JP6699083B2 - 積層フィルムおよび包装体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルムおよび包装体に関する。より具体的には、本発明は臭気発生を抑制した酸素吸収性積層フィルムおよびそれを用いた包装体に関する。
従来から、食品、飲料および医薬品などを保存する包装容器としてプラスチック容器が用いられる。このプラスチック容器で食品、飲料および医薬品などを包装するとき、プラスチック容器の内部に酸素が残存するおそれがある。また、プラスチック容器は、金属容器およびガラス容器と比べると、酸素バリア性に劣る。このため、プラスチック容器の外部の酸素が、プラスチック容器の内部へと侵入しやすい。プラスチック容器の内部の酸素は、食品などの内容物を酸化させて変質させる。
このプラスチック容器の内部の酸素を吸収する容器の材料として、例えば、酸素吸収層を備える積層フィルムがある。この積層フィルムは、プラスチック容器の内部の酸素を吸収し、内容物の酸化を抑制する。しかし、このような積層フィルムは、酸素吸収に伴って、酸素吸収層から臭気原因物質を放出する場合がある。また、内容物から臭気原因物質が放出される場合もある。酸素吸収層または内容物から放出される臭気原因物質は、ユーザを不快にさせるおそれがある。また、酸素吸収層から放出される臭気原因物質は、内容物へ付着するおそれ、および内容物へ不所望の影響を与えるおそれがある。
この酸素吸収層から放出される臭気原因物質についての問題に対して、例えば、特開平07−067594号公報(特許文献1)には、吸着性消臭剤を含有する吸着性消臭剤含有層を含むプラスチック多層容器が開示されている。この吸着性消臭剤含有層は、酸素吸収層から放出される臭気原因物質を吸着し、臭気原因物質の拡散を抑制することができる。
さらに、特開2011−113706号公報(特許文献2)には、化学的消臭剤を含有する化学吸着層を含む積層フィルムおよび包装体が開示されている。この化学吸着層は、酸素吸収層から放出される臭気原因物質を化学的に結合し、臭気原因物質の拡散を抑制することができる。
特開平07−067594号公報 特開2011−113706号公報
特許文献1に記載の多層プラスチック容器は、臭気原因物質の吸着性が十分でないため、特許文献2に記載の多層フィルムを用いた包装体において臭気原因物質を化学的に結合させることで、優れた消臭性を達成している。しかしながら、当該臭気原因物質に対する消臭性には改善の余地がある。
そこで、本発明の目的は、異なるメカニズムによってより優れた消臭性を発揮する酸素吸収性積層フィルムを提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、臭気原因物質を遮断する層を積層することによって、上記本発明の目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)
本発明の積層フィルムは、酸素を吸収する酸素吸収層と、酸素吸収層から発生する臭気物質を遮断しかつシール機能を有する保香性シール層とを有する。
これによって、酸素吸収層から生じる臭気物質が保香性シール層によって効果的に遮断されるため、当該臭気物質が保香性シール層を介して放出されることを効果的に抑制することができる。さらに、保香性シール層は上述の臭気物質の遮断機能と共にシール機能も有するため、1層に複数機能を具備させることができる。
また、保香性シール層は、内容物の成分(例えば、薬剤の薬効成分)を吸着しない効果を有する場合もある。
(2)
保香性シール層は、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、およびポリ塩化ビニルからなる群から選ばれることが好ましい。
これによって、酸素吸収層から生じる臭気物質が保香性シール層によってより効果的に遮断されるため、当該臭気物質が保香性シール層を介して放出されることをより効果的に抑制することができる。
(3)
保香性シール層の酸素透過度は、25℃、65%RH環境下において50mL/m・24h・atm以上であることが好ましい。
これによって、酸素吸収層に吸収させる酸素を効率よく透過させることができるため、酸素吸収速度を好ましく保つことができる。
なお、酸素透過度は、JIS K7126Bに準拠した量である。
(4)
臭気物質は、アルデヒド類および酸類の少なくとも一方であってよい。
この場合、比較的反応性が高いアルデヒド類および酸類が遮断されるため、保香性シール層の、酸素吸収層とは反対側に、アルデヒド類および酸類の少なくともいずれかとの反応性を有する物質が存在している場合であっても、当該物質の変質を防ぐことができる。
(5)
酸素吸収層と保香性シール層とは互いに接して積層されてよい。
この場合、酸素吸収層から生じた臭気物質を他の層を介することなく直接的に遮断することによって、当該臭気物質が保香性シール層を介して放出されることを効果的に抑制することができる。
(6)
酸素吸収層と保香性シール層との間には、臭気物質を除去する消臭層をさらに含んでよい。
この場合、酸素吸収層から生じた臭気物質の一部が保香性シール層に達するまでに消臭層によって除去されるため、保香性シール層が遮断すべき臭気物質を減らすことができる。さらに、消臭層は、保香性シール層が遮断した臭気物質の一部を再び取り込んで除去するため、酸素吸収層から生じた臭気物質を減らすことができる。したがって、当該臭気物質が保香性シール層を介して放出されることをより効果的に抑制することができる。
なお、本明細書において、臭気物質を除去するとは、臭気物質を化学結合することによって除去する態様と、物理的吸着によって除去する態様との両方を含む。
(7)
保香性シール層は、臭気物質を除去する消臭物質を含んでもよい。
この場合、保香性シール層が臭気物質を遮断するとともに、保香性シール層内部に入り込んだ臭気物質を除去することができる。このため、当該臭気物質が保香性シール層を介して放出されることをより効果的に抑制することができる。
(8)
酸素吸収層の、保香性シール層とは反対の側には、酸素バリア層をさらに含んでよい。
この場合、酸素バリア層によって、酸素吸収層の、保香性シール層とは反対側から侵入する酸素の一部を遮蔽することができるため、酸素吸収層に吸収させるべき酸素の量を減らすことができる。このため、保香性シール層によって遮断させられるべき酸素吸収層からの臭気物質も減らすことができる。したがって、当該臭気物質が保香性シール層を介して放出されることをより効果的に抑制することができる。
(9)
本発明の包装体は、(1)から(8)のいずれかに記載の積層フィルムを、収容空間側に保香性シール層が位置し、外部空間側に酸素吸収層が位置するように用いられて構成される。
これによって、臭気物質が保香性シール層を介して収容空間内に放出されることが効果的に抑制された包装体となる。
第1実施形態にかかる積層フィルムの模式的断面図である。 第2実施形態にかかる積層フィルムの模式的断面図である。 第3実施形態にかかる積層フィルムの模式的断面図である。 包装体の模式的断面図である。 実施例における積層フィルムの測定法を説明する模式図である。 実施例における積層フィルムの模式的断面図である。 実施例における積層フィルムの模式的断面図である。 実施例における積層フィルムの模式的断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1実施形態]
図1に、本実施形態にかかる積層フィルムの模式的断面図を示す。図1に示される積層フィルム100は、主に、外層110、第1接着層120、バリア層130、第2接着層140、酸素吸収層150、第3接着層160、保香性シール層170が、この順に積層されて形成される。以下、積層フィルム100の各構成について説明する。なお、積層フィルム100は、無色透明(たとえばJIS K7105による曇度が5%以下)のものであってもよいし、非透明のものであってもよい。
<外層>
外層110は、積層フィルムに、用途に応じた強度、耐熱性、耐傷性、耐突刺し性、光沢性、および印刷性の少なくともいずれかを具備させる機能を有する。具体的には、外層100の材料としては、ポリエステル、セルロース(セロハンおよび紙を含む)、ポリオレフィン(たとえば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアミド、ビニル系樹脂などの樹脂が挙げられる。特に、一軸延伸または二軸延伸されたフィルムであって、ポリオレフィン、ナイロン(登録商標)およびポリエステルの少なくともいずれかの樹脂で構成されたものであることが好ましい。
<第1接着層、第2接着層、第3接着層>
第1接着層120は、隣接する外層110とバリア層130とを接着する機能を有する。第2接着層140は、隣接するバリア層130と酸素吸収層150とを接着する機能を有する。第3接着層160は、隣接する酸素吸収層150と保香性シール層170とを接着する機能を有する。
第1接着層120、第2接着層140および第3接着層160の構成樹脂としては、隣接する層を接着可能な樹脂であれば特に限定されず、それぞれ互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。具体的には、接着性のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。接着性のポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリ−α−オレフィンをベースとした接着性樹脂(接着性ポリプロピレン系樹脂、接着性ポリエチレン系樹脂等)であり、α−オレフィンと不飽和脂肪酸とのランダム共重合体およびポリ−α−オレフィンと不飽和脂肪酸とのグラフト共重合体が挙げられる。α−オレフィンと不飽和脂肪酸とのランダム共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)およびエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)などが挙げられる。ポリ−α−オレフィンと不飽和脂肪酸またはその無水物とのグラフト共重合体における不飽和脂肪酸としては、アクリル酸およびメタクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸などの二塩基性不飽和脂肪酸が挙げられ、より具体的には、マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。さらに、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体なども挙げられる。
なお、第2接着層140および第3接着層160の少なくとも一方は、酸化防止剤を含有していてもよい。これによって、積層フィルム100が包装体に適用された場合に、収容物の酸化を防止することができる。第1接着層120および第2接着層140の少なくとも一方が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で、または2種類以上組み合わされて用いられる。
第1接着層120、第2接着層140および第3接着層160によって、樹脂層間の接着力が高まり、層間剥離を防止することができる。なお、当業者によって、適宜、アンカーコート剤が含まれてもよい。
<バリア層>
バリア層130は、外層110からの水蒸気、酸素、光などの透過を制限するバリア機能を有する。
水蒸気の透過を制限する機能を具備させる場合のバリア層130の材料としては、例えば、アルミニウム箔などの金属箔、フッ素樹脂およびポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン系樹脂、環状ポリオレフィン等の水蒸気バリア性樹脂が挙げられる。
酸素の透過を制限する機能を具備させる場合のバリア層130の材料としては、例えば、アルミニウム箔などの金属箔、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリメタキシリレンアジパミド(МXD6)などの芳香族ポリアミド等の酸素バリア性樹脂が挙げられる。
酸素の透過を制限する機能を具備させる場合のバリア層130の材料には、上記の酸素バリア性樹脂にさらに酸素吸収性樹脂を含ませた酸素ハイバリア材であってもよい。酸素吸収性樹脂としては特に限定されないが、たとえば、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂が用いられる。より具体的には、エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、ポリエーテルユニットポリマー、エチレンと歪んだ環状アルキレンとのコポリマー、ポリアミド樹脂、酸変性ポリブタジエン、ヒドロキシアルデヒドポリマー、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体などが挙げられる。これらの酸素吸収性樹脂は、単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。
バリア性層130は、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよい。また、バリア性層130は、単層でも複層でもよい。さらなる酸素バリア性を付与する為にフィラー添加などによりナノコンポジット化してもよい。このようなフィラーとしては、モンモリロナイトなどの無機層状化合物などを配合したコンポジット材が挙げられる。
光の透過を制限する機能を具備させる場合のバリア層130の材料としては、例えば、紫外線吸収剤および顔料の少なくともいずれかを含有する樹脂が用いられる。
水蒸気、酸素、および光のすべての透過を制限する機能を具備させる場合のバリア層130の材料としては、例えば、透明樹脂膜に、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる無機酸化物の薄膜層が蒸着などにより形成された複合層が挙げられる。この場合、必要に応じて、透明樹脂膜と無機酸化物の薄膜層との間に透明プライマ層が形成されてもよいし、当該薄膜層上にガスバリア層が形成されてもよい。
バリア層130は、後述の保香性シール層170を構成する樹脂として挙げる樹脂をさらに含んでもよい。この場合、バリア層130は、保香性層としても機能することができる。
<酸素吸収層>
酸素吸収層150は、酸素吸収剤である酸素吸収性樹脂と、酸素吸収反応触媒とを含む。酸素吸収性樹脂としては、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂などが挙げられる。より具体的には、酸素吸収性樹脂として、エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、ポリエーテルユニットポリマー、エチレンと歪んだ環状アルキレンのコポリマー、ポリアミド樹脂、酸変性ポリブタジエン、ヒドロキシアルデヒドポリマーなどが挙げられる。これらの酸素吸収性樹脂は、単独でまたは2種類以上組み合わされて用いられてもよいし、さらに、酸素吸収性樹脂以外のベース樹脂と混合されて用いられてもよい。酸素吸収性樹脂は、ベース樹脂と混合されて使用される場合、酸素吸収性樹脂とベース樹脂との合計に対し1重量%以上50重量%以下、好ましくは1重量%以上20重量%以下、あるいは3重量%以上20重量%以下であってもよい。
ベース樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、接着性のポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、およびポリエステル系樹脂が挙げられる。以下に示すベース樹脂は、1種単独または複数種の混合態様で用いられてよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状短鎖分岐ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、当該α−オレフィン同士のランダム又はブロック共重合体等のポリオレフィンが挙げられる。
接着性のオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリ−α−オレフィンをベースとした接着性樹脂(接着性ポリプロピレン系樹脂、接着性ポリエチレン系樹脂等)であり、α−オレフィンと不飽和脂肪酸とのランダム共重合体およびポリ−α−オレフィンと不飽和脂肪酸とのグラフト共重合体が挙げられる。α−オレフィンと不飽和脂肪酸とのランダム共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)およびエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)などが挙げられる。ポリ−α−オレフィンと不飽和脂肪酸またはその無水物とのグラフト共重合体における不飽和脂肪酸としては、アクリル酸およびメタクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸などの二塩基性不飽和脂肪酸が挙げられ、より具体的には、マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。さらに、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体なども挙げられる。
環状オレフィン系樹脂としては、例えば種々の環状オレフィンモノマーの重合体もしくは環状オレフィンモノマーとエチレンなどの他のモノマーとの共重合体およびそれらの水素添加物、または環状オレフィンと他のモノマーとの共重合体等の環状オレフィン系重合体(COC:Cycloolefin Co−Polymer)、などが挙げられる。
具体的に、環状オレフィン系樹脂としては、種々の環状オレフィンモノマーの重合体、ならびに環状オレフィンモノマーとエチレンなどの他のモノマーとの共重合体およびそれらの水素添加物などが挙げられる。環状オレフィンモノマーとしては、例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミドなどの二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンおよびそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの三環シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンおよびそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエンなどの五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環シクロオレフィンなどが挙げられる。また、ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖またはエステル基などで結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体などのノルボルネン環を含む化合物が挙げられる。
なお、環状オレフィン系樹脂のモノマー分子の重合方法および重合機構としては、開環重合であっても、付加重合であっても良い。また、複数種のモノマーを併用する場合、重合様式としては、ランダム共重合およびブロック共重合を問わない。
上記環状オレフィン系樹脂のより具体的な構造としては、特に限定はされないが、例えば、下記一般式(I)、(II)で表される構造式を示すことができる。
Figure 0006699083
(式中、RおよびRは互いに同一または異なってよい炭素数1以上20以下の有機基を示し、また、RとRは互いに環を形成していてもよい。nは1以上の整数を示す。)
Figure 0006699083
(式中、RおよびRは互いに同一または異なってよい炭素数1以上20以下の有機基を示し、また、RとRは互いに環を形成していてもよい。m、pは0または1以上の整数を示す。lは1以上の整数を示す。)
式(III)に環状オレフィンモノマーのより具体的な構造の例を示す。
Figure 0006699083
上記炭素数1以上20以下の有機基として、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、t−オクチル(1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル)、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のシクロアルキル基;1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル等のアルキルシクロアルキル基;アリル、プロペニル、ブテニル、2−ブテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、スルホフェニル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば酸成分としてテレフタル酸などの2価の酸、またはエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2以上10以下のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体などを用いて得られる飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。具体的には、飽和ポリエステル系樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などのポリアルキレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂には、他の成分を共重合させてもよい。共重合させる成分としては、公知の酸成分、アルコール成分、フェノール成分、またはエステル形成能を持つこれらの誘導体、ポリアルキレングリコール成分などが用いられる。
共重合させる酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8以上22以下の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4以上12以下の脂肪族カルボン酸、2価以上の炭素数8以上15以下の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが用いられる。具体的には、共重合させる酸成分として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが挙げられる。これらの酸成分は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
共重合させるアルコール成分およびフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2以上15以下の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6以上20以下の脂環式アルコール、炭素数6以上40以下の2価以上の芳香族アルコール、2価以上のフェノール、またはエステル形成能を有するこれらの誘導体などが挙げられる。具体的には、共重合させるアルコール成分およびフェノール成分として、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが挙げられる。これらのアルコール成分およびフェノール成分は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
共重合させるポリアルキレングリコール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダムまたはブロック共重合体など)付加物などの変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
酸素吸収反応触媒としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトナート亜鉛、アセチルアセトナートコバルトまたはアセチルアセトナート銅などの遷移金属触媒が挙げられる。酸素吸収反応触媒は、酸素吸収性樹脂に対して、またはベース樹脂が用いられる場合は酸素吸収性樹脂とベース樹脂との合計に対して重量比率で800ppm以上5000ppm、好ましくは1000ppm以上3000ppm、または1000ppm以上2000ppm以下であってもよい。
酸素吸収層150は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。酸素吸収層150が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独でまたは2種類以上組み合わされて用いられる。
上述のほか、酸素吸収性層150は、酸素欠損を有する無機化合物がバインダ樹脂に含有されたものであってもよい。この場合、酸素欠損(酸化物を形成する酸素の一部が脱離した活性の高い状態をいい、酸化物として結合している酸素のモル量が規定値より少ない状態をいう)を有する無機化合物としては、鉄系酸素吸収材、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機酸化物が挙げられる。バインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類、エラストマーおよびこれらの変性物、あるいはこれらの混合樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
<保香性シール層>
保香性シール層170は、酸素吸収層150で発生する臭気物質の透過を遮断し、外層110と反対側(内側)に臭気物質が放出されることを抑制する機能と、積層フィルム100が包装体を構成するために使用される場合に、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等の封止方法によって封止される機能とを有する。
臭気物質は、酸素吸収層150における酸素吸収に伴う分子鎖切断により生じる低分子の有機成分である。このような低分子の有機成分しては、たとえば、アルデヒド類、酸類(好ましくは脂肪酸類)、アルカン類、アルケン類、およびケトン類が挙げられる。
保香性シール層170の材料は、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、およびポリ塩化ビニルからなる群から選ばれてよい。
環状オレフィン系樹脂としては、例えば種々の環状オレフィンモノマーの重合体もしくは環状オレフィンモノマーとエチレンなどの他のモノマーとの共重合体およびそれらの水素添加物、または環状オレフィンと他のモノマーとの共重合体等の環状オレフィン系重合体(COC:Cycloolefin Co−Polymer)、などが挙げられる。
具体的に、環状オレフィン系樹脂としては、種々の環状オレフィンモノマーの重合体、ならびに環状オレフィンモノマーとエチレンなどの他のモノマーとの共重合体およびそれらの水素添加物などが挙げられる。環状オレフィンモノマーとしては、例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミドなどの二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンおよびそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの三環シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンおよびそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエンなどの五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環シクロオレフィンなどが挙げられる。また、ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖またはエステル基などで結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体などのノルボルネン環を含む化合物が挙げられる。
なお、環状オレフィン系樹脂のモノマー分子の重合方法および重合機構としては、開環重合であっても、付加重合であっても良い。また、複数種のモノマーを併用する場合、重合様式としては、ランダム共重合およびブロック共重合を問わない。
上記環状オレフィン系樹脂のより具体的な構造としては、特に限定はされないが、例えば、下記一般式(I)、(II)で表される構造式を示すことができる。
Figure 0006699083
(式中、RおよびRは互いに同一または異なってよい炭素数1以上20以下の有機基を示し、また、RとRは互いに環を形成していてもよい。nは1以上の整数を示す。)
Figure 0006699083
(式中、RおよびRは互いに同一または異なってよい炭素数1以上20以下の有機基を示し、また、RとRは互いに環を形成していてもよい。m、pは0または1以上の整数を示す。lは1以上の整数を示す。)
式(III)に環状オレフィンモノマーのより具体的な構造の例を示す。
Figure 0006699083
上記炭素数1以上20以下の有機基として、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、t−オクチル(1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル)、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のシクロアルキル基;1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル等のアルキルシクロアルキル基;アリル、プロペニル、ブテニル、2−ブテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、スルホフェニル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂を用いる場合、良好なヒートシール性を得るために、他のヒートシール性樹脂をブレンドすることができる。ブレンドするヒートシール性樹脂としては、たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)樹脂、エチレン−アクリレート共重合体(EAA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂、アイオノマー(ION)樹脂などが挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば酸成分としてテレフタル酸などの2価の酸、またはエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2以上10以下のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体などを用いて得られる飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。具体的には、飽和ポリエステル系樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などのポリアルキレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂には、他の成分を共重合させてもよい。共重合させる成分としては、公知の酸成分、アルコール成分、フェノール成分、またはエステル形成能を持つこれらの誘導体、ポリアルキレングリコール成分などが用いられる。
共重合させる酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8以上22以下の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4以上12以下の脂肪族カルボン酸、2価以上の炭素数8以上15以下の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが用いられる。具体的には、共重合させる酸成分として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが挙げられる。これらの酸成分は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
共重合させるアルコール成分およびフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2以上15以下の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6以上20以下の脂環式アルコール、炭素数6以上40以下の2価以上の芳香族アルコール、2価以上のフェノール、またはエステル形成能を有するこれらの誘導体などが挙げられる。具体的には、共重合させるアルコール成分およびフェノール成分として、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体などが挙げられる。これらのアルコール成分およびフェノール成分は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
共重合させるポリアルキレングリコール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらのランダムまたはブロック共重合体など)付加物などの変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、ラクタムまたはアミノカルボン酸の重合、もしくは、ジアミンとジカルボン酸との重縮合によって得られるポリマーである。ポリアミド系樹脂は、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。さらに、ポリアミド系樹脂は、1種単独または複数種の混合態様で用いられてよい。
ラクタムとしては、たとえば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)などが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、たとえば、上述のラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸およびα,ω−アミノ酸などが挙げられる。また、アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された直鎖又は分岐の飽和脂肪族カルボン酸であってよく、たとえば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸などが挙げられる。さらに、アミノカルボン酸としては、芳香族アミノカルボン酸であってよく、たとえば、パラアミノメチル安息香酸などが挙げられる。
ジアミンとしては、脂肪族ジアミンおよび芳香族ジアミンが挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、たとえば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、及びトリデカメチレンジアミンなどの直鎖脂肪族ジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、及び2,4−ジメチルオクタメチレンジアミンなどの分岐状脂肪族ジアミンなどが挙げられる。さらに、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミンなどの脂環式ジアミンも挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、芳香族を含有するジアミンであり、たとえば、メタキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどが挙げられる。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、たとえば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びジグリコール酸などの炭素数3〜20の直鎖又は分岐状脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸としては、上述のジカルボン酸化合物のみならず、上述のジカルボン酸と等価な化合物も含まれる。ジカルボン酸と等価な化合物としては、上述のジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造と同様のジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではなく、たとえば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物などが挙げられる。
ポリアミド系樹脂を構成する主たるモノマー成分(ラクタム、アミノカルボン酸、または、ジアミンおよびジカルボン酸の少なくとも一方)は、炭素数10以上の脂肪族炭化水素鎖を有することがより好ましい。当該炭素数の上限は特に限定されないが、たとえば20である。
あるいは、ポリアミド系樹脂中の、アミド基数に対する炭素数の比(炭素数/アミド基数)が、たとえば8以上、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは11以上である。当該比の範囲の上限は特に限定されないが、たとえば20である。
より具体的には、ポリアミド系樹脂として、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン10、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010、ナイロン11、ナイロン12、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との共重合体(ナイロンMXD6)、ナイロン66/6共重合体、パラアミノメチル安息香酸とε−カプロラクタムとの共重合体(ナイロンAHBA)、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン・テレフタル酸塩を主成分とするポリアミド(ナイロンTHDT、THDT/6I)などが用いられてよい。低吸湿性を考慮した場合、上述の例示の中では、ナイロン10、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010、ナイロン11、ナイロン12を用いることが好ましい。
ポリカーボネート系樹脂としては、二価フェノールと、ホスゲンおよびカーボネートエステルなどのカーボネート前駆物質とを反応させることにより得られる。
二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス{(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、および4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールが挙げられる。
カーボネートエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂は、さらに、3官能フェノール類を重合させた分岐ポリカーボネート樹脂であってもよく、更に脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸、または二価の脂肪族または脂環族アルコールを共重合させた共重合ポリカーボネートであってもよい。
ポリ(メタ)アクリレート系樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチルヘキシルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート等のポリメタクリル酸エステル類、および、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチルヘキシルアクリレート、ポリラウリルアクリレート等のポリアクリル酸エステル類などが挙げられる。
また、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合樹脂などのα−オレフィンとの共重合体、または変性ポリマーであってもよい。
さらに、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプリパントリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプリパントリアクリレート等の多官能(メタ)アクリレートを含む架橋型共重合体であってもよい。架橋型共重合体とする場合には、エポキシ基、イソシアネート基、シラノール基等の反応性基を含む(メタ)アクリレートをコモノマーとして使用することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ビニルエステル系モノマーを重合後ケン化して得られるポリビニルアルコール、当該ポリビニルアルコールを後変性したもの、およびビニルエステル系モノマーとこれに共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを含むモノマーとの共重合体のケン化物が挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられるが、実用上は酢酸ビニルであることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂としてポリビニルアルコールを後変性したものである場合、後変性の態様としては、アセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂として、ビニルエステル系モノマーとこれに共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを含むモノマーとの共重合体のケン化物である場合、共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、その塩またはモノあるいはジアルキルエステル等、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、(メタ)アクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
さらに、開封性をコントロールするために、ポリオレフィンなどの易開封性樹脂を副成分として含ませてもよい。
さらに、保香性シール層170は、内側からの酸素の酸素吸収層150への到達を不所望に阻害しないものであることが好ましい。具体的には、酸素透過度が25℃、65%RH環境下において50mL/m・24h・atm以上であるものが好ましい。これによって、酸素吸収層150における酸素吸収速度を好ましく維持することができる。
保香性シール層170の膜厚は特に限定されないが、1μm以上、200μm以下が好ましく、5μm以上、25μm以下または30μm以下がより好ましい。保香性シール層170の厚さが前記下限値以上であることにより、充分なシール性を確保することができ、臭気物質の遮断性能を好ましく確保することができる。保香性シール層170の厚さが前記上限値以下であることにより、保香性シール層170の構成樹脂のシール不良等の不具合を防止し、酸素透過度を好ましく確保することができる。
保香性シール層170は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。保香性シール層170が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独でまたは2種類以上が組み合わされて用いられる。
<水蒸気吸収機能>
本実施形態の各層には、さらに水蒸気吸収性能を有する吸湿剤を含ませてもよい。吸湿剤を含ませる層は、たとえば第1接着層120、第2接着層140、第3接着層160、酸素吸収層150の少なくともいずれかであることが好ましい。吸湿剤を含ませた層は、水蒸気吸収層としても機能することができる。したがって、包装体(後述)として作製された場合に、包装体の内部の水蒸気の吸収または湿度調整、および外部からの水蒸気透過を制限することができる。
吸湿剤としては、無機系吸湿剤及び有機系吸湿剤を問わない。無機系吸湿剤としては、水和のように化学的に吸湿するもの、分子ふるい効果のように物理的に吸湿するものが挙げられる。有機系吸湿剤としては、親水基を有する有機系材料、特にはカルボキシル基又は水酸基を有する有機系材料が挙げられる。
具体的には、吸湿剤として、酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化バリウム、酸化カルシウム(生石灰)、五酸化二リン、塩化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸コバルト、硫酸ガリウム、硫酸チタン、硫酸ニッケル、水酸化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化イットリウム、塩化銅、臭化カルシウム、臭化セリウム、臭化セレン、臭化バナジウム、臭化マグネシウム、チタン酸バリウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、フッ化ニオブ、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム、焼ミョウバン、シリカゲル、ゼオライト(モレキュラーシーブス)、活性炭、粘度鉱物、アロフェン、デンプン系、セルロース系、ポリアクリル酸塩系、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、ポリオキシエチレン系などが挙げられる。これら吸湿剤は単独でまたは2種類以上組み合わせて用いることができる。
吸湿剤は、後述する包装体の内部で維持すべき目的の湿度に応じて当業者によって適宜使い分けられる。たとえば、包装体の内部を乾燥させる(絶乾させる)場合には、ゼオライト、酸化カルシウム、シリカゲル、または塩化マグネシウムと酸化マグネシウムとを混合したものを用いることができる。またたとえば、包装体の内部を相対湿度10〜50%で維持する(調湿する)場合は、硫酸マグネシウム、焼ミョウバン、酸化アルミニウム、粘度鉱物、シリカゲルなどを用いることができる。さらに、絶乾タイプの吸湿剤と調湿タイプの吸湿剤とを組み合わせることで、吸湿量がより多い調湿タイプの吸湿剤としてもよい。
吸湿剤の含有量は特に限定されないが、各層を構成する樹脂組成物に対して重量比率で1重量%以上、80重量%以下含まれることが好ましく、5重量%以上、60重量%以下含まれることが、より好ましい。前記下限値以上であることにより、水蒸気吸湿層としての性能を発揮させやすく、前記上限値以下であることにより、製膜性が良好であり吸湿性フィルムとしての物性を具備させやすい。
各層の製膜において、吸湿剤は、溶融押出し時に、通常のマスターバッチ方式のブレンド法などにより、各層を構成する樹脂組成物中へ添加される。
積層フィルム100は、基本的な性能を損なわない範囲で、結晶核剤、石油樹脂、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、染料、顔料、難燃剤、可塑剤等の添加剤を少なくともいずれかの層に添加したものでもよい。このような層を含むことで、積層フィルム100に、当該添加剤に応じた機能を併せて付与することができ、包装体として製造された場合に、内容物の保存性をより向上させることができる。
[第2実施形態]
図2に、本実施形態にかかる積層フィルム模式的断面図を示す。図2に示される積層フィルム100aは、外層110、第1接着層120、バリア層130、第2接着層140、酸素吸収層150、第3接着層160、保香性シール層170aが、この順に積層されて形成される。保香性シール層170a以外の構成層については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
保香性シール層170aは、第1実施形態における保香性シール層170に、さらに、臭気物質を除去する消臭物質を含む。この場合、保香性シール層170aが臭気物質を遮断するとともに、保香性シール層170a内部に入り込んだ臭気物質を除去することができる。このため、酸素吸収層150から生じた臭気物質を減らすことができる。したがって、当該臭気物質が保香性シール層170aを介して内部へ放出されることをより効果的に抑制することができる。
消臭物質としては、臭気物質を物理的に吸着するものであってもよいし、化学的に結合するものであってもよい。
臭気物質を物理的に吸着する消臭物質としては、活性炭、含水非晶質二酸化ケイ素、アルミノケイ酸が挙げられる。
臭気物質を化学的に結合する消臭物質としては、ターゲットとする臭気物質の化学的性質に応じた官能基を有する物質を当業者が適宜選択することができる。たとえば、ターゲットとする臭気物質がアルデヒド類の場合、アミン系化合物担持二酸化珪素、アミン系有機化合物とケイ酸塩系無機化合物との複合物、層間にアミノ基を保持した層状リン酸塩などが挙げられる。また、ターゲットとする臭気物質が酸類の場合、水酸基担持ジルコニウム、アルミノケイ酸、水酸基担持酸化亜鉛などが挙げられる。
臭気物質を化学的に結合する消臭物質は、外観良好性(例えば、表面平滑性および透明性など)の点で、臭気物質を物理的に吸着する消臭物質よりも好ましい傾向がある。
なお、第1実施形態の保香性シール層170と同様、保香性シール層170aは、内側からの酸素の酸素吸収層150への到達を不所望に阻害しないものであることが好ましい。具体的には、酸素透過度が25℃、65%RH環境下において50mL/m・24h・atm以上であるものが好ましい。これによって、酸素吸収層150における酸素吸収速度を好ましく維持することができる。
消臭物質を含む保香性シール層170aの製膜において、消臭物質は、溶融押出し時に、通常のマスターバッチ方式のブレンド法などにより、保香性シール層用樹脂組成物へ添加される。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、いずれかの層に水蒸気吸収性能を有する吸湿剤を含ませてもよい。
[第3実施形態]
図3に、本実施形態にかかる積層フィルム模式的断面図を示す。図3に示される積層フィルム100bは、外層110、第1接着層120、バリア層130、第2接着層140、酸素吸収層150、消臭層155、第3接着層160、保香性シール層170が、この順に積層されて形成される。消臭層155以外の構成層については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
消臭層155は、バインダ樹脂に消臭物質を含ませて構成される。バインダ樹脂としては、たとえば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)樹脂、エチレン−アクリレート共重合体(EAA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂、アイオノマー(ION)樹脂などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、単独でまたは2種類以上組み合わされて用いられる。
バインダ樹脂に含有される消臭物質は、第2実施形態で用いられるものと同様であるため説明を省略する。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、いずれかの層に水蒸気吸収性能を有する吸湿剤を含ませてもよい。
<積層フィルムの製造方法>
本発明の積層フィルムの製造方法は、特に限定されないが、たとえば、複数台の押出機により、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法、およびマルチマニホールド法などの共押出Tダイ法;空冷式および水冷式共押出インフレーション法が挙げられる。なかでも、共押出Tダイ法で製膜する方法は、各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。
また、後工程として、単層フィルムまたはシートもしくは共押出Tダイ法などで得られた複層フィルムまたはシートを、適当な接着剤その他の樹脂、およびサーマル(熱)を用いて貼り合せる方法をとっても良い。この場合の製造方法としては限定はされないが、ドライラミネート法、押出ラミネート法、サンドラミネーション法、ホットメルトラミネート法、ウエットラミネート方法、サーマル(熱)ラミネート法などが挙げられる。これらの方法は、適宜組み合わせて用いてよい。例えば、PET層/アルミ層の2層からなるフィルムと共押出Tダイ法により得られたPET層/接着層/酸素吸収層/接着層/共重合PET層とをドライラミネート法により貼り合せる方法、PET層/アルミ層の2層からなるフィルム上に接着層を押出し、PET層/接着層/酸素吸収層/接着層/共重合PET層をサンドラミネート法により貼り合せる方法、PET層/PE層/アルミ層/PE層の4層からなるフィルムに酸素吸収層/共重合PET層を共押出Tダイで貼り合わせる押出ラミネート法、シリカ蒸着PET/PEからなる2層フィルムに酸素吸収層/接着層を共押出し、共重合PETフィルムを貼り合せるサンドラミネーション法、シリカ蒸着PET/PEからなる2層フィルムに酸素吸収層を押出EVOHでコーティングしたPEフィルムを貼り合せるサンドラミネーション法などが挙げられる。場合によっては、ラミネート前に表面処理を行って、ラミ強度を向上させる方法を採ってもよい。この場合の表面処理としては特に限定されないが、コーティング処理、コロナ処理、オゾン処理などが挙げられる。
<包装体>
図4に、本発明の積層フィルムを用いた包装体の模式的断面図を示す。図4に示す包装体200は、外層110が外側、保香性シール層170,170aが内側となるように積層フィルム100,100a,100b(図中、代表して積層フィルム100を示す)が用いられ、保香性シール層170,170a同士が合わせられて封止されることにより、内容物の収容空間Sが成形されている。収容空間Sには、食品、飲料、薬品または工業用部品などの内容物(図示せず)が収容される。
包装体200に積層フィルム100,100a,100bが用いられるため、収容空間S密封後に内容物から発生する酸素が酸素吸収層150で吸収されることにより、収容空間S内の脱酸素状態が保たれるとともに、酸素吸収層150で発生する臭気物質が保香性シール層170,170aで遮断されることにより、収容空間S内への放出が抑制される。このため、収容空間Sに収容された内容物は、当該臭気物質による異臭の付着が抑制され、かつ、臭気物質による変性も抑制される。
<他の例>
以下において、変形例について説明する。
<層構成の変形例>
積層フィルム100,100a,100bは、外層110、第1接着層120、バリア層130、第2接着層140、酸素吸収層150、消臭層155、保香性シール層170,170a以外の機能性層がさらに適宜積層されていてよい。このような機能性層は、当業者によって適宜選択される。
たとえば、上述の実施形態においては、水蒸気吸収性能を有する吸湿剤をいずれかの層に含ませて、本来の機能に加えて水蒸気吸収機能を具備させる態様を挙げたが、水蒸気吸収層を別途設けてもよい。このような水蒸気吸収層は、たとえば、酸素吸収層150と第2接着層140との間、および/または酸素吸収層150と第3接着層160との間に設けることができる。
このような水蒸気吸収層は、ベース樹脂と吸湿剤とを含む樹脂組成物で構成される。ベース樹脂としては特に制限されず、従来公知の樹脂材料の中から当業者が適宜選択して用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアクリルニトリル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリメチルメタクリレート、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー(エチレン−アクリル酸共重合体の塩)、エチレン−エチレン‐アクリレート共重合体、エチレン−メチル−メタクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、石油樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・四フッ化エチレン共重合体などのフッ素化樹脂共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水蒸気吸収層中の吸湿剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物に対して重量比率で1重量%以上、80重量%以下含まれることが好ましく、5重量%以上、60重量%以下含まれることが、より好ましい。前記下限値以上であることにより、水蒸気吸湿層としての性能を発揮させやすく、前記上限値以下であることにより、製膜性が良好であり吸湿性フィルムとしての物性を具備させやすい。
水蒸気吸収層の厚みは、特に限定されないが、5μm以上200μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下であることがより好ましい。前記下限値以上であることにより、十分な吸湿性を確保することができ、前記上限値以下であることにより、十分な成形性を確保することができる。
また、積層フィルム100,100a,100bから、外層110、第1接着層120、バリア層130、第2接着層140、消臭層155、第3接着層160の少なくともいずれか1層を省略してもよいし、これら層の積層順番が変更されてもよい。
具体的に、積層フィルムの他の例として、後述の実施例で製膜される積層フィルム100c,100d,100eを、それぞれ、図6、図7および図8に示す。
<包装体の変形例>
積層フィルム100,100a,100b,100c,100d,100eは、底材と、底材を封止する蓋材とから構成される包装体の底材として成形されてもよい。この場合、底材は、収容物を収容するための形状に成形されて供される。なお、蓋材としては、積層フィルム100,100a,100b,100c,100d,100eを用いても良いし、シリカ蒸着などの無機物を蒸着したフィルムや金属酸化物を蒸着したフィルムを用いることができる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
<積層フィルム100の作製>
外層110を構成する樹脂として、共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製グリコール変性ポリエチレンテレフタレートPETG、品番:GN071)を準備した。第1接着層120を構成する樹脂として、接着性ポリオレフィン系樹脂(三井化学株式会社製、品番:SF740)を準備した。バリア層130を構成する樹脂として、EVOH樹脂(株式会社クラレ製、品番:J171B)を準備した。第2接着層140を構成する樹脂として、接着性ポリオレフィン系樹脂(三井化学株式会社製、品番:LF308)を準備した。酸素吸収層150を構成する樹脂として、LDPE樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品番:F522N)を80重量%と不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂20重量%とを混合し、さらに反応促進剤であるステアリン酸コバルトをベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂の合計に対して重量比率で1000ppmとなる量で添加した樹脂組成物を準備した。第3接着層160として接着性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学株式会社製、品番F534A)を準備した。保香性シール層170として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。
保香性シール層170の共重合ポリエステル樹脂と、第3接着層160の接着性ポリオレフィン系樹脂、酸素吸収層150の配合物と、第2接着層140の接着性ポリオレフィン系樹脂と、バリア層130のEVOH樹脂と、第1接着層120の接着性ポリオレフィン系樹脂と、外層110の共重合ポリエステル樹脂とをこの順で共押出しし、積層フィルム100を作製した(図1参照)。得られた積層フィルム100において、保香性シール層170の厚さは10μm、第3接着層160の厚さは5μm、酸素吸収層150の厚さは30μm、第2接着層140の厚さは5μm、バリア層130の厚さは50μm、第1接着層120の厚さは10μm、外層110の厚さは50μmであった。積層フィルム100の総厚みは160μmであった。
<酸素透過度の測定>
バリア層130の酸素透過度は、JIS K7126B(25℃、65%RH)に基づいて測定した。バリア層130の酸素透過度は、バリア層130を構成する樹脂をバリア層の厚み分単層押出しもしくその後蒸着したシートを作製し測定した。結果、バリア層の酸素透過度は、0.3ml/(m・24h・atm)であった。
<酸素吸収量の測定>
図5に示されるように、積層フィルム100を100cmにカットしたサンプル片を非接触酸素濃度計用のセンサーチップとともに200mlのサンプル瓶に投入した。サンプル瓶ごと40℃保管を実施し、非接触酸素濃度計620(PreSens社製Fibox3、検出限界:0.01%)を用いて酸素濃度測定を実施し、酸素吸収能力を算出した。
酸素吸収能力を単位面積当たりの酸素吸収量で示した単位である酸素吸収容量ml/cmで判断した。測定開始10日後の酸素吸収容量が0.15ml/cm以上である時は◎、0.15ml/cm未満0.10ml/cm以上である時は○、0.10ml/cm未満0.05ml/cm以上であるときを△、0.05ml/cm未満である時を×とした。結果、10日後の酸素濃度は9.4%であり、酸素吸収容量は0.25ml/cmであった。したがって、酸素吸収能力についての評価は◎であった。
<臭気の評価>
におい識別装置(株式会社島津製作所製、品番:FF-2020)を用いてサンプル瓶500内部の臭気を測定した。におい識別装置は、人間の官能評価と同じように、臭気の「質」および「強さ」を表現できる装置であり、臭気の「強さ」および「質」を数値化することにより、臭気を客観的に評価することができる。具体的に、基準ガス(硫化水素、硫黄系、アンモニア、アミン系、有機酸系、アルデヒド系、エステル系、芳香族系、炭化水素系)とサンプルとの比較により、臭気を数値化およびパターン化することができる。
まず、サンプル瓶500内から抜き取ったサンプル臭気をサンプルバックの中に入れ、さらに2000mlの乾燥窒素ガスをサンプルバックの中に入れ、5倍希釈した希釈サンプルを作製した。この希釈サンプルは、におい識別装置の検出感度適正範囲のものとなっている。この希釈サンプルをにおい識別装置に取り付け、臭気指数相当値を測定した(測定条件:25℃、ガス吸引時間90秒)。この測定を3回連続で行い、2回目と3回目の平均値を測定結果とした。なお、臭気指数相当値の差が3あれば、人間の嗅覚でもその差が判り、臭気としては約2倍の差があることに相当する。
そして、包装体200の臭気について、臭気指数相当値が、40未満であるものを◎、40.0以上45.0未満であるものを○、臭気指数相当値が45.0以上50.0未満であるものを△、臭気指数相当値が50以上であるものを×で評価した。
結果、臭気性の評価は○であった。
[実施例2]
<積層フィルム100cの作製>
図6に示す構造を有する積層フィルム100cを、以下のように作製した。
外層110を構成する樹脂として、共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。第1接着層120を構成する樹脂として、接着性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学株式会社製、品番F534A)を準備した。酸素吸収層150を構成する樹脂として、LDPE樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品番:F222N)60重量%と不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂40重量%とを混合し、さらに反応促進剤であるステアリン酸コバルトをベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂の合計に対して重量比率で1000ppmとなる量で添加した樹脂組成物を準備した。第3接着層160を構成する樹脂として、接着性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学株式会社製、品番F534A)を準備した。保香性シール層170として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。
保香性シール層170の共重合ポリエステル樹脂と、第3接着層160の接着性ポリオレフィン系樹脂、酸素吸収層150の配合物と、第1接着層120の接着性ポリオレフィン系樹脂と、外層110の共重合ポリエステル樹脂とをこの順で共押出しし、積層フィルム100c’を作製した(図6参照)。得られた積層フィルム100c’において、保香性シール層170の厚さは20μm、第2接着層160の厚さは5μm、酸素吸収層150の厚さは30μm、第1接着層120の厚さは10μm、外層110の厚さは15μmであった。積層フィルム100の総厚みは80μmであった。
別途、バリア材を有するバリア層フィルム130cとして、PET層(第1バリア層131)とAL(アルミニウム)層(第2バリア層132)とが積層されたアルミフィルム21μm(PET層12μm/AL層9μm)を準備した。
積層フィルム100c’とバリア層フィルム130cとをドライラミネート法により接着した。得られた積層フィルム100cの総厚みは101μmであった。
<酸素透過度の測定>
バリア層フィルム130cの酸素透過度を、実施例1と同様に測定した。その結果、バリア層フィルム130cの酸素透過度は、0.1ml/(m・24h・atm)以下(検出限界以下)であった。
<酸素吸収量の測定>
積層フィルム100cを100cmにカットしたサンプル片を用い、実施例1と同様に酸素吸収量を測定した。その結果、10日後の酸素濃度は14.5%であり、酸素吸収容量は0.15ml/cmであった。したがって、酸素吸収能力についての評価は◎であった。
<臭気の評価>
実施例1と同様に、サンプル片を入れたサンプル瓶500内部の臭気を測定したところ、臭気性の評価は○であった。
[実施例3]
<積層フィルム100dの作製>
図7に示す構造を有する積層フィルム100dを、以下のように作製した。
バリア材を有するバリア層フィルムとして、シリカ蒸着PET層(バリア層130)とポリエチレン層(接着層140)とが積層されたシリカ蒸着フィルム27μm(シリカ蒸着PET層12μm/PE層15μm)を準備した。
酸素吸収層150を構成する樹脂として、ベース樹脂としてメタロセンLLDPE樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品番:145EC)35重量%およびLDPE(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品番:L719)15重量%と、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂50重量%とを混合し、さらに反応促進剤であるステアリン酸コバルトを、ベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂の合計に対して重量比率で3000ppmとなる量で添加した樹脂組成物を準備した。接着層160として接着性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学株式会社製、品番F534A)を準備した。
また、保香性シール層170用フィルムとして、共重合PET(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)のフィルム30μmを準備した。
シリカ蒸着PET層(バリア層130)とポリエチレン層(接着層140)とが積層されたシリカ蒸着フィルム(シリカ蒸着層PET層12μm/PE層15μm)のPE層側に、酸素吸収層150/接着層160を溶融押出するとともに、保香性シール層170用フィルムをラミネートし、シリカ蒸着PET層(バリア層130)/PE層(接着層140)/酸素吸収層150/接着層160/保香性シール層170を作製した。バリア層130の厚さは12μm、接着層140の厚さは15μm、酸素吸収層150の厚さは35μm、接着層160の厚さは5μm、保香性シール層170の厚さは30μmであった。積層フィルム100dの総厚みは97μmであった。
<酸素透過度の測定>
バリア層フィルム(シリカ蒸着PET層/PE層)の酸素透過度を、実施例1と同様に測定した。その結果、バリア層フィルムの酸素透過度は、0.3ml/(m・24h・atm)であった。
<酸素吸収量の測定>
積層フィルム100dを100cmにカットしたサンプル片を用い、実施例1と同様に酸素吸収量を測定した。その結果、10日後の酸素濃度は11.6%であり、酸素吸収容量は0.21ml/cmであった。したがって、酸素吸収能力についての評価は◎であった。
<臭気の評価>
実施例1と同様に、サンプル片を入れたサンプル瓶500内部の周囲を測定したところ、臭気性の評価は◎であった。
[実施例4]
<積層フィルム100eの作製>
図8に示す構造を有する積層フィルム100eを、以下のように作製した。
外層110を構成する樹脂として、共重合ポリエステル樹脂(三菱化学株式会社製、品番:GM700Z)を準備した。酸素吸収層150を構成する樹脂として、共重合ポリエステル樹脂(株式会社SKケミカル製グリコール変性ポリエチレンテレフタレートPETG、品番:S2008)90重量%と不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂10重量%とを混合し、さらに反応促進剤であるステアリン酸コバルトをベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収性樹脂の合計に対して重量比率で1200ppmとなる量で添加した樹脂組成物を準備した。保香性シール層170として共重合ポリエステル樹脂(株式会社SKケミカル製、品番:S2008)を準備した。
保香性シール層170の共重合ポリエステル樹脂と、酸素吸収層150の配合物と、外層110の共重合ポリエステル樹脂とをこの順で共押出しし、積層フィルム100e’を作製した(図8参照)。得られた積層フィルム100e’において、保香性シール層170の厚さは20μm、酸素吸収層150の厚さは30μm、外層110の厚さは10μmであった。積層フィルム100e’の総厚みは60μmであった。
別途、バリア材を有するバリア層フィルム130cとして、PET層(第1バリア層131)とAL(アルミニウム)層(第2バリア層132)とが積層されたアルミフィルム21μm(PET層12μm/AL層9μm)を準備した。
積層フィルム100e’とバリア層フィルム130cとをドライラミネート法により接着した。得られた積層フィルム100eの総厚みは81μmであった。
<酸素透過度の測定>
バリア層フィルム130cの酸素透過度を、実施例1と同様に測定した。その結果、バリア層フィルム130cの酸素透過度は、0.1ml/(m・24h・atm)以下(検出限界以下)であった。
<酸素吸収量の測定>
積層フィルム100eを100cmにカットしたサンプル片を用い、実施例1と同様に酸素吸収量を測定した。その結果、10日後の酸素濃度は8.8%であり、酸素吸収容量は0.27ml/cmであった。したがって、酸素吸収能力についての評価は◎であった。
<臭気の評価>
実施例1と同様に、サンプル片を入れたサンプル瓶500内部の周囲を測定したところ、臭気性の評価は◎であった。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨と範囲とから逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。さらに、本実施形態において述べられる作用および効果は一例であり、本発明を限定するものではない。
100,100a,100b,100c,100d,100e 積層フィルム
130,130c バリア層
150 酸素吸収層
155 消臭層
170,170a 保香性シール層
200 包装体

Claims (6)

  1. 酸素を吸収する酸素吸収層と、
    前記酸素吸収層から発生する臭気物質を遮断しかつシール機能を有する保香性シール層と、
    前記酸素吸収層の、前記保香性シール層とは反対の側に配置された酸素バリア層と、を有する積層フィルムであって、
    前記保香性シール層が、シクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂からなり、前記保香性シール層の酸素透過度が25℃、65%RH環境下において50mL/m ・24h・atm以上であり、前記保香性シール層の膜厚が5μm以上30μm以下である、積層フィルム。
  2. 前記臭気物質がアルデヒド類および酸類の少なくとも一方である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記酸素吸収層と前記保香性シール層とが互いに接して積層される、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記酸素吸収層と前記保香性シール層との間に、前記臭気物質を除去する消臭層をさらに含む、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  5. 前記保香性シール層が、前記臭気物質を除去する消臭物質を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載の積層フィルムを、収容空間側に前記保香性シール層が位置し、外部空間側に前記酸素吸収層が位置するように用いた、包装体。


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