JP2006199033A - 紙容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物への移臭がなく、従って官能的に良好で、かつ、シール性も良好である紙容器を提供する。
【解決手段】本発明は、外側から少なくとも、外面シーラント層11、紙層12、内面シーラント層14の順に構成された積層体から成形され、前記内面シーラント層が複数のポリエチレン層からなり、内容物と接触する側のポリエチレン層から前記紙層側のポリエチレン層に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続若しくは不連続に低くしたことを特徴とする紙容器であり、内容物と接触する側の層のポリエチレン樹脂の密度が、0.926〜0.965の範囲であり、メルトインデックスが0.2〜20g/10minの範囲であること、あるいは、内容物と接触する側の層の厚みが、5〜40μmの範囲であることを特徴とするものである。さらに紙層12と内面シーラント層14の間にバリア層13を積層させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は紙容器に関し、特に、内容物への移臭がなく、官能が良好で、かつ、シール性も良好である紙容器に関するものである。
一般に、液体用紙容器は、内容物の保存性、容器としての強度等を確保するため各種の積層体を用いて形成されている。そして、この液体用紙容器に用いられる積層体としては、例えば、ポリエチレン(PE)/紙/PE、PE/紙/PE/Al/PE、PE/紙/PE/Al/ポリエステル(PET)/PE等の構成からなる積層体が知られており、現在、広く使用されている。
また、容器によって味覚が変化しやすい酒・ジュース等の飲料に用いられている液体用紙容器の積層体には、外面シーラント層/紙層/バリア層/内面シーラント層の構成のものが使用され、内面シーラント層には、従来より、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を用いている。しかし、これら低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等においては、内容物中のフレーバー・香料等を吸着して、内容物の味を変えて、官能的に劣る原因となっていた。この味を変化させないために、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンの単層フィルム、あるいは、非晶性PET樹脂フィルムをシーラント層にした構成の積層体が使用されることもある。
しかしながら、これらの中密度ポリエチレンの単層フィルム、あるいは、非晶性PET樹脂フィルムをシーラント層からなる積層体を使用した場合、官能的には改善するものの、液体用紙容器を組み立てる時および内容物の充填後のシール性が不安定となり、漏れ等を引き起こす原因となっていた。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、内容物への移臭がなく、従って官能的に良好で、かつ、シール性も良好である紙容器を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の紙容器は、外側から少なくとも、外面シーラント層、紙層、内面シーラント層の順に構成された積層体から成形され、前記内面シーラント層が複数のポリエチレン層からなり、内容物と接触する側のポリエチレン層から前記紙層側のポリエチレン層に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続若しくは不連続に低くしたことを特徴とする紙容器である。また、前記内容物と接触する側の層のポリエチレン樹脂の密度が、0.926〜0.965の範囲であり、メルトインデックスが0.2〜20g/10minの範囲であること、前記内容物と接触する側の層の厚みが、5〜40μmの範囲であることを特徴とするものである。また、本発明の紙容器は、さらに紙層と内面シーラント層の間にバリア層を積層させたことを特徴とするものである。
本発明の紙容器の材料となる積層体の内面シーラント層が複数のポリエチレン層からなり、かつ、内容物と接触する側のポリエチレン層から前記紙層側のポリエチレン層に向けてポリエチレン樹脂の密度が連続若しくは不連続に低くしたことにより、内容物への移臭がなく、従って官能的に良好であるという効果を有している。
また、内容物と接触する側のポリエチレン層から前記紙層側のポリエチレン層に向けてポリエチレン樹脂の密度が連続若しくは不連続に低くしたことにより、シール性に優れ、充填機械適性が良好であり、液漏れ等を起こすことがないという効果を有するものである。
以下、本発明の実施の形態の一例を図面を参照して説明する。図1は本発明の紙容器を形成する積層体の層構成の一例を示す説明図である。
図1に示す積層体10においては、基材である紙層12の一方の面に外面シーラント層11が積層され、もう一方の面にバリア層13が積層され、そして、このバリア層13に複数のポリエチレン層からなるシーラント層14が最内層として積層されている。ここで、本発明の紙容器を形成する積層体10は、外面シーラント層11、紙層12、内面シーラント層14を必須の構成とし、バリア層13が任意に形成される。以下においては、バリア層13が紙層12と内面シーラント層14の間に積層されている場合について説明する。
まず、最外層となる外面シーラント層11は、紙層12の一方の面に積層され、後述する内面シーラント層14との接着性が良好である低密度ポリエチレン(LDPE)を主に使用することができる。この外面シーラント層11は、紙容器の表面となる層であり、印刷インキの密着性の向上を図るため表面に例えばコロナ処理等の表面処理を施すことが好ましい。
外面シーラント層11を形成する低密度ポリエチレン(LDPE)としては、たとえば高圧法エチレン単独重合体、あるいはエチレンとプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、4−メチルペンテン−1等のエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレンが好適に用いられる。この外面シーラント層11の厚さは、好ましくは20〜50μmの範囲である。
紙層12は、主強度材であり、従来の紙容器に使用する紙を使用することができ、例えば、坪量100〜500g/mの範囲のミルク原紙等のSBSの紙が好適に用いることができる。
つぎに、バリア層13は、紙層12の他方の面に積層され、
1. エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリ アクロニトリル等のいずれかの樹脂により形成された層。
2. アルミニウム等の金属箔。
3. ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等からなるフィルムに、アルミニウ ム等の金属を蒸着したフィルム。
4. ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等からなるフィルムに、酸化ケイ 素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物を蒸着したフィルム。
等をあげることができる。また、本発明のバリア層13には、上記の中から2種以上を選択したものであってもよい。
このバリア層13と紙層12との積層は、熱可塑性樹脂によるサンドラミネートによることが好ましく、紙層12の表面には、コロナ処理、火炎処理、アンカーコート処理等の表面処理を行うことが好ましく、バリア層13の表面にはインラインでコロナ処理等を行うことが好ましい。このサンド樹脂として、熱によって溶融し相互に融着し得る熱可塑性樹脂からなる樹脂層を使用することができ、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂等を使用することができる。また、バリア層及び基材との接着性を上げる為、適宜、オゾン処理等を施してもよい。
つぎに、最内層となる内面シーラント層14は、バリア層13に積層され、複数のポリエチレン層からなっている。2層のポリエチレン層からなる場合、内容物と接触する層を接液層14a、バリア層13に最も近い層を貼合層14bとする。3層のポリエチレン層からなる場合は、接液層14aと貼合層14bの間に中間層cを設けている。4層以上の場合は、中間層14cを複数の層とする。そして、各ポリエチレン層の樹脂の密度が、接液層14aから貼合層14bに向けて連続的、若しくは不連続に低くなっている。
ここで、密度が連続的、不連続に低くなることについて説明する。連続的とは、例えば、複数のポリエチレン層からなるシーラント層14のうち、内容物と接触する側のポリエチレン層(接液層14a)から紙層側のポリエチレン層(バリア層13が積層されている場合には、バリア層に最も近い貼合層14b)に向けて各層の密度が順に低くなっている場合をいう。一方、不連続とは、(1)複数のポリエチレン層からなるシーラント層14のうち、内容物と接触する側の例えば近接する少なくとも2層においては、紙層(バリア層)側に向けて連続的に密度が小さくなっているが、その他の層は連続的に小さくなるのではなく、密度の高低にばらつきがある場合や、(2)複数のポリエチレン層からなるシーラント層14のうち、内容物と接触する側のポリエチレン層と、紙層(バリア層)側のポリエチレン層を比較すると密度は紙層(バリア層)側のポリエチレン層が低いが、内容物と接触する側のポリエチレン層と、紙層(バリア層)側のポリエチレン層との間にある層はそれぞれ密度が連続的に小さくなるのではなく、密度の高低にばらつきがある場合をいう。しかし、この不連続の場合においても、シーラント層14全体でみると、内容物と接触する側のポリエチレン層から紙層(バリア層)側のポリエチレン層に向けて各層の密度が低くなっているものとされる。
また、内面シーラント層14において、接液層14aは、紙容器に組み立てて、内容物を充填後に、漏れ等がなく密封性が高い熱シールが可能であること、そして同時に、内容物に接する層として内容物の香料等を吸着しにくいこと等が要求される層であり、高密度ポリエチレン(HDPE)あるいは中密度ポリエチレン(MDPE)を使用している。樹脂の密度としては、0.926〜0.965の範囲が好ましい。高密度ポリエチレン(HDPE)の密度は、通常、0.935以上である。この密度が0.926未満であると、内容物の香料等を吸着しやすくなり吸着現象が抑えきれず、官能が悪くなり、0.965を超えると、シール性が悪く内容物の漏れを発生しやすくなる。
また、メルトインデックス(MI)が0.2〜20g/10minの範囲が好ましく、0.2g/10min未満であると、極端に製膜しにくくなり、20g/10minを超えると、樹脂が流れやすいことから製膜性が悪くなり、シール性も悪くなり内容物の漏れを発生しやすくなる。
また、接液層14aの厚みは、5〜40μmの範囲が好ましく、この厚みが5μm未満であると、内容物の香料等の吸着現象は抑えられるものの、経時で吸収現象が促進されていくため、最終的には優位差が認められなくなり、40μmを超えると、吸着現象が抑えられ、官能が改善するものの、密封シールの安定性が劣ることになる。
貼合層14bおよび中間層14cは、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)あるいは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなり、例えば、高圧法エチレン単独重合体、あるいはエチレンとプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、4−メチルペンテン−1等のエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレンが好適に用いられる。このような中間層14cおよび接液層14aの厚さは、それぞれ10〜100μmの範囲であり、好ましくは10〜55μmの範囲である。
中間層14cの樹脂の密度は、接液層14aの樹脂の密度以下とし、貼合層14bの密度は、中間層14cの樹脂の密度以下とする。具体的には、接液層14aの樹脂の密度が、0.926〜0.965の範囲が好ましいのに対して、内面シーラント層14が2層の場合は、貼合層14bの密度は0.90〜0.925の範囲が好ましく、3層の場合は、貼合層14bの密度は0.90〜0.915の範囲が好ましく、中間層14cの密度は0.916〜0.925の範囲が好ましい。また、メルトインデックス(MI)は接液層14aと同様に0.2〜20g/10minの範囲が好ましい。
この接液層14a、貼合層14b、中間層cは、220〜350℃に溶融して押出しコーティングされるが、貼合層14b/中間層14c/接液層14aの構成に共押出しで積層したフィルムとすることもできる。この共押出フィルムによる内面ヒートシーラント層14の厚さは、通常、30〜200μm程度であり、好ましくは40〜150μm程度である。このような共押出フィルムは、たとえばTダイまたはインフレーション法により共押出しして形成される。
この共押出しフィルムの内面ヒートシーラント層14とバリア層13の積層は、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂によるサンドラミネート、あるいは、接着剤を使用したドライラミネートにより、バリア層13および内面ヒートシーラント層14の表面にはコロナ処理、火炎処理、オゾン処理、アンカーコート処理等の表面処理を行うことが好ましい。
このように、バリア層13を有する積層体10からなる紙容器は、例えば、酒類、飲料(ジュース、健康飲料)、調味料等の用途に好適に用いられる。
なお、上述の紙容器において、バリア層13を有しない場合であっても本発明の効果を得ることができる。バリア層13を有しない場合に、紙層12に内面ヒートシーラント層14を積層する場合には、押出しラミネート法、共押出しラミネート法、サンドイッチラミネート等の方法を用いることが好ましい。このとき、紙層12の表面には、コロナ処理、火炎処理、アンカーコート処理、フレーム処理等の表面処理を行うことができ、内面ヒートシーラント層14の表面には、コロナ処理、火炎処理、アンカーコート処理等の表面処理を行うことができる。バリア層13を有しない積層体からなる紙容器は、例えば、フレーバー等を多く含むジュース等の用途に好適に用いられる。
これらの層構成からなる積層体を用いた紙容器の製造は、通常、次のようにして行われる。すなわち、前述の層構成からなる積層体のシートの外面に印刷を行った後、打ち抜き、端面をスカイブヘミングして内容物が端面に接触しないようにしてから充填装置内で底部およびトップ部を熱風加熱、火炎加熱等によりヒートシールして紙容器とする。
この紙容器の形状については、用途・目的等に応じて適宜に決定すればよく、例えばゲーベルトップ型、ブリック型、フラットトップ型などが挙げられる。また、この紙容器の注出口には、たとえばポリエチレン製のキャップ、プルタブ型の開封機構等を適宜に設けてもよい。
つぎに、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
<実施例1>
まず、共押出しインフレーション法を採用して中密度ポリエチレン(密度d=0.935、メルトインデックスMI=1.8)からなる厚さ30μmの接液層と低密度ポリエチレン(密度d=0.923、メルトインデックスMI=3.8)からなる厚さ30μmの貼合層を有する厚さ60μmの2層のポリエチレン層からなる内面シーラント層のフィルムを製膜した。つぎに、基材となる紙層の外面に外面シーラント層としてLDPE20μmを積層し、紙層の内面にバリア層としてアルミニウム7μmを積層し、最内面に内面シーラント層として上記のフィルムを積層し、全体として、LDPE20μm/紙400g/m/EMAA20μm/AL7μm/PET12μm/LDPE30μm/MDPE30μmの構成の積層体10Aを作製した。なお、この実施例は、内容物と接触する側のポリエチレン層(接液層)から紙層(バリア層)側のポリエチレン層(貼合層)に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続的に低くしている。
<実施例2>
まず、共押出しインフレーション法を採用して中密度ポリエチレン(密度d=0.935、メルトインデックスMI=1.8)からなる厚さ30μmの接液層と直鎖状低密度ポリエチレン(密度d=0.910、メルトインデックスMI=2・0)からなる厚さ30μmの貼合層を有する厚さ60μmの2層のポリエチレン層からなる内面シーラント層のフィルムを製膜した。つぎに、基材となる紙層の外面に外面シーラント層としてLDPE20μmを積層し、紙層の内面にバリア層としてアルミニウム7μmを積層し、最内面に内面シーラント層として上記のフィルムを積層し、全体として、LDPE20μm/紙400g/m/EMAA20μm/AL7μm/PET12μm/LLDPE30μm/MDPE30μmの構成の積層体10Bを作製した。なお、この実施例は、内容物と接触する側のポリエチレン層(接液層)から紙層(バリア層)側のポリエチレン層(貼合層)に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続的に低くしている。
<実施例3>
まず、共押出しインフレーション法を採用して高密度ポリエチレン(密度d=0.941、メルトインデックスMI=2.5)からなる厚さ5μmの接液層と低密度ポリエチレン(密度d=0.923、メルトインデックスMI=3.8)からなる厚さ55μmの貼合層を有する厚さ60μmの2層のポリエチレン層からなる内面シーラント層のフィルムを製膜した。つぎに、基材となる紙層の外面に外面シーラント層としてLDPE20μmを積層し、紙層の内面にバリア層としてアルミニウム7μmを積層し、最内面に内面シーラント層として上記のフィルムを積層し、全体として、LDPE20μm/紙400g/m/EMAA20μm/AL7μm/PET12μm/LDPE55μm/HDPE5μmの構成の積層体10Cを作製した。なお、この実施例は、内容物と接触する側のポリエチレン層(接液層)から紙層(バリア層)側のポリエチレン層(貼合層)に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続的に低くしている。
<実施例4>
まず、共押出しインフレーション法を採用して高密度ポリエチレン(密度d=0.941、メルトインデックスMI=2.5)からなる厚さ5μmの接液層と直鎖状低密度ポリエチレン(密度d=0.910、メルトインデックスMI=2.0)からなる厚さ55μmの貼合層を有する厚さ60μmの2層のポリエチレン層からなる内面シーラント層のフィルムを製膜した。つぎに、基材となる紙層の外面に外面シーラント層としてLDPE20μmを積層し、紙層の内面にバリア層としてアルミニウム7μmを積層し、最内面に内面シーラント層として上記のフィルムを積層し、全体として、LDPE20μm/紙400g/m/EMAA20μm/AL7μm/PET12μm/LLDPE55μm/HDPE5μmの構成の積層体10Dを作製した。なお、この実施例は、内容物と接触する側のポリエチレン層(接液層)から紙層(バリア層)側のポリエチレン層(貼合層)に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続的に低くしている。
<実施例5>
まず、共押出しインフレーション法を採用して高密度ポリエチレン(密度d=0.941、メルトインデックスMI=2.5)からなる厚さ5μmの接液層と、低密度ポリエチレン(密度d=0.923、メルトインデックスMI=3.8)からなる厚さ35μmの中間層と、直鎖状低密度ポリエチレン(密度d=0.910、メルトインデックスMI=2.0)からなる厚さ20μmの貼合層を有する厚さ60μmの3層のポリエチレン層からなる内面シーラント層のフィルムを製膜した。つぎに、基材となる紙層の外面に外面シーラント層としてLDPE20μmを積層し、紙層の内面にバリア層としてアルミニウム7μmを積層し、最内面に内面シーラント層として上記のフィルムを積層し、全体として、LDPE20μm/紙400g/m/EMAA20μm/AL7μm/PET12μm/LLDPE20μm/LDPE35μm/HDPE5μmの構成の積層体10Eを作製した。なお、この実施例は、内容物と接触する側のポリエチレン層(接液層)から紙層(バリア層)側のポリエチレン層(貼合層)に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続的に低くしている。
<実施例6>
まず、共押出しインフレーション法を採用して高密度ポリエチレン(密度d=0.941、メルトインデックスMI=2.5)からなる厚さ5μmの接液層と、中密度ポリエチレン(密度d=0.935、メルトインデックスMI=1.8)からなる厚さ15μmの中間層と、直鎖状低密度ポリエチレン(密度d=0.910、メルトインデックスMI=2.0)からなる厚さ40μmの貼合層を有する厚さ60μmの3層のポリエチレン層からなる内面シーラント層のフィルムを製膜した。つぎに、基材となる紙層の外面に外面シーラント層としてLDPE20μmを積層し、紙層の内面にバリア層としてアルミニウム7μmを積層し、最内面に内面シーラント層として上記のフィルムを積層し、全体として、LDPE20μm/紙400g/m/EMAA20μm/AL7μm/PET12μm/LLDPE40μm/MDPE15μm/HDPE5μmの構成の積層体10Fを作製した。なお、この実施例は、内容物と接触する側のポリエチレン層(接液層)から紙層(バリア層)側のポリエチレン層(貼合層)に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続的に低くしている。
<実施例7>
まず、押出しラミネート法を採用して、基材となる紙層(313g/m)の外面に外面シーラント層として低密度ポリエチレン(密度d=0.923、メルトインデックスMI=3.8)を20μm積層した。次に、紙層の内面に、コロナ処理若しくはフレーム処理を行い、更に樹脂面にオゾン処理を拭きつけながら、共押出しラミネート法を採用して、無添加のメタロセン系LLDPE(密度d=0.913、メルトインデックスMI=8.0)が30μm、中密度ポリエチレン(密度d=0.937、メルトインデックスMI=9.5)が10μm、となるように積層した。全体として、LDPE20μm/紙313g/m/無添加LLDPE30μm/MDPE10μmの構成の積層体10Gを作製した。なお、この実施例は、内容物と接触する側のポリエチレン層(接液層)から紙層(バリア層)側のポリエチレン層(貼合層)に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続的に低くしている。
<実施例8>
まず、押出しラミネート法を採用して、基材となる紙層(313g/m)の外面に外面シーラント層として低密度ポリエチレン(密度d=0.923、メルトインデックスMI=3.8)を20μm積層した。次に、紙層の内面に、コロナ処理若しくはフレーム処理を行い、押出しラミネート法を採用して、LDPE10μm(密度d=0.923、メルトインデックスMI=3.8)/アドマー5μm(密度d=0.906、メルトインデックスMI=2.2)/MXD6(ナイロンMXD6;メタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応から得られる結晶性のポリアミド)10μm(密度d=1.22、メルトインデックスMI=2.0)/アドマー5μm(密度d=0.906、メルトインデックスMI=2.2)/無添加LLDPE15μm(密度d=0.913、メルトインデックスMI=8.0)/MDPE10μm(密度d=0.937、メルトインデックスMI=3.5)を積層した。なお、上記MXD6は、バリア層として機能する。全体として、LDPE20μm/紙313g/m/LDPE10μm/アドマー5μm/MXD6 10μm/アドマー5μm(密度d=0.906、メルトインデックスMI=2.2)/無添加LLDPE15μm/MDPE10μmの構成の積層体10Hを作製した。なお、この実施例は、内容物と接触する側のポリエチレン層(接液層)から紙層(バリア層)側のポリエチレン層(貼合層)に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続に低くした場合について示している。
<比較例1>
上記実施例(バリア層ありの場合)の内面シーラント層の代わりにLDPE(密度d=0.923、メルトインデックスMI=3.8)とし、全体として、LDPE20μm/紙400g/m/EMAA20μm/AL7μm/PET12μm/LDPE60μmの構成の積層体10Iを作製した。
<比較例2>
上記実施例(バリア層ありの場合)の内面シーラント層の代わりにLLDPE(密度d=0.910、メルトインデックスMI=2.0)とし、全体として、LDPE20μm/紙400g/m/EMAA20μm/AL7μm/PET12μm/LLDPE60μmの構成の積層体10Jを作製した。
<比較例3>
バリア層なしの場合の実施例に対する比較例として、基材となる紙層(313g/m)の外面に外面シーラント層として低密度ポリエチレンを20μm積層した。次に、紙層の内面に、PEが40μmとなるように積層した。全体として、LDPE20μm/紙313g/m/PE40μmの構成の積層体10Kを作製した。
上記の実施例の積層体10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10Hおよび、比較例の積層体10I、10J、10Kを70mm角、1リットルゲーベルタイプの抜型で打ち抜き、端部をスカイブヘミング処理し、ホットエアーシールにより胴部を貼り合わせた。次に、実施例1〜6(積層体10A〜10F)、比較例1、2(積層体10I、10J)においては充填機により内容物として乙類焼酎を充填した。一方、実施例7〜8(積層体10G、10H)、比較例3(積層体10K)においては充填機により内容物として100%オレンジジュースを充填した。その後、この充填済み紙容器を40℃で1箇月間保存し、パネリストによる官能評価を実施した。
Figure 2006199033
<結果>
表1から明らかなように、実施例1〜6の紙容器は、比較例1、2の紙容器に比較して、内容物である焼酎の味に変化がみられないことが確認された。また、比較例1、2の紙容器ではいわゆるポリエチレン臭の移行がみられ味に若干変化がみられた。さらに、実施例7、8の紙容器は、比較例3の紙容器に比較して、内容物である100%オレンジジュースの味に変化がみられないことが確認された。また、比較例3の紙容器ではいわゆるポリエチレン臭の移行がみられ味に若干変化がみられた。
以上のようにして形成される本発明の紙容器は、内容物への移臭がなく、官能が良好であり、しかもヒートシール性が良好であることから、例えば、酒、焼酎、食用油、醤油、みりん、食酢、紅茶、ウーロン茶等の食品などの液状内容物に好適に利用可能である。
本発明の紙容器を形成する積層体の層構成の一例を示す断面図である。
符号の説明
10 積層体
11 外面シーラント層
12 紙層
13 バリア層
14 内面シーラント層
14a 接液層
14b 貼合層
14c 中間層

Claims (4)

  1. 外側から少なくとも、外面シーラント層、紙層、内面シーラント層の順に構成された積層体から成形され、前記内面シーラント層が複数のポリエチレン層からなり、内容物と接触する側のポリエチレン層から前記紙層側のポリエチレン層に向けてポリエチレン樹脂の密度を連続若しくは不連続に低くしたことを特徴とする紙容器。
  2. 前記内容物と接触する側の層のポリエチレン樹脂の密度が、0.926〜0.965の範囲であり、メルトインデックスが0.2〜20g/10minの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
  3. 前記内容物と接触する側の層の厚みが、5〜40μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
  4. 紙層と内面シーラント層の間にバリア層を積層させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の紙容器。
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