラント間で、そのような材料を運搬する必要性がなくなる。
本方法の好ましい実施形態において、モノマー成分がCであり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキルであり、lは3から25の整数であり、mは3から10の整数であり、モノマー成分がDであり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキルであり、Xはハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ若しくはフェノキシであり、mは上で定義されている通りであり、モノマー成分がCであり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキルであり、l及びmは上で定義されている整数であり、n’は2から10の整数であり、又は、モノマー成分がDであり、XはOH、ハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ、若しくはアリールオキシであり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、若しくはフェニルであり、n’及びmは上で定義されている整数である。より小さく、より低い分子量の環状種は、産業的に適用可能に生成されるだけではなく、より小さい環状化合物を生成すること、並びにそれらを直鎖状種から分離及び精製することも簡単である(分子量留分(Mw fraction)が「より狭い」ために)。さらに、XがClである場合は酸ハロゲン化物反応体、例えば酸塩化物、又は、Xがメトキシである場合はエステル反応体、例えばメチルエステルの使用は、カルボン酸とアルコールの反応を起こすより好ましい反応速度及び平衡をいずれも有する。しかし、ハロゲン化種は、腐食性であることがあり、したがって、後続の重合プラントで特殊で高価な建設材料を必要とする。したがって、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物中のそれらの含有量は、例えば、後続の分離及び除去工程中の除去により、好ましくは低く保たれるであろう。
本出願において、「場合により置換されている」は、水素、アルキル、アリール又はアルキルアリール基とは異なる化学置換基を指す。そのような任意の置換基は、閉環オリゴマー化工程中に一般的に不活性と考えられ、例えば、ハロゲン又はエーテルであってよい。
本方法の特定の好ましい実施形態においては、以下のいずれかである。
− モノマー成分がCであり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状CからCアルキルであり、lは3から25の整数であり、mは3から10の整数であり、
− モノマー成分がDであり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状CからCアルキルであり、Xはハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ若しくはフェノキシであり、mは上で定義されている通りの整数であり、
− モノマー成分がCであり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状CからCアルキルであり、l及びmは上で定義されている整数であり、n’は2から10の整数であり、又は
− モノマー成分がDであり、Xはハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ若しくはアリールオキシであり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状CからCアルキル、若しくはフェニルであり、n’及びmは上で定義されている整数である。
この実施形態は、酸性種の反応に関与せず、したがって反応速度及び平衡は非常に好ましく、水副産物が生成されない。さらに、酸性のモノマー種、並びにその酸ハロゲン化物誘導体は、腐食性であることがあり、したがって、後続の重合プラントで特に高価な建設材料を必要とする。
本方法の別の好ましい実施形態は、モノマー成分がC若しくはCであり、反応温度は100から350、好ましくは150から300、最も好ましくは180から280℃であり、反応時間は30から600、好ましくは、40から400、最も好ましくは50から300分であり、又はモノマー成分がD若しくはDであり、反応温度は−10から150、好ましくは−5から100、最も好ましくは0から80℃であり、反応時間は5から240、好ましくは10から180、最も好ましくは15から120分である。これらのモノマー成分に対するそのような反応時間及び温度は、所望の環状ポリエステルオリゴマー組成物を高い収率で生成できるが、直鎖状種の著しい形成又はオリゴマー組成物の熱劣化の発生を避けるために十分であることを見出した。
本方法のさらに別の好ましい実施形態において、モノマー成分Cが、特定の構造

を含み、
又はモノマー成分Dが、特定の構造

を含み、Yが特定の構造

を含み、
式中、
=OH、OR、ハロゲン又はO−CHCH−OHであり、
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
=H又は

であり、X、l及びmは、先に示された通りに定義される。
この実施形態は、ポリ(2,5−エチレンフランジカルボキシラート)(PEF)を調製するための原料を生成する利点を有し、これは、最も重要な商用ポリエステルであるポリ(エチレンテレフタラート)(PET)の複素環同族体である。PEFは、現在パイロット規模の開発段階にあり、包装用途及びボトル用途のPETに対するバイオベースの代用物として有望であることが示されている。
本方法の他の好ましい代替実施形態において、モノマー成分Cが、特定の構造

を含み、又はモノマー成分Dが、特定の構造

を含み、Yが特定の構造

を有し、
式中、R=OH、OR、ハロゲン又はO−CHCHCHCH−OHであり、
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
=H又は

であり、
X、l及びmは、先に示された通りに定義される。
この方法は、ポリ(2,5−ブチレンフランジカルボキシラート)(PBF)を調製するための原料を生成する利点を有し、これは、別の重要な商用ポリエステルであるポリ(ブチレンテレフタラート)(PBT)の複素環同族体である。PBTは、優れた機械的及び電気的性質を有し、頑丈な化学的耐性を備え、PBFは、バイオベースの代用物として関心を集めている。
本発明において、「触媒」は、無機又は金属含有化合物、例えば有機金属種又は金属塩を指し、一方、「有機塩基」は、非金属及び塩基性有機種を指す。
本方法のさらに別の好ましい実施形態では、任意の有機塩基Eが存在し、これは、構造E

(式中、基RからR12のそれぞれは、水素、場合により置換されているアルキル、フェニル、アリール又はアルカリルであり、基RからR12のそれぞれは、場合により任意の環状有機塩基E中において、環式置換基の一部として単結合又は二重結合基で共に結合できる)
を有する化合物である。本発明者らは、驚くべきことに、そのようなアンヒンダードアミンにより、所望の環状オリゴマー種を高い収率で得られることを見出した点で、この実施形態は有利な利点を提供する。他の実施形態において、任意の有機塩基は、窒素を1つだけ含有する直鎖状、分岐、又は環状脂肪族一塩基性種であることがある。
本方法のより具体的な好ましい実施形態では、任意の有機塩基Eが存在し、有機塩基Eが、構造

を有するDABCO、又は構造

を有するDBU、のいずれかであり、DABCO又はDBUは、場合によりアルキルアミン、より好ましくはトリエチルアミンと共に使用される。他の特定の実施形態において、DABCO及びDBUは、混合物中にて、場合によりアルキルアミンと共に使用される。そのような実施形態は、これらを大規模に商用ベースで利用できるという利点を有し、本発明者らは、これらの利用は本発明の方法に都合がよいことを見出した。さらに、任意のアルキルアミン種を包含すると、本方法において形成される任意の酸性の副産物が有利に中和される。
本方法のさらに別の好ましい実施形態において、任意の触媒が、存在しない、又は金属アルコキシド若しくは金属カルボキシラート、好ましくはスズ、亜鉛、チタン、若しくはアルミニウムの1つとして存在する。触媒を欠くことにより、原料コストが減少し、環状ポリエステルオリゴマーの精製及びさらなる使用が簡素化される。しかし金属ベースの触媒のいくつかは、本発明の方法に高度に有効であり、したがって、相対的に温和な温度及び時間の条件下にて環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製できることが本発明者らにより見出されている。これにより、本方法において、生産性が改善され、劣化及び変色が最小限に抑えられる。
本方法の具体的な好ましい実施形態において、任意の有機塩基Eは、本方法において反応体として使用される全モノマー成分種1molに対して0.5から6、好ましくは1から4、より好ましくは2から3molの化学量論比で存在する。そのような任意の有機塩基を充填して使用することにより、相対的に温和な温度及び時間の条件下にて、閉環オリゴマー化を行いつつ、プロセス中の望ましくない副反応に関する触媒作用を避けることができることが見出された。さらに、後続の熱処理、例えば、得られるポリマーの重合又は押出若しくは成形において、劣化及び/又は変色につながる可能性のある、大量のクエンチしていない残留触媒による、ポリエステルオリゴマー組成物の汚染が避けられる。また、触媒コストと生産性の間の有効なバランスが得られる。
本方法の別の好ましい実施形態において、フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種を環状オリゴマー組成物から分離及び除去する工程(III)は、環状オリゴマー組成物である移動相の固定相通過、選択的沈殿、蒸留、抽出、結晶化又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数の分離サブ工程を含む。本発明者らは、これらの分離方法が直鎖状ポリエステルオリゴマーの除去に、したがって環状オリゴマー組成物の精製に効率的且つ効果的であることを見出した。さらに、これらの分離方法は、商用規模での精製に対して、産業的に容易に適用可能であり、コスト効果が高い。
本発明の別の態様は、本発明による方法によって得られる環状ポリエステルオリゴマー組成物に関わり、組成物は、環状ポリエステルオリゴマー組成物の総重量に対して、5重量%未満、好ましくは3重量%、最も好ましくは1重量%の直鎖状オリゴマーポリエステル種を含有する。そのような少量の直鎖状種を含有する組成物は、後続の重合を効率的且つ再生可能に実行できる点で有利である。環状オリゴマー組成物における大量の、及び/又は可変レベルの直鎖状種は、後続の重合を化学量論的に変化させ、したがって、重合の際に得られる分子量に影響を与え得る。さらに、直鎖状種の酸性、アルコール性又はエステル末端基は、不利に反応して、重合中に揮発性種を放出する可能性がある。さらに反応性の酸性種は、作用して塩基触媒をクエンチすることがあり、及び/又は処理設備に対して腐食性であることがある。
本組成物の好ましい実施形態において、環状ポリエステルオリゴマー組成物中の残留モノマー成分、例えばC、D、C又はDは、組成物の総重量に基づいて5重量パーセント未満、好ましくは3重量パーセント、及び最も好ましくは1重量パーセントである。
環状ポリエステルオリゴマー組成物の好ましい実施形態において、環状ポリエステルオリゴマー組成物は、ハロゲン化不純物、好ましくは酸塩化物及び/又はその残渣を含有する。本明細書では、残渣は、反応生成物又は副産物、例えば、ハロゲン酸、その例としてHCl、又はハロゲン塩、その例として塩化物塩、と定義される。そのような不純物は、酸ハロゲン化物である反応体、例えば酸塩化物の使用の副産物であり、オリゴマー組成物の生成において、アルコールとカルボン酸の反応より好ましい反応速度及び平衡をいずれも有する。しかしハロゲン化種は、腐食性であり、それにより、後続の重合プラントに特殊で高価な建設材料を必要とする。したがって、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物中のそれらの含有量は、例えば、後続の分離及び除去工程中の除去により、好ましくは低く保たれるであろう。
環状ポリエステルオリゴマー組成物の別の好ましい実施形態において、組成物は、構造Y

(式中、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
のフラン単位を有する特定の環状ポリエステルオリゴマーを含む。この実施形態は、ポリ(2,5−エチレンフランジカルボキシラート)(PEF)の生成に適切な原料であり、したがって、このオリゴマー組成物を生成する方法に関して、先に説明した利点を有する。
環状ポリエステルオリゴマー組成物の好ましい代替実施形態において、組成物は、構造Y1”

(式中、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
のフラン単位を有する特定の環状ポリエステルオリゴマーを含む。この実施形態は、ポリ(2,5−エチレンフランジカルボキシラート)(PBF)の生成に適切な原料であり、したがってこのオリゴマー組成物を生成する方法に関して、先に説明した利点を有する。
本発明の別の態様は、(i)フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状オリゴマー組成物を調製するための本発明の方法、と共に(ii)ポリエステルポリマーを生成するための後続の重合工程、とを含む、ポリエステルポリマーを生成する方法である。この本発明に関連する態様は、ポリエステルポリマーの生成における、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物の使用である。この重合方法及び使用により、重合方法における原料としてのオリゴマー組成物の望ましい性質(例えば好ましい反応速度、腐食酸性種がないこと、重合中に著しい量の揮発性種の形成がないこと)が有利に利用される。
当業者は、本発明の様々なクレーム及び実施形態の主題の組み合わせが、そのような組み合わせが技術的に実行可能な程度にまで本発明を限定することなしで可能であることを理解するであろう。この組み合わせにおいて、任意の1つのクレームの主題は、他のクレームの1つ又は複数の主題と組み合わせることができる。主題のこの組み合わせにおいて、任意の1つの方法クレームの主題は、他の方法クレームの1つ若しくは複数の主題、又は組成物クレームの1つ若しくは複数の主題、又は方法クレーム及び組成物クレームの1つ若しくは複数の混合の主題と組み合わせることができる。類推により、任意の1つの組成物クレームの主題は、他の組成物クレームの1つ若しくは複数の主題、又は方法クレームの1つ若しくは複数の主題、又は方法クレーム及びシステムクレームの1つ若しくは複数の混合の主題と組み合わせることができる。
当業者は、本発明の様々な実施形態の主題の組み合わせが、そのような組み合わせが技術的に実行可能な程度にまで本発明を限定することなしでもまた可能であることを理解するであろう。
本発明を、本発明の様々な実施形態及び図を参照して、以下により詳細に説明する。概略図は以下の通りである。
閉環オリゴマー化工程におけるモノマー成分C又はDの反応から、構造Yの、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを合成するための反応スキームを示す図である。 閉環オリゴマー化工程におけるモノマー成分C又はDの反応から、構造Yの、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを合成するための反応スキームを示す図である。 閉環オリゴマー化工程における特定のモノマー成分C’又はD’の反応から、PEF生成に有用であり、フラン単位を有し、構造Y’の、特定の環状ポリエステルオリゴマーを合成するための反応スキームを示す図である。 閉環オリゴマー化工程における特定のモノマー成分C”又はD”の反応から、PBF生成に有用であり、フラン単位を有し、構造Y”の、特定の環状ポリエステルオリゴマーを合成するための反応スキームを示す図である。 PEFを生成するための例1の環状ポリエステルオリゴマー組成物(Y’の実施形態):a)H NMRスペクトル(300MHz、CDCl、25℃)、b)13C NMRスペクトル(75MHz、CDCl、25℃)を示す図である。 例1のY’の実施形態に関してFT−IRスペクトルを示す図である。 例1のY’の実施形態に関するGPCトレース(m=2、3);明瞭にするために減算した溶媒(THF)信号を示す図である。 例1のY’の実施形態に関するHPLCトレース(m=2、3)を示す図である。 PBFを生成するための例2の環状ポリエステルオリゴマー組成物(Y”の実施形態):a)H NMRスペクトル(300MHz、CDCl、25℃)、b)13C NMRスペクトル(75MHz、CDCl、25℃)を示す図である。 例2のY”の実施形態に関してFT−IRスペクトルを示す図である。 例2のY”の実施形態に関するGPCトレース(m=2、3);明瞭にするために減算した溶媒(THF)信号を示す図である。 例2のY”の実施形態のHPLCトレース(m=2、3)を示す図である。
請求項に記載された本発明は、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製する方法であって、環状ポリエステルオリゴマーが構造Y又はYを有する上記方法に関する。

(式中、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)

(式中、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、n’は1から20、好ましくは2から10の整数であり、mは、Yに関して上で定義されている通りの整数である)
本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物は、具体的に限定されず、フラン単位を有し、構造Y又はYを含むポリエステルポリマーに添加し、他の成分も含み得る。例えば、環状ポリエステルオリゴマー組成物は、少量の、1つ又は複数の未反応及び/又は未除去の反応成分、例えば環状ポリエステルオリゴマーの調製に使用されるモノマー成分(未反応のジアシッド、ジオール又はアシドール試薬)、触媒、鋳型剤、塩基、触媒クエンチ剤、溶媒をさらに含み得る。環状ポリエステルオリゴマー中のこれらの不純物の量は、環状ポリエステルオリゴマーの総重量に基づいて、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、より一層好ましくは3重量%未満、及び最も好ましくは1重量%未満であろう。
さらに、環状ポリエステルオリゴマー組成物は、反応成分の1つに異物(contaminant)として導入される、又は、閉環オリゴマー化工程若しくは任意の追加工程、例えば後続の脱揮工程中における副反応のために形成される、少量の不純物をさらに含み得る。そのような不純物の例は、フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種である。最終的に、環状ポリエステルオリゴマー組成物は、追加の成分、例えば、生成中に、又は使用する前に添加される典型的なモノマー添加剤(例として酸化、熱劣化、光又はUV照射に対する安定剤)をさらに含み得る。当業者は、様々なモノマーの好ましい性質を組み合わせるために、他のモノマーとのブレンドも本発明の範囲内にあるものとして検討されることを理解するであろう。
本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物の利点の1つは、ポリエステルを調製する、例えばジアシッド及びジオール又はアシドールモノマーを直接反応させる従来技術の原料とは対照的に、本発明の組成物は、そのようなジアシッド、ジオール、又はアシドールモノマーの残渣をほとんど、又はまったく含有しないであろうということである。したがって、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物は、後続の重合処理中にきわめて少量の低分子量揮発性副産物しか形成しないことに特徴づけられる、高い反応性及び好ましい平衡を有する。
一実施形態において、環状ポリエステルオリゴマー組成物中のジアシッド、ジオール又はアシドールモノマーの含有量は、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは1重量%未満である。本出願において、ジアシッド、ジオール又はアシドールモノマーの含有量は、可溶性種の抽出、続いてGC−MS分析により測定したそれらの含有量を指す。
図1に示されているように、フラン単位を有する構造Yの環状ポリエステルオリゴマーを含む環状オリゴマー組成物を調製するための本発明の方法は、(I)構造Yの、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件下にて、閉環オリゴマー化工程において、任意の触媒及び/又は任意の有機塩基の存在下でモノマー成分C又はDを反応させる工程であって、モノマー成分Cが、構造

(式中、基Aのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、lは1から100、好ましくは2から50、最も好ましくは3から25の整数であり、
=OH、OR、ハロゲン又はO−A−OHであり
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり
=H又は

である)
を含み、モノマー成分Dが、構造

(式中、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、基Xのそれぞれは、OH、ハロゲン、又は場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ若しくはアリールオキシであり、Aがn−ブチルである場合、基XがOHではない)
を含む上記工程を含む。
図2に示されているように、フラン単位を有する構造Yの環状ポリエステルオリゴマーを含む環状オリゴマー組成物を調製するための本発明の方法は、(II)構造Yの、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件下にて、閉環オリゴマー化工程において、任意の触媒及び/又は任意の有機塩基の存在下でモノマー成分C又はDを反応させる工程であって、モノマー成分Cが、構造

(式中、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、lは上で定義されている通りの整数であり、n’は1から20、好ましくは2から10の整数であり
=OH、OR、ハロゲン又はO−(B−O)n’−Hであり、
R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
=H又は

である)
を含み、モノマー成分Dが、構造

(式中、基Xのそれぞれは、OH、ハロゲン、又は場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ若しくはアリールオキシであり、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、n’はYに関して既に定義されている整数である)
を含む上記工程を含む。
(I)又は(II)後の工程(III)において、フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種は、環状オリゴマー組成物から分離及び除去される。
図3は、閉環オリゴマー化工程における、特定のモノマー成分C’又はD’の反応から、PEF生成に有用であり、フラン単位を有する、構造Y’の特定の環状ポリエステルオリゴマーを合成するための反応スキームを示し、図4は、閉環オリゴマー化工程における、特定のモノマー成分C”又はD”の反応から、PBF生成に有用であり、フラン単位を有する、構造Y”の特定の環状ポリエステルオリゴマーを合成するための反応スキームを示し、両方の図の例で、l、m及びnは既に定義されている通りである。
閉環オリゴマー化方法及び環状オリゴマーの使用は、当技術分野で周知であり、例えば、「環状ポリマー(Cyclic Polymers)(第2版)」、J.A.Semlyen編、2000年、Kluwer(Springer)刊、Dordrecht(ISBN−13:9780412830907)、又は「開環重合:反応速度、機構及び合成(Ring−Opening Polymerization:Kinetics,Mechanisms,and Synthesis)」、ACS Symposium Series 286、J.E.McGrath著、1985年、ACS刊(ISBN−13:978−0894645464)、又は「大員環:構造、化学及びナノテクノロジー応用(Macrocycles:Construction,Chemistry and Nanotechnology Applications)」、F.Davis及びS.Higson著、2011年、Wiley刊、Chichester(ISBN:978−0−470−71462−1)に開示されている。
具体的に指示がない限り、従来の閉環オリゴマー化方法、並びにそれらの様々な試薬、作動パラメータ及び条件は、本発明の方法において、構造Y、Y、Y’又はY”を有する環状ポリエステルオリゴマーを調製する際に使用できる。
閉環オリゴマー化工程における、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件は、具体的に限定されない。本明細書では、十分という語は、反応温度及び時間が閉環反応を発生させるために十分であり、請求項に記載されたmの値を有するオリゴマーがモノマー成分から生成されることを意味する。当業者は、適切な特定の反応温度及び反応時間は、反応温度と反応時間の間の相互の影響のために幾分変化し得ることを理解するであろう。
例えば、反応温度の上昇により、短時間で反応を起こすことができ、又は反応時間の増加により、より低い反応温度を使用できる。より低い分子量の環状ポリエステルオリゴマーが生成されることになる場合、及び/又はモノマー成分のオリゴマーへのより低度な変換が許容され得る場合は、より低い反応温度及び/又はより短い反応時間が、適切になり得る。或いは、より高い分子量の環状ポリエステルオリゴマーが生成されることになる場合、及び/又はモノマー成分のより高度な変換が望ましい場合、より高い反応温度及び/又はより長い反応時間が、適切になり得る。
さらに、より効果的な触媒若しくは塩基、又はより高濃度の触媒若しくは有機塩基の使用により、より温和な反応条件(例えば、より低い反応温度及びより短い反応時間)を使用できる。反対に、不純物、特に触媒をクエンチする、又は鎖を妨害する(chain−stopping)不純物が存在すると、より強力な反応条件を必要とすることがある。
一実施形態において、反応温度は100から350、好ましくは150から300、最も好ましくは180から280℃であり、反応時間は30から600、好ましくは40から400、最も好ましくは50から300分である。ある特定の実施形態において、これらの開示範囲の任意の組み合わせによって得られる、様々な特定の温度及び時間範囲の組み合わせが使用され得る。より好ましい実施形態において、これらの温度及び/又は時間範囲は、モノマー成分C又はCと共に、閉環オリゴマー化工程に使用される。
別の実施形態において、反応温度は−10から150、好ましくは−5から100、最も好ましくは0から80℃であり、反応時間は5から240、好ましくは10から180、最も好ましくは15から120分である。ある特定の実施形態において、これらの開示範囲の任意の組み合わせによって得られる、様々な特定の温度及び時間範囲の組み合わせが使用され得る。より好ましい実施形態において、これらの温度及び/又は時間範囲は、モノマー成分D又はDと共に、閉環オリゴマー化工程に使用される。
本発明の実施において、閉環オリゴマー化を触媒して環状ポリエステルオリゴマーを形成できるいかなる触媒も使用され得る。本発明における使用に適切な触媒は、環状エステルの重合用に当技術分野で公知のもの、例えば無機塩基、好ましくは金属アルコキシド、金属カルボキシラート、又はルイス酸触媒である。ルイス酸触媒は、1を超える安定な酸化状態を有する金属イオンを含む金属配位化合物であってもよい。この種類の触媒のうち、スズ−又は亜鉛を含有する化合物が好ましく、それらのうちアルコキシド及びカルボキシラートがより好ましく、スズオクタアートが最も好ましい触媒である。
閉環オリゴマー化工程は、好ましくは、任意の有機塩基の存在下で行われる。有機塩基は具体的に限定されず、無機又は有機塩基であってよい。一実施形態において、有機塩基は一般構造Eを有し、他の実施形態では、アルキルアミン、例えばトリエチルアミン又はピリジンである。さらに他の実施形態において、有機塩基はE及びアルキルアミンの組み合わせである。本出願において、「触媒」は、無機又は金属含有化合物、例えば有機金属種又は金属塩を指し;一方、「有機塩基」は、非金属及び有機塩基種を指す。
触媒及び塩基の特定の組み合わせは、特に効果的であることがあり、それらの使用が好ましい。好ましい一実施形態において、触媒はスズ、亜鉛、チタン若しくはアルミニウムアルコキシド又はカルボキシラートであり、有機塩基はDABCO(CAS No.280−57−9)又はDBU(CAS No.83329−50−4)であって、好ましくはトリエチルアミンを伴う。モノマー成分は、触媒及び/又は有機塩基と混合される場合、固相であることがある。しかし、溶媒を使用してモノマー成分を溶融相又は液相とし、次いでその後、触媒及び/又は有機塩基を添加することが好ましい。
本発明の方法における触媒及び/又は有機塩基の量は、具体的に限定されない。一般に、触媒及び/又は有機塩基の量は、選択した反応温度及び時間に対して閉環オリゴマー化工程を発生させるために十分なので、請求項に記載されたlの値を有するオリゴマーは、モノマー成分から生成される。一実施形態において、触媒及び/又は有機塩基が存在し、触媒は、モノマー成分の総重量に対して、1ppmから1重量%、好ましくは10から1,000ppm、より好ましくは50から500ppmの量で存在し、有機塩基は、方法において反応体として使用される全モノマー成分種1molに対して0.5から6、好ましくは1から4、より好ましくは2から3molの化学量論比で存在する。触媒及び有機塩基の濃度は、モノマー成分の質量又は質量流量に対する、これらの試薬の使用される質量又は質量流量により容易に測定できる。
本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製する方法は、具体的に限定されず、バッチ式、半連続式又は連続式で実施され得る。本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製するために適しているオリゴマー化の方法は、2つの群(溶媒の存在下での溶液オリゴマー化、又は溶媒を実質的に伴わないオリゴマー化、例えば、モノマー成分及びオリゴマー種の溶融温度を上回る温度で実行される溶融オリゴマー化)に分けることができる。
本発明のオリゴマー化方法の実行に適している装置は、具体的に限定されない。例えば、バッチ反応器、撹拌槽型反応器、プラグ流反応器、静的混合器、撹拌槽型反応器のカスケード、及び連続流撹拌槽型反応器がすべて使用できる。
環状ポリエステルオリゴマー組成物中に、相当量の未反応のモノマー成分、直鎖状オリゴマー又は他の低分子量種が存在すると、オリゴマー組成物の貯蔵安定性及び/又は重合処理挙動に有害な影響を与え得るので、環状ポリエステルオリゴマー組成物に、直鎖状オリゴマーポリエステル種、並びに場合により他の不純物が除去される工程を施す。
フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種、並びに場合により他の不純物を、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物から分離及び除去する工程は、具体的に限定されない。他の不純物の例は、未反応の出発原料、例えばジアシッド若しくはジオール、又は残留した試薬、例えば塩基若しくはその残渣(例えばアミン残渣)であることがある。分離及び精製方法は、例えば、「実験用化学物質の精製(Purification of Laboratory Chemicals)」、第6版、W.E.Armarego及びC.L.L.Chai著、2009年、Elsevier刊、Oxford(ISBN−13:978−1856175678)並びに「分子の世界、分離、精製及び同定(The Molecular World,Separation,Purification and Identification)」L.E.Smart著、2002年、the Royal Society of Chemistry刊、Cambridge(ISBN:978−1−84755−783−4)に開示されているように当技術分野で周知である。
具体的に指示がない限り、従来の分離及び精製プロセス、並びにそれらの様々な装置、作動パラメータ及び条件は、本発明の方法において、構造Y、Y、Y’又はY”の環状ポリエステルオリゴマー、及びそれらの組成物を調製する際に使用できる。
一実施形態において、直鎖状オリゴマー種及び場合により他の不純物が除去される分離工程は、環状オリゴマー組成物である移動相の固定相通過、選択的沈殿、蒸留、抽出、結晶化又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数の分離サブ工程を含む。
分離工程後に得られる環状ポリエステルオリゴマー組成物である生成物において、フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種は、一般的に、環状ポリエステルオリゴマー組成物の総重量に対して5重量%未満の量、より具体的には3重量%未満の量、さらに、より具体的には1重量%未満の量で存在する。本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物における、フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種の含有量は、従来の方法により容易に測定できる。例えば、直鎖状オリゴマー種の含有量は、エレクトロスプレー質量分析、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析、質量スペクトロノミーと合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、及びゲル濾過クロマトグラフィーにより測定できる。本出願及び発明において、フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種の濃度は、HPLCにより測定された濃度を指す。
組成物の好ましい実施形態において、環状ポリエステルオリゴマー組成物中の残留モノマー成分、例えばC、D、C又はDの含有量は、組成物の総重量に基づいて5重量パーセント未満、好ましくは3重量パーセント、及び最も好ましくは1重量パーセントである。そのような残留モノマー成分の含有量は、組成物のFTIR又はNMRスペクトル分析により測定できる。或いは、含有量は、クロマトグラフ法、例えばHPLC又はGCにより測定できる。本出願及び発明において、残留モノマー成分の濃度は、HPLCにより測定された濃度を指す。
除去後、環状ポリエステルオリゴマー組成物に第2の作業、例えばコンパウンディング、ブレンド、ペレット化、フレーキング又はこれらの作業の様々な組み合わせを施すことができる。
本発明は、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状ポリエステルオリゴマー組成物であって、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造がY又はYであり、ポリエステルポリマー組成物が上記の方法により得られるポリエステルポリマー組成物に関する。前記環状ポリエステルオリゴマー組成物は、組成物が、組成物の総重量に対して5重量%未満、好ましくは3重量%、最も好ましくは1重量%のフラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種を含有することを特徴とする。そのようなオリゴマー組成物は、現在の重合用途により提示されるほとんどの要求に応えることができる。
別の好ましい実施形態において、組成物は、ハロゲン化不純物、好ましくは酸塩化物及び/又はその残渣を含む。オリゴマー中のハロゲン化不純物の検出方法は周知であり、燃焼イオンクロマトグラフィー(IC)、光学原子分光法及びX線蛍光分析(XRF)を含む。しかし、ハロゲン化種は、腐食性であることがあるので、後続の重合プラントに、特殊で高価な建設材料を必要とする。したがって、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物中のそれらの含有量は、例えば後続の分離及び除去工程中に除去することにより、好ましくは低く保たれるであろう。
環状ポリエステルオリゴマー組成物の好ましい実施形態において、フラン単位を有する特定の環状ポリエステルオリゴマーは、構造Y’又はY”の一方であり、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である。
本発明のさらに別の態様は、(i)フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状オリゴマー組成物を調製するための本発明の方法、と共に(ii)ポリエステルポリマーを生成する後続の重合工程とを含む、ポリエステルポリマーを生成する方法である。この態様に関連するのは、ポリエステルポリマーの生成における、本発明の環状ポリエステルオリゴマー組成物の使用の態様である。この方法又は使用の好ましい実施形態は、ポリエステルポリマーがPEFポリマー又はPBFポリマーの実施形態である。
以下の例は、本特許請求の範囲に記載された方法、ポリエステルポリマー組成物、及び使用がどのように評価されるかについて詳細な説明を当業者に示すために明記されており、それらは、本発明者らが、自分たちの発明とみなすものの範囲を限定することを意図していない。
これらの例において、以下の特性決定方法及びパラメータを、本例で調製した環状ポリエステルオリゴマー組成物の特性決定に使用した。
GPC
THFを0.5mL/分の流量で溶媒として使用するAgilent Oligopore、7.5×300mmカラム(インジェクションサイズ20μL、温度30℃で作動させる)を備えたAgilent1100SeriesGPCを使用した。UV検出器を280nmで使用して検出を行った。
FT−IR
Nicolet Nexus870ESPを使用し、8cm−1の刻み幅で100回スキャンを行った。
H NMR
周波数300MHzで作動させ、CDClを溶媒として使用したBruker AV300という分光計で測定を行った。
13C NMR
周波数75MHzで作動させ、CDClを溶媒として使用したVarian Mercury300という分光計で測定を行った。
HPLC
Agilent Eclipse XDB−C18、5m、4.6×150mmカラムを備えたAgilent1200SeriesHPLCを使用した。溶媒混合物を、緩衝液:(A)MQ水(1リットル当たり1mLのH3PO4(85%)を用いて安定化させた)、及び(B)THF/水(体積で9:1)(1リットル当たり1mLのH3PO4(85%)を用いて安定化させた)で構成し、方法は、25分にわたりBを40%から80%、続いて80%で10分、40%で10分に変化させて、カラムを再平衡させることとした。流量は1mL/分、インジェクションサイズは10μL、温度は30℃であり、280nmでUV検出を実行した。
MALDI−TOF
マトリックスはT−2−[3−(4−t−ブチル−フェニル)−2−メチル−2−プロペニリデン]マロノニトリル(DCTB)+Naミックス10:1であり、機器の種類は、Bruker Daltonics Ultraflex IIであり、収集モードはリフレクタであった。
(例1)
PEFを生成するための環状ポリエステルオリゴマー組成物(Y’の実施形態)
この例では、図3に示されている環状ポリエステルオリゴマーの調製が記載されており、次いでこれは、PEF、すなわちポリ(2,5−エチレンフランジカルボキシラート)の調製に使用され得る。テトラヒドロフラン(1mL)中のフラン−2,5−ジカルボニルジクロリド(102mg、5.3×10−4mol)の溶液、及びテトラヒドロフラン(1mL)中のエチレングリコール(31mg、5.0×10−4mol)の溶液を、CHCl中の1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)(140mg、1.3×10−3mol)の溶液に0℃で30分間にわたり添加し、化学量論比を常に1.05:1に維持した。混合物を窒素雰囲気下で保持し、撹拌を0℃で60分間続けた。最後にフラン−2,5−ジカルボニルジクロリドのごく一部(5mg、2.6×10−5mol)を添加し、撹拌を10分間続けた。1:1のHO/NaOH混合物(12μL)を添加することにより、反応をクエンチした。濾過により直鎖種を部分的に除去した。1MのHCl及びHOを用いて有機相を洗浄し、濾過し、乾燥するまで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO;CHCl/EtO 9:1)により、PEF環式化合物の精製した混合物を得た。図6は、PEF環式化合物(Y’)の精製した混合物の典型的なIR−スペクトルを示し;図7及び8は、Y’の実施形態の代表的なGPC及びHPLCトレース(mが主に2及び3に等しい)をそれぞれ特徴づける。
(例2)
PBFを生成するための環状ポリエステルオリゴマー組成物(Y”の実施形態)
この例では、図4に示されている環状ポリエステルオリゴマーの調製が記載されており、次いでこれは、PBF、すなわちポリ(2,5−ブチレンフランジカルボキシラート)の調製に使用され得る。テトラヒドロフラン(1mL)中のフラン−2,5−ジカルボニルジクロリド(102mg、5.3×10−4mol)の溶液、及びテトラヒドロフラン(1mL)中のブチレングリコール(45mg、5.0×10−4mol)の溶液を、CHCl中の1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)(140mg、1.3×10−3mol)の溶液に、0℃で30分間にわたり添加し、化学量論比を常に1.05:1に維持した。混合物を窒素雰囲気下で保持し、撹拌を0℃で60分間続けた。最後に、フラン−2,5−ジカルボニルジクロリドのごく一部(5mg、2.6×10−5mol)を添加し、撹拌を10分間続けた。1:1のHO/NaOH混合物(12μL)を添加することにより、反応をクエンチした。濾過により直鎖オリゴマー種を部分的に除去した。1MのHCl及びHOを用いて有機相を洗浄し、濾過し、乾燥するまで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO;CHCl/EtO 9:1)により、PBF環式化合物の精製した混合物を得た。図10は、PBF環式化合物(Y”)の精製した混合物の典型的なIR−スペクトルを示し;図11及び12は、Y”の実施形態の代表的なGPC及びHPLCトレース(mが主に2及び3に等しい)をそれぞれ特徴づける。
(例3)
PEFを生成するための環状ポリエステルオリゴマー組成物(Y’の実施形態)
この例では、図3に示されている環状ポリエステルオリゴマーの調製が記載されており、次いでこれは、PEF、すなわちポリ(2,5−エチレンフランジカルボキシラート)の調製に使用され得る。
1−メチルナフタレン(20mL)中のヒドロキシ末端ポリエステルオリゴマー(200mg)の溶液に酢酸亜鉛(6mg)を添加した。溶液を230℃に24時間加熱した。次いで、反応を130℃に冷却し、溶媒を真空下で除去した。100mLのヘキサンを混合物に添加し、粗生成物の沈殿を誘導した。デカンテーションにより溶媒混合物を除去した。ヘキサン(2×60mL)を用いて、沈殿物を繰り返し洗浄し、真空濾過により回収した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO;CHCl/MeOH 97:3)により、PEF環式化合物の精製した混合物を得た。MALDI−TOF MSにより、単離した生成物の環式化合物の性質を確認した。
ヒドロキシ末端ポリエステルオリゴマーを、以下のように都合よく調製した:フランジカルボン酸(FDCA)(800mg、5.12 5.0×10−3mol)を、電磁攪拌機、窒素注入口並びに冷却器及びレシーバーフラスコにつなげた蒸留ヘッドを備えた5−mLのガラス反応器中にて過量のエチレングリコール(3mL、8.97 5.0×10−2mol)と反応させた。反応器を190℃に加熱し、窒素下で温度を220℃に徐々に上昇させつつ、過量のジオールを蒸留して取り除いた。1.5時間後に2.5mLの未使用の(fresh)ジオールを添加し、もう1.5時間反応を続け、過量のジオールを蒸留して取り除いた。反応を190℃に確かに冷却し、真空にし、反応器に封をした。反応をこの温度で2時間続けた。最後に、1mgのTi(OBu)を添加し、真空中にて220℃で3時間反応を続けた。乾燥するまでの濃縮により反応をクエンチした。クロロホルムを用いてポリエステルオリゴマーを洗浄して、触媒トレースを除去した。次に、これらをヘキサン中で懸濁し、真空濾過により回収し、さらなる精製をせずに以下の閉環反応に使用した。
様々な実施形態を例示の目的で記載してきたが、上記の説明は、本明細書の範囲を限定するものではない。したがって、当業者であれば、本明細書の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正形態、適応形態及び代替形態を思い浮かべることができる。

Claims (18)

  1. フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状ポリエステルオリゴマー組成物を調製する方法であって、以下の工程を含む方法。
    − (I)構造Yの、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件下にて、閉環オリゴマー化工程において、任意の触媒及び/又は任意の有機塩基の存在下でモノマー成分C又はDを反応させる工程であって、
    モノマー成分Cが、構造

    (式中、基Aのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、lは1から100、好ましくは2から50、最も好ましくは3から25の整数であり
    =OH、OR、ハロゲン又はO−A−OHであり、
    R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
    =H又は

    である)
    を含み、
    モノマー成分Dが、構造

    (式中、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、基Xのそれぞれは、OH、ハロゲン、又は場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ若しくはアリールオキシであり、Aがn−ブチルである場合は基XがOHではない)
    を含み、
    フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造Y

    (式中、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
    である上記(I)の工程、
    又は
    (II)構造Yの、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを得るために十分な反応温度及び反応時間の条件下にて、閉環オリゴマー化工程において、任意の触媒及び/又は任意の有機塩基の存在下でモノマー成分C若しくはDを反応させる工程であって、
    モノマー成分Cが、構造

    (式中、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、lは上で定義されている通りの整数であり、n’は1から20、好ましくは2から10の整数であり、
    =OH、OR、ハロゲン又はO−(B−O)n’−Hであり、
    R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
    =H又は

    である)
    を含み、
    モノマー成分Dが、構造

    (式中、基Xのそれぞれは、OH、ハロゲン、又は場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ若しくはアリールオキシであり、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、n’は上で定義されている通りの整数である)、
    を含み、
    フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造Y

    (式中、基Bのそれぞれは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、n’は上で定義されている通りの整数であり、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
    である上記(II)の工程、のうちのいずれかの工程、
    並びに
    − フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種を、環状オリゴマー組成物から分離及び除去する、後続の工程(III)。
  2. 請求項1に記載の方法であって、以下のいずれかである方法。
    (I)− モノマー成分がCであり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキルであり、lは3から25の整数であり、mは3から10の整数であり、
    又は
    − モノマー成分がDであり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキルであり、Xはハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ若しくはフェノキシであり、mは本請求項で既に定義されている通りであり、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造がYの構造であり、
    又は
    (II)− モノマー成分がCであり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキルであり、l及びmは上で定義されている整数であり、n’は2から10の整数であり、
    又は
    − モノマー成分がDであり、式中XはOH、ハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ、若しくはアリールオキシであり、Bは場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、又はフェニルであり、n’及びmは本請求項において既に定義されている整数であり、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造がYの構造である。
  3. 請求項1又は2に記載の方法であって、以下のいずれかである方法。
    − モノマー成分がCであり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状CからCアルキルであり、lは3から25の整数であり、mは3から10の整数であり、
    − モノマー成分がDであり、Aは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状CからCアルキルであり、Xはハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ若しくはフェノキシであり、mは上で定義されている通りの整数であり、
    − モノマー成分がCであり、式中Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状CからCアルキルであり、l及びmは上で定義されている整数であり、n’は2から10の整数であり、
    又は
    − モノマー成分がD、Xはハロゲン、若しくは場合により置換されているアルキルオキシ、フェノキシ若しくはアリールオキシであり、Bは、場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状CからCアルキル若しくはフェニルであり、n’及びmは請求項2で定義された整数である。
  4. モノマー成分がC若しくはCであり、反応温度が100から350、好ましくは150から300、最も好ましくは180から280℃であり、反応時間が30から600、好ましくは40から400、最も好ましくは50から300分であるか、
    又は
    モノマー成分がD若しくはDであり、反応温度が−10から150、好ましくは−5から100、最も好ましくは0から80℃であり、反応時間が5から240、好ましくは10から180、最も好ましくは15から120分である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. モノマー成分Cが、特定の構造

    を含み、又はモノマー成分Dが、特定の構造

    を含み、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造Yが、特定の構造Y

    であり、式中、
    =OH、OR、ハロゲン又はO−CHCH−OHであり、
    R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
    =H又は

    であり、
    X、l及びmが、請求項1から4(単数又は複数)に示した通りに定義される、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. モノマー成分Cが、特定の構造C

    を含み、又はモノマー成分Dが、特定の構造D

    を含み、フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーの構造Yが、特定の構造Y

    であり、
    =OH、OR、ハロゲン又はO−CHCHCHCH−OHであり、
    R=場合により置換されている直鎖、分岐若しくは環状アルキル、フェニル、アリール又はアルキルアリールであり、
    =H又は

    であり、
    X、l及びmが、請求項1から4(単数又は複数)に示した通りに定義される、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 任意の有機塩基Eが存在し、有機塩基Eが、モノアミン化合物、又は構造

    (式中、基RからR12のそれぞれは、水素、場合により置換されているアルキル、フェニル、アリール又はアルカリルであり、基RからR12のそれぞれは、場合により、任意の環状有機塩基Eにおいて、環式置換基の一部としての単結合又は二重結合基で共に結合できる)
    を有する化合物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 任意の有機塩基Eが存在し、有機塩基Eが
    (i)構造

    を有するDABCO、
    又は
    (ii)構造

    を有するDBU、
    のいずれかであり、DABCO又はDBUが、場合によりアルキルアミン、より好ましくはトリエチルアミンと共に使用される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 任意の触媒が存在しない、又は存在し、触媒が、金属アルコキシド若しくは金属カルボキシラートであり、好ましくはスズ、亜鉛、チタン若しくはアルミニウムの1つである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 任意の有機塩基Eが、本方法において反応体として使用される全モノマー成分種1molに対して0.5から6、好ましくは1から4、より好ましくは2から3molの化学量論比で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種を環状オリゴマー組成物から分離及び除去する工程(III)が、環状オリゴマー組成物である移動相の固定相通過、選択的沈殿、蒸留、抽出、結晶化又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数の分離サブ工程を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の方法により得られる環状ポリエステルオリゴマー組成物であって、組成物の総重量に対して、5重量%未満、好ましくは3重量%、最も好ましくは1重量%の、フラン単位を有する直鎖状オリゴマーポリエステル種を含有する、上記環状ポリエステルオリゴマー組成物。
  13. ハロゲン化不純物、好ましくは酸塩化物及び/又はその残渣を含有する、請求項12に記載の環状ポリエステルオリゴマー組成物。
  14. 構造Y

    (式中、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
    のフラン単位を有する特定の環状ポリエステルオリゴマーを含む、請求項12又は13に記載の環状ポリエステルオリゴマー組成物。
  15. 構造Y

    (式中、mは1から20、好ましくは2から15、最も好ましくは3から10の整数である)
    のフラン単位を有する特定の環状ポリエステルオリゴマーを含む、請求項12又は13に記載の環状ポリエステルオリゴマー組成物。
  16. ポリエステルポリマーを生成する方法であって、(i)フラン単位を有する環状ポリエステルオリゴマーを含む環状オリゴマー組成物を調製するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法、と共に(ii)ポリエステルポリマーを生成するための後続の重合工程、とを含む上記方法。
  17. ポリエステルポリマーの生成における、請求項12から15のいずれか一項に記載の環状ポリエステルオリゴマー組成物の使用。
  18. ポリエステルポリマーが、(i)構造

    を含むPEFポリマー、
    又は
    (ii)構造

    を含むPBFポリマーであり、
    式中、nは10から100,000、好ましくは100から10,000の整数である、
    請求項16に記載の方法又は請求項17に記載の使用。
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