JP2016503653A - 植物における遺伝連鎖を解消するための方法 - Google Patents

植物における遺伝連鎖を解消するための方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、植物の分野に関し、特に、植物育種及び植物遺伝学の分野に関する。より詳細には、本開示は、植物の性質の改善において有用となり得る発明的方法論に関与する。特に、本発明は、リンケージドラッグの解消において有用となり得る。本明細書に開示されている方法によって得られる植物及び植物部分も提供される。【選択図】 なし

Description

発明の分野
[001]本開示は、植物の分野に関し、特に、植物育種及び植物遺伝学の分野に関する。より詳細には、本開示は、植物の性質の改善において有用となり得る発明的方法論に関与する。
先行技術
[002]組換えは、組合せ(assortment)及び分離(segregation)、乗換え、遺伝子変換並びに形質転換等、様々な機構による遺伝子の新たな配置をもたらす。植物における組換えは、植物発生における多数のステージで起こり得る。植物細胞における組換えには、2種の主な異なるクラス、相同組換え(HR)及び非相同末端結合(NHEJ)が存在する。HR組換え経路は、同じ染色体に存在するか異なる染色体に存在するかにかかわらず、同じDNA配列を共有するDNA分子間の再編成に関与する。HR組換え経路はその間のDNA相同性には全く関係なく、いかなるDNA分子間にも再編成を生じることができるNHEJ経路とは対照的である。HR経路は、あらゆる様々な種類の植物細胞において活性を有すると考えられる。例えば、HRは、正確な染色体分離及び異なる親アレルの組換えのために姉妹染色分体間の乗換えを促進することによって、配偶子形成において不可欠の役割を果たす(減数分裂HR)。HR経路は、有糸分裂細胞においても活性を有し、その場合、相同未損傷遺伝子座に存在する配列情報を用いた、遺伝子座におけるDNA損傷の修復に主に関与する(有糸分裂HR)。これは、損傷遺伝子座と同じ又は異なる染色体に存在し得る。NHEJ経路も、減数分裂及び有糸分裂細胞の両方において活性を有し、非相同DNA端部を一体に連結するのに非常に有効である。HR及びNHEJ経路の間の主な差の1つは、プロセスの忠実度である。関連するDNA配列間のHRは、両方の分子/遺伝子座のDNA配列が保存された組換えをもたらすが、NHEJ経路は、多くの場合、組換えが行われたポジションに、それ自体が変異原性となり得る小さな突然変異を生じる。
[003]植物育種は、最適な親植物の選択と、その後のそれらの交雑と、この交雑より生じる成長特徴が改善された後代の選択とを伴う。植物育種は、ここ100年の間、広範な植物種の栽培植物化並びに植物産物の収量及び品質の有意な改善において、非常に成功を収めてきた。
[004]この成功は、植物栽培及び消費形質の両方に改善をもたらすアレル変異の選択によって達成された。典型的には、2体の親植物間で交雑が行われて雑種F1後代を作出し、次にこれを自家受粉してホモ接合型アレルを作出し、この得られたF2後代を対象とする表現型に関してスクリーニングする。植物が交雑されて雑種(F1)を形成する際に、減数分裂において異なる相同親植物染色体間に組換え(乗換え)が起こり、各親が寄与する遺伝情報をシャッフリングする。
[005]減数分裂における組換え(減数分裂HR)は、親植物由来のアレルの異なるセットをそれぞれ保有する雄性及び雌性配偶子を生成する、(半)ランダムな相同性依存性のプロセスである。後代における親遺伝子座の特定の組み合わせが望まれる場合、多くの個体をスクリーニングして、望ましい親アレルを遺伝した個体を選択する必要がある。スクリーニングは、単に表現型に基づき行うことができる、或いは、より多くの場合、対象とするアレル(複数可)に密接に連鎖した分子マーカーを用いることによって行うことができる。このマーカー支援育種(MAB)アプローチは、成熟植物体の大規模集団を維持する必要がないように、F2集団の植物を初期成長ステージでスクリーニングすることができ、また、複数のアレルに連鎖した多くのマーカーの存在をスクリーニングすることができるという利点を有する。したがって、減数分裂組換えのプロセスとは、植物育種における主な原動力であり、これに影響を与えるプロセスが、育種プロセスに障害物をもたらし得ることが明らかである。
[006]世界総人口は、今後数十年の間に顕著に増加することが予想され、同じ面積の耕地を利用しながら、水及び肥料等のより少ない資源を用いつつ、同時に、多くの作物の収量も増加させなければならないことが現実としてある。植物育種は、生殖質に存在する新規アレルの導入によって、作物収量の改善において大きな役割を担う。しかし、従来の植物育種は、有害であると考えられた形質に対する意識的な選択によって、或いはその時点では中立と考えられた変異における淘汰圧の欠如によるアレルの無意識的な喪失によって、栽培作物に存在するアレル変異の総量を低減させてきた。栽培種におけるアレル変異の低減によって、新規生物的及び非生物的抵抗性等の形質を付与し得る新規アレルは、栽培生殖質に存在する可能性が低い。斯かるアレルの可能性が高い供給源の1つは、適応されていない野生生殖質に存在する。成長条件又は消費者の嗜好性のいずれかが変化し、現存する遺伝子プールが、変化する必要に適う必要な遺伝的変異を持たない場合に、野生生殖質は、栽培種の生殖質の改善に広範に用いられてきた。野生生殖質使用の成功は、交雑によってアクセスできる変異の幅広さ(例えば、植物不和合性、種の障壁)、急速に変化する必要に対処するために新規遺伝的変異を移行できるスピードと、最終的に、重大なマイナスの効果(リンケージドラッグ(linkage drag))を移行させることなく、野生種からどれ程多くの変異を移行することができるか等、いくつかの因子に依存する。リンケージドラッグは、例えば、同じ染色体上の一方は望ましく他方は望ましくない2個の遺伝子座の間の遺伝連鎖の存在として説明することができる。この遺伝連鎖の結果として、この2個の遺伝子座は、正常な減数分裂において共に遺伝する。残念ながら、本技術分野で現在利用できる方法では、植物における斯かる望ましい遺伝子及び望ましくない遺伝子間の遺伝連鎖の解消と、望ましい遺伝子及び関連する形質のみを有する植物の獲得は、困難で、時間がかかり、様々な事例において不可能であることが判明した。
[007]減数分裂は、親植物の遺伝的相補体の半分を含有する減数(reduce)された配偶子(卵細胞又は花粉)の形成に関与する。減数分裂において、配偶子が、親遺伝子座の異なる組み合わせを保有し、後代植物において遺伝的変異の異なるパターンを生成することができるように、減数分裂組換えは、親染色体の間で起こり、親アレルの混合をもたらす。減数分裂組換えは通常、構造及びDNAレベルの両方において高度なシンテニーが存在する親染色体のユークロマチン領域の間に起こる。文献において、親染色体間の組換え(乗換え)が、構造的に異なる(大規模な欠失、挿入又は逆位等)又はDNA配列同一性を欠く領域において阻害されることが周知である。これは、親が共通系列に由来し、したがって、遺伝的に類似である場合には問題ではないが、栽培系統よりも遺伝的に多様である可能性が高い野生生殖質との交雑を考慮する際に、より大きな問題となる。斯かる事例において、野生生殖質及び栽培生殖質の染色体間の乗換えが起こり得る領域は、上述のDNAにおける構造上の差によって阻害される。栽培及び野生生殖質を有する植物系統間で交雑を行う場合、所望のアレルを保有するF2植物が選択され、次に、所望の野生生殖質アレル(複数可)を保有する植物の選択を続けながら、これを栽培植物系統と複数回戻し交雑して、野生親由来のゲノムのパーセンテージを減少させつつ、栽培親が寄与するゲノムのパーセンテージを増加させる。理想的な状況下では、この操作は、栽培親のゲノムを有するが、野生生殖質由来の小さい遺伝子座(イントログレッション(introgression))を保有する植物をもたらすであろう。先に記した通り、この戻し交雑プロセスは、2種の親由来の遺伝子座間に起こる正常な減数分裂組換えに完全に依存する。しかし、親間の構造及び配列の差の存在によって、減数分裂組換えは抑制され、より小さくすることができない、野生生殖質からの大きなイントログレッションの存在をもたらし得る(Canadyら(2006)Genetics 174、1775〜1788)。
[008]減数分裂組換えが、斯かる領域において抑制されると、その後の戻し交雑において、イントログレッションサイズの減少が成功しない。これは、望ましいプラスの形質と共にマイナスの形質が、イントログレッションに位置する場合に特に問題となり得るが、その理由として、両者は減数分裂組換えを用いて容易に分離できないからである。これは、野生生殖質に由来するイントログレッションにおいて容易に破壊することができないリンケージドラッグが頻繁に存在する理由を説明している。斯かるリンケージドラッグの破壊に通常採用されるアプローチは、2遺伝子座間の組換え事象に関する通常よりも多くの植物をスクリーニングすることである。このアプローチが可能な場合もあるが、非常に費用がかかる可能性があり、組換え抑制の程度が不明なため、成功の保証はない。非常に大規模な植物集団をスクリーニングする真剣な努力にもかかわらず、更なる組換えが起こらないイントログレッションの例が多くある。数報の刊行物(例えば、国際公開第03/104451号及び国際公開第00/54574号)には、リンケージドラッグを有する領域等、抑制された減数分裂組換えの領域において稀な組換え事象を得る機会を増加させ得る、植物におけるMHRを増強させるための方法についての記載がある。しかし、これらの刊行物に記載されている方法は、育種材料において望ましくない、細胞におけるあらゆる相同遺伝子座間のHR経路を増強させる処理を提唱している。加えて、このような処理はまた、多くの場合、本質的に変異原性であり、DNA配列をゲノムワイドに変更し、予測不可能な表現型をもたらす。例えば、刊行物EP0270120は、リンケージドラッグが、高レベルの変異原性植物成長調節因子を含有する培地での組織培養における植物細胞の成長によって破壊され得ることを教示する。他の刊行物と同様に、ゲノムワイドな組換え率が影響を受け、よって、この方法によって作出された植物は、更なる育種には不適となるであろう。
[009]したがって、本技術分野において、特に育種プロセスにおける植物ゲノムの操作を可能にし、特に、両者共に組換えが抑制された染色体の部分に局在化された、同じ染色体上の2遺伝子座間の遺伝連鎖の破壊/解消を可能にする、再現性があるより容易な方法論の要求が明らかにある。
[010]本出願人らは、驚くべきことに、リンケージドラッグを有するイントログレッションにおいてのみ特異的に組換え事象を誘導するためのNHEJ経路を用いて、ゲノムの残り部分全体における組換え又は突然変異率の変更を回避することによって、上述で同定された先行技術における要求が解決され得ることを見出した。実際に、本発明において、本出願人らは、特に、リンケージドラッグを破壊するための、植物育種におけるNHEJ経路の新規使用を開示する。本出願人らはここに、植物体細胞に適用することができ、例えば、F1雑種における相同又は同祖(homeologous)染色体間のいずれかの特異的なポジションにおいて、NHEJによる転座の作製を可能にする方法を開示する。この方法論は、例えば、リンケージドラッグを排除する目的で、倍数体ゲノムを標的化操作する目的で、カスタムイントログレッション(custom introgressions)を生成する目的で、単純化された微細マッピングを行う目的で、また、遺伝子融合体を作製する目的で、広範な育種アプリケーションに用いることができる。
[011]より詳細には、本発明は、例えば、部位特異的ヌクレアーゼ(ヌクレアーゼシステムを含む)を用いた、植物プロトプラストを含む植物細胞への二本鎖切断の導入に関与する。部位特異的ヌクレアーゼは、両方の相同染色体上の対応するポジションにおける特異的同一配列に標的化され得る。続いて、ヌクレアーゼは、各染色体においてDNA二本鎖切断を誘導し、これは予想外の高頻度で(細胞のおよそ0.8%において)、染色体腕の交換を生じつつ再連結され、誘導された標的化転座をもたらす。本方法の追加的な重要な利点の1つは、大規模な植物集団をスクリーニングして(これら全て温室を必要とする)、ランダムな減数分裂HR事象を同定するのではなく、所望の組換え事象を同定するための組織培養設備のみを必要とすることである。したがって、上に示す目的のための方法の使用は、育種プロセスそれ自体に大幅な費用削減をもたらすこともできる。
[012]本発明に係る方法は、例えば、次の目的に用いることができる。
a.リンケージドラッグの破壊:TMV及びTYCLV等、重大なウイルスに対する抵抗性は、野生トマト種から導入され、抵抗性を付与する遺伝子は、組換え的にサイレントな大型のイントログレッション断片に存在する。このようなイントログレッションには、収量にマイナスに影響を与える遺伝子も存在するが(リンケージドラッグ)、これを抵抗性の供給源から組換えによって除去することができない。しかし、ウイルス抵抗性には非常に価値があるため、この収量損失は受け入れられる。本明細書に記載されている技法は、規定のポジションにおいてイントログレッション断片をばらばらにし、これによって、ウイルス抵抗性を有するが、リンケージドラッグを欠く系統を作出する目的に用いることができる。あらゆる形態のリンケージドラッグが、育種における大きな問題であり、将来に亘り植物育種の進行を遅らせ、複雑化し続けるであろう。
b.テーラードイントログレッション(tailored introgressions):公知配列のいずれかの染色体領域は、相同染色体上のいずれかの他の配列に連鎖し得る。これによって、最終産物に望むイントログレッションのサイズを規定することが可能になる。実際には、イントログレッションは、単一の遺伝子を含むことができる。
c.微細マッピング:遺伝子マッピングは、減数分裂組換えを用いて、遺伝子をマーカーに連鎖させるが、減数分裂組換えが抑制される場合又は多くの遺伝子が密接に連鎖している場合には有効ではない。転座をもたらす本明細書に開示されている方法は、イントログレッション断片をより小さな領域に分け、続いてマーカーを用いてこれを遺伝子型判定する又は表現型判定するために用いることができる。このようにして、原因遺伝子を迅速に同定することができる。
d.遺伝子内組換え:病原体の新たな生物型が進化するにつれて、抵抗性の新たな供給源が必要とされる。抵抗性遺伝子は、正常にクラスターで存在し、これらの間の組換えは、新たな抵抗性を付与する新たな遺伝子を生じる。しかし、これは、低頻度の事象であり、発見が困難である。転座を用いて、異なる染色体上のクラスターに存在する抵抗性遺伝子の部分(ドメイン)を組み合わせて、新規抵抗性を付与するドメインの新たな組み合わせを作製することができる。
e.倍数体種におけるホモ接合性:いくつかの倍数体植物種は、異質倍数体であり、これは、別々のゲノム同士が、減数分裂において組換えを行わないことを意味する。これは、ゲノムのうち1種が染色体ポジションにマイナスの表現型を保有する場合に、これを排除することができないため、問題となり得る。転座は、ゲノム間で誘導することができ、自家受粉によって、染色体腕全体が完全にホモ接合型となる状況を作り出すことができる。これを用いて、一方のゲノムの染色体において誘導された突然変異を、他方のゲノムの染色体に移行させることもでき、この手法は、斯かる突然変異が劣性である場合に(殆どがこれに該当する)特に有用である。
[013]上に開示されている様々な目的のため、本明細書に開示されている方法を適用するための発明的考案の実現によって、当業者であれば、上に示されている目的のために、このような方法を実際に適用することができるであろう。
[014]一態様において、植物又は植物細胞における第1の植物染色体上に存在する第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖を解消するための方法であって、染色体上における前記第1の遺伝子座Aの位置と前記第2の遺伝子座Bの位置とを含むこれらの間の(減数分裂)組換えが抑制されている方法が提供される。本方法は、前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含む前記第1の染色体を含み、少なくとも第2の染色体を更に含む少なくとも1個の植物細胞を用意するステップであって、前記染色体が、互いに相同又は同祖染色体であるステップと、第1の染色体に二本鎖切断を導入するサブステップであり、第1の染色体における二本鎖切断が、前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間に導入され、これによって、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分及び第2の遺伝子座Bを含む第1の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ、及び第2の染色体に二本鎖切断を導入し、これによって、第2の染色体における第1の部分及び第2の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップを含むステップとを含む。第1の染色体における二本鎖切断及び/又は第2の染色体における二本鎖切断は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムからなる群から選択されることが好ましい、少なくとも1種の部位特異的ヌクレアーゼによって導入される。
[015]必要に応じて、但し、好ましいある特定の実施形態において、本方法は、得られた少なくとも1個の植物細胞を用いて、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖が解消され、更に、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分が、第2の染色体における第2の部分にライゲーションされた、少なくとも1個の植物細胞を同定するステップを更に含む。
[016]第1の染色体における二本鎖切断及び/又は第2の染色体における二本鎖切断は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALENS)及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムからなる群から選択されることが好ましい、少なくとも1種の部位特異的ヌクレアーゼによって導入される。
[017]特に好ましい実施形態において、第1の染色体が、前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含み、前記第1の遺伝子座Aが、第1の特性の望ましい形質に連鎖し、前記第2の遺伝子座Bが、前記第1の特性又は第2の特性の望ましくない形質に連鎖し、前記第2の染色体が、前記第1の特性又は第2の特性の望ましくない形質に連鎖した前記第2の遺伝子座Bと同一の遺伝子座を含まず、第1の染色体における前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間に並びに第2の染色体における対応する遺伝子座又は位置に1個の二本鎖切断が導入される、本方法が行われる。本実施形態は、(雑種)植物において一般的に見られる、望ましい及び望ましくない形質の間のリンケージドラッグの解消を可能にする。
[018]したがって、植物P2から得られる植物P1を用意するための方法であって、前記植物P2が、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖の存在によって特徴づけされ、染色体上における前記第1の遺伝子座Aの位置と前記第2の遺伝子座Bの位置とを含むこれらの間の(減数分裂)組換えが抑制されており、前記植物P1が、前記遺伝連鎖の非存在によって特徴づけされ、前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含む前記第1の染色体を含み、少なくとも第2の染色体を更に含む少なくとも1個の植物細胞を用意するステップであり、前記染色体が、互いに相同又は同祖染色体であるステップと、第1の染色体に二本鎖切断を導入するサブステップであり、第1の染色体における二本鎖切断が、前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間に導入され、これによって、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分及び第2の遺伝子座Bを含む第1の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ、及び第2の染色体に二本鎖切断を導入し、これによって、第2の染色体における第1の部分及び第2の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップを含むステップと、必要に応じて、得られた少なくとも1個の植物細胞から、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖が解消され、更に、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分が、第2の染色体における第2の部分にライゲーションされた、少なくとも1個の植物細胞を同定するステップとを含む方法も提供される。これによって、植物P1を再生させることができる。
[019]本発明の別の態様において、第1の染色体上に存在する第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖を解消するための、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムからなる群から選択されることが好ましい、部位特異的ヌクレアーゼの使用であって、染色体上における前記第1の遺伝子座Aの位置と前記第2の遺伝子座Bの位置とを含むこれらの間の(減数分裂)組換えが抑制されている使用が提供される。
[020]本発明の最終態様において、本発明に係る方法又は本発明に係る使用によって得ることができる又は得られる、植物、植物部分、果実又は種子が提供される。
左パネル:1個のプロトプラストの内部における、2本の相同染色体を示し、一方の染色体における薄灰色セクションは、減数分裂組換えが起こらない(組換え抑制)、適応されていない野生種からのイントログレッション(薄灰色)を表す。イントログレッションにおけるボックスは、プラスの表現型をもたらす遺伝子座(黒色)及びマイナスの表現型をもたらす遺伝子座を表す。二本鎖切断誘導酵素を発現するプラスミドを円形で示す。矢印は、部位特異的ヌクレアーゼによってDNA DSBが誘導される染色体ポジションを表す。中央パネル:DNA DSBが、両方の相同染色体において誘導される。右パネル:相互転座をもたらすDSB修復。プラス及びマイナスの遺伝子座は、もはや連鎖していない。 ソラナム・ペンネリ(Solanum pennellii)ALS2遺伝子座の配列を示す図である。ALS2オープンリーディングフレームを下線で示す。ZFNの標的配列を太字イタリック体で示す。 ソラナム・ペンネリALS2遺伝子座(左パネル)又はWT ALS2遺伝子座(右パネル)のいずれかを特異的に増幅するプライマーの検査結果を示す図である。L、ラダー;BC、IL7−3×M82交雑に由来するF1系統;M82、WTトマト系統;IL7−3、染色体VIIにS.ペンネリ(S.pennellii)イントログレッションを含有する系統;B、水対照。 IL7−3及びM82系統のプロトプラストにおいて誘導された小さい欠失を示す図である。上の行、標的部位の配列。ZFN結合部位を下線で示す。M82及びIL7−3プロトプラストに見られた小さい欠失を示す。破線は、欠損ヌクレオチドを表す。 M82 ALS2及びS.ペンネリALS2配列を示し(上)、ZFN結合部位を下線で示し、遺伝子座間の一塩基多型(SNP)を太字の小文字で示す。ZFN結合部位を下線で示す。ZFN結合部位の後の遺伝子座間の第1のSNPは、図示する通り、449bp下流である。全PCR増幅に用いられるプライマーは、11_13680(S.ペンネリALS2フォワードプライマー)及び12_07231(M82 ALS2リバースプライマー)である。M82&IL7−3、親系統から得られたプロトプラストのpKG7402によるトランスフェクションに由来するクローニングされたPCR産物の配列。F1、F1系統から得られたプロトプラストのpKG7381(35S::GFP)によるトランスフェクションに由来するクローニングされたPCR産物の配列。F1×ZFN、F1系統のプロトプラストのpKG7402によるトランスフェクションに由来するクローニングされたPCR産物の配列。ZFN結合部位における小さいINDELの存在を、欠損ヌクレオチドによって表す。非選択的PCR反応においてプライマー12_11216+12_11217を用いてクローン#1及び#2を単離した。 ブラシカ・ナプス(Brassica napus)における標的化転座を模式的に示す図である。1、A(暗灰色)及びC(薄灰色)ゲノムを示す。ホモ接合型にしようとする遺伝子座を円形で示す。部位特異的ヌクレアーゼは、細胞において発現され、全4本の染色体の点線のポジションにおいてDSBを誘導する。2、A及びCゲノムの間で標的化転座が起こる。3、自家受粉後に、転座領域及び対象とする遺伝子座はホモ接合型となる。4、Cゲノム由来の染色体腕の部分がホモ接合型となる。
説明
定義
[027]他に特段の規定がなければ、本明細書に用いられている技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意義を有する。分子生物学、生化学、計算生化学、細胞培養、組換えDNA、バイオインフォマティクス、ゲノミクス、配列決定及び関連分野における従来技術の実施は、当業者にとって周知であり、例えば、次の参考文献に記述されている:Sambrookら、Molecular Cloning. A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989;Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、1987及び定期更新;並びにシリーズ、Methods in Enzymology、Academic Press、San Diego。本発明のために、次の用語を下に規定する。
[028]本明細書において、単数形(「a」、「an」及び「the」)は、文脈がそれ以外を明らかに指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「単数の(a)」DNA分子の言及は、複数の同DNA分子(例えば、数十、数百、数千、数万、数十万、数百万個以上の分子)を含むことができる。
[029]用語「及び/又は」は、示されている事例のうち1種又は複数が起こり得ることを示す。言い換えれば、示されている事例は、単独で起こっても、或いは示されている事例のうち少なくとも1種と、最大では示されている事例の全てと組み合わせて起こってもよい。用語、及び/又は、は、示されている事例のそれぞれを単独で開示すると共に、他の示されている事例のうち少なくとも1種と、最大では示されている事例の全てと、示されている事例との特異的な組み合わせを開示する。
[030]本開示において、「を含む(comprises)」、「を含んでいる(comprising)」、「を含有している(containing)」及び「を有している(having)」その他は、特許法における規定に基づく意義を有することができ、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」その他を意味することができる。「から本質的になっている」又は「から本質的になる」は同様に、特許法に基づく意義を有し、この用語は制約がなく(open−ended)、列挙されているものの基本的又は新規特徴が、列挙されているもの以外の存在によって変化されない限りは、列挙されているもの以外の存在を認めるが、先行技術の実施形態を除外する。
[031]本明細書において、用語「アレル(複数可)」は、特定の遺伝子座における遺伝子の1種又は複数の代替的形態のいずれかを意味する。生物の二倍体細胞において、所定の遺伝子のアレルは、染色体の特異的な位置又は遺伝子座(遺伝子座、複数形)に位置する。1種のアレルが、相同染色体対の各染色体に存在する。二倍体又は植物種は、特定の遺伝子座に多数の異なるアレルを含むことができる。
[032]「特性」は、生物の表現型的品質に関する。特性は、それ自体、異なる形質において明らかにすることができる。例えば、植物は、特性として花色を有する植物となることができ、赤色又は白色の花は、この特性の形質A及びBである。本発明の範囲内において、特性の第1の形質を有する生物のメンバーを特性の第2の形質を有する生物のメンバーから表現型的に区別することができる限り、特性(又は形質)は、いかなるものとなることもできる。これは、生物の検査によって直接的に観察され得る差異のみに限定されず、生物の更なる解析、例えば、ある特定の状況に対する抵抗性の解析又は斯かる生物における特定の代謝物の存在の解析によって明らかとなり得る特性/形質も含む。
[033]同じ染色体における遺伝子座間の「遺伝連鎖」は、当業者によって、減数分裂において正常に共に遺伝するように、同じ染色体において互いに相対的に位置する遺伝子座同士を指すものと理解される。例えば、その遺伝子座が互いにより近い遺伝子同士は、染色体乗換えの際に異なる染色分体へと分離される可能性が低く、したがって、遺伝的に連鎖していると言われる。別の例は、遺伝子座同士が両者共に、「(減数分裂)組換えの抑制」(後述を参照)によって特徴づけられる染色体の同じセグメントに位置する場合を言う。この場合も同様に、遺伝子座同士は、減数分裂において共に遺伝する可能性が高い。
[034]本明細書において、用語「ヘテロ接合型」は、2個の異なるアレルが、特異的遺伝子座にある場合に存在する遺伝的状態を意味する。逆に、本明細書において、用語「ホモ接合型」は、2個の同一アレルが、特異的遺伝子座にあるが、細胞における対応する相同染色体対の個々のポジションに置かれる場合に存在する遺伝的状態を意味する。
[035]用語「同祖」又は「ホメオロガス(homoeologous)」染色体は、種間雑種形成及び異質倍数体化後に一緒になった類似の染色体の関係性を説明するよう用いられており、祖先種におけるその関係性は、完全に相同であったものを意味する。2種の染色体は、これらが2種の異なるゲノムに由来するが、類似のヌクレオチド配列、類似の遺伝子配列順シンテニー等の特徴を共有し、両方のゲノムのカリオグラム(karyogram)における対応するポジションに配置される場合、同祖であると言われる。
[036]用語「相同」染色体は、減数分裂の際に対形成する類似の染色体の関係性を説明するよう用いられる。2種の染色体は、これらが減数分裂においてシナプトネマ構造を介して染色体対を形成することができる場合、互いに相同である。
[037]2つの二本鎖DNA分子が共有結合によって一体に連結される、リガーゼ酵素によって触媒される酵素反応は、ライゲーションと称される。DNA分子は、この反応によって「ライゲーションされた」と言われる。
[038]本明細書において、用語「遺伝子座」(遺伝子座、複数形)は、遺伝子又は遺伝的マーカーが位置する、染色体における特異的な座位(単数又は複数)又は部位を意味する。
[039]「遺伝子型」は、通常、考慮の対象である特異的な特性又は形質に関する、細胞、生物又は個体の遺伝的構成(即ち、個体の特異的アレル構成)である。
[040]「表現型」は、その形態、発生、生化学的又は生理学的性質、生物季節学、行動及び行動の産物等、生物の観察可能な特徴又は形質である。表現型は、遺伝子の発現及び環境因子の影響並びに両者の間の相互作用に起因する。
[041]本開示は、単子葉類及び双子葉類の両方を含む広範な植物に適用可能である。非限定例として、ウリ科(Cucurbitaceae)、ナス科(Solanaceae)及びイネ科(Gramineae)、トウモロコシ/コーン(ゼア属(Zea)の種)、コムギ(トリチカム属(Triticum)の種)、オオムギ(例えば、ホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare))、カラスムギ(例えば、アベナ・サティバ(Avena sativa))、ソルガム(ソルガム・ビコロ(Sorghum bicolor))、ライムギ(セカレ・ケレアレ(Secale cereale))、ダイズ(グリシン属(Glycine)spp、例えば、G.マックス(G.max))、ワタ(ゴシッピウム属(Gossypium)の種、例えば、G.ヒルスツム(G.hirsutum)、G.バーバデンセ(G.barbadense))、ブラシカ属(Brassica)spp.(例えば、B.ナプス(B.napus)、B.ユンケア(B.juncea)、B.オレラケア(B.oleracea)、B.ラパ(B.rapa)等)、ヒマワリ(ヘリアンタス・アヌス(Helianthus annus))、ベニバナ、ヤムイモ、キャッサバ、アルファルファ(メディカゴ・サティバ(Medicago sativa))、イネ(オリザ属(Oryza)の種、例えば、O.サティバ(O.sativa)インディカ栽培品種群又はジャポニカ栽培品種群)、飼料草、トウジンビエ(ペニセタム属(Pennisetum)spp.、例えば、P.グラウクム(P.glaucum))、樹木種(ピヌス属(Pinus)、ポプラ、モミ、プランティン(plantain)等)、チャノキ(tea)、コフィア属(coffea)、アブラヤシ、ココナツ、エンドウマメ、ズッキーニ、マメ(例えば、ファセオルス属(Phaseolus)の種)、キュウリ、アーティチョーク、アスパラガス、ブロッコリー、ニンニク、ニラ(leek)、レタス、タマネギ、ダイコン(radish)、レタス、カブ、芽キャベツ、ニンジン、カリフラワー、チコリー、セロリ、ホウレンソウ、エンダイブ、フェンネル、テンサイ等の野菜種、多肉果結実植物(ブドウ、モモ、プラム、イチゴ、マンゴー、リンゴ、プラム、サクランボ、アンズ、バナナ、ブラックベリー、ブルーベリー、柑橘類、キーウィ、イチジク、レモン、ライム、ネクタリン、ラズベリー、スイカ、オレンジ、グレープフルーツ等)、観賞用の種(例えば、バラ、ペチュニア、キク、ユリ、ガーベラ種)、ハーブ(ミント、パセリ、バジル、タイム等)、木材用(woody)樹木(例えば、ポプルス属(Populus)、サリクス属(Salix)、ケルクス属(Quercus)、ユーカリプタス属(Eucalyptus)の種)、繊維用の種、例えば、アマ(リナム・ウシタティスシムム(Linum usitatissimum))及びアサ(カンナビス・サティバ(Cannabis sativa))又はアラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)等のモデル生物が挙げられる。
[042]本発明のために、用語「組換え」は、2遺伝子座間の遺伝材料が交換されるプロセスを示すように用いられる。
[043]「(減数分裂)組換えの抑制」:雑種個体における同じ染色体上の2遺伝子座間の減数分裂組換えは、該雑種植物の自家受粉又は戻し交雑後に、2000体の子孫個体において1回未満の乗換え又は組換え事象が起こる場合、抑制されている。
[044]生物学において、「形質」は、同じ生物の(いずれかの)他の個々のメンバーと比較した、生物の個体メンバーのいずれかの表現型的な特徴的特性と関連している。本発明の文脈内において、形質は、生物における遺伝情報によって、生物の次世代へと遺伝する、即ち、受け渡すことができる。「同じ特性の形質」又は「前記特性の形質」:特性に存在する(又は明らかとなった)少なくとも2種の形質の群のうちいずれか1種。例えば、特性「花の色」の場合、表現型的顕在化は、青色、赤色、白色等々を含むことができる。上述の例において、青色、赤色及び白色は全て、同じ特性の異なる形質である。
[045]本願を通して、様々な参考文献が括弧内に引用されて、本発明が属する技術水準をより十分に説明する。引用毎の完全文献目録情報は、本明細書の終わり、特許請求の範囲の直前に記されている。これらの参考文献の開示は、これによって、ここに本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体を本開示に援用する。
詳細な説明
[046]本発明は、もはや従来の育種方法論又は従来のマーカー支援育種に頼らないことを可能にする、染色体に存在する遺伝子座間の遺伝連鎖を解消するための新たな発明的方法を提供する。特に、本明細書に開示されている方法論は、体細胞における、(減数分裂)組換え抑制によって特徴づけられる染色体の部分、即ち、減数分裂条件下において正常に共に遺伝する部分の組換えの達成を可能にする。本方法は、一態様において、体細胞における、(減数分裂)組換え抑制によって特徴づけられる染色体の区域又は部分における相同及び/又は同祖染色体間の相互染色体転座(乗換え;交換)を可能にする。例えば、本方法は初めて、同じ染色体上の、両者共に染色体の斯かる「抑制(supress)された(減数分裂)組換え」部分に位置する2遺伝子座間の遺伝連鎖の効率的な解消を可能にする。加えて、本方法は、これを体細胞において可能にし、DNA配列非依存性であり、減数分裂又は有糸分裂に依存しない。
[047]より詳細には、植物又は植物細胞における第1の植物染色体上に存在する第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖を解消するための方法であって、染色体上における前記第1の遺伝子座Aの位置と前記第2の遺伝子座Bの位置とを含むこれらの間の(減数分裂)組換えが抑制されており、
(a)前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含む前記第1の染色体を含み、少なくとも第2の染色体を更に含む少なくとも1個の植物細胞を用意するステップであり、前記染色体が、互いに相同又は同祖染色体であるステップと、
(b)第1の染色体に二本鎖切断を導入するサブステップであり、第1の染色体における二本鎖切断が、前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間に導入され、これによって、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分及び第2の遺伝子座Bを含む第1の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ、及び
第2の染色体に二本鎖切断を導入し、これによって、第2の染色体における第1の部分及び第2の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ
を含むステップと、
(c)必要に応じて、ステップ(b)によって得られた少なくとも1個の植物細胞を用いて、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖が解消され、更に、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分が、第2の染色体における第2の部分にライゲーションされた少なくとも1個の植物細胞を同定するステップと
を含み、第1の染色体における二本鎖切断及び/又は第2の染色体における二本鎖切断が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムからなる群から選択されることが好ましい、少なくとも1種の部位特異的ヌクレアーゼによって導入される方法が提供される。
[048]本方法によって、同じ染色体に存在する遺伝子座A及びB間の遺伝連鎖が解消される。言い換えれば、本発明に係る方法の後に、2種の本来の遺伝子座A及びBは、その後の減数分裂において共に遺伝する可能性が低くなり、実際に、同じ染色体上に共に存在しない。好ましい実施形態において、遺伝子座A及び遺伝子座Bは、同じ染色体腕に存在する。
[049]第1の染色体における遺伝子座A及び遺伝子座Bは、第1の染色体に存在する遺伝子、プロモーター、遺伝的マーカー又はいずれかの配列となり得る。遺伝子座は、特定の生物学的形質の遺伝子座としてマッピングされてもされなくてもよい。一部の実施形態において、遺伝子座A及び/又は遺伝子座Bは、遺伝子及び/又は遺伝子の部分である。
[050]本方法は、好ましくは、植物細胞、好ましくは、植物プロトプラストに存在する染色体において、好ましくは、斯かる植物細胞の染色体の完全セットを含む、斯かる植物細胞の他の天然起源の構成成分の存在下で行われる。
[051]好ましい実施形態において、植物細胞は、プロトプラストである。植物プロトプラストを得て維持するための方法は、当業者であれば容易に利用できる。植物細胞において(配列特異的)DNA DSBを誘導する効率的な方法の大部分が、植物プロトプラストの使用によって行われることが判明した。プロトプラストは、一次及び二次細胞壁を欠く個々の植物細胞であり、植物部分を真菌由来の酵素混合物と共にインキュベートすることによって作製される。次に任意のDNA(例えば、プラスミド等)を化学的処理によってプロトプラストに導入することができ、各細胞に導入した数千個のプラスミドコピーによって、プラスミドに存在する対象とする任意の遺伝子(適した植物プロモーターによってその発現が駆動される遺伝子)を高レベルで発現させることができる。プラスミドは、複製することができず、時間と共に分解されるようになるため、遺伝子発現は、好ましくは、一過性で、例えば24〜36時間持続する。その上、植物ゲノムにおけるプラスミドの組み込みは稀である。/pct
[052]個々の植物プロトプラストを分裂するよう誘導して、カルスと呼ばれる未分化細胞塊を形成させることができ、これを次に、葉及びシュートを再生するよう誘導し、根付かせて、植物体を生成することができる。プロトプラストに基づくシステムは、本明細書に記載されている方法のいずれかを用いたDNA DSBの生成に理想的である。部位特異的ヌクレアーゼをプラスミドに配置して高レベルに発現させることができ、必要とされるDNA DSBを誘導することができる多量の部位特異的タンパク質を産生することができる。プロトプラストを多数(1日当たり数百万個)単離し、まとめてプラスミドDNAをトランスフェクトすることができ、このようなトランスフェクトされたプロトプラストに由来するカルスは、単一のプロトプラスト細胞に由来するため、キメラ現象に悩まされることはない。
[053]しかし、遺伝子座A及び遺伝子座Bは、前記第1の染色体における、部分、区域又はセグメントの(減数分裂)組換えが抑制されることを特徴とする部分、区域又はセグメントに局在化されることを特徴とする。本明細書に記載されている通り、「抑制された減数分裂組換え」とは、雑種個体における同じ染色体上の2遺伝子座間の減数分裂組換えが、雑種植物の自家受粉又は戻し交雑後の2000体の子孫個体において1回未満の乗換え又は組換え事象が起こることを示すことを意味する。好ましい実施形態において、これは、2500、5000又は8000体の子孫個体において1回未満の乗換え又は組換え事象が起こる。当業者であれば、これを決定する方法が分かる。
[054]本方法において、二本鎖切断は、前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含む第1の染色体に導入される。斯かる二本鎖切断が導入されるポジション又は遺伝子座は、前記第1の遺伝子座AとBとの間である。遺伝子座AとBとの間に二本鎖切断を導入することによって、染色体は、少なくとも2部分に、好ましくは、2部分以下に分けられる;前記遺伝子座Aを含む1部分と、前記遺伝子座Bを含む1部分。本発明の文脈において、前記染色体における第1の部分又は第2の部分について言及する場合、これは、現在セントロメアを含む(即ち、セントロメアに向かって(これを含む)本来の染色体に存在した)部分又は二本鎖切断の導入によって、現在セントロメアから分離された部分(即ち、染色体中央から更に離れた、即ち、二本鎖切断の導入によって形成される他の部分と比べて染色体末端(腕)により近い部分)のいずれかを示すことができる。本発明の文脈において、第1の染色体における第1の部分が、第2の染色体における第2の部分にライゲーションされる場合、これは、前記染色体(複数可)における二本鎖切断の導入によって形成される他の部分と比べて、第1の染色体のセントロメアにより近い第1の染色体の部分が、第2の染色体のセントロメアから更に離れた第2の染色体の部分にライゲーションされること、或いはその逆を示す。言い換えれば、第1の及び第2の染色体における第2の部分を含む再ライゲーションされた染色体において、一実施形態において、二本鎖切断の導入によって形成された同じ染色体の他の部分と比べて、第1の部分は、第1の染色体のセントロメアにより近く、第2の部分は、第2の染色体のセントロメアから更に離れていた。
[055]驚くべきことに、上述のステップを行うと、分子技法を用いて、或いは単純に、斯かる細胞から植物体を再生することによって、前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖が解消され、遺伝子座Aが第1の染色体に存在し、遺伝子座Bが前記第2の相同又は同祖染色体に存在するように、少なくとも2種の相同又は同祖染色体間に乗換え(交換)が起こった植物細胞を同定することができることが判明した。言い換えれば、相同又は同祖染色体は、少なくとも2種の染色体間に交換又は乗換えが起こったという点において再編成され、遺伝子座A及び遺伝子座Bは、(減数分裂)組換えが抑制された染色体の区域に位置したが、分離された。
[056]したがって、必要に応じて、上述のステップ(a)及び(b)を行った後に、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖が解消され、更に、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分が、第2の染色体における第2の部分にライゲーションされた少なくとも1個の細胞を同定することができる。或いは、一部の実施形態において、ステップ(b)の後に得られた細胞を植物体へと再生させ、必要に応じて、その後に自家受粉することができ、このようにして得られた植物を用いて、例えば、遺伝子座A及び遺伝子座Bが、観察することができる特定の形質(複数可)に連鎖する場合、遺伝子座AとBとの間の遺伝連鎖の解消に関して表現型的にスクリーニングすることができる。
[057]上述の方法のステップ(c)が行われる、即ち、これが本発明に係る方法の部分であることが好ましい。当業者であれば、本明細書における開示に基づき、斯かる少なくとも1個の細胞を同定する方法を十分に把握する。例えば、個々のプロトプラストを先ず別々に増やし、その後、例えば、標準DNA配列決定、又は2種の染色体の2部分の再ライゲーションの増幅若しくはハイブリダイゼーション技法、及び/又は子孫の表現型の判定、及び/又は蛍光in−situハイブリダイゼーション(FISH)を用いて、増やされた(クローン)プロトプラストのいくつかを解析することができる。
[058]好ましい実施形態において、上述のステップ(c)を行う場合、本方法は、加えて、第1の染色体における第2の部分も第2の染色体における第1の部分にライゲーションされた細胞の同定を更に含む。さらに、上述の通り、当業者であれば、斯かる同定を行う方法を十分把握している。
[059]本明細書に開示されている方法の特に好ましい実施形態において、選択される植物細胞は、第2の染色体が、前記第1の遺伝子座Aと同一の遺伝子座を含まない、及び/又は前記第2の遺伝子座Bと同一の遺伝子座を含まないようなものである。言い換えれば、第2の染色体は、同じ遺伝子座A及び/又はBのアレルを有することができるが、第1の染色体に存在する遺伝子座/アレルと少なくともある程度の配列差を持たなければならない。例えば、第1の染色体は、ある特定の遺伝子の第1のアレルとなり得る遺伝子座A又はBを含み、第2の染色体は、同じ遺伝子の別のアレルを含むことができる。斯かる実施形態において、第1の染色体及び第2の染色体上のアレルが、異なる表現型に関係することが好ましい。
[060]本明細書に開示されている方法の別の実施形態において、前記第1の植物染色体に存在する前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間の距離は、1塩基対と染色体全長との間である。上に開示されている通り、第1の染色体における遺伝子座A及び遺伝子座Bは両者共に、(減数分裂)組換え抑制によって特徴づけされる染色体の(同じ)区域/部分/セグメントに存在する。本発明の特定の追加的な利点は、斯かる遺伝子座が、互いに非常に近い、或いは遠くに離れているとしても、依然として生存する正常な植物を生じつつ、現在、斯かる遺伝子座を容易に分離することができることである。
[061]本明細書に開示されている方法において、第1の染色体における二本鎖切断及び/又は第2の染色体における二本鎖切断は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALENS)及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムから選択されることが好ましい、少なくとも1種の部位特異的ヌクレアーゼによって導入される。
[062]遺伝毒性薬剤が、ゲノムの至るところにDNA切断及び修飾をランダムに導入する一方、本発明において用いられる(エンド)ヌクレアーゼは、現在、DNA DSBがその後誘導される特異的DNA配列を認識し結合するよう合理的に設計することができる。
[063]本発明のため、DSBを導入するために次の4種の技術/ヌクレアーゼシステムが好ましい:(1)メガヌクレアーゼ、(2)ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び(3)TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)及び(4)Cas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステム。
[064]I−SceI等のホーミングエンドヌクレアーゼを含むメガヌクレアーゼに突然変異を導入して、変更されたDNA配列親和性を付与することができ(Belfort and Roberts、1997、Nucleic Axids Res.25:3379〜3388;Chevalier and Stoddard、2001、Nucleic Acids Res.29:3757〜3774)、その活性は、植物において報告されている(Kirik、2000、EMBO J.19、5562〜566)。メガヌクレアーゼは、LAGLIDADGホーミングエンドヌクレアーゼと称されることもある(LHE;Stoddardら(2011) Structure 19:7〜15)。メガヌクレアーゼは、それぞれ約160〜200アミノ酸残基のサイズである2個の同一サブユニットを含むホモ二量体を形成する、天然起源の遺伝子標的化タンパク質であるという点において、ジンクフィンガーヌクレアーゼ及びTALEN(後述を参照)と異なる。これが、リンカー配列によって一体に連結された2個のタンデムリピート単量体の単一のペプチドとして機能することもできることが示唆された(Stoddard、2011)。メガヌクレアーゼは一般に、約20〜30塩基対の標的部位を認識する。メガヌクレアーゼ並びに活性及び変更された標的特異性に関して突然変異したメガヌクレアーゼを評価するための方法の概要に関して、Stoddardsら(2011)について言及する。加えて、メガヌクレアーゼの使用は、例えば、国際公開第2011154159号及びEP2522723に記載されている。当業者であればよく分かる方法を用いて、本発明において用いられるメガヌクレアーゼ又はメガヌクレアーゼ対と共に他の全てのヌクレアーゼを植物細胞に導入し、そこでその後(一過的に)発現させることができる。例えば、それぞれメガヌクレアーゼ又はメガヌクレアーゼ対の一方をコードするコード領域に連結され、植物細胞において機能的な転写終結及びポリアデニル化に関与するDNA領域に操作可能に更に連結された植物発現可能プロモーターを含む、キメラ遺伝子又はキメラ遺伝子対から発現させることができる。
[065]本発明のために、用語「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」又は「ZFN」は、DNAを切断することができる少なくとも1個のヌクレアーゼに有効に連結された、少なくとも1個のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むキメラタンパク質分子を指す。標的遺伝子座におけるZFNによる切断は、該遺伝子座における二本鎖切断(DSB)を生じる。ジンクフィンガーヌクレアーゼは、2個のドメイン、通常IIS型制限酵素FokIに由来する、一連のジンクフィンガードメイン及びヌクレアーゼドメインからなる。FokI等のこのようなIIS型制限酵素は、特異的DNA配列を認識し、認識部位の下流の数塩基対を切断する。各ジンクフィンガードメインは、特異的3bpトリプレットを認識するよう操作することができ、多数のこれらを一体に連結することによって、より長いDNA配列を特異的に認識することができる。FokIドメインは、DNAを切断する前に二量体形成する必要があるため、2個のZFNタンパク質が、5〜6bpの短いスペーサー領域によって離れた、向かい合ったDNA鎖に存在する両配列を標的化するよう設計される。それらそれぞれの標的配列への両方のZFNタンパク質の結合は、両方のFokIドメインを、スペーサー領域におけるDNAヘリックスに互いに向かい合って配置し、次にそこでDNA DSBが生成される。多くの試験によって、多くの異なる植物種において、内在性標的配列に小さいINDELを誘導するのにZFNが有効であることが示された(Curtin(2012)The Plant Genome、5、42〜50)。オーダーメイドジンクフィンガーヌクレアーゼは、Sigma−AldrichからCompoZrの名称で市販されている(http://www.siqmaaldrich.com/life−science/zinc−finger−nuclease−technology.html)。植物におけるジンクフィンガーヌクレアーゼの使用は、例えば、国際公開第03087341号及び国際公開第2011052539号に記載されている。当業者であればよく分かる方法を用いて、本発明に用いられるZFN及び本発明において用いられる他の全ヌクレアーゼを植物細胞に導入し、そこでその後(一過的に)発現させることができる。例えば、それぞれジンクフィンガーヌクレアーゼ又はジンクフィンガーヌクレアーゼ対の一方をコードするコード領域に連結され、植物細胞において機能的な転写終結及びポリアデニル化に関与するDNA領域に更に操作可能に連結された植物発現可能プロモーターを含む、キメラ遺伝子又はキメラ遺伝子対から発現させることができる。刊行物、米国特許出願公開第2012/0196370号は、ZFNを用いて、真核生物ゲノムに規定された欠失を作製することができることを教示する。このアプローチにおいて、その標的部位が最大120Kbp離れているZFNは、離れたZFN標的部位のそれぞれの配列相同性の領域をいずれかの末端に有する直鎖状「ドナー」分子と共に細胞に導入される。これらの試薬による動物細胞株の処理後に、ZFN標的部位間の領域がドナー分子によって置き換えられた産物を増幅し、介在配列の有効な欠失を生成することができる。この場合、ドナー分子の末端に存在する配列相同性の領域によって、有糸分裂HR経路が用いられる。この刊行物は、ドナー分子が、第一に、有糸分裂HR反応を正確にするために、第二に、有糸分裂HR反応の頻度を増加させるために不可欠であることを示唆する。ZFNのみを用いて得られる転座の頻度は、実用化するには低過ぎるため、これが必要であると考えられる。この文献における教示とは対照的に、本発明者らは、単一のZFN対のみを用いてDSBを生じた場合に、植物染色体間の特異的な転座を生成することができることを見出した。刊行物、米国特許出願公開第2012/0196370号とは対照的に、本出願人らは、染色体融合点において、この組換え経路の特徴である小さい欠失を観察したため、本出願人らの実験は、転座の作製にNHEJ経路を利用する。植物染色体の1本のみにおいてDNA DSBが誘導されると、DNA端部はNHEJ経路によって再連結され、小さい欠失を生じる。このような小さい欠失の頻度(細胞の10%に存在)は、2個の構成成分、ZFN対の切断効率及びDSBがNHEJ経路によって修復される効率で構成されている。この場合、単一のDSBは、DNA端部がごく接近するように、1本の染色体において誘導され、10%効率をもたらす。しかし、転座が起こるために、DSBは、核内で空間的に離間した2本の染色体において生成される必要があり、これらDNA端部の相互作用の可能性は低く、非常に低頻度の転座形成を生じる。しかし、本出願人らは、NHEJ経路による植物細胞における転座形成の効率(0.8%)が、予想外に高く、隣接DNA端部の修復よりもほんの12倍低く、したがって、この組換えプロセスが起こった個々の細胞の容易な単離を可能にすることを見出した。加えて、NHEJ経路を用いた転座形成の頻度及び精度は、本出願人らの発明によって既に実用化に十分なほど高いため、植物細胞における本出願人らの方法は、「ドナー」分子を必要としない。よって、本発明に係る方法は、米国特許出願公開第2012/0196370号に記載されている斯かる直鎖状ドナー分子又はドナーポリヌクレオチドの使用を必要としない。
[066]TALENは、種々の異なる植物疾患を引き起こすキサントモナス属(Xanthomonas)の種によって産生されるTALエフェクターに由来する部位特異的ヌクレアーゼである。キサントモナス属の種による植物の感染の際に、TALエフェクタータンパク質は、植物細胞に導入される。TALエフェクターは、多数の反復タンパク質ドメインからなり、それらそれぞれが、4種のDNAヌクレオチド(A、T、G、C)のうち1種を特異的に認識し結合することができる。これらのドメインの異なる組み合わせが、異なるTALエフェクターに存在し、それぞれが、植物ゲノム、多くの場合、植物遺伝子プロモーターにおける特有のDNA配列に結合する。植物DNAに結合すると、TALエフェクターは、植物遺伝子発現に影響を与えて、細菌病原性を増強する。各ヌクレオチドに特異的なドメインが同定され、いずれかのDNA配列に対し高い結合親和性を有する一連のこれらドメインを生成することができる(Christian、2010、Genetics 186:757〜761;Cermakら、2011、Nucleic Acids Res 39:e82;Bogdanove and Voytas、2011、Science 333:1843〜1846;Boch、2011、Nature Biotechnology 29:135〜136)。商業的オーダーメイドTALENは、Cellectis Bioresearchから入手することができる(http://www.cellectis−bioresearch.com/genome−customization/genomic−scissors/talen)。次に、これら一連をFokIのヌクレアーゼドメインに融合して、TALENを作製し、ZFNと同様に、2個のTALENタンパク質を用いて、標的配列のスペーサー領域においてDNA DSBを誘導する。数報の論文において、標的配列種に突然変異を生じるためのTALENの使用についての記載がある(Curtin(2012)The Plant Genome、5、42〜50)。当業者であればよく分かる方法を用いて、本発明に用いられるTALEN及び本発明において用いられる他の全ヌクレアーゼを植物細胞に導入し、そこでその後(一過的に)発現させることができる。例えば、それぞれTALENSヌクレアーゼ又はTALENSヌクレアーゼ対の一方をコードするコード領域に作動可能に連結され、植物細胞において機能的な転写終結及びポリアデニル化に関与するDNA領域に操作可能に更に連結された植物発現可能プロモーターを含む、キメラ遺伝子又はキメラ遺伝子対から発現させることができる。TAL−エフェクター(TALEN)の使用は、例えば、国際公開第201107224号に記載されている。
[067]CRISPR技術(本明細書において、Cas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムとも称される)は、細菌に由来し、細菌において、これは、プラスミド及びバクテリオファージ等、侵入する分子病原体から防御するためのシステムとして用いられる。細菌ゲノムにおける特異的な遺伝子座は、以前の感染の結果である分子病原体のゲノムに由来する一連の短い配列からなる。これらの遺伝子座から、tracrRNAと相互作用する低分子RNA(crRNA)が生成され、続いてこれらのRNA分子は共に、分子病原体のゲノムにおける特異的相補的配列へとCas9タンパク質を標的化する。Cas9タンパク質は、ヌクレアーゼ活性を有し、病原体ゲノムにおける標的配列に特異的DNA二本鎖切断(DSB)を生成することができ、続いて病原体ゲノムは分解されるようになる。植物及び動物の細胞におけるゲノム配列を標的化するCas9タンパク質(ヌクレアーゼ)、tracrRNA及びcrRNA(CRISPRシステムの構成成分)の両方の発現は、ゲノム標的配列に標的化DSBを生じ、これは多くの場合、細胞DNA機構によって誤修復されて、小さい挿入又は欠失(INDEL)を生じる(Fengら(2013)Cell Res.1:4;Liら(2013)Nat.Biotech.31:689〜691;Nekrasovら(2013)Nat.Biotech.31:691〜693;Shanら(2013)Nat.Biotech.31:686〜688)。遺伝子のコード配列又は更にはイントロンにおけるINDELは、多くの場合、遺伝子機能の喪失をもたらす。実用目的のため、tracrRNA及びcrRNAは通常、1個のキメラガイドRNA(sgRNA)へと組み合わされる;このRNA組み合わせは、Cas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムの定義に含まれる。
[068]部位特異的ヌクレアーゼは、高効率で標的化DSBを誘導することができ、よって、標的配列にINDELを含有する植物を容易に同定することができる。CRISPRシステム等、部位特異的ヌクレアーゼの使用によるゲノム操作は、特に、倍数体種における多くの適用が可能であり、作物改良にますます重要なものとなっている。
[069]原則として、前述のヌクレアーゼのうち1種又は複数を単独で又は組み合わせて用いることができるが、第1の染色体における二本鎖切断及び/又は第2の染色体における二本鎖切断が、同じ部位特異的ヌクレアーゼ、同じジンクフィンガーヌクレアーゼ、同じメガヌクレアーゼ、同じTALエフェクターヌクレアーゼ又は同じCas9/crRNA/tracrRNAヌクレアーゼシステムによって導入されることが好ましい。言い換えれば、例えば、標的配列が同一であるため、同じヌクレアーゼによって標的化され得る第1及び第2の染色体の両方における配列において標的化することが好ましい。例えば100%の高レベルの同一性を有する染色体の部分を共有する第1及び第2の染色体は相同又は同祖染色体であるため、第1の染色体及び第2の染色体の両方における斯かる標的の認識は、当業者の技能範囲内であり、困難なものとはならないであろう。
[070]当業者であれば、本明細書における開示に基づき、本明細書に開示されている方法の好ましい実施形態において、第1の染色体において1個以下の二本鎖切断が導入され、第2の染色体において1個以下の二本鎖切断が導入されることは明らかであろう。
[071]本発明に係る方法の別の好ましい実施形態において、
i.第1の染色体が、前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含み、前記第1の遺伝子座Aが、第1の特性の望ましい形質に連鎖し、前記第2の遺伝子座Bが、前記第1の特性又は第2の特性の望ましくない形質に連鎖し、
ii.前記第2の染色体が、前記第1の特性又は第2の特性の望ましくない形質に連鎖した前記第2の遺伝子座Bと同一の遺伝子座を含まず、
iii.第1の染色体における前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間に並びに第2の染色体における対応する遺伝子座又は位置に、1個の二本鎖切断が導入される。
[072]本発明に係る方法の本実施形態は、リンケージドラッグの克服をもたらす。本方法は、不利な形質に連鎖した遺伝子座Bから、有利な形質(treat)に連鎖した遺伝子座Aを分離させる。遺伝子座A及びBの両方は、前記望ましい形質(A)又は望ましくない形質(B)に連鎖した遺伝的マーカーとなり得る、或いは、望ましい形質又は望ましくない形質に必然的に連鎖した遺伝子となり得る(そこに存在し得る)。遺伝子座A及びBに関連又は連鎖した形質は、同じ特性のものであってもそうでなくてもよい。
[073]上に開示されている通り、本明細書に開示されている方法の特に好ましい実施形態において、選択される植物細胞は、第2の染色体が、前記第1の遺伝子座Aと同一の遺伝子座を含まない、及び/又は前記第2の遺伝子座Bと同一の遺伝子座を含まないようなものである。言い換えれば、第2の染色体は、同じ遺伝子座A及び/又はBのアレルを有することができるが、第1の染色体に存在する遺伝子座/アレルと少なくともある程度の配列差がなければならない。例えば、第1の染色体は、ある特定の遺伝子の第1のアレルとなり得る遺伝子座A又はBを含み、第2の染色体は、同じ遺伝子の別のアレルを含むことができる。本実施形態の文脈において、当業者であれば、第2の染色体が、好ましくは、第1の染色体における前記望ましくない遺伝子座Bと同一の遺伝子座を提供しない、或いは、斯かる望ましくない遺伝子座Bの望ましくないアレルバリアントである遺伝子座Bを含むことを理解する。言い換えれば、本発明に係る本方法によって、染色体に本来存在する望ましくない遺伝子座Bが除去され、第2の染色体から得られる、望ましくない形質に連鎖した前記遺伝子座Bを含有しない染色体の対応する部分によって置き換えるように、第1の染色体は修飾される。
[074]望ましくない形質の非限定的な例は、第1の特性の望ましい形質にマイナスの影響を与える形質、収量の低減、疾患又は有害生物に対する抵抗性の低減、成長の低減、サイズの低減、種子量の低減、塩、熱、低温、水及び乾燥ストレスを含むストレスに対する抵抗性の低減からなる群から選択される形質となり得る。しかし、理解される通り、育種家又は当業者の目的に応じて、単独で又は遺伝子座Aに関連する望ましい形質と比べて、特性のいかなる形質も望ましくないと考慮することができる。
[075]本発明に係る方法の更なる実施形態において、本方法は、ステップ(b)又はステップ(c)の後に得られた植物細胞から植物体を再生させるステップと、自家受粉又は別の植物体と交雑することによって、前記再生された植物体から種子を作製するステップと、得られた種子から植物体を成長させるステップと、必要に応じて、得られた前記植物体を遺伝連鎖の解消に関してスクリーニングするステップとを更に含む。上に説明する通り、当業者であれば、これらのステップを行う方法及び遺伝連鎖の解消に関してスクリーニングする方法を十分把握している。
[076]用意される植物細胞が、植物体細胞、好ましくは、プロトプラスト、及び/又は雑種から得られる植物細胞であることが好ましい。植物細胞は、例えば、本明細書に特に開示されている、いずれかの適した植物から得ることができる。植物細胞は、例えば、二倍体、三倍体、四倍体、五倍体、六倍体、八倍体、十倍体(decaploid)、十二倍体(dodecaploid)又は複二倍体植物に由来することができる。
[077]本明細書における開示を鑑み、本明細書に記述されているあらゆる好ましい態様及び改良した態様を考慮に入れ、当業者の把握するところによると、植物P2から得られる植物P1を用意するための方法であって、前記植物P2が、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖の存在によって特徴づけされ、
染色体上における前記第1の遺伝子座Aの位置と前記第2の遺伝子座Bの位置とを含むこれらの間の(減数分裂)組換えが抑制されており、
前記植物P1が、前記遺伝連鎖の非存在によって特徴づけされ、
(a)前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含む前記第1の染色体を含み、少なくとも第2の染色体を更に含む少なくとも1個の植物細胞を用意するステップであり、前記染色体が、互いに相同又は同祖染色体であるステップと、
(b)第1の染色体に二本鎖切断を導入するサブステップであり、第1の染色体における二本鎖切断が、前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間に導入され、これによって、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分及び第2の遺伝子座Bを含む第1の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ、及び
第2の染色体に二本鎖切断を導入し、これによって、第2の染色体における第1の部分及び第2の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ
を含むステップと、
(c)必要に応じて、ステップ(b)によって得られた少なくとも1個の植物細胞を用いて、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖が解消され、更に、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分が、第2の染色体における第2の部分にライゲーションされた少なくとも1個の植物細胞を同定するステップと
を含み、第1の染色体における二本鎖切断及び/又は第2の染色体における二本鎖切断が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムからなる群から選択されることが好ましい、少なくとも1種の部位特異的ヌクレアーゼによって導入される方法も提供される。
[078]この場合も上記と同様に、ステップ(c)が行われることが好ましい。
[079]別の態様において、第1の染色体上に存在する第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖を解消するための、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムからなる群から選択されることが好ましい、部位特異的ヌクレアーゼの使用であって、染色体上における前記第1の遺伝子座Aの位置と及び前記第2の遺伝子座Bの位置とを含むこれらの間の(減数分裂)組換えが抑制されている使用が提供される。前記第1の遺伝子座Aが、第1の特性の望ましい形質に連鎖し、前記第2の遺伝子座Bが、前記第1の特性又は第2の特性の望ましくない形質に連鎖している使用が提供されることが好ましい。
[080]リンケージドラッグを解消するための、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムから選択されることが好ましい、部位特異的ヌクレアーゼの使用も提供される。
[081]最後の態様において、本発明に係る方法又は使用によって得ることができる又は得られる、植物、植物部分、果実又は種子が提供される。好ましい実施形態において、斯かる植物、植物部分、果実又は種子のうち少なくとも2種の群が提供される。
[082]要約すると、開示されている発明は、非限定的な実施形態において、両方の染色体における同じ配列に特異的DNA DSBを誘導することができる部位特異的ヌクレアーゼの使用による、体細胞植物プロトプラストにおける相同又は同祖親染色体間の乗換えの誘導に関与する。これは、植物プロトプラストを単離し、次にプラスミドに存在する部位特異的ヌクレアーゼを化学的処理によってプロトプラストに導入することによって達成することができる。続いて、部位特異的ヌクレアーゼタンパク質は、プロトプラストにおいて産生され、DNA DSBを誘導する。NHEJシステムが、異なる染色体から得られる遊離DNA端部を一体にライゲーションすることによって、このようなDSBを修復し、相互転座としても公知の染色体腕の交換をもたらすことができると考えられる。部位特異的ヌクレアーゼは、いずれか所望の配列にDSBを誘導するよう設計することができ、よって、相互転座は、相同親染色体に沿ったいずれかの点に誘導することができる。減数分裂組換えに優る大きな利点の1つは、本発明に係る方法を用いたDNA端部の連結が、配列非依存性であり、したがって、本アプローチを用いることによって、標的化又は交換することができる領域に制約がないことである。したがって、本アプローチは、例えば、配列差のために、減数分裂において組換えを行わない(抑制された)イントログレッションにおけるリンケージドラッグの破壊に理想的である。植物収量にマイナスの効果を有する重大なリンケージドラッグを有する大型のイントログレッション断片に位置する、トマトにおけるウイルスTMV及びTYLCV抵抗性等、商業的に重要な作物種における重要な形質には多くの例がある。このような抵抗性には価値があるため、収量損失を受け入れるが、植物育種家及び栽培者にとって、斯かるリンケージドラッグを破壊して、植物収量を更に増加させることは、非常に有益となるであろう。
[083]規定のサイズを有するイントログレッションを含有する植物を作製する能力も、一般に植物育種家にとって非常に役立つ。それぞれ野生の適応されていない植物種由来の規定のイントログレッションを含有する植物の集団を生成し、作物改良及び遺伝子発見に用いることができる。それらが位置するイントログレッションをより小さい部分に分割し、対象とする遺伝子のポジションが規定されるまでこれを反復することによって、新規形質の原因である遺伝子をより効率的にマッピングすることができる。標的化転座の作製は、配列非依存性であるため、植物イントログレッションライブラリーをより迅速且つ正確に作製することができ、全ゲノム領域を等しく表すことができる。これは、所望の乗換えに関して大型のF2集団をスクリーニングする必要を減少させ、これは、温室空間等、より少ない設備が必要とされることを意味する。この方法は、タバコ、ナタネ又はコムギ等、異質倍数体の種の育種に適用することもできる。異質倍数体の植物種は、多くの場合、2種以上の二倍体植物種間の祖先の代における雑種形成事象の結果であり、これによって、別々の異なるゲノムは、減数分裂において組換えを行わない。例えば、ブラシカ・ナプスは、減数分裂において混合しないA及びCゲノムからなる。したがって、ゲノムのいずれかにおける特定の染色体領域は、自家受粉によって完全にホモ接合型にすることはできない。B.ナプスのプロトプラストを単離し、A及びC染色体の両方における同じポジションにDSBを誘導する部位特異的ヌクレアーゼを保有するプラスミドコンストラクトをトランスフェクトすることができる。次にこの細胞は、減数分裂組換えによる達成が不可能な、A及びCゲノム間の相互転座を作製することができる。次に、その後の再生植物体を自家受粉し、両方のゲノムにおける転座が完全にホモ接合型なあらゆる植物を同定することができる。標的化転座は、遺伝子レベルにおけるDNA配列の操作に非常に有用となることもできる。栽培種よりも野生の適応されていない植物種においてより活性を有する特異的プロモーターが同定された場合、標的化転座を用いて、栽培種のゲノムに活性プロモーターを移行させることができる。これは、2種を交雑してF1系統を作出し、これからプロトプラストを単離し、次にこのようなプロトプラストにおいて、両方の相同染色体における対象とする遺伝子の転写開始直前のポジションにDSBを誘導する部位特異的ヌクレアーゼを発現させることによって達成することができる。その結果得られた標的化転座は、活性プロモーターを含む上流配列を対象とする遺伝子に連結し、これは、その転写パターン及びレベルを変更するであろう。同様に、部位特異的ヌクレアーゼは、異なる相同染色体に存在する遺伝子のイントロンにDSBを導入するよう設計することができる。これらのDSB間の標的化転座は、相同染色体間の遺伝子ドメインの交換及び各染色体由来のドメインを含有するキメラ遺伝子の形成をもたらすであろう。この場合、NHEJシステムによって生成された小さい欠失は、イントロンそれ自体に位置するため、遺伝子機能を阻害する可能性が低い。
実施例1
トマトプロトプラストの染色体VIIにおける標的化転座の誘導
[084]トマト細胞において標的化転座を作製するための実験構成を図1に示す。このアプローチは、相同染色体の両方における同じ又は対応するゲノムポジションにDNA二本鎖切断(DSB)を誘導する部位特異的ヌクレアーゼ、本実施例においては、ジンクフィンガーヌクレアーゼを用いる。次に、他の染色体由来のDNA端部を一体に連結し、これによって染色体腕を交換することによってこれら2個のDSBが修復される際に、染色体間の転座を形成することができる。転座形成を検出するために、各染色体におけるZFN切断部位を特異的に増幅するPCRプライマーを設計した。転座が形成されると、これらの接合部は、これらフォワード及びリバースプライマーの異なる組み合わせを用いることによって特異的に増幅することができる。特異的プライマー設計のために、配列差は、各染色体におけるZFN切断部位に隣接して存在する必要がある。野生トマト種ソラナム・ペンネリから染色体VIIにイントログレッションを保有するトマト系統を用いることによって、これを達成した。このイントログレッション領域は、S.ペンネリALS2遺伝子(SpALS2)におけるZFN標的部位を含有し、野生型ALS2(WT ALS2)との十分な配列差も有して、特異的プライマー設計を可能にする。WTトマト(M82)をS.ペンネリ染色体VIIイントログレッション系統IL7−3と交雑することによって、ALS遺伝子座がヘテロ接合型のF1雑種を作出することによって実験を行った。次に、このF1雑種からプロトプラストを生成し、WT ALS2及びSpALS2遺伝子座の両方にDSBを誘導するZFNを発現するプラスミドコンストラクトをトランスフェクトした。本出願人らのPCRアプローチを用いて、本出願人らは、相互転座が起こった細胞を検出することができた。驚くべきことに、斯かる事象は、相対的に高頻度(0.8%)で検出可能であり、DNA DSBは、異なる染色体上に位置したため、これは予想外のことであった。これは、部位特異的ヌクレアーゼが、植物細胞において相互転座を誘導することができるという、初めて報告された証拠であり、斯かる事象が相対的に高頻度で起こることを実証する。次に、本出願人らは、個々の植物プロトプラストからカルスを育成し、PCRを用いてこれらのカルスの遺伝子型を判定して、所望の転座を有するカルスの同定に取り掛かった。斯かるカルスは、植物体に再生させることができ、イントログレッション断片に隣接するマーカー間の連鎖の喪失を示すであろう。このアプローチを用いて、相同性非依存的様式で、体細胞植物プロトプラストにおけるイントログレッション断片のサイズを減少させることができる。
ジンクフィンガーヌクレアーゼコンストラクト
[085]本出願人らの実験のために、プラスミドpKG7402を用いた。このプラスミドは、トマトアセト乳酸シンターゼ(ALS)遺伝子(ALS1及びALS2)に結合してDNA二本鎖切断を誘導するよう設計された、2種のジンクフィンガーヌクレアーゼ遺伝子を含有する。ALS1は、染色体IIIの短腕に位置し、ALS2は、染色体VIIの長腕に位置する。
植物材料
[086]トマト野生種ソラナム・ペンネリ由来のイントログレッションを染色体VIIに含有するソラナム・リコペルシカム(Solanum lycopersicum)系統(IL7−3)を用いた。このイントログレッション断片は、およそ56cMのサイズであり、この染色体の長腕の大部分を構成し(Eshed、Y&Zamir、D.(1995)Genetics 141:1147〜1162)、S.ペンネリのALS2遺伝子を含む。このイントログレッション断片がホモ接合型の植物を、親系統(M82)と戻し交雑し、F1種子を採取した。次に、これらの種子を滅菌し、2000ルクスの16/8時間の光周期で、25℃、60〜70%RHにて、背の高い広口瓶内で合成培地(MS20:MS培地+ビタミン(Duchefa)4.4g/l、ショ糖20g/l、マイクロ寒天(micro agar)8g/l)において発芽させた。同様の方法で親M82及びホモ接合型IL7−3系統も処理し、組織培養において無菌植物体として維持した。3〜4週間後に、プロトプラストの生成のために成熟葉を収集した。
プロトプラスト単離及びトランスフェクション
[087]トマト葉プロトプラストの単離及び再生は、以前に記載されており(Shahin(1985)Theor.Appl.Genet.69:235〜240;Tan(1987)Theor.Appl.Genet.75:105〜108;Tan(1987)Plant Cell Rep.6:172〜175)、必要とされる溶液は、これらの刊行物に見出すことができる。簡潔に説明すると、1gの収集したての葉を5ml CPW9Mの入ったディッシュに置き、メスの刃を用いて、主茎に対して垂直に1mmに切断した。25ml酵素溶液(2%セルロースonozuka RS、0.4%マセロザイムonozuka R10、2,4−D(2mg/ml)、NAA(2mg/ml)、BAP(2mg/ml)pH5.8を含有するCPW9M)のフレッシュなプレートに葉片を移し、一晩25℃で暗所にて消化を進めた。次に、オービタルシェーカー(40〜50rpm)に1時間置くことによって、プロトプラストを遊離させた。反応液を50μm篩に通し、CPW9Mで篩を2回洗浄することによって、細胞デブリからプロトプラストを分離した。プロトプラストを85gで遠心分離し、上清を廃棄し、続いて、CPW9Mの容量の半分に取り入れた。プロトプラストを最終的に3ml CPW9Mに取り入れ、次に、3ml CPW18Sを2溶液が混ざらないよう慎重に加えた。プロトプラストを85gで10分間スピンし、長いパスツールピペットを用いて、相間(interphase)層に浮遊する生存プロトプラストを採取した。CPW9Mを加えることによって、プロトプラスト容量を10mlに増加させ、回収されたプロトプラストの数を血球計算器で決定した。プラスミドコンストラクトによるトランスフェクションのために、プロトプラスト懸濁液を85×gで10分間、5℃にて遠心分離する。上清を廃棄し、プロトプラストペレットを再懸濁して、KCl洗浄培地における最終濃度106.mL−1とする。10mLチューブにおいて、250μLのプロトプラスト懸濁液+/−40μgの純粋プラスミドDNA及び250μlのPEG溶液(40%PEG4000(Fluka#81240)、0.1M Ca(NO、0.4Mマンニトール)を穏やかに但し十分に混合する。室温における20分間のインキュベート後に、5mL冷0.275M Ca(NOを滴下して加える。プロトプラスト懸濁液を10分間85×gで4℃にて遠心分離し、上清を廃棄する。PEG処理後に、再生のためにトマトプロトプラストをアルギン酸塩溶液に包埋した。2mlのアルギン酸塩溶液を加え(マンニトール90g/l、CaCl.2HO 140mg/l、アルギン酸Na 20g/l(Sigma A0602))、反転によって完全に混合した。この混合液の1mlをCa−寒天プレート(72.5g/lマンニトール、7.35g/l CaCl.2HO、8g/l寒天)の上に均等に重層し、重合させた。次に、このアルギン酸塩ディスクを、4mlのK8p培養培地を含有する4cmペトリ皿に移し、暗所で30℃にて7日間インキュベートした。続いてアルギン酸塩ディスクを5mm厚の条片に切断し、固形再生培地TM−DB(TM2 basal2.5g/l(Duchefa)、Nitschビタミン110mg/l、ショ糖50g/l、マイクロ寒天8g/l、2,4−D 0.2mg/l、BAP 0.5mg/l、pH5.8)の上に3週間重層した。次に、再生したカルスをピンセットで採取し、GM−ZG培地(MSマクロ+ミクロ粉末(Duchefa)4.3g/l、Nitschビタミン110mg/l、マンニトール36.4g/l、ショ糖2.5g/l、マイクロ寒天8g/l、ゼアチン1mg/l、GA3 1mg/l、pH5.8)上に個々に置いた。次に、およそ7mmに達したら、これらをDNA単離のためにサンプリングした。シュート再生後に、カルスをMS−ZI培地(MS+ビタミン(Duchefa)4.4g/l、ショ糖20g/l、マイクロ寒天8g/l、ゼアチン2mg/l、IAA 0.1mg/l、pH5.8)に移した。2〜3週間後に、シュートを切除し、発根培地(MS+ビタミン(Duchefa)4.4g/l、ショ糖20g/l、マイクロ寒天8g/l、0.5mg/ml IBA、pH5.8)に移し、その後、温室に移した。
S.ペンネリALS2遺伝子座の配列決定
[088]ホモ接合型IL7−3系統から染色体DNAを単離し(DNeasyキット、Qiagen)、ゲノムウォーカー(Genome Walker)キット(Clontech)を用いて、メーカーの説明書の通りに、S.ペンネリALS2遺伝子座の配列を決定した。簡潔に説明すると、500ngのゲノムDNAを制限酵素(DraI、EcoRV、PvuII又はStuI)で一晩消化し、ゲノムウォーカーアダプターをライゲーションした。S.リコペルシカム(S.lycopersicum)ALS2 ORFの保存された配列において設計された、ALS2特異的ネステッドプライマー、11_11533(5’−TGGGAATGGTGGTTCAGTGGGAGGA−3’)及び11_11534(5’−GGTGGTTCAGTGGGAGGATCGATTCT−3’)を用いて、S.ペンネリALS2遺伝子座の3’端を増幅した。対応して、ネステッドプライマー対、11_11536(5’−CGTAGCTCCCGGACCAGATGTAGCA−3’)及び11_11537(5’−ATGTAGCAATACAAACACCAGGGAACCCA−3’)を用いて、ALS遺伝子座の5’端を増幅した。ゲルからPCR産物を切り出し、配列決定した。これらの配列に基づき、介在領域を増幅する追加的なプライマー(11_13680(TCACCCCTTCACCTTACC)及び11_13681(CCTTCACATTTAACCAAAGC))を設計し、これらを用いて遺伝子座の配列決定を完成させた(図2)。このようにして、ALS2におけるZFN標的部位が、M82及びIL7−3系統の両方において保存されていることが実証された。
ALS2遺伝子座特異的プライマーの設計
[089]S.ペンネリ及びM82 ALS2配列のアライメントによって、アレルの1種のみを選択的に増幅し、ZFN標的部位を含むPCR産物を増幅する特異的プライマーの設計に活用することができる配列差を同定することができた。S.ペンネリALS2遺伝子座を増幅するために、本出願人らは、プライマー、11_13680+11_13681を用い、M82 ALS2遺伝子座のために、プライマー、09Q136(GAAAGGGAAGGGGTTAAGG)及び12_07231(CTTCAGTAGAGCCCTTGC)を用いた。結果を図2aに示し、本図は、これらのプライマーが、親系統IL7−3及びM82における正確なサイズのバンドを増幅したことと共に、これら2種の親の交雑に由来するF1系統(系統BC)に両方の遺伝子座が存在したことを示す。
S.ペンネリALS2遺伝子座におけるINDELの誘導
[090]IL7−3系統及びM82植物の両方からプロトプラストを単離し、プラスミドpKG7402又は35S::GFPカセットを保有するプラスミド(pKG7381)のいずれかをトランスフェクトした。12時間後に、pKG7381をトランスフェクトしたプロトプラストを蛍光顕微鏡下で観察して、GFP発現を評価した。これは、IL7−3及びM82プロトプラストの両方において同等であり(データ図示せず)、系統IL7−3におけるS.ペンネリイントログレッションが、形質転換に影響を与えなかったことを実証した。48時間後に、遠心分離によってプロトプラストを採取し、DNeasyキット(Qiagen)を用いてゲノムDNAを単離した。次に、ZFN標的部位を含むALS2遺伝子座の205bp断片を増幅するプライマー、09Q132(CTTGTGGAGGCACTTGAA)及び09Q133(CCGGACCAGATGTAGCAATA)を用いて、このDNAにおけるPCR反応を行った。次に、PCR産物を精製し、ベクター(pCR2.1:Blunt、Invitrogen)にクローニングし、ワンショットケミカリーコンピテント(One Shot Chemically Competent)E.コリ(E.coli)細胞(Invitrogen)へとメーカーの説明書の通りに形質転換し、50μg/mlカナマイシン(Duchefa)を補充したLB培地に蒔いた。その後、同じプライマーを用いて個々の96個の細菌コロニーにおけるPCRを行い、ロッシュライトサイクラー(Roche Light Cycler)装置における高分解能融解曲線解析によって、その結果得られたPCR産物を解析して、異常な融解特性を有するPCR産物を同定した。次に、斯かるクローンを配列決定に回し、その結果を図3に示す。IL7−3及びM82系統の両方に関し、トランスフェクトしたプロトプラストの集団に由来するPCR産物のおよそ10%は、ZFN標的部位にINDELを含有した。両方の系統におけるこれらINDELのサイズも匹敵しており、よって、本出願人らは、S.ペンネリALS2遺伝子座が、M82 ALS2遺伝子座と同じほど効率的に標的となり得ると結論付けることができる。対照として、本出願人らは、pKG7381トランスフェクションに由来する96個のPCR産物も解析した。そのいずれも異常な融解特性を示さず、その2種を配列決定したときに、配列に対するいかなる変更も示さなかった(データ図示せず)。
トマトプロトプラストのALS2遺伝子座における標的化転座
[091]in vitro育成したF1植物(M82×IL7−3交雑に由来)から、プロトプラストを単離した。加えて、本出願人らは、in vitro育成したM82及びIL7−3植物からもプロトプラストを単離した。40μgのプラスミドpKG7402(又は対照として40μgのpKG7381)をプロトプラストにトランスフェクトし、液体培地において48時間維持した。次に、各トランスフェクションから得たプロトプラストを遠心分離(800rpm、10分間)によって収集し、DNeasyキット(Qiagen)を用いて、これらプロトプラスト集団からゲノムDNAを単離した。プロトプラスト集団における転座の存在を検出するために、遺伝子座特異的プライマーの組み合わせを用いた。例えば、S.ペンネリALS2プライマー(11_13680)及びM82プライマー(12_07231)の組み合わせは、転座を起こした染色体のみを増幅する筈であり、ZFN標的部位のポジションにおける転座接合部を含むPCR産物を生成するであろう。全プロトプラストDNA試料において、これらのプライマーを用いたPCR反応を行い、1μlゲノムプロトプラストDNA、5μl 5×ヘラクレス(Herculase)融合バッファー(Agilent)、0.3μl 100mM dNTP、1.25μlプライマー11_13680、1.25μlプライマー12_07231、0.25μlヘラクレスII融合酵素(Agilent)及び15.95μl水からなる反応液において、次のサイクリング条件{95℃ 2’;[95℃ 30”、60℃ 30”、72℃ 2’]×40;72℃ 5’}を用いた。1%アガロースゲルにおけるPCR産物の電気泳動は、全試料が、予想されるサイズのバンドを生成したが、バンドの強度が、pK7402で処理したF1植物試料においてより強かったことを示した(データ図示せず)。対照試料におけるPCR産物を観察すると、これは、プライマー組み合わせ11_13680+12_07231が、未変更のS.ペンネリ及びM82 ALS2遺伝子座から非特異的(aspecific)PCR産物を作製することができたが、処理したF1プロトプラスト由来のPCR産物は、転座接合部から作製されたPCR産物をさらに含有するため、より強くなり得ることを示唆した。処理した試料及び対照試料の両方から得た2.2kbpのPCR産物をゲルから切り出し、Qiagenゲル単離キットを用いて精製した。次に、ゼロブラント(Zero Blunt)PCRライゲーションキット(Invitrogen)を用いて、メーカーの説明書に従ってPCR産物をクローニングし、結果物として得られた、クローニング産物を含有するプラスミドをE.コリTOP10細胞から精製し、完全2.2kbp PCR産物を配列決定した。結果を図4に示す。プライマーは実際に、対照試料からALS2 PCR産物を増幅することができたが、配列決定は、これらが常に、WT ALS2遺伝子座(M82)又はSpALS2遺伝子座(IL7−3)のいずれかに由来したことを示した。対照プラスミド(pKG7381)をトランスフェクトしたF1プロトプラストに由来する2種のPCR産物の解析は、このPCR反応において両方の遺伝子座が増幅されたことを示した。対照由来の全PCR産物は、予想される配列を示した。pKG7402で処理したF1雑種プロトプラストに由来するPCR産物は全て、親系統由来のプロトプラストをpKG7402で処理した際に、前に観察された事象と同様に、ZFN結合部位に小さいINDELを示した。しかし、これら2.2kbp PCR産物のそれぞれに関して、ZFN結合部位のSNPの上流は、これがS.ペンネリALS2配列であることを示したが、転座接合部断片に関して予想した通り、ZFN結合部位のSNPの下流は、M82 ALS2配列に由来した。したがって、これは、プロトプラストの集団において、S.ペンネリイントログレッションとWT M82染色体VIIとの間でALS2遺伝子座における標的化転座を起こし、染色体腕の交換及びイントログレッション断片における連鎖の破壊を生じた細胞が存在したことの優れた証拠をもたらした。
[092]処理をした集団におけるプロトプラストのうちどれ程が標的化転座を含むかを定量化するために、本出願人らは、この特徴的S.ペンネリ/M82 ALS2キメラ構成を有するPCR産物の数の定量化を試みた。本出願人らは、プライマー、12_11216(CTTCCACCCTTCTTCCCAAATC)及び12_11217(TGCCAACTCCTGCACATTCA)を用いて、ゲノムDNAにおけるPCRを行った。これらのプライマーは、特異的ではないため、WT ALS2及びSpALS2遺伝子座の両方から1.3kbp産物を増幅する。よって、斯かるPCR反応物は、SpALS2、WT ALS2及び標的化転座産物からなる。PCR反応物におけるこれらの産物それぞれの相対量を決定し、これによって、標的化転座プロセスそれ自体の効率を決定するために、PCR反応由来の産物をクローニングし、遺伝子型を判定した。1.3kbp PCR産物は、ZFN結合部位及び両側に位置する2個の診断的制限部位を含む。ZFN結合部位の上流において、S.ペンネリALS2配列におけるA→G変化は、HindIII制限部位を生じる。ZFN結合部位の下流において、S.ペンネリALS2配列におけるC→A変化は、MseI部位を生じる。ZFN結合部位に隣接するALS2配列に関してPCR産物の遺伝子型を判定するためのCAPSアッセイの基礎として、これらの部位を用いた。ゼロブラントPCRライゲーションキットを用いて、メーカーの説明書の通りに1.3kbp PCR産物をクローニングした。次に、個々の細菌コロニーを50μl水に再懸濁し、95℃で5分間加熱し、続いて、その1μlを用いて、プライマー、09Q132+09Q133又は09R037+09R040によるネステッドPCRを行い、その後、それぞれHindIII又はMseIで消化した。HindIII及びMseI部位の両方の存在又は非存在は、未変化のALS2遺伝子座(SpALS2又はWT ALS2のいずれか)を示したが、一方、これらのPCR産物のうち一方のみを有するクローニングされたPCR産物は、標的化転座事象に由来する可能性があった。総計で249個の細菌コロニーを、これらの制限部位のうち一方のみの存在に関して遺伝子型を判定したところ、5個を最終的に同定した。確認のため、これら5個のクローンの1.3kbp PCR産物を配列決定した。5個のPCR産物のうち、本出願人らは、予想される構成を有する2個を見出した(図4)。第1のクローン#1は、ZFN結合部位上流のS.ペンネリALS2配列及び下流のM82 ALS2配列を示した。クローン#2に関して、これは反転していた。したがって、本出願人らは、本出願人らの実験構成における標的化転座形成の効率が、およそ249個中2個(0.8%)であると結論付けることができる。この結果は、標的化転座を有する細胞を単離するために、限られた数のプロトプラストのみがスクリーニングに必要とされることを示唆する。
標的化転座を有するトマト植物体の単離
[093]F1雑種系統の葉からプロトプラストを単離し、40μgのプラスミドpKG7402をトランスフェクトした。次に、更なる発生のために、これをアルギン酸塩ディスクに包埋し、続いて4ml K8p培地において7日間インキュベートした。次に、ディスクを5mm条片にスライスし、微小カルスの更なる発生のためにこれを固形TM−DB培地(2−4D、BAP)上に置いた。育成3週間後に、800個のカルスを鉗子で採取し、フレッシュなTM−DB培地に移した。本出願人らは、転座接合部が、ZFN切断部位に小さいINDELを常に含有することを示したため、先ず、このことに関して全カルスをスクリーニングした。遺伝子型判定のために、プラスチックピペットの先端を用いて、各発生中のカルスから組織の小片を掻き取り、続いて、Phireプラントダイレクト(Plant Direct)PCRキット(Thermo Scientific)の20μlの希釈バッファーに再懸濁した。この材料における直接的PCRのために、希釈物から1μlを取り、10μlの2×反応バッファー、2μlのプライマー、12_11216及び12_11217(5pmol)、0.2μlのPhireポリメラーゼ並びに最終反応容量が20μlとなる量の水と共に混合した。用いたPCR条件;98℃5分間、{98℃5秒間、62℃5秒間、72℃1.5分間}×40、72℃5分間。次に、これらのPCR産物を水で200倍希釈し、その1μlをネステッドPCRに用いて、ZFN切断部位を増幅した(1μl PCR産物、5μl 10×反応バッファー、0.5μl dNTP(20mM)、1μl 09Q132(5pmol)、1μl 09Q133(5pmol)、0.2μl AmpliTaq(5U/μl)及び41.3μl水、サイクリング条件94℃2分間、{94℃30秒間、55℃30秒間、72℃30秒間}×30、72℃5分間)。これによって、INDELの存在をスクリーニングすることができるZFN切断部位を含む200bp PCR断片が作製された。F1系統由来の材料においてもこれらのPCR反応を行って、対照PCR産物を作製した。ZFN切断部位にINDELを有するカルスを検出するために、各200bp PCR産物の4μlを、4μlの対照PCR産物並びに1μlのTE及びLC Greenの両方と混合した。次に、ロッシュライトサイクラーの遺伝子スキャニングプロトコールを用いて、この混合物の融解特性を決定した。本出願人らは、ZFN切断部位におけるINDELを示す、異常な融解特性を有する53個の試料を同定した。次に、ゼロブラントPCRクローニングキット(Invitrogen)を用いて、これら53個のカルスから得られた1.3kbp産物をクローニングした。その後、上述の通りHindIII及びMseI部位の存在に関して、各ライゲーションから4個の細菌コロニーの遺伝子型を判定した。単一のカルス、TT1及びTT2から、本出願人らは、検査した全細菌クローンが、制限部位の一方を欠いたことを示すことができ、この細胞が相互標的化転座を起こしたことを実証する。これらのクローンを配列決定し、プロトプラストに由来する配列と同様に、これらのカルスにおいて標的化転座が起きたことを示すことができた。これらのカルスが同定された頻度(0.25%)は、以前に決定された頻度と同じ範囲内であり、依然として予想外に高い。
S.ペンネリイントログレッションに隣接するRFPLのマーカー解析
[094]次に、カルスTT1及びTT2を、シュート形成(shooting)培地に移し、その後、シュートを誘導して、根を形成させることができる。続いて、更なる遺伝子型判定のために、植物体を温室に移す。植物体TT1から種子を採取し、土壌で発芽させる。実生から葉材料を収集し、DNAを単離する。後代においてマーカー、TG20及びTG143がもはや連鎖していないことを実証するために、これらのマーカーの存在に関して実生を解析する。イントログレッションに隣接して同じ染色体に2種のマーカーが存在するF1植物の自家受粉は、その25%がマーカーのいずれかを欠如し、75%が両方のマーカーが陽性の後代を生じることが予想される。標的化転座を含有する植物体において、マーカー間の連鎖は、プロトプラストにおいて既に破壊されている。斯かる植物体の後代を解析する場合、50%が両方のマーカーを有し(この場合、異なる染色体上に位置する)、25%がマーカーTG20のみを含有し、25%がマーカーTG143のみを含有することが予想される。TT1及びTT2植物体の後代において、マーカー分離解析を行うことができる。したがって、トマトプロトプラストにおけるZFN等、部位特異的ヌクレアーゼの一過性発現は、生存可能な植物体を生じ、次世代へと伝達され得る相互標的化転座を誘導することができる。このアプローチを用いて、配列非依存的様式で、2種のDNA配列の間のいかなる形態の連鎖も破壊することができる。
実施例2
TYLCV遺伝子座におけるリンケージドラッグの破壊
[095]トマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)は、ベゴモ(begamo)ウイルスに起因し、コナジラミ類によって伝染する重篤なトマト疾患である。TYLCV感染は、温暖な(亜)熱帯地方でよく見られ、これらの地方におけるトマト栽培を制限する。TYLCV感染に対する抵抗性は、いくつかの野生トマト種において発見された(Jiら(2007)、Tomato Yellow Leaf Curl Virus Disease(Czosnek、H.編).Netherlands:Springer、343〜362頁)。現在、5種の抵抗性遺伝子座、Ty1〜Ty5が育種に用いられている。S.チレンス(S.chilense)LA1969由来のTy1遺伝子座は、マッピングされた最初の抵抗性遺伝子座であり、6番染色体においてTy3遺伝子座に連鎖しており、いくつかの市販の変種に組み入れられた。しかし、Ty1抵抗性遺伝子座は、自己壊死(autonecrosis)等の望ましくない形質を伴うという、リンケージドラッグを負う。Ty1遺伝子座は、6番染色体のセントロメア周辺領域に位置し、組換えの重大な抑制を負う17MBイントログレッション断片に位置する。Verlaanら(2011、Plant J 68:1096〜1103)は、3000体のF2植物においてTy1遺伝子座における組換えを試験したが、大部分のイントログレッション断片に亘りこの集団においていかなる組換え事象も検出することができなかった。これは、減数分裂の際のこの領域における組換えを阻害する、S.チレンスLA1969におけるいくつかの染色体再編成によるものと思われる。標的化転座の生成は、相同性非依存性であるため、これを用いてリンケージドラッグを破壊し、Ty1遺伝子座の微細マッピングを単純化するために、Ty1遺伝子座のサイズを減少させることができる。
[096]Ty1イントログレッション断片に存在するS.リコペルシカム由来の数種のBACが同定された(Verlaanら、2011、Plant J 68:1096〜1103)。本出願人らは、これらのうち1種の配列を用いて(H208D24、http://solgenomics.net/maps/physical/clone info.pl?id=77280から利用可能)、トマトゲノムにおける単一コピー配列を表す可能性が高い遺伝子を同定した。このBACは、Unigene SGN U268902としてアノテートされる、A.サリアナ(A.thaliana)遺伝子PRH75(植物RNAヘリカーゼ75、At5g62190)のトマトホモログを保有する。このBACは任意で選ばれたが、両方の染色体に存在するイントログレッション領域における他のいかなる配列を用いても、これらの実験を行うことができる。S.リコペルシカム及びS.チレンスLA1969間のこの遺伝子座におけるヌクレオチド差を同定するために、両方の植物種において、この遺伝子座におけるゲノムウォーキングを行うことができる。これによって、2種のSGN U268902遺伝子座に特異的なPCRプライマーの設計が可能となる。その後、プライマー部位間に結合し切断するTALENコンストラクトを設計して、その活性を検証することができる。
[097]次に、Ty1イントログレッションがヘテロ接合型の植物系統をin vitroで栽培して、プロトプラストを単離し、TALENプラスミドDNAをトランスフェクトする。続いてトマトプロトプラストを再生させてカルスとし、SGN U268902遺伝子座特異的プライマーの組み合わせを用いてスクリーニングして、転座接合部を含むカルスを同定する。次に、これらを再生させて植物体とし、自家受粉させ、SGN U268902遺伝子座に隣接するマーカーの分離を決定する。次に、Ty1イントログレッション断片のサイズが低減し、リンケージドラッグの喪失及び短縮されたイントログレッション断片における組換え頻度の評価に関して、これらの植物体を更に解析できると実証することが可能となる。
実施例3
トマト育種材料における規定のサイズのイントログレッションの作製及び早期果実熟成の原因遺伝子の微細マッピング
[098]早期果実熟成の原因である染色体Iにおける遺伝子座を保有するトマト系統、ER43を同定することができる。マーカー解析によって、遺伝子座が、527kbp離れたAFLPマーカーMM101とMM107との間に位置することを立証することができる。この領域の完全配列を利用できるため、BLAST解析に基づき、トマトゲノムにおける単一コピー配列である、一連の標的配列を100kbpの間隔をあけて選択することができる。これらの標的配列に隣接するプライマーを設計し、トマト系統Moneymaker(http://www.seedaholic.com/tomato−cherry−fox−organic−seeds−1.htmlから利用可能)における対応する遺伝子座の増幅に用いて、第一に、標的配列が両系統において同一であることを確認し、第二に、特異的プライマーの設計に活用することができる、2種のトマト系統におけるこれら標的配列前後の配列差を同定する。その後、5種のTALENコンストラクトを設計して、これら標的配列にDSBを生成する。次に、TALEN配列を合成し、トマトAA6プロモーター等、トマトプロトプラストにおいて活性を有するプロモーター配列とTALENとを融合するプラスミドコンストラクトにクローニングする。ER43及びMoneymaker系統のプロトプラストに、各TALENプラスミドをトランスフェクトし、適した液体培地において24時間インキュベートし、遠心分離によって収集する。次に、トランスフェクトしたプロトプラストの各集団からゲノムDNAを単離し、染色体特異的プライマーを用いて、5種の標的配列のそれぞれを増幅する。次に、処理プロトプラストの各バッチの10%前後に存在し得る標的配列におけるINDELの存在に関して、PCR産物を解析する。これは、TALENコンストラクトが、細胞において活性を有し、両方のトマト系統の標的配列にDSBを誘導することができることを実証するであろう。次に、系統ER43及びMoneymakerを交雑して、組織培養において無菌条件下で維持されるF1系統を生成し、プロトプラストの生成に用いる。次に、このようなプロトプラストに、TALENコンストラクトをトランスフェクトし、各トランスフェクションに由来する1000個のカルスを育成し、染色体特異的PCRプライマーの異なる組み合わせを用いて、標的配列における転座の存在に関する遺伝子型の判定を行った。このような標的化転座を含むカルスを再生させて植物体とし、自家受粉させて、各転座がホモ接合型のF2植物を作出する。次に、これらの表現型を判定して、早期熟成遺伝子座を保有する染色体断片を同定する。次にこの領域の物理地図を構築し、早期熟成表現型の原因遺伝子を同定することができる。
実施例4
ブラシカ・ナプスにおける標的化転座
[099]アブラナ(Oliseed rape)又はキャノーラ(ブラシカ・ナプス)は、ブラシカ・ラパ(Brassica rapa)(Aゲノム)及びブラシカ・オレラケア(Brassica oleraceae)(Cゲノム)の種間雑種形成から形成された複二倍体種である。選択的な系統育種が集中的に用いられて、この作物における収量及び種子品質の両方が改善された。系統育種は、樹立された栽培品種対の間の交雑に起因する優れたF2及び後世代個体の選択及び同系交配に関与する。しかし、限られた数のF2植物がスクリーニングされるため、育種プロセスの最終産物は、多くの場合、農学的形質にマイナスの効果をもたらす多量の親ゲノムを含有する。このことは、戻し交雑の複数世代の後であっても、依然として親ゲノムの一方の29%を含有したB.ナプス型「Tapidor」において実証された(Sharpe&Lydiate、2001、Genome 46:461〜468)。全ゲノム単位において別個のドナー及びエリートアレルを保有するF1に由来する仮想のF2個体が、いかなる固定されたドナー遺伝子型も含まない確率を計算することが可能である。これは、およそ81825体のF2植物において1回起こると推定された(Sedcole、T.R.(1977)Crop Sci.17:667〜668)。対照的に、アブラナにおける系統育種プログラムは一般に、1000〜2000体の間のF2植物のみを選択し、多量の非連鎖ドナー遺伝子型を含有する個体の選択をもたらす。倍加された一倍体の作出の実施と組み合わせて、育種スピードを増加させると、親遺伝子型は、対象とする遺伝子座に連鎖していない場合であっても、非常に迅速にホモ接合型となり、固定され得る。
[100]B.ナプスの複二倍体の性質によって、減数分裂におけるAゲノムとCゲノムとの間の減数分裂組換えは防止される。これは、タバコ(ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum))、デュラムコムギ(トリチカム・デュラム(Triticum durum))、普通コムギ(トリチカム・エスチバム(Triticum aestivum))及びワタ(ゴシッピウム・ヒルスツム(Gossypium hirsutum))等の他の複二倍体種にも当てはまる。B.ナプスにおける例を考慮すると、親系統由来の農学的に重要な形質は、育種プログラムによって商業的系統に導入することができ、通常ホモ接合型状態の親遺伝子座をもたらし、ゲノムの一方(例えば、Aゲノム)に存在する。しかし、減数分裂におけるゲノム間の組換えの制限によって、Cゲノムにおける対応する遺伝子座は変化しない。この領域がいくつかのマイナスの表現型も保有するようになる場合、或いはAゲノムにおける親遺伝子座によって付与される表現型の有効性を減少する場合、これは、従来の育種によって容易に解決することはできない。部位特異的ヌクレアーゼを用いてAゲノムとCゲノムとの間に標的化転座を誘導することによって、A及びCゲノムの両方における親遺伝子座がホモ接合型の植物を生成することが可能である(図5に模式的に示す)。倍数体における本技術の別の可能な適用は、ゲノム間で突然変異原誘導性突然変異を移行して、完全ホモ接合型系統を作出することである。突然変異育種は、植物改良の一般的な方法である。これは、ゲノムの至るところにCからTへの変化を生じるエチル−メタノサルフェート(methanosulfate)(EMS)等、突然変異原による植物、通常は種子の処理に関与する。次に、突然変異した植物集団を育成し、自家受粉させ、後続世代(M2)において、変更された表現型に関して植物をスクリーニングする(フォワードスクリーニング)、或いは配列が公知の場合は対象とする遺伝子における誘導された突然変異に基づき選択する(リバーススクリーニング)。多くの場合、(完全)機能喪失型表現型を付与する突然変異が必要とされ、これは、それぞれゲノムの一方における対象とする遺伝子にヌル突然変異を保有する2種の植物系統の同定を必要とする。次に、これらの植物を交雑し、F1自家受粉させ、両ゲノムにおける両方のヌル突然変異がホモ接合型のF2植物を同定することができる。これは、非常に時間のかかる高価なアプローチであり、3種のゲノムを扱う六倍体コムギ等の種ではより困難なものとなる。各ゲノムにおける非依存的突然変異を単離する必要及び交雑の実施を回避するために、本出願人らは、標的化転座が、ゲノム間で誘導された(ヌル)突然変異を移行し、ホモ接合型状態に迅速に達するよう誘導され得ることを開示する(図5)。
[101]本実験は、B.ナプス8番染色体AゲノムとCゲノムとの間の標的化転座の誘導に着目する。B.ナプス系統「Tapidor」は、Cゲノムの8番染色体における対応する領域と多くの配列差を含有するB.ナプス系統「Bronowski」由来の大型のイントログレッション断片を、Aゲノムの8番染色体に保有するため、これらの実験のために選択される。次に、「Tapidor」系統において、A及びCゲノムの両方に存在する特有の遺伝子を同定及び配列決定して、配列差を同定する。これらに基づき、A又はCゲノム遺伝子座のみを増幅するプライマーを設計する。A及びCゲノムにおける両方の遺伝子座にDNA DSBを誘導するために、TALENコンストラクトを設計する。両方と同一の配列に関してA及びC遺伝子座をスクリーニングし、この配列に結合し切断するようTALENを設計する。構成的植物プロモーター(35S)を有するプラスミドベクターにTALENをクローニングし、PEGトランスフェクションを用いてB.ナプス「Tapidor」プロトプラストに導入する。48時間後に、プロトプラストからDNAを単離し、遺伝子座特異的プライマーを用いてPCR産物を作製し、これを配列決定して、TALENコンストラクトが、標的部位にINDELを誘導することができることを実証する。次に、この実験を反復し、個々のB.ナプスカルスを再生させ、A及びCゲノム遺伝子座特異的プライマーの組み合わせを用いることによって、標的化転座の存在に関して遺伝子型を判定する。予想されるポジションに標的化転座を有し、また、雑種A及びC染色体における転座接合部における異なるINDELを表す、8番染色体における異なるサイズのINDELを有する(例えば、Aゲノムにおける4bp、Cゲノムにおける3bp)個々のカルスを同定することができる。次に、これらのカルスから植物体を再生させ、成熟するまで成長させる。次に、これらのINDELがホモ接合型の実生に関して次世代をスクリーニングし、これらは、染色体腕の残り部分もホモ接合型である。
実施例5
標的化転座を用いた遺伝子座ドメインの融合
[102]植物系統IR3は、そのトリコームにおける高濃度の殺虫性化合物の存在のため、広範な昆虫に対し強い抵抗性を有する。このような高濃度は、この化合物の生化学的合成に関与する遺伝子の1種(IK4)の高発現によって達成される。高発現は、トリコーム特異的様式で高転写活性化を駆動する新規プロモーターによって達成される。植物系統IR12もIK4遺伝子を含有するが、昆虫の摂食に対し感受性である。分子解析は、IK4遺伝子が、IR12のトリコームにおいて発現されず、これが、その不活性化をもたらすIR12系統におけるIK4遺伝子のプロモーターにおけるヌクレオチド差によるものであることを示した。これらの実験の目的は、系統間で標的化転座を誘導し、系統IR12由来のIK4遺伝子とIR3プロモーターとの融合をもたらすことによって、IR12系統におけるIK4遺伝子の高いトリコーム特異的発現を回復させることであった。標的配列は、IK4 ORFの20bp上流に位置すると同定され、この部位にDSBを作製するようTALENを設計する。次に、植物発現に適したプロモーターの後ろにTALENをクローニングし、IR3及びIR12系統の両方のプロトプラストに、得られたプラスミドをトランスフェクトする。実施例3に記載されている通り、このようにして、本出願人らは、TALEN発現が、両方の植物系統における標的配列にDSBを誘導できることを確認することができる。次に、IR3及びIR12系統を交雑することによって、F1系統を作出し、これを用いてプロトプラストを生成し、これにTALENコンストラクトをトランスフェクトする。他の実施例に記載されている通り、IR3又はIR12遺伝子座のいずれかを増幅する特異的プライマーを異なる組み合わせで用いて、標的化転座が起こったカルスを同定する。次に、これらのカルスを再生させて植物体とし、IR12親植物と戻し交雑を数回行い、各世代において標的化転座に関して選択して、植物が、所望の転座を除きIR12親と同質遺伝子的である状況に達する。定量的RT−PCRを用いて、この系統において、IR4 IK4遺伝子へのIR3プロモーターの正確な融合が、トリコームにおける高いIK4発現を回復させたことを示すことができ、その後の表現型判定は、この植物が、広範な昆虫に対し強い抵抗性を示すことを実証する。本実施例は、転座を用いて、別の系統の遺伝子にプロモーター又は他の調節配列を融合させ、これによって、価値ある表現型をもたらす新規発現パターンを達成することができることを実証する。
実施例6
標的化転座を用いた新規オープンリーディングフレームの作製
[103]真菌病原体に対する抵抗性は、多くの場合、植物ゲノムの至るところに分布する抵抗性遺伝子クラスターに位置するロイシンリッチリピート(LRR)遺伝子のクラスによって付与される。植物系統M17は、疾患、葉枯れ病(late blight)の原因となる真菌病原体の品種(race)1に対する特異的な抵抗性を付与するLRR抵抗性遺伝子(LRR12)を含有する。植物系統P15は、染色体上の同じポジションに位置する類似の抵抗性遺伝子クラスターを保有する。P15において、LRR63という名称の、LRR12と配列が最も類似した抵抗性遺伝子は、クラスターにおける同じポジションに位置するが、異なるアミノ酸配列を有する。結果として、LRR63遺伝子は、真菌品種2に対する抵抗性を付与するが、品種1に対する抵抗性は付与しない。これらの抵抗性遺伝子のいずれも、真菌品種3に対する抵抗性を付与しない。本出願人らの仮説は、LRR12及びLRR63遺伝子のドメインを組み合わせることによって、真菌品種3に対する新規抵抗性を達成することができることである。これらの遺伝子の両方の配列が公知のものであり、LRR12及びLRR63の両方に存在した配列に関してイントロンが解析される。次に、この標的配列にDSBを誘導することができる部位特異的ヌクレアーゼを設計する。次に、植物プロトプラストにおいて発現をもたらすプロモーターの後ろに部位特異的ヌクレアーゼをクローニングし、得られたプラスミドを用いて、植物系統M17及びP15の両方から得られるプロトプラストをトランスフェクトする。本明細書に含まれる他の実施例においてより詳細に記載されている通り、本出願人らは、部位特異的ヌクレアーゼが、LRR12及びLRR63の両方におけるイントロン標的配列にDSBを生成できることを実証することができる。次に、M17及びP15系統を交雑することによってF1系統を作出し、無菌条件下で組織培養においてこれを維持する。次に、F1系統からプロトプラストを単離し、部位特異的ヌクレアーゼをコードするプラスミドをトランスフェクトする。次に、個々のプロトプラストを再生させてカルスとし、LRR12又はLRR63に設計された特異的プライマーの組み合わせによってこれらの遺伝子型を判定して、標的化転座が起こったカルスを検出する。転座は、イントロンにおいて標的化されたため、転座の際に生成される小さいINDELは、単にイントロン配列の部分を除去し、したがって、遺伝子オープンリーディングフレームに影響を与えない。転座は、LRR63遺伝子のドメインとLRR12遺伝子のドメインとの融合をもたらし、新たな抵抗性を付与する新規遺伝子を作製する。転座を有するカルスを再生させて植物体とし、新たなキメラオープンリーディングフレームが、LRR12及びLRR63の両方に由来するドメインで構成されており、真菌品種3に対する新規抵抗性をもたらすことを実証することができる。本実施例は、標的化転座を用いて、異なる遺伝子由来のドメインを一体に連結して、重要な新たな表現型を付与する新規遺伝子を作製できる方法を実証する。
実施例7
標的化転座の同時誘導及び減数分裂の阻害
[104]部位特異的ヌクレアーゼを用いて、F1雑種におけるホメオロガス染色体の間に標的化転座を誘導することができる。次に、個々のカルスを再生させて植物体を生成し、これを正常な減数分裂に進めて、親植物の両方に由来するゲノムセグメントを有する正常なF2集団をもたらす。次に、表現型の判定をするための同質遺伝子的系統を得るために、大規模戻し交雑が必要とされ、これは、数年間を要し、複数ラウンドの集団スクリーニングに関与し得る。初代の植物において減数分裂乗換えが阻害されて、配偶子における親染色体のランダムな分離を可能にすれば、一世代で同質遺伝子的系統を得ることができる。大部分の配偶子は、異常染色体数のために生存不可能となるであろうが、僅かなパーセンテージは、所望の親の全染色体を含有し、要求される親との直接的戻し交雑において用いる場合、一世代で同質遺伝子的系統を生じるであろう。生成すべき標的化転座は、実施例1〜6に記載されているもののうちいずれであってもよい。F1植物からプロトプラストを生成し、2種のプラスミドを同時にトランスフェクトすることができる。第1のプラスミドは、植物プロトプラストにおいて活性を有するプロモーターによって駆動される部位特異的ヌクレアーゼを保有し、これは、既に記載されている通り、所望の標的化転座を生成する。第2のプラスミドは、植物プロトプラストにおいて活性を有する第2のプロモーターによって駆動される異なる部位特異的ヌクレアーゼを保有し、これは、減数分裂における乗換え形成に関与する遺伝子Dmc1にDSBを生じるよう設計される。このDSBの修復は、この減数分裂遺伝子に小さいINDELを生成し、遺伝子機能の完全喪失をもたらすであろう。次に、所望の標的化転座を含むカルスを選択し、Dmc1の標的配列における追加的ホモ接合型INDEL突然変異に関してこれらをスクリーニングする。次に、これらのカルスを再生させて植物体とし、初代の親植物と戻し交雑する。この交雑に由来する植物が、所望の転座を含むが、それ以外は戻し交雑親と同質遺伝子的であることを実証することができる。よって、本方法は、大規模戻し交雑プログラムを必要としない、標的化転座を含み、それ以外は親系統の一方と同質遺伝子的でもある系統の作出に適用することができる。

Claims (19)

  1. 植物又は植物細胞における第1の植物染色体上に存在する第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖を解消するための方法であって、
    染色体上における前記第1の遺伝子座Aの位置と前記第2の遺伝子座Bの位置とを含むこれらの間の(減数分裂)組換えが抑制されており、
    (a)前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含む前記第1の染色体を含み、少なくとも第2の染色体を更に含む少なくとも1個の植物細胞を用意するステップであり、前記染色体が、互いに相同又は同祖染色体であるステップと、
    (b)第1の染色体に二本鎖切断を導入するサブステップであり、第1の染色体における二本鎖切断が、前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間に導入され、これによって、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分及び第2の遺伝子座Bを含む第1の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ、及び
    第2の染色体に二本鎖切断を導入し、これによって、第2の染色体における第1の部分及び第2の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ
    を含むステップと、
    (c)必要に応じて、ステップ(b)によって得られた少なくとも1個の植物細胞を用いて、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖が解消され、更に、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分が、第2の染色体における第2の部分にライゲーションされた、少なくとも1個の植物細胞を同定するステップと
    を含み、
    第1の染色体における二本鎖切断及び/又は第2の染色体における二本鎖切断が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムからなる群から選択されることが好ましい、少なくとも1種の部位特異的ヌクレアーゼによって導入される、方法。
  2. ステップ(c)が行われる、請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(c)において、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖が解消され、更に、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分が、第2の染色体における第2の部分にライゲーションされ、更に、第1の染色体における第2の部分が、第2の染色体における第1の部分にライゲーションされた植物細胞が同定される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記第2の染色体が、前記第1の遺伝子座Aと同一の遺伝子座を含まない、及び/又は前記第2の遺伝子座Bと同一の遺伝子座を含まない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第1の植物染色体上に存在する前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間の距離が、1塩基対と染色体全長との間である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 第1の染色体における二本鎖切断及び/又は第2の染色体における二本鎖切断が、同じ部位特異的ヌクレアーゼ、同じジンクフィンガーヌクレアーゼ、同じメガヌクレアーゼ、同じTALエフェクターヌクレアーゼ又は同じCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムによって導入される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 第1の染色体において1個以下の二本鎖切断が導入され、第2の染色体において1個以下の二本鎖切断が導入される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. i.第1の染色体が、前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含み、前記第1の遺伝子座Aが、第1の特性の望ましい形質に連鎖し、前記第2の遺伝子座Bが、前記第1の特性又は第2の特性の望ましくない形質に連鎖し、
    ii.前記第2の染色体が、前記第1の特性又は第2の特性の望ましくない形質に連鎖した前記第2の遺伝子座Bと同一の遺伝子座を含まず、
    iii.第1の染色体における前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間に、並びに、第2の染色体における対応する遺伝子座又は位置に、1個の二本鎖切断が導入される、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 第1又は第2の特性の望ましくない形質が、第1の特性の望ましい形質にマイナスの影響を与える形質、収量の低減、疾患又は有害生物に対する抵抗性の低減、成長の低減、サイズの低減、種子量の低減、塩、熱、低温、水及び乾燥ストレスを含むストレスに対する抵抗性の低減からなる群から選択される形質である、請求項8に記載の方法。
  10. (d)請求項1に記載のステップ(b)又は請求項1若しくは2に記載のステップ(c)の後に得られた植物細胞から植物体を再生させるステップと、
    (e)自家受粉又は別の植物体と交雑することによって、前記再生された植物体から種子を作製するステップと、
    (f)ステップ(e)において得られた種子から植物体を成長させるステップと、
    (g)必要に応じて、ステップ(f)において得られた前記植物体を遺伝連鎖の解消に関してスクリーニングするステップと
    を更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 請求項1に記載のステップ(c)によって同定するステップが、配列決定するサブステップ、及び/又は第1の染色体のライゲーションされた部分を選択的に増幅するサブステップ、及び/又は子孫の表現型を判定するサブステップ、及び/又は蛍光in−situハイブリダイゼーション(FISH)を行うサブステップを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 用意される植物細胞が、植物体細胞、好ましくは、プロトプラスト、及び/又は雑種から得られる植物細胞である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 植物が、二倍体、三倍体、四倍体、五倍体、六倍体、八倍体、十倍体、十二倍体又は複二倍体である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 植物P2から得られる植物P1を用意するための方法であって、前記植物P2が、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖の存在によって特徴づけされ、
    染色体上における前記第1の遺伝子座Aの位置と前記第2の遺伝子座Bの位置とを含むこれらの間の(減数分裂)組換えが抑制されており、
    前記植物P1が、前記遺伝連鎖の非存在によって特徴づけされ、
    (a)前記第1の遺伝子座A及び前記第2の遺伝子座Bを含む前記第1の染色体を含み、少なくとも第2の染色体を更に含む少なくとも1個の植物細胞を用意するステップであり、前記染色体が、互いに相同又は同祖染色体であるステップと、
    (b)第1の染色体に二本鎖切断を導入するサブステップであり、第1の染色体における二本鎖切断が、前記第1の遺伝子座Aと前記第2の遺伝子座Bとの間に導入され、これによって、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分及び第2の遺伝子座Bを含む第1の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ、及び
    第2の染色体に二本鎖切断を導入し、これによって、第2の染色体における第1の部分及び第2の染色体における第2の部分を生じさせるサブステップ
    を含むステップと、
    (c)必要に応じて、ステップ(b)によって得られた少なくとも1個の植物細胞を用いて、第1の染色体における第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖が解消され、更に、第1の遺伝子座Aを含む第1の染色体における第1の部分が、第2の染色体における第2の部分にライゲーションされた、少なくとも1個の植物細胞を同定するステップと、
    (d)前記植物P1を再生させるステップと
    を含み、
    第1の染色体における二本鎖切断及び/又は第2の染色体における二本鎖切断が、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムからなる群から選択されることが好ましい、少なくとも1種の部位特異的ヌクレアーゼによって導入される、方法。
  15. ステップ(c)が行われる、請求項14に記載の方法。
  16. 第1の染色体上に存在する第1の遺伝子座Aと第2の遺伝子座Bとの間の遺伝連鎖を解消するための、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムから選択されることが好ましい部位特異的ヌクレアーゼの使用であって、
    染色体上における前記第1の遺伝子座Aの位置と前記第2の遺伝子座Bとの位置とを含むこれらの間の(減数分裂)組換えが抑制されている、使用。
  17. 前記第1の遺伝子座Aが、第1の特性の望ましい形質に連鎖し、前記第2の遺伝子座Bが、前記第1の特性又は第2の特性の望ましくない形質に連鎖している、請求項16に記載の使用。
  18. リンケージドラッグを解消するための、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、TALエフェクターヌクレアーゼ及びCas9/crRNA/tracrRNA CRISPRシステムから選択されることが好ましい部位特異的ヌクレアーゼの使用。
  19. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法及び/又は請求項16〜18のいずれか一項に記載の使用によって得ることができる又は得られる、植物、植物部分、果実又は種子。
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