JP2016222284A - 貼付剤包装用シート及び貼付剤包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】合理化された構成で酸化によるガスの発生が抑制された、貼付剤を包装するための貼付剤包装用シートと、前記貼付剤包装用シートを用いて得られた貼付剤包装体の提供。
【解決手段】酸素バリア層4、酸素吸収層6及びシール層7を備え、酸素吸収層6が酸素バリア層4とシール層7との間に位置するように積層された貼付剤包装用シート1において、酸素吸収層6が、主鎖に不飽和結合を有しない熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなり、前記熱可塑性樹脂は、JIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレートが0.5〜12.0g/10minで、且つJIS K7112:1999で規定される密度が915〜1500kg/mのものであり、前記樹脂組成物の、前記熱可塑性樹脂以外の樹脂の含有量が5質量%以下であるものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、貼付剤包装用シートと、これを用いて得られた貼付剤包装体に関する。
従来から、医薬品、化粧品及び食品等の保存用包装体として、プラスチックフィルムにアルミ箔をラミネートしたプラスチック包装体等が用いられている。このような包装体を用いて、上述の医薬品等を包装する際、包装体の内部に残存する酸素や外部から侵入する酸素により、医薬品等の有効成分が酸化されて変質するおそれがあるという問題点があった。また、外部から侵入する水蒸気により、有効成分が加水分解するおそれがあるという問題点もあった。
このような問題点に対して、酸素吸収層及びガスバリア層を備えた多層包装材料が開示されている(特許文献1参照)。この多層包装材料においては、前記酸素吸収層が基材である熱可塑性樹脂と、酸化性重合体と、遷移金属触媒とを配合して得られた樹脂組成物からなる。そして、前記熱可塑性樹脂が前記遷移金属触媒の存在下でも実質上酸化されずに酸化劣化が抑制され、一方で前記酸化性重合体が専ら酸化されることで、前記酸素吸収層が酸素を吸収するように構成されている。前記酸化性重合体としては、主鎖に不飽和結合を有するポリエン系重合体等が用いられる。
特開2003−11283号公報
しかし、特許文献1で開示されている多層包装材料では、その使用過程において、前記酸化性重合体の酸化によってガスが発生するが、酸化性重合体の酸化速度が速く、ガスが溜まり易いという問題点があった。酸化性重合体の酸化で発生したガスは、臭気を伴うことがあり、また、その発生量が多いと、酸素吸収層とガスバリア層との間でこれらの剥離が生じることがある。そこで、酸化によるガスの発生が抑制された包装材料が求められていた。
一方で、包装対象物の形態は多岐に渡っており、例えば、医薬品であれば、錠剤、顆粒剤、貼付剤等、種々のものが挙げられる。本来であれば、これら医薬品等の形態に応じて、保存用包装体もより適した構成とするのが理想的である。例えば、貼付剤は、通常シート状であるが、このような貼付剤を包装した場合には、錠剤等を包装した場合よりも、包装対象物(貼付剤、錠剤等)の重量に対する、包装体の収容空間の容積の割合は小さく、吸収剤対象である酸素の量は少なくなる。したがって、貼付剤の包装体を構成するための包装材料では、特許文献1で開示されている多層包装材料とは異なり、酸化性重合体の使用量を低減するなど、酸素吸収層の構成を合理化できる可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、合理化された構成で酸化によるガスの発生が抑制された、貼付剤を包装するための貼付剤包装用シートと、前記貼付剤包装用シートを用いて得られた貼付剤包装体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].酸素バリア層、酸素吸収層及びシール層を備え、前記酸素吸収層が前記酸素バリア層と前記シール層との間に位置するように積層された貼付剤包装用シートであって、前記酸素吸収層が、主鎖に不飽和結合を有しない熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなり、前記熱可塑性樹脂は、JIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレートが0.5〜12.0g/10minで、且つJIS K7112:1999で規定される密度が915〜1500kg/mのものであり、前記樹脂組成物の、前記熱可塑性樹脂以外の樹脂の含有量が5質量%以下である、貼付剤包装用シート。
[2].酸素バリア層、酸素吸収層及びシール層を備え、前記酸素吸収層が前記酸素バリア層と前記シール層との間に位置するように積層された貼付剤包装用シートであって、前記酸素吸収層が、主鎖に不飽和結合を有しない熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなり、前記熱可塑性樹脂は、SP値が8〜15で、且つぬれ指数が28〜50mN/mのものであり、前記樹脂組成物の、前記熱可塑性樹脂以外の樹脂の含有量が5質量%以下である、貼付剤包装用シート。
[3].前記熱可塑性樹脂は、JIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さが45〜65のものである、[1]又は[2]に記載の貼付剤包装用シート。
[4].前記熱可塑性樹脂は、JIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度が60〜120℃のものである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シート。
[5].前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド及びポリエステルからなる群より選択される1種以上である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シート。
[6].前記樹脂組成物が、前記熱可塑性樹脂以外の樹脂を含まない、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シート。
[7].前記樹脂組成物が、前記熱可塑性樹脂と酸素との反応を促進する反応促進剤をさらに含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シート。
[8].[1]〜[7]のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シートを用いて得られた貼付剤包装体であって、前記シール層同士の一部を接着させることで形成された収容空間を有し、前記酸素吸収層が前記酸素バリア層よりも前記収容空間側に配置されている、貼付剤包装体。
本発明によれば、合理化された構成で酸化によるガスの発生が抑制された、貼付剤を包装するための貼付剤包装用シートと、前記貼付剤包装用シートを用いて得られた貼付剤包装体が提供される。
第1実施形態の貼付剤包装用シートの断面を模式的に示す断面模式図である。 他の実施形態の貼付剤包装用シートの断面を模式的に示す断面模式図である。 本実施形態の貼付剤包装体の断面を模式的に示す断面模式図である。
<<貼付剤包装用シート>>
◎第1実施形態
本発明の第1実施形態の貼付剤包装用シートは、酸素バリア層、酸素吸収層及びシール層を備え、前記酸素吸収層が前記酸素バリア層と前記シール層との間に位置するように積層された貼付剤包装用シートであって、前記酸素吸収層が、主鎖に不飽和結合を有しない熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなり、前記熱可塑性樹脂は、JIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレートが0.5〜12.0g/10minで、且つJIS K7112:1999で規定される密度が915〜1500kg/mのものであり、前記樹脂組成物の、前記熱可塑性樹脂以外の樹脂の含有量が5質量%以下のものである。
第1実施形態における前記熱可塑性樹脂を、以下、「熱可塑性樹脂(A1)」ということがある。また、第1実施形態における前記樹脂組成物を、以下、「樹脂組成物(S1)」ということがある。
以下、図面を参照しながら第1実施形態の貼付剤包装用シートについて、詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の貼付剤包装用シートの断面を模式的に示す断面模式図である。
ここに示すように、第1実施形態の貼付剤包装用シート1は、外層2と、第1接着層3と、酸素バリア層4と、第2接着層5と、酸素吸収層6と、シール層7とを備え、これらの各層がこの順番に積層されて概略構成されている。より具体的には、第1実施形態の貼付剤包装用シート1においては、外層2が一方の表面となり、シール層7が他方の表面となるようにそれぞれ設けられている。そして、外層2とシール層7との間には、酸素バリア層4と酸素吸収層6とが設けられ、酸素バリア層4とシール層7との間に酸素吸収層6が位置するように、各層が積層されている。このような構成を有することにより、第1実施形態の貼付剤包装用シート1は、外層2から酸素バリア層4側へ向けて透過する酸素を、酸素バリア層4によって遮断するとともに、シール層7から酸素吸収層6側へ向けて透過する酸素を、酸素吸収層6によって吸収する機能を有する。
貼付剤包装用シート1の全体の厚さは、特に限定されないが、例えば、30〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。貼付剤包装用シート1の全体の厚さが前記下限値以上であることで、上述した機能がより強く発揮される。また、貼付剤包装用シート1の全体の厚さが前記上限値以下であることで、貼付剤包装用シート1の作業性が向上する。
<外層>
外層2は、第1実施形態の貼付剤包装用シート1に、耐熱性、耐傷性、耐突刺し性、光沢、印刷性等を付与するために、貼付剤包装用シート1の一方の表面となるように設けられている。
外層2の材質は、特に限定されないが、好ましい材質として、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ナイロン(登録商標)のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ビニル系樹脂;セルロース(セロハン及び紙も前記セルロースに含める)等の樹脂が挙げられる。
これらの中でも、外層2の材質は、一軸又は二軸方向に延伸されたポリオレフィン、ナイロン(登録商標)、又はポリエステルであることがより好ましい。
外層2の厚さは、特に限定されないが、例えば、5〜300μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。外層2の厚さが前記下限値以上であることで、外層2の耐熱性等が向上する。また、外層2の厚さが前記上限値以下であることで、貼付剤包装用シート1の作業性が向上する。
<第1接着層>
第1接着層3は、外層2と酸素バリア層4とを接着するために、外層2と酸素バリア層4との間に、これらに隣接するように設けられている。これにより、外層2と酸素バリア層4との層間接着力が高まり、これらの間での剥離を防止できる。
第1接着層3の材質は、特に限定されないが、例えば、接着性ポリプロピレン系樹脂、接着性ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。また、第1接着層3は、目的に応じてアンカーコート剤等を含んでいてもよい。
第1接着層3の厚さは、特に限定されないが、例えば、5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。第1接着層3の厚さが前記下限値以上であることで、接着性が向上する。また、第1接着層3の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが避けられる。
<酸素バリア層>
酸素バリア層4は、外層2と酸素吸収層6との間に位置するように設けられており、主に酸素の透過を抑制する。酸素バリア層4を外層2側に設けることにより、貼付剤包装用シート1を用いて形成した貼付剤包装体においては、外層2側から前記包装体内部への酸素の侵入を防止できる。
なお、酸素バリア層4としては、水蒸気等の酸素以外のガスに対してもバリア性を有するものを使用可能である。
酸素バリア層4を構成するバリア材の材質は、特に限定されないが、好ましい材質としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化アルミニウム(アルミナ)等の軽金属及びその化合物;酸化ケイ素、鉄、ブリキ、銅、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の前記軽金属及びその化合物以外の無機物;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH);ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ポリメタキシリレンアジパミド(МXD6)等の芳香族ポリアミド等の酸素バリア性樹脂が挙げられる。
前記バリア材の材質は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
上記の中でも、酸素バリア層4を構成するバリア材の材質は、アルミニウム、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素のいずれか一以上であることがより好ましい。
酸素バリア層4の形態は、前記バリア材を含んでいれば特に限定されない。酸素バリア層4として、より具体的には、例えば、金属箔、無機物蒸着フィルム、バリア材をコーティングしたフィルム等が挙げられる。これらの中でも酸素バリア層4は、包装物の保護効果がより高い点から、金属箔又は無機物蒸着フィルムであることが好ましい。
前記金属箔は、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、アルミニウム等の軽金属箔;アルミニウム合金等の軽金属の合金箔;鉄箔、ブリキ箔、表面処理銅箔等のスチール箔等が挙げられる。
これらの中でも前記金属箔は、安価で汎用性が高い点から、アルミニウム箔であることがより好ましい。
前記無機物蒸着フィルムは、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、蒸着等の方法でバリア材が基材フィルムに付着されたものが挙げられる。
これらの中でも前記無機物蒸着フィルムは、蒸着等の方法で上述の好ましいバリア材が基材フィルムに付着されたものがより好ましい。
前記基材フィルムは特に限定されないが、具体的な基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ナイロン(登録商標)等のポリアミド;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール等の樹脂等を、延伸して又は未延伸のままフィルム状としたものが挙げられる。
一般的には、ポリエチレンテレフタレートは、弾性率(腰)及び耐熱性が高い基材フィルムを使用したいときに選択され、ナイロン(登録商標)(特に延伸ナイロン(登録商標))は、突刺強度及び耐ピンホール性等が高い基材フィルムを使用したいときに選択され、ポリビニルアルコールは、バリア性が高い基材フィルムを使用したいときに選択される。
酸素バリア層4の厚さは、特に限定されないが、例えば、5〜200μmであることが好ましく、7〜50μmであることがより好ましい。酸素バリア層4の厚さが前記下限値以上であることで、酸素バリア性及び耐ピンホール性が向上する。また、酸素バリア層4の厚さが前記上限値以下であることで、貼付剤包装用シート1のシール性が向上する。
<第2接着層>
第2接着層5は、酸素バリア層4と酸素吸収層6とを接着するために、酸素バリア層4と酸素吸収層6との間に、これらに隣接するように設けられている。これにより、酸素バリア層4と酸素吸収層6との層間接着力が高まり、これらの間での剥離を防止できる。
第2接着層5の材質は、特に限定されず、例えば、上述の第1接着層3の材質と同じものが挙げられ、貼付剤包装用シート1において、第1接着層3及び第2接着層5は互いに同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
第2接着層5の厚さは、特に限定されず、例えば、上述の第1接着層3の厚さと同様でよく、貼付剤包装用シート1において、第1接着層3及び第2接着層5は互いに同じ厚さであってもよいし、異なる厚さであってもよい。
<酸素吸収層>
酸素吸収層6は、主に酸素を吸収する機能を有する層であり、酸素バリア層4とシール層7との間に位置するように設けられている。酸素吸収層6をシール層7側に設けることにより、貼付剤包装用シート1を用いて形成した貼付剤包装体においては、酸素吸収層6よりも内側に存在する酸素を酸素吸収層6によって吸収できる。
[樹脂組成物(S1)]
酸素吸収層6は、熱可塑性樹脂(A1)を含む樹脂組成物(S1)からなる。次に、前記樹脂組成物(S1)の含有成分について、詳細に説明する。
(熱可塑性樹脂(A1))
第1実施形態において、前記熱可塑性樹脂(A1)はベース樹脂であり、酸素吸収層6の主たる構成成分であり、貼付剤包装用シート1の強度を向上させて、貼付剤包装体の製造時や輸送時等における意図しない破断等の不具合の発生を防止する。
また、熱可塑性樹脂(A1)は、主鎖に不飽和結合を有しないことで、主鎖に不飽和結合を有する酸化性重合体等のような酸素との高い反応性を有しない。しかし、熱可塑性樹脂(A1)は、後述するようにメルトフローレート及び密度が特定の範囲内にあり、このような限定された構成を有することで、貼付剤包装用シート1の通常の使用条件下においては、酸素との適度な反応性を有する。一方で、貼付剤は通常シート状であり、これを包装した場合には、錠剤等を包装した場合よりも、包装対象物(貼付剤、錠剤等)の重量に対する、包装体の収容空間の容積の割合は小さくなる。このように、後述する貼付剤包装体の収容空間は、包装対象物である貼付剤に対して相対的に狭くなっており、酸素吸収層6が従来の酸化性重合体等の酸素吸収性樹脂を含んでいないか、又は酸素吸収層6の酸素吸収性樹脂の含有量が微量であっても、このような狭い収容空間内に存在する程度の量の酸素であれば、酸素吸収層6に含まれる熱可塑性樹脂(A1)と十分に反応し、酸素吸収層6において十分に吸収される。
なお、本明細書において、「主鎖」とは、モノマー(単量体)の重合により形成された鎖状構造を意味し、その例としては、重合体の鎖状構造のうち鎖長が最も長いものが挙げられる。
熱可塑性樹脂(A1)は、側鎖に不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
第1実施形態においては、熱可塑性樹脂(A1)として、JIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレートが0.5〜12.0g/10minで、且つJIS K7112:1999で規定される密度が915〜1500kg/mのものを用いる。このような限定された特性の熱可塑性樹脂(A1)を用いることで、酸素吸収層6は後述するように、主鎖に不飽和結合を有する従来の酸化性重合体等の酸素吸収性樹脂を含まないか、又は前記酸素吸収性樹脂の含有量が微量であっても、貼付剤包装体内部の酸素を十分に吸収できる。
熱可塑性樹脂(A1)は、上述の特性を有するものであれば特に限定されないが、具体的な熱可塑性樹脂(A1)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。前記ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)等が挙げられる。
第1実施形態において、熱可塑性樹脂(A1)のJIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレートは、0.6g/10min以上であることが好ましく、0.7g/10min以上であることがより好ましく、0.8g/10min以上であることがさらに好ましく、例えば、1.1g/10min以上、1.4g/10min以上、1.7g/10min以上等であってもよい。
また、熱可塑性樹脂(A1)のJIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレートは、11.7g/10min以下であることが好ましく、11.4g/10min以下であることがより好ましく、11.1g/10min以下であることがさらに好ましく、10.8g/10min以下であることが特に好ましく、例えば、8g/10min以下、6g/10min以下、4g/10min以下等であってもよい。
熱可塑性樹脂(A1)の前記メルトフローレートがこのような範囲であることで、酸素吸収層6の酸素吸収能がより向上する。
第1実施形態において、熱可塑性樹脂(A1)のJIS K7112:1999で規定される密度は、917kg/m以上であることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂(A1)のJIS K7112:1999で規定される密度は、1450kg/m以下であることが好ましく、1400kg/m以下であることがより好ましく、例えば、1300kg/m以下、1200kg/m以下、1100kg/m以下、1000kg/m以下等であってもよい。
熱可塑性樹脂(A1)の前記密度がこのような範囲であることで、酸素吸収層6の酸素吸収能がより向上する。
第1実施形態において、熱可塑性樹脂(A1)は、さらに、JIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さが45〜65のものであることが好ましい。このような熱可塑性樹脂(A1)を用いることで、酸素吸収層6の酸素吸収能がより向上する。
上述の効果がより高くなる点から、熱可塑性樹脂(A1)のJIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さは、46以上であることが好ましく、例えば、48以上、50以上、52以上等であってもよい。また、熱可塑性樹脂(A1)のJIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さは、64以下、60以下等であってもよい。
第1実施形態において、熱可塑性樹脂(A1)は、さらに、JIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度が60〜120℃のものであることが好ましい。このような熱可塑性樹脂(A1)を用いることで、酸素吸収層6の酸素吸収能がより向上する。
上述の効果がより高くなる点から、熱可塑性樹脂(A1)のJIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度は、61℃以上であることが好ましく、例えば、70℃以上、80℃以上、90℃以上等であってもよい。同様に、上述の効果がより高くなる点から、熱可塑性樹脂(A1)のJIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度は、119℃以下であることが好ましく、例えば、115℃以下、111℃以下等であってもよい。
第1実施形態において、熱可塑性樹脂(A1)は、上述のJIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレート及びJIS K7112:1999で規定される密度に加え、さらに上述のJIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さ及びJIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度のいずれか一方又は両方の条件を満たすものが好ましく、JIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さ及びJIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度の両方の条件を満たすものがより好ましい。
第1実施形態において、熱可塑性樹脂(A1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの比率及び組み合わせは、目的に応じて任意に選択できる。
第1実施形態において、熱可塑性樹脂(A1)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド及びポリエステルからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
第1実施形態において、樹脂組成物(S1)の熱可塑性樹脂(A1)の含有量は、95質量%以上であることが好ましく、例えば、97質量%以上であってもよいし、99質量%以上であってもよい。
第1実施形態において、樹脂組成物(S1)の熱可塑性樹脂(A1)の含有量の上限値は、特に限定されず、100質量%であってもよい。ただし通常は、樹脂組成物(S1)が後述する反応促進剤を含有することが好ましく、前記上限値は99.999質量%であることが好ましい。
(反応促進剤)
樹脂組成物(S1)は、熱可塑性樹脂(A1)以外に、熱可塑性樹脂(A1)と酸素との反応を促進する反応促進剤をさらに含むものが好ましい。前記反応促進剤を含む樹脂組成物(S1)においては、熱可塑性樹脂(A1)の酸素との反応性がより向上することで、酸素吸収層6の酸素吸収能がより向上する。
前記反応促進剤は、上述の機能を有するものであれば特に限定されないが、具体的な反応促進剤としては、例えば、ラジカル発生剤、光触媒、遷移金属化合物等が挙げられる。
前記遷移金属化合物は、特に限定されないが、具体的な遷移金属化合物としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトナート亜鉛、アセチルアセトナートコバルト、アセチルアセトナート銅等が挙げられる。
第1実施形態において、前記反応促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの比率及び組み合わせは、目的に応じて任意に選択できる。
第1実施形態において、樹脂組成物(S1)の前記反応促進剤の含有量は、特に限定されない。ただし、通常は、樹脂組成物(S1)の前記反応促進剤の含有量は、100ppm以上であることが好ましく、500ppm以上であることがより好ましく、1000ppm以上であることがさらに好ましい。反応促進剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、反応促進剤を用いたことによる、酸素吸収層6における酸素吸収能の向上効果がより高くなる。
なお、本明細書において、含有量の単位「ppm」は、特に断りのない限り、すべて質量比に基づくものである。
一方、第1実施形態において、樹脂組成物(S1)の前記反応促進剤の含有量は、10000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましい。反応促進剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、反応促進剤による酸素吸収層6の着色が抑制される。
(その他の樹脂)
樹脂組成物(S1)は、熱可塑性樹脂(A1)以外に、その他の樹脂を含んでいてもよい。
前記その他の樹脂は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
前記その他の樹脂である熱可塑性樹脂としては、例えば、主鎖に不飽和結合を有しない熱可塑性樹脂のうち、熱可塑性樹脂(A1)における、JIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレート及びJIS K7112:1999で規定される密度のいずれか一方又は両方の条件を満たさないもの(以下、「熱可塑性樹脂(B1)」ということがある)、及び主鎖に不飽和結合を有する熱可塑性樹脂(以下、「熱可塑性樹脂(B2)」ということがある)が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂(B1)は、上述の条件を有するものであれば特に限定されない。
具体的な熱可塑性樹脂(B1)としては、例えば、熱可塑性樹脂(A1)として先に具体的に挙げたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等のうち、上述のJIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレート及びJIS K7112:1999で規定される密度のいずれか一方又は両方の条件を満たさないものが挙げられる。そして、前記ポリエチレンとしては、例えば、先に挙げた低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)に加え、高密度ポリエチレン(HDPE)も挙げられる。
前記熱可塑性樹脂(B2)は特に限定されず、具体的な熱可塑性樹脂(B2)としては、例えば、エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、ポリエーテルユニットポリマー、エチレンと歪んだ環状アルキレンとのコポリマー、ポリアミド、酸変性ポリブタジエン、ヒドロキシアルデヒドポリマー、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体等の、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂等が挙げられる。
第1実施形態において、前記その他の樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの比率及び組み合わせは、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、第1実施形態において、前記その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂(B1)及び熱可塑性樹脂(B2)のいずれか一方若しくは両方を、1種又は2種以上用いることができる。
第1実施形態において、樹脂組成物(S1)の前記その他の樹脂の含有量は、5質量%以下であり、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であってもよい。その他の樹脂の前記含有量が前記上限値以下であることで、酸素吸収層6における樹脂成分の酸化によるガスの発生が抑制される。そして、前記ガスの発生に伴う臭気の発生が抑制されるとともに、酸素吸収層6と酸素バリア層4との間の剥離が抑制される。「酸素吸収層6と酸素バリア層4との間の剥離」には、例えば、「酸素バリア層4と第2接着層5との間の剥離」や「酸素吸収層6と第2接着層5との間の剥離」があるが、ここで抑制されるのは、おもに「酸素吸収層6と第2接着層5との間の剥離」である。後述するように、貼付剤包装用シート1が第2接着層5を備えていない場合には、「酸素吸収層6と酸素バリア層4との間の剥離」が抑制される。
第1実施形態において、樹脂組成物(S1)は、前記その他の樹脂を含まないものが好ましく、熱可塑性樹脂(A1)及び反応促進剤を含み、かつ前記その他の樹脂を含まないものがより好ましい。
酸素吸収層6の厚さは、特に限定されないが、例えば、3〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。酸素吸収層6の厚さが、前記下限値以上であることで、酸素吸収層6の酸素吸収能がより向上する。また、酸素吸収層6の厚さが、前記上限値以下であることで、貼付剤包装用シート1の成形性がより向上する。
従来の薬剤包装用シートを構成する酸素吸収層では、ベース樹脂中に酸素吸収性樹脂が海島状に分散しており、成形性や密着性に劣っていたため、接着層を介することなく酸素吸収層をシール層と密着させて積層することが困難であった。
これに対して、第1実施形態の貼付剤包装用シート1においては、酸素吸収層6が酸素吸収性樹脂を含んでいないか、又は酸素吸収層6の酸素吸収性樹脂の含有量が微量であることにより、酸素吸収層6が従来の薬剤包装用シートの酸素吸収層とは状態が異なっており、成形性及び密着性が良好であるため、接着層を介することなく酸素吸収層6をシール層7と直接接して積層できる。
<シール層>
シール層7は、それ同士が、又は他の部材と接着されるものであり、貼付剤包装用シート1の他方の表面となるように設けられている。また、酸素吸収層6の成形性及び密着性が良好であるため、シール層7は、接着層を介することなく、酸素吸収層6と直接接して積層されている。なお、シール層7同士、又はシール層7と他の部材との接着方法は、特に限定されないが、具体的な接着方法としては、例えば、ヒートシール法、超音波シール法、高周波シール法、インパルスシール法等が挙げられる。
貼付剤包装用シート1同士を、シール層7を介して接着することにより、後述する貼付剤包装体を形成できる。
シール層7の材質は、接着性を有し、貼付剤包装体とした際に、その包装物(貼付剤)に悪影響を及ぼさないものである限り、特に限定されず、例えば、従来からシール材として利用されている一般的な樹脂を用いることができる。このようなシール層7の材質として、具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
前記環状オレフィン系樹脂としては、例えば、種々の環状オレフィンモノマーの重合体及びその水素添加物;環状オレフィンモノマーとエチレン等の他のモノマーとの共重合体及びその水素添加物;環状オレフィンと他のモノマーとの共重合体等の環状オレフィン系重合体(COC:Cycloolefin Co−Polymer)等が挙げられる。
前記環状オレフィンモノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミド等の二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン及びジヒドロジシクロペンタジエン並びにこれらのアルキル、アルケニル、アルキリデン又はアリール置換体等の三環シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン及びジメタノオクタヒドロナフタレン並びにこれらのアルキル、アルケニル、アルキリデン又はアリール置換体等の四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエン等の五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセン等の六環シクロオレフィン等が挙げられる。
また、前記環状オレフィンモノマーとしては、例えば、ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖又はエステル基等で結合した化合物、これらのアルキル又はアリール置換体等のノルボルネン環を含む化合物等も挙げられる。
なお、前記環状オレフィン系樹脂を得るための、モノマーの重合方法及び重合機構は、開環重合であってもよいし、付加重合であってもよい。また、複数種のモノマーを併用して重合させる場合の重合様式は、ランダム共重合であってもよいし、ブロック共重合であってもよい。
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、酸成分としてはテレフタル酸等の2価の酸、又はエステル形成能を有するそれらの誘導体等を用い、グリコール成分としては炭素数2以上10以下のグリコール、その他の2価のアルコール、又はエステル形成能を有するそれらの誘導体等を用いて得られた飽和ポリエステル等が挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、より具体的には、例えば、飽和ポリエステル系樹脂であれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート等が挙げられる。
なお、前記ポリエステル系樹脂は、他の成分を共重合させて用いてもよい。共重合させる他の成分としては、例えば、公知の酸、アルコール、フェノール類(芳香族アルコール)、エステル形成能を有するこれら(酸、アルコール、フェノール類)の誘導体、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
第1実施形態において、前記樹脂等のシール層7の材質は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの比率及び組み合わせは、目的に応じて任意に選択できる。
シール層7の厚さは、特に限定されないが、具体的には、例えば、3〜200μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。シール層7の厚さが前記下限値以上であることで、シール性がより向上する。また、シール層7の厚さが前記上限値以下であることで、シール層7の染み出し等の発生が高度に抑制される。
シール層7は、前記シール材以外に、その他の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、具体的なその他の成分としては、例えば、酸化防止剤、消臭剤等が挙げられる。
第1実施形態において、前記その他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの比率及び組み合わせは、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、第1実施形態において、前記その他の成分としては、前記酸化防止剤及び消臭剤のいずれか一方若しくは両方を、1種又は2種以上用いることができる。
前記酸化防止剤は特に限定されないが、具体的な酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。
前記消臭剤は、化学的な消臭剤であってもよいし、物理的な消臭剤であってもよい。
前記消臭剤は、例えば、溶融押出しの際に、通常のマスターバッチ方式のブレンド法等により、樹脂へ添加して用いることができる。
第1実施形態において、前記消臭剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの比率及び組み合わせは、目的に応じて任意に選択できる。
化学的な消臭剤は特に限定されないが、具体的ものとしては、例えば、臭気原因物質を化学的に吸着する公知の物質が挙げられ、臭気原因物質の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、臭気原因物質がアルデヒド類である場合、前記消臭剤としては、アミン系化合物を担持した二酸化珪素、アミン系有機化合物とケイ酸塩系無機化合物との複合物、層間にアミノ基を保持した層状リン酸塩等が挙げられる。また、臭気原因物質が酸類である場合、前記消臭剤としては、水酸基を有するジルコニウム、アルミノケイ酸、水酸基を有する酸化亜鉛等が挙げられる。
物理的な消臭剤は特に限定されないが、具体的ものとしては、例えば、活性炭、活性白土、シクロデキストリン、アルミノケイ酸等が挙げられる。
貼付剤包装用シートにおいては、その他の薬剤包装用シートの場合よりも、酸素吸収層に求められる酸素の吸収量は少なくなる。これを反映して、第1実施形態の貼付剤包装用シートにおいては、酸素吸収層が主鎖に不飽和結合を有する酸化性重合体等のような酸素吸収性樹脂を含んでいないか、又は酸素吸収層の酸素吸収性樹脂の含有量が微量である。そして、酸素吸収層では、その主たる構成成分である熱可塑性樹脂(A1)が、酸素と反応する酸素吸収性樹脂としての役割を兼ねる。このように、第1実施形態の貼付剤包装用シートにおいては、酸素吸収性樹脂の使用が抑制され、構成が合理化されており、しかも、酸素吸収層での酸素との反応(酸化)によるガスの発生が抑制される。また、第1実施形態の貼付剤包装用シートにおいては、このようにガスの発生が抑制されるので、同時に臭気の発生が抑制され、酸素吸収層と酸素バリア層との間における剥離も抑制される。さらに、熱可塑性樹脂(A1)は、主鎖に不飽和結合を有しないため、短期間で変質することがない。したがって、第1実施形態の貼付剤包装用シートは、酸素吸収能及び機械的強度を長期間に渡って維持できる。また、第1実施形態の貼付剤包装用シートにおいては、酸素吸収性樹脂の使用が抑制されているのに加え、酸素吸収層の成形性及び密着性が良好であることにより、シール層が接着層を介さずに酸素吸収層と直接接して積層可能であり、薄膜化、製造コストの低減及び製造プロセスの簡略化が可能である。
◎第2実施形態
本発明の第2実施形態の貼付剤包装用シートは、酸素バリア層、酸素吸収層及びシール層を備え、前記酸素吸収層が前記酸素バリア層と前記シール層との間に位置するように積層された貼付剤包装用シートであって、前記酸素吸収層が、主鎖に不飽和結合を有しない熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなり、前記熱可塑性樹脂は、SP値が8〜15で、且つぬれ指数が28〜50mN/mのものであり、前記樹脂組成物の、前記熱可塑性樹脂以外の樹脂の含有量が5質量%以下のものである。
第2実施形態において、SP値とは、溶解パラメータ(Solubility Parameter)を意味する。
第2実施形態における前記熱可塑性樹脂を、以下、「熱可塑性樹脂(A2)」ということがある。また、第2実施形態における前記樹脂組成物を、以下、「樹脂組成物(S2)」ということがある。
第2実施形態の貼付剤包装用シートは、前記熱可塑性樹脂(A1)に代えて前記熱可塑性樹脂(A2)を用いた点以外は、先に説明した第1実施形態の貼付剤包装用シートと同じものである。すなわち、第2実施形態における酸素バリア層及びシール層は、第1実施形態における酸素バリア層及びシール層と同じものである。そして、第2実施形態の貼付剤包装用シートは、第1実施形態の貼付剤包装用シートと同じ効果を奏する。
第2実施形態の貼付剤包装用シートとしては、例えば、図1に示す貼付剤包装用シート1において、酸素吸収層6を、熱可塑性樹脂(A1)に代えて熱可塑性樹脂(A2)を含む樹脂組成物(S2)からなるものとし、その他の層、すなわち、外層2、第1接着層3、酸素バリア層4、第2接着層5及びシール層7は、上述の第1実施形態と同じであるものが挙げられる。
<酸素吸収層>
第2実施形態における酸素吸収層は、熱可塑性樹脂(A2)を含む樹脂組成物(S2)からなり、第1実施形態における酸素吸収層と同じ効果を奏する。
[樹脂組成物(S2)]
樹脂組成物(S2)は、熱可塑性樹脂(A1)に代えて熱可塑性樹脂(A2)を用いた点以外は、第1実施形態における樹脂組成物(S1)と同じものである。次に、樹脂組成物(S2)の含有成分について、詳細に説明する。
(熱可塑性樹脂(A2))
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(A2)はベース樹脂であり、熱可塑性樹脂(A1)と同様の機能を有し、酸素吸収層の主たる構成成分であり、貼付剤包装用シートの強度を向上させて、貼付剤包装体の製造時や輸送時等における意図しない破断等の不具合の発生を防止する。
そして、熱可塑性樹脂(A2)は、主鎖に不飽和結合を有しないことで、主鎖に不飽和結合を有する酸化性重合体等のような酸素との高い反応性を有しない。しかし、熱可塑性樹脂(A2)は、後述するようにSP値及びぬれ指数が特定の範囲内にあり、このような限定された構成を有することで、貼付剤包装用シートの通常の使用条件下においては、酸素との適度な反応性を有する。そして、先の説明のように、貼付剤包装体の収容空間は、包装対象物である貼付剤に対して相対的に狭くなっており、第2実施形態においても、酸素吸収層が従来の酸化性重合体等の酸素吸収性樹脂を含んでいないか、又は酸素吸収層の酸素吸収性樹脂の含有量が微量であっても、このような狭い収容空間内に存在する程度の量の酸素であれば、酸素吸収層に含まれる熱可塑性樹脂(A2)と十分に反応し、酸素吸収層において十分に吸収される。
熱可塑性樹脂(A2)において、「主鎖に不飽和結合を有しない」とは、前記熱可塑性樹脂(A1)の場合と同様の意味を有する。
熱可塑性樹脂(A2)は、側鎖に不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
第2実施形態においては、熱可塑性樹脂(A2)として、SP値が8〜15で、且つぬれ指数が28〜50mN/mのものを用いる。このような限定された特性の熱可塑性樹脂(A2)を用いることで、酸素吸収層は貼付剤包装体内部の酸素を十分に吸収できる。
熱可塑性樹脂(A2)は、上述の特性を有するものであれば特に限定されないが、具体的な熱可塑性樹脂(A2)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。前記ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)等が挙げられる。
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(A2)のSP値は、8以上であることが好ましく、例えば、10以上、11.5以上、12以上、12.5以上、13以上等であってもよい。
また、熱可塑性樹脂(A2)のSP値は14.7以下であることが好ましく、14.4以下であることがより好ましく、14.1以下であることがさらに好ましく、13.8以下であることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂(A2)のSP値がこのような範囲であることで、酸素吸収層の酸素吸収能がより向上する。
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(A2)のぬれ指数は、例えば、28.5mN/m以上、31.5mN/m以上、33mN/m以上、34.5mN/m以上、36mN/m以上、38mN/m以上、40mN/m以上等であってもよい。
また、熱可塑性樹脂(A2)のぬれ指数は48mN/m以下であることが好ましく、46mN/m以下であることがより好ましく、44mN/m以下であることがさらに好ましく、42mN/m以下であることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂(A2)のぬれ指数がこのような範囲であることで、酸素吸収層の酸素吸収能がより向上する。
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(A2)は、さらに、JIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さが45〜65のものであることが好ましい。このような熱可塑性樹脂(A2)を用いることで、酸素吸収層の酸素吸収能がより向上する。
上述の効果がより高くなる点から、熱可塑性樹脂(A2)のJIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さは、46以上であることが好ましく、例えば、48以上、50以上、52以上等であってもよい。また、熱可塑性樹脂(A2)のJIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さは、64以下、60以下等であってもよい。
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(A2)は、さらに、JIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度が60〜120℃のものであることが好ましい。このような熱可塑性樹脂(A2)を用いることで、酸素吸収層の酸素吸収能がより向上する。
上述の効果がより高くなる点から、熱可塑性樹脂(A2)のJIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度は、61℃以上であることが好ましく、例えば、70℃以上、80℃以上、90℃以上等であってもよい。同様に、上述の効果がより高くなる点から、熱可塑性樹脂(A2)のJIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度は、119℃以下であることが好ましく、例えば、115℃以下、111℃以下等であってもよい。
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(A2)は、さらに、酸素透過率が50〜5000mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)のものであることが好ましい。このような熱可塑性樹脂(A2)を用いることで、酸素吸収層の酸素吸収能がより向上する。なお、本明細書において前記酸素透過率は、特に断りのない限り、温度23℃、相対湿度60%の環境下において、厚さが20μmである前記熱可塑性樹脂が示すものを意味する。
上述の効果がより高くなる点から、熱可塑性樹脂(A2)の酸素透過率は、60mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)以上であることが好ましく、100mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)以上であることがより好ましく、500mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)以上であることがさらに好ましく、1000mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)以上であることが特に好ましい。同様に、上述の効果がより高くなる点から、熱可塑性樹脂(A2)の酸素透過率は、4000mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)以下であることが好ましく、3000mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)以下であることがより好ましく、2000mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)以下であることがさらに好ましく、1500mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)以下であることが特に好ましい。
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(A2)は、上述のSP値及びぬれ指数に加え、さらに上述のJIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さ、JIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度及び酸素透過率のいずれか一以上の条件を満たすものが好ましく、JIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さ及びJIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度の条件をともに満たすものがより好ましい。
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(A2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの比率及び組み合わせは、目的に応じて任意に選択できる。
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(A2)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド及びポリエステルからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
第2実施形態において、樹脂組成物(S2)の熱可塑性樹脂(A2)の含有量は、95質量%以上であることが好ましく、例えば、97質量%以上であってもよいし、99質量%以上であってもよい。
第2実施形態において、樹脂組成物(S2)の熱可塑性樹脂(A2)の含有量の上限値は、特に限定されず、100質量%であってもよい。ただし通常は、樹脂組成物(S2)が後述する反応促進剤を含有することが好ましく、前記上限値は99.999質量%であることが好ましい。
(反応促進剤)
樹脂組成物(S2)は、熱可塑性樹脂(A2)以外に、熱可塑性樹脂(A2)と酸素との反応を促進する反応促進剤をさらに含むものが好ましく、反応促進剤としては、第1実施形態におけるものと同様のものを同様に用いることができる。
(その他の樹脂)
樹脂組成物(S2)は、熱可塑性樹脂(A2)以外に、その他の樹脂を含んでいてもよい。
前記その他の樹脂は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
前記その他の樹脂である熱可塑性樹脂としては、例えば、主鎖に不飽和結合を有しない熱可塑性樹脂のうち、熱可塑性樹脂(A2)におけるSP値及びぬれ指数のいずれか一方又は両方の条件を満たさないもの(以下、「熱可塑性樹脂(B3)」ということがある)、及び主鎖に不飽和結合を有する熱可塑性樹脂(すなわち、熱可塑性樹脂(B2))が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂(B3)は、上述の条件を有するものであれば特に限定されない。
具体的な熱可塑性樹脂(B3)としては、例えば、熱可塑性樹脂(A2)として先に具体的に挙げたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等のうち、上述のSP値及びぬれ指数のいずれか一方又は両方の条件を満たさないものが挙げられる。そして、前記ポリエチレンとしては、例えば、先に挙げた低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)に加え、高密度ポリエチレン(HDPE)も挙げられる。
第2実施形態において、熱可塑性樹脂(B2)は、第1実施形態における熱可塑性樹脂(B2)と同じものである。
第2実施形態において、前記その他の樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの比率及び組み合わせは、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、第2実施形態において、前記その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂(B3)及び熱可塑性樹脂(B2)のいずれか一方若しくは両方を、1種又は2種以上用いることができる。
第2実施形態において、樹脂組成物(S2)の前記その他の樹脂の含有量は、5質量%以下であり、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であってもよい。その他の樹脂の前記含有量が前記上限値以下であることで、酸素吸収層における樹脂成分の酸化によるガスの発生が抑制される。そして、前記ガスの発生に伴う臭気の発生が抑制されるとともに、酸素吸収層と酸素バリア層(第2接着層)との間の剥離が抑制される。
第2実施形態において、樹脂組成物(S2)は、前記その他の樹脂を含まないものが好ましく、熱可塑性樹脂(A2)及び反応促進剤を含み、かつ前記その他の樹脂を含まないものがより好ましい。
第2実施形態における酸素吸収層の厚さは、第1実施形態における酸素吸収層の厚さと同様である。
第2実施形態の貼付剤包装用シートにおいては、酸素吸収層が主鎖に不飽和結合を有する酸化性重合体等のような酸素吸収性樹脂を含んでいないか、又は酸素吸収層の酸素吸収性樹脂の含有量が微量である。そして、酸素吸収層では、その主たる構成成分である熱可塑性樹脂(A2)が、酸素と反応する酸素吸収性樹脂としての役割を兼ねる。このように、第2実施形態の貼付剤包装用シートにおいては、酸素吸収性樹脂の使用が抑制され、構成が合理化されており、しかも、酸素吸収層での酸素との反応(酸化)によるガスの発生が抑制される。また、第2実施形態の貼付剤包装用シートにおいては、このようにガスの発生が抑制されるので、同時に臭気の発生が抑制され、酸素吸収層と酸素バリア層との間における剥離も抑制される。さらに、熱可塑性樹脂(A2)は、主鎖に不飽和結合を有しないため、短期間で変質することがない。したがって、第2実施形態の貼付剤包装用シートは、酸素吸収能及び機械的強度を長期間に渡って維持できる。また、第2実施形態の貼付剤包装用シートにおいては、酸素吸収性樹脂の使用が抑制されているのに加え、酸素吸収層の成形性及び密着性が良好であることにより、シール層が接着層を介さずに酸素吸収層と直接接して積層可能であり、薄膜化、製造コストの低減及び製造プロセスの簡略化が可能である。
本発明の貼付剤包装用シートは、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図1に示す第1実施形態の貼付剤包装用シート1では、酸素吸収層6とシール層7とが直接接するように積層されているが、図2に示すように、酸素吸収層6とシール層7とが第3接着層8を介して積層されていてもよい。図2は、本発明の他の実施形態の貼付剤包装用シートの断面を模式的に示す断面模式図である。なお、図2に示す構成要素のうち、図1に示す構成要素と同じものには、図1における符号をそのまま付与し、その詳細な説明は省略する。これは以降の他の図においても同様である。
このように酸素吸収層6とシール層7との間に第3接着層8を設けることにより、貼付剤包装用シート21においては、酸素吸収層6とシール層7との層間接着力が高まり、これらの間での剥離を高度に防止できる。第3接着層8の材質は、特に限定されないが、例えば、接着性ポリプロピレン系樹脂、接着性ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。また、第3接着層8は、目的に応じてアンカーコート剤等を含んでいてもよい。
また、本発明の貼付剤包装用シートは、上述の第1実施形態又は第2実施形態の貼付剤包装用シートにおいて、第1接着層3及び第2接着層5のいずれか一方が省略されたものであってもよい。
また、本発明の貼付剤包装用シートは、上述の第1実施形態又は第2実施形態の貼付剤包装用シートにおいて、酸素吸収層以外の少なくとも1層が、本発明の効果を損なわない範囲内において、結晶核剤、石油樹脂、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、染料、顔料、難燃剤及び可塑剤からなる群より選択される1種以上の添加剤を含んだものであってもよい。このような層を備えた貼付剤包装用シートは、帯電防止機能等、添加剤の種類に応じた機能を有するため、後述する貼付剤包装体の内容物の保存性をより向上させることができる。
本発明の貼付剤包装用シートは、例えば、実施例において後述するように、10cm×10cm等の100cmの大きさの試験片を前記シートから作製し、大気下において、容量が200mLの容器中にこの試験片を密封し、密封してから40℃の環境下で所定時間経過した後に非接触酸素濃度計を用いて測定したこの試験片の酸素吸収量によって、酸素吸収能を確認できる。
本発明の貼付剤包装用シートは、密封してから20日後の前記酸素吸収量が、好ましくは0.05mL/cm以上、より好ましくは0.07mL/cm以上のものとすることができる。また、本発明の貼付剤包装用シートは、密封してから20日後の前記酸素吸収量が、好ましくは0.23mL/cm以下、より好ましくは0.18mL/cm以下のものとすることができる。
そして、本発明の貼付剤包装用シートは、密封してから50日後の前記酸素吸収量が、好ましくは0.08mL/cm以上、より好ましくは0.10mL/cm以上のものとすることができる。また、本発明の貼付剤包装用シートは、密封してから50日後の前記酸素吸収量が、好ましくは0.25mL/cm以下、より好ましくは0.20mL/cm以下のものとすることができる。
また、本発明の貼付剤包装用シートは、例えば、作製後から3日間、25℃で保管した後に、剥離強度試験機を用いて測定した、酸素バリア層と酸素吸収層との間の剥離強度が、好ましくは3N/15mm以上、より好ましくは5N/15mm以上のものとすることができる。
<<貼付剤包装用シートの製造方法>>
本実施形態の貼付剤包装用シートは、例えば、数台の押出機により原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法やマルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等を用いる方法で製造できる。これらの製造方法の中でも、特に、共押出Tダイ法で製膜する方法は、各層の厚さ制御に優れる点で好ましい。
後工程としては、各層を形成する単層及び多層シート又はフィルムを適当な接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法、ウエットラミネート方法、サーマル(熱)ラミネート法、サンドイッチラミネーション法等を、単独で又は二以上を組み合わせて用いられる。
また、コーティングによる方法や押出コート法で積層してもよいが、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂層/ 酸素吸収層からなる2層共押出フィルムの酸素吸収層側と、片面に酸化処理を施したエチレン系フィルムとを熱ラミネーションにより積層する方法等が挙げられる。特に好ましい方法として、EVOH、アルミ箔又は無機薄膜蒸着フィルムを有するバリア基材とコロナ処理済み低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムをバリア層面と処理面が対抗するように配置し、その間に酸素吸収性ポリエステルを連続層として有する酸素吸収層を押し出してサンドラミネーションにより積層する方法、及び、タンデム型押出ラミネーターを用い、EVOH、アルミ箔又は無機薄膜蒸着フィルムを有するバリア基材に、第一の層として酸素吸収層を押し出し、続いて第二の層としてLDPEを押し出して積層する方法等が挙げられる。
特に好ましい方法としては、ドライラミネートにより積層した2軸延伸PETフィルム/アルミ箔の2層フィルムに、酸素吸収層/シール層、又は酸素吸収層/消臭剤を含む熱可塑性樹脂の2層フィルムを、アンカー剤を介して又は介さないで押出コートする方法や、ドライラミネートにより積層した2軸延伸PETフィルム/アルミ箔の2層フィルムに、酸素吸収層/消臭剤を含む熱可塑性樹脂/シール層、酸素吸収層/消臭剤を含む熱可塑性樹脂/非吸着層、又は酸素吸収層/熱可塑性樹脂/非吸着層の3層フィルムを、アンカー剤を介して又は介さないで押出コートする方法や、熱可塑性樹脂層/酸素吸収層/熱可塑性樹脂層又は熱可塑性樹脂層/酸素吸収層/消臭剤を含む熱可塑性樹脂からなる3層共押出フィルムに2軸延伸PETフィルム/アルミ箔を含む多層フィルムと透明無機薄膜蒸着フィルムを、ドライラミネーションにより積層する方法や、熱可塑性樹脂層/酸素吸収層/消臭剤を含む熱可塑性樹脂/シール層、熱可塑性樹脂層/酸素吸収層/消臭剤を含む熱可塑性樹脂/非吸着層、又は熱可塑性樹脂層/酸素吸収層/熱可塑性樹脂/非吸着層から成る4層共押出フィルムに、2軸延伸PETフィルム/ アルミ箔を含む多層フィルムと透明無機薄膜蒸着フィルムを、ドライラミネーションにより積層する方法等があるが、これらに限定されるものではない。
<<貼付剤包装体>>
本発明の一実施形態の貼付剤包装体は、上述の本発明の貼付剤包装用シートを用いて得られた貼付剤包装体であって、前記シール層同士の一部を接着させることで形成された収容空間を有し、前記酸素吸収層が前記酸素バリア層よりも前記収容空間側に配置されているものである。
以下、図面を参照しながら本実施形態の貼付剤包装体について、詳細に説明する。
図3は、本実施形態の貼付剤包装体の断面を模式的に示す断面模式図である。
ここに示すように、本実施形態の貼付剤包装体10は、一対の貼付剤包装用シート1,1を用い、これらのシール層7,7同士の一部を接着させることで形成された収容空間Sを有しており、酸素吸収層6が酸素バリア層4よりも収容空間S側に配置されて、概略構成されている。すなわち、一対の貼付剤包装用シート1,1は、これらのシール層7,7同士が対向するように配置されている。
本実施形態の貼付剤包装体10は、医薬品又は化粧品等(以下、「医薬品等」ということがある)を、内部に設けられた収容空間Sに収容し、保存するための包装体である。
貼付剤包装体10の有効表面積及びヘッドスペース(収容空間Sの容量)は、特に限定されず、包装対象物の種類によって適宜選択できる。一例を挙げれば、貼付剤包装体10が医薬品等の保存用途で用いられる場合、貼付剤包装体10の有効表面積は0.0005〜0.020mであることが好ましく、ヘッドスペースは包装対象物の重量(包装対象物の比重を1とする)の0.005〜1.00倍であることが好ましい。
本実施形態の貼付剤包装体10は、医薬品等の保存用途の場合の一般的な容量の収容空間S中に含まれる酸素を吸収して、収容空間S中の酸素濃度を0.1%以下とすることができる。
また、本実施形態の貼付剤包装体10は、例えば、その作製後から6か月経過した場合においても、収容空間S中の酸素濃度を0.1%以下に維持できる。
さらに、本実施形態の貼付剤包装体10は、例えば、その作製後から6か月経過した場合においても、酸素バリア層4と酸素吸収層6との密着強度を2.0N/15mm以上に維持できる。
本実施形態の貼付剤包装体10においては、貼付剤包装用シート1のシール層7,7同士の一部を接着させることで形成された収容空間Sを有しており、酸素吸収層6が酸素バリア層4よりも収容空間S側に配置された構成となっている。これにより、外層2から収容空間Sへ向けて透過しようとする酸素を、酸素バリア層4によって遮断するとともに、収容空間S内に存在する酸素を、酸素吸収層6によって吸収する。さらに、先の説明のように、貼付剤包装用シート1においては、酸素吸収層6での酸素との反応(酸化)によるガスの発生が抑制されるので、貼付剤包装体10においては、同時に臭気の発生が抑制され、さらに酸素吸収層と酸素バリア層との間における剥離が抑制されるので、酸素吸収能及び機械的強度を長期間に渡って維持できる。貼付剤包装体10は、医薬品等の長期間の保存に適している。
本発明の貼付剤包装体は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図3に示す貼付剤包装体10は、貼付剤包装用シート1を用いたものであるが、貼付剤包装用シート1以外の本発明の貼付剤包装用シートを用いたものであってもよい。
また、図3に示す貼付剤包装体10は、一対の同じ種類の貼付剤包装用シート1,1を用いたものであるが、本発明の貼付剤包装体は、一対の異なる種類の貼付剤包装用シート用いたものであってもよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下に示す実施例及び比較例で得られた貼付剤包装用シートの評価は、下記方法により行った。
<貼付剤包装用シートの酸素吸収量の測定>
貼付剤包装用シートを100cm(10cm×10cm)の大きさにカットしてサンプルを作製し、このサンプルを、酸素濃度測定用PSt3タイプ(PreSens社製、検出限界:0.01%)のセンサーチップとともに200mLのサンプル瓶に投入して密封し、非接触酸素濃度計(PreSens社製、品番:Fibox 3 LCD)を用いて、酸素吸収量を測定した。サンプル瓶は40℃で保管し、測定は、25℃において、サンプル密封してから5日後、20日後、50日後の3回行った。
<剥離強度の測定>
貼付剤包装用シートを作製後から3日間、25℃で保管した後、剥離強度試験機を用いて、酸素バリア層と酸素吸収層との間の剥離強度を測定した。
<貼付剤包装用シートの製造及び評価>
[実施例1]
以下に示す手順により、図2に示す構成の貼付剤包装用シート21を製造した。
すなわち、表1に示すように、酸素吸収層6を構成する樹脂として、熱可塑性樹脂(A1)であるメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品番:125FN)を準備した。この熱可塑性樹脂(A1)の物性を表2に示す。
この熱可塑性樹脂(A1)に反応促進剤であるステアリン酸コバルトを添加して、樹脂組成物(S1)を得た。樹脂組成物(S1)のステアリン酸コバルトの含有量は1000ppm(質量比)とした。
さらに、第3接着層8を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学株式会社製、品番:F534A)を準備し、シール層7を構成する樹脂として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。
次いで、樹脂組成物(S1)と、前記接着性ポリオレフィン系樹脂と、前記共重合ポリエステル樹脂とを、この順で共押出しすることにより、酸素吸収層6と、第3接着層8と、シール層7との積層構造体となる積層フィルム(F1)を作製した。得られた積層フィルム(F1)において、シール層7の厚さは20μmであり、第3接着層8の厚さは5μmであり、酸素吸収層6の厚さは30μmであり、積層フィルム(F1)の全体の厚さは55μmであった。
別途、外層2となるポリエチレンテレフタレート層と、第1接着層3となるポリエチレン層と、酸素バリア層4となるアルミニウム層とが積層された積層フィルム(F2)を準備した。積層フィルム(F2)において、外層2の厚さは12μmであり、第1接着層3の厚さは15μmであり、酸素バリア層4の厚さは9μmであり、積層フィルム(F2)の全体の厚さは36μmであった。
ドライラミネート法により、積層フィルム(F1)と積層フィルム(F2)とを、第2接着層5となる接着剤を用いて貼り合わせることにより、貼付剤包装用シート21を得た。得られた貼付剤包装用シートの全体の厚さは101μmであった。
得られた貼付剤包装用シートの5日後、20日後及び50日後の酸素吸収量、並びに3日後の剥離強度を、それぞれ表3に示す。
[実施例2]
以下に示す手順により、図1に示す構成の貼付剤包装用シート1を製造した。
すなわち、表1に示すように、酸素吸収層6を構成する樹脂として、熱可塑性樹脂(A2)である共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。この熱可塑性樹脂(A2)の物性を表2に示す。
この熱可塑性樹脂(A2)に反応促進剤であるステアリン酸コバルトを添加して、樹脂組成物(S2)を得た。樹脂組成物(S2)のステアリン酸コバルトの含有量は1200ppm(質量比)とした。
さらに、シール層7を構成する樹脂として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。
次いで、樹脂組成物(S2)と、前記共重合ポリエステル樹脂とを共押出しすることにより、酸素吸収層6とシール層7とが接着層を介さずに直接接している、酸素吸収層6とシール層7との積層構造体となる積層フィルム(F3)を作製した。得られた積層フィルム(F3)において、シール層7の厚さは20μmであり、酸素吸収層6の厚さは30μmであり、積層フィルム(F3)の全体の厚さは50μmであった。
別途、実施例1で用いたものと同じ積層フィルム(F2)を準備した。
ドライラミネート法により、積層フィルム(F3)と積層フィルム(F2)とを、第2接着層5となる接着剤を用いて貼り合わせることにより、貼付剤包装用シート1を得た。得られた貼付剤包装用シートの全体の厚さは96μmであった。
得られた貼付剤包装用シートの5日後、20日後及び50日後の酸素吸収量、並びに3日後の剥離強度を、それぞれ表3に示す。
[実施例3]
以下に示す手順により、図2に示す構成の貼付剤包装用シート21を製造した。
すなわち、表1に示すように、酸素吸収層6を構成する樹脂として、熱可塑性樹脂(A1)である低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品番:F222NH)を準備した。この熱可塑性樹脂(A1)の物性を表2に示す。
この熱可塑性樹脂(A1)に反応促進剤であるステアリン酸コバルトを添加して、樹脂組成物(S3)を得た。樹脂組成物(S3)のステアリン酸コバルトの含有量は2000ppm(質量比)とした。
さらに、第3接着層8を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学株式会社製、品番:F534A)を準備し、シール層7を構成する樹脂として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。
次いで、樹脂組成物(S3)と、前記接着性ポリオレフィン系樹脂と、前記共重合ポリエステル樹脂とを、この順で共押出しすることにより、酸素吸収層6と、第3接着層8と、シール層7との積層構造体となる積層フィルム(F4)を作製した。得られた積層フィルム(F4)において、シール層7の厚さは20μmであり、第3接着層8の厚さは5μmであり、酸素吸収層6の厚さは30μmであり、積層フィルム(F4)の全体の厚さは55μmであった。
別途、実施例1で用いたものと同じ積層フィルム(F2)を準備した。
ドライラミネート法により、積層フィルム(F4)と積層フィルム(F2)とを、第2接着層5となる接着剤を用いて貼り合わせることにより、貼付剤包装用シート21を得た。得られた貼付剤包装用シートの全体の厚さは101μmであった。
得られた貼付剤包装用シートの5日後、20日後及び50日後の酸素吸収量、並びに3日後の剥離強度を、それぞれ表3に示す。
[比較例1]
以下に示す手順により、図2に示す構成の貼付剤包装用シート21において、酸素吸収層6が異なる構成である比較用の貼付剤包装用シートを製造した。
すなわち、酸素吸収層6を構成する樹脂として、熱可塑性樹脂(A1)であるメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)に代えて、表1に示すように、前記メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)を90質量%、熱可塑性樹脂(B2)である不飽和ポリオレフィン系樹脂を10質量%となるように、それぞれ混合した混合樹脂を準備した。熱可塑性樹脂(B2)の物性を表2に示す。
前記混合樹脂に反応促進剤であるステアリン酸コバルトを添加して、樹脂組成物(RS1)を得た。樹脂組成物(RS1)のステアリン酸コバルトの含有量は1000ppm(質量比)とした。
さらに、第3接着層8を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学株式会社製、品番:F534A)を準備し、シール層7を構成する樹脂として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。
次いで、樹脂組成物(RS1)と、前記接着性ポリオレフィン系樹脂と、前記共重合ポリエステル樹脂とを、この順で共押出しすることにより、酸素吸収層6と、第3接着層8と、シール層7との積層構造体となる積層フィルム(RF1)を作製した。得られた積層フィルム(RF1)において、シール層7の厚さは30μmであり、第3接着層8の厚さは5μmであり、酸素吸収層6の厚さは30μmであり、積層フィルム(RF1)の全体の厚さは65μmであった。
別途、実施例1で用いたものと同じ積層フィルム(F2)を準備した。
ドライラミネート法により、積層フィルム(RF1)と積層フィルム(F2)とを、第2接着層5となる接着剤を用いて貼り合わせることにより、比較用の貼付剤包装用シート21を得た。得られた貼付剤包装用シートの全体の厚さは111μmであった。
得られた貼付剤包装用シートの5日後、20日後及び50日後の酸素吸収量、並びに3日後の剥離強度を、それぞれ表3に示す。
なお、表2に示す樹脂の各物性は、それぞれ下記方法により測定されたものである。
メルトフローレート(g/10min):JIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定される方法。
密度(kg/m):JIS K7112:1999で規定される方法。
酸素透過率(mL・mm/m・day・MPa(23℃ 60%RH)):JIS K7126−2:2006(23℃ 60%RH)で規定される方法。
SP値:Fedors法(例えば、「Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)」を参照)。
ぬれ指数(mN/m):JIS K6768−1999で規定される方法。
タイプDデュロメータ硬さ:JIS K7215−1986で規定される方法。
ビカット軟化温度(℃):JIS K7206:1999で規定される方法。
Figure 2016222284
Figure 2016222284
Figure 2016222284
上記結果から明らかなように、実施例1〜3の貼付剤包装用シートは、主鎖に不飽和結合を有する酸素吸収性樹脂を酸素吸収層が含んでいないものであるが、主鎖に不飽和結合を有さず、特定範囲の物性を有する熱可塑性樹脂を主成分として酸素吸収層が含んでいることで、貼付剤包装体とした場合に十分に実用可能な程度の、適度な酸素吸収能を有していた。また、このような酸素吸収層を備えていることで、実施例1〜3の貼付剤包装用シートは、樹脂の酸化によるガスの発生が抑制されており、酸素バリア層と酸素吸収層との間の剥離強度が高かった。実施例3では、3日後の剥離強度は、酸素バリア層と酸素吸収層とが剥離しなかったため、測定できなかった。
これに対して、比較例1の貼付剤包装用シートは、酸素吸収層が主鎖に不飽和結合を有する酸素吸収性樹脂を所定量より多く含んでいることで、実施例1〜3の貼付剤包装用シートよりも酸素吸収能に優れていたが、このような酸素吸収層を備えていることで、樹脂の酸化によるガスの発生が抑制されておらず、酸素バリア層と酸素吸収層との間の剥離強度が低かった。
本発明は、貼付剤である医薬品及び化粧品等の包装体に利用可能である。
1、21・・・貼付剤包装用シート
2・・・外層
3・・・第1接着層
4・・・酸素バリア層
5・・・第2接着層
6・・・酸素吸収層
7・・・シール層
8・・・第3接着層
10・・・貼付剤包装体
S・・・収容空間

Claims (8)

  1. 酸素バリア層、酸素吸収層及びシール層を備え、前記酸素吸収層が前記酸素バリア層と前記シール層との間に位置するように積層された貼付剤包装用シートであって、
    前記酸素吸収層が、主鎖に不飽和結合を有しない熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなり、
    前記熱可塑性樹脂は、JIS K7210:1999(190℃、荷重21.2N)で規定されるメルトフローレートが0.5〜12.0g/10minで、且つJIS K7112:1999で規定される密度が915〜1500kg/mのものであり、
    前記樹脂組成物の、前記熱可塑性樹脂以外の樹脂の含有量が5質量%以下である、貼付剤包装用シート。
  2. 酸素バリア層、酸素吸収層及びシール層を備え、前記酸素吸収層が前記酸素バリア層と前記シール層との間に位置するように積層された貼付剤包装用シートであって、
    前記酸素吸収層が、主鎖に不飽和結合を有しない熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなり、
    前記熱可塑性樹脂は、SP値が8〜15で、且つぬれ指数が28〜50mN/mのものであり、
    前記樹脂組成物の、前記熱可塑性樹脂以外の樹脂の含有量が5質量%以下である、貼付剤包装用シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、JIS K7215−1986で規定されるタイプDデュロメータ硬さが45〜65のものである、請求項1又は2に記載の貼付剤包装用シート。
  4. 前記熱可塑性樹脂は、JIS K7206:1999で規定されるビカット軟化温度が60〜120℃のものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シート。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド及びポリエステルからなる群より選択される1種以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シート。
  6. 前記樹脂組成物が、前記熱可塑性樹脂以外の樹脂を含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シート。
  7. 前記樹脂組成物が、前記熱可塑性樹脂と酸素との反応を促進する反応促進剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の貼付剤包装用シートを用いて得られた貼付剤包装体であって、
    前記シール層同士の一部を接着させることで形成された収容空間を有し、
    前記酸素吸収層が前記酸素バリア層よりも前記収容空間側に配置されている、貼付剤包装体。
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