以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]積層フィルム
まず、本発明に係る積層フィルムについて説明する。
図1は、本発明の積層フィルムの一例を模式的に示す縦断面図である。
本発明の積層フィルムは、主としてポリエチレンで構成された第1の層と、主として環状オレフィン系樹脂で構成されるとともにポリエチレンを含む材料で構成された第2の層とを備え、消臭剤を含有していることを特徴とする。
これにより、例えば、収納物のにおいが外部に漏出することを効果的に防止することができる袋体の製造に好適に用いることができる積層フィルムを提供することができる。特に、糞尿臭、汗臭、加齢臭、カビ臭等の各種のにおいに対して、上記のような優れた効果を発揮することができる。また、アンモニア等のアルカリ性物質、酢酸等の酸性物質等と接触した場合でも、上記のような効果を安定的に発揮することができる。
このような優れた効果が得られるのは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、消臭剤を含むことにより、収納物のにおい成分を好適に捕らえることができ、袋体中の揮発状態のにおい成分の含有量そのものを低下させることができるとともに、主として環状オレフィン系樹脂で構成されるとともにポリエチレンを含む材料で構成された第2の層を備えることにより、当該第2の層で、収納物のにおいをブロックし、収納物のにおいが第2の層を透過することを効果的に防止することができる。特に、これらの効果が相乗的に作用し、収納物のにおいが袋体の外部に漏出することを効果的に防止することができる。また、主としてポリエチレンで構成された第1の層を有することにより、例えば、当該第1の層を第2の層等の保護層として機能させることができる。また、第1の層は、第2の層との密着性に優れており、これらの間での不本意な層間剥離等を効果的に防止することができる。また、ポリエチレンは、後に詳述するような消臭剤の溶解性、分散性等にも優れている。以上のようなことから、積層フィルム、袋体の耐久性を優れたものとすることができ、袋体において、収納物のにおいの外部への漏出防止効果がより安定的に発揮される。
また、本発明では、袋体の収納物のにおいが外部に漏出することを防止することができるだけでなく、袋体の外部から、袋体の収納物へのにおいの悪影響の発生を防止することもできる。より具体的には、例えば、洗剤や香水、ガソリンや灯油等の石油製品等のにおいが大きな問題になる食品のような、におい移りによる悪影響の度合いが大きい対象物や、におい移りしやすい対象物を袋体に収納物として収納することにより、収納物への外部からのにおいの悪影響を効果的に防止することができる。
また、上記のような成分(特に、各樹脂成分)は、リサイクルが比較的容易である。したがって、不要になった積層フィルム、袋体は、好適にリサイクルすることができ、省資源、省エネルギーの観点からも好ましい。
特に、図1に示す積層フィルム1は、第1の層11および第2の層12に加えて、主としてポリエチレンで構成されるとともに消臭剤を含む材料で構成された第3の層13を有しており、これらが、この順に積層された構造を有している。
このような積層フィルム1は、袋体として用いられる場合、第3の層13側の面が収納物と対向する面であるのが好ましい。言い換えると、積層フィルム1は、袋体として用いられる場合、第1の層11側の面が外表面を向く層(最外層)であるのが好ましい。
以下、図1に示す積層フィルム1について中心的に説明する。
[1-1]第1の層
第1の層11は、主としてポリエチレンで構成された層である。
これにより、例えば、第2の層12等を好適に保護する保護層として機能することができ、前述した効果をより安定的に発揮させることができる。特に、積層フィルム1全体としての柔軟性等を確保しつつ、上記のような効果を得ることができる。
なお、本明細書において、「主として」とは、対象となる部位で最も高い含有率で含まれる成分(主成分)を表す場合に用いており、特に、対象となる部位での主成分の含有率は、50質量%以上であるのが好ましく、55質量%以上であるのがより好ましく、60質量%以上であるのがさらに好ましい。
[1-1-1]ポリエチレン
第1の層11を構成するポリエチレンは低密度ポリエチレンであり、その密度が、0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下であるのが好ましく、0.912g/cm3以上0.930g/cm3以下であるのがより好ましく、0.915g/cm3以上0.930g/cm3以下であるのがさらに好ましい。
これにより、保護層としての機能と、積層フィルム1全体としての適切な柔軟性とを、より高いレベルで両立することができる。また、第1の層11と第2の層12との密着性をより優れたものとすることができる。また、第1の層11が後述する消臭剤や脂肪酸アミドを含むものである場合に、第1の層11中におけるこれらの不本意な濃度むらをより効果的に防止することができ、これらの機能をより安定的に発揮させることができる。
第1の層11を構成するポリエチレンの重量平均分子量は、3万以上20万以下であるのが好ましく、4万以上10万以下であるのがより好ましく、5万以上7万以下であるのがさらに好ましい。
これにより、保護層としての機能と、積層フィルム1全体としての適切な柔軟性とを、より高いレベルで両立することができる。また、第1の層11と第2の層12との密着性をより優れたものとすることができる。また、第1の層11が後述する消臭剤や脂肪酸アミドを含むものである場合に、第1の層11中におけるこれらの不本意な濃度むらをより効果的に防止することができ、これらの機能をより安定的に発揮させることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定で求めることができる。
第1の層11中に含まれるポリエチレンは、例えば、廃プラスチック等が由来の再生プラスチックであってもよい。
このように再生プラスチックを用いることは、省資源の観点から好ましい。
第1の層11中におけるポリエチレンの含有率は、65質量%以上100質量%以下であるのが好ましく、68質量%以上99.8質量%以下であるのがより好ましく、70質量%以上99.5質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第1の層11が主としてポリエチレンで構成されることにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。また、必要に応じて、後述するような成分をより適切な割合で第1の層中に含有させることができ、当該成分による効果をより効果的に発揮させることができる。
[1-1-2]脂肪酸アミド
第1の層11は、主としてポリエチレンで構成されたものであればよく、実質的にポリエチレンのみで構成されたものであってもよいが、ポリエチレンに加えて、さらに、脂肪酸アミドを含んでいてもよい。
脂肪酸アミドを含むことにより、積層フィルム1の滑り性をより良好なものとすることができ、積層フィルム1を用いた袋体10の生産時の作業性等をより優れたものとすることができる。
このような効果は、積層フィルム1の外表面を構成する層、すなわち、第1の層11および後述する第3の層13のうちの少なくとも一方に、脂肪酸アミドが含まれている場合に得られる。
また、同一層中に、脂肪酸アミドが、後に詳述する消臭剤とともに含まれることにより、当該層中における消臭剤の不本意な濃度むらをより効果的に防止することができる。
脂肪酸アミドの分子量は、特に限定されないが、59以上800以下であるのが好ましく、73以上600以下であるのがより好ましく、100以上400以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
脂肪酸アミドとしては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、前記脂肪酸アミドはエルカ酸アミドであるのが好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
第1の層11が脂肪酸アミドを含むものである場合、第1の層11中における脂肪酸アミドの含有率は、0.03質量%以上3.0質量%以下であるのが好ましく、0.06質量%以上2.7質量%以下であるのがより好ましく、0.10質量%以上2.1質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第1の層11が主としてポリエチレンで構成されることにより得られる効果を十分に発揮させつつ、前述した脂肪酸アミドを含むことによる効果をより顕著に発揮させることができる。
また、積層フィルム1が脂肪酸アミドを含むものである場合、積層フィルム1中における脂肪酸アミドの含有率(積層フィルム1全体に含まれる脂肪酸アミドについての含有率)は、0.01質量%以上1.0質量%以下であるのが好ましく、0.02質量%以上0.9質量%以下であるのがより好ましく、0.03質量%以上0.7質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第1の層11が主としてポリエチレンで構成されることにより得られる効果を十分に発揮させつつ、前述した脂肪酸アミドを含むことによる効果をより顕著に発揮させることができる。
[1-1-3]ポリアミド樹脂
第1の層11は、主としてポリエチレンで構成されたものであればよいが、さらに、ポリアミド樹脂を含んでいてもよい。
ポリアミド樹脂を含むことにより、積層フィルム1をカットする際の直進カット性をより優れたものとなる。また、第1の層11がポリアミド樹脂とともに前述した脂肪酸アミドを含む場合、第1の層11中における脂肪酸アミド樹脂の不本意な濃度むらをより効果的に防止することができ、前述した脂肪酸アミド樹脂を含むことによる効果をより効果的に発揮させることができる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p-アミノシクロヘキシルメタン)等の脂肪族、脂環式等のジアミン類と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸またはその誘導体との重縮合反応で得られる脂肪族ポリアミド、ε-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸等の縮合によって得られるポリアミド樹脂、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタム化合物から得られるポリアミド樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXD6等が挙げられる。
第1の層11中に含まれるポリアミド樹脂は、例えば、廃プラスチック等が由来の再生プラスチックであってもよい。
このように再生プラスチックを用いることは、省資源の観点から好ましい。
ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、1万以上50万以下であるのが好ましく、5万以上48万以下であるのがより好ましく、10万以上45万以下であるのがさらに好ましい。
第1の層11がポリアミド樹脂を含むものである場合、第1の層11中におけるポリアミド樹脂の含有率は、0.1質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上35質量%以下であるのがより好ましく、0.3質量%以上30質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第1の層11が主としてポリエチレンで構成されることにより得られる効果を十分に発揮させつつ、前述したポリアミド樹脂を含むことによる効果をより顕著に発揮させることができる。
[1-1-4]その他の成分
第1の層11は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。
このような成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリアミド樹脂以外の樹脂材料、アンチブロッキング剤、抗菌剤、抗カビ剤、抗ウイルス剤、殺菌剤、防腐剤、防錆剤、顔料、染料等の着色剤、各種フィラー、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられる。中でも、着色剤を含有することにより、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、袋体10に収納された収納物が外部から視認されることを効果的に防止することができる。
また、後述するように、本実施形態の積層フィルム1は、第3の層13中に消臭剤を含むものであるが、第1の層11中に消臭剤が含まれていてもよい。消臭剤については、後に詳述する。
第1の層11中におけるポリエチレン、脂肪酸アミド、ポリアミド樹脂以外の成分の含有率は、5.0質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-1-5]第1の層のその他の条件
第1の層11は、その全体が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、互いに異なる組成の部位を有するものであってもよい。例えば、第1の層11は、その厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよいし、複数の層を有する積層体であってもよい。また、第1の層11の面内の異なる部位で異なる組成を有していてもよい。
第1の層11の厚さは、特に限定されないが、3.0μm以上100μm以下であるのが好ましく、5.0μm以上70μm以下であるのがより好ましく、7.0μm以上50μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、積層フィルム1の柔軟性と耐久性とをより高いレベルで両立することができる。
[1-2]第2の層
第2の層12は、主として環状オレフィン系樹脂で構成されるとともにポリエチレンを含む材料で構成された層である。
これにより、例えば、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、第2の層12で、収納物のにおいをブロックし、収納物のにおいが第2の層12を透過することを効果的に防止することができる。
本発明において、第1の層と第2の層との間に、少なくとも1層の中間層が設けられていてもよいが、図示の構成では、第1の層11と第2の層12とが隣接して設けられている。
これにより、積層フィルム1の層構成を単純なものとし、積層フィルム1の生産コストを抑制しつつ、前述したような本発明による効果をより顕著に発揮させることができる。また、第1の層11と第2の層12との密着性をより優れたものとすることができる。
[1-2-1]環状オレフィン系樹脂
環状オレフィン系樹脂は、構成モノマーとして、分子内に環状構造を有するとともに重合性の炭素-炭素二重結合を有する成分である環状オレフィンと、α-オレフィンとを含む共重合体である。
第2の層12が環状オレフィン系樹脂を含むことにより、例えば、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、第2の層12で、収納物のにおいをブロックし、収納物のにおいが第2の層12を透過することを効果的に防止することができる。
環状オレフィンは、例えば、環構造を分子内に1つのみ有する単環構造であってもよいし、分子内に2つ以上の環構造を有する多環構造であってもよい。前記多環構造としては、2環の共有原子が3個以上である架橋環構造(単環に架橋したvon Baeyer環、縮合環に架橋した架橋縮合環等)、2環の共有原子が2個である縮合環構造、2環の共有原子が1個であるスピロ環構造、2環が共有原子を持たず、結合を介して連結している環集合構造が挙げられる。環状オレフィンは、分子内に複数種の多環構造を有していてもよい。
環状オレフィンは、環状構造を有するとともに重合性の炭素-炭素二重結合を有する成分であればよく、重合性の炭素-炭素二重結合は、環状構造とは異なる構造中に含まれていてもよいが、環状構造中に含まれているのが好ましい。
これにより、例えば、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、第2の層12で、収納物のにおいをブロックし、収納物のにおいが第2の層12を透過することを防止する効果がより顕著に発揮される。
環構造の具体例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等のシクロアルカン構造、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンテン等のシクロアルケン構造、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン)やこれらの一部の元素(例えば、水素元素)の置換構造等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂は、構成モノマーである環状オレフィンとして、ノルボルネンを含むものであるのが好ましい。
これにより、前述した効果をより顕著に発揮させることができる。また、積層フィルム1の生産コストをより効果的に抑制することができる。
環状オレフィン系樹脂を構成する環状オレフィンは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
環状オレフィン系樹脂の構成モノマーであるα-オレフィンとしては、分子内に環状構造を有するものであってもよいが、環状構造を有さない鎖状構造のものであるのが好ましい。
環状オレフィン系樹脂の構成モノマーであるα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン等が挙げられる。
中でも、α-オレフィンは、エチレンであるのが好ましい。言い換えると、環状オレフィン系樹脂は、構成モノマーとして、環状オレフィンとエチレンとを含むものであるのが好ましい。
これにより、例えば、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、第2の層12で、収納物のにおいをブロックし、収納物のにおいが第2の層12を透過することを防止する効果がより顕著に発揮される。
環状オレフィン系樹脂を構成するα-オレフィンは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
環状オレフィン系樹脂中における環状オレフィンの含有量をXCO[mol%]、環状オレフィン系樹脂中におけるエチレンの含有量をXE[mol%]としたとき、0.01≦XCO/XE≦100の関係を満たすのが好ましく、0.02≦XCO/XE≦50の関係を満たすのがより好ましい。
これにより、例えば、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、第2の層12で、収納物のにおいをブロックし、収納物のにおいが第2の層12を透過することを防止する効果がさらに顕著に発揮される。
環状オレフィン系樹脂は、構成モノマーとして、環状オレフィンおよびα-オレフィンとを含むものであればよいが、これらに加えて、さらに、他の構成モノマーを含むものであってもよい。このような構成モノマー(他の構成モノマー)としては、例えば、α位に炭素-炭素二重都合を有さないβ-オレフィン、γ-オレフィン等が挙げられる。
ただし、環状オレフィン系樹脂中における他の構成モノマーの含有量は、20mol%以下であるのが好ましく、10mol%以下であるのがより好ましく、5.0mol%以下であるのがさらに好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、異なる2種以上の重合体を含んでいてもよい。このような重合体としては、例えば、互いに構成モノマーの種類が異なる重合体や、互いに構成モノマーの比率が異なる重合体等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、5000以上50万以下であるのが好ましく、7000以上30万以下であるのがより好ましい。
これにより、例えば、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、第2の層12で、収納物のにおいをブロックし、収納物のにおいが第2の層12を透過することを防止する効果がより顕著に発揮される。
第2の層12中における環状オレフィン系樹脂の含有率は、65質量%以上95質量%以下であるのが好ましく、68質量%以上93質量%以下であるのがより好ましく、70質量%以上90質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、例えば、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、第2の層12で、収納物のにおいをブロックし、収納物のにおいが第2の層12を透過することを防止する効果がより顕著に発揮される。
[1-2-2]ポリエチレン
第2の層12は、主成分としての環状オレフィン系樹脂とともに、ポリエチレンを含んでいる。
第2の層12が環状オレフィン系樹脂とともにポリエチレンを含むことにより、前述したような第2の層12によるにおいをブロックする効果を発揮させることができるとともに、第2の層12の柔軟性を好適なものとすることができる。
第2の層12を構成するポリエチレンは高密度ポリエチレンであり、その密度が、0.942g/cm3以上0.970g/cm3以下であるのが好ましく、0.945g/cm3以上0.967g/cm3以下であるのがより好ましく、0.948g/cm3以上0.965g/cm3以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第2の層12によるにおいをブロックする効果と、第2の層12の適切な柔軟性とを、より高いレベルで両立することができる。
第2の層12を構成するポリエチレンの重量平均分子量は、1万以上100万以下であるのが好ましく、10万以上80万以下であるのがより好ましく、20万以上70万以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第2の層12によるにおいをブロックする効果と、第2の層12の適切な柔軟性とを、より高いレベルで両立することができる。また、第1の層11と第2の層12との密着性、第2の層12と第3の層13との密着性をより優れたものとすることができ、積層フィルム1の耐久性をより優れたものとすることができる。
第2の層12中に含まれるポリエチレンは、例えば、廃プラスチック等が由来の再生プラスチックであってもよい。
このように再生プラスチックを用いることは、省資源の観点から好ましい。
第2の層12中におけるポリエチレンの含有率は、2.0質量%以上35質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以上32質量%以下であるのがより好ましく、4.0質量%以上30質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第2の層12によるにおいをブロックする効果と、第2の層12の適切な柔軟性とを、より高いレベルで両立することができる。また、第1の層11と第2の層12との密着性、第2の層12と第3の層13との密着性をより優れたものとすることができ、積層フィルム1の耐久性をより優れたものとすることができる。
第2の層12中における環状オレフィン系樹脂の含有率をX2COC[質量%]、第2の層12中におけるポリエチレンの含有率をX2PE[質量%]としたとき、1.5≦X2COC/X2PE≦20の関係を満たすのが好ましく、2.0≦X2COC/X2PE≦15の関係を満たすのがより好ましく、2.5≦X2COC/X2PE≦10の関係を満たすのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第2の層12によるにおいをブロックする効果と、第2の層12の適切な柔軟性とを、より高いレベルで両立することができる。また、第1の層11と第2の層12との密着性、第2の層12と第3の層13との密着性をより優れたものとすることができ、積層フィルム1の耐久性をより優れたものとすることができる。
[1-2-3]ポリアミド樹脂
第2の層12は、主として環状オレフィン系樹脂で構成されるとともにポリエチレンを含んでいればよいが、さらに、ポリアミド樹脂を含んでいてもよい。
ポリアミド樹脂としては、前述した条件のものを用いることができる。これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
第2の層12がポリアミド樹脂を含むものである場合、第2の層12中におけるポリアミド樹脂の含有率は、0.1質量%以上17質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上15質量%以下であるのがより好ましく、0.3質量%以上12質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第2の層12が主として環状オレフィン系樹脂で構成されるとともにポリエチレンを含む材料で構成されることにより得られる効果を十分に発揮させつつ、前述したポリアミド樹脂を含むことによる効果をより顕著に発揮させることができる。
[1-2-4]その他の成分
第2の層12は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。
このような成分としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリアミド樹脂以外の樹脂材料(例えば、環状オレフィンを構成モノマーとして含みかつα-オレフィンを構成モノマーとして含まない重合体や、α-オレフィンを構成モノマーとして含みかつ環状オレフィンを構成モノマーとして含まない重合体(ただし、ポリエチレンを除く)等)、脂肪酸アミド、アンチブロッキング剤、抗菌剤、抗カビ剤、抗ウイルス剤、殺菌剤、防腐剤、防錆剤、顔料、染料等の着色剤、各種フィラー、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられる。中でも、着色剤を含有することにより、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、袋体10に収納された収納物が外部から視認されることを効果的に防止することができる。
また、後述するように、本実施形態の積層フィルム1は、第3の層13中に消臭剤を含むものであるが、第2の層12中に消臭剤が含まれていてもよい。消臭剤については、後に詳述する。
ただし、第2の層12中における環状オレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリアミド樹脂以外の成分の含有率は、5.0質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-2-5]第2の層のその他の条件
第2の層12は、その全体が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、互いに異なる組成の部位を有するものであってもよい。例えば、第2の層12は、その厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよいし、複数の層を有する積層体であってもよい。また、第2の層12の面内の異なる部位で異なる組成を有していてもよい。
第2の層12の厚さは、特に限定されないが、3.0μm以上100μm以下であるのが好ましく、5.0μm以上70μm以下であるのがより好ましく、7.0μm以上50μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、積層フィルム1の柔軟性とにおいのバリア効果とをより高いレベルで両立することができる。
[1-3]第3の層
図1に示す積層フィルム1は、第1の層11および第2の層12に加えて、主としてポリエチレンで構成されるとともに消臭剤を含む材料で構成された第3の層13をさらに有している。
このように、消臭剤を含む層を有することにより、におい成分を好適に捕らえることができ、揮発状態のにおい成分の含有量そのものを低下させることができる。特に、主としてポリエチレンで構成されるとともに消臭剤を含む材料で構成された第3の層13を有することにより、第3の層13中での消臭剤の不本意な濃度むらをより効果的に防止することができ、消臭効果がより安定的に発揮されるとともに、第2の層12と第3の層13との密着性をより優れたものとすることができ、積層フィルム1の耐久性をより優れたものとすることができる。
特に、図1に示す積層フィルム1では、第3の層13は、第2の層12の第1の層11に対向する面とは反対の面側に設けられている。
これにより、積層フィルム1を袋体10の製造に用いる場合に、第1の層11が袋体10の外表面側に配されるとともに、第2の層12よりも内側(収納部4側)に第3の層13が配された状態とすることができる。その結果、前述したような第1の層11の機能を発揮させるとともに、収納物のにおいが外部に漏出することをさらに効果的に防止することができる。
第2の層と第3の層との間に、少なくとも1層の中間層が設けられていてもよいが、図示の構成では、第2の層12と第3の層13とが隣接して設けられている。
これにより、積層フィルム1の層構成を単純なものとし、積層フィルム1の生産コストを抑制しつつ、前述したような本発明による効果をより顕著に発揮させることができる。また、第2の層12と第3の層13との密着性をより優れたものとすることができる。
[1-3-1]ポリエチレン
第3の層13を構成するポリエチレンは低密度ポリエチレンであり、その密度が、0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下であるのが好ましく、0.912g/cm3以上0.930g/cm3以下であるのがより好ましく、0.915g/cm3以上0.930g/cm3以下であるのがさらに好ましい。
これにより、第3の層13中での消臭剤の不本意な濃度むらをさらに効果的に防止することができるとともに、積層フィルム1全体としての柔軟性をより好適なものとすることができる。また、第2の層12と第3の層13との密着性をより優れたものとすることができ、積層フィルム1の耐久性をより優れたものとすることができる。また、第3の層13が後述する脂肪酸アミドを含むものである場合に、第3の層13中における脂肪酸アミドの不本意な濃度むらをより効果的に防止することができ、脂肪酸アミドの機能をより安定的に発揮させることができる。
第3の層13を構成するポリエチレンの重量平均分子量は、3万以上20万以下であるのが好ましく、4万以上10万以下であるのがより好ましく、5万以上7万以下であるのがさらに好ましい。
これにより、第3の層13中での消臭剤の不本意な濃度むらをさらに効果的に防止することができるとともに、積層フィルム1全体としての柔軟性をより好適なものとすることができる。また、第2の層12と第3の層13との密着性をより優れたものとすることができ、積層フィルム1の耐久性をより優れたものとすることができる。また、第3の層13が後述する脂肪酸アミドを含むものである場合に、第3の層13中における脂肪酸アミドの不本意な濃度むらをより効果的に防止することができ、脂肪酸アミドの機能をより安定的に発揮させることができる。
第3の層13中に含まれるポリエチレンは、例えば、廃プラスチック等が由来の再生プラスチックであってもよい。
このように再生プラスチックを用いることは、省資源の観点から好ましい。
第3の層13中におけるポリエチレンの含有率は、65.0質量%以上99.8質量%以下であるのが好ましく、68.0質量%以上99.5質量%以下であるのがより好ましく、70.0質量%以上99.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第3の層13がポリエチレンを含むことによる効果と、消臭剤を含むことによる効果とを、より高いレベルで両立することができる。また、第2の層12と第3の層13との密着性、第2の層12と第3の層13との密着性をより優れたものとすることができ、積層フィルム1の耐久性をより優れたものとすることができる。
[1-3-2]消臭剤
本発明の積層フィルムは、消臭剤を含有している。
消臭剤が含まれる部位は、特に限定されないが、本実施形態の積層フィルム1では、第3の層13中に消臭剤が含まれている。
消臭剤は、積層フィルム1中において、例えば、分散状態で含まれていてもよいし、溶解状態で含まれていてもよい。
消臭剤としては、例えば、ゼオライト、シリカ、活性炭等の吸着剤、金属酸化物(二酸化チタン、二酸化マンガン、酸化亜鉛等)、有機窒素系、有機酸系、アルカリ系、金属キレート化合物、茶やキノコ等の植物抽出物、シクロデキストリン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
市販されている消臭剤としては、例えば、サーフソーブシリーズ(以上、愛知珪曹工業社製)、PEX CLT-71AL、PEX CLT-72AL、PEX CLT-73AL(以上、東京インキ社製マスターバッチ)、シュークレンズシリーズ(以上、ラサ工業社製)、パンシルシリーズ(以上、リリース科学工業社製)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、消臭剤は、例えば、カプセルに封入された状態で含まれるものであってもよい。
消臭剤が含まれる層(本実施形態では、第3の層13)中における消臭剤の含有率は、0.1質量%以上5.0質量%以下であるのが好ましく、0.3質量%以上4.5質量%以下であるのがより好ましく、0.7質量%以上4.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第3の層13がポリエチレンを含むことによる効果を十分に発揮させつつ、消臭剤を含むことによる効果をより顕著に発揮させることができる。
また、積層フィルム1中における消臭剤の含有率(積層フィルム1全体に含まれる消臭剤についての含有率。本実施形態において、第3の層13以外に消臭剤を含む場合には、積層フィルム1全体に含まれる消臭剤についての含有率。)は、0.03質量%以上1.7質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下であるのがより好ましく、0.2質量%以上1.3質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、例えば、積層フィルム1を用いて製造された袋体10において、収納物のにおいが外部に漏出することをより効果的に防止することができるとともに、消臭剤以外の前述した各成分の機能をより効果的に発揮させることができる。
[1-3-3]脂肪酸アミド
本実施形態において、第3の層13は、主としてポリエチレンで構成されるとともに消臭剤を含む材料で構成されたものであるが、さらに、前述したような脂肪酸アミドを含んでいてもよい。
脂肪酸アミドを含むことにより、前述したような効果が得られる。
第3の層13が脂肪酸アミドを含むものである場合、第3の層13中における脂肪酸アミドの含有率は、0.03質量%以上3.0質量%以下であるのが好ましく、0.06質量%以上2.7質量%以下であるのがより好ましく、0.10質量%以上2.1質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第3の層13が主としてポリエチレンで構成されるとともに消臭剤を含む材料で構成されたものであることにより得られる効果を十分に発揮させつつ、前述した脂肪酸アミドを含むことによる効果をより顕著に発揮させることができる。
[1-3-4]ポリアミド樹脂
本実施形態において、第3の層13は、主としてポリエチレンで構成されるとともに消臭剤を含む材料で構成されたものであるが、さらに、ポリアミド樹脂を含んでいてもよい。
ポリアミド樹脂を含むことにより、積層フィルム1をカットする際の直進カット性をより優れたものとなる。また、第3の層13がポリアミド樹脂とともに前述した脂肪酸アミドを含む場合、第3の層13中における脂肪酸アミド樹脂の不本意な濃度むらをより効果的に防止することができ、前述した脂肪酸アミド樹脂を含むことによる効果をより効果的に発揮させることができる。
ポリアミド樹脂としては、前述した条件のものを用いることができる。これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
第3の層13がポリアミド樹脂を含むものである場合、第3の層13中におけるポリアミド樹脂の含有率は、0.1質量%以上32質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上30質量%以下であるのがより好ましく、0.3質量%以上27質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような第3の層13が主としてポリエチレンで構成されるとともに消臭剤を含む材料で構成されたものであることにより得られる効果を十分に発揮させつつ、前述したポリアミド樹脂を含むことによる効果をより顕著に発揮させることができる。
[1-3-5]その他の成分
第3の層13は、上述した成分以外の成分を含んでいてもよい。
このような成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリアミド樹脂以外の樹脂材料、アンチブロッキング剤、抗菌剤、抗カビ剤、抗ウイルス剤、殺菌剤、防腐剤、防錆剤、顔料、染料等の着色剤、各種フィラー、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられる。中でも、着色剤を含有することにより、積層フィルム1を用いて製造される袋体10において、袋体10に収納された収納物が外部から視認されることを効果的に防止することができる。
第3の層13中におけるポリエチレン、消臭剤、脂肪酸アミド、ポリアミド樹脂以外の成分の含有率は、5.0質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-3-6]第3の層のその他の条件
第3の層13は、その全体が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、互いに異なる組成の部位を有するものであってもよい。例えば、第3の層13は、その厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよいし、複数の層を有する積層体であってもよい。また、第3の層13の面内の異なる部位で異なる組成を有していてもよい。
第3の層13の厚さは、特に限定されないが、3.0μm以上100μm以下であるのが好ましく、5.0μm以上70μm以下であるのがより好ましく、7.0μm以上50μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、積層フィルム1の柔軟性とにおいの捕捉効果とをより高いレベルで両立することができる。
[1-4]積層フィルム全体としてのその他の条件
図1中、積層フィルム1を構成する各層の境界が明確なものとして示しているが、隣り合う層の境界は、不明確なものであってもよい。
積層フィルム1の厚さは、特に限定されないが、10μm以上300μm以下であるのが好ましく、15μm以上210μm以下であるのがより好ましく、21μm以上150μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、積層フィルム1の柔軟性を十分に優れたものとしつつ、例えば、積層フィルム1を袋体10の製造に用いた場合において袋体10の収納物のにおいが外部に漏出することをより効果的に防止することができる。
[1-5]積層フィルムの製造方法
本発明の積層フィルムは、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、例えば、共押出インフレーション法を用いて製造することができる。
共押出インフレーション法では、本発明の積層フィルムを構成する各層に対応する組成物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーション法によりフィルム状に成形する。このような方法では、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、費用対効果にも優れている。
このような方法で得られる積層フィルムは、通常、筒状をなすものである。
筒状をなす積層フィルムにおいては、消臭剤を含む層(複数の層が消臭剤を含む場合には、消臭剤の含有率が最も高い層)が、第2の層よりも内側に配されているのが好ましい。
これにより、積層フィルムの製造時や保管時において、消臭剤が不本意に揮発してしまうこと、失活してしまうこと等を効果的に防止することができる。また、積層フィルムが図1に示す積層構造を有するものであり、かつ、袋体10の製造に用いる場合において、好適に、第1の層11が袋体10の外表面側に配されるとともに、第2の層12よりも内側(収納部4側)に第3の層13が配された状態とすることができる。
なお、上記のような方法で得られる積層フィルムは、切り開いて用いてもよい。
[1-6]積層フィルムの保管方法
本発明の積層フィルムの保管方法は、特に限定されないが、消臭剤を含む層(複数の層が消臭剤を含む場合には、消臭剤の含有率が最も高い層)が、外部に露出しない形態で保管するのが好ましい。より具体的には、例えば、筒状をなす積層フィルムにおいて消臭剤を含む層(複数の層が消臭剤を含む場合には、消臭剤の含有率が最も高い層)が最外層以外の層である場合において、筒状をなす積層フィルムを太さ方向に押圧して最内層同士が密着した状態で保管したり、積層フィルムが長尺のものである場合において、当該積層フィルムを巻回(例えば、消臭剤を含む層(複数の層が消臭剤を含む場合には、消臭剤の含有率が最も高い層)が内側を向くようにして巻回)したりして保管するのが好ましい。
これにより、消臭剤が不本意に揮発してしまうこと、失活してしまうこと等を好適に防止することができる。特に、積層フィルムを長期間保管したり、高温環境下等、過酷な環境下で保管したりした場合であっても、上記のような効果が得られる。
[1-7]積層フィルムの用途
本発明の積層フィルムは、後述する袋体の製造に好適に用いることができる。また、本発明の積層フィルムは、必要に応じて、所望の大きさ、形状に切断して、シール部を形成することなく、包装シートとして用いてもよい。
[2]袋体
次に、本発明に係る袋体について説明する。
図2は、本発明の袋体の一例を模式的に示す斜視図である。図3は、本発明の袋体の他の一例を模式的に示す斜視図である。
本発明の袋体は、前述した本発明の積層フィルムを用いて製造されたものであることを特徴とする。
これにより、例えば、収納物のにおいが外部に漏出することを効果的に防止することができる袋体を提供することができる。特に、糞尿臭、汗臭、加齢臭、カビ臭等の各種のにおいに対して、上記のような優れた効果を発揮することができる。また、アンモニア等のアルカリ性物質、酢酸等の酸性物質等と接触した場合でも、上記のような効果を安定的に発揮することができる。
また、本発明では、袋体の収納物のにおいが外部に漏出することを防止することができるだけでなく、袋体の外部から、袋体の収納物へのにおいの悪影響の発生を防止することもできる。より具体的には、例えば、洗剤や香水、ガソリンや灯油等の石油製品等のにおいが大きな問題になる食品のような、におい移りによる悪影響の度合いが大きい対象物や、におい移りしやすい対象物を袋体に収納物として収納することにより、収納物への外部からのにおいの悪影響を効果的に防止することができる。
特に、図2に示す袋体10は、長方形状の平袋であり、収納物を収納する空間である収納部4への収納物の投入口である開口部3を有するとともに、開口部3とは反対側にシール部2が設けられている。
これにより、通常の使用状態において、収納部4に収納された固体状や液体状の収納物が外部に不本意に漏出することが好適に防止されている。
また、収納部4に収納物を収納した状態で、開口部3が閉塞するように、袋体10自体を結んだり、袋体10の開口部3付近の部位を、融着、接着したり、折りたたんだ状態やまとめた状態で、紐、ゴム、テープ、クリップ等の部材で封止すること等により、収納部4の液密、気密状態を確保することができ、例えば、収納部4に収納された収納物からのにおいの漏洩を好適に防止することができる。また、上記のような状態で収納物を収納した状態の袋体10が転倒した場合であっても、収納部4に収納された収納物の漏洩、収納物のにおいの漏洩等を効果的に防止することができる。特に、長期間にわたって、上記のような優れた効果を発揮することができる。
このような袋体10は、例えば、筒状の積層フィルム1の一方の開口部をシールすることにより、好適に製造することができる。
このとき、積層フィルム1は、第3の層13(消臭剤を含む層)が袋体10の内側(収納部4)側を向くような状態になっているのが好ましい。
なお、積層フィルムは、例えば、長方形のシートを2枚用意し、これらを重ね合わせた状態で、前記長方形の三辺をシールすることにより製造してもよい。
また、図3に示す袋体10は、図2に示す袋体10と同様に、収納物を収納する空間である収納部4への収納物の投入口である開口部3を有するとともに、開口部3とは反対側にシール部2が設けられているが、さらに、シール部2が設けられた側とは反対側(開口部3が設けられた側)に、手提げ部5と、縛り部6とが設けられている。
手提げ部5を有することにより、例えば、袋体10を把持したり、腕(前腕部等)に掛けたりすることを好適に行うことができ、例えば、収納部4に収納物を収納した状態の袋体10を好適に持ち上げたり、搬送することができる。なお、手提げ部5は、上記のような形態での使用に限らず、例えば、フックに掛けたり、棒等の長尺物を挿通したりして用いてもよい。
図3に示す構成では、手提げ部5は、シール部51で積層フィルム1の対向する部位をシールするとともに、切り欠き部52、53で積層フィルム1の一部を切り欠くことにより形成されている。
縛り部6を有することにより、例えば、収納部4に収納物を収納した状態で縛り部6を縛ることにより、袋体10から収納物が離脱することを好適に防止しつつ、収納部4に収納物を収納した状態の袋体10を好適に搬送することができる。
また、縛り部6を有することにより、例えば、蝶結びのように、必要に応じて容易に解ける結び方で結ぶことにより、収納部4に収納物を収納した状態の袋体10を好適に搬送することができるとともに、その後、当該収納物を袋体10から容易に取り出すことができる。したがって、袋体10を、例えば、買い物袋(レジ袋を含む)のように、収納物を一時的に収納した状態で搬送し、その後、当該収納物を取り出す形態にも好適に適用することができる。また、このような形態で、袋体10を好適に繰り返し使用することができる。また、上記のような形態での使用の後、当該袋体10を汚物袋、廃棄物用の袋(ゴミ袋等)等としても利用することができる。
手提げ部5は、例えば、袋体10を汚物袋、廃棄物用の袋(ゴミ袋等)等としても利用する場合において、前述した縛り部6と同様に、縛って利用するものであってもよい。
図3に示す構成では、2つの手提げ部5と、2つの縛り部6とを有しているが、手提げ部5、縛り部6の数は、特に限定されない。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、前述した実施形態では、積層フィルムが、主としてポリエチレンで構成された第1の層と、主として環状オレフィン系樹脂で構成されるとともにポリエチレンを含む材料で構成された第2の層と、主としてポリエチレンで構成されるとともに消臭剤を含む材料で構成された第3の層とが、この順で積層された3層構成のものである場合について中心的に説明したが、本発明の積層フィルムは、主としてポリエチレンで構成された第1の層と、主として環状オレフィン系樹脂で構成されるとともにポリエチレンを含む材料で構成された第2の層とを備え、積層フィルムの少なくとも一部に消臭剤を含有していればよく、図1で示した層構成のものに限定されず、本発明の積層フィルムにおいて、構成する層の数や配置の順番等は、いかなるものであってもよい。
より具体的には、例えば、前述した実施形態では、第3の層が、第2の層の第1の層に対向する面とは反対の面側に設けられている場合、すなわち、第1の層と第2の層と第3の層とがこの順に積層されている場合について代表的に説明したが、第3の層は、第1の層の第2の層に対向する面とは反対の面側に設けられていてもよいし、第1の層と第2の層との間に設けられていてもよい。
また、前述した実施形態では、消臭剤が、第3の層に含まれる場合について中心的に説明したが、本発明の積層フィルムでは、消臭剤がいかなる部位に含まれていてもよく、第3の層以外の部位に消臭剤が含まれる場合、第3の層中に消臭剤が含まれていなくてもよい。
また、図1に示す構成において、さらに、図示しない中間層や被覆層を有していてもよい。
また、本発明の積層フィルム1は、例えば、図4に示すように、主として、ポリエチレン、ポリエステルおよびポリアミドよりなる群から選択される1種または2種以上の樹脂材料で構成された層14と、主として接着性を有する変性ポリエチレン(接着性ポリエチレン)で構成された層15と、主として環状オレフィン系樹脂で構成されるとともにポリエチレンを含む材料で構成された層16と、主として接着性を有する変性ポリエチレン(接着性ポリエチレン)で構成された層17と、主としてポリエチレンで構成された層18とが、この順に積層された構造を有し、消臭剤を含有しているものであってもよい。このような積層フィルム1においては、消臭剤は、層17、層18のうちの少なくとも一方に含まれているのが好ましい。このような積層フィルム1は、袋体として用いられる場合、層18側の面が収納物と対向する面であるのが好ましい。
また、本発明の袋体は、本発明の積層フィルムを用いて製造され、収納物を収納する収納部を備えるものであればよく、本発明の積層フィルムを用いて形成された部位に加えて、本発明の積層フィルム以外の部材・組成物等を用いて形成された部位をさらに有するものであってもよい。
また、本発明の袋体は、例えば、ガゼット袋と呼ばれるマチ付きの形状であってもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[3]積層フィルムの製造
(実施例1)
3台の押出機と1台のサーキュラー3層ダイからなる水冷式共押出インフレーション成形機を使用し、第1の層、第2の層および第3の層の各層に対応する組成物を供給して、第1の層、第2の層および第3の層がこの順に積層された周囲長が50cmの筒状(チューブ状)の積層フィルムを製造した。
(実施例2~6)
各層の形成に用いる組成物の組成、押出速度を調整することにより、各層の条件が表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、筒状(チューブ状)の積層フィルムを製造した。
(比較例1)
第2の層の形成に用いる組成物として高密度ポリエチレンを用い、第2の層を、環状オレフィン系樹脂を含まない層として形成した以外は、前記実施例1と同様にして、筒状(チューブ状)の積層フィルムを製造した。
(比較例2)
第3の層を、消臭剤を含まない層として形成した以外は、前記実施例1と同様にして、筒状(チューブ状)の積層フィルムを製造した。
(比較例3)
第2の層を、高密度ポリエチレンで構成され、環状オレフィン系樹脂を含まない層として形成するとともに、第3の層を、消臭剤を含まない層として形成した以外は、前記実施例1と同様にして、筒状(チューブ状)の積層フィルムを製造した。
前記各実施例および各比較例に係る筒状(チューブ状)のフィルムの条件を表1にまとめて示す。なお、表1中、密度が0.930g/cm3の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、ノバテックLL)を「LDPE1」、密度が0.959g/cm3の高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、ノバテックHD)を「HDPE1」、構成モノマーとして、環状オレフィンであるノルボルネン、および、エチレン含む環状オレフィン系樹脂(ポリプラスチックス社製、TOPAS8007シリーズ)を「COC1」、消臭剤としてのサーフソーブAc(愛知珪曹工業社製)を「D1」、消臭剤としてのサーフソーブBa(愛知珪曹工業社製)を「D2」、消臭剤としてのサーフソーブMe(愛知珪曹工業社製)を「D3」、消臭剤としてのシュークレンズ(ラサ工業社製)を「D4」、脂肪酸アミドとしてのエルカ酸アミドを「FAA1」と示した。
[4]袋体の製造
前記各実施例および各比較例に係る筒状(チューブ状)のフィルムをそれぞれ所定の長さに切断し、一方の開口部をヒートシールしてシール部を形成することにより、図2に示すような袋体を得た。
[5]評価
[5-1]官能試験
前記各実施例および各比較例に係る袋体の収納部に、酢酸(富士フイルム和光純薬社製、試薬特級):1mLを入れ、袋体自体の開口部付近の部位(開口部から20cm幅の部位)を強く結んだ。
この状態で、上記の各袋体を、それぞれ別個に、アルミニウム蒸着膜が設けられたポリエチレンテレフタレート製の市販の袋(アルミ袋)に入れ、その開口部をクリップで封止し、96時間経過後に、クリップを外し、アルミ袋内においを嗅いだところ、前記各実施例では、酢酸のにおいを感じられなかったのに対し、前記各比較例では、酢酸のにおいが感じられた。
また、酢酸の代わりに、メチルメルカプタン、アンモニアを用いた以外は、前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が確認された。
また、本発明の積層フィルムは、好適な柔軟性を有するものであった。また、脂肪酸アミドを含む本発明の積層フィルムは、好適な滑り性を有するものであった。
[5-2]定量的評価
前記各実施例および各比較例に係る袋体の収納部に、酢酸(富士フイルム和光純薬社製、試薬特級):1mLを入れ、袋体自体の開口部付近の部位をヒートシールにより密閉した。
この状態で、上記の各袋体を、それぞれ別個に、フッ化ビニル樹脂製の市販のコック付き袋(市販袋)に入れ、前記コックを閉め、30℃の環境下で静置した。
5時間経過した時点で、前記コックを開き、前記の市販袋中の気体を採取し、北川式ガス検知管(光明理化社製、216S酢酸)を用いて分析を行い、採取した気体中に含まれる酢酸濃度を求めた。
前記各実施例および各比較例に係る袋体の収納部に、和光一級0.25%アンモニア水(富士フイルム和光純薬社製):0.2mLを入れ、袋体自体の開口部付近の部位をヒートシールにより密閉した。
この状態で、上記の各袋体を、それぞれ別個に、フッ化ビニル樹脂製の市販のコック付き袋(市販袋)に入れ、前記コックを閉め、30℃の環境下で静置した。
5時間経過した時点で、前記コックを開き、前記の市販袋中の気体を採取し、北川式ガス検知管(光明理化社製、105SC)を用いて分析を行い、採取した気体中に含まれるアンモニア濃度を求めた。
上記の定量的評価の結果を表2にまとめて示す。
表2から明らからなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
また、再生プラスチックを用いるとともに、第1の層を構成するポリエチレンの密度を0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下の範囲で種々変更し、第1の層を構成するポリエチレンの重量平均分子量を3万以上20万以下の範囲で種々変更し、第1の層中におけるポリエチレンの含有率を65質量%以上100質量%以下の範囲で種々変更し、第1の層中における脂肪酸アミドの含有率を0.03質量%以上3.0質量%以下の範囲で種々変更し、積層フィルム中における脂肪酸アミドの含有率を0.01質量%以上1.0質量%以下の範囲で種々変更し、第1の層を構成するポリアミド樹脂の重量平均分子量を1万以上50万以下の範囲で種々変更し、第1の層中におけるポリアミド樹脂の含有率を0.1質量%以上40質量%以下の範囲で種々変更し、第1の層の厚さを3.0μm以上100μm以下の範囲で種々変更し、第2の層を構成する環状オレフィン系樹脂中における環状オレフィンの含有量XCO[mol%]と第2の層を構成する環状オレフィン系樹脂中におけるエチレンの含有量XE[mol%]との比率(XCO/XE)を0.01以上100以下の範囲で種々変更し、第2の層を構成する環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量を5000以上50万以下の範囲で種々変更し、第2の層中における環状オレフィン系樹脂の含有率を65質量%以上95質量%以下の範囲で種々変更し、第2の層を構成するポリエチレンの密度を0.942g/cm3以上0.970g/cm3以下の範囲で種々変更し、第2の層を構成するポリエチレンの重量平均分子量を1万以上100万以下の範囲で種々変更し、第2の層中におけるポリエチレンの含有率を2.0質量%以上35質量%以下の範囲で種々変更し、第2の層中における環状オレフィン系樹脂の含有率X2COC[質量%]と第2の層中におけるポリエチレンの含有率X2PE[質量%]との比率(X2COC/X2PE)を1.5以上20以下の範囲で種々変更し、第2の層を構成するポリアミド樹脂の重量平均分子量を1万以上50万以下の範囲で種々変更し、第2の層中におけるポリアミド樹脂の含有率を0.1質量%以上17質量%以下の範囲で種々変更し、第2の層の厚さを3.0μm以上100μm以下の範囲で種々変更し、第3の層を構成するポリエチレンの密度を0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下の範囲で種々変更し、第3の層を構成するポリエチレンの重量平均分子量を3万以上20万以下の範囲で種々変更し、第3の層中におけるポリエチレンの含有率を65.0質量%以上99.8質量%以下の範囲で種々変更し、第3の層中における消臭剤の含有率を0.1質量%以上5.0質量%以下の範囲で種々変更し、積層フィルム中における消臭剤の含有率を0.03質量%以上1.7質量%以下の範囲で種々変更し、第3の層中における脂肪酸アミドの含有率を0.03質量%以上3.0質量%以下の範囲で種々変更し、第3の層を構成するポリアミド樹脂の重量平均分子量を1万以上50万以下の範囲で種々変更し、第3の層中におけるポリアミド樹脂の含有率を0.1質量%以上32質量%以下の範囲で種々変更し、第3の層の厚さを3.0μm以上100μm以下の範囲で種々変更した以外は、前記各実施例と同様にして、積層フィルム、袋体を製造して、前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が確認された。