JP2016222632A - トリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼン、それを用いた結晶性ネットワーク錯体及びガス吸蔵材料 - Google Patents

トリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼン、それを用いた結晶性ネットワーク錯体及びガス吸蔵材料 Download PDF

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友佑 向江
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Abstract

【課題】ガス吸蔵材として利用可能な、耐水性に優れた結晶性ネットワーク錯体、及び、該結晶性ネットワーク錯体を構成する配位化合物の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される配位化合物、及び2価金属原子と該配位化合物とを含む結晶性ネットワーク錯体。

(aは1又は2)
【選択図】図1

Description

本発明は、トリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼン、それを配位子として含む結晶性ネットワーク錯体、及びガス吸蔵材料に関する。
近年、HKUST−1〔Cu(1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート),Cu−BTC〕やMOF−5〔ZnO(1,4−ベンゼンジカルボキシレート),Zn−BDC〕等の金属有機構造体(MOF)が新規なガス吸蔵材料として注目されている。
しかしながら、HKUST−1やMOF−5は、湿気や水蒸気、水による構造破壊が起こるため、耐水性に問題があることが知られている(例えば、J.Mater.Chem.A.、2013年、第1巻、11922〜11932頁(非特許文献1))。このため、金属有機構造体をガス吸蔵材料として実用化するには、未だ改良の余地があった。
J.Mater.Chem.A.、2013年、第1巻、11922〜11932頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、耐水性に優れた結晶性ネットワーク錯体及びガス吸蔵材料を提供することを目的とする。また、本発明は、このような結晶性ネットワーク錯体を構成する配位化合物を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、結晶性ネットワーク錯体を構成する配位化合物にアントラセン環を導入することによって、結晶性ネットワーク錯体の構造単位の金属原子近傍の疎水性が向上し、湿気や水蒸気、水による結晶構造の破壊が抑制され、耐水性に優れた結晶性ネットワーク錯体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンは、下記式(1):
(式中、aは1又は2である)
で表されることを特徴とするものである。
また、本発明の結晶性ネットワーク錯体は、2価金属原子と該2価金属原子に配位している前記本発明のトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンとを含む2核錯体であることを特徴とするものである。このような結晶性ネットワーク錯体としては、下記式(2):
(式中、Xは、下記式(1a):
で表される配位子Lの基本骨格を表す)
で表されるCu構造単位を有するものであることが好ましい。
さらに、本発明のガス吸蔵材料は、このような本発明の結晶性ネットワーク錯体からなることを特徴とするものである。
なお、本発明の結晶性ネットワーク錯体が耐水性に優れている理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、金属有機構造体(MOF)を構成する金属原子は、親水性が高く、その近傍に水分子が存在すると、金属原子に水分子が結合して安定化する。このため、HKUST−1やMOF−5においては、Cu原子やZn原子に配位している配位子が水分子に置換されて安定化するため、Cu原子やZn原子と配位子とによって形成されていた構造が破壊されると推察される。
一方、本発明の結晶性ネットワーク錯体においては、金属原子の近傍にアントラセン環が存在するため、HKUST−1やMOF−5に比べて、金属原子の近傍の疎水性が高くなり、金属原子の近傍に水分子が侵入しにくくなる。このため、配位子が水分子で置換されにくく、金属原子と配位子とによって形成される結晶構造が湿気や水蒸気、水によって破壊されにくいため、耐水性が向上すると推察される。
本発明によれば、耐水性に優れた結晶性ネットワーク錯体及びガス吸蔵材料を得ることが可能となる。また、本発明によれば、このような結晶性ネットワーク錯体を構成する配位化合物を得ることも可能となる。
本発明の結晶性ネットワーク錯体の構造を表す模式図である。 本発明の結晶性ネットワーク錯体の構造を表す模式図である。 実施例2で得られた結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末の耐水性試験前の状態を示す光学顕微鏡写真である。 実施例2で得られた結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末の耐水性試験後の状態を示す光学顕微鏡写真である。 実施例2で得られた結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末の耐水性試験前の状態を示すSEM写真である。 実施例2で得られた結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末の耐水性試験後の状態を示すSEM写真である。 HKUST−1粉末の耐水性試験前の状態を示すSEM写真である。 HKUST−1粉末の耐水性試験後の状態を示すSEM写真である。 実施例2で得られた結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末のX線回折パターンを示すグラフである。 HKUST−1粉末のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例2で得られた結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末の熱重量変化を示すグラフである。 実施例2で得られた結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末及びHKUST−1粉末のメタン吸蔵量を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
<トリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼン>
先ず、本発明のトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンについて説明する。本発明のトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンは、下記式(1):
(式中、aは1又は2である)
で表されるものである。この化合物は、後述する本発明の結晶性ネットワーク錯体において配位子として機能するものである。
前記式(1)中、aは、各アントラセン環に結合しているカルボキシ基の個数であり、1又は2である。また、合成しやすいという観点から、aは1であることが好ましい。前記カルボキシル基は、アントラセン環を構成する3つの芳香族環のうちのいずれの芳香族環に結合していてもよい。また、前記カルボキシル基の具体的な結合位置としては、特に制限はないが、フェニル基が結合している炭素原子を10位とすると、1位、2位、9位の炭素原子が好ましく、合成しやすいという観点から、9位の炭素原子がより好ましい。
このような本発明のトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンは、例えば、以下の手順で合成することができる。すなわち、先ず、1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼンを出発原料とし、これにビス(ピナコラト)ジボロンを反応させて、1,3,5−トリス(4−ピナコラトボリルフェニル)ベンゼンを調製する。
また、アントラセンカルボン酸を出発原料とし、これに臭素を反応させて、10−ブロモアントラセンカルボン酸を合成する。前記アントラセンカルボン酸としては、1−アントラセンカルボン酸、2−アントラセンカルボン酸、9−アントラセンカルボン酸が挙げられ、目的とするトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンのカルボキシル基の結合位置に応じて出発原料を適宜選択する。その後、10−ブロモアントラセンカルボン酸に塩化チオニル(SOCl)を反応させて、10−ブロモアントラセンアセチルクロライドを合成する(カルボキシル基の塩素化)。その後、この10−ブロモアントラセンアセチルクロライドにアルキルアルコール(メタノール等)を反応させ、10−ブロモアントラセンカルボン酸アルキルエステルを調製する。
次に、前記1,3,5−トリス(4−ピナコラトボリルフェニル)ベンゼンと前記10−ブロモアントラセンカルボン酸アルキルエステルとを反応させて、1,3,5−トリス[4−(アセトキシカルボニルアントラセン−10−イル)フェニル]ベンゼンを調製する。この1,3,5−トリス[4−(アセトキシカルボニルアントラセン−10−イル)フェニル]ベンゼンのアセトキシカルボニル基(すなわち、カルボン酸アルキルエステル基)を加水分解することによって、目的の前記式(1)で表されるトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンを得ることができる。
<結晶性ネットワーク錯体及びガス吸蔵材料>
次に、本発明の結晶性ネットワーク錯体について説明する。本発明の結晶性ネットワーク錯体は、2価金属原子(2価金属イオン)と、この2価金属原子(2価金属イオン)に配位している前記本発明のトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンとを含む2核錯体である。前記2価金属原子(2価金属イオン)としては、Cu原子(Cu2+)、Cr原子(Cr2+)、Mn原子(Mn2+)、Mo原子(Mo2+)、Fe原子(Fe2+)、Co原子(Co2+)、Ni原子(Ni2+)、Zn原子(Zn2+)が挙げられ、配位水との置換反応が比較的起こりやすく、速度定数、金属錯体の反応性、反応速度論の観点から、Cu原子(Cu2+)が好ましい。
本発明の結晶性ネットワーク錯体においては、このような2価金属原子(2価金属イオン)に前記トリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンのカルボキシ基が配位した構造単位が形成されている。例えば、2価金属原子がCu原子である場合、本発明の結晶性ネットワーク錯体は、下記式(2):
(式中、Xは、下記式(1a):
で表される配位子Lの基本骨格を表す)
で表されるCu構造単位を有している。図1は、このようなCu構造単位を模式的に示した図である。また、図2は、このようなCu構造単位が繰り返されて形成された本発明の結晶性ネットワーク錯体を模式的に示した図である。図2に示したように、本発明の結晶性ネットワーク錯体は多孔質構造を有しており、ガス吸蔵材料として適している。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(臭素化アントラセンカルボン酸エステルの合成)
反応容器に9−アントラセンカルボン酸(7.40g,3.33mmol)、酢酸(AcOH,0.6L)、臭素(Br,1.8ml)を入れ、60℃で4時間撹拌して反応を行なった。
反応終了後、炭酸カリウム(KCO)で飽和した水1.0Lに反応生成物を加えて撹拌した。得られた溶液を十分に撹拌しながら濃塩酸で中和し、明るい黄色の沈殿物を得た。この沈殿物を水で十分に洗浄しながら、ろ取し、減圧乾燥して黄色粉末1(10−ブロモアントラセン−9−カルボン酸,9.0g)を得た(収率:90%)。
反応容器に前記黄色粉末1(168.00g,557.88mmol)、脱水クロロホルム(CHCl,1.7L)、塩化チオニル(SOCl,336ml)を入れ、還流下で終夜撹拌した。このとき、反応液の状態を観察したところ、反応初期はスラリーであったが、反応終了時には黄色透明な溶液であった。反応液を室温まで放冷した後、減圧濃縮した。濃縮残渣にトルエンを加えた後、トルエンで2回共沸し、10−ブロモアントラセン−9−アセチルクロライドを得た。
この10−ブロモアントラセン−9−アセチルクロライドに再び脱水クロロホルム(CHCl,1.7L)を加え、アルゴン気流下で氷冷し、トリエチルアミン(TEA,160ml,1115.76mmol)を加えた。これに脱水メタノール(MeOH,35ml,836.82mmol)を滴下した後、室温に昇温し、終夜撹拌した。翌日、反応液に水(2L)を加えて分液し、水層をクロロホルム(CHCl)で2回抽出した。回収した有機層を合わせ、塩化ナトリウム(NaCl)で飽和した水(飽和塩化ナトリウム水溶液)で洗浄した後、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別した後、ろ液を濃縮して粗体を得た。この粗体をシリカゲルカラム〔φ145mm,シリカゲル(Silica gel):3.5kg,溶離液(eluent):CHCl/ヘプタン(1/1)〕で精製し、黄色粉末2(10−ブロモアントラセン−9−カルボン酸メチル,156.06g)を得た(収率:88.8%)。
(トリフェニルベンゼン中間体の合成)
反応容器に1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼン(99.00g,182.29mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(B(pinacol),145.81g,574.20mmol)、酢酸カリウム(KOAc,107.34g,1093.72mmol)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF,1.5L)を入れ、アルゴンガスをバブリングした。30分後、バブリングを停止し、アルゴン気流下で、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]パラジウム(Pd(dppf)Cl,4.47g,5.47mmol)を添加した後、90℃で15時間撹拌した。反応終了後、反応液を水(5L)に流入させ、晶析した。晶析物をろ取、水洗した。得られた湿固体をトルエンに溶解し、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別した後、ろ液を濃縮した。濃縮残渣を再びトルエン(2L)に溶解した後、ガレオンアース(200g)を添加して20分間撹拌した。ガレオンアースをろ別した後、ろ液を濃縮した。濃縮残渣にイソプロピルアルコール(IPA,1L)を加え、分散洗浄した。得られた固体をろ取した後、80℃で減圧乾燥し、白色粉末の中間体3(1,3,5−トリス(4−ピナコラトボリルフェニル)ベンゼン,92.93g)を得た(収率:86.6%)。
(トリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンの合成)
反応容器に前記黄色粉末2(92.00g,134.45mmol)、前記中間体3(139.83g,443.67mmol)、酢酸カリウム(KOAc,79.17g,806.68mmol)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF,1380ml)を入れ、アルゴンガスをバブリングした。30分後、バブリングを停止し、アルゴン気流下で、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]パラジウム(Pd(dppf)Cl,3.29g,4.03mmol)を添加した後、95℃で48時間撹拌した。反応終了後、反応液を水(6L)に流入させ、晶析した。晶析物をろ取、水洗した。得られた湿固体をクロロホルム(CHCl)に溶解し、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別した後、ろ液を濃縮し、粗体を得た。この粗体をシリカゲルカラム〔φ145mm,シリカゲル(Silica gel):3.5kg,溶離液:THF/ヘプタン(1/2)〕で精製し、淡黄色粉末4(1,3,5−トリス[4−(9−メトキシカルボニルアントラセン−10−イル)フェニル]ベンゼン,12.17g)を得た(収率:9.0%)。また、前記黄色粉末2の量を27.52g(134.45mmol)に変更し、反応時間を76時間に延長した以外は、上記と同様に合成反応を行い、前記淡黄色粉末4(14.54g)を得た(収率:35.8%)。
3.0Lのオートクレーブに水酸化カリウム(KOH,14.98g,267.05mmol)、水(1.1L)を入れ、水酸化カリウムを溶解した。これに前記淡黄色粉末5を合計26.71g(26.71mmol)、テトラヒドロフラン(THF,1.1L)を入れ、150℃で36時間撹拌した。反応終了後、THFを減圧留去した。得られた残渣に2NのHClを滴下し、pH2に調整した後、晶析物をろ取、水洗した。ろ取物をN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF,100ml)中で再結晶した。晶析物をろ取、水洗した後、ろ取物に酢酸(AcOH,100ml)を加え、還流下熱時分散洗浄した。得られた固体をろ取、水洗し、蒸留水で2回還流下熱時分散洗浄した。最後にトルエン(100ml)で共沸脱水した後、ろ取し、80℃で減圧乾燥して、目的物L(17.51g)を得た(収率:67.8%)。
この目的物LをH−NMR(日本電子(株)製FT−NMR装置「JNM−ECX400P」)及びMLDI−MS(ブルカー・ダルトニクス社製レーザー脱離イオン分析装置「MALDI−TOF/MS」)を用いて同定したところ、1,3,5−トリス[4−(9−カルボキシアントラセン−10−イル)フェニル]ベンゼンであることが確認された。その結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)による分析結果:8.395(s,3H,phenyl ring in the center)、8.333(J=8.5Hz,d,6Hs,phenyl)、8.122(J=10.5Hz,d,6H,phenyl)、7.755−7.533(m,24H,anthracene unit)。
MALDI−TOF/MSによる質量分析の結果m/z:Calculated:C6942:966.30,Found(M):966.30。
(実施例2)
硫酸銅と実施例1で得られた1,3,5−トリス[4−(9−カルボキシアントラセン−10−イル)フェニル]ベンゼンとを、モル比10:1でN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、100℃で12時間加熱して、茶色の100μmサイズの結晶性ネットワーク錯体(結晶性多孔体、TSM−HM88)を調製した。この結晶性ネットワーク錯体粉末をろ取し、DMFで洗浄した後、真空乾燥した。
<単結晶構造解析>
実施例2で得られた結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)の単結晶構造解析を、単結晶X線回折装置(リガク(株)製「FR−E PILATUS 200K」を用いて行なった。その結果、結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)の格子定数は、Cubic I:a,b,c=39Å、α,β,γ=90°、59665Åであった。
この結果から、結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)の単結晶構造は、金属有機構造体MOF388(Cu[4,4’,4”−(トリアジン−2,4,6−トリイル−トリス(ベンゼン−4,1−ジイル))トリベンゾエート])の構造(Tetragonal P:a,b,c=39Å、v=60452Å(Inorg.Chem.、2011年、第50巻、第18号、9147〜9152頁参照))に類似しており、前記式(2)で表されるCu構造単位(Xは前記式(1a)で表される配位子Lの基本骨格を表す)を有しており、図1及び図2で表される構造を形成していることがわかった。
<耐水性試験>
50mLのバイアル瓶に、実施例2で得られた結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末を約200mg入れ、水45mlを加え、そのままの状態(室温)で7日間(168時間)放置した。その後、結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末を大気中で吸引ろ取し、減圧乾燥した。また、比較のため、金属有機構造体HKUST−1(Cu(1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート))粉末についても同様に、7日間の耐水性試験を行なった。
<顕微鏡観察>
耐水性試験前後の結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末を、光学顕微鏡((株)ニコン製「YS100」)及び走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製「SU3500」)を用いて観察した。図3Aは耐水性試験前の、図3Bは耐水性試験後(3日後)の結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末の光学顕微鏡写真であり、図4Aは耐水性試験前の、図4Bは耐水性試験後(3日後)の結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末のSEM写真である。また、耐水性試験前後のHKUST−1粉末についても同様にSEM観察を行なった。図5Aは耐水性試験前の、図5Bは耐水性試験後(7日後)のHKUST−1粉末のSEM写真である。
図3A〜図4Bに示した結果から明らかなように、結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)は、水中保存状態3日後も、結晶構造が保持されていることが確認された。なお、水中保存状態7日後でも同様に、結晶構造は保持されていた。一方、図5A〜図5Bに示した結果から明らかなように、HKUST−1は、7日間の水中保存により、結晶構造が崩壊したことがわかった。
<粉末X線回折測定>
耐水性試験前後の結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末及びHKUST−1粉末のX線回折パターンを、粉末X線回折装置(リガク(株)製「RINT−TTR」)を用いて測定した。図6は結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末のX線回折パターン、図7はHKUST−1粉末のX線回折パターンを示す。
図6に示した結果から明らかなように、結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)については、低角の回折ピークの位置が僅かにずれた(耐水性試験前:2θ=4.92°、耐水性試験後:2θ=4.20°)ものの、その他の回折ピークの位置は変化しておらず、7日間の水中保存でも、結晶構造は変化しないことが確認された。一方、図7に示した結果から明らかなように、HKUST−1については、広範囲の回折角において、回折ピークの位置及び強度が変化しており、7日間の水中保存により、結晶構造が崩壊したことが確認された。これは、銅の2核構造が水と反応して配位子と置換したためと推察される。
<熱重量測定>
耐水性試験前後の結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末の熱重量変化を、熱重量測定装置(リガク(株)「thermoplus TG8210」)を用い、昇温速度:10℃/分、温度範囲:25〜800℃で測定した。
図8に示した結果から明らかなように、耐水性試験後の結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末は、耐水性試験前の結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末と同等の熱重量変化を示し、7日間の水中保存でも、構造が安定していることが確認された。
<メタン吸蔵量測定>
耐水性試験前後の結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末及びHKUST−1粉末のメタン吸蔵量を、メタン吸蔵量自動測定装置((株)豊田中央研究所製)を用い、測定温度:25℃、測定圧力:1.0MPaの条件で測定した。図9には、耐水性試験前のメタン吸蔵量を基準として耐水性試験後のメタン吸蔵量を規格化した結果を示す。
図9に示した結果から明らかなように、耐水性試験後のHKUST−1粉末のメタン吸蔵量は、耐水性試験前の10%であった。これは、結晶構造の崩壊に起因するものと考えられる。一方、耐水性試験後の結晶性ネットワーク錯体(TSM−HM88)粉末のメタン吸蔵量は、耐水性試験前の43%であった。これらの結果から、本発明の結晶性ネットワーク錯体からなるガス吸蔵材料は、HKUST−1からなるガス吸蔵材料に比べて、耐水性に優れており、天然ガスや産業・工業排気二酸化炭素に含まれている水が共存している環境下においても適用できることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、耐水性に優れた結晶性ネットワーク錯体を得ることが可能となる。したがって、このような結晶性ネットワーク錯体は、湿気や水蒸気、水により劣化しにくいため、天然ガスや産業・工業排気二酸化炭素に含まれている水が共存している環境下においても優れたガス吸蔵性能等を示す材料として有用である。

Claims (4)

  1. 下記式(1):
    (式中、aは1又は2である)
    で表されることを特徴とするトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼン。
  2. 2価金属原子と該2価金属原子に配位している請求項1に記載のトリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼンとを含む2核錯体であることを特徴とする結晶性ネットワーク錯体。
  3. 下記式(2):
    (式中、Xは、下記式(1a):
    で表される配位子Lの基本骨格を表す)
    で表されるCu構造単位を有するものであることを特徴とする請求項2に記載の結晶性ネットワーク錯体。
  4. 請求項2又は3に記載の結晶性ネットワーク錯体からなることを特徴とするガス吸蔵材料。
JP2015113379A 2015-06-03 2015-06-03 トリス(カルボキシアントラセニルフェニル)ベンゼン、それを用いた結晶性ネットワーク錯体及びガス吸蔵材料 Expired - Fee Related JP6519948B2 (ja)

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