JP2016504910A - チロシナーゼの酵素活性を阻害するアプタマー - Google Patents

チロシナーゼの酵素活性を阻害するアプタマー Download PDF

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Abstract

本発明は、チロシンからL-ドーパ及びドーパキノンへの転換に関するチロシナーゼの酵素活性を阻害することができるDNAアプタマー、並びにその皮膚科学的及び化粧用の使用に関する。

Description

本発明は、色素脱失する又は明色化する皮膚化粧用(dermocosmetic)及び皮膚科学的適用の分野に関する。
ヒトにおいて、色素沈着は、皮膚、毛包又は眼におけるメラニン色素の合成及び分布によって生じる。色素沈着は、一般的に既に定義されている。色素沈着を制御する遺伝子は、直接的に色素細胞に作用するか、又は間接的に色素細胞の環境、特にケラチノサイトに作用する。
色素細胞に作用する多数の遺伝子が同定され、特徴づけられており、その産物は、メラノソーム構造タンパク質であるメラニンの合成を制御するか、又はメラノソーム生合成及び輸送を制御するタンパク質である。
メラニン形成を刺激する外来性因子の中で、紫外線が第1位に位置する。例えば、汚染によって惹起されるもの等の炎症及び酸化ストレスは、メラニン合成を刺激する。これらのストレスは、メラノサイトに直接的に作用すると共に、ケラチノサイトを活性化してケラチノサイトがサイトカイン又はホルモン等の因子を放出することによって間接的にも作用する。インターロイキン、α-MSH、エンドセリン1及びプロスタグランジンE2等のこれらの因子は、メラニン合成につながる一連の反応を惹起する。真皮-表皮接合部の障害と関連しているこれらの頻回の刺激は、例えば、そばかす、黒皮症又は黒子として現れる不均一な皮膚色素沈着の形成を引き起こす。
皮膚における過剰なメラニンによって引き起こされる色素沈着過剰は、内因性因子(内分泌性、代謝性又は遺伝的因子等)又は外因性因子(光感作性、物理的、化学的又は炎症性作因等)に起因し、これらの因子は時には密接に関連し、特定が困難である。大抵の色素沈着過剰は、メラニン過剰産生につながるメラノサイト活動過剰によって生じる。これらの色素沈着過剰は、顔又は手に発生し、より暗い若しくはより濃く着色された領域又はシミとして現れて皮膚に不均一な色素沈着を与える。
全てのメラニン色素は、アミノ酸チロシンと、遊離又はチロシナーゼ/チロシン関連タンパク質1複合体の形をとり得る鍵酵素チロシナーゼとが関与する共通の合成経路に由来する。チロシナーゼは、チロシンをドーパに、次いでドーパキノンに変換する。ドーパキノンから、2つの経路が想定されており、一方はフェオメラニンに通じ、他方はユーメラニンに通じる。ユーメラニン経路において、ドーパキノンは、ドーパクロムの形成に通じる。ドーパクロムは、ジヒドロキシインドール又はジヒドロキシインドールカルボキシル(dihydroxyindolecarboxyl)の形成を介して、ユーメラニンの形成に通じる。チロシナーゼは、単独で又はチロシナーゼ関連タンパク質1との複合体としてこのシークエンスの幾つかの反応を触媒することによって、メラニンの形成につながるこの反応シークエンスにおける鍵酵素である。
したがって、色素沈着過剰を予防し、メラニン形成を阻害するために、皮膚におけるチロシナーゼ活性を阻害又は除去することが重要である。
メラノサイトは、チロシナーゼを発現する。そのため、特異的なチロシナーゼ阻害剤を開発することが想定されている。
皮膚色素沈着を調節する天然又は合成の化合物は、以下の数種の機構を介して作用することができる:
- ケラチノサイトによるメラノサイトの刺激を遮断することによって、又は
- 所与のポイントでメラニン合成経路を遮断することによって、又は
- メラノソームの移動を遮断することによって、又は
- メラノサイトの数を減らすことによって。
これらの作用機構の中で、色素脱失剤は、チロシナーゼの酵素活性の阻害剤であり得る。
皮膚色素沈着を調節し、チロシナーゼの酵素活性を阻害するために使用された最初の活性薬剤は、水銀塩、塩化第二水銀、塩化アミン水銀(mercury amine chloride)であった。水銀は、銅と競合して、チロシナーゼ活性を阻害し、メラニン合成の最初の2つの局面を抑制する。しかしながら、水銀は毒性が高い物質である。ヒドロキノン、ヒドロキノンエーテル又は誘導体が提案されている。それは、チロシナーゼの競合的な阻害によって作用する。しかしながら、それは、ミトコンドリアの変化、及び刺激又はアレルギー等の副作用を誘発する。これらの物質の毒物学的研究により、皮膚癌及び精子形成の阻害のリスクが示されている。
効果的で無害な色素脱失物質の局所的な使用は、化粧品及び皮膚科学の分野で強く求められている。これらの物質は、特に、特発性黒皮症等のメラノサイト活動過多による局所的色素沈着過剰、日光黒子及び老人性色素斑として知られている色素沈着シミ等のメラノサイト活動過多による局在的色素沈着過剰、光線過敏又は病変後治癒等の偶発的色素沈着過剰だけでなく、白斑等の白斑症を処置するためにも使用される。後者の場合、皮膚を再着色する能力がないので、色素脱失領域の周辺の色素沈着は、減弱されてより均一の色を皮膚に与える。
色素脱失物質は、できるだけ明るい皮膚色を保つ又は紫外線の色素着色効果を減少させるために、肌の色、特に顔及び手を明色化するための皮膚漂白剤、特に上述した紫外線に高い反応性のあるものとしても使用される。
WO 91/19813
Williams KP、Bartel DP.「PCR product with strands of unequal length」、Nucleic Acids Res.、1995年10月25日;23(20):4220〜1頁 Zuker, M.、2003年、Nucleic Acids Res 31(13)、3406〜3415頁
本発明の目的は、従来技術の技法の上記の問題を解決し、チロシナーゼの酵素活性を阻害するのに特に有利な化粧用組成物を提供することである。
本発明は、化粧品として許容される非刺激性、無毒性及び/又は非アレルギー性媒体中で安定である、メラニン形成を阻害するための新規な局所的に効果的なチロシナーゼ阻害剤に関する。
本発明は、一方では、実質的に均一な色素沈着の場合、皮膚、頭髪又は体毛を漂白すること、すなわち、それらの色素沈着を減少させることを対象とし、他方では、すなわち皮膚の色素沈着が不均一な場合、皮膚色素沈着過剰を予防することを対象とする、メラニン形成プロセスに作用する新規な色素脱失剤にも関する。驚くべきことに、本発明者らは、チロシナーゼに特異的に結合し、チロシナーゼ活性を阻害する能力があるヌクレアーゼ抵抗性DNAアプタマーが、これらの基準を全て満たしたことを観察した。特に、それは、皮膚細胞に浸透することができる。
抗チロシナーゼアプタマーを単離するために、本発明者らは、ホスホジエステルオリゴヌクレオチド配列(天然のDNAと同じ組成物)の配列ライブラリーを使用した。チロシナーゼと特異的に相互作用することができる配列を同定し、単離し、特徴づけるための方向付けされた様式で、選択を行った。
次いで、これらのアプタマーを、チロシナーゼ活性を阻害するそれらの能力に関して試験した。
したがって、本発明の第1の目的は、好ましくはヌクレアーゼに抵抗性であり、チロシナーゼの酵素活性及びチロシンからL-ドーパ及びドーパキノンへの転換を阻害する能力があるDNAアプタマーに関する。
本発明の第2の目的は、チロシナーゼの酵素活性を阻害するための本発明によるアプタマーの使用に関する。
本発明の第3の目的は、活性薬剤として、チロシナーゼを阻害するのに十分な量で、本発明によるアプタマー及び1つ又は複数の薬学的に許容される添加剤を含む化粧用又は医薬組成物に関する。
本発明の第4の目的は、本発明によるアプタマーの化粧用の使用に関する。
本発明の第5の目的は、薬としての本発明によるアプタマーに関する。
本発明の第6の目的は、以下の工程:
- SELEX法により、DNAライブラリーにおいてチロシナーゼの触媒部位に対するアプタマーを選択する工程、
- 先行する工程において同定されたアプタマーのチロシナーゼの酵素活性を阻害する潜在性を評価する工程、
- このように選択されたアプタマーをクローニングし、配列決定する工程
を含む、本発明によるアプタマーを選択するための方法に関する。
アプタマーT10.1及びその切断されたバージョンの推定の二次構造を示す図である。 アプタマーT10.1-チロシナーゼ複合体のセンサーグラムである。 10ラウンドからの様々なアプタマーによるチロシナーゼ活性の調節の測定を示す図である。 産物(P)の出現と時間(t)の間の関係である、(P)=f(t)曲線を示す図である。
したがって、本発明の第1の目的は、チロシンをL-ドーパに転換するチロシナーゼタンパク質の酵素活性を阻害する能力がある、優先的にはヌクレアーゼに抵抗性のDNAアプタマーに関する。
「アプタマー」によって、タンパク質への高親和性を有するリガンド特異的DNA又はRNA分子を意味する。したがって、この意味は、「天然の」アプタマー及び化学修飾の類似体を含む。
アプタマーは、選択/増幅の交互によって選択され、これは、集団において最も「適当な」分子が選択されるというダーウィンの様式での集団の進化を方向付けることができ、したがって望ましい特徴を有するオリゴヌクレオチドに与えられた「アプタマー」という名称の起源は、選択に由来する。標準的な遺伝子工学技法(クローニング、配列決定、発現)により、これらのアプタマーを個々に同定し、次いでそれらを特徴づけてそれらを大量に作製することが容易になる。
アプタマーを、試験管内進化法(SELEX)として知られている最適化されたインビトロ選択プロトコールにより選択することができる(WO91/19813)。
SELEX法により、非常に高い親和性及び特異性のリガンドを大量に生み出すことが可能になる。この手法は、潜在的なリガンドのライブラリーへの標的分子の曝露に頼っている。脱離/選択サイクルのシステムは、標的分子と最も特異的に相互作用するリガンドの集団を濃縮することを可能にする。次いで、得られた最終集団を単離し、特徴づけ、その大規模な再合成が可能になる。
SELEX法は、アプタマーを選択するための一般的な技法として樹立されたが、それは、任意の標的に関して予測的でもなく標準化されてもいない。それどころか、SELEX法は、各特定の標的に関して最適化し、適合させなければならない。SELEX法は、全ての標的に関して保証されているわけではない。
アプタマーを選択する場合、幾つかの因子が重要である。例えば、標的分子は安定であり、各SELEXサイクルにおいて容易に再現可能でなければならない。なぜならSELEX法は、結合、選択及び増幅の幾つかのサイクルに関与するからである。加えて、標的への特異的な結合を示す核酸は、最初のライブラリーに存在していなければならない。したがって、高度に多様化された最初の核酸ライブラリーを作製することが必要である。
SELEX法によりアプタマーを選択することは、予測不可能である。全ての因子がアプタマーを選択することに関して最適である場合でさえも、SELEX法は、各標的に関する実行可能なアプタマーの入手を必ずしも可能にするわけではない.
最初の候補ライブラリーは、化学的に合成されたDNA配列からなり、配列のそれぞれが、3'及び5'末端でライブラリーの全ての候補に関する同一の定常領域が隣接したnヌクレオチドの長い可変領域を含む。これらの定常領域は、特にPCRによって、中心部分がSELEX中に操作されることを可能にする。可変部分の長さは、ライブラリーの多様性を決定し、これは、各部分が4つのヌクレオチドA、T、G又はCの1つによって占められ得るので、4nに等しい。大きいウインドウに関して、巨大な複雑性が生じる:n=50の場合、理論上の多様性は450(1030)であり、それは各配列が一度表されるライブラリーに関して105トンを超えるものに相当するので、これは実際には到達できない値である。実験的制約は、約1015の異なる配列であり、これは25-ヌクレオチドの可変領域を有する全ての候補が表されるライブラリーの配列である。したがって、その理論上の多様性が約1018である30-ヌクレオチドウインドウを含むライブラリーを操作することを選ぶ場合、可能性の1/1000のみが探索されることになる。実際には、それは望ましい特性を有するアプタマーを得るのに一般的に十分である。加えて、使用するポリメラーゼはあてにならず、約10-4の割合でエラーを導入するので、それらはSELEXプロセスの間ずっと配列プールの多様性を著しく豊かにすることに寄与する:100のうちの1つの候補は、長さが100のヌクレオチドのランダム領域を有するライブラリーに関する各増幅サイクルにおいて修正されることになり、ライブラリー全体に関する1013の新しい候補の出現につながる。
各ラウンドにおける選択は、自由分子からの標的と関連している分子の物理的分離により起こる。複数の技法を適用することができる[クロマトグラフィー、フィルター保持(filter retention)、電気泳動等]。標的結合競合が候補間で起こるように、選択条件を適合させる(標的/候補の相対的な濃度、イオン濃度、温度、洗浄等)。一般的に、ストリンジェンシーを、最も高い親和性での候補の獲得を促進するために、ラウンドが進むにつれて増加させる。加えて、支持体(フィルター、ビーズ等)を認識する候補を排除するために対抗選択を行う。
オリゴヌクレオチドはオリゴアニオンであり、各単位が、中性pHでの電荷、水素結合ドナー/アクセプター部位、及びスタッキング相互作用を生み出すことができる芳香族複素環(核塩基)を有する。塩基対の形成に従って、これらのオリゴマーは、折り重なって、二次及び三次構造を生み出す。したがって、最初の配列ライブラリーは、三次元の形状のライブラリーであり、それぞれが静電相互作用を惹起し、水素結合等を生み出すことができる単位の分布に相当する。選択は、ライブラリーにおいて標的に適した形状、すなわち、最も多い数の相互作用及び最も安定なアプタマー標的複合体の形成を可能にする形状を同定する探究となる。小さい標的(色素、抗生物質等)に関して、同定されたアプタマーをマイクロモル範囲における平衡解離定数によって特徴づけ、一方で、タンパク質標的に関して、10-9M未満のKd値は、珍しくない。
アプタマーを生み出すために、高度に変化に富む標的が目標とされた。すなわち、アミノ酸、ペプチド、タンパク質及び酵素、並びに無傷のウイルスや生細胞等の複雑な構造体である。
アプタマーの最も顕著な特性は、それらのリガンドに関連している相互作用の特異性であり、これによりアプタマーは、標的認識のための理想的な薬剤になる。
アプタマーは、オリゴデオキシヌクレオチド(DNA)又はオリゴリボヌクレオチド(RNA)とすることができる。後者の場合において、第1のSELEX工程は、最初のDNAライブラリーを候補5'定常領域のプロモーター配列を介して転写することにある。選択後、増幅する前に、候補を逆転写によってDNAに転換する。匹敵する特徴を有するRNA及びDNAアプタマーを、同じ標的に対して選択した。加えて、両方の化合物は、互いの競合的な阻害剤であり、重複している相互作用部位を示唆している。それは、化学修飾アプタマーの作製に関する主要な重要性を有する。
アンチセンス手法の開発は、例えば、生物学的環境(細胞培地又はインビボ)において有用な特性である、ヌクレアーゼへの抵抗性をオリゴマーに与えるものを含めた、多数の類似体の合成につながった。2'-O-メチル、「ロックド」核酸又はボラノリン酸誘導体等の、ホスホジエステル結合、糖又は糖リン酸骨格の修飾は、ヌクレアーゼ耐性オリゴマーを生じる。この特性は、アプタマーに関して有利であり得る。しかしながら、上記のように、RNA又はDNA形で選択されたアプタマーの化学構造のその後の完全な変化は、それが選択された特性の減少又は喪失に一般的につながる。それは、幾つかの位置で修飾を導入することが可能でないことを意味しない。しかし、修飾が許容される位置を同定することは賢明である。それは、特定の変異体を試験することによって、又はフットプリント法の変形である体系的な手法、いわゆる化学的干渉によって行うことができる。
非天然のオリゴヌクレオチドの選択を直接的に行うことは当然好ましい。それは、修飾ヌクレオシド三リン酸が効率的に組み込まれ、修飾マトリックスがSELEX中に使用するポリメラーゼによって正確に読まれることを仮定している。非常に少数の類似体が、必要条件を満たす。ヌクレアーゼへの抵抗性を与える誘導体に関して、可能性があるものは、ホスホロチオエート、ボラノリン酸又は2'-メチル-、2'-アミノ-又は2'-フルオロ-ピリミジン類似体に制限されており、後者は、圧倒的に最も一般に使用されている。この場合において同定されたアプタマーは、修飾ピリミジンヌクレオシド及び非修飾プリン残基(2'-ヒドロキシル)を有する。これらの分子は、ヌクレアーゼへのより大きい抵抗性を有する。必要な場合、修飾プリン残基を、上記のように後で導入することができる。更に、ピリミジンのC(5)位又はプリンのN(7)、C(8)位で置換基を含むオリゴヌクレオチドを選択することが可能である。それは、ヌクレアーゼへの感受性に及ぼす効果を有さないが、新しい機能性(疎水性、光反応性等)を加えることを可能にする。
非常に異なる手法は、光学異性体の使用に関する。天然の核酸は、D-異性体である。L-類似体は、ヌクレアーゼに抵抗性であるが、ポリメラーゼによって作製することはできない。光学異性の法則に従って、L-系列アプタマーは、D-系列異性体及び標的(T)の鏡像異性体(T')によって形成される複合体と同じ特徴を有する複合体をその標的(T)とともに形成することになる。結果的に、化合物T'を化学的に合成することができる場合、それを使用して、天然のアプタマー(D)の選択を行うことになる。いったん同定されると、このアプタマーは、L-系列において化学的に合成されることになる。このL-アプタマーは、天然の標的(T)のリガンドとなる。
二次元SELEXとして最近報告された別の手法は、インビトロのオリゴヌクレオチド選択及び動的コンビナトリアル化学(DCC)、すなわち、オリゴヌクレオチドの幾つかの基(アミン基)とアルデヒド化合物のライブラリーの間の可逆反応を同時に適用する。反応により、従来のSELEXに関するのと同じ原理で選択されるイミンオリゴヌクレオチドが作製される。したがって、天然のアプタマーとは異なるヘアピンRNA修飾アプタマーを標的に関して同定することが可能であった。
構造を変化させ得、アプタマー-標的相互作用特性を喪失することを避けるために、導入する前に注意を必要とする骨格修飾とは異なり、その特徴を破壊することなく、オリゴヌクレオチドをツール、プローブ又はセンサーに転換するために、オリゴヌクレオチドの3'又は5'末端の1つで様々な基をコンジュゲートすることが可能である。この多用途性は、加えて、特に診断学の観点から、アプタマーの重要な利点を構成する。
「アプタマー類似体」という表現は、本明細書で、上記の1つ又は複数の修飾を意味する。
好ましくは、本発明によるアプタマーは、高親和性でチロシナーゼに結合することができる。
「高親和性」によって、本発明の文脈において、標的とのアプタマーの特異的な相互作用及び酵素の触媒活性の著しい阻害を可能にするのに十分に低い解離定数を意味する。
好ましくは、本発明によるアプタマーは、配列番号5の配列を少なくとも含む。
より優先的には、本発明によるアプタマーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号6からなる群から選択される少なくとも1つの配列を含む。
配列番号1の配列は、SELEX法によって選択された。
配列番号2から5の配列は、配列番号1の短縮された誘導体である。
配列番号6の配列は、プライマーを有さない配列番号1の部分に相当する。
以下のTable 1(表1)は、これらの配列を要約している。
Figure 2016504910
より優先的には、本発明によるアプタマーは、5'において、配列番号7の配列の3'末端から始まる1個又は複数の近接するヌクレオチドが隣接する、及び/又は3'において、配列番号8の配列の5'末端から始まる1個又は複数の近接するヌクレオチドが隣接する、配列番号6の少なくとも10個の近接するヌクレオチドを含む。
より優先的には、本発明によるアプタマーは、3'において、配列番号7の配列の5'末端から始まる1個又は複数の近接するヌクレオチドが隣接する、及び/又は5'において、配列番号8の配列の3'末端から始まる1個又は複数の近接するヌクレオチドが隣接する、配列番号6を含む。
「1個又は複数の」によって、任意の数のヌクレオチド、好ましくは3から10個、特に好ましくは5個のヌクレオチドを意味する。
例えば、以下の配列を挙げることができる:
- 5'において、配列番号7の3'末端の5個の近接するヌクレオチドが隣接し、3'において、配列番号8の5'末端の5個の近接するヌクレオチドが隣接する配列番号6を含む、配列番号10:TCGAACGCAATGGGCGCAGATTGGAAGGCCTAGCATTGAG
- 5'において、配列番号7の3'末端の6個の近接するヌクレオチドが隣接する配列番号6を含む、配列番号11:GTCGAACGCAATGGGCGCAGATTGGAAGGCCTAGCA。
本発明によるアプタマーは、同じ尖端のステム-ループ-ステム-ループ二次構造(図1参照)のT10.1C(配列番号4)由来の配列も含むことができ、各ステムは、G-C、C-G、A-T又はT-A対からなり、各ループは、2から10個のヌクレオチドを含む。
この配列は、以下のように表現することもできる:
X1---XnX(n+1)---XmX(m+1)---XpX(p+1)---XrX(r+1)---XoX(o+1)---XsX(s+1)---Xt
[式中、各Xは、ヌクレオチドであり、
1≦n≦5
n+1≦m≦n+5、好ましくはn+1≦m≦n+3
m+1≦p≦m+5
p+1≦r≦p+10、好ましくはp+2≦r≦p+8、特に好ましくはr=p+5
r+1≦o≦r+5
o+1≦s≦o+5
s+1≦t≦s+5
t-s=n
o-r=p-m
n、m、p、r、o、s、tは、整数であり、ヌクレオチドの位置を示し、
ヌクレオチドX1からXn及びX(s+1)からXtは、A、T、G又はC、好ましくはG又はCであり、ただし、それらは対合し、したがってステムを形成するものとし、
ヌクレオチドX(m+1)からXp及びX(r+1)からXoは、A、T、G又はC、好ましくはG又はCであり、ただし、それらは対合し、したがってステムを形成するものとし、
ヌクレオチドX(n+1)からXm及びX(o+1)からXsは、A、T、G又はCであり、対合せず、したがってループを形成し、
ヌクレオチドX(p+1)からXrは、A、T、G又はCであり、対合せず、したがってループを形成する]。
「ステム」は、完全に対合した二本鎖配列であり、例えば以下である:
G-C A-T
C-G A-T
G-C A-T
C-G A-T
「ループ」は、二本鎖配列内の対合していないモチーフである。
本発明の特定の実施形態によれば、本発明によるアプタマーは、同じ尖端のステム-ループ-ステム-ループ二次構造(図1参照)のT10.1C(配列番号4)由来の配列を含み、各ステムは、3つのG-C、C-G、A-T又はT-A対からなり、各ループは、5個のヌクレオチドを含む。
配列番号12のこの配列は、以下のように表現することもできる:
X1---XnX(n+1)---XmX(m+1)---XpX(p+1)---XrX(r+1)---XoX(o+1)---XsX(s+1)---Xt
[式中、各Xは、ヌクレオチドであり、
n=3
m=n+3
p=m+3
r=p+5
o=r+3
s=o+2
t=s+3
n、m、p、r、o、s、tは、整数であり、ヌクレオチドの位置を示し、
ヌクレオチドX1からXn及びX(s+1)からXtは、A、T、G又はC、好ましくはG又はCであり、ただし、それらは対合し、したがってステムを形成するものとし、
ヌクレオチドX(m+1)からXp及びX(r+1)からXoは、A、T、G又はC、好ましくはG又はCであり、ただし、それらは対合し、したがってステムを形成するものとし、
ヌクレオチドX(n+1)からXm及びX(o+1)からXsは、A、T、G又はCであり、対合せず、したがってループを形成し、
ヌクレオチドX(p+1)からXrは、A、T、G又はCであり、対合せず、したがってループを形成する]。
「ステム」は、完全に対合した二本鎖配列であり、例えば以下である:
G-C A-T
C-G A-T
G-C A-T
C-G A-T
本発明の別の目的は、チロシナーゼの酵素活性を阻害するための本発明によるアプタマーの使用に関する。
チロシナーゼは、チロシンをL-ドーパに変換する。チロシナーゼの酵素活性は、L-ドーパの着色された酸化産物であるドーパクロムの出現を測定することによって評価することができる。この酸化産物の出現の動態は、450nmでの吸光度を測定することによってモニターする。
好ましくは、本発明は、化粧用又は皮膚科学的組成物における皮膚を色素脱失又は明色化する薬剤としての本発明によるアプタマーの使用に関する。
本発明の別の目的は、チロシナーゼの酵素活性を阻害するのに十分な量の、活性薬剤である、少なくとも1つの本発明によるアプタマーと、1つ又は複数の化粧品として/薬学的に許容される添加剤とを含む化粧用又は医薬組成物に関する。
好ましくは、本発明の組成物は、0.00001%から10%、好ましくは0.00005%から5%、より好ましくは0.001%から1%の1つ又は複数の本発明によるアプタマーを含む。一般的に、任意の本発明の組成物を、皮膚又は皮膚付属器に適用することができる。
それを、局所適用に適した全ての医薬品形態で提供することができる。
本発明の組成物は、特に、水性若しくは油性溶液の又はシリコーン相中の水性相(H/Si)の、水性相中の脂肪相(水中油型エマルション)の、又は逆に、脂肪相中の水性相(油中水型エマルション)の分散によって得られる、液体若しくは半液体稠度を有するローション若しくはセラム型分散体、ミルク型エマルション、又はクリーム若しくはゲル型の柔らかい稠度を有する水性若しくは無水懸濁液若しくはエマルションの、又はマイクロカプセル若しくは微小粒子の、又はイオン性及び/若しくは非イオン性型小胞分散体の、又は泡の形を有することができる。これらの組成物を、従来の方法を使用して調製する。本発明による組成物の様々な成分の量は、当該分野において典型的に使用されている量である。
化粧品の分野において、これらの組成物は、特に、顔、手、足若しくは身体をクレンジングする、保護する、処置する又はケアするためのクリーム(例えば、昼用クリーム、夜用クリーム、メイクアップリムーバークリーム、ファンデーションクリーム、サンスクリーンクリーム)、リキッドファンデーション、メイクアップリムーバーミルク、身体保護又はケアミルク、サンスクリーンミルク、スキンケアローション、クレンジングローション等のゲル又は泡、サンスクリーンローション、人工的日焼けローション、入浴のための組成物、殺菌剤を含むデオドラント組成物、アフターシェーブゲル又はローション、脱毛クリームを構成する。
本発明による組成物は、例えばスティック、コンパクトパウダー、クレンジングソープ又はバーの形である、パウダー又は非パウダー固形製剤からもなることができる。それを、パッチ、ペンシル、ブラシ及び顔又は手のシミへの局在的適用を可能にする塗布具としても提供することができる。それを、ケア製品として又はメイクアップ製品として使用することができる。
組成物がエマルションである場合、脂肪相の割合は、組成物の総質量に対して約5質量%から80質量%、好ましくは約5質量%から50質量%まで変動することができる。エマルションの形である組成物において使用される油、ワックス、乳化剤及び乳化助剤は、化粧品の分野において典型的に使用されるものから選択される。乳化剤及び乳化助剤は、組成物の総質量に対して0.3質量%から30質量%、好ましくは0.5質量%から20質量%の割合で組成物中に存在する。加えて、エマルションは、脂質小胞を含有することができる。
組成物が油性溶液又はゲルである場合、脂肪相は、組成物の総質量の90%を超える割合に相当し得る。
既知の様式において、本発明の化粧用又は医薬組成物は、親水性又は親油性ゲル化剤、親水性又は親油性活性薬剤、防腐剤、抗酸化剤、溶媒、フレグランス、賦形剤、フィルター、色素、匂い吸収剤及び着色剤等の化粧品又は医薬品の分野において通例使用されるアジュバントも含むことができる。これらの様々なアジュバントの量は、当該分野において典型的に使用される量である。これらのアジュバントを、それらの性質に従って、脂肪相に、水性相に、脂質小胞に又はナノ粒子に加えることができる。これらの様々なアジュバントの量は、化粧品又は医薬品の分野において典型的に使用される量であり、例えば、組成物の総質量の約0.01%から10%まで変動する。これらのアジュバントを、それらの性質に従って、脂肪相に、水性相に及び/又は脂質小球に加えることができる。
本発明において利用することができる例示的な油又はワックスは、鉱物油(流動パラフィン)、植物油(シアバターの液体画分、ヒマワリ油)、動物油(ペルヒドロスクアレン)、合成油(ピュアセリン油)、シリコーン油又はワックス(シクロメチコーン)及びフルオロ油(パーフルオロポリエーテル)、蜜ろう、カルナウバワックス又はパラフィンワックスを含む。これらの油に、脂肪アルコール及び脂肪酸(ステアリン酸)を加えることができる。本発明において利用することができる例示的な乳化剤は、例えば、ステアリン酸グリセロール、ポリソルベート60及びGattefosse社によってTefose 63の名称で販売されている混合物ステアリン酸PEG-6/PEG-32/グリコールを含む。
本発明において利用することができる例示的な溶媒は、低級アルコール、特にエタノール及びイソプロパノール、並びにプロピレングリコールを含む。
本発明において利用することができる例示的な親水性ゲル化剤は、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマー等のアクリルコポリマー、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖、天然ガム及びクレイを含み、例示的な親油性ゲル化剤は、ベントン等の修飾クレイ、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸の金属塩、疎水性シリカ、エチルセルロース及びポリエチレンを含む。
本発明の組成物は、例えばメラニン形成を阻害することを目的とする、1つ又は複数の追加の活性薬剤も含むことができる。
純粋に又はこれらの分子を含有する抽出物から使用する、本発明によるアプタマーと組み合わせて利用することができる上記の活性薬剤は、特に以下の化合物である:エラグ酸及びそれらの誘導体;ヒドロキノン;アルブチン;レゾルシノール及びそれらの誘導体;ビタミンC及びそれらの誘導体;パントテナートスルホネート(pantothenate sulfonate)及びそれらの誘導体;コウジ酸;直接的又は間接的にアルファ-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)若しくはそのレセプター又は副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に干渉する分子;グリセリン、グリコール又はプロピレングリコール等のポリオール;ビタミン;サリチル酸及びそれらの誘導体等の角質溶解薬又は剥離剤;単独又はグラフトした、乳酸又はリンゴ酸等のアルファ-ヒドロキシ酸;ベータ-ヒドロキシ酸;アスコルビン酸及びそれらの誘導体;レチノイン酸;レチンアルデヒド;リポソーム製剤中の又はそうでないパルミテート、プロピオネート又はアセテート等のレチノール及びそれらの誘導体;トコフェロール及びそれらの誘導体、チオタウリン、ヒポタウリン、アミノグアニジン、チアミンピロリン酸、ピリドキサミン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、ピリドキシン、アデノシン三リン酸等の、単独又は組合せで取り込まれる抗グリコシル化剤又は抗酸化剤;グリチルレチン酸ステアリル等の抗炎症剤;無痛化剤及びそれらの混合物、メトキシ桂皮酸オクチル、ブチル-メトキシジベンゾイルメタン、微粒子化酸化チタン及び酸化亜鉛等の化学的又は物理的サンスクリーン;及びデオキシリボ核酸又は核酸。
本発明は、1つ又は複数の他の活性薬剤、例えば上記の活性薬剤と組み合わせて同時に、別々に、連続して投与されることを目的とする薬の製造のための少なくとも1つの本発明によるアプタマーの使用にも関する。
本発明は、目的として、ヒト皮膚、頭髪又は体毛を色素脱失する又は明色化するための、又はヒト皮膚上の色素沈着シミを除去する若しくは減弱するための化粧用又は皮膚科学的組成物における少なくとも1つの本発明によるアプタマーの使用も有する。
本発明は、目的として、メラニンの合成の阻害剤としての化粧用又は皮膚科学的組成物の製造における又は製造のための少なくとも1つの本発明によるアプタマーの使用も有する。
本発明は、チロシナーゼの発現を調節するための少なくとも1つの本発明によるアプタマーの使用にも関する。
本発明は、目的として、ヒト皮膚を色素脱失する又は明色化する化粧用組成物における少なくとも1つの本発明によるアプタマーの使用も有する。
本発明は、目的として、ヒト皮膚を色素脱失する又は明色化する皮膚化学的組成物の製造のための少なくとも1つの本発明によるアプタマーの使用も有する。
本発明の別の目的は、好ましくは皮膚、体毛及び/又は頭髪を色素脱失する又は明色化するための、本発明によるアプタマーの化粧用の使用に関する。
本発明は、過剰な色素沈着を制御するための、少なくとも1つの本発明によるアプタマーを含む化粧用又は皮膚科学的組成物を皮膚に適用することを含む、ヒト皮膚を色素脱失する又は明色化するための美容又は皮膚化学的処置の方法にも関する。
本発明は、チロシナーゼの過剰発現を結果として生じる疾患の局所的処置又は予防を目的とする薬の製造のための少なくとも1つの本発明によるアプタマーの使用にも関する。
本発明の別の目的は、特発性黒皮症等のメラノサイト活動過多による局所的色素沈着過剰等の色素沈着過剰、年齢によるシミ又は肝斑(老人性色素斑)等の良性メラノサイト活動過多及び増殖による局在的色素沈着過剰、光線過敏等の偶発的色素沈着過剰又は瘢痕に関連する色素沈着過剰の処置又は予防における使用のための、及び白斑等の幾つかの白斑症の処置のための本発明によるアプタマーに関する。
本発明の別の目的は、皮膚、体毛及び/又は頭髪を明色化する又は色素脱失することを好ましくは目的とする薬としての本発明によるアプタマーに関する。
本発明の別の目的は、特発性黒皮症等のメラノサイト活動過多による局所的色素沈着過剰等の色素沈着過剰、年齢によるシミ又は肝斑(老人性色素斑)等の良性メラノサイト活動過多及び増殖による局在的色素沈着過剰、光線過敏等の偶発的色素沈着過剰又は瘢痕に関連する色素沈着過剰の処置又は予防における使用のための、及び白斑等の幾つかの白斑症の処置のための本発明によるアプタマーに関する。
本発明によるアプタマーを、本発明に従って、ベクター化した(vectorized)、すなわちベクターに連結した形で使用することができる。この型のベクターは、当業者によく知られている。例えば、それは、コレステロール残基又はナノ粒子とすることができる。
本発明によるアプタマーは、本発明に従って、2つのアプタマーの二量体又は幾つかのアプタマーのコンジュゲート体の形でも使用することができる。
本発明の別の目的は、以下の工程:
- SELEX法により、チロシナーゼに対するアプタマーをDNAライブラリーにおいて選択する工程、
- 先行する工程において同定されたアプタマーのチロシナーゼの酵素活性を阻害するための潜在性を評価する工程、
- このように選択されたアプタマーをクローニングし、配列決定する工程
を含む、本発明によるアプタマーを選択するための方法に関する。
抗チロシナーゼアプタマーを選択するための材料及び方法
タンパク質
N末端GSTタグを含有する組換えヒトチロシナーゼ(TYR)タンパク質が、Abnova社によって提供された。ポリヒスチジン-GSTタグは、European Institute of Chemistry and Biologyで作製された.
オリゴヌクレオチド及びライブラリー
Sigma社によって提供されたDNAライブラリー及びプライマーを、HPLCによって精製した。プライマー配列(P3)5'GGGAGACAAGAATAAACGCTCAA(配列番号9)及び(P5)5'GCCTGTTGTGAGCCTCCTGTCGAA(配列番号7)を、ランダムに選択された30-ヌクレオチドウインドウを含有するライブラリーの増幅のために使用した。5'ACTGACTGACTGACTGACTA-6C3-GGGAGACAAGAATAAACGCTCAAの配列を使用して、文献に報告されている一本鎖を作製した(Williams KP、Bartel DP.「PCR product with strands of unequal length」、Nucleic Acids Res.、1995年10月25日;23(20):4220〜1頁)。5'ビオチン化プライマー(P3)を使用して、一本鎖候補DNAを作製した。候補DNAは、Eurogentec社によって合成され、HPLCによって精製された[Table1(表1)]。全ての実験の前に、DNA集団及び候補を、75℃で5分間加熱し、氷上に5分間置き、次いで室温に少なくとも5分間に置いた。
インビトロ選択
選択前に、DNAライブラリー(1ナノモル)を、上記のように処置し、第1及び第2ラウンドに関して2回、他の全てのラウンドに関して1回、PBS-Mg緩衝液(154mM NaCl、1mM KH2PO4、2.96mM Na2HPO4・7H2O、1mM (CH3COO)2Mg)中で室温で20分間、フィルター(0.45μm HAWP、Millipore)でインキュベートした。各ラウンドにおいて、ポリヒスチジン-GSTタグに対して追加の対抗選択を行った。次に、対抗選択ライブラリーを、チロシナーゼ(20ピコモル)と20分間混合し、結合していない候補を、フィルター保持技法により分離した。フィルタリング後、チロシナーゼに結合している候補を、500μlの7Mフェノール/尿素中で65℃で20分間、インキュベーションによって溶出し、沈澱させ、PCRによって増幅して、以下の選択のラウンドのために使用する一本鎖を作製した。選択中に、候補及び標的の量を、それぞれ25及び1ピコモルに達するまで減少させ、第10ラウンドにおいて、選択のストリンジェンシーを増加させた。クローニング前に、選択の各ラウンドの集団を、チロシナーゼ活性を阻害するためのそれらの能力に関して評価した。
クローニング及び配列決定
7及び10ラウンドから選択された配列を、製造業者の使用説明書に従って、TOPO TA Cloning Kit(Invitrogen社)を使用してクローニングし、BigDye Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社)を使用して配列決定した。
表面プラズモン共鳴(SPR)候補の特性解析
全ての実験を、Biacore 3000デバイス上でPBS-Mg緩衝液で23℃で行った。
75℃で5分間加熱し、氷上に5分間置き、次いで室温に少なくとも5分間置いたビオチン化オリゴヌクレオチドを、ストレプトアビジンをコーティングしたセンサーチップ(XanTec bioanalytics社)上で固定化した。オリゴヌクレオチドを、100nMで4分間、5μl/minで800から1000RUに達するまで注入した。
チロシナーゼ及びGST-His対照を、500nM及び1μMで20μl/minの速度で23℃で注入した。同じ注入を、PBS-Mg緩衝液及びチロシナーゼ保存緩衝液で行って、特定のセンサーグラムから緩衝液の効果を減算した。
タンパク質の各注入後、センサーチップの官能基化した表面を、1分間パルスに40%ホルムアミド、3.6M尿素及び30mM EDTAの混合物を用いて再生した。
データを、BIA eval 4.1ソフトウェアを使用して分析した。
抗チロシナーゼアプタマーの選択の結果
標的であるチロシナーゼに対する選択-増幅の手順を、10回繰り返した;SELEXラウンド7及び10を、クローニングし、配列決定した。それぞれ、ラウンド7及び10からの41及び74候補DNAを分析した。配列T10.1は、ラウンド10の配列の42%に相当する。他の配列は、大きい多様性を示す。配列T10.1は、ラウンド7には存在しなかった。
候補T10.1の二次構造を、mfoldソフトウェア(Zuker, M.、2003年、Nucleic Acids Res 31(13)、3406〜3415頁)を使用して予測した。5'プライマーP5(GCCTCCTGTCGAA)の部分を含み、潜在的な5-ヌクレオチド内部ループ及び5-ヌクレオチド尖端のループを示す長い不完全なステム-ループを予測した(図1)。
T10.1であるこの候補、及び候補全長由来の切断されたバージョン[Table1(表1)]の結合を、表面プラズモン共鳴(SPR)によって調査した。約1000レゾナンスユニット(RU)のビオチン化した候補T10.1を固定化し、チロシナーゼを500nM又は1μMで注入した。16及び42RUのシグナルを、それぞれ500nM及び1μMに関して検出したところ、候補T10.1とチロシナーゼの間の相互作用を示した(図2)。
チロシナーゼ活性の測定
3.1原理
酵素は、1種又は2種の基質の変換を特異的に触媒することができるタンパク質である。単純化した酵素反応モデル:
Figure 2016504910
を利用して、反応速度を記す:
Figure 2016504910
(P)=f(t)曲線をプロットするために、酵素(E)は、基質(S)に対して作用する;時間ゼロは、反応を惹起することに相当する。産物(P)の出現は、時間の関数として測定される(図4参照)。
反応速度
Figure 2016504910
は、初期条件(曲線の0A部分)中、一定である。曲線のこの部分に関して、原点を通る接線は、曲線と一体化している:接線0Aの勾配である速度は、初速度と称される。次いで、速度は減少し(曲線のAB部分)、ゼロになる(BC部分)。速度は、基質の1種が消費された場合、又は平衡状態が確立された場合、ゼロになる。
酵素反応の速度が決定された場合、それは常に計算された初速度である。したがって、速度測定は、基質の量の10%未満が加水分解されている初期条件下で行われる。
Figure 2016504910
の間、初速度は、酵素濃度と比例する:したがって、それは、酵素単位において発現された酵素製剤の活性を反映している。
チロシナーゼの酵素活性を、チロシナーゼの産物の着色された酸化産物を検出することによって測定する。チロシナーゼの産物である、L-ドーパを、着色された産物であるドーパクロムに酸化する。L-ドーパの、次いでL-ドーパキノンの連続的な酸化のこの産物の出現の動態を、450nmでの吸光度を測定することによってモニターする。
3.2メラノサイト培養物におけるチロシナーゼの酵素活性の測定
正常なヒトメラノサイトを、ウェル当たり1×104細胞の濃度で96ウェルマイクロプレートに播種する。ラウンド10からの様々な候補及びラウンド10に由来する候補(T10.1、T.10.1A、T10.1B、T10.1C、T10.1D)での処置の72時間後、チロシナーゼの酵素活性を決定する。各アプタマーを、4つの増加する濃度:4、20、100及び200nMで試験する。
細胞をPBSですすぎ、次いで50μlのTriton X100(0.5%)を各ウェルに追加し、プレートを4℃で1時間振とうする。反応を、50μlの基質(10mM L-ドーパ、Sigma社)を各ウェルに加えることによって惹起する。ドーパクロムの出現を、絶え間なく振とうしながら、2分毎に450nmで1時間、37℃で測定する。このように得られた反応速度を、OD単位/分で表す。
経時的な吸光度(450nm)の変動を、+20℃でBMG POLARstarプレートリーダー分光光度計を使用してモニターする。時間(分で)の関数として吸光度(吸光度単位で)を表している曲線をプロットする。
反応の初速度を、原点を通る接線の勾配を計算することによって決定する。V0は、エフェクターの非存在下での初速度を表し、Viは、エフェクターの存在下でのこの速度を表す。比率(Vi/V0)×100を計算する。すなわち、この比率が100に等しい場合、エフェクターは、酵素の活性に及ぼす効果を有さず、100未満の場合、エフェクターは、酵素の活性の阻害剤であり、100を超える場合、それは活性化因子である。この測定の結果を、図3に表す。
図3に表した結果は、試験した各候補が、チロシナーゼ活性に及ぼす阻害効果を有することを示している。この効果は、最も短縮された候補である、T10.1Dの最も低い濃度(4及び20nM)での条件を除いて、試験した各条件に関して著しい。
ラウンド10を構成する候補のセットは、どのような濃度を試験しようと、75%を超える、チロシナーゼ活性に及ぼす著しい効果を有する。用量依存的な効果は観察されない。同様の結果が、T10.1候補に関して得られる。
短縮された候補T10.1A及びT10.1Bは、どちらもチロシナーゼ活性の阻害剤である。しかしながら、この阻害は、特に最も低い濃度(4及び20nM)で、完全長のラウンド10候補及びT10.1の阻害に劣る。
候補T10.1Cは、試験した濃度に関係なく、この酵素を阻害するための非常に優れた能力を有する。特に、200nMの濃度で使用した場合、チロシナーゼ活性のほぼ95%の阻害が、この候補に関して注目される。この濃度で試験した他の候補は、この高さの活性を有さない。
最も短縮された候補であるT10.1Dは、試験した濃度に関係なく、最も低い阻害活性を有する。
これらの結果は、チロシナーゼ阻害活性に重要な領域がアプタマーT10.1Dの構造にはないことを示唆している。
例示的な処方
Figure 2016504910
このパウダーは、二重の作用を有する。それは、皮膚をクレンジングし、更に、数日間の定期的な使用によって肌を明色化する。それを顔の皮膚に1日2回適用することができる。
Figure 2016504910
比較的強い昼光照射又はいくぶん直射日光に曝露されて、明るい肌の色を維持し、色素着色されたシミの出現を避けることを望む人もいる。上記のエマルション-ゲルの使用により、この目的を達成することが可能となる。この組成物は、一般的に午前中に顔に適用する。それは、顔の均一又はそうでない色素沈着を予防し且つ処置するように作用する。
Figure 2016504910
この組成物は、強い日光への曝露前に使用されるためのものである。それは、この現象になりやすい人々における色素沈着シミの出現を予防する。高濃度のサンスクリーンの存在が、メラニンのレベルの減少の結果である、減少した天然の保護を補うことに注目すべきである。
Figure 2016504910
このクリームの使用により、病態又は外傷によって引き起こされる皮膚色素沈着過剰が減弱する。このクリームは、白斑の場合における色素脱失した領域の周辺での色の対比も減弱する。
Figure 2016504910
肌を明色化するためのこのローションは、化粧を除去し、皮膚をクレンジングした後に使用する。
Figure 2016504910
この高度に濃縮したセラム組成物の1滴を、一般的にフェイスクリームを適用する前に、顔に適用する。このセラムは、明色化した肌を得る又は維持するために1又は2週間の処置で典型的に使用する。
Figure 2016504910
このローションを、毛髪を漸進的に明色化するのに十分な期間、明色化すべき有毛領域、特に腕に適用する。
Figure 2016504910
このクリームは、シミの色を減弱するために、手のシミ(日光及び/又は老人性色素斑)に直接的に適用すべきである。

Claims (15)

  1. チロシンからL-ドーパ及びドーパキノンへの転換に関するチロシナーゼの酵素活性を阻害する能力があるDNAアプタマー。
  2. 高親和性でチロシナーゼに結合する能力がある、請求項1に記載のアプタマー。
  3. ヌクレアーゼに抵抗性である、請求項1又は2に記載のアプタマー。
  4. 配列番号5の配列を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のアプタマー。
  5. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号6からなる群から選択される配列を含む、請求項4に記載のアプタマー。
  6. 5'において、配列番号7の配列の3'末端から始まる1個又は複数の近接するヌクレオチドが隣接する、及び/又は3'において、配列番号8の配列の5'末端から始まる1個又は複数の近接するヌクレオチドが隣接する配列番号6の少なくとも10個の近接するヌクレオチドを含む、請求項4に記載のアプタマー。
  7. 5'において、配列番号7の配列の3'末端から始まる1個又は複数の近接するヌクレオチドが隣接する、及び/又は3'において、配列番号8の配列の5'末端から始まる1個又は複数の近接するヌクレオチドが隣接する配列番号6を含む、請求項6に記載のアプタマー。
  8. 以下の配列:
    X1---XnX(n+1)---XmX(m+1)---XpX(p+1)---XrX(r+1)---XoX(o+1)---XsX(s+1)---Xt
    [式中、各Xは、ヌクレオチドであり、
    1≦n≦5
    n+1≦m≦n+5
    m+1≦p≦m+5
    p+1≦r≦p+10、好ましくはp+2≦r≦p+8、特に好ましくはr=p+5
    r+1≦o≦r+5
    o+1≦s≦o+5
    s+1≦t≦s+5
    t-s=n
    o-r=p-m
    n、m、p、r、o、s、tは、整数であり、ヌクレオチドの位置を示し、
    ヌクレオチドX1からXn及びX(s+1)からXtは、A、T、G又はC、好ましくはG又はCであり、ただし、それらは対合し、したがってステムを形成し、
    ヌクレオチドX(m+1)からXp及びX(r+1)からXoは、A、T、G又はC、好ましくはG又はCであり、ただし、それらは対合し、したがってステムを形成し、
    ヌクレオチドX(n+1)からXm及びX(o+1)からXsは、A、T、G又はCであり、対合せず、したがってループを形成し、
    ヌクレオチドX(p+1)からXrは、A、T、G又はCであり、対合せず、したがってループを形成する]
    を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のアプタマー。
  9. チロシナーゼの酵素活性を阻害するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアプタマーの使用。
  10. チロシナーゼの酵素活性を阻害するのに十分な量の、活性薬剤である、請求項1から8のいずれか一項に記載のアプタマーと、1つ又は複数の化粧品として/薬学的に許容される添加剤とを含む化粧用又は医薬組成物。
  11. 組成物の0.00001質量%から10質量%、好ましくは0.00005質量%から5質量%、より好ましくは0.001質量%から1質量%の1つ又は複数のアプタマーを含むことを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
  12. 好ましくは皮膚、体毛及び/又は頭髪を色素脱失する又は明色化するための、請求項1から8のいずれか一項に記載のアプタマーの化粧用の使用。
  13. 薬としての、請求項1から8のいずれか一項に記載のアプタマー。
  14. 特発性黒皮症等のメラノサイト活動過多による局所的色素沈着過剰、年齢によるシミ又は肝斑(老人性色素斑)等の良性メラノサイト活動過多及び増殖による局在的色素沈着過剰、光線過敏等の偶発的色素沈着過剰又は瘢痕に関連する色素沈着過剰の処置又は予防における、及び白斑等の幾つかの白斑症の処置における使用のための、請求項1から8のいずれか一項に記載のアプタマー。
  15. 以下の工程:
    - SELEX法により、チロシナーゼに対するアプタマーをDNAライブラリーにおいて選択する工程、
    - 先行する工程において同定されたアプタマーのチロシナーゼの酵素活性を阻害するための潜在性を評価する工程、
    - このように選択されたアプタマーをクローニングし、配列決定する工程
    を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のアプタマーを選択するための方法。
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